説明

フォーマーポンプ

【課題】空気用シリンダ内を簡単に洗浄できるフォーマーポンプを提案する。
【解決手段】キャップ状部材2で上面を閉塞した大径筒12の下端から内向きフランジ状の連結壁16を介して小径筒14を垂下したシリンダ部材10と、小径筒14の内部から、キャップ状部材を貫通してステム36を上外方へ突出し、ステムの下部に付設した液用ピストン31を、小径筒14内へ、かつ連結壁16とキャップ頂壁6との間のステム部分に付設した空気用ピストン44を、大径筒12内へ嵌合させ、ステム上端に吐出ヘッドを付設した作動部材30とを備えたフォーマーポンプであって、上記連結壁16の適所に洗浄口24を穿設するとともに、この洗浄口24を液密に覆う蓋体70を連結壁16に付設し、この蓋体を外すことで洗浄口24を経由して大径筒12の内部を洗浄することが可能に形成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はフォーマーポンプに関し、詳しくは内部の洗浄が可能なフォーマーポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
装着した容器体内の液と外気とを混合・起泡して泡として噴出するフォーマーポンプが広く知られている(特許文献1)。
上記特許文献1のフォーマーポンプは、内部を第1ピストンが摺動する液用シリンダ部と、内部を第2ピストンが摺動する空気用シリンダ部と、噴出口が設けられるとともに、第1ピストン及び第2ピストンに連係し両ピストンを駆動せしめるポンプヘッドと、液用シリンダから送出された液体と空気用シリンダから送出された空気とが合流する気液混合室と、前記噴出口と気液混合室との間に設置された発泡部材とを備え、ポンプヘッドを押し下げることにより容器体内の液体と外気とを気液混合室で合流せしめ、発泡部材を通して発泡させ、噴出口から泡の状態で噴出する如く構成している。
【特許文献1】特開平9−118351号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
この種のポンプでは、従来、装着した容器体内の液を使い切った際にはポンプごと廃棄し、新たなポンプ付き容器を購入することが多かった。しかしながら、昨今では、経済性の観点から容器体内の液のみを詰め替えてポンプをそのまま使用することが多くなり、従来と比較して長期間使用されるようになっている。
【0004】
他方、この種のフォーマーポンプでは上記した如き空気用のシリンダを備えており、空気用シリンダには外気が導入されるため、その導入により異物が混入する虞れがあり、特に長期間の使用の場合にはその確率も大きくなる。
【0005】
本発明の第1の目的は、シリンダ部材のうち空気用シリンダ部画成用の大径筒と液用シリンダ部画成用の小径筒との間の連結壁に、洗浄口を形成し、簡単な操作で空気用シリンダ内部を洗浄できるフォーマーポンプを提案することである。
本発明の第2の目的は、洗浄口を開閉する蓋のシール性を確実とすることである。
本発明の第3の目的は、利用者がシリンダ部材内部のパーツを破損する可能性を低減することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の手段は、
容器体口頸部への嵌合用のキャップ状部材2と、
このキャップ状部材の内面に大径筒12を嵌合させるとともに、この大径筒の下端から略内向きフランジ状の連結壁16を介して小径筒14を垂下したシリンダ部材10と、
上記小径筒14の内部から、キャップ状部材のキャップ頂壁6を貫通して、上方付勢されたステム36を上外方へ突出するとともに、ステムの下部に付設した液用ピストン31を、小径筒14内へ、かつ連結壁16とキャップ頂壁6との間のステム部分に付設した空気用ピストン44を、大径筒12内へそれぞれ摺動可能に嵌合させるとともに、ステム36上端に吐出ヘッド64を付設した作動部材30とを備え、
作動部材30の上下動により小径筒14内の液と大径筒12内の空気とを合流させて起泡させ、吐出ヘッドの吐出口66より泡として吐出するように構成したフォーマーポンプであって、
上記連結壁16の適所に洗浄口24を穿設するとともに、
この洗浄口24を液密に覆う蓋体70を連結壁16に取り付け、この蓋体を外すことで洗浄口24を介して大径筒12の内部を洗浄することが可能に形成している。
