フィルムロール用梱包箱
【課題】支持板の寸法が異なるフィルムロールを選択的に梱包することができるフィルムロール用梱包箱を提供する。
【解決手段】フィルムロール用梱包箱1では、本体部10に形成された枠体30の内側に、支持板6Aに対応する略正方形の第1保持領域31と、支持板6Aとは寸法が異なる支持板6Bに対応する略正方形の第2保持領域32とが設けられており、第2保持領域32は、第1保持領域31で保持されるフィルムロール2の巻芯3の軸周りに所定角度だけ回転した状態で第1保持領域31に重ね合わされている。また、蓋部20にも本体部10の枠体30と同様の構成を有する枠体40が設けられている。これにより、フィルムロール用梱包箱1では、箱の大型化を回避しつつ、支持板6の寸法が異なるフィルムロール2を選択的に梱包できる。
【解決手段】フィルムロール用梱包箱1では、本体部10に形成された枠体30の内側に、支持板6Aに対応する略正方形の第1保持領域31と、支持板6Aとは寸法が異なる支持板6Bに対応する略正方形の第2保持領域32とが設けられており、第2保持領域32は、第1保持領域31で保持されるフィルムロール2の巻芯3の軸周りに所定角度だけ回転した状態で第1保持領域31に重ね合わされている。また、蓋部20にも本体部10の枠体30と同様の構成を有する枠体40が設けられている。これにより、フィルムロール用梱包箱1では、箱の大型化を回避しつつ、支持板6の寸法が異なるフィルムロール2を選択的に梱包できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば感光性フィルムロールの保管・運搬等に用いられるフィルムロール用梱包箱に関する。
【背景技術】
【0002】
長尺状のフィルムを巻芯に巻き回してなるフィルムロールには、例えば感光性フィルムを遮光包装してなるものがある。このようなフィルムロールの保管・運搬に際しては、巻芯の両端部に支持板を装着し、フィルムロールが外箱に接触しないように箱側で支持板を保持した状態で梱包するのが一般的である。これにより、振動や衝撃からフィルムを保護でき、外箱への接触によるフィルムの品質劣化の防止が図られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−287350号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年ではフィルムロールの巻数のバリエーションが増加しており、これに伴って巻芯の両端部に装着させる支持板の寸法も多様化している。従来のフィルムロール梱包箱では、支持板の寸法が異なるフィルムロールを収容する場合には、保持構造の寸法を変えた複数の梱包箱を用意していたが、支持板の寸法が異なるフィルムロールを同一の梱包箱に選択的に梱包することができなかった。
【0005】
本発明は、上記課題の解決のためになされたものであり、支持板の寸法が異なるフィルムロールを選択的に梱包することができるフィルムロール用梱包箱を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題の解決のため、本発明に係るフィルムロール用梱包箱は、長尺状のフィルムを巻芯に巻き回してなるフィルムロールを、巻芯の両端部に略矩形の支持板を取り付けた状態で収容するフィルムロール用梱包箱であって、開口部を有する有底の本体部と、開口部を塞ぐように本体部に取り付けられる蓋部と、本体部の底面及び蓋部の内面において互いに対向するようにそれぞれ設けられ、支持板が嵌め込まれることによって箱内でフィルムロールを起立保持する枠体と、を備え、枠体の内側には、第1の寸法の支持板に対応する略矩形の第1保持領域と、第1の寸法とは異なる第2の寸法の支持板に対応すると共に、第1保持領域で保持されるフィルムロールの巻芯の軸周りに所定角度だけ回転した状態で第1保持領域に重ね合わされた略矩形の第2保持領域とが設けられていることを特徴としている。
【0007】
このフィルムロール用梱包箱では、本体部及び蓋部に形成された枠体の内側に、第1の寸法の支持板を保持する略矩形の第1保持領域と、第1保持領域で保持されるフィルムロールの巻芯の軸周りに所定角度だけ回転した状態で第1保持領域に重ね合わされた略矩形の第2保持領域とが設けられている。したがって、支持板の寸法に応じて第1保持領域と第2保持領域とを使い分けることにより、支持板の寸法が異なるフィルムロールを選択的に梱包することができる。また、このフィルムロール用梱包箱では、第1保持領域と第2保持領域とが重ね合わされているので、箱の大型化も回避できる。
【0008】
また、本体部における枠体は、本体部の底面から突出していることが好ましい。この場合、箱の高さ方向について枠体の長さを十分に確保できるので、フィルムロールの高さ(一方の支持板から他方の支持板までの長さ)が異なる場合であっても、支持板を枠体でしっかりと保持することができる。
【0009】
また、蓋部における枠体は、蓋部の内面から突出していることが好ましい。この場合、箱の高さ方向について枠体の長さを十分に確保できるので、フィルムロールの高さ(一方の支持板から他方の支持板までの長さ)が異なる場合であっても、支持板を枠体でしっかりと保持することができる。
【0010】
また、第1保持領域に対する第2保持領域の回転角度は、20°〜30°であることが好ましい。第2保持領域の回転角度を上記範囲にすることにより、第2保持領域に配置される支持板の角部を枠体によってしっかりと保持できる。また、第2保持領域が第1保持領域から突出する長さを抑えることができるので、箱の大型化を回避できる。
【0011】
また、本体部及び蓋部が断熱材によって形成されていることが好ましい。これにより、箱内の温度が一定に保たれるので、フィルムを長持ちさせることができる。
【0012】
また、本体部において、枠体の外側には断熱材からなる一対の仕切板が配置されており、仕切板と本体部の側壁とによって、枠体を挟んで対称となるように保冷材収容領域が形成されていることが好ましい。この場合、箱内の温度を保冷材によって低温に保つことができる。また、枠体を挟んで対称に保冷材収容領域を形成することにより、箱内の温度の均一性を確保できる。これにより、フィルムを一層長持ちさせることができる。
【0013】
また、保冷材収容領域における本体部の底部の厚さは、第1保持領域及び第2保持領域における本体部の底部の厚さよりも大きくなっていることが好ましい。この場合、フィルムロールの保冷効率の向上が図られる。また、箱の高さ方向について枠体の長さを十分に確保できるので、高さの異なるフィルムロールを一層確実に枠体で保持できる。
【0014】
また、保冷材収容領域における蓋部の厚さは、第1保持領域及び第2保持領域における蓋部の厚さよりも大きくなっていることが好ましい。この場合、フィルムロールの保冷効率の向上が図られる。また、箱の高さ方向について枠体の長さを十分に確保できるので、高さの異なるフィルムロールを一層確実に枠体で保持できる。
【0015】
また、本体部の側壁の厚さは、仕切板の厚さよりも大きくなっていることが好ましい。この場合、フィルムロールの保冷効率を一層向上できる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、支持板の寸法が異なるフィルムロールを選択的に梱包することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係るフィルムロール用梱包箱の一実施形態を示す図である。
