説明

フェノールノボラック発泡体及びこれらの製造用組成物

腐食性の酸触媒及び過剰のアルデヒドを含有していない、フェノール発泡体を製造するのに適している発泡性ノボラックフェノール樹脂組成物。この組成物は、ノボラック樹脂、オキサゾリジン硬化剤及び発泡剤を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はフェノールノボラック発泡体を製造するのに有用である発泡性ノボラック樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
フェノール樹脂は、二つの一般的クラス、即ちノボラック及びレゾールに大別することができる。ノボラック樹脂は、一般的に、ホルムアルデヒド不足であるとして特徴付けられる。即ち、ホルムアルデヒドのフェノール基に対する比は<1である。レゾール樹脂は、一般的に、ホルムアルデヒド富化であるとして特徴付けられる。即ち、ホルムアルデヒドのフェノール基に対する比は>1である。ノボラック及びレゾールは、共に、これらに限定されないが、フェノール、レゾルシノール、ビスフェノール、フロログルシノール、クレゾール、アルキルフェノール、フェニルエーテル、タンニン及びリグニンを含む、種々のフェノール系化合物を包含することができる。同様に、これらに限定されないが、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、シクロヘキサンジカルボキサルデヒド、ベンズアルデヒド、フルフラール及びその他のアリール複素環式アルデヒドを含む他のアルデヒドが、ホルムアルデヒドのために全体的に又は部分的に置き換えられていてよい。
【0003】
ノボラック樹脂は、通常、アルデヒド供与体、例えばホルムアルデヒド又はホルムアルデヒドポリマー、例えばジオキソラン、トリオキサン及びパラホルムアルデヒド、ヘキサメチレンテトラミン(ヘキサ)又はレゾール樹脂さえもの使用によって、硬化(架橋、固化)される。アルデヒド源に加えて、硬化の速度及び程度を促進するために、加熱及び触媒の存在が通常使用される。触媒には、無機塩基、例えばナトリウム、カリウム若しくはカルシウム水酸化物、ルイス酸、例えば塩化亜鉛若しくは酢酸亜鉛又はアミン、例えばトリエチルアミンが含まれてよい。
【0004】
ノボラック樹脂とは反対に、レゾールはホルムアルデヒドに富んでおり、硬化を実施するためにアルデヒド源の添加を必要としない。レゾール樹脂は、単独で又は更に典型的には、酸触媒の存在下に加熱することによって硬化される。
【0005】
フェノール樹脂から生じた発泡体は、公知であり、ポリウレタンから生じた発泡体を超える多数の利点をもたらす。例えばポリウレタン発泡体は、高温度環境に於いて有用ではなく、燃えたとき、煙及び煙霧を発生する。反対に、フェノール樹脂から生じた発泡体は、高温度環境に於いて有用であり、燃えたとき煙霧を発生しない。従って、フェノール樹脂から生じた発泡体は、熱管若しくは冷管、フリーザー及び冷却室(cold room)、HVAC装置、薬品タンク、航空機、列車、海洋用途、屋根及びビルディング及び移動住宅用の断熱材料として又は音響用途に於いて有用である。
【0006】
フェノール発泡体はレゾール樹脂又はノボラック樹脂から生じさせることができる。レゾール樹脂から生じた商業的フェノール発泡体は、それらが低温度で硬化させることができるので、使用するために有利である。しかしながら、この低い硬化温度は、酸触媒の使用によって達成され、この酸触媒は、硬化した発泡体中に残留し、金属腐食問題に至る。
【0007】
ノボラック樹脂から生じた商業的フェノール発泡体は、それらの硬化を実施するために酸触媒を使用しない点で有利である。しかしながら、硬化を実施するために必要な硬化剤はフォルムアルデヒド及び/又はアンモニアの発生に至る。この発泡体の中に捕捉されたこれらの副生成物は、ゆっくり拡散して出て、潜在的に環境問題に至る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、先行技術の問題点、即ち金属触媒の存在によって生じる金属腐食及び/又はフォルムアルデヒドのガス排出を克服するフェノール発泡体についてのニーズが存在する。本発明の発泡体は、このニーズに取り組む。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一つの面に於いて、本発明は、フェノール発泡体を形成するために有用なフェノール発泡体組成物を提供する。この組成物は、ノボラック樹脂、オキサゾリジン硬化剤及び発泡剤を含んでなる。この組成物は、好ましくは、遊離アルデヒドを実質的に含有していない。この組成物は、また、好ましくは、酸触媒を実質的に含有していない。
