フォトマスクの修正方法および修正されたフォトマスク
【課題】ArFエキシマレーザを露光光源とし、変形照明による投影露光に用いられる補助パターンを有するフォトマスクにおいて、補助パターンが転写対象面に解像されてしまう場合のフォトマスクを、確実で比較的容易な方法により補助パターンを修正するフォトマスクの修正方法および修正されたフォトマスクを提供する。
【解決手段】透明基板11の一主面上に、投影露光により転写対象面に転写される主パターン12と、主パターン12の近傍に形成された補助パターン13とを有するフォトマスク10において、前記投影露光により補助パターン13が転写対象面に解像されてしまう場合のフォトマスクの修正方法であって、解像されてしまう補助パターン13の表面をエッチングもしくは研削し、補助パターン13が転写対象面に解像されなくなるまで、解像されてしまう補助パターン13の膜厚を薄くすることを特徴とする。
【解決手段】透明基板11の一主面上に、投影露光により転写対象面に転写される主パターン12と、主パターン12の近傍に形成された補助パターン13とを有するフォトマスク10において、前記投影露光により補助パターン13が転写対象面に解像されてしまう場合のフォトマスクの修正方法であって、解像されてしまう補助パターン13の表面をエッチングもしくは研削し、補助パターン13が転写対象面に解像されなくなるまで、解像されてしまう補助パターン13の膜厚を薄くすることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体素子のパターン形成に用いられるエキシマレーザ露光装置などの短波長の露光光源を用いたフォトリソグラフィ技術に使用するためのフォトマスクの修正方法および修正されたフォトマスクに関し、特に、主パターンの近傍に補助パターンを配置したフォトマスクの修正方法および修正されたフォトマスクに関する。
【背景技術】
【0002】
ハーフピッチ65nmから45nm、さらに32nmへと進展する半導体素子の高集積化・超微細化を実現するために、フォトリソグラフィにおいては、露光装置での高解像技術として、投影レンズの開口数を高くした高NA化技術、投影レンズと露光対象の間に高屈折率媒体を介在させて露光を行なう液浸露光技術、変形照明搭載露光技術などが実用されている。
【0003】
フォトリソグラフィに用いられるフォトマスク(以下、マスクとも記す。)における解像度向上策としては、光を通過させる部分と遮光する部分で構成された従来のバイナリマスクの微細化、高精度化とともに、光の干渉を利用した位相シフト効果により解像度向上を図るレベンソン型(渋谷・レベンソン型とも称する。)位相シフトマスク、光を透過させる部分と半透過させる部分で構成されたハーフトーン型位相シフトマスク(以後、単にハーフトーンマスクと言う。)、クロムなどの遮光層を設けないクロムレス型位相シフトマスクなどの位相シフトマスクが用いられている。
【0004】
フォトリソグラフィ技術においては、投影露光装置で転写できる最小の寸法(解像度)は、露光に用いる光の波長に比例し、投影光学系のレンズの開口数(NA)に反比例するため、半導体素子の微細化への要求に伴い、露光光の短波長化及び投影光学系の高NA化が進んでいるが、短波長化および高NA化だけでこの要求を満足するには限界となっている。
【0005】
そこで解像度を上げるために、プロセス定数k1(k1=解像線幅×投影光学系の開口数/露光光の波長)の値を小さくすることによって微細化を図る超解像技術が近年提案されている。このような超解像技術として、露光光学系の特性に応じてマスクパターンに補助パターンや線幅オフセットを与えてマスクパターンを最適化する方法、あるいは変形照明による方法(斜入射照明法とも称する。)と呼ばれる方法などがある。変形照明による投影露光には、通常、瞳フィルタを用いた輪帯照明(Annularとも称する。)、二重極(ダイポール:Dipoleとも称する。)の瞳フィルタを用いた二重極照明および四重極(クロスクワド:Cquadとも称する。)の瞳フィルタを用いた四重極照明などが用いられている。
【0006】
補助パターンを用いる方法は、ウェハ上に転写されるパターン(以後、主パターンと称する。)の近傍に、投影光学系の解像限界以下であってウェハ上には転写されないパターン(以後、補助パターンと称する。)を配置し、主パターンの解像度と焦点深度を向上させる効果を有するフォトマスクを用いるリソグラフィ方法である(例えば、特許文献1参照。)。補助パターンはSRAF(Sub Resolution Assist Feature)とも呼ばれている(以後、本発明では補助パターンをSRAFとも称する。)。
【0007】
しかしながら、半導体素子パターンの微細化に伴って、補助パターンを有するフォトマスクはマスク製作上で困難な点が生じてきた。まず、補助パターンは上述のようにそれ自身ウェハ上に結像しないことが必要であり、主パターンの寸法よりも微小な寸法でなければならない点が挙げられる。その結果、主パターン寸法の微細化に伴い、求められる補助パターンの線幅寸法は数100nmからさらに微小な寸法へと微小化しており、製作上の限界の域に近づきつつある。例えば、ウェハ上で65nm線幅の半導体素子を形成する場合、そのマスク(通常4倍体のパターンを有するレチクル)上の主パターンの線幅寸法は光近接効果補正(OPC)などが加わり、200nm〜400nm程度で形成されているのに対し、補助パターンの線幅寸法は120nm以下となり、マスク作製が極めて難しくなる。上記のように、ハーフピッチ65nm以下のパターンを転写する露光条件では、補助パターンの寸法がマスク製造上の大きな問題となっている。
【0008】
さらに、ハーフピッチ65nm以下のパターンを転写するマスクの転写特性としては、ハーフトーンマスクの方がバイナリマスクよりも良好な転写像が得られる場合が多いので、補助パターンを有するマスクをハーフトーンマスクの構造とする要望も強く、補助パターンを有するハーフトーンマスクも提案されている(例えば、特許文献2、特許文献3、非特許文献1参照。)。しかし、ハーフトーンマスクは転写特性から、通常、マスクパターン寸法にマイナス側のバイアスが入るので、ハーフトーンマスクとして半透明膜で形成された補助パターンの寸法は、遮光膜のみで形成されたバイナリマスクの補助パターンの寸法よりも小さい値が求められる。半導体素子のハーフピッチ45nmから32nmの世代では、半導体のデザインや露光条件によってはマスク線幅で60nm以下の補助パターン寸法が要求されるまでになっている。
【0009】
特許文献2には、ハーフトーンマスクによる補助パターンの微細化への対応として、半透明パターンを透過する光と透明基板の透明領域を透過する光に180度の位相差を生じさせ、かつ半透明補助パターンを透過する光と透明基板の透明領域を透過する光には50度より小さい範囲の所定の位相差を生じさせ、半透明パターンのフォーカス特性を平坦にするフォトマスクが提案されている。図16は、特許文献2に示されたフォトマスクの平面図(同図(a))、縦断面図(同図(b))である。特許文献2によるフォトマスクは、主パターンであるラインパターンの近傍に設けた補助パターンを主パターンと同寸法で形成することも可能にしている。
【0010】
特許文献2に記載された補助パターンを有するハーフトーンマスクは、図16に示すように、主パターン1である半透明パターンの線幅がウェハ上で0.3μmのラインパターン、半透明補助パターン2が主パターン1の左右に同じ線幅のラインパターンで設けられたマスクで、主パターン1は半透明膜302上にさらに透明膜304を成膜して重ねて2層構成とし、2層膜よりなる半透明主パターン1を透過する光と透明基板301の透明領域を透過する光に180度の位相差を生じさせ、一方、半透明補助パターン2を透過する光と透明基板301の透明領域を透過する光に50度より小さい範囲の所定の位相差を生じさせ、半透明パターンのフォーカス特性を平坦にしたマスクである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開平7−140639号公報
【特許文献2】特許第2953406号
【特許文献3】特開2003−302739号公報
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】N.V.Lafferty,et al.,Proc.of SPIE Vol.5377,381−392(2004)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、特許文献2に記載された補助パターンを有するハーフトーンマスクは、露光光源に水銀灯のi線(365nm)あるいはKrFエキシマレーザ(248nm)を用い、投影光学系の開口数NAが0.6と小さく、ウェハ上のパターン寸法が0.3〜0.35μmのサブミクロン単位の半導体素子を対象とした世代のマスクであり、現在実用化が進められているArFエキシマレーザを露光光源とし、NAを1以上、望ましくは1.3〜1.35前後の高NAの露光装置に用いられ、ウェハ上のパターン寸法がハーフピッチ65nm以下、さらには45nm、32nmの半導体素子用のマスクとして用いるには、次のような問題があった。
【0014】
すなわち、プロセス定数k1が小さくなるに従い、主パターンの解像性を向上させるために変形照明が用いられるが、それに伴い補助パターンも解像しやすくなってしまうという問題があった。さらに変形照明の斜め入射照射により、マスク基板面に垂直方向のマスクの厚みによる立体的な効果(マスクの3次元効果)で補助パターンが転写対象面に解像しやすくなるという問題が生じてきた。特許文献2に記載された補助パターンを有するハーフトーンマスクは、たとえ主パターンの位相差が所定の範囲内であっても、3次元効果により補助パターンが解像してしまい、しかもデフォーカスに対して寸法変動が非対称になり、転写画像の品質が低下して実用に適しないという問題が生じていた。本来、補助パターンは転写対象面に解像しないようにマスク設計しているので、必ずしも複数の補助パターンのすべてが転写されるわけではないが、補助パターンの一部、例えば、主パターンに近接した補助パターンあるいは近接した補助パターンの一部などが解像してしまうという問題が生じていた。
【0015】
上記の補助パターンあるいはその一部が転写対象面に解像してしまう原因としては、マスク設計ソフトの精度が悪いためにマスク設計段階に不備がある場合、実際に作製された補助パターン寸法の誤差が大きい場合、半導体露光装置の光学系が微妙に誤差を有している場合、半導体用レジストの特性の問題など、様々な要因が考えられている。
【0016】
上記のように、補助パターンを設けたフォトマスクが強く求められてはいるものの、半導体素子パターンの微細化に伴って、微細パターンの限界に近い領域でパターン転写を行うために、露光転写後に補助パターンが転写対象面に解像してしまうという問題が生じ、転写されてしまう補助パターンのマスクを修正するために、補助パターン線幅をさらに小さく修正して解像しないように試みようとしても、マスク線幅で例えば60nm以下の補助パターンをさらに僅かな幅で修正するのは困難であり、再度、フォトマスクを製造しなければならないという問題があった。
【0017】
そこで、本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものである。すなわち、本発明の目的は、ArFエキシマレーザを露光光源とし、変形照明による投影露光に用いられる補助パターンを有するフォトマスクにおいて、補助パターンが転写対象面に解像されてしまう場合のフォトマスクを、確実で比較的容易な方法により補助パターンを修正するフォトマスクの修正方法および修正されたフォトマスクを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記の課題を解決するために、本発明の請求項1の発明に係るフォトマスクの修正方法は、ArFエキシマレーザを露光光源とし、変形照明による投影露光に用いられ、透明基板の一主面上に、前記投影露光により転写対象面に転写される主パターンと、前記主パターンの近傍に形成された補助パターンとを有するフォトマスクにおいて、前記投影露光により前記補助パターンが前記転写対象面に解像されてしまう場合のフォトマスクの修正方法であって、前記解像されてしまう補助パターンの表面をエッチングもしくは研削し、前記補助パターンが前記転写対象面に解像されなくなるまで、前記解像されてしまう補助パターンの膜厚を薄くすることを特徴とするものである。
【0019】
請求項2の発明に係るフォトマスクの修正方法は、請求項1に記載のフォトマスクの修正方法において、前記エッチングもしくは研削して薄くした修正後の前記補助パターンの膜厚と、修正前の前記補助パターンの膜厚との膜厚差が、1nm〜40nmの範囲であることを特徴とするものである。
【0020】
請求項3の発明に係るフォトマスクの修正方法は、請求項1または請求項2に記載のフォトマスクの修正方法において、前記エッチングが電子ビームマスク修正機の電子ビームを用いたガスアシスト・エッチングであり、前記研削が原子間力顕微鏡の探針を用いた研削であることを特徴とするものである。
