説明

フォークリフトの貨車吊上げ防止装置

【課題】 貨車上のコンテナが緊締装置によりロックされているときのフォークリフトによるコンテナの持上げによる貨車の吊上げを防止する。
【解決手段】 緊締装置26の操作部材29を撮影するカメラ58と、カメラからの映像に基づいて画像処理を行なうことにより緊締装置26のロック・アンロック状態を識別可能な信号としてコントローラ62に出力する画像処理装置60とを備える。コントローラ62は、画像処理装置60の信号に基づいてコンテナ18の持上げを停止するか否かを判定し、持上げを停止するときはアンロードバルブ64を作動させ、また持上げを停止しないときはアンロードバルブ64を作動させない。アンロードバルブ64の作動によりフォークリフト45のフォーク55の上昇動作が停止される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貨車上のコンテナを降ろす際に発生することが予測される貨車の吊上げを防止するフォークリフトの貨車吊上げ防止装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、貨車上に積載されたコンテナは、緊締装置によりロックされた状態で目的地まで輸送される。その目的地では、例えば、フォークリフトのオペレータが、緊締装置をアンロックしたうえで、コンテナをフォークリフトにより持上げて所定場所へと搬送している。なお、貨車上にコンテナをロック・アンロックする緊締装置としては、例えば特許文献1等に記載されたものがある。
【0003】
【特許文献1】特開昭57−86490号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、オペレータが、緊締装置をアンロックすることを忘れたり、緊締装置のアンロック状態の確認を怠ったりすることがある。そして、このように、緊締装置がロック状態にあるまま、オペレータがフォークリフトによりコンテナを持上げてしまうと、そのコンテナと共に貨車が吊上げられてしまうおそれがあった。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、貨車上のコンテナが緊締装置によりロックされているときのフォークリフトによるコンテナの持上げによる貨車の吊上げを防止することのできるフォークリフトの貨車吊上げ防止装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記した課題は、特許請求の範囲の欄に記載された構成を要旨とするフォークリフトの貨車吊上げ防止装置により解決することができる。
すなわち、特許請求の範囲の請求項1にかかるフォークリフトの貨車吊上げ防止装置によると、貨車上に積載されたコンテナをロックする緊締装置のロック・アンロック状態を検出する状態検出手段から出力される識別可能な信号に基づいて、制御手段がコンテナの持上げを停止するか否かを判定する。詳しくは、制御手段は、緊締装置がアンロック状態にあれば、フォークリフトの持上げを停止しないと判定し、緊締装置がロック状態にあれば、フォークリフトの持上げを停止すると判定する。
そして、制御手段が、フォークリフトの持上げを停止しないと判定したときには、上昇停止手段を作動させないので、フォークリフトによりコンテナを持上げることができる。
また、制御手段が、フォークリフトの持上げを停止すると判定したときには、上昇停止手段を作動させることにより、フォークリフトのフォークの上昇動作が停止される。したがって、緊締装置により貨車上のコンテナがロックされているときには、フォークリフトによりコンテナを持上げることができないので、貨車の吊上げを防止することができる。
【0007】
また、特許請求の範囲の請求項2にかかるフォークリフトの貨車吊上げ防止装置によると、状態検出手段において、フォークリフトに設けられたカメラは、緊締装置のロック・アンロック状態にともない位置変更される位置変更部材を撮影する。そして、画像処理装置は、カメラからの映像に基づいて画像処理を行なうことにより緊締装置のロック・アンロック状態を識別可能な信号として制御手段に出力する。
