説明

フォンビルブランド因子特異的切断酵素を主成分とする診断薬および医薬品

【課題】医薬品としての利用を目的とした部分欠失ADAMTS-13改変分子の製造方法及び用途の提供。
【解決手段】ハイブリドーマ株WH2−22−1A(受託番号FERM BP−8483)が産生するADAMTS-13が有する酵素活性を中和し得る、ADAMTS-13の部分領域を認識するモノクローナル抗体及び抗体の製造方法。更に抗体をADAMTS-13と夾雑物質とを含む混合に接触させて抗体に当該蛋白質を吸着させ、吸着した当該蛋白質を抗体から脱着させる工程を含むADAMTS-13の精製方法。ADAMTS-13の全長もしくは部分欠失変異体を主成分とする診断薬あるいは医薬品。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、医療用医薬品の分野に係る蛋白質に関する。詳細には、血液凝固に関与するフォンビルブランド因子(von Willebrand Factor:以下、vWFと称することがある)の特異的切断酵素(以下、ADAMTS-13と称することがある)の全長もしくは部分断片及びそれらに対する抗体に関する。本願発明で提供されるADAMTS-13に対する抗体により、血栓性血小板減少性紫斑病(thrombotic thrombocytopenic purpura : 以下、TTPと称することがある)等を含む当該酵素の欠損・低下(一つの可能性として以下の報告がある;例えば、非特許文献1参照)の診断または本酵素蛋白質に対する自己抗体陽性患者の診断及びそれにともなう疾病患者への当該酵素の補充療法のための効率的で高純度な当該酵素の調製の可能性が拓かれる。あるいはDisseminated intravascular coagulation(以下DICと略すことがある。)、などによる血小板減少と先天性・後天性TTPによる血小板減少の区別が可能となり、血小板輸注の際の指標を得ることが可能となる。さらには、新規な抗ADAMTS-13薬としての利用も考えられる。
【背景技術】
【0002】
vWFは、血管内皮細胞や骨髄巨核球で産生され、2050アミノ酸残基(モノマー約250kDa)からなる単一サブユニットがS−S結合にて結ばれたマルチマー構造(分子量500〜20,000kDa)を持って存在している止血因子である。血中濃度は約10μg/mlで、一般に高分子量のものほど比活性が高い。
【0003】
vWFには2つの大きな止血因子としての機能があり、1つは血液凝固第VIII因子と結合し、これを安定化させるキャリアー蛋白質としての働き、もう1つは傷害血管壁の血管内皮細胞下組織に血小板を粘着・凝集させ、血小板血栓を形成する機能である。
【0004】
血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)は、全身の体組織細動脈と毛細血管に血小板血栓を生じる疾患であり、今日の医療技術の進歩にもかかわらず、当該疾患での関連死亡率は1971〜1991年にかけて約3倍に増加している。病理学的に、TTPは血管内皮細胞障害や血管内血小板凝集によって惹き起こされると考えられており、免疫組織学的には生じた血小板血栓中に多量のvWFの存在が認められ、vWFがこの成因に大きな役割を果たしていると考えられている。TTP患者のvWFのマルチマー構造は正常もしくは高分子量が優位となっており、特に通常では見られない超高分子量のvWF(unusually large vWF multimer:ULvWFM)や高分子量vWF重合体 (large vWF multimer:LvWFM)が、高ずり応力下での血小板凝集の促進と微小血栓形成に大きな役割を果たしていることが推察される。一方で、vWFは健常人の循環血液中で高ずり応力下、vWF切断酵素(vWF-cleaving protease)の作用により842Tyr−843Metの位置で分解を受けることが知られていた。したがって、TTPは血漿中の当該酵素活性が何らかの原因で低下して、ULvWFM〜LvWFMが増加して血小板凝集が亢進し、血管内に血小板血栓が形成されるためというシナリオが描かれている。
【0005】
2001年、この酵素活性を有する活性本体であるvWF切断酵素、別名ADAMTS-13をコードする遺伝子が本願出願人によりクローニングされた(WO 02/088366)。以下に、ADAMTS-13の分子構造に関する知見を整理する。
【0006】
ADAMTS-13のドメイン構成はSignal peptideに続いてPropeptideが存在し、次いで、Furinの切断モチーフのRQRR配列が存在し、HEXXHXXGXXHDのコンセンサス配列からなるReprolysinタイプの亜鉛キレート領域を含むMetalloprotease domainが続く(P285stopまで)。そして、蛇毒メタロプロテアーゼで見出されるようなDisintegrin-like domainを経て(W387stopまで)、一般的に分子認識に重要と考えられているおよそ50〜60残基からなる最初のTsp1 motif(Tsp1-1)(Q449stopまで)へとつながり、さらに、細胞接着モチーフの1つRGDS配列が含まれるCys-rich region(T581stopまで)へと続く。次いで、システイン残基を全く含まない約130アミノ酸残基からなるSpacer domain(W688stopまで)を経て、再びTsp1 motifの繰り返し(Tsp1-2〜8)の後、補体成分C1rあるいはC1sの中に最初に見つかったとされるCUB domain-1, 2が続く。
【0007】
ところで、本酵素の効率的、高純度な精製法あるいは本酵素の存在量に関して定性的、定量的な診断の方法は確立されていない。さらに本酵素に対する自己抗体陽性患者の診断法も確立されておらず、また、本酵素の活性発現の必須ドメインの特定もされていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】WO 02/088366
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
斯かる状況に鑑み、本願発明の第一の課題は、高い選択性でADAMTS-13に対して免疫反応性を示す抗体を提供することにある。
本願発明の第二の課題は、斯かる抗体の製造方法を提供することにある。
本願発明の第三の課題は、斯かる抗体の用途を提供することにある。
【0010】
本願発明の第四の課題は、上述の抗体あるいは自己抗体陽性患者由来の抗体の存在あるいは認識領域を特定することを可能にする全長もしくは部分欠失させたADAMTS-13分子を提供することにある。
【0011】
本願発明の第五の課題は、斯かる全長もしくは改変分子の製造方法を提供することにある。
本願発明の第六の課題は、斯かる全長もしくは改変分子の用途を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
vWF特異的切断酵素の先天的欠損患者及び後天性の当該酵素に対する抗体陽性患者の治療法として、現在までプラズマ交換療法が施されており、当該酵素の精製品または遺伝子組換え体等純品による補充療法の確立が望まれる。家族性TTP患者は、先天的にvWF特異的切断酵素が欠損しており、非家族性では後天的に当該酵素に対する自己抗体の産生が原因と報告されている。したがって、家族性TTP患者には、本酵素の補充療法が望ましく(現実には血漿投与が行われている)、非家族性では、血漿交換による自己抗体の除去と本酵素の補充が必要である。
【0013】
したがって、本酵素の効率的な調製法あるいは診断等が必要となるが、しかし、vWF切断酵素は、本願出願人による先の出願に記載の方法(WO 02/088366)、あるいはその他の方法(例えば、Kokame,K.ら、”Proc. N.A.S. USA”、2002年、第99巻、p.11902−11907; Fujikawa,K.ら、”Blood”、2001年、第98巻、p.1662−1666参照)により、血漿あるいは組換え体発現上清中より精製される方法では、十分な純度及び収量が期待できない。また、本酵素の存在量、特に抗原量としての酵素量を測定する術は今まで存在しなかった。またとくに血小板減少症においてDICなどが原因の場合と異なりTTPが基礎疾患として存在する場合の血小板輸注による症状の増悪などのリスクがあった。
【0014】
従って、本発明はこれらの問題点を解決するためのvWF切断酵素に対する抗体の提供を目的とする。該抗体によりvWFの定量や精製が可能になる。
【0015】
上述の状況の下、本願発明者等はvWF切断酵素の単離同定を達成するべく、鋭意研究を重ねた結果、従来報告のなかった所望のvWF切断酵素の精製単離に成功し、その成熟型蛋白質のアミノ酸配列及び当該アミノ酸配列をコードする遺伝子を同定するに至った(WO 02/088366)。
【0016】
そして、活性発現に必須と考えられる領域を特定するために、C末端側CUBドメインより逐次欠失した改変分子を作製し、そのvWF切断活性を測定した。これによりSpacer領域と呼ばれる配列番号1に掲げるアミノ酸番号で688位近傍よりN末端側から構成される分子においてもその定性的な酵素活性は維持されることが確認された。一方で581位近傍までから構成される分子では正常な分泌が阻害され、449位近傍までから構成される分子では培養上清中への分泌は認められるもののその酵素活性は微弱あるいは活性が認められないことが確認され、これらの知見により本酵素分子の活性発現に必須な領域が示された。これらから本酵素活性を中和しうる抗体の作製に必要なエピトープ領域あるいは活性を有する本酵素分子の検出が可能な抗体の作製が可能となった。
【0017】
