説明

フィルムコンデンサ

【課題】放熱経路を十分に確保することができ、しかも、自己回復機能と自己保安機構とを併せ持たせることができ、様々なアプリケーションにも対応させることができるフィルムコンデンサを提供する。
【解決手段】第1電極パターン18Aは、第1誘電体フィルム22Aの長手方向に沿って連続して延在する第1取出電極部24Aと、該第1取出電極部24Aからそれぞれほぼ直角に延びる複数の第1コンデンサ電極部26Aと、第1コンデンサ電極部26A間に配置され、且つ、第1コンデンサ電極部26Aに接続された第2コンデンサ電極部26Bとを有する。第2コンデンサ電極部26Bは、複数の第1区画34を有する。第1区画34は、第1コンデンサ電極部26Aのうち、第1誘電体フィルム22Aの幅方向に沿って延びる一方の端面36a及び他方の端面36bにそれぞれ幅狭の第1ヒューズ部38を介して接続されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1電極パターンと第2電極パターンとが誘電体フィルムを挟んで対向した状態で巻回された構成を有する巻回体と、前記巻回体の一方の端部に電気的に接続された第1端子部と、前記巻回体の他方の端部に電気的に接続された第2端子部とを有するフィルムコンデンサに関し、特に、自己回復機能と自己保安機構とを併せ持つフィルムコンデンサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自己回復機能と自己保安機構とを併せ持つフィルムコンデンサについては、例えば特許文献1〜4等に開示されている。
【0003】
特許文献1記載のフィルムコンデンサは、誘電体フィルムを挟んで対向する1対のコンデンサ電極のうち、少なくともその一方の電極が金属蒸着によって形成され、該電極をフィルムの長さ方向に沿って等間隔又は任意の間隔に複数箇所の絶縁溝で区分し、複数個の区分電極列を形成するようにしている。区分電極列の各電極は、複数箇所の狭隘な電流通路を残して形成した絶縁溝網である。
【0004】
そして、フィルムの長さ方向に2〜20個、幅方向に複数個の独立した小電極を形成してなる金属化フィルムを巻回して巻回体を構成し、該巻回体の両端面に金属を溶射して端子電極を形成してコンデンサ素子を設け、該コンデンサ素子を1個又は複数個単位で外装して構成するようにしている。
【0005】
特許文献2記載のフィルムコンデンサは、誘電体フィルムの片面に金属蒸着電極を形成し、その電極部の長手方向及び幅方向に複数個の分割電極を形成し、その分割電極を非電極のマージンで区切るとともに、そのマージンの部分にヒューズ機能を有するマージンヒューズを設け、且つ、このマージンヒューズが一層上及び下の対向電極のマージンヒューズ部分と重なるようにしている。
【0006】
特許文献3記載のフィルムコンデンサは、金属薄膜の設けられた誘電体のコンデンサシートが、シートの進行方向でコンデンサ巻体を形成するように巻き回されているシートコンデンサであって、その金属化部は、金属薄膜に分割部の設けられている形式となっている。金属薄膜は、進行方向に対して横方向で成形された部分的な分割部を有する。
【0007】
特許文献4記載のフィルムコンデンサは、1対の蒸着電極に、容量を形成する有効電極部において、幅方向のほぼ中央部から絶縁マージンに向かう側に、ヒューズにより並列接続された分割電極が設けられている。これにより、メタリコンより離れた位置で流れる電流の少なくなっていく絶縁マージンに近い側にヒューズ、分割電極が設けられた構成となるため、ヒューズによる発熱を少なくして温度上昇を抑制することができるようになっている。
【0008】
【特許文献1】特許第3710873号公報
【特許文献2】特開平9−199371号公報
【特許文献3】特表2002−504747号公報
【特許文献4】特開2004−134561号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、従来のフィルムコンデンサは、いずれもフィルムコンデンサの端子部と電気的に接続される取出電極部に直接分割電極が非常に幅の狭いフューズ部を介して接続されている。
【0010】