本手段では、シリンダ部材の連結壁に、空気シリンダ部を形成する大径部内を洗浄するための洗浄口を穿設し(本願図3参照)、この洗浄口から大径筒内に水を入れ、洗浄することができるようにすることを提案する。通常のポンプ使用時には上記洗浄口は蓋体で閉塞されている(本願図1参照)。洗浄の方法としては、例えば利用者がシリンダ部材からキャップ状部材を、さらに作動部材を取り外して、分解洗浄することも考えられるが、それでは面倒であり、また作業中に内部のパーツを傷付けてしまうことや破損する可能性がある。本発明は、洗浄口を介して容易に大径筒内部を洗浄することで、清掃作業を簡単にするとともに、利用者が内部パーツに直接触れられないようにしてパーツの保護を可能とするものである。
「連結壁」は、大径筒の下端と小径筒の上端とを連続する役目をするものである。必ずしも水平である必要はない。
「洗浄口」は、大径筒の内部を洗浄することが容易な大きさを有する。好適な図示例では複数の洗浄口を形成しているが、一つでも構わない。本発明では、洗浄口を連結壁に穿設している。その利点としては、洗浄が容易であり、かつ使い勝手がよいことが挙げられる。好適な使用態様の一例として、図3の状態からフォーマーポンプを逆さまにして、洗浄口を経て大径筒内へ水を注ぎ込み、次に図3の姿勢に戻すと、内容物とともに洗浄廃水を洗浄口から流下させることができ、作業が簡単である。また大径筒の筒壁を掴んで操作すれば、洗浄口から排水する異物を含む水が指などに付着するおそれがないので、清潔好きな利用者にとっては使用感がよい。
なお、上記洗浄口の開口面には、外部から清掃用具を挿入し或いは操作することの邪魔となる邪魔部材(邪魔板など)を横設することができる。
「蓋体」は、洗浄口を経由した大径筒と容器体との連通を遮断する機能を有する。
【0007】
第2の手段は、第1の手段を有し、かつ
上記連結壁16に、この底壁の周方向に区画された複数の洗浄口24を穿設するとともに、全ての洗浄口24を覆う一つの蓋体70を設けている。
【0008】
本手段では、連結壁の周方向に複数に洗浄口を穿設することで、大径筒内への水の流入と大径筒内部の空気の排出とが効率よく進行するようにしている。
【0009】
第3の手段は、第2の手段を有し、かつ
上記蓋体70を上記シリンダ部材10の適所に螺着させて、シリンダ部材10に対する蓋体70の螺進によって連結壁16の裏面に蓋体70を圧接可能に形成している。
【0010】
本手段では、シリンダ部材の適所に蓋体を螺着させることで、蓋体が不意にシリンダ部材から外れたり、緩んだりすることを防止できる。
【0011】
第4の手段は、第2の手段又は第3の手段を有し、かつ
上記蓋体70を下方から見て連結壁16に対応する円環状に形成するとともに、
連結壁16及び蓋体70の各外周側に上下方向に長い第1シール部82を、また連結壁16及び蓋体70の各内周側に上下方向に長い第2シール部84をそれぞれ形成している。
本手段では、蓋体の外周側及び内周側にシリンダ部材とのシール処置をして、シール性を高めている。また各シール部を上下方向に、すなわちステムの摺動方向に長くすることでシール面積を十分確保できるようにしている。
第5の手段は、第4の手段を有し、かつ上記連結壁16の下面外周部から垂下筒18を垂下するとともに、蓋体70の基板74外周部から起立する第1シール筒78を垂下筒18の周面に液密に当接させ、これら垂下筒18及び第1シール筒78の当接面で上記第1シール部82を形成し、かつ
上記連結壁16の下面内周部に環状溝20を形成して、この環状溝の周面に、連結壁16の内周部から起立した第2シール筒80の少なくとも先端部を液密に当接させ、これら環状溝20及び第2シール筒80の当接面で上記第2シール部84を形成している。
【0012】
本手段では、第1、第2のシール部の具体的形態を提案している。すなわち連結壁の内周側に環状溝を、外周側に垂下筒をそれぞれ形成し、連結壁の内周部及び外周部からそれぞれ起立した第1、第2シール筒を、上記環状溝及び垂下筒の周面に液密に当接して、第1、第2シール部としている。第1、第2シール筒は、環状溝及び垂下筒の内周面又は外周面のうち少なくとも一方にシールさせればよい。残る他面もシール面として活用することができる。例えば図7、図8の例では、垂下筒の内外両周面をシール面としている。また、残る他面を、蓋体の適所に螺合せてもよい。図1の垂下筒は、内周面をシール面とし、外周面に螺条を形成している。