【0021】
請求項4の発明に係るフォトマスクの修正方法は、請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載のフォトマスクの修正方法において、前記主パターンと前記補助パターンとが半透明膜で構成されており、前記主パターンの膜厚が、前記主パターンを透過する光と前記透明基板の透明領域を透過する光とで180度の位相差を生じる膜厚であることを特徴とするものである。
【0022】
請求項5の発明に係るフォトマスクの修正方法は、請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載のフォトマスクの修正方法において、前記主パターンが遮光膜から構成され、前記補助パターンが半透明膜よりなることを特徴とするものである。
【0023】
請求項6の発明に係るフォトマスクの修正方法は、請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載のフォトマスクの修正方法において、前記主パターンと前記補助パターンとが遮光膜で構成されていることを特徴とするものである。
【0024】
請求項7の発明に係るフォトマスクの修正方法は、請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載のフォトマスクの修正方法において、前記主パターンおよび前記補助パターンがいずれもラインパターンであり、前記主パターンが孤立パターンまたは周期パターンであることを特徴とするものである。
【0025】
請求項8の発明に係るフォトマスクは、請求項1から請求項7までのいずれか1項に記載のフォトマスクの修正方法により補助パターンが修正され、修正後の前記補助パターンの膜厚が修正前の前記補助パターンの膜厚よりも薄いことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0026】
本発明のフォトマスクの修正方法によれば、本来転写対象面に転写されてはいけない補助パターンが、転写対象面に解像してしまう場合のフォトマスクの修正方法において、解像されてしまう補助パターンの表面をエッチングもしくは研削し、補助パターンが転写対象面に解像されなくなるまで補助パターンの膜厚を薄くすることで、補助パターンが転写されてしまう問題を解決し、補助パターンとしての焦点深度拡大効果を保ちつつ、コントラストの高い転写画像を形成するフォトマスクに修正することができる。本発明のフォトマスクの修正方法は、従来の方法である補助パターンの線幅方向の修正とは異なり、補助パターンを厚み方向に薄膜化して修正する方法であって、補助パターンを有するフォトマスクを容易な方法で確実に修正することが可能となる。
【0027】
本発明の修正方法によるフォトマスクによれば、補助パターンが転写対象面に転写されてしまうフォトマスクを、補助パターンを厚み方向に修正することにより、補助パターンが転写対象面に転写されず、焦点深度拡大効果を有し、コントラストの高い転写画像を形成する高品質なフォトマスクを得ることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の補助パターンを有するフォトマスクの修正方法の一実施形態を示す断面模式図である。
【図2】本発明の補助パターンを有するフォトマスクの評価に用いたCquad瞳フィルタで、同図(a)はCquadの平面模式図、同図(b)はCquadを用いてマスクに露光光を照射したときの斜視模式図である。
【図3】本発明の補助パターンを有するフォトマスクにおいて用いた評価パターンの一例で、評価パターンの位置と光強度との関係を示す空間像の図である。
【図4】本発明の修正方法を適用し得る補助パターンを有するフォトマスクの例を示す部分断面模式図である。
【図5】SRAFのCDを変えたとき、SRAF膜厚差とSRAFの光強度/スライスレベルとの関係を示す図である。
【図6】SRAFのCDを変えたとき、ウェハ上の主パターン端のラインCDとデフォーカスとの関係を示す図である。
【図7】ハーフトーンマスクとバイナリマスクにおいて、ウェハ上でのSRAFのCDに対して、光強度閾値のスライスレベルに対するSRAF部光強度の比を示す図である。
【図8】実施例においてテスト試料によるSRAF部分の薄膜化処理後のSEM写真である。
【図9】テスト試料でSRAF部を部分的にエッチングした後のリソグラフィシミュレーション顕微鏡によるウェハ上光強度分布の平面状態を示す画像である。
【図10】実施例におけるSRAF部分の薄膜化処理前のパターン位置と光強度との関係を示す空間像の図である。
【図11】図10の部分拡大図で、繰り返し端主パターンと補助パターンS1のSRAF薄膜化処理前のパターン位置と光強度との関係を示す空間像の図である。
【図12】図11に対する比較参考図であり、SRAFが無い場合の繰り返し端の主パターンと補助パターンS1のパターン位置と光強度との関係を示す空間像の図である。
【図13】実施例におけるSRAF部分の薄膜化処理後のパターン位置と光強度との関係を示す空間像の図である。
【図14】図8、図9の破線部内の状況を示し、図13の部分拡大図で、繰り返し端主パターンと補助パターンS1のSRAF薄膜化処理後のパターン位置と光強度との関係を示す空間像の図である。
【図15】SRAF薄膜化処理による繰り返し端主パターンの焦点深度を示す図である。
【図16】特許文献2に記載の従来の半透明補助パターンを有するフォトマスクの平面図および縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明のフォトマスクの修正方法が対象とするフォトマスクは、ArFエキシマレーザを露光光源とし、変形照明による投影露光に用いられるマスクであり、好ましくはウェハ上のハーフピッチが65nm以下、さらには45nm、32nmの微細な半導体素子形成に用いられることを対象とする補助パターンを有するマスクである。
【0030】
(補助パターンを有するフォトマスクの転写特性)
本発明の修正方法について述べる前に、まず補助パターンを有するフォトマスクの転写特性について、ハーフトーンマスクを例にして説明する。本発明者は、ウェハ上にハーフピッチ45nm以下の細密パターンを形成するための補助パターンを有するハーフトーンマスクの転写特性を、バイナリマスクと比較しながら、シミュレーションにより調べた。
【0031】
シミュレーションにおいては、マスクパターンの転写特性を見積もるためのシミュレーション・ソフトウェアとして、EM−Suite(商品名:Panoramic Technology社製)を用いた。主なシミュレーション条件は、ArFエキシマレーザ(193nm)を照明光源とし、NAは1.35、変形照明として、図2に示すCquad瞳フィルタ21を用いた。同図(a)はCquad21の平面模式図、同図(b)はCquad21を用いてマスク23に露光光を照射したときの斜視模式図である。Cquad21は、扇状光透過部の開口角35度、外径0.9、内径0.7(瞳フィルタの半径を1とする)とした。マスク23としては、従来の一般的なモリブデンシリサイド系の露光波長193nmにおける透過率6%のハーフトーンマスク(6%ハーフトーンと記す)と、比較のためモリブデンシリサイド系のバイナリマスクを用いた。ウェハ上のターゲットライン寸法は45nm、パターンはピッチ90nm(ハーフピッチ45nm)のライン/スペース繰り返しパターンとした。
【0032】
図3は、シミュレーションに用いた評価パターン(同図(a))と、評価パターンの位置に対応した光強度を示す空間像の図(同図(b))である。評価パターンは、主パターンとしてハーフピッチ45nmのライン/スペースが9本、端の主パターンの解像性を向上するために、主パターンの両端にSRAFを2本(SRAFのハーフピッチは主パターンと同じ)入れて一組とし、400nmのスペースを挟んだ繰り返しパターンである。主パターン、SRAFともに上記の6%ハーフトーンである。
【0033】
次に、上記の補助パターンを有するハーフトーンマスクにおいて、ライン/スペースパターンの端の補助パターン(SRAF)の転写性について説明する。図3では、横軸に主パターンとSRAFの一組のパターン位置、縦軸にパターンがない透過部の光強度を1としたときの規格化した光強度を示しており、図中の横実線で示すスライスレベルは、規格化された光強度閾値である。主マスクパターンの寸法によってスライスレベルは変わる。図中に矢印で示すSRAF部の最小光強度がスライスレベルよりも下がると、SRAFがウェハ上に解像してしまうことを意味する。
【0034】
図7は、上記のシミュレーションにより得られた主パターンと補助パターン(SRAF)の膜厚が同じ場合のハーフトーンマスクとバイナリマスクにおける、ウェハ上でのSRAFのCD(横軸)に対して、規格化された光強度閾値のスライスレベルに対するSRAF部の光強度の比(縦軸)を示す図である。ハーフトーンマスク(図中の三角点)は、主パターンのCDが3通り(ウェハ上で32nm;36nm;40nm)の場合を示す。上記の比が1以下であるとSRAFは転写されてしまうので、SRAFが転写されないようにするには上記の比を1を超えた値にしなければならない。図中に点線で示すハーフトーンマスクの主パターンCDが32nm(マスク上では128nm)のときには、SRAFのCDを14nm(マスク上では56nm)以下にしないとSRAFが解像してしまうことになる。
【0035】
上記は、SRAFを有する6%ハーフトーンマスクを用いた場合のシミュレーション結果であり、ハーフトーンマスクの主パターンCDが32nmと微細なときには、SRAF寸法が極めて小さくなり、実際のマスク製造が困難であることがわかる。
【0036】
<本発明のフォトマスクの修正方法>
次に、上記の結果を参考にしながら、本発明のフォトマスクの修正方法の実施形態について、図面に基づいて詳細に説明する。以下のマスクパターンの転写特性の説明では、上記の図2に示すCquad瞳フィルタ21を用い、シミュレーション・ソフトウェアとして、EM−Suite(商品名:Panoramic Technology社製)を用いた。主なシミュレーション条件は、ArFエキシマレーザ(193nm)を照明光源とし、NAは1.35である。評価パターンは、上記の図3(a)に示すパターンを用いている。
【0037】
図1は、本発明の補助パターンを有するフォトマスクの修正方法の一実施形態の工程概要を示す断面模式図であり、ライン/スペースパターンを設けたハーフトーンマスクの場合を例示している。図1(a)は、修正前のフォトマスクの断面模式図であり、合成石英基板などの透明基板11上に、露光光を所定の透過率で透過し位相を変える主パターン12が設けられ、主パターン12は単層の半透明膜14で構成され、主パターン12の近傍に、主パターン12と同一材料で同一膜厚の半透明膜で構成された補助パターン(SRAF)13が形成されたハーフトーンマスク10である。図1では、主パターン12、補助パターン13ともに2本で、マスクパターンの一部しか示していないが、もとよりこれに限定されるわけではない。また、主パターンは孤立パターンまたは周期パターンであってもよい。
【0038】
本実施形態の補助パターンを有するハーフトーンマスク10は、主パターン12を透過する露光光と透明基板11のパターンのない透明領域を透過する露光光とで180度の位相差を生じさせるように設定されている。位相差の測定は、位相シフト量測定装置(例えば、レーザテック社製:MPM193)で行うことができる。
【0039】
ここで、図1(a)に示すハーフトーンマスク10は、ArFエキシマレーザを露光光源とし、変形照明による投影露光によりウェハ上にマスクパターンを転写したときに、主パターン12に近接した補助パターン13aおよび13bが、転写対象面のウェハ上に解像されてしまうマスクである。
【0040】
図1(b)は、上記のウェハ上に補助パターン13aおよび13bが解像されてしまうフォトマスクの修正中の状態を示す断面模式図である。上記の転写対象面に解像されてしまう補助パターン13aおよび13bは、マスク上に本来あってはならない不要な余剰欠陥いわゆる「黒欠陥」と呼ばれている欠陥とは異なる性質のものであり、ウェハ上へのマスクパターン形成にとって必要不可欠な領域である。マスク上の転写対象面に解像されてしまう補助パターン13aおよび13bは、黒欠陥を検出する従来のマスク欠陥検査装置では欠陥として検出することができない。解像されてしまう補助パターン13aおよび13bの検出は、例えば、エアリアルイメージ測定システム(Aerial Image Measurement System:カールツァイス社製、AIMS(登録商標)と略称される。以後、AIMSとも記す。)などのリソグラフィシミュレーション顕微鏡を用いた検証や、実際の露光装置での露光テストで行うことができる。
【0041】
