説明

フェニルアラニン誘導体の安定な投与形

本発明は、フェニルアラニン誘導体の改善されかつ安定な薬剤学的製剤及びウロキナーゼ阻害剤として、特に悪性腫瘍及び腫瘍転移の治療のための、それらの使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フェニルアラニン誘導体の改善されかつ安定な薬剤学的製剤、並びにウロキナーゼ阻害剤としての、特に悪性腫瘍及び腫瘍転移の治療のためのそれらの使用に関する。
【0002】
充実性腫瘍が周囲の組織へ拡大(Ausbreitung)及び転移する能力は、腫瘍細胞の周囲における細胞外マトリックス(腫瘍間質)の分解もしくは改造(Umbau)と、もしくはそれらの腫瘍細胞が基底膜へ浸潤する能力と相関する。(病理)生化学的な関係が依然として最終的に解明されていないにもかかわらず、プラスミノーゲンアクチベーターウロキナーゼ(uPA)及びウロキナーゼ受容体(uPAR)は決定的に重要である。uPAは、プラスミノーゲンからプラスミンへのタンパク質分解を媒介する。そしてまたプラスミンは、細胞外マトリックスの構成成分、例えばフィブリン、フィブロネクチン、ラミニン及びプロテオグリカンのタンパク質骨格を直接分解することができる、幅広い作用スペクトルを有するプロテアーゼである。そのうえ、プラスミンは、「潜在性の(latente)」メタロプロテアーゼ及びuPAの不活性なプロ酵素であるプロ−uPAを活性化させうる。
【0003】
腫瘍細胞及び腫瘍間質の非悪性細胞は、酵素的に不活性なプロ酵素であるプロ−uPAを合成及び分泌する。プロテアーゼ、例えばプラスミン又はカテプシンB及びLは、限定されたタンパク質分解によりプロ−uPAを分解して活性なセリンプロテアーゼHMW−uPA(HMW=high molecular weight(高分子量))に変える。プロ−uPA及び活性なプロテアーゼHMW−uPAは、細胞表面受容体uPAR(CD87)に結合する。プラスミン(プラスミノーゲン)は、同様に、腫瘍細胞の形質膜上の特異的な受容体に結合し、それにより、腫瘍細胞のすぐ周囲におけるプラスミノーゲン活性化の集束及び増幅が達成される。それゆえ、浸潤性細胞は、指向性運動に必要な土台をタンパク質分解により取り込むことなく、細胞外マトリックスを分解する可能性がある。
【0004】
多様な細胞生物学的研究において、腫瘍関連タンパク質分解系のカスケード様反応経路内での細胞関連プラスミノーゲンアクチベーター系に特別な位置価値が付随することが明らかとなった(Wilhelm他, The Urokinase/Urokinase receptor system: A new target for cancer therapy? In: Schmitt M., Graeff H., Kindermann G. (編): Prospects in Diagnosis and Treatment of Cancer. International Congress Series, Excerpta Medica 1050, Amsterdam, Elsevier (1994) p.145-156)。ヒトの結腸癌細胞の培養物上で、それらの細胞の細胞外マトリックスを歩き回る(durchwandern)能力が、活性なuPAでのuPA受容体の飽和度に依存していることが観察された(Hollas他, Cancer Res. 51 (1991) 3690-3695)。同様に細胞培養モデルにおいて、uPAのタンパク質分解活性が、PAI−1(Cajot他, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87 (1990) 6939-6943)又はPAI−2(Baker他, Cancer Res. 50 (1990) 4676-4684)により阻害される場合に、細胞の浸潤の可能性の減少が観察された。匹敵しうる効果は、タンパク質分解的に不活性なuPA変異体を用いる受容体の遮断による細胞表面へのuPAの結合を阻害する場合に達成された(Cohen他, Blood 78 (1991) 479-487; Kobayashi他, Br. J. Cancer 67 (1993) 537-544)。uPARの一部分に対するアンチセンス転写を発現するプラスミドでの類表皮癌細胞のトランスフェクションも、uPAR合成の抑制によりこれらの細胞の浸潤性の減少をもたらした(Kook, EMBO J. 13 (1994) 3983-3991)。uPA及びPAI−1に対して向けられた抗体は、試験管内での肺癌細胞の浸潤の可能性を減少させた(Liu他, Int. J. Cancer 60 (1995) 501-506)。
【0005】
プラスミノーゲンアクチベーター系が転移プロセスに及ぼす影響は、腫瘍−動物モデルにおいても証明されることができた。例えば、ニワトリ胚中でのヒト癌細胞により引き起こされる肺転移の形成が、uPAに対する抗体の添加によりほぼ完全に防止された(Ossowski及びReich, Cell 35 (1983) 611-619)。転移性ヒト癌細胞が、タンパク質分解的に不活性であるがしかしuPAR結合uPA突然変異体をコードする発現プラスミドでトランスフェクションされた。マウスモデルにおいて、不活性なuPAを合成する癌細胞が、注入後に、トランスフェクションされない細胞と比較して著しくより少ない数の転移を形成したことが明らかとなった(Crowley他, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90 (1993) 5021-5025)。さらにまた、uPAアンチセンスオリゴヌクレオチドの投与後に、ヌードマウスにおいてヒト卵巣癌細胞の腹腔内拡大の阻害が観察された(Wilhelm他, Clin. Exp. Metast. 13 (1995) 296-302)。
【0006】
充実性悪性腫瘍を有する患者の予後についてのプラスミノーゲンアクチベーター系(uPA、uPAR、PAI−1及びPAI−2)の因子の臨床上の重要性が近年、集中的に調べられた。その場合に、uPA抗原含量は多様な腫瘍(例えば乳、卵巣、胃、肺、腎臓等)の場合に、再発のない(rezidiv-freie)生存並びに死亡にとって、強力な予後因子であることが判明した(例えばSchmitt他, J. Obstet. Gynaecol. 21 (1995) 151-165; Jaenicke 他, Breast Cancer Res. Treat. 24 (1993) 195-208; Kuhn他, Gynecol. Oncol. 55 (1994) 401-409; Nekarda他, Lancet 343 (1994) 117; Pedersen他, Cancer Res. 54 (1994) 4671-4675参照)。同じように、高められた濃度のuPARは、肺癌組織(Pedersen他, 上記)及び乳癌組織(Duggan他, Int. J. Cancer 61 (1995) 597-600; Ronne他, Breast Cancer Res. Treat. 33 (1995) 199-207)中で並びに胃癌の場合、腫瘍組織自体(Heiss他, J. Clin.Oncol 13 (1995) 2084-2093)中だけでなく骨髄中へ散在した腫瘍細胞(Heiss他, Nature Medicine 1 (1995) 1035-1039)の場合にも、悪い予後と相関する。
【0007】