【図2】図1に示したフィルムロール用梱包箱における本体部の平面図である。
【図3】図2におけるIII−III線断面図である。
【図4】図2におけるIV−IV線断面図である。
【図5】図1に示したフィルムロール用梱包箱における蓋部の平面図である。
【図6】図5におけるVI−VI線断面図である。
【図7】図5におけるVII−VII線断面図である。
【図8】フィルムロールの収容の様子を示す図である。
【図9】変形例に係るフィルムロール用梱包箱を示す図である。
【図10】図9に示したフィルムロール用梱包箱における本体部の平面図である。
【図11】図10におけるXI−XI線断面図である。
【図12】図10におけるXII−XII線断面図である。
【図13】図9に示したフィルムロール用梱包箱における蓋部の平面図である。
【図14】図13におけるXIV−XIV線断面図である。
【図15】図13におけるXV−XV線断面図である。
【図16】別の変形例に係るフィルムロール用梱包箱における蓋部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しながら、本発明に係るフィルムロール用梱包箱の好適な実施形態について詳細に説明する。
【0019】
図1は、本発明に係るフィルムロール用梱包箱の一実施形態を示す斜視図である。図1に示すように、フィルムロール用梱包箱1は、フィルムロール2の保管・運搬に用いられる箱であり、開口部を有する有底の本体部10と、開口部を塞ぐように本体部に取り付けられる蓋部20とを備えている。本実施形態におけるフィルムロール用梱包箱1は、例えば幅510mm×奥行き660mm×高さ470mmの略直方体形状をなしており、箱内に最大2本のフィルムロール2を収容可能となっている。
【0020】
まず、フィルムロール2の構成について説明する。フィルムロール2は、中空円筒体からなる巻芯3に巻き回された長尺状のフィルム4と、フィルム4を包装する包装材5とによって構成されている。フィルム4は、例えば幅200mm〜2000mm、長さ100m〜1000mの感光材料によって形成されている。このようなフィルム4としては、例えば日立化成工業(株)製の商品名フォテック、旭化成工業(株)製の商品名サンフォート、ニチゴー・モートン(株)製の商品名アルフォ,ラミナー,ダイナマスク,コンフォマスク、デュポン社製の商品名リストン等が挙げられる。
【0021】
包装材5は、遮光防湿材料を含んで構成され、フィルム4の外側を覆うようにして粘着テープで固定されている。この包装材5は、巻芯3の両端の開口部分から巻芯3の中空部内に折り込まれており、フィルム4側に光や湿気が侵入しないようにフィルム4の全体を覆っている。なお、包装材5の端面には、例えば端面接触部用フィルムと乾燥剤層の2層以上の多層構造や、低透湿フィルムと乾燥剤層からなる単層構造が採用された保護シート(不図示)を設けてもよい。この場合、フィルム4の端面を保護することができると共に、フィルム4への水分の浸入を防止できる、
【0022】
フィルムロール用梱包箱1への収容にあたり、フィルムロール2の巻芯3の両端部には、略矩形の支持板6,6がそれぞれ取り付けられる。支持板6は、例えばプラスチックによって形成されている。支持板6の一方面側の略中央部分には、巻芯3の中空部の内径に対応する外径を有する略円筒形の突起部7が設けられており、この突起部7を巻芯3の中空部に嵌め込むことにより、巻芯3の両端部に支持板6を固定できるようになっている。
【0023】
また、支持板6の寸法は、フィルムロール2におけるフィルム4の巻数に応じて適宜設定されている。例えば巻数が400のフィルムロール2Aに対しては、1辺が約225mmの略正方形の支持板(第1の支持板)6Aが用いられ、巻数が300のフィルムロール2Bに対しては、1辺が約195mmの略正方形の支持板(第2の支持板)6Bが用いられる。
【0024】
次に、フィルムロール用梱包箱1の構成について説明する。フィルムロール用梱包箱1の本体部10は、例えば発泡スチロールによって形成され、断熱性・耐水性・衝撃吸収性を有している。本体部10の長手方向の側壁10a,10aには、取手としての矩形の窪み部11,11がそれぞれ設けられており、フィルムロール用梱包箱1の持ち運び易さが担保されている。また、同側壁10a,10aの上端部には、一対の切込部12,12が設けられている。この切込部12,12により、本体部10に被せた蓋部20の開け易さが担保されている。
【0025】
本体部10の底面10cには、図2に示すように、フィルムロール2の支持板6を嵌め込む2つの枠体30,30が本体部10の長手方向に並んで設けられている。各枠体30の内側には、支持板6Aに対応する1辺が約225mmの略正方形の第1保持領域31と、支持板6Bに対応する1辺が約195mmの略正方形の第2保持領域32とが設けられている。
【0026】
第2保持領域32は、第1保持領域31と同心に配置され、且つ第1保持領域31で保持されるフィルムロール2の巻芯3の軸周りに所定角度θだけ回転した状態で第1保持領域31に重ね合わされている。枠体30は、第1保持領域31と第2保持領域32とが重ね合わされて形成される図形の外殻線に沿って、本体部10の底面10cから20mm程度突出した状態で画成されている。なお、第1保持領域31に対する第2保持領域32の回転角度θは20°〜30°の範囲であることが好ましく、本実施形態では例えば22.5°となっている。
【0027】
これら2つの枠体30,30は、一方の枠体30において第2保持領域32の一の角部を形成している部分が他方の枠体30における第1保持領域31の一辺を形成している部分に接し、且つ他方の枠体30において第2保持領域32の一の角部を形成している部分が一方の枠体30における第1保持領域31の一辺を形成している部分に接する程度に互いに近接して配置されている。
【0028】
また、枠体30,30の両脇には、本体部10の長手方向に沿って仕切板33,33がそれぞれ着脱自在に配置されている。仕切板33は、本体部10と同様に発泡スチロールによって形成されている。この仕切板33,33により、枠体30,30の両脇には、仕切板33と本体部10の側壁10a,10bとによって囲まれる保冷材収容領域34,34が枠体30,30を挟んで対称に形成されている。
【0029】
ここで、図3及び図4に示すように、保冷材収容領域34において、仕切板33の厚さは10mm程度となっているのに対し、本体部10の側壁10a,10bの厚さは25mm程度となっており、仕切板33の厚さに比べて2倍以上に大きくなっている。また、保冷材収容領域34と枠体30の内側の第1保持領域31及び第2保持領域32とを比較すると、第1保持領域31及び第2保持領域32における本体部10の底部10dの厚さは20mm程度となっているのに対し、保冷材収容領域34における本体部10の底部10eの厚さは30mm程度となっており、第1保持領域31及び第2保持領域32における本体部10の底部10dの厚さに比べて1.5倍程度に大きくなっている。
【0030】