【0013】
なお、連結壁の外周部に垂下筒を形成した理由は、外周部にも環状溝を形成すると、空気用ピストンの降下の邪魔になるからである。
第6の手段は、第1の手段から第5の手段のいずれかを有し、かつ
上記シリンダ部材10の大径筒12に対して蓋体70を螺合させるとともに、
上記キャップ状部材の内面に大径筒12の上部を回り止め可能に嵌着させている。
【0014】
このような構成とした理由は、キャップ状部材を把持して蓋体70を回動させたときに、蓋体とともにシリンダ部材10が回転しないようにするためである。回り止めの手段としては、キャップ状部材と大径筒との各対向面に回り止めリブを形成することができる。
第7の手段は、第1の手段又は第2の手段を有し、かつ
上記蓋体70を軟材質で形成して、上記大径筒12の下部に対して蓋体が柔軟に嵌着可能に構成している。
【0015】
蓋体を軟材質にすることで、蓋体が着脱の際に柔軟に変形して着脱操作が容易となるとともに、液密性も高まる。
【0016】
第8の手段は、第7の手段を有し、かつ
上記蓋体70の外面に把手98又は指係止用リブ100を付設し、これら把手又は係止用リブを下方へ引っ張ることで大径筒12から蓋体を離脱させることができるように形成している。
【発明の効果】
【0017】
第1の手段に係る発明によれば次の効果を奏する。
○シリンダ部材の連結壁16に洗浄口24を穿設したから、大径筒の内部を洗浄して繰り返しフォーマーポンプを衛生的に使用できる。
○洗浄口24を上記連結壁16に形成したから、大径筒内の洗浄廃水を洗浄口24を介して流下させることで、簡単に排水することができる。
○フォーマーポンプを分解せずに内部を洗浄することができるから、利用者が内部のパーツに直接触れて破損させるリスクを低減することができる。
第2の手段に係る発明によれば、連結壁16の周方向に複数の洗浄口24を穿設したから、それらの一つを空気置換孔、残りを洗浄水流入孔として大径筒内への注水・排水が容易・確実となる。
【0018】
第3の手段に係る発明によれば、シリンダ部材10の適所に蓋体70を螺着させたから、振動などにより蓋体による洗浄口24の密閉が緩むことを防止できる。
【0019】
第4の手段に係る発明によれば、蓋体の外周部側及び内周側にそれぞれシール部82、84を形成し、かつ各シール部を上下方向に長くしたから、シール性が高まる。
【0020】
第5の手段に係る発明によれば、連結壁16の内周部に環状溝20を、また外周部に垂下筒18をそれぞれ形成するとともに、蓋体70の基板内外両周からそれぞれ起立したシール筒を、上記環状溝20及び垂下筒18の周面に当接させたから、空気用ピストンの動きを妨げることなく、シール部を組み込むことができる。
【0021】
第6の手段に係る発明によれば、蓋体とシリンダ部材とがともに回動することを防止できる。
【0022】
第7の手段に係る発明によれば、柔軟に変形し得る軟材質で蓋体を形成したから、着脱操作が容易であり、液密性も高まる。
【0023】
第8の手段に係る発明によれば、蓋体70に把手又は指係止用リブを付設したから、操作し易い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
図1から図5は、本発明の第1実施形態係るフォーマーポンプを示している。このフォーマーポンプは、キャップ状部材2と、シリンダ部材10と、作動部材30とで形成している。なお、説明の都合上、本発明の構成のうち従来既知の事項を先に解説する。
【0025】
キャップ状部材2は、フォーマーポンプを容器体Cに固定するためのものであり、容器体の口頸部N外周に嵌合させるキャップ周壁4上端縁より、中央に作動部材30を貫通させる窓孔を開口したキャップ頂壁6を延出し、窓孔周縁部より作動部材案内用のガイド筒8を立設している。
【0026】