2位でフェニル基で置換された3−アミジノフェニルアラニン−誘導体がuPAの選択的かつ生体内で効力のある阻害物質であることも見出された(欧州特許(EP)第1 098 651号明細書)。動物実験におけるこれらの化合物の投与は水溶液の形で行われる。
【0008】
国際公開(WO)第02/074756号パンフレット及び国際公開(WO)第03/103644号パンフレットには、別のフェニルアラニンベースのウロキナーゼ阻害剤の使用並びにウロキナーゼ阻害剤としての3−グアニジノフェニルアラニン誘導体の使用が開示されている。
【0009】
前記の化合物の一次臨床試験の範囲内で、有機溶剤及びプロピレングリコール/エタノール並びに食塩を含有している溶液を添加しない水性マンニトール、例えばD−マンニトールの形での投与が欠点を伴うことが明らかとなっている。例えば、食塩溶液中でも等張化剤(Isotonisierungsmittels)であるマンニトールの使用下にも、沈殿及び沈殿形成する傾向のない安定な作用物質の濃厚溶液が製造されることができない。こうして、例えば五(5)パーセントのマンニトール溶液中では、より長い貯蔵後に、添加された作用物質からなる沈殿が形成される。純有機溶剤からなる製剤が同じようにあまり適していないことが判明している、それというのも、作用物質はこれらの中で必要な化学的な安定性を有さず、かつ分解する傾向があるからである。こうして、約1.5ヶ月後にアミド形成を経たエステルへの作用物質の分解が始まり、その場合に作用物質溶液は使用不能である。
【0010】
国際公開(WO)第2004/011004号パンフレットには、多様なリン脂質からなるいわゆるリポソームである混合されたミセルの形での、フェニルアラニンベースのウロキナーゼ阻害剤を含有している水溶液の安定化のための試みが開示されている。しかしこの安定化形は全ての用途のために十分ではなく、特に生理学的な緩衝液での再構成後に、前記リポソーム製剤の化学的な安定性はもはや十分に保証されていなかった。
【0011】
新規製剤の開発のための予備試験は、ポリオール、例えばジオール中、並びにポリオール/アルコール及び水からなる混合物中の作用物質Nα−(2,4,6−トリイソプロピルフェニルスルホニル)−3−アミジノ−(L)−フェニルアラニン−4−エトキシ−カルボニルピペラジド(WX−UK1)の極めて良好な溶解度を示した(第1表)。
【0012】
これらのデータは、ポリオール及びアルコール、例えばプロピレングリコール(PG)及びエタノール(EtOH)からなる混合物が、液体製剤のための良好な溶剤であることを示していた。付加的に、双方の溶剤は作用物質の非経口投与に適している。
【0013】
多様な製剤、例えば
a)PG/EtOH/水 40/10/50中のWX−UK1 60mg/ml
b)PG/EtOH/水 40/10/50中のWX−UK1 50mg/ml
c)PG/EtOH/水 40/10/50中のWX−UK1 40mg/ml
d)PG/EtOH/水 10/10/80中のWX−UK1 20mg/ml
e)水中のWX−UK1 4mg/ml(対照)
f)5%D−マンニトール中のWX−UK1 4mg/ml(対照)
の二ないし八セルシウス度(2〜8℃)での貯蔵は、製剤(e)及び(f)中で数時間後に既に針状の結晶質の沈殿が形成されることとなった。二ないし八セルシウス度(2〜8℃)で四(4)日後に、製剤(d)中でも類似した外観の沈殿が形成される。
【0014】
製剤(a)及び(b)中では、二ないし八セルシウス度(2〜8℃)での16日もしくは22日の貯蔵後に、沈殿は現れない。
【0015】
2〜8℃、25℃/60%RF(相対大気湿度)及び40℃/75%RFでの安定性研究において、製剤(c)は40℃の条件下で、調査の開始時の約0.5%と比較して、6週後に既に約4%、8週後に約23%及び12週後に約38%の不純物を示す。同時に、製剤のpHの値は、12週の期間に亘って5.1から8.7に上昇する(図1)。
【0016】
pHの値の上昇は、おそらく、WX−UK1の分解プロセスに起因されうる。図2は、水性媒体中の作用物質WX−UK1の考えられる分解反応を示す:WX−UK1は第一工程において対応するWX−UK1−アミドに分解し、その際にアンモニアは遊離されるが、しかしながら、このアンモニアは塩酸塩としてのWX−UK1の存在により塩化アンモニウムの形で捕捉される。第二の分解工程において、WX−UK1−アミドはアルコールと反応してさらなるアンモニアの遊離下に対応するWX−UK1−エステルへ変換される。アンモニアの遊離は、おそらくpHの値の上昇の原因となっている。
【0017】
分解プロセスを経る認識に基づいて、作用物質の水により引き起こされる分解を回避するために、好ましくは水不含の製剤が考慮に入れられていた。しかしながら純有機溶剤の相対的に高い粘度は、粘性のある液状の濃縮物の取扱い性に関して毎日の診療所の日常生活(Klinikalltag)において障害である。そのうえ、ポリオールの強い吸湿性は水の吸収をまねき、これは作用物質の分解プロセスを再び開始させる。有機緩衝液、例えばトリエタノールアミン/HCl、ピペラジン/HCl、プロピオン酸/プロピオン酸塩での緩衝液処理(Pufferung)も、これらは全てが生理学的に適合性ではなく、難しいものにする。
【0018】
表面活性剤、例えばPluronic F68又はTween 80、もしくは安定剤、例えばヒト血清アルブミンの添加による水溶液の安定化のための試験は成功しなかった。助溶剤、例えばポリエチレングリコールの添加、並びに胆汁酸塩であるグリココール酸塩一水和物及びリン脂質である卵−ホスファチジルコリンを含有する混合ミセル中の作用物質の製剤は同様に十分な安定性をもたらさなかった。
【0019】
故に、必要に応じて、適合性であり、かつ高い有効性を有する、安定な薬剤学的製剤、例えば適した等張化剤を有する安定な生理学的な輸液を調合するために、一方では物理的並びに化学的に安定であり、かつ分配される(portioniert)ことができる又は/及び濃縮物として良好に取り扱われることができ、かつ保管されることができ、アミジノ基及び/又はグアニジノ基を有する作用物質のための新規の薬剤学的製剤を開発するという需要が存在していた。
【0020】
この課題は、本発明によれば、(i)作用物質としてのアミジノフェニルアラニン誘導体、ヒドロキシアミジノフェニルアラニン誘導体、グアニジノフェニルアラニン誘導体及び/又はヒドロキシグアニジノフェニルアラニン誘導体、(ii)アルコール又はポリオールあるいはそれらの混合物及び(iii)緩衝液を含む水相を含んでいる、請求項1記載の薬剤学的製剤により解決される。
【0021】
作用物質として、好ましくは、セリンプロテアーゼ阻害剤、特にウロキナーゼ阻害剤として効力のあるフェニルアラニン誘導体が使用される。好ましい作用物質は、欧州特許出願公開(EP-A)第1 098 651号明細書、国際公開(WO)第02/074756号パンフレット及び国際公開(WO)第03/103644号パンフレットに開示されたアミジノフェニルアラニン化合物又はグアニジノフェニルアラニン化合物である。同様に、PCT/EP2004/005682に開示されているような、ヒドロキシアミジノフェニルアラニン化合物又はヒドロキシグアニジノフェニルアラニン化合物が好ましい。特に、本発明による薬剤学的製剤の作用物質として、一般式Iで示され、3−アミジノフェニルアラニン又は3−グアニジノフェニルアラニンから誘導される新規のウロキナーゼ阻害剤が適しており、
【化1】