【0010】
他の面に於いて、本発明は、本明細書中に記載された発泡性組成物の反応生成物であるフェノール発泡体を提供する。
【0011】
別の面に於いて、本発明は、フェノール発泡体の製造方法を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は酸触媒又はフォルムアルデヒド系硬化剤の使用を伴わないでフェノールノボラック発泡体を生じるフェノール発泡体組成物を提供する。本発明に従った非ホルムアルデヒド硬化剤の使用によって、ホルムアルデヒド放出を生じること無く、ノボラック発泡体を製造することが可能になる。本発明に於いて使用される非ホルムアルデヒド硬化剤は酸性ではない。従って、現在のフェノール発泡体の主な欠点の一つである、酸触媒に起因する金属腐食は本発明の発泡体に対する関心事ではない。本発明のフェノール発泡体は、これらに限定されないが、熱管若しくは冷管、フリーザー及び冷却室、HVAC装置、薬品タンク、航空機、列車、海洋用途、屋根及びビルディング及び移動住宅用の断熱材料として含む種々の用途に於いて使用することができる。
【0013】
従って、一つの面に於いて、本発明は、フェノール発泡体を生じるために有用なフェノール発泡体組成物を提供する。この組成物はノボラック樹脂、オキサゾリジン硬化剤及び発泡剤を含んでなる。この組成物には、界面活性剤、核生成剤、溶媒、強化剤、可塑剤及び当業者によく知られている他の添加剤を含む、他の任意の成分が含有されていてよい。
【0014】
本発明に於いて使用するために好ましいフェノールノボラック樹脂は約1000以下の重量平均分子量を有する。実際に、ノボラック樹脂分子量の選択は、発泡体発生の条件下で、溶液又は溶融物として存在するその能力によってのみ限定される。
【0015】
ノボラック樹脂の製造は、当業者に公知であり、商業的ノボラックが広く入手可能である。典型的には、ノボラック樹脂は、フェノール化合物とアルデヒドとの反応によって製造される。フェノール化合物は、好ましくはフェノール、レゾルシノール、ビスフェノール、フロログルシノール、クレゾール、アルキルフェノール、フェノールエーテル、タンニン又はリグニンである。フェノールが特に好ましい。アルデヒドは、好ましくはホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、シクロヘキサンジカルボキサルデヒド、ベンズアルデヒド、フルフラール、アリールアルデヒド、複素環式アルデヒド及びこれらの2種又はそれ以上の混合物から選択される。ホルムアルデヒドが特に好ましいアルデヒドである。樹脂中のアルデヒドのフェノール化合物に対する比は1よりも小さい。
【0016】
フェノール発泡体の発生のために使用される発泡剤は、下記の種類の化合物、即ち水、炭化フッ素、例えば2,3−ジヒドロデカフルオロペンタン、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン、ペルフルオロヘキサン、ペルフルオロ−N−モルホリン又はペンタフルオロトルエン、クロロフルオロ炭素、例えば1,1,2−トリクロロ−1,2,2−トリフルオロエタン、水素化クロロフルオロ炭素、例えば1,3−ジクロロ−1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパン、直鎖、枝分かれ又は環式アルカン、例えばn−ペンタン、イソブタン又はシクロペンタン、芳香族炭化水素、例えばトルエン、エチルベンゼン又はキシレン、アルコール、例えばt−アミルアルコール、イソアミルアルコール又はn−ヘキサノール及びフッ素化アルコール、例えば2,2,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロ−1−ブタノール又は2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロ−1−ペンタノールから通常選択される。これらは単独で又は組合せで使用することができる。本発明に於ける発泡剤は、発泡体を発生させる温度よりも約100℃以下低い沸点を有する。更に好ましくは、発泡剤の沸点は、発泡体を発生させる温度よりも約50℃以下低い。典型的には、発泡体組成物中の、発泡剤のノボラック樹脂に対する比(即ち発泡剤の重量÷ノボラック樹脂の重量)は、約5〜25重量%、更に好ましくは約10〜20重量%である。