そのため、電流が流れた場合の放熱経路が狭く、放熱効率が悪くなり、発熱温度が高くなるという問題がある。そこで、発熱温度を抑えるためには、許容電流値を下げるしかなく、様々なアプリケーションに対応できないという問題がある。
【0011】
本発明はこのような課題を考慮してなされたものであり、放熱経路を十分に確保することができ、しかも、自己回復機能と自己保安機構とを併せ持たせることができ、様々なアプリケーションにも対応させることができるフィルムコンデンサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係るフィルムコンデンサは、第1電極パターンと第2電極パターンとが誘電体フィルムを挟んで対向した状態で巻回された構成を有する巻回体と、前記巻回体の一方の端部に電気的に接続された第1端子部と、前記巻回体の他方の端部に電気的に接続された第2端子部とを有するフィルムコンデンサにおいて、前記第1電極パターンは、前記誘電体フィルムの長手方向に沿って連続して延在する第1取出電極部と、前記第1取出電極部からそれぞれほぼ直角に延びる複数の第1コンデンサ電極部と、前記第1コンデンサ電極部間に配置され、且つ、前記第1コンデンサ電極部に接続された第2コンデンサ電極部とを有し、前記第2電極パターンは、前記誘電体フィルムの長手方向に沿って連続して延在する第2取出電極部と、前記第2取出電極部からそれぞれほぼ直角に延びる複数の第3コンデンサ電極部と、前記第3コンデンサ電極部間に配置され、且つ、前記第3コンデンサ電極部に接続された第4コンデンサ電極部とを有し、前記第1電極パターンの前記第1コンデンサ電極部と前記第2電極パターンの前記第4コンデンサ電極部とが前記誘電体フィルムを挟んで重なり、前記第1電極パターンの前記第2コンデンサ電極部と前記第2電極パターンの前記第3コンデンサ電極部とが前記誘電体フィルムを挟んで重なり、前記第1コンデンサ電極部の前記誘電体フィルムの長手方向に沿った幅より前記第4コンデンサ電極部の前記誘電体フィルムの長手方向に沿った幅が広く、且つ、前記第3コンデンサ電極部の前記誘電体フィルムの長手方向に沿った幅より前記第2コンデンサ電極部の前記誘電体フィルムの長手方向に沿った幅が広く、前記第1電極パターンの前記第1取出電極部は、前記第1端子部に電気的に接続されるように、前記誘電体フィルムの一方の側端まで延在して形成され、前記第2電極パターンの前記第2取出電極部は、前記第2端子部に電気的に接続されるように、前記誘電体フィルムの他方の側端まで延在して形成されていることを特徴とする。
【0013】
これにより、前記第1コンデンサ電極部及び前記第3コンデンサ電極部を放熱経路として有効に利用することができる。すなわち、本発明においては、放熱経路を十分に確保することができ、しかも、自己回復機能と自己保安機構とを併せ持たせることができ、許容電流値を向上させることができる等、様々なアプリケーションにも対応させることができる。
【0014】
そして、本発明においては、前記巻回体は、片面に前記第1電極パターンが形成された第1誘電体フィルムと、片面に前記第2電極パターンが形成された第2誘電体フィルムとを、前記第1電極パターンと前記第2電極パターンとが接触しないように重ね合わせ、この重ね合わされた前記第1誘電体フィルムと前記第2誘電体フィルムを巻回して構成されていてもよい。
【0015】
また、本発明においては、前記巻回体は、一方の片面に前記第1電極パターンが形成され、他方の片面に前記第2電極パターンが形成された誘電体フィルムと両面に電極パターンが形成されていないスペーサを重ね合わせ、この重ね合わされた前記誘電体フィルムと前記スペーサを巻回して構成されていてもよい。
【0016】
また、本発明においては、前記誘電体フィルムの幅方向の両端がそれぞれ波形にカットされていてもよい。ここで、波形としては、例えばsin波や三角波に準じた波形や半円形等が考えられる。
【0017】