前記阻害剤はラセミ化合物として並びにL−もしくはD−配置された化合物として存在し、かつ上記式中、
Xは、アミジノ基又はグアニジノ基あるいはヒドロキシアミジノ基又はヒドロキシグアニジノ基であり、
1は、
(a)OH又はOR4であり、ここでR4は、非置換又は例えばヒドロキシル、カルボキシル、スルホニル、ニトロ、シアノ、オキソ又は/及びハロゲンで置換され、分枝鎖状又は非分枝鎖状の、C1〜C8−アルキル、C3〜C8−シクロアルキル又はアラルキル、例えばベンジルもしくはフェニルエチルであり、
(b)式
【化2】

で示される基を表し、ここでR5及びR6は、全体構造と両立しうる任意の基であり、その場合に特に
(i)R5及びR6はHであるか、
(ii)R5はHであり、かつR6は非置換又は例えばヒドロキシル、カルボキシル、スルホニル、ニトロ、シアノ、オキソ又は/及びハロゲンで置換され、分枝鎖状又は非分枝鎖状の、C1〜C8−アルキル、アラルキル、例えばベンジルもしくはフェニルエチル又はC5〜C8−シクロアルキルであるか、
(iii)R5及びR6はその都度独立して、非置換又は例えばヒドロキシル又は/及びハロゲンで置換され、非分枝鎖状又は分枝鎖状のC1〜C4−アルキルであるか、又は
(iv)R5はHであり、かつR6は−NH2であるか又は特にアリールもしくはヘテロアリールで置換されたアミノ基であるか、
(v)R5はHであるか、あるいは非置換又は例えばヒドロキシル又は/及びハロゲンで置換され、非分枝鎖状又は分枝鎖状のC1〜C4−アルキルであり、かつR6はアミノ酸の残基、例えばα,β−又はω−アミノカルボン酸又はアミノスルホン酸であるか、あるいは例えば50個までのアミノ酸の長さを有するペプチドの残基又は例えば50個を上回るアミノ酸から1,000個までのアミノ酸の長さを有するポリペプチドの残基であり、
(c)式
【化3】

で示される基を表し、ここでmは1又は2の数を表し、かつ1つ又はそれ以上のメチレン基は、非置換であるか又は例えばヒドロキシル基、カルボキシル基、C1〜C4−アルキル基又はアラルキル基、例えばベンジル又はフェニルエチルで置換されており、その場合に基(c)はラセミであるか又はD−もしくはL−配置されており、かつR7は、項目(a)、(b)及び(f)におけるR1の意味を有し、
(d)式
【化4】

で示される基を表し、ここでp=r=1、p=1及びr=2あるいはp=2及びr=1であり、かつ1つ又はそれ以上のメチレン基は、非置換であるか又は例えばヒドロキシル基、カルボキシル基、C1〜C4−アルキル基又はアラルキル基、例えばベンジル又はフェニルエチルで置換されており、かつR7は、項目(a)、(b)及び(f)におけるR1の意味を有し、
(e)非置換であるか又は2、3及び4の位置の1つで例えばC1〜C4−アルキル基、C1〜C3−アルコキシ基又はヒドロキシル基で置換されているピペリジル基を表し、その場合に式(c)、(d)、(e)のヘテロシクロ脂肪族環上に別の芳香族又はシクロ脂肪族の環、好ましくはフェニル又はシクロヘキシルは、ヘテロ原子に対して2,3−又は3,4−位で縮合されていてもよく、
(f)式
【化5】

で示される基を表し、ここでR8
(i)非置換又は例えばC1〜C6−アルキル、C1〜C3−アルコキシ、ヒドロキシル、カルボキシル、スルホニル、ニトロ、シアノ、オキソ又は/及びハロゲンで置換されたC1〜C6−アルキル基、例えばエトキシカルボニル、又はアリール基、例えばフェニル、p−ハロゲンフェニル、ナフチル、
(ii)飽和又は不飽和の、分枝鎖状又は非分枝鎖状のC1〜C6−アルコキシ基又は
(iii)非置換又は例えばC1〜C6−アルキル、C1〜C3−アルコキシ、ヒドロキシル、カルボキシル、スルホニル、ニトロ、シアノ、オキソ又は/及びハロゲンで置換されたフェノキシ基又はベンジルオキシカルボニル基
を表し、
(g)式−COXのアシル基を表し、ここでXは
(i)H、非置換又は例えばヒドロキシル、カルボキシル、スルホニル、ニトロ、シアノ、オキソ又は/及びハロゲンで置換され、非分枝鎖状又は分枝鎖状のアルキル基、好ましくはC1〜C6−アルキル基、特にメチル、
(ii)非置換又は例えばC1〜C6−アルキル、C1〜C3−アルコキシ、ヒドロキシル、カルボキシル、スルホニル、ニトロ、シアノ、オキソ又は/及びハロゲンで置換されたアリール基又はヘテロアリール基、例えばフェニル、p−ハロゲンフェニル、チエニル又は
(iii)非置換又は例えばヒドロキシル、カルボキシル、スルホニル、ニトロ、シアノ、オキソ又は/及びハロゲンで置換されたシクロアルキル基、好ましくはC3〜C10−シクロアルキル基
を表し、
(h)アラルキル基、例えばベンジル又はフェニルエチルを表し、前記基中の芳香族基は、非置換であるか又は例えばハロゲン原子、C1〜C6−アルキル基、C1〜C3−アルコキシ基、ヒドロキシ基、シアノ基、カルボキシル基、スルホニル基又はニトロ基で置換されており、
(i)式−CONR′R″のカルボン酸アミド基、チオカルボン酸アミド基−CSNR′R″又は酢酸アミド基−CH2−CONR′R″を表し、ここで
(i)R′及びR″はHであるか、
(ii)R′及びR″はその都度独立してC1〜C4−アルキルであるか、
(iii)R′はHであり、かつR″はC1〜C4−アルキルであるか、
(iv)R′はHであり、かつR″はアリール、例えばフェニルであるか、又は
(v)R′及びR″は前記窒素原子と共に、別のヘテロ原子、例えばN、O又は/及びSを有していてよい5〜7個の環員を有するヘテロシクロ脂肪族環を形成し、
(j)SO2−Y基を表し、ここでYは
(i)非置換又は例えばヒドロキシル、カルボキシル、スルホニル、ニトロ、シアノ、オキソ又は/及びハロゲンで置換されたC1〜C8−アルキル、好ましくはメチル、トリフルオロメチル、トリクロロメチル、
(ii)非置換又は例えばC1〜C6−アルキル、C1〜C3−アルコキシ、ヒドロキシル、カルボキシル、スルホニル、ニトロ、シアノ、オキソ又は/及びハロゲンで置換されたアリール又はヘテロアリール、例えばフェニル、4−メチルフェニル、2,4,6−トリメチルフェニル、2,4,6−トリイソプロピルフェニル、4−メトキシ−2,3,6−トリメチルフェニル、2,2−ジメチル−6−メトキシクロマニル、2,2,5,7,8−ペンタメチルクロマニル、アントラキノニル、ナフチル又はキノリル、もしくはO−アリール、好ましくはO−フェニル、又はO−ヘテロアリール又は
(iii)−NR′R″であり、ここでR′及びR″はその都度独立してH又はC1〜C3−アルキル
を表し、
(k)非置換であるか又は例えばC1〜C6−アルキル基、C1〜C3−アルコキシ基、ハロゲン基、ヒドロキシル基又は/及びオキソ基で置換されており、炭素原子5〜8個を有するシクロ脂肪族環を表し、
(l)非置換又は例えばC1〜C6−アルキル、C1〜C3−アルコキシ、ヒドロキシル、カルボキシル、スルホニル、ニトロ、シアノ、オキソ又は/及びハロゲンで置換されたヘテロアリール基、例えばピリジル又はピリミジル、又はヘテロシクロ脂肪族基、例えばN−メチルピペリジルを表し、
(m)式−(CH2n−Xの官能化されたアルキル基を表し、その場合にアルキル鎖は非分枝鎖状又は分枝鎖状であり、n=1〜8を表し、かつ官能基Xは
(i)ヒドロキシル基を表し、その水素原子は非置換であるか又はC1〜C4−アルキル基、アラルキル基、例えばベンジル又はフェニルエチル、アリール基、例えばフェニル、C1〜C4−ヒドロキシアルキル基又はアシル基、CO−アルキル(C1〜C6)により置換されており、
(ii)ハロゲン原子を表し、
(iii)式−N(アルキル)2の第三級アミノ基を表し、その際に前記アルキル基は炭素原子1〜3個並びに好ましくは同じ意味を有し、かつ前記窒素原子は別のヘテロ原子、例えばN、O又は/及びSを有していてよい5〜7個の環員を有するヘテロシクロ脂肪族環の一員であってよく、
2は、非置換又は例えばC1〜C6−アルキル、C1〜C3−アルコキシ、ヒドロキシル、カルボキシル、スルホニル、ニトロ、シアノ、オキソ又は/及びハロゲンで置換されたフェニル基、例えばフェニル、4−メチルフェニル、2,4,6−トリメチルフェニル、2,4,6−トリイソプロピルフェニル、4−メトキシ−2,3,6−トリメチルフェニルを表し、
3は、H又は分枝鎖状もしくは非分枝鎖状のC1〜C4−アルキルであり、かつnは0又は1を表し、
Zは、N又はCR9を表し、ここでR9はH又は分枝鎖状もしくは非分枝鎖状のC1〜C4−アルキルである。
【0022】
前記化合物は、塩として、好ましくは生理学的に適合性の酸塩(Saeuresalze)として、例えば鉱酸の塩として、特に好ましくは塩酸塩、硫酸水素塩、硫酸塩として又は適した有機酸の塩として存在していてもよい。
【0023】
特許請求の範囲全体において定義される化合物の中では、R1が式(b)、(d)及び(f)の基に相当し、R2はアルキルでモノ、ジ又はトリ置換されたフェニル基、特に2,4,6−置換フェニル基、例えば2,4,6−トリイソプロピルフェニル基を表し、かつn=0であるような化合物が特に重要である。さらに、ZがCH又はNである化合物が好ましい。
【0024】
特に好ましくは、式(I)の化合物は、Nα−(2,4,6−トリイソプロピルフェニルスルホニル)−3−アミジノ−(D,L)−フェニルアラニン−4−エトキシカルボニルピペラジド、Nα−(2,4,6−トリイソプロピルフェニルスルホニル)−3−グアニジノ−(D,L)−フェニルアラニン−4−エトキシカルボニルピペラジドもしくはそれらのL−エナンチオマー又はこれらの化合物の薬剤学的に適合性の塩である。
【0025】
前記のように、作用物質としてアミジノフェニルアラニン誘導体及びグアニジノフェニルアラニン誘導体の相応するヒドロキシ化合物、例えばPCT/EP2004/005682に開示されるような化合物、特に一般式II又は/及びIIIの化合物
【化6】