したがって、このような状態検出手段によると、貨車とフォークリフトとの間において配線を取り回す必要がないとともに貨車に特別な部品を装備しなくてよい。
また、発信装置の信号を受信装置が受信可能な距離内にフォークリフトがあれば、状態検出手段の作動が可能であるため、フォークリフトのフォークをフォークポケット内に挿入しなくても差し支えない。
【0008】
また、特許請求の範囲の請求項3にかかるフォークリフトの貨車吊上げ防止装置によると、状態検出手段において、貨車に設けられた位置検出センサは、緊締装置のロック・アンロック状態にともない位置変更される位置変更部材の位置を検出してその位置を識別可能な信号として発信装置に出力する。位置検出センサからの信号を受けた発信装置は、位置検出センサからの信号に応じた信号を発信する。そして、フォークリフトに設けられた受信装置は、発信装置から発信される信号を受信して、その信号に基づいて緊締装置のロック・アンロック状態を識別可能な信号として制御手段に出力する。
したがって、このような状態検出手段によると、貨車とフォークリフトとの間において配線を取り回す必要がない。
【0009】
また、特許請求の範囲の請求項4にかかるフォークリフトの貨車吊上げ防止装置によると、緊締装置において、貨車に設けられた支持部材に作動可能に支持されたロックアームが、操作部材により作動される。そのロックアームの作動により、コンテナフックがロック及びアンロックされる。
そして、位置変更部材としての操作部材は、緊締装置のロック・アンロック状態にともない位置変更される部材でかつロックアームに比べて位置変更にかかる作動量が大きいため、状態検出手段により容易に検出することができる。
【0010】
また、特許請求の範囲の請求項5にかかるフォークリフトの貨車吊上げ防止装置によると、フォークリフトのオペレータが作動スイッチを操作することにより、状態検出手段及び/又は制御手段を任意にオン・オフすることができる。したがって、貨車吊上げ防止装置を使用しないときに、その装置の誤作動を防止あるいは低減することができる。
【0011】
また、特許請求の範囲の請求項6にかかるフォークリフトの貨車吊上げ防止装置によると、フォークリフトの油圧回路におけるオイルポンプとオイルコントロールバルブとの間に組込まれたアンロードバルブが通常状態(ロード状態)にあるときは、オイルポンプによりオイルコントロールバルブへ作動油が送給されることにより、フォークリフトのフォークの上昇動作が可能である。
また、アンロードバルブがアンロード状態に作動されたときには、オイルポンプにより送給される作動油がオイルタンクに戻されることにより、フォークリフトのフォークの上昇動作が停止される。
そして、フォークリフトの油圧回路に組込んだアンロードバルブによれば、上昇停止手段を容易に構成することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明のフォークリフトの貨車吊上げ防止装置によれば、貨車上のコンテナが緊締装置によりロックされているときには、フォークリフトによるコンテナの持上げを停止することにより、貨車の吊上げを防止あるいは低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
次に、本発明を実施するための最良の形態について実施例を参照して説明する。
【実施例1】
【0014】
本発明の実施例1を図面にしたがって説明する。なお、説明の都合上、貨車、フォークリフト、貨車吊上げ防止装置の順で説明する。
まず、貨車から説明する。図1は、貨車に積載されたコンテナとフォークリフトの関係を示す説明図である。
図1に示すように、貨車10は、軌道上に敷設された左右2本のレール12上に走行可能に配置されている。
貨車10は、コンテナ18(後述する)を積載可能な架台14、及び、両レール12上に転動可能に架設されかつ懸架装置15を介して架台14を支持する複数組(図1は1組を示す。)の車輪16を備えている。
架台14上には、ボックス形状のコンテナ18が積載可能になっている。なお、コンテナ18が架台14上に積載されたときには、周知のように、架台14とコンテナ18との間にフォークリフト45(後述する)のフォーク55を挿入可能とする隙間いわゆるフォークポケット19が形成される。