シリンダ部材10は、空気用シリンダ画成用の大径筒12と、液用シリンダ画成用の小径筒14と、大径筒の下端から小径筒の上端へ内向きフランジ状に延びる連結壁16とを有する。上記大径筒12の上端部は、上記キャップ周壁4の上端部内面に嵌合し、かつキャップ頂壁6の裏面外周部から垂下する短筒7に連係させている。また小径筒14の下端部は、テーパ状筒を経てパイプ嵌合筒としている。図示例のシリンダ部材10は、パイプ嵌合筒から垂下する吸上げパイプ26と、テーパ状筒の内部から起立するポペット弁体28とをさらに含んでいる。ポペット弁体の上端部は上端大径のテーパ状に形成している。
【0027】
作動部材30は、液用ピストン31と、ステム36と、空気用ピストン44と、起泡部58と、吐出ヘッド64とを有する。
【0028】
上記液用ピストン31は、管壁の下端部を小径筒内面に摺接する上下スカート状のピストン部に、また管壁上端部を、液吸入弁32形成用の小内径の弁座にそれぞれ形成した管体である。この管体は、ポペット弁体の下端部との間に介装されたスプリングで上方へ付勢することで、管壁上端部の弁座に、ポペット弁体上端部のテーパ状部下面を圧接して液吸入弁32としている。
【0029】
上記ステム36は、図1に示す如く液用ピストン押下げ用の縦リブを内面に有する筒体であり、その筒壁下端部を液用ピストン31の外面に嵌合させて上方へ起立しており、ステムの上端部は上記ガイド筒8の内部に突入している。このステム36の上端部内面には内向きフランジ状の弁座が周設され、この弁座と弁座の上に載置した玉弁とで液吐出弁38を形成している。またキャップ頂壁よりやや下方のステム部分外面には、通気路確保のために断面鉤状とした鍔部40を周設しており、またこの鍔部上方のステム部分には、通気路確保用の背の低い突条42が縦設されている。
【0030】
上記空気用ピストン44は、ステムの上記突条42付設箇所の周りに僅かに上下摺動可能な主筒46を有し、この主筒外面より、上中下3段から成る断面階段状の段付き筒体48を下外方へ延出し、この段付き筒体の先端に大径部内面に摺接するピストン部50を付設するとともに、上記主筒46を上記鍔部40に着座してなる。段付き筒体48の上段には通気孔52を穿設する。また主筒46の外面には空気吸入弁54形成用の弁体を付設する。この弁体は主筒46に嵌合させた弁筒下端から上外方へ弾性板56を突設し、この弾性板を上記段付き筒体48の中段下面に圧接している。
【0031】
上記起泡部58は、上記ステム36の上端開口に下半部を嵌合させた筒形の部材であり、その筒孔内に3段の発泡用メッシュ60を横設している。図示の起泡部は2つの筒体で形成されているが、必ずしもこの構成に限らない。
【0032】
上記吐出ヘッド64は、吐出口66付きのヘッド本体の裏面から支持筒68を垂下して、この支持筒下部をステムの上部外面に嵌着させている。また支持筒68の下端部を大内径部として、空気用ピストンの主筒46上部に係合させている。
【0033】
そして大径部12の内部から、主筒46下端面と鍔部40上面との間、ステム36外面と主筒46内面との間、ステム36外面と支持筒68内面との間、ステム36内面と起泡部58外面との間に亘って通気路を形成し、起泡部58の上流で液体と空気とが合流するように構成している。
【0034】
本発明においては、図1に示す如くシリンダ部材10の連結壁16の外周部から垂下筒18を垂設するとともに、連続壁の内周部を2重筒状に隆起して環状溝20を形成している。環状溝を形成する2重筒は、作動部材30を下降させたときに本願図1に想像線で描くように鍔部40を含む作動部材30の下降の邪魔にならない程度の高さに形成する。そして垂下筒18と環状溝20との間の連結壁分を、放射状の3つの連結片22を残して切り取ることで、図4に示す扇形の3つの洗浄口24を形成している。もっとも洗浄口の数は適宜変更することができる。上記連結片22は、大径筒と小径筒との連結手段であるとともに、外部から清掃することを妨げる邪魔板の機能を兼ねている。これについては後述する。
【0035】
またシリンダ部材10の連結壁16裏面には着脱自在に蓋体70を装着する。蓋体70は、図5に示すように中心部に貫通孔72を有する水平円板状の基板74を有する。この基板の外縁から嵌合筒76を、嵌合筒のやや内方から第1シール筒78を、さらに貫通孔72から第2シール筒80をそれぞれ起立する。
上記嵌合筒76は、上記垂下筒18の外面に嵌合する。このとき嵌合筒の外面と大径筒12の外面とが面一になるようにするとよい。好適な図示例では、嵌合筒76の内面と垂下筒18外面とを螺合させている。
