説明

フェニルピリジン単位を含む化合物

次の式Iを有する有機化合物は光電子デバイスで使用できる。式中、R1は各々独立にC1〜C20脂肪族基、C3〜C20芳香族基又はC3〜C20脂環式基であり、R2は各々独立にC1〜C20脂肪族基、C3〜C20芳香族基又はC3〜C20脂環式基であり、aは各々独立に0〜4の範囲内の整数であり、bは各々独立に0〜3の範囲内の整数であり、Ar1は直接結合或いはヘテロアリール、アリール、アルキル又はシクロアルキルであり、Ar2はヘテロアリール、アリール、アルキル又はシクロアルキルであり、cは0、1又は2であり、nは2〜4の範囲内の整数である。
【化1】

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広義には有機化合物に関し、詳しくはフェニルピリジン単位を含む有機化合物及び同化合物を使用する光電子デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
電圧バイアスを受けた場合に発光する薄膜材料を使用する光電子デバイス(例えば、有機発光デバイス(OLED))は、ますますポピュラーな形態のフラットパネルディスプレイ技術になるものと予想される。これは、OLEDが携帯電話、パーソナル・ディジタル・アシスタント(PDA)、コンピューターディスプレイ、車両用情報ディスプレイ、テレビジョンモニター並びに一般照明用光源を含む多種多様の潜在的用途を有するからである。鮮明な色、広い視角、フルモーションビデオとの適合性、広い温度範囲、薄くてコンフォーマブルな形状因子、低い所要電力、及び低コスト製造プロセスの実現可能性を有するので、OLEDは陰極線管(CRT)及び液晶ディスプレイ(LCD)に対する未来の代替技術と見られている。また、高い視感度効率のため、OLEDはある種の用途のための白熱灯及び恐らくは蛍光灯にさえ取って代わる可能性を有すると見られている。
【0003】
OLEDは、2つの対向する電極間に1以上の有機層を含んでなるサンドイッチ構造を有している。例えば、多層デバイスは、通常3以上の層、即ち正孔注入/輸送層、発光層及び電子輸送層(ETL)を含んでいる。さらに、正孔注入/輸送層は電子ブロック層として役立ち、ETLは正孔ブロック層として役立つことも好ましい。単層OLEDは、2つの対向する電極間にただ1つの材料層を含んでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】欧州特許出願公開第1672961号明細書
【発明の概要】
【0005】
一態様では、本発明は次の式Iを有する有機化合物に関する。
【0006】
【化1】

式中、
1は各々独立にC1〜C20脂肪族基、C3〜C20芳香族基又はC3〜C20脂環式基であり、
2は各々独立にC1〜C20脂肪族基、C3〜C20芳香族基又はC3〜C20脂環式基であり、
aは各々独立に0〜4の範囲内の整数であり、
bは各々独立に0〜3の範囲内の整数であり、
Ar1は直接結合或いはヘテロアリール、アリール、アルキル又はシクロアルキルであり、
Ar2はヘテロアリール、アリール、アルキル又はシクロアルキルであり、
cは0、1又は2であり、
nは2〜4の範囲内の整数である。
【0007】
別の態様では、本発明は、式Iを有する1種以上の有機化合物を含んでなる光電子デバイス、特に該化合物が電子輸送層として存在する光電子デバイスに関する。
【発明を実施するための形態】
【0008】
式Iの有機化合物は光電子デバイス(例えば、有機発光デバイス(OLED))において有用な性質を有しており、特にその電子輸送層で使用するのによく適している。
【0009】
一態様では、本発明は次の式IIの化合物に関する。
【0010】
【化2】

式I及び式IIの化合物に関しては、Ar1は以下のものから独立に選択される。
【0011】
【化3】

Ar2として使用できる基の例には、以下のものがある。
【0012】
【化4】

【0013】
【化5】

特定の実施形態では、Ar2は以下のものから独立に選択される。
【0014】
【化6】

さらに特定の実施形態では、Ar2は以下のものから独立に選択される。
【0015】
【化7】

式I及び式IIの有機化合物の例には、以下のものがある。
【0016】
【化8】

【0017】
【化9】

【0018】
【化10】

【0019】
【化11】

特定の実施形態では、式Iの有機化合物は以下のものから選択される。
【0020】
【化12】

【0021】
【化13】

式I及び式IIの化合物は、スズキクロスカップリング反応を使用することで製造できる。スズキクロスカップリング反応のための一般的手順は、塩基及びPd触媒の存在下において、適当な溶媒中でハロゲン化アリール及びホウ酸アリール(又はボロン酸)を混合することを含んでいる。反応混合物を不活性雰囲気下で一定時間加熱する。好適な溶媒には、特に限定されないが、ジオキサン、THF、EtOH、トルエン及びこれらの混合物がある。例示的な塩基には、Na2CO3、K2CO3、Cs2CO3、リン酸カリウム及びこれらの水和物がある。塩基は、固体粉末又は水溶液として反応物に添加できる。最も普通に使用される触媒には、Pd(PPh34、或いは二次リガンドの添加を伴うPd(OAc)2又はPd(dba)2がある。例示的なリガンドには、下記に示す構造III〜VII(式中、Cyはシクロヘキシルである。)のようなジアルキルホスフィノビフェニルリガンドがある。
【0022】
【化14】

