説明

フィルム包装機の入力装置

【課題】フィルム搬送位置との関係で所定の処理を施すためのデータ設定を簡単に行うことができるフィルム包装機の入力装置を提供する。
【解決手段】フィルム供給源から引き出された帯状フィルムの搬送過程で、1包装分のフィルム搬送に伴って、該フィルムに印刷された模様を撮像手段11で撮像し、その撮像手段11で撮像した画像を処理してフィルム搬送方向において少なくとも1包装分のフィルム画像として表示装置13で表示可能とし、その表示されたフィルムの実画像における模様の位置に関連付けて、夫々異なる所定の処理を施すための複数のエリアを指定し、その指定された各エリアに対応して所定の処理を施す処理信号を夫々生成可能にした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、帯状フィルムに所定の処理を施して物品をフィルム包装するフィルム包装機における入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
フィルムロールから繰り出した帯状フィルムを筒状フィルムに成形し、一対のシール部材でシールして切断する縦形製袋包装機が開示されている。この縦形製袋包装機は、タッチスクリーンで構成された入力画面に対し、使用する袋サイズ毎に、袋長さや、アイマークからカット位置までの長さを入力することが記載されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4141561号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば横形製袋充填機などのフィルム包装機においては、包装品種毎に、商品名やその他のパッケージデザインの異なるフィルムが使用されることが一般的である。このような異なる包装品種に対応して、包装機の各種動作データや、包装機の各機構に設けられた処理手段の動作タイミングなどの設定の変更がなされるようになっており、そのような設定に際しては、前記従来技術の如く、入力手段などによる動作タイミングの数値入力操作によって行なわれていた。しかしながら、このような入力形態によると、包装機の1包装動作時間との関係での数値データを設定するようになっており、実際の包装品や包装資材などに対する処理位置との関係で直接的に判断することができなかった。従って、そのようなタイミング設定値は経験値を入力するか、または、サンプリング動作後に適切な値を決定するなどの操作が行われており、実際の包装品や包装資材などとの位置関係を確認しつつ設定操作することができなかった。また、処理手段が複数設けられている場合などにおいては、一括して複数の処理手段に対するタイミング設定を行うことができず、処理手段毎に異なる設定操作手順によって各々の処理タイミングを設定しており、そのような設定は極めて煩雑で、多くの設定時間や手間を費やしていた。
【0005】
本発明は、フィルム搬送位置との関係で所定の処理を施すためのデータ設定を簡単に行うことができるフィルム包装機の入力装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明にかかるフィルム包装機の入力装置においては、フィルム供給源4から引き出された帯状フィルム5の搬送過程で、1包装分のフィルム搬送に伴って、該フィルムに印刷された模様を撮像手段11で撮像し、その撮像手段11で撮像した画像を処理してフィルム搬送方向において少なくとも1包装分のフィルム画像として表示装置13で表示可能とし、その表示されたフィルムの実画像における模様の位置に関連付けて、夫々異なる処理を施すための複数のエリアE1,E2,E3,E4を指定し、その指定された各エリアE1,E2,E3,E4に対応して所定の処理を施す処理信号を夫々生成可能にした。
【0007】
請求項1の発明を前提とする請求項2の発明において、前記表示装置13で表示される1包装分のフィルム画像は、フィルム搬送手段3によって少なくとも2包装分のフィルム長さを搬送するまでの間に、前記撮像手段11によりフィルム搬送方向で分割して撮像した画像をまとめた結果を画像処理して表示装置13で表示するようにした。
【0008】
請求項1または請求項2の発明を前提とする請求項3の発明においては、所定の処理を施すエリアE1,E2,E3,E4の指定は、前記表示装置13の画面13aに触れる操作によってその触れた各位置に対応して1包装分の帯状フィルム5のフィルム搬送方向における始端5aまたは終端5b或いは特定の基準位置16からの位置と帯状フィルム5の幅方向の一側縁5cからの位置とを、それぞれ距離に相当する数値として前記表示装置13に表示するとともに、エリアE1,E2,E3,E4の設定中または設定後における選択されたエリアE1,E2,E3,E4に対する数値を前記距離に相当する数値として前記表示装置13で表示するように設定されている。
