説明

フェンス

【課題】照明灯、ポスト、新聞受け箱等の装着物の取付位置の調整や取付作業が容易になされるフェンスを提供する。
【解決手段】縦線材11と横線材12とからなる格子状のフェンス本体1に係止部材2を介して装着物3が係止され、係止部材2は、部材本体21と、部材本体21の一方の端面21aに相対向して設けられた押さえ部材22と、部材本体21と押さえ部材22とを貫通する固定ボルト23とを備え、固定ボルト23を締め付けることにより、部材本体21の端面21aと押さえ部材22との間に配置された縦線材11と横線材12とからなるフェンス本体1の交叉部13が挟着され、かつ部材本体21の他方の端面21bに配置された装着物3が係止部材2を介して係止されるように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、縦線材と横線材とからなる格子状のフェンスに関するものであり、特に係止部材を介して照明灯や新聞の受け箱等の装着物が取付けられたフェンスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
住宅の敷地境界部等に沿って取付けられるフェンスは、一般には、敷地境界部を明示する目的や部外者の侵入を防止するために設置されるものであるが、出入り口付近に位置するフェンスにおいては、住民のための照明等や新聞の受け箱などの装着物が設けられる場合がある。この場合、装着物の取付方法は、装着物の裏面にフックや紐等の係止具を取付けてフェンスの線材に引っ掛けるような簡易な方法によるものであった。
【0003】
そこで、特許文献1には、係止片を備えた支持具にて郵便・新聞受箱を支持すると共に該支持具の係止片をフェンス構造体の構成部材に係止させてなる郵便・新聞受箱付きフェンス構造体が提案されている。
【0004】
又、特許文献2には、ベランダ用さくにおいて、装飾付き額縁がはめ込まれる部分を額縁の外形に合わせてくり貫き、額縁を格子パネルに着脱可能に固定したベランダ用さくが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開昭63−53473号公報
【特許文献2】特開2000−136654号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1のフェンス構造体には次のような問題点があった。すなわち、図1に示されるように、支持具と郵便・新聞受箱とを締結する部材、及び支持具の係止片と構成部材とを締結する部材を、それぞれ別々に用意する必要があり、取付作業が煩わしいものであった、又、構成部材の厚さに合う係止片が必要となるため、構成部材の厚さに応じて支持具を準備する必要があった。
【0007】
又、特許文献2のベランダ用さくは、格子パネルに額縁がはめ込まれる部分をくり貫いて設けられるため、額縁の位置調整が困難であった。
【0008】
本発明は、前記の如き問題点を解消し、照明灯、ポスト、新聞の受け箱等の装着物を取付ける際、その取付位置の調整や取付作業が容易になされるフェンスを提供せんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明は次のような構成としている。
【0010】
すなわちこの発明に係るフェンスは、多数の縦線材と横線材とからなる格子状のフェンスに係止部材を介して装着物が係止され、前記係止部材は、部材本体と、該部材本体の一方の端面に相対向して設けられた押さえ部材と、前記部材本体と押さえ部材とを貫通する固定ボルトとを備え、前記固定ボルトを締め付けることにより、部材本体の一方の端面と押さえ部材との間に配置された縦線材と横線材とからなるフェンスの交叉部が挟着され、かつ部材本体の他方の端面に配置された装着物が前記係止部材を介して係止されたことを特徴とするものである。
【0011】
