フィードバックを改良した外科的手順のための誘導システムおよび誘導方法
画像誘導手術システムを使用して表示された解剖学的構造の画像に関し、目的物を規定することがしばしば望まれる。重要な対象物、あるいは複雑な二次元あるいは三次元形態の対象物に関し、ユーザーが簡単に理解するように情報を提供することが困難な場合もある。規定された対象物の表面あるいは所望の位置のような目的の表面への局所距離、目的の表面の局所貫通距離、または触知反発力は、画像誘導手術システムを使用するユーザーの相互作用を増強するために、最も有用な情報を提供することが多い。局所距離は、視覚的な、聴覚的な、感覚的な、触知的な、あるいは他の方法で、ユーザーに伝えられる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の技術分野)
本発明は、概して、コンピュータ支援手術システムおよび手術ナビゲーションシステムに関し、さらに詳しくは、医療処置中に深度情報を伝えるシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
コンピュータ支援手術(CAS)システムの機能は、手術の術前プランニング、有益なフォーマットで術前診断情報および画像の提供、今から行う手術に関する状況情報の提供、およびの実行の強化を含む。CASシステムは、従来の手術室、インターベーション放射線室、可動手術室、または外来診察室での手術に使用されてもよい。CASに対する多くの取組みが商業的に試みられてきている。手術は、外科的なものであろうと非外科的なものであろうと、どのような医療処置であってもよい。
【0003】
ナビゲーションシステムは、術前および術中の画像データセットに関し、手術用具の位置を表示するために使用される。これらの画像は、二次元透視画像のような術中画像および、たとえば、磁気共鳴画像法(MRI)、コンピュータ連動断層撮影(CT)および陽電子断層撮影法(PET)を使用して得られる術前三次元画像を含む。普及しているナビゲーションシステムは、追跡または局在システムを利用する。これらのシステムは、器具や患者のような対象物に接続されたまたは固定されたマーカーの位置を突き止め、かつ該マーカーの位置を追跡する。これらの追跡システムは、光学的であり、磁気的であり、また音響システムも含む。光学システムは、受動的反射マーカーまたは追跡ツールに接続されたアクティブ赤外線LEDを観察する、固定式のステレオカメラペアを有する。磁気システムは、追跡ツールに組み込まれた小さなコイルによって感知される、固定式の界磁発電機を有する。これらのシステムは、金属対象物の近くで感度が高い。
【0004】
ナビゲーションシステムを手術室に組み込むことは、比較的簡単ではあるが、これの基本的な限界は、外科医とのコミュニケイションには限界がある方法であるというである。ほとんどのシステムが、コンピュータのモニターを通して情報を外科医に伝達する。従来は、外科医は、キーボードとマウス、タッチスクリーン、音声コマンド、コントロールペンダントまたはフットペダルを介して、また追跡ツールを動かすことによって、情報をシステムに伝達していた。ナビゲーションシステムの視覚表示は、よくても、複雑な3−D幾何図形のため、読み取ることが簡単ではない三次元診断画像データセットを通して、複数のスライスを表示する。また、これらの表示は、外科医の視覚的注意を外科手術部位から強制的に奪っている。
【0005】
追跡ツールを使用する計画を規定する場合、複数の自由度(DOF)で、該ツールを同時に、適切に配置することは難しいこともある。同様に、計画に伴う追跡器具を揃える場合、複数の同時DOFで該ツールの位置を調整することは、特に高精度が望まれる場合、難しい。おそらく、ほとんどの適用が重要な臓器に当たることなく、軌道を関心臓器に特定することを伴う脳神経外科手術において、ナビゲーションシステムが最も多く採用されていることは、偶然の一致ではない。しばしば、ツールの先端を解剖学的構造に押し付け、旋回させ、軌道の位置と配向方向を効果的に切り離す。
【0006】
自律型ロボットは、置換手術に連帯させて商業的に適用されている。これらのシステムは骨切除を正確に行い、手で行う器具に比べて、移植片のフィット感と設置が改善されている。レジストレーションは、骨または骨表面の一連のポイントにねじ込まれたロボットタッチ基準マーカーを有することによって行われる。
【0007】
切断は、高速のバーで自律的に行われ、外科医は、もし必要なら、進行をモニターしそれを中断することができる。骨は、レジストレーションおよび切断の間、適当な場所に固定しておかなければならず、動きをモニターし、次いで再度レジストレーションが要求される。ユーザーが報告した、これらのシステムの欠陥として、ロボットのサイズが大きいこと、人間工学的に劣っていること、位置合わせおよび切断に要する45〜60分の間、骨をしっかりとつかんでおく必要があること、およびロボットに適正なアクセスを提供するため、切開を50〜100mm広げる必要があることが挙げられる。さらに、自律型ロボットは、関心骨をしっかりつかむことおよび柔らかな細胞組織をロボットから離すために大きな切開を作ることが証明するように、一般的に、高度に組織化された環境において最もよく機能する。
【0008】
ある外科手術の特定の工程を除いて、現代の外科手術で、自律型ロボットのために、よく組織化された環境を提供する傾向はない。ロボットは、一般的に、手術を支援するために必要な外科スタッフおよび機器の追跡を維持することができない。手術環境の厳格な管理によって、これは可能になるかもしれないが、人体の複雑性は、常に、大いに構造化されていないものである。
【0009】
またロボット技術は、自律操作が要求されない標準的実務においても、改善するために使用することができる。このタイプの注目すべき市販システムとして、胆嚢除去から非開胸心拍冠状動脈手術までの範囲にわたる腹腔鏡切除手術のための遠隔操作ロボットシステムが挙げられる。これらのシステムは、外科医にハイファイディスプレイおよびマスター入力デバイスを含む制御装置を提供する。スレーブロボットは、マスターに接続され、解剖学的構造と物理的に相互作用する。これらのシステムの利点は、先ず、運動スケーリングおよび震えの軽減によって器用性の点が改良されながら、外科医のために、人間工学的な労働環境を提供することにある。マスターコンソールは、通常、患者と同じ部屋にあるものの、これらのシステムの興味深い副産物は、遠隔手術可能なものである。しかし、これらのシステムではロボットは最小限の自律性しか持たず、柔らかい組織を取り扱い、交換する場合に起こる複雑さは驚くべきことではない。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0010】
(発明の要旨)
画像誘導手術システムを使用して表示された解剖学的構造の画像に関して対象物を規定することが、しばしば望まれる。重要な対象物、あるいは複雑な二次元あるいは三次元形態の対象物に関し、ユーザーが簡単に理解するように情報を提供することが困難な場合もある。規定された目的物の表面あるいは所望の位置のような目的の表面への局所距離、目的の表面の局所貫通距離、または触知反発力は、画像誘導手術システムを使用するユーザーの相互作用を増強するために、多くの場合、最も有用な情報を提供する。局所距離は、視覚的な、聴覚的な、感覚的な、触知的な、あるいは他の方法で、ユーザーに伝えられる。
【0011】
(図面の簡単な説明)
本発明、その目的および利点の理解をさらに完全なものにするために、添付の図面とともに、以下の記述について言及する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
(図面の詳細な説明)
以下の記載において、類似の番号は類似の要素を示す。「外科医」は、コンピュータ支援外科手術システムのユーザーであればだれでも含むが、典型的には外科医が主要なユーザーである。「外科手術」とは、介入的なものであろうと非介入的なものであろうとどのような医療処置も含むが、典型的には介入的措置が主要な措置である。
【0013】
触知装置は、機械的あるいは電気機械的装置であって、接触、力、速度、位置および/またはトルクなどの感覚情報を使用して、外科医のようなユーザーと相互作用あるいは情報のやり取りをする。従来の感覚では必ずしもロボットとして考えられるものではない装置も含まれるが、ロボットの中には触知装置として使用されてもよいものもある。触知装置は、典型的には、殆ど自律性を有さない。
【0014】
一般的に、関心構成要素が、場合によっては、触知装置に連結してもよい。関心構成要素として、医療機器、たとえば、手術用具、顕微鏡、レーザー距離計、カメラ、外科手術用ライト、内視鏡、超音波深触子、放射線治療装置、介入医療ツールおよび/または物理療法のリハビリシステムなどが挙げられる。語句「医療機器」、「外科手術装置」および「手術用具」は、本明細書では、互換的に用いられる。
【0015】
たとえば、ある装置が外科手術の間に用いられる場合、そのような装置は、外科医に連動して、共同的に外科手術器具を保持する。外科医は、触知装置の助けを借りてあるいは触知装置からの入力を受けて、外科手術器具を動かす。あるいは、遠隔操作システムでは、触知装置が外科手術器具をもっぱら保持する。このように実施する場合、手術用具を対話形式で操作するために、外科医は「スレーブ」装置に連結する「マスター」触知装置を動かす。遠隔操作システムにおいては、外科医に人間工学的なあるいは没入できる作業位置を提供するためにおよび/または外科医に遠隔的に外科手術が行えるようにするために、マスター触知装置が外科手術の場から物理的に分離されてもよい。インピーダンスモードでは、触知装置は、外科手術器具の状態(pose)(位置、配向方向、速度および/または加速度)を決定あるいは感知し、器具に対して力および/またはトルク(「ねじれ」)を与える。「アドミタンス」モードでは、触知装置は、装置(または外科手術器具)上のある位置でのねじれを決定し、器具の位置を変更するよう作動する。感知された状態と出力ねじれとの間には、静的、準静的、あるいは動的マッピングが存在してもよい。通常のマッピングは、ユーザーからの入力によって規定される「仮想」物体と相互作用する、ツールに起因するねじれを含んでもよく、数学的なあるいは模擬機械的拘束を含んでもよい。
【0016】
「触知対象」は、ここでは、そのようなマッピングを描くために使用される。ある場合は、触知対象は、触知装置のあるジョイント角度で非ゼロポイント出力を造りだすだけでもよく、あるいは、触知装置のある終点位置および/または配向方向でのみ造りだしてもよい。触知対象は、滑らかな時間変化のマッピングでもよくおよび/またはある一定の時間だけ存在してもよい。触知対象は、マッピングが不連続な場合、あるいは触知対象と相互作用する場合、ユーザーが感じることができる他の特性を持つ位置に対応する、関連空間または幾何学的表示を有していてもよい。たとえば、触知装置の終点が空間的に球面領域内にある場合、もし触知対象が非ゼロポイント出力のみを発生するなら、対応する球面表示を提供すればそれはユーザーに有益であるかもしれない。しかし、触知対象は、そのように明確に規定された境界あるいは類似の内部構造を必ずしも持たなくてもよい。触知対象は、触知装置の終点位置、終点配向方向および/またはジョイント位置の全範囲にわたって、あるいはこれらの範囲の一部のみで、作動可能であってもよい。可能であれば空間の重なり合う部分において、所定のいかなる時刻でもアクティブな複数の触知対象があってもよい。
【0017】
「触知キュー」は、触知対象のマッピング面を描くために使用される。キューを持つことで、ユーザーが触知対象と相互作用する場合、情報を伝えたり、所望の効果を作りだしたりしてもよい。触知キューおよび触知対象は、必ずしもユーザーインターフェースあるいは特定の実施形態の構成要素をプログラムするソフトウェアと対応する必要はなく、単に、ユーザーに、触知装置の入力と出力との間のマッピングを設計し、実行し、提供する多くの方法の一つであればよい。
【0018】
自律性の減少または消滅によって、外科医のようなユーザーの快適度は増す。ロボットが自律的に動くときはいつも、外科医は、もはや主導権を持つ必要がなく、ロボットの作業を単に観察しなければならない。ロボットの動きは、万一何か異常が起こった場合、対応するのに適正な時間を外科医に与えるぐらいのろくなくてはならない。しかし、もしロボットが、少なくとも殆ど受動的な方法で作動するなら、たとえ能動的な動きができたとしても、外科医は、ロボットに制御を譲らない。
【0019】
ユーザーの観点から受動装置のようにのみ作動する方法で、動きを実効しうる装置を使用することは有利である。アクティブアクチュエータは、重力の効果を相殺し、非常に多くのメカニズム設計を可能にするように、使用することができる。装置は、自動テストおよびサービスプロシジャーを行うために、自律的モードで使用することができる。
【0020】
図1は、触知装置113がコンピュータ支援手術システム11とともに使用される例示的な手術室の概略図である。コンピュータ支援手術システム11は、表示装置30、入力装置34およびたとえばコンピュータのようなシステム36に基づくプロセッサを含む。入力装置34は、現在知られているあるいは後に開発されるどのような入力装置でもよく、たとえば、キーボード、マウスおよび/またはトラックボールなどが挙げられ、これらは単独、組み合わせでもよい。表示装置30は、二次元および/または三次元画像を表示する、現在知られているあるいは後に開発されるどのような表示装置でもよく、たとえば、モニター、ウェラブルディスプレイ、投写型ディスプレイ、ヘッドマウンデッドディスプレー、立体映像および/または、たとえばプロジェクタのような画像投影装置から投影される画像を表示しうる表示装置などが挙げられる。所望であれば、表示装置30は、ホログラフィー画像を表示しうる表示装置であってもよい。所望であれば、表示装置30は、タッチスクリーンであってもよく、入力装置として使用されてもよい。
【0021】
描かれた例示中の触知装置113はロボット装置である。触知装置113は、たとえばコンピュータ10のようなシステムに基づいたプロセッサによって制御されてもよい。また、コンピュータ20は、パワー増幅および入力/出力ハードウェアを含んでもよい。触知装置113は、現在知られているあるいは後に開発されるどのような通信メカニズム、これは有線でも無線でもよい、によってコンピュータ支援手術システム11と通信してもよい。
【0022】
また、図1には、システム36に基づくプロセッサに連結する記憶媒体12が示されている。記憶媒体12を、ソフトウェアおよび/または他のデータを記憶するデジタル媒体に対応させてもよい。手術用具または器具112は、触知装置113に連結するように示されている。手術用具112は、付着または締結によって、触知装置113に機械的に連結されているのが好ましい。しかし望ましい場合は、手術用具112は、たとえば磁気的など他の方法で直接的または間接的に触知装置113に連結されてもよい。望ましい場合は、手術用具112を触知装置113に連結するために、真空が使用されてもよい。手術用具112は、外科医の遠隔操作によって触知的に制御されてもよく、または手術用具112に近接する外科医116によって触知的に制御されてもよい。
【0023】
触知対象110は、たとえば患者の足のような患者の解剖学的構造114内にある標的区域に対する手術用具112の動きおよび操作を案内および/または制約するために使用される仮想対象物である。この例示では、触知対象110は、対象とする患者の解剖学的部位を狙い、接近する外科医を補助するために使用される。触知フィードバック力は、手術用具112の一部の侵入あるいは触知対象の所定の境界線を越えたことが決定された場合、手術用具の動きを遅くするおよび/または止めるために使用される。さらに、手術用具112を、触知対象110および標的に対して(または触知対象110および標的から)引き付ける(またははねつける)ために、触知フィードバック力を使用することもできる。望ましい場合は、外科医116は、手術をしている解剖学的構造の表示および/またはディスプレイ30上の手術用具112および/または触知対象110の仮想表示を得てもよい。
【0024】
手術用具112が外科医によって遠隔的に、たとえば遠隔操作によって触知的に制御される場合、該外科医は、マスター触知装置および/または手術用具、患者の解剖学的構造および/または付属の触知または外科手術を補助するように設計された視対象物のリアルまたはシュミレートディスプレイを使用する手術用具の動きを制御する。触知フィードバック力を、スレーブ触知装置113によって、遠隔地にいる外科医に該マスター触知装置を介して伝達し、該外科医を案内してもよい。あるいは、触知フィードバック力を該マスター装置で発生させ、外科医に直接伝達してもよい。場合によっては、スレーブ装置またはマスター装置のいずれかが、触知能力が殆どあるいは全くない位置決め装置であってもよい。
【0025】
CASシステムは、外科手術器具、ツール、触知装置および/または患者などの種々の追跡しうる物体の位置および/または配向方向を決定または追跡する位置確認または追跡システムを含むことが好ましい。該追跡システムは、三次元座標系に、追跡可能な物体上に配置された、該物体中に組み込まれたあるいは本来的に追跡可能である物体の一部である追跡可能なマーカーの1またはそれ以上の位置を、連続的に決定または追跡する。マーカーは、数種の形をとることができ、光学的(あるいは視覚的)、磁気的あるいは音響的方法を用いて位置を突き止めることができるものが挙げられる。さらに、少なくとも光学的または視覚的システムの場合は、物体の位置の所在は、実際認識可能なマーカーとして機能する、固有の特徴、際立った特色、形、色、あるいはその他の視覚的外観に基づいてもよい。
【0026】
追跡システムはいかなるタイプを使用してもよく、マーカーに依存してもよいししなくてもよい光学的、磁気的および/または音響的システムが挙げられる。今日、追跡システムは、一般に光学的で、主に赤外線領域で機能している。それらは普通、関心領域の回りに焦点を絞り、赤外線に対して感応性がある固定式のステレオカメラペアを含む。マーカーは赤外線を積極的にあるいは受動的に放射する。活性マーカーの例として、発行ダイオード(LED)が挙げられる。受動マーカーとして、入射赤外線を反射する表面をもつ球型マーカーのような反射マーカーが挙げられる。受動システムは、焦点の領域を照射する赤外線源が必要である。磁気的システムは、追跡ツールに一体化されている小さなコイルによって感知される磁場を放射する、固定式の磁界発生器を有してもよい。
【0027】
追跡可能なマーカーの所在上の追跡システムからの情報に関し、CASシステム11は、所定のあるいは公知の(たとえば、キャリブレーションから)ツール上の追跡可能なマーカーとツールの終点および/または軸との間の幾何学的関係を使用して、ツールの終点または先端、場合によってはその主軸の三次元座標を決定できるようにプログラミングされる。また、患者または患者の解剖学的構造の部分は、追跡可能なマーカー配列が付着することによって追跡することができる。示された例において、ローカライザーは、好ましくはプローブ16を追跡する、1またはそれ以上のカメラ14を含む、光学的追跡システムである。図1に示すように、カメラ14はシステム36に基づくプロセッサに連結してもよい。望ましい場合、カメラ14をコンピュータ10に連結してもよい。プローブ16は現在知られているあるいは後に開発される通常のプローブでよい。望ましい場合、プローブは、強固に触知装置113に取り付けられてもよいし、あるいは触知装置113の設計中に一体化されてもよい。
【0028】
実施においては、望ましい場合、システム36に基づくプロセッサは、たとえば、前もって保存された外科手術情報の読出し、術前外科手術プランニング、器具の先端および軸の位置の決定、患者および術前および/または術中診断画像データセットの追跡システムの座標システムへの登録など、最小限のユーザー機能性を提供するために、画像誘導外科手術ソフトウェアの一部を含んでもよい。この方法を使用する画像誘導外科手術は、コンピュータだけでは可能ではないこともある。このように、正しいデジタル媒体をコンピュータ36に連結する記憶媒体12に提供することによって、全ユーザー機能性が使用可能になってもよい。デジタル媒体は、アプリケーション特有のソフトウェアモデュールを含んでもよい。該デジタル媒体は、また、手術用具およびその他の付属品に関する記述情報を含んでもよい。アプリケーション特有のソフトウェアモデュールは、特定のタイプの処置の間、プランニングおよび/またはナビゲートして外科医を補助するために使用されてもよい。たとえば、該ソフトウェアモデュールは、外科手術の特定の工程や段階に対応する所定のページや画像を表示してもよい。モデュールの特別の段階や部分で、外科医は、自動的に促され、ある作業を行ったり、モデュールを決定可能にし、器具装備や移植片の適切な配置および整列を表示可能にし、あるいはフィードバックを外科医に提供することを可能にする特定のデータを規定したり入力したりする。他のページは、ナビゲーションのための診断画像を表示し、外科医へのフィードバック用のシステムによって計算されたあるデータをセットアップしてもよい。視覚的手段の代わりにあるいはそれに加えて、CASシステムは、また、音響的(たとえば音声合成を使用して)な方法および装置の触知インターフェースを使用するなどの触知的な方法で、情報を伝達することもできる。たとえば、スクリーン上のドリルやのこぎりの軌道を視覚的に示すことに加えて、CASシステムは、外科医に、ある物体に近づいているか、予定通りの方向に進んでいるかを、可聴音でフィードバックしてもよい。外科医の負担をさらに軽減するために、該モデュールは、外科医によって取り上げられた器具を認識することによって、処置の段階を自動的に決定し、そのツールが使用されているプログラムの箇所に素早く動かしてもよい。
【0029】
ソフトウェアモデュールは、所定の回数しか使用できないものでもよい。望ましい場合、該ソフトウェアモデュールは、コンピュータ36に備えられた画像誘導外科手術ソフトウェアの部分に連結されて使用される場合にのみ機能する。デジタル媒体上のソフトウェアに連結されたコンピュータ36に備わるソフトウェアは、医療用電子診断画像を加工し、患者の解剖学的構造に関する獲得した画像を登録しおよび/またはたとえば、X線透視からのCT、MRIなど、獲得した他のいかなる画像モダリティなどの獲得画像を登録する。望ましい場合は、画像データセットは時間変数でもよく、すなわち、異なる複数の時間に撮られた画像データセットを使用してもよい。ソフトウェアモデュールを保存する媒体は、処置が特に対象とする使い捨ての器具とバンドルされて売られる。したがって、該ソフトウェアモデュールは、CASシステムとともに配布されることは必要としない。さらに、該ソフトウェアモデュールは、特定のツールと移植片とがいっしょに働くように設計され、これらのツールと移植片をいっしょにして配布することもできる。さらに、ある処置においては、診断画像データセットなしで、患者が登録されていることだけで、CASシステムを使用することができる。したがって、該CASシステムは、ある適用、すなわち画像のない適用においては、診断画像を使用する支援は必要としない。
【0030】
記載したロボットアームの例示として、バレットテクノロジー社によって製造されたロボットアームが挙げられ、以下これを「全腕操作装置」または「WAM」と言う。このロボットアームはケーブル伝送を有し、高バンド幅、バックドライバビリティおよび力適合性を提供する。しかし、触知相互作用に抵抗しうるあるいは許可しうるモードの他のロボット装置も使用することができる。たとえば、直接駆動システム、または低摩擦トランスミッションの他のタイプのシステムや組み合わせトランスミッションタイプのシステムも、外科手術の用途のための触知装置として貢献するのに適している。さらに、該触知装置はロボットアームの形を取ることを必ずしも必要としない。WAMロボットアームは動きに4つの自由度を有する。しかし、それは軌道を基準とする医療用途用の1−DOF直接駆動リストによって増幅される。望ましい場合は、自由度は本発明の範囲に影響を与えることなく、加えたり取り除いたりしてもよい。
【0031】
ケーブル伝送にはいくらかの利点はあるものの、いくらかの欠点もある。処置中のエラーの可能性を避けるために、注意深いインストールとメンテナンスが要求される。さらに、ケーブル伝送は歯車伝達ほど強靭ではない。同様の欠陥が、他のタイプの伝達方法を使用する触知装置にも見つかっている。
【0032】
これらの欠陥は、付加的な冗長センサーとともに駆動モータ上にマウントされている既存の位置センサーを増強することによって、解決できるかもしれない。これらのセンサーは種々のタイプでよく、たとえば、回転エンコーダあるいはレゾルバー、チルトセンサー、ヘディング(コンパス)センサー、重力の方向を測定するセンサー、光学的、磁気的または音響的追跡システム(たとえば、外科手術器具を追跡するために通常使用されるタイプの光学的カメラシステム)、またはレーザー式位置感知などが挙げられるが、これらに限定されない。これらのセンサーの出力は、伝達手段やセンサー中の問題を示す不一致を決定するために、元のセンサーと比較することができる。さらに、付け加えられたセンサーは、ケーブル伝送中の両低バンド幅たわみを決定するために、使用することができ、このようなシステムは周知の制御技術を使用することによって簡単に補償できる。また、センサーは、ケーブル伝送中の高バンド幅ずれも測定し、これは付加的な入力をサーボループに提供し、伝達の駆動および負荷の量サイドのセンサーを含むシステム用の周知の制御技術を使用して、サーボシステムの安定性を改良することを可能にする。また、センサーは、結合するアームのひずみおよび/または伝達の効果を減少させるまたは消すことによって、アームのポーズの測定の精度を改良することができる。また、このようなセンサーは、他のタイプの伝達システムを使用するロボット装置における類似の欠陥を克服するために、使用することもできる。
【0033】
外科手術を行う場合、ツールを保持しうる触知装置、たとえば、ドリルガイドまたは他の類似した手術用具用拘束または取り付け機構は、患者に対して、特定の処置の種々の接近に適切な状態が取れるように配置する。二次元も三次元もありえる、診断またはプランニングデータセットにおいて、周知のレジストレーション技術を使用して、情報を物理的空間での位置に関連付けられるように物理的な解剖学的構造に登録する。画像データセットは、たとえば、磁気共鳴画像法(MRI)、コンピュータ連動断層撮影(CT)、陽電子断層撮影法(PET)、磁気共鳴血管造影(MRA)、単光子放射型コンピュータ断層撮影法(SPECT)、磁気共鳴静脈造影法(MRV)、造影強化MR静脈造影法(CEMRV)、CT血管造影、CT脊髄造影、MR血管造影、MR脊髄造影、X線透視、光学的画像化、アイソトープ画像化、超音波顕微鏡、腹腔鏡超音波およびMR分光法を使用して造られた1またはそれ以上の画像であってもよい。このような画像として、たとえば、X線画像、デジタルX線画像、コンピュータ連動断層撮影画像、MRI画像、MRA画像、MR分光画像、PET画像、MRV画像、SPECT画像、CEMRV画像、CT血管造影画像、CT骨髄画像、MR骨髄画像、フレア画像、二次元透視画像、三次元X線透視画像、二次元超音波画像、三次元超音波画像、超音波顕微鏡画像、腹腔鏡超音波画像、光学的画像、アイソトープ画像、レーザー距離画像、ラインアート、スケッチ、「漫画」描写、および/またはホログラフィー画像などが挙げられる。
【0034】
血管、腱、神経および脳の重要な領域のような避けるべき臓器は、自動的に、半自動的にあるいは手作業で画像データセット上に規定することができる。腫瘍、骨瘤、深部脳刺激の解剖学的標的、生検部位、移植場所の解剖学的部位、または解剖学的構造の他の領域のような、処置によって標的となる特徴部位も、自動的に、半自動的にあるいは手作業で画像データセット上に規定することができる。
【0035】
避けるべき特徴部位と規定された箇所に連結された画像データセットは、敏感な解剖学的構造の侵害が起こっていることを外科医に示唆する触知「キュー」を造るために使用することができる。これらのタイプのキューの一般的な機能は、装置に装着されている器具が、たとえば、規定した重要な特徴的部位に衝撃を与える状態から、触知装置を撃退する傾向がある力および/またはトルクを与えることである。同様に、標的とすべき特長部位と規定された箇所に連結された画像データセットは、触知アームに適切に装着された外科手術器具によって所望の標的領域に到達できることを外科医に示唆する触知キューを造るために使用することもできる。これらのタイプのキューの一般的な機能は、一旦それらが到達すると、触知装置をそのような状態に引き込む、または触知装置をこれらの状態にロックすることである。
【0036】
触知装置をコンピュータ使用外科手術システムの完全に一体化された要素として配備することができるが、触知装置をそのようなシステムの任意の周辺機器として作動させると利点がある。そうすれば、該システムは、触知装置の使用を必要としない処置のための使用には都合がよい。また、この取り組みに対しては、開発および構造上の利点がある。触知装置は、リアルタイムオペレーティングシステムまたは特別の動作制御ハードウェアを要求しがちで、触知制御システムのためのアップデートが高い頻度で生じるであろう。コンピュータ使用外科手術システムは、拘束画像処理ハードウェアとユーザー入力および出力装置の範囲に関する互換性要求という異なる要求が求められるであろう。したがって、異なる使用に合致する2つのコンピュータシステムを持つことは利点である。コンピュータ外科手術と触知アーム要素との分離は、また、安全性の点でも利点がある。したがって、触知装置は、高性能、安定、および安全な操作を確保するために必要なコンピュータソフトウェアとハードウェアだけを含むことが好ましい。該コンピュータ使用外科手術システムは、様々なグラフを表示し、様々なユーザー入力/出力装置を支援し、移植片および器具データベースのライブラリーおよび/またはこのようなシステムにおいて有用な他のいかなる機能性を管理する、病院のネットワークとつながるソフトウェアおよびハードウェアを含むこともできる。この構成は、また、触知装置を使用するアプリケーションを造るために、触知システムの最小知識を開発者に与える。これら2つのシステム間の物理的インターフェースは、シリアル、USBまたはその他のケーブル伝達インターフェース、または無線イーサネット(登録商標)、無線シリアル、赤外または他の無線伝達システムなど、有線でも無線でもよい。これらのシステム間のソフトウェアインターフェースは、触知装置の制御操作に対しコンピュータ使用外科手術システムを与える一連のコマンドを含む。たとえば、コンピュータ使用外科手術システムは、或る硬度パラメータをもつジョイスティックのような入力モードにエンターすることを要求する触知装置に、コマンドを送ってもよい。触知アームシステムは、パラメータが安全であるか、さもなければ受容可能かどうかチェックし、次いで、そのモード中に入るか、または適切なエラーメッセージで応答する。また、該コンピュータ使用外科手術システムおよび触知装置は、単一システムユニットに一体化されてもよいし、単一または多重プロセッサコンピュータ装置を使用して実施されてもよい。また、CASシステム、触知装置および/またはコンピュータ10は、画像化設備(たとえば、X線透視、CT、MRおよび/または超音波など)および/または医療処置が行われる部屋の中の設備カートのような、他の設備の一部と一体化されてもよい。
【0037】
図2を参照して、代表的な「触知対象」20は二次元仮想面である。しかしこれは一般的な触知対象の単なる例示であり、ゼロ次元(たとえばポイント)、一次元(たとえば仮想線または経路)、二次元(たとえば、仮想面または平面)または三次元(たとえば、仮想曲面、立方体または他の立体物)でもよく、単純なまたは複雑な幾何学的形状をしていてもよい。触知対象20は、患者の解剖学的構造114のような対象物の形に対して規定されているのが好ましい。触知対象20は、触知装置113の動きを案内および/または制約するように規定される。触知装置113と触知対象20との間の距離を、図2にXとして示し、患者の解剖学的構造114と触知対象20との間の距離をXlとして示す。触知対象20を、触知装置113上での力フィードバックの発生と関連づけて使用してもよい。また、力フィードバックの発生は、触知装置113が患者の解剖学的構造114に近づくときの速度、および/または触知装置113、触知対象20などの位置など種々の因子に依存する。触知対象20に対する触知装置113の現在の位置を計算するアルゴリズムを、触知対象20に対する触知装置113の位置に関する情報を外科医に提供するために使用してもよい。触知装置113が、触知対象20の所定の距離の範囲内に来た場合、硬度パラメータが変化し、触知装置113を動かすことがより難しくなるようにする。望ましい場合、力は、解剖学的構造114から遠ざかる方向にかけられ、解剖学的構造114に対する触知装置113の動きに抵抗する、または触知装置113は解剖学的構造114から遠ざかるように動く。
【0038】