【0009】
請求項1〜3のうちいずれか一つの発明を前提とする請求項4の発明においては、前記表示装置13で1包装分のフィルム画像として表示したうちの任意の範囲の画像を拡大ズーム可能に設定されており、その画像の拡大ズーム状態で前記処理を施すエリアE1,E2,E3,E4を指定可能に構成した。
【0010】
請求項1〜4のうちいずれか一つの発明を前提とする請求項5の発明において、前記表示装置13で表示されるフィルム画像は、レジマーク16と商品に対応したパーケージデザインとバーコード14との画像のうちの少なくともいずれかを含む。
【0011】
請求項1〜5のうちいずれか一つの発明を前提とする請求項6の発明において、前記処理信号は、帯状フィルム5に一定間隔毎に付されたレジマーク16や日付印字17やラベル15の貼付などの位置の検査タイミング、或いは、帯状フィルム5に対する袋エア抜き用孔の形成または開封用切込みの形成などのフィルム加工の処理タイミングである。
【0012】
請求項1〜6のうちいずれか一つの発明を前提とする請求項7の発明においては、前記表示装置13の画面13aに表示された包装品種毎に異なるフィルム画像に対応して、複数の異なる処理をさせるための複数のエリアE1,E2,E3,E4の設定が可能である。
【0013】
請求項1〜7のうちいずれか一つの発明を前提とする請求項8の発明においては、包装機の通常運転時におけるフィルム搬送速度より低速でフィルム搬送するティーチングモードを備え、該ティーチングモードでの低速搬送中の帯状フィルム5を前記撮像手段11で撮像し、1包装分の印刷フィルムの実画像を前記表示装置13で表示するようにした。
【0014】
請求項1〜8のうちいずれか一つの発明を前提とする請求項9の発明においては、帯状フィルム5の搬送過程で該フィルムに付されるラベル15や印字17又はその他のプリントなどのパーツ画像データを所定の入力手段を介して取り込み設定可能に構成され、その取り込まれたパーツ画像データを、前記表示装置13で表示されるフィルム画像にそのフィルム画像と同一縮尺で重ねた画像として表示し、そのパーツ画像データをフィルム画像データの任意の位置まで移動可能に設定した。
【0015】
請求項1〜9のうちいずれか一つの発明を前提とする請求項10の発明においては、フィルムの搬送動作を直接的または間接的に検出可能なフィルム送り量検出手段1を設け、該フィルム送り量検出手段1からのフィルム位置に関するデータに応じて前記指定されたエリアE1,E2,E3,E4に対する処理信号が生成される。
【発明の効果】
【0016】
請求項1の発明では、従来のようにフィルムの模様との位置関係を作業者が測定等して包装機固有の数値データを設定していた方式に比して、帯状フィルムの搬送過程で撮像されて表示装置の画面に表示された1包装分のフィルムの実画像で印刷された模様の位置に対応して所定の処理を施すためのエリアを確認しながら指定できるので、直感的な操作が可能でその設定時間を短縮できるなど、設定時間を大幅に改善することができる。
【0017】
請求項2の発明では、少なくとも2包装分のフィルム長さを搬送するまでの間に例えばラインセンサなどの撮像手段で分割して撮像した画像をまとめて1包装分のフィルム画像として表示装置で表示するようにしたので、1包装分のフィルムの始端から終端までのフィルムの実画像を自動で正確に取り込むことができる。
【0018】
請求項3の発明では、表示装置の画面に触れた位置が1包装分の帯状フィルムのフィルム搬送方向における始端または終端或いは特定の基準位置からの位置とフィルムの幅方向の一側縁からの位置とに対し、どの程度離れた位置であるかがその画面に数値表示されるので、この数値表示も参照しながらエリアを指定することができる。
【0019】
請求項4の発明では、表示装置において所定の処理を施すためのエリアの画像を拡大ズーム状態とすることにより指定し易い。
請求項5の発明では、1包装分の帯状フィルムにおいて通常表示されるレジマークや商品に対応したパーケージデザインやバーコードについてのデータ設定を簡単に行うことができる。
【0020】
請求項6の発明では、帯状フィルムに一定定間隔毎に付されたレジマークなどの検査タイミングや、帯状フィルムに対するフィルム加工の処理タイミングについての処理信号を生成することができる。
【0021】