上記第1シール筒78は、垂下筒18の内面下部に液密に当接している。図示例では垂下筒への嵌合筒76の螺進・締め付けにより、第1シール筒78外面と垂下筒18の下部内面との間、及び垂下筒下端面と基板74外周部上面との間に、第1シール部82を形成している。
【0036】
第2シール筒80は、図5に示す如く下半部80aから内向きフランジ80bを介して上半部80cを起立している。そして図1に示す如く第2シール筒の上半部80cを環状溝20の内周面に液密に当接させている。この上半部と環状溝内周面とで第2のシール部84が形成されている。また内向きフランジ80bの上面は連結壁の内周部下面に気密に当接させ、環状溝20内にエア中の埃などが進入しないようにしている。もっとも、こうした構成に代えて、第2シール筒を、環状溝20の内外両周面に液密に当接させてもよく、そうすればシール性が向上するとともに環状溝内に埃などが入ることも防止できる。
【0037】
また、シリンダ部材10の大径筒12上端は、キャップ状部材の内面に回動不能に嵌着している。前述の如くシリンダ部材と蓋体とがとも回りすることを防止するためである。図示例では、大径筒の上端部を2重筒状に形成して、その外筒部を、キャップ頂壁6の外周部から垂下する短筒7とキャップ周壁4の上端部との間に嵌着させている。そしてこれら短筒又はキャップ周壁の一方と上記外筒部との間に回り止め用のリブを形成すればよい。
【0038】
キャップ状部材2は、フォーマーポンプを容器体Cに固定するためのものであり、容器体の口頸部N外周に嵌合させるキャップ周壁4上端縁より、中央に作動部材30を貫通させる窓孔を開口したキャップ頂壁6を延出し、窓孔周縁部より作動部材案内用のガイド筒8を立設している。
【0039】
上記構成において、図1に想像線で描くようにフォーマーポンプを容器体Cに装着した状態では、蓋体70は、第1、第2シール部82,84の作用により容器体中の液体が大径筒12内へ浸入することを阻止している。図1の状態から、フォーマーポンプを容器体から外し、次に蓋体70をフォーマーポンプのシリンダ部材から外すと、洗浄口24が露出する。次にフォーマーポンプを逆さまにして水道の蛇口からの流水を、洗浄口24を経て大径筒内に注ぎ込み、フォーマーポンプを振るなどした後に、にて大径筒12内の異物を洗い出すことができる。もっと丁寧に洗浄するときには、バケツなどの水の中にフォーマーポンプをそっくり漬けてもよい。次にフォーマーポンプを図3の正立状態に戻すと、大径筒内の洗浄液を複数の洗浄口24から流下させることで、スムーズに排水することができる。
【0040】
以下、本発明の他の実施形態を説明する。これらの説明において、第1の実施形態と同じ構成については同一の符号を付することで説明を省略する。
【0041】
図6は、本発明の第2実施形態であり、第1実施形態のねじ構造及び第2シール部の位置を変更したものである。この実施形態では第2シール筒80を直筒状に形成して、この第2シール筒の上部外面を環状溝の内周面に液密に当接させることで第2シール部84としている。また環状溝20の外周面及びこの外周面と面一に連続する小径筒14の外面上端部とに、さらに第2シール筒80の外周面全長にそれぞれねじ条を形成してこれらを螺合させている。また嵌合筒76を、第3のシール筒として液密に垂下筒の外面に液密に当接させ、垂下筒の内外両面及び下端面に亘って第1シール部を形成している。
この実施形態では、環状溝内周面から小径筒の外面に亘ってねじ部を形成できるから、ねじ部の螺着長を十分に確保し易い。第1実施形態のように垂下筒の外面にねじ部を形成するときには所要の垂下長を確保するために垂下筒及び嵌合筒の長さを長くとる必要があったが、本実施形態では第1実施形態に比べて蓋体が嵩張らないようにすることができる。
【0042】
図7は、本発明の第3の実施形態である。この実施形態は、第2実施形態のうち連結壁の構造を変更したものである。すなわち、連結壁16は大径筒12の下端から上内方へ傾斜する円錐台形の傾斜壁となっており、他方、小径筒14の筒壁を上方へ延長して、連結壁の上端に連結している。また、連結壁の上端よりやや低い箇所から短い係止筒86を垂下し、この係止筒と筒壁の延長部分との間に環状溝を形成している。
【0043】
