説明

フィルム梱包物の収納構造

【課題】 エンドシール部を備える自立不能なフィルム梱包物を、エンドシール部を下方に配置して立設させた状態で包装箱に収納した際に、エンドシール部が変形等するのを効果的に回避できる収納構造を提供する。
【解決手段】 エンドシール部13を有するフィルム梱包物10を、立設させた状態で縦長包装箱12に仕切り台紙16を介在させて収納する収納構造であって、仕切り台紙16は、正面板14a,14bと略同じ幅を有する仕切り本体17と、仕切り本体17の下端縁部に折り返された状態で連接する折返し舌状片18と、仕切り本体17の両側縁部に折返し舌状片18の折り返し側とは反対側に略垂直に折り曲げられた状態で連接するスペーサ片19とを備えている。エンドシール部13が形成されたフィルム梱包物10の下端部分10aを仕切り本体17と折返し舌状片18との間に配設して、仕切り台紙16と共にフィルム梱包物10を縦長包装箱12に収容する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルム梱包物の収納構造に関し、特に、エンドシール部を有するフィルム梱包物を立設させた状態で縦長包装箱に収納するフィルム梱包物の収納構造に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば液状物、粉粒物、紙状物、布状物等の定形性を備えていない収容物を収容して製品化するための梱包形態として、これらの収容物を、可撓性を有する合成樹脂製のフィルム材料(シート材料)からなる袋の内部に封入したフィルム梱包物が、例えばパウチ、ピロー等として用いられている。これらのフィルム梱包物は、一枚又は複数枚のシート材料を折り重ねたり、熱融着等によって所定のシール幅で縁部をシールすることにより袋を形成すると共に、形成された袋の内部に収容物を封入した状態で製造される。
【0003】
また、フィルム梱包物は、スタンディングパウチのような自立可能な形態を備えるものの他、周縁部分がエンドシール部や折り返し部等で形成されていて、単独では自立させることができない形態を備えるものがある。このような単独では立設状態を保持することができないフィルム梱包物については、平坦に寝かせた状態や吊り下げた状態として、或いは多数の製品を外箱にまとめて詰め込むことにより外箱の内部で立設させた状態として、運搬や陳列に供されることになる(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2002−332024
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方、近年の商品の多様化から、例えば周縁部分にエンドシール部を備える自立不能な形態のフィルム梱包物を、他の物品と組み合わせて縦長の包装箱に同時に収容して、組合せ製品として製造、販売することが考えられている。またこのような組合せ製品では、一又は複数のフィルム梱包物を、エンドシール部を下方に配置して立設させた状態で縦長の包装箱に収納する形態が便利且つ効率の良い収納形態となる場合がある。
【0005】
しかしながら、縦長の包装箱は運搬時や陳列時に立てた状態で取り扱われることから、自立不能なフィルム梱包物は、これに封入された収容物の重量によって、下方に配置されたエンドシール部が押し潰されて変形したり破損したりする場合があり、またフィルム梱包物や収容物の下部の形状に変形が生じる場合がある。
【0006】
本発明は、エンドシール部を備える自立不能な形態のフィルム梱包物を、エンドシール部を下方に配置して立設させた状態で縦長包装箱に収納した際に、収容物の重量によってエンドシール部が変形したり、フィルム梱包物や収容物の下部の形状が変形するのを効果的に回避できるフィルム梱包物の収納構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、エンドシール部を有するフィルム梱包物を、当該エンドシール部を下方に配置して立設させた状態で、幅の広い前後一対の正面板と幅の狭い左右一対の側面板とを含む矩形横断面形状の縦長包装箱に、仕切り台紙を介在させて収納するフィルム梱包物の収納構造であって、前記仕切り台紙は、少なくとも下半部分が前記正面板と略同じ幅を有する仕切り本体と