説明

フォトニック・バンドギャップ・ファイバ

【課題】 所望の分散特徴を有する光ファイバを設計する。
【解決手段】 本明細書において説明される多くの構造の中には、所望の分散スペクトルを提供するように設計されたフォトニック・バンドギャップ・ファイバが含まれる。さらに、広い伝送帯域およびより低い伝送損失を達成するための設計も議論される。たとえば、いくつかのファイバ設計では、クラッディングにおける高屈折率材料のより小さい寸法および大きなコアのサイズは、広いスペクトル範囲にわたって小さい平坦な分散を提供する。他の例では、コアに最も近い高屈折率リング形領域の厚さは、所望の波長において負の分散またはゼロの分散を提供するように、十分に大きな寸法を有する。さらに、同心状のリングまたは円に沿って分布した低屈折率クラッディングの特徴が、広いバンドギャップを達成するために使用されることが可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、参照によってその全体が本明細書に組み込まれている2004年12月30日に出願された「Dispersion Control in Photonic Bandgap Fibers」という名称の米国仮特許出願60/640345(弁理士整理番号IMRAA.032PR)に対する優先権を主張する。
【0002】
本発明は光ファイバに関し、より具体的には、フォトニック・バンドギャップ・ファイバに関する。
【背景技術】
【0003】
周期的光学媒体のフォトニック・バンドギャップ(PBG)に基づく光導波路の概念は、1978年にYehおよびYarivによる理論論文において初めて提案された(「Theory of Bragg Fibers」、Journal of Optical Society of America、vol.68、第9、1978年9月、1196〜1201ページ)。その21年後に、1999年9月のScienceに発表されたCreganらの論文によって、PBG効果によって誘導される光ファイバが、初めて実際的に実証された(R.F.Cregan、B.J.Mangan、J.C.Knight、T.A.Birks、P.St.J.Russell、P.J.Roberts、およびD.C.Allan:「Single−mode Photonic Bandgap Guidance of Light in Air」、Science、vol.285、1999年9月、1537〜1539ページ)。これらの最初の実証では、光ファイバのクラッディングは、シリカ毛細管を三角形に積み重ねることによって形成され、コアは、中心の大きな空気穴によって形成された。このファイバのクラッディングは、断面が、ブラッグ・ファイバと呼ばれるYehおよびYarivによって当初の1978年の論文において提案された1セットの異なる媒体の同心円ではなかった。しかし、同じ原理が、両方の導波路の基盤を形成する。最初のブラッグ・ファイバの実証は、Journal of Lightwaves Technologyに発表された論文(Y.Fink、D.J.Ripin、S.Fan、C.Chen、J.D.Joannopoulos、およびE.L.Thomas:「Guiding Optical Light in Air Using an All−Dielectric Structure」、Journal of Lightwaves Technology、vol.17、第11、1999年11月、2039〜2041ページ」)においてFinkによって1999年11月に報告された。
【0004】
1999年にフォトニック・バンドギャップ・ファイバ(PBGF)が初めて実証されて以来、進歩が速くなっている。Smithらが、2003年8月にNatureに発表された論文において、損失が13dB/km程度に低いPBGFを報告した(C.M.Smith、N.Venkataraman、M.T.Gallagher、D.Muller、J.A.West、N.F.Borrelli、D.C.Allan、およびK.W.Koch:「Low−loss Hollow−core Silica/air Photonic bandgap Fiber」、Nature、vol.424、2004年8月、657〜659ページ)。他の突破口が、2004年2月のOptical Fiber Communications Conferenceにおける期限後の論文において訪れた(B.J.Mangan、L.Farr、A.Langford、P.J.Roberts、D.P.Williams、F.Couny、M.Lawman、M.Mason、S.Coupland、R.Flea、およびH.Sabert:「Low Loss(1.7dB/km) Hollow Core Photonic Bandgap Fiber」、PDP24、Optical Communications Conference、2004年2月)。Manganらが、損失が1.7dB/km程度に低いPBGFを報告した。
【0005】
この進展は、実世界の応用分野により近い技術をもたらした。応用分野の第1領域は、高エネルギー光パルス伝播である。一般的には、光ファイバに沿って伝播する光パワーは、PBGFの中心に穴を通常備えるコアにある。光は、固体よりはるかに小さい非線形の係数を有する真空、空気、または不活性気体において有効に伝播することができる。さらに、そのような中空コアは、高いピーク・パワーを有する光パルスを伝播させるのに理想的な媒体である。そうでない場合、そのようなパルスは、コア・ガラスの非線形プロセスに起因するパルスのひずみおよび/またはエネルギー損失のために、従来の光ファイバでは相当な距離にわたって誘導されない可能性がある。そのような高ピーク・パワー・パルス伝播の初めての実証が、Ouzounovらによって2003年にScienceの論文において報告された(D.G.Ouzounov、F.R.Ahmad、A.L.Gaeta、D.Muller,N.Venkataraman、M.Gallagher、C.M.Smith、およびK.W.Koch、Science、vol.301、2003年、1702ページ)。キセノン気体が、報告された実験の1つの最中にコアを充填するために使用された。最高で1013W/cmのパルス強度で100mにわたるひずみのない伝送が達成された。
【0006】
精確な分散制御が、長距離伝送およびパルス成形に使用される光ファイバに有用である。非線形性がない場合、分散は、光ファイバを通る伝送中のパルスの展開を規定する。電気通信および光パルスの送達など、パルスの形状が保存される場合、低分散が望ましい可能性がある。特に、広い帯域幅にわたる平坦な低分散が有用であることがある。注目すべき例は、電気通信における波長分割多重化であり、この場合、波長にわたる一定の低分散レベルが、すべての搬送波の波長について一様な性能を提供するように補助することができる。対照的に、所定のレベルのパルス成形が望ましい場合、波長にわたって制御可能な変化量を有する高レベルの分散が、代わりに好ましい可能性がある。注目すべき例は、高エネルギー・パルス・システムにおけるパルス圧縮であり、この場合、公正な量の補償を達成するために、2次および3次の分散の組合せ(β=dβ/dωとしてβおよびβ、βおよびωは伝播定数および光周波数である)を使用することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国仮特許出願60/640345(弁理士整理番号IMRAA.032PR)
【特許文献2】米国特許出願10/844943(弁理士整理番号IMRAA.024A)
【特許文献3】米国特許出願11/134856(弁理士整理番号IMRAA.035A)
【特許文献4】米国特許出願10/814502(弁理士整理番号第IMRAA.023A)
【特許文献5】米国特許出願10/814319(弁理士整理番号第IMRAA.025A)
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】YehおよびYariv、「Theory of Bragg Fibers」、Journal of Optical Society of America、vol.68、第9、1978年9月、1196〜1201ページ
【非特許文献2】R.F.Cregan、B.J.Mangan、J.C.Knight、T.A.Birks、P.St.J.Russell、P.J.Roberts、およびD.C.Allan:「Single−mode Photonic Bandgap Guidance of Light in Air」、Science、vol.285、1999年9月、1537〜1539ページ
【非特許文献3】Y.Fink、D.J.Ripin、S.Fan、C.Chen、J.D.Joannopoulos、およびE.L.Thomas:「Guiding Optical Light in Air Using an All−Dielectric Structure」、Journal of Lightwaves Technology、vol.17、第11、1999年11月、2039〜2041ページ
【非特許文献4】C.M.Smith、N.Venkataraman、M.T.Gallagher、D.Muller、J.A.West、N.F.Borrelli、D.C.Allan、およびK.W.Koch:「Low−loss Hollow−core Silica/air Photonic bandgap Fiber」、Nature、vol.424、2004年8月、657〜659ページ
【非特許文献5】B.J.Mangan、L.Farr、A.Langford、P.J.Roberts、D.P.Williams、F.Couny、M.Lawman、M.Mason、S.Coupland、R.Flea、およびH.Sabert:「Low Loss(1.7dB/km) Hollow Core Photonic Bandgap Fiber」、PDP24、Optical Communications Conference、2004年2月
【非特許文献6】D.G.Ouzounov、F.R.Ahmad、A.L.Gaeta、D.Muller,N.Venkataraman、M.Gallagher、C.M.Smith、およびK.W.Koch、Science、vol.301、2003年、1702ページ
【非特許文献7】Optical Waveguide Theory(ChapmanおよびHall、1983年
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、所望の分散特徴を有する光ファイバを設計する能力が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本明細書において説明される多くの構造の中には、所望の分散スペクトルを提供するように設計されたフォトニック・バンドギャップ・ファイバが含まれる。さらに、広い伝送帯域およびより低い伝送損失を達成するための設計も議論される。
【0011】
以下で説明されるように、たとえば、PBGFの分散は、クラッディングの層を適切に設計することによって特定の応用分野に適合されることができる。たとえば、いくつかの場合、PBGFにおいて所望の分散スペクトルの範囲を得るために、コア・モードとクラッディングの1つまたは複数の最内層との強い相互作用を使用することができる。たとえば、いくつかのファイバ設計では、クラッディングにおける高屈折率材料のより小さい寸法および大きなコア・サイズが、広いスペクトル範囲にわたって小さい平坦な分散を提供する。さらに、同心状のリングまたは円に沿って分布した低屈折率のクラッディング特徴が、広いバンドギャップを達成するために使用されることが可能である。広範な他の設計も可能である。
【0012】
PBGFを製作する技法も、本明細書において説明される。例示的な製作技法には、プレフォームの形成があり、これは、たとえば、数10または数100倍にスケール・アップし、プレフォームを引っ張り、通常は数10から数100マイクロメートルである必要なファイバ直径までプレフォームを低減することが可能であるPBGFの大規模なバージョンである。他の方法が説明される。
【0013】