本発明に係るフェンスにおいて、前記固定ボルトを2個左右に設け、かつ部材本体を貫通しない押さえボルトを前記固定ボルトの下方に2個設け、前記2個の固定ボルトと2個の押さえボルトとにより、フェンスの交叉部を部材本体の一方の端面と押さえ部材との間に挟着させると共に、前記2個の固定ボルトの間にフェンスの交叉部の縦線材を配置し、固定ボルトと押さえボルトとの間に横線材を配置するように構成してもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、前記係止部材の固定ボルトを締め付けることにより、部材本体の一方の端面と押さえ部材との間に配置された縦線材と横線材とからなるフェンスの交叉部が挟着され、かつ部材本体の他方の端面に配置された装着物が前記係止部材を介して係止されるので、フェンスの交叉部の任意の箇所に装着物を係止させることができ、しかも固定ボルトの締め付けによりフェンスに対する係止部材の取付作業と、その係止部材を介して装着物の係止作業を一緒にできるので、装着物の係止作業が容易となる。
【0013】
又、本発明に係るフェンスにおいて、前記固定ボルトを2個左右に設け、かつ部材本体を貫通しない押さえボルトを前記固定ボルトの下方に2個設け、前記2個の固定ボルトと2個の押さえボルトとにより、フェンスの交叉部を部材本体の一方の端面と押さえ部材との間に挟着させると共に、前記2個の固定ボルトの間にフェンスの交叉部の縦線材を配置し、固定ボルトと押さえボルトとの間に横線材を配置するように構成すれば、部材本体の一方の端面と押さえ部材との間でフェンスの交叉部を確実に挟着させることができるのでより好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係るフェンスの実施の一形態を示す概略説明図である。
【図2】図1の主要部の拡大側面図である。
【図3】図1の装着物の拡大側面図である。
【図4】本発明に係るフェンスの他の実施形態を示す説明図である。
【図5】図2の係止部材の変形を示す説明図である。
【図6】本発明に係るフェンスの更に他の実施形態を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、本発明を実施するための最良の形態について図面を参照し、具体的に説明する。
【0016】
図面において、1は格子状のフェンス本体、2はフェンス本体1に取付けられる係止部材、3は係止部材2を介してフェンス本体1に係止される装着物であり、本発明に係るフェンスPは、フェンス本体1、係止部材2、装着物3とから主に構成されるものである。
【0017】
図1は、本発明に係るフェンスPの第一の実施形態を示す説明図であり、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は側面図である。フェンス本体1は、多数の縦線材11と横線材12とが格子状に配置されると共に、縦線材11と横線材12とからなる交叉点13において接合されたものである。本実施形態において、縦線材11と横線材12とは、強度的に安定しておりコストの安い鋼線が好適に用いられるが、ステンレス合金やアルミニウム合金等の他の金属からなる線材を用いてもよい。又、フェンス本体1の交叉点13は熔接により接合されているが、クリップ等の接合具によって交叉点13を接合するものでもよい。更に本実施形態では、縦線材11と横線材12の耐食性や耐候性を向上させるためにめっきや塗装が施されている。
【0018】
かかるフェンス本体1は、取付金具4を介して、地表に立設された支柱5に固着されている。前後に間隔をおいて相対してそれぞれ配置されると共に、フェンス本体1の両側端が相対するフェンス本体1に向けてそれぞれ折曲されて側端部14が設けられ、平面視コ字状となされている。そして、相対するフェンス本体1の内側には、支柱5が左右に間隔をおいて立設され、フェンス本体1の側端部14の内側に支柱1が配置されると共に、取付金具4によって該側端部14が支柱1に取付けられたものである。
【0019】
図2は、図1の主要部の拡大図であり、(a)はA−A断面における拡大断面図、(b)はB方向矢視図である。係止部材2は、装着物3をフェンス本体1に係止させるためのものであり、部材本体21と、部材本体21の一方の端面21aに相対向して設けられた押さえ部材22と、部材本体21と押さえ部材22とを貫通する固定ボルト23とを備えており、部材本体21の一方の端面21aから他方の端面21bに向けて貫通する貫通孔21cと、押さえ部材22の一方の端面22aから他方の端面22b向けて貫通する貫通孔22cに固定ボルト23が挿通されている。固定ボルト23のねじ先端には固定ナット24が螺着可能に取付けられており、固定ナット24は、押さえ部材22の端面22b側、又は部材本体21の端面21b側に配置可能であり、固定ボルト23の頭部23aは、前記固定ナット24と逆の位置に配置される。