仮想表面や壁のような剛性触知対象を使用することが適切でない場合もある。外科医は、触知装置によって硬く制約されたいかなる方向においても解剖学的構造を感じる能力を失うことはないであろう。多くの適用において、解剖学的要素の正確な位置確認は、単に、診断のデータセットをツール追跡システムまたは精密なロボット装置と組み合わせるだけでは達成することはできない。診断データセットが設定された後の解剖学的構造における変化、関心解剖学的要素および追跡システムのカメラや触知装置に関する運動学的連鎖における感知されない動作、レジストレーションエラー、および位置確認装置における不適切な記述が、位置決め誤差の一因となる。CASシステムを、手術用具を標的領域に非常に近づけて配置するように使用してもよいが、より正確なレジストレーションは難しく、あるいは極端に価格が高くなることが多い。上胸部中の椎弓根および骨棘のけい部スクリューの配置、深部脳神経外科手術など、ある医療処置においては、僅かな誤差が、行われた医療処置に悪影響を与えるかもしれない。したがって、これらのタイプの処置においては、外科医が解剖学的構造を感じる能力を保っておくのが望ましい。
【0039】
患者をCASシステムおよび患者の解剖学的構造の診断のデータセットに、たとえば、プローブを取り付け、少数の選択された解剖学的目印、移植されたフィデューシャルまたは目的の表面の複数のポイントに、それを接触させることによって登録するために、触知装置を使用することができる。診断のデータセットの触知検査のために、それらを使用して、この情報の視覚表示を増強することができる。この検査は、術中に現実の患者の解剖学的構造に登録しながら行ってもよいし、または術前に複数の仮想方法で行ってもよい。この触知検査は、二次元または三次元視覚表示上に適正に表示することが難しいまたは不可能なデータセットの複雑性または微妙な問題点を検査するために、外科医の接触に関する高度に開発された感覚を使用することができる、複雑な三次元構造を検査するために、特に有益である。
【0040】
従来の手動の外科手術を行いながら、外科医は、手術用具の正しい配置を確保するために、局所解剖学的要素に依存する。もし、外科医の患者の解剖学的構造を感じる能力が保たれていれば、外科医は局所解剖学的構造を検査し、これらのレジストレーションエラーを関心構造に関する彼の専門知識に基づいて修正できる。この方法で、手術室の向かい側に設置された追跡システムや、そのベースが患者に対して強く連結していないロボットより、むしろ近くの解剖学的要素によって最終的な配置が決定される。
【0041】
触知装置に結合された手術用具112の一部、たとえば、手術用具112の先端は、局所解剖学的構造の特性を感知するために使用されてもよい。局在解剖学的構造の特性は、手術用具112を位置づけるために、あるいは手術用具112の正しい位置決めを検証するために、使用されてもよい。ツールによって感知またはモニターされてもよい特性として、解剖学的構造の電気的特性、力、圧力、剛性、伝導率などが挙げられる。先端から得られる情報は、CASシステム11に返されてもよい。次いで、該情報は、望ましい場合、患者の診断画像データセットからの情報に相互に関連づけられる。望ましい場合、ツールからの情報は、画像データセットからの情報を増大あるいは交換するために、使用されてもよい。どちらのケースでも、情報は、手術用具112のよりよい配置のために使用されてもよい。
【0042】
ツールの配置設定または位置情報は、感知され、別のセンサーを使用することなく、CASシステム11に返されてもよい。外科医は、手作業で手術用具112を所望の位置まで動かしてもよい。所望の位置に関する手術用具112の先端の位置情報を、CASシステム11および/またはコンピュータ10によって、別のセンサーを使用することなく直接測定してもよい。解剖学的構造の他の特性は、手術用具112の先端にあるプレーシングセンサーによって感知されてもよい。センサーからの出力は、処置のためにCASシステム11に返されてもよい。
【0043】
収集された情報は、レジストレーションエラーに対するユーザーへの警告、レジストレーションエラーの全面的なまたは部分的な訂正、表示装置30上の情報のグラフ的表記の表示、ユーザーを補助するための触知対象の規定、および/または体構造の1またはそれ以上の画像が重ねあわされた表示装置30上の情報のグラフ的表記の表示など、種々の目的のために使用されてもよい。望ましい場合、収集された情報は、機械学習技術において使用するために、ログされてもよい。
【0044】
また、触知装置とCASシステムとの組み合わせは、診断のデータセットの触知検査とプランニングのための主力入力装置としての触知装置の使用を組み合わせるために有益である。このように、触知検査は、処置を行うための適切な計画へユーザーを自然に導く。付け加えて、ある状況では、処置を行うために正しい位置で触知装置およびこれと結合するツールを有することが可能であり、この検査/プランニング方法結果、触知装置を別の工程としての位置に動かす必要性がなくなる。
【0045】
図3Aを参照すると、ある処置においては、外科手術器具を小さな作業容積中に閉じ込めるのが好ましいことがある。この場合、該器具は全処置の間、触知対象の内部の作業領域内に留まる。あるケースでは、ある重要な特性を手作業で分割または規定する必要がある場合がある。しかし、殆どの適用では、診断のデータセットの分割は自動的に行われ、適切な触知フィードバックを提供するのに充分である。
【0046】
記載した実施形態では、1またはそれ以上の誘引性触知対象は、外科手術を行う標的領域に関連づけられ、1またはそれ以上の反発性触知対象は、外科手術中に避けるべき解剖学的要素に関連づけられる。たとえば、図3Aに示すように、触知対象22は、手術用具112の動きを制約するために作業範囲または容積を規定する。一方、図3Bに示すように、触知対象24は、手術用具112の動きを、神経25や器官27その他の重要な領域に近づかないように制約するために、作業範囲または容積を規定する。たとえば、触知対象が一旦規定されると、ユーザーは、誘引性触知対象からのキューがアクティブで、触知装置113に触れた場合、手術用具112が標的慮息に到達したと示唆する、または反発性触知対象からのキューがインアクティブで、手術用具112が規定された感度のある解剖学的領域のどこにも貫通していないことを示唆する場所を見つけるまで、触知装置113を押すことによって、計画された外科手術を行う。ほとんどの場合、これらの要求は、アームの状態を完全に制約せず、ユーザーは、ユーザーが適切と見たいかなる第2の判断基準に基づいたアプローチに対応しうるこの範囲内で、アームを動かすことができる。場合によっては、アームは複数の誘引性または反発性触知キューが反対方向に作動する平衡状態に達してもよい。
【0047】
ユーザーは、たとえ標的領域に到達していなくても、あるいは重大な解剖学的構造領域が侵されていても、この配置形態を対応しうる状態であると間違うかもしれない。ユーザーは、この局面を多くの方法、たとえば、可聴的あるいは視覚的インジケータまたは触知装置113の振動のような触知キューによって、警告される。次いで、ユーザーは、この局面をこの状態から触知装置を離すことによって訂正することができる。一旦状態がユーザーにとって満足いくものになれば、触知装置113は、ハードウェアブレーキ、制御サーボ技術、または他の適切な方法を使用して位置をロックし、外科手術のための安定な物理定数を提供することができる。
【0048】
もし微調整を望む場合は、動作スキャン、制約または他の方法を使用して、それがなければ外科医の手腕を超えるような訂正がなされるモードを使用して、触知装置を操作することができる。たとえば、制御サーボは、装置を所望に近い状態である有限剛性にロックすることができる。次いで外科医は、微調整を種々の方法を使用してこの状態にすることができる。たとえば、外科医は、タッチスクリーン、キーボード、マウス、トラックボールまたは音声入力を使用してもよい。望ましい場合は、外科医は、触知装置の端部を所望の方向に押してもよい。これらの入力に答えて、システムは、所望の状態を適切に、できれば触知装置の直接的な位置決めでは達成するのが難しい少加重で、調整する。状態の一部だけをロックし、外科医が1度でより限られた数の調整に集中できるのが望ましい。この微調整は粗い触知位置決めが終わった後、粗い触知位置決めと同時に、または粗い触知位置決めと交互に行ってもよい。
【0049】
たとえば、生体組織検査、腫瘍切除あるいは深部脳刺激のような脳神経外科手術のための軌道の選択は、複雑な3−D計画問題である。外科医は、脳の血管および敏感な範囲を避けながら、標的区域への経路を見つけ出さなければならない。もしこれらの領域が反発性触知対象になれば、そのような処置のプランニングは、発性触知対象が侵されていない適切な状態に落ち着くまで関心標的を通り抜け、ユーザーにこの点のまわりに装置を回転することを可能にするツールガイドの軌道を保つ触知制約を適用するように簡単であろう。
【0050】
図3Cは、外科手術の術中触知プランニングのための例示的な方法140のフローチャートである。触知装置113は、手術用具112が所定の外科手術のための外科手術取り組みに臨床上合理的な範囲の大きさの部分に配置されている手術室に配置されている。方法140を使用する外科手術プランニングは、患者が存在し、好ましくは触知装置113に連結する手術用具112はなしで行われる。手術用具112は、診断または治療の照射源のような非接触医療機器であってもよい。望ましい場合は、方法140を使用する外科手術プランニングは、触知装置113に連結する手術用具112を用いて行ってもよいが、後退した状態である。手術用具112が非接触医療機器を含む場合、動作不能状態であるのが好ましい。手術すべき患者の解剖学的構造の表示は、「仮想ツール」とともに表示装置30上に表示されてもよい。仮想ツールは、高忠実度表示であっても、または軸、点、または手術用具112の他の形のような手術用具112の図式的表示であってもよい。仮想ツールは、患者の解剖学的構造、および手術用具が、通常またはそのように操作可能な状態で触知装置113に連結していれば、手術用具112の位置および/または角度、またはそのある部分を知らせる。
【0051】
工程142で、触知装置113が患者の解剖学的構造に登録される。望ましい場合は、表示装置30上に表示された患者の解剖学的構造の表示は、診断またはプランニングデータセットにおける情報を物理空間における局在部位に訂正してもよいように、患者の解剖学的構造に登録されてもよい。現在知られているあるいは後に開発されるどのような登録方法も使用してよい。工程144で、標的領域が規定される。標的領域は、たとえば、腫瘍、骨瘤、深部脳刺激の解剖学的標的、および/またはボーンチャンネルなどがある。標的領域は、現在知られているあるいは後に開発されるいかなる方法で規定されてもよい。たとえば、外科医などのユーザーが表示装置30上に標的領域を手作業で同定してもよい。望ましい場合、外科医は、標的領域上の1またはそれ以上の点に触れることによって、またはツールで表示装置30上の標的領域を丸で囲むことによって、標的領域を規定してもよい。あるいは、外科医は、触知装置113のツール搭載軸を標的領域に向けることによって、または入力装置として触知装置113を使用することによって、標的領域を規定してもよい。同定された標的領域は、表示装置30上に自動的にハイライトされるのが好ましい。触知装置113のツール搭載軸は、どのような形をしていてもよく、たとえば、曲線状でも直線上でもよい。標的領域を規定する方法に関わらず、一旦規定されれば、確認のため、標的領域が表示装置30上に明瞭に表示されるのが望ましい。1またはそれ以上の、図3Aの触知対象22のような誘引性触知対象は、標的領域に関連づけられてもよい。
【0052】
工程146で、避けるべき解剖学的障害物が規定される。解剖学的障害物は、主要な血管、腱、神経、脳の重要な場所、器官、健全な骨、および/または他の組織など、外科手術の間避けるべき体の各部を含む。解剖学的障害物は、現在知られているあるいは後に開発されるいかなる方法を用いて規定されてもよい。たとえば、外科医は、表示装置30上に解剖学的障害物を手作業で同定する。望ましい場合、外科医は、解剖学的障害物上の1またはそれ以上の点に触れることによって、またはツールで表示装置30上の解剖学的障害物を丸で囲むことによって、解剖学的障害物を規定してもよい。あるいは、外科医は、触知装置113のツール搭載軸を解剖学的障害物に向けることによって、または入力装置として触知装置113を使用することによって、解剖学的障害物を規定してもよい。同定された解剖学的障害物は、表示装置30上にハイライトされるのが好ましい。解剖学的障害物を規定する方法に関わらず、一旦規定されれば、確認のため、解剖学的障害物が表示装置30上に明瞭に表示されるのが望ましい。1またはそれ以上の、図3Bの触知対象24のような反発性触知対象は、解剖学的障害物に関連づけられてもよい。望ましい場合は、複数の反発性触知対象が解剖学的障害物に関連づけられてもよいが、各解剖学的障害物は、それに関連づけられた反発性触知対象を1個持つのが好ましい。
【0053】
もし手術用具112が触知装置113に連結しているまたはもし手術用具112が操作状態にある場合は、工程148で、触知装置113が、好ましくは外科医によって、手術用具の適切な部分が標的領域と所望の関係を持つように配置される。たとえば、手術用具112が触知装置113に連結される場合、それは標的領域を貫通する。触知装置113に連結され、待避させられずおよび/または抑止されていない場合は、手術用具112は作動状態にある。工程148は、ツールがこの位置で、解剖学的障害物を交差するまたはしないに関係なく行われるのが好ましい。表示装置30上に表示された仮想ツールは、もし手術用具112が触知装置113上に搭載されていれば、またはもし手術用具112が正常運転状態にあれば、その位置および配向方向が手術用具112の位置および配向方向に対応するようにする。したがって、外科医は、仮想ツールが標的領域と適切な関係を持つように装置30の表示を見ながら、触知装置113を所望の状態に位置決めしてもよい。
【0054】
工程152では、仮想ツールが解剖学的障害物を交差しているかどうかについての決定がなされる。もし仮想ツールがいかなる解剖学的障害物にも交差していなければ、工程162で始動するプロセスが実行される。そうでなければ、工程154で始動するプロセスが実行される。工程154では、触知キューが触知装置113によってユーザーに提供される。触知キューは、1またはそれ以上の触知対象、たとえば、標的領域に関連づけられた誘引性触知対象および/または解剖学的障害物に関連づけられた反発性触知対象に基づいて、ユーザーに提供されてもよい。反発性触知対象が、仮想ツールが解剖学的障害物を交差する状態から触知装置113を遠ざけるように案内する力および/またはトルクを生み出す。反発性触知キューは、仮想ツールが反発性触知対象を貫通する場合、または反発性触知対象に接近している場合、アクティブなのが好ましい。誘引性触知対象は、触知装置に、仮想ツールが標的領域との所望の関係を持つ状態に対して触知装置113を案内する力および/またはトルクを発生させる。
【0055】
触知装置113の位置は、たとえ仮想ツールが解剖学的障害物を侵害しても、複数の触知対象からのキューを相殺するようにすることも可能である。このように、工程156では、複数の障害物からの触知キューが相殺しているかどうかについての決定を行う。もし複数の障害物からの触知キューが相殺していなければ、工程158で始動するプロセスが実行されてもよい。もし複数の障害物からの触知キューが相殺していれば、工程160において、特別な触知キュー、たとえば振動、を提供し、局面にいるユーザーに警告を発し、工程158で始動するプロセスを実行してもよい。
【0056】
工程158では、触知装置113が、好ましくは外科医によって動かされる。触知装置113は、少なくとも部分的に触知装置113に備わる触知キューに基づいて外科医に動かされるのが好ましい。触知装置113に連結された手術用具112の位置は、仮想ツールによって追跡され、表示装置30上に表示される。平衡状態が見つかるまで、ユーザーが触知装置113を動かすのが好ましい。該平衡位置において、誘引性触知対象によって造り出されたキューはアクティブであり、反発性触知対象によって造り出されたキューは非アクティブである。次いで、工程152で始動するプロセスが実行され、仮想ツールが解剖学的障害物と交差しているかどうかが決定される。
【0057】
工程162では、ユーザーが標的領域への軌道に満足しているかどうかについての決定が行われる。ユーザーはこの決定を、表示装置30上に描かれる標的領域に対する仮想ツールを見ることによって行ってもよい。もしユーザーが仮想ツールの位置および/または配向方向に満足でなければ、工程158で始動するプロセスが実行されてもよい。もしユーザーが標的領域および障害物に関する仮想ツールの位置および配向方向に満足であれば、工程164で始動するプロセスが実行されてもよい。ユーザーは、1またはそれ以上の多くの方法でその満足を知らせてもよい。たとえば、ユーザーは音声コマンドを発して、仮想ツールの位置および配向方向に満足していることを知らせてもよい。望ましい場合、ユーザーはフットペダルをアクティブにして、またはボタンをコンピュータ支援手術システムまたは触知装置113に関連づけて、その満足を知らせてもよい。望ましい場合、ユーザーはその満足を、コンピュータ支援手術システムまたは触知装置113に関連づけられたタッチスクリーン、キーボードおよび/またはマウスなどを介して知らせてもよい。工程164では、触知装置113は、現状の状態にロックされてもよい。
【0058】
触知装置113の状態が一旦ロックされると、たとえば、手術用具112を触知装置113に連結して、または手術用具112を充分に機能するあるいは操作できる配置形態に配置することによって、外科手術が行われてもよい。解剖学的構造に対する手術用具112の状態はすでに仮想ツールの補助で決定されているので、触知装置113に連結された場合、または使用のために構成された場合、手術用具112はアクティブになる。
【0059】
説明した、外科手術の術中触知プランニングのための方法は、ソフトウェア、ハードウェア、あるいはソフトウェアとハードウェアとの両方の組み合わせにより実施されてもよい。ここで検討した工程は、記載された順番で行う必要はない。数種の工程を互いに同時に行うことができる。さらに、望ましい場合は、本発明の範囲を逸脱しない限り、1またはそれ以上の前記工程は任意であってもよいし、組み合わせてもよい。さらに、1またはそれ以上の前記工程は、手術室で費やされる時間を節約するために、手術室の外で行ってもよい。たとえば、工程144および146は、患者を手術室に運ぶ前に、および工程142の前に行ってもよい。
【0060】
外科手術の術中触知プランニングのこの例示的な実施形態の技術的利点は、プランニングと外科手術の実行段階とのより緊密な連携を提供することである。外科手術のためのプランニングは、患者に関して、術中に行われるのが好ましい。したがって、プランニングが完了した場合、触知装置を、外科手術プランを実行するための配置に置く。実行段階を始めるための触知装置の追加の動きは必要とされない。さらに、仮想ツールを使用することによって、プランニング段階中に、標的領域への実際の手術用具による軌道の決定、解剖学的要素への損傷は避けられる。
【0061】
触知対象はどのような形またはサイズであってもよい。図4Aに示すように、触知対象26は、漏斗形状をし、医療機器、たとえば患者の解剖学的構造114上の標的区域に向かう触知装置113に連結する手術用具を案内してもよい。触知対象の経路は、外科手術プランに依存してもよい。アルゴリズムは、図4Aに示す漏斗形状触知対象を造るために使用されてもよい。漏斗形状触知対象を造るために望まれる情報は、外科手術プランに基づいてもよい。望ましい場合、触知対象26は触知装置113とともに動く。これは触知装置113の現在の位置から標的区域に向かう手術用具の案内を可能にする。したがって、手術用具は解剖学的構造114に近接するどのような位置からも標的区域に対して案内される。さらに、手術用具は現状の状態から所望の状態へ案内されてもよい。
【0062】
触知対象26はどのような形でもよく、たとえば、線、曲線、円柱状および/または漏斗状などがある。示された例示における触知対象26は、仮想の経路として規定され、触知装置113に連結する触知装置113および/または手術用具112の所望の位置での対話型位置決めを容易にする。触知対象26は、触知装置113に連結する手術用具112を、患者の解剖学的構造114に関し、初期位置および/または状態から標的区域および/または所望の状態へ案内する。望ましい場合、触知対象26は手術用具112を経路または軌道28に沿って標的区域へ案内してもよい。初期位置から標的区域への経路または軌道28は、外科手術プランに依存してもよい。経路はどのような形をしていてもよく、たとえば、直線、曲線、漏斗および/または円柱状などがある。触知対象26の少なくとも部分に基づいて、ユーザーが手術用具または触知装置を動かすにつれて、触知力が、触知装置113に加わり、標的区域に向かう経路28に沿って手術用具112を動かすようにユーザーを案内する。
【0063】
触知対象26は操縦型または再構成可能型であるのが好ましい。たとえば、触知対象は、触知装置(または手術用具、またはそれに連結する器具)が動くように、位置および/または配向方向を動かすまたは変更するように規定されてもよい。これは、たとえば、ユーザーに、解剖学的構造114に近接する殆ど全ての位置から標的区域に向かって手術用具112を案内することを可能にする。触知対象26のこの再構成可能性または操縦性は、また、ユーザーに、手術用具112を現在の位置および/または状態から所望の状態に案内することも可能にする。
【0064】
また触知対象26は、障害物を避けるために、好ましくは標的区域から逸脱することなく、所定の経路または位置から動かすことも可能である。これは、コンピュータ支援手術システム11が認識しない触知装置113の経路中にある障害物を避けるために、特に有用である。したがって、手術用具112は、他の手術用具および設備、患者または手術室のスタッフに衝突することなく標的区域に向かって、ユーザーによって操縦されてもよい。
【0065】
好ましい実施形態では、操縦、移動、または再構成は、しきい値を超えた力またはトルクが触知装置または触知対象上にかかったことに応えて起こる。たとえば、もしユーザーが触知装置113を触知対象に対してしきい値を超えた力で押せば、触知対象は、投入された力またはトルクに基づいて新しい配置形態に再配置され、再構成され、あるいは修正される。触知対象26は力またはトルクの方向に動き、それによって触知対象26を再位置決めまたは際整列する直感的な方法を提供するのが好ましい。
【0066】
望ましい場合、もし標的区域が変われば、触知対象26が新しい位置に動いてもよい。したがって、図4Aに示すように、触知対象26は、標的区域における変化に応えて、初期位置から、触知対象26’によって示される新しい位置に動かされてもよい。
【0067】
別の実施形態では、触知対象26は、触知装置113の1またはそれ以上のジョイントに理論的にかかる、仮想の線状または非線状バネ、ダンパーおよび/またはクラッチとして、規定されてもよい。触知装置113の1またはそれ以上のジョイントは、触知装置113の最終的に望む状態に対応した、仮想のデテントを含んでもよい。標準的なジョイント空間制御技術が、各ジョイントで触知対象を導入するために使用され、触知装置の所望のデカルト位置および/または角度に対応するジョイント位置を決定するために、従来の逆運動学技術が使用されるのが好ましい。ユーザーは、触知装置113のジョイントがそれらのデテントに「ロック」する配列を特定することによって、障害物を避けてもよい。特に、もし配列が試行錯誤法によって決定される場合は、ユーザーは、手術用具112の位置決めの間、選択された配列を「ロック解除」ジョイントによって修正することが容認されてもよい。ユーザーによるジョイントの対話型ロックの解除は、そのジョイントでのユーザーによる力および/またはトルクの規模、持続時間または動力学的特性に基づいてもよい。触知装置113に互いに通信できるように連結する、図形式のユーザーインターフェース、フットスイッチ、キーボードおよび/またはボタンなどは、ジョイントを解除して使用してもよい。所望により、一旦所望の状態に達したら、ジョイントを解除する能力を、触知装置113の不注意な動きを阻止するために、無効にしてもよい。
【0068】
その他の別の実施形態では、触知対象26は、触知装置113の1またはそれ以上の重複する自由度に理論的に関連づけられる、仮想の線状または非線状バネ、ダンパーおよび/またはクラッチによって規定されてもよい。たとえば、もし4つのジョイントを含む触知装置が手術用具112の先端を配置するために使用される場合、該先端の位置に影響を及ぼすことなく、触知装置113を自由度の一つに沿って動かしてもよい。触知対象26を、重複する自由度に関連づけ、ユーザーに、触知装置113の位置を対話形式で修正することを容認してもよい。
【0069】
図4Bは、たとえば、全てが図4Aに示される、再構成型または操縦型触知対象26を使用して手術用具112を触知装置113に搭載した医療機器の対話型触知位置決め方法170のフローチャートである。望ましい場合は、触知対象の再構成性は、ユーザーがこの機構を、適応によってまたは特定の適応の工程によってオンまたはオフにしてもよいようなユーザー構成型であってもよい。再配置形態機構が使用可能である場合、方法170は周期的に実行されるのが好ましい。
【0070】
工程172では、決定は、医療機器が所望の状態にあるかどうかに関して行われる。この決定は、触知装置に一体化されてもよいエンコーダやレゾルバーのような位置センサーの1またはそれ以上の検出情報を使用して行ってもよい。望ましい場合は、この決定は、レーザー干渉計、カメラおよび/またはその他の追跡装置のような外部装置からの検出情報を使用して行ってもよい。
【0071】
もし、工程172において、医療機器が所望の状態にあることが決定されると、工程174では、医療機器の状態を保つための触知相互作用力および/またはトルクが決定される。この決定は、所望の状態に関して、触知装置および/または医療機器の位置および/または速さの少なくとも一部に基づいてなされてもよい。たとえば、ロバスト制御、適合制御、ハイブリッド位置/力制御、比例微分(PD)制御、比例積分微分(PID)制御、デカルト系制御、逆ヤコビアン制御および/または転位ヤコビアン制御などの、現在知られているあるいは後に開発されるどのような制御アルゴリズムもこの決定のために使用してよい。検出された触知相互作用力および/またはトルクは、変換され、触知装置に提供されてもよい。もし工程172において、医療機器が所望の状態にないことが決定されれば、工程176において、触知対象内に医療機器を保持する触知相互作用力および/またはトルクが、医療機器が標的区域に向かって案内されてもいいように決定される。
【0072】
工程178において、工程176で計算された触知相互作用力および/またはトルクの少なくとも一つのスカラー値の関数の結果が、少なくとも一つの再配置形態しきい値を超えているかどうかに関して決定がなされる。再配置形態しきい値は、ユーザーが構成可能であってもよい。スカラー値の関数は、1またはそれ以上の入力値に基づいた値を計算する。例示的な実施形態では、スカラー値の関数は、入力値の二乗の合計の平方根であってもよい。スカラー値の関数は、1またはそれ以上の触知相互作用力に当てはめてスカラー値としてもよい。得られたスカラー値は、再配置形態しきい値と比較してもよい。方向および/または持続時間などのような触知相互作用力および/またはトルクの力学的特性もまた考慮してもよい。
【0073】
もしスカラー値の関数がどれも再配置形態しきい値を超えない結果の場合、プロセスは終わる。そうでなければ、工程180において、触知対象26は、触知相互作用力および/またはトルクの少なくとも部分に基づいて変更される。たとえば、もし外科医が触知装置を、実際、触知対象に対して押すように触知装置を案内した場合、触知対象内に触知装置を保持するために発生した触知相互作用力および/またはトルクのスカラー値の関数の値は、再配置形態しきい値を超えるかもしれない。そのような場合、たとえば、外科医によって与えられた力の方向に関し、手術用具を触知対象内に保持するように、触知対象を変更するのが望ましい。触知対象の変更として、触知対象のサイズの変更、触知対象の形の変更、および/または患者の解剖学的構造に沿って触知対象を回転させることが含まれてもよい。
【0074】
医療機器の対話型触知位置決めのこの例示的な実施形態の技術的な利点は、触知相互作用力および/またはトルクに基づいて触知対象を変更し、より大きな柔軟性を外科医に提供することにある。したがって、外科医は、他の手術用具および設備、患者、または手術室のスタッフに衝突せずに、標的区域に接近し、さらに、外科医に標的区域への手術用具の案内を可能にする触知キューも提供される。
【0075】
再構成可能な(最配置可能、操縦可能)触知対象を用いる触知装置の対話型位置決め方法の記載した方法は、触知装置を動かすのが望ましい場合、たとえば手術用具などの医療機器のような任意の関心構成要素を、混みあうまたは重要安全環境内などの、いかなる局面においても使用してよい。望ましい場合、触知装置それ自身が関心構成要素であってもよい。記載した方法は、仮想制約および/または触知キューが使用され、関心構成要素を所定の位置および/または配向方向へ動かし、安全および他の懸念が自律的装置の動きを望ましくないものにする処置のような、種々の適応において使用されてもよい。たとえば、該方法は、たとえば、表面デジタイジング、サンプル収集、回路基盤検索、手動組み立て、機械的および/または電気的構成部品または組み立て品の製造または試験および/または素材処理のような、インプラント埋植術、生体組織検査処置、治療的移植片の堆積、解剖学的構造の体内または体外の診断触診法、腫瘍の切除、放射線治療、美容的または商業的スクラプティング、美容的または商業的ペインティング、科学的または工学的実験に使用されてもよい。
【0076】
リハビリテーションおよび/または理学療法の適用のために、矯正装具を使用する患者に触知装置を連結してもよく、それは、患者にハンドルを握ることを要求する。このような実施形態では、触知装置はユーザー操作パネルを持つコンピュータシステムに連結されてもよい。コンピュータシステムは、CASシステムであってもなくてもよいが、リハビリまたは理学療法に適用するように設計されたコンピュータシステムである。望ましい場合は、コンピュータシステムは、コンピュータ10に一体化されていてもよい。矯正装具は、望みどおりのきっちりとしたまたはルーズな連結を提供するために、ストラップ、サスペンダ、外殻部またはギブス機構が備わっていてもよい。矯正装具は、触知装置がリハビリの動きや他の運動を案内、モニターおよび/または補助することを可能にする。たとえば、患者またはセラピストが患者の腕または足を触知装置に連結し、触知装置がその動きの特性を記録しながら、所望の動きに導いてもよい。すると、該動きは、セラピストの補助なしで、複数回繰り返すことができる。また、触知装置は、患者が動くためにはどのくらいの努力が必要か知ることによって、または動くための患者の努力をモニターするために、または患者が触知装置と連動する位置またはその近くの触知装置に連結してもよい装置を検出する力の使用を通して、動くための患者の努力をモニターするために、使用してもよい。また、患者の動きを、彼ら自身の強さを用いて規定された経路に沿って進むことを患者に要求する規定された経路に単に制約するために、触知装置を使用してもよい。患者と触知装置との間に共有される努力のあるモードは有利でもある。この方法を用いる場合は、1またはそれ以上の四肢において部分的な機能しか持たない患者に非常に近くに接近するので、触知装置は安全な方法で操作されることが望ましい。なぜなら、触知装置が新しい位置に自動的にまたは自律的に動くことは理解できるであろう。しかし、たとえば、初期取り付けまたは患者による把握を可能にするために、触知装置を異なる運動の間、同じ運動の繰り返しの間、またはリハビリの動きまたは運動を行っている途中で、異なる出発点に動かすように、触知装置を再位置決めすることが望ましい。理学セラピストは、再位置決め触知装置として対話型入力を準備してもよい。望ましい場合は、患者は、触知装置と相互にやり取りしながらそのような入力を行ってもよい。
【0077】
再構成型または操縦型触知対象を使用する手術用具の対話型触知位置決めのための記載した方法は、ハードウェア、あるいはソフトウェアとハードウェアとの両方の組み合わせにより実施されてもよい。ここで検討した工程は、記載された順番で行う必要はない。数種の工程を互いに同時に行うことができる。さらに、望ましい場合は、本発明の範囲を逸脱しない限り、1またはそれ以上の前記工程は任意であってもよいし、組み合わせてもよい。
【0078】
次に、図5を参照すると、ユーザーが触知対象20などの触知対象と相互作用する場合、触知対象にかかる力の大きさ、または現実のまたは仮想ツールまたは移植片が触知対象を貫通する量を知ることが望ましい場合もある。重要な触知対象、または複雑な二次元または三次元形態を伴う触知対象に関して、この情報をユーザーに理解するのに簡単な方法で提供することは難しいかもしれない。しかし、所望の情報の一片は局在貫通距離または触知反発力であることが多い。これらは、三次元ベクトル量までであるが、できれば触知対象の局在単位法線の方向における、このようなベクトルの大きさ(または長さ)は、ユーザーの触知相互作用を増強するには最も有益である。これらの大きさは、単なる一次元量であり、ユーザーに、計測器、文字盤、数値表示盤、グラフ、および他の視覚的方法、ばかりか聴覚的、触知的、触知または他の方法などを始めとする、種々の方法で伝えることができる。
【0079】