【0015】
前記コンテナ18の下面の前後方向(図1において紙面表裏方向)の中央部には、左右一対をなすコンテナフック20が左右対称状に突設されている。なお、図4は、緊締装置のアンロック状態を示すもので、(a)は外観斜視図、(b)はその内側から見た斜視図である。
図4(a)に示すように、コンテナフック20は、ほぼ帯板状に形成されており、その板厚方向を左右方向に向けて下方へ突出されている。コンテナフック20は、前後両側部に前後対称状に形成された前後一対の係合凹部22と、その下端部に形成された先細り状の挿入端部23とを有している。なお、両係合凹部22の上下には、それぞれ上下の凸部24が緩やかな曲面をもって連続している。また、下側に位置する前後の凸部24と挿入端部23とは、緩やかな曲面をもって連続している。
【0016】
図4(a),(b)に示すように、前記架台14上には、前記両コンテナフック20をロック・アンロック可能な左右一対をなす緊締装置26が左右対称状に配設されている。なお、一対の緊締装置26は、左右対称状に構成されているので、例えば、右側の緊締装置26について説明し、左側の緊締装置26の説明は省略する。なお、図5は、緊締装置のロック状態を示すもので、(a)は外観斜視図、(b)はその内側から見た斜視図である。
【0017】
図4(b)及び図5(b)に示すように、緊締装置26は、支持部材27と前後一対のロックアーム28と操作部材29とにより構成されている。
支持部材27は、架台14上に固定されており、主板部31とその主板部31の前後両側縁部から左方へ折り曲げられた前後の両側板部32とを有している。図4(a)に示すように、主板部31の中央部には、支持孔33が形成されている。
【0018】
図4(b)及び図5(b)に示すように、前後一対のロックアーム28は、支持部材27の主板部31の内側(左側)に前後対称状に前後の両支軸35を介して回動可能に支持されている。両ロックアーム28は、その上部に対向方向へ突出形成された係合凸部37と、その下端部に形成されたカムフォロワ部38とを有している。両ロックアーム28の係合凸部37は、前記コンテナフック20の両係合凹部22にそれぞれ係合可能に形成されている(図5(b)参照)。また、両ロックアーム28のカムフォロワ部38は、操作部材29のカム部41(後述する)の前後両側縁に対して摺動接触可能に形成されている。
【0019】
前記操作部材29は、支持部材27に対して図示しないサポート部材により水平状態で軸方向(左右方向)に移動可能に支持されている。
操作部材29は、支持部材27の支持孔33内に嵌合された操作部40(図4(a)及び図5(b)参照)と、コンテナフック20のロック時(図5(b)参照)には両ロックアーム28のカムフォロワ部38の間に介在され、コンテナフック20のアンロック時(図4(b)参照)にはロックアーム28と主板部31との間に配置されるカム部41とを有している。カム部41は、横幅(前後方向の幅)を広くする幅広部42(図5(b)参照)と、その横幅を狭くする幅狭部43とを有している。
そして、操作部材29の操作部40が、図4(a)に示すように、支持部材27の支持孔33より外方へ引き出された突出位置にあるときは、図4(b)に示すように、カム部41の幅狭部43が両ロックアーム28のカムフォロワ部38の間に対応する。これにより、両ロックアーム28が係合凸部37を解放する状態すなわちアンロック状態になる。
また、操作部材29の操作部40が、図5(a)に示すように、支持部材27の支持孔33内へ向けて押し込まれた押し込み位置にあるときは、図5(b)に示すように、カム部41の幅広部42が両ロックアーム28のカムフォロワ部38の間に対応する。これにより、両ロックアーム28が係合凸部37を閉鎖する状態すなわちロック状態になる。
なお、左右の両緊締装置26は、一方の操作部材29の操作に連動して同期的に作動されるように構成されている。また、両ロックアーム28は、図示しないバネ部材によって常にアンロック方向へ付勢されている。
【0020】