そして、得られるADAMTS-13のアミノ酸配列を基に調製されるペプチド等を抗原にして、通常の免疫方法(Current Protocols in Molecular Biology, Edited by F.M.Ausbel et al.(1987)、Antibody Engineering: A PRACTICAL APPROACH Edited by J.McCAFFERTY et al.(1996)、Antibodies: A Laboratory Mannual, Edited by Harlow David Lane(1988)あるいはANTIBODY ENGINEERING second edition Edited by Carl A. K. BORREBAECK (1995))によってモノクローナル及びポリクローナル抗体等の作製が可能である。あるいは、ファージディスプレイ技術を利用した抗体作製技術(Phage Display of Peptides and Proteins: A Laboratory Manual Edited by Brian K. Kay et al.(1996)、Antibody Engineering: A PRACTICAL APPROACH Edited by J.McCAFFERTY et al.(1996)、あるいはANTIBODY ENGINEERING second edition edited by Carl A. K. BORREBAECK(1995))により当該蛋白質と結合する抗体の作出が可能である。あるいは、これらの技術に基づき、本酵素に対する自己抗体陽性であるTTP患者検体からの本酵素活性の中和抗体もしくは単なる結合抗体の単離も可能である。そして、これらの抗体を用いることで、本酵素量の変動を伴う疾病、例えばTTPなどの疾患の診断及び治療への応用が可能となる。あるいは調製された抗体を用いて例えばマウスのADAMTS-13に対する抗体を作製し、マウスへ移入もしくは、この抗体の遺伝子を組み込んだ発現ベクターをマウスへ移入することにより、自己抗体陽性のモデルマウスが作出される。
【0018】
すなわち、本発明は以下のとおりである。
[1] フォンビルブランド因子特異的切断酵素(以下、ADAMTS-13と称することがある)を構成するアミノ酸配列のうち全長または1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列または前記のいずれかのアミノ酸配列の部分配列もしくは前記アミノ酸配列を含有するポリペプチド鎖よりなる蛋白質またはペプチドに対する抗体、
[2] ADAMTS-13が霊長類または齧歯類を起源とするものである[1]の抗体、
[3] 配列番号1記載のADAMTS-13を構成するアミノ酸配列のうち1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列または前記のいずれかのアミノ酸配列の部分配列もしくは前記アミノ酸配列を含有するポリペプチド鎖よりなる蛋白質に対する抗体、
【0019】
[4] 配列番号1記載のADAMTS-13を構成するアミノ酸配列よりなるポリペプチドに対し、当該ポリペプチドのSpacer領域よりN末端側またはMetalloprotease領域、Disintegrin-like領域、Tsp1-1領域、Cys-rich領域からSpacer領域の間を認識する抗体、
[5] [1]から[4]のいずれかの抗体であって、ADAMTS-13を構成するアミノ酸配列のうち1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列または前記のいずれかのアミノ酸配列の部分配列もしくは前記アミノ酸配列を含有するポリペプチド鎖よりなる蛋白質のアフィニティー精製に用いられ得る抗体、
【0020】
[6] [1]から[4]のいずれかの抗体であって、ADAMTS-13を構成するアミノ酸配列のうち1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列または前記のいずれかのアミノ酸配列の部分配列もしくは前記アミノ酸配列を含有するポリペプチド鎖よりなる蛋白質が有する酵素活性を阻害もしくは中和し得る抗体、
[7] ADAMTS-13のSpacer領域よりN末端側、Metalloprotease領域またはDisintegrin-like領域を認識する[6]の抗体、
【0021】
[8] 配列番号2及び3のADAMTS-13部分ペプチドを含有してなる免疫原により調製された抗体、
[9] 配列番号1記載のポリペプチド鎖の全長あるいはその一部の発現物を免疫あるいはそれを発現する発現ベクターを直接動物にトランスフェクトし得られる抗体、
[10] ポリクローナル抗体である、[1]から[9]のいずれかの抗体、
[11] モノクローナル抗体である、[1]から[9]のいずれかの抗体並びにその抗体をコードする遺伝子、
【0022】
[12] ハイブリドーマWH10、WH63.1、WHS40.3、Pep4-34.1、WH2-22-1A、WH2-1-1、WH2-11-1、Pep6-6AおよびPep4-5B-1からなる群から選択されるハイブリドーマが産生する抗体である[9]のモノクローナル抗体並びにその抗体をコードする遺伝子、
【0023】
ここでWH10、WH63.1、WHS40.3およびPep4-34.1は、独立行政法人 産業技術総合研究所特許生物寄託センター(日本国茨城県つくば市東1丁目1番地1中央第6)に、それぞれ受託番号 FERM BP−8174、FERM BP−8175、FERM BP−8176及びFERM BP−8177として、2002年9月4日に、寄託されている。WH2-22-1A、WH2-1-1、WH2-11-1、Pep6-6AおよびPep4-5B-1は、それぞれ受託番号FERM BP−8483、FERM BP−8484、FERM BP−8485、FERM BP−8474及びFERM BP−8475として、2003年4月22日および2003年9月10日に、独立行政法人 産業技術総合研究所 特許生物寄託センター(日本国茨城県つくば市東1丁目1番地1中央第6)に寄託されている、
【0024】
[13] [1]から[12]のいずれかの抗体によって認識されるADAMTS-13のエピトープに結合または競合的に結合することができる抗体、
[14] [1]から[13]のいずれかの抗体を含む医薬品組成物または診断薬、
[15] [1]から[13]のいずれかの抗体を構成成分とする標識蛋白質、
[16] [1]から[13]のいずれかの抗体を産生し得る単離された細胞、
[17] ハイブリドーマである[16]の細胞、
【0025】
[18] ハイブリドーマ株WH10(受託番号FERM BP−8174)、ハイブリドーマ株WH63.1(受託番号FERM BP−8175)、ハイブリドーマ株WHS 40.3(受託番号FERM BP−8176)、ハイブリドーマ株Pep4−34.1(受託番号FERM BP−8177)、ハイブリドーマ株WH2−22−1A(受託番号FERM BP−8483)、ハイブリドーマ株WH2−1−1(受託番号FERM BP−8484)、ハイブリドーマ株WH2−11−1(受託番号FERM BP−8485)、ハイブリドーマ株Pep6−6A(受託番号FERM BP−8474)およびハイブリドーマ株Pep4−5B−1(受託番号FERM BP−8475)からなる群から選択される[17]の細胞、
【0026】
[19] [1]から[13]のいずれかの抗体を含んでなる免疫測定キット、
[20] ADAMTS-13のアミノ酸配列の一部または全部を含むポリペプチドで温血動物を免疫感作する工程と、該免疫感作された温血動物の体液から[1]から[13]のいずれかの抗体を採取する工程を含む抗体の製造方法、
[21] 温血動物を免疫感作するためのポリペプチドが、ADAMTS-13の一部として、配列表における配列番号1に示すアミノ酸配列の一部または全部を含む[20]の抗体の製造方法、
【0027】
[22] [1]から[13]のいずれかの抗体を産生し得る単離された細胞を生体内または生体外で培養する工程と、その体液または培養物から該抗体を採取する工程を含む抗体の製造方法、
[23] 抗体を産生し得る単離された細胞がハイブリドーマである[22]の抗体の製造方法、
【0028】
[24] 塩析、透析、濾過、濃縮、遠心分離、分別沈澱、ゲル濾過クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、ゲル電気泳動及び等電点電気泳動から選ばれる1種または2種以上を含む精製方法により抗体を採取する[20]から[23]のいずれかの抗体の製造方法、
[25] [1]から[13]のいずれかの抗体を被験試料に接触させ、免疫反応によりADAMTS-13を検出することを特徴とするADAMTS-13の検出方法、
【0029】
[26] [1]から[13]のいずれかの抗体を利用するラジオイムノアッセイ、エンザイムイムノアッセイまたは蛍光イムノアッセイである[25]の検出方法、
[27] 被験試料が生体から採取した生物学的試料である[25]または[26]にの検出方法、
[28] [1]から[13]のいずれかの抗体をADAMTS-13と夾雑物質とを含む混合物に接触させて抗体に当該蛋白質を吸着させる工程と、吸着した当該蛋白質を抗体から脱着させる工程を含むADAMTS-13の精製方法、
【0030】
[29] 抗体が水不溶性担体に結合している[28]の精製方法、
[30] ADAMTS-13の全長もしくは部分欠失変異体を主成分とする診断薬あるいは医薬品、
[31] ADAMTS-13のSpacerからN末端側、あるいはmetalloprotease領域、Disintegrin-like領域、Tsp1-1領域、Cys-rich領域からSpacer領域を主成分とする[30]の診断薬あるいは医薬品、
【0031】
[32] ADAMTS-13の全長もしくは部分欠失変異体を主成分とした当該ポリペプチド鎖に対する抗体検出用の試薬・診断薬または医薬品、ならびに
[33] ADAMTS-13の全長もしくは部分欠失変異体を主成分とした抗体検出またはエピトープ解析用抗原の利用及びその調製法である。
