説明

フェニルホスホン酸メラミン難燃剤組成物

本発明は、フェニルホスホン酸メラミンおよびジヒドロ−オキサ−ホスファフェナントレン誘導体との混合物を含む難燃剤ポリマー組成物に関する。該組成物は、多官能エポキシド、またはポリエステル、ポリアミドおよびポリカーボネートのような重縮合物に基づく難燃剤化合物の製造に特に有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フェニルホスホン酸メラミン、およびフェニルホスホン酸メラミンとジヒドロ−オキサ−ホスファフェナントレン誘導体との混合物を含む難燃剤ポリマー組成物に関する。該組成物は、多官能エポキシド、またはポリエステル、ポリアミドおよびポリカーボネートのような重縮合物に基づく難燃剤化合物の製造に特に有用である。
【0002】
難燃剤は、ポリマーの難燃性を向上させるために(合成または天然)ポリマー材料に添加される。難燃剤は、それらの組成に応じて、化学的に、例えば窒素の遊離によって泡状物として、かつ/または物理的に、例えば泡被覆物を生成することによって、固相、液相または気相で作用することができる。難燃剤は、燃焼過程の特定の段階、例えば、加熱、分解、着火または炎拡散中に干渉する。
【0003】
異なるポリマー基材に使用できる特性の向上した難燃剤組成物が依然として必要である。安全性および環境についての基準が高くなると、規則がより厳しくなる。特に既知のハロゲン含有難燃剤は、すべての必要な要件を満たさない。したがって、特に、炎に伴う煤煙濃度に関するそれらのより良好な性能に鑑みて、ハロゲンフリー難燃剤が好適である。高い熱安定性および低腐食性は、ハロゲンフリー難燃剤組成物のさらなる利点である。
【0004】
意外にも、ホスホン酸メラミン塩をポリマー基材に添加した場合に、優れた難燃性を有するポリマーが製造されることが判明した。本発明による難燃剤組成物を使用することによって、テトラブロモビスフェノール(TBBA)およびアンチモン化合物などのハロゲン含有難燃剤を大いに減少させるか、または交換することができる。
【0005】
本発明は、
a)式
【化1】

[式中、
1〜R5は、互いに独立して、水素、またはC1−C4アルキル、ヒドロキシ、ヒドロキシ−C1−C4アルキルおよびC1−C4アルコキシからなる群から選択される置換基を表す]のフェニルホスホン酸メラミン塩と、
b)ポリマー基材と
を含む組成物、特に難燃剤組成物に関する。
【0006】
以上に定義されているフェニルホスフィン酸メラミン塩(I)において、存在するフェニルホスフィン酸とメラミン塩基のモル比は、約0.8〜1.2:1.0、好ましくは約0.9〜1.1:1.0、特に約1.0:1.0(フェニルホスフィン酸とメラミン塩基が等モル量)である。
【0007】
難燃剤として使用される、以上に定義されている組成物は、本発明の別の実施形態である。
【0008】
本発明の好適な実施形態は、
a)フェニルホスホン酸メラミン塩(I)であって、R1〜R5は水素を表し、あるいはR1〜R5の1〜3つは、C1−C4アルキル、ヒドロキシ−C1−C4アルキルおよびC1−C4アルコキシからなる群から選択される置換基を表し、他は水素を表すものと、
b)ポリマー基材と
を含む組成物、特に難燃剤組成物に関する。
【0009】
本発明のより好適な実施形態は、
a)式
【化2】

のフェニルホスホン酸メラミン塩と、
b)ポリマー基材と
を含む組成物、特に難燃剤組成物に関する。
【0010】
本発明の具体的な実施形態は、
a)フェニルホスホン酸メラミン塩(I)であって、R1〜R5は、互いに独立して、水素、またはC1−C4アルキル、ヒドロキシ、ヒドロキシ−C1−C4アルキルおよびC1−C4アルコキシからなる群から選択される置換基であるものと、
b)多官能エポキシド化合物、硬化剤化合物および熱可塑性ポリマーからなる群から選択されるポリマー基材と
を含む組成物に関する。
【0011】
本発明のより具体的な実施形態は、
a)式
【化3】

のフェニルホスホン酸メラミン塩と、
b)多官能エポキシド化合物および硬化剤化合物からなる群から選択されるポリマー基材と
を含む組成物、特に難燃剤組成物に関する。
【0012】
好適な実施形態は、
a)式
【化4】

[式中、
1〜R5は、互いに独立して、水素、またはC1−C4アルキル、ヒドロキシ、ヒドロキシ−C1−C4アルキルおよびC1−C4アルコキシからなる群から選択される置換基を表す]
のフェニルホスホン酸メラミン塩と、式
【化5】

によって表されるオキサホスホリンオキシドまたはその誘導体との組合せと、
b)多官能エポキシド化合物および硬化剤化合物からなる群から選択されるポリマー基材と
を含む組成物に関する。
【0013】
特に好適な実施形態は、
a)フェニルホスホン酸メラミン塩(I)であって、R1〜R5は水素を表し、あるいはR1〜R5の1〜3つは、C1−C4アルキル、ヒドロキシ−C1−C4アルキルおよびC1−C4アルコキシからなる群から選択される置換基を表し、他は水素を表すものと、
b)多官能エポキシド化合物および硬化剤化合物からなる群から選択されるポリマー基材と
を含む組成物に関する。
【0014】
極めて好適な実施形態は、
a)式
【化6】

のフェニルホスホン酸メラミン塩と、
【化7】

によって表わされるオキサホスホリンオキシドまたはその誘導体との組合せと、
b)多官能エポキシド化合物および硬化剤化合物からなる群から選択されるポリマー基材と
を含む組成物に関する。
【0015】
極めて望ましい実施形態は、
a)式(I’)のフェニルホスホン酸メラミン塩と、式
【化8】

[式中、
フェニル基は、さらなる置換基によって置換されていてよく、Rは、さらなる置換基によって置換されていてよいC1−C18アルキルまたはC6−C12アリールを表す]
のR置換オキサホスホリンオキシドとの組合せと、
b)多官能エポキシド化合物および硬化剤化合物からなる群から選択されるポリマー基材と
を含む組成物に関する。
【0016】
本発明の極めて好適な実施形態は、
a)式
【化9】

のフェニルホスホン酸メラミン塩と、式:
【化10】

の6H−ジベンズ[c,e][1,2]オキサザホスホリン−6−オキシド、またはその誘導体との組合せと、
b)多官能エポキシド化合物および硬化剤化合物からなる群から選択されるポリマー基材と
を含む組成物、特に難燃剤組成物に関する。
【0017】
本発明による組成物は、UL−94(Underwriter’s Laboratories Subject 94)による望ましいV−0評価、および特に従来のFRシステムが不合格になる傾向があるガラス繊維強化配合物における関連試験法での他の優れた評価を得る。
【0018】
以上に定義されている組成物は、以下の成分を含む。
成分a)

【化11】

のフェニルホスホン酸メラミン塩において、R1〜R5は、互いに独立して、水素、またはC1−C4アルキル、例えば、メチル、エチル、nもしくはイソプロピル、またはn、イソもしくはtert−ブチル、ヒドロキシ、ヒドロキシ−C1−C4アルキル、例えばヒドロキシメチルまたは1−もしくは2−ヒドロキシエチルおよびC1−C4アルコキシ、例えばメトキシまたはエトキシからなる群から選択される置換基である。
【0019】
以上に定義されているフェニルホスフィン酸メラミン塩(I)において、存在するフェニルホスフィン酸とメラミン塩基とのモル比は、約0.8〜1.2:1.0、好ましくは約0.9〜1.1:1.0、特に約1.0:1.0(フェニルホスフィン酸とメラミン塩基が等モル量)である。
【0020】
以上に定義されているフェニルホスホン酸メラミン塩(I)は、既知の方法、例えば、等量のメラミンと、式
【化12】

[式中、
1〜R5は、以上に定義されている通りである]
のフェニルホスホン酸との酸−塩基反応によって得られる。
【0021】
好適な実施形態によれば、フェニルホスホン酸メラミンは、メラミンおよびフェニルホスホン酸から、例えば、両成分を高温水溶液として添加した後に、続いて結晶化、濾過、乾燥および粉砕を行うことによって製造される。
【0022】
本発明のさらなる実施形態は、式
【化13】

