説明

フォールデッドアンテナ

【課題】指向性において落ち込みのない小型で複数周波数で共振する複共振アンテナを実現すること。
【解決手段】相互に先端部が接続線路により接続された、少なくとも2本の相互に平行な第1の金属配線p1と、第2の金属配線q1とから成るフォールデッドアンテナである。第1の金属配線及び第2の金属配線は、それぞれ、送受信する電波の偏波方向に配設された第1の立上部10及び第2の立上部30と、それらの立上部に対して、90度に屈曲して伸びた第1の延長部11、12及び第2の延長部31、32とから成り、第1の金属配線の第1の立上部に平行に設けられ、第1の金属配線に接続される金属配線から成る給電線r1と、第2の金属配線の前記第2の立上部において、挿入された容量素子c1とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、 容量素子を設けることにより、 指向性に深い落ち込みをなくした複共振フォールデッドアンテナに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、下記特許文献1には、金属線をループ状に折り曲げたホールデッドアンテナが開示されている。また、下記特許文献2には、 逆F型のアンテナと、 これに平行な逆L型又はロッドアンテナを用いて複数共振アンテナを実現している。また、特許文献2では、偶モード励振において、電磁波の放射ラインにおける電流が逆向きになることを防止するために、平行に設けられる非励振素子を逆L型ではなく、ロッドとして、誘導結合させて、第2共振周波数での放射電波の落ち込みを防止している。、
【特許文献1】特開2006−262356
【特許文献2】特開平9−326632
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1では、給電点において広い周波数帯域において、インピーダンス整合をとることができるが、複数の周波数で使用することはできない。特許文献2においては、複数の周波数で使用することができるが、複数の周波数で共に、非励振素子の放射辺が電磁波の放射に用いられていないために、放射効率が悪いという問題がある。
【0004】
本発明は、 上記の課題を解決するために成されたものであり、 その目的は、 無指向性で、放射効率の高いコンパクトな構造の複共振アンテナを実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するためには、 以下の手段が有効である。
本発明は、相互に先端部が接続線路により接続された、少なくとも2本の相互に平行な第1の金属配線と、第2の金属配線とから成るフォールデッドアンテナにおいて、第1の金属配線及び第2の金属配線は、それぞれ、送受信する電波の偏波方向に配設された第1の立上部及び第2の立上部と、それらの立上部に対して、90度に屈曲して伸びた第1の延長部及び第2の延長部とから成り、第1の金属配線の第1の立上部に平行に設けられ、第1の金属配線に接続される金属配線から成る給電線と、第2の金属配線の第2の立上部において、挿入された容量素子とを有することを特徴とするフォールデッドアンテナである。
【0006】
本発明において、第1の金属配線の第1の立上部及び第2の金属配線の第2の立上部に平行な第3の立上部と、第1の金属配線の第1の延長部及び第2の金属配線の第2の延長部に平行な第3の延長部とから成る第3の金属配線を設けても良い。
【0007】
そして、第3の金属配線は、以下のように構成することができる。
第3の金属配線は、第1の金属配線及び第2の金属配線よりも配線長が長く、接続線路に平行な第2の接続線路を有し、その第2の接続線路の先端部は、対向する第2の金属配線の第2の延長部又は第1の金属配線の第1の延長部に接続されている構成を採用することができる。
【0008】
また、第3の金属配線は、第1の金属配線と第2の金属配線の間であって、第1の金属配線に近い側に設けられており、第2の接続線路の先端部は、第2の金属配線の第2の延長部において、接続されている構成を採用することができる。
【0009】
また、第3の金属配線は、第1の金属配線と第2の金属配線との間に配設され、その先端部は、接続線路に接続されており、第3の立上部には、容量素子が挿入されている構成を採用することができる。
【0010】
また、第1の金属配線、第2の金属配線及び給電線を、偏波方向に垂直な面に平行な幅を有した金属板とした構成を採用することができる。
【0011】
また、第1の金属配線及び第2の金属配線を、コの字形状に折り曲げ、第1の延長部及び第2の延長部を、平行な一対とした構成を採用することができる。