完全なメッセージが直接触知装置113によって外科医に伝えられるが、視覚的または聴覚的表示は、ユーザーとシステムとの間の豊かな相互作用を支援するために使用することができる。たとえば、周知の市販されている言語認識技術を、コンピュータ支援外科手術システムに情報や支持を通信する言語的方法をユーザーに提供するために、使用することができる。また、コンピュータ支援外科手術システム11からの音声出力が、現状情報、警告メッセージ、イベント通知、およびユーザー照会の答えなどを始めとするユーザーに対する情報を、言語的な通信で、あるいは他の方法で、通信するために使用されることもできる。コンピュータモニター、投写型ディスプレイ、ウェラブルディスプレイ、ヘッドマウンデッドディスプレー、立体映像、ホログラフ式ディスプレイおよび/またはその他の視覚表示装置を、概略的診断図、診断データセットの画像、外科手術用の支持またはガイド、仮想触知対象の表示、システム状況情報、患者情報、および視覚表示を通して簡単に通信される他の情報を提供するために使用することができる。他の入力または出力装置のいかなるものも、ユーザーとコンピュータ外科手術システムとの間の触知相互作用を増強するために、同じように使用することができる。
【0080】
外科手術装置の深さ、力および/または速さの予定された剛性の触知対象への侵入の視覚的および/または聴覚的ディスプレイが提供される。触知対象は、コンピュータ支援外科手術システムからの情報に基づく。ディスプレイは、触知対象への外科手術装置の局在侵入の大きさの通信を促進するために、一次元である。
【0081】
触知装置は、外科手術の間、たとえば、ツールを安定に保持する、切断をまっすぐに行う、またはツール先端を経路または表面に沿って動かすなどのタスクにおいて、外科医の行為を増強するために使用されてもよい。該触知装置は、移植医療機器のための解剖学的構造の配置および準備において、支援するために使用される機械的切断ジグおよび配列器具を交換することができる。仮想触知表面は、物理的切断ブロックを交換するために使用してもよい。この場合、仮想触知表面は、移植片のモデルから簡単にかつ経済的に造りだすことができるソフトウェアエンティティーであることが好ましい。仮想触知表面は、横たわる解剖学的構造によりぴったりと合い、かつ骨や組織の分離が殆ど起こらない移植片設計が可能な曲線形状を持つものとして造ることができる。
【0082】
骨のような対象物のスカルプティングは、骨中でおよび/または骨の表面において造られるのに、頻繁に複数の平面機構を求める。触知対象は、そのようなスカルプティングにおいて援助するために規定されてもよい。規定された触知対象の形は、スカルプティング後に得られる、対象物の所望の形に実質的に対応してもよい。対象物および触知対象は、突然の転換のあるセグメントまたは表面を持ってもよいし、および/または短い曲率半径の部位を持ってもよい。このような状況のため、触知装置に連結し、対象物をスカルプトするために使用される手術用具が、1セグメントから急激に落ち、対象物や対象物の近くにある他の物に意図しない損傷を与えたり、ユーザーを動転させたり妨害したりする可能性がある。セグメントは、一次元、二次元または三次元であってもよい。
【0083】
この問題に対処するために、触知対象の1セグメントから他のセグメントへの次の突然の転換から手術用具または触知装置を未然に防ぐために、スカルプティング中、触知対象を動力学的に変形する。1セグメントから他への手術用具または触知装置の突然の転換を阻止することが望ましい場合にのみ限り、触知対象は変形された形の中に留まるのが好ましい。切断または切断の一部が一旦完了すると、触知対象は、たとえば、始めの形、サイズおよび/または配向方向など、その始めの配置形態に戻ってもよい。触知対象の変形は、触知対象の1セグメントから該触知対象の他のセグメントへの次の突然の転換から手術用具を未然に防ぐ他の触知セグメントを造ること、触知対象の既存のセグメントを、たとえば、既存のセグメントをその境界などを超えて伸ばすことによって、変形することが含まれてもよい。
【0084】
図6Aは、高い曲率を持つ対象物の触知スカルプティングのために使用される例示的な触知装置を示す。図6Bは、高い曲率を持つ対象物の触知スカルプティングのための例示的な触知対象20を示す。次に、図6Aおよび6Bを参照すると、触知対象の支援を含む解剖学的領域のための所望の形は、鋭い外部端部を含んでもよい場合もある。これらの端部が滑り落ち、解剖学的構造で得られる輪郭において、端部および他の無用の人工産物を丸めることになく、切断を正しく実行するのは難しい。これらのタイプの形を製造する改良された方法として、触知表面の部分を動力学的に有効にしたり無効にしたりする方法が挙げられる。特にこの方法は、もし触知対象が、図6Aおよび6Bに示すように、端部によって結合する2つの部分の間の局部角度が180°未満である鋭い外部端部を少なくとも一つ含む場合、役に立つ。該方法は、これらの部分から一つを選択する方法を含み、ここで記載したユーザー入力モダリティのいかなるものも含んでもよい。しかし触知対象に対する近接度に基づく方法が好ましい。複数の部分から一つが選択されると、触知対象のその部分が結合端部を越えて伸び、連続する案内表面を提供する。伸張がもはや求められなくなると、ユーザーは、触知アームを該部分から遠ざけることによって、または他の入力モダリティを使用することによって、触知対象を元の配置形態に戻すことができる。
【0085】
たとえば、全または一区画膝置換手術において、大腿移植片用の大腿骨を造るために、複数の平面切断がしばしば求められる。触知対象は、所望の大腿部切断に密接に関係のある部分を含むソフトウェアで規定される。実験では、ユーザーが、全触知対象を用いる触知アーム中に搭載された切断バーを用いて骨の切除を試みた場合、1部分から他の部分に滑り、しばしば所望の範囲を超えてバーが動くことなく、まっすぐな切断を行うことは難しい。この滑りは、腱、血管、じん帯およびその他の構造物に損傷を与え、ユーザーを動転させる結果となる。もし代わるなら、ユーザーが切断バーを該部分の至近距離内に持ってきた場合、触知対象の各切断面が伸び、局部解剖学的部位を越えて動くことなく、まっすぐな切断をより容易に造る。該部分はそこから単に後退させるだけで最初の範囲に戻り、その場合、ユーザーは、切断バーを他の部分に接触させ、同じようにして、それらを伸ばす。フットペダル、音声コマンド、他の入力モダリティは、各面の伸張を制御するために使用することができるが、前記好ましい方法においてそれらを制御すれば、追加のハードウェアを必要とせず、ユーザーにとって非常に簡単である。しかし、触知対象および伸張された部分の視覚表示は、また、特に切断への彼らの視界が障害物または低侵襲的な治療方法のため制限されている場合、より複雑な触知対象に関するユーザーの理解を手助けのために役に立つ。
【0086】
図6Aに触知対象を動力学的に伸ばす例示的なシステムを示す。対象物の表示、たとえばスカルプトすべき患者の解剖学的構造は、表示装置30上に表示してもよい。対象物の表示は、二次元または三次元図面または画像を含んでもよい。画像は、たとえば、患者の二次元医療診断データセットまたは三次元医療診断データセットでもよい。図6Aでは、触知対象20は、端部21に規定されたウェルによって分けられた2つの異なる部分(20’および20”)を含む。触知装置113、手術用具または仮想の手術用具が、一部分、たとえば部分20’、の所定の距離、たとえばR1、内に来た場合、触知対象20のその部分がアクティブになる。望ましい場合、図6Aの破線23によって示すように、触知対象20のアクティブな部分を伸ばしてもよい。触知装置113が他の部分の所定の距離、たとえば部分20”、内に動いた場合、触知対象20の新しい部分がアクティブになってもよい。望ましい場合は、触知対象20の該新しくアクティブになった部分が伸びてもよい。
【0087】
高い曲率を持つ触知対象20は、理論的に、高い曲率を持たない複数の部分またはセグメントに分割され、あるいはそれにより近似されるのが好ましい。たとえば、図6Aに示すように、触知対象20は、端部21によって分離された、複数の部分20’および20”に理論的に分割されてもよい。触知対象を複数のセグメントに理論的に分割することは好ましいが、該触知対象自体は、複数のセグメントの理論結合を用いて規定されてもよい。たとえば、複数のセグメントが一体的に規定され、触知対象が複数のセグメントの1またはそれ以上の理論結合として規定されてもよい。望ましい場合、触知対象は、それらのあるものあるいは全部がラベルされている、体積要素またはボクセルの規則的なあるいは不規則な整列を含んでもよい。この方法では、物体の表面上のボクセルにのみラベルするのが好ましいかもしれない。
【0088】
図6Cは、図6Aおよび6Bの触知対象20のような触知対象を動力学的に変形する方法120のフローチャートである。望ましい場合、動的変形機構は、該適用または特定の適用の工程に依存してこの機構のスイッチを入れたり消したりする、ユーザー構成可能であってもよい。動力学的変形動的変換機構が可能である場合、方法120は周期的に実行されるのが好ましい。
【0089】
工程122において、触知対象、たとえば触知対象20、の配置形態が、たとえば、触知対象のセグメントを変形することによって、または新しいセグメントを加えることによって、すでに変形されているかどうかについての決定がなされる。好ましい実施形態では、もし触知対象20がすでに変形されている場合は、配置形態フラグの値を決定するためにチェックしてもよい。もし触知対象20がまだ変形されていない場合は、工程124で、触知対象20の配置形態を変形するための1またはそれ以上の基準が満足いくかどうかについての決定が行われる。基準は、触知対象20に対する触知装置113に連結する手術用具112の近接度、手術用具112による触知対象20の侵入、手術用具112の所作の動き、触知対象20の位置に対する手術用具112の所作の動き、一定のあるいは種々の時間および/または端部21を越えた望ましくないずれの決定などであってもよい。望ましい場合は、基準は、触知対象20に対する手術用具112の表示の近接度、手術用具112の表示による触知対象20の境界線の侵入および/または触知対象20の位置に対する手術用具112の表示の所作やその他の動きなどである。触知対象20の配置形態の変形が、触知対象20のセグメントを変形することを含む場合、セグメントのどれかが変形されるべきかを決定するのに、同じ基準が使用されるのが好ましい。しかし、望ましい場合は、異なる基準に基づいて、異なるセグメントが変形されてもよい。そのような実施形態では、複数のセグメントのそれぞれが、それに関連づけられた1またはそれ以上の基準を持ってもよい。
【0090】
もし工程124において、触知対象20の配置形態を変形するための少なくとも一つの基準が満足であると決定されれば、工程126において、変形されるべきセグメントが選択される。あるいは、新しい触知セグメントが造られる近傍のセグメントが工程126で選択されてもよい。別の実施形態では、もし一組の基準の所定の理論結合が満足された場合、工程126で始動するプロセスが実行されてもよい。触知装置113に最も近いセグメントが選択されるのが好ましい。しかし、望ましい場合は、セグメントを選択するため他の基準が使用されてもよい。たとえば、もし手術用具112がこの前の方法120を実行してから、複数のセグメントの間の端部を横切れば、横切られた端部に関連づけられたセグメントの一つが選択されてもよい。あるいは、手術用具112が侵入しているセグメントが選択されてもよい。工程128では、選択されたセグメントの配置形態が、好ましくは選択されたセグメントを触知装置113が動く方向に伸ばすことによって、変形される。配置形態フラッグは、触知対象20が変形されたことを示すように設定してもよい。
【0091】
選択されたセグメントの配置形態を変形する方法は、触知対象を表す方法の少なくとも一部に基づくのが好ましい。この表示は、表面多角形、ボクセル、ノンユニフォームラショナルBスプライン(NURBS)、コンストラクティブソリッドジオメトリーおよび/または触知対象を表す方法であって、現在知られているあるいは後に開発される他のいかなる方法に基づいてもよい。変形されたセグメントは、どのような方法で表されてもよく、元の触知対象を表すのに使用された方法と同じであってもなくてもよい。選択されたセグメントは、伸張された部分が、高い曲率端部の一つに沿ったセグメントとつながるように伸びるのが好ましい。伸張部は平面でも曲面でもよい。該セグメントは、元のセグメントを越えた固定距離または可変距離に伸ばされてもよい。あるいは、触知対象のほかの部分または作業場の端部と交差するように伸ばされることもできる。セグメントを伸ばすために使用される方法は、伸張を表すために使用される方法に依存する。たとえば、もし触知対象が表面多角形で表されるのなら、関心セグメント内に横たわり、その境界線の一つに隣接する多角形が認識される。元のセグメントを越えて横たわり、元の多角形と同じ法線方向を有する隣接したセグメントも使用可能である。ボクセル表現に関しては、ボクセルはラベルされ、それらは個体として振舞うか、または触知対象の配置形態用の空間の範囲が自動的に、半自動的にまたは手作業で設計された、異なった伸張されたセグメントで満たされるかを示す。選択された隣接セグメントは、触知対象に加えられてもよい。したがって、図6Aに示されるように、もし触知対象20の部分20’が選択されたセグメントの場合、部分20’は、たとえば破線23に示されるように、その元の境界線を越えて伸びてもよい。あるいは、望ましい場合は、新しい触知セグメントは、選択されたセグメントに近接するように造られてもよい。
【0092】
工程130では、触知対象のための触知相互作用力および/またはトルクが計算される。触知相互作用力および/またはトルクは、伝達され、触知装置113に提供されてもよい。たとえば、所望の触知相互作用力および/またはトルクが発生するように与えられるために、触知装置のアクチュエータ用の適切な力およびトルクを計算することが望ましいかもしれない。場合によっては、所望の効果を得るために、アクチュエータに対する位置または速さコマンドを変更することが望ましいこともある。選択されたセグメントからの触知相互作用力および/またはトルクは、スカルプトすべき対象物114から遠ざかる、該対象物に向かうまたは該対象物と一直線に並ぶ方向に触知装置113を案内するように使用されてもよい。触知相互作用力および/またはトルクは、反発性、誘引性、摩擦性、粘性、衝撃的な、デテントおよび/または調整性(たとえば、切断速度または供給速度を保つように設計された)などであってもよい。望ましい場合は、触知相互作用力および/またはトルクは、計算されてもよい。数理的に、制御理論で、または 機械学習アルゴリズムを使用して計算されてもよい。
【0093】
もし工程124で、触知対象20の配置形態を変形するための基準が満足でないと決定された場合、工程130で始動するプロセスが実行されてもよい。
【0094】
もし工程122で触知対象20の配置形態がすでに変形されたと検出された場合、工程134で、変形された配置形態において触知対象20を保つための1またはそれ以上の所定の基準が満足かどうかに関して、決定がなされる。これらの基準は、触知対象20の配置形態が最初に変形された場合に考えられた基準と同じでも同じでなくてもよい。もし変形された配置形態において触知対象を保つための基準の少なくとも一つが満足の場合は、工程130で始動するプロセスが実行されるのが好ましい。さもなければ、工程136で、変形された触知対象がその元の配置形態に戻る。配置形態フラグは、触知対象20が変形されていないことを知らせるために、リセットされてもよい。工程136の実行の後、工程130で始動するプロセスが実行されてもよい。
【0095】
代替の実施形態では、もし工程134において、一組の基準の所定の理論結合が満足であると決定された場合、工程130で始動するプロセスが実行されてもよい。
【0096】
図6Aで説明するように、触知装置113に連結する触知装置113または手術用具112が、触知対象20の一部の所定の距離Rl内、たとえば部分20’に来た場合、触知対象20のその部分がアクティブになり、破線23によって示すように、その元の境界線を越えて伸びるように変形してもよい。触知装置113または手術用具112は、部分20’に非常に近接しているまたは部分20’との接触を保っているものの、部分20’は引き続き変形している。部分20’に対応した対象物114の部分を所望の形にスカルプトしている時間、手術用具112が使用されてもよい。部分20’に対応する対象物114の部分のスカルプティングが完了した場合、ユーザーは、触知装置113を部分20’から遠ざけるように動かしてもよい。次いで、部分20’は、その元の配置形態に戻ってもよい。触知装置113または手術用具112が触知対象20の他の部分の所定の距離内、たとえば部分20”、に動いた場合、触知対象20の部分20”はアクティブになり、その元の境界線を越えて伸びるように変形する。
【0097】
触知対象を動力学的に変形する説明した方法は、様々な用途、たとえば、仮想制約および/または触知キューが使用され、高い曲率を持つ対象物や形をスカルプティングするための触知装置を用いるユーザーを案内するどのような処置にも使用してよい。たとえば、該方法は、消費者または工業用製品用の、彫刻のような芸術品の再生産または創造用のおよび/または整形外科的処置における骨の形成用の部品の製造に使用してもよい。
【0098】
触知対象を動力学的に変形する説明した方法は、ソフトウェア、ハードウェア、またはソフトウェアおよびハードウェアの組み合わせにおいて実施されてもよい。ここで検討する工程は、記載した順番で行う必要はない。数種の工程を互いに同時に行うことができる。さらに、望ましい場合は、本発明の範囲を逸脱しない限り、1またはそれ以上の前記工程は任意であってもよいし、組み合わせてもよい。
【0099】
触知対象を動力学的に変形するこの例示的な実施形態の技術的利点は、対象物のスカルプティングをより制御された方法で行ってもよいことである。したがって、外科手術の間、体の部分への意図しない損傷が避けられ、ユーザーは、このシステムを使用して快適に感じることができる。他の技術的利点は、触知対象の一つのセグメントから他のセグメントへ切換える場合、可動範囲から注意を動かす必要がないことである。さらに他の技術的利点は、高い曲率を持つ形を全触知対象のみを使用する場合よりさらに容易に操作できることである。
【0100】
図8は、入力装置としての例示的な触知装置113の使用を記載する。現実の空間の中の触知装置113と触知対象20とが描かれている。また、触知装置113は情報をユーザーからCASシステム11へ通し、マウス、タッチパッド、キーボード、ジョイスティック、飛行制御器、触知ジョイスティック、または他のいかなる入力装置のような普通のユーザーインターフェース装置に似た機能性を提供する入力装置としても使用されてよい。入力装置として使用する場合、解剖学的参照ジオメトリーを規定するため、仮想移植片の位置および/または配向方向を処理するため、外科手術接近軌跡の位置および/または配向方向を処理するため、骨切除の位置および/または配向方向を処理するため、およびその他のいかなる解剖学的または外科手術機構の選択と配置のために使用してもよい。また触知装置113は、たとえば(しかしこれらに限定されない)、カーソル31(図8)を動かすこと、ボタンまたは他の類似のユーザーインターフェースを選択すること、プルダウンメニューを選択すること、スクリーン上のボタン、ノブまたは他の制御を処理することなどのより大衆的なユーザーインターフェース機能のために使用してもよい。
【0101】
このユーザー入力モードの場合、触知装置が制約され、触知装置の予定された部分の位置に関連して、患者または患者の解剖学的構造の部分に関連して、または概略的な、仮想的な、アトラス的な、または現実の患者解剖学的要素の画像または3−Dモデルに関連して規定されてもよいある方向にのみ動くことができる。触知装置の予定された部分は動くことができてもよい。
【0102】
図8のディスプレイ30中に描いてあるように、触知装置113は入力装置として使用され、触知対象20の位置、空間、サイズなどを変化させてもよい。このモードで使用される触知装置113の用途の例示として、膝移植片の置換をプランニングすることがある。関心解剖学的構造の適切な解剖学的画像を取得した後、コンピュータ外科手術システムは、ユーザーに見えるディスプレイ上にカーソルが現れるモードに入る。ユーザーは、アームを握り、できれば複数のビューで、カーソルの位置を動かす。カーソルの位置が満足な場合、フットペダル、ボタン、有線または無線コントロールペンダント、音声コマンドまたは他の入力で、または触知アームへ力やトルクをかけることで、あるいはタップ、ツイスト、またはカーソルの位置決めの間ユーザーの相互作用から容易に区別できる他の所作のような特有の所作で触知アームを動かすことで、ユーザーはそれを所望の位置に固定する。第一位置を設定した後、第二カーソルを使用し、第一カーソルの二次元または三次元位置に接続する線の終点を規定する。第二カーソルを上記したように動かし、大腿骨の解剖学的軸を規定し、その位置を、前記技術を使用して固定する。移植片の二次元または三次元位置および配向方向は、入力装置として触知装置を使用して、ユーザーが操作することができる。移植片は、その表面の一つが解剖学的リファレンスラインに対して垂直になるようにシステムによって制約されるが、ユーザーはその位置および配向方向を調整することができる。解剖学的軸からのずれを、可能であればユーザーにとって見慣れた解剖学的基準枠に関し、そのようなずれの表示と結合してもたらすことを可能にする。たとえば、解剖学的リファレンスラインに対する移植片の内反角度/外反角度は調整でき、膝移植片の適切な整列配置をもたらすように表示することができる。この一般技術は、低侵襲的な股関節および膝移植片、衝撃固定ピン、椎弓根スクリュー、生体組織検査針、放射性ビーズ、照射放射線エミッタ、または他の医療機器の接近および/または置換の計画に適応することができる。
【0103】
触知装置に関し、外科医は、標準的技法で使用されているツールと同じまたは非常に類似したツールを使用することできる。該装置の触知機構を開拓することによって、稚拙な教示ペンダントやGUI系ロボット制御への必要性は、減るかなくなるかもしれない。手動と処置の援助工程との間の切換えは、顕微鏡やオーバーヘッド光のような普通の手術室にある物と同じように、単に装置を押し出すことによって、素早く行われる。システムは内部的には複雑かもしれないが、外科医はこの複雑性からは遮断されているに違いなく、したがって医者は、彼の全ての注意を患者に向けることができる。
【0104】
たとえば、触知アームは、ジョイントを使ったまたはデカルト制御アルゴリズムを使用して、それ自身を基準位置に保持することができる。ユーザーは、力および/またはトルクを、アームの相互作用ハンドル、エンドエフェクター、またはアーム上のいかなる点にかけ、それによって、アームを基準位置からそらせるひずみの量および方向は、コンピュータシステムに連続的に通信され、いかなる所望の仮想基準幾何学的機構またはユーザーインターフェース目的物の位置を変える。
【0105】
他の例では、触知アームは、ジョイントを使用して、またはデカルト制御アルゴリズムを使用して、しかし制約されない2つの自由度を残して、基準位置に自分自身を保持することができる。ユーザーは、アームを制約されない方向に動かし、カーソル、移植片または他の幾何学的または仮想表面体のようなユーザーインターフェース目的物の二次元制御を提供する。
【0106】
類似の技術を、ユーザーインターフェーススライダーバー、移植片長さ、基準軌道に沿った目的物の位置、または音声ボリューム、画像の明るさ、オブジェクトスケーリング、画像ズームなどの他のいかなる一次元制御のような該目的物の1自由度処理のために使用することができる。類似の技術を、移植片または仮想触知対象の3より高い自由度の位置決めのために使用することができる。触知対象の位置は、また、特定の用途の関連する解剖学的要素に関して、制約されるかもしれない。
【0107】
たとえば、膝移植片は、足の解剖学的軸に対して正しい整列配置を持つように、または正しいじん帯バランスを達成するように、制約されるかもしれないが、前記方法において、ユーザーによって制御可能な他の自由度はある。
【0108】
制御アルゴリズムの剛性または減衰は、異なる方向で様々で、先の段落で記載したように、どのような方向にそろっていてもよい動きの優先方向を示す。この剛性変動は、ある方向に沿ったゼロ剛性を含んでもよいし、一旦基準位置からのずれがあるしきい値を越えれば、ユーザーを好ましい方向にロックしてもよい。この剛性変動は、ユーザーに彼らの注意を一度に限られた数の自由度しか注目させないことによって、プランニング仮定を簡略化して援助する。たとえば、ユーザーは、先ず、移植片の位置を1または2方向に沿って設定し、次いで、該移植片の位置を、追加の方向または設定した方向を妨害しない方向に沿って設定してもよい。
【0109】
剛性および減衰変動は、ユーザーと触知装置との物理的な相互作用に依って、自動的に起こりえる。そしてそれは音声コマンド、コントロールペンダントまたはフットペダルなどの他の入力装置の使用を必要としない。そのような簡素化はどれも、サービスコストの低減、簡素化されたシステム用途および改良された安全性において利点がある。プランニングのこの一般的な方法は、また、外科医に、コンピュータ使用外科手術システムと相互作用する常位置を残しておく必要もなく、コンピュータ使用外科手術システムを制御するための助けを必要とすることもなく、またはすでに外科手術プランの実行のために使用されている触知装置以外の追加の入力装置の導入を必要とすることもなく、プランニングを行うことを可能にする。触知装置のこの使用の利点は、制御された対象物の動きをアームの動きに関連してスキャンすることができ、したがって、ユーザーが現実の対象物を配置するよりさらに正確に配置することができ、ユーザーの手の震え、摩擦、はね返り、磁気的抑止力から生じる妨害力、および触知アームから生じる妨害力の有害作用を取り除くことができる。ここで、触知装置によって制御された対象物の基本的な機能は、触知装置の状態をモニタリングすること、または触知装置に連結するあるいは連結していない関心成分の状態のモニタリング以外のものであることに注意すべきである。
【0110】
図7Aおよび7Bは、触知対象を規定する触知装置および手術用具を示す。示された例において、触知装置113は、入力装置として使用され、触知対象182を規定する。触知装置113を、触知対象182を規定するための入力装置として使用するためには、ユーザーは、触知装置113に連結する手術用具112を握る。望ましい場合は、ユーザーは触知装置113自体を握ってもよい。ユーザーは、手術用具112を使用して、たとえば、規定すべき触知対象に関する解剖学的構造の一部のような所望の範囲の境界線をトレースする。ユーザーは、たとえば、手術用具112の末端を解剖学的構造の所望の範囲の部分に接触させることによって、境界線をトレースしてもよい。手術用具112の動きは、記録され、ユーザーによってトレースされた終点の配置が計算されてもよい。触知対象182の幾何図形および/または配置が、少なくとも部分的に終点の配置に基づいて決定されてもよい。触知装置生成モードが使用され、触知対象の所望の形を特定してもよい。たとえば、解剖学的構造114の切除部184に対応する円柱状触知対象を造るために、ユーザーは、切除部184の境界線上の複数の点をトレースすることができる。適切な円柱状触知対象は、現在知られているあるいは後に開発されるどのような技術を用いて造ってもよい。
【0111】
材料および解剖学的構造の他の特性は、解剖学的構造を綿密に調べることによって規定してもよい。たとえば、手術用具112は、手術用具112の先端に連結する力測定装置を含んでもよい。あるいは、望ましい場合は、力測定装置を含むプローブは、手術用具112の代わりに触知装置113に連結してもよい。ユーザーが、解剖学的構造114の部分に対して力測定装置を接合する場合、該力は、力測定装置によって測定されてもよい。力がかかっている場合たとえ少しでも解剖学的構造が動けば、測定された力は、その距離に応じて表示されてもよい。解剖学的構造114の該部分の剛性は、距離に対する力の比として計算されてもよい。望ましい場合は、触知装置113それ自身が、解剖学的構造114の部分およびアクチュエータによってもたらされたトルクに基づいて決定された力と連結してもよい。そのような実施形態では、触知装置113は、微動または粗動を作ってもよく、または解剖学的構造114の部分を、ユーザーからのいかなる物理的援助なしで、自律モードで、押してもよい。力は、現在知られているあるいは後に開発されるどのようなヤコビアン方法を使用しても決定してよい。図7Bのグラフ的表現186は、解剖学的構造114の変位に応じて、手術用具112が解剖学的構造114に接触する力を記載する。
【0112】
望ましい場合、他のタイプの感知装置は、解剖学的構造114の他の特性を検出するために、触知装置113または手術用具112に連結してもよい。これらの特性は、触知装置113に近接する組織のタイプを決定するために使用されてもよい。したがって、触知装置113は、硬い骨と柔らかい骨、健康な組織と病気の組織、健康な組織の異なるタイプ、解剖学的構造体の境界線、その他を区別するために、使用されてもよい。触知装置113からの受けた情報に基づいて、組織のタイプをCASシステム11により自動的に決定し、表示装置30上に表示してもよい。
【0113】
図9は、入力装置として触知装置113を使用するための代表的な方法190のフローチャートである。工程192で入力モードが開始される。ユーザーは、入力モードを現在知られているあるいは後に開発されるどのようなメカニズムを使用して開始してよい。たとえば、ユーザーは図形的ユーザーインターフェース、フットスウィッチ、キーボードおよび/またはボタンなどを使用し、ユーザーが入力装置として触知装置113を使用することを望むということを示してもよい。触知装置113は複数の対象物を制御してもよい。しかし、1回で一つの対象物を制御するのが望ましい。このように、工程194では、制御すべき対象物の認識が受理される。制御された対象物は、カーソル、ボタン、スクリーン上のダイアル、ノブ、シリンダーバー、あるいはその他の類似のユーザーインターフェース対象物、仮想移植片、外科手術接近軌道および/または骨切除などであってもよい。ユーザーは、制御されるべき対象物を、現在知られているあるいは後に開発されるどのような方法によって選択してもよく、たとえば、従来の入力装置を用いて選択してもよい。
【0114】
工程196で、触知装置113の基準状態を保存してもよい。基準状態は、触知装置113の現状の状態が好ましい。たとえば、この工程では、触知装置113の先端に関する状態情報が保存されてもよい。工程198で、制御された対象物は、触知装置113と関連づけられる。制御された対象物と触知装置113との関連は、触知装置113の動きが、制御された対象物に対応する動きまたは作用に翻訳または変化させられるため、望ましい。関連付けまたはマッピングは、触知装置113の動きに応えて制御された対象物の動きの量や方向の決定を可能にする。たとえば、ユーザーは、1ユニットによる触知装置113の動きが、制御された対象物、たとえば、カーソル31を、表示装置30上の10ピクセルによって動かさせるべきであると特定してもよい。
【0115】
ユーザーは触知装置113を移動し、工程194で選択された対象物を制御してもよい。工程200では、触知装置113の状態における変化を決定する。触知装置113における状態の変化は、触知装置113の基準状態に関連して決定するのが好ましい。触知装置113の状態における変換には、たとえば、触知装置113の先端の位置における変化が含まれてもよい。
【0116】
工程202で、触知装置113の基準状態をアップデートしてもよい。該基準状態は、少なくとも部分的に触知装置113の状態における変化に基づいてアップデートされるのが好ましい。望ましい場合は、該基準状態は、少なくとも部分的に、ユーザーによる触知装置にかけられたねじれに基づいてアップデートされてもよい。該ねじれはセンサーによってはっきりと測定される。望ましい場合、該ねじれは、ねじれがかけられたと触知装置が測定できるということの裏に潜んでいるのが好ましい。
【0117】
工程204で、制御された対象物の新しいパラメータが計算される。制御された対象物のパラメータとして、たとえば、その状態、位置、角度、サイズ、色、形、配向方向、視点の方向、明るさ、コントラスト、表の指標、状況、モード、および/または配置形態などが挙げられる。新しいパラメータは、触知装置113の状態における変化および/またはユーザーによって触知装置にかけられたねじれに基づいて計算されてもよい。望ましい場合は、該新しいパラメータは、触知装置113の基準状態における変化に基づいて計算されてもよい。工程198において得られた関連付け情報は、新しいパラメータを計算するために使用されるのが好ましい。新しいパラメータは、制御された対象物を変化させるために使用されてもよい。したがって、たとえば、制御された対象物がカーソル31であり、触知装置113の状態におけて変化がある場合、制御された対象物の新しい状態は、新しいパラメータに基づいて決定されてもよい。工程206において、制御された対象物を、新しいパラメータに基づいて変化させる。したがって、たとえば、もし制御された対象物がカーソル31であるなら、表示装置30上のカーソル31の位置は、少なくとも部分的に工程204で計算された新しいパラメータに基づいて変化させてもよい。
