説明

フォークリフト用電源装置

【課題】キャパシタを用いた電源であっても直ちに電源オン状態に移行することができること。
【解決手段】バッテリー2とモータ7が接続されるインバータ6との間がメンテナンス用のバッテリープラグ4によって着脱可能であり、バッテリープラグ4とインバータ6との間に並列接続されたキャパシタ5を有し、キャパシタ5に蓄えられたエネルギーをインバータ6側が用いるフォークリフト用電源装置1であって、バッテリープラグ4とバッテリー2との間に設けられたノーマリーオフスイッチであるメインコンタクタ31と、キャパシタ5からの漏れ電流値を超え、かつ該漏れ電流値近傍の微小電流値でキャパシタ5を予め充電し、メインコンタクタ31に並列接続されたノーマリーオンの微小予充電回路32と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、蓄電池などのバッテリーとモータなどの負荷との間がメンテナンス用のプラグによって着脱可能であり、該プラグと負荷との間に並列接続されたキャパシタを有し、前記負荷が前記キャパシタに蓄えられたエネルギーを用いるフォークリフト用電源装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、フォークリフトは、狭い空間での作業が多いことからバッテリーを電源とするバッテリーフォークリフトが用いられている。一方、近年、フォークリフトの性能をより向上するために、ハイブリッド車両などのようにキャパシタが多用されるようになっている。
【0003】
キャパシタは、たとえば鉛蓄電池などのバッテリーとモータなどの負荷との間に配置され、負荷が、このキャパシタに蓄えられたエネルギーを直接用いるようにしている。キャパシタを用いると、キャパシタが負荷からの回生エネルギーを効率よく蓄積することができるとともに、キャパシタが持つ放電特性により瞬時に大電流が取り出せ起動性が向上する。更に、キャパシタが負荷変動を吸収してバッテリーの長寿命化を促進することができるという利点をもつ。
【0004】
【特許文献1】特開2002−320302号公報
【特許文献2】特開2005−160154号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、フォークリフトなどでは、このキャパシタの容量が数百Fであり、100〜1000μF程度の電子機器などのキャパシタ容量に比して格段に大きな容量であるため、キャパシタの蓄電量が十分でない場合、このキャパシタを充電してから電源オン状態に移行する必要があるため、電源オン可能状態になるまでに1時間以上かかる場合があり、作業性を大きく低下させるという問題点があった。
【0006】
一般に、キャパシタに蓄えられた電荷は、漏れ電流により、キャパシタの蓄電量は時間経過とともに徐々に減少していく。したがって、キャパシタがバッテリーに常時接続された状態であれば、このバッテリーによって常に充電されているため、キャパシタとバッテリーとの電圧はほぼ同一状態となり、直ちに動作可能な状態となる。
【0007】
しかし、フォークリフトなどの車両に搭載されるキャパシタは、搭載スペースやメンテナンスの関係からバッテリーボックスから離間した位置に搭載されるのが一般的である。バッテリーはバッテリープラグにより負荷と接続されているが、メンテナンス時にはバッテリープラグの抜き差しが行われるためメインコンタクタが不可欠である。メインコンタクタが無いとキャパシタに瞬時に大電流が流れ、ケーブルの損焼やキャパシタが破壊されることが起きる。また、バッテリープラグが抜かれた状態が長いとキャパシタは漏れ電流により放電状態となり、バッテリープラグを差し込んでもキーON時にキャパシタの充電が必要となり速やかに作業に移行することが出来ないという問題がある。
【0008】
この発明は、上記に鑑みてなされたものであって、キャパシタを用いた電源であっても直ちに電源オン状態に移行することができるフォークリフト用電源装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、この発明にかかるフォークリフト用電源装置は、バッテリーと負荷との間がメンテナンス用のプラグによって着脱可能であり、該プラグと負荷との間に並列接続されたキャパシタを有し、前記負荷が前記キャパシタに蓄えられたエネルギーを用いるフォークリフト用電源装置であって、前記プラグと前記バッテリーとの間に設けられたノーマリーオフスイッチであるメインコンタクタと、前記キャパシタからの漏れ電流値を超え、かつ該漏れ電流値近傍の微小電流値で前記キャパシタを予め充電し、前記メインコンタクタに並列接続されたノーマリーオンの微小予充電回路と、を備えたことを特徴とする。