フォトニック・バンドギャップ・ファイバの様々な応用分野も提示される。本明細書において議論されない他の応用分野も、同様に可能である。
【0014】
たとえば、本発明の一実施形態は、コアおよびコアの周りに配置されたクラッディングを備える、波長λを有する光を伝播させるためのフォトニック・バンドギャップ・ファイバを備える。クラッディングは、屈折率nを有する高屈折率材料によって画定された第1の複数のリング形領域、および低屈折率nを有する第2の複数のリング形領域を備える。第1の複数の高屈折率リング形領域は、平均の厚さdおよび平均の周期Λを有し、それにより比d/Λは約0.3より小さい。クラッディングは、約πラジアンより小さい正規化周波数ν=2πd(n−n1/2/λを有し、コアは、約100nmより大きい波長伝送帯域を有する。
【0015】
本発明の他の実施形態はまた、コアおよびコアの周りに配置されたクラッディングを備える、波長λを有する光を伝播させるためのフォトニック・バンドギャップ・ファイバをも備える。クラッディングは、屈折率nを有する高屈折率材料によって画定された第1の複数のリング形領域、および低屈折率nを有する第2の複数のリング形領域を備える。第1の複数の高屈屈折率のリング形領域は、平均の厚さdを有する。コアに最も近い高屈折率リング形領域は、平均の厚さδを有するコア・クラッディング境界を形成し、それにより、約1ラジアンより小さい正規化周波数ν=2πδ(n−n1/2/λを提供する。
【0016】
本発明の他の実施形態は、約10μmより大きいコアおよびコアの周りに配置されたクラッディングを備える、伝送帯域を有するフォトニック・バンドギャップ・ファイバを備える。クラッディングは、屈折率nを有する高屈折率材料によって画定された第1の複数のリング形領域、および低屈折率nを有する第2の複数のリング形領域を備える。第1の複数の高屈折率リング形領域は、平均の厚さdおよび平均の周期Λを有し、それにより比d/Λは約0.2より小さい。ファイバは、伝送帯域の少なくとも約100nmにわたって約−50ps/nm/kmから50ps/nm/kmの間の分散を有する。
【0017】
本発明の他の実施形態はまた、コアおよびコアの周りに配置されたクラッディングを備える、伝送帯域を有するフォトニック・バンドギャップ・ファイバを備える。クラッディングは、屈折率nを有する高屈折率材料によって画定された第1の複数のリング形領域、および低屈折率nを有する第2の複数のリング形領域を備える。第1の複数の高屈折率リング形領域は、平均の厚さdおよび平均の周期Λを有し、それにより比d/Λは約0.2より小さい。コアに最も近い高屈折率リング形領域は、平均の厚さdより約1.1倍大きい厚さδを有する。ファイバは、伝送帯域の少なくとも約20nmにわたって約−50ps/nm/kmより小さい分散を有する。
【0018】
本発明の他の実施形態は、コアおよびコアの周りに配置されたクラッディングを備える、波長Λを有する光を伝播させるためのフォトニック・バンドギャップ・ファイバを備える。クラッディングは、屈折率nを有する高屈折率材料によって画定された第1の複数のリング形領域、および低屈折率nを有する第2の複数のリング形領域を備える。第1の高屈折率リング形領域は、平均の厚さdを有し、それにより、ファイバは、約(a)0.55πから0.85π、(b)1.05πから1.75π、または(c)2.4πから2.7πの間の正規化周波数ν=2πd(n−n1/2/λに対応する波長において、約100dB/kmより小さい伝送損失を有する。
【0019】
本発明の他の実施形態は、コアおよびコアの周りに配置されたクラッディングを備える、伝送帯域を有するフォトニック・バンドギャップ・ファイバを備える。コアは、屈折率nを有する高屈折率材料によって画定された第1の複数のリング形領域、および低屈折率nを有する第2の複数のリング形領域を備える。第1の複数の高屈折率リング形領域は、平均の厚さdを有し、コアに最も近い高屈折率リング形領域は、最大の厚さdの約0.1倍から5倍である厚さδを有し、それによりファイバは、適合された波長においてゼロ分散を有する。
【0020】
本発明の他の実施形態は、光源、光ファイバ、および少なくとも1つの光検出器を備える気体分析装置を備える。光ファイバは、コアおよびクラッディングを備え、光源に光学的に結合される。光ファイバは、気体を受け取るために、コアまたはコアの近傍において1つまたは複数の穴をさらに備える。少なくとも1つの光検出器は、気体によって影響を受ける光をファイバのコアから受光するように配置される。
【0021】
本発明の他の実施形態は、フォトニック・バンドギャップ・ファイバを製造する方法を備える。方法は、中心の周りに配置された管の複数のリングを形成するように複数の管を構成することと、開領域を提供するように中心から管の少なくとも3つのリングを排除することとを備える。方法は、管を伸張させ、それによりリングおよび開領域のサイズを低減することをさらに備える。
【0022】
本発明の他の実施形態も可能である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1A】コアを形成するために7本の管が除去されている、複数の中空管から作製されたクラッディングを有するフォトニック・バンドギャップ・ファイバ(PBGF)の例を概略的に示す断面図である。
【図1B】コアを形成するために19本の管が除去されている、複数の中空管から作成されたクラッディングを有するフォトニック・バンドギャップ・ファイバ(PBGF)の例を概略的に示す断面図である。
【図2A】より広い伝送帯域幅および低い伝送損失を達成する六角形に構成された微細構造から形成されたクラッディングを有するPBGF設計を概略的に示す断面図である。
【図2B】より広い伝送帯域幅および低い伝送損失を達成する六角形に構成された微細構造から形成されたクラッディングを有するPBGF設計を概略的に示す断面図である。
【図2C】より広い伝送帯域幅および低い伝送損失を達成する六角形に構成された微細構造から形成されたクラッディングを有するPBGF設計を概略的に示す断面図である。
【図2D】より広い伝送帯域幅および低い伝送損失を達成する六角形に構成された微細構造から形成されたクラッディングを有するPBGF設計を概略的に示す断面図である。
【図2E】より広い伝送帯域幅および低い伝送損失を達成する六角形に構成された微細構造から形成されたクラッディングを有するPBGF設計を概略的に示す断面図である。
【図2F】より広い伝送帯域幅および低い伝送損失を達成する六角形に構成された微細構造から形成されたクラッディングを有するPBGF設計を概略的に示す断面図である。
【図3A】様々な直径を有する複数のより大きい同心管、およびより大きな同心管を分離するために使用された複数のより小さい管から形成されたブラッグ・ファイバを概略的に示す図である。
【図3B】様々な直径を有する円形同心管を積み重ね、図3Aに示されたような同心管の間により小さい毛細管を導入することによってPBGファイバを作製する装置および方法を概略的に示す図である。
【図3C】様々な直径を有する円形同心管を積み重ね、図3Aに示されたような同心管の間により小さい毛細管を導入することによってPBGファイバを製作する装置および方法を概略的に示す図である。
【図3D】様々な直径を有する円形同心管を積み重ね、図3Aに示されたような同心管の間により小さい毛細管を導入することによってPBGファイバを製作する装置および方法を概略的に示す図である。
【図4A】同心状の円形経路に沿って配置された複数の微細構造から形成された同心円形リングを備えるPBGファイバを形成するためのプレフォームを概略的に示す図である。
【図4B】同心状の円形経路に沿って配置された複数の微細構造から形成された同心円形リングを備えるPBGファイバを形成するためのパーフォームを概略的に示す図である。
【図4C】図4Aおよび4BのPBGファイバを形成する装置および方法を概略的に示す図である。
【図4D】図4Aおよび4BのPBGファイバを形成する装置および方法を概略的に示す図である。
【図4E】図4Aおよび4Bと同様の同心円形経路に配置された微細構造を備えるPBGファイバにおけるシミュレーションした光学モードを概略的に示す図である。
【図4F】図4Aおよび4Bと同様の同心円形経路に配置された微細構造を備えるPBGファイバにおけるシミュレーションした光学モードを概略的に示す図である。
【図4G】図4Aおよび4Bと同様の同心円形経路に配置された微細構造を備えるPBGファイバにおけるシミュレーションした光学モードを概略的に示す図である。
【図4H】共に融合された円形経路に配置された複数の管から形成された高屈折率の第1の複数の環状リング形領域および低屈折率の第2の複数の環状リング形領域を概略的に示す図である。
【図5】1の屈折率を有する空気に配置された1.45の屈折率を有するガラス・ロッドの15cm湾曲半径について、湾曲損失を示すプロット図である。
【図6】高屈折率および低屈折率の複数の同心リング形領域を備えるブラッグ・ファイバの断面を概略的に示す図である。
【図7A】図6に示されたようなブラッグ・ファイバのシミュレーションから得られるHE11モードを概略的に示す図である。
【図7B】図6に示されたようなブラッグ・ファイバのシミュレーションから得られるHE11モードを概略的に示す図である。
【図8】中心からの半径距離と共に増大する厚さを有する高屈折率および低屈折率の同心リング状領域を備えるチャープ・ブラッグ・ファイバの断面を概略的に示す図である。
【図9】ブラッグ・ファイバにおけるコアのサイズの効果を概略的に示す、波長に対する分散損失および閉込め損失のプロットを示す図である。
【図10】ブラッグ・ファイバをシミュレーションすることによって決定された高屈折率領域の平均の厚さと周期の比(d/Λ)の効果を概略的に示す、波長に対する分散および閉込めの損失のプロットを示す図である。
【図11】高屈折率材料の第1層の厚さと高屈折率層の周期の比の効果を示す、ブラッグ・ファイバの波長に対する分散および閉込めの損失のプロットを示す図である。
【図12】ブラッグ・ファイバのコア半径に対する閉込め損失および有効モード屈折率のプロットを示す図である。
【図13】ブラッグ・ファイバにおける伝送帯域を決定するための計算を概略的に示す図である。
【図14】分析公式と完全数値計算を使用して決定された閉込め損失の比較を概略的に示す図である。
【図15】ブラッグ・ファイバの最小伝送損失を決定する方式を概略的に示す図である。
【図16】ブラッグ・ファイバの高屈折率領域の厚さと周期の比(d/Λ)の効果を示す、正規化周波数に対する分散損失および閉込め損失のプロットを示す図である。
【図17】高屈折率リング状領域の周期Λのみが変化し、一方、幅dが一定に維持されるブラッグ・ファイバにおけるチャープの効果を示す、正規化周波数に対する分散損失および閉込め損失のプロットを示す図である。
【図18】平均の幅dおよび周期Λの両方が変化するブラッグ・ファイバにおける異なるチャープの効果を示す、正規化周波数に対する分散損失および閉込め損失のプロットを示す図である。
【図19】PBGFを組み込む単一スパン電気通信システムを概略的に示すブロック図である。
【図20】PBGFを組み込む複数スパン電気通信システムを概略的に示すブロック図である。
【図21A】PBGFを組み込むファイバ・チャープ・パルス増幅システムを概略的に示すブロック図である。
【図21B】PBGFを組み込むファイバ・チャープ・パルス増幅システムを概略的に示すブロック図である。
【図22A】PBGFを使用するスペクトル伝送測定に基づく気体検出システムを概略的に示すブロック図である。
【図22B】図22Aの気体検出システムにおいて気体と光を組み合わせるためのマルチプレクサの概略図である。
【図22C】図22Aの気体検出システムにおいて気体と光を分離するためのデマルチプレクサの概略図である。
【図23A】PBGFにおける後方ラーマン散乱に基づく気体検出システムの概略図である。
【図23B】図23Aの気体検出システムにおいて気体と光を組み合わせるためのマルチプレクサの概略図である。
【図23C】図23Aの気体検出システムにおいて気体と光を分離するためのデマルチプレクサの概略図である。