本発明の修正方法においては、転写対象面に解像されてしまう補助パターン13aおよび13bの該当する領域の表面をエッチングもしくは研削し、補助パターン13aおよび13bが転写対象面であるウェハ上に解像されなくなるまで、補助パターン13aおよび13bの該当する領域の膜厚を薄くするものである。図1(b)は、一例として、電子ビームマスク修正装置により、ウェハ上に解像されてしまう補助パターン13aの領域をエッチングして膜厚を薄くして修正している場合を例示している。
【0042】
修正においては、必ずしも1ラインあるいは複数ラインの補助パターン全面をエッチングして薄膜化する必要はなく、解像されてしまう補助パターンの領域のみをエッチングして膜厚を薄くすればよい。もとより、1ラインの補助パターン全面が転写されてしまう場合には、1ライン全面の膜厚を薄くすればよく、複数のラインの補助パターン全面が転写されてしまう場合には、複数のライン全面の膜厚を薄くすればよい。
【0043】
上記の転写対象面に解像されてしまう補助パターン13aおよび13bの表面をエッチングもしくは研削する工程において、補助パターン13aをエッチングもしくは研削して取り除くべき膜厚は、あらかじめシミュレーションにより求めておくことができる。
【0044】
図1(c)は、転写対象面に解像されてしまう補助パターン13aおよび13bの表面をエッチングして膜厚を薄くして補助パターン13a´、13b'とした修正後のフォトマスクの状態を示す断面模式図である。修正箇所は、エッチングにより膜厚差Tだけ修正前の膜厚よりも薄くなっている。
【0045】
本発明において、上記の転写対象面に解像されてしまう補助パターンの領域の膜厚を薄くする方法としては、従来フォトマスク上の黒欠陥の修正に用いられてきた各種の方法を適用することができる。例えば、集束イオンビーム(FIB)マスク修正装置のイオンビームを用いたガスアシスト・エッチング方法、あるいは上記の図1(b)に示すように、電子ビーム(EB)マスク修正装置の電子ビーム(EB)を用いたガスアシスト・エッチング方法、あるいは原子間力顕微鏡(AFM)の探針を用いて欠陥を有する補助パターンを物理的に研削する方法、あるいはマスク上にレジストパターンを形成して補助パターンの欠陥領域のみを露出させ、ドライエッチングにより選択的に欠陥領域の膜厚を薄くする方法などが用いられる。
【0046】
しかし、上記の方法のうち、FIBマスク修正装置によるガスアシスト・エッチング方法は、イオンビームとして通常用いるガリウムが透明基板に打ち込まれガリウムステインという現象により修正部位の光透過率を低下させたり、あるいは修正部位の周辺の透明基板にオーバーエッチングによるリバーベッドと呼ばれる透明基板の掘り込み現象が発生しやすい。また、レジストパターンを形成する方法は、レジスト塗布、パターン描画、レジスト剥膜の工程が必要であり、修正工程が長くなるという問題を生じる。
【0047】
一方、EBマスク修正装置によるガスアシスト・エッチング方法は、一例として、図1(b)に示すように、欠陥を有する補助パターン13aに絞り込まれて走査する電子ビーム16の近くのガスノズル15から、エッチングに最適なアシストガスが吐出され、ガスの分子が修正すべき補助パターン13a表面に付着し、電子ビームにより化学反応が引き起こされ、補助パターン材料を揮発性の物質に変えてエッチングが行われる方法で、微細パターンに適し、修正箇所に損傷を与えない方法である。修正箇所の確認は、EBマスク修正装置に備えられたSEMで行う。上記のEBマスク修正装置としては、例えば、MeRiT 65(カールツアイス社製)などがある。
【0048】
また、AFMの探針で研削する方法は、ダイヤモンド針などの硬い探針に一定の加重をかけて、欠陥を直接削り取る方法で、カンチレバーの先端に探針を取り付け、原子間力顕微鏡の原理を用いてカンチレバーを制御している。修正箇所の確認は、AFMに備えられたSEMで行い、修正すべき欠陥を有する補助パターン表面を探針で走査し、次に欠陥そのものを探針で削り取る方法である。微細パターンの修正に適し、削除する面積、膜厚が小さい場合に適する方法である。上記のAFMの探針を用いたマスク修正装置としては、例えば、RAVEnm650(RAVE社製)などがある。
【0049】
したがって、本発明においては、微細パターンを形成した補助パターンの膜厚を薄くする方法としては、上記のEBマスク修正装置によるガスアシスト・エッチング方法あるいはAFMの探針で研削する方法がより好ましい。
【0050】
本発明において、図1(c)に示すように、エッチングもしくは研削して薄くした修正後の補助パターン13a´、13b'の膜厚と、修正前の補助パターン13a、13bの膜厚との膜厚差T(図中のSRAF膜厚差)は、1nm〜40nmの範囲であることが好ましい。膜厚の測定は、原子間力顕微鏡(AFM)で行うことができる。
【0051】
補助パターンは、本来、転写対象面に解像しないようにマスク設計して作製されているので、ウェハ上に転写されてしまう補助パターンはその一部分であることが多く、また修正すべき膜厚は非常に薄くてよい場合が多い。したがって、修正すべき膜厚は僅かな場合もあり得ることであり、本発明では修正すべき膜厚の下限を修正可能な1nmとしている。修正膜厚1nm未満では、修正の効果を確認し得ないからである。一方、補助パターンの特性上、修正すべき膜厚の上限を40nmとしている。修正すべき膜厚が40nmを超えてしまうと、SRAFによる主パターンの解像度向上効果や焦点深度拡大効果など、本来のSRAFの機能が低減あるいは消滅してしまうからである。
【0052】
(本発明の修正方法を適用し得るフォトマスク)
本発明のフォトマスクの修正方法は、補助パターンを有するマスクならば、ハーフトーンマスク、バイナリマスクのいずれのマスクにも用いることができ、特に限定されることはないが、図4に、補助パターンを有するハーフトーンマスクおよびバイナリマスクの代表的なマスクを例示しながら説明する。図4において、同じ部位を示す場合には同じ符号を用いている。もとより本発明のフォトマスクの修正方法は、図4に示すフォトマスクに限定されるわけではない。
【0053】
図4(a)〜図4(d)は、本発明の修正方法を適用し得る主パターンと補助パターンとが半透明膜で構成されているハーフトーンマスクの例を示す部分断面模式図である。図4(a)〜図4(d)のフォトマスクは、透明基板41上に主パターン42と補助パターン43とが設けられており、いずれのマスクも、主パターン42を透過する露光光と透明基板41の透明領域を透過する露光光とで180度の位相差を生じる膜厚であるように、主パターン42の膜厚が設定されている。
【0054】
さらに、図4(a)は、主パターン42と補助パターン43とが同一の半透明膜で同一の膜厚で構成されているハーフトーンマスクである。図4(b)は、主パターン42と補助パターン43とが同一の半透明膜で構成され、補助パターン43を透過する露光光と透明基板41の透明領域を透過する露光光に70度〜115度の範囲の所定の位相差を生じさせるようにしたマスクであり、補助パターン43の膜厚を主パターン42の膜厚よりも薄くしたマスクである。図4(c)は、主パターン42が透明膜/半透明膜の2層で構成され、補助パターン43が半透明膜よりなるマスクであり、半透明膜層の膜厚は主パターン42と補助パターン43とも同じである。図4(d)は、主パターン42が半透明膜/半透明膜の2層で構成され、補助パターン43が半透明膜よりなるマスクであり、透明基板41に接した半透明膜層の膜厚は主パターン42と補助パターン43とも同じである。
【0055】
上記の図4(a)〜図4(d)に示した補助パターンを有するマスクは、代表的な例であり、本発明の修正方法を適用し得るマスクとしては、主パターンと補助パターンとが半透明膜/半透明膜の2層で構成したマスクなどにも適用することができる。
【0056】
図4(e)および図4(f)は、主パターンが露光光を遮光する遮光膜で構成されているバイナリマスクの例を示す部分断面模式図である。図4(e)は、透明基板41上に主パターン42が遮光膜/半透明膜の2層で構成され、補助パターン43が半透明膜よりなるマスクであり、半透明膜層の膜厚は主パターン42と補助パターン43とも同じである。図4(f)は、主パターン42と補助パターン43とが同一の遮光膜で同一の膜厚で構成されているマスクである。
【0057】
上記のように、本発明の修正方法を適用するフォトマスクにおける主パターンおよび補助パターンの半透明膜は、露光光を所定の透過率で透過する半透明の薄膜を意味するものであり、薄膜が半透明の単層膜、あるいは半透明膜と透明膜もしくは透過率の異なる他の半透明膜との2層膜以上の構成であってもよい。また、本発明の修正方法を適用するフォトマスクにおける主パターンおよび補助パターンの遮光膜は、露光光を遮光する薄膜を意味するものであり、薄膜が遮光膜の単層膜、あるいは遮光膜と半透明膜を有する2層膜以上の構成であってもよい。
【0058】
本発明のフォトマスクの修正方法において、図4(a)〜図4(e)に示すマスクの主パターン42および補助パターン43を構成する半透明膜としては、材料として特に限定されるわけではないが、例えば、モリブデンシリサイド系材料であるモリブデンシリサイド酸化膜(MoSiO)、モリブデンシリサイド窒化膜(MoSiN)、モリブデンシリサイド酸化窒化膜(MoSiON)などの半透明膜、クロム系材料である酸化クロム膜(CrO)、酸化クロム膜(CrN)、酸化窒化クロム膜(CrON)などの半透明膜、酸化スズ(SnO2)などの半透明膜が挙げられる。モリブデンシリサイド系半透明膜はハーフトーンマスク材料として実用されており、より好ましい材料である。図4(c)に示す主パターン42を構成する透明膜としては、酸化シリコン膜(SiO2)などが挙げられる。図4(e)に示す主パターン42を構成する遮光膜、および図4(f)に示すマスクの主パターン42および補助パターン43を構成する遮光膜としては、クロム膜(Cr)などの金属薄膜、モリブデンシリサイド(MoSi)などの金属シリサイド薄膜が挙げられる。
【0059】
図1(b)に示す電子ビームマスク修正機の電子ビームを用いたガスアシスト・エッチング工程において、主パターン42および補助パターン43を構成する半透明膜が、例えばモリブデンシリサイド系材料の半透明膜の場合には、CF4 、CHF3 、C2 F6などのフッ素系ガス、あるいはこれらの混合ガス、あるいはこれらのガスに酸素を混合したガスをアシストガスとして用いて選択的にエッチングを行い、補助パターンの膜厚を選択的に薄くすることができる。また、主パターン42および補助パターン43を構成する遮光膜が、例えばクロムの場合には、Cl2と酸素の混合ガスをアシストガスとして用いて選択的にエッチングを行い、補助パターンの膜厚を選択的に薄くすることができる。
【0060】
(修正後の補助パターンの転写性)
次に、図1に示した本発明のフォトマスクの修正方法により、補助パターン(SRAF)表面をエッチングもしくは研削し、補助パターンの膜厚を薄く修正した薄膜化の効果について説明する。マスクとしては、一例として、図4(a)に示す部分断面模式図の形状で、膜厚68nmのモリブデンシリサイドを半透明膜とし、主パターン(膜厚68nm)がArFエキシマレーザ光(193nm)の透過率6%、透明基板の透明領域との位相差180度であり、修正前の補助パターンの膜厚も68nmであるハーフトーンマスクを例にして説明する。
【0061】
シミュレーション・ソフトウェアとしては、EM−Suite(商品名:Panoramic Technology社製)を用いた。主なシミュレーション条件は、照明光源ArFエキシマレーザ(193nm)、NA1.35、変形照明とし、Cquad瞳フィルタを用い、Cquad21は、扇状光透過部の開口角35度、外径0.9、内径0.7(瞳フィルタの半径を1とする)とした。マスクには、上記のハーフトーンマスクの値を用いた。
【0062】
図5は、シミュレーションにより得られた結果であり、ウェハ上での主パターンのCDが32nmの上記のハーフトーンマスクにおいて、SRAFのCDを変えたとき、SRAF膜厚差(横軸)とSRAFの光強度/規格化された光強度閾値のスライスレベル(縦軸)との関係を示す図である。図5においては、SRAFの光強度/スライスレベルを1以上にしないと、SRAFがウェハ上に解像してしまうことを示す。
【0063】
図5が示すように、SRAFのCDが14nm(マスク上では56nm)と微細なときには、修正後のSRAF膜厚差が0と同じ(修正がされなかった場合と同じである)であっても、SRAFの光強度/スライスレベルは1以上であり、本来的にSRAFは転写されないことになる。次に、SRAFのCDが22nm(マスク上では88nm)のときには、修正後のSRAFの膜厚差が24nm以上であれば、SRAFは解像せず転写されないことが示される。同様に、SRAFのCDが26nm(マスク上で104nm)のとき、修正後のSRAFの膜厚差30nm以上、SRAFのCDが30nm(マスク上で88nm)のとき、修正後のSRAFの膜厚差が34nm以上であれば、SRAFは転写されない。
【0064】