【0010】
また、この発明にかかるフォークリフト用電源装置は、上記の発明において、前記バッテリーの電圧値が前記キャパシタの耐圧値を超えない限り前記微小予充電回路をオン状態に制御する制御手段を備えたことを特徴とする。
【0011】
また、この発明にかかるフォークリフト用電源装置は、上記の発明において、前記メインコンタクタに並列接続され、前記キャパシタを急速充電するノーマリーオフの急速充電回路を備えたことを特徴とする。
【0012】
また、この発明にかかるフォークリフト用電源装置は、上記の発明において、前記制御手段は、起動時に前記バッテリーの電圧値が、前記キャパシタの電圧値に所定値を加えた電圧値を超えた場合、前記急速充電回路をオン状態にし、超えない場合、前記メインコンタクタをオン状態にする制御を行うことを特徴とする。
【0013】
また、この発明にかかるフォークリフト用電源装置は、上記の発明において、バッテリーと負荷との間がメンテナンス用のプラグによって着脱可能であり、該プラグと負荷との間に並列接続されたキャパシタを有し、前記負荷が前記キャパシタに蓄えられたエネルギーを用いるフォークリフト用電源装置であって、前記プラグと前記バッテリーとの間に設けられたメインコンタクタと、前記キャパシタからの漏れ電流値を超え、かつ該漏れ電流値近傍の微小電流値で前記キャパシタを予め充電し、前記メインコンタクタに並列接続された微小予充電回路と、前記バッテリーの電圧値が前記キャパシタの耐圧値を超えない限り前記微小予充電回路をオン状態に制御する制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【0014】
また、この発明にかかるフォークリフト用電源装置は、上記の発明において、前記メインコンタクタに並列接続され、前記キャパシタを急速充電する急速充電回路を備え、前記制御手段は、起動時に前記バッテリーの電圧値が、前記キャパシタの電圧値に所定電圧値を加えた電圧値を超えた場合、前記急速充電回路をオン状態にし、超えない場合、前記メインコンタクタをオン状態にする制御を行うことを特徴とする。
【0015】
また、この発明にかかるフォークリフト用電源装置は、上記の発明において、前記バッテリーの負荷側に隣接して並列接続された電力変換回路を備えたことを特徴とする。
【0016】
また、この発明にかかるフォークリフト用電源装置は、上記の発明において、前記微小予充電回路は、コレクタ側に接続された抵抗と、該抵抗の他端とベース間に接続された定電圧ダイオードとを有し、前記抵抗の抵抗値と前記定電圧ダイオードの電圧値とベース・コレクタ間電圧とで決定される定電流値である前記微小電流値の電流を流す第1のトランジスタと、前記第1のトランジスタのベース側に接続され、前記制御手段によってスイッチングされて前記第1のトランジスタをスイッチングする第2のトランジスタと、を備えたことを特徴とする。
【0017】
また、この発明にかかるフォークリフト用電源装置は、上記の発明において、前記急速充電回路は、前記制御手段から送られるPWM信号によって通電量が制御される第3のトランジスタを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
この発明にかかるフォークリフト用電源装置は、メインコンタクタに並列接続されたノーマリーオンの微小予充電回路が、キャパシタからの漏れ電流値を超え、かつ該漏れ電流値近傍の微小電流値で前記キャパシタを予め充電しておくようにしているので、キャパシタを用いた電源であっても直ちに電源オン状態に移行することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、この発明を実施するための最良の形態であるフォークリフト用電源装置について、図面を参照して説明する。
【0020】
(実施の形態1)