【図24A】PBGFにおける前方ラーマン散乱に基づく気体検出システムの概略図である。
【図24B】図24Aの気体検出システムにおいて気体と光を分離するためのデマルチプレクサの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1Aに示されたようなフォトニック・バンドギャップ・ファイバ(PBGF)100が、コア102およびクラッディング104を備え、クラッディングは、コアの周りに六角形の経路に沿って配置された複数の微細構造106を備える。そのようなクラッディング104は、たとえば、小さい薄壁管を三角形のパターンにおいて積み重ねることによって形成することが可能である。図1Aからわかるように、この三角形パターンは、六角形の構成をもたらし、六角形積重ねと呼ぶことも可能である。図1Aに示されたコア102は、六角形の経路の中心から7本の管を排除することによって製作することが可能である。図1Bでは、PBGF100のコア102は、19本の管を残すことによって形成される。図1Bのファイバは、はるかにより大きいコアのサイズを有する。
【0025】
これらのファイバは、管を引っ張ることによって形成することが可能である。クラッディング104は、円形の管を積み重ねることによって創出されるが、ファイバ100の最終的な断面は、引っ張りプロセス中の表面張力と粘性流の相互作用が円形の穴をゆがませるので、通常、円形の穴を含んでいない。穴は、通常、引っ張りの最中に加圧される。この圧力は、最終的な穴の幾何学的形状の決定において主要な役割を担う。
【0026】
管は、中空ガラス管を備えることが可能であり、ガラス部分は、中空部分と比較して相対的に高い屈折率の材料を備え、中空部分は空であり、排気する、あるいは気体または空気で充填することが可能である。引っ張った後、ガラス部分は共に融合して、内部に中空領域を有する高屈折率マトリックスを形成する。ガラス・マトリックス内のこれらの中空領域は、クラッディング104のフォトニック・バンドギャップ閉込めを提供する微細構造106を形成する。
【0027】
しかし、六角形積重ねの中心から7本または19本の管を除去することによって作成されたこれらのファイバ100は、100nmより小さい伝送ウィンドウを有する。それでも多くの応用分野では、はるかにより広い伝送帯域が有用である。本明細書において説明されるように、より広い伝送帯域またはウィンドウは、クラッディングにおいて高屈折率材料の厚さを低減することによって達成することができる。さらに、伝送損失は、クラッディングにおけるこの高屈折率材料の最適化された厚さにおいて最小値を有する。高屈折率クラッディング材料の非常に薄い厚さにおいてより高い漏れ損失を得ることがあり、したがってクラッディングは、もはや良好な閉込めを提供しない。所望のコアのサイズを提供するために、より多数の管または結果的な微細構造を中心から除去することができる。所望のコアのサイズを提供するために、中心において多くの管が除去されている複数の管を備えるプレフォームを下方に引っ張ることができる。クラッディングの寸法は、所望のコアのサイズを与えるように下方に引っ張られるとき、大きく低減することができる。したがって様々な実施形態において、伝送帯域は大きく、一方、伝送損失も大きく低減することが可能である。
【0028】
積み重ねられたプレフォームの図が図2Aに示されており、コア202、管205を積み重ねることによって形成されたクラッディング204を備える。コア管207が、コア202を形成するために使用される。この方法では、高屈折率材料の小さい寸法が、三角形に積み重ねられたクラッディングを使用してコア202を形成するとき、19よりはるかに多い管を除去することによって達成される。次いで、プレフォームは、引っ張った後にあるコアのサイズをもたらすように引っ張られる。クラッディングの寸法は、同様のコアのサイズを有する他の設計と比較して大きく低減される。
【0029】
閉込め損失とは別に、PBGFにおける追加の損失機構は、コアの周りの表面モードの存在に起因する。誘導コア・モード(guided core mode)が、パワーを表面モードに結合することがある。この結合されたパワーの一部は、その後失われる。表面モードの存在は、コアを形成するために規則的なマトリックスにおいて管を除去することの直接的な結果である。しかし、表面モードの数は、コアの周りの高屈折率材料の幅を低減する、または最小限に抑えることによって減少させることが有利にできる。様々な好ましい実施形態では、コア/クラッディング境界の幅は、対応するクラッディングの幅よりさらに大きく低減される。誘導コア・モードとクラッディングにおいて支持されるモードとの間においてよりはるかに強い結合が、誘導コア・モードとこれらの表面モードとの間に存在する。コア/クラッディング境界の幅の低減は、クラッディング構造において高屈折率材料の幅を低減するための上述された技法によって提供される。
【0030】
したがって、PBGファイバにおけるある程度の損失は、コアとコアに最も近い高屈折率材料によって形成されたクラッディングとの境界面の周りに表面モードが存在することによる。この高屈折率材料は、図2Aに示されたような断面において見られるように環状またはリング形とすることが可能である層を備えることが可能である。この高屈折率材料は、相対的に低い屈折率を有する中空コア202の周りに高屈折率の境界を形成する。高屈折率材料層は、コア管205によって少なくとも部分的に形成することが可能である。表面モードは、コアの周りのこの高屈折率境界によって支持される。上述されたように、これらの表面モードは、誘導コア・モードの漏れチャネルとして作用することができる。コア・モードは、パワーをこれらの表面モードに結合することがあり、それによりパワーは、クラッディング・モードまたはより高い可能性で放射モードにさらに結合することにより失われる。この問題を解決する1つの方法は、コアの周りの高屈折率境界の幅を低減することである。高屈折率境界の幅を低減することは、図2Aのコア管205を除去することによって達成することが可能である。改良された設計が、図2Bに概略的に示されており、コア管205は、コア202の周りの高屈折率境界の厚さを低減するために除去されている。図1Aおよび1Bの設計はまた、コア管を除去することから利益を得ることもできる。これらの結果としての設計が、図2Cおよび2Dに示されている。コア/クラッディングはまた、選択的にエッチングすることもできる。
【0031】
さらに、表面モードを排除するために、他のステップを取り入れることができる。この手法では、図2Eに概略的に示されるように、複合構造208が、コア204に最も近い管の代わりに使用される。図示されたように、コアの周りの管のそれぞれは、複合管で置き換えられる。この場合たとえば、12つの複合構造が使用される。複合管または構造208の一例が、図2Fに示されている。この複合構造208は、管210を積み重ね、次いで最終的なプレフォームに組み込むために管を適切なサイズまで下方に引っ張ることによって形成される。たとえば、複合構造を形成する積重ね管の大きな束が、パーフォーム積重ねの管と同じ寸法まで下方に引っ張られる。
【0032】
高屈折率材料の寸法をさらに低減するために、積重ねと引っ張りの繰返しを使用することができる。高屈折率材料の小さい寸法によって利益を得るために、より多くのクラッディング管、具体的にはコア202により近いものを複合構造208によって置き換えることができる。したがって、この手法は、コアの周りのガラスの寸法を大きく低減することができる。図2A〜2Fに示された一般的な手法は、三角形積重ねクラッディングに限定されず、他の積重ね方法において使用することもできる。他の変形形態も可能である。
【0033】
当業者によって使用される様に一貫した方式で本明細書において使用される際、PBGファイバは、主にフォトニック・バンドギャップ効果によって内部において光を誘導するファイバである。フォトニック・バンドギャップ効果は、周期的なクラッディング構造を必ずしも必要とせず、クラッディングによって囲まれる、または部分的に囲まれるコアの誘導モードが、パワーをコアの外部にチャンネリングするためにごく少数の経路を有するように、クラッディングにおいて支持されたごく少数の誘導モードが存在することのみを必要とする。クラッディング構造の断面は、六角形リングの微細構造を提供する管の三角形積重ね構成によって形成された2次元周期構造を備えることが可能である。クラッディング構造はまた、高屈折率光学材料と低屈折率光学材料が交互になっている同心円形リングを備えることも可能である。いくつかの実施形態では、クラッディング構造は、同心円形リングを備え、穴がこれらの同心円の交互リングに位置する。これらのクラッディング設計の共通の特徴は、相対的に高い屈折率および低い屈折率を有する少なくとも2つの光学材料を含むことである。上述されたような様々な利点を提供するために、ある好ましい実施形態では、高屈折率を有する光学材料の物理的寸法は、ごく少数のモードを支持するように十分小さい。クラッディングの典型的な例には、YehおよびYarivによって記述された円筒構造、およびCreganらによって記述された三角形または六角形の微細構造の構成がある。フォトニック・バンドギャップ・ファイバのさらなる議論が、「Large Core Holey Fibers」という名称の米国特許出願10/844943(弁理士整理番号IMRAA.024A)、および「Single Mode Propagation in Fibers and Rods with Large Leakage Channels」という名称の米国特許出願11/134856(弁理士整理番号IMRAA.035A)において提供されており、やはり参照によって本明細書にその全体が組み込まれている。
【0034】
上述されたように、PBGFの伝送帯域幅を増大させ、かつ伝送損失を低減するために、クラッディングによって支持されるモードの数は、低減することが可能であるが、その理由は、これらの支持されたモードは、コアの誘導モードを外部に結合する漏れチャネルとして作用することがあるからである。クラッディングのモードの数を低減する有効な方式は、クラッディングの高屈折率部分の幅を低減するものである。図1Aおよび1Bに示されたようなPBGファイバの高屈折率材料は、複数のリング形領域に含まれている。具体的には、図1Aおよび1Bに示されたリング形領域は、高屈折率材料に位置する開口によって形成された微細構造を有する高屈折率材料を備える。これらのリング形領域は、コアの周りに構成される。隣接するリング形領域はまた、高屈折率材料のウエブによって相互接続される。三角形積重ねクラッディングでは、これらのリングは、六角形の形態を取り、リングがコアから離れるにつれ、サイズが増大する。クラッディングにおける高屈折率リング形領域の幅は、空気充填因子としばしば呼ばれる高屈折率材料と低屈折率を有する内部の開口との面積比ではなく、クラッディングにおいて支持されるモードの数を決定する役割を担う。本明細書において説明されるように、低減されたまたは最小限の伝送損失を提供するクラッディングの高屈折率部分の最適な幅が存在する。この最適な幅の詳細は、複数の同心リング形領域を備えるPBGファイバの例としてブラッグ・ファイバを使用して以下において議論される。
【0035】
円形リング形領域が、図2Cおよび2Dに示された六角形リング形領域と比較して、いくつかの性能上の利点を提供する。これらの利点は、より広い伝送帯域幅およびより低い伝送損失を含むことが可能である。詳細が、ブラッグ・ファイバのシミュレーションの結果と関連して以下において議論される。そのようなブラッグ・ファイバは、コアの周りに交互同心リングまたはリング形領域に構成された高屈折率材料および低屈折率材料を備える。しかし、ブラッグ・ファイバは、低屈折率材料として空気を使用するとき、実施が困難である。
【0036】
図3Aは、高屈折率のほぼ円形の同心リング状領域306および低屈折率のほぼ円形の同心リング状領域308を備えるクラッディング304によって囲まれたコア302を備えるブラッグ・ファイバ300を概略的に示し、低屈折率領域は空気を備える。高屈折率領域306と低屈折率領域308は、交互になっている。これらの領域306、308は、示された断面図からわかるように円形であるが、ファイバ300の縦方向を考慮するときは円筒であることに留意されたい。具体的には、様々な直径の大きな円筒管が、同心リング306を形成するために使用される。小さい管が、スペーサ310として使用される。コア302は、同心領域306、308の中心に配置される。