一般に、ハロゲン化アリールを対応するホウ酸アリールに転化させるために使用できる方法は少なくとも2つ存在する。1つの方法は、BuLiを用いてリチウム−ハロゲン交換を行わせるか又はMgを用いてグリニャール試薬を生成させることでカルボアニオンを生成させ、次いでホウ酸トリメチル、ホウ酸トリエチル又はホウ酸トリ(イソプロピル)などのホウ酸エステルでカルボアニオンを奪活することを含んでいる。典型的な手順は、無水の不活性条件下においてTHF又はジエチルエーテルのような乾燥溶媒中で出発原料を合わせることを含んでいる。反応物を−100℃又は−80℃に冷却し、BuLiを滴下し、この温度で一定時間(1〜5時間)撹拌する。その後、中間体カルボアニオンを適当なホウ酸エステルで奪活する。反応混合物を室温(RT)まで放温し、RTで30分間撹拌した後、混合物を飽和NH4Cl溶液(0.5mL)で処理し、濃縮乾固して粗生成物を得る。
【0023】
第2の方法は、Pdで触媒されるポリル化を使用する。典型的な手順は、乾燥した不活性雰囲気条件下でハロゲン化アリール、ピナコレートジボラン、無水塩基及びジアルキルホスフィノビフェニルリガンドを合わせることを含んでいる。フラスコを大気から防護し、無水溶媒を仕込む。溶液を15〜30分間脱気した後、反応混合物にPd触媒を仕込み、出発ハロゲン化アリールの消失をモニターしながら長時間還流加熱する。その後、反応混合物をRTに冷却して濾過する。濃縮すると、粗反応生成物が得られる。例示的な無水塩基には、NaHCO3、KHCO3及びKOAc、特にKOAcがある。例示的なリガンドには、構造III〜VIIのようなジアルキルホスフィノビフェニルリガンド及びトランス−ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)がある。
【0024】
光電子デバイス(例えば、OLED)は、通例、最も簡単な場合には陽極層、対応する陰極層、及び前記陽極と前記陰極との間に配設された有機エレクトロルミネセント層を含んでいる。電極間に電圧バイアスを印加した場合、陰極からエレクトロルミネセント層中に電子が注入されると共に、エレクトロルミネセント層から陽極に電子が除去される(又は陽極からエレクトロルミネセント層中に「正孔」が「注入」される)。エレクトロルミネセント層中で正孔が電子と結合して一重項又は三重項励起子を形成する際に発光が起こると共に、一重項及び/又は三重項励起子が放射崩壊によって基底状態に戻る際にも発光が起こる。
【0025】
陽極、陰極及び発光材料に加えてOLED中に存在し得る他の構成要素には、正孔注入層、電子注入層及び電子輸送層がある。電子輸送層は陰極に接触している必要はなく、多くの場合に電子輸送層は正孔が陰極に向かって移動するのを防止するための正孔ブロック層としても役立つ。有機発光デバイス中に存在し得る追加の構成要素には、正孔輸送層、正孔輸送発光層及び電子輸送発光層がある。
【0026】
一実施形態では、本発明の有機化合物を含むOLEDは、一重項発光体を含む蛍光OLEDであり得る。別の実施形態では、本発明の有機化合物を含むOLEDは、1種以上の三重項発光体を含むりん光OLEDであり得る。別の実施形態では、本発明の有機化合物を含むOLEDは、1種以上の一重項発光体及び1種以上の三重項発光体を含んでいる。本発明の有機化合物を含むOLEDは、Ir、Os及びPtのような遷移金属の錯体をはじめとする、青色、黄色、オレンジ色及び赤色りん光色素の1種以上、そのいずれか1種又はその組合せを含み得る。特に、American Dye Source社(カナダ、ケベック州)から供給されるもののようなエレクトロホスホレセント又はエレクトロフルオセント金属錯体が使用できる。式I及び式IIの有機化合物は、OLEDの発光層又は正孔輸送層又は電子輸送層又は電子注入層或いはこれらの任意の組合せの一部であり得る。
【0027】
有機エレクトロルミネセント層(即ち、発光層)は、動作時に電子及び正孔の両方を実質的な濃度で含み、励起子形成及び発光のための部位を提供する有機発光デバイス中の層である。正孔注入層は、陽極に接触していて陽極からOLEDの内層への正孔注入を促進する層であり、電子注入層は、陰極に接触していて陰極からOLED中への電子注入を促進する層であり、電子輸送層は、陰極及び/又は電子注入層から電荷再結合部位への電子伝導を容易にする層である。電子輸送層を含む有機発光デバイスの動作中には、電子輸送層中に存在する電荷キャリヤー(即ち、正孔及び電子)の大部分は電子であり、発光層中に存在する正孔及び電子の再結合を通じて発光が起こり得る。正孔輸送層は、OLEDの動作時に陽極及び/又は正孔注入層から電荷再結合部位への正孔伝導を容易にすると共に、陽極に直接接触している必要はない層である。正孔輸送発光層は、OLEDの動作時に電荷再結合部位への正孔伝導を容易にすると共に、電荷キャリヤーの大部分が正孔であり、残留電子との再結合によってばかりでなくデバイス中の他の場所にある電荷再結合ゾーンからのエネルギー移行によっても発光が起こる層である。電子輸送発光層は、OLEDの動作時に電荷再結合部位への電子伝導を容易にすると共に、電荷キャリヤーの大部分が電子であり、残留正孔との再結合によってばかりでなくデバイス中の他の場所にある電荷再結合ゾーンからのエネルギー移行によっても発光が起こる層である。
【0028】
陽極として使用するのに適した材料には、四点プローブ技法で測定して好ましくは約1000オーム/平方のバルク導電率を有する材料がある。陽極としては、酸化インジウムスズ(ITO)がしばしば使用される。これは、ITOが光の透過に対して実質的に透明であり、したがって電気活性有機層から放出された光の脱出を容易にするからである。陽極層として使用できる他の材料には、酸化スズ、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化インジウム亜鉛、酸化亜鉛インジウムスズ、酸化アンチモン及びこれらの混合物がある。
【0029】
陰極として使用するのに適した材料には、特に限定されないが、負電荷キャリヤー(電子)をOLEDの内層に注入できる金属及びITOなどの金属酸化物を含む一般導電体がある。陰極20として使用するのに適した各種の金属には、K、Li、Na、Cs、Mg、Ca、Sr、Ba、Al、Ag、Au、In、Sn、Zn、Zr、Sc、Y、ランタニド系列の元素、これらの合金及びこれらの混合物がある。陰極層として使用するのに適した合金材料には、Ag−Mg、Al−Li、In−Mg、Al−Ca及びAl−Au合金がある。層状の非合金構造体、例えばカルシウムのような金属又はLiFのような金属フッ化物の薄層をアルミニウム又は銀のような金属の厚い層で覆ったものも、陰極として使用できる。特に、陰極はただ1種の金属(とりわけ、アルミニウム金属)からなり得る。
【0030】
式I及び式IIの有機化合物は、ポリ(9,9−ジオクチルフルオレン)、トリス(8−ヒドロキシキノラト)アルミニウム(Alq3)、2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,1−フェナントロリン、4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、3−(4−ビフェニリル)−4−フェニル−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,2,4−トリアゾール、1,3,4−オキサジアゾール含有ポリマー、1,3,4−トリアゾール含有ポリマー、キノキサリン含有ポリマー及びシアノPPVのような旧来の材料の代わりに又はそれに加えて電子輸送層に使用できる。
【0031】
正孔輸送層で使用するのに適した材料には、1,1−ビス((ジ−4−トリルアミノ)フェニル)シクロヘキサン、N,N'−ビス(4−メチルフェニル)−N,N'−ビス(4−エチルフェニル)−(1,1'−(3,3'−ジメチル)ビフェニル)−4,4'−ジアミン、テトラキス(3−メチルフェニル)−N,N,N',N'−2,5−フェニレンジアミン、フェニル−4−N,N−ジフェニルアミノスチレン、p−(ジエチルアミノ)ベンズアルデヒドジフェニルヒドラゾン、トリフェニルアミン、1−フェニル−3−(p−(ジエチルアミノ)スチリル)−5−(p−(ジエチルアミノ)フェニル)ピラゾリン、1,2−trans−ビス(9H−カルバゾール−9−イル)シクロブタン、N,N,N',N'−テトラキス(4−メチルフェニル)−(1,1'−ビフェニル)−4,4'−ジアミン、銅フタロシアニン、ポリビニルカルバゾール、(フェニルメチル)ポリシラン、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)、ポリアニリン、ポリビニルカルバゾール、トリアリールジアミン、テトラフェニルジアミン、芳香族第三アミン、ヒドラゾン誘導体、カルバゾール誘導体、トリアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、アミノ基を有するオキサジアゾール誘導体、及び米国特許第6023371号に開示されているようなポリチオフェンがある。
【0032】
発光層で使用するのに適した材料には、ポリフルオレン、好ましくはポリ(9,9−ジオクチルフルオレン)及びそのコポリマー(例えば、ポリ(9,9’−ジオクチルフルオレン−コ−ビス−N,N’−(4−ブチルフェニル)ジフェニルアミン)(F8−TFB))、ポリ(ビニルカルバゾール)及びポリフェニレンビニレン並びにその誘導体のようなエレクトロルミネセントポリマーがある。加えて、発光材料は、赤色色素であるトリス(1−フェニルイソキノリン)イリジウム(III)、緑色色素であるトリス(2−フェニルピリジン)イリジウム及び青色色素であるイリジウム(III)ビス(2−(4,6−ジフルオロフェニル)ピリジナト−N,C2)のようなりん光性金属錯体を含み得る。式I及び式IIの有機化合物を上述した材料に加えて使用することもできる。
【0033】
式I及び式IIの有機化合物は、電子輸送層又は電子注入層又は発光層の一部をなし得る。かくして、一態様では、本発明は式I及び式IIの有機化合物を含む一層効率的な光電子デバイス(例えば、OLED)に関する。かかるOLEDは、青色、黄色、オレンジ色及び赤色りん光色素の1種以上、そのいずれか1種又はその組合せを含むりん光性のものであり得る。
【0034】
定義
本明細書中で使用する「芳香族基」という用語は、1以上の芳香族原子団を含む原子価1以上の原子配列をいう。1以上の芳香族原子団を含む原子価1以上の原子配列は、窒素、硫黄、セレン、ケイ素及び酸素のようなヘテロ原子を含んでいてもよく、或いは炭素及び水素のみから構成されていてもよい。本明細書中で使用する「芳香族基」という用語は、特に限定されないが、フェニル基、ピリジル基、フラニル基、チエニル基、ナフチル基、フェニレン基及びビフェニル基を包含する。上述の通り、芳香族基は1以上の芳香族原子団を含む。芳香族原子団は常に4n+2(式中、「n」は1以上の整数である。)の「非局在化」電子を有する環状構造であり、フェニル基(n=1)、チエニル基(n=1)、フラニル基(n=1)、ナフチル基(n=2)、アズレニル基(n=2)及びアントラセニル基(n=3)で例示される。芳香族基はまた、非芳香族成分を含んでいてもよい。例えば、ベンジル基はフェニル環(芳香族原子団)及びメチレン基(非芳香族成分)からなる芳香族基である。同様に、テトラヒドロナフチル基は芳香族原子団(C63)が非芳香族成分−(CH24−に縮合してなる芳香族基である。便宜上、本明細書中での「芳香族基」という用語は、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ハロアルキル基、ハロ芳香族基、共役ジエニル基、アルコール基、エーテル基、アルデヒド基、ケトン基、カルボン酸基、アシル基(例えば、エステルやアミドのようなカルボン酸誘導体)、アミン基、ニトロ基などの広範囲の官能基を含むものと定義される。例えば、4−メチルフェニル基はメチル基を含むC7芳香族基であり、メチル基がアルキル基である官能基である。同様に、2−ニトロフェニル基はニトロ基を含むC6芳香族基であり、ニトロ基が官能基である。芳香族基は、4−トリフルオロメチルフェニル、ヘキサフルオロイソプロピリデンビス(4−フェン−1−イルオキシ)(即ち、−OPhC(CF32PhO−)、4−クロロメチルフェン−1−イル、3−トリフルオロビニル−2−チエニル、3−トリクロロメチルフェン−1−イル(即ち、3−CCl3Ph−)、4−(3−ブロモプロプ−1−イル)フェン−1−イル(即ち、4−BrCH2CH2CH2Ph−)などのハロゲン化芳香族基を包含する。芳香族基のさらに他の例には、4−アリルオキシフェン−1−オキシ、4−アミノフェン−1−イル(即ち、4−H2NPh−)、3−アミノカルボニルフェン−1−イル(即ち、NH2COPh−)、4−ベンゾイルフェン−1−イル、ジシアノメチリデンビス(4−フェン−1−イルオキシ)(即ち、−OPhC(CN)2PhO−)、3−メチルフェン−1−イル、メチレンビス(4−フェン−1−イルオキシ)(即ち、−OPhCH2PhO−)、2−エチルフェン−1−イル、フェニルエテニル、3−ホルミル−2−チエニル、2−ヘキシル−5−フラニル、ヘキサメチレン−1,6−ビス(4−フェン−1−イルオキシ)(即ち、−OPh(CH26PhO−)、4−ヒドロキシメチルフェン−1−イル(即ち、4−HOCH2Ph−)、4−メルカプトメチルフェン−1−イル(即ち、4−HSCH2Ph−)、4−メチルチオフェン−1−イル(即ち、4−CH3SPh−)、3−メトキシフェン−1−イル、2−メトキシカルボニルフェン−1−イルオキシ(例えば、メチルサリチル)、2−ニトロメチルフェン−1−イル(即ち、2−NO2CH2Ph)、3−トリメチルシリルフェン−1−イル、4−t−ブチルジメチルシリルフェン−1−イル、4−ビニルフェン−1−イル、ビニリデンビス(フェニル)などがある。「C3〜C10芳香族基」という用語は、3以上で10以下の炭素原子を含む芳香族基を包含する。芳香族基1−イミダゾリル(C322−)はC3芳香族基を代表する。ベンジル基(C77−)はC7芳香族基を代表する。