フィルムロール用梱包箱1の蓋部20は、本体部10と同様に例えば発泡スチロールによって形成され、断熱性・耐水性・衝撃吸収性を有している。蓋部20の内面20cには、図5に示すように、フィルムロール2の支持板6を嵌め込む2つの枠体40,40が本体部10の枠体30,30と対向するように設けられている。各枠体40の内側には、支持板6Aに対応する1辺が約225mmの略正方形の第1保持領域41と、支持板6Bに対応する1辺が約195mmの略正方形の第2保持領域42とが設けられている。
【0031】
第2保持領域42は、第1保持領域41と同心に配置され、且つ第1保持領域41で保持されるフィルムロール2の巻芯3の軸周りに所定角度θ(本体部10側の第2保持領域32の回転角度θと同角度)だけ回転した状態で第1保持領域41に重ね合わされている。枠体40は、第1保持領域41と第2保持領域42とが重ね合わされて形成される図形の外殻線に沿って、蓋部20の内面20cから20mm程度突出した状態で画成されている。
【0032】
これら2つの枠体40,40は、一方の枠体40において第2保持領域42の一の角部を形成している部分が他方の枠体40における第1保持領域41の一辺を形成している部分に接し、且つ他方の枠体40において第2保持領域42の一の角部を形成している部分が一方の枠体40における第1保持領域41の一辺を形成している部分に接する程度に互いに近接して配置されている。
【0033】
ここで、図6及び図7に示すように、蓋部20における長手方向の側壁20a,20aの厚さ及び幅方向の側壁20b,20bの厚さはそれぞれ25mm程度となっており、本体部10側の仕切板33の厚さに比べて2倍以上に大きくなっている。また、蓋部20において、保冷材収容領域34に被さる部分と枠体40の内側の第1保持領域41及び第2保持領域42が形成された部分とを比較すると、第1保持領域41及び第2保持領域42が形成された部分20dにおける蓋部20の厚さは20mm程度となっているのに対し、保冷材収容領域34に被さる部分20eにおける蓋部20の厚さは30mm程度となっており、第1保持領域41及び第2保持領域42が形成された部分20dにおける蓋部20の厚さに比べて1.5倍程度に大きくなっている。
【0034】
以上のような構成を有するフィルムロール用梱包箱1では、フィルムロール2の両端部に取り付けた支持板6を本体部10の枠体30と蓋部20の枠体40とにそれぞれ嵌め込むことにより、フィルムロール2が箱に接触しないように保持した状態で梱包できる。これにより、保管や運搬の際の振動や衝撃からフィルム4を保護でき、箱への接触によるフィルム4の品質劣化の防止が図られる。
【0035】
また、このフィルムロール用梱包箱1では、本体部10に形成された枠体30の内側に、支持板6Aを保持する略正方形の第1保持領域31と、第1保持領域31で保持されるフィルムロール2の巻芯3の軸周りに所定角度θだけ回転した状態で第1保持領域41に重ね合わされた略正方形の第2保持領域42とが設けられている。また、蓋部20には、本体部10の枠体30,30と同様に構成された第1保持領域41及び第2保持領域42を有する枠体40,40が、枠体30,30に対向するように設けられている。
【0036】
したがって、フィルムロール用梱包箱1では、例えば図8に示すように、支持板6Aが取り付けられたフィルムロール2Aを第1保持領域31,41によって保持し、支持板6Bが取り付けられたフィルムロール2Bを第2保持領域32,42によって保持することにより、支持板6の寸法が異なるフィルムロール2を選択的に梱包することができる。また、このフィルムロール用梱包箱1では、第1保持領域31,41と第2保持領域32,42とが別々に設けられているのではなく、回転角度をずらした状態で重ね合わされているので、箱の大型化も回避できる。
【0037】
また、フィルムロール用梱包箱1では、本体部10における枠体30は、本体部10の底面10cから20mm程度突出しており、蓋部20における枠体40は、蓋部20の内面20cから20mm程度突出している。これにより、箱の高さ方向について枠体30,40の長さを十分に確保できるので、仮に収容するフィルムロール2の高さ(一方の支持板6から他方の支持板6までの長さ)が異なる場合であっても、支持板6を枠体30,40によってしっかりと保持することができる。
【0038】
また、フィルムロール用梱包箱1では、上述した第1保持領域31,41に対する第2保持領域32,42の回転角度θが20°〜30°の範囲となっている。第2保持領域32,42の回転角度θを上記範囲にすることにより、第2保持領域32,42に配置される支持板6Bの角部を枠体40によってしっかりと保持できる。一方、第2保持領域32,42が第1保持領域31,41から突出する長さを抑えることができるので、箱の大型化を回避できる。
【0039】
また、フィルムロール用梱包箱1では、本体部10及び蓋部20が断熱材によって形成されていると共に、本体部10において枠体30,30の外側に断熱材からなる一対の仕切板33,33が配置され、仕切板33と本体部10の側壁10a,10bとによって、枠体30,30を挟んで対称となるように保冷材収容領域34が形成されている。これにより、箱内の温度を低温で均一に維持できるので、箱内に収容したフィルム4を長持ちさせることができる。
【0040】
さらに、フィルムロール用梱包箱1では、本体部10の側壁10a,10bの厚さが仕切板33の厚さよりも大きくなっているほか、保冷材収容領域34における本体部10の底部10eの厚さが、第1保持領域31及び第2保持領域32における本体部10の底部10dの厚さよりも大きくなっている。また、蓋部20においても、保冷材収容領域34に被さる部分20eにおける蓋部20の厚さが、第1保持領域41及び第2保持領域42が形成された部分20dにおける蓋部20の厚さよりも大きくなっている。このような厚さの関係を持たせることにより、保冷材によるフィルムロール2の保冷効率の向上が図られる。
【0041】
続いて、本発明に係るフィルムロール用梱包箱の変形例について説明する。
【0042】
図9〜図15に示すように、変形例に係るフィルムロール用梱包箱51は、フィルムロールの支持板を嵌め込む枠体80,90の配置数、及び保冷材収容領域84,84を形成する支持板83,83の配置の向きが上記実施形態と異なっており、その他の点については、上記実施形態と同様である。
【0043】
より具体的には、フィルムロール用梱包箱51では、図10に示すように、本体部60における底面60cの略中央部分に1つの枠体80が設けられている。枠体80の内側には、図11に示すように、支持板6Aに対応する略正方形の第1保持領域81と、支持板6Bに対応する略正方形の第2保持領域82とが設けられている。第2保持領域82は、第1保持領域81と同心に配置され、且つ第1保持領域81で保持されるフィルムロール2の巻芯3の軸周りに所定角度θ(20°〜30°)だけ回転した状態で第1保持領域81に重ね合わされている。枠体80は、第1保持領域81と第2保持領域82とが重ね合わされて形成される図形の外殻線に沿って、図11及び図12に示すように、本体部60の底面60cから突出した状態で画成されている。
【0044】