【0017】
発泡体膨張を制御するために、補助発泡剤に加えて、真空又は増加した大気圧を使用することができる。例えば水とイソシアネートとの反応のような化学発泡も意図される。
【0018】
本発明に於いて使用されるオキサゾリジン硬化剤は、好ましくは下記の構造を有する化合物から選択される。
【0019】
【化1】

【0020】
式中、単環式オキサゾリジンについてのR1、R2、R3、R4、R5及びR6は、同じであるか又は異なっていてよく、H、C1〜C12直鎖又は分枝鎖アルキル又はアルケニル、シクロアルキル、フェニル、置換されたアリール、複素環式、ヒドロキシメチル、ヒドロキシ末端ポリオキシアルキレン及びハロゲンから選択される。式中、二環式オキサゾリジンについてのR1、R2、R3、R4、R5、R6及びR7は、同じであるか又は異なっていてよく、H、C1〜C12直鎖又は分枝鎖アルキル又はアルケニル、シクロアルキル、フェニル、置換されたアリール、複素環式、ヒドロキシメチル、ヒドロキシ末端ポリオキシアルキレン及びハロゲンから選択される。式中、メチレン−ビスオキサゾリジンについてのR1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11及びR12は、同じであるか又は異なっていてよく、H、C1〜C12直鎖又は分枝鎖アルキル又はアルケニル、シクロアルキル、フェニル、置換されたアリール、複素環式、ヒドロキシメチル、ヒドロキシ末端ポリオキシアルキレン及びハロゲンから選択される。
【0021】
特に好ましいオキサゾリジンには、4,4−ジメチル−1−オキサ−3−アザシクロペンタン(AMINE CS−1135(登録商標))、5−ヒドロキシメチル−1−アザ−3,7−ジオキサビシクロ[3.3.0]オクタン(LH−1000)及び5−エチル−1−アザ−3,7−ジオキサビシクロ[3.3.0]オクタン(LH−2000)が含まれる。
【0022】
【化2】

【0023】
典型的には、本発明の発泡体組成物中のオキサゾリジンのノボラック樹脂に対する比は、約40〜50重量%、更に好ましくは約42〜48重量%である。
【0024】
好ましい態様に於いて、この発泡体組成物には、1種又はそれ以上の界面活性剤が含有されている。適切な界面活性剤は、下記の種類の化合物、即ちジメチルシロキサン、ポリアルキレンオキシドシロキサン、ポリアルキレンオキシドジメチルシロキサンコポリマー、アルコキシル化アルキルフェノール、アルコキシル化アルコール、アルキル化ポリグルコシド、アルコキシル化アルコールリン酸エステル、アルコキシル化アルコール硫酸エステル、アルコキシル化アルコールスルホン酸エステル、アルコキシル化セルロース、アルコキシル化種子油誘導体、例えばひまし油及びエチレンオキシド/プロピレンオキシド又はブチレンオキシドコポリマーから通常選択される。これらは、単独で又は組合せで使用できる。本発明のために好ましい界面活性剤は、ジメチルシロキサン、ポリアルキレンオキシドシロキサン及びポリアルキレンオキシドジメチルシロキサンコポリマーである。界面活性剤を使用するとき、界面活性剤のノボラック樹脂に対する典型的な比は、約2.5〜10重量%である。
【0025】
更に好ましい態様に於いて、本発明の発泡体組成物には、1種又はそれ以上の核生成剤が含有されている。好ましい核生成剤は、鉱物、例えばシリカ、アルミナ、タルク、炭酸カルシウム、ウォラストナイト、シリマナイト及び種々のクレー;ガラス;セルロース;炭素;グラファイト並びにポリマーを含む、不活性充填剤として通常使用されている種々の固体材料の中から選択される。これらは単独で又は組合せで使用できる。核生成剤についての重要な考慮は、これらが小さい粒子サイズ(<0.5mm、好ましくは<0.1mm)のものであり、他の配合物成分と反応性でないことである。本発明のために好ましい核生成剤は炭素、グラファイト及びクレーである。核生成剤のノボラック樹脂に対する典型的な載荷量は、下記の通り、即ち約5〜10重量%である。
【0026】
本発明の組成物には、架橋剤、例えばエポキシ樹脂、可塑剤、例えばポリエステル、顔料、尿素及び/又はレゾルシノール誘導体、触媒等を含む、発泡体配合物で典型的に使用される他の成分が含有されていてよい。
【0027】
本発明のフェノール発泡体は10〜400kg/cm3、好ましくは15〜200kg/cm3、更に好ましくは20〜100kg/cm3の全体密度を有する。独立気泡の割合は少なくとも10%であり、平均気泡サイズは、直径が1mm未満、更に好ましくは0.5mm未満である。