【0037】
図3Aの設計は、図3Bに示されたような装置312を使用して積み重ねることができる。装置312は、小さい管316を保持する細長いスロットを備える第1ホルダ314を含む。第2ホルダ318が、大きな管320を支持するVグローブのシリーズを備える。装置312は、細長いスロットおよびV溝が図示されている図3Cにさらに示されている。小さい管330を有する第1ホルダ314は、図3Dにさらに示されている。
【0038】
円形積重ねを有する他の設計が、図4Aに示されている。中心開口402が、コアを形成する。より大きな直径の管を備えるコア管403が、コア/クラッディング境界を形成するために使用される。より小さい直径を有する小さい管406が、クラッディングを形成するために使用される。図示された実施形態では、より小さい管406のそれぞれは、同じ直径を有する。小さい管406は、円形パターンにおいて構成される。好ましい実施形態では、コア管403は、図4Bに示されたように除去される。
【0039】
このプレフォームを積み重ねるために使用された装置412が、図4Cに示されている。ホルダ414が、ピン415を保持する開口を含み、ピン415は、小さい管406を保持する。ホルダ414はまた、コア管403を保持するための中心開口417をも含む。完全に積み重ねられたプレフォーム418が、図4Dにさらに示されている。この例では、ホルダは同心円形経路に沿って管を配置したが、ホルダは、あらゆる任意のパターンで構成することができる。
【0040】
積重ねパーフォームが形成された後、2つのテーパが、たとえば、2つの端部において管を共に融合するために、ホルダの近傍の位置において管を加熱することによって、ホルダから短距離離れて作製される。次いで、ホルダを取り外すことができる。積重ねは、より大きな他の管に挿入して、移動バーナで全長にわたって融合することが可能である。積重ねの2つの端部は、表面層をさらにエッチングし、化学蒸着システムなどを使用して高純度のより柔軟なガラスを付着させることを可能にするために切り開かれる。エッチングのプロセスは、表面の汚染を除去することを補助することができる。より柔軟なガラス層を表面層の上に付着させることにより、より滑らかな表面を提供することによって散乱損失を低減することを補助することができる。パーフォームは、ファイバを形成するためにその後引っ張られる。
【0041】
シミュレーションが、図4Eに示されたファイバ420について実施された。図4Eに示されたように、ファイバ420は、同心円形パターンに構成された複数の微細構造424を備える。微細構造424は、マトリックス材料246において形成された穴または開口を備える。穴または開口は、排気され、あるいは、たとえばガラスを備えることが可能であり、かつ相対的に高い屈折率を有するマトリックス材料426と比較して、相対的に低い屈折率をもたらす空気または気体で充填される。マトリックス材料426における微細構造424の構成は、高屈折率材料(ガラス)の同心リング形領域および低屈折率(開口)の同心状リング形領域を創出する。隣接するリング形領域が、高屈折率材料426のウエブ428によって接続される。
【0042】
HE11モードのシミュレーションされた場が、図4E〜4Gに示されている。図4Eは縦方向の電場を示し、図4Fは縦方向の磁場を示し、図4Gは横方向の電場を示す。
【0043】
図4Hは、コア432およびクラッディング434を備える引っ張られたファイバ430の例を示す。穴の境界(小さい管416の側壁)は、コア432の中心を中心とする円形断面を有する第1の複数の同心リングまたはリング形領域431を形成するように接合される。これらのリング状領域431は、ガラスなど、相対的に高い屈折率の材料を備える。リング431は、穴の境界(たとえば小さい管416の壁)の一部から形成されたウエブ433によって共に連結される。これらのウエブ433は、高屈折率材料をも備える。コア432に最も近い層である最内リング形領域431’も示されている。ファイバ430はまた、コア432の中心を中心とする円形断面を有する第2の複数の同心リングまたはリング形領域435をも含む。第2の複数のリング形領域435は、微細構造を形成する排気された、あるいは気体または空気で充填された開口の円形構成を備え、相対的に低い屈折率を有する。第1リング形領域431および第2リング形領域435は、交互になっている。
【0044】
支持された表面モードの数を低減する、または最小限に抑える目的でPBGFのコア/クラッディング境界における高屈折率材料の幅の影響を評価するために、シミュレーションが実施される。具体的には、屈折率nの低屈折率背景に埋め込まれた半径δおよび屈折率nの高屈折率ロッドによって支持されたモードが、波長λについて計算される。この場合、従来の光ファイバについて導出された値Vを使用することができる。
【数1】

【0045】
基本モードのみが、V<2.405のときに支持され、この基本モードはカット・オフされない。少なくとも2つのモードが、基本モードが2重の縮退を有すると考慮される場合、支持される。しかし実際には、支持されたモードは、基本モードが有効には支持されないように、Vが小さいときは弱く誘導される。Vについてこの実用上の限界を得るために、湾曲光ファイバの損失は、Optical Waveguide Theory(ChapmanおよびHall、1983年)においてSnyderおよびLoveによって与えられた損失の公式を使用して決定される。光ファイバにおける電力伝送をRの湾曲半径を有する湾曲ファイバにわたってP(z)=P(0)exp(−γz)として表すことができる場合、ステップ屈折率ファイバの基本モードについての以下の公式においてγを得ることができる。
【数2】

上式で、UおよびWは導波路について通常通り画定され、Kは1次の修正ベッセル関数であり、Δ=(n−n)/nである。小さいVについて、V≒Uである場合、湾曲損失の公式は簡単にすることができる。
【数3】

【0046】
湾曲損失は、15cmの湾曲半径について1の屈折率を有する空気によって囲まれた1.45の屈折率のガラス・ロッドについて計算され、図5に示されている。湾曲損失は、0.5μm、1.0μm、1.5μm、および2μmの4つの波長についてdB/mの単位でプロットされている。湾曲損失は、考慮されたすべての波長について、ほぼV=0.64−0.66において1000dB/mを超える。1000dB/mおよび15cmの湾曲半径の選択の任意性を考慮すると、0.5のVの値が、基本モードのカット・オフについて妥当な実用上のガイダンスを提供する。この例では、0.5のVの値を使用すると、ロッドの直径は、0.5μm、1.0μm、1.5μm、および2.0μmの波長について、76nm、152nm、227nm、および303nm程度に小さい。これらの数字は、実用的な意味においてあらゆるモードを支持しないように、PBGFのコア/クラッディング境界における高屈折率材料の厚さについて、近似的な上限を提供する。この場合δは、高屈折率コア/クラッディング境界の最大の厚さであるように選択される。実際にはこの限界よりかなり小さくなる必要はないが、その理由は、表面モードを排除することについて予期される利益が少なく、一方、第1層が閉込め損失に寄与する利益が、δが過度に小さいときに大きく低減されるからである。誘導モードはまた、コア/クラッディング層が過度に薄い場合、このコア/クラッディング層を貫通する可能性がより高い。これは、閉込め損失の増大に加えて、この層の不完全性のために散乱損失を増大させることがある。この分析は、n=1.45およびn=1.0について行われたが、同じ分析をあらゆる他の2つの材料の組合せについて行うことができる。高屈折率材料の層を有するクラッディングでは、コア/クラッディング境界層の最大の厚さは、上記の限界を満たすことが必要である可能性がある。この設計手法は、高屈折率層がコアおよびブラッグ・ファイバを囲む六角形の形態にあるとき、三角形積重ねクラッディングについて使用することが可能である。この手法はまた、他の設計にも適用可能である。しかし、厚さの値の範囲は、これらの範囲外の値を使用することができるので、限定ではない。他の変形形態も可能である。
【0047】
ガラスと空気の層を交互にすることによって形成されたブラッグ・ファイバが、上記において議論された。ブラッグ・ファイバ600の断面が、図6に示されている。この断面図は、コア602およびクラッディング604を示す。クラッディング604は、交互の高屈折率および低屈折率の複数のリング形領域603、605を備える。高屈折率のリング形領域603は、相対的に高い屈折率を有する材料を備えることが可能であり、低屈折率のリング形領域605は、相対的に低い屈折率を有する材料を備えることが可能である。
【0048】
あるパラメータも、図6に示されている。Λは、周期クラッディングの周期である。dは、高屈折率層(n)603の厚さであり、Dは、低屈折率層(n)605の厚さである。クラッディング領域604の外部の媒体609の屈折率は、nとして定義される。nは、モード閉込め損失の計算を可能にするために、シミュレーションにおいて小さい虚数部分を有する。Nは層の総数である。層が異なる特性を有するとき、各パラメータを表すために添え字nが使用される。nは1からNの間であり、1は最内層を表す。比Rは、d/Λとして定義される。チャープは、(Λi+1−Λ)/Λとして定義され、これは、図6のブラッグ・ファイバのシミュレーションにおいてすべての層について一定のままである。コア602は、ρの半径を有する。以下の値は、具体的に与えられてない場合、シミュレーションにおいて使用される:n=1.45、n=1、n=l+ile−8、p=5μm、R=0.1、A=3.5μm、チャープ=0、および層の数N=10。チャープが導入されるとき、Λ=3.5μmが使用される。すなわち、第1層は変化しなかった。ブラッグ・ファイバ600が、本明細書において議論される様々なシミュレーションについて使用されるにもかかわらず、一般的な結論は、他のタイプのPBGFにも当てはまるはずである。
【0049】
このモデルは、フーリエ・ベッセル級数において分解された場と整合する境界場に基づく。ブラッグ・ファイバのシミュレーションされたHE11モードが、図7Aおよび7Bに示されている。縦方向の電場、縦方向の磁場、および横方向の電場が、図7Aにおいて与えられ、一方、E、H、Eτ、およびEθの径方向の分布が、図7Bにおいて与えられている。
【0050】
2つのタイプのチャープ・ブラッグ・ファイバも研究される。第1のタイプは図8に示され、高屈折率層603の周期Λおよび厚さdの両方とも、層ごとに線形に変化する。第2のタイプのチャープ構造では、周期Λのみが変化し、高屈折率層の厚さdは一定のままである(図示せず)。
【0051】
ファイバ分散に対するコアの半径の効果が、図9に示されている。4つのコア半径15μm、10μm、5μm、および4μmが研究された。モード閉込め損失は点線を使用して示され、分散は実線で示されている。コアのサイズが増大するにつれ、伝送ウィンドウは広がり、分散は全体的に低減される。広いスペクトルにわたる低い平坦な分散を大きなコア・サイズにおいて達成することができる。そのような分散の特徴は、複数の波長が広い波長領域にわたって伝送される電気通信に適している。このシミュレーションの比(d/Λ)は0.1である。
【0052】
比R=d/Λの効果が、図10に示されており、5つの比0.1、0.2、0.3、0.4、および0.5がシミュレーションされた。増大する比Rの最も著しい効果は、伝送ウィンドウを狭くすることである。この効果は、分散を強く増大させることを伴う一方、分散の傾斜も著しく増大させる。したがって、電気通信システムにおいて所望される広いスペクトル範囲にわたる低平坦分散では、小さい比が有用である可能性がある。さらに、小さい比と大きなコアの組合せを使用することによって、広いスペクトル範囲にわたる非常に低い平坦分散プロファイルが可能になる。このシミュレーションのコア・サイズは、5μmである。図9に示されたように、0.1の比および15μmのコア・サイズで、1000nm程度に広い帯域幅にわたる0ps/nm/kmから7ps/nm/kmの間の分散を得ることができる。