図1は、この発明の実施の形態1であるフォークリフト用電源装置の構成を示す回路図である。また、図2は、図1に示したフォークリフト用電源装置が搭載されるフォークリフトの構成を示す図である。図1に示したフォークリフト用電源装置1は、図2に示したフォークリフト10に搭載されて用いられる。
【0021】
フォークリフト用電源装置1は、鉛蓄電池などによって実現されるバッテリー2を有し、このバッテリー2は、プラス側に接続されたスイッチ群3を介してバッテリープラグ4の一方に接続される。バッテリープラグ4の他方は、電気二重層コンデンサなどによって実現されるキャパシタ5が接続され、さらにこのキャパシタ5にインバータ6が接続され、このインバータ6から出力された交流出力によってモータ7が駆動される。バッテリープラグ4は、製造時やメンテナンス時に、バッテリー2をキャパシタ5側から外すためのプラグであり、着脱可能である。これは、バッテリー2の寿命が短い一方、キャパシタ5の寿命が長いため、交換部品であるバッテリー2のみを交換操作しやすくするためである。なお、バッテリー2の電圧は、通常48Vあるいは72Vであり、キャパシタ5の容量は、数百F程度である。また、モータ7に流れる電流は通常、100A程度であり、負荷が大きいときには300〜400A程度流れる。また、キャパシタ5は、大きな漏れ電流が発生し、ここでは、200mA程度の漏れ電流が発生している。
【0022】
スイッチ群3は、メインコンタクタ31,微小予充電回路32,および急速充電回路33がそれぞれ並列接続されている。メインコンタクタ31は、メインの電源スイッチであってノーマリーオフスイッチである。微小予充電回路32は、上述した200mAの漏れ電流を超え、かつバッテリープラグ接続時に火花が発生する等の危険がないような漏れ電流近傍の電流値、たとえば220mAを流して予充電を行う抵抗R1とノーマリーオン状態のスイッチSW1とが直列接続されている。また、急速充電回路33は、キャパシタ5に対する急速充電時の電流値を規制する抵抗R2とノーマリーオフ状態のスイッチSW2とが直列接続されている。したがって、電源オフ時には通常、微小予充電回路32のみがオン状態となってキャパシタ5の漏れ電流に打ち勝つ微小電流で予充電しており、キャパシタ5の電圧がバッテリー2の電圧とほぼ同程度の状態を維持するようにしている。
【0023】
コントローラCは、キースイッチSWを介してバッテリー2に接続される。また、コントローラCは、スイッチ群3、インバータ6、および操作部8に接続される。操作部8は、図2に示したフォークリフト10のレバー14やアクセル15などに相当し、コントローラCは、操作部8から入力された操作量をもとに、インバータ6を制御してモータ7の制御を行う。また、コントローラCは、キースイッチSWのオンの検出やバッテリー2の
電圧値VBATおよびキャパシタ5の電圧値VCAPなどをもとにスイッチ群3を制御する。
【0024】
なお、図2に示したフォークリフト10において、バッテリー1は、クレーンなどによって容易に取り出しやすい座席の下に配置される。また、キャパシタ5は、フォーク12およびマスト11側である前方の車体内に配置される。モータ7は、車体のほぼ中央部に配置される。スイッチ群3,バッテリープラグ4,コントローラC,およびインバータ6は、車体後方のカウンターウェイト13側に配置される。
【0025】
ここで、図3および図4に示すフローチャートを参照して、コントローラCによるスイッチ群3に対する制御処理について説明する。図3は、キースイッチSWがオンされた場合におけるコントローラCによるスイッチ群3に対する起動処理制御手順を示すフローチャートである。図3において、コントローラCは、まず、キースイッチSWがオンされたか否かを判断する(ステップS101)。キースイッチSWがオンされない場合(ステップS101,NO)には、このステップS101の判断を継続し、キースイッチSWがオンされた場合(ステップS101,YES)には、さらに、バッテリー2の電圧値VBATが、キャパシタ5の電圧値VCAPに所定値ΔVを加えた値を超えているか否かを判断する(ステップS102)。
【0026】
電圧値VBATが、電圧値VCAPに所定値ΔVを加えた値を超えている場合(ステップS102,YES)には、急速充電回路33のスイッチSW2をオフ状態からオン状態にしてキャパシタ5に対する急速充電を行い(ステップS103)、ステップS102に移行する。一方、電圧値VBATが、電圧値VCAPに所定値ΔVを加えた値を超えていない場合(ステップS102,NO)には、メインコンタクタ31をオフ状態からオン状態にして電源オンにし(ステップS104)、本処理を終了する。