【0012】
また、第3の金属配線を、コの字形状に折り曲げ、第3の延長部を、平行な一対とした構成を採用することができる。
【0013】
また、第1の金属配線の第1の立上部、第2の金属配線の第2の立上部及び給電線は、グランド導体の上に立設され、第1の金属配線の第1の延長部及び第2の金属配線の第2の延長部は、該グランド導体に平行に配設されている構成を採用することができる。この構成は、延長部が平行に一対設けられたものではなく、平行部と立上部をグランド導体に対して、それらの鏡像を形成して、実際の平面部と立上部と、それらの鏡像とで、一対の平面部と、立上部を構成するものである。グランド導体は、金属配線に比べて広い面積を有したものであれば良く、面状が望ましい。しかし、平面部の鏡像が形成できるのであれば、面に限らず、金属配線よりは、幅が広い、線状のものであっても良い。このグランド導体としては、自動車に、このアンテナを搭載する場合には、自動車のルーフやフレームなどである。
【0014】
また、第3の金属配線の第3の立上部は、グランド導体の上に立設され、第3の金属配線の第3の延長部は、該グランド導体に平行に配設されている構成を採用することができる。第3の金属配線のグランド導体に対する鏡像を用いる点や、グランド導体の構成は、上記と同一である。また、このグランド導体は、上記のものを採用できる。
【0015】
また、容量素子は、第2の金属配線の第2の立上部のグランド導体側の端部を、グランド導体と平行に折り曲げて形成された電極板と、その電極板とグランド導体との間に配設された誘電体とから成る構成を採用することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によると、第1の金属配線に対して、第1の立上部に平行に給電線を設け、第1の金属配線に平行な第2の金属配線の第2の立上部に、容量素子を設けたる構造により、第1の共振周波数と、 それの約2倍の周波数付近に現れる第2の共振周波数において、 送受信する電波の偏波方向に垂直な面における指向性において、指向性の深い落ち込みをなくすことができる。また、一つの周波数では、放射辺を複数にすることができるので、放射効率の高くすることができる。また、インピーダンス整合がとり易くなる結果、放射効率が向上する。
【0017】
第3の金属配線を設けることで、送受信する電波の偏波方向に垂直な面における指向性において、深い落ち込みをなくして、且つ、共振周波数の数を増大させることができる。 特に、請求項3、4の発明では、効果的に、上記の指向性の落ち込みを防止して、共振周波数の数を、たとえば、3に増加させることができる。
また、請求項5の発明によれば、第3の金属配線の第3の立上部に容量素子を挿入することで、給電線の給電点から見たアンテナのインピーダンスを高くすることができる。この結果、インピーダンス整合がとり易くなり、放射効率を向上させることができる。
【0018】
また、請求項6の発明によると、金属配線の幅を広くしているので、共振長に幅を有することになり、共振周波数が幅を持つことになり、使用できる周波数の帯域が広がる。
請求項9、10の発明によると、金属配線は、平面部が一対設けられるコの字形状に形成した請求項7、8の発明に比べると、半分で済むことになり、材料を削減でき、且つ、アンテナの寸法を小さくすることができる。また、面状や線状の金属導体上に、取り付けることが容易となる。
また、請求項11の発明では、容量素子の形成を第2の金属配線の形成と同時に形成できるので、製造が容易となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
特許文献1のフォールデッドアンテナを逆F型アンテに適用した構造は知られていない。この逆F型アンテナを対象配置させて、且つ、2重配線によるフォールデッドアンテナにした場合のアンテナを比較例として、以下、考察する。その構造のアンテナA11 の斜視図を図8 に示す。略90度の屈曲部を2 つ有し、コの字形状に折り曲げられた金属配線p11 と金属配線q11 とを略平行に配置し、 それらの両端を、それぞれ、金属配線s101、s102で短絡接続している。2 点FT11とFB11の1組からなる給電点F11 を有する金属配線r11 の両端を、 金属配線p11 上の2 点に接続している。このようにして、フォールデッド構造にする、 つまり、 金属配線p11 と金属配線r11 に平行にもう一つの金属配線q11 を加えて、金属配線s101、102 で両者を接続するようにしている。これにより、アンテナA11 では、 第1 の共振周波数の2 倍の周波数付近に第2 の共振周波数が現れる。従って、 例えば、900MHz 帯と1800MHz 帯の2 周波共用アンテナへの応用が可能となる。