また、枠体80の両脇の仕切板83,83は、図10及び図11に示すように、本体部60の幅方向に沿ってそれぞれ着脱自在に配置されている。この仕切板83,83により、枠体80の両脇には、仕切板83と本体部60の側壁60a,60bとによって囲まれる保冷材収容領域84,84が枠体80を挟んで対称に形成されている。この保冷材収容領域84において、本体部60の側壁60a,60bの厚さは、仕切板83の厚さに比べて2倍以上に大きくなっている。また、保冷材収容領域84における本体部60の底部60eの厚さは、第1保持領域81及び第2保持領域82における本体部60の底部60dの厚さに比べて1.5倍程度に大きくなっている。
【0045】
また、フィルムロール用梱包箱51では、図13に示すように、蓋部70における内面70cの略中央部分に枠体80と対向する枠体90が設けられている。枠体90の内側には、支持板6Aに対応する略正方形の第1保持領域91と、支持板6Bに対応する略正方形の第2保持領域92とが設けられている。第2保持領域92は、第1保持領域91と同心に配置され、且つ第1保持領域91で保持されるフィルムロール2の巻芯3の軸周りに所定角度θ(本体部60側の第2保持領域82の回転角度θと同角度)だけ回転した状態で第1保持領域91に重ね合わされている。枠体90は、第1保持領域91と第2保持領域92とが重ね合わされて形成される図形の外殻線に沿って、図14及び図15に示すように、蓋部70の内面70cから突出した状態で画成されている。
【0046】
さらに、図14及び図15に示すように、蓋部70における長手方向の側壁70a,70aの厚さ及び幅方向の側壁70b,70bの厚さは、本体部60側の仕切板83の厚さに比べて2倍以上に大きくなっている。また、蓋部70において、保冷材収容領域84に被さる部分70eにおける蓋部70の厚さは、第1保持領域91及び第2保持領域92が形成された部分70dにおける蓋部70の厚さに比べて1.5倍程度に大きくなっている。
【0047】
以上のような構成を有するフィルムロール用梱包箱51においても、支持板6Aが取り付けられたフィルムロール2Aを第1保持領域81,91によって保持し、支持板6Bが取り付けられたフィルムロール2Bを第2保持領域82,92によって保持することにより、支持板6の寸法が異なるフィルムロール2を選択的に梱包することができる。また、第1保持領域81,91と第2保持領域82,92とが別々に設けられているのではなく、回転角度をずらした状態で重ね合わされているので、箱の大型化も回避できる。
【0048】
また、上記実施形態と同様に、フィルムロール用梱包箱51では、本体部60における枠体80が本体部60の底面60cから突出し、蓋部70における枠体90が蓋部70の内面70cから突出している。これにより、箱の高さ方向について枠体80,90の長さを十分に確保できるので、収容するフィルムロール2の高さが異なる場合であっても、支持板6を枠体80,90によってしっかりと保持することができる。
【0049】
また、フィルムロール用梱包箱51では、保冷材収容領域34を形成する仕切板83,83が本体部60の幅方向に沿って配置されている。このような構成は、箱内の温度を低温で均一に維持するという観点から、当該実施形態のように単一の枠体80,90を本体部60及び蓋部70の略中央部に設ける場合に特に有効である。
【0050】
その他、フィルムロール用梱包箱51においても、第1保持領域81,91に対する第2保持領域82,92の回転角度θが20°〜30°の範囲となっていることで、箱の大型化を回避しつつ支持板6Bの角部を枠体80,90によってしっかりと保持できる点、及び本体部60と蓋部70の各部位の厚さの関係を規定することによって保冷材によるフィルムロール2の保冷効率の向上が図られる点について、上記実施形態と同様の効果が得られる。
【0051】
なお、フィルムロール用梱包箱1,51における各部位の寸法は、収容するフィルムロール2の支持板6の寸法に応じて適宜変更が可能である。特に、フィルムロール2の高さが異なる場合には、図16に示すように、側壁100a,100bの高さが、図6及び図7に示した蓋部20における側壁20a,20bの高さや図14及び図15に示した蓋部70における側壁70a,70bの高さに比べて小さい蓋部100を用いることが好ましい。この場合、高さの異なるフィルムロール2を梱包するためのフィルムロール用梱包箱を作製するにあたって、蓋部の寸法のみを変更すればよいので、製造コストの低減化が図られる。
【符号の説明】
【0052】
1,51…フィルムロール用梱包箱、3…巻芯、4…フィルム、6A…支持板(第1の支持板)、6B…支持板(第2の支持板)、10,60…本体部、10a,10b,60a,60b…側壁、10c,60c…底面、20,70,100…蓋部、20a,20b,70a,70b,100a,100b…側壁、20c,70c…内面、30,80…枠体、31,81…第1保持領域、32,82…第2保持領域、33,83…仕切板、34,84…保冷材収容領域、40,90…枠体、41,91…第1保持領域、42,92…第2保持領域、θ…回転角度。
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば感光性フィルムロールの保管・運搬等に用いられるフィルムロール用梱包箱に関する。
【背景技術】
【0002】
長尺状のフィルムを巻芯に巻き回してなるフィルムロールには、例えば感光性フィルムを遮光包装してなるものがある。このようなフィルムロールの保管・運搬に際しては、巻芯の両端部に支持板を装着し、フィルムロールが外箱に接触しないように箱側で支持板を保持した状態で梱包するのが一般的である。これにより、振動や衝撃からフィルムを保護でき、外箱への接触によるフィルムの品質劣化の防止が図られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−287350号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年ではフィルムロールの巻数のバリエーションが増加しており、これに伴って巻芯の両端部に装着させる支持板の寸法も多様化している。従来のフィルムロール梱包箱では、支持板の寸法が異なるフィルムロールを収容する場合には、保持構造の寸法を変えた複数の梱包箱を用意していたが、支持板の寸法が異なるフィルムロールを同一の梱包箱に選択的に梱包することができなかった。
【0005】
本発明は、上記課題の解決のためになされたものであり、支持板の寸法が異なるフィルムロールを選択的に梱包することができるフィルムロール用梱包箱を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題の解決のため、本発明に係るフィルムロール用梱包箱は、長尺状のフィルムを巻芯に巻き回してなるフィルムロールを、巻芯の両端部に略矩形の支持板を取り付けた状態で収容するフィルムロール用梱包箱であって、開口部を有する有底の本体部と、開口部を塞ぐように本体部に取り付けられる蓋部と、本体部の底面及び蓋部の内面において互いに対向するようにそれぞれ設けられ、支持板が嵌め込まれることによって箱内でフィルムロールを起立保持する枠体と、を備え、枠体の内側には、第1の寸法の支持板に対応する略矩形の第1保持領域と、第1の寸法とは異なる第2の寸法の支持板に対応すると共に、第1保持領域で保持されるフィルムロールの巻芯の軸周りに所定角度だけ回転した状態で第1保持領域に重ね合わされた略矩形の第2保持領域とが設けられていることを特徴としている。
【0007】