【0027】
この処理では、製造時やメンテナンス時に、ユーザがバッテリープラグ4を外してバッテリー2を保管などしている場合、キャパシタ5の電圧が極端に低くなる場合があり、このような場合にキャパシタ5の電圧が迅速にバッテリー2の電圧とほぼ同じ電圧となるようにするため、急速充電を行い、その後、メインコンタクタ31がオンされるようにして、フォークリフト用電源装置の安全性を確保するとともに迅速な電源オン状態に移行できるようにしている。なお、フォークリフト用電源装置の安全性の確保とは、キャパシタ5の電圧がバッテリー2の電圧に比して極端に低い場合、バッテリー2側からキャパシタ5側に大きな電流が流れ、接続ケーブルなどの許容電流値を超えてしまい、接続ケーブル自体や接続部分の破損や発火を招いてしまうことを防止することである。
【0028】
つぎに、図4を参照して、コントローラCによる予充電処理手順について説明する。図4において、コントローラCは、電源オン・オフ状態にかかわらず、常にこの予充電処理を行っている。まず、コントローラCは、バッテリー2の電圧値VBATが、キャパシタ5の耐圧を超えたか否かを判断する(ステップS201)。バッテリー2の電圧値VBATが、キャパシタ5の耐圧(定格電圧)を超えた場合(ステップS201,YES)には、微小予充電回路32のスイッチSW1をオフ状態し(ステップS202)、キャパシタ5に大きな電圧がかかることによって寿命が短くなることを防止できる状態にしてステップS201に移行する。一方、バッテリー2の電圧値VBATが、キャパシタ5の耐圧を超えていない場合(ステップS201,NO)には、微小予充電回路32のスイッチSW1をオン状態し(ステップS203)、キャパシタ5の漏れ電流に打ち勝つ微小電流をキャパシタ5に供給することによって予め充電を行い、ステップ201に移行する。
【0029】
この予充電処理によって、キャパシタ5の電圧は、電源オン・オフにかかわらず、常に安全に予充電され、起動時における迅速な電源オンを確保できるようにしている。なお、バッテリー2の電圧値VBATが、キャパシタ5の耐圧(定格電圧)を超えるような場合と
は、図示しない充電器によるバッテリー2に対する充電、いわゆる押し込み充電を行う場合に生じる。この場合、バッテリー2に対する充電を行っても、キャパシタ5の耐圧が大きければ問題ないが、キャパシタ5の耐圧が小さくても、上述した予充電処理を行うことによって、キャパシタ5の長寿命化を確保することができる。なお、図3に示した起動時処理と図4に示した予充電処理とは、コントローラCによって並列処理される。
【0030】
ここで、上述した微小予充電回路32および急速充電回路33の変形例について説明する。図5は、微小予充電回路32の変形例を示す回路図である。図5に示すように、この微小予充電回路は、コレクタ側およびエミッタ側がそれぞれ入出力端として機能するトランジスタTr1を有し、このトランジスタTr1のコレクタ側には抵抗R3が接続され、入力端とベースとの間にツェナーダイオードDZが接続される。さらにトランジスタTr1のベースには、抵抗R4を介してコレクタ側が接続されたトランジスタTr2が接続され、このトランジスタTr2のエミッタ側は接地され、ベースには、コントローラCからのオン・オフの制御信号が入力される。このため、コントローラCからトランジスタTr2へのオン・オフの制御信号にしたがって、トランジスタTr1がオン・オフ状態になる。
【0031】
この場合、抵抗R3とツェナーダイオードDZのツェナー電圧との値によって充電電流値を的確に設定することができる。すなわち、トランジスタTr1を流れる電流I2は、ツェナーダイオードDZの電圧値をVDZとし、トランジスタTr1のベース・コレクタ間の電圧値をVBCとし、さらに抵抗R3の抵抗値をRとすると、電流I2は、(VDZ−VBC)/Rで決定され、所定の微小予充電電流を定電流としてキャパシタ5に流すことができる。
【0032】