本実施形態の構成では、連結壁16が大径筒12の端部から上内方へ、すなわち上下反転状態では下内方へ延びている。従ってこの上下反転状態で上方から洗浄水を流し込んだとすると、洗浄水の一部が洗浄口穿設箇所以外の連結壁部分(図示例では連結片)に当ってもその連結壁部分上面に沿って斜め下に流れ、洗浄口を経て大径筒12内に流れ落ちるから、注水作業がスムーズであるし、上記連結壁部分に当った水が周囲に飛散するようなことも少ない。また、洗浄水で大径筒12内部を洗浄した後、洗浄廃水を洗浄口から排水するときも、同様の理由で排水作業がスムーズとなる。
【0044】
図8は、本発明の第4の実施形態である。この実施形態では、シール部の構成を変更している。すなわち、第1シール筒を省略して、代わりに基板の上面にパッキング板90を敷設している。第1シール部82は、パッキング板90上面と垂下筒18下端面との間に形成している。また、環状溝の上端面と第2シール筒80の上端面との間にはOリング92を挿入して、第2シール部84としている。
【0045】
図9は、本発明の第5の実施形態である。この実施形態では、3つの巾広の連結片22で、3つの洗浄口24を画成し、さらに各洗浄口をおのおの少なくとも一本の巾狭の邪魔板94で分割している。邪魔板94の巾は、洗浄口24を介した水の出入りを妨げないように十分小さくすることが望ましい。これら邪魔板は、先端を自由端として洗浄口の口縁から水平内方へ突出した構造であってもよいのであるが、本実施形態では、巾狭でも十分な強度が確保できるように、洗浄口24の対向縁部(図示例では洗浄口の内縁と外縁)の間に架設させている。
【0046】
フォーマーポンプを利用者が洗浄する場合に問題となるのは、利用者自身が洗浄作業中に内部のパーツを損傷してしまうという事をどうやって防ぐかである。本発明の構成において、洗浄口24からヘラや棒状ブラシなどの清掃用具Tを下から挿入すると、図3に示す如く洗浄口24のほぼ真上にある空気用ピストンの弾性板56などに清掃具が触れ、損傷させてしまう可能性がある。邪魔板があることで、棒状ブラシを挿入しても周方向への可動範囲が狭くなる。外部からの清掃用具を差し込んで清掃しようとすれば、差し込む口を変えて何度も差し込み動作を繰り返さなければならない。そうなると外部からの清掃作業が面倒となり、利用者に清掃用具を使った清掃作業を諦めさせることができる。
【0047】
邪魔板94は、必ずしもブラシなどの清掃用具を挿入したり、或いは清掃用具を使って内部の汚れを拭き取る作業を阻止するものである必要はなく、その邪魔になるものであれば足りる。本明細書では、邪魔板の「邪魔」という用語を、設計者が望まない不適切な使用態様をとろうとすれば作業手順が著しく冗長で面倒となるようにするという意味に使用している。
【0048】
なお、図4に示す3本の連結片22を設けた構造であっても、内部を丁寧に清掃するには清掃用具を3回差し込む必要がある。それは大部分の利用者にとっては十分面倒な作業であり、従ってそれら連結片22も邪魔板の機能を発揮するものと考えられる。しかしながら、なかには図4の洗浄口から清掃用具を差し込もうとする利用者もいると予想されるため、外部からの清掃をより困難とするために、3本の連結片とは別に巾狭の邪魔板を横設したのである。このようにする場合、全体としての洗浄口の総面積が過小とならないように、連結片の巾をやや狭くすることができる。また、図10の如く連結片と邪魔板とを区別することなく、同じ巾、強度とし、全ての連結片が邪魔板を兼ねるようにしてもよい。図示例のものは、図4の構成中の3本の連結片を6本とする代わりに各連結片の巾を半分としている。洗浄口の総面積はどちらも同じである。
【0049】
図11から図17は、本発明の第6の実施形態を示している。この実施形態は、蓋体を軟材質で形成し、取り外すときに変形可能としたものである。
【0050】
本実施形態では環状溝20よりやや外側の連結壁部分から係止筒86を短く垂下する。また垂下筒18は係止筒と同程度の垂下長とし、両筒の下端面は面一になっている。
【0051】