、該仕切り本体の下端縁部に折り返された状態で連接する折返し舌状片と、前記仕切り本体の両側縁部に前記折返し舌状片の折り返し側とは反対側に略垂直に折り曲げられた状態で各々連接する一対のスペーサ片とを備えており、前記エンドシール部が形成された前記フィルム梱包物の下端部分を、前記仕切り本体と前記折返し舌状片との間に配設して、前記仕切り台紙と共に前記フィルム梱包物を前記縦長包装箱に収納し、前記フィルム梱包物の重量によって前記折返し舌状片が一方の正面板側に倒れ込むのを、前記スペーサ片の先端が他方の正面板に当接して規制することにより、前記フィルム梱包物の下端部分を挟み込んだ前記仕切り本体と前記折返し舌状片との角度を鋭角に保持するフィルム梱包物の収納構造を提供することにより、上記目的を達成したものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明のフィルム梱包物の収納構造によれば、エンドシール部を備える自立不能な形態のフィルム梱包物を、エンドシール部を下方に配置して立設させた状態で縦長包装箱に収納した際に、収容物の重量によってエンドシール部が変形したり、フィルム梱包物や収容物の下部の形状が変形するのを効果的に回避することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の好ましい一実施形態に係るフィルム梱包物の収納構造は、図1及び図2(a),(b)に示すように、例えば組合せ製品として、液状の収容物であるワックスを封入した複数枚(本実施形態では4枚)のフィルム梱包物10と、ワックスを含浸させた状態で例えば清掃具に取り付けて使用される複数枚(本実施形態では4枚)の清掃シート11とを組み合わたものを、縦長の包装箱12に同時に収納して一体として製造・販売する際に、一方の収納物である相当の重量を有するフィルム梱包物10に変形や破損を生じさせることなく、清掃シート11と共に見栄え良く且つ効率良く収納できるようにするものである。
【0010】
すなわち、本実施形態のフィルム梱包物の収納構造は、エンドシール部13を有するフィルム梱包物10を、当該エンドシール部13を下方に配置して立設させた状態で、幅の広い前後一対の正面板14a,14bと幅の狭い左右一対の側面板15とを含む矩形横断面形状の縦長包装箱12に、仕切り台紙16を介在させて収納する収納構造であって、図3及び図4(a)〜(c)にも示すように、仕切り台紙16は、少なくとも下半部分が正面板14a,14bと略同じ幅を有する仕切り本体17と、この仕切り本体17の下端縁部に折り返された状態で連接する折返し舌状片18と、仕切り本体17の両側縁部に折返し舌状片18の折り返し側とは反対側に略垂直に折り曲げられた状態で各々連接する一対のスペーサ片19とを備えている。そして、エンドシール部13が形成されたフィルム梱包物10の下端部分10aを、仕切り本体17と折返し舌状片18との間に配設して、仕切り台紙16と共にフィルム梱包物10を縦長包装箱12に収納し、フィルム梱包物10の重量によって折返し舌状片18が一方の正面板14a側に倒れ込むのを、スペーサ片19の先端が他方の正面板14bに当接して規制することにより、フィルム梱包物10の下端部分10aを挟み込んだ仕切り本体17と折返し舌状片18との角度θを鋭角に保持するようになっている。
【0011】
また、本実施形態では、スペーサ片19によって間隔を保持された仕切り本体17と他方の正面板14bとの間の空間20には、フィルム梱包物10との組合せ物品である複数枚の清掃シート11が収納されている。さらに、4枚のフィルム梱包物10は、エンドシール部13を下方に配置して立設させた横方向の積層状態で収納されている。
【0012】
本実施形態では、フィルム梱包物10は、各々、例えば縦100〜300mm、横50〜150mm程度の大きさの扁平な矩形形状の袋に、一回毎の使用に適した量のワックスを封入することによって形成される。すなわち、例えばシーラント層を含むフィルム材料(シート材料)として、好ましくはアルミ箔層を含む多層フィルムを上記所定の大きさの矩形形状に裁断することによって得られた矩形フィルムを、一対重ね合わせて3方の周縁部を例えば3〜20mm程度のシール幅で熱融着によりシールして袋とし、未接合の周縁部による開口からワックスを注入した後に、当該未接合の周縁部を同様に熱融着によりシールして、4方の周縁部がいずれもエンドシール部13となったフィルム梱包物10が形成されることになる。