ところで、貨車10の架台14(図1参照)上に、コンテナ18を積載するときには、緊締装置26がアンロック状態、すなわち操作部材29が突出位置にあり、緊締装置26の両ロックアーム28が係合凸部37を解放するアンロック状態におかれる(図4(a),(b)参照)。
この状態において、貨車10の架台14上にコンテナ18が積載されると、緊締装置26の両ロックアーム28の間にコンテナフック20が介入される。この状態で、図5(a)に示すように、操作部材29を押し込み位置に移動させると、カム部41の幅広部42が両ロックアーム28のカムフォロワ部38の間に対応し、両ロックアーム28が支軸35の回りに回動される(図5(b)参照)。このため、両ロックアーム28の係合凸部37がコンテナフック20の両係合凹部22に係合したロック状態となる。その結果、架台14上にコンテナ18が固定される。
【0021】
前記緊締装置26のロック状態において、図4(a)に示すように、操作部材29が突出位置に引き出されると、カム部41の幅狭部43が両ロックアーム28のカムフォロワ部38の間に対応し、両ロックアーム28が支軸35の回りに回動される(図4(b)参照)。このため、両ロックアーム28の係合凸部37がコンテナフック20の両係合凹部22を解放したアンロック状態となる。その結果、貨車10(詳しくは、架台14)上からコンテナ18を上方へ持上げることが可能になる。
【0022】
次に、前記コンテナ18の荷役作業を行なうフォークリフト45の概要について説明する。
図1に示すように、フォークリフト45の車体46は、前後左右の計4個(図1は前後2個を示す。)の車輪47により走行可能になっている。また、車体46上には、キャビン48が設けられている。キャビン48内には、フォークリフト45を運転するオペレータが着座する運転席(図示省略)が設けられている。
【0023】
また、車体46の前部には、マスト装置50が装備されている。マスト装置50は、固定側マスト部材51と、その固定側マスト部材51に沿って昇降可能な可動側マスト部材52を備えている。可動側マスト部材52には、左右一対のフォーク55(図2(a)参照)を備えるリフトブラケット54が昇降可能に設けられている。なお、図2は、リフトブラケットを示すもので、(a)は正面図、(b)は側面図である。
両フォーク55(図2(a)参照)は、前記架台14と前記コンテナ18との間のフォークポケット19(図1参照)内に挿入可能でかつリフトブラケット54とともに上昇作動することにより該コンテナ18を持上げ可能である。また、両フォーク55は、リフトブラケット54の上下のフォークバー56に掛装されている。
【0024】
次に、フォークリフト45の貨車吊上げ防止装置について説明する。
図2(a)に示すように、前記リフトブラケット54の下側のフォークバー56の中央部には、カメラ58がブラケット59を介して取付けられている(図2(b)参照)。
カメラ58は、前記貨車10の架台14と前記コンテナ18との間のフォークポケット19内にフォーク55を挿入した状態で対向する緊締装置26(図1参照)を撮影可能に設けられている。詳しくは、カメラ58は、支持部材27の支持孔33から突出する操作部材29の操作部40(図4(a)及び図5(a)参照)を撮影可能に設けられている。なお、操作部材29は、本明細書でいう「位置変更部材」に相当する。
【0025】
図3は、フォークリフトの貨車吊上げ防止装置を示す説明図である。図3に示すように、カメラ58は、画像処理装置60に対して電気配線(符号省略)を介して電気的につながれている。画像処理装置60は、カメラ58からの映像に基づいて画像処理を行なうことにより前記緊締装置26のロック・アンロック状態を識別可能な信号としてコントローラ62に出力する。画像処理装置60及びコントローラ62は、例えばフォークリフト45のキャビン48内に設けられている。
なお、カメラ58及び画像処理装置60は、本明細書でいう「状態検出手段」を構成している。また、コントローラ62は、本明細書でいう「制御手段」に相当する。
【0026】