【発明の効果】
【0032】
本願発明の抗体は、ADAMTS-13に対して特異的に免疫反応性を示す。したがってADAMTS-13酵素量の迅速な検出、本酵素変動に伴う疾病の診断及びADAMTS-13の効率的な精製あるいはADAMTS-13の酵素活性の中和が可能となる。このように、本願発明の抗体は、ADAMTS-13の検出及び精製をはじめとする多種多様の用途を有するものでもある。斯くも有用なこの発明の抗体はこの発明による抗体の製造方法により所望量を容易に得ることができる。
【0033】
本願発明は、斯くも顕著な作用効果を発揮するものであり、斯界に貢献すること誠に多大な意義のある発明であると云える。また、本願発明のADAMTS-13部分欠失体も機能上重要な領域の決定等に利用することができる。さらにこれら酵素分子を利用した試料中の本酵素に対する抗体の存在の有無の判定が可能となり、血小板減少症のより詳細な原因究明の手段を提供し、これによりあやまった血小板輸注のリスクを回避可能にするものである。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】抗体のエピトープを決定するためのC末欠失変異体作製法を示す図である。
【図2】調製されたC末欠失変異体の一時発現を抗FLAG抗体を用いて非還元下ウェスタンブロットにて確認した図である。
【図3】調製されたC末欠失変異体の一時発現のvWF切断活性を還元下のSDS-PAGEにて確認した図である。
【図4】PoAb1のエピトープを確認した結果を示す非還元下ウェスタンブロットの図である。
【図5】PoAb2のエピトープを確認した結果を示す非還元下ウェスタンブロットの図である。
【図6】MoAb Pep4-34-1のエピトープを確認した結果を示す非還元下ウェスタンブロットの図である。
【図7】MoAb WH10のエピトープを確認した結果を示す非還元下ウェスタンブロットの図である。
【図8】MoAb WH63-1のエピトープを確認した結果を示す非還元下ウェスタンブロットの図である。
【図9】MoAb WHS40-3のエピトープを確認した結果を示す非還元下ウェスタンブロットの図である。
【図10】各種抗体の認識領域と活性発現に重要な領域をまとめた図である。
【図11】vWF切断酵素の部分合成ペプチドを免疫して得られたウサギ抗血清を用いた健常人血漿及びTTP患者血漿中のADAMTS-13の確認を還元下ウェスタンブロット法で行なった結果を示す図である。
【図12】ポリクローナル抗体とモノクローナル抗体を組み合わせて構築したELISA系の模式図とアッセイの流れ図である。
【図13】ドメイン毎に調製された抗体により構築されたELISA法の概念図である。
【図14】モノクローナル抗体とモノクローナル抗体を組み合わせて構築したELISA系の模式図とアッセイの流れ図である。
【図15】ヒト胎児腎細胞株293を宿主とした培養上清から抗体カラムによりアフィニティー精製された遺伝子組換えADAMTS-13のSDS-PAGEの泳動図である。
【図16】ヒトプール血漿のFIペーストから抗体カラムによりアフィニティー精製されたADAMTS-13のSDS-PAGEの泳動図である。
【図17】抗体を用いた中和活性能の評価(非還元下のvWF切断活性のSDS-PAGE)を示す図である。
【図18】後天性TTP患者血漿中の抗ADAMTS-13抗体の検出(ELISA法)を示す図である。
【図19】マウス血漿中のADAMTS-13の検出(ウェスタンブロット法)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明を詳細に説明する。
ADAMTS-13に結合できる抗体を、ここに開示する。これらの抗体は、当該分野において標準的な技術を用いて改変することができる。また、ここに最初に例示する抗体と類似する抗体を、ここに教示する方法と公知の方法とを組み合わせて製造することもできる。抗体を生成するこれらの方法は、哺乳動物(例えば、マウス、ラット、ウサギ、ウマ、ヤギ、ヒツジまたはサル)を、ADAMTS-13またはそれらのフラグメントで免疫あるいはADAMTS-13を遺伝子組換え的に発現できる発現ベクターを皮下、皮内もしくは筋肉内にトランスフェクトすることを含む。抗体は、当該分野において公知の様々な技術を用いて、免疫した動物から得ることができ、好ましくは、興味のある抗原に対する抗体の結合を用いて、スクリーニングすることができる。抗体及び/または抗体生成細胞の動物からの単離は、動物を屠殺する工程によって行なうことができる。
【0036】
ADAMTS-13で哺乳動物を免疫する代替または補足として、ADAMTS-13に対する特異抗体を、例えば、ラムダバクテリオファージもしくは表面に機能的なイムノグロブリン結合ドメインを示すバクテリオファージフィラメントを用いて、発現させたイムノグロブリンの可変ドメインの組換え生成ライブラリーから得ることができる。ライブラリーは、いかなるADAMTS-13(もしくはフラグメント)によっても免疫されていない生物から得られた配列から構築された天然のもの、または興味のある抗原に曝された生物から得られた配列を用いて構築されたものとすることができる。
【0037】
ここに用いられるモノクローナル抗体は、KohlerとMilstein,Nature,256:495,1975によって最初に記載された方法、または組換え方法(MageとLamoyi、Monoclonal Antibody Production Techniques and Applications,79-97頁、Marcel Dekker社、New York,1987を参照)によって作製することができる。
【0038】
ハイブリドーマ法において、免疫のために用いられるADAMTS-13と特異的に結合する抗体を生成する、もしくは生成することができるリンパ球を引き出すために、皮下、腹腔内、または筋内経路で、マウス、ラット、ウサギ、ウマ、ヤギ、ヒツジまたはサル等の適した宿主温血動物を抗原で免疫する。あるいは、リンパ球をインビトロで免疫することができる。次いで、リンパ球を、適した融合剤、例えばポリエチレングリコールなどを用いてミエローマ細胞と融合させ、ハイブリドーマ細胞を形成させる[Goding,Monoclonal antibodies:Principles and Practice,pp.59-103(Academic Press,1986)参照]。
【0039】
免疫に用いる抗原としては、ヒトまたは非ヒト哺乳類の血液から単離した天然のvWF切断酵素、遺伝子工学の手法を用いて作製したリコンビナントのvWF切断酵素が挙げられ、由来はヒトでも他の哺乳類でもよい。全長vWF切断酵素を用いることもでき、酵素的に切断したフラグメントあるいはvWF切断酵素をコードするDNAのフラグメントを用いて遺伝子工学的に作製した、リコンビナントのvWF切断酵素の部分ペプチドを用いることができる。vWFの断片としては、例えばSpacer領域よりN末端側またはMetalloprotease領域、Disintegrin-like領域、Tsp1-1領域、Cys-rich領域からSpacer領域の間を含む断片が挙げられる。
【0040】
このように調製したハイブリドーマ細胞は、好ましくは、未融合の親ミエローマ細胞の増殖もしくは生存を阻害する一以上の物質を含む、適した培地中に播種し、培養することができる。例えば、親ミエローマ細胞が酵素ヒポキサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(HGPRTもしくはHPRT)を欠く場合、ハイブリドーマ用培地は、典型的には、ヒポキサンチン、アミノプテリン、及びチミジンを含み(HAT培地)、これらの物質がHGPRT欠損細胞の増殖を阻害する。
【0041】
好ましいミエローマ細胞は、有効に融合し、選択された抗体生成細胞によって安定した高レベルでの抗体発現が支持され、HAT培地などの培地に感受性を有するものである。
【0042】
ハイブリドーマ細胞を培養する培地は、ADAMTS-13に対するモノクローナル抗体の生成でアッセイする。好ましくは、特異結合は、固相酵素免疫検定アッセイ(ELISA)によって測定される。本発明のモノクローナル抗体は、ADAMTS-13あるいはその部分断片に特異的に結合するものである。
【0043】
抗体が結合するエピトープは、後述するC末欠失改変ADAMTS-13分子を発現させることでマッピングすることができる。従って、本発明は、例示された抗体が結合するADAMTS-13エピトープと結合することができる抗体を含む。
【0044】
本発明の好ましい実施態様において、モノクローナル抗体は、マイクロモルを超える親和性、または、例えばスキャッチャード分析により測定された時(MunsonとPollard、Anal. Biochem.107:220,1980参照)に、より大きな親和性(すなわち10-6モルよりも大きな親和性)を有するであろう。
【0045】
所望する特異性と親和性の抗体を生成するハイブリドーマ細胞を同定した後に、クローンを限界希釈法によりサブクローニングし、標準的な方法で培養する。この目的のために適した培地は、Dulbecco’s改変イーグル培地またはRPMI−1640培地を含む。さらに、ハイブリドーマ細胞を、動物における腹水腫瘍として、インビボで増殖させることができる。
【0046】
該ハイブリドーマ細胞をin vitro で培養することにより、所望の抗体を含む培養上清が得ることができる。また、該ハイブリドーマをマウス等の哺乳類の腹腔に移植することにより、所望の抗体を含む腹水を得ることができる。
【0047】
ハイブリドーマにより分泌されたモノクローナル抗体は、従来のイムノグロブリン精製法、例えばプロテインAセファロース、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィー、ゲル電気泳動、透析、またはアフィニティークロマトグラフィーなどによって、好適に、培地、腹水液、または血清から分離される。