【0020】
一方、 フォールデットアンテナA11 から、 金属配線q11 と金属s101、102 を取り除いた構造、 すなわち、 金属配線p11 と金属配線r11 とだけで構成された単一のアンテナでは、 第1 の共振周波数の3 倍の周波数付近に第2 の共振が現れる。
【0021】
ここでは、 xy面指向性に注目する。比較例のアンテナA11 の第1 の共振feと第2 の共振1 .76fe におけるxy面指向性を図9(a)、 (b) に示す。第1の共振feでは無指向性となっている。最小値は0dBiである。一方、 第2 の共振1.76feでは、 図9(b)のR 部で示すように、 -8.3dBiの落ち込みが生じている。従って、 xy面内にある通信機器と通信をするとき、 その通信機器の方向によっては、 通信ができなくなる。xy面内の落ち込みを無くすことが課題となる。
【0022】
深い落ち込みが生じる原因を考察するため、 第1 の共振feと第2 の共振1.76feにおける電流分布を図10(a)、 (b)に示す。矢印の大きさは電流の強さを表している。xy面指向性のEθ成分の波源に相当するのは、 偏波方向のz 軸方向の電流成分となる。第1 の共振feでは、 z 軸方向に伸びた金属配線r11 と、金属配線q11 のz 軸方向に伸びた配線部分90に、強い電流が流れ、 かつ同位相となっている。従って、 xy面指向性は無指向性となる。一方、 第2 の共振1.76feでは、 z 軸方向に伸びた金属配線r11 と、金属配線p11 及び金属配線q11 の、それぞれ、z 軸方向に伸びた配線部分80と配線部分90とに、大きな電流が流れている。しかも、金属配線q11 のz 軸方向に伸びた配線部分90の電流の位相は、金属配線r11 及び金属配線p11 のz 軸方向に伸びた配線部分80の電流と逆位相となっていることがわかる。従って、 このことにより、xy面内指向性に落ち込みが生じてしまう。
【0023】
以下の実施例は、この指向性の落ち込みが効果的に防止されるアンテナである。以下、 本発明を具体的な実施例に基づいて説明する。本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
【実施例1】
【0024】
本発明の実施例1のフォールデッドアンテナA1の斜視図を図1 に示す。第1の金属配線p1は、鉛直方向に立ち上がる第1の立上部10と、この立上部10に対して、屈曲部13、14において、略90度に折り曲げられ、相互に平行な第1の延長部11、12から構成されいている。第2の金属配線q1も、同様に、鉛直方向に立ち上がる第2の立上部30と、この立上部30に対して、屈曲部33、34において 、略90度に折り曲げられ、相互に平行な第2の延長部31、32から構成されいている。第1、第2の立上部10、30は、送受信する電波の偏波方向に平行であり、Z 軸方向である。本アンテナを自動車に搭載する場合には、一般的には、Z 軸方向は、鉛直方向である。上記のように、コの字形状に構成された第1の金属配線p1と第2の金属配線q1は、平行に配設されており、それらの第1の延長部11、12と第2の延長部31、32のそれぞれの先端部は、接続線路である金属配線s11 と金属配線s12 で短絡接続されている。
【0025】
2 端子FT1 と、FB1 の1組からなる給電点F1を有する金属配線から成る給電線r1の両端51、52は、第1の金属配線p1上の2 点に接続されている。この接続点51、52は、第1の立上部10から0.092 λa の位置に設けられる。なお、λa は第1共振周波数fa(=923MHz) での自由空間波長である。したがって、接続点51、52と第1の立上部10との距離は、30mmである。比較例のアンテナA11 と異なる点は、 第2の金属配線q1の第2の立上部30の略中央に容量素子C1が設けられている点である。また、 アンテナの寸法としては、 延長部11、12、31、32の長さL 、 立上部10、30の高さ2h、 および第1の金属配線p1と第2の金属配線q1間の距離d (金属配線s11 、s12 の長さ)を、 それぞれ、0.308λa 、0.123λa 、0.015λa とした。距離で表現すれば、それぞれ、100mm 、40mm、9mm である。また、 容量素子C1の容量値は0.05pFとした。
【0026】