[式中、
1〜R5は、互いに独立して、水素、またはC1−C4アルキル、ヒドロキシ、ヒドロキシ−C1−C4アルキルおよびC1−C4アルコキシからなる群から選択される置換基を表す]
のフェニルホスホン酸メラミン塩(I)、特にフェニルホスホン酸メラミン塩(I)であって、R1〜R5は水素を表し、あるいはR1〜R5の1〜3つは、C1−C4アルキル、ヒドロキシ−C1−C4アルキルおよびC1−C4アルコキシからなる群から選択される置換基を表し、他は水素を表すものに関する。
【0023】
好適な実施形態によれば、メラミンおよびR1〜R5フェニルホスホン酸は、式(I)のメラミンフェニルホスホン酸付加塩に等モル量で存在する。
【0024】
本発明は、また、式
【化14】

のフェニルホスホン酸メラミン塩(I)、特にフェニルホスホン酸メラミン塩(I)の1:1の酸付加塩に関する。
【0025】
好適な実施形態によれば、メラミンおよびフェニルホスホン酸は、式(I’)のメラミンフェニルホスホン酸付加塩に等モル量で存在する。
【0026】
フェニルホスホン酸メラミン塩(I)を製造するための方法も本発明の主題である。
【0027】
好適な実施形態によれば、メラミンフェニルホスホン酸塩(I)は、本発明の難燃剤組成物において、式
【化15】

によって表されるオキサホスホリンオキシドまたはその誘導体と組み合わされる。
【0028】
オキサホスホリンオキシド(II)において、リン原子および1つの酸素原子は、環式構造体、特に五または六員環の一部であり、部分式
【化16】

の少なくとも1つの基が存在する。
好適な実施形態によれば、オキサホスホリンオキシド(II)は、6H−ジベンズ[c,e][1,2]オキサホスホリン−6−オキシド、3,4:5,6−ジベンゾ−2H−1,2−オキサホスホリン−2−オキシドまたはDOPOと略記される9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスホリルフェナントレン−10−オキシドという名称で呼ぶことができる以下の構造式:
【化17】

によって表される(C.A.RN 35948−25−5)。当該化合物は、Sanko−HCAという商品名でSanko Co,Ltd.から市販されている。
【0029】
2つの異なる構造式をDOPOおよびその加水分解生成物:
【化18】

に割り当てることができる。
【0030】
オキサホスホリンオキシドの好適な誘導体は、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスホリルフェナントレン−10−オキシド(DOPO)、DOPOの塩、例えば亜鉛塩
【化19】

、または式
【化20】

[式中、
フェニル基は、さらなる置換基によって置換されていてよく、Rは、さらなる置換基によって置換されていてよいC1−C18アルキルまたはC6−C12アリールを表す]
のR置換オキサホスホリンオキシドである。
【0031】
代表的な化合物(IIb)は、式:
【化21】

[式中、
1は、水素またはC1−C4アルキルを表す]
の化合物である。
【0032】
他の代表的な化合物(IIb)は、Rがカルボキシルアルキル、ヒドロキシアルキルによってエステル化されたカルボキシアルキルを表し、あるいはカルボキシイミドアルキル、例えば式:
【化22】

[式中、
aは、水素またはC1−C4アルキルを表す]
の化合物を表す; あるいはアルコキシアルキル、例えば式:
【化23】

の化合物;
アリール、例えば式:
【化24】

の化合物を表す;
あるいはRが、アリールアルキル、例えば式
【化25】

の化合物を表す;
あるいはRが、ヒドロキシルによって置換されたアルコキシアルキル、例えば式
【化26】

の化合物であって、DOPOとエポキシド:
【化27】

との反応によって得られるようなものを表す化合物である。
【0033】
代替的な実施形態によれば、オキサホスホリンオキシドの好適な誘導体は、部分式
【化28】

の2つの基の存在によって特徴づけられる。
【0034】
これらの基は、式
【化29】

[式中、
フェニル基は、さらなる置換基によって置換されていてよい]
の化合物などの二価の架橋基で接続される。
【0035】
これらの化合物の代表例は、式:
【化30】

[式中、
Xは、C2−C6アルキレンを表し、R1およびR1’は、水素またはC1−C4アルキルを表す]
の化合物; 式:
【化31】

[式中、
RおよびR’は、水素またはC1−C4アルキルを表す]
の化合物、式:
【化32】

[式中、
xは、2〜4の数字を表し、Rは、C1−C4アルキルまたはC6−C10アリールまたはトシルを表す]
の化合物、式:
【化33】

[式中、
Rは、ヒドロキシまたはアミノを表す]
の化合物;
式:
【化34】

[式中、
nは、2〜6の数字を表し、Rは、ポリヒドロキシアルコール、例えばジ、トリまたはテトラヒドロキシアルコール、例えばエチレングリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールまたはジペンタエリスリトールからのエステル基を表す]
の化合物であって、DOPOとアクリル酸−R−エステルとの反応、および続くエステル交換:
【化35】

によって得られるようなもの;
式:
【化36】

[式中、
Rは、C1−C4アルキルを表す]
の化合物であって、
【化37】

の反応によって得られるようなもの;
式:
【化38】

の化合物であって、DOPOと
【化39】

との反応によって得られるようなもの、または式:
【化40】

の、その相応するジアシル誘導体
あるいは式:
【化41】

の化合物である。
【0036】
代替的な実施形態によれば、オキサホスホリンオキシドの好適な誘導体は、部分式(A)の3つの基の存在によって特徴づけられる。これらの基は、式
【化42】

[式中、
フェニル基は、さらなる置換基によって置換されていてよい]
の化合物などの三価の基Yで接続される。
【0037】
これらの化合物の代表例は、メラミンとDOPOおよびホルムアルデヒドとの縮合によって得られる式:
【化43】

の化合物; または式:
【化44】

の化合物であって、
【化45】

から分子内ミカエリス−アルブゾフ反応によって得られるようなものである。
【0038】
代替的な実施形態によれば、オキサホスホリンオキシドの好適な誘導体は、構造式
【化46】