【0053】
図11のプロットでは、高屈折率材料603の第1層の比R=d/Λのみが変化した。これらのシミュレーションでは、比は、dの値として第1層603の厚さを使用して決定される。図示されたように、分散およびゼロ分散の波長は、第1層の比を調節することによって修正することができ、一方、伝送は、比Rの変化が過度に大きくない限り、最小限に影響を受ける。この例では、第1層の比は、0.15より小さいとすることが可能である。図11は、第1層603の比R=d/Λ(dは、第1層の厚さである)を増大させることによって、ゼロ分散波長を伝送ウィンドウの中心に向かって著しく移動させることができることを示す。この結果は、著しい伝送損失を生じることなしにスペクトルの高い負分散部分がそれによって使用できるので著しい。
【0054】
Λを比例してスケーリングすることによって曲線を波長にシフトさせることができるので、分散曲線の任意の所望の部分を対象の特定の波長にシフトすることによって、分散曲線の任意の所望の部分を使用することができる。分散の適合は、このようにして任意の波長について行うことができる。比およびコアのサイズの効果が研究されたが、第1層603の屈折率は、PBGFにおいて所望の分散を得るように同様に調節することもできる。
【0055】
図12は、様々なモードの閉込め損失および有効屈折率を計算することによって、様々なコアの半径についてブラッグ・ファイバにおいて支持されるモードの数を示す。図示されたように、コアの半径が10μmより大きいとき、シミュレーションされたすべてのモードについて、低伝送損失を実現することができる。4μmと5μmの間のコアの半径では、HE11モードのみが十分に支持される。4μmより小さいコア半径では、すべてのモードが高い損失を有する。このデータは、単一モード動作について最適なコアのサイズを示す。
【0056】
以下の分析に進む前に、パラメータの追加の定義が以下において与えられる。
:有効屈折率の実数部分
:有効屈折率の虚数部分
λ:光の波長
ν:正規化周波数
k:=2π/λ、真空波の数
β:=β+iβ=2π(n+in)/λ、伝播定数
α:=2πin/λ、閉込め損失
:=k(n−n1/2、高屈折率媒体の横方向波ベクトル
:=k(n−n1/2、低屈折率媒体の横方向波ベクトル
m:伝送帯域または停止帯域の次数、m∈(1,∞)
【0057】
PBGFのある好ましい実施形態では、誘導モードの有効屈折率nは、コアの屈折率nに非常に近い。この近似により、k≒0およびk=k(n−n1/2となる。n≒nの限界では、TE状のモードについて、以下のようになる。
【数4】

【0058】
exp(ikTEΛ)の振幅は、モード場の収束または発散を決定し、ブラッグ・ファイバのバンドギャップは、以下のように決定される。
【数5】

【0059】
exp(ikTEΛ)の振幅は、すべてのTE状モード閉込めの程度の尺度を提供するので、この振幅は、モード閉込め損失に比例する。伝送帯域境界は、|exp(ikTEΛ)|=1によって決定される。正規化周波数が、ν=kd(n−n1/2として定義され、かつn≒nの限界において、ν=kdである場合、伝送帯域の上限は、ν=mπによって決定される。mは、伝送帯域の次数を決定し、かつ整数である。伝送帯域の下限(下方周波数限界)νは、以下の式によって決定される
【数6】

【0060】
図13は、様々な値におけるtan(ν)および2R/(1−R)をプロットする。交点は、下方伝送限界を決定する。複数の伝送帯域は、tan(ν)の周期性の結果である。
【0061】
上方伝送限界は、導波路パラメータに独立であり、下方伝送限界は、Rにのみ依存する。図示されたように、正規化周波数νは、寸法パラメータdにのみ依存し、周期Λには独立になる。したがって、周期Λは、伝送帯域の限界の決定において役割を果たさない。伝送帯域の下限を決定する関係が、図13に示されている。比Rは、伝送帯域の下限の決定において些少な役割を果たす。多くの伝送帯域が、正規化周波数νにおいてπだけ離れて存在する。さらに、下方伝送帯域限界は、Rと共に増大する。伝送帯域は、低屈折率層の幅が狭くなるにつれ、狭くなる。
【0062】
閉込め損失の精確な量は、コアの設計によっても影響を受けるモード場分布によって決定される。|exp(ikTEΛ)|は、閉込め損失に比例し、図14において5つの異なるRの値について正規化周波数νに対してプロットされている。3つの伝送帯域が示されている。図示されたように、上方伝送限界は、Rに独立であり、一方、伝送帯域の下限は、Rに関係する。より小さいRは、より広い伝送帯域およびより低い閉込め損失をもたらす。高次の伝送帯域は、より低い閉込め損失を有する。
【0063】
R=0.4および0.5についての数値シミュレーションが、図14において点によって示されている。図示されたように、数値計算閉込め損失は、スケール因子をある程度調節することで、本明細書において提示された簡単なシミュレーションに十分に適合する。完全な数値結果が、図16において正規化周波数νに対してプロットされたすべてのR値について示されている。図示されたように、数値モデルによって計算された閉込め損失も、本明細書において記載された公式と一貫する。
【0064】
図15は、様々な値におけるtan(ν)/νおよび(R−1)/(R+1)をプロットする。交点は、最小限の伝送を決定する。図15の伝送の最小値は、νoptにおいて生じ、以下によって決定される。
【数7】

【0065】
上式の両側が、図15にプロットされている。(R−1)/(R+1)は、様々なRの値についてプロットされている。交点は、Rに依存する最小伝送点を決定する。伝送の最小値は、Rの増大と共に高いνに向かって移動する。
【0066】
伝送帯域を決定する簡単な方法はTE状モードに基づくので、この方法は、すべてのTEモードおよびHEモードに適用される。TMモードおよびHMモードについての等価な公式は、以下の通りである。
【数8】

【0067】
伝送帯域の上限は、ν=mπによって与えられ、一方、伝送帯域の下限は、以下によって決定される。
【数9】

【0068】
完全な数値シミュレーションが、dが一定に維持され、Λが最内層から増大して変化する場合について実施された。結果が、第1伝送帯域について図17に示されている。層あたり2%より小さい周期の変化では、伝送帯域はほぼ変化しない。層あたり3%を超える周期の変化では、伝送帯域はより浅くかつより狭くなる。この伝送帯域の低減および伝送損失の増大は、外側の層が内部層と同調する良好な閉込めをもはや提供しないためである。この効果は、式6&7の導出においてn≒nであると仮定する結果である。この仮定は、k=0およびDを無関係とする。実際には、nはnに近いが、等しくはなく、それにより、ブラッグ・ファイバの特徴は、弱いD依存性を有する。図17に示されたように、Dの大きな変化は伝送帯域幅を低減し、伝送損失を増大させる。
【0069】
周期が層あたり3%変化する場合、最外層の周期は、最内層の周期より30%大きいことに留意されたい。
【0070】
他のシミュレーションが、様々なチャープを有する同じファイバについて実施された。すなわち、dおよびΛの両方が、最内層から増大して変化する。結果が、図18に示されている。1%のチャープにおいてさえ、上方伝送限界は著しく変化する。2%のチャープでは、伝送帯域は十分に弱く、かつ狭い。
【0071】
これらの結果に基づいて、dおよびDの両方とも、増大したまたは最大の伝送帯域幅、および低減されたまたは最小の伝送損失を提供するように、様々な好ましい実施形態において層ごとに一定に維持される。一定値のdを使用することは、一定値のDを使用するよりも強い効果を有するようである。この理由のために、各周囲の周りの一定のdおよびDも、ある実施形態では使用される。たとえば、三角形積重ねクラッディングでは、コアを囲む各層の周りにおいてdおよびDの両方が変化することにより、ブラッグ・ファイバと比較して、伝送帯域幅全体を低減し、伝送損失を増大させることができる。しかし、ある実施形態では、dおよび/またはDが変化する。
【0072】
図17および18は、外側のクラッディング層が、分散特性に対してより小さい影響を有することを示す。チャープの最も著しい影響は、伝送ウィンドウの低減である。分散は、最内層が同一であるファイバではほとんど変化しない。
【0073】
ブラッグ・ファイバのこれらのシミュレーションでは、伝送帯域幅をさらに低減する表面モードの影響は無視された。上記で議論されたように、表面モードを排除する設計では、δをコア/クラッディング層の最大の厚さとして、V=2πδ*(n−n1/2/λ<0.5である。図14は、小さいRにより広い伝送帯域幅が可能になることを示す。波長ドメインにおける最も広い可能な伝送帯域幅は、νがνからν=πのとき、すなわちλがλmin=2d(n−n1/2からλmax=2πd(n−n1/2/νのときであり、νはRに依存し、式6によって与えられる。上方波長限界λmaxは、νが過度に小さいときの閉込め損失の結果である。下方波長限界λminは、クラッディングにおけるトンネリング・プロセスの存在の結果である。より小さいdは、より下方の伝送帯域限界λminを与える。
【0074】
最低の損失は、可能な最高のmおよびν=νoptにおいて動作するとき、表面モードが欠如した状態で達成することができる。しかし、より高いmではより多くの表面モードが存在する。この事実は、通常、動作する可能な最高のmを限定する。より小さいコア/クラッディングの厚さδにより、表面モードのペナルティを有さずに、より高いmにおいて動作することが可能になり、したがってより低い可能な伝送損失が可能になる。しかし、伝送帯域は、mが増大する際、波長ドメインにおいて狭くなることに留意されたい。
【0075】
図14の結果は、一様なdおよびDが周囲に存在するブラッグ・ファイバに関する。三角形積重ねクラッディングの場合など、dが一様ではない一般的な状況では、最小限の損失は、式7によって決定されるようにν=νoptではもはや生じず、図14の伝送帯域の形状は、もはや当てはまらない。それにもかかわらず、効果は、dおよびDの範囲にわたる合計の効果を考慮することによって研究することができる。有効な最大伝送帯は狭く、最大伝送損失は増大するが、新しい最適値ν=νoptにおいて最低の損失が依然として存在する。したがってある実施形態では、ほぼ一様なdおよびDを有するクラッディングの幾何学的形状を使用することがより良好である。
【0076】
図4Aおよび4Bに示された円筒積重ねクラッディングの設計は、光ファイバの中に引っ張られるとき、図3Aおよび図6に示されたブラッグ・ファイバと同様である。穴は、ファイバを引っ張る最中にわずかに加圧される。これにより、図4Aの管の間のギャップは消滅する。上述されたように、図4Gは、そのような引っ張られたファイバの例を示す。穴の境界は、構造の中心を中心とする同心円形層431を形成するように接合される。円形の層またはリング431は、穴の境界の一部から形成されたウエブ433によって円形の層またはリングの間において連結される。ファイバ430はまた、排気された、あるいは気体または空気で充填された開口の円形構成を備える同心リング435をも含む。
【0077】
したがって、円形パターンに構成された微細構造から形成されたPBGファイバは、ブラッグ・ファイバと同様である。両方とも、高屈折率および低屈折率のほぼリング形の領域を備える。高屈折率および低屈折率のこれらのほぼリング形の領域は同心状であり、コアを中心とする。高屈折率および低屈折率のこれらのほぼリング形の領域リング形領域は、交互になっている。
【0078】
PBGファイバが、図4Eおよび4Fに示されたような複数の微細構造から形成されたクラッディングを備える場合、高屈折率領域の平均の厚さdは、低屈折率領域を通る中心線間において計算することが可能である。これらの中心線は、低屈折率領域を形成する微細構造の中心を通過する。低屈折率領域が円形または環状である場合、これらの中心線は、微細構造が円形または環状の経路に沿って構成されるので、やはり円形または環状である。例示的な中心線A、Bが、図4Fに示されている。一般に、2つの中心線の間隔は、ピッチAに対応する。