請求項7の発明では、包装品種毎に複数のエリアを簡単に設定することができる。
請求項8の発明では、包装機の通常運転時におけるフィルム搬送速度より低速でフィルム搬送するティーチングモードでの低速搬送中の帯状フィルムから模様を撮像手段で的確に撮像することができる。
【0022】
請求項9の発明では、帯状フィルムの搬送過程で該フィルムに付されるラベルや印字又はその他のプリントなどのパーツ画像データをフィルム画像にそのフィルム画像と同一縮尺で重ねた画像として表示し、そのパーツ画像データをフィルム画像データの任意の位置まで移動可能に設定したので、表示装置において包装品種に対応して1包装分のフィルムで模様の画像データの設定を容易に行うことができる。
【0023】
請求項10の発明では、フィルム送り量検出手段からのフィルム位置に関するデータを利用して所定の処理を施すエリアを適確に特定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】横形製袋充填機の概略構成を模式的に表した図である。
【図2】概略的制御ブロック図である。
【図3】表示装置の画面の一例を概略的に示す図である。
【図4】(a)(b)(c)は画像をエリア指定する手順を示す図である。
【図5】撮像手段としてのラインセンサと帯状フィルムとの関係、並びに、1包装分の帯状フィルムにおける各エリアの関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1に概略的に示すように、フィルム包装機として例示する横形製袋充填機においては、エンコ−ダなどの発信手段1(フィルム送り量検出手段)が付設されたサーボモータ(駆動手段2)によりフィルム繰出し機構3(フィルム搬送手段)における駆動ローラ3aが駆動して、原反ロール4(フィルム供給源)から引き出された帯状フィルム5が、製袋手段6に引き出し案内され、製袋手段6で筒状に成形された筒状フィルム7に縦シールが施されると共に、筒状フィルム7中に物品8が所定間隔毎に供給され、各物品8間でエンドシーラ9により筒状フィルム7に横シールが施されると共に筒状フィルム7が切断されることで、ピロー包装品が得られる。
【0026】
原反ロール4から製袋手段6に至るまでの帯状フィルム5の搬送経路には、帯状フィルム5に商品の製造日や消費期限などの日付を印刷する日付印字装置や、帯状フィルム5に対して被貼着物としてのラベルを所定間隔毎に貼付けるラベラなどの処理手段10(図2参照)が設置され、その日付印字装置やラベラなどの処理手段10の下流側でラインセンサなどの撮像手段11(図1,2参照)が、図5に示すようにこの搬送経路で張られた帯状フィルム5に対向した状態で帯状フィルム5の搬送方向に対し直交するように交差して設置されている。ラインセンサなどの撮像手段11により、原反ロール4から引き出されて移動する帯状フィルム5の幅方向全域が直線エリア単位で撮像される。
【0027】
図2に示すように、前記撮像手段11は制御処理部12の入力側に接続され、前記処理手段10は制御処理部12の出力側に接続され、表示装置13が接続された制御処理部12は、撮像手段11からの入力信号に基づき処理手段10及び表示装置13を駆動制御する。
【0028】
本実施形態では、フィルム搬送位置との関係で所定の処理を施すためのデータ設定を簡単に行う構成を具現化するために、フィルム包装する前の段階(ティーチングモード)で包装機に装着された帯状フィルム5を搬送しながらラインセンサによりフィルム搬送方向で分割して撮像した画像をまとめた結果を画像処理して図3に示すように前記表示装置13の主画面13aに表示し、その表示された少なくとも1包装分に要するフィルム画像の模様に関連して、例えば、フィルムに印刷されたレジマークの検出やバーコードの読み取り、或いは、印字装置による製造年月日や賞味期限などの印字位置設定、その他にフィルム搬送との関係で所定の処理を施すための手段の動作設定値などの処理について、主画面13a上に表示された実際のフィルム画像における所定のエリアに触れることでデータ設定して、その処理タイミング値を与えるようにしたものである。なお、ここでいう所定の処理とは、ラベラや日付印字装置を動作させたり、ラベラの動作によるラベルが正規位置にあるか否か検査を行ったり、日付印字装置の動作による日付印字が正規位置にあるか否か検査を行ったり、袋エア抜き用孔の形成または開封用切込みの形成などのフィルム加工を施す処理である。ラベルや日付印字が正規位置にあるか否かの検査では、ラベルの貼付け位置や日付の印字位置がズレているか否か、或いは、ラベルそのものが貼られているか否か、日付そのものが印字されているか否かについて検査される。開封用切込みとは、袋の開封を容易にするために袋の一部にミシン目やノッチなどの切込みを入れることなどをいう。