また、本発明においては、前記第1電極パターンの前記第2コンデンサ電極部は、1以上の第1区画に分離され、前記第1区画は、前記第1コンデンサ電極部のうち、前記誘電体フィルムの幅方向に沿って延びる少なくとも一方の端面にそれぞれ幅狭の第1ヒューズ部を介して接続され、前記第2電極パターンの前記第4コンデンサ電極部は、1以上の第2区画に分離され、前記第2区画は、前記第4コンデンサ電極部のうち、前記誘電体フィルムの幅方向に沿って延びる少なくとも一方の端面にそれぞれ幅狭の第2ヒューズ部を介して接続されていてもよい。
【0018】
また、本発明において、前記第1区画は、2以上の第1微小区画が前記誘電体フィルムの長手方向に沿って配列され、且つ、幅狭の第3ヒューズ部を介して連結され、前記第2区画は、2以上の第2微小区画が前記誘電体フィルムの長手方向に沿って配列され、且つ、幅狭の第4ヒューズ部を介して連結されていてもよい。
【0019】
また、本発明において、前記第1電極パターンの前記第1取出電極部と前記第1コンデンサ電極部との間に、前記第1コンデンサ電極部の幅よりも狭く、且つ、前記第1ヒューズ部の幅よりも広い第5ヒューズ部が形成され、前記第2電極パターンの前記第2取出電極部と前記第2コンデンサ電極部との間に、前記第2コンデンサ電極部の幅よりも狭く、且つ、前記第2ヒューズ部の幅よりも広い第6ヒューズ部が形成されていてもよい。
【発明の効果】
【0020】
以上説明したように、本発明に係るフィルムコンデンサによれば、放熱経路を十分に確保することができ、しかも、自己回復機能と自己保安機構とを併せ持たせることができ、様々なアプリケーションにも対応させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明に係るフィルムコンデンサの実施の形態例を図1〜図10を参照しながら説明する。
【0022】
先ず、第1の実施の形態に係るフィルムコンデンサ(以下、第1フィルムコンデンサ10Aと記す)は、図1に示すように、巻回体12と、該巻回体12の一方の端部に電気的に接続された第1端子部14と、巻回体12の他方の端部に電気的に接続された第2端子部16とを有する。
【0023】
巻回体12は、図2に示すように、第1電極パターン18Aと第2電極パターン18Bとが誘電体フィルム20を挟んで対向した状態で巻回された構成を有する。
【0024】
特に、この第1フィルムコンデンサ10Aの巻回体12は、図2及び図3に示すように、片面に第1電極パターン18Aが形成された第1誘電体フィルム22Aと、片面に第2電極パターン18Bが形成された第2誘電体フィルム22Bとを、第1電極パターン18Aと第2電極パターン18Bとが接触しないように重ね合わせ、この重ね合わされた第1誘電体フィルム22Aと第2誘電体フィルム22Bを巻回して構成されている。
【0025】
第1誘電体フィルム22A及び第2誘電体フィルム22Bは、それぞれPP(ポリプロピレン)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PPS(ポリフェニレンスルフィド)等で構成することができる。第1誘電体フィルム22A及び第2誘電体フィルム22Bの幅Waは10〜200mmであり、厚みta(図3参照)は2.7〜30μmである。
【0026】
第1電極パターン18A及び第2電極パターン18Bは、アルミニウム、亜鉛、アルミニウムと亜鉛の合金等で構成することができる。第1電極パターン18A及び第2電極パターン18Bの厚みtbは面抵抗が1〜20オーム/mm2を満足する厚みが好ましく、例えば100〜1000オングストロームである。
【0027】
第1フィルムコンデンサ10Aの容量値としては例えば数10μF〜数100μF、定格電圧としては例えば数100V(直流)、定格電流としては数10Aを想定している。
【0028】
全体の形状としては、図1に示すような円筒形や、図4に示すような扁平形等がある。
【0029】
第1電極パターン18Aは、図2及び図5Aに示すように、第1誘電体フィルム22Aの長手方向に沿って連続して延在する第1取出電極部24Aと、該第1取出電極部24Aからそれぞれほぼ直角に延びる複数の第1コンデンサ電極部26Aと、第1コンデンサ電極部26A間に配置され、且つ、第1コンデンサ電極部26Aに接続された第2コンデンサ電極部26Bとを有する。
【0030】