【0035】
本明細書中で使用する「脂環式基」という用語は、環状であるが芳香族でない原子配列を含む原子価1以上の基をいう。本明細書中で定義される「脂環式基」は、芳香族原子団を含まない。「脂環式基」は1以上の非環式成分を含んでいてもよい。例えば、シクロヘキシルメチル基(C611CH2−)は、シクロヘキシル環(環状であるが芳香族でない原子配列)及びメチレン基(非環式成分)からなる脂環式基である。脂環式基は、窒素、硫黄、セレン、ケイ素及び酸素のようなヘテロ原子を含んでいてもよく、或いは炭素及び水素のみから構成されていてもよい。便宜上、本明細書中での「脂環式基」という用語は、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ハロアルキル基、共役ジエニル基、アルコール基、エーテル基、アルデヒド基、ケトン基、カルボン酸基、アシル基(例えば、エステルやアミドのようなカルボン酸誘導体)、アミン基、ニトロ基などの広範囲の官能基を含むものと定義される。例えば、4−メチルシクロペント−1−イル基はメチル基を含むC6脂環式基であり、メチル基がアルキル基である官能基である。同様に、2−ニトロシクロブト−1−イル基はニトロ基を含むC4脂環式基であり、ニトロ基が官能基である。脂環式基は、同一又は相異なるものであってよい1以上のハロゲン原子を含み得る。ハロゲン原子には、例えば、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素がある。1以上のハロゲン原子を含む脂環式基には、2−トリフルオロメチルシクロヘキス−1−イル、4−ブロモジフルオロメチルシクロオクト−1−イル、2−クロロジフルオロメチルシクロヘキス−1−イル、ヘキサフルオロイソプロピリデン−2,2−ビス(シクロヘキス−4−イル)(即ち、−C610C(CF32610−)、2−クロロメチルシクロヘキス−1−イル、3−ジフルオロメチレンシクロヘキス−1−イル、4−トリクロロメチルシクロヘキス−1−イルオキシ、4−ブロモジクロロメチルシクロヘキス−1−イルチオ、2−ブロモエチルシクロペント−1−イル、2−ブロモプロピルシクロヘキス−1−イルオキシ(例えば、CH3CHBrCH2610O−)などがある。脂環式基のさらに他の例には、4−アリルオキシシクロヘキス−1−イル、4−アミノシクロヘキス−1−イル(即ち、H2NC610−)、4−アミノカルボニルシクロペント−1−イル(即ち、NH2COC58−)、4−アセチルオキシシクロヘキス−1−イル、2,2−ジシアノイソプロピリデンビス(シクロヘキス−4−イルオキシ)(即ち、−OC610C(CN)2610O−)、3−メチルシクロヘキス−1−イル、メチレンビス(シクロヘキス−4−イルオキシ)(即ち、−OC610CH2610O−)、1−エチルシクロブト−1−イル、シクロプロピルエテニル、3−ホルミル−2−テトラヒドロフラニル、2−ヘキシル−5−テトラヒドロフラニル、ヘキサメチレン−1,6−ビス(シクロヘキス−4−イルオキシ)(即ち、−OC610(CH26610O−)、4−ヒドロキシメチルシクロヘキス−1−イル(即ち、4−HOCH2610−)、4−メルカプトメチルシクロヘキス−1−イル(即ち、4−HSCH2610−)、4−メチルチオシクロヘキス−1−イル(即ち、4−CH3SC610−)、4−メトキシシクロヘキス−1−イル、2−メトキシカルボニルシクロヘキス−1−イルオキシ(2−CH3OCOC610O−)、4−ニトロメチルシクロヘキス−1−イル(即ち、NO2CH2610−)、3−トリメチルシリルシクロヘキス−1−イル、2−t−ブチルジメチルシリルシクロペント−1−イル、4−トリメトキシシリルエチルシクロヘキス−1−イル(例えば、(CH3O)3SiCH2CH2610−)、4−ビニルシクロヘキセン−1−イル、ビニリデンビス(シクロヘキシル)などがある。「C3〜C10脂環式基」という用語は、3以上で10以下の炭素原子を含む脂環式基を包含する。脂環式基2−テトラヒドロフラニル(C47O−)はC4脂環式基を代表する。シクロヘキシルメチル基(C611CH2−)はC7脂環式基を代表する。
【0036】
本明細書中で使用する「脂肪族基」という用語は、環状でない線状又は枝分れ原子配列からなる原子価1以上の有機基をいう。脂肪族基は1以上の炭素原子を含むものと定義される。脂肪族基をなす原子配列は、窒素、硫黄、ケイ素、セレン及び酸素のようなヘテロ原子を含んでいてもよく、或いは炭素及び水素のみから構成されていてもよい。便宜上、本明細書中での「脂肪族基」という用語は、「環状でない線状又は枝分れ原子配列」の一部として、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ハロアルキル基、共役ジエニル基、アルコール基、エーテル基、アルデヒド基、ケトン基、カルボン酸基、アシル基(例えば、エステルやアミドのようなカルボン酸誘導体)、アミン基、ニトロ基などの広範囲の官能基で置換された有機基を含むものと定義される。例えば、4−メチルペント−1−イル基はメチル基を含むC6脂肪族基であり、メチル基がアルキル基である官能基である。同様に、4−ニトロブト−1−イル基はニトロ基を含むC4脂肪族基であり、ニトロ基が官能基である。脂肪族基は、同一又は相異なるものであってよい1以上のハロゲン原子を含むハロアルキル基であり得る。ハロゲン原子には、例えば、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素がある。1以上のハロゲン原子を含む脂肪族基には、ハロゲン化アルキルであるトリフルオロメチル、ブロモジフルオロメチル、クロロジフルオロメチル、ヘキサフルオロイソプロピリデン、クロロメチル、ジフルオロビニリデン、トリクロロメチル、ブロモジクロロメチル、ブロモエチル、2−ブロモトリメチレン(例えば、−CH2CHBrCH2−)などがある。脂肪族基のさらに他の例には、アリル、アミノカルボニル(即ち、−CONH2)、カルボニル、2,2−ジシアノイソプロピリデン(即ち、−CH2C(CN)2CH2−)、メチル(即ち、−CH3)、メチレン(即ち、−CH2−)、エチル、エチレン、ホルミル(即ち、−CHO)、ヘキシル、ヘキサメチレン、ヒドロキシメチル(即ち、−CH2OH)、メルカプトメチル(即ち、−CH2SH)、メチルチオ(即ち、−SCH3)、メチルチオメチル(即ち、−CH2SCH3)、メトキシ、メトキシカルボニル(即ち、CH3OCO−)、ニトロメチル(即ち、−CH2NO2)、チオカルボニル、トリメチルシリル(即ち、(CH33Si−)、t−ブチルジメチルシリル、3−トリメトキシシリルプロピル(即ち、(CH3O)3SiCH2CH2CH2−)、ビニル、ビニリデンなどがある。さらに他の例としては、C1〜C10脂肪族基は1以上で10以下の炭素原子を含む。メチル基(即ち、CH3−)はC1脂肪族基の例である。デシル基(即ち、CH3(CH29−)はC10脂肪族基の例である。
【0037】
本明細書中で使用する「ヘテロアリール」という用語は、芳香環の1以上の炭素原子が窒素、酸素、ホウ素、セレン、リン、ケイ素又は硫黄のようなヘテロ原子で置き換えられた芳香環又は不飽和環をいう。ヘテロアリールは、単一の芳香環、複数の芳香環、又は1以上の非芳香環と結合した1以上の芳香環であり得る構造をいう。複数の環を有する構造では、環は互いに縮合していてもよく、共有結合していてもよく、或いはエーテル部分、メチレン部分又はエチレン部分のような共通の基に結合していてもよい。共通の結合基はまた、フェニルピリジルケトンの場合のようにカルボニルであってもよい。本明細書中で使用する場合、チオフェン、ピリジン、イソキサゾール、ピラゾール、ピロール、フランなどの環又はこれらの環のベンゾ縮合類似体は、「ヘテロアリール」という用語によって定義される。
【0038】
本明細書中で使用する「アリール」という用語は、単一の芳香環又は複数の芳香環であり得る芳香族置換基をいう。複数の芳香環は互いに縮合しているか、共有結合しているか、或いはエーテル部分、メチレン部分又はエチレン部分のような共通の基に結合している。芳香環としては、特にフェニル、ナフチル、アントラセニル及びビフェニルが挙げられる。特定の実施形態では、アリールは1〜200の炭素原子、1〜50の炭素原子、又は1〜20の炭素原子を有する。
【0039】
本明細書中で使用する「アルキル」という用語は、枝分れ又は枝なしで飽和又は不飽和の非環状炭化水素基である。好適なアルキル基には、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、2−プロペニル(又はアリル)、ビニル、n−ブチル、t−ブチル、イソブチル(又は2−メチルプロピル)などがある。特定の実施形態では、アルキルは1〜200の炭素原子、1〜50の炭素原子、又は1〜20の炭素原子を有する。
【0040】
本明細書中で使用する「シクロアルキル」という用語は、単一の環又は複数の縮合環を有する飽和又は不飽和の環状非芳香族炭化水素基である。好適なシクロアルキル基には、例えば、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロオクテニル、ビシクロオクチルなどがある。特定の実施形態では、シクロアルキルは3〜200の炭素原子、3〜50の炭素原子、又は3〜20の炭素原子を有する。
【0041】
本明細書中に記載される任意の数値は、低い値と高い値との間に少なくとも2単位のひらきがあれば、低い値から高い値まで1単位ずつ大きくなる値をすべて含む。例えば、成分の量又はプロセス変量(例えば、温度、圧力、時間など)の値が1〜90、好ましくは20〜80、さらに好ましくは30〜70であると述べられた場合、本明細書中には15〜85、22〜68、43〜51、30〜32などの値が明記されたものと想定されている。1より小さい値については、1単位は場合に応じて0.0001、0.001、0.01または0.1であると考えられる。これらは明確に意図しているものの例示に過ぎず、記載された最低値と最高値の間の数値の可能な組合せはすべて、本願において同様に明記されていると考えるべきである。
【実施例】
【0042】
実施例1〜26は、本発明の化合物及びこれらを製造する際に使用した中間体の合成法を記載している。すべての試薬は、特記しない限り、Aldrich Chemical社(米国ウィスコンシン州ミルウォーキー)及びAcros Organics社から購入し、それ以上精製せずに使用した。すべての化合物は1H−NMRによって特性決定し、示された構造に対応することが判明した。
【0043】
実施例1:化合物25の合成
【0044】
【化15】