このフィルムロール用梱包箱では、本体部及び蓋部に形成された枠体の内側に、第1の寸法の支持板を保持する略矩形の第1保持領域と、第1保持領域で保持されるフィルムロールの巻芯の軸周りに所定角度だけ回転した状態で第1保持領域に重ね合わされた略矩形の第2保持領域とが設けられている。したがって、支持板の寸法に応じて第1保持領域と第2保持領域とを使い分けることにより、支持板の寸法が異なるフィルムロールを選択的に梱包することができる。また、このフィルムロール用梱包箱では、第1保持領域と第2保持領域とが重ね合わされているので、箱の大型化も回避できる。
【0008】
また、本体部における枠体は、本体部の底面から突出していることが好ましい。この場合、箱の高さ方向について枠体の長さを十分に確保できるので、フィルムロールの高さ(一方の支持板から他方の支持板までの長さ)が異なる場合であっても、支持板を枠体でしっかりと保持することができる。
【0009】
また、蓋部における枠体は、蓋部の内面から突出していることが好ましい。この場合、箱の高さ方向について枠体の長さを十分に確保できるので、フィルムロールの高さ(一方の支持板から他方の支持板までの長さ)が異なる場合であっても、支持板を枠体でしっかりと保持することができる。
【0010】
また、第1保持領域に対する第2保持領域の回転角度は、20°〜30°であることが好ましい。第2保持領域の回転角度を上記範囲にすることにより、第2保持領域に配置される支持板の角部を枠体によってしっかりと保持できる。また、第2保持領域が第1保持領域から突出する長さを抑えることができるので、箱の大型化を回避できる。
【0011】
また、本体部及び蓋部が断熱材によって形成されていることが好ましい。これにより、箱内の温度が一定に保たれるので、フィルムを長持ちさせることができる。
【0012】
また、本体部において、枠体の外側には断熱材からなる一対の仕切板が配置されており、仕切板と本体部の側壁とによって、枠体を挟んで対称となるように保冷材収容領域が形成されていることが好ましい。この場合、箱内の温度を保冷材によって低温に保つことができる。また、枠体を挟んで対称に保冷材収容領域を形成することにより、箱内の温度の均一性を確保できる。これにより、フィルムを一層長持ちさせることができる。
【0013】
また、保冷材収容領域における本体部の底部の厚さは、第1保持領域及び第2保持領域における本体部の底部の厚さよりも大きくなっていることが好ましい。この場合、フィルムロールの保冷効率の向上が図られる。また、箱の高さ方向について枠体の長さを十分に確保できるので、高さの異なるフィルムロールを一層確実に枠体で保持できる。
【0014】
また、保冷材収容領域における蓋部の厚さは、第1保持領域及び第2保持領域における蓋部の厚さよりも大きくなっていることが好ましい。この場合、フィルムロールの保冷効率の向上が図られる。また、箱の高さ方向について枠体の長さを十分に確保できるので、高さの異なるフィルムロールを一層確実に枠体で保持できる。
【0015】
また、本体部の側壁の厚さは、仕切板の厚さよりも大きくなっていることが好ましい。この場合、フィルムロールの保冷効率を一層向上できる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、支持板の寸法が異なるフィルムロールを選択的に梱包することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係るフィルムロール用梱包箱の一実施形態を示す図である。
【図2】図1に示したフィルムロール用梱包箱における本体部の平面図である。
【図3】図2におけるIII−III線断面図である。
【図4】図2におけるIV−IV線断面図である。
【図5】図1に示したフィルムロール用梱包箱における蓋部の平面図である。
【図6】図5におけるVI−VI線断面図である。
【図7】図5におけるVII−VII線断面図である。
【図8】フィルムロールの収容の様子を示す図である。
【図9】変形例に係るフィルムロール用梱包箱を示す図である。
【図10】図9に示したフィルムロール用梱包箱における本体部の平面図である。
【図11】図10におけるXI−XI線断面図である。
【図12】図10におけるXII−XII線断面図である。
【図13】図9に示したフィルムロール用梱包箱における蓋部の平面図である。
【図14】図13におけるXIV−XIV線断面図である。
【図15】図13におけるXV−XV線断面図である。
【図16】別の変形例に係るフィルムロール用梱包箱における蓋部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しながら、本発明に係るフィルムロール用梱包箱の好適な実施形態について詳細に説明する。
【0019】
図1は、本発明に係るフィルムロール用梱包箱の一実施形態を示す斜視図である。図1に示すように、フィルムロール用梱包箱1は、フィルムロール2の保管・運搬に用いられる箱であり、開口部を有する有底の本体部10と、開口部を塞ぐように本体部に取り付けられる蓋部20とを備えている。本実施形態におけるフィルムロール用梱包箱1は、例えば幅510mm×奥行き660mm×高さ470mmの略直方体形状をなしており、箱内に最大2本のフィルムロール2を収容可能となっている。
【0020】
まず、フィルムロール2の構成について説明する。フィルムロール2は、中空円筒体からなる巻芯3に巻き回された長尺状のフィルム4と、フィルム4を包装する包装材5とによって構成されている。フィルム4は、例えば幅200mm〜2000mm、長さ100m〜1000mの感光材料によって形成されている。このようなフィルム4としては、例えば日立化成工業(株)製の商品名フォテック、旭化成工業(株)製の商品名サンフォート、ニチゴー・モートン(株)製の商品名アルフォ,ラミナー,ダイナマスク,コンフォマスク、デュポン社製の商品名リストン等が挙げられる。
【0021】
包装材5は、遮光防湿材料を含んで構成され、フィルム4の外側を覆うようにして粘着テープで固定されている。この包装材5は、巻芯3の両端の開口部分から巻芯3の中空部内に折り込まれており、フィルム4側に光や湿気が侵入しないようにフィルム4の全体を覆っている。なお、包装材5の端面には、例えば端面接触部用フィルムと乾燥剤層の2層以上の多層構造や、低透湿フィルムと乾燥剤層からなる単層構造が採用された保護シート(不図示)を設けてもよい。この場合、フィルム4の端面を保護することができると共に、フィルム4への水分の浸入を防止できる、
【0022】
フィルムロール用梱包箱1への収容にあたり、フィルムロール2の巻芯3の両端部には、略矩形の支持板6,6がそれぞれ取り付けられる。支持板6は、例えばプラスチックによって形成されている。支持板6の一方面側の略中央部分には、巻芯3の中空部の内径に対応する外径を有する略円筒形の突起部7が設けられており、この突起部7を巻芯3の中空部に嵌め込むことにより、巻芯3の両端部に支持板6を固定できるようになっている。
【0023】
また、支持板6の寸法は、フィルムロール2におけるフィルム4の巻数に応じて適宜設定されている。例えば巻数が400のフィルムロール2Aに対しては、1辺が約225mmの略正方形の支持板(第1の支持板)6Aが用いられ、巻数が300のフィルムロール2Bに対しては、1辺が約195mmの略正方形の支持板(第2の支持板)6Bが用いられる。
【0024】