前記コントローラ62は、画像処理装置60に電気配線(符号省略)を介して電気的につながれており、前記画像処理装置60から出力された信号に基づいて、フォークリフト45によるコンテナ18の持上げを停止するか否かを判定する。すなわち、コントローラ62は、画像処理装置60から出力される識別可能な信号に基づいて、緊締装置26がアンロック状態(図4(a),(b)参照)にあれば、フォークリフト45の持上げを停止しないと判定し、また、緊締装置26がロック状態(図5(a),(b)参照)にあれば、フォークリフト45の持上げを停止すると判定する。
そして、コントローラ62は、前記持上げを停止するときはアンロードバルブ64(後述する)を作動させ、また前記持上げを停止しないときは該アンロードバルブ64を作動させない。
【0027】
図3に示すように、前記フォークリフト45の油圧回路65におけるオイルポンプ66とオイルコントロールバルブ67との間には、オイルタンク(図示省略)へ戻すか否かを行なう電磁式のアンロードバルブ64が組込まれている。オイルポンプ66は、エンジン68により駆動される。
アンロードバルブ64は、電気配線(符号省略)を介して前記コントローラ62に電気的につながれている。そして、アンロードバルブ64は、コントローラ62により作動されたときに、オイルポンプ66から送られる作動油を戻し油路64aを通じてオイルタンク(図示省略)内へ戻すことにより、オイルコントロールバルブ67への作動油の送給を停止させる。これにより、フォークリフト45のフォーク55の上昇動作が停止される。なお、アンロードバルブ64は、本明細書でいう「上昇停止手段」に相当する。
【0028】
また、フォークリフト45のフォーク55をフォークポケット19(図1参照)に差し込む途中等において、カメラ58及び画像処理装置60並びにコントローラ62が作動すると、貨車吊上げ防止装置の誤作動を招くことが予測される。
そこで、カメラ58及び画像処理装置60並びにコントローラ62を含む電気回路には、カメラ58及び画像処理装置60並びにコントローラ62の作動をON(オン)・オフ(OFF)する作動スイッチ69が組込まれている。作動スイッチ69は、フォークリフト45のキャビン48内に、そのキャビン48内に座るオペレータにより操作可能に配置されており、必要に応じてオン・オフ操作される。なお、作動スイッチ69は、カメラ58及び画像処理装置60並びにコントローラ62のうち、少なくとものいずれか1つをオン・オフするものであればよい。
【0029】
次に、前記フォークリフト45の貨車吊上げ防止装置の作動について説明する。
いま、図1に示すように、レール12上に停車された貨車10の架台14上に、コンテナ18が積載されているものとする。この状態において、オペレータは、フォークリフト45を貨車10の一側面(例えば、右側面)に向けて走行させ、フォーク55を架台14とコンテナ18との間のフォークポケット19内へ挿入する。この状態において、オペレータが作動スイッチ69(図3参照)をオンする。
すると、カメラ58が、緊締装置26における操作部材29の操作部40(図4(a)及び図5(a)参照)を撮影する。これにともない、画像処理装置60は、カメラ58からの映像に基づいて画像処理を行なうことにより緊締装置26のロック・アンロック状態を識別可能な信号としてコントローラ62に出力する。なお、図6は、コントローラによる制御を示すフローチャートである。
【0030】
コントローラ62は、画像処理装置60からの信号に基づいて、コンテナ18の持上げを停止するか否かを判定する(図6のステップS1参照)。詳しくは、コントローラ62は、緊締装置26がアンロック状態(図4(a),(b)参照)にあれば、フォークリフト45の持上げを停止しないと判定し、緊締装置26がロック状態(図5(a),(b)参照)にあれば、フォークリフト45の持上げを停止すると判定する。
【0031】
コントローラ62が、フォークリフト45の持上げを停止しないと判定したときには、アンロードバルブ64を作動させない。このため、オイルポンプ66からオイルコントロールバルブ67へと作動油が送給されることにより、フォークリフト45のフォーク55が上昇動作可能になる(図6のステップS2参照)。したがって、フォークリフト45によりコンテナ18を持上げて所定の荷役作業を行なうことができる。
【0032】