上記の図5および図7で説明したように、主パターンと補助パターン(SRAF)が同一材料、同一膜厚で構成されたハーフトーンマスクでは、主パターンのCDを32nmとするとSRAFのCDが14nm以下でしかSRAFが用いられなかったが、上記のように、転写されてしまうSRAFを薄膜化する本発明の修正方法を適用することにより、SRAFのCDを26nm〜30nmと2倍程度に大きい寸法としても、SRAFが解像せず転写されないで使用することも可能となる。本発明の修正方法により、従来微細化が難しく使用することが困難であったSRAFを有するハーフトーンマスクの使用可能性が広くなる。
【0065】
次に、SRAFを修正により薄くしたときの影響について述べる。図6は、シミュレーションにより得られたSRAFのCDを変えたとき、ウェハ上の主パターン端のラインのCDとデフォーカス(Defocus:焦点位置変動)との関係を示す図である。それぞれのSRAFのCDに対して、SRAFが解像しないようにエッチングによる修正により膜厚を薄くして、修正前の膜厚との膜厚差(SRAF膜厚差:24nm、32nm、40nm)を有している。図6に示されるように、SRAFのCDを22nm〜30nm(ウェハ上)と大きくし、SRAFの膜厚を薄くする修正を行うことにより、フォーカスを振ったときの各SRAF寸法間におけるCD変動はなく、ほぼ同じ傾向を示す。すなわち、本発明の修正方法によるSRAFの薄膜化は、デフォーカスに対して悪影響はなく、修正をしていないSRAFのCD14nmの場合と同様の寸法精度が得られることが示される。
【0066】
上記の実施形態においては、補助パターン(SRAF)を有するフォトマスクとして、主パターンの両端にSRAFを有するマスク形態を例に説明をしてきたが、本発明はこれに限定されるわけではなく、主パターン間にSRAFがあるマスク形態、あるいは主パターンが孤立パターンであるマスク形態などにおいても、本発明のフォトマスクの修正方法を適用することが可能である。
【0067】
本発明のフォトマスクの修正方法によれば、補助パターンが転写対象面に解像して転写されてしまう場合のフォトマスクの修正方法において、補助パターン表面をエッチングもしくは研削し、補助パターンが転写対象面に解像されなくなるまで、補助パターンの膜厚を薄くすることで、補助パターンが解像して転写されてしまう問題を解決し、かつ、補助パターンとしての焦点深度拡大効果を保ちつつ、コントラストの高い転写画像を形成するフォトマスクに修正することができる。本発明のフォトマスクの修正方法は、補助パターンの線幅方向にマスクパターンを修正する従来のフォトマスクの修正方法とは異なり、補助パターンの厚み方向にマスクパターンを修正する方法であって、補助パターンを有するフォトマスクを確実で比較的容易な方法で修正することが可能となる。
【0068】
<本発明の修正されたフォトマスク>
本発明の修正されたフォトマスクは、上記のフォトマスクの修正方法により補助パターンが修正されたフォトマスクであって、一例として、図1(c)に示すように、エッチングもしくは研削して薄くした修正後の補助パターン13a´および13b'を備え、修正前の補助パターンの膜厚との膜厚差(図中のSRAF膜厚差:T)を有するものである。本発明のフォトマスクは、補助パターンが転写対象面に解像されて転写されてしまうフォトマスクを、補助パターンを膜厚の厚み方向に修正することにより、補助パターンが転写対象面に解像し転写されないようにし、焦点深度拡大効果を保ちつつ、コントラストの高い転写画像を形成することができる。
以下、実施例により本発明を説明する。
【実施例】
【0069】
ArFエキシマレーザ(波長193nm)用マスクとして、補助パターンを有するMoSi系の193nmにおける透過率6%のハーフトーンマスクを作製した。ウェハ上のターゲットライン寸法は45nm、パターンはピッチ90nm(マスク上でピッチ360nm)のライン/スペース繰り返しパターンで、図3に示すパターンを形成した。ウェハ上において、主パターンとしてハーフピッチ45nmのライン/スペースが9本、端の主パターンの解像性を向上させるために、主パターンの両端にSRAFを2本(SRAFのピッチ90nm)入れている。主パターン、SRAFともに上記の6%ハーフトーンで構成され、マスク上のパターンの膜厚はともに68nmとした。マスク上における主パターンのCDおよびSRAFのCDは、ともに128nmとした。
【0070】
上記のハーフトーンマスクを用いてArFエキシマレーザ露光を行った。露光系のNAは1.35、変形照明として、図2に示すCquad瞳フィルタを用いた。しかし、ウェハ上に転写されてはならないSRAFパターンが、ウェハ上に解像してしまうという問題が生じた。
【0071】
そこで、SRAFをエッチングもしくは研削して膜厚を薄くするべく、あらかじめシミュレーションにより転写特性の見積りを行った。また、リソグラフィシミュレーション顕微鏡AIMS45-193i(カールツァイス社製)を上記の露光系と同一の露光条件にて用い、SRAFの膜厚を薄くしたときのウェハへの転写特性の検証を行った。
【0072】
まず、テスト試料によりSRAFのエッチング条件の確認を行った。パターンはマスク上でピッチ360nm(ウェハ上で90nm)のライン/スペースパターンで、主パターンの両端にSRAFを2本設けた。図8は、EBマスク修正装置MeRiT65(カールツアイス社製)を用い、CF4をアシストガスとしてガスアシスト・エッチングを行い、石英基板上のMoSi薄膜のSRAF部(S1とS2)を部分的に30nmエッチングした後のSEM平面写真である。図8の破線内の領域が、エッチングにより薄膜化処理した部分であり、エッチングした領域は、微視的にはエッチングされていない領域とSEM写真上僅かな差異が認められるが、良好な表面状態を示している。
【0073】
図9は、上記のテスト試料でSRAF部(S1とS2)を部分的に30nmエッチングした後のリソグラフィシミュレーション顕微鏡AIMS(AIMS45-193i;カールツァイス社製)による検証画像で、ウェハ上光強度分布の平面状態を示す。図9の破線内がエッチングにより薄膜化処理したSRAF部分に相当し、この部分の光強度が上がり、レジストパターンが解像しないことが示されている。
【0074】
AIMSを用いたシミュレーションによる転写特性の検証結果を図10〜図15に示す。図10は、SRAFを薄くする前のマスクパターンの位置に対応した光強度を示す空間像の図であり、一組のパターン両端片側のSRAF(S1、S2)と主パターンの一部が示されている。図10では、横軸に主パターンの一部とSRAFの一組のパターン位置、縦軸にパターンがない透過部の光強度を1としたときの規格化した光強度を示している。光強度プロファイルが複数表示されているのは、SRAFの効果を見るためにフォーカス(焦点深度)を変えた場合を示している。図10に示すように、光強度が0.25〜0.57の範囲において、スライスレベルをどこにとっても、SRAFのうちのS1はウェハ上に解像してしまい、さらに、スライスレベルを0.4以上にすると、S2も解像してしまうことが示された。
【0075】
図11は、図10の部分拡大図で、フォーカスを変えたときの繰り返し端主パターンと補助パターンS1のSRAF薄膜化処理前のパターン位置と光強度との関係を示す空間像の図である。ライン/スペース繰り返し部の主パターンのCDが45nmとなる光強度閾値を0.42とした。図11では、図10で述べたように、SRAFの効果を見るためにフォーカスを変えた場合の5本の光強度プロファイルを示している。図11が示すように、SRAFのうちのS1はフォーカスに係らずに解像してしまう。
【0076】
ここで図12は、図11の比較参考として、SRAFが無い場合の繰り返し端の主パターンと補助パターンS1のパターン位置と光強度との関係を示す空間像の図である。図12が示すように、SRAFが無いと繰り返し端の主パターンはほとんど解像しない。
【0077】
次に、SRAFを修正により薄膜化した場合の転写特性をシミュレーションにより見積った。図13は、シミュレーションによる転写特性の見積り結果であり、SRAFを30nmほど薄くした後のマスクパターンの位置に対応した光強度を示す空間像の図である。SRAFを薄膜化したことにより、SRAFによる光量が拡大し、SRAFの光強度の最小値は大きくなり、0.25〜0.55の範囲においてSRAFパターンは解像しないことが示され、光強度のスライスレベル選定の余裕度が拡大した。また、SRAFを薄膜化しても、主パターンの光学像は低下しないことが確認された。
【0078】
図14は、図8、図9の破線部内の状況を示し、図13の部分拡大図であり、繰り返し端主パターンと補助パターンS1のSRAF薄膜化処理後のパターン位置と光強度との関係を示す空間像の図である。図14では、SRAFの効果を見るためにフォーカスを変えた場合の光強度プロファイルを示している。図14が示すように、SRAFを薄膜化することにより、SRAFのS1は解像しなくなる。
【0079】
図15は、SRAF薄膜化処理をした後の繰り返し端主パターンの焦点深度を示す図である。上記のように、ライン/スペース繰り返し部の主パターンのCDが45nmとなる光強度〔a.u.〕閾値を0.42とした。比較のために、SRAFが無い場合も図示してある。SRAFが無い場合(no)は解像するフォーカス範囲が狭いが、薄膜化したSRAFを設けた場合(thin)には、解像するフォーカス範囲が広いことが示された。また、SRAFを解像しないようにしながら、SRAFとしての効果を保っていることが示された。
【0080】
上記のエッチングテスト結果およびシミュレーション結果に基づいて、ウェハ上に解像してしまうSRAFパターンを有する上記のハーフトーンマスクのSRAF部を修正した。上記のテスト試料と同じエッチング条件により、1組の主パターン端の両側にある各2本のSRAF表面全面をエッチングして、初期膜厚との膜厚差が30nmとなるまで薄膜化した。
【0081】
上記のSRAFの膜厚を薄膜化して修正したハーフトーンマスクを用いて、再度、ArFエキシマレーザ露光を行ったところ、SRAFはまったく解像されずに、主パターンのみがウェハ上に高解像で転写された。また、露光時における焦点深度拡大効果も得られた。
【符号の説明】
【0082】
10 ハーフトーンマスク
11 透明基板
12 主パターン
13、13a、13a´、13b、13b' 補助パターン(SRAF)
14 半透明膜
15 ガスノズル
16 電子ビーム
21 瞳フィルタ
22 照明光
23 マスク
41 透明基板
42 主パターン
43 補助パターン(SRAF)
1 主パターン
2 補助パターン
301 透明基板
302 半透明膜
304 透明膜
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体素子のパターン形成に用いられるエキシマレーザ露光装置などの短波長の露光光源を用いたフォトリソグラフィ技術に使用するためのフォトマスクの修正方法および修正されたフォトマスクに関し、特に、主パターンの近傍に補助パターンを配置したフォトマスクの修正方法および修正されたフォトマスクに関する。
【背景技術】
【0002】
ハーフピッチ65nmから45nm、さらに32nmへと進展する半導体素子の高集積化・超微細化を実現するために、フォトリソグラフィにおいては、露光装置での高解像技術として、投影レンズの開口数を高くした高NA化技術、投影レンズと露光対象の間に高屈折率媒体を介在させて露光を行なう液浸露光技術、変形照明搭載露光技術などが実用されている。
【0003】
フォトリソグラフィに用いられるフォトマスク(以下、マスクとも記す。)における解像度向上策としては、光を通過させる部分と遮光する部分で構成された従来のバイナリマスクの微細化、高精度化とともに、光の干渉を利用した位相シフト効果により解像度向上を図るレベンソン型(渋谷・レベンソン型とも称する。)位相シフトマスク、光を透過させる部分と半透過させる部分で構成されたハーフトーン型位相シフトマスク(以後、単にハーフトーンマスクと言う。)、クロムなどの遮光層を設けないクロムレス型位相シフトマスクなどの位相シフトマスクが用いられている。
【0004】
フォトリソグラフィ技術においては、投影露光装置で転写できる最小の寸法(解像度)は、露光に用いる光の波長に比例し、投影光学系のレンズの開口数(NA)に反比例するため、半導体素子の微細化への要求に伴い、露光光の短波長化及び投影光学系の高NA化が進んでいるが、短波長化および高NA化だけでこの要求を満足するには限界となっている。
【0005】
そこで解像度を上げるために、プロセス定数k1(k1=解像線幅×投影光学系の開口数/露光光の波長)の値を小さくすることによって微細化を図る超解像技術が近年提案されている。このような超解像技術として、露光光学系の特性に応じてマスクパターンに補助パターンや線幅オフセットを与えてマスクパターンを最適化する方法、あるいは変形照明による方法(斜入射照明法とも称する。)と呼ばれる方法などがある。変形照明による投影露光には、通常、瞳フィルタを用いた輪帯照明(Annularとも称する。)、二重極(ダイポール:Dipoleとも称する。)の瞳フィルタを用いた二重極照明および四重極(クロスクワド:Cquadとも称する。)の瞳フィルタを用いた四重極照明などが用いられている。