磁気撹拌棒を備えた100mLの丸底シュレンク(Shlenk)フラスコに、1,3,5−トリ(3−ブロモベンゼン)ベンゼン(6.52g、12.0mmol)、3−ピリジルボロン酸(3.69g、30mmol)、25mLの2M Na2CO3水溶液及び25mLの1,4−ジオキサンを仕込んだ。テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0.54g、0.5mmol)を添加し、5回の真空/窒素バックフィルサイクルを用いて混合物を脱気し、次いで激しく撹拌しながら95℃で24時間加熱した。反応混合物を室温に放冷し、CH2Cl2で希釈した。有機層を1N HCl、H2O及びブラインで洗浄し、Na2SO4上で乾燥し、回転蒸発によって濃縮乾固した。得られた黄色固体をシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィーによって精製した。酢酸エチル溶離剤により、化合物25を2.5g(39%)の白色固体として得た。1H NMR(400MHz,CDCl3)δ 8.95(br s,2H)、8.65(br s,2H)、7.98−7.41(m,19H)。
【0045】
実施例2:化合物1の合成
【0046】
【化16】

100mLの二つ口丸底フラスコをスズ箔で覆い、撹拌棒、窒素入口を備えた還流冷却器、及び栓を取り付けた。フラスコに、化合物25(0.864g、1.6mmol)、1,4−ジオキサン(20mL)及びテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(43.4mg、0.037mmol)を仕込んだ。反応の進行中、装置を窒素雰囲気下に維持した。混合物を室温で20分間撹拌し、次いで漏斗を介して蒸留水(4mL)に溶解した炭酸カリウム(0.42g、3mmol)を添加した後、1,2−ビス(4−(1,3,2−ジオキサボリナン−2−イル)フェノキシ)(0.3g、0.79mmol)を添加した。反応混合物を油浴中において撹拌しながら20時間還流加熱し、次いで周囲温度に冷却した。漏斗を介して蒸留水(20mL)を添加し、得られた混合物をブフナー漏斗で濾過した。濾液を分液漏斗に移し、CH2Cl2(3×30mL)で抽出した。合わせた有機相をNa2SO4上で乾燥し、濾紙で濾過し、回転蒸発(30℃、25mmHg)によって濃縮乾固した。得られた黄色固体をカラムクロマトグラフィー(SiO2、酢酸エチル/THF(V/V:4/1)溶離剤)により精製することで、化合物1を白色固体として得、これを2mLのCH2Cl2に溶解し、エーテル(50mL)中に沈殿させることで、化合物1の最終生成物(0.60、66%)を得た。1H NMR(400MHz,CDCl3)δ 8.96(s,4H)、8.65(s,4H)、7.98−7.91(m,16H)、7.76−7.55(m,22H)、7.43−7.40(m,4H)、7.09(d,4H)、4.43(s,4H)。
【0047】
実施例3:化合物27の合成
【0048】
【化17】

100mLの二つ口丸底フラスコをスズ箔で覆い、撹拌棒、窒素入口を備えた還流冷却器、及び栓を取り付けた。フラスコに、化合物25(1.75g、3.24mmol)、1,4−ジオキサン(30mL)及びテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(86.9mg、0.073mmol)を仕込んだ。反応の進行中、装置を窒素雰囲気下に維持した。混合物を室温で20分間撹拌し、次いで漏斗を介して蒸留水(8mL)に溶解した炭酸カリウム(0.83g、5.9mmol)を添加した後、2−フルオロピリジン−5−ボロン酸ピナコールエステル(1.1g、4.8mmol)を添加した。反応混合物を油浴中において撹拌しながら20時間還流加熱し、次いで周囲温度に冷却した。漏斗を介して蒸留水(30mL)を添加し、得られた混合物をブフナー漏斗で濾過した。濾液を分液漏斗に移し、CH2Cl2(3×30mL)で抽出した。合わせた有機相をNa2SO4上で乾燥し、濾紙で濾過し、回転蒸発(30℃、25mmHg)によって濃縮乾固した。得られた黄色固体をカラムクロマトグラフィーにより精製することで、1.67g(93%)の白色固体として得た。1H NMR(400MHz,CDCl3)δ 8.95(d,2H)、8.65(m,2H)、8.52(d,1H)、8.07(m,1H)、7.98−7.79(m,11H)、7.65−7.59(m,6H)、7.42(t,2H)、7.06(t,1H)。
【0049】
実施例4:化合物2の合成
【0050】
【化18】