【0048】
本発明のモノクローナル抗体をコードする核酸は、当該分野において公知の方法、例えば齧歯類抗体の重鎖及び軽鎖をコードする遺伝子に特異的に結合できるオリゴヌクレオチドプローブを用いて、容易に単離、配列決定される。本発明のハイブリドーマ細胞は、抗体またはそれらのフラグメントをコードする核酸の好ましい供給源である。単離後、核酸は、発現ベクターまたはクローニングベクターに結紮し、次いでこれを宿主細胞に形質転換し、組換え宿主培養細胞においてモノクローナル抗体が生成されるように、これを培養することができる。
【0049】
所望する結合特性を有する抗体を生成することができるハイブリドーマは、抗体(抗体フラグメントを含む)をコードする核酸を含み、それらを発現することができる宿主細胞として、本発明の範囲内である。また、本発明は、抗体が生成し、好ましくは分泌される条件下で、抗体を生成することができる細胞を培養することを含む、抗体の生成方法を提供する。
【0050】
本発明の抗体は、様々な方法で改変することができる。さらに言えば、「抗体」という用語は、必要とされる特異性を示す結合ドメインを有する全ての結合物質を網羅するものとして解釈されるべきである。従って、本発明は、抗原またはエピトープ、ここではADAMTS-13に結合することができる抗体に類似した形状を有する、合成分子と分子を含む、抗体フラグメント、誘導体、抗体の機能的均等物及び相同体を網羅するものである。
【0051】
抗原または他の結合対を結合することができる抗体フラグメントの実施例は、VL、VH、C1及びCH1ドメインからなるFabフラグメント;VHとCH1ドメインからなるFdフラグメント;抗体の単一アームのVLとVHドメインからなるFvフラグメント;VHドメインからなるdAbフラグメント;単離されたCDR領域とF(ab’)2フラグメント、ヒンジ領域でジスルフィドブリッジによって連結された二つのFabフラグメントを含む二価フラグメントである。また、単一鎖Fvフラグメントも含まれる。
【0052】
本発明のモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマは、遺伝変異またはその他の変異を受けることができる。さらに、当業者によって、モノクローナル抗体は、元の抗体の特異性を保持するその他の抗体、ヒト化抗体またはキメラ分子を作製するための組換えDNAテクノロジーの技術を受けることができると解されるであろう。そのような技術は、抗体の、イムノグロブリンの可変領域または相補性決定領域(CDR)をコードするDNAを、異なるイムノグロブリンの、定常領域または枠組み領域をつなげた定常領域に導入することを含むことができる。
【0053】
本発明で提供されるモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマとして、WH10、WH63.1、WHS40.3、Pep4-34.1、WH2-22-1A、WH2-1-1、WH2-11-1、Pep6-6AおよびPep4-5B-1が挙げられる。
【0054】
イムノアッセイ
本発明の抗体は、様々なアッセイ形式で、本発明の検出または診断方法において用いることができる。抗体は、ADAMTS-13に特異的に結合できる結合剤として用いることができ、例えば、in vitro において試料中のADAMTS-13の検出を可能にする。または試験試料と接触させた後に、試験試料中の被検体(分析対象物)であるvWF切断酵素によって占められた結合剤の結合部位の画分を測定するための現像剤として用いることができる。すなわち、本発明の抗体がその結合部位で、分析対象物と結合し、分析対象物に結合した抗体の量を測定することにより、分析対象物の量もわかり、本発明の抗体をあたかも被検体の存在を明らかにする現像剤のように利用することができる。
【0055】
抗体の使用、特にアッセイにおける現像剤としての抗体の使用は、検出できて、好ましくは測定できるシグナルを、直接的または間接的に産出することができる、標識物質またはレポーター分子で、それらを標識することを含む。また、本発明の抗体には標識した抗体も含まれる。標識は標識物質またはレポーター分子と抗体を連結させることにより行い、この連結は、直接的または間接的に、例えばペプチド結合を介した共有結合または非共有結合とすることができる。ペプチド結合を介した連結は、抗体とレポーター分子をコードする遺伝子融合体の組換え発現により得ることができる。Hunterら、Nature,144:945,1962;Davidら、Biochemistry 13:1014,1974;Painら、J.Immunol.Meth.40:219,1981;及びNygren、J.Histochem.and Cytochem.30:407,1982に記載された方法を含む、抗体を検出可能部分に別々に結合させるための当該分野において公知のあらゆる方法を、用いることができる。
【0056】
標識物質またはレポーター分子としては、スペクトル的に単離された吸光もしくは発光特性を有する、各蛍光色素、蛍光体もしくはレーザー染料等が挙げられ、これらと抗体を共有結合により連結すればよい。適した蛍光色素は、フルオロレセイン、ローダミン、ルシフェリン、フィコエリスリン及びテキサスレッドを含む。適した発色性染料は、ジアミノベンジジンを含む。他の検出できる標識は、放射性同位元素標識、例えば、3H、14C、32P、35S、125Iまたは99mTcと、検出できる反応生成物をもたらす反応を触媒し、シグナルを増幅することができる酵素標識、例えばアルカリホスファターゼ、β−ガラクトシダーゼまたは西洋ワサビペルオキシダーゼを含む。またこれら酵素の標識にはビオチン/アビジンまたはビオチン/ストレプトアビジン結合を用いるなど、当該分野に公知の技術を用いて行なうことができる。
【0057】
他のレポーター分子は、視覚的に観察される、電気的に検出される、またはその他の手段により記録される、検出可能なシグナルを、直接的または間接的にもたらすことができる、着色された、高分子コロイド粒子または例えばラテックスビーズなどの微粒子物質を含む。また、磁性または常磁性の微粒子も用いることができる。さらに、レポーター分子は、例えば、着色反応、変色反応、または電気的特性を変化させる反応を、触媒する酵素であってもよい。これらは、エネルギー状態間の電気的遷移により、特徴的なスペクトル吸収もしくは発光を生じるような、分子反応性を有していてもよい。さらに、これらは、バイオセンサーと結合して用いられた化学的な存在を含むことができる。
【0058】
さらに、抗体は、試料中に存在する他の物質に優先して、ADAMTS-13と特異的に結合できることから、抗体を結合剤として用いることができる。好適には、結合剤は、アッセイ中にそれらを容易に操作できるように、固体支持体上に、例えば特定の部位で、固定化する。固定化は、物理吸着または化学吸着などの当該分野に公知の技術を用いて行なうことができ、例えば、固型支持物(固体支持体)に抗体を化学的に結合させるためのビオチン/アビジンまたはビオチン/ストレプトアビジンを用いることができる。通常、試料中に存在するADAMTS-13が結合剤に結合できるように、適切な条件下で、結合試薬と試料を接触させる。次いで、結合剤の結合部位の画分占有率を、現像剤を用いて測定することができる。すなわち、試料中の分析対象物と結合した抗体の量を測定することにより、分析対象物の量を測定することができる。
【0059】
本発明の抗体を上記の現像剤として用いる場合、現像剤は、当該分野における公知の技術を用いて検出することができるように、(例えば、放射能標識、蛍光標識または酵素標識で)標識する。従って、放射能標識は、シンチレーションカウンターまたは他の放射線計数装置を用いて検出することができ、蛍光標識は、レーザーもしくは共焦点顕微鏡を用いて検出することができ、酵素標識は、基質における酵素標識の作用、典型的には、色の変化を生じる作用によって検出することができる。結合剤の占有結合部位に対して、現像剤が被検体と競合する競合的方法において、または結合剤と結合した、もしくは占有結合部位に結合した被検体と標識化現像剤が結合する非競合的方法において、現像剤を用いることができる。両方の方法により、被検体によって占有された結合部位の画分が示され、これにより試料中の被検体濃度が、例えば被検体の既知濃度を含む試料を用いて得られた標準と比較して、示される。
【0060】
診断的アッセイは、患者からの生物学的試料を用いて行なわれる。これらの試料は、前処置なしに直接的に用いられることもできるし、アッセイを行なう前に例えば遠心分離やろ過により干渉する可能性のある試料中の物質を除去する等の処置を行ってもよい。適した生物学的試料の例は、血液、尿、汗、組織もしくはその抽出液または血清である。
【0061】
一実施態様において、本発明は、TTP、TTP様の疾患またはvWF依存性の血栓症(vWFによりもたらされる血栓症)の恐れのある患者がこれらの疾患に罹患しているか否かを診断する方法、あるいは罹患するリスクがあるかを評価する方法に関し、該方法は、以下の工程を含む:(a)患者から得られた生物学的試料を、ADAMTS-13と特異的に結合できる抗体を固定化した固型支持物と接触させること;
(b)抗体を固定化し、さらに試料を接触させた固型支持物を、抗体の未占有結合部位、抗体に結合した結合ADAMTS-13または抗体の占有結合部位に結合できる標識化現像剤と接触させること;及び、(c)試料中におけるADAMTS-13の濃度に相応する値を得るために、工程(b)において特異的に結合した現像剤の標識を検出すること。
【0062】
さらなる実施態様において、本発明は、患者におけるvWF依存性の血栓にまつわる診断をするための方法を提供し、該方法は以下を含む:(a)患者の生物学的試料を、請求項記載のいずれか一つの抗ADAMTS-13抗体と接触させること;及び、(b)試料中におけるADAMTS-13の抗ADAMTS-13抗体に対する結合を測定すること。