【0006】
補助パターンを用いる方法は、ウェハ上に転写されるパターン(以後、主パターンと称する。)の近傍に、投影光学系の解像限界以下であってウェハ上には転写されないパターン(以後、補助パターンと称する。)を配置し、主パターンの解像度と焦点深度を向上させる効果を有するフォトマスクを用いるリソグラフィ方法である(例えば、特許文献1参照。)。補助パターンはSRAF(Sub Resolution Assist Feature)とも呼ばれている(以後、本発明では補助パターンをSRAFとも称する。)。
【0007】
しかしながら、半導体素子パターンの微細化に伴って、補助パターンを有するフォトマスクはマスク製作上で困難な点が生じてきた。まず、補助パターンは上述のようにそれ自身ウェハ上に結像しないことが必要であり、主パターンの寸法よりも微小な寸法でなければならない点が挙げられる。その結果、主パターン寸法の微細化に伴い、求められる補助パターンの線幅寸法は数100nmからさらに微小な寸法へと微小化しており、製作上の限界の域に近づきつつある。例えば、ウェハ上で65nm線幅の半導体素子を形成する場合、そのマスク(通常4倍体のパターンを有するレチクル)上の主パターンの線幅寸法は光近接効果補正(OPC)などが加わり、200nm〜400nm程度で形成されているのに対し、補助パターンの線幅寸法は120nm以下となり、マスク作製が極めて難しくなる。上記のように、ハーフピッチ65nm以下のパターンを転写する露光条件では、補助パターンの寸法がマスク製造上の大きな問題となっている。
【0008】
さらに、ハーフピッチ65nm以下のパターンを転写するマスクの転写特性としては、ハーフトーンマスクの方がバイナリマスクよりも良好な転写像が得られる場合が多いので、補助パターンを有するマスクをハーフトーンマスクの構造とする要望も強く、補助パターンを有するハーフトーンマスクも提案されている(例えば、特許文献2、特許文献3、非特許文献1参照。)。しかし、ハーフトーンマスクは転写特性から、通常、マスクパターン寸法にマイナス側のバイアスが入るので、ハーフトーンマスクとして半透明膜で形成された補助パターンの寸法は、遮光膜のみで形成されたバイナリマスクの補助パターンの寸法よりも小さい値が求められる。半導体素子のハーフピッチ45nmから32nmの世代では、半導体のデザインや露光条件によってはマスク線幅で60nm以下の補助パターン寸法が要求されるまでになっている。
【0009】
特許文献2には、ハーフトーンマスクによる補助パターンの微細化への対応として、半透明パターンを透過する光と透明基板の透明領域を透過する光に180度の位相差を生じさせ、かつ半透明補助パターンを透過する光と透明基板の透明領域を透過する光には50度より小さい範囲の所定の位相差を生じさせ、半透明パターンのフォーカス特性を平坦にするフォトマスクが提案されている。図16は、特許文献2に示されたフォトマスクの平面図(同図(a))、縦断面図(同図(b))である。特許文献2によるフォトマスクは、主パターンであるラインパターンの近傍に設けた補助パターンを主パターンと同寸法で形成することも可能にしている。
【0010】
特許文献2に記載された補助パターンを有するハーフトーンマスクは、図16に示すように、主パターン1である半透明パターンの線幅がウェハ上で0.3μmのラインパターン、半透明補助パターン2が主パターン1の左右に同じ線幅のラインパターンで設けられたマスクで、主パターン1は半透明膜302上にさらに透明膜304を成膜して重ねて2層構成とし、2層膜よりなる半透明主パターン1を透過する光と透明基板301の透明領域を透過する光に180度の位相差を生じさせ、一方、半透明補助パターン2を透過する光と透明基板301の透明領域を透過する光に50度より小さい範囲の所定の位相差を生じさせ、半透明パターンのフォーカス特性を平坦にしたマスクである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開平7−140639号公報
【特許文献2】特許第2953406号
【特許文献3】特開2003−302739号公報
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】N.V.Lafferty,et al.,Proc.of SPIE Vol.5377,381−392(2004)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、特許文献2に記載された補助パターンを有するハーフトーンマスクは、露光光源に水銀灯のi線(365nm)あるいはKrFエキシマレーザ(248nm)を用い、投影光学系の開口数NAが0.6と小さく、ウェハ上のパターン寸法が0.3〜0.35μmのサブミクロン単位の半導体素子を対象とした世代のマスクであり、現在実用化が進められているArFエキシマレーザを露光光源とし、NAを1以上、望ましくは1.3〜1.35前後の高NAの露光装置に用いられ、ウェハ上のパターン寸法がハーフピッチ65nm以下、さらには45nm、32nmの半導体素子用のマスクとして用いるには、次のような問題があった。
【0014】
すなわち、プロセス定数k1が小さくなるに従い、主パターンの解像性を向上させるために変形照明が用いられるが、それに伴い補助パターンも解像しやすくなってしまうという問題があった。さらに変形照明の斜め入射照射により、マスク基板面に垂直方向のマスクの厚みによる立体的な効果(マスクの3次元効果)で補助パターンが転写対象面に解像しやすくなるという問題が生じてきた。特許文献2に記載された補助パターンを有するハーフトーンマスクは、たとえ主パターンの位相差が所定の範囲内であっても、3次元効果により補助パターンが解像してしまい、しかもデフォーカスに対して寸法変動が非対称になり、転写画像の品質が低下して実用に適しないという問題が生じていた。本来、補助パターンは転写対象面に解像しないようにマスク設計しているので、必ずしも複数の補助パターンのすべてが転写されるわけではないが、補助パターンの一部、例えば、主パターンに近接した補助パターンあるいは近接した補助パターンの一部などが解像してしまうという問題が生じていた。
【0015】
上記の補助パターンあるいはその一部が転写対象面に解像してしまう原因としては、マスク設計ソフトの精度が悪いためにマスク設計段階に不備がある場合、実際に作製された補助パターン寸法の誤差が大きい場合、半導体露光装置の光学系が微妙に誤差を有している場合、半導体用レジストの特性の問題など、様々な要因が考えられている。
【0016】
上記のように、補助パターンを設けたフォトマスクが強く求められてはいるものの、半導体素子パターンの微細化に伴って、微細パターンの限界に近い領域でパターン転写を行うために、露光転写後に補助パターンが転写対象面に解像してしまうという問題が生じ、転写されてしまう補助パターンのマスクを修正するために、補助パターン線幅をさらに小さく修正して解像しないように試みようとしても、マスク線幅で例えば60nm以下の補助パターンをさらに僅かな幅で修正するのは困難であり、再度、フォトマスクを製造しなければならないという問題があった。
【0017】
そこで、本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものである。すなわち、本発明の目的は、ArFエキシマレーザを露光光源とし、変形照明による投影露光に用いられる補助パターンを有するフォトマスクにおいて、補助パターンが転写対象面に解像されてしまう場合のフォトマスクを、確実で比較的容易な方法により補助パターンを修正するフォトマスクの修正方法および修正されたフォトマスクを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記の課題を解決するために、本発明の請求項1の発明に係るフォトマスクの修正方法は、ArFエキシマレーザを露光光源とし、変形照明による投影露光に用いられ、透明基板の一主面上に、前記投影露光により転写対象面に転写される主パターンと、前記主パターンの近傍に形成された補助パターンとを有するフォトマスクにおいて、前記投影露光により前記補助パターンが前記転写対象面に解像されてしまう場合のフォトマスクの修正方法であって、前記解像されてしまう補助パターンの表面をエッチングもしくは研削し、前記補助パターンが前記転写対象面に解像されなくなるまで、前記解像されてしまう補助パターンの膜厚を薄くすることを特徴とするものである。
【0019】
請求項2の発明に係るフォトマスクの修正方法は、請求項1に記載のフォトマスクの修正方法において、前記エッチングもしくは研削して薄くした修正後の前記補助パターンの膜厚と、修正前の前記補助パターンの膜厚との膜厚差が、1nm〜40nmの範囲であることを特徴とするものである。
【0020】
請求項3の発明に係るフォトマスクの修正方法は、請求項1または請求項2に記載のフォトマスクの修正方法において、前記エッチングが電子ビームマスク修正機の電子ビームを用いたガスアシスト・エッチングであり、前記研削が原子間力顕微鏡の探針を用いた研削であることを特徴とするものである。
【0021】
請求項4の発明に係るフォトマスクの修正方法は、請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載のフォトマスクの修正方法において、前記主パターンと前記補助パターンとが半透明膜で構成されており、前記主パターンの膜厚が、前記主パターンを透過する光と前記透明基板の透明領域を透過する光とで180度の位相差を生じる膜厚であることを特徴とするものである。
【0022】
請求項5の発明に係るフォトマスクの修正方法は、請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載のフォトマスクの修正方法において、前記主パターンが遮光膜から構成され、前記補助パターンが半透明膜よりなることを特徴とするものである。
【0023】
請求項6の発明に係るフォトマスクの修正方法は、請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載のフォトマスクの修正方法において、前記主パターンと前記補助パターンとが遮光膜で構成されていることを特徴とするものである。
【0024】
請求項7の発明に係るフォトマスクの修正方法は、請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載のフォトマスクの修正方法において、前記主パターンおよび前記補助パターンがいずれもラインパターンであり、前記主パターンが孤立パターンまたは周期パターンであることを特徴とするものである。
【0025】
請求項8の発明に係るフォトマスクは、請求項1から請求項7までのいずれか1項に記載のフォトマスクの修正方法により補助パターンが修正され、修正後の前記補助パターンの膜厚が修正前の前記補助パターンの膜厚よりも薄いことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0026】
本発明のフォトマスクの修正方法によれば、本来転写対象面に転写されてはいけない補助パターンが、転写対象面に解像してしまう場合のフォトマスクの修正方法において、解像されてしまう補助パターンの表面をエッチングもしくは研削し、補助パターンが転写対象面に解像されなくなるまで補助パターンの膜厚を薄くすることで、補助パターンが転写されてしまう問題を解決し、補助パターンとしての焦点深度拡大効果を保ちつつ、コントラストの高い転写画像を形成するフォトマスクに修正することができる。本発明のフォトマスクの修正方法は、従来の方法である補助パターンの線幅方向の修正とは異なり、補助パターンを厚み方向に薄膜化して修正する方法であって、補助パターンを有するフォトマスクを容易な方法で確実に修正することが可能となる。
【0027】
本発明の修正方法によるフォトマスクによれば、補助パターンが転写対象面に転写されてしまうフォトマスクを、補助パターンを厚み方向に修正することにより、補助パターンが転写対象面に転写されず、焦点深度拡大効果を有し、コントラストの高い転写画像を形成する高品質なフォトマスクを得ることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の補助パターンを有するフォトマスクの修正方法の一実施形態を示す断面模式図である。
【図2】本発明の補助パターンを有するフォトマスクの評価に用いたCquad瞳フィルタで、同図(a)はCquadの平面模式図、同図(b)はCquadを用いてマスクに露光光を照射したときの斜視模式図である。
【図3】本発明の補助パターンを有するフォトマスクにおいて用いた評価パターンの一例で、評価パターンの位置と光強度との関係を示す空間像の図である。
【図4】本発明の修正方法を適用し得る補助パターンを有するフォトマスクの例を示す部分断面模式図である。
【図5】SRAFのCDを変えたとき、SRAF膜厚差とSRAFの光強度/スライスレベルとの関係を示す図である。