磁気撹拌棒、ディーン・スターク水トラップ及び還流冷却器を備えた25mLのシュレンクフラスコに、トルエン(5mL)及びDMF(5mL)を仕込み、窒素雰囲気下に置いた。化合物27(0.91g、1.64mmol)、ヘキサフルオロイソプロピリデンビス(4−ヒドロキシベンゼン)(0.242g、0.72mmol)及び炭酸セシウム(0.61g、1.9mmol)の混合物を溶媒に溶解した。混合物を激しく撹拌しながら140℃で24時間加熱した。反応混合物を室温に放冷し、CH2Cl2で希釈した。有機層を1N HCl、H2O及びブラインで洗浄し、Na2SO4上で乾燥し、回転蒸発によって濃縮乾固した。得られた黄色固体をシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィーによって精製した。酢酸エチル/THF(V/V:4/1)溶離剤により、化合物2を0.99g(97%)の白色固体として得た。次いで、白色固体をエタノールに再溶解し、溶解性を助けるために少量のCH2Cl2を添加した。一晩後に若干の粉末が生じ、白色粉末(620mg)を集めた。1H NMR(400MHz,CDCl3)δ 8.95(d,4H)、8.64(m,4H)、8.55(d,2H)、8.05−7.88(m,18H)、7.78−7.75(m,6H)、7.64−7.61(m,12H)、7.50(m,4H)、7.42(m,4H)、7.23(d,4H)、7.09(d,4H)。
【0051】
実施例5:化合物2の合成
【0052】
【化19】

ジオキサン(50mL)中の化合物25(1.6g、3mmol)、Pd(PPh34(0.18g、0.16mmol)及びトリ−tert−ブチルホスフィン(6mL、ヘキサン中10wt%)の混合物に、3−ヒドロキシフェニルボロン酸(0.62g、4.53mmol)、Na2CO3(0.62g)、MeOH(16mL)及びH2O(8mL)を順番に添加した。5回の真空/窒素バックフィルサイクルを用いてこの混合物を脱気し、次いで24時間還流加熱した。室温に冷却した後、混合物をH2O(100mL)とCH2Cl2(100mL)との間に分配した。有機層を集め、MgSO4上で乾燥し、濃縮して粗生成物を得、これをカラムクロマトグラフィー(SiO2、酢酸エチル溶離剤)により精製することで、化合物28を白色固体(1.60、96%)として得た。1H NMR(400MHz,CDCl3):δ=8.97(s,2H)、8.65(s,2H)、7.99(d,2H)、7.90(m,6H)、7.77(m,2H)、7.70(d,2H)、7.63(m,5H)、7.55(t,1H)、7.43(t,2H)、7.34(t,1H)、7.21(m,2H)、6.91(d,1H)。
【0053】
実施例6:化合物3の合成
【0054】
【化20】

磁気撹拌棒、スターク・アンド・ディーン水トラップ及び還流冷却器を備えた25mLのシュレンクフラスコに、トルエン(5mL)及びDMF(5mL)を仕込み、窒素雰囲気下に置いた。化合物27(0.37g、0.67mmol)、化合物28(0.37g、0.66mmol)及び炭酸セシウム(0.284g、0.87mmol)の混合物を溶媒に溶解した。混合物を激しく撹拌しながら140℃で24時間加熱した。反応混合物を室温に放冷し、CH2Cl2で希釈した。有機層を1N HCl、H2O及びブラインで洗浄し、Na2SO4上で乾燥し、回転蒸発によって濃縮乾固した。得られた黄色固体をシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィーによって精製した。酢酸エチル/THF(V/V:4/1)溶離剤により、化合物3を0.623g(87%)の白色固体として得た。次いで、白色固体をエタノールに再溶解し、溶解性を助けるために少量のCH2Cl2を添加した。一晩後に若干の粉末が生じ、白色粉末(320mg)を集めた。1H NMR(400MHz,CDCl3)δ 8.94(d,4H)、8.64(m,4H)、8.52(d,1H)、8.01−7.40(m,38H)、7.22(m,1H)、7.08(d,1H)。
【0055】
実施例8:化合物4の合成
【0056】
【化21】

ジオキサン(50mL)中のESTER 29(3g、5mmol)の混合物に、3,5−ビブロモピリジン(0.39g、1.67mmol)、Cs2CO3(6.5g、20mmol)、Pd(OAc)2(35mg)及びPCyBiPhen(150mg)を順番に添加した。5回の真空/窒素バックフィルサイクルを用いてこの混合物を脱気し、次いで90℃で16時間加熱した。室温に冷却した後、混合物を濾過し、CH2Cl2(20mL)で洗浄した。濾液を集め、濃縮して粗生成物を得、これをカラムクロマトグラフィーにより精製することで、化合物4(1.55g、93%)を得た。1H NMR(400MHz,CDCl3)δ 8.95(m,6H)、8.64(m,4H)、8.20(m,1H)、7.98−7.90(m,16H)、7.79−7.62(m,19H)、7.41(m,4H)。生成物を3mLのCH2Cl2に溶解し、次いでエチルエーテル(50mL)をゆっくりと添加した。沈殿した白色の粉末を遠心分離によって集め、次いで粉末をエチルエーテルで3回洗浄した。
【0057】
実施例9:化合物4の合成
【0058】
【化22】

Na2CO3(1.10g)を含むトルエン(10mL)/H2O(5.0mL)/EtOH(5.0mL)の二相混合物を窒素でパージした。この溶液に、ボロン酸化合物36(0.500g、1.00mmol)、3,5−ジブロモピリジン(107mg、0.450mmol)、次いでPd(PPh34(40.0mg、0.0400mmol)を添加した。反応物を窒素の不活性雰囲気下に置き、穏やかな還流下で16時間加熱した。混合物を室温に冷却し、EtOAc(50mL)と共に分液漏斗に移し、ブライン(2×100mL)で洗浄した。有機層をNa2SO4上で乾燥し、3−メルカプトプロピル官能化シリカゲル(1.0g、Aldrich社)と共に撹拌し、濾過した。濾過ケークを5%MeOH/CH2Cl2で洗浄し、濾液を濃縮乾固して泡状物を得た。粗物質をSiO2でクロマトグラフィー処理し、5%MeOH/CH2Cl2で溶出することで、生成物を白色泡状物として得た。収量は290mg、65%であった。1H NMR(400MHz,CD2Cl2,25℃)δ 7.39(m,4H)、7.64(m,10H)、7.76(m,8H)、7.98(m,14H)、8.04(t,2H)、8.25(t,1H)、8.58(m,4H)、8.93(m,6H)。
【0059】
実施例10:化合物5の合成
【0060】
【化23】

2,8−ジブロモジベンゾフラン(1g、3.07mmol)の20mL DMSO溶液に、ビスピナコレートジボロン(1.74g、6.75mmol)、KOAc(2g、21mmol)及びPdCl2(PPh32(149mg、0.21mmol)を添加し、溶液を80℃で24時間撹拌した。反応混合物を室温に冷却した後、触媒を濾過によって除去し、CH2Cl2で洗浄した。次いで、濾液を脱イオンH2O(50mL)で5回洗浄し、有機層をMg2SO4上で乾燥し、濾過し、濃縮し、シリカゲル上でのカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc=10:1)により精製することで、2,8−ビス(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)ジベンゾフラン(0.4g、31%)を得た。1H NMR(400MHz,CDCl3)δ 8.51(s,2H)、7.92(d,2H)、7.57(d,2H)、1.40(s,24H)。
【0061】
50mLの二つ口丸底フラスコをスズ箔で覆い、撹拌棒、窒素入口を備えた還流冷却器、及び栓を取り付けた。フラスコに、2,8−ビス(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)ジベンゾフラン(0.38g、0.92mmol)、化合物27(1.1g、2.02mmol)、1,4−ジオキサン(20mL)及びテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(86.9mg、0.073mmol)を仕込んだ。反応の進行中、装置を窒素雰囲気下に維持した。混合物を室温で20分間撹拌し、次いで漏斗を介して蒸留水(8mL)に溶解した炭酸カリウム(0.83g、5.9mmol)を添加した。反応混合物を油浴中において撹拌しながら20時間還流加熱し、次いで周囲温度に冷却した。漏斗を介して蒸留水(20mL)を添加し、得られた混合物をブフナー漏斗で濾過した。濾液を分液漏斗に移し、CH2Cl2(3×30mL)で抽出した。合わせた有機相をNa2SO4上で乾燥し、濾紙で濾過し、回転蒸発(30℃、25mmHg)によって濃縮乾固した。次いで、シリカゲル上でのカラムクロマトグラフィー(EtOAc/THF=10:1)により精製することで、化合物5(0.596g、60%)を得た。1H NMR(400MHz,CDCl3)δ 8.93(m,4H)、8.62(m,4H)、8.29(m,2H)、8.0−7.91(m,15H)、7.81−7.61(m,22H)、7.39(m,4H)。
【0062】
実施例11:化合物29の合成
【0063】
【化24】