[式中、
nは、1〜30、より好ましくは2〜10の数字を表す]; または
【化47】

による部分式(A)の3つを超える基の存在によって特徴づけられる。
【0039】
以上に定義されているオキサホスホリンオキシドは、既知の化合物であるか、または既知の方法によって製造され得る。それらのいくつかは、市販されている。
【0040】
成分b)
ポリマー基材という用語は、その範囲内に、熱可塑性ポリマーまたは熱硬化性樹脂を含む。
【0041】
好適な合成ポリマーのリストを以下に示す。
【0042】
1.モノオレフィンおよびジオレフィンのポリマー、例えば、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリブト−1−エン、ポリ−4−メチルペント−1−エン、ポリビニルシクロヘキサン、ポリイソプレンまたはポリブタジエン、ならびにシクロオレフィン、例えばシクロペンテンまたはノルボルネンのポリマー、(場合によって架橋され得る)ポリエチレン、例えば、高密度ポリエチレン(HDPE)、高密度高分子量ポリエチレン(HDPE−HMW)、高密度超高分子量ポリエチレン(HDPE−UHMW)、中密度ポリエチレン(MDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE、VLDPEおよびULDPE)。
【0043】
ポリオレフィン、すなわち先のパラグラフに例示されているモノオレフィンのポリマー、好ましくはポリエチレンおよびポリプロピレンを異なる方法、特に以下の方法によって製造することができる。
a)(通常は高圧および高温下での)ラジカル重合。
b)通常は周期表の第IVb、Vb、VIbまたはVIII族の1つ以上の金属を含む触媒を使用する触媒重合。これらの金属は、通常は、π配位またはσ配位されていてよい1つ以上のリガンド、典型的には、酸化物、ハロゲン化物、アルコラート、エステル、エーテル、アミン、アルキル、アルケニルおよび/またはアリールを有する。これらの金属錯体は、遊離した形であるか、または基質、典型的には活性塩化マグネシウム、塩化チタン(III)、アルミナまたは酸化珪素に固定され得る。これらの触媒は、重合媒体に可溶または不溶であり得る。触媒を単独で重合に使用することができ、さらなる活性化剤、典型的には、金属アルキル、金属水素化物、金属アルキルハロゲン化物、金属アルキル酸化物または金属アルキルオキサンを使用することができ、前記金属は、周期表の第Ia、IIaおよび/またはIIIa族の元素である。活性化剤を、便利には、さらなるエステル、エーテル、およびアミンまたはシリルエーテル基で変性することができる。これらの触媒系は、通常、Phillips、Standard Oil Indiana、ジーグラーナッタ)、TNZ(DuPont)、メタロセンまたはシングルサイト触媒(SSC)と呼ばれる。
【0044】
2.1)に記載されているポリマーの混合物、例えば、ポリプロピレンとポリイソブチレンとの混合物、ポリプロピレンとポリエチレンとの混合物(例えば、PP/HDPE、PP/LDPE)および異なる種類のポリエチレンの混合物(例えばLDPE/HDPE)。
【0045】
3.モノオレフィンおよびジオレフィン同士または他のビニルモノマーとのコポリマー、例えば、エチレン/プロピレンコポリマー、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)およびそれらの低密度ポリエチレン(LDPE)との混合物、プロピレン/ブト−1−エンコポリマー、プロピレン/イソブチレンコポリマー、エチレン/ブト−1−エンコポリマー、エチレン/ヘキセンコポリマー、エチレン/メチルペンテンコポリマー、エチレン/ヘプテンコポリマー、エチレン/オクテンコポリマー、エチレン/ビニルシクロヘキサンコポリマー、エチレン/シクロオレフィンコポリマー(例えば、COCのようなエチレン/ノルボルネン)、エチレン/1−オレフィンコポリマー(1−オレフィンがin−situで生成される)、プロピレン/ブタジエンコポリマー、イソブチレン/イソプレンコポリマー、エチレン/ビニルシクロヘキセンコポリマー、エチレン/アクリル酸アルキルコポリマー、エチレン/メタクリル酸アクリルコポリマー、エチレン/酢酸ビニルコポリマーまたはエチレン/アクリル酸コポリマーおよびそれらの塩(アイオノマー)ならびにエチレンと、プロピレンと、ヘキサジエン、ジシクロペンタジエンまたはエチリデン−ノルボルネンなどのジエンとのジエン、当該コポリマー同士の混合物、および上記1)に記載のポリマーとの混合物、例えば、ポリプロピレン/エチレン−プロピレンコポリマー、LDPE/エチレン−酢酸ビニルコポリマー(EVA)、LDPE/エチレン−アクリル酸コポリマー(EAA)、LLDPE/EVA、LLDPE/EAAおよび交互またはランダムポリアルキレン/一酸化炭素コポリマーおよびそれらの他のポリマー、例えばポリアミドとの混合物。
【0046】
4.それらの水素化変性物(例えば粘着剤)を含む炭化水素樹脂(例えばC5−C9)およびポリアルキレンとデンプンの混合物。以上に記載されているホモポリマーおよびコポリマーは、シンジオタクチック、アイソタクチック、ヘミアイソタクチックまたはアタクチックを含む任意の立体構造を有することができ、アタクチックポリマーが好適である。立体ブロックポリマーも含まれる。
【0047】
5.ポリスチレン、ポリ(p−メチルスチレン)、ポリ(α−メチルスチレン)。
【0048】
6.スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエンのすべての異性体、特にp−ビニルトルエン、エチルスチレンのすべての異性体、プロピルスチレン、ビニルビフェニル、ビニルナフタレンおよびビニルアントラセンならびにそれらの混合物を含むビニル芳香族モノマーから誘導された芳香族ホモポリマーおよびコポリマー。ホモポリマーおよびコポリマーは、シンジオタクチック、アイソタクチック、ヘミアイソタクチックまたはアタクチックを含む任意の立体構造を有することができ、アタクチックポリマーが好適である。立体ブロックポリマーも含まれる。
【0049】
a)エチレン、プロピレン、ジエン、ニトリル、酸、無水マレイン酸、マレイミド、酢酸ビニルおよび塩化ビニルまたはアクリル酸誘導体ならびにそれらの混合物、例えば、スチレン/ブタジエン、スチレン/アクリロニトリル、スチレン/エチレン(共重合体)、スチレン/メタクリル酸アルキル、スチレン/ブタジエン/アクリル酸アルキル、スチレン/ブタジエン/メタクリル酸アルキル、スチレン/無水マレイン酸、スチレン/アクリロニトリル/アクリル酸メチル、高衝撃強度のスチレンコポリマーと別のポリマー、例えば、ポリアクリレート、ジエンポリマーまたはエチレン/プロピレン/ジエンターポリマーとの混合物、ならびにスチレン/ブタジエン/スチレン、スチレン/イソプロピレン/スチレン、スチレン/エチレン/ブチレン/スチレンまたはスチレン/エチレン/プロピレン/スチレンなどのスチレンのブロックコポリマーから選択される前記ビニル芳香族モノマーおよびコモノマーを含むコポリマー。
【0050】
b)特に、しばしばポリビニルシクロヘキサン(PVCH)と称する、アタクチックポリスチレンを水素化することによって製造されたポリシクロヘキシルエチレン(PCHE)を含む、6.)に記載のポリマーの水素化により誘導された水素化芳香族ポリマー。
【0051】
c)6a.)に記載のポリマーの水素化により誘導された水素化芳香族ポリマー。ホモポリマーおよびコポリマーは、シンジオタクチック、アイソタクチック、ヘミアイソタクチックまたはアタクチックを含む立体構造を有することができ、アタクチックポリマーが好適である。立体ブロックポリマーも含まれる。
【0052】
7.スチレンまたはα−メチルスチレンなどのビニル芳香族モノマーのグラフトコポリマー、例えば、ポリブタジエン上スチレン、ポリブタジエン−スチレンまたはポリブタジエン−アクリロニトリルコポリマー上スチレン、ポリブタジエン上スチレンおよびアクリロニトリル(またはメタクリロニトリル)、ポリブタジエン上スチレン、アクリロニトリルおよびメタクリル酸メチル、ポリブタジエン上スチレンおよび無水マレイン酸、ポリブタジエン上スチレン、アクリロニトリルおよび無水マレイン酸またはマレイミド、ポリブタジエン上スチレンおよびマレイミド、ポリブタジエン上スチレンおよびアクリル酸またはメタクリル酸アルキル、エチレン/プロピレン/ジエンターポリマー上スチレンおよびアクリロニトリル、ポリアルキルアクリレートまたはポリアルキルメタクリレート上スチレンおよびアクリロニトリル、アクリレート/ブタジエンコポリマー上スチレンおよびアクリロニトリル、ならびにそれらと6)に記載のコポリマーとの混合物、例えば、ABS、MBS、ASAまたはAESポリマーとして既知のコポリマー混合物。
【0053】
8.ポリクロロプレン、塩素化ゴム、イソブチレン−イソプレン(ハロブチルゴム)の塩素化および臭素化コポリマー、塩素化またはスルホ塩素化ポリエチレン、エチレンおよび塩素化エチレンのコポリマー、エピクロロヒドリンホモおよびコポリマー、特にハロゲン含有ビニル化合物のポリマー、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ならびに塩化ビニル/塩化ビニリデン、塩化ビニル/酢酸ビニルまたは塩化ビニリデン/酢酸ビニルコポリマーなどのそれらのコポリマーなどのハロゲン含有ポリマー。
【0054】
9.ポリアクリレートおよびポリメタクリレート、アクリル酸ブチルで耐衝撃性が改質されたポリメチルメタクリレート、ポリアクリルアミドおよびポリアクリロニトリルなどの、α,β−不飽和酸およびそれらの誘導体から誘導されたポリマー。
【0055】
10.9)に記載のモノマー同士、または他の不飽和モノマーとのコポリマー、例えば、アクリロニトリル/ブタジエンコポリマー、アクリロニトリル/アクリル酸アルキルコポリマー、アクリロニトリル/アクリル酸アルコキシアルキルもしくはアクリロニトリル/ハロゲン化ビニルコポリマーまたはアクリロニトリル/メタクリル酸アルキル/ブタジエンターポリマー。
【0056】
11.不飽和アルコールおよびアミンもしくはアシル誘導体またはそれらのアセタールから誘導されたポリマー、例えば、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリステアリン酸ビニル、ポリ安息香酸ビニル、ポリマレイン酸ビニル、ポリビニルブチラール、ポリフタル酸アリルまたはポリアリルメラミン、ならびに上記1)に記載のオレフィンとのそれらのコポリマー。
【0057】
12.ポリアルキレングリコール、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシドまたはそれらとビスグリシジルエーテルとのコポリマーなどの環式エーテルのホモポリマーおよびコポリマー。
【0058】
13.ポリオキシメチレン、およびエチレンオキシドをコモノマーとして含むポリオキシメチレンなどのポリアセタール、熱可塑性ポリウレタン、アクリレートまたはMBSで変性されたポリアセタール。
【0059】
14.ポリフェニレンオキシドおよびスルフィド、ならびにポリフェニレンオキシドとスチレンポリマーまたはポリアミドとの混合物。
【0060】
15.一方ではヒドロキシル末端ポリエーテル、ポリエステルまたはポリブタジエンから誘導され、他方では脂肪族または芳香族ポリイソシアネートから誘導されたポリウレタン、ならびにそれらの前駆体。
【0061】
16.ジアミンおよびジカルボン酸、および/またはアミノカルボン酸もしくは対応するラクタムから誘導されたポリアミドおよびコポリアミド、例えば、ポリアミド4、ポリアミド6、ポリアミド6/6、6/10、6/9、6/12、4/6、12/12、ポリアミド11、ポリアミド12、m−キシレンジアミンおよびアジピン酸から出発する芳香族ポリアミド、ヘキサメチレンジアミンおよびイソフタル酸または/およびテレフタル酸から製造され、改質剤としてエラストマーを含む、または含まないポリアミド、例えば、ポリ−2,4,4−トリメチルヘキサメチレンテレフタルアミドまたはポリ−m−フェニレンイソフタルアミド、ならびに前記ポリアミドとポリオレフィン、オレフィンコポリマー、アイオノマーまたは化学結合もしくはグラフトエラストマー、あるいはポリエーテル、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールまたはポリテトラメチレングリコールとのブロックコポリマー、ならびにEPDMもしくはABSで変性されたポリアミドまたはコポリアミド、ならびに処理時に縮合されたポリアミド(RIMポリアミド系)。
【0062】
17.ポリ尿素、ポリイミド、ポリアミド−イミド、ポリエーテルイミド、ポリエステルイミド、ポリヒダントインおよびポリベンズイミダゾール。
【0063】
18.ジカルボン酸およびジオールおよび/またはヒドロキシカルボン酸または対応するラクトンから誘導されたポリエステル、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ−1,4−ジメチロールシクロヘキサンテレフタレート、ポリアルキレンナフタレート(PAN)およびポリヒドロキシベンゾエート、ならびにヒドロキシ末端ポリエーテルから誘導されたブロックコポリエーテルエステル、ならびにポリカーボネートまたはMBSで変性されたポリエステル。
【0064】
19.ポリケトン。
【0065】
20.ポリスルホン、ポリエーテルスルホンおよびポリエーテルケトン。
【0066】
21.前記ポリマーのブレンド(ポリブレンド)、例えば、PP/EPDM、ポリアミド/EPDMまたはABS、PVC/EVA、PVC/ABS、PVC/MBS、PC/ABS、PBTP/ABS、PC/ASA、PC/PBT、PVC/CPE、PVC/アクリレート、POM/熱可塑性PUR、PC/熱可塑性PUR、POM/アクリレート、POM/MBS、PPO/HIPS、PPO/PA6.6およびコポリマー、PA/HDPE、PA/PP、PA/PPO、PBT/PC/ABSまたはPBT/PET/PC。
【0067】
22.一般式:
【化48】