【0013】
フィルム梱包物10が収納される縦長包装箱12は、所望の展開形状を備えるように裁断した厚紙に折曲げ加工や接合加工等を施すことにより、例えば正面の幅が50〜150mm、側面の幅が30〜100mm、高さが100〜300mm程度の大きさの、上部の一部が斜めに切り取られた、矩形横断面形状を備える略直方体の中空立体形状に組み立てられるものであり、上述のように、幅の広い前後一対の正面板14a,14bと幅の狭い左右一対の側面板15とを備えている。縦長包装箱12の底面は、底板50によって閉塞されている。縦長包装箱12の天面は、矩形横断面形状の大きさが絞られた状態で天面開口21として開口すると共に、後述する正面取出し開口22と連続する開口として、正面開閉蓋23と連接する天面蓋片27によって開閉可能に閉塞できるようになっている。
【0014】
また、本実施形態の縦長包装箱12は、他方の正面板14bの上部における左右一対の側面板15との接合角部分24を切り離して、正面取出し開口22及びこれを開閉する正面開閉蓋23が形成されており、また接合角部分24において切り離された側面板15の、切離し基端部よりも上方の三角形状部分が内側に略垂直に折り曲げられて、開閉蓋載置台25が設けられている。
【0015】
そして、接合角部分24において切り離された他方の正面板14bの上部は、切離し基端部に折れ癖線26を設けることによって当該折れ癖線26を中心に回動可能な正面開閉蓋23を構成し、正面取出し開口22を開閉可能に覆うようになっている。また正面開閉蓋23の先端縁部には、天面蓋片27及び差込みフラップ片28が折り曲げられた状態で順次連接している。正面開閉蓋23によって正面取出し開口22を覆った際に、側面板15の上端縁部に連接する内フラップ51を内側にして、天面蓋片27によって天面開口21を閉塞するようになっている。さらに、差込みフラップ片28を一方の正面板14aの上端内側面に沿わせて差し込むことにより、正面取出し開口22及び天面開口21の閉塞状態を保持できるようになっている。
【0016】
フィルム梱包物10及び清掃シート11と共に縦長包装箱12に収納される仕切り台紙16は、縦長包装箱12と同様に、所望の展開形状を備えるように裁断した厚紙30に折曲げ加工等を施すことによって立体形状に組み立てられる。すなわち、図4(a)示すように、仕切り台紙16の展開形状として、例えば下方の略2/3の部分が縦長包装箱12の正面板14a,14bの幅よりも僅かに狭い略同様の幅となった仕切り本体17の下端縁部に、折れ癖線29aを介して例えば長さが30〜150mm程度の折返し舌状片18が連接し、且つ仕切り本体17の両側縁部に、折れ癖線29bを介して例えば幅が10〜90mm程度のスペーサ片19が各々連接する形状を備える厚紙30を形成する。
【0017】
また、本実施形態では、仕切り本体17の上端部分に、幅の狭い帯状片32が中央部分に形成されるように対称位置に配置されて、一対のL字切込み31が設けられている。仕切り本体17のL字切込み31よりも外側の切離し部分17aは、スペーサ片19の上方延設部分19aと一体となって、仕切り台紙16が立体形状に組み立てられた際に、縦長包装箱12の正面取出し開口22が形成された部分の側面板15に沿って配置される取出し部補強片33を形成する。
【0018】
さらに、本実施形態では、スペーサ片19の上方延設部分19aの側縁部は、開閉蓋載置台25として三角形状部分が内側に折り曲げられた縦長包装箱12の側面板15上部の斜め形状に対応するように、斜めに延設しており、当該斜めに延設する側縁部を折れ癖線29cとして、略矩形形状の張出し支持板34が側方に張り出して設けられている。
【0019】