【0063】
そしてさらに、試料中のADAMTS-13濃度に相応する値を、既知標準から得られた値に相関させる工程、例えば濃度が既知の標準物質を測定し、標準曲線を作成し、濃度未知の物質測定に得られた測定値を標準曲線と比較し濃度を算出する工程を、さらに含む。
【0064】
本発明の抗体は、あらゆる公知の免疫学的測定方法、例えば競合的結合アッセイ、直接的及び間接的サンドウィッチアッセイ、及び免疫沈降アッセイ[Zola, Monoclonal Antibodies: A Manual of Techniques,pp147-158(CRC Press社、1987)参照]、において用いられることができる。
【0065】
サンドウィッチアッセイは、各々、検出されるADAMTS-13の異なる免疫性部位またはエピトープに、結合できる二種の抗体を使用する。サンドウィッチアッセイにおいて、試験試料の被検体を、固型支持物上に固定化されている一次抗体と結合させた後、該被検体に二次抗体を結合させて、不溶性の三部複合体(抗原、一次抗体および二次抗体)を形成させる。二次抗体は、検出できる部分(標識物質またはレポーター分子)で標識することができ、または検出できる部分で標識した抗イムノグロブリン抗体を用いて測定することができる(間接的サンドウィッチアッセイ)。例えば、サンドウィッチアッセイの一つの型は、検出できる部分が酵素であるELISAアッセイである。
【0066】
本発明の抗体を含む免疫測定キットも本発明に包含される。該キットが酵素免疫測定法に基づく場合は、抗体を固相化した担体を含んでいてもよく、抗体があらかじめ担体に結合していてもよい。該キットがラテックス等の担体を用いた凝集法に基づく場合は、抗体が吸着した担体を含んでいてもよい。また、該キットは適宜、標準試料、ブロッキング溶液、反応溶液、反応停止液、試料を処理するための試薬等を含んでいてもよい。
【0067】
また、本発明の抗体は、インビボでのイメージングに有用であり、ここで、抗体は、放射性同位元素などの検出できる部分で標識され、宿主に、好ましくは血流中に投与され、宿主における標識化抗体の存在と局在が測定される。抗体は、vWF切断酵素が存在または局在する組織、器官等に結合し得る。抗体は、核磁気共鳴、X線透視、または当該分野において公知のその他の検出手段によって、検出できるあらゆる部分で、標識することができ、検出できる部分に応じて特定の検出手段を用いることにより、標識抗体の存在または局在を測定することができ、すなわちvWFの存在または局在を検出することができる。
【0068】
また、本発明の抗体は、アフィニティークロマトグラフィーにおけるアフィニティー精製用試薬としても有用である。この方法において、抗体は、セルロファイン樹脂等の合成樹脂、濾紙等の支持物上に、当該分野に公知の方法を用いて固定化する。次いで、精製すべきADAMTS-13を含む試料と固定化した抗体を接触させた後、固定化抗体に結合するADAMTS-13以外の試料中の全物質を完全に除去し得る溶剤で、支持物を洗浄する。最後に、支持物を、抗体からADAMTS-13を遊離させ得る溶剤、例えばグリシン緩衝液、pH3〜5で洗浄することにより、vWF切断酵素を単離・精製することができる。
【0069】
本発明の抗体またはADAMTS-13分子もしくはその変異体は、薬学的組成物中に配合することができる。すなわち、本発明は本発明の抗体またはADAMTS-13分子またはその変異体を含む薬学的組成物を包含する。ここで、変異体とは、分子全体のうち薬学的効果を奏する部分を含むフラグメントまたはADAMTS-13分子のアミノ酸配列において1個から数個のアミノ酸が欠失、置換または付加したアミノ酸配列を有する分子である(必ずしも活性を保持した改変に絞らない)。
【0070】
本発明の抗体は、ADAMTS-13が有する酵素活性を阻害し、または中和し得る抗体を含む。該抗体は、好ましくはADAMTS-13のドメイン構造中のSpacer領域よりN末側に存在するエピトープを認識し結合する。また、該抗体は、metalloprotease領域、Disintegrin-like領域、Tsp1-1領域またはCys-Spacer領域に存在するエピトープを認識し結合する。
【0071】
薬学的組成物は、上記の抗体またはADAMTS-13分子もしくはその変異体に加えて、薬学的に受容できる賦形剤、担体、緩衝液、安定剤または当該分野において公知であるその他の物質を含むことができる。そのような物質は、無毒であり、活性成分の効能に干渉しないものである。担体またはその他の物質の厳密な性質は、投与経路、例えば口、静脈、皮膚もしくは皮下、鼻、筋内、腹腔内経路に依存し、投与経路に応じて適切なものを選択することができる。
【0072】
経口投与のための薬学的組成物は、錠剤、カプセル、粉末または液体形状であることができる。錠剤は、ゼラチンまたはアジュバントなどの固型担体を含むことができる。液体の薬学的組成物は、通常、液体の担体、例えば水、石油、動物性油、植物性油、鉱物性油、または合成油であることができる。生理食塩水、ブドウ糖もしくは他のサッカリド溶液またはグリコール、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、またはポリエチレングリコールが含まれる。
【0073】
静脈、皮膚もしくは皮下注射または苦痛部位への注射の場合は、活性成分が、発熱性因子を含まず、好適なpH、等張性及び安定性を有する、腸管外で受容できる水溶液の形状とするであろう。当業者は、適切な溶液を、例えば等張性の媒体、例えば塩化ナトリウム液、リンゲル液、乳酸加リンゲル液などを用いて、調製することができる。防腐剤、安定剤、緩衝液、抗酸化剤、及び/またはその他の添加剤を必要に応じて含むことができる。
【0074】
本発明のADAMTS-13に対する抗体またはADAMTS-13分子もしくはその変異体を生理食塩水、緩衝液等で希釈して製剤化し、医薬組成物を得ることもできる。製剤のpHは体液のpHに近い弱酸性〜中性域のpHが望ましく、その下限は5.0〜6.4が望ましく、その上限はpH6.4〜8.0が望ましい。また、凍結乾燥形態等の長期間保存可能な形態で提供することもでき、この場合使用時に水、生理食塩水、緩衝液等で所望の濃度になるように溶解して使用することができる。本発明の製剤は、通常医薬品に用いられる薬理的に許容される添加剤(例えば担体、賦形剤、希釈剤等)、安定化剤または製薬上必要な成分を含有していてもよい。安定化剤としては、グルコース等の単糖類、サッカロース、マルトース等の二糖類、マンニトール、ソルビトール等の糖アルコール、塩化ナトリウム等の中性塩、グリシン等のアミノ酸、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン共重合体(プルロニック)、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(トゥイーン)等の非イオン系界面活性剤、ヒトアルブミン等が例示され、1〜10w/v%程度が添加されていることが好ましい。
【0075】
本発明の医薬組成物は、静脈内注射、筋肉内注射、皮下注射等により有効量で投与することができ、1回または数回に分けて投与される。その投与量は、症状、年齢、体重などによって異なるが、1回あたり、0.001mg〜100mgが好ましい。
【実施例】
【0076】
以下に、実施例に従って本願発明を詳説するが、本願発明はこれら実施例に何等限定されるものではない。
【0077】
実施例1
(ポリクローナル抗体(PoAb)の作製)
マウスまたはウサギに、常法により(Current Protocols in Molecular Biology: Chapter 11 immunology、Antibody Engineering: A PRACTICAL APPROACH Edited by J.McCAFFERTY et al.あるいはANTIBODY ENGINEERING second edition Edited by Carl A. K. BORREBAECKなど)、ヒトプラズマより部分精製した抗原タンパク、あるいはその一部のアミノ酸配列を有する合成ペプチド(例として、配列番号2または配列番号3記載のペプチド)を適切なキャリアー物質(KLH等)に結合させたもの(KLHを付加しやすくするためにCysをN末端あるいはC末端などに付加したもの)、あるいは遺伝子組換えタンパク質またはそれをコードする遺伝子を導入した発現ベクターを皮下・皮内または筋肉内にトランスフェクトし、モノクローナル抗体発現ハイブリドーマの確立及びポリクローナル抗体(PoAb)の作出を行なった。PoAbに関しては全長または後述するQ449stopまたはP285stopを発現するベクターのトランスフェクトによりPoAb1、PoAb2及びPoAb3の三種を作製した。
【0078】
実施例2
(モノクローナル抗体(MoAb)の作製)
Balb/cマウスに、初免疫感作として後肢にフロイント完全アジュバント存在下で遺伝子組換え由来ADAMTS-13または配列番号2もしくは配列番号3記載のペプチドを、KLHをキャリアーとして付加したものを調製した。ADAMTS-13はWO 02/088366に記載の方法で調製すればよい。
【0079】