第1 実施例のアンテナA1の電圧定在波比(VSWR: Voltage Standing Wave Ratio )を図2 に示す。第1 の共振周波数faの1.9 倍に第2 の共振が現れている。第1 、 第2 の共振周波数付近では、 電圧定在波比は2 以下となっている。なお、 実施例1 のアンテナA1の第1 共振周波数faと比較例アンテナA11 の第1 共振周波数feには、 fa = 1.21fe の関係がある。
【0027】
第1 共振周波数faと第2 共振周波数1.9fa における、 アンテナA1のxy面指向性を図3(a)、 (b) に示す。第1 及び第2 共振周波数ともに無指向性となっており、 Eθ成分の最小値は、 それぞれ、-1.3dBi 、 -1.2dBiを示した。この結果より、 比較例のアンテナA11 で問題となっていた、 第2 共振周波数でのxy面指向性の落ち込みをなくせることが明らかとなった。
【0028】
次に、容量素子C1が電流分布に与える影響を考察する。第1 共振周波数faと第2 共振周波数1.9fa における、 アンテナA1の電流分布を図4(a)、 (b) に示す。第1 、 第2 共振周波数ともに、 第2の金属配線q1の第2の立上部30の中央部に容量素子C1を設けることにより、 第2の金属配線q1のz 軸方向電流が小さくなっていることがわかる。第2 共振周波数1.9fa では、 図4(b)に示すように、給電線r1と、 第1の金属配線p1のz 軸方向に伸びた立上部10に流れる電流が同位相となっており、 放射波源となる。つまり、 容量素子C1を設けることにより、 比較例のアンテナA11 で金属配線q11 に流れていた逆位相電流がほとんど流れなくなったことが理解される。一方、 本発明では、第1 共振周波数faでは、 給電線r1に流れる電流が放射波源となる。
【実施例2】
【0029】
本発明の実施例2 のフォールデッドアンテナA2の斜視図を図5 に示す。実施例1と同一構成部分には、同一の符号が付されている。実施例1 と異なる点は、 第1の金属配線p2と第2金属配線q2の間であって、第1の金属配線p2の側に近く、第1の金属配線p2と接続線路である金属配線s21 、s22 の内側に沿って、それらの金属配線s21 、s22 に平行に、第3の金属配線t2を設けた点である。第3の金属配線t2は、第1の立上部10に平行な第3の立上部60と、屈曲部63、64で90度の角度で折り曲げられ、第1の延長部11、12に平行な第3の延長部61、62と、接続線路である金属線路s21 、s22 に一部の線路が平行な第2の接続線路w21 、w22 を有している。第3の金属配線t2の先端部である第2の接続線路w21 、w22 は、金属配線s21 、s22 に沿って曲げられて、第2の金属配線q2の側に伸びて、第2の金属配線q2上の2 点A 、 A ’に接続されている。第3の金属配線t2の長さは、第1又は第2の金属配線の長さ2(L+h)より長い。従って、 第3の金属配線t2は、 第1の金属配線p21、金属配線 s22、 および第2の金属配線q2の一部に沿って、平行に配置されていると言える。この構成により、 共振周波数faと1.9fa の間に第3 の共振を生じさせることができる。例えば、900MHz 帯/1500MHz帯/1800MHz帯をカバーすることが可能となる。
【実施例3】
【0030】
本発明の実施例3 のフォールデッドアンテナA3の斜視図を図6 に示す。実施例 1、2 と同一の機能を有する部分には、同一の符号が付されている。実施例1 と異なる点は、 第1の金属配線p3と第2の金属配線q3と平行に、且つ、その中間位置に、同じ長さの第3の金属配線t3を、それらの金属配線の間に設けた点である。この金属配線t3も、第1の立上部10に平行な第3の立上部60と、屈曲部63、64で90度に折り曲げられ、第1の延長部11,12 に平行な第3の延長部61、62を有している。第3の延長部61、62の先端は、接続線路s31 、s32 に接続されている。また、第3の立上部60には、容量素子Cq3 が挿入されている。この構成により、 給電点でのインピーダンス整合の手段の自由度が向上するため、 インピーダンス整合がよりとりやすくなる。なお、 共振周波数は、 アンテナA1と同様に、 faと1.9fa となる。
【実施例4】
【0031】
本発明の実施例4 のフォールデッドアンテナA4の斜視図を図7 に示す。実施例 1と同 一の機能を有する部分には、同一の符号が付されている。本実施例においても、アンテナは、第1の立上部10、第2の立上部30、それに対して90度に折り曲げて形成された第1の延長部11、第2の延長32を有している。実施例1 と異なる点は3 つある。