図4(b)及び(c)にも示すように、折れ癖線29aを介して折返し舌状片18を、仕切り本体17に対して鋭角に配置されるように仕切り本体17を挟んだ一方の側に折り返し、折れ癖線29bを介して一対のスペーサ片19を、仕切り本体17に対して折返し舌状片18の折り返し側とは反対側に略垂直に折り曲げ、さらに折れ癖線29cを介して各張出し支持板34を、取出し部補強片33に対して内側に略垂直に折り曲げることにより、縦長包装箱12の中空内部に収まる立体形状を備える仕切り台紙16が組立て形成されることになる。またこれによって、取出し部補強片33の仕切り本体17からの切離し部分17aは、スペーサ片19の上方延設部分19aとは反対側に突出して配置されることになり、縦長包装箱12の正面取出し開口22及び天面開口21が形成された上端部分の中空内部を、帯状片32及び仕切り本体17によって2段に仕切った状態で、取出し部補強片33によって強固に保持することができるようになっている。
【0020】
上述の構成の仕切り台紙16を介在させて、複数のフィルム梱包物10と複数の清掃シート11とを組合せ製品として縦長包装箱12に収納するには、図1に示すように、下辺に沿ってエンドシール部13が形成された各フィルム梱包物10の下端部分10aを重ね合わせつつ、仕切り本体17と折返し舌状片18との間に挟み込むように配設して、仕切り本体17の一方の側に複数のフィルム梱包物10を横方向の積層状態で配置する。また一対のスペーサ片19によって両側から挟み込むようにして、仕切り本体17の他方の側に複数の清掃シート11を横方向の積層状態で配置する。このような状態で、正面取出し開口22及び天面開口21から縦長包装箱12の中空内部に、仕切り台紙16と共にフィルム梱包物10及び清掃シート11を挿入することにより、フィルム梱包物10が、本実施形態の収納構造を介して組合せ製品の一構成物品として収納されることになる。
【0021】
また、折返し舌状片18の折れ癖線29aが底面板50に当接するまで仕切り台紙16を縦長包装箱12の中空内部に挿入して仕切り台紙16がセットされた際に、仕切り台紙16の取出し部補強片33は、正面取出し開口22が形成された上端部分の側面板15の内側面に沿って位置決めされる。また仕切り台紙16の張出し支持板34は、側面板15から内側に折れ曲がった開閉蓋載置台25を下方から支持するように、当該開閉蓋載置台25と重り合う位置に位置決めされる。これらによって、フィルム梱包物10や清掃シート11が出し入れされる、縦長包装箱12の正面取出し開口22や天面開口21の周囲の構造が効果的に補強される。特に、開閉蓋載置台25及び張出し支持板34の双方又はいずれか一方が設けられることにより、他方の正面板14bと左右一対の側面板15との接合角部分24を切り離して正面取出し開口22を形成したことによって外力に対する強度が弱くなった、正面開閉蓋23の周囲の部分を補強して、運搬時や陳列時に正面開閉蓋23が凹んだり変形したりするのを効果的に回避することが可能になる。
【0022】
なお、本実施形態では、フィルム梱包物10と共に縦長包装箱12に収納される清掃シート11は、例えばハンディモップ等の清掃具に取り付けて用いる、使捨て用の清掃シートとして公知のシート材料であり、好ましくは不織布を2〜3枚重ね合わせたものを、清掃具に装着するのに適した矩形形状に形成して用いられる。また、各清掃シート11は、一枚のフィルム梱包物10に収容されたワックスを含浸させて清掃作業を行うのに適した大きさのシート材料として形成され、フィルム梱包物10と一枚ごとに組み合わせて用いられることになる。
【0023】
そして、上述のようにしてフィルム梱包物10及び清掃シート11を収納した縦長包装箱12は、立てたままの状態で運搬や陳列に供されることになるが、本実施形態の収納構造によって仕切り台紙16を介在させてフィルム梱包物10を縦長包装箱12に収納していることにより、エンドシール部13を備える自立不能な形態のフィルム梱包物10が、エンドシール部13を下方に配置して立設させた状態で収納されていても、収容物の重量によって下方のエンドシール部13が変形したり、フィルム梱包物10や収容物の下部の形状が変形するのを効果的に回避することが可能になる。
【0024】
