説明

フェニルベンズアミド

本発明は、式(I)(式中、Rはトリフルオロメチル基、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子を表し、またRは水素原子又はメチル基又はエチル基を表す。)で示されるフェニルベンズアミドに関する。本発明はまた、前記の物質の製造方法、及びその望ましくない微生物を防除するための使用、並びに新規中間体及びその製造に関する。
【化17】


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規なフェニルベンズアミド、その製造方法及びその望ましくない微生物を防除するための使用に関する。
【背景技術】
【0002】
多数のフェニルベンズアミドが殺菌活性を有することは、既に知られている(例えば、欧州特許出願公開第0 545 099号公報参照)。すなわち、例えば、次のフェニルベンズアミド、N−(2−ヘキシルフェニル)−2−(トリフルオロメチル)ベンズアミド及びN−(2−ヘキシルフェニル)−2−ヨードベンズアミドが既に欧州特許出願公開第0 545 099号公報により知られているが、この特許出願明細書には、フェニルベンズアミドの生物活性に関するデータは何ら示されていない。
【発明の開示】
【0003】
今般、式(I)
【0004】
【化7】

(式中、Rはトリフルオロメチル基、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子を表し、またRは水素原子又はメチル基を表し、さらにまたRはエチル基を表す。)で示される新規なフェニルベンズアミドが見出された。
【0005】
また、前記の式(I)で示されるフェニルベンズアミドが、
a)第一工程において、アニリンを、式(II)
【0006】
【化8】

(式中、Rは水素原子又はメチル基を表し、さらにまたRはエチル基を表す。)で示されるアルケンと、塩基の存在下及びルイス酸の存在下で反応させ、得られる式(III)
【0007】
【化9】

(式中、Rは水素原子又はメチル基を表し、さらにまたRはエチル基を表す。)で示されるアルキルフェニルアミン誘導体を、
b)第二工程において、式(IV)
【0008】
【化10】

(式中、Rはトリフルオロメチル基、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子を表す。)で示されるベンゾイルクロリドと、適切ならば酸結合剤の存在下で及び適切ならば希釈剤の存在下で反応させると得られることが見出された。
【0009】
最後に、前記の式(I)で示される新規フェニルベンズアミドが極めて良好な殺微生物性を有し、作物保護及び材料保護の両方において望ましくない微生物を防除するのに使用できることが見出された。
【0010】
意外にも、前記の式(I)で示されるフェニルベンズアミドが、同じ作用方向をもつ従来の構造上最もよく類似している活性化合物よりも相当に良い殺菌活性を有する。
【0011】
前記の式(I)は、本発明のフェニルベンズアミドの一般的な定義を提供する。
【0012】
が水素原子を表す場合の式(I)で示されるフェニルベンズアミドが好ましい。
【0013】
がメチル基を表す場合の式(I)で示されるフェニルベンズアミドが好ましい。
【0014】
がエチル基を表す場合の式(I)で示されるフェニルベンズアミドが好ましい。
【0015】
がトリフルオロメチル基又はヨウ素原子を表す場合の式(I)で示されるフェニルベンズアミドが好ましい。
【0016】
本発明によれば、前記の式(I)は、下記のフェニルベンズアミド:
N−[2−(1,3−ジメチルブチル)フェニル]−2−(トリフルオロメチル)ベンズアミド、
N−[2−(1,3−ジメチルブチル)フェニル]−2−クロロベンズアミド、
N−[2−(1,3−ジメチルブチル)フェニル]−2−ブロモベンズアミド、
N−[2−(1,3−ジメチルブチル)フェニル]−2−ヨードベンズアミド、
2−(トリフルオロメチル)−N−[2−(1,3,3−トリメチルブチル)フェニル]ベンズアミド、
2−クロロ−N−[2−(1,3,3−トリメチルブチル)フェニル]ベンズアミド、
2−ブロモ−N−[2−(1,3,3−トリメチルブチル)フェニル]ベンズアミド、
2−ヨード−N−[2−(1,3,3−トリメチルブチル)フェニル]ベンズアミド、
[2−(トリフルオロメチル)フェニル]−N−[2−(1,3,3−トリメチルペンチル)フェニル]カルボキサミド、
(2−クロロフェニル)−N−[2−(1,3,3−トリメチルペンチル)フェニル]カルボキサミド、
(2−ブロモフェニル)−N−[2−(1,3,3−トリメチルペンチル)フェニル]カルボキサミド、
(2−ヨードフェニル)−N−[2−(1,3,3−トリメチルペンチル)フェニル]カルボキサミド
を包含する。
【0017】
出発原料としてアニリン、4−メチル−1−ペンテン及び2−(トリフルオロメチル)ベンゾイルクロリドを使用すると、本発明の製造方法の経路は、下記の式のスキームにより説明できる:
【0018】
【化11】