【0118】
工程208で、触知装置によって医療機器および/またはユーザーにかけられる触知ねじれを決定する。該触知ねじれは、制御された対象物、触知装置113の状態における変化および/または触知装置113の現状の状態の新しいパラメータに基づいて決定されてもよい。
【0119】
工程210で、決定された触知ねじれは、触知装置113にかけられる。触知装置113がどの方向にも動くことができる代わりに、触知装置113の動きが制約されているのが望ましいかもしれない。触知装置113にかけられた場合に決定された触知ねじれは、ある望ましくない方向に動かないようにされている。たとえば、もし制御された対象物が、一次元のみに動くことが可能であれば、触知装置113の動きを、該触知装置113が一方向にのみ動くように制約することが望ましい。他の例として、制御されるべき対象物が表示装置30上のカーソル31である場合、触知装置113の動きを、表示装置30に対応する二次元面に制約するのが望ましい。さらなる例として、もし触知装置113が基準状態から遠距離を動くことが望ましくない場合、該触知ねじれは、1またはそれ以上の方向で、触知装置113を基準状態に戻すように作用してもよい。
【0120】
入力モード内で、触知装置113は、位置制御モードまたは速度制御モードで使用されてもよい。位置制御モードで、制御された対象物の状態における変化は、触知装置113の状態における変化を追跡する。たとえば、もし触知装置113が1ユニットによって特定の方向に動けば、制御された対象物は、対応する量で、対応する方向に動く。触知装置113が解除されると、それは新しい状態で留まる。
【0121】
一方、速度制御モードでは、ユーザーによって触知装置にかけられる、基準状態および/またはねじれからの触知装置113の変位が、制御された対象物の速度を制御してもよい。たとえば、もし触知装置113がその基準状態に保たれたままの場合(またはもしユーザーによって触知装置へかけられるねじれがない場合)、制御された対象物の動きの速さは0である。基準状態からの触知装置113の変位(またはユーザーによってかけられる触知装置へのねじれの大きさ)が、制御された対象物の変位(または触知装置にかけられたねじれの大きさ)に比例した動きの速さで、制御された対象物の動きの速さを決定する。制御された対象物を動かすことが望ましい場合、触知装置113は、単に、制御された対象物の望ましい動きの方向に動く(押す)。触知装置113が解除されると、工程210で、工程208で決定された触知ねじれがかかることによって、基準状態に戻される。したがって、速度制御モードでは、制御された対象物は、触知装置113を実質的に動かすことなく、実質距離を動かしてもよい。
【0122】
工程212で、触知装置113がまだ入力モードで動作しているかどうかについての決定がなされる。もし触知装置113が入力モードで動作していなければ、プロセスは終了する。そうでない場合、工程214で、制御されるべき新しい対象物が特定されているかどうかについての決定がなされる。もし制御されるべき新しい対象物が特定されていなければ、触知装置113の状態における変化を決定する工程200で始動するプロセスが実行されてもよい。そうでない場合、制御されるべき新しい対象物の認識を受けるための工程194で始動するプロセスが実行される。
【0123】
たとえば、一実施形態では、基準状態が、触知装置113に取り付けられたドリルガイドの所望の軌道に関連づけられてもよい。このような実施形態では、工程202での基準状態のアップデイイトは、ドリルガイドの所望の軌道の変更を含む。ユーザーが、時間を延ばすために、基準状態から触知装置113を動かす場合、該基準状態は、ユーザーの偏向の方向に動くようにアップデートされる。もし工程210において、適切な触知フィードバックねじれがかかれば、ユーザーが触知装置113を開放した場合、触知装置113は新しい基準状態を想定する。ユーザーが基準状態に満足で、入力モードが工程212で終了すると、触知装置113は、ドリルガイドが所望の軌道と一直線になるような状態になる。
【0124】
触知装置を入力装置として使用する説明した方法は、ソフトウェア、ハードウェア、あるいはソフトウェアとハードウェアとの両方の組み合わせにより実施されてもよい。ここで検討した工程は、記載された順番で行う必要はない。数種の工程を互いに同時に行うことができる。さらに、望ましい場合は、本発明の範囲を逸脱しない限り、1またはそれ以上の前記工程は任意であってもよいし、組み合わせてもよい。
【0125】
前記方法において触知装置を入力装置として使用する技術的利点は、追加の入力装置の使用を避けることができ、したがって手術室の混雑を減らすことができることである。
【0126】
図10は、医療、外科的または介入措置中のスカラー情報を伝えるシステムを示す。触知装置113は、CASシステム11の完全に一体化された部品として配備されてもよいし、または該システムの任意の周辺器として作動してもよい。触知装置113に連結するツール112の所在または位置情報は、感知され、センサー14を使用してまたは使用せずにCASシステム11に戻されてもよい。
【0127】
医療、外科的、および介入措置を一括して「医療処置」と言う。医療処置には、関節置換、関節表面再建、腫瘍除去および/または骨変形矯正などのために、解剖学的構造の部分を再切除すること伴う。望ましい場合は、該医療処置には、合成、生物学的、あるいは治療的物質を目的の表面あるいは関心域に当てる、またはセンサー、プローブ、移植片または放射性材料を所望の位置、表面または容量に置くことを伴う。ユーザーが、たとえば、触知対象と相互作用する場合、触知対象にかかる力の大きさ、または現実のまたは仮想のツールまたは移植片が触知対象を通り抜ける量を知ることが望ましい場合もある。重要な触知対象、または複雑な二次元または三次元形状を持つ触知対象は、この情報を、ユーザーに簡単に理解できる方法で提供することが難しいかもしれない。情報の所望の部分は、しばしば、目的の表面または所望の位置までの局所距離、目的の表面の局所侵入距離、または触知反発力である。これらは三次元ベクトル量までありえるものの、できれば局在単位法線の触知対象に対する方向での該ベクトルの大きさ(または長さ)が、ユーザーの触知相互作用を増強するためには最も有益である。
【0128】
これらの大きさは単なる一次元量であり、計測器、ダイアル、数字ディスプレイ、グラフ、および他の視覚的方法、さらに聴覚的な、感覚的な、触知的な、あるいは他の方法を始めとする種々の方法で、ユーザーに伝えることができる。
【0129】
図10の例示的な実施形態では、CASシステム11が、音源216、たとえばスピーカーと表示装置30に互いに通信できるように連結する。例示的な医療処置の間、図10の実施形態では骨である解剖学的構造114が、案内面として触知対象20の表面を使用して、触知対象20に沿って切断されていく。医療処置の間、一次元情報、たとえば、触知対象20のような目的の対象の表面からツール112の先端までのスカラー距離Dに関する情報が、自動的(これは好ましくであって必須ではない)に、ユーザーに提供される。CASシステム11は、たとえば、処置の段階、使用されるツールのタイプ、目的の対象(表面を含む)に対するツールの位置や近接度、または大きさ情報が決定され、表示される対象物の認識においてCASシステムを援助する他のキューに基づいてスカラー情報を自動的に提供するようにプログラムされてもよい。
【0130】
例示的な実施形態では、切断操作の開始前、Dの値は正である。Dの値が0ということは、切断ツール112の先端が、解剖学的構造114内部の所望の深さにあることを示す。該例示的な実施形態において、所望の深さは触知対象20の表面である。Dが負の値であることは、骨内の切断ツール112の先端の深さが所望の深さより深いことを示す。一次元情報は、視覚的な、聴覚的な、感覚的なおよび/または触知的な方法など種々の方法で、外科医に通信されてもよい。たとえば、視覚的インジケータ218、たとえば、レベルメータ、ダイアル、数字ディスプレイなどは、表示装置30上またはユーザーに近接する他のいかなる装置上に値Dを示すために、使用されてもよい。望ましい場合、音源216、視覚的インジケータ218および/または表示装置30は、ユーザーの近くにあってもよく、たとえばツール112、触知アーム113、他の携帯ツール、器具あるいは付属品、または着装可能な視覚的、聴覚的、触知的あるいは感覚的ディスプレイ上などにあってもよい。たとえば、ツール112は、単純な表示装置または多色インジケータ、たとえば、多色LEDインジケータ、多色ランプインジケータおよび/またはLEDレベルメータを含み、ユーザーに切断深さを知らせてもよい。該実施形態では、ユーザーは、彼らの注意を外科手術が行われている区域から逸らす必要がない。同様に、ツール112は、ユーザーに切断深さを知らせる音源を含んでもよい。該実施形態では、ユーザーの近くにあるため、ユーザーは音源216からの音響的指標が簡単に聞き取れる。
【0131】
望ましい場合、スピーカー216からの聴覚的インジケータやトーンは、視覚的インジケータ218の代わりにあるいはそれに付け加えて提供されてもよい。たとえば、一連のビープ音は、Dの値を知らせるために提供されてもよい。Dの値が減少するにつれて、ビープ音間の間隔が狭くなってもよい。望ましい場合は、たとえば、D値が0になり異なる音になった場合、警告音はブザー音または他の音に、D値が負になった場合高音に変化してもよい。例示的な実施形態では、正のD値は、許容値であり、負の非許容値である。
【0132】
聴覚的インジケータを提供する利点は、外科医が骨114のような患者の解剖学的構造から彼/または彼女の目をはずさなくてもよいことにある。しかし、もし手術室中の雑音によって、外科医が聴覚的インジケータを聞くことが難しい場合は、視覚的インジケータがより適したものとなる。
【0133】
例示的な実施形態で示されるような触知システムまたは装置が使用される場合、触知アーム113または補助装置を介して、感覚的示唆が提供されてもよい。
【0134】
実施形態では、触知アーム113が震え、感覚的示唆をユーザーに提供する。触知アーム113の振動の周波数、振幅、波形および/または他の特性距離Dに依存する。他の実施形態で、振動装置は、ユーザーの体の上に備えられてもよい。振動装置の振動の周波数、振幅、波形および/または他の特性距離Dに依存する。感覚的示唆を提供する利点は、外科医が、彼/彼女の目を骨114からそらす必要がないことにある。
【0135】
一次元情報は、ユーザーに通信しやすいので、ユーザーは、聴覚的示唆、感覚的示唆または視覚的インジケータ218を一瞥するだけで、彼が適切な深さで切断しているかを知らせることを知りながら、彼の注意を切断作業に集中することができる。
【0136】
深度情報は、また、ユーザーが触知装置を使用しない状況で、ユーザーに表示されてもよい。たとえば、ユーザーは状態が追跡システムによって追跡されているツールで、骨を手動で切断してもよい。該実施形態では、ユーザーは、触知対象表面上に保つツールの力をかけ、または触知対象を貫通することを防ぐことがみられる触知フィードバックの恩恵は受けない。触知対象の代わりに、単純な幾何物、たとえば曲線、点、線、面または容積などを目的の対象として使用してもよい。目的の対象はCASシステムに認識されてもよいし、あるいはCASシステムが、目的の対象が持つ他の情報に基づいてそれを決定してもよい。たとえば、目的の対象は、患者または該患者の診断画像に関し,直接規定されてもよいし、あるいは他の解剖学的ポイントまたはユーザーによって認識可能な機構からCASシステムによって、派生または決定されることもできる。該CASシステムは目的の対象に対するツールの位置を知り、一次元深度情報を表示する。該システムにおいては、Dは、ツール112の先端から目的の対象の所望の切断深さまでの距離を測定することによって、計算してもよい。望ましい場合は、目的の対象は曲線、点、面、線、容積、または所望の位置のセットを含んでもよい。目的の対象は、触知対象、幾何学的物体および/または解剖学的構造の部分の所望の形であってもよい。
【0137】
代替実施形態では、望ましい場合、一次元深さディスプレイは、表面の各点での切断深さの二次元表記または空間の各点の三次元表記で増強されてもよい。二次元または三次元表記は、関心面の概略的または現実的な描写であってもよい。関心面の点の特性、たとえば、色および/または明るさは、ツールと医療処置中にツールが各点に最も近づいた場合の各点との間の距離に少なくとも部分的に基づいてもよい。たとえば、異なる色は、ツールとポイントとの間の距離を表すために使用されてもよい。
【0138】
医療処置中にツールがある点に最も近づいた場合のその点が決定され、該ツールと該ポイントとの間の距離が計算される。点の色は、ツールからそれがその点に最も近づいた場合のポイントの距離を反映する。
【0139】
図11は、医療処置の間、深度情報を伝える方法220のフローチャートである。方法220は周期的に実行されるのが好ましい。工程222で、所望の面からのツール112の距離が決定される。触知対象20のような対象物の表面からツール112の先端の距離Dが決定されるのが好ましい。Dの値を決定するプロセスは、いかに対象物が内部的に表されているかに依る。この対象物の表記は、表面多角形、ボクセル、NURBS、コンストラクティブソリッドジオメトリーおよび/または幾何学的物体を表現する、現在知られているあるいは後に開発される他の方法に基づいてもよい。ツール112の現状の所在位置から触知対象20の表面上の適切な点までの距離が計算される。計算された距離は、触知対象20の表面に関しツール112の先端の位置と骨114との相対位置に応じて正の値か負の値かが割り当てられる。図10に記載される例では、もしツール112の先端と骨114とが触知対象20の表面の両側にあれば、Dは正の値が割り当てられる。そうでない場合は、Dは負の値が割り当てられる。
【0140】
工程224で、ユーザーに表示するために、決定された距離が所望の出力フォーマットにマップされる。たとえば、該距離は、適切な色、聴覚的周波数、時間、音、画像および/または触知キューなどにマップされる。マッピングは、少なくとも部分的にD値に基づいて行われるのが好ましい。下記表Aに、視覚的信号がユーザーに提供されるシステムのための例示的なマッピングテーブルを示す。
【表A】
【0141】
工程226で、決定された距離が所望の出力フォーマットでユーザーに伝えられる。もし所望の出力フォーマットが視覚的インジケータの場合は、例示的な実施形態において、適切な色のインジケータが表示される。たとえば、例示的な表Aに示すように、もしD値が許容範囲内であれば、つまり1ミリメータと2ミリメータの間であれば、緑色のインジケータが表示され、D値が0.1ミリメータと0.99ミリメータの間であれば、黄色のインジケータが表示され、もしD値が0.0ミリメータと0.09ミリメータの間であれば、赤色インジケータが表示され、もしD値が許容範囲外であれば、つまり0未満であれば、黒色のインジケータが表示される。図10の実施形態では、距離Dに関する情報は、レベルメータ218によって表示される。D値が変化するにつれて、レベルメータ218中の色のレベルが変化する。もし所望の出力フォーマットが聴覚的インジケータであれば、例示的な実施形態においては、距離情報は、図10に関し本明細書で検討したように、警告音によって伝えられる。
【0142】
本発明の例示的な実施形態の技術的利点は、医療処置の間、ツールの深さに関する情報を、ユーザーが医療処置に彼/彼女の注意を集中できるような簡単な方法でユーザーに提供できることにある。
【図面の簡単な説明】
【0143】
【図1】コンピュータ支援手術システムで触知装置が使用されている例示的な手術室の概略図。
【図2】コンピュータ支援手術システムに連結されて使用される、触知装置の例示的な図。
【図3A】触知対象物の異なるタイプの図。
【図3B】触知対象物の異なるタイプの図。
【図3C】外科手術の術中触角計画のための例示的な方法のフローチャート。
【図4A】触知装置の配置のために動的触知対象物の使用を描いた図。
【図4B】触知装置に連結する医療機器の対話型触知位置決め方法のフローチャート。
【図5】コンピュータ支援手術システムに連結された、例示的な触知装置の使用を描いた図。
【図6A】対象物の触知スカルプティングのために使用する例示的な触知装置を描いた図。
【図6B】対象物の触知スカルプティング用の例示的な触知対象を描いた図。
【図6C】触知対象を動的に変形する方法のフローチャート。
【図7A】触知対象を規定する例示的な触知装置および手術用具の使用を描いた図。
【図7B】触知対象を規定する例示的な触知装置および手術用具の使用を描いた図。
【図8】入力装置としての例示的な触知装置の使用を描いた図。
【図9】入力装置として触知装置を使用する代表的な方法のフローチャート。
【図10】医療処置の間、深度情報を伝えるためのシステムを描いた図。
【図11】医療処置の間、深度情報を伝えるための方法のフローチャート。
【技術分野】
【0001】
(発明の技術分野)
本発明は、概して、コンピュータ支援手術システムおよび手術ナビゲーションシステムに関し、さらに詳しくは、医療処置中に深度情報を伝えるシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
コンピュータ支援手術(CAS)システムの機能は、手術の術前プランニング、有益なフォーマットで術前診断情報および画像の提供、今から行う手術に関する状況情報の提供、およびの実行の強化を含む。CASシステムは、従来の手術室、インターベーション放射線室、可動手術室、または外来診察室での手術に使用されてもよい。CASに対する多くの取組みが商業的に試みられてきている。手術は、外科的なものであろうと非外科的なものであろうと、どのような医療処置であってもよい。
【0003】
ナビゲーションシステムは、術前および術中の画像データセットに関し、手術用具の位置を表示するために使用される。これらの画像は、二次元透視画像のような術中画像および、たとえば、磁気共鳴画像法(MRI)、コンピュータ連動断層撮影(CT)および陽電子断層撮影法(PET)を使用して得られる術前三次元画像を含む。普及しているナビゲーションシステムは、追跡または局在システムを利用する。これらのシステムは、器具や患者のような対象物に接続されたまたは固定されたマーカーの位置を突き止め、かつ該マーカーの位置を追跡する。これらの追跡システムは、光学的であり、磁気的であり、また音響システムも含む。光学システムは、受動的反射マーカーまたは追跡ツールに接続されたアクティブ赤外線LEDを観察する、固定式のステレオカメラペアを有する。磁気システムは、追跡ツールに組み込まれた小さなコイルによって感知される、固定式の界磁発電機を有する。これらのシステムは、金属対象物の近くで感度が高い。
【0004】
ナビゲーションシステムを手術室に組み込むことは、比較的簡単ではあるが、これの基本的な限界は、外科医とのコミュニケイションには限界がある方法であるというである。ほとんどのシステムが、コンピュータのモニターを通して情報を外科医に伝達する。従来は、外科医は、キーボードとマウス、タッチスクリーン、音声コマンド、コントロールペンダントまたはフットペダルを介して、また追跡ツールを動かすことによって、情報をシステムに伝達していた。ナビゲーションシステムの視覚表示は、よくても、複雑な3−D幾何図形のため、読み取ることが簡単ではない三次元診断画像データセットを通して、複数のスライスを表示する。また、これらの表示は、外科医の視覚的注意を外科手術部位から強制的に奪っている。
【0005】
追跡ツールを使用する計画を規定する場合、複数の自由度(DOF)で、該ツールを同時に、適切に配置することは難しいこともある。同様に、計画に伴う追跡器具を揃える場合、複数の同時DOFで該ツールの位置を調整することは、特に高精度が望まれる場合、難しい。おそらく、ほとんどの適用が重要な臓器に当たることなく、軌道を関心臓器に特定することを伴う脳神経外科手術において、ナビゲーションシステムが最も多く採用されていることは、偶然の一致ではない。しばしば、ツールの先端を解剖学的構造に押し付け、旋回させ、軌道の位置と配向方向を効果的に切り離す。
【0006】
自律型ロボットは、置換手術に連帯させて商業的に適用されている。これらのシステムは骨切除を正確に行い、手で行う器具に比べて、移植片のフィット感と設置が改善されている。レジストレーションは、骨または骨表面の一連のポイントにねじ込まれたロボットタッチ基準マーカーを有することによって行われる。
【0007】
切断は、高速のバーで自律的に行われ、外科医は、もし必要なら、進行をモニターしそれを中断することができる。骨は、レジストレーションおよび切断の間、適当な場所に固定しておかなければならず、動きをモニターし、次いで再度レジストレーションが要求される。ユーザーが報告した、これらのシステムの欠陥として、ロボットのサイズが大きいこと、人間工学的に劣っていること、位置合わせおよび切断に要する45〜60分の間、骨をしっかりとつかんでおく必要があること、およびロボットに適正なアクセスを提供するため、切開を50〜100mm広げる必要があることが挙げられる。さらに、自律型ロボットは、関心骨をしっかりつかむことおよび柔らかな細胞組織をロボットから離すために大きな切開を作ることが証明するように、一般的に、高度に組織化された環境において最もよく機能する。
【0008】
ある外科手術の特定の工程を除いて、現代の外科手術で、自律型ロボットのために、よく組織化された環境を提供する傾向はない。ロボットは、一般的に、手術を支援するために必要な外科スタッフおよび機器の追跡を維持することができない。手術環境の厳格な管理によって、これは可能になるかもしれないが、人体の複雑性は、常に、大いに構造化されていないものである。
【0009】
またロボット技術は、自律操作が要求されない標準的実務においても、改善するために使用することができる。このタイプの注目すべき市販システムとして、胆嚢除去から非開胸心拍冠状動脈手術までの範囲にわたる腹腔鏡切除手術のための遠隔操作ロボットシステムが挙げられる。これらのシステムは、外科医にハイファイディスプレイおよびマスター入力デバイスを含む制御装置を提供する。スレーブロボットは、マスターに接続され、解剖学的構造と物理的に相互作用する。これらのシステムの利点は、先ず、運動スケーリングおよび震えの軽減によって器用性の点が改良されながら、外科医のために、人間工学的な労働環境を提供することにある。マスターコンソールは、通常、患者と同じ部屋にあるものの、これらのシステムの興味深い副産物は、遠隔手術可能なものである。しかし、これらのシステムではロボットは最小限の自律性しか持たず、柔らかい組織を取り扱い、交換する場合に起こる複雑さは驚くべきことではない。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0010】
(発明の要旨)
画像誘導手術システムを使用して表示された解剖学的構造の画像に関して対象物を規定することが、しばしば望まれる。重要な対象物、あるいは複雑な二次元あるいは三次元形態の対象物に関し、ユーザーが簡単に理解するように情報を提供することが困難な場合もある。規定された目的物の表面あるいは所望の位置のような目的の表面への局所距離、目的の表面の局所貫通距離、または触知反発力は、画像誘導手術システムを使用するユーザーの相互作用を増強するために、多くの場合、最も有用な情報を提供する。局所距離は、視覚的な、聴覚的な、感覚的な、触知的な、あるいは他の方法で、ユーザーに伝えられる。
【0011】
(図面の簡単な説明)
本発明、その目的および利点の理解をさらに完全なものにするために、添付の図面とともに、以下の記述について言及する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
(図面の詳細な説明)
以下の記載において、類似の番号は類似の要素を示す。「外科医」は、コンピュータ支援外科手術システムのユーザーであればだれでも含むが、典型的には外科医が主要なユーザーである。「外科手術」とは、介入的なものであろうと非介入的なものであろうとどのような医療処置も含むが、典型的には介入的措置が主要な措置である。
【0013】
触知装置は、機械的あるいは電気機械的装置であって、接触、力、速度、位置および/またはトルクなどの感覚情報を使用して、外科医のようなユーザーと相互作用あるいは情報のやり取りをする。従来の感覚では必ずしもロボットとして考えられるものではない装置も含まれるが、ロボットの中には触知装置として使用されてもよいものもある。触知装置は、典型的には、殆ど自律性を有さない。
【0014】
一般的に、関心構成要素が、場合によっては、触知装置に連結してもよい。関心構成要素として、医療機器、たとえば、手術用具、顕微鏡、レーザー距離計、カメラ、外科手術用ライト、内視鏡、超音波深触子、放射線治療装置、介入医療ツールおよび/または物理療法のリハビリシステムなどが挙げられる。語句「医療機器」、「外科手術装置」および「手術用具」は、本明細書では、互換的に用いられる。
【0015】
たとえば、ある装置が外科手術の間に用いられる場合、そのような装置は、外科医に連動して、共同的に外科手術器具を保持する。外科医は、触知装置の助けを借りてあるいは触知装置からの入力を受けて、外科手術器具を動かす。あるいは、遠隔操作システムでは、触知装置が外科手術器具をもっぱら保持する。このように実施する場合、手術用具を対話形式で操作するために、外科医は「スレーブ」装置に連結する「マスター」触知装置を動かす。遠隔操作システムにおいては、外科医に人間工学的なあるいは没入できる作業位置を提供するためにおよび/または外科医に遠隔的に外科手術が行えるようにするために、マスター触知装置が外科手術の場から物理的に分離されてもよい。インピーダンスモードでは、触知装置は、外科手術器具の状態(pose)(位置、配向方向、速度および/または加速度)を決定あるいは感知し、器具に対して力および/またはトルク(「ねじれ」)を与える。「アドミタンス」モードでは、触知装置は、装置(または外科手術器具)上のある位置でのねじれを決定し、器具の位置を変更するよう作動する。感知された状態と出力ねじれとの間には、静的、準静的、あるいは動的マッピングが存在してもよい。通常のマッピングは、ユーザーからの入力によって規定される「仮想」物体と相互作用する、ツールに起因するねじれを含んでもよく、数学的なあるいは模擬機械的拘束を含んでもよい。
【0016】
「触知対象」は、ここでは、そのようなマッピングを描くために使用される。ある場合は、触知対象は、触知装置のあるジョイント角度で非ゼロポイント出力を造りだすだけでもよく、あるいは、触知装置のある終点位置および/または配向方向でのみ造りだしてもよい。触知対象は、滑らかな時間変化のマッピングでもよくおよび/またはある一定の時間だけ存在してもよい。触知対象は、マッピングが不連続な場合、あるいは触知対象と相互作用する場合、ユーザーが感じることができる他の特性を持つ位置に対応する、関連空間または幾何学的表示を有していてもよい。たとえば、触知装置の終点が空間的に球面領域内にある場合、もし触知対象が非ゼロポイント出力のみを発生するなら、対応する球面表示を提供すればそれはユーザーに有益であるかもしれない。しかし、触知対象は、そのように明確に規定された境界あるいは類似の内部構造を必ずしも持たなくてもよい。触知対象は、触知装置の終点位置、終点配向方向および/またはジョイント位置の全範囲にわたって、あるいはこれらの範囲の一部のみで、作動可能であってもよい。可能であれば空間の重なり合う部分において、所定のいかなる時刻でもアクティブな複数の触知対象があってもよい。
【0017】
「触知キュー」は、触知対象のマッピング面を描くために使用される。キューを持つことで、ユーザーが触知対象と相互作用する場合、情報を伝えたり、所望の効果を作りだしたりしてもよい。触知キューおよび触知対象は、必ずしもユーザーインターフェースあるいは特定の実施形態の構成要素をプログラムするソフトウェアと対応する必要はなく、単に、ユーザーに、触知装置の入力と出力との間のマッピングを設計し、実行し、提供する多くの方法の一つであればよい。
【0018】
自律性の減少または消滅によって、外科医のようなユーザーの快適度は増す。ロボットが自律的に動くときはいつも、外科医は、もはや主導権を持つ必要がなく、ロボットの作業を単に観察しなければならない。ロボットの動きは、万一何か異常が起こった場合、対応するのに適正な時間を外科医に与えるぐらいのろくなくてはならない。しかし、もしロボットが、少なくとも殆ど受動的な方法で作動するなら、たとえ能動的な動きができたとしても、外科医は、ロボットに制御を譲らない。
【0019】
ユーザーの観点から受動装置のようにのみ作動する方法で、動きを実効しうる装置を使用することは有利である。アクティブアクチュエータは、重力の効果を相殺し、非常に多くのメカニズム設計を可能にするように、使用することができる。装置は、自動テストおよびサービスプロシジャーを行うために、自律的モードで使用することができる。
【0020】
図1は、触知装置113がコンピュータ支援手術システム11とともに使用される例示的な手術室の概略図である。コンピュータ支援手術システム11は、表示装置30、入力装置34およびたとえばコンピュータのようなシステム36に基づくプロセッサを含む。入力装置34は、現在知られているあるいは後に開発されるどのような入力装置でもよく、たとえば、キーボード、マウスおよび/またはトラックボールなどが挙げられ、これらは単独、組み合わせでもよい。表示装置30は、二次元および/または三次元画像を表示する、現在知られているあるいは後に開発されるどのような表示装置でもよく、たとえば、モニター、ウェラブルディスプレイ、投写型ディスプレイ、ヘッドマウンデッドディスプレー、立体映像および/または、たとえばプロジェクタのような画像投影装置から投影される画像を表示しうる表示装置などが挙げられる。所望であれば、表示装置30は、ホログラフィー画像を表示しうる表示装置であってもよい。所望であれば、表示装置30は、タッチスクリーンであってもよく、入力装置として使用されてもよい。
【0021】
描かれた例示中の触知装置113はロボット装置である。触知装置113は、たとえばコンピュータ10のようなシステムに基づいたプロセッサによって制御されてもよい。また、コンピュータ20は、パワー増幅および入力/出力ハードウェアを含んでもよい。触知装置113は、現在知られているあるいは後に開発されるどのような通信メカニズム、これは有線でも無線でもよい、によってコンピュータ支援手術システム11と通信してもよい。
【0022】
また、図1には、システム36に基づくプロセッサに連結する記憶媒体12が示されている。記憶媒体12を、ソフトウェアおよび/または他のデータを記憶するデジタル媒体に対応させてもよい。手術用具または器具112は、触知装置113に連結するように示されている。手術用具112は、付着または締結によって、触知装置113に機械的に連結されているのが好ましい。しかし望ましい場合は、手術用具112は、たとえば磁気的など他の方法で直接的または間接的に触知装置113に連結されてもよい。望ましい場合は、手術用具112を触知装置113に連結するために、真空が使用されてもよい。手術用具112は、外科医の遠隔操作によって触知的に制御されてもよく、または手術用具112に近接する外科医116によって触知的に制御されてもよい。
【0023】
触知対象110は、たとえば患者の足のような患者の解剖学的構造114内にある標的区域に対する手術用具112の動きおよび操作を案内および/または制約するために使用される仮想対象物である。この例示では、触知対象110は、対象とする患者の解剖学的部位を狙い、接近する外科医を補助するために使用される。触知フィードバック力は、手術用具112の一部の侵入あるいは触知対象の所定の境界線を越えたことが決定された場合、手術用具の動きを遅くするおよび/または止めるために使用される。さらに、手術用具112を、触知対象110および標的に対して(または触知対象110および標的から)引き付ける(またははねつける)ために、触知フィードバック力を使用することもできる。望ましい場合は、外科医116は、手術をしている解剖学的構造の表示および/またはディスプレイ30上の手術用具112および/または触知対象110の仮想表示を得てもよい。
【0024】
手術用具112が外科医によって遠隔的に、たとえば遠隔操作によって触知的に制御される場合、該外科医は、マスター触知装置および/または手術用具、患者の解剖学的構造および/または付属の触知または外科手術を補助するように設計された視対象物のリアルまたはシュミレートディスプレイを使用する手術用具の動きを制御する。触知フィードバック力を、スレーブ触知装置113によって、遠隔地にいる外科医に該マスター触知装置を介して伝達し、該外科医を案内してもよい。あるいは、触知フィードバック力を該マスター装置で発生させ、外科医に直接伝達してもよい。場合によっては、スレーブ装置またはマスター装置のいずれかが、触知能力が殆どあるいは全くない位置決め装置であってもよい。
【0025】