50mLの二つ口丸底フラスコをスズ箔で覆い、撹拌棒、窒素入口を備えた還流冷却器、及び栓を取り付けた。フラスコに、化合物25(2.175g、4.03mmol)、THF(20mL)、1,4−ジオキサン(5mL)、ピナコレートジボラン(3.1g、12.2mmol)、Pd(OAc)2(23.0mg、0.100mmol)、乾燥KOAc(1.47g、15.0mmol)及びPCyBiPhen(リガンドIV、103mg、0.250mmol)を仕込んだ。反応の進行中、装置を窒素雰囲気下に維持した。反応混合物を油浴中において撹拌しながら15時間還流加熱し、次いで周囲温度に冷却した。漏斗を介して蒸留水(30mL)を添加し、得られた混合物をブフナー漏斗で濾過した。濾液を分液漏斗に移し、CH2Cl2(3×30mL)で抽出した。合わせた有機相をNa2SO4上で乾燥し、濾紙で濾過し、回転蒸発(30℃、25mmHg)によって濃縮乾固した。得られた固体をカラムクロマトグラフィーより精製することで、2.296g(97%)の白色固体として得た。1H NMR(400MHz,CDCl3)δ 8.95(d,2H)、8.64(m,2H)、8.15(d,1H)、7.98(m,2H)、7.90−7.77(m,9H)、7.64(m,4H)、7.53(t,1H)、7.42(m,2H)、1.38(s,12H)。
【0064】
実施例12:化合物29及び化合物35の合成
凝縮器、窒素入口及びゴム隔壁を備えた火炎乾燥三つ口丸底フラスコに、化合物25(2.70g、5.00mmol)、ピナコレートジボラン(3.81g、15.0mmol)、乾燥KOAc(1.47g、15.0mmol)及びシクロヘキシルホスフィンリガンド(103mg、0.250mmol)を添加した。次いで、フラスコを大気から防護した状態に置き、無水THF(20mL)及びジオキサン(5mL)を仕込み、撹拌溶液を通してN2をパージすることで溶液を脱気した。15分後、反応混合物にPd(OAc)2(23.0mg、0.100mmol)を仕込み、混合物を12時間還流加熱した。この時間が経過した後、反応混合物を室温(RT)に冷却し、セライトで濾過した。濾過ケークをEtOAcで洗浄し、濾液を濃縮乾固した。残留物を、EtOAc溶離剤を用いてSiO2でクロマトグラフィー処理した。収量は2.65g、90%であった。1H NMR(400MHz,CD2Cl2,25℃)δ 1.39(s,12H)、7.41(m,2H)、7.52(t,1H)、7.63(m,4H)、7.82(m,4H)、7.92(s,3H);7.96(m,2H)、8.00(m,2H)、8.13(s,1H)、8.60(m,2H)、8.94(d,2H)。ピナコールホウ酸エステルは、希H2SO4及びMeOHの混合物中でエステルを加熱することで対応ボロン酸に転化できる。酸をNaHCO3で中和した後、濃縮乾固して得られる固体をH2O中に懸濁し、濾過し、H2Oで洗浄し、乾燥する。
【0065】
実施例13:化合物30の合成
【0066】
【化25】

100mLの二つ口丸底フラスコをスズ箔で覆い、撹拌棒、窒素入口を備えた還流冷却器、及び栓を取り付けた。フラスコに、化合物29(2.296g、3.914mmol)、3,5−ジブロモピリジン(1.391g、5.87mmol)、1,4−ジオキサン(30mL)及びテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(86.9mg、0.073mmol)を仕込んだ。反応の進行中、装置を窒素雰囲気下に維持した。混合物を室温で20分間撹拌し、次いで漏斗を介して蒸留水(8mL)に溶解した炭酸カリウム(0.83g、5.9mmol)を添加した。反応混合物を油浴中において撹拌しながら20時間還流加熱し、次いで周囲温度に冷却した。漏斗を介して蒸留水(30mL)を添加し、得られた混合物をブフナー漏斗で濾過した。濾液を分液漏斗に移し、CH2Cl2(3×30mL)で抽出した。合わせた有機相をNa2SO4上で乾燥し、濾紙で濾過し、回転蒸発(30℃、25mmHg)によって濃縮乾固した。得られた黄色固体をカラムクロマトグラフィーにより精製することで、1.45g(60%)の白色固体として得た。1H NMR(400MHz,CDCl3)δ 8.95(d,2H)、8.85(d,1H)、8.52(d,1H)、8.71(d,1H)、8.65(m,2H)、8.12(m,1H)、7.98(m,2H)、7.91−7.87(m,6H)、7.82−7.77(m,3H)、7.65(m,6H)、7.42(t,2H)。
【0067】
実施例14:化合物31の合成
【0068】
【化26】

磁気撹拌棒を備えた100mLの丸底シュレンクフラスコに、1−ブロモ−3−ヨードベンゼン(5.754g、20.3mmol)、3−ピリジルボロン酸(2.5g、20.3mmol)、25mLの2M Na2CO3水溶液及び25mLの1,4−ジオキサンを仕込んだ。テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0.54g、0.5mmol)を添加し、5回の真空/窒素バックフィルサイクルを用いて混合物を脱気し、次いで激しく撹拌しながら95℃で24時間加熱した。反応混合物を室温に放冷し、CH2Cl2で希釈した。有機層を1N HCl、H2O及びブラインで洗浄し、Na2SO4上で乾燥し、回転蒸発によって濃縮乾固した。得られた黄色固体をシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィーによって精製した。酢酸エチル/ヘキサン(3/97)溶離剤により、化合物31を3.6g(77%)の淡黄色油状物として得た。1H NMR(400MHz,CDCl3)δ 8.82(brs,1H)、8.63(m,1H)、7.85(m,1H)、7.73(m,1H)、7.53(m,2H)、7.36(m,2H)。
【0069】
実施例15:化合物32の合成
【0070】
【化27】

50mLの二つ口丸底フラスコをスズ箔で覆い、撹拌棒、窒素入口を備えた還流冷却器、及び栓を取り付けた。フラスコに、3−(3−ブロモフェニル)ピリジン(2g、8.54mmol)、THF(20mL)、1,4−ジオキサン(5mL)、ピナコレートジボラン(4.34g、17.09mmol)、乾燥KOAc(1.01g、10.4mmol)、Pd(OAc)2(17mg、0.07mmol)及びPCyBiPhen(リガンドIV、71mg、0.172mmol)を仕込んだ。反応の進行中、装置を窒素雰囲気下に維持した。反応混合物を油浴中において撹拌しながら15時間還流加熱し、次いで周囲温度に冷却した。漏斗を介して蒸留水(30mL)を添加し、得られた混合物をブフナー漏斗で濾過した。濾液を分液漏斗に移し、CH2Cl2(3×30mL)で抽出した。合わせた有機相をNa2SO4上で乾燥し、濾紙で濾過し、回転蒸発(30℃、25mmHg)によって濃縮乾固した。得られた固体をカラムクロマトグラフィーより精製することで、2.15g(90%)の白色固体として得た。1H NMR(400MHz,CDCl3)δ 8.89(brs,1H)、8.60(d,1H)、8.05(s,1H)、7.92(m,1H)、7.87(m,1H)、7.7(m,1H)、7.51(m,1H)、7.37(m,1H)、1.39(s,12H)。
【0071】
実施例16:化合物33の合成
【0072】
【化28】

磁気撹拌棒を備えた100mLの丸底シュレンクフラスコに、化合物32(2.15g、7.65mmol)、1,3,5−トリブロモベンゼン(3.61g、11.5mmol)、25mLの2M Na2CO3水溶液及び25mLの1,4−ジオキサンを仕込んだ。テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0.54g、0.5mmol)を添加し、5回の真空/窒素バックフィルサイクルを用いて混合物を脱気し、次いで激しく撹拌しながら95℃で24時間加熱した。反応混合物を室温に放冷し、CH2Cl2で希釈した。有機層を1N HCl、H2O及びブラインで洗浄し、Na2SO4上で乾燥し、回転蒸発によって濃縮乾固した。得られた黄色固体をシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィーによって精製した。酢酸エチル/ヘキサン(3/97)溶離剤により、化合物33を1.84g(62%)の白色固体として得た。1H NMR(400MHz,CDCl3)δ 8.91(brs,1H)、8.66(m,1H)、7.94(m,1H)、7.72−7.69(m,4H)、7.63−7.58(m,3H)、7.42(m,1H)。
【0073】
実施例17:化合物34の合成
【0074】
【化29】