【0019】
本発明の製造方法の第一工程を実施するための出発原料として必要な成分であるアニリンと前記の式(I)で示されるアルケン、すなわち4−メチル−1−ペンテン、4,4−ジメチル−1−ペンテン及び4,4−ジメチル−1−ヘキサンは、合成用の一般的に知られている化学物質であり、商業的に入手できる。
【0020】
本発明の製造方法の第二工程を実施するための出発原料として必要な前記の式(IV)で示されるベンゾイルクロリド、すなわち2−(トリフルオロメチル)ベンゾイルクロリド、2−クロロベンゾイルクロリド、2−ブロモベンゾイルクロリド及び2−ヨードベンゾイルクロリドは、合成用の一般的に知られている化学物質であり、商業的に入手できる。
【0021】
本発明の製造方法の第一工程(a)で得られる前記の式(III)で示されるアルキルフェニルアミン誘導体は、新規であり、本発明の主題の一部を形成する。
【0022】
本発明の前記の式(III)で示されるアルキルフェニルアミン誘導体は、2−(1,3−ジメチルブチル)フェニルアミン、2−(1,3,3−トリメチルブチル)フェニルアミン及び2−(1,3,3−トリメチルペンチル)フェニルアミンである。
【0023】
本発明の製造方法の第一工程(a)を実施するのに適した塩基は、このような反応に慣用の全ての無機及び有機塩基である。アルミニウム顆粒を使用することが好ましい(ドイツ国特許出願公開第27 30 620号公報参照)。
【0024】
本発明の製造方法の第一工程(a)を実施するのに適したルイス酸は、このような反応に慣用の全ての化合物である。塩化アルミニウム又は塩化鉄を使用することが好ましく、塩化アルミニウムが特に好ましい(ドイツ国特許出願公開第27 30 620号公報参照)。
【0025】
本発明の製造方法の第二工程(b)を実施するのに適した酸結合剤は、このような反応に慣用の全ての無機及び有機塩基である。アルカリ土類金属又はアルカリ金属の水酸化物、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、水酸化カリウム又は水酸化アンモニウム;アルカリ金属炭酸塩、例えば炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウム;アルカリ金属又はアルカリ土類金属の酢酸塩、例えば酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸カルシウム;及び第三級アミン類、例えばトリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、N,N−ジメチルアニリン、ピリジン、N−メチルピペリジン、N,N−ジメチルアミノピリジン、ジアザビシクロオクタン(DABCO)、ジアザビシクロノネン(DBN)又はジアザビシクロウンデセン(DBU)を使用することが好ましい。炭酸カリウムを使用することが特に好ましい。
【0026】
本発明の製造方法の第二工程(b)を実施するのに適した希釈剤は、全て慣用の不活性有機溶媒である。場合によりハロゲン化されていてもよい脂肪族、脂環式又は芳香族炭化水素、例えば石油エーテル、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン又はデカリン;クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン又はトリクロロエタン;エーテル類、例えばジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、メチルt−ブチルエーテル、メチルt−アミルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシメタン、1,2−ジエトキシエタン又はアニソール;ニトリル類、例えばアセトニトリル、プロピオニトリル、n−もしくはi−ブチロニトリル又はベンゾニトリル;アミド類、例えばN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルホルムアミド、N−メチルピロリドン又はヘキサメチルリン酸トリアミド;エステル類、例えば酢酸メチル又は酢酸エチル;スルホキシド類、例えばジメチルスルホキシド;あるいはスルホン類、例えばスルホランを使用することが好ましい。アセトニトリルを使用することが特に好ましい。
【0027】
本発明の製造方法の第一工程(a)を実施する場合には、反応温度は、それぞれの場合に比較的広い範囲内で変化させることができる。一般に、第一工程は、100℃から300℃、好ましくは150℃から280℃、特に好ましくは200℃から260℃の間の温度で実施される。
【0028】
本発明の製造方法は、一般にそれぞれの場合に1バールから250バールの高圧下で実施される。この操作は、好ましくは50バールから150バールの高圧下で実施される。
【0029】
本発明の製造方法の第二工程(b)を実施する場合には、反応温度はそれぞれの場合に比較的広い範囲内で変化させることができる。一般に、第二工程は、−20℃から180℃の間の温度、好ましくは10℃から50℃の間の温度で実施される。
【0030】
本発明の製造方法の第二工程(b)は、一般にそれぞれの場合に常圧下で実施される。しかし、それぞれの場合に、高圧又は減圧下で操作することもできる。
【0031】
本発明の製造方法の第一工程(a)を実施する場合には、一般に、4−メチル−1−ペンテンは、アニリン1モル当たり1から10モル、好ましくは1.5から5モル、特に好ましくは2から2.5モル用いられる。しかし、前記反応成分をその他の比率で用いることもできる。処理は、慣用の方法で行われる。一般に、反応混合物は、トルエン及び水性塩基と共に攪拌され、有機相が分離され、乾燥された後に減圧下で濃縮される。残存する残留物は、必要ならば、慣用の方法、例えばクロマトグラフィー、蒸留又は再結晶を使用して、未だ存在しているかもしれない不純物を除去し得る。
【0032】
本発明の製造方法の第二工程(b)を実施する場合には、一般に、前記の式(II)で示される2−(1,3−ジメチルブチル)フェニルアミンは、前記の式(III)で示されるベンゾイルクロリド1モル当たり1モル又は過剰量用いられる。しかし、前記反応成分をその他の比率で用いることもできる。処理は、慣用の方法で行われる。一般に、反応混合物は、水を用いて抽出され、有機相が分離され、乾燥され、減圧下で濃縮される。残存する残留物は、必要ならば、慣用の方法、例えばクロマトグラフィー又は再結晶を使用して、未だ存在しているかもしれない不純物を除去し得る。
【0033】
本発明の物質は、強い殺微生物活性を有し、作物の保護及び種々の物質の保護において真菌類及び細菌類などの望ましくない微生物の防除に使用できる。
【0034】
殺真菌剤は、作物保護においてネコブカビ類(Plasmodiophoromycetes)、卵菌類(Oomycetes)、ツボカビ類(Chytridiomycetes)、接合菌類(Zygomycetes)、子嚢菌類(Ascomycetes)、担子菌類(Basidiomycetes)及び不完全菌類(Deuteromycetes)を防除するのに使用できる。
【0035】
殺細菌剤は、作物保護においてシュードモナス科(Pseudomonadaceae)、リゾビウム科(Rhizobiaceae)、腸内細菌科(Enterobacteriaceae)、コリネバクテリウム科(Corynebacteriaceae)及びストレプトマイセス科(Streptomycetaceae)の細菌を防除するのに使用できる。
【0036】
真菌性及び細菌性の病気を引き起こすある種の病原体であって前記に挙げた属名に入る病原体を例として挙げ得るが、これらに限定されるものではない:
キサントモナス(Xanthomonas)種、例えばイネ白葉枯病菌(Xanthomonas campestris pv. oryzae);
シュードモナス(Pseudomonas)種、例えばウリ科植物の斑点細菌病菌(Pseudomonas syringae pv. lachrymans);
エルウィニア(Erwinia)種、例えば火傷病菌(Erwinia amylovora);
ピシウム属菌(Pythium)、例えば苗腐病菌(Pythium ultimum);
疫病菌(Phytophothora)種、例えばトマト、ジャガイモの疫病菌(Phytophthora infestans);
ニセツユカビ(Pseudoperonospora)種、例えばホップ疫病菌(Pseudoperonospora humuli)又はウリ科植物のべと病菌(Pseudoperonospora cubensis);
タンジクツユカビ(Plasmopara)種、例えばブドウのべと病菌(Plasmopara viticola);
ブレミア(Bremia)種、例えばレタスべと病菌(Bremia lactucae);
ツユカビ(Peronospora)種、例えばエンドウべと病菌(Peronospora pisi)又はナタネべと病菌(P.brassicae);
ウドンコカビ(Erysiphe)種、例えばオオムギうどんこ病菌(Erysiphe graminis);
スファエロセカ(Sphaerotheca)種、例えばうどんこ病菌(Sphaerotheca fuliginea);
ポドスフェラ(Podosphaera)種、例えばリンゴうどんこ病菌(Podosphaera leucotricha);
ベンツリア(Venturia)種、例えばリンゴ黒星病菌(Venturia inaequalis);
ピレノホーラ(Pyrenophora)種、例えばオオムギの網斑病菌(Pyrenophora teres)又は斑葉病菌(P.graminea)〔分生胞子体:Drechslera属菌、syn:ヘルミントスポリウム(Helminthosporium)属菌〕;
コクリオボルス(Cochliobolus)種、例えばムギ類斑点病菌(Cochliobolus sativus)〔分生胞子体:Drechslera属菌、syn:ヘルミントスポリウム(Helminthosporium)属菌〕;
ウロミケス(Uromyces)種、例えばマメ類さび病菌(Uromyces appendiculatus);
プクキニア(Puccinia)種、例えばコムギ、ライムギの赤さび病菌(Puccinia recondita);
スクレロチニア(Sclerotinia)種、例えば菌核病菌(Sclerotinia sclerotiorum)、
チレチア(Tilletia)種、例えばコムギなまぐさ黒穂病菌(Tilletia caries);
クロボキン(Ustilago)種、例えばオオムギ裸黒穂病菌(Ustilago nuda)又はエンバク裸黒穂病菌(Ustilago avenae);
ペリキュラリア(Pellicularia)種、例えばイネ紋枯病菌(Pellicularia sasakii);
ピリキュラリア(Pyricularia)種、例えばイネいもち病菌(Pyricularia oryzae);
フザリウム(Fusarium)種、例えばフーザリウム・クルモラム(Fusarium culmorum);
ボトリチス(Botrytis)種、例えば灰色かび病菌(Botrytis cinerea);
セプトリア(Septoria)種、例えばコムギふ枯病菌(Septoria nodorum);
レプトスフェリア(Leptosphaeria)種、例えばコムギふ枯病菌(Leptosphaeria nodorum);
セルコスポラ(Cercospora)種、例えば褐斑病菌(Cercospora canescens);
アルタナリア(Alternaria)種、例えばナタネ黒斑病(Alternaria brassicae);及び
シュードセルコスポレラ(Pseudocercosporella)種、例えばコムギ眼紋病菌(Pseudocercosporella herpotrichoides)。
【0037】
本発明の活性化合物はまた、植物において極めて良い強化作用も示す。従って、本発明の活性化合物は、望ましくない微生物による襲撃に対して植物の防御を結集するのに使用できる。
【0038】
本明細書において、植物強化(抵抗性誘導)物質とは、処理された植物がその後に望ましくない微生物を接種された場合にこれらの微生物に対して実質的な抵抗性を示すように植物の防御系を刺激することができる物質を意味すると理解されるべきである。
【0039】
この場合に、望ましくない微生物とは、植物病原性の真菌、細菌及びウイルスを意味すると理解されるべきである。従って、本発明の化合物は、処理後のある一定の期間、前記の病原体による攻撃から植物を保護するのに使用できる。この保護が提供される期間は、一般に活性化合物による植物の処理後1から10日間、好ましくは1から7日間に及ぶ。
【0040】
活性化合物が植物の病気を防除するのに必要な濃度で植物に十分に許容されるということは、植物の地上部分、繁殖ストック及び種子、並びに土壌の処理を可能にする。
【0041】
本発明の活性化合物はまた、作物の収量を高めるのに適している。また、本発明の活性化合物は低毒性を示し、植物に十分に許容される。
【0042】
本発明の活性化合物はまた、ある一定の濃度及び施用量で、除草剤として、植物の生長に影響を与えるために及び動物害虫を防除するために使用することもできる。本発明の活性化合物はまた、別の活性化合物の合成用の中間体及び前駆物質としても使用できる。
【0043】
本発明の活性化合物は、植物全体及び植物の一部分を処理するのに使用できる。植物とは、本明細書では全ての植物及び植物群、例えば望ましい及び望ましくない野生植物又は作物植物(天然産の作物植物を含む)を意味すると理解される。作物植物は、慣用の育種法及び最適化法によって、あるいはバイオテクノロジー法及び遺伝子工学法又はこれらの方法の組み合わせによって得ることができる植物、例えばトランスジェニック植物であることができ、また例えば変種所有権によって保護し得るか又は保護し得ない栽培変種植物であることができる。植物の部分とは、植物の地上部分及び地下部分並びに器官の全て、例えば新芽、葉、花及び根を意味すると理解されるべきであり、その挙げ得る例は、葉、針状葉、茎、幹、花、子実体、果実及び種子並びに根、塊茎及び根茎である。また、植物の部分としては、収穫植物並びに栄養及び生殖繁殖材料、例えば苗、幹、根茎、切り枝及び種子が挙げられる。
【0044】
本発明の活性化合物による植物及び植物部分の処理は、直接に行うか又は該植物及び植物部分の周囲、生育環境又は貯蔵空間に慣用の処理方法に従って作用させることによって、例えば浸漬、吹き付け、蒸発、噴霧、散布、展着によって、及び繁殖材料の場合、特に種子の場合には、単層又は多層被覆によって行うことができる。
【0045】
材料の保護において、本発明の化合物は、望まれない微生物による感染及び破壊から産業資材(industrial material)を保護するのに使用できる。
【0046】