[式中、
Eは
【化7】

からなる基を表し、
Bは−SO2−又は−CO−を表し、
Xは−NR1又は−CHR1を表し、
Zは−R4、−OR4又は−NH−R4を表し、
Yは−OR2又は−NHR2を表し、
1はその都度独立して−H、非置換又は置換された、−C1〜C6−アルキル、−C2〜C6−アルケニル又は−C2〜C6−アルキニルを意味し、
2は−H、−OR1、−COR1、−COOR1又は−CON(R12を表し、
3は−H、非置換又は置換された、−C1〜C6−アルキル、−C2〜C6−アルケニル又は−C2〜C6−アルキニルあるいは−COR6又は−COOR6あるいは例えば2〜50個の−C2〜C4−アルキレンオキシ、例えばエチレンオキシ基を有するオリゴ−又はポリアルキレンオキシ基を表し、
4は−H、非置換又は置換された、−C1〜C6−アルキル、−C2〜C6−アルケニル又は−C2〜C6−アルキニルあるいは環状基を表し、かつ
5は−OR6、−N(R62、非置換又は置換された、−C1〜C6−アルキル、−C2〜C6−アルケニル又は−C2〜C6−アルキニルを表し、かつ
6は−H、非置換又は置換された、−C1〜C6−アルキル、−C2〜C6−アルケニル又は−C2〜C6−アルキニルあるいは環状基を表し、
その場合に各々の環状基は、例えば−C1〜C3−アルキル、−OR6(例えば−OH又は−C1〜C3−アルコキシ)、ハロゲン、=O、−NO2、−CN、−COOR6、−N(R62、−NR6COR6、−NR6CON(R62及び−OCOR6から選択される1つ又はそれ以上の置換基を有していてよく、
かつその場合に各々のアルキル、アルケニル及びアルキニルは直鎖状又は分枝鎖状であってよく、かつ例えばハロゲン(F、Cl、Br、I)、−OR6、−OCOR6、−N(R62、−NR6COR6、COOR6、−NR6COR6又は環状基から選択される1つ又はそれ以上の置換基を有していてよい]
又はこれらの化合物の塩並びに場合により薬剤学的に常用の担持剤、希釈剤又は/及び助剤も適している。
【0026】
一般式IV
【化8】

[式中、
X、R1、R3、R4及びR6は上記の通り定義されている]で示される化合物
又はそれらの塩が好ましい。
【0027】
基Eは、好ましくは、化合物I及びIIの場合にフェニル環のp位に存在する。EがAmである一般式Iの化合物が特に好ましい。
【0028】
本発明による化合物は、修飾されたアミジノ官能基E又はグアニジノ官能基E、好ましくはヒドロキシグアニジノ官能基又はヒドロキシアミジノ官能基を有する。そのような修飾は、単に、グアニジノタイプ又はアミジノタイプのウロキナーゼ阻害剤の製造の際の合成中間生成物として知られていた。薬剤学的な有効性はこれまで推測されていなかった。
【0029】
前記化合物は、塩として、好ましくは生理学的に適合性の酸塩、例えば鉱酸の塩として、特に好ましくは塩酸塩又は硫酸水素塩として、又は適している有機酸、例えば有機のカルボン酸又はスルホン酸の塩、例えば酒石酸塩、メシラート又はベシラートとして存在していてよい。硫酸水素塩が特に好ましい。前記化合物は、光学的に純粋な化合物として又はエナンチオマー又は/及びジアステレオマーの混合物として存在していてよい。
【0030】
環状基は、1つ又はそれ以上の飽和環、不飽和環又は芳香族環を含有していてよい。環状基の好ましい例は、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基及び二環式基である。単環式基又は二環式基が特に好ましい。環状基は、好ましくは4〜30個、特に5〜10個の炭素原子及びヘテロ原子を環原子として、並びに前記の通り、場合により1つ又はそれ以上の置換基を有する。ヘテロ環系は、好ましくは1つ又はそれ以上のO−、S−又は/及びN−原子を有する。好ましい二環式の環系は、−CO−基を有するそのような環系である。
【0031】
アルキル基、アルケニル基及びアルキニル基は、好ましくは4個までの炭素原子を有する。R1は好ましくはHあるいは非置換又は置換されたC1〜C4−アルキル基、例えば−CH3又はC1〜C6−アルキル−アリール基であるので、−CO−X−NR1は例えばグリシル基、アラニル基、フェニルアラニル基又はホモフェニルアラニル基であってよい。R2は特に好ましくはH又はC1〜C3−アルキル基であるので、Yは例えばOH−又はO−C1〜C3−アルキル基であってよい。R3は特に好ましくはHである。化合物I中で、R5は好ましくは−NHR6、特に好ましくは非置換又は置換された−NH(C1〜C5)−アルキル、例えば−NHC25又は−OR6、特に好ましくは非置換又は置換された−O(C1〜C3)アルキル、例えばエチルオキシ又はベンジルオキシ、又は−O−アリール、例えばフェニルオキシを表す。化合物II及びIII中で、R6は好ましくは−H又はC1〜C3−アルキルである。
【0032】
4が環状置換基、例えば非置換又は置換されたフェニル基あるいは二環式基、例えば
【化9】