【0028】
本発明の発泡体組成物は、熱管若しくは冷管、フリーザー及び冷却室、HVAC装置、薬品タンク、航空機、列車、海洋用途、屋根及びビルディング及び移動住宅用の断熱材料としてを含む種々の用途を有する発泡体を生じるために使用される。前記のように、本発明の発泡体の利点の一つは、これらが遊離アルデヒドを実質的に含まないで製造できることである。遊離アルデヒドを「実質的に含まない(substantially free)」によって、この発泡体が、3重量%よりも少ない、更に好ましくは1重量%よりも少ない、なお更に好ましくは0.5重量%よりも少ない遊離アルデヒドを含有することを意味する。最も好ましくは、この発泡体は遊離アルデヒドを含んでいない。
【0029】
本発明の発泡体の更なる利点は、これらが、前記のように腐食を起こし得る及び/又はVOCを発生し得る酸触媒を実質的に含有しないで製造できることである。酸触媒を「実質的に含まない」によって、この発泡体が、約1重量%よりも少ない、更に好ましくは0.5重量%よりも少ない酸触媒を含有することを意味する。最も好ましくは、この発泡体は酸触媒を含んでいない。
【0030】
本発明の組成物から発泡体を形成するための一般的な手順は下記の通りである。全ての成分(ノボラック樹脂、硬化剤、発泡剤、泡安定剤及び任意の他の任意の添加剤)を、高速度ミキサーを使用して、好ましくは成分を付与ポンプによって計量する低圧混合チャンバーを使用して混合する。次いで、連続的に又は断続的に発泡体を製造することができる。
【0031】
連続プロセスで、発泡性フェノール樹脂組成物は、適切な材料分布を得るために、例えば移動アーム又は数個の混合ヘッドを使用して、連続的に移動するキャリヤーの上に排出され、加熱されたゾーン(硬化オーブン)を通過し、その間に、上昇する泡の頂部表面は、第二コンベヤーによって所定の厚さまで押し下げられる。このような硬質パネルは、通常、サンドイッチ状であり、即ち、接着を増強するための適切なプライマーコーティング有り又は無しで、繊維状、有機、無機、金属、プラスチックの箔又はシートの対面する材料によって覆われている。管断熱カバーは、また、平らなコンベヤーの代わりに円く移動するバンドによって、連続的に製造することもできる。種々の高さの連続発泡体ブロックは、また、次に適切な厚さにスライスするために、連続的に製造することもできる。押出機を使用する引抜成形技術を使用することもできる。
【0032】
不連続プロセスで、反応剤は、適切な離型剤によって最終的に予備処理された、加熱された金型の中に注がれ、この金型は、発泡する塊がそれを充満する前に閉じられる。空気は、適切なガス抜きを通って逃げる。インサート又は表面仕上げ材を、更に、成形プロセスと共に使用することができる。発泡体が硬化すると、金型を開き、発泡体を取り出し、新しい反応剤を再充填する。このような金型を、硬化オーブンを通過して進むコンベヤーによって移動させることができる。バン、パネル、管カバー等を含む用途に依って、種々の金型形状を製造することができる。インシトゥ(in situ)プロセスで、反応混合物を、処理すべき表面上に、適切な分布システムによって適用する。
【実施例】
【0033】
下記の実施例は、本発明の例示であるが、その範囲を限定することを意図しない。
【0034】
エタノール、n−ヘキサノール、ペンタン、モンモリロナイトKSF、トリアジン及びヘキサメチレンテトラミン(ヘキサ)を、Aldrichから得る。これらの実施例に於いて使用するフェノール樹脂は、Plastics Engineering Company(米国ウイスコンシン州Sheboygan)から得られる、約600の重量平均分子量を有する、溶媒非含有の部分的に中和されたノボラックである。配合を容易に実施するために、エタノール又はn−ヘキサノール中に溶解させたノボラック樹脂のマスターバッチを製造する。
【0035】
オキサゾリジン、4,4−ジメチル−1−オキサ−3−アザシクロペンタン(AMINE CS−1135(登録商標))及び5−エチル−1−アザ−3,7−ジオキサビシクロ[3.3.0]オクタン(AMINE CS−1246(登録商標))を、ANGUS Chemical Companyから得る。
【0036】
発泡剤、2,3−ジヒドロデカフルオロペンタン(Vertrel XF,HFC−43−10mee)を、DuPontから得る。
【0037】