本明細書において産業資材とは、産業で使用するために製造された非生物材料を意味すると理解される。例えば、本発明の活性化合物によって微生物による変質又は破壊から保護すべきことを目的とする産業資材は、接着剤、糊、紙及び厚紙、織物、皮革、木材、塗料及びプラスチック製品、冷却用潤滑剤、並びに微生物が感染又は破壊し得るその他の材料であり得る。微生物の増殖によって損なわれ得る製造プラントの部品、例えば冷却水循環路もまた、保護すべき材料の範囲内に挙げ得る。本発明の範囲内に挙げ得る産業資材は、接着剤、糊、紙及び厚紙、皮革、木材、塗料、冷却用潤滑剤並びに熱媒液であることが好ましく、木材であることが特に好ましい。
【0047】
挙げ得る産業資材を分解又は変化させ得る微生物は、例えば細菌、真菌(カビ菌)、酵母、藻類及びスライム生物である。本発明の活性化合物は、真菌、特に糸状菌、木材変色菌及び木材腐朽菌(担子菌類)に対して及びスライム生物及び藻類に対して作用することが好ましい。
【0048】
下記の属の微生物を例として挙げ得る:
アルタナリア属(Alternaria)、例えばアルタナリア・テヌイス(Alternaria tenuis)、
アスペルギルス属(Aspergillus)、例えばアスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)、
ケトミウム属(Chaetomium)、例えばケトミウム・グロボーサム(Chaetomium globosum)、
コニオホーラ(Coniophora)属、例えばコニオホーラ・プエタナ(Coniophora puetana)、
レンティナス(Lentinus)属、例えばレンティナス・チグリヌス(Lentinus tigrinus)、
ペニシリウム(Penicillium)属、例えばペニシリウム・グラウクム(Penicillium glaucum)、
ポリポルス(Polyporus)属、例えばポリポルス・バージカラー(Polyporus versicolor)、
アウレオバシジウム(Aureobasidium)属、例えばアウレオバシジウム・プルランス(Aureobasidium pullulans)、
スクレロフォーマ(Sclerophoma)属、例えばスクレロフォーマ・ピティオフィラ(Sclerophoma pityophila)、
トリコデルマ(Trichoderma)属、例えばトリコデルマ・ヴィリデ(Trichoderma viride)、
エシェリキア(Escherichia)属、例えば大腸菌(Escherichia coli)、
シュードモナス(Pseudomonas)属、例えば緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、及び
ブドウ球菌(Staphylococcus)属、例えば黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)。
【0049】
本発明の活性化合物は、その個々の物理的及び/又は化学的性質に応じて、慣用の製剤、例えば液剤、乳剤、懸濁剤、粉剤、発泡剤、ペースト剤、粒剤、エーロゾル剤並びに高分子物質及び種子用被覆組成物中の微細カプセル剤に変えることができ、またULV冷却及び加温煙霧製剤に変えることができる。
【0050】
これらの製剤は、公知の方法で、例えば活性化合物を増量剤、すなわち液状溶媒、加圧液化ガス及び/又は固形担体と、場合によっては界面活性剤、すなわち乳化剤及び/又は分散剤、及び/又は気泡形成剤と混合することにより製造される。使用する増量剤が水である場合には、例えば有機溶媒を補助溶媒として使用することも可能である。本質的に、適切な液状溶媒は、芳香族炭化水素、例えばキシレン、トルエン又はアルキルナフタレン類、塩素化芳香族炭化水素又は塩素化脂肪族炭化水素、例えばクロロベンゼン類、クロロエチレン類又は塩化メチレン、脂肪族炭化水素、例えばシクロヘキサン又はパラフィン類、例えば石油留分、アルコール類、例えばブタノール又はグリコール及びこれらのエーテル類及びエステル類、ケトン類、例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン又はシクロヘキサノン、強極性溶媒、例えばジメチルホルムアミド及びジメチルスルホキシド、あるいは水である。液化ガス状増量剤又は担体とは、標準温度及び大気圧下でガス状の液体、例えばエーロゾル噴射剤、例えばハロゲン化炭化水素、又はブタン、プロパン、窒素及び二酸化炭素を意味すると理解されるべきである。適切な固形担体は、例えば粉砕天然鉱物、例えばカオリン、粘土、タルク、チョーク、石英、アタパルジャイト、モンモリロナイト又はケイソウ土、並びに粉砕合成鉱物、例えば微細シリカ、アルミナ及びケイ酸塩である。粒剤に適した固形担体は、例えば破砕及び分別天然石、例えば方解石、大理石、軽石、海泡石及びドロマイトであるか、あるいは無機及び有機粉末の合成顆粒、及び有機材料例えばおが屑、ヤシ殻、トウモロコシの穂軸及びタバコの茎の顆粒である。適切な乳化剤及び/又は気泡形成剤は、例えば非イオン性乳化剤及び陰イオン性乳化剤、例えばポリオキシエチレン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレン脂肪アルコールエーテル類、例えばアルキルアリールポリグリコールエーテル類、アルキルスルホン酸塩類、アルキル硫酸塩類、アリールスルホン酸塩類、又はタンパク質加水分解生成物である。適切な分散剤は、例えばリグノ亜硫酸塩廃液及びメチルセルロースである。
【0051】
粘着付与剤、例えばカルボキシメチルセルロース並びに粉末状、顆粒状又はラテックス状の天然及び合成重合体、例えばアラビアゴム、ポリビニルアルコール及びポリ酢酸ビニル、あるいは天然リン脂質、例えばセファリン類及びレシチン類並びに合成リン脂質が前記の製剤に使用できる。その他の可能な添加剤は、鉱油及び植物油である。
【0052】
着色剤、例えば無機顔料、例えば酸化鉄、酸化チタン及びプルシアンブルー、並びに有機染料、例えばアリザリン染料、アゾ染料及び金属フタロシアニン染料、並びに微量栄養素、例えば鉄、マンガン、ホウ素、銅、コバルト、モリブデン及び亜鉛の塩を使用できる。
【0053】
前記の製剤は、一般に活性化合物を0.1から95重量%、好ましくは0.5から90重量%含有する。
【0054】
本発明の活性化合物は、そのままで使用できるし又はその製剤で使用できるし、あるいは公知の殺真菌剤、殺細菌剤、殺ダニ剤、殺線虫剤又は殺虫剤との混合物として使用して、例えば活性スペクトルを広げるか又は抵抗性の発現を防止することができる。多くの場合、相乗効果が得られる、すなわち混合物の活性がその個々の成分の活性よりも高い。
【0055】
適切な混合成分の例は、下記の化合物である:
殺真菌剤:
2−フェニルフェノール;8−ヒドロキシキノリンサルフェート;
アシベンゾラル−S−メチル;アルジモルフ;アミドフルメト;アムプロピルホス;アムプロピルホスカリウム;アンドプリム(andoprim);アニラジン;アザコナゾール;アゾキシストロビン;
ベナラキシル;ベノダニル;ベノミル;ベンチアバリカルブ・イソプロピル;ベンザマクリル;ベンザマクリル・イソブチル;ビラナホス;ビナパクリル;ビフェニル;ビテルタノール;ブラストサイジン・S;ブロムコナゾール;ブピリメート;ブチオベート;ブチルアミン;
多硫化石灰;カプシマイシン(capsimycin);カプタホール;キャプタン;カルベンダジム;カルボキシン;カルプロパミド;カルボン;キノメチオネート;クロベンチアゾン;クロルフェナゾール;クロロネブ;クロロタロニル;クロゾリネート;クロジラコン;シアゾファミド;シフルフェナミド;シモキサニル;シプロコナゾール;シプロジニル;シプロフラム;
Dagger G;デバカルブ;ジクロフルアニド;ジクロン;ジクロロフェン;ジクロシメット;ジクロメジン;ジクロラン;ジエトフェンカルブ;ジフェノコナゾール;ジフルメトリム;ジメチリモール;ジメトモルフ;ジモキシストロビン;ジニコナゾール;ジニコナゾール・M;ジノカップ;ジフェニルアミン;ジピリチオン;ジタリムホス;ジチアノン;ドジン;ドラゾキソロン;
エジフェンホス;エポキシコナゾール;エタボキサム;エチリモール;エトリジアゾール;
ファモキサドン;フェナミドン;フェナパニル;フェナリモール;フェンブコナゾール;フェンフラム;フェンヘキサミド;フェニトロパン;フェノキサニル;フェンピクロニル;フェンプロピジン;フェンプロピモルフ;ファーバム;フルアジナム;フルベンジミン;フルジオキソニル;フルメトオーバー(flumetover);フルモルフ(flumorph);フルオロミド;フルオキサストロビン(fluoxastrobin);フルキンコナゾール;フルルプリミドール;フルシラゾール;フルスルファミド;フルトラニル;フルトリアホール;フォルペット;ホセチル・アルミニウム;ホセチル・ナトリウム;フベリダゾール;フララキシル;フラメトピル;フルカルバニル;フルメシクロックス;
グアザチン;ヘキサクロロベンゼン;ヘキサコナゾール;ヒメキサゾール;
イマザリル;イミベンコナゾール;イミノクタジン三酢酸塩;イミノクタジン三アルベシル酸塩;ヨードカルブ;イプコナゾール;イプロベンホス;イプロジオン;イプロバリカルブ;イルママイシン;イソプロチオラン;イソバレジオン;
カスガマイシン;クレソキシム・メチル;
マンコゼブ;マネブ;メフェリムゾン;メパニピリム;メプロニル;メタラキシル;メタラキシル・M;メトコナゾール;メタスルホカルブ;メトフロキサム;メチラム;メトミノストロビン;メトスルホバックス(metsulfovax);ミルディオマイシン;マイクロブタニル;マイクロゾリン;
ナタマイシン;ニコビフェン(nicobifen);ニトロタル・イソプロピル;ノビフルムロン;ヌアリモール;
オフレース;オキサストロビン;オキサジキシル;オキソリン酸;オキソポコナゾール;オキシカルボキシン;オキシフェンチイン(oxyfenthiin);
パクロブトラゾール;ペフラゾエート;ペンコナゾール;ペンシクロン;ホスダイフェン;フサライド;ピコシキストロビン;ピペラリン;ポリオキシン類;ポリオキソリム(polyoxorim);プロベナゾール;プロクロラズ;プロシミドン;プロパモカルブ;プロパノシン(propanosine)・ナトリウム;プロピコナゾール;プロピネブ;プロキナジッド(proquinazid);プロチオコナゾール(prothioconazole);ピラクロストロビン;ピラゾホス;ピリフェノックス;ピリメタニル;ピロキロン;ピロキシフル;ピロールニトリン;キンコナゾール;キノキシフェン;キントゼン;
シメコナゾール;スピロキサミン;硫黄;
テブコナゾール;テクロフタラム;テクナゼン;テトシクラシス;テトラコナゾール;チアベンダゾール;チシオフェン(thicyofen);チフルザミド;チオファネート・メチル;チラム;チオキシミド;トルクロホス・メチル;トリルフルアニド;トリアジメホン;トリアジメノール;トリアズブチル;トリアゾキシド;トリシクラミド;トリシクラゾール;トリデモルフ;トリフロキシストロビン;トリフルミゾール;トリホリン;トリチコナゾール;
ウニコナゾール;バリダマイシンA;ビンクロゾリン;ジネブ;ジラム;ゾキサミド;
(2S)−N−[2−[4−[[3−(4−クロロフェニル)−2−プロピニル]オキシ]−3−メトキシフェニル]エチル]−3−メチル−2−[(メチルスルホニル)アミノ]ブタンアミド;
1−(1−ナフタレニル)−1H−ピロール−2,5−ジオン;
2,3,5,6−テトラクロロ−4−(メチルスルホニル)ピリジン;
2−アミノ−4−メチル−N−フェニル−5−チアゾールカルボキサミド;
2−クロロ−N−(2,3−ジヒドロ−1,1,3−トリメチル−1H−インデン−4−イル)−3−ピリジンカルボキサミド;
3,4,5−トリクロロ−2,6−ピリジンジカルボニトリル;
アクチノベート(actinovate);
シス−1−(4−クロロフェニル)−2−(1H−l,2,4−トリアゾール−1−イル)シクロヘプタノール;
1−(2,3−ジヒドロ−2,2−ジメチル−1H−インデン−1−イル)−1H−イミダゾール−5−カルボン酸メチル;
炭酸水素カリウム;
N−(6−メトキシ−3−ピリジニル)−シクロプロパンカルボキサミド;
N−ブチル−8−(1,1−ジメチルエチル)−1−オキサスピロ[4.5]デカン−3−アミン;
テトラチオカルボン酸ナトリウム;
並びに銅塩及び銅製剤、例えばボルドー液;水酸化銅;ナフテン酸銅;オキシ塩化銅;硫酸銅;クフラネブ;酸化銅;マンカッパー;オキシン銅。
【0056】
殺細菌剤:
ブロモポール、ジクロロフェン、ニトラピリン、ジメチルジチオカルバミン酸ニッケル、カスガマイシン、オクチリノン、フランカルボン酸、オキシテトラサイクリン、プロベナゾール、ストレプトマイシン、テクロフタラム、硫酸銅及びその他の銅製剤。
【0057】
殺虫剤/殺ダニ剤/殺線虫剤:
アバメクチン、アセフェート、アセタミプリド、アクリナトリン、アラニカルブ、アルジカルブ、アルドキシカルブ、α−シペルメトリン、アルファメトリン、アミトラズ、アバメクチン、AZ60541、アザジラクチン、アザメチホス、アジンホスA、アジンホスM、アゾシクロチン、
バシラス・ポピリエ(Bacillus popilliae)、バシラス・スフェリカス(Bacillus sphaericus)、枯草菌(Bacillus subtilis)、バシラス・スリンジエンシス(Bacillus thuringiensis)、バキュロウイルス、ボーベリア・バシアーナ(Beauveria bassiana)、ボーベリア・テネラ(Beauveria tenella)、ベンダイオカルブ、ベンフラカルブ、ベンスルタップ、ベンゾキシメート、β−シフルトリン、ビフェナゼート、ビフェントリン、ビオエタノメトリン、ビオペルメトリン、ビストリフルロン、BPMC、ブロモホスA、ブフェンカルブ、ブプロフェジン、ブタチオホス、ブトカルボキシム、ブチルピリダベン、
カズサホス、カルバリル、カルボフラン、カルボフェノチオン、カルボスルファン、カルタップ、クロエトカルブ、クロルエトキシホス、クロルフェナピル、クロルフェンビンホス、クロルフルアズロン、クロルメホス、クロルピリホス、クロルピリホスM、クロベパトリン(chlovaporthrin)、クロマフェノジド、シス−レスメトリン、シスペルメトリン、クロシトリン(clocythrin)、クロエトカルブ、クロフェンテジン、クロチアニジン、シアノホス、シクロプレン(cycloprene)、シクロプロトリン、シフルトリン、シハロトリン、シヘキサチン、シペルメトリン、シロマジン、
デルタメトリン、ジメトンM、ジメトンS、ジメトン−S−メチル、ジアフェンチウロン、ダイアジノン、ジクロルボス、ジコホル、ジフルベンズロン、ジメトエート、ジメチルビンホス、ジオフェノラン、ジスルホトン、ドキュセート・ナトリウム、ドフェナピン(dofenapyn)、