を有するアルキル基を表す、構造要素ZがR4を表す化合物が好ましい。
【0033】
特に好ましい化合物は、R4が置換又は非置換のC1〜C3−アルキル−アリール−基、例えば非置換あるいはm位又はp位でハロゲン又は/及び−NO2で置換されていてよいベンジル基を表すそのような化合物であり、ここでハロゲンは、F、Cl、Br及びI、特に好ましくはCl及びBrから選択される。
【0034】
以下の化合物
N−α−(2,4,6−トリイソプロピルフェニル−スルホニル)−3−ヒドロキシアミジノ−(L)−フェニルアラニン−4−エトキシ−カルボニルピペラジド(WX−671)、
N−α−(2,4,6−トリイソプロピル−フェニルスルホニル)−3−ヒドロキシアミジノ−(D)−フェニル−アラニン−4−エトキシカルボニル−ピペラジド、
N−α−(2,4,6−トリイソプロピルフェニルスルホニル)−3−ヒドロキシアミジノ−(D,L)−フェニルアラニン−4−エトキシカルボニルピペラジド、
N−α−(2,4,6−トリイソプロピルフェニルスルホニル)−3−ヒドロキシグアニジノ−(L)−フェニルアラニン−4−エトキシ−カルボニルピペラジド(WX−683)、
N−α−(2,4,6−トリイソプロピルフェニルスルホニル)−3−ヒドロキシグアニジノ−(D)−フェニルアラニン−4−エトキシカルボニルピペラジド、
N−α−(2,4,6−トリイソプロピルフェニル−スルホニル)−3−ヒドロキシグアニジノ−(D,L)−フェニルアラニン−4−エトキシ−カルボニル−ピペラジド、
N−α−(2,4,6−トリイソプロピルフェニルスルホニル)−3−ヒドロキシ−グアニジノ−(L)−フェニルアラニン−4−エチルアミノカルボニルピペラジド(WX−685)、
N−α−(2,4,6−トリイソプロピルフェニルスルホニル)−3−ヒドロキシグアニジノ−(D)−フェニルアラニン−4−エチル−アミノカルボニルピペラジド、
N−α−(2,4,6−トリイソプロピルフェニルスルホニル)−3−ヒドロキシグアニジノ−(D,L)−フェニルアラニン−4−エチルアミノカルボニルピペラジド、
ベンジルスルホニル−(D)−Ser−Gly−(4−ヒドロキシグアニジノベンジル)アミド(WX−678)、4−クロロベンジルスルホニル−(D)−Ser−N−Me−Ala−(4−ヒドロキシグアニジノベンジル)アミド、4−クロロベンジルスルホニル−(D)−Ser−Gly−(4−ヒドロキシグアニジノベンジル)アミド、
ベンジルスルホニル−(D)−Ser−N−Me−Gly−(4−ヒドロキシグアニジノベンジル)アミド、4−クロロベンジルスルホニル−(D)−Ser−Ala−(4−ヒドロキシグアニジノベンジル)アミド並びにそれらの塩、例えば硫酸水素塩、例えばWX−671×HSO4
が最も好ましい。
【0035】
本発明による製剤は、フェニルアラニン誘導体ベースの作用物質の治療上有効な量、アルコール及び/又はポリオールの生理学的に適合性の量、緩衝液成分を有する水相並びに場合により等張化剤及び別の助剤を、個々にあるいはそれらの混合物又は組合せで含有する。
【0036】
本発明による製剤は、前記作用物質を、好ましくは、前記製剤の全質量に対して、0.5〜10%、好ましくは1〜9%、特に好ましくは2〜5%の質量割合で含有する。
【0037】
好ましくは、前記作用物質は、100mg/mlまで、好ましくは80mg/mlまで、好ましくは60mg/mlまで、好ましくは50mg/mlまで、はなはだ好ましくは40mg/mlまで、いっそうはなはだ好ましくは約30mg/ml、いっそうはななだ好ましくは約20mg/ml、いっそうはなはだ好ましくは約10mg/ml、いっそうはなはだ好ましくは約4mg/ml、いっそうはなはだ好ましくは約1mg/mlまで、好ましくは約0.1mg/mlまでの濃度で存在している。前記製剤は、場合により使用前にさらに希釈されることができる。
【0038】
本発明の範囲内のアルコール又はポリオールは、生理学的に適合性の一価及び多価のアルコールを含んでいる。ポリオールはここでは多価アルコールであると理解される。特に、これは、二価アルコール(ジオール)又は三価のアルコール(トリオール)、又はまた多価アルコールであってもよい。
【0039】
一価アルコールとして、例えばエタノールが好ましい。しかしまた別の生理学的に適合性のアルコールも使用されることができる。
【0040】
ポリオールとして、特に生理学的に適合性のジオール及びトリオールが考慮の対象になり、トリオールとして例えばグリセリンが好ましい。グリコールも本発明によれば適している。グリコールの例は、グリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールである。
【0041】
前記アルコール及び/又はポリオールは、本発明による薬剤学的製剤中に、この成分が全製剤の体積に対して約20〜60%、好ましくは40〜60%、はなはだ好ましくは45〜55%、最も好ましくは約50%になるような量で好ましくは存在している。
【0042】
ポリオール及びアルコールからなる混合物が特に好ましい。ポリオール:アルコールの比は、この場合に、好ましくは2:1〜10:1、はなはだ好ましくは3:1〜8:1、いっそうはなはだ好ましくは4:1〜6:1及び最もはなはだ好ましくは4:1である。
【0043】
前記混合物は、好ましくは、グリコール及びエタノールからなる混合物である。プロピレングリコール及びエタノール並びにポリエチレングリコール及びエタノールからなる混合物が特に好ましい。
【0044】
緩衝液を含む水相は、好ましくは、生理学的に適合性の緩衝液、特に酢酸緩衝液、クエン酸緩衝液、リン酸緩衝液等の群から選択されており、好ましくは、緩衝液成分は酢酸ナトリウム緩衝液である。しかしながらその他の酢酸緩衝液、例えば酢酸カリウム緩衝液、酢酸カルシウム緩衝液も適している。当業者は、生理学的に適合性の緩衝液、特に酢酸緩衝液から、適した緩衝液を選択することができる。
【0045】
好ましくは、水相は、全製剤の体積に対して70%まで、好ましくは60%まで、はなはだ好ましくは約50%までの量で存在する。もちろん、前記の薬剤学的製剤は、必要な場合には、使用前に希釈されることができる。好ましくは、前記製剤は使用の直前に、好ましくは等張化剤又は等張性液体で、希釈されるので、輸液又は注射液に適している等張性溶液が好ましくは製造される。
【0046】
好ましくは、緩衝液は、1000mMまで、好ましくは500mMまで、はなはだ好ましくは250mMまで、はなはだ好ましくは200mMまで、いっそうはなはだ好ましくは約100mMの濃度である。
【0047】
付加的に、本発明による製剤は等張化剤及び/又は当業者によく知られている別の助剤を含んでいてよい。
【0048】
等張化剤は好ましくは糖であるか、又は好ましくは、例えばグルコース、リボース、サッカロース、ソルビトール、マンニトール、ラクトース、デキストロース、トレハロース、グリセリン及びそれらの混合物から選択されている。好ましくは、等張化剤は溶液の形で存在する。好ましくは、等張化剤として約1〜10パーセント、好ましくは2〜7パーセント、特に好ましくは5パーセントの溶液が使用される。グルコース溶液が特に好ましい。
【0049】
本発明による製剤は、さらに、当業者が容易に決定することができる助剤を含有していてよい。
【0050】
さらに、本発明による製剤−少なくともそれらの水性成分−が、3.5〜9.0の範囲内のpHの値、好ましくは4〜7の範囲内のpHの値、及び特に好ましくは4.5〜5.5の範囲内のpHの値を有することが好ましい。
【0051】
本発明による製剤は、多様な投与経路に、例えば液体製剤として、非経口的に、輸液として、筋肉内、静脈内、皮下等に使用されることができる。
【0052】
好ましくは、前記製剤は静脈内又は筋肉内に投与される。このために適している助剤は、当該分野の当業者により容易に決定されることができる。
【0053】
本発明による製剤は、場合により他の作用物質、例えば細胞増殖抑止剤又は細胞傷害剤、例えばドキソルビシン、シスプラチン、5−フルオロウラシル又は抗体及びペプチドとの組合せで、使用されることができる。
【0054】
本発明による製剤は、非経口的適用のため、例えば静脈内又は筋肉内の注射液のため又は/及び輸液のために使用されることができる。一日量は、その都度、70kgの平均体重に対して、皮下又は筋肉内の投与の場合に好ましくは5〜250mg、特に好ましくは20〜120mg及び静脈内の投与の場合に10〜500mg、特に好ましくは50〜250mgである。投与は、好ましくは日に一度ないし週に一度行われる。
【0055】
本発明のさらなる対象は、本発明による製剤からなる濃縮物に関するものであり、その際に作用物質は100mg/mlまで、好ましくは80mg/mlまで、はなはだ好ましくは50mg/mlまで、いっそうはなはだ好ましくは約40mg/mlの濃度で存在する。好ましくは、緩衝液は、1000mMまで、好ましくは500mMまで、はなはだ好ましくは250mMまで、いっそうはなはだ好ましくは約100mMの濃度で存在する。
【0056】
作用物質の濃度が40mg/mlでありかつ緩衝液の濃度が100mMである濃縮物が特に好ましい。
【0057】
本発明による濃縮物及び製剤は、大きな純度損失及び作用物質損失なしにより長い時間、典型的には二ないし八(2〜8)℃で、しかしまた高められた温度、例えば40℃での保管の場合にも貯蔵されることができる。