ジメチルシロキサン(Niax SR355)及びポリアルキレンオキシドシロキサン(Niax L−6915)化合物を、GE Siliconesから得る。エトキシル化オクチルフェノール(Triton X−100)を、ザ・ダウ・ケミカル社(The Dow Chemcal Company)から得る。エトキシル化ノニルフェノール(Igepal CO−887)を、Rhodiaから得る。ヒドロキシエチルセルロース(Natrosol 250H4BPRA)を、Herculesから得る。炭素(Norit S51)を、Norit Americas,Inc.から得る。炭酸カルシウム(Supermite)を、Imerysから得る。タルク(Nicron674)をLuzenac Americaから得る。Tech Lube 250CPを、Technick Productsから得る。炭化フッ素スプレー(MS−122)を、Miller-Stephensonから得る。
【0038】
一般的手順
配合を容易にするために、4種の樹脂マスターバッチを製造する。第一マスターバッチは、77.9重量%のノボラック樹脂、4.2重量%のNiax SR355及び17.9重量%のエタノールを含む。第二マスターバッチは、84.7重量%のノボラック樹脂、4.6重量%のNiax SR355及び10.7重量%のn−ヘキサノールを含む。第三マスターバッチは、84.5重量%のノボラック樹脂、4.8重量%のNiax SR355及び10.7重量%のn−ヘキサノールを含む。第四マスターバッチは、94.8重量%のノボラック樹脂及び5.2重量%のNiax SR355を含む。
【0039】
それぞれの実施例のために、600mLのステンレススチールビーカーをアルミニウム箔によって内張することによって金型を調製する。この箔の内側に、発泡体の取り出しを容易にするために、MS−122炭化フッ素をスプレーする。
【0040】
これらの実施例に於いて製造した発泡体配合物組成は、核生成剤が含有されているかいないか及び溶媒が発泡剤でもあるか否かに依って変化している。4種の概略の配合物組成を、表1に示す。
【0041】
【表1】

【0042】
樹脂マスターバッチ、硬化剤、発泡剤、界面活性剤及び核生成剤の所望量を、風袋を量った紙カップの中に秤量する。この配合物を、高速攪拌機を使用して十分に混合し、配合物を含むカップの重量を決定する。この配合物を、調製した金型の中に注ぎ、次いで、カップを再秤量して、金型に移された配合物の量を決定する。金型を大きい時計皿で覆い、次いで、これを、所望の発泡体試験温度まで予熱された空気循環オーブンの中に入れる。所望の発泡体発生時間が経過した後、生じた発泡体を含む金型を、15分間かけて50℃まで除冷する。
【0043】
金型から発泡体を取り出し、アルミニウム箔を剥がして取り除く。最大発泡体高さを測定し、次いで、サンプルを半分の長さで切断し、気泡のサイズ及び分布を決定する。このサンプルから直方体固体試験片を切断し、それを秤量し、その寸法を、マイクロメーターを使用して測定する。次いで、この試験片の密度を、重量及び計算した体積から計算する。
【0044】
発泡体発生試験の結果を、下記の表に要約する。
【0045】
この表中に示される結果は、明らかに、種々の条件下で、オキサゾリジン硬化剤を使用して、フェノールノボラック発泡体を発生させることができることを示している。溶媒、界面活性剤、発泡剤及び発泡温度の選択は、発泡体品質に影響を与える重要な要因である。
【0046】
実施例3、4及び5は、≦110℃の温度では、樹脂硬化の速度が、発泡剤が揮発する前に発泡剤を有効に捕捉するためには遅すぎることを示している。反対に、実施例2、6及び10は、150℃のように低い温度及び200℃のように高い温度で、良好な発泡体が生じることを示している。
【0047】
実施例8及び20は、発泡剤の量を増加させると、より高い発泡体のカラムが生じる結果になることを示している。しかしながら、実施例21は、溶媒を除いた場合には、樹脂不溶性発泡剤の大量の使用は、発泡体を有効に発生しないことを示している。反対に、実施例30及び35は、樹脂溶媒が発泡剤としても作用し得ることを示している。n−ヘキサノールの比較的高い沸点(発泡体発生温度よりも約20℃低いだけ)によって、多すぎる溶媒が放出される前に、樹脂硬化が起こることが可能になる。
【0048】
高さが≧10cmの発泡体カラムは、核生成剤有り(実施例13、20、30及び35)並びに核生成剤無し(実施例6及び7)で、配合物から発生する。炭酸カルシウム(Supermite、実施例9、14及び32〜34)並びにタルク(Nicron 674、実施例18)は、クレー(モンモリロナイトKSF、実施例12)並びに炭素(Norit S51、実施例13、30及び35)が作るよりも短い発泡体カラムを作る。炭酸カルシウムは最高の発泡体カラムを作らないが、これは、より小さく、より多くの均一な気泡サイズを有する発泡体を生成する際に有効である。