また蓋体70は、上記貫通孔72付きの基板74の外周部から第1シール筒78及び嵌合筒76を内外2重筒状に起立し、これら嵌合筒と第1シール筒78との間に垂下筒18を液密に挟持している。図示例では、嵌合筒の内面上部と、垂下筒の外面上部とには相互に係合可能なリブを周設している。また、上記基板の内周部から第3シール筒96及び第2シール筒80を内外2重筒状に起立しており、これら第3、第2シール筒の間に係止筒86を液密に挟持している。
【0052】
図示例では、第1シール筒78と嵌合筒76と、第3、第2シール筒96、80とは同じ長さであり、これにより大径筒の下面にコンパクトに嵌合できるように構成している。
【0053】
また蓋体70の裏面の適所からは把手98が下方へ突出している。蓋体70は軟材質で形成され、把手98を下へ引っ張ると、嵌合部である第1シール筒78及び嵌合筒76と、第3、第2シール筒96、80とがそれぞれ変形して、大径筒の下面から離脱するように構成している。軟材質の好適な例はエラストマー又はゴムであり、これらを用いると、上記嵌合筒76及び第1シール筒78は垂下筒18の内外面に、また第3、第2シール筒96、80は係止筒86の内外面に、それぞれ弾性的にフィットし、液密性が高まる。
【0054】
図16は、本実施形態の変形例である。この例では、図11の蓋体及び大径筒の底部の構造のうち、第3シール筒96を省略している。第3、第2シール筒を係止筒の両面に嵌合する構造に比べて、係止筒への嵌合がスムーズになると考えられる。そして第3シール筒を省略したことにより、シール性が低下することのないように、垂下筒18を長く形成するとともに、第1シール筒78を下方へ延長して、この延長筒部分の下端から、唾部(水平板周端部分)を介して、垂下筒18の外面下端部へ嵌合する嵌合筒76を折り返している。この構成により第1シール筒78と垂下筒18とのシール面が長くなる。また蓋体の外し易さを担保するために、嵌合筒76の外面に指係止用リブ100を付設している。
【0055】
図17は、本実施形態の更に他の実施例を示している。この例では、図11の蓋体の構成のうち第3シール筒96と嵌合筒76とを省略し、また大径筒の洗浄口24付きの連結壁16を図示のように隆起させるとともに垂下筒18を省略したものである。係止筒86の下端面は連結壁16の下面と面一になっている。そして第2シール筒80は係止筒86の下端部外面に、また第1シール筒は、連結壁の隆起部分内面にそれぞれ液密に嵌合している。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るフォーマーポンプの縦断面図である。
【図2】図1のフォーマーポンプの底面図である。
【図3】図1のフォーマーポンプから蓋体を除いた構成の縦断面図である。
【図4】図3に対応した蓋体を除くポンプ部分の底面図である。
【図5】図1のフォーマーポンプの蓋体の縦断面図である。
【図6】本発明の第2の実施形態に係るフォーマーポンプの要部縦断面図である。
【図7】本発明の第3の実施形態に係るフォーマーポンプの要部縦断面図である。
【図8】本発明の第4の実施形態に係るフォーマーポンプの要部縦断面図である。
【図9】本発明の第5の実施形態に係るフォーマーポンプの要部底面図である。
【図10】図9の構成の変形例の要部底面図である。
【図11】本発明の第6の実施形態に係るフォーマーポンプの縦断面図である。
【図12】図11のフォーマーポンプの底面図である。
【図13】図12のフォーマーポンプから蓋体を外した構成の底面図である。
【図14】図13の構成の要部縦断面図である。
【図15】図11のフォーマーポンプの蓋体の縦断面図である。
【図16】図11のフォーマーポンプの変形例の要部断面図である。
【図17】図11のフォーマーポンプの他の変形例の要部断面図である。
【符号の説明】
【0057】
2…キャップ状部材 4…キャップ周壁 6…キャップ頂壁 7…短筒
8…ガイド筒
10…シリンダ部材 12…大径筒 14…小径筒
16…連結壁 18…垂下筒 20…環状溝 22…連結片 24…洗浄口
26…吸上げパイプ 28…ポペット弁体
30…作動部材 31…液用ピストン 32…液吸入弁 36…ステム
38…液吐出弁 40…鍔部 42…突条 44…空気用ピストン 46…主筒
48…段付き筒体 50…ピストン部 52…通気孔 54…空気吸入弁
56…弾性板 58…起泡部 60…発泡用メッシュ
64…吐出ヘッド 66…吐出口 68…支持筒