CASシステムは、外科手術器具、ツール、触知装置および/または患者などの種々の追跡しうる物体の位置および/または配向方向を決定または追跡する位置確認または追跡システムを含むことが好ましい。該追跡システムは、三次元座標系に、追跡可能な物体上に配置された、該物体中に組み込まれたあるいは本来的に追跡可能である物体の一部である追跡可能なマーカーの1またはそれ以上の位置を、連続的に決定または追跡する。マーカーは、数種の形をとることができ、光学的(あるいは視覚的)、磁気的あるいは音響的方法を用いて位置を突き止めることができるものが挙げられる。さらに、少なくとも光学的または視覚的システムの場合は、物体の位置の所在は、実際認識可能なマーカーとして機能する、固有の特徴、際立った特色、形、色、あるいはその他の視覚的外観に基づいてもよい。
【0026】
追跡システムはいかなるタイプを使用してもよく、マーカーに依存してもよいししなくてもよい光学的、磁気的および/または音響的システムが挙げられる。今日、追跡システムは、一般に光学的で、主に赤外線領域で機能している。それらは普通、関心領域の回りに焦点を絞り、赤外線に対して感応性がある固定式のステレオカメラペアを含む。マーカーは赤外線を積極的にあるいは受動的に放射する。活性マーカーの例として、発行ダイオード(LED)が挙げられる。受動マーカーとして、入射赤外線を反射する表面をもつ球型マーカーのような反射マーカーが挙げられる。受動システムは、焦点の領域を照射する赤外線源が必要である。磁気的システムは、追跡ツールに一体化されている小さなコイルによって感知される磁場を放射する、固定式の磁界発生器を有してもよい。
【0027】
追跡可能なマーカーの所在上の追跡システムからの情報に関し、CASシステム11は、所定のあるいは公知の(たとえば、キャリブレーションから)ツール上の追跡可能なマーカーとツールの終点および/または軸との間の幾何学的関係を使用して、ツールの終点または先端、場合によってはその主軸の三次元座標を決定できるようにプログラミングされる。また、患者または患者の解剖学的構造の部分は、追跡可能なマーカー配列が付着することによって追跡することができる。示された例において、ローカライザーは、好ましくはプローブ16を追跡する、1またはそれ以上のカメラ14を含む、光学的追跡システムである。図1に示すように、カメラ14はシステム36に基づくプロセッサに連結してもよい。望ましい場合、カメラ14をコンピュータ10に連結してもよい。プローブ16は現在知られているあるいは後に開発される通常のプローブでよい。望ましい場合、プローブは、強固に触知装置113に取り付けられてもよいし、あるいは触知装置113の設計中に一体化されてもよい。
【0028】
実施においては、望ましい場合、システム36に基づくプロセッサは、たとえば、前もって保存された外科手術情報の読出し、術前外科手術プランニング、器具の先端および軸の位置の決定、患者および術前および/または術中診断画像データセットの追跡システムの座標システムへの登録など、最小限のユーザー機能性を提供するために、画像誘導外科手術ソフトウェアの一部を含んでもよい。この方法を使用する画像誘導外科手術は、コンピュータだけでは可能ではないこともある。このように、正しいデジタル媒体をコンピュータ36に連結する記憶媒体12に提供することによって、全ユーザー機能性が使用可能になってもよい。デジタル媒体は、アプリケーション特有のソフトウェアモデュールを含んでもよい。該デジタル媒体は、また、手術用具およびその他の付属品に関する記述情報を含んでもよい。アプリケーション特有のソフトウェアモデュールは、特定のタイプの処置の間、プランニングおよび/またはナビゲートして外科医を補助するために使用されてもよい。たとえば、該ソフトウェアモデュールは、外科手術の特定の工程や段階に対応する所定のページや画像を表示してもよい。モデュールの特別の段階や部分で、外科医は、自動的に促され、ある作業を行ったり、モデュールを決定可能にし、器具装備や移植片の適切な配置および整列を表示可能にし、あるいはフィードバックを外科医に提供することを可能にする特定のデータを規定したり入力したりする。他のページは、ナビゲーションのための診断画像を表示し、外科医へのフィードバック用のシステムによって計算されたあるデータをセットアップしてもよい。視覚的手段の代わりにあるいはそれに加えて、CASシステムは、また、音響的(たとえば音声合成を使用して)な方法および装置の触知インターフェースを使用するなどの触知的な方法で、情報を伝達することもできる。たとえば、スクリーン上のドリルやのこぎりの軌道を視覚的に示すことに加えて、CASシステムは、外科医に、ある物体に近づいているか、予定通りの方向に進んでいるかを、可聴音でフィードバックしてもよい。外科医の負担をさらに軽減するために、該モデュールは、外科医によって取り上げられた器具を認識することによって、処置の段階を自動的に決定し、そのツールが使用されているプログラムの箇所に素早く動かしてもよい。
【0029】
ソフトウェアモデュールは、所定の回数しか使用できないものでもよい。望ましい場合、該ソフトウェアモデュールは、コンピュータ36に備えられた画像誘導外科手術ソフトウェアの部分に連結されて使用される場合にのみ機能する。デジタル媒体上のソフトウェアに連結されたコンピュータ36に備わるソフトウェアは、医療用電子診断画像を加工し、患者の解剖学的構造に関する獲得した画像を登録しおよび/またはたとえば、X線透視からのCT、MRIなど、獲得した他のいかなる画像モダリティなどの獲得画像を登録する。望ましい場合は、画像データセットは時間変数でもよく、すなわち、異なる複数の時間に撮られた画像データセットを使用してもよい。ソフトウェアモデュールを保存する媒体は、処置が特に対象とする使い捨ての器具とバンドルされて売られる。したがって、該ソフトウェアモデュールは、CASシステムとともに配布されることは必要としない。さらに、該ソフトウェアモデュールは、特定のツールと移植片とがいっしょに働くように設計され、これらのツールと移植片をいっしょにして配布することもできる。さらに、ある処置においては、診断画像データセットなしで、患者が登録されていることだけで、CASシステムを使用することができる。したがって、該CASシステムは、ある適用、すなわち画像のない適用においては、診断画像を使用する支援は必要としない。
【0030】
記載したロボットアームの例示として、バレットテクノロジー社によって製造されたロボットアームが挙げられ、以下これを「全腕操作装置」または「WAM」と言う。このロボットアームはケーブル伝送を有し、高バンド幅、バックドライバビリティおよび力適合性を提供する。しかし、触知相互作用に抵抗しうるあるいは許可しうるモードの他のロボット装置も使用することができる。たとえば、直接駆動システム、または低摩擦トランスミッションの他のタイプのシステムや組み合わせトランスミッションタイプのシステムも、外科手術の用途のための触知装置として貢献するのに適している。さらに、該触知装置はロボットアームの形を取ることを必ずしも必要としない。WAMロボットアームは動きに4つの自由度を有する。しかし、それは軌道を基準とする医療用途用の1−DOF直接駆動リストによって増幅される。望ましい場合は、自由度は本発明の範囲に影響を与えることなく、加えたり取り除いたりしてもよい。
【0031】
ケーブル伝送にはいくらかの利点はあるものの、いくらかの欠点もある。処置中のエラーの可能性を避けるために、注意深いインストールとメンテナンスが要求される。さらに、ケーブル伝送は歯車伝達ほど強靭ではない。同様の欠陥が、他のタイプの伝達方法を使用する触知装置にも見つかっている。
【0032】
これらの欠陥は、付加的な冗長センサーとともに駆動モータ上にマウントされている既存の位置センサーを増強することによって、解決できるかもしれない。これらのセンサーは種々のタイプでよく、たとえば、回転エンコーダあるいはレゾルバー、チルトセンサー、ヘディング(コンパス)センサー、重力の方向を測定するセンサー、光学的、磁気的または音響的追跡システム(たとえば、外科手術器具を追跡するために通常使用されるタイプの光学的カメラシステム)、またはレーザー式位置感知などが挙げられるが、これらに限定されない。これらのセンサーの出力は、伝達手段やセンサー中の問題を示す不一致を決定するために、元のセンサーと比較することができる。さらに、付け加えられたセンサーは、ケーブル伝送中の両低バンド幅たわみを決定するために、使用することができ、このようなシステムは周知の制御技術を使用することによって簡単に補償できる。また、センサーは、ケーブル伝送中の高バンド幅ずれも測定し、これは付加的な入力をサーボループに提供し、伝達の駆動および負荷の量サイドのセンサーを含むシステム用の周知の制御技術を使用して、サーボシステムの安定性を改良することを可能にする。また、センサーは、結合するアームのひずみおよび/または伝達の効果を減少させるまたは消すことによって、アームのポーズの測定の精度を改良することができる。また、このようなセンサーは、他のタイプの伝達システムを使用するロボット装置における類似の欠陥を克服するために、使用することもできる。
【0033】
外科手術を行う場合、ツールを保持しうる触知装置、たとえば、ドリルガイドまたは他の類似した手術用具用拘束または取り付け機構は、患者に対して、特定の処置の種々の接近に適切な状態が取れるように配置する。二次元も三次元もありえる、診断またはプランニングデータセットにおいて、周知のレジストレーション技術を使用して、情報を物理的空間での位置に関連付けられるように物理的な解剖学的構造に登録する。画像データセットは、たとえば、磁気共鳴画像法(MRI)、コンピュータ連動断層撮影(CT)、陽電子断層撮影法(PET)、磁気共鳴血管造影(MRA)、単光子放射型コンピュータ断層撮影法(SPECT)、磁気共鳴静脈造影法(MRV)、造影強化MR静脈造影法(CEMRV)、CT血管造影、CT脊髄造影、MR血管造影、MR脊髄造影、X線透視、光学的画像化、アイソトープ画像化、超音波顕微鏡、腹腔鏡超音波およびMR分光法を使用して造られた1またはそれ以上の画像であってもよい。このような画像として、たとえば、X線画像、デジタルX線画像、コンピュータ連動断層撮影画像、MRI画像、MRA画像、MR分光画像、PET画像、MRV画像、SPECT画像、CEMRV画像、CT血管造影画像、CT骨髄画像、MR骨髄画像、フレア画像、二次元透視画像、三次元X線透視画像、二次元超音波画像、三次元超音波画像、超音波顕微鏡画像、腹腔鏡超音波画像、光学的画像、アイソトープ画像、レーザー距離画像、ラインアート、スケッチ、「漫画」描写、および/またはホログラフィー画像などが挙げられる。
【0034】
血管、腱、神経および脳の重要な領域のような避けるべき臓器は、自動的に、半自動的にあるいは手作業で画像データセット上に規定することができる。腫瘍、骨瘤、深部脳刺激の解剖学的標的、生検部位、移植場所の解剖学的部位、または解剖学的構造の他の領域のような、処置によって標的となる特徴部位も、自動的に、半自動的にあるいは手作業で画像データセット上に規定することができる。
【0035】
避けるべき特徴部位と規定された箇所に連結された画像データセットは、敏感な解剖学的構造の侵害が起こっていることを外科医に示唆する触知「キュー」を造るために使用することができる。これらのタイプのキューの一般的な機能は、装置に装着されている器具が、たとえば、規定した重要な特徴的部位に衝撃を与える状態から、触知装置を撃退する傾向がある力および/またはトルクを与えることである。同様に、標的とすべき特長部位と規定された箇所に連結された画像データセットは、触知アームに適切に装着された外科手術器具によって所望の標的領域に到達できることを外科医に示唆する触知キューを造るために使用することもできる。これらのタイプのキューの一般的な機能は、一旦それらが到達すると、触知装置をそのような状態に引き込む、または触知装置をこれらの状態にロックすることである。
【0036】
触知装置をコンピュータ使用外科手術システムの完全に一体化された要素として配備することができるが、触知装置をそのようなシステムの任意の周辺機器として作動させると利点がある。そうすれば、該システムは、触知装置の使用を必要としない処置のための使用には都合がよい。また、この取り組みに対しては、開発および構造上の利点がある。触知装置は、リアルタイムオペレーティングシステムまたは特別の動作制御ハードウェアを要求しがちで、触知制御システムのためのアップデートが高い頻度で生じるであろう。コンピュータ使用外科手術システムは、拘束画像処理ハードウェアとユーザー入力および出力装置の範囲に関する互換性要求という異なる要求が求められるであろう。したがって、異なる使用に合致する2つのコンピュータシステムを持つことは利点である。コンピュータ外科手術と触知アーム要素との分離は、また、安全性の点でも利点がある。したがって、触知装置は、高性能、安定、および安全な操作を確保するために必要なコンピュータソフトウェアとハードウェアだけを含むことが好ましい。該コンピュータ使用外科手術システムは、様々なグラフを表示し、様々なユーザー入力/出力装置を支援し、移植片および器具データベースのライブラリーおよび/またはこのようなシステムにおいて有用な他のいかなる機能性を管理する、病院のネットワークとつながるソフトウェアおよびハードウェアを含むこともできる。この構成は、また、触知装置を使用するアプリケーションを造るために、触知システムの最小知識を開発者に与える。これら2つのシステム間の物理的インターフェースは、シリアル、USBまたはその他のケーブル伝達インターフェース、または無線イーサネット(登録商標)、無線シリアル、赤外または他の無線伝達システムなど、有線でも無線でもよい。これらのシステム間のソフトウェアインターフェースは、触知装置の制御操作に対しコンピュータ使用外科手術システムを与える一連のコマンドを含む。たとえば、コンピュータ使用外科手術システムは、或る硬度パラメータをもつジョイスティックのような入力モードにエンターすることを要求する触知装置に、コマンドを送ってもよい。触知アームシステムは、パラメータが安全であるか、さもなければ受容可能かどうかチェックし、次いで、そのモード中に入るか、または適切なエラーメッセージで応答する。また、該コンピュータ使用外科手術システムおよび触知装置は、単一システムユニットに一体化されてもよいし、単一または多重プロセッサコンピュータ装置を使用して実施されてもよい。また、CASシステム、触知装置および/またはコンピュータ10は、画像化設備(たとえば、X線透視、CT、MRおよび/または超音波など)および/または医療処置が行われる部屋の中の設備カートのような、他の設備の一部と一体化されてもよい。
【0037】
図2を参照して、代表的な「触知対象」20は二次元仮想面である。しかしこれは一般的な触知対象の単なる例示であり、ゼロ次元(たとえばポイント)、一次元(たとえば仮想線または経路)、二次元(たとえば、仮想面または平面)または三次元(たとえば、仮想曲面、立方体または他の立体物)でもよく、単純なまたは複雑な幾何学的形状をしていてもよい。触知対象20は、患者の解剖学的構造114のような対象物の形に対して規定されているのが好ましい。触知対象20は、触知装置113の動きを案内および/または制約するように規定される。触知装置113と触知対象20との間の距離を、図2にXとして示し、患者の解剖学的構造114と触知対象20との間の距離をXlとして示す。触知対象20を、触知装置113上での力フィードバックの発生と関連づけて使用してもよい。また、力フィードバックの発生は、触知装置113が患者の解剖学的構造114に近づくときの速度、および/または触知装置113、触知対象20などの位置など種々の因子に依存する。触知対象20に対する触知装置113の現在の位置を計算するアルゴリズムを、触知対象20に対する触知装置113の位置に関する情報を外科医に提供するために使用してもよい。触知装置113が、触知対象20の所定の距離の範囲内に来た場合、硬度パラメータが変化し、触知装置113を動かすことがより難しくなるようにする。望ましい場合、力は、解剖学的構造114から遠ざかる方向にかけられ、解剖学的構造114に対する触知装置113の動きに抵抗する、または触知装置113は解剖学的構造114から遠ざかるように動く。
【0038】
仮想表面や壁のような剛性触知対象を使用することが適切でない場合もある。外科医は、触知装置によって硬く制約されたいかなる方向においても解剖学的構造を感じる能力を失うことはないであろう。多くの適用において、解剖学的要素の正確な位置確認は、単に、診断のデータセットをツール追跡システムまたは精密なロボット装置と組み合わせるだけでは達成することはできない。診断データセットが設定された後の解剖学的構造における変化、関心解剖学的要素および追跡システムのカメラや触知装置に関する運動学的連鎖における感知されない動作、レジストレーションエラー、および位置確認装置における不適切な記述が、位置決め誤差の一因となる。CASシステムを、手術用具を標的領域に非常に近づけて配置するように使用してもよいが、より正確なレジストレーションは難しく、あるいは極端に価格が高くなることが多い。上胸部中の椎弓根および骨棘のけい部スクリューの配置、深部脳神経外科手術など、ある医療処置においては、僅かな誤差が、行われた医療処置に悪影響を与えるかもしれない。したがって、これらのタイプの処置においては、外科医が解剖学的構造を感じる能力を保っておくのが望ましい。
【0039】
患者をCASシステムおよび患者の解剖学的構造の診断のデータセットに、たとえば、プローブを取り付け、少数の選択された解剖学的目印、移植されたフィデューシャルまたは目的の表面の複数のポイントに、それを接触させることによって登録するために、触知装置を使用することができる。診断のデータセットの触知検査のために、それらを使用して、この情報の視覚表示を増強することができる。この検査は、術中に現実の患者の解剖学的構造に登録しながら行ってもよいし、または術前に複数の仮想方法で行ってもよい。この触知検査は、二次元または三次元視覚表示上に適正に表示することが難しいまたは不可能なデータセットの複雑性または微妙な問題点を検査するために、外科医の接触に関する高度に開発された感覚を使用することができる、複雑な三次元構造を検査するために、特に有益である。
【0040】
従来の手動の外科手術を行いながら、外科医は、手術用具の正しい配置を確保するために、局所解剖学的要素に依存する。もし、外科医の患者の解剖学的構造を感じる能力が保たれていれば、外科医は局所解剖学的構造を検査し、これらのレジストレーションエラーを関心構造に関する彼の専門知識に基づいて修正できる。この方法で、手術室の向かい側に設置された追跡システムや、そのベースが患者に対して強く連結していないロボットより、むしろ近くの解剖学的要素によって最終的な配置が決定される。
【0041】
触知装置に結合された手術用具112の一部、たとえば、手術用具112の先端は、局所解剖学的構造の特性を感知するために使用されてもよい。局在解剖学的構造の特性は、手術用具112を位置づけるために、あるいは手術用具112の正しい位置決めを検証するために、使用されてもよい。ツールによって感知またはモニターされてもよい特性として、解剖学的構造の電気的特性、力、圧力、剛性、伝導率などが挙げられる。先端から得られる情報は、CASシステム11に返されてもよい。次いで、該情報は、望ましい場合、患者の診断画像データセットからの情報に相互に関連づけられる。望ましい場合、ツールからの情報は、画像データセットからの情報を増大あるいは交換するために、使用されてもよい。どちらのケースでも、情報は、手術用具112のよりよい配置のために使用されてもよい。
【0042】
ツールの配置設定または位置情報は、感知され、別のセンサーを使用することなく、CASシステム11に返されてもよい。外科医は、手作業で手術用具112を所望の位置まで動かしてもよい。所望の位置に関する手術用具112の先端の位置情報を、CASシステム11および/またはコンピュータ10によって、別のセンサーを使用することなく直接測定してもよい。解剖学的構造の他の特性は、手術用具112の先端にあるプレーシングセンサーによって感知されてもよい。センサーからの出力は、処置のためにCASシステム11に返されてもよい。
【0043】
収集された情報は、レジストレーションエラーに対するユーザーへの警告、レジストレーションエラーの全面的なまたは部分的な訂正、表示装置30上の情報のグラフ的表記の表示、ユーザーを補助するための触知対象の規定、および/または体構造の1またはそれ以上の画像が重ねあわされた表示装置30上の情報のグラフ的表記の表示など、種々の目的のために使用されてもよい。望ましい場合、収集された情報は、機械学習技術において使用するために、ログされてもよい。
【0044】
また、触知装置とCASシステムとの組み合わせは、診断のデータセットの触知検査とプランニングのための主力入力装置としての触知装置の使用を組み合わせるために有益である。このように、触知検査は、処置を行うための適切な計画へユーザーを自然に導く。付け加えて、ある状況では、処置を行うために正しい位置で触知装置およびこれと結合するツールを有することが可能であり、この検査/プランニング方法結果、触知装置を別の工程としての位置に動かす必要性がなくなる。
【0045】
図3Aを参照すると、ある処置においては、外科手術器具を小さな作業容積中に閉じ込めるのが好ましいことがある。この場合、該器具は全処置の間、触知対象の内部の作業領域内に留まる。あるケースでは、ある重要な特性を手作業で分割または規定する必要がある場合がある。しかし、殆どの適用では、診断のデータセットの分割は自動的に行われ、適切な触知フィードバックを提供するのに充分である。
【0046】
記載した実施形態では、1またはそれ以上の誘引性触知対象は、外科手術を行う標的領域に関連づけられ、1またはそれ以上の反発性触知対象は、外科手術中に避けるべき解剖学的要素に関連づけられる。たとえば、図3Aに示すように、触知対象22は、手術用具112の動きを制約するために作業範囲または容積を規定する。一方、図3Bに示すように、触知対象24は、手術用具112の動きを、神経25や器官27その他の重要な領域に近づかないように制約するために、作業範囲または容積を規定する。たとえば、触知対象が一旦規定されると、ユーザーは、誘引性触知対象からのキューがアクティブで、触知装置113に触れた場合、手術用具112が標的慮息に到達したと示唆する、または反発性触知対象からのキューがインアクティブで、手術用具112が規定された感度のある解剖学的領域のどこにも貫通していないことを示唆する場所を見つけるまで、触知装置113を押すことによって、計画された外科手術を行う。ほとんどの場合、これらの要求は、アームの状態を完全に制約せず、ユーザーは、ユーザーが適切と見たいかなる第2の判断基準に基づいたアプローチに対応しうるこの範囲内で、アームを動かすことができる。場合によっては、アームは複数の誘引性または反発性触知キューが反対方向に作動する平衡状態に達してもよい。
【0047】
ユーザーは、たとえ標的領域に到達していなくても、あるいは重大な解剖学的構造領域が侵されていても、この配置形態を対応しうる状態であると間違うかもしれない。ユーザーは、この局面を多くの方法、たとえば、可聴的あるいは視覚的インジケータまたは触知装置113の振動のような触知キューによって、警告される。次いで、ユーザーは、この局面をこの状態から触知装置を離すことによって訂正することができる。一旦状態がユーザーにとって満足いくものになれば、触知装置113は、ハードウェアブレーキ、制御サーボ技術、または他の適切な方法を使用して位置をロックし、外科手術のための安定な物理定数を提供することができる。
【0048】
もし微調整を望む場合は、動作スキャン、制約または他の方法を使用して、それがなければ外科医の手腕を超えるような訂正がなされるモードを使用して、触知装置を操作することができる。たとえば、制御サーボは、装置を所望に近い状態である有限剛性にロックすることができる。次いで外科医は、微調整を種々の方法を使用してこの状態にすることができる。たとえば、外科医は、タッチスクリーン、キーボード、マウス、トラックボールまたは音声入力を使用してもよい。望ましい場合は、外科医は、触知装置の端部を所望の方向に押してもよい。これらの入力に答えて、システムは、所望の状態を適切に、できれば触知装置の直接的な位置決めでは達成するのが難しい少加重で、調整する。状態の一部だけをロックし、外科医が1度でより限られた数の調整に集中できるのが望ましい。この微調整は粗い触知位置決めが終わった後、粗い触知位置決めと同時に、または粗い触知位置決めと交互に行ってもよい。
【0049】
たとえば、生体組織検査、腫瘍切除あるいは深部脳刺激のような脳神経外科手術のための軌道の選択は、複雑な3−D計画問題である。外科医は、脳の血管および敏感な範囲を避けながら、標的区域への経路を見つけ出さなければならない。もしこれらの領域が反発性触知対象になれば、そのような処置のプランニングは、発性触知対象が侵されていない適切な状態に落ち着くまで関心標的を通り抜け、ユーザーにこの点のまわりに装置を回転することを可能にするツールガイドの軌道を保つ触知制約を適用するように簡単であろう。
【0050】
図3Cは、外科手術の術中触知プランニングのための例示的な方法140のフローチャートである。触知装置113は、手術用具112が所定の外科手術のための外科手術取り組みに臨床上合理的な範囲の大きさの部分に配置されている手術室に配置されている。方法140を使用する外科手術プランニングは、患者が存在し、好ましくは触知装置113に連結する手術用具112はなしで行われる。手術用具112は、診断または治療の照射源のような非接触医療機器であってもよい。望ましい場合は、方法140を使用する外科手術プランニングは、触知装置113に連結する手術用具112を用いて行ってもよいが、後退した状態である。手術用具112が非接触医療機器を含む場合、動作不能状態であるのが好ましい。手術すべき患者の解剖学的構造の表示は、「仮想ツール」とともに表示装置30上に表示されてもよい。仮想ツールは、高忠実度表示であっても、または軸、点、または手術用具112の他の形のような手術用具112の図式的表示であってもよい。仮想ツールは、患者の解剖学的構造、および手術用具が、通常またはそのように操作可能な状態で触知装置113に連結していれば、手術用具112の位置および/または角度、またはそのある部分を知らせる。
【0051】
工程142で、触知装置113が患者の解剖学的構造に登録される。望ましい場合は、表示装置30上に表示された患者の解剖学的構造の表示は、診断またはプランニングデータセットにおける情報を物理空間における局在部位に訂正してもよいように、患者の解剖学的構造に登録されてもよい。現在知られているあるいは後に開発されるどのような登録方法も使用してよい。工程144で、標的領域が規定される。標的領域は、たとえば、腫瘍、骨瘤、深部脳刺激の解剖学的標的、および/またはボーンチャンネルなどがある。標的領域は、現在知られているあるいは後に開発されるいかなる方法で規定されてもよい。たとえば、外科医などのユーザーが表示装置30上に標的領域を手作業で同定してもよい。望ましい場合、外科医は、標的領域上の1またはそれ以上の点に触れることによって、またはツールで表示装置30上の標的領域を丸で囲むことによって、標的領域を規定してもよい。あるいは、外科医は、触知装置113のツール搭載軸を標的領域に向けることによって、または入力装置として触知装置113を使用することによって、標的領域を規定してもよい。同定された標的領域は、表示装置30上に自動的にハイライトされるのが好ましい。触知装置113のツール搭載軸は、どのような形をしていてもよく、たとえば、曲線状でも直線上でもよい。標的領域を規定する方法に関わらず、一旦規定されれば、確認のため、標的領域が表示装置30上に明瞭に表示されるのが望ましい。1またはそれ以上の、図3Aの触知対象22のような誘引性触知対象は、標的領域に関連づけられてもよい。
【0052】
工程146で、避けるべき解剖学的障害物が規定される。解剖学的障害物は、主要な血管、腱、神経、脳の重要な場所、器官、健全な骨、および/または他の組織など、外科手術の間避けるべき体の各部を含む。解剖学的障害物は、現在知られているあるいは後に開発されるいかなる方法を用いて規定されてもよい。たとえば、外科医は、表示装置30上に解剖学的障害物を手作業で同定する。望ましい場合、外科医は、解剖学的障害物上の1またはそれ以上の点に触れることによって、またはツールで表示装置30上の解剖学的障害物を丸で囲むことによって、解剖学的障害物を規定してもよい。あるいは、外科医は、触知装置113のツール搭載軸を解剖学的障害物に向けることによって、または入力装置として触知装置113を使用することによって、解剖学的障害物を規定してもよい。同定された解剖学的障害物は、表示装置30上にハイライトされるのが好ましい。解剖学的障害物を規定する方法に関わらず、一旦規定されれば、確認のため、解剖学的障害物が表示装置30上に明瞭に表示されるのが望ましい。1またはそれ以上の、図3Bの触知対象24のような反発性触知対象は、解剖学的障害物に関連づけられてもよい。望ましい場合は、複数の反発性触知対象が解剖学的障害物に関連づけられてもよいが、各解剖学的障害物は、それに関連づけられた反発性触知対象を1個持つのが好ましい。
【0053】
もし手術用具112が触知装置113に連結しているまたはもし手術用具112が操作状態にある場合は、工程148で、触知装置113が、好ましくは外科医によって、手術用具の適切な部分が標的領域と所望の関係を持つように配置される。たとえば、手術用具112が触知装置113に連結される場合、それは標的領域を貫通する。触知装置113に連結され、待避させられずおよび/または抑止されていない場合は、手術用具112は作動状態にある。工程148は、ツールがこの位置で、解剖学的障害物を交差するまたはしないに関係なく行われるのが好ましい。表示装置30上に表示された仮想ツールは、もし手術用具112が触知装置113上に搭載されていれば、またはもし手術用具112が正常運転状態にあれば、その位置および配向方向が手術用具112の位置および配向方向に対応するようにする。したがって、外科医は、仮想ツールが標的領域と適切な関係を持つように装置30の表示を見ながら、触知装置113を所望の状態に位置決めしてもよい。
【0054】
工程152では、仮想ツールが解剖学的障害物を交差しているかどうかについての決定がなされる。もし仮想ツールがいかなる解剖学的障害物にも交差していなければ、工程162で始動するプロセスが実行される。そうでなければ、工程154で始動するプロセスが実行される。工程154では、触知キューが触知装置113によってユーザーに提供される。触知キューは、1またはそれ以上の触知対象、たとえば、標的領域に関連づけられた誘引性触知対象および/または解剖学的障害物に関連づけられた反発性触知対象に基づいて、ユーザーに提供されてもよい。反発性触知対象が、仮想ツールが解剖学的障害物を交差する状態から触知装置113を遠ざけるように案内する力および/またはトルクを生み出す。反発性触知キューは、仮想ツールが反発性触知対象を貫通する場合、または反発性触知対象に接近している場合、アクティブなのが好ましい。誘引性触知対象は、触知装置に、仮想ツールが標的領域との所望の関係を持つ状態に対して触知装置113を案内する力および/またはトルクを発生させる。
【0055】
触知装置113の位置は、たとえ仮想ツールが解剖学的障害物を侵害しても、複数の触知対象からのキューを相殺するようにすることも可能である。このように、工程156では、複数の障害物からの触知キューが相殺しているかどうかについての決定を行う。もし複数の障害物からの触知キューが相殺していなければ、工程158で始動するプロセスが実行されてもよい。もし複数の障害物からの触知キューが相殺していれば、工程160において、特別な触知キュー、たとえば振動、を提供し、局面にいるユーザーに警告を発し、工程158で始動するプロセスを実行してもよい。
【0056】
工程158では、触知装置113が、好ましくは外科医によって動かされる。触知装置113は、少なくとも部分的に触知装置113に備わる触知キューに基づいて外科医に動かされるのが好ましい。触知装置113に連結された手術用具112の位置は、仮想ツールによって追跡され、表示装置30上に表示される。平衡状態が見つかるまで、ユーザーが触知装置113を動かすのが好ましい。該平衡位置において、誘引性触知対象によって造り出されたキューはアクティブであり、反発性触知対象によって造り出されたキューは非アクティブである。次いで、工程152で始動するプロセスが実行され、仮想ツールが解剖学的障害物と交差しているかどうかが決定される。
【0057】
工程162では、ユーザーが標的領域への軌道に満足しているかどうかについての決定が行われる。ユーザーはこの決定を、表示装置30上に描かれる標的領域に対する仮想ツールを見ることによって行ってもよい。もしユーザーが仮想ツールの位置および/または配向方向に満足でなければ、工程158で始動するプロセスが実行されてもよい。もしユーザーが標的領域および障害物に関する仮想ツールの位置および配向方向に満足であれば、工程164で始動するプロセスが実行されてもよい。ユーザーは、1またはそれ以上の多くの方法でその満足を知らせてもよい。たとえば、ユーザーは音声コマンドを発して、仮想ツールの位置および配向方向に満足していることを知らせてもよい。望ましい場合、ユーザーはフットペダルをアクティブにして、またはボタンをコンピュータ支援手術システムまたは触知装置113に関連づけて、その満足を知らせてもよい。望ましい場合、ユーザーはその満足を、コンピュータ支援手術システムまたは触知装置113に関連づけられたタッチスクリーン、キーボードおよび/またはマウスなどを介して知らせてもよい。工程164では、触知装置113は、現状の状態にロックされてもよい。
【0058】