【0049】
界面活性剤について、好ましい結果が、ジメチルシロキサン(Niax SR355)及びポリアルキレンオキシドシロキサン(Niax L−6915)(実施例6、7、13、20、30及び35)で得られる。エトキシル化オクチルフェノール(Triton X−100)、エトキシル化ノニルフェノール(Igepal CO−887)及びヒドロキシエチルセルロース(Natrosol 250H4BPRA)の使用は、著しく短い発泡体カラムになる。
【0050】
これらの例は、有用なフェノールノボラック発泡体を、独特のオキサゾリジン硬化剤を使用して発生させることができることを示している。
【0051】
本発明を、その好ましい態様に従って前に説明したが、これは、この開示の精神及び範囲内で修正することができる。従って、本件特許出願は、本明細書に開示された一般的原理を使用する、本発明の任意の変形、使用又は適合をカバーすることを意図する。更に、本件特許出願は、本発明が関係し、下記の特許請求の範囲の限定内に入る、当該技術分野の公知の又は慣例的実施内に入るような本件開示からの逸脱をカバーすることを意図する。
【0052】
【表2】

【0053】
【表3】

【0054】
【表4】

【0055】
【表5】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノボラック樹脂、
オキサゾリジン硬化剤及び
発泡剤
を含んでなるフェノール発泡体を形成するためのフェノール発泡体組成物。
【請求項2】
界面活性剤を更に含む請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
核生成剤を更に含む請求項1〜2のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項4】
溶媒、強化剤及び可塑剤の1種又はそれ以上を更に含む請求項1〜3のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項5】
前記ノボラック樹脂がフェノール化合物及びアルデヒドから製造される請求項1〜4のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】
遊離アルデヒドを実質的に含まない請求項1〜5のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
酸触媒を実質的に含まない請求項1〜6のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項8】
発泡剤が水、炭化フッ素、クロロフルオロ炭素、水素化クロロフルオロ炭素、直鎖、枝分かれ若しくは環式アルカン、芳香族炭化水素、アルコール、フッ素化アルコール又はこれらの2種若しくはそれ以上の混合物である請求項1〜7のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の組成物の反応生成物を含んでなるフェノール発泡体。
【請求項10】
熱管若しくは冷管、フリーザー及び冷却室、HVAC装置、薬品タンク、航空機、列車、海洋用途、屋根及びビルディング及び移動住宅用の断熱材料として使用される請求項9に記載のフェノール発泡体。
【請求項11】
ノボラック樹脂を押出機に添加し、
発泡剤及びオキサゾリジン硬化剤をノボラック樹脂に添加し、そして
得られた混合物を発泡体形状に押し出す
ことを含んでなるフェノール発泡体の製造方法。

【公表番号】特表2010−540752(P2010−540752A)
【公表日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−528027(P2010−528027)
【出願日】平成20年9月17日(2008.9.17)
【国際出願番号】PCT/US2008/076591
【国際公開番号】WO2009/048717
【国際公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【出願人】(502141050)ダウ グローバル テクノロジーズ インコーポレイティド (1,383)
【出願人】(591252611)アンガス ケミカル カンパニー (32)
【Fターム(参考)】