【0020】
部材本体21は、本実施形態では、アルミニウム合金からなる四角短柱体であるが、鋼材等の他の金属や合成樹脂等から形成されたものでもよく、縦断面形状も四角以外の多角形状や円形状、楕円形状等でもよい。押さえ部材22は、部材本体21と同様にアルミニウム合金からなる四角短柱体であるが、鋼材等の他の金属や合成樹脂等から形成されたものでもよい。又縦断面形状は、部材本体21と同形状の方が、外観上や施工性の点で好ましいが、多角形状や円形状、楕円形状等でもよい。
【0021】
装着物3は、係止部材2の部材本体21の端面21bに配置され、係止部材2を介してフェンス本体1に係止されるものである。
【0022】
かかる装着物3は、図3に示すように、左右方向に長尺となされた照明灯であり、上面に設けられた太陽電池31aによって発電された電力を本体内部の蓄電池(図示せず)に充電して下面に設けられた灯部31bを点灯させるものである。装着物3は、上下方向に長尺の照明灯でもよく、或いは、牛乳や新聞の受け箱、ポスト等のフェンス本体1に対する機能付加を目的として取付けられるものであれば、特に限定されるものではない。
【0023】
装着物3の後部には、図2,3に示すように、係止部材2に係止させるための係止溝31が設けられている。係止溝31は、左右方向に沿って形成され、固定ボルト23の頭部23a又は固定ボルト23に螺着される固定ナット24が挿入可能となされている。そして、前記係止溝31には、内方で突出する係止端縁33が設けられ、前記頭部23a又は固定ナット24が該係止溝31中を摺動可能且つ係止されるようになされている。係止端縁33は、本実施形態では、係止溝31の上下に相対向して設けられているが、少なくとも上下の一方に設けられていればよい。
【0024】
装着物3は、図1に示すように、2個の係止部材2により係止された構造であるが、装着物3を安定的に係止できるのであれば、係止部材2は1個でもよく、或いは必要に応じて係止部材2を3個以上用いてもよい。
【0025】
次に、フェンス本体1と係止部材2との取付構造について詳しく説明する。図2に示すように、係止部材2の部材本体21の端面21aと押さえ部材22の端面22aとの間にフェンス本体1の交叉部13が配置されている。そして固定ナット24を締め付けることにより、前記交叉部13が部材本体21と押さえ部材22との間に挟着される。この際、前記のように、固定ボルトの頭部23aを装着物3の係止溝31に挿入しておけば、前記頭部23aと部材本体21の端面21bとの間に、係止溝31の係止端縁33が挟着され、係止部材2を介して装着物3がフェンス本体1に対して固着される。又部材本体21の端面21aが縦格子11に当接されているため、装着物3の先端部が下方に下がるを抑え、装着物3を安定的に支持することができる。尚、交叉部13において、縦線材11が押さえ部材22側に位置している場合は、部材本体21の端面21aから縦線材11に当接される突設部を設けた形態としてもよい。
【0026】
係止部材2の固定ボルト23は、左右に間隔をおいて2個取付けられており、この固定ボルト23のみを用いれば、フェンス本体1に係止部材2を取付けることが可能であるが、本実施形態では、更に左右の固定ボルト23の下方には、押さえ部材22の挿通孔22dを貫通して、部材本体21を貫通せず、部材本体21のボルト孔21dに螺入される押さえボルト25がそれぞれ設けられている。そして前記2個の固定ボルト23の間及び押さえボルト25との間に交叉部13を形成する縦線材11が配置され、固定ボルト23と押さえボルト25との間に交叉部を形成する横線材12が配置されている。この構造により、部材本体21と押さえ部材22との間にフェンス本体1の交叉部13をより確実に挟着させることができる。
【0027】
固定ボルト23は、悪戯等により容易に外されないようにするために、固定ナット24が螺着されるねじ部に予めねじロック剤等の接着剤や粘着剤を塗布しておき、施工後には容易に外されない構造としてもよい。又、押さえボルト25においては、ねじ頭部の形状を通常のドライバー等では嵌らず、専用ドライバーが嵌合する特殊な形状としてもよい。
【0028】