【0079】
これらの2つの中心線A、B間の高屈折率材料の平均の厚さは、異なる方式で計算することが可能である。この平均の厚さを決定する1つの方法は、これらの2つの中心線A、B内に位置する高屈折率材料の面積を計算するものである。この面積は、2つの円形または環状の経路の間において、かつそれらに対して等距離にコアの周りに延びる環状経路に沿って一様に分布することができる。2つの中心線間のこの環状経路の幅は、高屈折率材料の平均の厚さdに対応する。この平均の厚さは、クラッディングにわたる平均である厚さdを得るのと同様の方式で、高屈折率材料の他のリングについて計算される。2つの中心線間の高屈折率材料の平均の厚さを計算する他の方式も、使用することが可能である。
【0080】
高屈折率材料の平均の厚さを決定する同じ手法が、他の形状を有する高屈折率のリング形領域にも同様に適用可能である。たとえば、微細構造が、六角形のリングを形成するように構成される場合、中心線が、リングを形成する微細構造の中心を通過するので、中心線は六角形である。これらの六角形の中心線間の高屈折率材料の厚さは、値dを得るように決定することが可能である。高屈折率材料のあらゆる任意の形状の領域について、同じ手法を使用することができ、円形または六角形の形状に限定されるものではない。
【0081】
コアに最も近い最内高屈折率領域の平均の厚さδを決定するために、同様の手法を使用することができる。コアに最も近い微細構造のリングを通る中心線内の高屈折率材料の平均の厚さが決定される。たとえば図4Fでは、中心線Aが使用される。1つの方法では、この第1中心線A内のすべての高屈折率材料の領域が計算され、第1中心線に隣接し、かつ第1中心線によって境界を画定される環状の経路に沿って一様に分布する。したがって、この環状経路の最外境界は、一般に、第1リングの微細構造の中心を通過する。この環状経路の厚さは、平均の厚さδに対応する。上記で議論されたように、六角形または他の形状のリングの平均の厚さは、このようにして同様に計算することが可能である。当業者なら、本明細書において提供される説明に基づいて、高屈折率材料の平均の厚さdおよびδをどのように決定するかを認識するであろう。
【0082】
図9に示されたように数百ナノメートルの広い波長領域にわたる低伝送損失および低分散は、それぞれが異なる波長における数10または数100のチャネルを単一の光ファイバ上で送信することができる電気通信の波長分割多重化システムには非常に有用である。さらに、そのようなシステムはまた、誘導光のほとんどが気体または真空にあるということのために、非線形性が大きく低減されている。この特徴により、より高いパワーがラウンチング(入力)されることが可能になり、結果として増幅のないより高い伝送率および/またはより長い伝送距離が可能になる。
【0083】
図19は、PBGF1905を組み込むそのような電気通信システムを示す。送信器1901からの信号は、マルチプレクサ1902によって多重化され、次いで分散事前補償(分散プリコンペンセーション)ユニット1903によって事前補償され、増幅器1904によって増幅される。PBGF1905の単一スパンが、源から行先までの距離にわたって信号を送信するために使用される。送信された信号は、次いで、増幅器1906によって行先において増幅される。分散補償ユニット1907が、デマルチプレクサ1908の前に使用される。各信号は、複数の受信器1910によって受信される前にあらゆるチャネル依存送信ひずみを除外するために、事後補償(ポストコンペンセーション)ユニット1909によって精細に補償される。図20は、源にある送信器2001、マルチプレクサ2002、事前補償ユニット2003、および増幅器、ならびに行先にあるデマルチプレクサ2012、複数の事後補償ユニット2013、および受信器2014をも含む同様の伝送システムを示す。しかし、図20に示されたシステムでは、PBGF2005、2007、2009の複数のスパンが含まれている。各スパンの追加の分散補償ユニットおよび増幅器2006、2008、および2010も含まれている。光接続が、図19および20に示された光学構成要素の間に提供されるが、これらの光学構成要素間に構造を含むことも可能である。様々なこれらの構成要素が、光ファイバを備えることが可能である。図19および20は、電気通信システムの枢要な構成要素のみを示す。追加の構成要素を追加することができる。同様に、図19および20のいくつかの構成要素は、異なる実施形態では省略する、および/または位置を変更することができる。他の構成および変形形態も可能である。
【0084】
PBGFはまた、超高速光パルスのような光パルスを生成するシステムにおいて使用することもできる。超高速パルス・システムに関する追加の詳細が、参照によって本明細書にその全体が組み込まれている「Pulsed Laser Sources」という名称の米国特許出願10/814502(弁理士整理番号第IMRAA.023A)、および「High Power Short Pulse Fiber Laser」という名称の米国特許出願10/814319(弁理士整理番号第IMRAA.025A)に含まれている。
【0085】
たとえば、図21Aは、分散適合PBGF2106を組み込むファイバ・チャープ・パルス増幅(FCPA)システムを示す。発振器2101からのパルスは、事前チャープ・ユニット2102を使用することによって事前チャープ(プリチャープ)され、次いで前置増幅器2103によって増幅される。主増幅器2105によって次いで増幅されるパルスのサブセットを拾い上げるために、パルス・ピッカ2104を使用することができる。PBGF2106は、増幅されたパルスを圧縮するために使用され、増幅されたパルスは、その後、低分散PBGF送達ファイバ2107によって送達される。光接続が、図21Aに示された光学構成要素間において提供されるが、これらの光学構成要素間に構造を含むことも同様に可能である。様々なこれらの構成要素は、光ファイバまたは光ファイバ・デバイスを備えることが可能である。図21Bには、発振器2110、事前チャープ・ユニット2111、前置増幅器2112、パルス・ピッカ2113、主増幅器2114を備えるファイバ・パルス増幅システムも示されている。しかし、図21Bでは、PBGF圧縮器および送達ファイバは、単一のファイバ2115に組み合わされる。図21Aおよび21Bは、パルス増幅システムの枢要な構成要素のみを示す。追加の構成要素を追加することができる。同様に、図21Aおよび21Bのいくつかの構成要素は、異なる実施形態では省略する、および/または位置を変更することができる。他の構成および変形形態も可能である。
【0086】
低損失および広い伝送帯域を有するPBGFはまた、長い相互作用長により大きく改善された感度で気体分析を追跡するために使用することもできる。図22Aは、スペクトル吸収に基づいて気体に関する測定を検出する、識別する、定量化する、またはそうでない場合は実施するそのようなシステムを示す。同調可能な源2201が、マルチプレクサ2202を経てPBGF2204に光学的に結合され、これにより、PBGF2204のコアに気体を注入することが可能になる。気体フィルタ2203が、気体流の固体粒子を除外するために使用されることが可能である。出力端部において、デマルチプレクサ2205が、気体と光ビームを分離するために使用される。次いで、光ビームは、検出器2207に向けられる。気体の流れを高速化するために、気体ポンプを気体フィルタ2203および/または気体出口2206に接続することができる。
【0087】
図22Bは、封止室2215を備えるマルチプレクサ2202の構成を示す。ファイバ2210によって伝播された源の光は、視準レンズ2212によって視準され、レンズ2213によってPBGF2204の入力端部2211に集束される。気体が、上述されたフィルタを備えることが可能である気体入力2214を経て入力される。デマルチプレクサ2205は、図22Cに示されている。デマルチプレクサはまた、室2218、PBGファイバ2204の出力端部2220、ならびに視準レンズ2222、および集束レンズ2223を備え、集束レンズ2223は、PBGF2204の出力2220から出力された光を受光し、光を出力ファイバ2221に結合する。デマルチプレクサ2205は、気体出力ポート2224をさらに備える。図22Aの同調可能光源2201の代わりに、広い帯域源およびモノクロメータを使用することができる。
【0088】
そのようなシステムでは、気体は、マルチプレクサに導入され、内部の穴または開口を経てPBGFの一部に入る。様々な好ましい実施形態では、コアは中空であり、気体は中空コアに入る。気体は、たとえば、1つまたは複数の波長における吸収のために光を減衰させることによって、光の伝播に影響を与える。したがって気体の吸収スペクトルは、検出器2308およびモノクロメータまたは同調可能フィルタ2307を使用して測定することができる。図22A〜22Cに示されたようなある実施形態では、気体は、PBGF2204を通って流れる。そのような場合、ファイバ2204の長さが長いことにより、気体と光の相互作用を増大させて、より高い信号を提供することが可能である。他の実施形態では、光の他の特性を測定することが可能である。
【0089】
たとえば、図23Aは、ラーマン散乱光の検出に基づく微量気体検出システムを示す。気体はファイバに導入され、測定されるラーマン散乱を生じる。気体は、ファイバの開口に入ることが可能であり、ある好ましい実施形態では、PBGFの中空コアを通って流れることが可能である。上述されたように、PBGFの相互作用長が長いことにより、検出感度の増大が提供される。追加の利点は、ラーマン散乱光の大部分が収集され、またフォトニック・バンドギャップ・ファイバ内において伝播することもできることである。この特徴は、広い伝送帯域、すなわちより大きな固体収集角度を有するPBGFに特に当てはまる。
【0090】
図23Aに示された実施形態では、ラーマン・ポンプ2301が、マルチプレクサ2302を経てPBGF2304に光学的に結合される。PBGF2304の出力端部が、デマルチプレクサユニット2305に光学的に結合される。気体は、固体粒子を除去するフィルタ2303を通って入る。気体は、デマルチプレクサ上の出口2306を通って出る。気体を高速化するために、入口2303および出口2306においてポンプを使用することができる。ラーマン散乱による後方伝播散乱光が、同調可能フィルタまたはモノクロメータ2307に向かって、かつ検出器2308の上に向けられる。同調可能フィルタまたはモノクロメータ2307および検出器2308は、散乱光の波長スペクトルを測定することができる。
【0091】
マルチプレクサ2302は、図23Bに示された封止室2310Aを備える。ポンプ光が、ポンプ源2301に光学的に結合された光ファイバ2310によって搬送され、次いで、視準レンズ2313によって視準される。視準されたポンプ・ビーム2318は、集束レンズ2314によってPBGF2304の入力端部2311に集束される。後方に伝播する散乱ラーマン信号2319が、ラーマン信号のみを反射し、ポンプ光を反射しないように設計されるフィルタ2316によって反射される。ラーマン信号2319は、集束レンズ2315によって、同調可能フィルタまたはモノクロメータに光学的に接続された出力ファイバ2317の上に集束される。気体は、フィルタを備えることが可能である気体入口ポート2312を通って入る。
【0092】
デマルチプレクサ2305が、図23Cに示されている。デマルチプレクサ2305は、封止室2325、およびPBGF2304の端部2320からポンプ光を収集する収集レンズ2322を備える。デマルチプレクサは、PBGF2304を通って伝播するポンプ光を監視するための検出器2324をさらに備える。収集レンズ2322は、PBGF2304の端部2320からのポンプ光を結合し、ポンプ光を検出器2324の上に向ける。
【0093】