に対応するポリカーボネート。
【0068】
当該ポリカーボネートは、界面処理または溶融処理(触媒エステル交換)によって得られる。ポリカーボネートは、構造が分枝状または直鎖状であってよく、任意の官能性置換基を含むことができる。ポリカーボネートコポリマーおよびポリカーボネートブレンドも本発明の範囲内である。ポリカーボネートという用語は、他の熱可塑性樹脂とのコポリマーおよびブレンドを含むものと解釈されるべきである。ポリカーボネートを製造するための方法は、例えば、米国特許明細書第3,030,331号、同第3,169,121号、同第4,130,458号、同第4,263,201号、同第4,286,083号、同第4,552,704号、同第5,210,268号および同第5,606,007号から既知である。異なる分子量の2つ以上のポリカーボネートの組合せを使用することができる。
【0069】
ビスフェノールAなどのジフェノールとカーボネート源との反応によって得られるポリカーボネートが好適である。好適なジフェノールの例は:
【化49】

、4,4’−(2−ノルボルニリデン)ビス(2,6−ジクロロフェノール)、またはフルオレン−9−ビスフェノール:
【化50】

である。
【0070】
カーボネート源は、ハロゲン化カルボニル、炭酸エステルまたはハロホーメートであってよい。好適なハロゲン化カーボネートは、ホスゲンまたは臭化カルボニルである。好適な炭酸エステルは、炭酸ジメチルまたはジエチルなどの炭酸ジアルキル、炭酸ジフェニル、フェニル−炭酸トリルなどのフェニル−炭酸アルキルフェニル、炭酸ジメチルまたはジエチルなどの炭酸ジアルキル、ジ−(クロロフェニル)カーボネート、ジ−(ブロモフェニル)カーボネート、ジ−(トリクロロフェニル)カーボネートまたはジ−(トリクロロフェニル)カーボネートなどのジ−(ハロフェニル)カーボネート、ジ−トリルカーボネートなどのジ−(アルキルフェニル)カーボネート、ネフチルカーボネートおよびジクロロナフチルカーボネート等である。
【0071】
ポリカーボネートまたはポリカーボネートブレンドを含む上記ポリマー基材は、イソフタレート/テレフタレート−レソルシノールセグメントが存在するポリカーボネート−コポリマーである。当該ポリカーボネートは、市販されており、例えばLexan(登録商標)SLX(General Electrics Co.USA)である。成分b)の他のポリマー基材は、好適な相溶化剤を含むポリオレフィン、ポリスチレン、ポリエステル、ポリエーテル、ポリアミド、ポリ(メタ)アクリレート、熱可塑性ポリウレタン、ポリスルホン、ポリアセタールおよびPVCを含む多種多様な合成ポリマーを混合物またはコポリマーの形でさらに含むことができる。例えば、ポリマー基材は、ポリオレフィン、熱可塑性ポリウレタン、スチレンポリマーおよびそれらのコポリマーからなる樹脂の群から選択される熱可塑性ポリマーをさらに含むことができる。具体的な実施形態は、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリアミド(PA)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、グリコール変性ポリシクロヘキシレンメチレンテレフタレート(PCTG)、ポリスルホン(PSU)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)、アクリロニトリル−スチレン−アクリル酸エステル(ASA)、アクリロニトリル−エチレン−プロピレン−スチレン(AES)、スチレン−無水マレイン酸(SMA)または高衝撃性ポリスチレン(HIPS)を含む。
【0072】
好適な実施形態によれば、成分b)のポリマー基材という用語は、炭素、酸素、窒素または硫黄原子に直接結合された部分式
【化51】