また、図6は、急速充電回路33の変形例を示す回路図である。図6に示すように、この急速充電回路は、入力端側にトランジスタTr3を接続し、出力側にインダクタンスLを接続し、トランジスタTr3のエミッタとインダクタンスLとの接続点に、この接続点に向かう方向を順方向とするダイオードDを接続し、このダイオードDの他端が接地される。トランジスタTr3のベースには、コントローラCからトランジスタTr3の通電量を制御するためのPWM信号が入力され、このPWM信号のディーティ比によって通電量、すなわち電流I3が制御される。ここで、トランジスタTr3から出力された電流は、脈動しているが、インダクタンスLによって整流された電流I3として出力端から出力され、キャパシタ5への急速充電が行われる。この図6のような回路を用いることによって、急速充電による充電電流量を可変制御することができるため、コントローラCの制御によって柔軟な急速充電を行うことができる。
【0033】
(実施の形態2)
つぎに、この発明の実施の形態2について説明する。この実施の形態2では、上述した実施の形態1のバッテリー2とキャパシタ5との間に電力変換回路21を設けるようにし、インバータ6およびモータ7の負荷側に対してキャパシタ5からのエネルギー供給を効率的に行うようにしている。
【0034】
図7は、この発明の実施の形態2であるフォークリフト用電源装置20の構成を示す回路図である。上述したように、このフォークリフト用電源装置20は、電力変換回路21によってバッテリー2側とキャパシタ5側とを分離するようにしている。この電力変換回路21は、たとえばDC−DC変換回路などによって実現される。
【0035】
実施の形態1のように、バッテリー2とキャパシタ5とが直接に並列接続された状態であると、キャパシタ5の変動が小さいため、キャパシタ5からインバータ5側へのエネルギー供給量が、バッテリー2の内部抵抗の変動による変化分のみと小さくなる場合が発生
し、バッテリー2からエネルギー供給がなされ、キャパシタ5を設けた効果が薄れる可能性がある。
【0036】
この実施の形態2のように電力変換回路21を設けると、負荷変動はそのままキャパシタ5が受け、キャパシタ5から直接に負荷側にエネルギーが供給されるようになる。この結果、キャパシタ5による迅速なエネルギー供給と蓄積がなされるとともに、バッテリーの長寿命化を促進することができる。
【0037】
なお、上述した実施の形態1,2では、スイッチ群3がコントローラCによって制御されるものとして説明したが、これに限らず、スイッチ群3を手動によって操作するようにしてもよい。この場合、微小予充電回路32は、ノーマリーオン状態であることが好ましく、メインコンタクタ31と急速充電回路33は、ノーマリーオフ状態であることが好ましい。コントローラCによるスイッチ制御がなくても、通常状態で微小予充電回路32によるキャパシタ5への予充電が行われるからである。
【0038】
また、上述した実施の形態1,2では、急速充電回路31を設けるようにしていたが、急速充電回路31は必要に応じて設ければよい。一般に、微小予充電回路32が備わっていれば、上述したように、起動時、微小予充電回路32によるキャパシタ5への予充電が常時なされ、迅速な電源オンの立ち上がりを実現できるからである。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】この発明の実施の形態1であるフォークリフト用電源装置の回路構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示したフォークリフト用電源装置が搭載されたフォークリフトの構成を示す図である。
【図3】コントローラによるスイッチ群に対する起動時処理制御手順を示すフローチャートである。
【図4】コントローラによるスイッチ群に対する予充電処理制御手順を示すフローチャートである。
【図5】微小予充電回路の変形例を示す回路図である。
【図6】急速充電回路の変形例を示す回路図である。
【図7】この発明の実施の形態2であるフォークリフト用電源装置の回路構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0040】
1,21 フォークリフト用電源装置
2 バッテリー
3 スイッチ群
4 バッテリープラグ
5 キャパシタ
6 インバータ
7 モータ
8 操作部
10 フォークリフト
11 マスト
12 フォーク
13 カウンターウェイト
14 レバー
15 アクセル
21 電力変換回路
31 メインコンタクタ
32 微小予充電回路