【図6】SRAFのCDを変えたとき、ウェハ上の主パターン端のラインCDとデフォーカスとの関係を示す図である。
【図7】ハーフトーンマスクとバイナリマスクにおいて、ウェハ上でのSRAFのCDに対して、光強度閾値のスライスレベルに対するSRAF部光強度の比を示す図である。
【図8】実施例においてテスト試料によるSRAF部分の薄膜化処理後のSEM写真である。
【図9】テスト試料でSRAF部を部分的にエッチングした後のリソグラフィシミュレーション顕微鏡によるウェハ上光強度分布の平面状態を示す画像である。
【図10】実施例におけるSRAF部分の薄膜化処理前のパターン位置と光強度との関係を示す空間像の図である。
【図11】図10の部分拡大図で、繰り返し端主パターンと補助パターンS1のSRAF薄膜化処理前のパターン位置と光強度との関係を示す空間像の図である。
【図12】図11に対する比較参考図であり、SRAFが無い場合の繰り返し端の主パターンと補助パターンS1のパターン位置と光強度との関係を示す空間像の図である。
【図13】実施例におけるSRAF部分の薄膜化処理後のパターン位置と光強度との関係を示す空間像の図である。
【図14】図8、図9の破線部内の状況を示し、図13の部分拡大図で、繰り返し端主パターンと補助パターンS1のSRAF薄膜化処理後のパターン位置と光強度との関係を示す空間像の図である。
【図15】SRAF薄膜化処理による繰り返し端主パターンの焦点深度を示す図である。
【図16】特許文献2に記載の従来の半透明補助パターンを有するフォトマスクの平面図および縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明のフォトマスクの修正方法が対象とするフォトマスクは、ArFエキシマレーザを露光光源とし、変形照明による投影露光に用いられるマスクであり、好ましくはウェハ上のハーフピッチが65nm以下、さらには45nm、32nmの微細な半導体素子形成に用いられることを対象とする補助パターンを有するマスクである。
【0030】
(補助パターンを有するフォトマスクの転写特性)
本発明の修正方法について述べる前に、まず補助パターンを有するフォトマスクの転写特性について、ハーフトーンマスクを例にして説明する。本発明者は、ウェハ上にハーフピッチ45nm以下の細密パターンを形成するための補助パターンを有するハーフトーンマスクの転写特性を、バイナリマスクと比較しながら、シミュレーションにより調べた。
【0031】
シミュレーションにおいては、マスクパターンの転写特性を見積もるためのシミュレーション・ソフトウェアとして、EM−Suite(商品名:Panoramic Technology社製)を用いた。主なシミュレーション条件は、ArFエキシマレーザ(193nm)を照明光源とし、NAは1.35、変形照明として、図2に示すCquad瞳フィルタ21を用いた。同図(a)はCquad21の平面模式図、同図(b)はCquad21を用いてマスク23に露光光を照射したときの斜視模式図である。Cquad21は、扇状光透過部の開口角35度、外径0.9、内径0.7(瞳フィルタの半径を1とする)とした。マスク23としては、従来の一般的なモリブデンシリサイド系の露光波長193nmにおける透過率6%のハーフトーンマスク(6%ハーフトーンと記す)と、比較のためモリブデンシリサイド系のバイナリマスクを用いた。ウェハ上のターゲットライン寸法は45nm、パターンはピッチ90nm(ハーフピッチ45nm)のライン/スペース繰り返しパターンとした。
【0032】
図3は、シミュレーションに用いた評価パターン(同図(a))と、評価パターンの位置に対応した光強度を示す空間像の図(同図(b))である。評価パターンは、主パターンとしてハーフピッチ45nmのライン/スペースが9本、端の主パターンの解像性を向上するために、主パターンの両端にSRAFを2本(SRAFのハーフピッチは主パターンと同じ)入れて一組とし、400nmのスペースを挟んだ繰り返しパターンである。主パターン、SRAFともに上記の6%ハーフトーンである。
【0033】
次に、上記の補助パターンを有するハーフトーンマスクにおいて、ライン/スペースパターンの端の補助パターン(SRAF)の転写性について説明する。図3では、横軸に主パターンとSRAFの一組のパターン位置、縦軸にパターンがない透過部の光強度を1としたときの規格化した光強度を示しており、図中の横実線で示すスライスレベルは、規格化された光強度閾値である。主マスクパターンの寸法によってスライスレベルは変わる。図中に矢印で示すSRAF部の最小光強度がスライスレベルよりも下がると、SRAFがウェハ上に解像してしまうことを意味する。
【0034】
図7は、上記のシミュレーションにより得られた主パターンと補助パターン(SRAF)の膜厚が同じ場合のハーフトーンマスクとバイナリマスクにおける、ウェハ上でのSRAFのCD(横軸)に対して、規格化された光強度閾値のスライスレベルに対するSRAF部の光強度の比(縦軸)を示す図である。ハーフトーンマスク(図中の三角点)は、主パターンのCDが3通り(ウェハ上で32nm;36nm;40nm)の場合を示す。上記の比が1以下であるとSRAFは転写されてしまうので、SRAFが転写されないようにするには上記の比を1を超えた値にしなければならない。図中に点線で示すハーフトーンマスクの主パターンCDが32nm(マスク上では128nm)のときには、SRAFのCDを14nm(マスク上では56nm)以下にしないとSRAFが解像してしまうことになる。
【0035】
上記は、SRAFを有する6%ハーフトーンマスクを用いた場合のシミュレーション結果であり、ハーフトーンマスクの主パターンCDが32nmと微細なときには、SRAF寸法が極めて小さくなり、実際のマスク製造が困難であることがわかる。
【0036】
<本発明のフォトマスクの修正方法>
次に、上記の結果を参考にしながら、本発明のフォトマスクの修正方法の実施形態について、図面に基づいて詳細に説明する。以下のマスクパターンの転写特性の説明では、上記の図2に示すCquad瞳フィルタ21を用い、シミュレーション・ソフトウェアとして、EM−Suite(商品名:Panoramic Technology社製)を用いた。主なシミュレーション条件は、ArFエキシマレーザ(193nm)を照明光源とし、NAは1.35である。評価パターンは、上記の図3(a)に示すパターンを用いている。
【0037】
図1は、本発明の補助パターンを有するフォトマスクの修正方法の一実施形態の工程概要を示す断面模式図であり、ライン/スペースパターンを設けたハーフトーンマスクの場合を例示している。図1(a)は、修正前のフォトマスクの断面模式図であり、合成石英基板などの透明基板11上に、露光光を所定の透過率で透過し位相を変える主パターン12が設けられ、主パターン12は単層の半透明膜14で構成され、主パターン12の近傍に、主パターン12と同一材料で同一膜厚の半透明膜で構成された補助パターン(SRAF)13が形成されたハーフトーンマスク10である。図1では、主パターン12、補助パターン13ともに2本で、マスクパターンの一部しか示していないが、もとよりこれに限定されるわけではない。また、主パターンは孤立パターンまたは周期パターンであってもよい。
【0038】
本実施形態の補助パターンを有するハーフトーンマスク10は、主パターン12を透過する露光光と透明基板11のパターンのない透明領域を透過する露光光とで180度の位相差を生じさせるように設定されている。位相差の測定は、位相シフト量測定装置(例えば、レーザテック社製:MPM193)で行うことができる。
【0039】
ここで、図1(a)に示すハーフトーンマスク10は、ArFエキシマレーザを露光光源とし、変形照明による投影露光によりウェハ上にマスクパターンを転写したときに、主パターン12に近接した補助パターン13aおよび13bが、転写対象面のウェハ上に解像されてしまうマスクである。
【0040】
図1(b)は、上記のウェハ上に補助パターン13aおよび13bが解像されてしまうフォトマスクの修正中の状態を示す断面模式図である。上記の転写対象面に解像されてしまう補助パターン13aおよび13bは、マスク上に本来あってはならない不要な余剰欠陥いわゆる「黒欠陥」と呼ばれている欠陥とは異なる性質のものであり、ウェハ上へのマスクパターン形成にとって必要不可欠な領域である。マスク上の転写対象面に解像されてしまう補助パターン13aおよび13bは、黒欠陥を検出する従来のマスク欠陥検査装置では欠陥として検出することができない。解像されてしまう補助パターン13aおよび13bの検出は、例えば、エアリアルイメージ測定システム(Aerial Image Measurement System:カールツァイス社製、AIMS(登録商標)と略称される。以後、AIMSとも記す。)などのリソグラフィシミュレーション顕微鏡を用いた検証や、実際の露光装置での露光テストで行うことができる。
【0041】
本発明の修正方法においては、転写対象面に解像されてしまう補助パターン13aおよび13bの該当する領域の表面をエッチングもしくは研削し、補助パターン13aおよび13bが転写対象面であるウェハ上に解像されなくなるまで、補助パターン13aおよび13bの該当する領域の膜厚を薄くするものである。図1(b)は、一例として、電子ビームマスク修正装置により、ウェハ上に解像されてしまう補助パターン13aの領域をエッチングして膜厚を薄くして修正している場合を例示している。
【0042】
修正においては、必ずしも1ラインあるいは複数ラインの補助パターン全面をエッチングして薄膜化する必要はなく、解像されてしまう補助パターンの領域のみをエッチングして膜厚を薄くすればよい。もとより、1ラインの補助パターン全面が転写されてしまう場合には、1ライン全面の膜厚を薄くすればよく、複数のラインの補助パターン全面が転写されてしまう場合には、複数のライン全面の膜厚を薄くすればよい。
【0043】
上記の転写対象面に解像されてしまう補助パターン13aおよび13bの表面をエッチングもしくは研削する工程において、補助パターン13aをエッチングもしくは研削して取り除くべき膜厚は、あらかじめシミュレーションにより求めておくことができる。
【0044】
図1(c)は、転写対象面に解像されてしまう補助パターン13aおよび13bの表面をエッチングして膜厚を薄くして補助パターン13a´、13b'とした修正後のフォトマスクの状態を示す断面模式図である。修正箇所は、エッチングにより膜厚差Tだけ修正前の膜厚よりも薄くなっている。
【0045】
本発明において、上記の転写対象面に解像されてしまう補助パターンの領域の膜厚を薄くする方法としては、従来フォトマスク上の黒欠陥の修正に用いられてきた各種の方法を適用することができる。例えば、集束イオンビーム(FIB)マスク修正装置のイオンビームを用いたガスアシスト・エッチング方法、あるいは上記の図1(b)に示すように、電子ビーム(EB)マスク修正装置の電子ビーム(EB)を用いたガスアシスト・エッチング方法、あるいは原子間力顕微鏡(AFM)の探針を用いて欠陥を有する補助パターンを物理的に研削する方法、あるいはマスク上にレジストパターンを形成して補助パターンの欠陥領域のみを露出させ、ドライエッチングにより選択的に欠陥領域の膜厚を薄くする方法などが用いられる。
【0046】
しかし、上記の方法のうち、FIBマスク修正装置によるガスアシスト・エッチング方法は、イオンビームとして通常用いるガリウムが透明基板に打ち込まれガリウムステインという現象により修正部位の光透過率を低下させたり、あるいは修正部位の周辺の透明基板にオーバーエッチングによるリバーベッドと呼ばれる透明基板の掘り込み現象が発生しやすい。また、レジストパターンを形成する方法は、レジスト塗布、パターン描画、レジスト剥膜の工程が必要であり、修正工程が長くなるという問題を生じる。
【0047】
一方、EBマスク修正装置によるガスアシスト・エッチング方法は、一例として、図1(b)に示すように、欠陥を有する補助パターン13aに絞り込まれて走査する電子ビーム16の近くのガスノズル15から、エッチングに最適なアシストガスが吐出され、ガスの分子が修正すべき補助パターン13a表面に付着し、電子ビームにより化学反応が引き起こされ、補助パターン材料を揮発性の物質に変えてエッチングが行われる方法で、微細パターンに適し、修正箇所に損傷を与えない方法である。修正箇所の確認は、EBマスク修正装置に備えられたSEMで行う。上記のEBマスク修正装置としては、例えば、MeRiT 65(カールツアイス社製)などがある。
【0048】
また、AFMの探針で研削する方法は、ダイヤモンド針などの硬い探針に一定の加重をかけて、欠陥を直接削り取る方法で、カンチレバーの先端に探針を取り付け、原子間力顕微鏡の原理を用いてカンチレバーを制御している。修正箇所の確認は、AFMに備えられたSEMで行い、修正すべき欠陥を有する補助パターン表面を探針で走査し、次に欠陥そのものを探針で削り取る方法である。微細パターンの修正に適し、削除する面積、膜厚が小さい場合に適する方法である。上記のAFMの探針を用いたマスク修正装置としては、例えば、RAVEnm650(RAVE社製)などがある。