50mLの二つ口丸底フラスコをスズ箔で覆い、撹拌棒、窒素入口を備えた還流冷却器、及び栓を取り付けた。フラスコに、化合物33(1.84g、4.72mmol)、THF(20mL)、1,4−ジオキサン(5mL)、ピナコレートジボラン(6.0g、23.63mmol)、乾燥KOAc(2.3g、23.92mmol)、Pd(OAc)2(36mg、0.15mmol)及びPCyBiPhen(162mg、0.39mmol)を仕込んだ。反応の進行中、装置を窒素雰囲気下に維持した。反応混合物を油浴中において撹拌しながら15時間還流加熱し、次いで周囲温度に冷却した。漏斗を介して蒸留水(30mL)を添加し、得られた混合物をブフナー漏斗で濾過した。濾液を分液漏斗に移し、CH2Cl2(3×30mL)で抽出した。合わせた有機相をNa2SO4上で乾燥し、濾紙で濾過し、回転蒸発(30℃、25mmHg)によって濃縮乾固した。得られた固体をカラムクロマトグラフィーより精製することで、1.12g(49%)の白色固体として得た。1H NMR(400MHz,CDCl3)δ 8.93(m,1H)、8.64(m,1H)、8.32(m,1H)、8.19(d,2H)、7.98(m,1H)、7.86(m,1H)、7.73(m,1H)、7.56(m,2H)、7.42(m,1H)、1.38(s,24H)。
【0075】
実施例18:化合物6の合成
【0076】
【化30】

100mLの二つ口丸底フラスコをスズ箔で覆い、撹拌棒、窒素入口を備えた還流冷却器、及び栓を取り付けた。フラスコに、化合物30(0.96g、1.56mmol)、化合物34(0.335g、0.7mmol)、1,4−ジオキサン(30mL)及びテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(86.9mg、0.073mmol)を仕込んだ。反応の進行中、装置を窒素雰囲気下に維持した。混合物を室温で20分間撹拌し、次いで漏斗を介して蒸留水(8mL)に溶解した炭酸カリウム(0.83g、5.9mmol)を添加した。反応混合物を油浴中において撹拌しながら20時間還流加熱し、次いで周囲温度に冷却した。漏斗を介して蒸留水(30mL)を添加し、得られた混合物をブフナー漏斗で濾過した。濾液を分液漏斗に移し、CH2Cl2(3×30mL)で抽出した。合わせた有機相をNa2SO4上で乾燥し、濾紙で濾過し、回転蒸発(30℃、25mmHg)によって濃縮乾固した。得られた黄色固体をカラムクロマトグラフィーにより精製することで、0.63g(66%)の白色固体として得た。1H NMR(400MHz,CDCl3)δ 8.95(m,9H)、8.63(m,5H)、8.22(m,2H)、7.97−7.89(m,21H)、7.80−7.61(m,21H)、7.39(m,5H)。
【0077】
実施例19:化合物36の合成
【0078】
【化31】

窒素入口及びゴム隔壁を備えた火炎乾燥三つ口丸底フラスコに、化合物25(2.0g、3.7mmol)を添加した。フラスコを不活性雰囲気下に置き、無水THF(50mL)を仕込んだ。反応物を−100℃に冷却し、1.6M BuLi(2.6mL、4.1mmol)を滴下し、10分間撹拌した。ホウ酸トリエチルを−80℃で反応物に滴下し、この温度で1時間撹拌した。反応混合物をRTまで放温し、RTで30分間撹拌した後、混合物を飽和NH4Cl溶液(0.5mL)で処理し、濃縮乾固した。残留物をH2O(3×100mL)で洗浄し、MeOH(50mL)及び5%HCl(5mL)の混合物中においてRTで一晩撹拌した。溶液をNaHCO3で中和し、溶媒を乾固状態に除去した。残留物をアセトン(200mL)中に懸濁し、沈殿を濾過によって集めた(0.46g)。母液を濃縮乾固し、残留物をEtOAcで超音波処理し、白色固体を濾過によって集め、EtOAcで洗浄した。収量は0.65g、35%であった。1H NMR(400MHz,[D6]−DMSO,25℃)δ 7.51(m,3H)、7.64(m,2H)、7.80(m,3H)、7.96(m,3H)、8.05(s,2H)、8.12(s,1H)、8.21(m,5H)、8.30(s,1H)、8.60(m,2H)、9.05(s,2H)。
【0079】
実施例20:化合物25及び化合物35の合成
凝縮器、栓及び窒素入口を備えた三つ口丸底フラスコ内において、H2O(50mL)及びジオキサン(50mL)のパージした混合物に、Na2CO3(10.6g、100mmol)、1,3,5−(3−ブロモフェニル)ベンゼン(10.9g、20.0mmol)及び3−ピリジルボロン酸(5.41g、44.0mmol)を添加した。N2で15分間パージした後、Pd(PPh34(0.924g、0.800mmol)を添加し、混合物を穏やかな還流下で24時間加熱した。反応混合物を室温(RT)に冷却し、CH2Cl2(100mL)で希釈し、飽和NaHCO3を含む分液漏斗に移し、反応フラスコをCH2Cl2及びH2Oですすいだ。有機層を除去し、水層をCH2Cl2(100mL)で抽出し、Na2SO4上で乾燥し、濃縮乾固して泡状物を得た。粗生成物をSiO2によるクロマトグラフィーにかけ、EtOAcで溶出することで精製した。SiO2上での分離後に2種の生成物を集めた。収量は、化合物25が4.55g、42%であり、化合物35が2.41g、22%であった。1H NMR−化合物25(400MHz,CD2Cl2,25℃)δ 7.40(m,3H)、7.55(m,1H)、7.65(m,5H)、7.78(m,2H)、7.88(d,2H)、7.94(m,4H)、7.98(m,2H)、8.60(dd,2H)、8.93(d,2H);1H NMR−化合物35(400MHz,CD2Cl2,25℃)δ 7.40(m,3H)、7.55(m,2H)、7.65(m,4H)、7.77(m,2H)、7.89(m,5H)、7.99(m,1H)、8.61(dd,1H)、8.93(d,1H)。
【0080】
実施例21:化合物7の合成
【0081】
【化32】

Na2CO3(579mg)を含むジオキサン(10mL)/H2O(10mL)の溶液を窒素でパージした。この溶液に、ボロン酸化合物36(682mg、1.37mmol)、ジブロモ化合物35(295mg、0.546mmol)、次いでPd(PPh34(60mg、0.0500mmol)を添加した。反応物を窒素の不活性雰囲気下に置き、穏やかな還流下で24時間加熱した。混合物をRTに冷却し、CH2Cl2(50mL)で希釈し、H2O(50mL)で洗浄した。水層をCH2Cl2(2×50mL)で抽出し、合わせた有機層をMgSO4上で乾燥した。粗生成物をSiO2でクロマトグラフィー処理し、3%MeOH/CH2Cl2で溶出することで、生成物を白色泡状物として得た。収量は602mg、85%であった。1H NMR(400MHz,CD2Cl2,25℃)δ 7.36(m,5H)、7.62(m,14H)、7.77(m,13H)、7.97(m,19H)、8.04(m,4H)、8.57(s,5H)、8.91(m,5H)。
【0082】
実施例22:化合物8の合成
Na2CO3(4.24g)を含むTHF(20mL)/H2O(20mL)の溶液を窒素でパージした。この溶液に、ボロン酸エステル化合物29(2.60g、4.43mmol)、3,5−ジブロモピリジン(473mg、2.00mmol)、次いでPd(PPh34(204mg、0.177mmol)を添加した。反応物を窒素の不活性雰囲気下に置き、12時間還流加熱した。混合物をRTに冷却し、層を分離した。有機層をNaHCO3(1×100mL)で洗浄し、Na2SO4上で乾燥し、濃縮乾固した。濾過ケークを5%MeOH/CH2Cl2で洗浄し、濾液を濃縮乾固して泡状物を得た。粗物質をSiO2でクロマトグラフィー処理し、5%MeOH/CH2Cl2で溶出することで、生成物を白色泡状物として得た。収量は1.56g、78%であった。1H NMR(400MHz,CD2Cl2,25℃)δ 7.39(m,4H)、7.64(m,10H)、7.76(m,8H)、7.98(m,14H)、8.04(t,2H)、8.25(t,1H)、8.58(m,4H)、8.93(m,6H)。
【0083】
実施例23:化合物14の合成
【0084】
【化33】