【0029】
前記ティーチングモードは、フィルム繰出用のサーボモータ(駆動手段2)を回転駆動し、通常運転時のフィルム搬送速度に対して低速に設定された搬送速度でフィルムを搬送させ、サーボモータ(駆動手段2)に付設されたエンコーダ(発信手段1)から出力されるパルス間隔毎に、ラインセンサ(撮像手段11)で1ラインずつ撮像を繰り返す。フィルムを撮像するにあたって、図5に示すように1包装分の帯状フィルム5のフィルム搬送方向における始端5aと終端5bとに印刷位置合わせ用のマークとしてのレジマーク16が付されている場合は、レジマーク16を確認しながら撮像すれば、1包装分の長さLの帯状フィルム5の始端5aから終端5bまでのフィルムの模様を取り込ませることができる。そのため、例えば、レジマーク16を2回検出したことを判別するまで、すなわち、最大で2包装分のフィルムを搬送する動作信号が出力されるようになっている。1包装分フィルム送り単位でパルスがリセットされるようにエンコーダ(発信手段1)から出力されたパルスが処理される。
【0030】
基準位置とする模様としては、フィルム搬送方向に一定間隔で印刷されていて、撮像する際にフィルム幅方向でフィルムの一方の端部におけるエッヂから所定の位置にある模様であって、他の印刷された模様と識別が容易な図柄や文字やその他のデザインが指定されており、フィルムの端部から所定の位置が制御処理部12で予め記憶されている。レジマーク16は、フィルム搬送方向に一定間隔でフィルムの端部に印刷されており、フィルムの端部には他の模様が印刷されないので、特にレジマーク16を基準位置として選択するのが好ましい。
【0031】
前記表示装置13の主画面13a上には取り込まれた少なくとも1包装分のフィルム画像を表示し、また、日付印字位置やラベル貼付位置や印字検査位置や開封用切込みの形成位置や袋エア抜き用孔の形成位置などのエリア指定操作のための指定キーが前記表示装置13の副画面13bに表示可能であって、操作者は、いずれかの指定キーを選択した後、表示された画像を見ながらエリアを指定して設定する。
【0032】
次に、具体的な操作方法については以下の通りである。
まず、図3に示すように少なくとも1包装分の帯状フィルム5の全体を図4(a)に示すように前記表示装置13の主画面13aに表示させ、後述するエリアの指定と同様に基準位置としたい画像(模様)位置に触れて前記基準位置を設定する。図4(a)に示すようにフィルム幅の広いものや包装長の長いものについては視認性が悪い場合があるため、主画面13aに表示された1包装分の帯状フィルム5に印刷された模様との位置に関連させて、前記表示装置13の副画面13bで「部分拡大」のタッチキー(不図示)を操作した後、図4(b)に示すように拡大表示させる。ここでいう、フィルムに印刷された模様とは、撮像する段階で予めフィルムに印刷されている模様あり、例えば、レジマークや商品に対応したパッケージデザインやバーコードのパーツ画像などの模様である。
【0033】
次に、副画面13bに表示される「所定の処理の種類選択」のタッチキー(不図示)を操作した後、図4(b)に示す四角形枠A内で図4(c)に示すように指定したいエリアの左上及び右下の2箇所Q1,Q2に触れることで、Q1,Q2を対角とする一点鎖線の四角形枠Bが表示され、副画面13bに表示された「エリア確定」のタッチキー(不図示)を操作すると、四角形枠Bが一点鎖線から点線に変わり、エリアの指定が完了する。この要領で、操作を繰り返し、日付印字の有無やラベル貼付の有無などを画像処理にて検査する検査処理に対するエリアの設定など、所定の処理を施したい種類毎に主画面13aに触れて各々のエリアを指定することで、全ての指定が完了する。以上の操作において主画面13aに触れた際に、その触れた位置は、図5に示すように1包装分の帯状フィルム5における始端5aまたは終端5b或いは特定の基準位置(レジマーク16)からの位置とフィルムの幅方向の一側縁5cからの位置とを表す座標の数値データとしてエリアの設定中または設定後において副画面13cに数値表示されることになっており、この位置座標も参照しながら指定することができる。なお、この数値表示は主画面13aに表示された前記四角形枠Bの対角位置であるQ1,Q2の付近に表示してもよい。
【0034】
次に、通常運転時における各所定の処理について具体的に説明する。