エフルシラネート(eflusilanate)、エマメクチン、エンペントリン、エンドスルファン、接合菌エントモフソーラ種(Entomopfthora spp.)、エスフェンバレレート、エチオフェンカルブ、エチオン、エトプロホス、エトフェンプロックス、エトキサゾール、エトリムホス、
フェナミホス、フェナザキン、酸化フェンブタスズ、フェニトロチオン、フェノチオカルブ、フェノキサクリム、フェノキシカルブ、フェンプロパトリン、フェンピラド、フェンピリトリン、フェンピロキシメート、フェンバレレート、フィプロニル、フルアズロン、フルブロシトリネート、フルシクロクスロン(flucycloxuron)、フルシトリネート、フルフェノクスロン、フルメトリン、フルテンジン(flutenzine)、フルバリネート、ホノホス、ホスメチラン、ホスチアゼート、フブフェンプロックス(fubfenprox)、フラチオカルブ、
顆粒病ウイルス、
ハロフェノジド(halofenozide)、HCH、ヘプテノホス、ヘキサフルムロン、ヘキシチアゾックス、ハイドロプレン,
イミダクロプリド、インドキサカルブ、イサゾホス、イソフェンホス、イソキサチオン、イベルメクチン、
核多核体病ウイルス、
λ−シハロトリン、ルフェヌロン、
マラチオン、メカルバム、メタアルデヒド、メタミドホス、メタリジウム・アニソプリエ(Metharhizium anisopliae)、メタリジウム・フラボビリデ(Metharhizium flavoviride)、メチダチオン、メチオカルブ、メトプレン、メソミル、メトキシフェノジド、メトルカルブ、メトキサジアゾン、メビンホス、ミルベメクチン、ミルベマイシン、モノクロトホス、
ナレッド、ニテンピラム、ニチアジン、ノバルロン、
オメトエート、オキサミル、オキシジメトンM、
ペシロマイセス・フモソロセウス(Paecilomyces fumosoroseus)、パラチオンA、パラチオンM、ペルメトリン、フェントエート、ホレート、ホサロン、ホスメット、ホスファミドン、ホキシム、ピリミカーブ、ピリミホスA、ピリミホスM、プロフェノホス、プロメカルブ、プロパルギット、プロポキスル、プロチオホス、プロトエート、ピメトロジン、ピラクロホス、ピレスメトリン、ピレトリン、ピリダベン、ピリダチオン(pyridathion)、ピリミジフェン、ピリプロキシフェン、
キナルホス、リバビリン、
サリチオン、ブチルフォス、シラフルオフェン、スピノサド、スピロディクロフェン、スルホテップ、スルプロホス、
タウ−フルバリネート、テブフェノジド、テブフェンピラド、テブピリミホス(tebupirimiphos)、テフルベンズロン、テフルトリン、テメホス、テミビンホス、テルブホス、テトラクロルビンホス、テトラジホン、θ−シペルメトリン、チアクロプリド、チアメトキサム、チアプロニル、チアトリホス(thiatriphos)、チオシクラムシュウ酸塩(thiocyclam hydrogen oxalate)、チオジカルブ、チオファノックス、スリンジエンシン(thuringiensin)、トラロシトリン、トラロメトリン、トリアラセン、トリアゼメート、トリアゾホス、トリアズロン(triazuron)、トリクロフェニジン(trichlophenidine)、トリクロルホン、トリフルムロン、トリメタカルブ、
バミドチオン、バニリプロール(vaniliprole)、バーティシリウム・レカニ(Verticillium lecanii)、
YI5302、ζ−シペルメトリン、ゾラプロホス(zolaprofos)、
(1R−シス)−[5−(フェニルメチル)−3−フラニル]メチル3−[(ジヒドロ−2−オキソ−3(2H)フラニリデン)メチル]−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート、
(3−フェノキシフェニル)メチル2,2,3,3−テトラメチルシクロプロパンカルボキシレート、
1−[(2−クロロ−5−チアゾリル)メチル]テトラヒドロ−3,5−ジメチル−N−ニトロ−1,3,5−トリアジン−2(1H)−イミン、
2−(2−クロロ−6−フルオロフェニル)−4−[4−(1,1−ジメチルエチル)フェニル]−4,5−ジヒドロオキサゾール、
2−(アセチルオキシ)−3−ドデシル−1,4−ナフタレンジオン、
2−クロロ−N−[[[4−(1−フェニルエトキシ)フェニル]アミノ]カルボニル]ベンズアミド、
2−クロロ−N−[[[4−(2,2−ジクロロ−1,1−ジフルオロエトキシ)フェニル]アミノ]カルボニル]−ベンズアミド、
3−メチルフェニルプロピルカルバメート
4−[4−(4−エトキシフェニル)−4−メチルペンチル]−1−フルオロ−2−フェノキシベンゼン、
4−クロロ−2−(1,1−ジメチルエチル)−5−[[2−(2,6−ジメチル−4−フェノキシフェノキシ)エチル]チオ]−3(2H)−ピリダジノン、
4−クロロ−2−(2−クロロ−2−メチルプロピル)−5−[(6−ヨード−3−ピリジニル)メトキシ]−3(2H)−ピリダジノン、
4−クロロ−5−[(6−クロロ−3−ピリジニル)メトキシ]−2−(3,4−ジクロロフェニル)−3(2H)−ピリダジノン、
バシラス・スリンジエンシス(Bacillus thuringiensis)株EG−2348、
[2−ベンゾイル−1−(1,1−ジメチルエチル)ヒドラジノ安息香酸、
2,2−ジメチル−3−(2,4−ジクロロフェニル)−2−オキソ−1−オキサスピロ[4.5]デカ−3−エン−4−イルブタノエート、
[3−[(6−クロロ−3−ピリジニル)メチル]−2−チアゾリジニリデン]シアナミド、
ジヒドロ−2−(ニトロメチレン)−2H−1,3−チアジン−3(4H)−カルボキサルデヒド、
[2−[[1,6−ジヒドロ−6−オキソ−1−(フェニルメチル)−4−ピリダジニル]オキシ]エチル]カルバミン酸エチル、
N−(3,4,4−トリフルオロ−1−オキソ−3−ブテニル)グリシン、
N−(4−クロロフェニル)−3−[4−(ジフルオロメトキシ)フェニル]−4,5−ジヒドロ−4−フェニル−1H−ピラゾール−1−カルボキサミド、
N−[(2−クロロ−5−チアゾリル)メチル]−N’−メチル−N”−ニトログアニジン、
N−メチル−N’−(1−メチル−2−プロペニル)−1,2−ヒドラジンジカルボチオアミド、
N−メチル−N’−2−プロペニル−1,2−ヒドラジンジカルボチオアミド、
O,O−ジエチル[2−(ジプロピルアミノ)−2−オキソエチル]エチルホスホロアミドチオエート、
N−シアノメチル−4−トリフルオロメチルニコチンアミド、
3,5−ジクロロ−1−(3,3−ジクロロ−2−プロペニルオキシ)−4−[3−(5−トリフルオロメチルピリジン−2−イルオキシ)プロポキシ]ベンゼン。
【0058】
除草剤などのその他の公知の活性化合物との混合物又は肥料及び生長調節剤との混合物も可能である。
【0059】
また、本発明の式(I)で示される化合物は、極めて良好な抗真菌活性も有する。該化合物は、特に皮膚糸状菌及び酵母、糸状菌及び二相性真菌〔例えば、カンジダ種、例えばカンジダ・アルビカンス(Candida albicans)、カンジダ・グラブラータ(Candida glabrata)〕、並びにエピデルモフィトン・フロッコーズム(Epidermophyton floccosum)、アスペルギルス種例えばアルペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)及びアルペルギルス・フミガーツス(Aspergillus fumigatus)、白癬菌種例えばトリコフィトン・メンタグロフィテス(Trichophyton mentagrophytes)、ミクロスポルム種、例えばミクロスポルム・カニス(Microsporum canis)及びミクロスポルム・オーズアニー(Microsporum audouinii)に対して極めて広い抗真菌活性を有する。これらの真菌類のリストは、カバーされた真菌スペクトルを決して限定するものではなく、単なる例示のためのものである。
【0060】
本発明の活性化合物は、そのままで使用できるし、その製剤の形態で使用できるし又はそれから調製される使用形態、例えばすぐ使用可能な液剤、懸濁剤、水和剤、ペースト剤、水溶剤、粉剤及び粒剤の形態で使用できる。施用は慣用の方法で、例えば散水、液剤散布、噴霧、散播、散粉、発泡、展着などで実施される。また、本発明の活性化合物は、微量散布法で散布することが可能であるし、又は該活性化合物製剤又は該活性化合物それ自体を土壌に注入することも可能である。また、植物の種子を処理することも可能である。
【0061】
本発明の活性化合物を殺真菌剤として使用する場合には、その施用量は施用の種類に応じて比較的幅広い範囲内で変化させ得る。植物の部分の処理に関しては、本発明の活性化合物の施用量は、一般的には0.1から10,000g/ha、好ましくは10から1000g/haである。種子粉衣に関しては、本発明の活性化合物の施用量は、一般的には種子1kg当たり0.001から50g、好ましくは種子1kg当たり0.01から10gである。土壌処理に関しては、本発明の活性化合物の施用量は、一般的には0.1から10,000g/ha、好ましくは1から5000g/haである。
【0062】
前記で既に述べたように、本発明の活性化合物を用いて植物全体及びその部分を処理することが可能である。好ましい実施態様においては、野生植物種及び植物変種、又は慣用の生物学的育種法、例えば異種交配又は原形質融合によって得られる植物変種及びその部分が処理される。さらに好ましい実施態様においては、遺伝子工学によって、適切ならば慣用の方法と組み合わせることによって得られるトランスジェニック植物及び植物変種(遺伝子修飾生物)、並びにこれらの部分が処理される。「部分」又は「植物の部分」又は「植物部分」という用語は、前記で説明してある。
【0063】
市販されているか又は使用されているそれぞれの場合の植物変種の植物は、本発明に従って処理されることが特に好ましい。植物変種とは、新規な性質(「特性」)を有し且つ慣用の育種法によって、突然変異誘発によって又は組換えDNA技術によって得られている植物を意味すると理解されるべきである。これらは、変種、品種、生物型又は遺伝子型であり得る。
【0064】
また、植物種又は植物変種、その生育環境及び生育条件(土壌、気候、生育期間、飼料)に応じて、本発明の処理は付加(「相乗」)効果をもたらし得る。従って、例えば、施用量の低減及び/又は活性スペクトルの拡大及び/又は本発明に従って使用できる物質及び組成物の活性の増大、より良い植物生長、高温又は低温に対する耐性の増大、干ばつ又は水もしくは土壌塩分に対する耐性の増大、開花性能の向上、収穫のより容易さ、熟成の促進、より高い収穫量、より良い品質及び/又はより高い栄養価の収穫品、収穫品のより良い貯蔵安定性及び/又は加工性が可能であり、これらは実際に期待されるべきであった効果を凌ぐ。
【0065】
本発明に従って処理されることが好ましいトランスジェニック植物又は植物変種(すなわち、遺伝子工学によって得られる植物変種)としては、遺伝子組み換えにおいてこれらの植物に特に都合のよい有用な性質(「特性」)を付与した遺伝子材料を受け入れた植物全てが挙げられる。このような性質の例は、より良い植物生長、高温又は低温に対する耐性の増大、干ばつ又は水もしくは土壌塩分に対する耐性の増大、高められた開花性能、収穫のより容易さ、促進された熟成、より高い収穫量、より良い品質及び/又はより高い栄養価の収穫品、収穫品のよりよい貯蔵安定性及び/又は加工性である。このような性質の別の例及び特に重視される例は、動物及び微生物害虫、例えば昆虫、ダニ、植物病原性の真菌、細菌及び/又はウイルスに対する植物のよりよい防衛能、及びある種の除草活性化合物に対する植物の高められた抵抗性である。挙げ得るトランスジェニック植物の例は、重要な作物植物、例えば穀類(コムギ、イネ)、トウモロコシ、ダイズ、ジャガイモ、ワタ、ナタネ及び果樹植物(リンゴ、ナシ、柑橘系果物及びブドウ)であり、特に重要なものはトウモロコシ、ダイズ、ジャガイモ、ワタ及びナタネが挙げられる。重視される特性は、特に、植物内で形成された毒素、特にバシラス・スリンジエンシス(Bacillus thuringiensis)由来の遺伝物質〔例えば、遺伝子CryIA(a)、CryIA(b)、CryIA(c)、CryIIA、CryIIIA、CryIIIB2、Cry9c、Cry2Ab、Cry3Bb及びCryIF及びこれらの組み合わせ〕により植物内で形成された毒素による昆虫に対する植物の高められた防衛能である(以下、「Bt植物」という)。また特に重視される特性は、全身獲得抵抗性(SAR)、システミン、フィトアレキシン類、エリシター類及び耐性遺伝子及びこれらに対応して発現されるタンパク質及び毒素による真菌、細菌及びウイルスに対する植物の高められた防衛能である。さらに別の特に重視される特性は、ある種の除草活性化合物、例えばイミダゾリノン類、スルホニルウレア類、グリホセート又はホスフィノトリシン(例えば、「PAT」遺伝子)に対する植物の高められた耐性である。当該所望の特性を付与する遺伝子はまた、トランスジェニック植物内で相互に組み合わせて存在させ得る。挙げ得る「Bt植物」の例は、トウモロコシ変種、ワタ変種、ダイズ変種及びジャガイモ変種であり、これらは商品名YIELD GARD(登録商標)(例えば、トウモロコシ、ワタ、ダイズ)、KnockOut(登録商標)(例えば、トウモロコシ)、StarLink(登録商標)(例えば、トウモロコシ)、Bollgard(登録商標)(ワタ)、Nucoton(登録商標)(ワタ)及びNewLeaf(登録商標)(ジャガイモ)として販売されている。挙げ得る除草剤抵抗性植物の例は、トウモロコシ変種、ワタ変種及びダイズ変種であり、これらは商品名Roundup Ready(登録商標)(グリホセート抵抗性、例えばトウモロコシ、ワタ、ダイズ)、Liberty Link(登録商標)(ホスフィノトリシン抵抗性、例えばナタネ)、IMI(登録商標)(イミダゾリノン抵抗性)及びSTS(登録商標)(スルホニルウレア抵抗性、例えばトウモロコシ)として販売されている。挙げ得る除草剤抵抗性植物(除草剤耐性について慣用の方法で育成させた植物)としては、商品名Clearfield(登録商標)(例えばトウモロコシ)として販売されている変種を挙げ得る。勿論、これらの説明は、これらの遺伝特性又はさらに開発されるべき遺伝特性を有する植物変種にも適用される、これらの植物は今後開発され及び/又は市販される。
【0066】
前記に挙げた植物は、本発明の一般式(I)で示される化合物又は本発明の活性化合物混合物を用いて特に都合のよい方法で本発明に従って処理することができる。また、前記の活性化合物又は混合物について前記の好ましい範囲が、これらの植物の処理に適用される。本明細書に具体的に述べた化合物又は混合物を用いて植物を処理することが特に重要である。
【0067】
本発明の活性化合物の製造及び使用を以下の実施例により例証する。
【実施例】
【0068】
製造例
(実施例1)
式(III)で示される2−(1,3−ジメチルブチル)フェニルアミンの製造
【0069】
【化12】