すなわち、本実施形態によれば、仕切り台紙16は、正面板12a,12bと略同じ幅を有する仕切り本体17と、仕切り本体17の下端縁部に折り返された状態で連接する折返し舌状片18と、仕切り本体の両側縁部に略垂直に折り曲げられた状態で各々連接する一対のスペーサ片19とを備えており、エンドシール部13が形成されたフィルム梱包物10の下端部分10aを、仕切り本体17と折返し舌状片18との間に配設してフィルム梱包物10を縦長包装箱12に収容しているので、液状のワックスを封入したフィルム梱包物10の重量によって縦長包装箱12の内部で折返し舌状片18が一方の正面板12a側に倒れ込むのを、折返し舌状片18とは反対側に配置されるスペーサ片19の先端が他方の正面板12bに当接して規制することにより、フィルム梱包物10の下端部分10aを挟み込んだ仕切り本体17と折返し舌状片18との角度θを鋭角に保持することが可能になる。
【0025】
したがって、本実施形態によれば、仕切り本体17と折返し舌状片18との角度θが鋭角に保持されることによって、エンドシール部13よりも厚さが厚くなった、エンドシール部13の直上の横方向に積層されたフィルム梱包物10の下端部分10aが、両側の仕切り本体17と折返し舌状片18の内側面に挟み込まれるように密着し、当該仕切り本体17及び折返し舌状片18によってフィルム梱包物10の重量が支持されることになり、エンドシール部13に付加される荷重を軽減或いは解消することによって、下方のエンドシール部13が変形したり、フィルム梱包物10や収容物の下部の形状が変形するのを効果的に回避することが可能になる。
【0026】
図5(a)及び(b)は、本発明の他の実施形態に係るフィルム梱包物の収納構造を示すものであり、図5(a)及び(b)に示す収納構造では、縦長包装箱35は、幅の広い前後一対の正面板36a,36bと幅の狭い左右一対の側面板37とを含む矩形横断面形状に形成される。また、縦長包装箱35は、正面取出し開口を有しておらず、底面が底板52によって閉塞されると共に、天面の取出し開口38は、側面板37の上端縁部に連接する内フラップ53と、一方の正面板36aの上端縁部に連接する差込み片39が設けられた開閉蓋40とによって、開閉可能に閉塞できるようになっている。
【0027】
また、仕切り台紙41は、正面板36a,36bよりも若干小さいこれらと略同じ大きさの矩形形状を有する仕切り本体42と、この仕切り本体42の下端縁部に折り返された状態で連接する折返し舌状片43と、仕切り本体42の両側縁部に折返し舌状片43の折り返し側とは反対側に略垂直に折り曲げられた状態で各々連接する一対のスペーサ片44とを備えている。
【0028】
さらに、図5(a)及び(b)に示す実施形態では、厚さの厚い1体のフィルム梱包物45を、エンドシール部46が形成された下端部分45aを仕切り本体42と折返し舌状片43との間に配設して、仕切り台紙41と共に縦長包装箱35に収納するものであり、フィルム梱包物45の重量によって折返し舌状片43が一方の正面板36a側に倒れ込むのを、スペーサ片44の先端が他方の正面板36bに当接して規制することにより、フィルム梱包物45の下端部分45aを挟み込んだ仕切り本体42と折返し舌状片43との角度θを鋭角に保持するようになっている。
【0029】
図5(a)及び(b)に示す収納構造によっても、仕切り本体42と折返し舌状片43との角度θが鋭角に保持されることによって、フィルム梱包物45の下端部分45aにおけるエンドシール部46の直上部分が、両側の仕切り本体42と折返し舌状片43の内側面に挟み込まれるように密着し、当該仕切り本体42及び折返し舌状片43によってフィルム梱包物45の重量が支持されることになり、エンドシール部46に付加される荷重を軽減或いは解消することによって、上記実施形態と同様の作用効果を奏することになる。
【0030】
なお、本発明は上記各実施形態に限定されることなく種々の変更が可能である。例えば、本発明の収納構造は、組合せ製品の一構成物品としてフィルム梱包物を縦長包装箱に収納する場合に限定されるものではなく、一又は複数のフィルム梱包物を単独で縦長包装箱に収納する際にも採用することができる。また、縦長包装箱や仕切り台紙は、厚紙を用いて形成する必要は必ずしもなく、例えばプラスチック製の縦長包装箱や仕切り台紙であっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の好ましい一実施形態に係るフィルム梱包物の収納構造を説明する分解斜視図である。
【図2】(a)は本発明の好ましい一実施形態に係る収納構造を用いてフィルム梱包物を収納した組合せ製品の斜視図、(b)は同組合せ製品の正面取出し開口を開いた状態の斜視図である。