同様に、第2電極パターン18Bは、図2及び図5Bに示すように、第2誘電体フィルム22Bの長手方向に沿って連続して延在する第2取出電極部24Bと、該第2取出電極部24Bからそれぞれほぼ直角に延びる複数の第3コンデンサ電極部26Cと、第3コンデンサ電極部26C間に配置され、且つ、第3コンデンサ電極部26Cに接続された第4コンデンサ電極部26Dとを有する。
【0031】
ここで、第1コンデンサ電極部26Aの第1誘電体フィルム22Aの長手方向に沿った幅W1より第4コンデンサ電極部26Dの第2誘電体フィルム22Bの長手方向に沿った幅W4が広く、且つ、第3コンデンサ電極部26Cの第2誘電体フィルム22Bの長手方向に沿った幅W3より第2コンデンサ電極部26Bの第1誘電体フィルム22Aの長手方向に沿った幅W2が広くなっている。
【0032】
そして、巻回体12とした際には、図3及び図5Cに示すように、第1電極パターン18Aの第1コンデンサ電極部26Aと第2電極パターン18Bの第4コンデンサ電極部26Dとが第1誘電体フィルム22A又は第2誘電体フィルム22Bを挟んで重なり、第1電極パターン18Aの第2コンデンサ電極部26Bと第2電極パターン18Bの第3コンデンサ電極部26Cとが第1誘電体フィルム22A又は第2誘電体フィルム22Bを挟んで重なっている。
【0033】
第1電極パターン18Aの第1取出電極部24Aは、第1端子部14に電気的に接続されるように、第1誘電体フィルム22Aの一方の側端30aまで延在して形成されている。同様に、第2電極パターン18Bの第2取出電極部24Bは、第2端子部16に電気的に接続されるように、第2誘電体フィルム22Bの他方の側端32bまで延在して形成されている。
【0034】
そして、第1電極パターン18Aの第2コンデンサ電極部26Bは、複数の第1区画34を有する。第1区画34は、第1コンデンサ電極部26Aのうち、第1誘電体フィルム22Aの幅方向に沿って延びる一方の端面36a及び他方の端面36bにそれぞれ幅狭の第1ヒューズ部38を介して接続されている。
【0035】
同様に、第2電極パターン18Bの第4コンデンサ電極部26Dは、複数の第2区画40を有する。第2区画40は、第3コンデンサ電極部26Cのうち、第2誘電体フィルム22Bの幅方向に沿って延びる一方の端面42a及び他方の端面42bにそれぞれ幅狭の第2ヒューズ部44を介して接続されている。
【0036】
このように、第1フィルムコンデンサ10Aにおいては、異常が発生しても、第1区画34や第2区画40の単位で電気的に分離することができるため、異常時での容量の大幅な低下等を回避することができる。しかも、第1ヒューズ部38と第1取出電極部24Aとの間に幅広の第1コンデンサ電極部26Aを配置し、第2ヒューズ部44と第2取出電極部24Bとの間に幅広の第3コンデンサ電極部26Cを配置するようにしたので、第1コンデンサ電極部26A及び第3コンデンサ電極部26Cを放熱経路として有効に利用することができる。すなわち、第1フィルムコンデンサ10Aにおいては、放熱経路を十分に確保することができ、許容電流値を向上させることができる等、様々なアプリケーションにも対応させることができる。
【0037】
次に、第1フィルムコンデンサ10Aのいくつかの変形例について図6A〜図8を参照しながら説明する。
【0038】
先ず、第1の変形例に係るフィルムコンデンサ10Aaは、図6A〜図6Cに示すように、第1フィルムコンデンサ10Aとほぼ同様の構成を有するが、各第1区画34及び各第2区画40の構成が異なる。
【0039】
すなわち、各第1区画34は、複数の第1微小区画46が第1誘電体フィルム22Aの長手方向に沿って配列され、且つ、幅狭の第3ヒューズ部48を介して連結されている。同様に、各第2区画40は、複数の第2微小区画50が第2誘電体フィルム22Bの長手方向に沿って配列され、且つ、幅狭の第4ヒューズ部52を介して連結されている。
【0040】
この場合も、第1コンデンサ電極部26A及び第3コンデンサ電極部26Cを放熱経路として有効に利用することができる。特に、第1区画34及び第2区画40をさらに小さな第1微小区画46及び第2微小区画50に分けるようにしたので、異常が発生しても、第1微小区画46や第2微小区画50の単位で電気的に分離することができるため、異常時での容量の大幅な低下等を回避することができる。