[式中、
qは0を表し、R1およびR3はともに水素を表し、R2は水素またはメチルを表し、あるいはqは0または1を表し、R1およびR3は一緒になって−CH2−CH2−または−CH2−CH2−CH2−基を形成し、R2は水素を表す]
の少なくとも2つのエポキシ基が存在する多官能エポキシド化合物からなる。
【0073】
多官能エポキシド化合物の例を以下に示す。
【0074】
I)分子内に少なくとも2つのカルボキシル基を有する化合物と、エピクロロヒドリンおよび/またはグリセロールジクロロヒドリンおよび/またはβ−メチルエピクロロヒドリンとを反応させることによって得られるポリグリシジルエステルおよびポリ(β−メチルグリシジル)エステル。その反応は、塩基の存在下で実施される。
【0075】
分子内に少なくとも2つのカルボキシル基を有する好適な化合物は、グルタル酸、アジピン酸、ピメル酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸または二量化もしくは三量化リノール酸などの脂肪族ポリカルボン酸である。脂環式ポリカルボン酸、例えば、テトラヒドロフタル酸、4−メチルテトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸または4−メチルヘキサヒドロフタル酸が好適である。
【0076】
フタル酸、イソフタル酸、トリメリット酸およびピロメリット酸などの芳香族ポリカルボン酸が好適である。例えばトリメリット酸と、グリセロールなどのポリオールまたは2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパンとのカルボキシル末端付加物も好適である。
【0077】
II)少なくとも2つの遊離アルコールヒドロキシル基および/またはフェノールヒドロキシル基を有する化合物と、好適に置換されたエピクロロヒドリンとを、アルカリ性条件下または酸触媒の存在下で反応させた後に、アルカリ性条件下で処理することによって得られるポリグリシジルエーテルまたはポリ(β−メチルグリシジル)エーテル。この種のエーテルは、例えば、直鎖アルコール、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコールおよび高級ポリ(オキシエチレン)グリコール、プロパン−1,2−ジオール、またはポリ(オキシプロピレン)グリコール、プロパン−1,3−ジオール、ブタン−1,4−ジオール、ポリ(オキシテトラメチレン)グリコール、ペンタン−1,5−ジオール、ヘキサン−1,6−ジオール、ヘキサン−2,4,6−トリオール、グリセロール、1,1,1−トリメチロールプロパン、ビストリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、およびポリエピクロロヒドリンから誘導される。
【0078】
代替的に、それらは、例えば、1,3−または1,4−ジヒドロキシシクロヘキサン、ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)メタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)−プロパンまたは1,1−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘクス−3−エンなどの脂環式アルコールから誘導され、あるいはそれらは、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アニリンまたはp,p’−ビス(2−ヒドロキシエチルアミノ)ジフェニルメタンなどの芳香族核を有する。
【0079】
エポキシ化合物をレソルシノールまたはヒドロキノンなどの単核フェノールから誘導することもでき、あるいはそれらは、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)−プロパンもしくは4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホンなどの多核フェノール、または酸性条件下で得られるフェノールとホルムアルデヒドとの縮合物、例えばフェノールNovolak(登録商標)に基づく。
【0080】
III)エピクロロヒドリンと、少なくとも2つのアミノ水素原子を含むアミンとの反応生成物をデヒドロクロリン化することによって得られるポリ(N−グリシジル)化合物。これらのアミンは、例えば、アニリン、トルイジン、n−ブチルアミン、ビス(4−アミノフェニル)メタン、m−キシレンジアミンまたはビス(4−メチルアミノフェニル)メタン、およびN,N,O−トリグリシジル−m−アミノフェノールまたはN,N,O−トリグリシジル−p−アミノフェノールである。
【0081】
ポリ(N−グリシジル)化合物は、エチレン尿素または1,3−プロピレン尿素などのシクロアルキレン−尿素のN,N’−ジグリシジル誘導体、および5,5−ジメチルヒダントインなどのヒダントインのN,N’−ジグリシジル誘導体をも含む。
【0082】
IV)エタン−1,2−ジチオールまたはビス(4−メルカプトメチルフェニル)エーテルなどのジチオールから誘導されたジ−S−グリシジル誘導体などのポリ(S−グリシジル)化合物。
【0083】
1およびR3がともに−CH2−CH2−であり、nが0である式Aの基を有するエポキシ化合物は、ビス(2,3−エポキシシクロペンチル)エーテル、2,3−エポキシシクロペンチルグリシジルエーテルまたは1,2−ビス(2,3−エポキシシクロペンチルオキシ)エタンである。R1およびR3がともに−CH2−CH2−であり、nが1である式Aの基を有するエポキシ樹脂の例は、3’,4’−エポキシ−6’−メチルシクロヘキサンカルボン酸(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシル)メチルである。
【0084】
多官能エポキシド化合物は、既知である。それらの多くは、Huntsman Advanced Materialsから市販されている(商品名Araldite(登録商標))。好適な多官能エポキシドの例は、
a)液体ビスフェノールAジグリシジルエーテル、例えば、ARALDITE GY240、GY250、GY260、GY266、GY2600、MY790、DER(登録商標)332、331、Hexion(登録商標)EPR158、Tactix(登録商標)123および138またはEpon(登録商標)826、
b)固体ビスフェノールAジグリシジルエーテル、例えば、ARALDITE GT6071、GT7071、GT7072、GT6063、GT7203、GT6064、GT7304、GT7004、GT6084、GT1999、GT7077、GT6097、GT7097、GT7008、GT6099、GT6608、GT6609、GT6610、CT200および6100ES、Epikote(登録商標)1001および109ならびにDER(登録商標)661、667および668ならびにDLS1065ES、
c)液体ビスフェノールFジグリシジルエーテル、例えば、ARALDITE GY281、GY282、PY302およびPY306、
d)テトラフェニルエタンの固体ポリグリシジルエーテル、例えばCGエポキシ樹脂(登録商標)0163、
e)フェノール−ホルムアルデヒドNovolak(登録商標)の固体および液体ポリグリシジルエーテル、例えば、EPN1138、EPN1139、GY1180、PY307、Epon(登録商標)828およびTactix(登録商標)556、
f)o−クレゾール−ホルムアルデヒドNOVOLAKの固体および液体ポリグリシジルエーテル、例えば、ECN1235、1273、1280およびECN1299、
g)アルコールの液体グリシジルエーテル、例えば、Shell(登録商標)グリシジルエーテル162、ARALDITE DY0390およびDY0391、
h)カルボン酸の液体グリシジルエーテル、例えば、Shell(登録商標)Cardura Eテレフタル酸エステル、トリメリット酸エステルおよびPY284、
i)固体複素環式エポキシ樹脂(トリグリシジルイソシアヌレート)、例えばARALDITE PT810、
k)液体脂環式エポキシ樹脂、例えばARALDITE CY179、
l)p−アミノフェノールなどの液体N,N,O−トリグリシジルエーテル、例えばARALDITE MY0510、
m)テトラグリシジル−4,4’−メチレンベンズアミンまたはN,N,N’,N’−テトラグリシジルジアミノフェニルメタン、例えばARALDITE MY720およびMY721、
n)N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシリデンジアミン、例えばTetrad(登録商標)−X、
o)1,1,2−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタンのトリグリシジルエーテル、例えばTactix(登録商標)742である。
【0085】
望まれる場合は、異なる構造のエポキシ化合物の混合物を採用することもできる。
【0086】
好適な多官能エポキシド化合物は、好ましくは、式
【化52】

の少なくとも2つの基を含む。
【0087】
以下の種類の化合物および/またはそれらの混合物が成分として特に好ましい:
【化53】

[式中、
1、X2およびX3は、非置換であっても置換されていてもよいシクロヘキシレン、フェニレンまたはナフチレンであり、X1は、また、部分式
【化54】

の非置換の基または置換された基であり、X2は、また、部分式
【化55】

の非置換の基または置換された基である]。
【0088】
上記基に対する好適な置換基は、−O−、−S−、−C(=O)−、−C(=O)−O−、−S(=O)−、−S(O2)−、−C(CF32−、アルキル、アルキレン、アリール、アリーレン、アルコキシ、アリールオキシまたはハロゲンである。同一の置換基または異なる置換基が2つ以上存在してよく、置換基自体がさらに置換されていてよい。
【0089】
好適なアルキル基の例は、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ヘキシル、n−オクチル、2−エチルヘキシル、n−ノニル、n−デシル、n−ウンデシル、n−ドデシル、n−トリデシル、n−テトラデシル、n−へキサデシルまたはn−オクタデシルおよびそれらの分枝異性体などのC1−C18アルキル基である。
【0090】
さらなる水素原子を除去すること、またはそれぞれ酸素原子を追加することによって、可能なアルキレン基およびアルコキシ基を上記アルキル基から形式的に誘導することができる。
【0091】
好適なアリール基の例は、6〜20個の炭素原子を有するアリール基、例えば、フェニレン、ビフェニレンまたはナフチレンである。
【0092】
さらなる水素原子を除去すること、またはそれぞれ酸素原子を追加することによって、可能なアリーレン基およびアリールオキシ基を上記アリール基から形式的に誘導することができる。
【0093】
以下の式の基が好ましい:
1については、式
【化56】