【0070】
鋼製オートクレーブ中で、アニリン62.8g(0.67モル)、4−メチルペンタ−1−エン132.8g(1.58モル)、アルミニウム粒1.82g及び塩化アルミニウム5.58g(41.8ミリモル)の混合物を、255℃に加熱した。この反応混合物をこの温度及び自生圧下で10時間保った。
【0071】
処理については、オートクレーブの内容物を、冷却し、ガス抜きした後に、新たな容器にトルエンを使用して定量的に移し、40%濃度の水酸化ナトリウム水溶液80ml及び水100mlと一緒に30から40℃15分間攪拌した。有機相を単離し、水洗し、次いで炭酸カリウムで乾燥した。ロータリーエバポレーターを使用してトルエンを除去し、次いで残留物を分留に供した。
【0072】
これにより、43.9g(収率33%)の2−(1,3−ジメチルブチル)フェニルアミンが、無色油状物(沸点範囲73から85℃、0.3ミリバール)として得られた。
【0073】
(実施例2)
N−[2−(1,3−ジメチルブチル)フェニル)−2−(トリフルオロメチル)ベンズアミド
【0074】
【化13】

2−(1,3−ジメチルブチル)フェニルアミン(実施例1)5.32g(30ミリモル)及び2−(トリフルオロメチル)ベンゾイルクロリド6.26g(30ミリモル)を、炭酸カリウム4.15gをアセトニトリル200mlに懸濁した懸濁物に滴加した。反応混合物を10時間攪拌した。
【0075】
処理については、水200mlを反応溶液に加え、混合物を酢酸エチルで抽出した。得られた有機相を硫酸ナトリウムを用いて乾燥し、濃縮した。残留物をシリカゲルを用いてクロマトグラフィー分離した(濃度勾配シクロヘキサン100%からシクロヘキサン/酢酸エチル1:4)。
【0076】
これにより、logP(pH2.3)=4.09のN−[2−(1,3−ジメチルブチル)フェニル]−2−(トリフルオロメチル)ベンズアミドが5.00g(収率46%)得られた。
【0077】
(実施例3)
N−[2−(1,3−ジメチルブチル)フェニル)−2−ヨードベンズアミド
【0078】
【化14】