【0041】
次に、第2の変形例に係るフィルムコンデンサ10Abは、図7A〜図7Cに示すように、第1の変形例に係るフィルムコンデンサ10Aaとほぼ同様の構成を有するが、以下の点で異なる。
【0042】
すなわち、第1電極パターン18Aにおける第1取出電極部24Aと第1コンデンサ電極部26Aとの間に、第1コンデンサ電極部26Aの幅よりも狭く、且つ、第1ヒューズ部38の幅よりも広い第5ヒューズ部54が形成されている。同様に、第2電極パターン18Bにおける第2取出電極部24Bと第3コンデンサ電極部26Cとの間に、第3コンデンサ電極部26Cの幅よりも狭く、且つ、第2ヒューズ部44の幅よりも広い第6ヒューズ部56が形成されている。
【0043】
この場合、例えば1つの第1コンデンサ電極部26Aを含む程度の広範囲な欠陥があったとしても、第1コンデンサ電極部26A単位に電気的に分離することができるため、異常時での容量の大幅な低下等を回避することができる。
【0044】
次に、第3の変形例に係るフィルムコンデンサ10Acは、図8に示すように、上述した第1フィルムコンデンサ10Aとほぼ同様の構成を有するが、第1誘電体フィルム22Aの一方の側端30aと他方の側端30bがそれぞれ波形にカットされ、第2誘電体フィルム22Bの一方の側端32aと他方の側端32bがそれぞれ波形にカットされている点で異なる。図8では、波形として例えばsin波に準じた波形を示したが、その他、三角波に準じた波形や半円形等が考えられる。
【0045】
第1誘電体フィルム22Aの一方の側端30aと他方の側端30b並びに第2誘電体フィルム22Bの一方の側端32aと他方の側端32bが、それぞれ一直線上に形成されている場合、巻回体12とした際に、巻回体12の一方の端部及び他方の端部から第1取出電極部24A及び第2取出電極部24Bが露出しにくく、第1端子部14や第2端子部16との電気的接続が良好とならないおそれがある。また、巻回体12のそれぞれの端部と第1端子部14や第2端子部16との密着性が問題となるおそれがある。
【0046】
そこで、第1誘電体フィルム22Aの一方の側端30aと他方の側端30bをそれぞれ波形にカットし、第2誘電体フィルム22Bの一方の側端32aと他方の側端32bをそれぞれ波形にカットすることによって、巻回体12とした際に、巻回体12の一方の端部及び他方の端部から第1取出電極部24A及び第2取出電極部24Bが露出し易くなり、第1端子部14や第2端子部16との電気的接続を良好にすることができ、且つ、第1端子部14や第2端子部16との密着性も向上させることができる。これは、局部的な大電流の通過を回避することができ、信頼性の向上を図ることができる。
【0047】
次に、第2の実施の形態に係るフィルムコンデンサ(以下、第2フィルムコンデンサ10Bと記す)について図9及び図10を参照しながら説明する。
【0048】
この第2フィルムコンデンサ10Bは、上述した第1フィルムコンデンサ10Aとほぼ同様の構成を有するが、巻回体12が以下のように異なる。
【0049】
すなわち、この第2フィルムコンデンサ10Bの巻回体12は、図9及び図10に示すように、一方の片面に第1電極パターン18Aが形成され、他方の片面に第2電極パターン18Bが形成された誘電体フィルム60Aと両面に電極パターンが形成されていないスペーサ60Bを重ね合わせ、この重ね合わされた誘電体フィルム60Aとスペーサ60Bを巻回して構成されている。
【0050】
その他の構成は、上述した第1フィルムコンデンサ10Aと同じであるため、その重複説明を省略する。
【0051】
この第2フィルムコンデンサ10Bにおいても、第1フィルムコンデンサ10Aと同様に、第1区画34や第2区画40の単位で電気的に分離することができるため、異常時での容量の大幅な低下等を回避することができる。しかも、第1ヒューズ部38と第1取出電極部24Aとの間に幅広の第1コンデンサ電極部26Aを配置し、第2ヒューズ部44と第2取出電極部24Bとの間に幅広の第3コンデンサ電極部26Cを配置するようにしたので、第1コンデンサ電極部26A及び第3コンデンサ電極部26Cを放熱経路として有効に利用することができる。すなわち、第2フィルムコンデンサ10Bにおいては、放熱経路を十分に確保することができ、許容電流値を向上させることができる等、様々なアプリケーションにも対応させることができる。