包装時のフィルム搬送中(通常運転時)において、各指定エリアにおける所定の処理としては、バーコード照合やラベルの有無やレジマークや日付印字の有無などの検査、袋エア抜き用孔の形成や開封用切込みの形成などのフィルム加工を施す処理などであって、制御処理部12は、帯状フィルム5に一定間隔毎に付されたレジマーク16や日付印字17やラベル15の貼付などの位置の検査タイミング、或いは、帯状フィルム5に対する袋エア抜き用孔の形成または開封用切込みの形成などのフィルム加工の処理タイミングとしての処理信号を生成する。
【0035】
包装に使用するフィルムを識別するためのバーコード照合においては、図5に示すように、通常運転時に移送される帯状フィルム5で所定のエリアE1のみを対象にバーコード14を撮像手段11により撮像し、制御処理部12はその画像データをティーチングモードで記憶した所定のエリアE1のバーコードのパターンと照合し、正規位置になかったり不一致と判断された場合には異常を示す信号を生成して出力する。
【0036】
ラベラの動作により貼り付けられたラベルに対する検査においては、図5に示すように、通常運転時に移送される帯状フィルム5で所定のエリアE2のみを対象にラベル15を撮像手段11により撮像し、制御処理部12はその画像データをティーチングモードで記憶した所定のエリアE2のラベルと比較し、ラベル15が正規位置になかったり不一致と判断された場合には異常を示す信号を生成して出力する。
【0037】
フィルムは、送り方向に伸びや縮みがあるため、商品に対応したパッケージデザインなどの印刷された模様のあるフィルムで包装する場合、フィルム繰出用のサーボモータ(駆動手段2)を単に一定速度で作動させていては、印刷された模様に対してシール・切断される位置がばらつくことになる。そのため、基準位置であるレジマーク16がズレないように、レジマーク検知においては、図5に示すように、帯状フィルム5上に一定ピッチに印刷されたレジマーク16を撮像手段11により撮像し、制御処理部12はその画像データをティーチングモードで記憶した所定のエリアE3のレジマークと比較し、レジマーク16が正規位置になかったり不一致と判断された場合には異常を示す信号を生成して出力する。そして、フィルム繰出用のサーボモータ(駆動手段2)を補正制御させる。
【0038】
日付印字装置の動作により付された日付印字に対する検査においては、図5に示すように、通常運転時に移送される帯状フィルム5で所定のエリアE4のみを対象に日付印字17を撮像手段11により撮像し、制御処理部12はその画像データをティーチングモードで記憶した所定のエリアE4の日付印字と比較し、日付印字17が正規位置になかったり不一致と判断された場合には異常を示す信号を生成して出力する。
【0039】
なお、制御処理部12で予め記憶させておく画像は、バーコード14が付される前やラベル15が貼り付けられる前や日付印字17が付される前のフィルムの画像であってもよく、その記憶画像と実画像とが一致する場合に異常であると判断してもよい。また、ティーチングモードにおけるラインセンサ11による撮像は必須ではない。
【0040】
その他の所定の処理としては、例えば、予め画面で袋エア抜き用孔の形成や開封用切込みの形成などのフィルム加工を施したエリアを指定する際に、レジマークなどの基準位置に対する指定エリアまでの位置関係を、エンコーダから出力されるパルス数で記憶させておき、包装時におけるフィルム搬送中に、基準位置の画像を検出した際に、エンコーダから出力されるパルスとの関係から、袋エア抜き用孔や開封用切込みなどを加工する装置のエアバルブやモータ等を駆動させる処理タイミングの決定に関わる信号を生成・補正して出力する。
【0041】
本実施形態は下記の効果を有する。
* 包装機に装着された帯状フィルム5を搬送する過程で撮像されて表示装置13の主画面13aに表示された1包装分の帯状フィルム5の実画像で印刷された模様の位置に対応して、包装品種の変更に際して設定の変更を要する処理信号の設定、例えば、フィルムに印刷されたレジマーク16の検出やバーコード14の読み取り、或いは、印字装置による製造年月日や賞味期限などの印字位置設定などの処理信号の設定を、フィルム搬送との関係で所定の処理を施すエリアE1,E2,E3,E4をビジュアル的に捉えて確認して設定時点で設定に対する処理の結果をイメージさせながら包装品種毎に複数のエリアを指定できるので、フィルム搬送位置との関係で所定の処理を施すためのデータ設定を簡単に行うことができ、数値入力のみなどによる従来の入力操作に対して入力ミスが発生し難い。従って、帯状フィルム5の搬送過程で撮像されて表示装置13の主画面13aに表示された1包装分のフィルムの実画像で印刷された模様の位置に対応して所定の処理を施すためのエリアを確認しながら指定できるので、直感的な操作が可能でその設定時間を短縮できるなど、設定時間を大幅に改善することができる。