2−(1,3−ジメチルブチル)フェニルアミン(実施例1)3.55g(20ミリモル)及び2−ヨードベンゾイルクロリド5.33g(20ミリモル)を、炭酸カリウム2.76gをアセトニトリル100mlに懸濁した懸濁物に滴加した。反応混合物を10時間攪拌した。
【0079】
処理については、水100mlを反応溶液に加え、混合物を酢酸エチルで抽出した。得られた有機相を硫酸ナトリウムを用いて乾燥し、濃縮した。残留物をシリカゲルを用いてクロマトグラフィー分離した(濃度勾配シクロヘキサン100%からシクロヘキサン/酢酸エチル1:4)。
【0080】
これにより、logP(pH2.3)=4.12のN−[2−(1,3−ジメチルブチル)フェニル)−2−ヨードベンズアミドが7.00g(83%)得られた。
【0081】
上記の実施例と同様にして、アニリンと、4−メチルペンタ−1−エンと、2−クロロベンゾイルクロリド及び2−ブロモベンゾイルクロリドそれぞれを用いて出発して、下記の化合物を得た:
【0082】
(実施例4)
N−[2−(1,3−ジメチルブチル)フェニル]−2−クロロベンズアミド
[logP(pH2.3)=3.98]。
【0083】
(実施例5)
N−[2−(1,3−ジメチルブチル)フェニル]−2−ブロモベンズアミド
[logP(pH2.3)=4.01]。
【0084】
また、上記の実施例と同様にして、アニリンと、4,4−ジメチル−1−ペンテンと、2−(トリフルオロメチル)ベンゾイルクロリド、2−クロロベンゾイルクロリド、2−ブロモベンゾイルクロリド及び2−ヨードベンゾイルクロリドそれぞれを用いて出発して、下記の化合物を得た:
【0085】
(実施例6)
2−(トリフルオロメチル)−N−[2−(1,3,3−トリメチルブチル)フェニル)ベンズアミド
[logP(pH2.3)=4.36]。
【0086】
(実施例7)
2−クロロ−N−[2−(1,3,3−トリメチルブチル)フェニル]ベンズアミド
[logP(pH2.3)=4.25]。
【0087】
(実施例8)
2−ブロモ−N−[2−(1,3,3−トリメチルブチル)フェニル]ベンズアミド
[logP(pH2.3)=4.29]。
【0088】
(実施例9)
2−ヨード−N−[2−(1,3,3−トリメチルブチル)フェニル]ベンズアミド
[logP(pH2.3)=4.40]。
【0089】
(実施例10)
(2−ヨードフェニル)−N−[2−(1,3,3−トリメチルペンチル)フェニル]カルボキサミド
[logP(pH2.3)=4.71]。
【0090】
(実施例11)
[2−(トリフルオロメチル)フェニル]−N−[2−(1,3,3−トリメチルペンチル)フェニル]カルボキサミド
[logP(pH2.3)=4.68]。
【0091】
(実施例12)
(2−クロロフェニル)−N−[2−(1,3,3−トリメチルペンチル)フェニル]カルボキサミド
[logP(pH2.3)=4.60]。
【0092】
(実施例13)
(2−ブロモフェニル)−N−[2−(1,3,3−トリメチルペンチル)フェニル]カルボキサミド
[logP(pH2.3)=4.63]。
【0093】
製造例に示したlogP値は、EEC Directive 79/831 Annex V.A8に従って逆相カラム(C18)を用いてHPLC(高性能液体クロマトグラフィー)で測定した。温度:43℃。
【0094】
酸性範囲で測定するための移動相:0.1%水性リン酸、アセトニトリル;アセトニトリル10%からアセトニトリル90%までの直線濃度勾配。
【0095】
較正は、既知のlogP値を有する非分岐アルカン−2−オン類(3から16個の炭素原子を有する)を使用して行った(炭素数が連続する2種類のアルカノン同士の間の線形補間法を使用して保持時間によりlogP値を測定した)。
【0096】
使用例
実施例A
うどんこ病試験(キュウリ)/保護試験
溶 媒:アセトン24.5重量部
ジメチルアセトアミド24.5重量部
乳化剤:アルキルアリールポリグリコールエーテル1重量部
活性化合物の適切な製剤を製造するために、活性化合物1重量部を上記の量の溶媒及び乳化剤と混合し、次いで得られた濃厚物を水で所望の濃度に希釈した。
【0097】
保護活性について試験するために、稚苗に活性化合物の製剤を下記の表に示した施用量で噴霧した。噴霧被膜を乾燥した後に、前記の稚苗にキュウリうどんこ病菌(Sphaerotheca fuliginea)の水性胞子懸濁液を接種した。次いで、この苗を約23℃及び相対大気湿度約70%の温室に入れた。
【0098】
評価は、菌接種後7日目に行った。0%は対照の効果に相当する効果を意味し、これに対して100%の効果は感染が全く認められないことを意味する。
【0099】
活性化合物、施用量及び試験結果を下記の表に示す。
【0100】
【表1】