2については、式
【化57】

3については、式
【化58】

[式中、
1は、直接結合または−O−、−S−もしくは−C(=O)−O−基であり、
2は、直接結合または−SO2−、−CO−、−S−、−SO−、CH2−、−C(CH32−もしくは−C(CF32−基であり、
nは1〜10である。]。
【0094】
芳香族環は、非置換であるか、あるいは以上により詳細に記載されているように、アルキル、アリール、アルコキシ、アリールオキシもしくはハロゲンによって1回以上置換されている。
【0095】
以下の化合物が特に好ましい:
【化59】

【0096】
【化60】

【0097】
好適な実施形態によれば、硬化剤成分が組成物に存在する。好適な硬化剤化合物は、エポキシ樹脂のための既知の硬化剤のいずれかである。アミン、フェノールおよび無水物硬化剤、例えばポリアミン、例えば、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレントリアミン、ヘキサメチレンジアミン、メタンジアミン、N−アミノエチルピペラジン、ジアミノジフェニルメタン[DDM]、DDMのアルキル置換誘導体、イソホロンジアミン[IPD]、ジアミノジフェニルスルホン[DDS]、4,4’−メチレンジアニリン[MDA]またはm−フェニレンジアミン[MPDA]、ポリアミド、アルキル/アルケニルイミダゾール、ジシアンジアミド[DICY]、1,6−ヘキサメチレン−ビス−シアノグアニジン、フェノール硬化剤、例えば、フェノールノボラックおよびクレゾールノボラック、あるいは酸無水物、例えば、ドデセニルコハク酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物、テトラヒドロフタル酸無水物、フタル酸無水物、ピロメリット酸無水物、ならびにそれらの誘導体が特に好適である。
【0098】
本発明の好適な実施形態は、ジシアンジアミドなどのなどの少なくとも2つのアミノ基を含む硬化剤化合物である多官能エポキシド化合物を成分b)として含む組成物に関する。
【0099】
本発明の特に好適な実施形態は、
a)約0.05〜30.0質量%のフェニルホスホン酸メラミン塩(I)と、
b)約60.0〜95.0質量%の多官能エポキシド化合物、および0.10〜40.0質量%の硬化剤化合物と
を含む組成物に関する。
【0100】
追加的成分
本発明は、さらに、以上に定義されている成分a)およびb)に加えて、所謂滴下防止剤、ポリマー安定剤、ならびにリン含有難燃剤、窒素含有難燃剤、ハロゲン化難燃剤および無機難燃剤などの追加的な難燃剤からなる群から選択されるさらなる添加剤を含む組成物に関する。
【0101】
好適な実施形態によれば、本発明は、オキサホスホリンオキシドまたはその誘導体と場合によって組み合わされた成分a)のフェニルホスホン酸メラミン塩(I)に加えて、ポリマー安定剤およびさらなる難燃剤からなる群から選択されるさらなる添加剤を含む組成物に関する。
【0102】
別の実施形態によれば、本発明は、所謂滴下防止剤をさらなる成分としてさらに含む組成物に関する。
【0103】
これらの滴下防止剤は、熱可塑性ポリマーのメルトフローを低下させ、高温での液滴の形成を抑制する。米国特許明細書第4,263,201号などの様々な文献には、滴下防止剤を難燃剤組成物に添加することが記載されている。
【0104】
高温での液滴の形成を抑制する好適な添加剤は、ガラス繊維、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、高温エラストマー、炭素繊維およびガラス球体等を含む。
【0105】
異なる構造のポリシロキサンの添加が、様々な文献に提案されている。米国特許明細書第6,660,787号、同第6,727,302号または同第6,730,720号を参照されたい。
【0106】
安定剤は、好ましくは、ハロゲンフリーであり、ニトロキシル安定剤、ニトロン安定剤、アミンオキシド安定剤、ベンゾフラノン安定剤、亜リン酸塩および亜ホスホン酸塩安定剤、キノンメチド安定剤、ならびに2,2’−アルキリデンビスフェノール安定剤のモノアクリレートエステルから選択される。
【0107】
本発明の好適な実施形態によれば、該組成物は、さらなる難燃剤組成物を含む。当該難燃剤は、既知の成分、すなわち商品であるか、または既知の方法によって得ることが可能である。
【0108】
他の代表的なリン含有難燃剤は、以上に定義されているものに加えて、例えば、テトラフェニルレソルシノールジホスフェート(Fyrolflex(登録商標)RDP、Akzo Novel)、レソルシノールジホスフェートオリゴマー(RDP)、硫化テトラキス(ヒドロキシメチル)ホスホニウム、リン酸トリフェニル、ホスホン酸ジエチル−N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−アミノメチル、リン酸のヒドロキシアルキルエステル、陽イオンとしての例えばCa2+、Zn2+またはAl3+と形成された次亜リン酸(H3PO2)の塩、ポリリン酸アンモニウム(APP)または(Hostaflam(登録商標)AP750)、レソルシノールジホスフェートオリゴマー(RDP)、ホスファゼン難燃剤および二リン酸エチレンジアミン(EDAP)である。
【0109】
窒素含有難燃剤は、例えば、ポリイソシアヌレート、イソシアヌル酸のエステルまたはイソシアヌレートなどのイソシアヌレート難燃剤である。代表的な例は、ヒドロキシアルキルイソシアヌレート、例えば、トリス−(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、トリス(ヒドロキシ−メチル)イソシアヌレート、トリス(3−ヒドロキシ−n−プロイル)イソシアヌレートまたはトリグリシジルイソシアヌレートである。
【0110】
窒素含有難燃剤は、さらなるメラミン系難燃剤を含む。代表的な例は、シアヌル酸メラミン、ホウ酸メラミン、リン酸メラミン、ピロリン酸メラミン、ポリリン酸メラミン、ポリリン酸アンモニウムメラミン、ピロリン酸アンモニウムメラミン、リン酸ジメラミン、ピロリン酸ジメラミンである。
【0111】
さらなる例は、ベンゾグアナミン、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、アラントイン、グリコルリル、シアヌル酸メラミン、リン酸メラミン、リン酸ジメラミン、ピロリン酸メラミン、シアヌル酸尿素、ポリリン酸アンモニウム、メレム、メラム、メロン系によるメラミンの縮合生成物および/またはより高度な縮合化合物、あるいはメラミンとリン酸との反応生成物、あるいはそれらの混合物である。
【0112】
代表的な無機難燃剤は、例えば、三水酸化アルミニウム(ATH)、ベーマイト(AlOOH)、二水酸化マグネシウム(MDH)、ホウ酸亜鉛、CaCO3、有機置換基で変性された層状珪酸塩または層状二重水酸化物、およびそれらの混合物を含む。
【0113】
代表的な有機ハロゲン難燃剤は、例えば、多臭化ジフェニルオキシド(DE−60F、Great Lakes Corp.)、デカブロモジフェニルオキシド(DBDPO;Saytex(登録商標)102E)、トリス[3−ブロモ−2,2−ビス(ブロモメチル)プロピル]ホスフェート(PB370(登録商標)FMC Corp.)、トリス(2,3−ジブロモプロピル)ホスフェート、トリス(2,3−ジクロロプロピル)ホスフェート、クロレンド酸、テトラクロロフタル酸、テトラブロモフタル酸、ポリ−β−クロロエチルトリホスホネート混合物、テトラブロモビスフェノールAビス(2,3−ジブロモプロピルエーテル)(PE68)、臭化エポキシ樹脂、エチレン−ビス(テトラブロモフタルイミド)(Saytex(登録商標)BT−93)、ビス(ヘキサクロロシクロペンタジエノ)シクロオクタン(Declorane Plus(登録商標))、塩素化パラフィン、オクタブロモジフェニルエーテル、ヘキサクロロシクロペンタジエン誘導体、1,2−ビス(トリブロモフェノキシ)エタン(FF680)、テトラブロモ−ビスフェノールA(Saytex(登録商標)RB100)、エチレンビス−(ジブロモ−ノルボルナンジカルボキシミド)(Saytex(登録商標)BN−451)、ビス−(ヘキサクロロシクロエンタデノ)シクロオクタン、PTFE、トリス−(2,3−ジブロモプロピル)−イソシアヌレートおよびエチレン−ビス−テトラブロモフタルイミドである。
【0114】
上記有機ハロゲン難燃剤は、慣例的に無機酸化物相乗剤と組み合わされる。亜鉛または酸化アンチモン、例えばSb23またはSb25がこの使用に最も一般的である。ホウ素化合物も好適である。
【0115】
上記さらなる難燃剤類は、有利には、有機ポリマー基材の約0.5質量%〜約45.0質量%、例えば、ポリマーに対して、または組成物の全質量に基づいて、約1.0質量%〜約40.0質量%、例えば約5.0質量%〜約35.0質量%の量で本発明の組成物に含められる。
【0116】
上記のように、本発明による組成物は、例えば、顔料、染料、可塑剤、抗酸化剤、チキソトロープ剤、レベリング助剤、塩基性補助安定剤、金属不活性化剤、金属酸化物、有機リン化合物、さらなる光安定剤およびそれらの混合物、特に顔料、フェノール系抗酸化剤、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、2−ヒドロキシ−ベンゾフェノンのUV吸収剤、2−(2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾールおよび/または2−(2−ヒドロキシフェニル)−1,3,5−トリアジン基から選択される1つ以上の従来の添加剤をさらに含むことができる。
【0117】