【0042】
* 2包装分以上のフィルム長さを搬送するまでの間に例えばラインセンサなどの撮像手段11で分割して撮像した画像をまとめて1包装分のフィルム画像として表示装置で表示するようにしたので、1包装分の帯状フィルム5の始端5aから終端5bまでのフィルムの実画像を自動で正確に取り込むことができる。
【0043】
* 表示装置13の主画面13aに触れた位置が基準位置(レジマーク16)などの所定位置からどの程度離れた位置であるかがその副画面13cに数値表示されるので、この数値表示も参照しながらエリアE1,E2,E3,E4を指定することができる。
【0044】
* 表示装置13において所定の処理を施すエリアE1,E2,E3,E4を拡大ズームにより指定し易い。
* 通常運転時のフィルム搬送速度より低速で搬送するティーチングモードにおいて搬送中の帯状フィルム5から模様を的確に撮像することができる。
【0045】
* フィルム送り量検出手段としてのエンコーダ(発信手段1)からのフィルム位置に関するデータを利用して所定の処理を施すエリアE1,E2,E3,E4を適確に特定することができる。
【0046】
* 表示装置13において所定の処理を施す複数のエリアE1,E2,E3,E4を主画面13aに触れるだけの操作により容易に指定することができる。
前記実施形態以外にも例えば下記のように構成してもよい。
【0047】
・ 帯状フィルムの搬送過程で該フィルムに付されるラベルや印字又はその他のプリントなど、ライセンサとは別の撮像手段(例えばCCDカメラなど)によって撮像して得られたパーツ画像データをメモリチップなどの所定の入力手段を介して取り込み設定可能に構成し、その取り込まれたパーツ画像データを、前記表示装置で表示されるフィルム画像にそのフィルム画像と同一縮尺で重ねた画像として表示し、そのパーツ画像データをフィルム画像データの任意の位置まで移動可能に設定してもよい。従って、表示装置において包装品種に対応して1包装分のフィルムで模様の画像データの設定を容易に行うことができる。
【0048】
・ 1包装分のフィルム画像中に、例えば、袋エア抜き用孔を2箇所離れた位置に設定するなど、同種類の処理を施すエリアを複数個所指定可能としてもよい。エリアを指定した後で、指定キーを選択し得るようにしてもよい。画面に触れる速度或いはタイミングを予め定めておき、その定めた速度・タイミングで触れると指定可能としてもよく、この場合は指定キーが省略できる。このように、操作者が処理を施したいエリアを指定する段階で、指定したいエリアを確定させる方式は様々考えられ、本実施形態など特定の方式に限定されるものではない。
【0049】
・ 画面に触れることによってエリアを指定したが、パソコン操作のように、画面上でカーソルを指定したいエリアに移動させた後、確定キーを押すことでエリアを指定する方式を採用してもよい。
【0050】
・ フィルム送り量検出手段である発信手段としては、フィルムの移送量をパルスとして出力するエンコーダを用いたが、フィルム送り位置に関する信号を発信するものであれば、フィルムの搬送動作を直接的または間接的に検出可能な検出手段であれば、検出方法や取付位置などが限定されるものではない。
【0051】
・ 撮像手段としては、直線エリア単位で撮像するラインセンサ以外に、例えばCCDカメラなどで広範囲なエリアを撮像するようにしてもよい。なお、この撮像は、フィルム搬送が間欠停止時されたときであってもよい。
【0052】
・ 横形製袋充填機に限られることなく、縦形製袋充填機やフィルムで物品を包装する他の包装機でも応用可能である。
・ 1包装分のフィルムの模様を画像データとして取り込ませる際に、フィルム幅全域を撮像してもよいが、例えば、フィルムに印刷された模様など撮像を要する位置がフィルム幅の半分側のみであれば、その部分を撮像するようにしてもよい。その場合、ラインセンサで撮像するのであれば、半分の大きさのセンサで済む。
【符号の説明】
【0053】