【0101】
実施例B
黒星病試験(リンゴ)/保護試験
溶 媒:アセトン24.5重量部
ジメチルアセトアミド24.5重量部
乳化剤:アルキルアリールポリグリコールエーテル1.0重量部
活性化合物の適切な製剤を製造するために、活性化合物1重量部を上記の量の溶媒及び乳化剤と混合し、次いで得られた濃厚物を水で所望の濃度に希釈した。
【0102】
保護活性について試験するために、稚苗に、活性化合物の製剤を下記の表に示した施用量で噴霧した。噴霧被膜を乾燥した後に、前記の稚苗にリンゴ黒星病菌(Venturia inaequalis)の水性胞子懸濁液を接種し、次いで約20℃及び相対大気湿度約100%の培養室に1日入れて置いた。
【0103】
次いで、この植物を約21℃及び相対大気湿度約90%の温室に入れた。
【0104】
評価は、菌接種後10日目に行った。0%は対照の効果に相当する効果を意味し、これに対して100%の効果は感染が認められないことを意味する。
【0105】
活性化合物、施用量及び試験結果を下記の表に示す。
【0106】
【表2】

【0107】
実施例C
灰色カビ病試験(ダイズ)/保護試験
溶 媒: N,N−ジメチルホルムアミド49重量部
乳化剤: アルキルアリールポリグリコールエーテル1重量部
活性化合物の適切な製剤を製造するために、活性化合物1重量部を上記の量の溶媒及び乳化剤と混合し、次いで得られた濃厚物を水で所望の濃度に希釈した。
【0108】
保護活性について試験するために、稚苗に、活性化合物の製剤を下記の表に示した施用量で噴霧した。噴霧被膜を乾燥した後に、灰色カビ病菌(Botrytis cinerea)を定着させた寒天の小片2個をそれぞれの葉の上に置いた。この菌接種植物を約20℃及び相対大気湿度約100%の暗室に置いた。
【0109】
菌接種後2日目に、葉の感染面積の大きさを評価した。0%は対照の効果に相当する効果を意味し、これに対して100%の効果は感染が認められないことを意味する。
【0110】
活性化合物、施用量及び試験結果を下記の表に示す。
【0111】
【表3】