【0058】
前記作用物質化合物は、uPA又は/及びウロキナーゼ−プラスミノーゲンアクチベーター受容体(uPAR)の病的な過剰発現に関連している病気の制圧に適している。これらは、例えば、悪性腫瘍の成長又は/及び拡大並びに腫瘍の転移を高効率で阻害することができる。その場合に、uPA阻害剤は場合により他の腫瘍剤と又は他の種類の治療、例えば照射又は外科手術と一緒に、使用されることができる。さらに、前記阻害剤は、その他のuPA関連又は/及びuPAR関連疾患にも効力がある。
【0059】
これらの化合物は、悪性腫瘍の成長又は/及び拡大、例えば膵臓癌の場合の腫瘍拡大、乳癌の腫瘍成長並びに腫瘍の転移を高効率で阻害することができる。
【0060】
さらに、本発明による阻害剤は、その他のuPA関連疾患、例えば関節炎、炎症、骨粗鬆症、網膜症、例えば加齢黄斑変性症(altersbedingter Makula Degeneration)のような病気の制圧のため、皮膚疾患の尋常性天疱瘡の場合の水疱形成の防止の際にも効力がある。
【0061】
投与は、好ましくは共通して、例えば前治療又は/及び後治療として並びに外科手術、放射線治療又は/及び化学療法と関連して治療に随伴して行われる。
【0062】
本発明のさらなる対象は、適した等張化剤中への希釈による注射液又は輸液に適した作用物質溶液を製造するための本発明による濃縮物の使用に関するものであり、その場合に5パーセントのグルコース溶液が好ましくは使用され、かつ作用物質濃度は好ましくは1mg/mlまでである。
【0063】
本発明による製剤は、ウロキナーゼ関連疾患の制圧のため、特に腫瘍制圧のため、例えば乳癌及び膵臓癌又は/及び転移形成の制圧のために使用される。
【0064】
本発明のさらなる対象は、ポリオール又アルコールあるいはそれらの混合物の適した量を添加することによる、アミジノ基、ヒドロキシアミジノ基、グアニジノ基及び/又はヒドロキシグアニジノ基を有する化合物、好ましくはアミジノフェニルアラニン誘導体及び/又はグアニジノフェニルアラニン誘導体もしくはそれらのヒドロキシ化合物及び緩衝液を含む水相を含んでいる薬剤学的製剤の安定化方法である。好ましくは、付加的に等張化剤が添加される。
【0065】
アルコール、ポリオール、緩衝液及び等張化剤は前記の通りである。
【0066】
作用物質として、前記の通り、ウロキナーゼ阻害剤として効力のあるアミジノ−フェニルアラニン誘導体及び/又はグアニジノ−フェニルアラニン誘導体が、好ましくは使用される。
【0067】
さらに、本発明は、例示的にかつ決して限定されるものではなく、以下により詳細に説明されるはずである。
【0068】
図の説明
第1表は、異なる溶剤及び溶剤混合物へのWX−UK1の最大溶解度を示す。
【実施例】
【0069】
例1:作用物質分解のpH依存性
60℃での温度処理下での3つの異なるpHの値での作用物質分解(WX−UK1)のpH依存性を調べるために、WX−UK1 2.5mgをエタノール/水1ml(1:1 体積/体積)中に溶解させた。この溶液を3つの容器に分取した。アリコートを1N塩酸20μlの添加によりpH 2に、二番目のアリコートを2Nカセイソーダ液20μlの添加によりpH 11に調節し、かつ三番目のアリコートを中性のpHでそのままにした。前記溶液を、定義された時点(0、5、12及び48h)に亘る恒温保持後に、安定性に適応した(stabilitaetsindizierenden)HPLC法を用いて分析した。WX−UK1が、酸性のpHで調べた期間に亘って安定なままであることが明らかとなった。しかしながら、中性もしくは塩基性のpHで、WX−UK1の中程度ないし迅速な分解が明らかとなった(図3)。
【0070】
例2:ポリオール/エタノール製剤中の作用物質安定性
WX−UK1 40mgにプロピレングリコール(PG)0.4ml及びエタノール0.1mlを連続して添加した。WX−UK1が溶解し、かつ溶液が弱い乳光を示すまでこの溶液に水0.3mlを注ぎかつ撹拌した。引き続いて残りの水(約0.2ml)を添加した。引き続いて溶液を40℃で貯蔵し、溶液のpHの値もしくは純度をその都度、2、4、6、8及び12週の期間の後に分析した。このためには、WX−UK1溶液250μlを100mlメスフラスコ中へ移し、水/アセトニトリル(50:50体積/体積)を標線(Fuellmarke)まで注いだ(濃度:WX−UK1約0.1mg/ml)。引き続いてこの希釈物20μlを、安定性に適応したHPLC法を用いて分析した(別紙参照)。WX−UK1溶液のpHの値の分析は、電位差法を用いて20〜25℃で実施した。溶液のpHの値が高ければ高いほど、WX−UK1がより迅速に分解することが明らかとなった(図1)。
【0071】
例3:緩衝液処理された代替的なWX−UK1製剤
次の溶液(a)〜(e)その都度5mlを製造した。引き続いて前記溶液を60℃で貯蔵し、溶液のpHの値もしくは純度をその都度、0、12、24、48時間の期間の後に分析した。このためには、WX−UK1溶液250μlを100mlメスフラスコ中へ移し、水/アセトニトリル(50:50体積/体積)を標線まで注いだ(濃度はWX−UK1約0.1mg/mlである)。引き続いてWX−UK1溶液のこの希釈物20μlを、安定性に適応したHPLC法を用いて分析した(別紙参照)。
a)水中WX−UK1 1mg/ml(pHの値を測定する)
b)PG/エタノール/水;4:1:5中WX−UK1 40mg/ml(pHの値を測定する)
c)1,2−プロパンジオール/エタノール中、水不含、WX−UK1 40mg/ml
d)PG/エタノール/40mMクエン酸ナトリウム;4:1:5中WX−UK1 40mg/ml(pHの値を溶液(b)のpHの値に調節する)
e)PG/エタノール/40mM酢酸ナトリウム緩衝液;4:1:5中WX−UK1 40mg/ml(pHの値を溶液(b)のpHの値に調節する)。
【0072】
80mMクエン酸ナトリウム緩衝液(上記の通りのpH値)の製造のためには、クエン酸一水和物1.68gを1N水酸化ナトリウム8ml中に溶かし、水を注いで100mlにした。pHの値を水酸化ナトリウム80nMで調節した。1/80希釈及びその後のpH調節により1mM緩衝液が得られた。
【0073】
酢酸ナトリウム及びクエン酸ナトリウムを、pH 5で非経口的に適合性の系としてWX−UK1製剤の緩衝液処理のために選択し、かつ化学的及び物理的な安定性を緩衝液処理されていない製剤及び水不含の製剤に比較して試験した。リン酸緩衝液処理の前に、WX−UK1溶液中でリン酸緩衝液の添加により沈殿が形成されることが予測された、それというのも以前の調査から知られていたからである。安定性研究を、WX−UK1のより迅速な分解を達成するために60℃で実施した。クエン酸緩衝液処理されたWX−UK1溶液中で、極めて迅速に沈殿が現れ、この沈殿を、溶液の上澄み液に加えてWX−UK1の純度について調べた。クエン酸ナトリウム緩衝液処理された溶液の不足している物理的安定性及び調べた製剤の不足している化学的安定性のために、これらの製剤についての安定性研究を4日後に中断した。酢酸ナトリウム緩衝液処理されたWX−UK1製剤が最大の物理的及び化学的な安定性を示した。安定性に適応したHPLC法により決定される、WX−UK1のピーク面積パーセントを評価した(図4)。
【0074】
例4:酢酸ナトリウム緩衝液処理された溶液の安定性
pH 5での異なるモル濃度の酢酸ナトリウムを、これらの結果に基づいて非経口的に適合性の系としてWX−UK1製剤の緩衝液処理のために選択し、かつ付加的に化学的安定性を緩衝液処理されていない製剤に比較して試験した。安定性研究を、WX−UK1の促進された分解を達成するために60℃で実施した(図5)。安定性に適応したHPLC法により決定される、WX−UK1のピーク面積パーセントを評価した。
【0075】
結果:製剤の緩衝液処理により、WX−UK1の分解はかなり遅くすることができる。
【0076】
例5:酢酸ナトリウム緩衝液処理された製剤を用いた数ヶ月に亘る安定性研究
200mM酢酸ナトリウム緩衝液の製造:
酢酸ナトリウム821mgを水50ml中に溶解させ、濃酢酸でpH 5に調節し、完成した緩衝液溶液を、マイクロメンブランフィルター(Spritzenfilter)ミリポア(Millipore)、マイレクス(Millex) GV 0.22μmに通してろ過した。
【0077】
100mM酢酸ナトリウム緩衝液処理されたWX−UK1製剤の製造:
WX−UK1 960mgを容器に量り取り、プロピレングリコール9.6ml、引き続いてエタノール2.4mlを添加した。WX−UK1が溶解し、かつ溶液が弱い乳光を示すまで200mM酢酸ナトリウム緩衝液7mlをこの溶液に注ぎかつ撹拌した。引き続いて、残りの酢酸ナトリウム緩衝液(5ml)を添加した。溶液を各1ml分取し、引き続いて40℃で貯蔵した:純度及び溶液のWX−UK1含量をその都度、2、4、6、8及び12週の期間の後に分析した。このためには、WX−UK1溶液250μlを100mlメスフラスコ中へ移し、水/アセトニトリル(50:50体積/体積)を標線まで注いだ(濃度:WX−UK1約0.1mg/ml)。引き続いてWX−UK1溶液のこの希釈物20μlを、安定性に適応したHPLC法を用いて分析した(別紙参照)。
【0078】
WX−UK1含量を次の式に従い、2つのWX−UK1標準溶液に比較して評価する:
【数1】