また、コントローラ62が、フォークリフト45の持上げを停止すると判定したときには、アンロードバルブ64を作動させる(図6のステップS3参照)。すると、オイルポンプ66からオイルコントロールバルブ67へ送給されようとする作動油は、アンロードバルブ64から戻し油路64aを通じてオイルタンク(図示省略)へ戻される。これにより、フォークリフト45のフォーク55の上昇動作が停止される(図6のステップS4参照)。したがって、緊締装置26により貨車10上のコンテナ18がロックされているときには、フォークリフト45によりコンテナ18を持上げることができない。
このときは、緊締装置26の操作部材29の操作部40を引き出すことにより、該緊締装置26をアンロック状態にすれば、上記と同様に、フォークリフト45により、コンテナ18を持上げて所定の荷役作業を行なうことができる。
【0033】
上記したフォークリフト45の貨車吊上げ防止装置によると、緊締装置26により貨車10上のコンテナ18がロックされているとき(図5(a),(b)参照)には、フォークリフト45によりコンテナ18を持上げることができない。これによって、貨車10の吊上げを防止あるいは低減することができる。
【0034】
また、カメラ58及び画像処理装置60により構成された状態検出手段(符号省略)によると、貨車10とフォークリフト45との間において配線を取り回す必要がないとともに貨車10に特別な部品を装備しなくてよい。
【0035】
また、緊締装置26(図4(a),(b)及び図5(a),(b)参照)の操作部材29は、緊締装置26のロック・アンロック状態にともない位置変更される部材でかつロックアーム28に比べて位置変更にかかる作動量が大きい。このため、カメラ58及び画像処理装置60により構成された状態検出手段により容易に検出することができる。
【0036】
また、フォークリフト45のオペレータが作動スイッチ69(図3参照)を操作することにより、カメラ58及び画像処理装置60並びにコントローラ62を任意にオン・オフすることができる。したがって、貨車吊上げ防止装置を使用しないときに、その装置の誤作動を防止あるいは低減することができる。
【0037】
また、フォークリフト45の油圧回路65に組込んだアンロードバルブ64(図3参照)によれば、上昇停止手段を容易に構成することができる。
【実施例2】
【0038】
本発明の実施例2を説明する。図7は貨車吊上げ防止装置を示す説明図である。なお、本実施例は、前記実施例1におけるカメラ58及び画像処理装置60を備えて構成される状態検出手段(図3参照)を変更したものであるから、その変更部分について詳述し、重複する説明は省略する。
実施例2の状態検出手段は、図7に示すように、位置検出センサ71と発信装置72と受信装置74とを備えて構成されている。
位置検出センサ71は、貨車10の架台14上に設けられた緊締装置26の支持部材27の側板部32にステー76を介して取付けられている。位置検出センサ71は、緊締装置26のロック・アンロック状態にともない移動される操作部材29の位置を検出してその位置を識別可能な信号として出力する近接スイッチからなる。この近接スイッチは、例えば、ロック状態において操作部材29の突起部30を検出し、アンロック状態においてその突起部30を検出しない。
【0039】
また、発信装置72は、貨車10の架台14(図1参照)に設けられている。発信装置72は、位置検出センサ71から出力された信号に基づいて信号を発信する。発信装置72及び位置検出センサ71は、貨車10側に設けられる電気回路(図示省略)に組込まれている。
また、受信装置74は、例えばフォークリフト45のキャビン48内に設けられている。受信装置74は、発信装置72から発信された信号を受信しかつその信号に基づいて緊締装置26のロック・アンロック状態を識別可能な信号としてコントローラ62に出力する。また、受信装置74は、フォークリフト45の前記コントローラ62を含む電気回路(図示省略)に組込まれている。
【0040】
本実施例にかかる状態検出手段を備えたフォークリフト45の貨車吊上げ防止装置の作動について説明する。