図24Aは、前方に伝播するラーマン信号の検出に基づくラーマン検出システムを示す。ある好ましい実施形態では、動作は、高いポンプ電力が存在する場合の増幅のためにはるかにより強い信号が予期される刺激ラーマン体系にある。図23Aに示された構成はまた、刺激ラーマン放出を検出するために、刺激ラーマン・モードにおいて使用することもできる。
【0094】
図24Aに示されたラーマン検出システムは、ラーマン・ポンプ2400、気体入力ポート2401を有するデマルチプレクサ2402、PBGファイバ2403、気体出力ポート2405を有するデマルチプレクサ2404を備える。システムは、デマルチプレクサ2404からラーマン信号を受信するために、デマルチプレクサ2404に光学的に結合された同調可能フィルタまたはモノクロメータ2406をさらに含む。検出器2407も、ラーマン信号を感知するために含まれる。
【0095】
デマルチプレクサ2404は、図24Bに示されている。デマルチプレクサ2404は、気体を包含する封止室2418を備える。ポンプ信号およびラーマン信号が、PGBファイバ2403の出力端部2410によって室2418に導入される。ポンプ信号およびラーマン信号は、視準レンズ2413によって視準される。ラーマン信号2419は、ポンプ光を反射するように設計されるフィルタ2415を通過する。このラーマン信号2419は、レンズ2414によって、光を同調可能フィルタまたはモノクロメータ2406に向けるファイバ2411の上に集束される。ポンプ光2417は、フィルタ2415によって、電力を監視するための検出器2416の上に反射される。マルチプレクサ2420は、図22Bに示されたものと同様である。
【0096】
光接続が、図22A、23A、および24Aに示された光学構成要素間に提供されるが、これらの光学構成要素間に構造を含むことも同様に可能である。様々なこれらの構成要素が、光ファイバまたは光ファイバ・デバイスを備えることが可能である。
【0097】
図22A〜22C、23A〜23C、および24A〜24Bに示されたシステムおよび構成要素は、単なる例である。当業者なら、代替の構成および設計を構想することが可能である。たとえば、図23Bに示されたフィルタ2316は、ポンプ光を反射し、かつ信号を通過させるように設計することができる。ファイバの位置は、そのような実施形態では異なるとすることが可能である。同様に、図24Bのフィルタ2415は、ラーマン信号を反射するように設計することができる。ファイバの位置は、同様に異なるとすることが可能である。図23Cおよび24Bのポンプ監視機能は、排除することができる。光を図22B、22C、22B、22C、および24Bのフィルタおよび検出器に搬送するために使用されるファイバも、バルクな光学機器を使用することによって排除することができる。代替として、光ファイバは、光を誘導するために使用することができる。いくつかの実施形態では、PBGFの端部は、封止することができ、一方、気体は、ファイバの側面上に穿孔された穴を通ってPBGFのコアに入り、PBGFのコアを出ることができる。実際、気体の流れを高速化し、気体をPBGFに沿って一様に分布させるために、ファイバに沿って多くの穴を穿孔することができる。しかし、ある実施形態では、気体は、一方または両方の端面を通ってPBGFに入るおよび/またはPBGFを出る。
【0098】
他の変形形態も可能である。追加の構成要素をシステムに追加することができる。同様に、図22、23、および24のいくつかの構成要素は、異なる実施形態では、省略する、および/または位置を変更することができる。他の構成および変形形態も可能である。構成要素は、異なるように設計することができる。たとえば、他の構成および設計では、マルチプレクサおよびデマルチプレクサを使用することが可能である。ある実施形態では、マルチプレクサまたはデマルチプレクサの一方または両方を排除することが可能である。さらに、本明細書において記載された例示的な応用分野のいずれかにおいて、単一の連続PBGFまたはPBGFの別の部分を使用することが可能である
【実施例】
【0099】
本明細書において説明されたファイバ構造を実施するために、異なる屈折率を有する任意の2つの誘電体媒体を使用することができる。高屈折率材料に適切な候補はガラスであり、特に、物理的特性および光学的特性ならびに耐久性が有利である融合シリカ・ガラスである。低屈折率の媒体は、気体または真空の1つまたは混合物から選択することができる。低屈折率材料のこの選択は、高い非線形閾値、低い散乱および吸収損失、ならびに非常に低い分散を有する。
【0100】
広い伝送帯域を有するPBGFは、電気通信およびスペクトル吸収またはラーマン散乱技法に基づく微量気体分析など、多くの応用分野を有する。そのような広い伝送帯域は、ν<π、すなわちd<0.5λ/(n−n1/2およびR<0.3を有するブラッグ・ファイバにおいて達成することができる。波長のスケーリングにより、任意の波長範囲についてのファイバ設計が可能になる。ファイバの寸法は、波長に比例してスケーリングすることができる。すなわち、波長を2倍にすると、ファイバの寸法は2倍になる。
【0101】
広い伝送帯域はまた、コアの周りの層化クラッディング構造に類似する任意のクラッディング設計において平均の厚さdを低減することによって達成することもできる。200nmの伝送帯域を達成するために低減された平均dが使用される三角形積重ね構造を備えるある実施形態では、ν<πおよびR<0.05である。たとえば、図4において記述された円形積重ね構造では、ν<π、すなわちd<0.5λ/(n−n1/2およびR<0.2で、200nmの伝送帯域を達成することができる。
【0102】
低伝送損失はまた、ある範囲の応用分野にも有利である。損失は、式7によって決定されたνoptにおける動作によって低減する、または最小限に抑えることができる。ある実施形態では、平均の厚さdは、dが周上において変化する場合、νoptを推定するために使用することが可能である。たとえば、R=0.2では、m=1についてνopt≒0.7π、m=2について1.60π、およびm=3について2.56πである。R=0.1では、m=1についてνopt≒0.67π、m=2について1.58π、およびm=3について2.55πである。
【0103】
低分散もまた、電気通信に有用である。ある実施形態では、コアの半径は、20ps/nm/kmより小さい分散を達成するように、10μmより大きくなるように選択することができる。さらに、第1層の厚さδおよび反射率は、分散を適合させるように変更することができる。第1層の厚さδは、dの1%から50%に調節することができる。たとえばいくつかの実施形態では、分散を適合させるために、δ(n−n1/2λ=0.01から2を使用することができる。強い負の分散を達成するために、大きなdを使用することができる。頑強な単一モード動作では、コアの半径ρは、ある実施形態では15μmより小さくすることが可能である。
【0104】
広い帯域伝送帯域では、コア/クラッディング境界上において表面モードを排除することが有用である可能性がある。様々な実施形態において、コア/クラッディング境界のδ(n−n1/2λは、表面モードを完全に排除するために約0.15より小さいことが可能である。第1層の厚さの低減は、閉込めを減少させ、かつ第1層へのモード貫通を増大させ、それにより、第1層からのより高い閉込め損失および散乱損失が得られる。実際には、表面モードの損失と閉込め/散乱の損失の間の兼合いが追及されなければならない。
【0105】
異なる設計および構成を有する他の実施形態が可能であり、上記に限定されるべきではない。さらに、好ましい実施形態の上記の説明は、例示として与えられた。与えられた開示から、当業者なら、本発明およびそれに付随する利点を理解するだけでなく、開示された構造および方法に対する明らかな多様な変更および修正にも気づくであろう。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される本発明の範囲内にあるすべてのそのような変更および修正を網羅することが追及される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
波長λを有する光を伝播させるためのフォトニック・バンドギャップ・ファイバであって、
コアと、
前記コアの周りに配置されたクラッディングであって、クラッディングが、屈折率nを有する高屈折率材料によって画定された第1の複数のリング形領域と、屈折率nの低屈折率を有する第2の複数のリング形領域とを備え、前記第1の複数の高屈折率リング形領域が、平均の厚さdおよび平均の周期Λを有し、それにより、比d/Λが約0.3より小さい、クラッディングとを備え、
前記クラッディングが、約πラジアンより小さい正規化周波数ν=2πd(n−n1/2/λを有し、前記コアが、約100nmより大きい波長伝送帯域を有する、フォトニック・バンドギャップ・ファイバ。
【請求項2】
前記コアに最も近い前記高屈折率リング形領域が、前記平均の厚さdの約2分の1より小さい平均の厚さδを有する、請求項1に記載のフォトニック・バンドギャップ・ファイバ。
【請求項3】
前記伝送帯域が、少なくとも約200nmである、請求項1に記載のフォトニック・バンドギャップ・ファイバ。
【請求項4】
波長λを有する光を伝播させるためのフォトニック・バンドギャップ・ファイバであって、
コアと、
前記コアの周りに配置されたクラッディングであって、クラッディングが、屈折率nを有する高屈折率材料によって画定された第1の複数のリング形領域と、屈折率nの低屈折率を有する第2の複数のリング形領域とを備え、前記第1の複数の高屈折率リング形領域が平均の厚さdを有する、クラッディングとを備え、
前記コアに最も近い前記高屈折率リング形領域が、約1ラジアンより小さい正規化周波数ν=2πδ(n−n1/2λを提供するように、平均の厚さδを有するコア・クラッディング境界を形成する、フォトニック・バンドギャップ・ファイバ。
【請求項5】
前記コアの幅が、λの約10倍と15倍の間である、請求項4に記載のフォトニック・バンドギャップ・ファイバ。
【請求項6】
伝送帯域を有するフォトニック・バンドギャップ・ファイバであって、
約10μmより大きいコアと、
前記コアの周りに配置されたクラッディングであって、クラッディングが、屈折率nを有する高屈折率材料によって画定された第1の複数のリング形領域と、屈折率nの低屈折率を有する第2の複数のリング形領域とを備え、前記第1の複数の高屈折率リング形領域が、平均の厚さdおよび平均の周期Λを有し、それにより、比d/Λが約0.2より小さい、クラッディングとを備え、
ファイバが、前記伝送帯域の少なくとも約100nmにわたって、−約50から50ps/nm/kmの間の分散を有する、フォトニック・バンドギャップ・ファイバ。
【請求項7】
前記分散が、約−20から20ps/nm/kmの間である、請求項6に記載のフォトニック・バンドギャップ・ファイバ。
【請求項8】
前記コアに最も近い前記高屈折率リング形領域が、最大の厚さdの約3分の4より小さい平均の厚さδを有する、請求項6に記載のフォトニック・バンドギャップ・ファイバ。
【請求項9】
伝送帯域を有するフォトニック・バンドギャップ・ファイバであって、
コアと、
前記コアの周りに配置されたクラッディングであって、クラッディングが、屈折率nを有する高屈折率材料によって画定された第1の複数のリング形領域と、屈折率nの低屈折率を有する第2の複数のリング形領域とを備え、前記第1の複数の高屈折率リング形領域が平均の厚さdおよび平均の周期Λを有し、それにより、比d/Λが約0.2より小さく、前記コアに最も近い前記高屈折率リング形領域が、前記平均の厚さdの約1.1倍より大きい厚さδを有する、クラッディングとを備え、
ファイバが、前記伝送帯域の少なくとも約20nmにわたって約−50ps/nm/kmより小さい分散を有する、フォトニック・バンドギャップ・ファイバ。
【請求項10】
前記分散が、約−100ps/nm/kmより小さい、請求項9に記載のフォトニック・バンドギャップ・ファイバ。
【請求項11】
波長λを有する光を伝播させるためのフォトニック・バンドギャップ・ファイバであって、
コアと、
前記コアの周りに配置され、屈折率nを有する高屈折率材料によって画定された第1の複数のリング形領域と、屈折率nの低屈折率を有する第2の複数のリング形領域とを備えるクラッディングとを備え、