図4は、本発明に係るフェンスの他の実施形態を示す説明図であり、(a)は正面図、(b)は(a)のC−C断面における拡大分解説明図である。装着物3をフェンス本体1の最上端部の交叉部13に取付ける場合は、予め係止部材2の固定ボルト23の頭部23aを装着物3の係止溝31に挿入し、そして固定ナット24の螺着位置を所定の位置に合わせておけば、係止部材2の部材本体21と押さえ部材22との間に前記交叉部13が配置されるように、フェンス本体1の上方から係止部材2を落とし込むことができるので、係止部材2をフェンス本体1に仮止めすることが可能となり、フェンス本体1に対する装着物3の係止作業が容易となる。前記仮止作業の後に固定ボルト23を増し締めし、そして押さえボルト25を螺着させればよい。
【0029】
図1〜4に示されたフェンスPは、装着物3の係止溝31に係止部材2の固定ボルト23の頭部23aが挿入されたものであるが、係止部材2の固定ナット24が前記係止溝31に挿入された形態でもよい。
【0030】
図5は、押さえ部材22の変形を示す斜視図である。すなわち、図2に示された押さえ部材22は、固定ボルト23及び押さえボルト25が挿通される挿通孔が上下左右に合わせて4個別々に形成されたものであるが、図5に示された押さえ部材22においては、押さえ部材22の下端から上方に向けて切欠部26が設けられると共に、この切欠部26に固定ボルト23及び押さえボルト25が挿通可能となされたものである。これにより、固定ボルト23及び押さえボルト25に押さえ部材22を挿通させる必要がなくなり、切欠部26の下端から固定ボルト23等のねじ部を差し込むことができるので、フェンス本体1に対する係止部材2の取付作業がより容易となる。
【0031】
図6は、フェンス本体1の更に他の実施形態を示す正面図である。本実施形態に係るフェンス本体1は、左右方向に連続的に配置されると共に、取付金具4を介してフェンス本体1の後方に立設された支柱5に取付けられたものである。そして図1〜4に示されたフェンスPと同様に、係止部材(図示せず)を介してフェンス本体1に装着物3が係止させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明によれば、フェンスに対して、照明灯、ポスト、新聞受け箱等の装着物の取付位置の調整や取付作業が容易になされるので、通常のフェンスのみではなく、格子状のフェンス体が用いられた門扉や門柱等に対しても好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0033】
1 フェンス本体
11 縦線材
12 横線材
13 交叉部
2 係止部材
21 部材本体
22 押さえ部材
23 固定ボルト
24 固定ナット
25 押さえボルト
26 切欠部
3 装着物
31 係止部
32 係止溝
33 係止端縁
4 取付金具
5 支柱
P フェンス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数の縦線材と横線材とからなる格子状のフェンス本体に係止部材を介して装着物が係止され、前記係止部材は、部材本体と、該部材本体の一方の端面に相対向して設けられた押さえ部材と、前記部材本体と押さえ部材とを貫通する固定ボルトとを備え、前記固定ボルトを締め付けることにより、部材本体の一方の端面と押さえ部材との間に配置された縦線材と横線材とからなるフェンス本体の交叉部が挟着され、かつ部材本体の他方の端面に配置された装着物が前記係止部材を介して係止されたことを特徴とするフェンス。
【請求項2】
前記固定ボルトは2個左右に設けられ、かつ部材本体を貫通しない押さえボルトが前記固定ボルトの下方に2個設けられて、前記2個の固定ボルトと2個の押さえボルトとにより、フェンス本体の交叉部が部材本体の一方の端面と押さえ部材との間に挟着されるようになされると共に、前記2個の固定ボルトの間にフェンス本体の交叉部の縦線材が配置され、固定ボルトと押さえボルトとの間に横線材が配置されたことを特徴とする請求項1に記載のフェンス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−196383(P2010−196383A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−43288(P2009−43288)
【出願日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【出願人】(000002462)積水樹脂株式会社 (781)
【Fターム(参考)】