【0049】
したがって、本発明においては、微細パターンを形成した補助パターンの膜厚を薄くする方法としては、上記のEBマスク修正装置によるガスアシスト・エッチング方法あるいはAFMの探針で研削する方法がより好ましい。
【0050】
本発明において、図1(c)に示すように、エッチングもしくは研削して薄くした修正後の補助パターン13a´、13b'の膜厚と、修正前の補助パターン13a、13bの膜厚との膜厚差T(図中のSRAF膜厚差)は、1nm〜40nmの範囲であることが好ましい。膜厚の測定は、原子間力顕微鏡(AFM)で行うことができる。
【0051】
補助パターンは、本来、転写対象面に解像しないようにマスク設計して作製されているので、ウェハ上に転写されてしまう補助パターンはその一部分であることが多く、また修正すべき膜厚は非常に薄くてよい場合が多い。したがって、修正すべき膜厚は僅かな場合もあり得ることであり、本発明では修正すべき膜厚の下限を修正可能な1nmとしている。修正膜厚1nm未満では、修正の効果を確認し得ないからである。一方、補助パターンの特性上、修正すべき膜厚の上限を40nmとしている。修正すべき膜厚が40nmを超えてしまうと、SRAFによる主パターンの解像度向上効果や焦点深度拡大効果など、本来のSRAFの機能が低減あるいは消滅してしまうからである。
【0052】
(本発明の修正方法を適用し得るフォトマスク)
本発明のフォトマスクの修正方法は、補助パターンを有するマスクならば、ハーフトーンマスク、バイナリマスクのいずれのマスクにも用いることができ、特に限定されることはないが、図4に、補助パターンを有するハーフトーンマスクおよびバイナリマスクの代表的なマスクを例示しながら説明する。図4において、同じ部位を示す場合には同じ符号を用いている。もとより本発明のフォトマスクの修正方法は、図4に示すフォトマスクに限定されるわけではない。
【0053】
図4(a)〜図4(d)は、本発明の修正方法を適用し得る主パターンと補助パターンとが半透明膜で構成されているハーフトーンマスクの例を示す部分断面模式図である。図4(a)〜図4(d)のフォトマスクは、透明基板41上に主パターン42と補助パターン43とが設けられており、いずれのマスクも、主パターン42を透過する露光光と透明基板41の透明領域を透過する露光光とで180度の位相差を生じる膜厚であるように、主パターン42の膜厚が設定されている。
【0054】
さらに、図4(a)は、主パターン42と補助パターン43とが同一の半透明膜で同一の膜厚で構成されているハーフトーンマスクである。図4(b)は、主パターン42と補助パターン43とが同一の半透明膜で構成され、補助パターン43を透過する露光光と透明基板41の透明領域を透過する露光光に70度〜115度の範囲の所定の位相差を生じさせるようにしたマスクであり、補助パターン43の膜厚を主パターン42の膜厚よりも薄くしたマスクである。図4(c)は、主パターン42が透明膜/半透明膜の2層で構成され、補助パターン43が半透明膜よりなるマスクであり、半透明膜層の膜厚は主パターン42と補助パターン43とも同じである。図4(d)は、主パターン42が半透明膜/半透明膜の2層で構成され、補助パターン43が半透明膜よりなるマスクであり、透明基板41に接した半透明膜層の膜厚は主パターン42と補助パターン43とも同じである。
【0055】
上記の図4(a)〜図4(d)に示した補助パターンを有するマスクは、代表的な例であり、本発明の修正方法を適用し得るマスクとしては、主パターンと補助パターンとが半透明膜/半透明膜の2層で構成したマスクなどにも適用することができる。
【0056】
図4(e)および図4(f)は、主パターンが露光光を遮光する遮光膜で構成されているバイナリマスクの例を示す部分断面模式図である。図4(e)は、透明基板41上に主パターン42が遮光膜/半透明膜の2層で構成され、補助パターン43が半透明膜よりなるマスクであり、半透明膜層の膜厚は主パターン42と補助パターン43とも同じである。図4(f)は、主パターン42と補助パターン43とが同一の遮光膜で同一の膜厚で構成されているマスクである。
【0057】
上記のように、本発明の修正方法を適用するフォトマスクにおける主パターンおよび補助パターンの半透明膜は、露光光を所定の透過率で透過する半透明の薄膜を意味するものであり、薄膜が半透明の単層膜、あるいは半透明膜と透明膜もしくは透過率の異なる他の半透明膜との2層膜以上の構成であってもよい。また、本発明の修正方法を適用するフォトマスクにおける主パターンおよび補助パターンの遮光膜は、露光光を遮光する薄膜を意味するものであり、薄膜が遮光膜の単層膜、あるいは遮光膜と半透明膜を有する2層膜以上の構成であってもよい。
【0058】
本発明のフォトマスクの修正方法において、図4(a)〜図4(e)に示すマスクの主パターン42および補助パターン43を構成する半透明膜としては、材料として特に限定されるわけではないが、例えば、モリブデンシリサイド系材料であるモリブデンシリサイド酸化膜(MoSiO)、モリブデンシリサイド窒化膜(MoSiN)、モリブデンシリサイド酸化窒化膜(MoSiON)などの半透明膜、クロム系材料である酸化クロム膜(CrO)、酸化クロム膜(CrN)、酸化窒化クロム膜(CrON)などの半透明膜、酸化スズ(SnO2)などの半透明膜が挙げられる。モリブデンシリサイド系半透明膜はハーフトーンマスク材料として実用されており、より好ましい材料である。図4(c)に示す主パターン42を構成する透明膜としては、酸化シリコン膜(SiO2)などが挙げられる。図4(e)に示す主パターン42を構成する遮光膜、および図4(f)に示すマスクの主パターン42および補助パターン43を構成する遮光膜としては、クロム膜(Cr)などの金属薄膜、モリブデンシリサイド(MoSi)などの金属シリサイド薄膜が挙げられる。
【0059】
図1(b)に示す電子ビームマスク修正機の電子ビームを用いたガスアシスト・エッチング工程において、主パターン42および補助パターン43を構成する半透明膜が、例えばモリブデンシリサイド系材料の半透明膜の場合には、CF4 、CHF3 、C2 F6などのフッ素系ガス、あるいはこれらの混合ガス、あるいはこれらのガスに酸素を混合したガスをアシストガスとして用いて選択的にエッチングを行い、補助パターンの膜厚を選択的に薄くすることができる。また、主パターン42および補助パターン43を構成する遮光膜が、例えばクロムの場合には、Cl2と酸素の混合ガスをアシストガスとして用いて選択的にエッチングを行い、補助パターンの膜厚を選択的に薄くすることができる。
【0060】
(修正後の補助パターンの転写性)
次に、図1に示した本発明のフォトマスクの修正方法により、補助パターン(SRAF)表面をエッチングもしくは研削し、補助パターンの膜厚を薄く修正した薄膜化の効果について説明する。マスクとしては、一例として、図4(a)に示す部分断面模式図の形状で、膜厚68nmのモリブデンシリサイドを半透明膜とし、主パターン(膜厚68nm)がArFエキシマレーザ光(193nm)の透過率6%、透明基板の透明領域との位相差180度であり、修正前の補助パターンの膜厚も68nmであるハーフトーンマスクを例にして説明する。
【0061】
シミュレーション・ソフトウェアとしては、EM−Suite(商品名:Panoramic Technology社製)を用いた。主なシミュレーション条件は、照明光源ArFエキシマレーザ(193nm)、NA1.35、変形照明とし、Cquad瞳フィルタを用い、Cquad21は、扇状光透過部の開口角35度、外径0.9、内径0.7(瞳フィルタの半径を1とする)とした。マスクには、上記のハーフトーンマスクの値を用いた。
【0062】
図5は、シミュレーションにより得られた結果であり、ウェハ上での主パターンのCDが32nmの上記のハーフトーンマスクにおいて、SRAFのCDを変えたとき、SRAF膜厚差(横軸)とSRAFの光強度/規格化された光強度閾値のスライスレベル(縦軸)との関係を示す図である。図5においては、SRAFの光強度/スライスレベルを1以上にしないと、SRAFがウェハ上に解像してしまうことを示す。
【0063】
図5が示すように、SRAFのCDが14nm(マスク上では56nm)と微細なときには、修正後のSRAF膜厚差が0と同じ(修正がされなかった場合と同じである)であっても、SRAFの光強度/スライスレベルは1以上であり、本来的にSRAFは転写されないことになる。次に、SRAFのCDが22nm(マスク上では88nm)のときには、修正後のSRAFの膜厚差が24nm以上であれば、SRAFは解像せず転写されないことが示される。同様に、SRAFのCDが26nm(マスク上で104nm)のとき、修正後のSRAFの膜厚差30nm以上、SRAFのCDが30nm(マスク上で88nm)のとき、修正後のSRAFの膜厚差が34nm以上であれば、SRAFは転写されない。
【0064】
上記の図5および図7で説明したように、主パターンと補助パターン(SRAF)が同一材料、同一膜厚で構成されたハーフトーンマスクでは、主パターンのCDを32nmとするとSRAFのCDが14nm以下でしかSRAFが用いられなかったが、上記のように、転写されてしまうSRAFを薄膜化する本発明の修正方法を適用することにより、SRAFのCDを26nm〜30nmと2倍程度に大きい寸法としても、SRAFが解像せず転写されないで使用することも可能となる。本発明の修正方法により、従来微細化が難しく使用することが困難であったSRAFを有するハーフトーンマスクの使用可能性が広くなる。
【0065】
次に、SRAFを修正により薄くしたときの影響について述べる。図6は、シミュレーションにより得られたSRAFのCDを変えたとき、ウェハ上の主パターン端のラインのCDとデフォーカス(Defocus:焦点位置変動)との関係を示す図である。それぞれのSRAFのCDに対して、SRAFが解像しないようにエッチングによる修正により膜厚を薄くして、修正前の膜厚との膜厚差(SRAF膜厚差:24nm、32nm、40nm)を有している。図6に示されるように、SRAFのCDを22nm〜30nm(ウェハ上)と大きくし、SRAFの膜厚を薄くする修正を行うことにより、フォーカスを振ったときの各SRAF寸法間におけるCD変動はなく、ほぼ同じ傾向を示す。すなわち、本発明の修正方法によるSRAFの薄膜化は、デフォーカスに対して悪影響はなく、修正をしていないSRAFのCD14nmの場合と同様の寸法精度が得られることが示される。
【0066】
上記の実施形態においては、補助パターン(SRAF)を有するフォトマスクとして、主パターンの両端にSRAFを有するマスク形態を例に説明をしてきたが、本発明はこれに限定されるわけではなく、主パターン間にSRAFがあるマスク形態、あるいは主パターンが孤立パターンであるマスク形態などにおいても、本発明のフォトマスクの修正方法を適用することが可能である。
【0067】
本発明のフォトマスクの修正方法によれば、補助パターンが転写対象面に解像して転写されてしまう場合のフォトマスクの修正方法において、補助パターン表面をエッチングもしくは研削し、補助パターンが転写対象面に解像されなくなるまで、補助パターンの膜厚を薄くすることで、補助パターンが解像して転写されてしまう問題を解決し、かつ、補助パターンとしての焦点深度拡大効果を保ちつつ、コントラストの高い転写画像を形成するフォトマスクに修正することができる。本発明のフォトマスクの修正方法は、補助パターンの線幅方向にマスクパターンを修正する従来のフォトマスクの修正方法とは異なり、補助パターンの厚み方向にマスクパターンを修正する方法であって、補助パターンを有するフォトマスクを確実で比較的容易な方法で修正することが可能となる。
【0068】
<本発明の修正されたフォトマスク>
本発明の修正されたフォトマスクは、上記のフォトマスクの修正方法により補助パターンが修正されたフォトマスクであって、一例として、図1(c)に示すように、エッチングもしくは研削して薄くした修正後の補助パターン13a´および13b'を備え、修正前の補助パターンの膜厚との膜厚差(図中のSRAF膜厚差:T)を有するものである。本発明のフォトマスクは、補助パターンが転写対象面に解像されて転写されてしまうフォトマスクを、補助パターンを膜厚の厚み方向に修正することにより、補助パターンが転写対象面に解像し転写されないようにし、焦点深度拡大効果を保ちつつ、コントラストの高い転写画像を形成することができる。
以下、実施例により本発明を説明する。
【実施例】
【0069】
ArFエキシマレーザ(波長193nm)用マスクとして、補助パターンを有するMoSi系の193nmにおける透過率6%のハーフトーンマスクを作製した。ウェハ上のターゲットライン寸法は45nm、パターンはピッチ90nm(マスク上でピッチ360nm)のライン/スペース繰り返しパターンで、図3に示すパターンを形成した。ウェハ上において、主パターンとしてハーフピッチ45nmのライン/スペースが9本、端の主パターンの解像性を向上させるために、主パターンの両端にSRAFを2本(SRAFのピッチ90nm)入れている。主パターン、SRAFともに上記の6%ハーフトーンで構成され、マスク上のパターンの膜厚はともに68nmとした。マスク上における主パターンのCDおよびSRAFのCDは、ともに128nmとした。