AreaPL=面積 試料溶液(WX−UK1ピーク)[mAU*s]
AreaSt1=面積 標準I(WX−UK1ピーク)[mAU*s]
AreaSt2=面積 標準II(WX−UK1ピーク)[mAU*s]
St1=量り取った量 標準I[mg]
St2=量り取った量 標準II[mg]
St=標準の含量[%]
PL=使用される注射液溶液の体積[ml]。
【0079】
図6には、製剤の純度並びにWX−UK1含量が経時的に示されている。緩衝液処理されたWX−UK1製剤の純度並びに含量は、緩衝液処理されないものとは異なり極めて安定なままであることが明らかである(図6)。
【0080】
例6:WX−UK1製剤(40mg/ml)を次の形式に従って製造する:
WX−UK1 40mg
プロピレングリコール 0.4ml
エタノール、無水 0.1ml
水で1mlにする。
【0081】
WX−UK1を容器に量り取り、プロピレングリコール、引き続いてエタノールを添加した。WX−UK1が溶解するかもしくは溶液が弱い乳光を示すまで水0.3mlをこの溶液に注ぎかつ撹拌した。引き続いて残りの水を添加した。
【0082】
例7:酢酸ナトリウム緩衝液処理されたWX−UK1製剤(40mg/ml)を次の形式に従って製造した:
WX−UK1 40mg
プロピレングリコール 0.4ml
エタノール、無水 0.1ml
酢酸ナトリウム緩衝液(200mM)で1mlにする。
【0083】
WX−UK1を容器に量り取り、プロピレングリコール、引き続いてエタノールを添加した。この溶液に200mM酢酸ナトリウム0.3mlを注ぎ、WX−UK1が完全に溶解するかもしくは溶液が弱い乳光を示すまで撹拌した。引き続いて残りの酢酸緩衝液を添加した。
【0084】
例8:WX−UK1製剤の安定性を調査するための安定性に適応したHPLC法:
【表1】