調製した抗原の1μgから10μg相当量を1回接種した後、1週間後に常法に従いマウス後肢大腿部のリンパ節または脾臓より細胞を採取した。それぞれマウス2匹から、得られた細胞をミエローマ細胞P3X63Ag8U.1(P3U1 )(ATCC寄託番号CRL−1597:Curr. Top. Microbiol. I mmunol., vol.81,p.1(1978))と細胞数1対1〜2の割合で混合し、遠心処理(1,500rpm、5分)して上清を除き、沈殿した細胞塊を充分ほぐした後、予め37℃に加温しておいた1mlのポリエチレングリコール溶液(45% ポリエチレングリコール4000、55% RPMI培地)を攪拌しながら加えた。37℃で5分間インキュベートした後、液の全量が50mlとなるようにゆっくりとRPMI培地を加えた。遠心分離(1,300rpm、7分)後、上清を除去して緩やかに細胞をほぐした。これにエスクロンCM−B培地(三光純薬社製)50mlを加え、メスピペットを用いて緩やかに細胞を懸濁した。この細胞懸濁液を4〜5枚の96ウェル細胞培養プレートの各ウェルに100μlずつ分注し、5%炭酸ガスを含む37℃のCOインキュベーター内で培養した。翌日に、HAT培地(エスクロンCM−B培地にヒポキサンチン1×10-4M、チミジン1.5×10-3M、アミノプテリン 4×10-7Mになるよう添加したもの)を各ウェルに100μlずつ分注し、5%炭酸ガスを含む37℃のCOインキュベーター内で培養した。ハイブリドーマのコロニーが十分生育したものからHT培地(上記HAT培地からアミノプテリンを除いたもの)に交換し、培養上清の一部を分取し、以下に述べるスクリーニング法にて目的のハイブリドーマを選別した。
【0080】
目的のハイブリドーマの選別は下記のELISA法、ウエスタン・ブロッティング法を組み合わせて実施した。
【0081】
(1)ELISA法
96ウェルのマイクロテストプレートに前記のごとく作製した合成ペプチド抗原、または精製抗原(蛋白質濃度0.5〜2μg/ml)を50μl/ウェルで加え、4℃で一晩インキュベートすることにより固相化した。さらに、1%BSA(ウシ血清アルブミン)溶液300μlを加え、同様にインキュベートしてマスキングを行なった。このようにして作製した抗原固相化プレートに細胞融合法によって得られたハイブリドーマ及びクローニング後のハイブリドーマの培養上清を加えて、4℃で1時間インキュベート後、TBSで3回洗浄し、ペルオキシダーゼ標識抗マウス免疫グロブリン抗体溶液 (カッペル社製、5,000倍希釈)を100μl/ウェル加えた。4℃で1時間インキュベート後、TBSにて3回洗浄し、その後TMBZ基質溶液を加え、常法により発色させその吸光度を波長450nmにて測定した。こうして精製抗原と反応するハイブリドーマクローンを選択した。また、この方法はさらにヒト血漿中のADAMTS-13に対する自己抗体検出への応用も可能であった。
【0082】
(2)ウエスタン・ブロッティング法
ELISAで得られた陽性コロニーについてウエスタン・ブロッティング法によるスクリーニングを行なった。精製抗原を8%のSDS−ポリアクリルアミドゲルを用いて電気泳動し、PVDF膜上に移行させ、膜を0.4〜0.5cm幅に切断した。各細片をハイブリドーマ培養上清液に浸し、1時間37℃でインキュベートした。その後、細片をTBST(0.05%Tween含)で3回洗浄した後、アルカリフォスファターゼ標識抗マウスIgG(TAGO社製)の1:2000希釈液中で37℃、1時間インキュベートした。TBSTで3回洗浄後、BCIP/NBTを用いる発色試薬(Bio−Rad社製)で発色させ、精製抗原の発色バンドを示すハイブリドーマを選択しクローニングした。クローニング後のハイブリドーマクローンについても同様の手法で選別した。上記の選別方法によって所望のモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマがおよそ30クローン得られた。また、この方法はさらにヒト血漿中のADAMTS-13に対する自己抗体検出への応用も可能であった。
【0083】
実施例3
(ADAMTS-13C末欠失変異体の作製)
図1に示すストラテジーにより、全長のvWF切断酵素遺伝子クローニングベクター(pCR2.1vWFCP)を利用して、全長及び配列番号表4から18に示すプライマーを用いてC末端より逐次ドメインを欠失させた変異体(Full1427stop、T1135stop、W1016stop、W897stop、W808stop、W746stop、W688stop、T581stop、Q449stop、W387stop、P285stop、:それぞれの数字は開始コドンATGのコードするMetから終結コドンまでのアミノ酸の残基数を示し、FLAGエピトープ(DNA配列:gactacaaggacgatgacgataagtga(配列番号表19)、アミノ酸配列:Asp Tyr Lys Asp Asp Asp Asp Lys(配列番号表20))を付加した部位を示す。)を発現する遺伝子を調製し、pCAG発現ベクター(Niwa, H., et al. Gene vol.108, 193-199)に組み込み、Hela細胞を用いて、以下の手順でトランスフェクトした。
【0084】
全長のvWF切断酵素遺伝子クローニングベクター(pCR2.1vWFCP)は、WO 02/088366に記載の方法により入手可能である。
【0085】
まず初めに、1−3×105個/35mm dishで細胞を捲き、その翌日に上記発現ベクターを2μg当たり10μlのPolyamine Transfection ReagentであるTransIT(TAKARA社製)をとり、Opti-MEM等の無血清培地200μlに添加して、試薬添付文書に従い、DNAとのコンプレックスを調製後、準備しておいた前記各種細胞へ滴下し、6時間インキュベーションし、その後、培地をASF104無血清培地(味の素社製)に変更後、72時間37℃インキュベーション後、その上清を回収した。検出は抗FLAG-M2抗体(コダック社製)を用いたウエスタンブロット法により、抗マウスIg-アルカリフォスファターゼ酵素標識抗体系で染色して行なった(図2に発現の様子を確認した結果を示す。)。また本改変分子群はFLAGタグを付加しており、常法である抗FLAGタグ抗体固定化アガロース等を用いて容易に精製可能であった。
【0086】
実施例4
(ADAMTS-13C末欠失変異体のvWF切断活性確認)
vWFの調製
vWFは、セファクリルS-500HR(アマシャムファルマシア)の2.6×90 cmカラムにより、プラズマクリオ画分2gを20 mLのバッファー(0.01% Tween-80 / 50 mM Tris-HCl / 100mM NaCl pH 7.4)に溶解したものをゲル濾過することにより調製した(WO 02/088366を参照)。
【0087】
vWF切断反応
vWF切断活性のアッセイは、WO 02/088366に記載の方法で行った。すなわち、終濃度10mMの塩化バリウムを加えたサンプルを37℃で5分間プレインキュベートし、プロテアーゼの活性化を行なった。50mLのファルコンチューブにバッファー(15〜20mLの1.5M Urea / 5mM Tris-HCl pH8.0)を入れた。次にミリポア社製のメンブレンフィルター(0.025μm)を浮遊させ、50μLのvWF基質溶液を加えて混合した活性化サンプルを100μL添加した。37℃のインキュベーターに一晩静置して翌日フィルターから回収した。回収したサンプルを、以下のSDS-PAGEの項に示すvWFの切断パターンにより評価した。
【0088】
SDS-PAGE
SDS-5%ポリアクリルアミドゲルを自家調製し使用した。vWF切断活性のアッセイ項で述べたサンプル10μLに、SDS泳動バッファー(還元剤2-メルカプトエタノール存在下または不在下)2μLを加え3分間煮沸したものを泳動サンプルとした。30mAで1時間電気泳動したのち、ゲルはCBB染色を利用したGel Code Blue Stain Reagent(PIERCE社)にて染色した。
【0089】
その結果、図3に示す如く、Full-lengthの分子からW688stopまでの分子で明らかなvWF切断活性が認められた。また先の抗FLAG抗体による上清中への発現パターンを考慮した場合、T581stopでの発現が上清中に認められないことからこの近傍(Cys-rich領域からSpacer領域)での切断は分泌障害を起こす場合があることが確認され、本酵素活性を維持するためには、この領域を含むことが重要であることがわかった。
【0090】
実施例5
(ウェスタンブロットを利用した抗体のエピトープの解析)
常法により、ウェスタンブロットを行ない、確立したポリクローナル抗体(PoAb1, PoAb2)及びお互いに認識部位が競合しないと考えられたモノクローナル抗体数種(本発明者らが先に作製したClone No. WH10(FERM BP-8174)に加えて、WH63.1(FERM BP-8175)、WHS40.3(FERM BP-8176)、Pep4-34.1(FERM BP-8177))についての認識領域を特定するため、実施例4記載の部分欠失改変分子の一時発現培養上清を利用し、ウェスタンブロットを行なった(図4〜9)。
【0091】
これに加えて新たに確立されたクローンWH2-22-1A(FERM BP-8483)、WH2-1-1(FERM BP-8484)、WH2-11-1(FERM BP-8485)、Pep6-6A(FERM BP-8474)、Pep4-5B-1(FERM BP-8475)についても同様の解析を行った。決定された抗体の認識領域及び活性発現に重要と考えられた領域を図10にまとめる。PoAb1の認識領域は図4からQ449stop以降W688stopまでの間あるいは全長部分にわたっていることが推察され、PoAb2は図5よりP285stop以降W387stop、またはこれ以降Tsp1-を認識しており、本ポリクローナル抗体PoAb1が中和活性を有すること(後述)並びにPoAb2さらにはPoAb3もADAMTS-13の酵素活性を中和したため、これらの事実を併せて鑑みるとSpacer領域よりN末端側、metalloprotease領域、Disintegrin-like領域、Tsp1-1領域、Cys-Spacer領域等がin vitroのアッセイにおいて機能的に重要であり中和領域となりえることが確認された。
【0092】
実施例6
(ELISAを利用した抗ADAMTS-13抗体のエピトープ領域の確認)