【0070】
上記のハーフトーンマスクを用いてArFエキシマレーザ露光を行った。露光系のNAは1.35、変形照明として、図2に示すCquad瞳フィルタを用いた。しかし、ウェハ上に転写されてはならないSRAFパターンが、ウェハ上に解像してしまうという問題が生じた。
【0071】
そこで、SRAFをエッチングもしくは研削して膜厚を薄くするべく、あらかじめシミュレーションにより転写特性の見積りを行った。また、リソグラフィシミュレーション顕微鏡AIMS45-193i(カールツァイス社製)を上記の露光系と同一の露光条件にて用い、SRAFの膜厚を薄くしたときのウェハへの転写特性の検証を行った。
【0072】
まず、テスト試料によりSRAFのエッチング条件の確認を行った。パターンはマスク上でピッチ360nm(ウェハ上で90nm)のライン/スペースパターンで、主パターンの両端にSRAFを2本設けた。図8は、EBマスク修正装置MeRiT65(カールツアイス社製)を用い、CF4をアシストガスとしてガスアシスト・エッチングを行い、石英基板上のMoSi薄膜のSRAF部(S1とS2)を部分的に30nmエッチングした後のSEM平面写真である。図8の破線内の領域が、エッチングにより薄膜化処理した部分であり、エッチングした領域は、微視的にはエッチングされていない領域とSEM写真上僅かな差異が認められるが、良好な表面状態を示している。
【0073】
図9は、上記のテスト試料でSRAF部(S1とS2)を部分的に30nmエッチングした後のリソグラフィシミュレーション顕微鏡AIMS(AIMS45-193i;カールツァイス社製)による検証画像で、ウェハ上光強度分布の平面状態を示す。図9の破線内がエッチングにより薄膜化処理したSRAF部分に相当し、この部分の光強度が上がり、レジストパターンが解像しないことが示されている。
【0074】
AIMSを用いたシミュレーションによる転写特性の検証結果を図10〜図15に示す。図10は、SRAFを薄くする前のマスクパターンの位置に対応した光強度を示す空間像の図であり、一組のパターン両端片側のSRAF(S1、S2)と主パターンの一部が示されている。図10では、横軸に主パターンの一部とSRAFの一組のパターン位置、縦軸にパターンがない透過部の光強度を1としたときの規格化した光強度を示している。光強度プロファイルが複数表示されているのは、SRAFの効果を見るためにフォーカス(焦点深度)を変えた場合を示している。図10に示すように、光強度が0.25〜0.57の範囲において、スライスレベルをどこにとっても、SRAFのうちのS1はウェハ上に解像してしまい、さらに、スライスレベルを0.4以上にすると、S2も解像してしまうことが示された。
【0075】
図11は、図10の部分拡大図で、フォーカスを変えたときの繰り返し端主パターンと補助パターンS1のSRAF薄膜化処理前のパターン位置と光強度との関係を示す空間像の図である。ライン/スペース繰り返し部の主パターンのCDが45nmとなる光強度閾値を0.42とした。図11では、図10で述べたように、SRAFの効果を見るためにフォーカスを変えた場合の5本の光強度プロファイルを示している。図11が示すように、SRAFのうちのS1はフォーカスに係らずに解像してしまう。
【0076】
ここで図12は、図11の比較参考として、SRAFが無い場合の繰り返し端の主パターンと補助パターンS1のパターン位置と光強度との関係を示す空間像の図である。図12が示すように、SRAFが無いと繰り返し端の主パターンはほとんど解像しない。
【0077】
次に、SRAFを修正により薄膜化した場合の転写特性をシミュレーションにより見積った。図13は、シミュレーションによる転写特性の見積り結果であり、SRAFを30nmほど薄くした後のマスクパターンの位置に対応した光強度を示す空間像の図である。SRAFを薄膜化したことにより、SRAFによる光量が拡大し、SRAFの光強度の最小値は大きくなり、0.25〜0.55の範囲においてSRAFパターンは解像しないことが示され、光強度のスライスレベル選定の余裕度が拡大した。また、SRAFを薄膜化しても、主パターンの光学像は低下しないことが確認された。
【0078】
図14は、図8、図9の破線部内の状況を示し、図13の部分拡大図であり、繰り返し端主パターンと補助パターンS1のSRAF薄膜化処理後のパターン位置と光強度との関係を示す空間像の図である。図14では、SRAFの効果を見るためにフォーカスを変えた場合の光強度プロファイルを示している。図14が示すように、SRAFを薄膜化することにより、SRAFのS1は解像しなくなる。
【0079】
図15は、SRAF薄膜化処理をした後の繰り返し端主パターンの焦点深度を示す図である。上記のように、ライン/スペース繰り返し部の主パターンのCDが45nmとなる光強度〔a.u.〕閾値を0.42とした。比較のために、SRAFが無い場合も図示してある。SRAFが無い場合(no)は解像するフォーカス範囲が狭いが、薄膜化したSRAFを設けた場合(thin)には、解像するフォーカス範囲が広いことが示された。また、SRAFを解像しないようにしながら、SRAFとしての効果を保っていることが示された。
【0080】
上記のエッチングテスト結果およびシミュレーション結果に基づいて、ウェハ上に解像してしまうSRAFパターンを有する上記のハーフトーンマスクのSRAF部を修正した。上記のテスト試料と同じエッチング条件により、1組の主パターン端の両側にある各2本のSRAF表面全面をエッチングして、初期膜厚との膜厚差が30nmとなるまで薄膜化した。
【0081】
上記のSRAFの膜厚を薄膜化して修正したハーフトーンマスクを用いて、再度、ArFエキシマレーザ露光を行ったところ、SRAFはまったく解像されずに、主パターンのみがウェハ上に高解像で転写された。また、露光時における焦点深度拡大効果も得られた。
【符号の説明】
【0082】
10 ハーフトーンマスク
11 透明基板
12 主パターン
13、13a、13a´、13b、13b' 補助パターン(SRAF)
14 半透明膜
15 ガスノズル
16 電子ビーム
21 瞳フィルタ
22 照明光
23 マスク
41 透明基板
42 主パターン
43 補助パターン(SRAF)
1 主パターン
2 補助パターン
301 透明基板
302 半透明膜
304 透明膜
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ArFエキシマレーザを露光光源とし、変形照明による投影露光に用いられ、透明基板の一主面上に、前記投影露光により転写対象面に転写される主パターンと、前記主パターンの近傍に形成された補助パターンとを有するフォトマスクにおいて、前記投影露光により前記補助パターンが前記転写対象面に解像されてしまう場合のフォトマスクの修正方法であって、
前記解像されてしまう補助パターンの表面をエッチングもしくは研削し、前記補助パターンが前記転写対象面に解像されなくなるまで、前記解像されてしまう補助パターンの膜厚を薄くすることを特徴とするフォトマスクの修正方法。
【請求項2】
前記エッチングもしくは研削して薄くした修正後の前記補助パターンの膜厚と、修正前の前記補助パターンの膜厚との膜厚差が、1nm〜40nmの範囲であることを特徴とする請求項1に記載のフォトマスクの修正方法。
【請求項3】
前記エッチングが電子ビームマスク修正機の電子ビームを用いたガスアシスト・エッチングであり、前記研削が原子間力顕微鏡の探針を用いた研削であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のフォトマスクの修正方法。
【請求項4】
前記主パターンと前記補助パターンとが半透明膜で構成されており、前記主パターンの膜厚が、前記主パターンを透過する光と前記透明基板の透明領域を透過する光とで180度の位相差を生じる膜厚であることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載のフォトマスクの修正方法。
【請求項5】
前記主パターンが遮光膜から構成され、前記補助パターンが半透明膜よりなることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載のフォトマスクの修正方法。
【請求項6】
前記主パターンと前記補助パターンとが遮光膜で構成されていることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載のフォトマスクの修正方法。
【請求項7】
前記主パターンおよび前記補助パターンがいずれもラインパターンであり、前記主パターンが孤立パターンまたは周期パターンであることを特徴とする請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載のフォトマスクの修正方法。
【請求項8】
請求項1から請求項7までのいずれか1項に記載のフォトマスクの修正方法により補助パターンが修正され、修正後の前記補助パターンの膜厚が修正前の前記補助パターンの膜厚よりも薄いことを特徴とするフォトマスク。
【請求項1】
ArFエキシマレーザを露光光源とし、変形照明による投影露光に用いられ、透明基板の一主面上に、前記投影露光により転写対象面に転写される主パターンと、前記主パターンの近傍に形成された補助パターンとを有するフォトマスクにおいて、前記投影露光により前記補助パターンが前記転写対象面に解像されてしまう場合のフォトマスクの修正方法であって、
前記解像されてしまう補助パターンの表面をエッチングもしくは研削し、前記補助パターンが前記転写対象面に解像されなくなるまで、前記解像されてしまう補助パターンの膜厚を薄くすることを特徴とするフォトマスクの修正方法。
【請求項2】
前記エッチングもしくは研削して薄くした修正後の前記補助パターンの膜厚と、修正前の前記補助パターンの膜厚との膜厚差が、1nm〜40nmの範囲であることを特徴とする請求項1に記載のフォトマスクの修正方法。
【請求項3】
前記エッチングが電子ビームマスク修正機の電子ビームを用いたガスアシスト・エッチングであり、前記研削が原子間力顕微鏡の探針を用いた研削であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のフォトマスクの修正方法。
【請求項4】
前記主パターンと前記補助パターンとが半透明膜で構成されており、前記主パターンの膜厚が、前記主パターンを透過する光と前記透明基板の透明領域を透過する光とで180度の位相差を生じる膜厚であることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載のフォトマスクの修正方法。
【請求項5】
前記主パターンが遮光膜から構成され、前記補助パターンが半透明膜よりなることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載のフォトマスクの修正方法。
【請求項6】
前記主パターンと前記補助パターンとが遮光膜で構成されていることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載のフォトマスクの修正方法。
【請求項7】
前記主パターンおよび前記補助パターンがいずれもラインパターンであり、前記主パターンが孤立パターンまたは周期パターンであることを特徴とする請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載のフォトマスクの修正方法。
【請求項8】
請求項1から請求項7までのいずれか1項に記載のフォトマスクの修正方法により補助パターンが修正され、修正後の前記補助パターンの膜厚が修正前の前記補助パターンの膜厚よりも薄いことを特徴とするフォトマスク。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
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【図10】
【図11】
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【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2011−59285(P2011−59285A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−207682(P2009−207682)
【出願日】平成21年9月9日(2009.9.9)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年9月9日(2009.9.9)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】
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