以上に定義されている組成物のための好適なさらなる添加剤は、処理安定剤、例えば、上記亜リン酸塩およびフェノール系抗酸化剤、ならびに光安定剤、例えばベンゾトリアゾールである。好適な特定の抗酸化剤としては、オクタデシル3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート(IRGANOX1076)、ペンタエリスリトール−テトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](IRGANOX1010)、トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)イソシアヌレート(IRGANOX3114)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン(IRGANOX1330)、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート](IRGANOX245)およびN,N’−ヘキサン−1,6−ジイル−ビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオンアミド](IRGANOX1098)が挙げられる。具体的な処理安定剤としては、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト(IRGAFOS168)、3,9−ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェノキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン(IRGAFOS126)、2,2’、2"−ニトリロ[トリエチル−トリス(3,3’,5,5’−テトラ−tert−ブチル−1,1’−ビフェニル−2,2’−ジイル)ホスファイト(IRGAFOS12)およびテトラキス(2,4−ジ−tert−ブチル−フェニル)[1,1−ビフェニル]−4,4’−ジイルビスホスホナイト(IRGAFOS P−EPQ)が挙げられる。具体的な光安定剤としては、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール(TINUVIN234)、2−(5−クロロ(2H)−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(メチル)−6−(tert−ブチル)フェノール(TINUVIN326)、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール(TINUVIN329)、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(tert−ブチル)−6−(sec−ブチル)フェノール(TINUVIN350)、2,2’−メチレンビス(6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール)(TINUVIN360)、および2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]−フェノール(TINUVIN1577)、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール(TINUVIN P)、2−ヒドロキシ−4−(オクチルオキシ)ベンゾフェノン(CHIMASSORB81)、1,3−ビス−[(2’−シアノ−3’,3’−ジフェニルアクリロイル)オキシ]−2,2−ビス{[(2’−シアノ−3’,3’−ジフェニルアクリロイル)オキシ]メチル}−プロパン(UVINUL3030、BASF)、エチル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート(UVINUL3050、BASF)、および(2−エチルヘキシル)−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート(UVINUL3039、BASF)が挙げられる。
【0118】
上記添加剤は、好ましくは、ポリマー基材b)の質量に対して、0.01〜10.0%、特に0.05〜5.0%の量で含まれる。
【0119】
以上に定義されている成分のポリマー成分への混入は、粉末の形の乾式混合、または例えば不活性溶媒、水もしくは油の溶液、分散液もしくは懸濁液の形の湿式混合などの既知の方法によって実施される。添加剤成分a)およびb)ならびに任意のさらなる添加剤を、例えば成形の前または後に、あるいは後に溶媒または懸濁/分散剤を蒸発させるか、または蒸発させずに、溶解もしくは分散された添加剤または添加剤混合物をポリマー材料に添加することによって混入することができる。それらを処理装置(例えば押出機、内部混合機等)に、例えば乾燥混合物もしくは粉末として、または溶液もしくは分散液もしくは懸濁液もしくは溶融物として直接添加することができる。
【0120】
ポリマー基材への添加剤成分の添加を、ポリマーを溶融させ、添加剤と混合する通常の混合装置にて実施することができる。好適な装置は、当業者に既知である。それらは、主として混合機、混練機および押出機である。
【0121】
該方法は、好ましくは、処理時に添加剤を導入することによって押出機にて実施される。
【0122】
特に好適な処理装置は、一軸スクリュー押出機、反転および共回転二軸スクリュー押出機、遊星歯車押出機、リング押出機または共混練機である。真空にすることができるガス除去区画を少なくとも備えた処理装置を使用することも可能である。
【0123】
好適な押出機および混練機は、例えば、Handbuch der Kunststoffex−trusion,Vol.1 Grundlagen,Editors F.Hensen,W.Knappe,H.Potente,1989,pp.3−7,ISBN:3−446−14339−4(Vol.2 Extrusionsanlagen 1986,ISBN 3−446−14329−7)に記載されている。
【0124】
例えば、スクリュー長さは、1〜60スクリュー径、好ましくは35〜48スクリュー径である。スクリューの回転速度は、好ましくは、毎分10〜600回転(rpm)、好ましくは25〜300rpmである。
【0125】
最大スループットは、スクリュー径、回転速度および駆動力に左右される。本発明の方法を、記載のパラメータを変化させるか、または適用量を供給する計量装置を採用することによって最大スループットより低いレベルで実施することもできる。
【0126】
複数の成分を添加する場合は、これらを予め混合するか、個々に添加することができる。
【0127】
添加剤成分a)および任意のさらなる添加剤をポリマー基材b)上に噴霧することもできる。添加剤混合物は、他の添加剤、例えば上記従来の添加剤、またはそれらの溶融物を、これらの添加剤と一緒にポリマー基材上に噴霧できるように希釈する。重合触媒の脱活性化時の噴霧による添加が特に有利であり、この場合は、発生した水蒸気を触媒の脱活性化のために使用することができる。球面重合ポリオレフィンの場合は、例えば、本発明の添加剤を、場合によって他の添加剤と一緒に噴霧によって加えることが有利であり得る。
【0128】
添加剤成分a)および任意のさらなる添加剤を、それらの成分を例えば約1.0質量%〜40.0質量%、好ましくは2.0質量%〜約20.0質量%の濃度で含むポリマーに混入されたマスターバッチ(「濃縮物」)の形でポリマーに添加することもできる。ポリマーは、最終的に添加剤が添加されたポリマーと同じ構造であるとは限らない。当該処理において、ポリマーを粉末、顆粒、溶液および懸濁液の形で、または格子の形で使用することができる。
【0129】
混入を成形処理の前または最中に行うことができる。本明細書に記載の本発明の添加剤を含む材料は、好ましくは、成形品、例えば、ロト成形品、射出成形品および形材等、ならびに特に繊維、スピン溶融不織布、フィルムまたは発泡体の製造に使用される。
【0130】
本発明の好適な実施形態は、また、難燃性を有するエポキシ樹脂組成物を製造するための方法であって、少なくとも1つの多官能エポキシド化合物b)と、オキサホスホリンオキシドまたはその誘導体と場合によって組み合わされた有効量の少なくとも1つのホスホン酸メラミン塩(I)と、硬化剤化合物とを、場合によってメチルイミダゾールなどの好適な促進剤の存在下で混合することを含む方法に関する。
【0131】
該方法は、米国特許明細書第5,084,546号に記載されている方法などの類似の方法によって既知の方式で実施される。
【0132】
好適な実施形態によれば、本発明は、式(I’)のフェニルホスホン酸メラミン塩と、式(II)の6H−ジベンズ[c,e][1,2]−オキサザホスホリン−6−オキシドまたはその誘導体との組合せを含む混合物に関する。
【0133】
成分(I’)および(II)は、成分a)が0.05〜30.0質量%、好ましくは0.1〜20.0質量%の濃度で、成分b)が0.5〜40.0質量%、好ましくは1.0〜25質量%の濃度で多官能エポキシド化合物に混合される。
【0134】
成分a):b)の好適な比は、10:1〜1:10、好ましくは5:1〜1:5の範囲である。
【0135】
本発明のさらなる実施形態は、硬化多官能エポキシド組成物に難燃性を付与するための方法であって、以上に定義されている難燃剤混合物および硬化剤化合物を多官能エポキシドに添加することを含む方法に関する。
【0136】
本発明のさらなる実施形態は、ポリマー基材に難燃性を付与するための方法であって、成分a)をポリマー基材b)に添加することを含む方法に関する。
【0137】
本明細書に記載の発明の組成物を含む材料は、例えば、成形品、レジントランスファ成形材料、シート成形材料(SMC)、バルク成形材料(BMC)、印刷回路基板、印刷配線基板、(引抜)形材、単層および多層フィルム、積層体、例えば織物積層体、航空機、列車、客車、自動車、船舶、船、建築物、配管、通風積層(タンク)および表面塗料等のための複合体の製造に使用される。
【0138】
以下の実施例は、本発明を例示するが、その範囲を限定するものと見なされるべきでない。
【0139】
使用した成分および試薬
メラミン:Ciba Specialty Chemicals;
フェニルホスホン酸:Aldrich(ドイツ);
ビスフェノールA型エポキシ樹脂:Araldite(登録商標)GT6071、Huntsman Advanced Materials、Basel(スイス);
o−クレゾールノボラックエポキシ樹脂:Araldite(登録商標)ECN 1280、Huntsman Advanced Materials、Basel(スイス);
硬化剤:いずれもAldrich(ドイツ)のジシアンジアミド(DICY)、促進剤;溶媒:いずれもMerck Eurolab(ドイツ)のメトキシ−2−プロパノールおよびジメチルホルムアミド;
9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド(DOPO):Ukanol(登録商標)GKF、Schill & Seilacher AG(ドイツ);
ポリリン酸メラミン:Melapur(登録商標)200、Ciba Specialty Chemicals(スイス);
三水酸化アルミニウム(ATH):Martinal OL 104 WE、Martinswerke(ドイツ);
ガラス布:型式7628、P−D Intergals Technologies AG(ドイツ)。
【0140】
フェニルホスホン酸メラミンの調製
フェニルホスホン酸(800mmol、126g)の飽和高温水溶液を激しく撹拌しながら90℃熱水中メラミン(800mmol、101.0g)の飽和溶液に添加する。10分後、反応混合物を室温まで(後の4℃まで)徐々に冷却させる。その手順により、無色結晶(針状体)として205.0g(721mmol、90.2%)の所望の生成物を得る。
【0141】
91363P(284.22)に対する元素分析の計算値[%]:C 38.31、H 3.93、N 29.78、O 17.01、P 10.98;実測値(%):C 37.95、H 4.75、N 29.04、O 17.12、P 12.4。得られた結晶構造(C91363P・1/2H2O)。
【0142】
難燃剤を評価するための試験方法
「機器の部品用プラスチック材料の燃焼性(Flammability of Plastic Materials for Parts in Devices and Appliances)」に対するUL94試験、第5版、1996年10月29日。UL94試験による評価が以下の表に整理されている(時間は、1つの試料に対して示されている)。
【表1】