1…エンコーダ(フィルム送り量検出手段である発信手段)、3…フィルム繰出し機構(フィルム搬送手段)、4…原反ロール(供給源)、5…帯状フィルム、5a…始端、5b…終端、5c…一側縁、10…処理手段、11…ラインセンサ(撮像手段)、13…表示装置、13a…主画面、14…バーコード、15…ラベル、16…レジマーク、17…日付印字、E1,E2,E3,E4…エリア。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルム供給源から引き出された帯状フィルムの搬送過程で、1包装分のフィルム搬送に伴って、該フィルムに印刷された模様を撮像手段で撮像し、その撮像手段で撮像した画像を処理してフィルム搬送方向において少なくとも1包装分のフィルム画像として表示装置で表示可能とし、その表示されたフィルムの実画像における模様の位置に関連付けて、夫々異なる処理を施すための複数のエリアを指定し、その指定された各エリアに対応して所定の処理を施す処理信号を夫々生成可能にしたことを特徴とするフィルム包装機の入力装置。
【請求項2】
前記表示装置で表示される1包装分のフィルム画像は、フィルム搬送手段によって少なくとも2包装分のフィルム長さを搬送するまでの間に、前記撮像手段によりフィルム搬送方向で分割して撮像した画像をまとめた結果を画像処理して表示装置で表示するようにしたことを特徴とする請求項1に記載のフィルム包装機の入力装置。
【請求項3】
所定の処理を施すエリアの指定は、前記表示装置の画面に触れる操作によってその触れた各位置に対応して1包装分の帯状フィルムのフィルム搬送方向における始端または終端或いは特定の基準位置からの位置と帯状フィルムの幅方向の一側縁からの位置とを、それぞれ距離に相当する数値として前記表示装置で表示するとともに、エリアの設定中または設定後における選択されたエリアに対する数値を前記距離に相当する数値として前記表示装置で表示するように設定されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のフィルム包装機の入力装置。
【請求項4】
前記表示装置で1包装分のフィルム画像として表示したうちの任意の範囲の画像を拡大ズーム可能に設定されており、その画像の拡大ズーム状態で前記処理を施すエリアを指定可能に構成したことを特徴とする請求項1〜3のうちいずれか一つに記載のフィルム包装機の入力装置。
【請求項5】
前記表示装置で表示されるフィルム画像は、レジマークと商品に対応したパーケージデザインとバーコードとの画像のうちの少なくともいずれかを含むことを特徴とする請求項1〜4のうちいずれか一つに記載のフィルム包装機の入力装置。
【請求項6】
前記処理信号は、帯状フィルムに一定間隔毎に付されたレジマークや日付印字やラベル貼付などの位置の検査タイミング、或いは、帯状フィルムに対する袋エア抜き用孔の形成または開封用切込みの形成などのフィルム加工の処理タイミングであることを特徴とする請求項1〜5のうちいずれか一つに記載のフィルム包装機の入力装置。
【請求項7】
前記表示装置の画面に表示された包装品種毎に異なるフィルム画像に対応して、複数の異なる処理をさせるための複数のエリアの設定が可能であることを特徴とする請求項1〜6のうちいずれか一つに記載のフィルム包装機の入力装置。
【請求項8】
包装機の通常運転時におけるフィルム搬送速度より低速でフィルム搬送するティーチングモードを備え、該ティーチングモードでの低速搬送中の帯状フィルムを前記撮像手段で撮像し、1包装分の印刷フィルムの実画像を前記表示装置で表示するようにしたことを特徴とする請求項1〜7のうちいずれか一つに記載のフィルム包装機の入力装置。
【請求項9】
帯状フィルムの搬送過程において該フィルムに付されるラベルや印字又はその他のプリントなどのパーツ画像データを所定の入力手段を介して取り込み設定可能に構成され、その取り込まれたパーツ画像データを、前記表示装置で表示されるフィルム画像にそのフィルム画像と同一縮尺で重ねた画像として表示し、そのパーツ画像データをフィルム画像データの任意の位置まで移動可能に設定したことを特徴とする請求項1〜8のうちいずれか一つに記載のフィルム包装機の入力装置。
【請求項10】
フィルムの搬送動作を直接的または間接的に検出可能なフィルム送り量検出手段を設け、該フィルム送り量検出手段からのフィルム位置に関するデータに応じて前記指定されたエリアに対する処理信号が生成されることを特徴とする請求項1〜9のうちいずれか一つに記載のフィルム包装機の入力装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−235159(P2010−235159A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−85866(P2009−85866)
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【出願人】(000136387)株式会社フジキカイ (129)
【Fターム(参考)】