【0052】
この第2フィルムコンデンサ10Bにおいても、上述した第1の変形例に係るフィルムコンデンサ10Aa〜第3の変形例に係るフィルムコンデンサ10Acと同様の構成をもたせることができる。
【0053】
なお、本発明に係るフィルムコンデンサは、上述の実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることはもちろんである。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】第1フィルムコンデンサの外形の一例を示す斜視図である。
【図2】第1フィルムコンデンサの巻回体の構成を一部省略して示す斜視図である。
【図3】第1フィルムコンデンサの構成を一部省略して示す断面図である。
【図4】第1フィルムコンデンサの外形の他の例を示す斜視図である。
【図5】図5Aは第1フィルムコンデンサにおいて、第1誘電体フィルムと第1電極パターンを一部省略して示す平面図であり、図5Bは第2誘電体フィルムと第2電極パターンを一部省略して示す平面図であり、図5Cは第1誘電体フィルムと第2誘電体フィルムを重ね合わせた状態を一部省略して示す透視図である。
【図6】図6Aは第1フィルムコンデンサの第1の変形例において、第1誘電体フィルムと第1電極パターンを一部省略して示す平面図であり、図6Bは第2誘電体フィルムと第2電極パターンを一部省略して示す平面図であり、図6Cは第1誘電体フィルムと第2誘電体フィルムを重ね合わせた状態を一部省略して示す透視図である。
【図7】図7Aは第1フィルムコンデンサの第2の変形例において、第1誘電体フィルムと第1電極パターンを一部省略して示す平面図であり、図7Bは第2誘電体フィルムと第2電極パターンを一部省略して示す平面図であり、図7Cは第1誘電体フィルムと第2誘電体フィルムを重ね合わせた状態を一部省略して示す透視図である。
【図8】第1フィルムコンデンサの第3の変形例の巻回体の構成を一部省略して示す斜視図である。
【図9】第2フィルムコンデンサの巻回体の構成を一部省略して示す斜視図である。
【図10】第2フィルムコンデンサの構成を一部省略して示す断面図である。
【符号の説明】
【0055】
10A…第1フィルムコンデンサ
10Aa〜10Ac…フィルムコンデンサ
10B…第2フィルムコンデンサ 12…巻回体
14…第1端子部 16…第2端子部
18A…第1電極パターン 18B…第2電極パターン
20、60A…誘電体フィルム 22A…第1誘電体フィルム
22B…第2誘電体フィルム 24A…第1取出電極部
24B…第2取出電極部
26A〜26D…第1コンデンサ電極部〜第4コンデンサ電極部
34…第1区画 38…第1ヒューズ部
40…第2区画 44…第2ヒューズ部
46…第1微小区画 48…第3ヒューズ部
50…第2微小区画 52…第4ヒューズ部
54…第5ヒューズ部 56…第6ヒューズ部
60B…スペーサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電極パターンと第2電極パターンとが誘電体フィルムを挟んで対向した状態で巻回された構成を有する巻回体と、前記巻回体の一方の端部に電気的に接続された第1端子部と、前記巻回体の他方の端部に電気的に接続された第2端子部とを有するフィルムコンデンサにおいて、
前記第1電極パターンは、前記誘電体フィルムの長手方向に沿って連続して延在する第1取出電極部と、前記第1取出電極部からそれぞれほぼ直角に延びる複数の第1コンデンサ電極部と、前記第1コンデンサ電極部間に配置され、且つ、前記第1コンデンサ電極部に接続された第2コンデンサ電極部とを有し、
前記第2電極パターンは、前記誘電体フィルムの長手方向に沿って連続して延在する第2取出電極部と、前記第2取出電極部からそれぞれほぼ直角に延びる複数の第3コンデンサ電極部と、前記第3コンデンサ電極部間に配置され、且つ、前記第3コンデンサ電極部に接続された第4コンデンサ電極部とを有し、