次に、フィルムロール用梱包箱1の構成について説明する。フィルムロール用梱包箱1の本体部10は、例えば発泡スチロールによって形成され、断熱性・耐水性・衝撃吸収性を有している。本体部10の長手方向の側壁10a,10aには、取手としての矩形の窪み部11,11がそれぞれ設けられており、フィルムロール用梱包箱1の持ち運び易さが担保されている。また、同側壁10a,10aの上端部には、一対の切込部12,12が設けられている。この切込部12,12により、本体部10に被せた蓋部20の開け易さが担保されている。
【0025】
本体部10の底面10cには、図2に示すように、フィルムロール2の支持板6を嵌め込む2つの枠体30,30が本体部10の長手方向に並んで設けられている。各枠体30の内側には、支持板6Aに対応する1辺が約225mmの略正方形の第1保持領域31と、支持板6Bに対応する1辺が約195mmの略正方形の第2保持領域32とが設けられている。
【0026】
第2保持領域32は、第1保持領域31と同心に配置され、且つ第1保持領域31で保持されるフィルムロール2の巻芯3の軸周りに所定角度θだけ回転した状態で第1保持領域31に重ね合わされている。枠体30は、第1保持領域31と第2保持領域32とが重ね合わされて形成される図形の外殻線に沿って、本体部10の底面10cから20mm程度突出した状態で画成されている。なお、第1保持領域31に対する第2保持領域32の回転角度θは20°〜30°の範囲であることが好ましく、本実施形態では例えば22.5°となっている。
【0027】
これら2つの枠体30,30は、一方の枠体30において第2保持領域32の一の角部を形成している部分が他方の枠体30における第1保持領域31の一辺を形成している部分に接し、且つ他方の枠体30において第2保持領域32の一の角部を形成している部分が一方の枠体30における第1保持領域31の一辺を形成している部分に接する程度に互いに近接して配置されている。
【0028】
また、枠体30,30の両脇には、本体部10の長手方向に沿って仕切板33,33がそれぞれ着脱自在に配置されている。仕切板33は、本体部10と同様に発泡スチロールによって形成されている。この仕切板33,33により、枠体30,30の両脇には、仕切板33と本体部10の側壁10a,10bとによって囲まれる保冷材収容領域34,34が枠体30,30を挟んで対称に形成されている。
【0029】
ここで、図3及び図4に示すように、保冷材収容領域34において、仕切板33の厚さは10mm程度となっているのに対し、本体部10の側壁10a,10bの厚さは25mm程度となっており、仕切板33の厚さに比べて2倍以上に大きくなっている。また、保冷材収容領域34と枠体30の内側の第1保持領域31及び第2保持領域32とを比較すると、第1保持領域31及び第2保持領域32における本体部10の底部10dの厚さは20mm程度となっているのに対し、保冷材収容領域34における本体部10の底部10eの厚さは30mm程度となっており、第1保持領域31及び第2保持領域32における本体部10の底部10dの厚さに比べて1.5倍程度に大きくなっている。
【0030】
フィルムロール用梱包箱1の蓋部20は、本体部10と同様に例えば発泡スチロールによって形成され、断熱性・耐水性・衝撃吸収性を有している。蓋部20の内面20cには、図5に示すように、フィルムロール2の支持板6を嵌め込む2つの枠体40,40が本体部10の枠体30,30と対向するように設けられている。各枠体40の内側には、支持板6Aに対応する1辺が約225mmの略正方形の第1保持領域41と、支持板6Bに対応する1辺が約195mmの略正方形の第2保持領域42とが設けられている。
【0031】
第2保持領域42は、第1保持領域41と同心に配置され、且つ第1保持領域41で保持されるフィルムロール2の巻芯3の軸周りに所定角度θ(本体部10側の第2保持領域32の回転角度θと同角度)だけ回転した状態で第1保持領域41に重ね合わされている。枠体40は、第1保持領域41と第2保持領域42とが重ね合わされて形成される図形の外殻線に沿って、蓋部20の内面20cから20mm程度突出した状態で画成されている。
【0032】
これら2つの枠体40,40は、一方の枠体40において第2保持領域42の一の角部を形成している部分が他方の枠体40における第1保持領域41の一辺を形成している部分に接し、且つ他方の枠体40において第2保持領域42の一の角部を形成している部分が一方の枠体40における第1保持領域41の一辺を形成している部分に接する程度に互いに近接して配置されている。
【0033】
ここで、図6及び図7に示すように、蓋部20における長手方向の側壁20a,20aの厚さ及び幅方向の側壁20b,20bの厚さはそれぞれ25mm程度となっており、本体部10側の仕切板33の厚さに比べて2倍以上に大きくなっている。また、蓋部20において、保冷材収容領域34に被さる部分と枠体40の内側の第1保持領域41及び第2保持領域42が形成された部分とを比較すると、第1保持領域41及び第2保持領域42が形成された部分20dにおける蓋部20の厚さは20mm程度となっているのに対し、保冷材収容領域34に被さる部分20eにおける蓋部20の厚さは30mm程度となっており、第1保持領域41及び第2保持領域42が形成された部分20dにおける蓋部20の厚さに比べて1.5倍程度に大きくなっている。
【0034】
以上のような構成を有するフィルムロール用梱包箱1では、フィルムロール2の両端部に取り付けた支持板6を本体部10の枠体30と蓋部20の枠体40とにそれぞれ嵌め込むことにより、フィルムロール2が箱に接触しないように保持した状態で梱包できる。これにより、保管や運搬の際の振動や衝撃からフィルム4を保護でき、箱への接触によるフィルム4の品質劣化の防止が図られる。
【0035】
また、このフィルムロール用梱包箱1では、本体部10に形成された枠体30の内側に、支持板6Aを保持する略正方形の第1保持領域31と、第1保持領域31で保持されるフィルムロール2の巻芯3の軸周りに所定角度θだけ回転した状態で第1保持領域41に重ね合わされた略正方形の第2保持領域42とが設けられている。また、蓋部20には、本体部10の枠体30,30と同様に構成された第1保持領域41及び第2保持領域42を有する枠体40,40が、枠体30,30に対向するように設けられている。
【0036】
したがって、フィルムロール用梱包箱1では、例えば図8に示すように、支持板6Aが取り付けられたフィルムロール2Aを第1保持領域31,41によって保持し、支持板6Bが取り付けられたフィルムロール2Bを第2保持領域32,42によって保持することにより、支持板6の寸法が異なるフィルムロール2を選択的に梱包することができる。また、このフィルムロール用梱包箱1では、第1保持領域31,41と第2保持領域32,42とが別々に設けられているのではなく、回転角度をずらした状態で重ね合わされているので、箱の大型化も回避できる。
【0037】
また、フィルムロール用梱包箱1では、本体部10における枠体30は、本体部10の底面10cから20mm程度突出しており、蓋部20における枠体40は、蓋部20の内面20cから20mm程度突出している。これにより、箱の高さ方向について枠体30,40の長さを十分に確保できるので、仮に収容するフィルムロール2の高さ(一方の支持板6から他方の支持板6までの長さ)が異なる場合であっても、支持板6を枠体30,40によってしっかりと保持することができる。