触知装置113の状態が一旦ロックされると、たとえば、手術用具112を触知装置113に連結して、または手術用具112を充分に機能するあるいは操作できる配置形態に配置することによって、外科手術が行われてもよい。解剖学的構造に対する手術用具112の状態はすでに仮想ツールの補助で決定されているので、触知装置113に連結された場合、または使用のために構成された場合、手術用具112はアクティブになる。
【0059】
説明した、外科手術の術中触知プランニングのための方法は、ソフトウェア、ハードウェア、あるいはソフトウェアとハードウェアとの両方の組み合わせにより実施されてもよい。ここで検討した工程は、記載された順番で行う必要はない。数種の工程を互いに同時に行うことができる。さらに、望ましい場合は、本発明の範囲を逸脱しない限り、1またはそれ以上の前記工程は任意であってもよいし、組み合わせてもよい。さらに、1またはそれ以上の前記工程は、手術室で費やされる時間を節約するために、手術室の外で行ってもよい。たとえば、工程144および146は、患者を手術室に運ぶ前に、および工程142の前に行ってもよい。
【0060】
外科手術の術中触知プランニングのこの例示的な実施形態の技術的利点は、プランニングと外科手術の実行段階とのより緊密な連携を提供することである。外科手術のためのプランニングは、患者に関して、術中に行われるのが好ましい。したがって、プランニングが完了した場合、触知装置を、外科手術プランを実行するための配置に置く。実行段階を始めるための触知装置の追加の動きは必要とされない。さらに、仮想ツールを使用することによって、プランニング段階中に、標的領域への実際の手術用具による軌道の決定、解剖学的要素への損傷は避けられる。
【0061】
触知対象はどのような形またはサイズであってもよい。図4Aに示すように、触知対象26は、漏斗形状をし、医療機器、たとえば患者の解剖学的構造114上の標的区域に向かう触知装置113に連結する手術用具を案内してもよい。触知対象の経路は、外科手術プランに依存してもよい。アルゴリズムは、図4Aに示す漏斗形状触知対象を造るために使用されてもよい。漏斗形状触知対象を造るために望まれる情報は、外科手術プランに基づいてもよい。望ましい場合、触知対象26は触知装置113とともに動く。これは触知装置113の現在の位置から標的区域に向かう手術用具の案内を可能にする。したがって、手術用具は解剖学的構造114に近接するどのような位置からも標的区域に対して案内される。さらに、手術用具は現状の状態から所望の状態へ案内されてもよい。
【0062】
触知対象26はどのような形でもよく、たとえば、線、曲線、円柱状および/または漏斗状などがある。示された例示における触知対象26は、仮想の経路として規定され、触知装置113に連結する触知装置113および/または手術用具112の所望の位置での対話型位置決めを容易にする。触知対象26は、触知装置113に連結する手術用具112を、患者の解剖学的構造114に関し、初期位置および/または状態から標的区域および/または所望の状態へ案内する。望ましい場合、触知対象26は手術用具112を経路または軌道28に沿って標的区域へ案内してもよい。初期位置から標的区域への経路または軌道28は、外科手術プランに依存してもよい。経路はどのような形をしていてもよく、たとえば、直線、曲線、漏斗および/または円柱状などがある。触知対象26の少なくとも部分に基づいて、ユーザーが手術用具または触知装置を動かすにつれて、触知力が、触知装置113に加わり、標的区域に向かう経路28に沿って手術用具112を動かすようにユーザーを案内する。
【0063】
触知対象26は操縦型または再構成可能型であるのが好ましい。たとえば、触知対象は、触知装置(または手術用具、またはそれに連結する器具)が動くように、位置および/または配向方向を動かすまたは変更するように規定されてもよい。これは、たとえば、ユーザーに、解剖学的構造114に近接する殆ど全ての位置から標的区域に向かって手術用具112を案内することを可能にする。触知対象26のこの再構成可能性または操縦性は、また、ユーザーに、手術用具112を現在の位置および/または状態から所望の状態に案内することも可能にする。
【0064】
また触知対象26は、障害物を避けるために、好ましくは標的区域から逸脱することなく、所定の経路または位置から動かすことも可能である。これは、コンピュータ支援手術システム11が認識しない触知装置113の経路中にある障害物を避けるために、特に有用である。したがって、手術用具112は、他の手術用具および設備、患者または手術室のスタッフに衝突することなく標的区域に向かって、ユーザーによって操縦されてもよい。
【0065】
好ましい実施形態では、操縦、移動、または再構成は、しきい値を超えた力またはトルクが触知装置または触知対象上にかかったことに応えて起こる。たとえば、もしユーザーが触知装置113を触知対象に対してしきい値を超えた力で押せば、触知対象は、投入された力またはトルクに基づいて新しい配置形態に再配置され、再構成され、あるいは修正される。触知対象26は力またはトルクの方向に動き、それによって触知対象26を再位置決めまたは際整列する直感的な方法を提供するのが好ましい。
【0066】
望ましい場合、もし標的区域が変われば、触知対象26が新しい位置に動いてもよい。したがって、図4Aに示すように、触知対象26は、標的区域における変化に応えて、初期位置から、触知対象26’によって示される新しい位置に動かされてもよい。
【0067】
別の実施形態では、触知対象26は、触知装置113の1またはそれ以上のジョイントに理論的にかかる、仮想の線状または非線状バネ、ダンパーおよび/またはクラッチとして、規定されてもよい。触知装置113の1またはそれ以上のジョイントは、触知装置113の最終的に望む状態に対応した、仮想のデテントを含んでもよい。標準的なジョイント空間制御技術が、各ジョイントで触知対象を導入するために使用され、触知装置の所望のデカルト位置および/または角度に対応するジョイント位置を決定するために、従来の逆運動学技術が使用されるのが好ましい。ユーザーは、触知装置113のジョイントがそれらのデテントに「ロック」する配列を特定することによって、障害物を避けてもよい。特に、もし配列が試行錯誤法によって決定される場合は、ユーザーは、手術用具112の位置決めの間、選択された配列を「ロック解除」ジョイントによって修正することが容認されてもよい。ユーザーによるジョイントの対話型ロックの解除は、そのジョイントでのユーザーによる力および/またはトルクの規模、持続時間または動力学的特性に基づいてもよい。触知装置113に互いに通信できるように連結する、図形式のユーザーインターフェース、フットスイッチ、キーボードおよび/またはボタンなどは、ジョイントを解除して使用してもよい。所望により、一旦所望の状態に達したら、ジョイントを解除する能力を、触知装置113の不注意な動きを阻止するために、無効にしてもよい。
【0068】
その他の別の実施形態では、触知対象26は、触知装置113の1またはそれ以上の重複する自由度に理論的に関連づけられる、仮想の線状または非線状バネ、ダンパーおよび/またはクラッチによって規定されてもよい。たとえば、もし4つのジョイントを含む触知装置が手術用具112の先端を配置するために使用される場合、該先端の位置に影響を及ぼすことなく、触知装置113を自由度の一つに沿って動かしてもよい。触知対象26を、重複する自由度に関連づけ、ユーザーに、触知装置113の位置を対話形式で修正することを容認してもよい。
【0069】
図4Bは、たとえば、全てが図4Aに示される、再構成型または操縦型触知対象26を使用して手術用具112を触知装置113に搭載した医療機器の対話型触知位置決め方法170のフローチャートである。望ましい場合は、触知対象の再構成性は、ユーザーがこの機構を、適応によってまたは特定の適応の工程によってオンまたはオフにしてもよいようなユーザー構成型であってもよい。再配置形態機構が使用可能である場合、方法170は周期的に実行されるのが好ましい。
【0070】
工程172では、決定は、医療機器が所望の状態にあるかどうかに関して行われる。この決定は、触知装置に一体化されてもよいエンコーダやレゾルバーのような位置センサーの1またはそれ以上の検出情報を使用して行ってもよい。望ましい場合は、この決定は、レーザー干渉計、カメラおよび/またはその他の追跡装置のような外部装置からの検出情報を使用して行ってもよい。
【0071】
もし、工程172において、医療機器が所望の状態にあることが決定されると、工程174では、医療機器の状態を保つための触知相互作用力および/またはトルクが決定される。この決定は、所望の状態に関して、触知装置および/または医療機器の位置および/または速さの少なくとも一部に基づいてなされてもよい。たとえば、ロバスト制御、適合制御、ハイブリッド位置/力制御、比例微分(PD)制御、比例積分微分(PID)制御、デカルト系制御、逆ヤコビアン制御および/または転位ヤコビアン制御などの、現在知られているあるいは後に開発されるどのような制御アルゴリズムもこの決定のために使用してよい。検出された触知相互作用力および/またはトルクは、変換され、触知装置に提供されてもよい。もし工程172において、医療機器が所望の状態にないことが決定されれば、工程176において、触知対象内に医療機器を保持する触知相互作用力および/またはトルクが、医療機器が標的区域に向かって案内されてもいいように決定される。
【0072】
工程178において、工程176で計算された触知相互作用力および/またはトルクの少なくとも一つのスカラー値の関数の結果が、少なくとも一つの再配置形態しきい値を超えているかどうかに関して決定がなされる。再配置形態しきい値は、ユーザーが構成可能であってもよい。スカラー値の関数は、1またはそれ以上の入力値に基づいた値を計算する。例示的な実施形態では、スカラー値の関数は、入力値の二乗の合計の平方根であってもよい。スカラー値の関数は、1またはそれ以上の触知相互作用力に当てはめてスカラー値としてもよい。得られたスカラー値は、再配置形態しきい値と比較してもよい。方向および/または持続時間などのような触知相互作用力および/またはトルクの力学的特性もまた考慮してもよい。
【0073】
もしスカラー値の関数がどれも再配置形態しきい値を超えない結果の場合、プロセスは終わる。そうでなければ、工程180において、触知対象26は、触知相互作用力および/またはトルクの少なくとも部分に基づいて変更される。たとえば、もし外科医が触知装置を、実際、触知対象に対して押すように触知装置を案内した場合、触知対象内に触知装置を保持するために発生した触知相互作用力および/またはトルクのスカラー値の関数の値は、再配置形態しきい値を超えるかもしれない。そのような場合、たとえば、外科医によって与えられた力の方向に関し、手術用具を触知対象内に保持するように、触知対象を変更するのが望ましい。触知対象の変更として、触知対象のサイズの変更、触知対象の形の変更、および/または患者の解剖学的構造に沿って触知対象を回転させることが含まれてもよい。
【0074】
医療機器の対話型触知位置決めのこの例示的な実施形態の技術的な利点は、触知相互作用力および/またはトルクに基づいて触知対象を変更し、より大きな柔軟性を外科医に提供することにある。したがって、外科医は、他の手術用具および設備、患者、または手術室のスタッフに衝突せずに、標的区域に接近し、さらに、外科医に標的区域への手術用具の案内を可能にする触知キューも提供される。
【0075】
再構成可能な(最配置可能、操縦可能)触知対象を用いる触知装置の対話型位置決め方法の記載した方法は、触知装置を動かすのが望ましい場合、たとえば手術用具などの医療機器のような任意の関心構成要素を、混みあうまたは重要安全環境内などの、いかなる局面においても使用してよい。望ましい場合、触知装置それ自身が関心構成要素であってもよい。記載した方法は、仮想制約および/または触知キューが使用され、関心構成要素を所定の位置および/または配向方向へ動かし、安全および他の懸念が自律的装置の動きを望ましくないものにする処置のような、種々の適応において使用されてもよい。たとえば、該方法は、たとえば、表面デジタイジング、サンプル収集、回路基盤検索、手動組み立て、機械的および/または電気的構成部品または組み立て品の製造または試験および/または素材処理のような、インプラント埋植術、生体組織検査処置、治療的移植片の堆積、解剖学的構造の体内または体外の診断触診法、腫瘍の切除、放射線治療、美容的または商業的スクラプティング、美容的または商業的ペインティング、科学的または工学的実験に使用されてもよい。
【0076】
リハビリテーションおよび/または理学療法の適用のために、矯正装具を使用する患者に触知装置を連結してもよく、それは、患者にハンドルを握ることを要求する。このような実施形態では、触知装置はユーザー操作パネルを持つコンピュータシステムに連結されてもよい。コンピュータシステムは、CASシステムであってもなくてもよいが、リハビリまたは理学療法に適用するように設計されたコンピュータシステムである。望ましい場合は、コンピュータシステムは、コンピュータ10に一体化されていてもよい。矯正装具は、望みどおりのきっちりとしたまたはルーズな連結を提供するために、ストラップ、サスペンダ、外殻部またはギブス機構が備わっていてもよい。矯正装具は、触知装置がリハビリの動きや他の運動を案内、モニターおよび/または補助することを可能にする。たとえば、患者またはセラピストが患者の腕または足を触知装置に連結し、触知装置がその動きの特性を記録しながら、所望の動きに導いてもよい。すると、該動きは、セラピストの補助なしで、複数回繰り返すことができる。また、触知装置は、患者が動くためにはどのくらいの努力が必要か知ることによって、または動くための患者の努力をモニターするために、または患者が触知装置と連動する位置またはその近くの触知装置に連結してもよい装置を検出する力の使用を通して、動くための患者の努力をモニターするために、使用してもよい。また、患者の動きを、彼ら自身の強さを用いて規定された経路に沿って進むことを患者に要求する規定された経路に単に制約するために、触知装置を使用してもよい。患者と触知装置との間に共有される努力のあるモードは有利でもある。この方法を用いる場合は、1またはそれ以上の四肢において部分的な機能しか持たない患者に非常に近くに接近するので、触知装置は安全な方法で操作されることが望ましい。なぜなら、触知装置が新しい位置に自動的にまたは自律的に動くことは理解できるであろう。しかし、たとえば、初期取り付けまたは患者による把握を可能にするために、触知装置を異なる運動の間、同じ運動の繰り返しの間、またはリハビリの動きまたは運動を行っている途中で、異なる出発点に動かすように、触知装置を再位置決めすることが望ましい。理学セラピストは、再位置決め触知装置として対話型入力を準備してもよい。望ましい場合は、患者は、触知装置と相互にやり取りしながらそのような入力を行ってもよい。
【0077】
再構成型または操縦型触知対象を使用する手術用具の対話型触知位置決めのための記載した方法は、ハードウェア、あるいはソフトウェアとハードウェアとの両方の組み合わせにより実施されてもよい。ここで検討した工程は、記載された順番で行う必要はない。数種の工程を互いに同時に行うことができる。さらに、望ましい場合は、本発明の範囲を逸脱しない限り、1またはそれ以上の前記工程は任意であってもよいし、組み合わせてもよい。
【0078】
次に、図5を参照すると、ユーザーが触知対象20などの触知対象と相互作用する場合、触知対象にかかる力の大きさ、または現実のまたは仮想ツールまたは移植片が触知対象を貫通する量を知ることが望ましい場合もある。重要な触知対象、または複雑な二次元または三次元形態を伴う触知対象に関して、この情報をユーザーに理解するのに簡単な方法で提供することは難しいかもしれない。しかし、所望の情報の一片は局在貫通距離または触知反発力であることが多い。これらは、三次元ベクトル量までであるが、できれば触知対象の局在単位法線の方向における、このようなベクトルの大きさ(または長さ)は、ユーザーの触知相互作用を増強するには最も有益である。これらの大きさは、単なる一次元量であり、ユーザーに、計測器、文字盤、数値表示盤、グラフ、および他の視覚的方法、ばかりか聴覚的、触知的、触知または他の方法などを始めとする、種々の方法で伝えることができる。
【0079】
完全なメッセージが直接触知装置113によって外科医に伝えられるが、視覚的または聴覚的表示は、ユーザーとシステムとの間の豊かな相互作用を支援するために使用することができる。たとえば、周知の市販されている言語認識技術を、コンピュータ支援外科手術システムに情報や支持を通信する言語的方法をユーザーに提供するために、使用することができる。また、コンピュータ支援外科手術システム11からの音声出力が、現状情報、警告メッセージ、イベント通知、およびユーザー照会の答えなどを始めとするユーザーに対する情報を、言語的な通信で、あるいは他の方法で、通信するために使用されることもできる。コンピュータモニター、投写型ディスプレイ、ウェラブルディスプレイ、ヘッドマウンデッドディスプレー、立体映像、ホログラフ式ディスプレイおよび/またはその他の視覚表示装置を、概略的診断図、診断データセットの画像、外科手術用の支持またはガイド、仮想触知対象の表示、システム状況情報、患者情報、および視覚表示を通して簡単に通信される他の情報を提供するために使用することができる。他の入力または出力装置のいかなるものも、ユーザーとコンピュータ外科手術システムとの間の触知相互作用を増強するために、同じように使用することができる。
【0080】
外科手術装置の深さ、力および/または速さの予定された剛性の触知対象への侵入の視覚的および/または聴覚的ディスプレイが提供される。触知対象は、コンピュータ支援外科手術システムからの情報に基づく。ディスプレイは、触知対象への外科手術装置の局在侵入の大きさの通信を促進するために、一次元である。
【0081】
触知装置は、外科手術の間、たとえば、ツールを安定に保持する、切断をまっすぐに行う、またはツール先端を経路または表面に沿って動かすなどのタスクにおいて、外科医の行為を増強するために使用されてもよい。該触知装置は、移植医療機器のための解剖学的構造の配置および準備において、支援するために使用される機械的切断ジグおよび配列器具を交換することができる。仮想触知表面は、物理的切断ブロックを交換するために使用してもよい。この場合、仮想触知表面は、移植片のモデルから簡単にかつ経済的に造りだすことができるソフトウェアエンティティーであることが好ましい。仮想触知表面は、横たわる解剖学的構造によりぴったりと合い、かつ骨や組織の分離が殆ど起こらない移植片設計が可能な曲線形状を持つものとして造ることができる。
【0082】
骨のような対象物のスカルプティングは、骨中でおよび/または骨の表面において造られるのに、頻繁に複数の平面機構を求める。触知対象は、そのようなスカルプティングにおいて援助するために規定されてもよい。規定された触知対象の形は、スカルプティング後に得られる、対象物の所望の形に実質的に対応してもよい。対象物および触知対象は、突然の転換のあるセグメントまたは表面を持ってもよいし、および/または短い曲率半径の部位を持ってもよい。このような状況のため、触知装置に連結し、対象物をスカルプトするために使用される手術用具が、1セグメントから急激に落ち、対象物や対象物の近くにある他の物に意図しない損傷を与えたり、ユーザーを動転させたり妨害したりする可能性がある。セグメントは、一次元、二次元または三次元であってもよい。
【0083】
この問題に対処するために、触知対象の1セグメントから他のセグメントへの次の突然の転換から手術用具または触知装置を未然に防ぐために、スカルプティング中、触知対象を動力学的に変形する。1セグメントから他への手術用具または触知装置の突然の転換を阻止することが望ましい場合にのみ限り、触知対象は変形された形の中に留まるのが好ましい。切断または切断の一部が一旦完了すると、触知対象は、たとえば、始めの形、サイズおよび/または配向方向など、その始めの配置形態に戻ってもよい。触知対象の変形は、触知対象の1セグメントから該触知対象の他のセグメントへの次の突然の転換から手術用具を未然に防ぐ他の触知セグメントを造ること、触知対象の既存のセグメントを、たとえば、既存のセグメントをその境界などを超えて伸ばすことによって、変形することが含まれてもよい。
【0084】
図6Aは、高い曲率を持つ対象物の触知スカルプティングのために使用される例示的な触知装置を示す。図6Bは、高い曲率を持つ対象物の触知スカルプティングのための例示的な触知対象20を示す。次に、図6Aおよび6Bを参照すると、触知対象の支援を含む解剖学的領域のための所望の形は、鋭い外部端部を含んでもよい場合もある。これらの端部が滑り落ち、解剖学的構造で得られる輪郭において、端部および他の無用の人工産物を丸めることになく、切断を正しく実行するのは難しい。これらのタイプの形を製造する改良された方法として、触知表面の部分を動力学的に有効にしたり無効にしたりする方法が挙げられる。特にこの方法は、もし触知対象が、図6Aおよび6Bに示すように、端部によって結合する2つの部分の間の局部角度が180°未満である鋭い外部端部を少なくとも一つ含む場合、役に立つ。該方法は、これらの部分から一つを選択する方法を含み、ここで記載したユーザー入力モダリティのいかなるものも含んでもよい。しかし触知対象に対する近接度に基づく方法が好ましい。複数の部分から一つが選択されると、触知対象のその部分が結合端部を越えて伸び、連続する案内表面を提供する。伸張がもはや求められなくなると、ユーザーは、触知アームを該部分から遠ざけることによって、または他の入力モダリティを使用することによって、触知対象を元の配置形態に戻すことができる。
【0085】
たとえば、全または一区画膝置換手術において、大腿移植片用の大腿骨を造るために、複数の平面切断がしばしば求められる。触知対象は、所望の大腿部切断に密接に関係のある部分を含むソフトウェアで規定される。実験では、ユーザーが、全触知対象を用いる触知アーム中に搭載された切断バーを用いて骨の切除を試みた場合、1部分から他の部分に滑り、しばしば所望の範囲を超えてバーが動くことなく、まっすぐな切断を行うことは難しい。この滑りは、腱、血管、じん帯およびその他の構造物に損傷を与え、ユーザーを動転させる結果となる。もし代わるなら、ユーザーが切断バーを該部分の至近距離内に持ってきた場合、触知対象の各切断面が伸び、局部解剖学的部位を越えて動くことなく、まっすぐな切断をより容易に造る。該部分はそこから単に後退させるだけで最初の範囲に戻り、その場合、ユーザーは、切断バーを他の部分に接触させ、同じようにして、それらを伸ばす。フットペダル、音声コマンド、他の入力モダリティは、各面の伸張を制御するために使用することができるが、前記好ましい方法においてそれらを制御すれば、追加のハードウェアを必要とせず、ユーザーにとって非常に簡単である。しかし、触知対象および伸張された部分の視覚表示は、また、特に切断への彼らの視界が障害物または低侵襲的な治療方法のため制限されている場合、より複雑な触知対象に関するユーザーの理解を手助けのために役に立つ。
【0086】
図6Aに触知対象を動力学的に伸ばす例示的なシステムを示す。対象物の表示、たとえばスカルプトすべき患者の解剖学的構造は、表示装置30上に表示してもよい。対象物の表示は、二次元または三次元図面または画像を含んでもよい。画像は、たとえば、患者の二次元医療診断データセットまたは三次元医療診断データセットでもよい。図6Aでは、触知対象20は、端部21に規定されたウェルによって分けられた2つの異なる部分(20’および20”)を含む。触知装置113、手術用具または仮想の手術用具が、一部分、たとえば部分20’、の所定の距離、たとえばR1、内に来た場合、触知対象20のその部分がアクティブになる。望ましい場合、図6Aの破線23によって示すように、触知対象20のアクティブな部分を伸ばしてもよい。触知装置113が他の部分の所定の距離、たとえば部分20”、内に動いた場合、触知対象20の新しい部分がアクティブになってもよい。望ましい場合は、触知対象20の該新しくアクティブになった部分が伸びてもよい。
【0087】
高い曲率を持つ触知対象20は、理論的に、高い曲率を持たない複数の部分またはセグメントに分割され、あるいはそれにより近似されるのが好ましい。たとえば、図6Aに示すように、触知対象20は、端部21によって分離された、複数の部分20’および20”に理論的に分割されてもよい。触知対象を複数のセグメントに理論的に分割することは好ましいが、該触知対象自体は、複数のセグメントの理論結合を用いて規定されてもよい。たとえば、複数のセグメントが一体的に規定され、触知対象が複数のセグメントの1またはそれ以上の理論結合として規定されてもよい。望ましい場合、触知対象は、それらのあるものあるいは全部がラベルされている、体積要素またはボクセルの規則的なあるいは不規則な整列を含んでもよい。この方法では、物体の表面上のボクセルにのみラベルするのが好ましいかもしれない。
【0088】
図6Cは、図6Aおよび6Bの触知対象20のような触知対象を動力学的に変形する方法120のフローチャートである。望ましい場合、動的変形機構は、該適用または特定の適用の工程に依存してこの機構のスイッチを入れたり消したりする、ユーザー構成可能であってもよい。動力学的変形動的変換機構が可能である場合、方法120は周期的に実行されるのが好ましい。
【0089】
工程122において、触知対象、たとえば触知対象20、の配置形態が、たとえば、触知対象のセグメントを変形することによって、または新しいセグメントを加えることによって、すでに変形されているかどうかについての決定がなされる。好ましい実施形態では、もし触知対象20がすでに変形されている場合は、配置形態フラグの値を決定するためにチェックしてもよい。もし触知対象20がまだ変形されていない場合は、工程124で、触知対象20の配置形態を変形するための1またはそれ以上の基準が満足いくかどうかについての決定が行われる。基準は、触知対象20に対する触知装置113に連結する手術用具112の近接度、手術用具112による触知対象20の侵入、手術用具112の所作の動き、触知対象20の位置に対する手術用具112の所作の動き、一定のあるいは種々の時間および/または端部21を越えた望ましくないずれの決定などであってもよい。望ましい場合は、基準は、触知対象20に対する手術用具112の表示の近接度、手術用具112の表示による触知対象20の境界線の侵入および/または触知対象20の位置に対する手術用具112の表示の所作やその他の動きなどである。触知対象20の配置形態の変形が、触知対象20のセグメントを変形することを含む場合、セグメントのどれかが変形されるべきかを決定するのに、同じ基準が使用されるのが好ましい。しかし、望ましい場合は、異なる基準に基づいて、異なるセグメントが変形されてもよい。そのような実施形態では、複数のセグメントのそれぞれが、それに関連づけられた1またはそれ以上の基準を持ってもよい。
【0090】
もし工程124において、触知対象20の配置形態を変形するための少なくとも一つの基準が満足であると決定されれば、工程126において、変形されるべきセグメントが選択される。あるいは、新しい触知セグメントが造られる近傍のセグメントが工程126で選択されてもよい。別の実施形態では、もし一組の基準の所定の理論結合が満足された場合、工程126で始動するプロセスが実行されてもよい。触知装置113に最も近いセグメントが選択されるのが好ましい。しかし、望ましい場合は、セグメントを選択するため他の基準が使用されてもよい。たとえば、もし手術用具112がこの前の方法120を実行してから、複数のセグメントの間の端部を横切れば、横切られた端部に関連づけられたセグメントの一つが選択されてもよい。あるいは、手術用具112が侵入しているセグメントが選択されてもよい。工程128では、選択されたセグメントの配置形態が、好ましくは選択されたセグメントを触知装置113が動く方向に伸ばすことによって、変形される。配置形態フラッグは、触知対象20が変形されたことを示すように設定してもよい。
【0091】
選択されたセグメントの配置形態を変形する方法は、触知対象を表す方法の少なくとも一部に基づくのが好ましい。この表示は、表面多角形、ボクセル、ノンユニフォームラショナルBスプライン(NURBS)、コンストラクティブソリッドジオメトリーおよび/または触知対象を表す方法であって、現在知られているあるいは後に開発される他のいかなる方法に基づいてもよい。変形されたセグメントは、どのような方法で表されてもよく、元の触知対象を表すのに使用された方法と同じであってもなくてもよい。選択されたセグメントは、伸張された部分が、高い曲率端部の一つに沿ったセグメントとつながるように伸びるのが好ましい。伸張部は平面でも曲面でもよい。該セグメントは、元のセグメントを越えた固定距離または可変距離に伸ばされてもよい。あるいは、触知対象のほかの部分または作業場の端部と交差するように伸ばされることもできる。セグメントを伸ばすために使用される方法は、伸張を表すために使用される方法に依存する。たとえば、もし触知対象が表面多角形で表されるのなら、関心セグメント内に横たわり、その境界線の一つに隣接する多角形が認識される。元のセグメントを越えて横たわり、元の多角形と同じ法線方向を有する隣接したセグメントも使用可能である。ボクセル表現に関しては、ボクセルはラベルされ、それらは個体として振舞うか、または触知対象の配置形態用の空間の範囲が自動的に、半自動的にまたは手作業で設計された、異なった伸張されたセグメントで満たされるかを示す。選択された隣接セグメントは、触知対象に加えられてもよい。したがって、図6Aに示されるように、もし触知対象20の部分20’が選択されたセグメントの場合、部分20’は、たとえば破線23に示されるように、その元の境界線を越えて伸びてもよい。あるいは、望ましい場合は、新しい触知セグメントは、選択されたセグメントに近接するように造られてもよい。
【0092】
工程130では、触知対象のための触知相互作用力および/またはトルクが計算される。触知相互作用力および/またはトルクは、伝達され、触知装置113に提供されてもよい。たとえば、所望の触知相互作用力および/またはトルクが発生するように与えられるために、触知装置のアクチュエータ用の適切な力およびトルクを計算することが望ましいかもしれない。場合によっては、所望の効果を得るために、アクチュエータに対する位置または速さコマンドを変更することが望ましいこともある。選択されたセグメントからの触知相互作用力および/またはトルクは、スカルプトすべき対象物114から遠ざかる、該対象物に向かうまたは該対象物と一直線に並ぶ方向に触知装置113を案内するように使用されてもよい。触知相互作用力および/またはトルクは、反発性、誘引性、摩擦性、粘性、衝撃的な、デテントおよび/または調整性(たとえば、切断速度または供給速度を保つように設計された)などであってもよい。望ましい場合は、触知相互作用力および/またはトルクは、計算されてもよい。数理的に、制御理論で、または 機械学習アルゴリズムを使用して計算されてもよい。
【0093】
もし工程124で、触知対象20の配置形態を変形するための基準が満足でないと決定された場合、工程130で始動するプロセスが実行されてもよい。
【0094】
もし工程122で触知対象20の配置形態がすでに変形されたと検出された場合、工程134で、変形された配置形態において触知対象20を保つための1またはそれ以上の所定の基準が満足かどうかに関して、決定がなされる。これらの基準は、触知対象20の配置形態が最初に変形された場合に考えられた基準と同じでも同じでなくてもよい。もし変形された配置形態において触知対象を保つための基準の少なくとも一つが満足の場合は、工程130で始動するプロセスが実行されるのが好ましい。さもなければ、工程136で、変形された触知対象がその元の配置形態に戻る。配置形態フラグは、触知対象20が変形されていないことを知らせるために、リセットされてもよい。工程136の実行の後、工程130で始動するプロセスが実行されてもよい。
【0095】
代替の実施形態では、もし工程134において、一組の基準の所定の理論結合が満足であると決定された場合、工程130で始動するプロセスが実行されてもよい。
【0096】
図6Aで説明するように、触知装置113に連結する触知装置113または手術用具112が、触知対象20の一部の所定の距離Rl内、たとえば部分20’に来た場合、触知対象20のその部分がアクティブになり、破線23によって示すように、その元の境界線を越えて伸びるように変形してもよい。触知装置113または手術用具112は、部分20’に非常に近接しているまたは部分20’との接触を保っているものの、部分20’は引き続き変形している。部分20’に対応した対象物114の部分を所望の形にスカルプトしている時間、手術用具112が使用されてもよい。部分20’に対応する対象物114の部分のスカルプティングが完了した場合、ユーザーは、触知装置113を部分20’から遠ざけるように動かしてもよい。次いで、部分20’は、その元の配置形態に戻ってもよい。触知装置113または手術用具112が触知対象20の他の部分の所定の距離内、たとえば部分20”、に動いた場合、触知対象20の部分20”はアクティブになり、その元の境界線を越えて伸びるように変形する。
【0097】
触知対象を動力学的に変形する説明した方法は、様々な用途、たとえば、仮想制約および/または触知キューが使用され、高い曲率を持つ対象物や形をスカルプティングするための触知装置を用いるユーザーを案内するどのような処置にも使用してよい。たとえば、該方法は、消費者または工業用製品用の、彫刻のような芸術品の再生産または創造用のおよび/または整形外科的処置における骨の形成用の部品の製造に使用してもよい。