【図3】図2(a)のA−Aに沿った断面図である。
【図4】(a)は仕切り台紙の展開形状を示す平面図、(b)は仕切り台紙の斜視図、(c)は仕切り台紙の側面図である。
【図5】(a)は本発明の好ましい他の実施形態に係るフィルム梱包物の収納構造を説明する分解斜視図、(b)は同収納構造の断面図である。
【符号の説明】
【0032】
10,45 フィルム梱包物
10a,45a フィルム梱包物の下端部分
11 清掃シート
12 縦長包装箱
13,46 エンドシール部
14a,36a 一方の正面板
14b,36b 他方の正面板
15,37 側面板
16,41 仕切り台紙
17,42 仕切り本体
18,43 折返し舌状片
19,44 スペーサ片
21 天面開口
22 正面取出し開口
23 正面開閉蓋
24 正面板と側面板との接合角部分
25 開閉蓋載置台
26,29a,29b,29c 折れ癖線
27 天面蓋片
28,39 差込みフラップ片
30 厚紙
31 L字切込み
32 帯状片
33 取出し部補強片
34 張出し支持板
40 開閉蓋
θ 仕切り本体と折返し舌状片との角度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンドシール部を有するフィルム梱包物を、当該エンドシール部を下方に配置して立設させた状態で、幅の広い前後一対の正面板と幅の狭い左右一対の側面板とを含む矩形横断面形状の縦長包装箱に、仕切り台紙を介在させて収納するフィルム梱包物の収納構造であって、
前記仕切り台紙は、少なくとも下半部分が前記正面板と略同じ幅を有する仕切り本体と、該仕切り本体の下端縁部に折り返された状態で連接する折返し舌状片と、前記仕切り本体の両側縁部に前記折返し舌状片の折り返し側とは反対側に略垂直に折り曲げられた状態で各々連接する一対のスペーサ片とを備えており、
前記エンドシール部が形成された前記フィルム梱包物の下端部分を、前記仕切り本体と前記折返し舌状片との間に配設して、前記仕切り台紙と共に前記フィルム梱包物を前記縦長包装箱に収納し、
前記フィルム梱包物の重量によって前記折返し舌状片が一方の正面板側に倒れ込むのを、前記スペーサ片の先端が他方の正面板に当接して規制することにより、前記フィルム梱包物の下端部分を挟み込んだ前記仕切り本体と前記折返し舌状片との角度を鋭角に保持するフィルム梱包物の収納構造。
【請求項2】
前記スペーサ片によって間隔を保持された前記仕切り本体と前記他方の正面板との間の空間には、前記フィルム梱包物との組合せ物品が収納される請求項1に記載のフィルム梱包物の収納構造。
【請求項3】
複数の前記フィルム梱包物を、エンドシール部を下方に配置して立設させた横方向の積層状態で収納する請求項1又は2に記載のフィルム梱包物の収納構造。
【請求項4】
前記仕切り台紙の上端部分には、前記スペーサ片の上方延設部分と、前記仕切り本体に切込みを入れることによって形成された切離し部分とが一体となった、前記側面板の上端部分の形状に沿った形状を有する取出し部補強片が設けられており、該取出し部補強片は、前記スペーサ片が折り曲げられた際に前記切離し部分を前記スペーサ片とは反対側に突出させて、前記仕切り本体に対して略垂直に配置される請求項1〜3のいずれかに記載のフィルム梱包物の収納構造。
【請求項5】
前記縦長包装箱は、前記他方の正面板の上部における前記左右一対の側面板との接合角部分を切り離して正面取出し開口及びこれを開閉する正面開閉蓋を形成できるようになっており、前記スペーサ片の上方延設部分には側方に張り出して開閉蓋補強片が折曲げ可能に連接しており、該開閉蓋補強片が前記取出し部補強片に対して内側に略垂直に折り曲げられて、前記正面開閉蓋の側縁部を内側から支える張出し支持板を形成する請求項4に記載のフィルム梱包物の収納構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−282183(P2006−282183A)
【公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−101148(P2005−101148)
【出願日】平成17年3月31日(2005.3.31)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】