33 急速充電回路
C コントローラ
SW キースイッチ
SW1,SW2 スイッチ
R1,R2,R3 抵抗

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリーと負荷との間がメンテナンス用のプラグによって着脱可能であり、該プラグと負荷との間に並列接続されたキャパシタを有し、前記負荷が前記キャパシタに蓄えられたエネルギーを用いるフォークリフト用電源装置であって、
前記プラグと前記バッテリーとの間に設けられたノーマリーオフスイッチであるメインコンタクタと、
前記キャパシタからの漏れ電流値を超え、かつ該漏れ電流値近傍の微小電流値で前記キャパシタを予め充電し、前記メインコンタクタに並列接続されたノーマリーオンの微小予充電回路と、
を備えたことを特徴とするフォークリフト用電源装置。
【請求項2】
前記バッテリーの電圧値が前記キャパシタの耐圧値を超えない限り前記微小予充電回路をオン状態に制御する制御手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載のフォークリフト用電源装置。
【請求項3】
前記メインコンタクタに並列接続され、前記キャパシタを急速充電するノーマリーオフの急速充電回路を備えたことを特徴とする請求項1または2に記載のフォークリフト用電源装置。
【請求項4】
前記制御手段は、起動時に前記バッテリーの電圧値が、前記キャパシタの電圧値に所定値を加えた電圧値を超えた場合、前記急速充電回路をオン状態にし、超えない場合、前記メインコンタクタをオン状態にする制御を行うことを特徴とする請求項3に記載のフォークリフト用電源装置。
【請求項5】
バッテリーと負荷との間がメンテナンス用のプラグによって着脱可能であり、該プラグと負荷との間に並列接続されたキャパシタを有し、前記負荷が前記キャパシタに蓄えられたエネルギーを用いるフォークリフト用電源装置であって、
前記プラグと前記バッテリーとの間に設けられたメインコンタクタと、
前記キャパシタからの漏れ電流値を超え、かつ該漏れ電流値近傍の微小電流値で前記キャパシタを予め充電し、前記メインコンタクタに並列接続された微小予充電回路と、
前記バッテリーの電圧値が前記キャパシタの耐圧値を超えない限り前記微小予充電回路をオン状態に制御する制御手段と、
を備えたことを特徴とするフォークリフト用電源装置。
【請求項6】
前記メインコンタクタに並列接続され、前記キャパシタを急速充電する急速充電回路を備え、
前記制御手段は、起動時に前記バッテリーの電圧値が、前記キャパシタの電圧値に所定電圧値を加えた電圧値を超えた場合、前記急速充電回路をオン状態にし、超えない場合、前記メインコンタクタをオン状態にする制御を行うことを特徴とする請求項5に記載のフォークリフト用電源装置。
【請求項7】
前記バッテリーの負荷側に隣接して並列接続された電力変換回路を備えたことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載のフォークリフト用電源装置。
【請求項8】
前記微小予充電回路は、
コレクタ側に接続された抵抗と、該抵抗の他端とベース間に接続された定電圧ダイオードとを有し、前記抵抗の抵抗値と前記定電圧ダイオードの電圧値とベース・コレクタ間電圧とで決定される定電流値である前記微小電流値の電流を流す第1のトランジスタと、
前記第1のトランジスタのベース側に接続され、前記制御手段によってスイッチングさ
れて前記第1のトランジスタをスイッチングする第2のトランジスタと、
を備えたことを特徴とする請求項2,5〜7のいずれか一つに記載のフォークリフト用電源装置。
【請求項9】
前記急速充電回路は、前記制御手段から送られるPWM信号によって通電量が制御される第3のトランジスタを備えたことを特徴とする請求項4,6,7のいずれか一つに記載のフォークリフト用電源装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−282359(P2007−282359A)
【公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−104392(P2006−104392)
【出願日】平成18年4月5日(2006.4.5)
【出願人】(000001236)株式会社小松製作所 (1,686)
【Fターム(参考)】