いま、図1に示すように、レール12上に停車された貨車10の架台14上にコンテナ18が積載された状態において、オペレータは、フォークリフト45のフォーク55を架台14とコンテナ18との間のフォークポケット19内へ挿入する(図1参照)。この状態において、オペレータが作動スイッチ69をオンする。なお、このとき、発信装置72は、オン状態にある。
すると、図7に示すように、貨車10に設けられた位置検出センサ71が、緊締装置26のロック・アンロック状態にともない位置変更される操作部材29の位置を検出してその位置を識別可能な信号として発信装置72に出力する。位置検出センサ71からの信号を受けた発信装置72は、位置検出センサ71からの信号に応じた信号を発信する。
そして、フォークリフト45に設けられた受信装置74は、発信装置72から発信される信号を受信して、その信号に基づいて緊締装置26のロック・アンロック状態を識別可能な信号としてコントローラ62に出力する。
【0041】
そして、コントローラ62は、受信装置74からの信号に基づいて、前記と同様に、コンテナ18の持上げを停止するか否かを判定する(図6のステップS1参照)。そして、コントローラ62が、フォークリフト45の持上げを停止しないと判定したときには、前記と同様に、アンロードバルブ64を作動させないため、フォークリフト45のフォーク55が上昇動作可能になる(図6のステップS2参照)。したがって、フォークリフト45によりコンテナ18を持上げて所定の荷役作業を行なうことができる。
【0042】
また、コントローラ62が、フォークリフト45の持上げを停止すると判定したときには、前記と同様に、アンロードバルブ64を作動させる(図6のステップS3参照)。これにより、フォークリフト45のフォーク55の上昇動作が停止される(図6のステップS4参照)。したがって、緊締装置26により貨車10上のコンテナ18がロックされているときには、フォークリフト45によりコンテナ18を持上げることができない。
【0043】
上記したフォークリフト45の貨車吊上げ防止装置によっても、前記実施例1と同様の作用・効果を得ることができる。
また、本実施例の位置検出センサ71と発信装置72と受信装置74とを備えて構成された状態検出手段によると、貨車10とフォークリフト45との間において配線を取り回す必要がない。
また、発信装置72の信号を受信装置74が受信可能な距離内にフォークリフト45があれば、状態検出手段の作動が可能であるため、フォークリフト45のフォーク55をフォークポケット19内に挿入しなくても差し支えない。
【0044】
本発明は前記実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更が可能である。
例えば、前記状態検出手段及び/又は前記制御手段をオンするのは、手動操作に限定されず、例えば、カメラが緊締装置を認識できるように制御手段をプログラムしておき、カメラが緊締装置を認識した際に、前記状態検出手段及び/又は前記制御手段を自動でオンするようにしてもよい。
また、緊締装置の構造、状態検出手段、上昇停止手段は、実施例中に記載したものに限定されず、緊締装置のロック・アンロックを検出でき、フォークの上昇を停止できるものであればどのような構成のものでもよい。例えば、上昇停止手段として、アンロードバルブの代わりに、例えば操作レバーをロックする機構を使用しても良い。
また、操作部材29の幅広部43と幅狭部42を逆にしてもよい、その場合、操作部40が突出した時がロック状態、突出していないときがアンロック状態となる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の実施例1にかかる貨車に積載されたコンテナとフォークリフトの関係を示す説明図である。
【図2】リフトブラケットを示すもので、(a)は正面図、(b)は側面図である。
【図3】フォークリフトの貨車吊上げ防止装置を示す説明図である。
【図4】緊締装置のアンロック状態を示すもので、(a)は外観斜視図、(b)はその内側から見た斜視図である。
【図5】緊締装置のロック状態を示すもので、(a)は外観斜視図、(b)はその内側から見た斜視図である。
【図6】コントローラによる制御を示すフローチャートである。
【図7】本発明の実施例2にかかるフォークリフトの貨車吊上げ防止装置を示す説明図である。
【符号の説明】
【0046】