100mLの二つ口丸底フラスコをスズ箔で覆い、撹拌棒、窒素入口を備えた還流冷却器、及び栓を取り付けた。フラスコに、化合物25(0.675g、1.25mmol)、9−(4−メトキシフェニル)−3,6−ビス(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−9H−カルバゾール(0.263g、0.5mmol)、1,4−ジオキサン(20mL)及びテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(30mg、0.025mmol)を仕込んだ。反応の進行中、装置を窒素雰囲気下に維持した。混合物を室温で20分間撹拌し、次いで漏斗を介して蒸留水(4mL)に溶解した炭酸カリウム(0.4g、2.84mmol)を添加した。反応混合物を油浴中において撹拌しながら20時間還流加熱し、次いで周囲温度に冷却した。漏斗を介して蒸留水(30mL)を添加し、得られた混合物をブフナー漏斗で濾過した。濾液を分液漏斗に移し、CH2Cl2(3×30mL)で抽出した。合わせた有機相をNa2SO4上で乾燥し、濾紙で濾過し、回転蒸発(30℃、25mmHg)によって濃縮乾固した。次いで、シリカゲル上でのカラムクロマトグラフィー(EtOAc/THF=6:1)により精製することで、化合物14(0.24g、40%)を得た。1H NMR(400MHz,CDCl3)δ 8.93(brs,4H)、8.62(brs,4H)、8.49(m,2H)、8.05(m,2H)、7.96−7.90(m,14H)、7.77−7.39(m,28H)、7.17(m,2H)、3.96(s,3H)。
【0085】
実施例24:化合物16の合成
【0086】
【化34】

磁気撹拌棒を備えた25mLの丸底フラスコに、1,4−ジオキサン(10mL)を仕込んだ。化合物28(0.365g、0.66mmol)、1,3,5−トリス(ブロモメチル)−2,4,6−トリメチルベンゼン(0.075g、0.189mmol)及び炭酸カリウム(0.182g、1.34mmol)の混合物を溶媒に溶解した。反応物を窒素下で一晩還流した。反応混合物を室温に放冷し、CH2Cl2で希釈した。合わせた有機相をNa2SO4上で乾燥し、濾紙で濾過し、回転蒸発(30℃、25mmHg)によって濃縮乾固した。得られた黄色固体をカラムクロマトグラフィー(SiO2、酢酸エチル/THF(V/V:4/1)溶離剤)により精製することで、化合物16を白色固体(0.29、85%)として得た。1H NMR(400MHz,CDCl3)δ 8.97(s,6H)、8.65(s,6H)、7.99(d,6H)、7.90(m,18H)、7.77(m,6H)、7.70(d,6H)、7.63(m,15H)、7.55(t,3H)、7.43(t,6H)、7.34(t,3H)、7.21(m,6H)、6.91(d,3H)、5.32(S,6H)、1.9(s,9H)。
【0087】
実施例25:化合物38の合成
【0088】
【化35】

3.4g(10mmol)のスピロビスインダンテトラフェノールを4g(24.8mmol)のヘキサメチルジシラザンに添加し、120〜125℃で一晩還流した。最初は懸濁液であったが、約1時間後には透明な溶液に変わった。過剰量のヘキサメチルジシラザンを蒸留によって除去した。1H NMR(CDCl3):6.6(s,2H)、6.2(s,2H)、2.2(dd,4H)、1.34(s,6H)、1,30(s,6H)、0.24(s,18H)、0.18(s,18H)。
【0089】
実施例26:化合物17の合成
【0090】
【化36】

三つ口丸底フラスコ内において、0.19g(0.3419mmol)のo−フルオロ−STPPB(化合物27)及び0.047g(0.0747mmol)のシリレートテトラフェノール(化合物38)を室温で合わせた。このフラスコに、3mLの無水DMF及び3mLの無水トルエンを添加した。フラスコをアルゴン流下で130℃に加熱した。トルエンの除去後、極めて少量の無水CsF(約5mg)を添加した。温度を140℃に上昇させた。反応をシリカゲルTLCによってモニターした。4日後、0.075gのo−フルオロ−STPPB及び2mLのトルエンを添加した。さらに2日後、反応を停止させた。反応混合物を室温に冷却した後、それを10mLの水中に投下した。塩化メチレン(5mL)を用いて固体を抽出した。有機層を5mLの水(×2)及びブライン(×1)で洗浄し、MgSO4上で乾燥した。ロトエバポレーター上で溶媒を除去した。粗生成物を、THF/Hex(1/1〜8/1)を溶離剤として使用するシリカゲルカラムによって分離した。約100mgの黄色がかった固体を得た。固体をCH2Cl2に溶解し、白色固体が生じるまでヘキサンを添加した。0.048gの非常に微細な白色固体を、微細フリットを通しての吸引濾過によって集めた。次いで、白色固体をエタノールに再溶解することを試み、溶解性を助けるために少量のCH2Cl2を添加した。一晩後に若干の粉末が生じたが、すべてフラスコの壁に付着していた。上澄み液から8mgの生成物を集めた。1H NMR(CDCl3):8.90(d,8H)、8.61(t,8H)、8.37(d,4H)、7.99−7.26(m,68H)、6.94(s,2H)、7.12(s,2H)、6.8(dd,4H)、2.48(dd,4H)、1.45(s,6H)、1.43(s,6H)。Maldi(M+=2482.2286)。
【0091】
以上、本明細書中には本発明の若干の特徴のみを例示し説明してきたが、当業者には数多くの修正及び変更が想起されるであろう。したがって、添付の特許請求の範囲は本発明の真の技術思想に含まれるこのような修正及び変更のすべてを包含することを理解すべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の式Iの化合物。
【化1】

(式中、
1は各々独立にC1〜C20脂肪族基、C3〜C20芳香族基又はC3〜C20脂環式基であり、
2は各々独立にC1〜C20脂肪族基、C3〜C20芳香族基又はC3〜C20脂環式基であり、
aは各々独立に0〜4の範囲内の整数であり、
bは各々独立に0〜3の範囲内の整数であり、
Ar1は直接結合或いはヘテロアリール、アリール、アルキル又はシクロアルキルであり、
Ar2はヘテロアリール、アリール、アルキル又はシクロアルキルであり、
cは0、1又は2であり、
nは2〜4の範囲内の整数である。)
【請求項2】
次の式を有する、請求項1記載の化合物。
【化2】

【請求項3】
Ar1が直接結合である、請求項1記載の化合物。
【請求項4】
Ar1が以下のものから独立に選択される、請求項1記載の化合物。
【化3】

【請求項5】
Ar2が以下のものから独立に選択される、請求項1記載の化合物。
【化4】

【請求項6】
Ar2が以下のものから独立に選択される、請求項1記載の化合物。
【化5】

【請求項7】
以下のものから選択される、請求項1記載の化合物。
【化6】

【化7】

【請求項8】
次の式Iを有する1種以上の化合物を含んでなる光電子デバイス。
【化8】

(式中、
1は各々独立にC1〜C20脂肪族基、C3〜C20芳香族基又はC3〜C20脂環式基であり、
2は各々独立にC1〜C20脂肪族基、C3〜C20芳香族基又はC3〜C20脂環式基であり、
aは各々独立に0〜4の範囲内の整数であり、
bは各々独立に0〜3の範囲内の整数であり、
Ar1は直接結合或いはヘテロアリール、アリール、アルキル又はシクロアルキルであり、
Ar2はヘテロアリール、アリール、アルキル又はシクロアルキルであり、
cは0、1又は2であり、
nは2〜4の範囲内の整数である。)
【請求項9】
1種以上の化合物が次の式を有する、請求項8記載の光電子デバイス。
【化9】

【請求項10】
有機発光デバイスである、請求項8記載の光電子デバイス。
【請求項11】
式Iを有する1種以上の化合物を含む電子輸送層を含んでなる、請求項10記載の光電子デバイス。
【請求項12】
式Iを有する1種以上の化合物を含む正孔輸送層を含んでなる、請求項10記載の光電子デバイス。
【請求項13】
式Iを有する1種以上の化合物を含む発光層を含んでなる、請求項10記載の光電子デバイス。
【請求項14】
さらに1種以上の青色、黄色、オレンジ色又は赤色りん光色素或いはこれらの組合せを含む、請求項8記載の光電子デバイス。

【公表番号】特表2011−522800(P2011−522800A)
【公表日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−510538(P2011−510538)
【出願日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際出願番号】PCT/US2009/041491
【国際公開番号】WO2009/142867
【国際公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【Fターム(参考)】