イムノモジュール96ウェルプレートに抗FLAG抗体10μg/mL 100μLを固相化したのちFLAGをポリペプチド鎖に付加した ADAMTS-13 wild typeもしくは各種上記欠失変異体を固相化、もしくはFLAGの付加に無関係に直接プレートへ本酵素変異体を固相化し、公知の方法によりブロッキング操作を施したプレートに適当に希釈されたMoAbの100μLを反応後、プレートをTweenなどの界面活性剤を含有するバッファーにて洗浄後、抗マウスIgHRPコンジュゲートと37℃一時間反応させ洗浄後、TMBZ等で発色させることにより、実施例5同様なエピトープ領域の絞込みを行なった。その結果、実施例5で示された結果を支持した。また、この方法はヒト血漿中に存在する抗ADAMTS-13抗体の検出並びにエピトープ解析に有効であると考えられた。
【0093】
実施例7
(確立された抗体を用いてのウェスタンブロットによるヒト血漿中のADAMTS-13の検出)
続いて、上記種々の方法により調製された抗体を用いて、常法により(Current Protocols in Molecular Biology: Chapter 10 analysis of proteins、Chapter 11 immunologyなど)、本酵素のウエスタンブロット法による検出を行なった。本酵素のC末端領域のペプチド配列(配列番号2)Phe-Ser-Pro-Ala-Pro-Gln-Pro-Arg-Arg-Leu-Leu-Pro-Gly-Pro-Gln-Glu-Asn-Ser-Val-Gln-Ser-SerをKLHに結合したものを免疫原として得られたペプチド抗体により、還元条件下、健常人血漿、TTP患者血漿中から本酵素の検出を行なったところ、一部のTTP患者血漿では明瞭ではないが、概ね250kDa程度の本酵素由来のシグナルと想定されるバンドが確認された(図11)。
【0094】
実施例8
(確立された抗体を用いた酵素免疫測定法によるヒト血漿中のADAMTS-13の検出・測定1)
得られたポリクローナル抗体とモノクローナル抗体の組み合わせ(MoAb-PoAbの系)により(認識エピトープは図10参照)構築される酵素免疫測定法(ELISA)を用いて(図12)、様々な検体での本酵素の定量を行なった。測定方法の工程を以下に示す。
【0095】
1. 各試薬類を室温に戻す。
2. WH10 MoAb固定化プレートにサンプルを100μl/ウェル添加
37℃ 1時間
3. 0.05% Tween-20 -TBSでプレート洗浄3回
4. PoAb 1 またはPoAb 2を1μg/mlとなるよう希釈液(1%BSA-TBS)にて希釈し、100μl/ウェル添加
37℃ 1時間
【0096】
5. 0.05% Tween-20 -TBSでプレート洗浄3回
6. 抗ウサギIgG-HRP標識コンジュゲートを希釈液(1%BSA-TBS)にて10000倍希釈し、100μl/ウェル添加
37℃ 1時間
7. 0.05% Tween-20 -TBSでプレート洗浄3回
8. TMB基質液(直前に室温で2液を混ぜたもの)100μl/ウェル添加(ポジティブウェルは青色へ)室温10分程度(スタンダードとして同封の組み換え品100ng/mlの色が反応停止後、最終的にOD450nm=1 程度となるように)反応停止液(0.5 M 硫酸)を100μl/ウェル添加(ポジティブウェルは黄色へ)
9. プレートリーダにて450nm及び650nm測定
【0097】
定量のためのスタンダードは遺伝子組換えADAMTS-13を後述する抗体によるアフィニティー精製により得られたものを用いた。その結果、健常人血漿中のADAMTS-13濃度は用いた抗体により変化することが明らかとなり、これは血漿中で本酵素が様々な分子形態で存在することを示唆するものであった(表1)。このことから理想的なELISA系として、積極的に分解パターンを解析できるようなドメイン毎に認識する抗体群を利用した系もしくは表2に示すこれらの影響が少ないと考えられるPoAb―PoAb(ProteinG等で精製したPoAbを直接ELISAプレートへ固相化し、ビオチン化PoAb−ストレプトアビジンHRP)による系の構築が望ましいと考えられた(図13)。図13に示す系において、ポリクローナル抗体(PoAb)もしくはN末より(メタロプロテアーゼドメインなど)の認識エピトープを有するモノクローナル抗体(MoAb)を固相化に用いて、検出側の二次抗体にドメイン毎に異なるエピトープのMoAbを用いることで全てのバリエーションのADAMTS-13をトラップする。あるいは、この逆に様々なエピトープのMoAbを固相化に用いるあるいはPoAbとPoAbでのサンドイッチELISAなどが想定される。図に示すようにサンプル中のADAMTS-13は様々なバリエーションが存在する。これらの系で病態と血漿中の存在分子形態との相関を見ることが可能になる。
【0098】
【表1】

【0099】
【表2】

【0100】
実施例9
(確立された抗体を用いた酵素免疫測定法によるヒト血漿中のADAMTS-13の検出・測定2)
得られたモノクローナル抗体を組み合わせることで構築される酵素免疫測定法(MoAb-MoAbの系)(図14)により、数検体のヒト血漿中の本酵素の定量を行なった。測定方法の工程を以下に示す。
【0101】
1. 各試薬類を室温に戻す。
2. WH10 MoAb固定化プレートにサンプルを100μl/ウェル添加
37℃ 1時間
3. 0.05% Tween-20 -TBSでプレート洗浄3回
4. ビオチン化抗体を1μg/mlとなるよう希釈液(1%BSA-TBS)にて希釈し、100μl/ウェル添加
37℃ 1時間
【0102】
5. 0.05% Tween-20 -TBSでプレート洗浄3回
6. ストレプトアビジン-HRP標識コンジュゲートを希釈液(1%BSA-TBS)にて10000倍希釈し、100μl/ウェル添加
37℃ 1時間
7. 0.05% Tween-20 -TBSでプレート洗浄3回
8. TMB基質液(直前に室温で2液を混ぜたもの)100μl/ウェル添加(ポジティブウェルは青色へ)室温10分程度(スタンダードとして同封の組み換え品100ng/mlの色が反応停止後、最終的にOD450nm=1 程度となるように)
反応停止液(0.5 M 硫酸)を100μl/ウェル添加(ポジティブウェルは黄色へ)
9. プレートリーダにて450nm及び650nm測定
【0103】
その結果を前述の実施例5に示す結果と比較すると、この組み合わせの系は最も低い定量値を示した(表3)。また、この組み合わせでは後述するヒトプール血漿のFIペーストから精製された本酵素を検出することは出来なかった。このことは、抗体の組み合わせにより定量値が変動するという事実を考慮すると抗体の組み合わせを変えた様々な系の構築(図13)の重要性を示している。
【0104】
【表3】

【0105】
実施例10
(遺伝子組換えADAMTS-13の発現)
ヒト胎児腎細胞株である293細胞を用いて組換えADAMTS-13の安定発現株を以下の方法で作出した(WO 02/088366)。概略として、以下の手順でトランスフェクトした。まず初めに1−3×105個/35mm dishで細胞を捲き、その翌日に上記発現ベクターを2μg当たり10μlのPolyamine Transfection ReagentであるTransIT(TAKARA社製)をとり、Opti-MEM等の無血清培地200μlに添加して、試薬添付文書に従い、DNAとのコンプレックスを調製後、準備しておいた前記各種細胞へ滴下し、6時間インキュベーションし、その後、培地交換し、さらにその3日後G418添加選択培地に交換した。これからさらに3日毎に培地交換を行ない、選択されたコロニー群から限界希釈法及び先のMoAb(WH10)-PoAb1のELISA系を利用して、発現クローン(Clone No.VWFCP-293-35並びに293-2-4)を確立した。
【0106】
実施例11
(抗体を用いての遺伝子組換え体の培養上清からの遺伝子組換えADAMTS-13の精製)
得られた抗体の一例としてWH10を用いた例を示す。この抗体を適当な固定化担体に結合させることでアフィニティーカラムを作製し、当該酵素の精製に供した。アフィニティーカラムの調製には、チッソ社製NHS活性化セルロファインを用いて、添付文書に従い抗体を固定化した。これにより調製した約1mlの膨潤担体を用いて、実施例9に示す当該酵素の293細胞を宿主とした遺伝子組換え体の発現培養上清をアプライしたのち、50mM Tris-HCl 0.1M NaCl pH7.5(以下TBS)でカラムを洗浄後、0.1MグリシンpH3バッファーで溶出した。溶出された画分を1M Tris-HCl pH8.5にて中和し、TBSに対して透析した。得られた精製酵素のSDS-PAGEを図15に示す。また、得られた精製画分にvWFを切断する活性が存在することも確認された。そして、この組換え酵素により断片化されたvWFの切断点は、その断片のN末端アミノ酸配列解析から842Tyr-843Metの位置であることが確認された。
【0107】
続いて精製された組換え体由来のADAMTS-13の部分アミノ酸配列を決定した。常法により、SDS-PAGE後、PVDF膜へトランスファーし、風乾したのち、PEアプライドバイオシステムズ社のオートプロテインシークエンサー492にて解析を行なった。その結果、部分N末端配列としてAla-Ala-Gly-Gly-Ile-を有することが明らかとなった。この配列は、遺伝子構造から推定された当該酵素の成熟体のN末端配列に一致した。
【0108】
実施例12
(抗体を用いてのヒトプール血漿由来FIペーストからのADAMTS-13の精製)
FIペーストの可溶化
FIペーストは12gずつに小分けし凍結保存した。使用する前日に4℃に出して融解させ、翌日、可溶化バッファー(0.05% アザイド、50 mM Tris-HCl pH7.4、100 mM NaCl)を10 mg/mLになるよう、120mL加え37℃で2時間攪拌した。10000rpmで10分間遠心した後、上清を回収し、プレフィルター、5.0μmフィルター、0.8μmフィルターの順でろ過したものを可溶化サンプルとした。