【0098】
触知対象を動力学的に変形する説明した方法は、ソフトウェア、ハードウェア、またはソフトウェアおよびハードウェアの組み合わせにおいて実施されてもよい。ここで検討する工程は、記載した順番で行う必要はない。数種の工程を互いに同時に行うことができる。さらに、望ましい場合は、本発明の範囲を逸脱しない限り、1またはそれ以上の前記工程は任意であってもよいし、組み合わせてもよい。
【0099】
触知対象を動力学的に変形するこの例示的な実施形態の技術的利点は、対象物のスカルプティングをより制御された方法で行ってもよいことである。したがって、外科手術の間、体の部分への意図しない損傷が避けられ、ユーザーは、このシステムを使用して快適に感じることができる。他の技術的利点は、触知対象の一つのセグメントから他のセグメントへ切換える場合、可動範囲から注意を動かす必要がないことである。さらに他の技術的利点は、高い曲率を持つ形を全触知対象のみを使用する場合よりさらに容易に操作できることである。
【0100】
図8は、入力装置としての例示的な触知装置113の使用を記載する。現実の空間の中の触知装置113と触知対象20とが描かれている。また、触知装置113は情報をユーザーからCASシステム11へ通し、マウス、タッチパッド、キーボード、ジョイスティック、飛行制御器、触知ジョイスティック、または他のいかなる入力装置のような普通のユーザーインターフェース装置に似た機能性を提供する入力装置としても使用されてよい。入力装置として使用する場合、解剖学的参照ジオメトリーを規定するため、仮想移植片の位置および/または配向方向を処理するため、外科手術接近軌跡の位置および/または配向方向を処理するため、骨切除の位置および/または配向方向を処理するため、およびその他のいかなる解剖学的または外科手術機構の選択と配置のために使用してもよい。また触知装置113は、たとえば(しかしこれらに限定されない)、カーソル31(図8)を動かすこと、ボタンまたは他の類似のユーザーインターフェースを選択すること、プルダウンメニューを選択すること、スクリーン上のボタン、ノブまたは他の制御を処理することなどのより大衆的なユーザーインターフェース機能のために使用してもよい。
【0101】
このユーザー入力モードの場合、触知装置が制約され、触知装置の予定された部分の位置に関連して、患者または患者の解剖学的構造の部分に関連して、または概略的な、仮想的な、アトラス的な、または現実の患者解剖学的要素の画像または3−Dモデルに関連して規定されてもよいある方向にのみ動くことができる。触知装置の予定された部分は動くことができてもよい。
【0102】
図8のディスプレイ30中に描いてあるように、触知装置113は入力装置として使用され、触知対象20の位置、空間、サイズなどを変化させてもよい。このモードで使用される触知装置113の用途の例示として、膝移植片の置換をプランニングすることがある。関心解剖学的構造の適切な解剖学的画像を取得した後、コンピュータ外科手術システムは、ユーザーに見えるディスプレイ上にカーソルが現れるモードに入る。ユーザーは、アームを握り、できれば複数のビューで、カーソルの位置を動かす。カーソルの位置が満足な場合、フットペダル、ボタン、有線または無線コントロールペンダント、音声コマンドまたは他の入力で、または触知アームへ力やトルクをかけることで、あるいはタップ、ツイスト、またはカーソルの位置決めの間ユーザーの相互作用から容易に区別できる他の所作のような特有の所作で触知アームを動かすことで、ユーザーはそれを所望の位置に固定する。第一位置を設定した後、第二カーソルを使用し、第一カーソルの二次元または三次元位置に接続する線の終点を規定する。第二カーソルを上記したように動かし、大腿骨の解剖学的軸を規定し、その位置を、前記技術を使用して固定する。移植片の二次元または三次元位置および配向方向は、入力装置として触知装置を使用して、ユーザーが操作することができる。移植片は、その表面の一つが解剖学的リファレンスラインに対して垂直になるようにシステムによって制約されるが、ユーザーはその位置および配向方向を調整することができる。解剖学的軸からのずれを、可能であればユーザーにとって見慣れた解剖学的基準枠に関し、そのようなずれの表示と結合してもたらすことを可能にする。たとえば、解剖学的リファレンスラインに対する移植片の内反角度/外反角度は調整でき、膝移植片の適切な整列配置をもたらすように表示することができる。この一般技術は、低侵襲的な股関節および膝移植片、衝撃固定ピン、椎弓根スクリュー、生体組織検査針、放射性ビーズ、照射放射線エミッタ、または他の医療機器の接近および/または置換の計画に適応することができる。
【0103】
触知装置に関し、外科医は、標準的技法で使用されているツールと同じまたは非常に類似したツールを使用することできる。該装置の触知機構を開拓することによって、稚拙な教示ペンダントやGUI系ロボット制御への必要性は、減るかなくなるかもしれない。手動と処置の援助工程との間の切換えは、顕微鏡やオーバーヘッド光のような普通の手術室にある物と同じように、単に装置を押し出すことによって、素早く行われる。システムは内部的には複雑かもしれないが、外科医はこの複雑性からは遮断されているに違いなく、したがって医者は、彼の全ての注意を患者に向けることができる。
【0104】
たとえば、触知アームは、ジョイントを使ったまたはデカルト制御アルゴリズムを使用して、それ自身を基準位置に保持することができる。ユーザーは、力および/またはトルクを、アームの相互作用ハンドル、エンドエフェクター、またはアーム上のいかなる点にかけ、それによって、アームを基準位置からそらせるひずみの量および方向は、コンピュータシステムに連続的に通信され、いかなる所望の仮想基準幾何学的機構またはユーザーインターフェース目的物の位置を変える。
【0105】
他の例では、触知アームは、ジョイントを使用して、またはデカルト制御アルゴリズムを使用して、しかし制約されない2つの自由度を残して、基準位置に自分自身を保持することができる。ユーザーは、アームを制約されない方向に動かし、カーソル、移植片または他の幾何学的または仮想表面体のようなユーザーインターフェース目的物の二次元制御を提供する。
【0106】
類似の技術を、ユーザーインターフェーススライダーバー、移植片長さ、基準軌道に沿った目的物の位置、または音声ボリューム、画像の明るさ、オブジェクトスケーリング、画像ズームなどの他のいかなる一次元制御のような該目的物の1自由度処理のために使用することができる。類似の技術を、移植片または仮想触知対象の3より高い自由度の位置決めのために使用することができる。触知対象の位置は、また、特定の用途の関連する解剖学的要素に関して、制約されるかもしれない。
【0107】
たとえば、膝移植片は、足の解剖学的軸に対して正しい整列配置を持つように、または正しいじん帯バランスを達成するように、制約されるかもしれないが、前記方法において、ユーザーによって制御可能な他の自由度はある。
【0108】
制御アルゴリズムの剛性または減衰は、異なる方向で様々で、先の段落で記載したように、どのような方向にそろっていてもよい動きの優先方向を示す。この剛性変動は、ある方向に沿ったゼロ剛性を含んでもよいし、一旦基準位置からのずれがあるしきい値を越えれば、ユーザーを好ましい方向にロックしてもよい。この剛性変動は、ユーザーに彼らの注意を一度に限られた数の自由度しか注目させないことによって、プランニング仮定を簡略化して援助する。たとえば、ユーザーは、先ず、移植片の位置を1または2方向に沿って設定し、次いで、該移植片の位置を、追加の方向または設定した方向を妨害しない方向に沿って設定してもよい。
【0109】
剛性および減衰変動は、ユーザーと触知装置との物理的な相互作用に依って、自動的に起こりえる。そしてそれは音声コマンド、コントロールペンダントまたはフットペダルなどの他の入力装置の使用を必要としない。そのような簡素化はどれも、サービスコストの低減、簡素化されたシステム用途および改良された安全性において利点がある。プランニングのこの一般的な方法は、また、外科医に、コンピュータ使用外科手術システムと相互作用する常位置を残しておく必要もなく、コンピュータ使用外科手術システムを制御するための助けを必要とすることもなく、またはすでに外科手術プランの実行のために使用されている触知装置以外の追加の入力装置の導入を必要とすることもなく、プランニングを行うことを可能にする。触知装置のこの使用の利点は、制御された対象物の動きをアームの動きに関連してスキャンすることができ、したがって、ユーザーが現実の対象物を配置するよりさらに正確に配置することができ、ユーザーの手の震え、摩擦、はね返り、磁気的抑止力から生じる妨害力、および触知アームから生じる妨害力の有害作用を取り除くことができる。ここで、触知装置によって制御された対象物の基本的な機能は、触知装置の状態をモニタリングすること、または触知装置に連結するあるいは連結していない関心成分の状態のモニタリング以外のものであることに注意すべきである。
【0110】
図7Aおよび7Bは、触知対象を規定する触知装置および手術用具を示す。示された例において、触知装置113は、入力装置として使用され、触知対象182を規定する。触知装置113を、触知対象182を規定するための入力装置として使用するためには、ユーザーは、触知装置113に連結する手術用具112を握る。望ましい場合は、ユーザーは触知装置113自体を握ってもよい。ユーザーは、手術用具112を使用して、たとえば、規定すべき触知対象に関する解剖学的構造の一部のような所望の範囲の境界線をトレースする。ユーザーは、たとえば、手術用具112の末端を解剖学的構造の所望の範囲の部分に接触させることによって、境界線をトレースしてもよい。手術用具112の動きは、記録され、ユーザーによってトレースされた終点の配置が計算されてもよい。触知対象182の幾何図形および/または配置が、少なくとも部分的に終点の配置に基づいて決定されてもよい。触知装置生成モードが使用され、触知対象の所望の形を特定してもよい。たとえば、解剖学的構造114の切除部184に対応する円柱状触知対象を造るために、ユーザーは、切除部184の境界線上の複数の点をトレースすることができる。適切な円柱状触知対象は、現在知られているあるいは後に開発されるどのような技術を用いて造ってもよい。
【0111】
材料および解剖学的構造の他の特性は、解剖学的構造を綿密に調べることによって規定してもよい。たとえば、手術用具112は、手術用具112の先端に連結する力測定装置を含んでもよい。あるいは、望ましい場合は、力測定装置を含むプローブは、手術用具112の代わりに触知装置113に連結してもよい。ユーザーが、解剖学的構造114の部分に対して力測定装置を接合する場合、該力は、力測定装置によって測定されてもよい。力がかかっている場合たとえ少しでも解剖学的構造が動けば、測定された力は、その距離に応じて表示されてもよい。解剖学的構造114の該部分の剛性は、距離に対する力の比として計算されてもよい。望ましい場合は、触知装置113それ自身が、解剖学的構造114の部分およびアクチュエータによってもたらされたトルクに基づいて決定された力と連結してもよい。そのような実施形態では、触知装置113は、微動または粗動を作ってもよく、または解剖学的構造114の部分を、ユーザーからのいかなる物理的援助なしで、自律モードで、押してもよい。力は、現在知られているあるいは後に開発されるどのようなヤコビアン方法を使用しても決定してよい。図7Bのグラフ的表現186は、解剖学的構造114の変位に応じて、手術用具112が解剖学的構造114に接触する力を記載する。
【0112】
望ましい場合、他のタイプの感知装置は、解剖学的構造114の他の特性を検出するために、触知装置113または手術用具112に連結してもよい。これらの特性は、触知装置113に近接する組織のタイプを決定するために使用されてもよい。したがって、触知装置113は、硬い骨と柔らかい骨、健康な組織と病気の組織、健康な組織の異なるタイプ、解剖学的構造体の境界線、その他を区別するために、使用されてもよい。触知装置113からの受けた情報に基づいて、組織のタイプをCASシステム11により自動的に決定し、表示装置30上に表示してもよい。
【0113】
図9は、入力装置として触知装置113を使用するための代表的な方法190のフローチャートである。工程192で入力モードが開始される。ユーザーは、入力モードを現在知られているあるいは後に開発されるどのようなメカニズムを使用して開始してよい。たとえば、ユーザーは図形的ユーザーインターフェース、フットスウィッチ、キーボードおよび/またはボタンなどを使用し、ユーザーが入力装置として触知装置113を使用することを望むということを示してもよい。触知装置113は複数の対象物を制御してもよい。しかし、1回で一つの対象物を制御するのが望ましい。このように、工程194では、制御すべき対象物の認識が受理される。制御された対象物は、カーソル、ボタン、スクリーン上のダイアル、ノブ、シリンダーバー、あるいはその他の類似のユーザーインターフェース対象物、仮想移植片、外科手術接近軌道および/または骨切除などであってもよい。ユーザーは、制御されるべき対象物を、現在知られているあるいは後に開発されるどのような方法によって選択してもよく、たとえば、従来の入力装置を用いて選択してもよい。
【0114】
工程196で、触知装置113の基準状態を保存してもよい。基準状態は、触知装置113の現状の状態が好ましい。たとえば、この工程では、触知装置113の先端に関する状態情報が保存されてもよい。工程198で、制御された対象物は、触知装置113と関連づけられる。制御された対象物と触知装置113との関連は、触知装置113の動きが、制御された対象物に対応する動きまたは作用に翻訳または変化させられるため、望ましい。関連付けまたはマッピングは、触知装置113の動きに応えて制御された対象物の動きの量や方向の決定を可能にする。たとえば、ユーザーは、1ユニットによる触知装置113の動きが、制御された対象物、たとえば、カーソル31を、表示装置30上の10ピクセルによって動かさせるべきであると特定してもよい。
【0115】
ユーザーは触知装置113を移動し、工程194で選択された対象物を制御してもよい。工程200では、触知装置113の状態における変化を決定する。触知装置113における状態の変化は、触知装置113の基準状態に関連して決定するのが好ましい。触知装置113の状態における変換には、たとえば、触知装置113の先端の位置における変化が含まれてもよい。
【0116】
工程202で、触知装置113の基準状態をアップデートしてもよい。該基準状態は、少なくとも部分的に触知装置113の状態における変化に基づいてアップデートされるのが好ましい。望ましい場合は、該基準状態は、少なくとも部分的に、ユーザーによる触知装置にかけられたねじれに基づいてアップデートされてもよい。該ねじれはセンサーによってはっきりと測定される。望ましい場合、該ねじれは、ねじれがかけられたと触知装置が測定できるということの裏に潜んでいるのが好ましい。
【0117】
工程204で、制御された対象物の新しいパラメータが計算される。制御された対象物のパラメータとして、たとえば、その状態、位置、角度、サイズ、色、形、配向方向、視点の方向、明るさ、コントラスト、表の指標、状況、モード、および/または配置形態などが挙げられる。新しいパラメータは、触知装置113の状態における変化および/またはユーザーによって触知装置にかけられたねじれに基づいて計算されてもよい。望ましい場合は、該新しいパラメータは、触知装置113の基準状態における変化に基づいて計算されてもよい。工程198において得られた関連付け情報は、新しいパラメータを計算するために使用されるのが好ましい。新しいパラメータは、制御された対象物を変化させるために使用されてもよい。したがって、たとえば、制御された対象物がカーソル31であり、触知装置113の状態におけて変化がある場合、制御された対象物の新しい状態は、新しいパラメータに基づいて決定されてもよい。工程206において、制御された対象物を、新しいパラメータに基づいて変化させる。したがって、たとえば、もし制御された対象物がカーソル31であるなら、表示装置30上のカーソル31の位置は、少なくとも部分的に工程204で計算された新しいパラメータに基づいて変化させてもよい。
【0118】
工程208で、触知装置によって医療機器および/またはユーザーにかけられる触知ねじれを決定する。該触知ねじれは、制御された対象物、触知装置113の状態における変化および/または触知装置113の現状の状態の新しいパラメータに基づいて決定されてもよい。
【0119】
工程210で、決定された触知ねじれは、触知装置113にかけられる。触知装置113がどの方向にも動くことができる代わりに、触知装置113の動きが制約されているのが望ましいかもしれない。触知装置113にかけられた場合に決定された触知ねじれは、ある望ましくない方向に動かないようにされている。たとえば、もし制御された対象物が、一次元のみに動くことが可能であれば、触知装置113の動きを、該触知装置113が一方向にのみ動くように制約することが望ましい。他の例として、制御されるべき対象物が表示装置30上のカーソル31である場合、触知装置113の動きを、表示装置30に対応する二次元面に制約するのが望ましい。さらなる例として、もし触知装置113が基準状態から遠距離を動くことが望ましくない場合、該触知ねじれは、1またはそれ以上の方向で、触知装置113を基準状態に戻すように作用してもよい。
【0120】
入力モード内で、触知装置113は、位置制御モードまたは速度制御モードで使用されてもよい。位置制御モードで、制御された対象物の状態における変化は、触知装置113の状態における変化を追跡する。たとえば、もし触知装置113が1ユニットによって特定の方向に動けば、制御された対象物は、対応する量で、対応する方向に動く。触知装置113が解除されると、それは新しい状態で留まる。
【0121】
一方、速度制御モードでは、ユーザーによって触知装置にかけられる、基準状態および/またはねじれからの触知装置113の変位が、制御された対象物の速度を制御してもよい。たとえば、もし触知装置113がその基準状態に保たれたままの場合(またはもしユーザーによって触知装置へかけられるねじれがない場合)、制御された対象物の動きの速さは0である。基準状態からの触知装置113の変位(またはユーザーによってかけられる触知装置へのねじれの大きさ)が、制御された対象物の変位(または触知装置にかけられたねじれの大きさ)に比例した動きの速さで、制御された対象物の動きの速さを決定する。制御された対象物を動かすことが望ましい場合、触知装置113は、単に、制御された対象物の望ましい動きの方向に動く(押す)。触知装置113が解除されると、工程210で、工程208で決定された触知ねじれがかかることによって、基準状態に戻される。したがって、速度制御モードでは、制御された対象物は、触知装置113を実質的に動かすことなく、実質距離を動かしてもよい。
【0122】
工程212で、触知装置113がまだ入力モードで動作しているかどうかについての決定がなされる。もし触知装置113が入力モードで動作していなければ、プロセスは終了する。そうでない場合、工程214で、制御されるべき新しい対象物が特定されているかどうかについての決定がなされる。もし制御されるべき新しい対象物が特定されていなければ、触知装置113の状態における変化を決定する工程200で始動するプロセスが実行されてもよい。そうでない場合、制御されるべき新しい対象物の認識を受けるための工程194で始動するプロセスが実行される。
【0123】
たとえば、一実施形態では、基準状態が、触知装置113に取り付けられたドリルガイドの所望の軌道に関連づけられてもよい。このような実施形態では、工程202での基準状態のアップデイイトは、ドリルガイドの所望の軌道の変更を含む。ユーザーが、時間を延ばすために、基準状態から触知装置113を動かす場合、該基準状態は、ユーザーの偏向の方向に動くようにアップデートされる。もし工程210において、適切な触知フィードバックねじれがかかれば、ユーザーが触知装置113を開放した場合、触知装置113は新しい基準状態を想定する。ユーザーが基準状態に満足で、入力モードが工程212で終了すると、触知装置113は、ドリルガイドが所望の軌道と一直線になるような状態になる。
【0124】
触知装置を入力装置として使用する説明した方法は、ソフトウェア、ハードウェア、あるいはソフトウェアとハードウェアとの両方の組み合わせにより実施されてもよい。ここで検討した工程は、記載された順番で行う必要はない。数種の工程を互いに同時に行うことができる。さらに、望ましい場合は、本発明の範囲を逸脱しない限り、1またはそれ以上の前記工程は任意であってもよいし、組み合わせてもよい。
【0125】
前記方法において触知装置を入力装置として使用する技術的利点は、追加の入力装置の使用を避けることができ、したがって手術室の混雑を減らすことができることである。
【0126】
図10は、医療、外科的または介入措置中のスカラー情報を伝えるシステムを示す。触知装置113は、CASシステム11の完全に一体化された部品として配備されてもよいし、または該システムの任意の周辺器として作動してもよい。触知装置113に連結するツール112の所在または位置情報は、感知され、センサー14を使用してまたは使用せずにCASシステム11に戻されてもよい。
【0127】
医療、外科的、および介入措置を一括して「医療処置」と言う。医療処置には、関節置換、関節表面再建、腫瘍除去および/または骨変形矯正などのために、解剖学的構造の部分を再切除すること伴う。望ましい場合は、該医療処置には、合成、生物学的、あるいは治療的物質を目的の表面あるいは関心域に当てる、またはセンサー、プローブ、移植片または放射性材料を所望の位置、表面または容量に置くことを伴う。ユーザーが、たとえば、触知対象と相互作用する場合、触知対象にかかる力の大きさ、または現実のまたは仮想のツールまたは移植片が触知対象を通り抜ける量を知ることが望ましい場合もある。重要な触知対象、または複雑な二次元または三次元形状を持つ触知対象は、この情報を、ユーザーに簡単に理解できる方法で提供することが難しいかもしれない。情報の所望の部分は、しばしば、目的の表面または所望の位置までの局所距離、目的の表面の局所侵入距離、または触知反発力である。これらは三次元ベクトル量までありえるものの、できれば局在単位法線の触知対象に対する方向での該ベクトルの大きさ(または長さ)が、ユーザーの触知相互作用を増強するためには最も有益である。
【0128】
これらの大きさは単なる一次元量であり、計測器、ダイアル、数字ディスプレイ、グラフ、および他の視覚的方法、さらに聴覚的な、感覚的な、触知的な、あるいは他の方法を始めとする種々の方法で、ユーザーに伝えることができる。
【0129】
図10の例示的な実施形態では、CASシステム11が、音源216、たとえばスピーカーと表示装置30に互いに通信できるように連結する。例示的な医療処置の間、図10の実施形態では骨である解剖学的構造114が、案内面として触知対象20の表面を使用して、触知対象20に沿って切断されていく。医療処置の間、一次元情報、たとえば、触知対象20のような目的の対象の表面からツール112の先端までのスカラー距離Dに関する情報が、自動的(これは好ましくであって必須ではない)に、ユーザーに提供される。CASシステム11は、たとえば、処置の段階、使用されるツールのタイプ、目的の対象(表面を含む)に対するツールの位置や近接度、または大きさ情報が決定され、表示される対象物の認識においてCASシステムを援助する他のキューに基づいてスカラー情報を自動的に提供するようにプログラムされてもよい。
【0130】
例示的な実施形態では、切断操作の開始前、Dの値は正である。Dの値が0ということは、切断ツール112の先端が、解剖学的構造114内部の所望の深さにあることを示す。該例示的な実施形態において、所望の深さは触知対象20の表面である。Dが負の値であることは、骨内の切断ツール112の先端の深さが所望の深さより深いことを示す。一次元情報は、視覚的な、聴覚的な、感覚的なおよび/または触知的な方法など種々の方法で、外科医に通信されてもよい。たとえば、視覚的インジケータ218、たとえば、レベルメータ、ダイアル、数字ディスプレイなどは、表示装置30上またはユーザーに近接する他のいかなる装置上に値Dを示すために、使用されてもよい。望ましい場合、音源216、視覚的インジケータ218および/または表示装置30は、ユーザーの近くにあってもよく、たとえばツール112、触知アーム113、他の携帯ツール、器具あるいは付属品、または着装可能な視覚的、聴覚的、触知的あるいは感覚的ディスプレイ上などにあってもよい。たとえば、ツール112は、単純な表示装置または多色インジケータ、たとえば、多色LEDインジケータ、多色ランプインジケータおよび/またはLEDレベルメータを含み、ユーザーに切断深さを知らせてもよい。該実施形態では、ユーザーは、彼らの注意を外科手術が行われている区域から逸らす必要がない。同様に、ツール112は、ユーザーに切断深さを知らせる音源を含んでもよい。該実施形態では、ユーザーの近くにあるため、ユーザーは音源216からの音響的指標が簡単に聞き取れる。
【0131】
望ましい場合、スピーカー216からの聴覚的インジケータやトーンは、視覚的インジケータ218の代わりにあるいはそれに付け加えて提供されてもよい。たとえば、一連のビープ音は、Dの値を知らせるために提供されてもよい。Dの値が減少するにつれて、ビープ音間の間隔が狭くなってもよい。望ましい場合は、たとえば、D値が0になり異なる音になった場合、警告音はブザー音または他の音に、D値が負になった場合高音に変化してもよい。例示的な実施形態では、正のD値は、許容値であり、負の非許容値である。
【0132】
聴覚的インジケータを提供する利点は、外科医が骨114のような患者の解剖学的構造から彼/または彼女の目をはずさなくてもよいことにある。しかし、もし手術室中の雑音によって、外科医が聴覚的インジケータを聞くことが難しい場合は、視覚的インジケータがより適したものとなる。
【0133】
例示的な実施形態で示されるような触知システムまたは装置が使用される場合、触知アーム113または補助装置を介して、感覚的示唆が提供されてもよい。
【0134】
実施形態では、触知アーム113が震え、感覚的示唆をユーザーに提供する。触知アーム113の振動の周波数、振幅、波形および/または他の特性距離Dに依存する。他の実施形態で、振動装置は、ユーザーの体の上に備えられてもよい。振動装置の振動の周波数、振幅、波形および/または他の特性距離Dに依存する。感覚的示唆を提供する利点は、外科医が、彼/彼女の目を骨114からそらす必要がないことにある。
【0135】
一次元情報は、ユーザーに通信しやすいので、ユーザーは、聴覚的示唆、感覚的示唆または視覚的インジケータ218を一瞥するだけで、彼が適切な深さで切断しているかを知らせることを知りながら、彼の注意を切断作業に集中することができる。
【0136】
深度情報は、また、ユーザーが触知装置を使用しない状況で、ユーザーに表示されてもよい。たとえば、ユーザーは状態が追跡システムによって追跡されているツールで、骨を手動で切断してもよい。該実施形態では、ユーザーは、触知対象表面上に保つツールの力をかけ、または触知対象を貫通することを防ぐことがみられる触知フィードバックの恩恵は受けない。触知対象の代わりに、単純な幾何物、たとえば曲線、点、線、面または容積などを目的の対象として使用してもよい。目的の対象はCASシステムに認識されてもよいし、あるいはCASシステムが、目的の対象が持つ他の情報に基づいてそれを決定してもよい。たとえば、目的の対象は、患者または該患者の診断画像に関し,直接規定されてもよいし、あるいは他の解剖学的ポイントまたはユーザーによって認識可能な機構からCASシステムによって、派生または決定されることもできる。該CASシステムは目的の対象に対するツールの位置を知り、一次元深度情報を表示する。該システムにおいては、Dは、ツール112の先端から目的の対象の所望の切断深さまでの距離を測定することによって、計算してもよい。望ましい場合は、目的の対象は曲線、点、面、線、容積、または所望の位置のセットを含んでもよい。目的の対象は、触知対象、幾何学的物体および/または解剖学的構造の部分の所望の形であってもよい。
【0137】
代替実施形態では、望ましい場合、一次元深さディスプレイは、表面の各点での切断深さの二次元表記または空間の各点の三次元表記で増強されてもよい。二次元または三次元表記は、関心面の概略的または現実的な描写であってもよい。関心面の点の特性、たとえば、色および/または明るさは、ツールと医療処置中にツールが各点に最も近づいた場合の各点との間の距離に少なくとも部分的に基づいてもよい。たとえば、異なる色は、ツールとポイントとの間の距離を表すために使用されてもよい。
【0138】
医療処置中にツールがある点に最も近づいた場合のその点が決定され、該ツールと該ポイントとの間の距離が計算される。点の色は、ツールからそれがその点に最も近づいた場合のポイントの距離を反映する。
【0139】
図11は、医療処置の間、深度情報を伝える方法220のフローチャートである。方法220は周期的に実行されるのが好ましい。工程222で、所望の面からのツール112の距離が決定される。触知対象20のような対象物の表面からツール112の先端の距離Dが決定されるのが好ましい。Dの値を決定するプロセスは、いかに対象物が内部的に表されているかに依る。この対象物の表記は、表面多角形、ボクセル、NURBS、コンストラクティブソリッドジオメトリーおよび/または幾何学的物体を表現する、現在知られているあるいは後に開発される他の方法に基づいてもよい。ツール112の現状の所在位置から触知対象20の表面上の適切な点までの距離が計算される。計算された距離は、触知対象20の表面に関しツール112の先端の位置と骨114との相対位置に応じて正の値か負の値かが割り当てられる。図10に記載される例では、もしツール112の先端と骨114とが触知対象20の表面の両側にあれば、Dは正の値が割り当てられる。そうでない場合は、Dは負の値が割り当てられる。
【0140】
工程224で、ユーザーに表示するために、決定された距離が所望の出力フォーマットにマップされる。たとえば、該距離は、適切な色、聴覚的周波数、時間、音、画像および/または触知キューなどにマップされる。マッピングは、少なくとも部分的にD値に基づいて行われるのが好ましい。下記表Aに、視覚的信号がユーザーに提供されるシステムのための例示的なマッピングテーブルを示す。
【表A】
【0141】
工程226で、決定された距離が所望の出力フォーマットでユーザーに伝えられる。もし所望の出力フォーマットが視覚的インジケータの場合は、例示的な実施形態において、適切な色のインジケータが表示される。たとえば、例示的な表Aに示すように、もしD値が許容範囲内であれば、つまり1ミリメータと2ミリメータの間であれば、緑色のインジケータが表示され、D値が0.1ミリメータと0.99ミリメータの間であれば、黄色のインジケータが表示され、もしD値が0.0ミリメータと0.09ミリメータの間であれば、赤色インジケータが表示され、もしD値が許容範囲外であれば、つまり0未満であれば、黒色のインジケータが表示される。図10の実施形態では、距離Dに関する情報は、レベルメータ218によって表示される。D値が変化するにつれて、レベルメータ218中の色のレベルが変化する。もし所望の出力フォーマットが聴覚的インジケータであれば、例示的な実施形態においては、距離情報は、図10に関し本明細書で検討したように、警告音によって伝えられる。
【0142】
本発明の例示的な実施形態の技術的利点は、医療処置の間、ツールの深さに関する情報を、ユーザーが医療処置に彼/彼女の注意を集中できるような簡単な方法でユーザーに提供できることにある。
【図面の簡単な説明】
【0143】
【図1】コンピュータ支援手術システムで触知装置が使用されている例示的な手術室の概略図。
【図2】コンピュータ支援手術システムに連結されて使用される、触知装置の例示的な図。
【図3A】触知対象物の異なるタイプの図。
【図3B】触知対象物の異なるタイプの図。
【図3C】外科手術の術中触角計画のための例示的な方法のフローチャート。
【図4A】触知装置の配置のために動的触知対象物の使用を描いた図。
【図4B】触知装置に連結する医療機器の対話型触知位置決め方法のフローチャート。
【図5】コンピュータ支援手術システムに連結された、例示的な触知装置の使用を描いた図。
【図6A】対象物の触知スカルプティングのために使用する例示的な触知装置を描いた図。
【図6B】対象物の触知スカルプティング用の例示的な触知対象を描いた図。
【図6C】触知対象を動的に変形する方法のフローチャート。
【図7A】触知対象を規定する例示的な触知装置および手術用具の使用を描いた図。
【図7B】触知対象を規定する例示的な触知装置および手術用具の使用を描いた図。
【図8】入力装置としての例示的な触知装置の使用を描いた図。
【図9】入力装置として触知装置を使用する代表的な方法のフローチャート。
【図10】医療処置の間、深度情報を伝えるためのシステムを描いた図。
【図11】医療処置の間、深度情報を伝えるための方法のフローチャート。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療処置中にコンピュータ支援手術システムを使用するための方法であって、
目的の対象についての情報を受け取る工程、
ツールの位置を追跡する工程、