前記高屈折率リング形領域が、平均の厚さdを有し、それにより、ファイバが、約(a)0.55πから0.85π、(b)1.05πから1.75π、または(c)2.4πから2.7πの間において、正規化周波数ν=2πd(n−n1/2λに対応する波長において約100dB/kmより小さい伝送損失を有する、フォトニック・バンドギャップ・ファイバ。
【請求項12】
前記伝送損失が、約1.5dB/kmより小さい、請求項11に記載のフォトニック・バンドギャップ・ファイバ。
【請求項13】
伝送帯域を備えるフォトニック・バンドギャップ・ファイバであって、
コアと、
屈折率nを有する高屈折率材料によって画定された第1の複数のリング形領域と、屈折率nの低屈折率を有する第2の複数のリング形領域とを備える前記コアの周りに配置されたクラッディングであって、前記第1の複数の高屈折率リング形領域が、平均の厚さdを有する、クラッディングとを備え、
前記コアに最も近い前記高屈折率リング形領域が、最大の厚さdの約0.1倍から5倍の間の厚さδを有し、それによりファイバが、適合された波長においてゼロ分散を有する、フォトニック・バンドギャップ・ファイバ。
【請求項14】
前記高屈折率リング形領域が、前記高屈折率材料の環状領域を備え、前記低屈折率リング形領域が、低屈折率材料の環状領域を備える、請求項1乃至13のいずれかに記載のフォトニック・バンドギャップ・ファイバ。
【請求項15】
前記高屈折率リング形領域が、間に前記低屈折率領域を画定するように、スペーサによって間隔をおいて位置する前記高屈折率材料の環状領域を備える、請求項1乃至13のいずれかに記載のフォトニック・バンドギャップ・ファイバ。
【請求項16】
前記低屈折率リング形領域がそれぞれ、ほぼリング形のパターンに構成された複数の別の低屈折率微細構造を備える、請求項1乃至13のいずれかに記載のフォトニック・バンドギャップ・ファイバ。
【請求項17】
前記低屈折率微細構造が、六角形のパターンにおいて構成される、請求項16に記載のフォトニック・バンドギャップ・ファイバ。
【請求項18】
前記低屈折率微細構造が、円形のパターンにおいて構成される、請求項16に記載のフォトニック・バンドギャップ・ファイバ。
【請求項19】
前記低屈折率微細構造が、空気または気体で充填された間隙を備える、請求項16に記載のフォトニック・バンドギャップ・ファイバ。
【請求項20】
前記高屈折率リング形領域が、ほぼ同じ厚さを有する、請求項1乃至13のいずれかに記載のフォトニック・バンドギャップ・ファイバ。
【請求項21】
前記高屈折率リング形領域が、ほぼ一定の周期を有する、請求項1乃至13のいずれかに記載のフォトニック・バンドギャップ・ファイバ。
【請求項22】
隣接する高屈折率リング形領域が、前記高屈折率材料のウエブによって接続される、請求項1乃至13のいずれかに記載のフォトニック・バンドギャップ・ファイバ。
【請求項23】
前記高屈折率リング形領域が、ほぼ同心状の円を備える、請求項1乃至13のいずれかに記載のフォトニック・バンドギャップ・ファイバ。
【請求項24】
前記高屈折率リング形領域が、ほぼ同心状の六角形を備える、請求項1乃至13のいずれかに記載のフォトニック・バンドギャップ・ファイバ。
【請求項25】
前記第1の複数が、5つを超える前記高屈折率リング形領域を備える、請求項1乃至13のいずれかに記載のフォトニック・バンドギャップ・ファイバ。
【請求項26】
前記高屈折率材料が、ガラスを備える、請求項1乃至13のいずれかに記載のフォトニック・バンドギャップ・ファイバ。
【請求項27】
前記高屈折率材料が、融合シリカを備える、請求項1乃至13のいずれかに記載のフォトニック・バンドギャップ・ファイバ。
【請求項28】
低屈折率を有する前記第2の複数のリング形領域が、気体、気体の混合物、または真空を備える、請求項1乃至13のいずれかに記載のフォトニック・バンドギャップ・ファイバ。
【請求項29】
低屈折率を有する前記第2の複数のリング形領域が、窒素、アルゴン、ヘリウム、ネオン、クリプトン、キセノン、酸素、またはそれらの任意の組合せを備える、請求項1乃至13のいずれかに記載のフォトニック・バンドギャップ・ファイバ。
【請求項30】
前記コアおよびクラッディングの少なくとも一方が、複屈折性を誘起するために、2重折りたたみの幾何学的形状を有する、請求項1乃至13のいずれかに記載のフォトニック・バンドギャップ・ファイバ。
【請求項31】
前記コアの幅が、約10μmと15μmの間である、請求項1乃至13のいずれかに記載のフォトニック・バンドギャップ・ファイバ。
【請求項32】
請求項1乃至13のいずれかに記載のフォトニック・バンドギャップ・ファイバを備える電気通信システム。
【請求項33】
請求項1乃至13のいずれかに記載のフォトニック・バンドギャップ・ファイバを備えるファイバ・チャープ・パルス増幅システム。
【請求項34】
請求項1乃至13のいずれかに記載のフォトニック・バンドギャップ・ファイバを備える光パワー送達システム。
【請求項35】
光源と、
前記光源に光学的に結合された光ファイバであって、コアおよびクラッディングを備え、前記気体を受け取るために、前記コアまたは前記コアの近傍において、1つまたは複数の穴をさらに備える、光ファイバと、
前記気体によって影響を受けた前記ファイバの前記コアから光を受光するために配置された少なくとも1つの光検出器とを備える、気体分析装置。
【請求項36】
前記光ファイバが、フォトニック・バンドギャップ・ファイバを備える、請求項35に記載の気体分析装置。
【請求項37】
前記コアが、約20μmより大きい幅を有する、請求項36に記載の気体分析装置。
【請求項38】
前記光ファイバが、気体が前記ファイバの前記穴の内および外に流れるのを可能にするように、開口をその側面にさらに備える、請求項35に記載の気体分析装置。
【請求項39】
光ビームおよび前記気体を組み合わせるように構成された少なくとも1つの光および気体マルチプレクサをさらに備える、請求項35に記載の気体分析装置。
【請求項40】
前記光ビームおよび前記気体を分離するように構成された少なくとも1つの光および気体デマルチプレクサをさらに備える、請求項39に記載の気体分析装置。
【請求項41】
ポンプ光とラーマン散乱信号光を分離するように配置された反射性狭帯域フィルタをさらに備える、請求項40に記載の気体分析装置。
【請求項42】
前記検出器が、前記気体を識別する、または定量化する、あるいはその両方のために、前記気体のスペクトル伝送を測定するように構成される、請求項40に記載の気体分析装置。
【請求項43】
前記検出器が、前記気体を識別する、または定量化する、あるいはその両方のために、ラーマン散乱信号を測定するように構成される、請求項40に記載の気体分析装置。
【請求項44】
前記検出器が、後方伝播ラーマン散乱信号を測定するように構成される、請求項43に記載の気体分析装置。
【請求項45】
前記検出器が、前方伝播ラーマン散乱信号を測定するように構成される、請求項43に記載の気体分析装置。
【請求項46】
フォトニック・バンドギャップ・ファイバを製造する方法であって、
中心の周りに配置された管の複数のリングを形成するように複数の管を構成することと、
開領域を提供するように、前記中心から少なくとも3つのリングを排除することと、
前記管を伸張し、それにより前記リングおよび前記開領域のサイズを低減することとを備える、方法。
【請求項47】
管が三角形パターンにおいて構成され、前記リングが六角形である、請求項46に記載の気体分析装置。
【請求項48】
前記少なくとも3つのリングを排除することが、前記中心から管の少なくとも3つのリングを除去することを備える、請求項46に記載の気体分析装置。
【請求項49】
管の少なくとも4つのリングが、前記中心から排除される、請求項46に記載の気体分析装置。
【請求項50】
管の少なくとも5つのリングが、前記中心から排除される、請求項46に記載の気体分析装置。
【請求項51】
前記管が、前記開領域のサイズが所定のコアのサイズにほぼ等しくなるように伸張される、請求項46に記載の気体分析装置。
【請求項52】
前記管が、前記開領域の幅が約10μmから15μmの間であるように伸張される、請求項46に記載の気体分析装置。

【図1A】
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【図1B】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図2E】
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【図2F】
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【図3A】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4H】
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【図5】
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【図6】
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【図7B】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21A】
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【図21B】
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【図22A】
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【図22B】
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【図22C】
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【図23A】
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【図23B】
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【図23C】
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【図24A】
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【図24B】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図4C】
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【図4D】
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【図4E】
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【図4F】
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【図4G】
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【図7A】
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【公開番号】特開2012−88720(P2012−88720A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−259668(P2011−259668)
【出願日】平成23年11月29日(2011.11.29)
【分割の表示】特願2007−549672(P2007−549672)の分割
【原出願日】平成17年12月30日(2005.12.30)
【出願人】(593185670)イムラ アメリカ インコーポレイテッド (65)
【Fターム(参考)】