【0112】
実施例D
輪紋病試験(トマト)/保護試験
溶 媒:N,N−ジメチルアセトアミド49重量部
乳化剤:アルキルアリールポリグリコールエーテル1重量部
活性化合物の適切な製剤を製造するために、活性化合物1重量部を上記の量の溶媒及び乳化剤と混合し、次いで得られた濃厚物を水で所望の濃度に希釈した。
【0113】
保護活性について試験するために、トマトの稚苗に活性化合物の製剤を下記の表に示した施用量で噴霧した。処理後1日目に、該植物にトマトの輪紋病菌(Alternaria solani)の水性胞子懸濁液を接種し、次いで相対湿度100%で24時間保持した。次いで、この苗を相対大気湿度96%及び温度20℃で保持した。
【0114】
評価は、菌接種後7日目に行った。0%は対照の効果に相当する効果を意味し、これに対して100%の効果は感染が全く認められないことを意味する。
【0115】
活性化合物、施用量及び試験結果を下記の表に示す。
【0116】
【表4】

【0117】
実施例E
うどんこ病試験(オオムギ)/保護試験
溶 媒:N,N−ジメチルアセトアミド49重量部
乳化剤:アルキルアリールポリグリコールエーテル1重量部
活性化合物の適切な製剤を製造するために、活性化合物1重量部を上記の量の溶媒及び乳化剤と混合し、次いで得られた濃厚物を水で所望の濃度に希釈した。
【0118】
保護活性について試験するために、穀草稚苗に活性化合物の製剤を下記の表に示した施用量で噴霧した。噴霧被膜を乾燥した後に、前記稚苗にオオムギうどんこ病菌(Erysiphe graminis f.sp.hordei.)の胞子を接種した。次いで、この苗を相対大気湿度70%及び温度18℃の温室に入れた。
【0119】
評価は、菌接種後7日目に行った。0%は対照の効果に相当する効果を意味し、これに対して100%の効果は感染が全く認められないことを意味する。
【0120】
活性化合物、施用量及び試験結果を下記の表に示す。
【0121】
【表5】

【0122】
実施例F
小さび病試験(コムギ)/保護試験
溶 媒:N,N−ジメチルアセトアミド25重量部
乳化剤:アルキルアリールポリグリコールエーテル0.6重量部
活性化合物の適切な製剤を製造するために、活性化合物1重量部を上記の量の溶媒及び乳化剤と混合し、次いで得られた濃厚物を水で所望の濃度に希釈した。
【0123】
保護活性について試験するために、稚苗にコムギの小さび病菌(Puccinia recondite)の胞子懸濁液を0.1%濃度の寒天水溶液として接種した。噴霧被膜を乾燥した後に、この苗に活性化合物の製剤を下記の表に示した施用量で噴霧した。この苗を20℃及び相対大気湿度100%の培養室に24時間入れておいた。
【0124】
次いで、この植物を約20℃及び相対大気湿度80%の温室に入れ、さび病膿疱を発生を促進させた。
【0125】
評価は、菌接種後10日目に行った。0%は対照の効果に相当する効果を意味し、これに対して100%の効果は感染が全く認められないことを意味する。
【0126】
活性化合物、施用量及び試験結果を下記の表に示す。
【0127】
【表6】


【0128】
実施例G
比較実験
以下の表において、実施例の本発明の化合物
【0129】
【化15】

を、欧州特許出願公開第0 545 099号公報により公知の下記の化合物
【0130】
【化16】

と比較した。
【0131】
上記の化合物を、使用実施例A〔うどんこ病試験(キュウリ)/保護試験〕、D〔輪紋病試験(トマト)/保護試験〕及びE〔うどんこ病試験(オオムギ)/保護試験〕に従って比較実験で試験した。
【0132】
それぞれの場合に、施用量は500ppmであった。当該使用実施例における個々の化合物の効果を下記の表に示す。
【0133】
【表7】



【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】

(式中、Rはトリフルオロメチル基、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子を表し、またRは水素原子又はメチル基を表し、さらにまたRはエチル基を表す。)で示されるフェニルベンズアミド。
【請求項2】
が水素原子を表す、請求項1に記載の式(I)で示されるフェニルベンズアミド。
【請求項3】
次の群:
N−[2−(1,3−ジメチルブチル)フェニル]−2−(トリフルオロメチル)ベンズアミド、
N−[2−(1,3−ジメチルブチル)フェニル]−2−クロロベンズアミド、
N−[2−(1,3−ジメチルブチル)フェニル]−2−ブロモベンズアミド、
N−[2−(1,3−ジメチルブチル)フェニル]−2−ヨードベンズアミド、
2−(トリフルオロメチル)−N−[2−(1,3,3−トリメチルブチル)フェニル]ベンズアミド、
2−クロロ−N−[2−(1,3,3−トリメチルブチル)フェニル]ベンズアミド、
2−ブロモ−N−[2−(1,3,3−トリメチルブチル)フェニル]ベンズアミド及び
2−ヨード−N−[2−(1,3,3−トリメチルブチル)フェニル]ベンズアミド
の中から選択される、請求項1に記載の式(I)で示されるフェニルベンズアミド。
【請求項4】
請求項1に記載の式(I)で示されるフェニルベンズアミドの製造方法であって、
a)第一工程において、アニリンを、式(II)
【化2】

(式中、Rは水素原子又はメチル基を表し、さらにまたRはエチル基を表す。)で示されるアルケンと、塩基の存在下及びルイス酸の存在下で反応させ、得られた式(III)
【化3】

(式中、Rは水素原子又はメチル基を表し、さらにまたRはエチル基を表す。)で示されるアルキルフェニルアミン誘導体を、
b)第二工程において、式(IV)
【化4】

(式中、Rはトリフルオロメチル基、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子を表す。)で示されるベンゾイルクロリドと、適切ならば酸結合剤の存在下で及び適切ならば希釈剤の存在下で反応させることを特徴とする、前記製造方法。
【請求項5】
請求項1に記載の式(I)で示されるフェニルベンズアミドの少なくとも1種と増量剤及び/又は界面活性剤とを含有してなることを特徴とする、望ましくない微生物の防除用組成物。
【請求項6】
望ましくない微生物を防除するための、請求項1に記載の式(I)で示されるフェニルベンズアミドの使用。
【請求項7】
請求項1に記載の式(I)で示されるフェニルベンズアミドを望ましくない微生物及び/又はその生息環境に施用することを特徴とする、望ましくない微生物の防除方法。
【請求項8】
請求項1に記載の式(I)で示されるフェニルベンズアミドを増量剤及び/又は界面活性剤と混合することを特徴とする、望ましくない微生物の防除用組成物の製造方法。
【請求項9】
式(III)
【化5】

(式中、Rは水素原子又はメチル基を表し、さらにまたRはエチル基を表す。)で示されるアルキルフェニルアミン誘導体。
【請求項10】
が水素原子又はメチル基を表す、請求項9に記載の式(III)で示されるアルキルフェニルアミン誘導体。
【請求項11】
アニリンを、式(II)
【化6】

(式中、Rは水素原子又はメチル基を表し、さらにまたRはエチル基を表す。)で示されるアルケンと、塩基の存在下及びルイス酸の存在下で反応させることを特徴とする、請求項9に記載の式(III)で示されるフェニルアミン誘導体の製造方法。

【公表番号】特表2006−503809(P2006−503809A)
【公表日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−518548(P2004−518548)
【出願日】平成15年6月20日(2003.6.20)
【国際出願番号】PCT/EP2003/006512
【国際公開番号】WO2004/005242
【国際公開日】平成16年1月15日(2004.1.15)
【出願人】(302063961)バイエル・クロツプサイエンス・アクチエンゲゼルシヤフト (524)
【Fターム(参考)】