該ツールの現在の位置と該目的の対象との間のスカラー距離を決定する工程、および
該スカラー距離の指標を該ツールのユーザーに提供する工程、
を含む、方法。
【請求項2】
前記提供する工程が、前記スカラー距離の視覚的指標を前記ツールのユーザーに提供する工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
さらに、前記提供する工程の前に、前記ユーザーに提供する視覚的指標のタイプを選択する工程を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記視覚的指標が、レベルメータ、ダイアル、数字ディスプレイおよびグラフからなる群から選択される視覚的インジケータによって提供される、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記提供する工程が、コンピュータ支援手術システムに関連づけられた表示装置上に、前記スカラー距離の視覚的指標を提供する工程を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記提供する工程が、前記コンピュータ支援手術システムに関連づけられた触知装置上に配置された表示装置上に、前記スカラー距離の視覚的指標を提供する工程を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
前記提供する工程が、患者の解剖学的構造に近接して使用される手術用具上に配置された表示装置上に、前記スカラー距離の視覚的指標を提供する工程を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項8】
さらに、少なくとも部分的に前記スカラー距離に基づいて、前記視覚的指標用の色を選択する工程を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項9】
さらに、前記提供する工程の前に、少なくとも部分的に前記スカラー距離に基づいて前記視覚的指標を選択する工程を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項10】
前記目的の対象が、患者の解剖学的構造の所望の形を規定する触知対象の表面を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項11】
前記目的の対象が、患者の解剖学的構造の一部を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項12】
前記目的の対象が、曲線、点、面、容積、および所望の位置のセットからなる群から選択される、請求項2に記載の方法。
【請求項13】
前記提供する工程が、前記スカラー距離が許容範囲内であることを示す所定の視覚的指標を提供する工程を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項14】
前記提供する工程が、前記スカラー距離が非許容範囲内であることを示唆する所定の視覚的指標を提供する工程を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項15】
前記提供する工程が、前記ツールのユーザーに、前記スカラー距離の触覚的指標を提供する工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記提供する工程が、さらに、前記ユーザーに接触する装置の振動を起こす工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
さらに、少なくとも部分的に前記スカラー距離に基づいて指標のタイプを選択する工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記提供する工程が、前記スカラー距離が許容範囲内であることを示す指標を提供する工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記提供する工程が、前記スカラー距離が許容範囲内にないことを示す指標を提供する工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記目的の対象が、曲線、点、面、容積、および所望の位置のセットからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記提供する工程が、前記ツールのユーザーに、前記スカラー距離の音響的指標を提供する工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
さらに、前記提供する工程の前に、前記ユーザーに提供するための音響的指標のタイプを選択する工程を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記提供する工程が、コンピュータ支援手術システムに関連づけられた音響装置を介して、前記スカラー距離の前記音響的指標を提供する工程を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記提供する工程が、コンピュータ支援手術システムに関連づけられた触知装置上に配置された音響装置を介して、前記スカラー距離の音響的指標を提供する工程を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項25】
前記提供する工程が、患者の解剖学的構造に近接して使用される手術用具上に配置された音響装置を介して、前記スカラー距離の音響的指標を提供する工程を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項26】
さらに、前記提供する工程の前に、少なくとも部分的に前記スカラー距離に基づいて前記音響的指標を選択する工程を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項27】
前記目的の対象が、患者の解剖学的構造の所望の形を規定する触知対象の表面を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項28】
前記目的の対象が、患者の解剖学的構造の一部を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項29】
前記目的の対象が、曲線、点、面、容積、および所望の位置のセットからなる群から選択される、請求項21に記載の方法。
【請求項30】
前記提供する工程が、前記スカラー距離が許容範囲内であることを示す所定の音響的指標を提供する工程を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項31】
前記提供する工程が、前記スカラー距離が許容範囲内にないことを示す所定の音響的指標を提供する工程を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項32】
医療処置中に用いるコンピュータ支援手術システムであって、
該コンピュータ支援手術システムと動作可能に関連づけられ、かつ:
目的の対象についての情報を受け取り;
ツールの位置を追跡し;
該ツールの現在の位置と該目的の対象との間のスカラー距離を決定し;そして
該スカラー距離の指標を該ツールのユーザーに提供するために
動作可能である、アプリケーションロジックを含む、
システム。
【請求項33】
前記アプリケーションロジックが、さらに前記ツールのユーザーに前記スカラー距離の視覚的指標を提供するように動作可能である、請求項32に記載のシステム。
【請求項34】
前記アプリケーションロジックが、さらに、前記ユーザーに提供する視覚的指標のタイプを選択するように動作可能である、請求項33に記載のシステム。
【請求項35】
前記視覚的指標が、レベルメータ、ダイアル、数字ディスプレイおよびグラフからなる群から選択される視覚的インジケータによって提供される、請求項33に記載のシステム。
【請求項36】
前記アプリケーションロジックが、さらに前記コンピュータ支援手術システムに関連づけられた表示装置上に、前記スカラー距離の視覚的指標を提供するように動作可能である、請求項33に記載のシステム。
【請求項37】
前記アプリケーションロジックが、さらに、前記コンピュータ支援手術システムに関連づけられた触知装置上に配置された表示装置上に、前記スカラー距離の視覚的指標を提供するように動作可能である、請求項33に記載のシステム。
【請求項38】
前記アプリケーションロジックが、さらに、患者の解剖学的構造に近接して使用される手術用具上に配置された表示装置上に、前記スカラー距離の視覚的指標を提供するように動作可能である、請求項33に記載のシステム。
【請求項39】
前記アプリケーションロジックが、さらに、少なくとも部分的に前記スカラー距離に基づいて前記視覚的指標の色を選択するように動作可能である、請求項34に記載のシステム。
【請求項40】
前記アプリケーションロジックが、さらに、少なくとも部分的に前記スカラー距離に基づいて前記視覚的指標を選択するように動作可能である、請求項33に記載のシステム。
【請求項41】
前記目的の対象が、患者の解剖学的構造の所望の形を規定する触知対象の表面を含む、請求項33に記載のシステム。
【請求項42】
前記目的の対象が、患者の解剖学的構造の一部を含む、請求項33に記載のシステム。
【請求項43】
前記目的の対象が、曲線、点、面、容積、および所望の位置のセットからなる群から選択される、請求項33に記載のシステム。
【請求項44】
前記アプリケーションロジックが、さらに、前記スカラー距離が許容範囲内であることを示す所定の視覚的指標を提供するように動作可能である、請求項33に記載のシステム。
【請求項45】
前記アプリケーションロジックが、さらに、前記スカラー距離が許容範囲内にないことを示す所定の視覚的指標を提供するように動作可能である、請求項33に記載のシステム。
【請求項46】
前記アプリケーションロジックが、さらに、前記ツールのユーザーに前記スカラー距離の触覚的指標を提供するように動作可能である、請求項32に記載のシステム。
【請求項47】
前記アプリケーションロジックが、さらに、前記ユーザーと接触する装置の振動を起こすように動作可能である、請求項32に記載のシステム。
【請求項48】
前記アプリケーションロジックが、さらに、少なくとも部分的に前記スカラー距離に基づいて指標のタイプを選択するように動作可能である、請求項32に記載のシステム。
【請求項49】
前記アプリケーションロジックが、さらに、前記スカラー距離が許容範囲内であることを示す指標を提供するように動作可能である、請求項32に記載のシステム。
【請求項50】
前記アプリケーションロジックが、さらに、前記スカラー距離が許容範囲内にないことを示す指標を提供するように動作可能である、請求項32に記載のシステム。
【請求項51】
前記目的の表面が、曲線、点、面、容積、および所望の位置のセットからなる群から選択される、請求項32に記載のシステム。
【請求項52】
前記アプリケーションロジックが、さらに、前記ツールのユーザーに前記スカラー距離の音響的指標を提供するように動作可能である、請求項32に記載のシステム。
【請求項53】
前記アプリケーションロジックが、さらに、前記ユーザーに提供する音響的指標のタイプを選択するように動作可能である、請求項52に記載のシステム。
【請求項54】
前記アプリケーションロジックが、さらに、前記コンピュータ支援手術システムに関連づけられた音響装置を介して、前記スカラー距離の音響的指標を提供するように動作可能である、請求項52に記載のシステム,
【請求項55】
前記アプリケーションロジックが、さらに、前記コンピュータ支援手術システムに関連づけられた触知装置上に配置された音響装置を介して、前記スカラー距離の音響的指標を提供するように動作可能である、請求項52に記載のシステム。
【請求項56】
前記アプリケーションロジックが、さらに、患者の解剖学的構造に近接して使用される手術用具上に配置された音響装置を介して、前記スカラー距離の音響的指標を提供するように動作可能である、請求項52に記載のシステム。
【請求項57】
前記アプリケーションロジックが、さらに、少なくとも部分的に前記スカラー距離に基づいて前記音響的指標を選択するように動作可能である、請求項52に記載のシステム。
【請求項58】
前記目的の対象が、患者の解剖学的構造の所望の形を規定する触知対象の表面を含む、請求項52に記載のシステム。
【請求項59】
前記目的の対象が、患者の解剖学的構造の一部を含む、請求項52に記載のシステム。
【請求項60】
前記目的の対象が、曲線、点、面、容積および所望の位置のセットからなる群から選択される、請求項52に記載のシステム。
【請求項61】
前記アプリケーションロジックが、さらに、前記スカラー距離が許容範囲内であることを示す所定の音響的指標を提供するように動作可能である、請求項52に記載のシステム。
【請求項62】
前記前記アプリケーションロジックが、さらに、前記スカラー距離が許容範囲内にないことを示す所定の音響的指標を提供するように動作可能である、請求項52に記載のシステム。
【請求項63】
前記アプリケーションロジックが、コンピュータで実行可能なソフトウェアコードを含む、請求項52に記載のシステム。
【請求項64】
前記コンピュータ支援手術システムが、触知装置である、請求項32に記載のシステム。
【請求項65】
前記コンピュータ支援手術システムが、触知装置を含む、請求項32に記載のシステム。
【請求項66】
コンピュータ読み取り可能な記憶媒体であって、コンピュータによって実行された場合に、コンピュータに以下の工程:
目的の対象についての情報を受け取る工程;
ツールの位置を追跡する工程;
該ツールの現在の位置と該目的の対象との間のスカラー距離を決定する工程;および
該スカラー距離の指標を該ツールのユーザーに提供する工程、
を実行させる指示を保存する、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【請求項67】
前記指標が視覚的指標である、請求項66に記載のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【請求項68】
前記指標が音響的指標である、請求項66に記載のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【請求項69】
前記指標が触覚的指標である、請求項66に記載のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【請求項70】
さらに、前記コンピュータによって実行される場合、少なくとも部分的に前記スカラー距離に基づいて指標のタイプを選択する工程を、該コンピュータに実行させる指示を含む、請求項66に記載のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【請求項71】
さらに、前記コンピュータによって実行される場合、前記スカラー距離が許容範囲内であることを示す指標を提供する工程を、該コンピュータに実行させる指示を含む、請求項66に記載のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【請求項72】
さらに、前記コンピュータによって実行される場合、前記スカラー距離が許容範囲内にないことを示す指標を提供する工程を、該コンピュータに実行させる指示を含む、請求項66に記載のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【請求項73】
前記目的の対象が、曲線、点、面、容積、および所望の位置のセットからなる群から選択される、請求項66に記載のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【請求項1】
医療処置中にコンピュータ支援手術システムを使用するための方法であって、
目的の対象についての情報を受け取る工程、
ツールの位置を追跡する工程、
該ツールの現在の位置と該目的の対象との間のスカラー距離を決定する工程、および
該スカラー距離の指標を該ツールのユーザーに提供する工程、
を含む、方法。
【請求項2】
前記提供する工程が、前記スカラー距離の視覚的指標を前記ツールのユーザーに提供する工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
さらに、前記提供する工程の前に、前記ユーザーに提供する視覚的指標のタイプを選択する工程を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記視覚的指標が、レベルメータ、ダイアル、数字ディスプレイおよびグラフからなる群から選択される視覚的インジケータによって提供される、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記提供する工程が、コンピュータ支援手術システムに関連づけられた表示装置上に、前記スカラー距離の視覚的指標を提供する工程を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記提供する工程が、前記コンピュータ支援手術システムに関連づけられた触知装置上に配置された表示装置上に、前記スカラー距離の視覚的指標を提供する工程を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
前記提供する工程が、患者の解剖学的構造に近接して使用される手術用具上に配置された表示装置上に、前記スカラー距離の視覚的指標を提供する工程を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項8】
さらに、少なくとも部分的に前記スカラー距離に基づいて、前記視覚的指標用の色を選択する工程を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項9】
さらに、前記提供する工程の前に、少なくとも部分的に前記スカラー距離に基づいて前記視覚的指標を選択する工程を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項10】
前記目的の対象が、患者の解剖学的構造の所望の形を規定する触知対象の表面を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項11】
前記目的の対象が、患者の解剖学的構造の一部を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項12】
前記目的の対象が、曲線、点、面、容積、および所望の位置のセットからなる群から選択される、請求項2に記載の方法。
【請求項13】
前記提供する工程が、前記スカラー距離が許容範囲内であることを示す所定の視覚的指標を提供する工程を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項14】
前記提供する工程が、前記スカラー距離が非許容範囲内であることを示唆する所定の視覚的指標を提供する工程を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項15】
前記提供する工程が、前記ツールのユーザーに、前記スカラー距離の触覚的指標を提供する工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記提供する工程が、さらに、前記ユーザーに接触する装置の振動を起こす工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
さらに、少なくとも部分的に前記スカラー距離に基づいて指標のタイプを選択する工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記提供する工程が、前記スカラー距離が許容範囲内であることを示す指標を提供する工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記提供する工程が、前記スカラー距離が許容範囲内にないことを示す指標を提供する工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記目的の対象が、曲線、点、面、容積、および所望の位置のセットからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記提供する工程が、前記ツールのユーザーに、前記スカラー距離の音響的指標を提供する工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
さらに、前記提供する工程の前に、前記ユーザーに提供するための音響的指標のタイプを選択する工程を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記提供する工程が、コンピュータ支援手術システムに関連づけられた音響装置を介して、前記スカラー距離の前記音響的指標を提供する工程を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記提供する工程が、コンピュータ支援手術システムに関連づけられた触知装置上に配置された音響装置を介して、前記スカラー距離の音響的指標を提供する工程を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項25】
前記提供する工程が、患者の解剖学的構造に近接して使用される手術用具上に配置された音響装置を介して、前記スカラー距離の音響的指標を提供する工程を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項26】
さらに、前記提供する工程の前に、少なくとも部分的に前記スカラー距離に基づいて前記音響的指標を選択する工程を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項27】
前記目的の対象が、患者の解剖学的構造の所望の形を規定する触知対象の表面を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項28】
前記目的の対象が、患者の解剖学的構造の一部を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項29】
前記目的の対象が、曲線、点、面、容積、および所望の位置のセットからなる群から選択される、請求項21に記載の方法。
【請求項30】
前記提供する工程が、前記スカラー距離が許容範囲内であることを示す所定の音響的指標を提供する工程を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項31】
前記提供する工程が、前記スカラー距離が許容範囲内にないことを示す所定の音響的指標を提供する工程を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項32】
医療処置中に用いるコンピュータ支援手術システムであって、
該コンピュータ支援手術システムと動作可能に関連づけられ、かつ:
目的の対象についての情報を受け取り;
ツールの位置を追跡し;
該ツールの現在の位置と該目的の対象との間のスカラー距離を決定し;そして
該スカラー距離の指標を該ツールのユーザーに提供するために
動作可能である、アプリケーションロジックを含む、
システム。
【請求項33】
前記アプリケーションロジックが、さらに前記ツールのユーザーに前記スカラー距離の視覚的指標を提供するように動作可能である、請求項32に記載のシステム。
【請求項34】
前記アプリケーションロジックが、さらに、前記ユーザーに提供する視覚的指標のタイプを選択するように動作可能である、請求項33に記載のシステム。
【請求項35】
前記視覚的指標が、レベルメータ、ダイアル、数字ディスプレイおよびグラフからなる群から選択される視覚的インジケータによって提供される、請求項33に記載のシステム。
【請求項36】
前記アプリケーションロジックが、さらに前記コンピュータ支援手術システムに関連づけられた表示装置上に、前記スカラー距離の視覚的指標を提供するように動作可能である、請求項33に記載のシステム。
【請求項37】
前記アプリケーションロジックが、さらに、前記コンピュータ支援手術システムに関連づけられた触知装置上に配置された表示装置上に、前記スカラー距離の視覚的指標を提供するように動作可能である、請求項33に記載のシステム。
【請求項38】
前記アプリケーションロジックが、さらに、患者の解剖学的構造に近接して使用される手術用具上に配置された表示装置上に、前記スカラー距離の視覚的指標を提供するように動作可能である、請求項33に記載のシステム。
【請求項39】
前記アプリケーションロジックが、さらに、少なくとも部分的に前記スカラー距離に基づいて前記視覚的指標の色を選択するように動作可能である、請求項34に記載のシステム。
【請求項40】
前記アプリケーションロジックが、さらに、少なくとも部分的に前記スカラー距離に基づいて前記視覚的指標を選択するように動作可能である、請求項33に記載のシステム。
【請求項41】
前記目的の対象が、患者の解剖学的構造の所望の形を規定する触知対象の表面を含む、請求項33に記載のシステム。
【請求項42】
前記目的の対象が、患者の解剖学的構造の一部を含む、請求項33に記載のシステム。
【請求項43】
前記目的の対象が、曲線、点、面、容積、および所望の位置のセットからなる群から選択される、請求項33に記載のシステム。
【請求項44】
前記アプリケーションロジックが、さらに、前記スカラー距離が許容範囲内であることを示す所定の視覚的指標を提供するように動作可能である、請求項33に記載のシステム。
【請求項45】
前記アプリケーションロジックが、さらに、前記スカラー距離が許容範囲内にないことを示す所定の視覚的指標を提供するように動作可能である、請求項33に記載のシステム。
【請求項46】
前記アプリケーションロジックが、さらに、前記ツールのユーザーに前記スカラー距離の触覚的指標を提供するように動作可能である、請求項32に記載のシステム。
【請求項47】
前記アプリケーションロジックが、さらに、前記ユーザーと接触する装置の振動を起こすように動作可能である、請求項32に記載のシステム。
【請求項48】
前記アプリケーションロジックが、さらに、少なくとも部分的に前記スカラー距離に基づいて指標のタイプを選択するように動作可能である、請求項32に記載のシステム。
【請求項49】
前記アプリケーションロジックが、さらに、前記スカラー距離が許容範囲内であることを示す指標を提供するように動作可能である、請求項32に記載のシステム。
【請求項50】
前記アプリケーションロジックが、さらに、前記スカラー距離が許容範囲内にないことを示す指標を提供するように動作可能である、請求項32に記載のシステム。
【請求項51】
前記目的の表面が、曲線、点、面、容積、および所望の位置のセットからなる群から選択される、請求項32に記載のシステム。
【請求項52】
前記アプリケーションロジックが、さらに、前記ツールのユーザーに前記スカラー距離の音響的指標を提供するように動作可能である、請求項32に記載のシステム。
【請求項53】
前記アプリケーションロジックが、さらに、前記ユーザーに提供する音響的指標のタイプを選択するように動作可能である、請求項52に記載のシステム。
【請求項54】
前記アプリケーションロジックが、さらに、前記コンピュータ支援手術システムに関連づけられた音響装置を介して、前記スカラー距離の音響的指標を提供するように動作可能である、請求項52に記載のシステム,
【請求項55】
前記アプリケーションロジックが、さらに、前記コンピュータ支援手術システムに関連づけられた触知装置上に配置された音響装置を介して、前記スカラー距離の音響的指標を提供するように動作可能である、請求項52に記載のシステム。
【請求項56】
前記アプリケーションロジックが、さらに、患者の解剖学的構造に近接して使用される手術用具上に配置された音響装置を介して、前記スカラー距離の音響的指標を提供するように動作可能である、請求項52に記載のシステム。
【請求項57】
前記アプリケーションロジックが、さらに、少なくとも部分的に前記スカラー距離に基づいて前記音響的指標を選択するように動作可能である、請求項52に記載のシステム。
【請求項58】
前記目的の対象が、患者の解剖学的構造の所望の形を規定する触知対象の表面を含む、請求項52に記載のシステム。
【請求項59】
前記目的の対象が、患者の解剖学的構造の一部を含む、請求項52に記載のシステム。
【請求項60】
前記目的の対象が、曲線、点、面、容積および所望の位置のセットからなる群から選択される、請求項52に記載のシステム。
【請求項61】
前記アプリケーションロジックが、さらに、前記スカラー距離が許容範囲内であることを示す所定の音響的指標を提供するように動作可能である、請求項52に記載のシステム。
【請求項62】
前記前記アプリケーションロジックが、さらに、前記スカラー距離が許容範囲内にないことを示す所定の音響的指標を提供するように動作可能である、請求項52に記載のシステム。
【請求項63】
前記アプリケーションロジックが、コンピュータで実行可能なソフトウェアコードを含む、請求項52に記載のシステム。
【請求項64】
前記コンピュータ支援手術システムが、触知装置である、請求項32に記載のシステム。
【請求項65】
前記コンピュータ支援手術システムが、触知装置を含む、請求項32に記載のシステム。
【請求項66】
コンピュータ読み取り可能な記憶媒体であって、コンピュータによって実行された場合に、コンピュータに以下の工程:
目的の対象についての情報を受け取る工程;
ツールの位置を追跡する工程;
該ツールの現在の位置と該目的の対象との間のスカラー距離を決定する工程;および
該スカラー距離の指標を該ツールのユーザーに提供する工程、
を実行させる指示を保存する、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【請求項67】
前記指標が視覚的指標である、請求項66に記載のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【請求項68】
前記指標が音響的指標である、請求項66に記載のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【請求項69】
前記指標が触覚的指標である、請求項66に記載のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【請求項70】
さらに、前記コンピュータによって実行される場合、少なくとも部分的に前記スカラー距離に基づいて指標のタイプを選択する工程を、該コンピュータに実行させる指示を含む、請求項66に記載のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【請求項71】
さらに、前記コンピュータによって実行される場合、前記スカラー距離が許容範囲内であることを示す指標を提供する工程を、該コンピュータに実行させる指示を含む、請求項66に記載のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【請求項72】
さらに、前記コンピュータによって実行される場合、前記スカラー距離が許容範囲内にないことを示す指標を提供する工程を、該コンピュータに実行させる指示を含む、請求項66に記載のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【請求項73】
前記目的の対象が、曲線、点、面、容積、および所望の位置のセットからなる群から選択される、請求項66に記載のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【図1】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図7A】
【図7B】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図7A】
【図7B】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公表番号】特表2007−534351(P2007−534351A)
【公表日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−520381(P2006−520381)
【出願日】平成16年7月16日(2004.7.16)
【国際出願番号】PCT/US2004/022978
【国際公開番号】WO2005/009215
【国際公開日】平成17年2月3日(2005.2.3)
【出願人】(506017908)ゼット−カット, インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年7月16日(2004.7.16)
【国際出願番号】PCT/US2004/022978
【国際公開番号】WO2005/009215
【国際公開日】平成17年2月3日(2005.2.3)
【出願人】(506017908)ゼット−カット, インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】
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