前記第1電極パターンの前記第1コンデンサ電極部と前記第2電極パターンの前記第4コンデンサ電極部とが前記誘電体フィルムを挟んで重なり、前記第1電極パターンの前記第2コンデンサ電極部と前記第2電極パターンの前記第3コンデンサ電極部とが前記誘電体フィルムを挟んで重なり、
前記第1コンデンサ電極部の前記誘電体フィルムの長手方向に沿った幅より前記第4コンデンサ電極部の前記誘電体フィルムの長手方向に沿った幅が広く、且つ、前記第3コンデンサ電極部の前記誘電体フィルムの長手方向に沿った幅より前記第2コンデンサ電極部の前記誘電体フィルムの長手方向に沿った幅が広く、
前記第1電極パターンの前記第1取出電極部は、前記第1端子部に電気的に接続されるように、前記誘電体フィルムの一方の側端まで延在して形成され、
前記第2電極パターンの前記第2取出電極部は、前記第2端子部に電気的に接続されるように、前記誘電体フィルムの他方の側端まで延在して形成されていることを特徴とする自己回復機能と自己保安機構とを併せ持つフィルムコンデンサ。
【請求項2】
請求項1記載のフィルムコンデンサにおいて、
前記巻回体は、片面に前記第1電極パターンが形成された第1誘電体フィルムと、片面に前記第2電極パターンが形成された第2誘電体フィルムとを、前記第1電極パターンと前記第2電極パターンとが接触しないように重ね合わせ、この重ね合わされた前記第1誘電体フィルムと前記第2誘電体フィルムを巻回して構成されていることを特徴とするフィルムコンデンサ。
【請求項3】
請求項1記載のフィルムコンデンサにおいて、
前記巻回体は、一方の片面に前記第1電極パターンが形成され、他方の片面に前記第2電極パターンが形成された誘電体フィルムと両面に電極パターンが形成されていない誘電体フィルムのスペーサを重ね合わせ、この重ね合わされた前記誘電体フィルムと前記誘電体フィルムのスペーサを巻回して構成されていることを特徴とするフィルムコンデンサ。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載のフィルムコンデンサにおいて、
前記誘電体フィルムの幅方向の両端がそれぞれ波形にカットされていることを特徴とするフィルムコンデンサ。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のフィルムコンデンサにおいて、
前記第1電極パターンの前記第2コンデンサ電極部は、1以上の第1区画に分離され、
前記第1区画は、前記第1コンデンサ電極部のうち、前記誘電体フィルムの幅方向に沿って延びる少なくとも一方の端面にそれぞれ幅狭の第1ヒューズ部を介して接続され、
前記第2電極パターンの前記第4コンデンサ電極部は、1以上の第2区画に分離され、
前記第2区画は、前記第4コンデンサ電極部のうち、前記誘電体フィルムの幅方向に沿って延びる少なくとも一方の端面にそれぞれ幅狭の第2ヒューズ部を介して接続されていることを特徴とするフィルムコンデンサ。
【請求項6】
請求項5記載のフィルムコンデンサにおいて、
前記第1区画は、2以上の第1微小区画が前記誘電体フィルムの長手方向に沿って配列され、且つ、幅狭の第3ヒューズ部を介して連結され、
前記第2区画は、2以上の第2微小区画が前記誘電体フィルムの長手方向に沿って配列され、且つ、幅狭の第4ヒューズ部を介して連結されていることを特徴とするフィルムコンデンサ。
【請求項7】
請求項5記載のフィルムコンデンサにおいて、
前記第1電極パターンの前記第1取出電極部と前記第1コンデンサ電極部との間に、前記第1コンデンサ電極部の幅よりも狭く、且つ、前記第1ヒューズ部の幅よりも広い第5ヒューズ部が形成され、
前記第2電極パターンの前記第2取出電極部と前記第2コンデンサ電極部との間に、前記第2コンデンサ電極部の幅よりも狭く、且つ、前記第2ヒューズ部の幅よりも広い第6ヒューズ部が形成されていることを特徴とするフィルムコンデンサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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