【0038】
また、フィルムロール用梱包箱1では、上述した第1保持領域31,41に対する第2保持領域32,42の回転角度θが20°〜30°の範囲となっている。第2保持領域32,42の回転角度θを上記範囲にすることにより、第2保持領域32,42に配置される支持板6Bの角部を枠体40によってしっかりと保持できる。一方、第2保持領域32,42が第1保持領域31,41から突出する長さを抑えることができるので、箱の大型化を回避できる。
【0039】
また、フィルムロール用梱包箱1では、本体部10及び蓋部20が断熱材によって形成されていると共に、本体部10において枠体30,30の外側に断熱材からなる一対の仕切板33,33が配置され、仕切板33と本体部10の側壁10a,10bとによって、枠体30,30を挟んで対称となるように保冷材収容領域34が形成されている。これにより、箱内の温度を低温で均一に維持できるので、箱内に収容したフィルム4を長持ちさせることができる。
【0040】
さらに、フィルムロール用梱包箱1では、本体部10の側壁10a,10bの厚さが仕切板33の厚さよりも大きくなっているほか、保冷材収容領域34における本体部10の底部10eの厚さが、第1保持領域31及び第2保持領域32における本体部10の底部10dの厚さよりも大きくなっている。また、蓋部20においても、保冷材収容領域34に被さる部分20eにおける蓋部20の厚さが、第1保持領域41及び第2保持領域42が形成された部分20dにおける蓋部20の厚さよりも大きくなっている。このような厚さの関係を持たせることにより、保冷材によるフィルムロール2の保冷効率の向上が図られる。
【0041】
続いて、本発明に係るフィルムロール用梱包箱の変形例について説明する。
【0042】
図9〜図15に示すように、変形例に係るフィルムロール用梱包箱51は、フィルムロールの支持板を嵌め込む枠体80,90の配置数、及び保冷材収容領域84,84を形成する支持板83,83の配置の向きが上記実施形態と異なっており、その他の点については、上記実施形態と同様である。
【0043】
より具体的には、フィルムロール用梱包箱51では、図10に示すように、本体部60における底面60cの略中央部分に1つの枠体80が設けられている。枠体80の内側には、図11に示すように、支持板6Aに対応する略正方形の第1保持領域81と、支持板6Bに対応する略正方形の第2保持領域82とが設けられている。第2保持領域82は、第1保持領域81と同心に配置され、且つ第1保持領域81で保持されるフィルムロール2の巻芯3の軸周りに所定角度θ(20°〜30°)だけ回転した状態で第1保持領域81に重ね合わされている。枠体80は、第1保持領域81と第2保持領域82とが重ね合わされて形成される図形の外殻線に沿って、図11及び図12に示すように、本体部60の底面60cから突出した状態で画成されている。
【0044】
また、枠体80の両脇の仕切板83,83は、図10及び図11に示すように、本体部60の幅方向に沿ってそれぞれ着脱自在に配置されている。この仕切板83,83により、枠体80の両脇には、仕切板83と本体部60の側壁60a,60bとによって囲まれる保冷材収容領域84,84が枠体80を挟んで対称に形成されている。この保冷材収容領域84において、本体部60の側壁60a,60bの厚さは、仕切板83の厚さに比べて2倍以上に大きくなっている。また、保冷材収容領域84における本体部60の底部60eの厚さは、第1保持領域81及び第2保持領域82における本体部60の底部60dの厚さに比べて1.5倍程度に大きくなっている。
【0045】
また、フィルムロール用梱包箱51では、図13に示すように、蓋部70における内面70cの略中央部分に枠体80と対向する枠体90が設けられている。枠体90の内側には、支持板6Aに対応する略正方形の第1保持領域91と、支持板6Bに対応する略正方形の第2保持領域92とが設けられている。第2保持領域92は、第1保持領域91と同心に配置され、且つ第1保持領域91で保持されるフィルムロール2の巻芯3の軸周りに所定角度θ(本体部60側の第2保持領域82の回転角度θと同角度)だけ回転した状態で第1保持領域91に重ね合わされている。枠体90は、第1保持領域91と第2保持領域92とが重ね合わされて形成される図形の外殻線に沿って、図14及び図15に示すように、蓋部70の内面70cから突出した状態で画成されている。
【0046】
さらに、図14及び図15に示すように、蓋部70における長手方向の側壁70a,70aの厚さ及び幅方向の側壁70b,70bの厚さは、本体部60側の仕切板83の厚さに比べて2倍以上に大きくなっている。また、蓋部70において、保冷材収容領域84に被さる部分70eにおける蓋部70の厚さは、第1保持領域91及び第2保持領域92が形成された部分70dにおける蓋部70の厚さに比べて1.5倍程度に大きくなっている。
【0047】
以上のような構成を有するフィルムロール用梱包箱51においても、支持板6Aが取り付けられたフィルムロール2Aを第1保持領域81,91によって保持し、支持板6Bが取り付けられたフィルムロール2Bを第2保持領域82,92によって保持することにより、支持板6の寸法が異なるフィルムロール2を選択的に梱包することができる。また、第1保持領域81,91と第2保持領域82,92とが別々に設けられているのではなく、回転角度をずらした状態で重ね合わされているので、箱の大型化も回避できる。
【0048】
また、上記実施形態と同様に、フィルムロール用梱包箱51では、本体部60における枠体80が本体部60の底面60cから突出し、蓋部70における枠体90が蓋部70の内面70cから突出している。これにより、箱の高さ方向について枠体80,90の長さを十分に確保できるので、収容するフィルムロール2の高さが異なる場合であっても、支持板6を枠体80,90によってしっかりと保持することができる。
【0049】
また、フィルムロール用梱包箱51では、保冷材収容領域34を形成する仕切板83,83が本体部60の幅方向に沿って配置されている。このような構成は、箱内の温度を低温で均一に維持するという観点から、当該実施形態のように単一の枠体80,90を本体部60及び蓋部70の略中央部に設ける場合に特に有効である。
【0050】
その他、フィルムロール用梱包箱51においても、第1保持領域81,91に対する第2保持領域82,92の回転角度θが20°〜30°の範囲となっていることで、箱の大型化を回避しつつ支持板6Bの角部を枠体80,90によってしっかりと保持できる点、及び本体部60と蓋部70の各部位の厚さの関係を規定することによって保冷材によるフィルムロール2の保冷効率の向上が図られる点について、上記実施形態と同様の効果が得られる。
【0051】
なお、フィルムロール用梱包箱1,51における各部位の寸法は、収容するフィルムロール2の支持板6の寸法に応じて適宜変更が可能である。特に、フィルムロール2の高さが異なる場合には、図16に示すように、側壁100a,100bの高さが、図6及び図7に示した蓋部20における側壁20a,20bの高さや図14及び図15に示した蓋部70における側壁70a,70bの高さに比べて小さい蓋部100を用いることが好ましい。この場合、高さの異なるフィルムロール2を梱包するためのフィルムロール用梱包箱を作製するにあたって、蓋部の寸法のみを変更すればよいので、製造コストの低減化が図られる。