10 貨車
18 コンテナ
20 コンテナフック
26 緊締装置
27 支持部材
28 ロックアーム
29 操作部材(位置変更部材)
45 フォークリフト
55 フォーク
58 カメラ(状態検出手段の一部)
60 画像処理装置(状態検出手段の一部)
62 コントローラ(制御手段)
64 アンロードバルブ(上昇停止手段)
65 油圧回路
66 オイルポンプ
67 オイルコントロールバルブ
69 作動スイッチ
71 位置検出センサ(状態検出手段の一部)
72 発信装置(状態検出手段の一部)
74 受信装置(状態検出手段の一部)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
貨車上に積載されたコンテナをロックする緊締装置のロック・アンロック状態を検出しかつその状態を識別可能な信号として出力する状態検出手段と、
フォークリフトのフォークの上昇動作を停止可能な上昇停止手段と、
前記状態検出手段の信号に基づいて前記フォークリフトによるコンテナの持上げを停止するか否かを判定し、前記持上げを停止するときは前記上昇停止手段を作動させ、また前記持上げを停止しないときは前記上昇停止手段を作動させない制御手段と
を備えていることを特徴とするフォークリフトの貨車吊上げ防止装置。
【請求項2】
請求項1に記載のフォークリフトの貨車吊上げ防止装置であって、
前記状態検出手段は、前記フォークリフトに設けられて前記緊締装置のロック・アンロック状態にともない位置変更される位置変更部材を撮影するカメラと、前記カメラからの映像に基づいて画像処理を行なうことにより前記緊締装置のロック・アンロック状態を識別可能な信号として前記制御手段に出力する画像処理装置とを備えていることを特徴とするフォークリフトの貨車吊上げ防止装置。
【請求項3】
請求項1に記載のフォークリフトの貨車吊上げ防止装置であって、
前記状態検出手段は、前記貨車に設けられて前記緊締装置のロック・アンロック状態にともない位置変更される位置変更部材の位置を検出してその位置を識別可能な信号として出力する位置検出センサと、前記位置検出センサから出力された信号に基づいて信号を発信する発信装置と、前記フォークリフトに設けられて前記発信装置から発信された信号を受信しかつその信号に基づいて前記緊締装置のロック・アンロック状態を識別可能な信号として前記制御手段に出力する受信装置とを備えていることを特徴とするフォークリフトの貨車吊上げ防止装置。
【請求項4】
請求項2又は3に記載のフォークリフトの貨車吊上げ防止装置であって、
前記緊締装置は、前記貨車に設けられた支持部材と、前記支持部材に作動可能に支持されかつその作動により前記コンテナが備えるコンテナフックをロック及びアンロックするロックアームと、前記ロックアームを作動させる操作部材とを備え、
前記操作部材を前記位置変更部材としたことを特徴とするフォークリフトの貨車吊上げ防止装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1つに記載のフォークリフトの貨車吊上げ防止装置であって、
前記フォークリフトのオペレータにより操作可能でかつ前記状態検出手段及び/又は前記制御手段をオン・オフ可能な作動スイッチを備えたことを特徴とするフォークリフトの貨車吊上げ防止装置。
【請求項6】
請求項1〜5に記載のフォークリフトの貨車吊上げ防止装置であって、
前記上昇停止手段は、前記フォークリフトの油圧回路におけるオイルポンプとオイルコントロールバルブとの間に組込まれかつ作動によってオイルポンプからオイルコントロールバルブへ送給される作動油をオイルタンクに戻すアンロードバルブであることを特徴とするフォークリフトの貨車吊上げ防止装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−36392(P2006−36392A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−215361(P2004−215361)
【出願日】平成16年7月23日(2004.7.23)
【出願人】(000003218)株式会社豊田自動織機 (4,162)
【Fターム(参考)】