【0085】
【表2】

【0086】
例9:WX−UK1製剤の分解生成物を同定するためのHPLC−MS法:
【表3】

【0087】
【表4】

【0088】
【表5】

【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】PG/EtOH/水(4/1/5)中の40℃でのWX−UK1純度及びpHの値の経過を示す線図。
【図2】水溶液中のWX−UK1の潜在的な分解機構を示す図。
【図3】48hに亘り観察した60℃でのWX−UK1分解のpH依存性を示す線図。
【図4】60℃での個々のWX−UK1製剤の安定性を示す線図。
【図5】緩衝液処理されない溶液と比較した緩衝液処理されたWX−UK1製剤の安定性を示す線図。
【図6】5ヶ月に亘る40℃でのWX−UK1製剤の純度及び含量を示す線図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)作用物質としてのアミジノフェニルアラニン誘導体、ヒドロキシアミジノフェニルアラニン誘導体、グアニジノフェニルアラニン誘導体及び/又はヒドロキシグアニジノフェニルアラニン誘導体、
(ii)アルコール又はポリオールあるいはそれらの混合物及び
(iii)緩衝液を含む水相
を含んでいる、薬剤学的製剤。
【請求項2】
緩衝液が酢酸緩衝液である、請求項1記載の薬剤学的製剤。
【請求項3】
緩衝液が酢酸ナトリウム緩衝液である、請求項2記載の薬剤学的製剤。
【請求項4】
緩衝液が1000mMまでの濃度で存在する、請求項1から3までのいずれか1項記載の薬剤学的製剤。
【請求項5】
アルコールがエタノールである、請求項1から4までのいずれか1項記載の薬剤学的製剤。
【請求項6】
ポリオールがグリセリン、プロピレングリコール及びポリエチレングリコールから選択されている、請求項1から5までのいずれか1項記載の薬剤学的製剤。
【請求項7】
アルコール及び/又はポリオールが、全製剤に対して約20〜60%存在している、請求項1から6までのいずれか1項記載の薬剤学的製剤。
【請求項8】
成分(ii)が、2:1〜10:1の混合比のポリオール/アルコールからなる混合物を含んでいる、請求項1から7までのいずれか1項記載の薬剤学的製剤。
【請求項9】
さらに、等張化剤及び/又は別の助剤又はそれらの組合せを含んでいる、請求項1から8までのいずれか1項記載の薬剤学的製剤。
【請求項10】
等張化剤が、グルコース、リボース、サッカロース、ソルビトール、ラクトース、デキストロース、トレハロース、グリセリン、マンニトール及びそれらの混合物からなる群から選択されている、請求項1から9までのいずれか1項記載の薬剤学的製剤。
【請求項11】
等張化剤が1〜10パーセント、特に5パーセントの溶液である、請求項10記載の薬剤学的製剤。
【請求項12】
製剤が室温で約3.5〜約9.0、好ましくは約4.5〜約5.5のpH値を有する、請求項1から11までのいずれか1項記載の薬剤学的製剤。
【請求項13】
作用物質が、Nα−(2,4,6−トリイソプロピルフェニルスルホニル)−3−アミジノ−(D,L)−フェニルアラニン−4−エトキシカルボニルピペラジド、Nα−(2,4,6−トリイソプロピル−フェニルスルホニル)−3−グアニジノ−(D,L)−フェニルアラニン−4−エトキシカルボニルピペラジド、それらのL−エナンチオマー及びそれらの薬剤学的に適合性の塩から選択されている、請求項1から12までのいずれか1項記載の薬剤学的製剤。
【請求項14】
作用物質としてNα−(2,4,6−トリイソプロピルフェニルスルホニル)−3−アミジノ−(L)−フェニルアラニン−4−エトキシカルボニルピペラジド、その塩化物、硫酸水素塩又は/及び硫酸塩を含んでいる、請求項1から13までのいずれか1項記載の薬剤学的製剤。
【請求項15】
作用物質が100mg/mlまでの濃度で及び緩衝液が1000mMまでの濃度で存在する、請求項1から14までのいずれか1項記載の薬剤学的製剤の濃縮物。
【請求項16】
作用物質が40mg/mlまでの濃度で及び緩衝液が100mMまでの濃度で存在する、請求項12記載の濃縮物。
【請求項17】
ウロキナーゼ関連疾患の制圧のための、請求項1から16までのいずれか1項記載の製剤又は濃縮物。
【請求項18】
腫瘍制圧、腫瘍予防、転移形成の制圧又は/及び予防のための、請求項1から16までのいずれか1項記載の製剤又は濃縮物。
【請求項19】
乳癌、膵臓癌又は/及び転移形成の制圧及び/又は予防のための、請求項1から16までのいずれか1項記載の製剤又は濃縮物。
【請求項20】
関節炎、炎症、骨粗鬆症、網膜症、例えば加齢黄斑変性症の制圧及び/又は予防のため、皮膚疾患の尋常性天疱瘡の場合の水泡形成の防止の際の、請求項1から16までのいずれか1項記載の製剤又は濃縮物。
【請求項21】
適した等張化剤中への薬剤学的製剤又は濃縮物の希釈により、注射液又は輸液による投与に適した溶液を製造するための、請求項1から20までのいずれか1項記載の薬剤学的製剤又は濃縮物の使用であって、作用物質の最大濃度が1mg/mlまでである、薬剤学的製剤又は濃縮物の使用。
【請求項22】
等張化剤が、1〜10パーセントのグルコース溶液、特に5パーセントのグルコース溶液である、請求項21記載の使用。
【請求項23】
腫瘍疾患の治療及び/又は予防のための、請求項1から16までのいずれか1項記載の薬剤学的製剤又は濃縮物の使用。
【請求項24】
転移形成の治療及び/又は予防のための、請求項1から16までのいずれか1項記載の薬剤学的製剤又は濃縮物の使用。
【請求項25】
細胞増殖抑止剤又は/及び細胞傷害剤との組合せでの、請求項1から16までのいずれか1項記載の薬剤学的製剤又は濃縮物の使用。
【請求項26】
ポリオール又はアルコールあるいはそれらの混合物の適した量及び緩衝液を含む水相の適した量を添加することによる、作用物質としてアミジノ基、ヒドロキシアミジノ基、グアニジノ基及び/又はヒドロキシグアニジノ基を有する化合物を含んでいる薬剤学的製剤の安定化方法。
【請求項27】
緩衝液として酢酸緩衝液を使用する、請求項26記載の方法。
【請求項28】
付加的に等張化剤を添加する、請求項26又は27記載の方法。
【請求項29】
作用物質としてアミジノフェニルアラニン誘導体、ヒドロキシアミジノフェニルアラニン誘導体、グアニジノフェニルアラニン誘導体及び/又はヒドロキシグアニジノフェニルアラニン誘導体を使用する、請求項26から28までのいずれか1項記載の方法。
【請求項30】
請求項26から29までのいずれか1項記載の方法により得ることができる、安定な薬剤学的製剤。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2008−513529(P2008−513529A)
【公表日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−532821(P2007−532821)
【出願日】平成17年9月20日(2005.9.20)
【国際出願番号】PCT/EP2005/010143
【国際公開番号】WO2006/032461
【国際公開日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【出願人】(501022343)ヴィレックス アクチェンゲゼルシャフト (9)
【氏名又は名称原語表記】Wilex AG
【住所又は居所原語表記】Grillparzer Strasse 16, D−81675 Muenchen,Germany
【Fターム(参考)】