【0032】
第1は、アンテナA1の第1の金属配線p1、 第2の金属配線q1、 および接続線路s1、s2を、 アンテナA4では、送受信する電波の偏波方向に垂直な面に平行な幅を有した第 1の金属板p4、 第 2の金属板q4、 給電板r4および接続板s4としたことである。これにより、 各共振周波数の帯域幅を広くすることができる。
【0033】
第2は、アンテナA1の片側に相当する構造をグランド導体g4上に構成したことである。すなわち、コの字形状の他方の金属配線を、グランド導体g4に対する鏡像で構成したことである。この構成により、 アンテナ寸法を半分にすることができる。給電部は、 グランド導体g4の裏側に設けられる同軸線路の内導体(信号線路)を、 グランド導体g4に設けた穴FTH4を通した給電ピンFP4 により、給電線である給電板r4に接続し、 同軸線路の外導体(グランド)をグランド導体g4に接続して構成されている。
【0034】
第3は、アンテナA4の容量素子C4を、 第2の立上部30のグランド導体g4側の端部を、グランド導体g4に平行に折り曲げて、電極板u4を構成し、その電極板u4と、グランド導体g4との間に配設された誘電体v4で構成したことである。これにより、 容量素子C4をアンテナと同一の材料で構成できる。従って、 アンテナA4をより製造しやすい構造にすることができる。なお、 電極u4とグランドg4の間が保てれば、 誘電体v4はなくてもよい。
【0035】
図5に示す実施例2において、第3の金属配線t2は、第1の金属配線p2と第2の金属配線q2に対して、内側に配設されているが、外側に配設しても良い。第3の金属配線t2は、第1の金属配線p2との間隔は、第3の周波数の値に応じて決定すれば良い。また、第3の金属配線t2の延長部61、62は、第1の金属配線p2の延長部11、12のほぼ全長に渡り平行に構成されているが、これとは逆に、第3の金属配線t2の延長部61、62を、第2の金属配線q2の延長部31、32のほぼ全長に渡り平行に構成して良い。また、この場合におていは、第3の金属配線t2の第3の立上部60において、容量素子が挿入されることが望ましい。これらの関係は、発生させる第 3の周波数の値によって選択される。
【0036】
また、図6に示す実施例3において、第3の金属配線t2は、第1の金属配線p2と第2の金属配線q2の間に接続線路の中点に接続するように配設しているが、必ずしも、中点でなくとも良い。また、第3の金属配線t2は、1 本でなくとも、平行に複数設けられていても良い。これらの関係は、給電点におけるインピーダンス整合の関係により選択される。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の具体的な実施例1に係るアンテナA1の斜視図。
【図2】実施例1に係るアンテナA1の電圧低在波比を示した特性図。
【図3】(a)は、実施例1のアンテナA1のxy面指向性(周波数fa)を示した特性図、 (b)は同アンテナA1のxy面指向性(周波数1.9fa )を示した特性図。
【図4】(a)は、実施例1のアンテナA1の電流分布(周波数fa)を示した特性図、 (b)は同アンテナA1の電流分布(周波数1.9fa )を示した特性図。
【図5】本発明の具体的な実施例2に係るアンテナA1の斜視図。
【図6】本発明の具体的な実施例3に係るアンテナA1の斜視図。
【図7】本発明の具体的な実施例4に係るアンテナA1の斜視図。
【図8】比較例のアンテナA11 の斜視図。
【図9】(a)は、比較例のアンテナA11 のxy面指向性(周波数fe)を示した特性図、(b)は、比較例のアンテナA11 のxy面指向性(周波数1 .76fe )を示した特性図。
【図10】(a)は、比較例のアンテナA11 の電流分布(周波数fe)を示した特性図、(b)は、比較例のアンテナA11 の電流分布(周波数1 .76fe )を示した特性図。
【符号の説明】
【0038】
A1、 A2、 A3、 A4、 A11 :アンテナ
F1、 F2、 F3、 F11 :給電部
FP4 :給電ピン
p1、 p2、 p3、 p11 :第1の金属配線
q1、 q2、 q3、 q11 :第2の金属配線
t2、 t3:第3の金属配線
s11 、s12 、s21、s22 、s31、s32 :接続線路( 金属配線)
w21 、w22 :第2接続線路
r1、 r2、 r3、 r11:給電線
p4、 q4、 s4、 r4、 u4:金属板
C1、 C2、 Cq3、 Ct3、 C4、 C11 :容量素子
v4:誘電体
g4:グランド導体
10: 第1の立上部
30: 第2の立上部