【0143】
標準手順
異なる量のAraldite(登録商標)ECN 1280樹脂を使用して、樹脂配合物を調製する。9.2部のDICY(DMFとメトキシ−2−プロパノールの溶媒混合物中溶液)、0.3部のメチルイミダゾール促進剤および60部のメトキシ−2−プロパノールを樹脂組成物に添加する。
【0144】
70℃でガラスジャーにて上記混合物を完全に混合し、30分間にわたって連続的に撹拌した後、以下の表に記載の難燃剤成分を添加し、均質の組成物が得られるまで上記混合物と十分に混合する。
【0145】
組成物を1枚のガラス布に塗布し、強制通気炉にて約2〜5分間にわたって170℃に加熱する。最終積層体の樹脂の流れを制御するために、強制通気炉における時間をサンプル毎にわずかに変化させる。ここでは被粘着性プレプレグの形の繊維材料を7つの細片(約180×180mm)に切断し、1.5mmの均一の厚さの積層体が製造されるように、それらを距離ホルダにて積み重ねる。それらの細片を、プレプレグ積層体の上部および下部上で1mmの厚さの2つのTeflon(登録商標)板で被覆する。積層体をホットプレス上に配置し、積層プレプレグを以下の全般的スケジュールに従って高温および高圧に曝す。
・圧力を加えずに170℃で1分間、
・約3バールの圧力を加えながら170℃で120分間。
【0146】
次いで、得られた積層体をプレスから除去し、周囲温度まで冷却し、距離ホルダおよびTeflon(登録商標)板から分離する。樹脂の量を変えながら縁を切り取ることによって積層体を約150mm×150mmの片に切断し、秤量し、その厚さを測定し、その樹脂含有率を測定する。積層体を5つの細片(125×13.0mm)に切断し、それらを23℃および50%相対湿度で24時間調湿し、続いて前記UL−94燃焼性試験で試験する。この試験で得られたデータを表に示す。
【表2】

【0147】
表に示されるデータは、ホスホン酸メラミンとDOPOとの組合せを含む本発明の樹脂組成物が、優れた難燃性を示すことを証明している(UL94 V−0)。MELAPUR(登録商標)200および/またはATHを樹脂組成物に添加することによって、組成物の難燃性を損なうことなく、発明のフェニルホスホン酸メラミンとDOPOとの組合せの濃度を低下させることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)式
【化1】

[式中、
1〜R5は、互いに独立して、水素、またはC1−C4アルキル、ヒドロキシ、ヒドロキシ−C1−C4アルキルおよびC1−C4アルコキシからなる群から選択される置換基を表す]
のフェニルホスホン酸メラミン塩と、式
【化2】

によって表されるオキサホスホリンオキシドまたはその誘導体との組合せと、
b)多官能エポキシド化合物および硬化剤化合物からなる群から選択されるポリマー基材と
を含む組成物。
【請求項2】
a)フェニルホスホン酸メラミン塩(I)であって、R1〜R5は水素を表し、あるいはR1〜R5の1〜3つは、C1−C4アルキル、ヒドロキシ−C1−C4アルキルおよびC1−C4アルコキシからなる群から選択される置換基を表し、他は水素を表すものと、
b)多官能エポキシド化合物および硬化剤化合物からなる群から選択されるポリマー基材と
を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
a)式
【化3】

のフェニルホスホン酸メラミン塩と、式
【化4】

によって表されるオキサホスホリンオキシドまたはその誘導体との組合せと、
b)多官能エポキシド化合物および硬化剤化合物からなる群から選択されるポリマー基材と
を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
a)式(I’)のフェニルホスホン酸メラミン塩と、式
【化5】

[式中、
フェニル基は、さらなる置換基によって置換されていてよく、Rは、さらなる置換基によって置換されていてよいC1−C18アルキルまたはC6−C12アリールを表す]
のR置換オキサホスホリンオキシドとの組合せと、
b)多官能エポキシド化合物および硬化剤化合物からなる群から選択されるポリマー基材と
を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
a)式
【化6】

のフェニルホスホン酸メラミン塩と、式:
【化7】

の6H−ジベンズ[c,e][1,2]オキサザホスホリン−6−オキシド、またはその誘導体との組合せと、
b)多官能エポキシド化合物および硬化剤化合物からなる群から選択されるポリマー基材と
を含む、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
難燃剤として使用される請求項1に記載の組成物。
【請求項7】

【化8】

のフェニルホスホン酸メラミン塩と、式:
【化9】

の6H−ジベンズ[c,e][1,2]オキサザホスホリン−6−オキシド、またはその誘導体との組合せとを含む混合物。
【請求項8】
ポリマー基材に難燃性を付与するための方法であって、請求項7に記載の混合物をポリマー基材に添加することを含む方法。

【公表番号】特表2012−511069(P2012−511069A)
【公表日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−538956(P2011−538956)
【出願日】平成21年11月25日(2009.11.25)
【国際出願番号】PCT/EP2009/065804
【国際公開番号】WO2010/063623
【国際公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】