【符号の説明】
【0052】
1,51…フィルムロール用梱包箱、3…巻芯、4…フィルム、6A…支持板(第1の支持板)、6B…支持板(第2の支持板)、10,60…本体部、10a,10b,60a,60b…側壁、10c,60c…底面、20,70,100…蓋部、20a,20b,70a,70b,100a,100b…側壁、20c,70c…内面、30,80…枠体、31,81…第1保持領域、32,82…第2保持領域、33,83…仕切板、34,84…保冷材収容領域、40,90…枠体、41,91…第1保持領域、42,92…第2保持領域、θ…回転角度。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺状のフィルムを巻芯に巻き回してなるフィルムロールを、前記巻芯の両端部に略矩形の支持板を取り付けた状態で収容するフィルムロール用梱包箱であって、
開口部を有する有底の本体部と、
前記開口部を塞ぐように前記本体部に取り付けられる蓋部と、
前記本体部の底面及び前記蓋部の内面において互いに対向するようにそれぞれ設けられ、前記支持板が嵌め込まれることによって箱内で前記フィルムロールを起立保持する枠体と、を備え、
前記枠体の内側には、
第1の寸法の前記支持板に対応する略矩形の第1保持領域と、
前記第1の寸法とは異なる第2の寸法の前記支持板に対応すると共に、前記第1保持領域で保持される前記フィルムロールの前記巻芯の軸周りに所定角度だけ回転した状態で前記第1保持領域に重ね合わされた略矩形の第2保持領域とが設けられていることを特徴とするフィルムロール用梱包箱。
【請求項2】
前記本体部における前記枠体は、前記本体部の前記底面から突出していることを特徴とする請求項1記載のフィルムロール用梱包箱。
【請求項3】
前記蓋部における前記枠体は、前記蓋部の前記内面から突出していることを特徴とする請求項1又は2記載のフィルムロール用梱包箱。
【請求項4】
前記第1保持領域に対する前記第2保持領域の回転角度は、20°〜30°であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項記載のフィルムロール用梱包箱。
【請求項5】
前記本体部及び前記蓋部が断熱材によって形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項記載のフィルムロール用梱包箱。
【請求項6】
前記本体部において、前記枠体の外側には断熱材からなる一対の仕切板が配置されており、
前記仕切板と前記本体部の側壁とによって、前記枠体を挟んで対称となるように保冷材収容領域が形成されていることを特徴とする請求項5記載のフィルムロール用梱包箱。
【請求項7】
前記保冷材収容領域における前記本体部の底部の厚さは、前記第1保持領域及び前記第2保持領域における前記本体部の底部の厚さよりも大きくなっていることを特徴とする請求項6記載のフィルムロール用梱包箱。
【請求項8】
前記保冷材収容領域における前記蓋部の厚さは、前記第1保持領域及び前記第2保持領域における前記蓋部の厚さよりも大きくなっていることを特徴とする請求項6又は7記載のフィルムロール用梱包箱。
【請求項9】
前記本体部の側壁の厚さは、前記仕切板の厚さよりも大きくなっていることを特徴とする請求項6〜8のいずれか一項記載のフィルムロール用梱包箱。
【請求項1】
長尺状のフィルムを巻芯に巻き回してなるフィルムロールを、前記巻芯の両端部に略矩形の支持板を取り付けた状態で収容するフィルムロール用梱包箱であって、
開口部を有する有底の本体部と、
前記開口部を塞ぐように前記本体部に取り付けられる蓋部と、
前記本体部の底面及び前記蓋部の内面において互いに対向するようにそれぞれ設けられ、前記支持板が嵌め込まれることによって箱内で前記フィルムロールを起立保持する枠体と、を備え、
前記枠体の内側には、
第1の寸法の前記支持板に対応する略矩形の第1保持領域と、
前記第1の寸法とは異なる第2の寸法の前記支持板に対応すると共に、前記第1保持領域で保持される前記フィルムロールの前記巻芯の軸周りに所定角度だけ回転した状態で前記第1保持領域に重ね合わされた略矩形の第2保持領域とが設けられていることを特徴とするフィルムロール用梱包箱。
【請求項2】
前記本体部における前記枠体は、前記本体部の前記底面から突出していることを特徴とする請求項1記載のフィルムロール用梱包箱。
【請求項3】
前記蓋部における前記枠体は、前記蓋部の前記内面から突出していることを特徴とする請求項1又は2記載のフィルムロール用梱包箱。
【請求項4】
前記第1保持領域に対する前記第2保持領域の回転角度は、20°〜30°であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項記載のフィルムロール用梱包箱。
【請求項5】
前記本体部及び前記蓋部が断熱材によって形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項記載のフィルムロール用梱包箱。
【請求項6】
前記本体部において、前記枠体の外側には断熱材からなる一対の仕切板が配置されており、
前記仕切板と前記本体部の側壁とによって、前記枠体を挟んで対称となるように保冷材収容領域が形成されていることを特徴とする請求項5記載のフィルムロール用梱包箱。
【請求項7】
前記保冷材収容領域における前記本体部の底部の厚さは、前記第1保持領域及び前記第2保持領域における前記本体部の底部の厚さよりも大きくなっていることを特徴とする請求項6記載のフィルムロール用梱包箱。
【請求項8】
前記保冷材収容領域における前記蓋部の厚さは、前記第1保持領域及び前記第2保持領域における前記蓋部の厚さよりも大きくなっていることを特徴とする請求項6又は7記載のフィルムロール用梱包箱。
【請求項9】
前記本体部の側壁の厚さは、前記仕切板の厚さよりも大きくなっていることを特徴とする請求項6〜8のいずれか一項記載のフィルムロール用梱包箱。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
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【図10】
【図11】
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【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2011−116454(P2011−116454A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−46731(P2010−46731)
【出願日】平成22年3月3日(2010.3.3)
【出願人】(000004455)日立化成工業株式会社 (4,649)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月3日(2010.3.3)
【出願人】(000004455)日立化成工業株式会社 (4,649)
【Fターム(参考)】
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