60: 第2の立上部
10、12: 第1の延長部
31:32:第2の延長部
61:62:第3の延長部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
相互に先端部が接続線路により接続された、少なくとも2本の相互に平行な第1の金属配線と、第2の金属配線とから成るフォールデッドアンテナにおいて、
前記第1の金属配線及び第2の金属配線は、それぞれ、送受信する電波の偏波方向に配設された第1の立上部及び第2の立上部と、それらの立上部に対して、90度に屈曲して伸びた第1の延長部及び第2の延長部とから成り、
前記第1の金属配線の前記第1の立上部に平行に設けられ、前記第1の金属配線に接続される金属配線から成る給電線と、
前記第2の金属配線の前記第2の立上部において、挿入された容量素子と
を有することを特徴とするフォールデッドアンテナ。
【請求項2】
前記第1の金属配線の前記第1の立上部及び前記第2の金属配線の前記第2の立上部に平行な第3の立上部と、前記第1の金属配線の前記第1の延長部及び前記第2の金属配線の前記第2の延長部に平行な第3の延長部とから成る第3の金属配線を
有することを特徴とする請求項1に記載のフォールデッドアンテナ。
【請求項3】
前記第3の金属配線は、前記第1の金属配線及び前記第2の金属配線よりも配線長が長く、前記接続線路に平行な第2の接続線路を有し、その第2の接続線路の先端部は、対向する第2の金属配線の前記第2の延長部又は前記第1の金属配線の前記第1の延長部に接続されていることを特徴とする請求項2に記載のフォールデッドアンテナ。
【請求項4】
前記第3の金属配線は、前記第1の金属配線と前記第2の金属配線の間であって、前記第1の金属配線に近い側に設けられており、前記第2の接続線路の先端部は、前記第2の金属配線の前記第2の延長部において、接続されていることを特徴とする請求項3に記載のフォールデッドアンテナ。
【請求項5】
前記第3の金属配線は、前記第1の金属配線と前記第2の金属配線との間に配設され、その先端部は、前記接続線路に接続されており、前記第3の立上部には、容量素子が挿入されていることを特徴とする請求項2に記載のフォールデッドアンテナ。
【請求項6】
前記第1の金属配線、前記第2の金属配線及び前記給電線は、前記偏波方向に垂直な面に平行な幅を有した金属板で構成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れか1項に規制のフォールデッドアンテナ。
【請求項7】
前記第1の金属配線及び前記第2の金属配線は、コの字形状に折り曲げられており、前記第1の延長部及び前記第2の延長部は、平行な一対で構成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項6の何れか1項に記載のフォールデッドアンテナ。
【請求項8】
前記第3の金属配線は、コの字形状に折り曲げられており、前記第3の延長部は、平行な一対で構成されていることを特徴とする請求項2乃至請求項5の何れか1項に記載のフォールデッドアンテナ。
【請求項9】
前記第1の金属配線の第1の立上部、前記第2の金属配線の第2の立上部及び前記給電線は、グランド導体の上に立設され、前記第1の金属配線の第1の延長部及び前記第2の金属配線の第2の延長部は、該グランド導体に平行に配設されていることを特徴とする請求項1乃至請求項6に記載のフォールデッドアンテナ。
【請求項10】
前記第3の金属配線の第3の立上部は、グランド導体の上に立設され、前記第3の金属配線の第3の延長部は、該グランド導体に平行に配設されていることを特徴とする請求項2乃至請求項5に記載のフォールデッドアンテナ。
【請求項11】
前記容量素子は、第2の金属配線の第2の立上部の前記グランド導体側の端部を、前記グランド導体と平行に折り曲げて形成された電極板と、その電極板と前記グランド導体との間に配設された誘電体とから成ることを特徴とする請求項9に記載のフォールデッドアンテナ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−100032(P2009−100032A)
【公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−266753(P2007−266753)
【出願日】平成19年10月12日(2007.10.12)
【出願人】(000003609)株式会社豊田中央研究所 (4,200)
【出願人】(000185617)小島プレス工業株式会社 (515)
【Fターム(参考)】