【0109】
vWF切断酵素のゲルろ過クロマトグラフィー
可溶化したFIペーストを、セファクリルS-300HR(アマシャムファルマシア)の5×90cmカラムにかけ、1回目のゲルろ過を行なった。可溶化バッファーと同じ0.05% アザイド、50 mM Tris-HCl pH7.4、100 mM NaCl(以後溶出バッファー)を用い、流速は5 mL/min.、分取は推定分子量100k〜300kDaに相当する画分をプールし、これに、終濃度33%飽和となるよう飽和硫安を少量ずつ滴下した。これをさらに一晩4℃に静置した。翌日10000rpm、10分遠心し、目的の活性画分を沈殿として回収した。以上の可溶化・ゲルろ過・硫安沈澱の操作を5バッチ行ない、−20℃で凍結保存した。
【0110】
1回目のゲルろ過によって得られた硫安沈殿物2〜3バッチ分を、溶出バッファー50mLに溶解し1回目と同様セファクリルS-300HRカラム(5×90cm)に通液し、2回目のゲルろ過を行なった。溶出バッファー、条件、操作等については1回目と同様である。この操作を2回実施した。
【0111】
2回目のゲルろ過によって得られた硫安沈殿物2回分を、溶出バッファー50mLに溶解し、1、2回目と同様、セファクリルS-300HRカラム(5×90cm)にかけ、3回目のゲルろ過を実施した。溶出バッファー、条件、操作等については1、2回目と同様である。そして推定分子量100k〜300kDaに相当する画分をプールした。このプールサンプルを前述のリコンビナントADAMTS-13精製と同様の手順にてClone No. WH10モノクローナル抗体固定化カラムを用いて精製を行なった。その結果、図16に示されるようにSDS-PAGEにて105kDa〜160kDaのサイズを有するほぼ単一のADAMTS-13が精製された。このN末端アミノ酸配列を解析したところリコンビナントと同様の結果が得られた。
【0112】
実施例13
(抗体による本酵素活性の中和)
前述の家兎ポリクローナル抗体によるvWF切断酵素の中和活性を評価した。遺伝子組換えADAMTS-13の1〜10μg/ml(ブラッドフォード法にて概算)に対して、正常家兎血清、C末端領域のペプチド配列(配列番号2)Phe-Ser-Pro-Ala-Pro-Gln-Pro-Arg-Arg-Leu-Leu-Pro-Gly-Pro-Gln-Glu-Asn-Ser-Val-Gln-Ser-SerをKLHに結合したものを免疫原として得られた家兎抗血清、及び全長ADAMTS-13発現ベクターにより発現された蛋白質により免疫誘導された抗血清(PoAb1)のそれぞれを体積比1対1あるいは10倍希釈した抗血清を1対1で予め37℃で1時間反応させた後、前述したvWF切断活性のアッセイに供し、その活性の阻害を評価した。
【0113】
その結果、図17に示すごとく本酵素の阻害活性を有するものが調製された(メタロプロテアーゼのインヒビターであるEDTAを阻害の陽性コントロールとした。)。また、中和活性を有するポリクローナル抗体(PoAb1)のエピトープ解析の結果(図4)から、ADAMTS-13のドメイン構造中のSpacer領域よりN末側に中和エピトープが存在することが推察された。またさらに、PoAb2並びにPoAb3においても中和能を有することが確認された。これらのことから、中和可能領域として、metalloprotease領域、Disintegrin-like領域なども想定された。このように中和抗体が作成可能であるということは、vWF切断酵素に対する自己抗体陽性の後天的TTP患者様のモデルを構築できる可能性も示唆している。
【0114】
実施例14
(ヒト血漿中の抗ADAMTS-13抗体の検出)
実施例6に示す方法を利用し、後天性TTP患者血漿中の抗ADAMTS-13抗体の検出を行った。イムノモジュール96ウェルプレートに抗FLAG抗体2μg/mL 100μLを固相化したのちFLAGをポリペプチド鎖に付加した ADAMTS-13 wild typeを反応させたのち、5、10、50倍希釈された検体100μLを37℃一時間反応後、プレートを0.05%Tween20を含むトリスバッファーにて洗浄後、抗ヒトIgHRPコンジュゲートと37℃一時間反応させ洗浄後、TMBZ等で発色させた。その結果、図18に示されるように後天性のTTP患者血漿(Acquired)のみが正常血漿(Normal)並び先天性TTP血漿(Congenital)に比べ450nmの吸光度において突出した値を示し、抗ADAMTS-13抗体を有することが確認された。
【0115】
実施例15
(抗マウスADAMTS-13ポリクローナル抗体(PoAb)の作製)
ヒト同様マウスの本酵素をコードする遺伝子(WO 02/088366)を常法にしたがい導入した発現ベクターをウサギの皮下・皮内または筋肉内にトランスフェクトし、ポリクローナル抗体(PoAb)の作出を行なった。得られた抗体を用いてマウス血漿中より本酵素を免疫沈降させ検出した(図19)。マウスの系統により本酵素の分子サイズが異なることが認められた。また、本ポリクローナル抗体をプレートに固相化し、さらにはビオチン化することでPoAb-PoAbのサンドウィッチELISAを構築した(表4)。これにより本酵素の血中存在量の測定がマウスでも可能になる。
【0116】
【表4】

【0117】
本明細書に引用されたすべての刊行物は、その内容の全体を本明細書に取り込むものとする。また、添付の請求の範囲に記載される技術思想および発明の範囲を逸脱しない範囲内で本発明の種々の変形および変更が可能であることは当業者には容易に理解されるであろう。本発明はこのような変形および変更をも包含することを意図している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハイブリドーマ株WH10(受託番号FERM BP−8174)、ハイブリドーマ株WH63.1(受託番号FERM BP−8175)、ハイブリドーマ株WHS40.3(受託番号FERM BP−8176)、ハイブリドーマ株Pep4−34.1(受託番号FERM BP−8177)、ハイブリドーマ株WH2−22−1A(受託番号FERM BP−8483)、ハイブリドーマ株WH2−1−1(受託番号FERM BP−8484)、ハイブリドーマ株WH2−11−1(受託番号FERM BP−8485)、ハイブリドーマ株Pep6−6A(受託番号FERM BP−8474)およびハイブリドーマ株Pep4−5B−1(受託番号FERM BP−8475)からなる群から選択されるハイブリドーマが産生する、ADAMTS-13の部分領域を認識するモノクローナル抗体。
【請求項2】
ハイブリドーマ株WH2−22−1A(受託番号FERM BP−8483)が産生するADAMTS-13が有する酵素活性を中和し得る、ADAMTS-13の部分領域を認識するモノクローナル抗体。
【請求項3】
請求項1または2に記載の抗体をコードする遺伝子。
【請求項4】
請求項1または2に記載の抗体を含んでなる免疫測定キット。
【請求項5】
血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)、TTP様の疾患およびvWF依存性の血栓症からなる群から選択される疾患を検出するための、請求項1に記載の抗体を含む検出試薬。
【請求項6】
請求項3に記載の遺伝子を含み、請求項1または2に記載の抗体を産生し得る単離された細胞。
【請求項7】
ハイブリドーマ株WH10(受託番号FERM BP−8174)、ハイブリドーマ株WH63.1(受託番号FERM BP−8175)、ハイブリドーマ株WHS40.3(受託番号FERM BP−8176)、ハイブリドーマ株Pep4−34.1(受託番号FERM BP−8177)、ハイブリドーマ株WH2−22−1A(受託番号FERM BP−8483)、ハイブリドーマ株WH2−1−1(受託番号FERM BP−8484)、ハイブリドーマ株WH2−11−1(受託番号FERM BP−8485)、ハイブリドーマ株Pep6−6A(受託番号FERM BP−8474)およびハイブリドーマ株Pep4−5B−1(受託番号FERM BP−8475)からなる群から選択されるADAMTS-13の部分配列を認識するモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ。
【請求項8】
ADAMTS-13が有する酵素活性を中和し得る、ADAMTS-13の部分領域を認識するモノクローナル抗体を産生する、ハイブリドーマ株WH2−11−1(受託番号FERM BP−8485)。
【請求項9】
請求項6に記載の細胞または請求項7もしくは8に記載のハイブリドーマを生体内または生体外で培養する工程と、その体液または培養物から該抗体を採取する工程を含む抗体の製造方法。
【請求項10】
請求項1または2に記載の抗体を被験試料に接触させ、免疫反応によりADAMTS-13を検出することを特徴とするADAMTS-13の検出方法。
【請求項11】
被験試料が生体から採取した生物学的試料である請求項10に記載の検出方法。
【請求項12】
請求項1または2に記載の抗体をADAMTS-13と夾雑物質とを含む混合に接触させて抗体に当該蛋白質を吸着させる工程と、吸着した当該蛋白質を抗体から脱着させる工程を含むADAMTS-13の精製方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2013−78319(P2013−78319A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−245096(P2012−245096)
【出願日】平成24年11月7日(2012.11.7)
【分割の表示】特願2009−165142(P2009−165142)の分割
【原出願日】平成15年9月25日(2003.9.25)
【出願人】(000173555)一般財団法人化学及血清療法研究所 (86)
【Fターム(参考)】