70…蓋体 72…貫通孔 74…基板 76…嵌合筒 78…第1シール筒
80…第2シール筒 82…第1シール部 84…第2シール部 86…係止筒
90…パッキング板 92…Oリング 94…邪魔板
96…第3シール筒 98…把手 100…指係止用リブ
C…容器体 N…口頸部 T…清掃用具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器体口頸部への嵌合用のキャップ状部材2と、
このキャップ状部材の内面に大径筒12を嵌合させるとともに、この大径筒の下端から略内向きフランジ状の連結壁16を介して小径筒14を垂下したシリンダ部材10と、
上記小径筒14の内部から、キャップ状部材のキャップ頂壁6を貫通して、上方付勢されたステム36を上外方へ突出するとともに、ステムの下部に付設した液用ピストン31を、小径筒14内へ、かつ連結壁16とキャップ頂壁6との間のステム部分に付設した空気用ピストン44を、大径筒12内へそれぞれ摺動可能に嵌合させるとともに、ステム36上端に吐出ヘッド64を付設した作動部材30とを備え、
作動部材30の上下動により小径筒14内の液と大径筒12内の空気とを合流させて起泡させ、吐出ヘッドの吐出口66より泡として吐出するように構成したフォーマーポンプであって、
上記連結壁16の適所に洗浄口24を穿設するとともに、
この洗浄口24を液密に覆う蓋体70を連結壁16に取り付け、この蓋体を外すことで洗浄口24を介して大径筒12の内部を洗浄することが可能に形成したことを特徴とする、フォーマーポンプ。
【請求項2】
上記連結壁16に、この底壁の周方向に区画された複数の洗浄口24を穿設するとともに、全ての洗浄口24を覆う一つの蓋体70を設けたことを特徴とする、請求項1記載のフォーマーポンプ。
【請求項3】
上記蓋体70を上記シリンダ部材10の適所に螺着させて、シリンダ部材10に対する蓋体70の螺進によって連結壁16の裏面に蓋体70を圧接可能に形成したことを特徴とする、請求項2に記載のフォーマーポンプ。
【請求項4】
上記蓋体70を下方から見て連結壁16に対応する円環状に形成するとともに、
連結壁16及び蓋体70の各外周側に上下方向に長い第1シール部82を、また連結壁16及び蓋体70の各内周側に上下方向に長い第2シール部84をそれぞれ形成したことを特徴とする、請求項2又は請求項3記載のフォーマーポンプ。
【請求項5】
上記連結壁16の下面外周部から垂下筒18を垂下するとともに、蓋体70の基板74外周部から起立する第1シール筒78を垂下筒18の周面に液密に当接させ、これら垂下筒18及び第1シール筒78の当接面で上記第1シール部82を形成し、かつ
上記連結壁16の下面内周部に環状溝20を形成して、この環状溝の周面に、連結壁16の内周部から起立した第2シール筒80の少なくとも先端部を液密に当接させ、これら環状溝20及び第2シール筒80の当接面で上記第2シール部84を形成したことを特徴とする、請求項4記載のフォーマーポンプ。
【請求項6】
上記シリンダ部材10の大径筒12に対して蓋体70を螺合させるとともに、
上記キャップ状部材の内面に大径筒12の上部を回り止め可能に嵌着させたことを特徴とする、請求項1から請求項5のいずれかに記載のフォーマーポンプ。
【請求項7】
上記蓋体70を軟材質で形成して、上記大径筒12の下部に対して蓋体が柔軟に嵌着可能に構成したことを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載のフォーマーポンプ。
【請求項8】
上記蓋体70の外面に把手98又は指係止用リブ100を付設し、これら把手又は係止用リブを下方へ引っ張ることで大径筒12から蓋体を離脱させることができるように形成したことを特徴とする、請求項7記載のフォーマーポンプ。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2009−226384(P2009−226384A)
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−93706(P2008−93706)
【出願日】平成20年3月31日(2008.3.31)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】