説明

フッ素−フッ素会合体

本発明は、特に、光を放つおよび/または吸収することができる化合物と、光を吸収または放つことができる化合物とを含有する組成物に係り、それぞれの化合物は少なくとも1つのフッ素ラジカルを含有する。本発明はさらに、かかる組成物を製造するための方法に、電子デバイスへのかかる組成物の使用に、およびデバイス自体に関する。

【発明の詳細な説明】
【発明の概要】
【0001】
本発明は、特に、光を放つまたは吸収する少なくとも2種のフッ素化化合物M1およびM2を含有する組成物に関する。本発明は、さらに、前記組成物を製造する方法、電子および/または光電子デバイスへの前記組成物の使用、および前記デバイス自体に関する。
【0002】
有機半導体、有機金属半導体および/または高分子半導体を含む電子デバイスは、以前にも増して市販品に頻繁に使用されている。例としては、写真式複写機における有機系電荷輸送物質(一般的には、トリアリールアミン系正孔輸送体)およびディスプレイデバイスまたは複写機の有機感光体における有機または高分子発光ダイオード(OLEDまたはPLED)を挙げることができる。有機太陽電池(O−SC)、有機電界効果トランジスタ(O−FET)、有機薄膜トランジスタ(O−TFT)、有機集積回路(O−IC)、有機光増幅器または有機レーザーダイオード(O−laser)は、開発の最終段階にあり、将来非常に重要になり得る。
【0003】
これらの電子および光電子デバイスの多くは、特定の用途に関係なく、特定の用途に適合させることができる以下の一般的な層構造を有する:
(1)基板、
(2)しばしば金属または無機であるが、有機または高分子の導電物質からも作られる電極、
(3)場合によっては、しばしば導電性ドープポリマーから作られる電極または基板の凹凸を埋め合わせるための電荷注入層または中間層(「平坦化層」)、
(4)少なくとも1種の有機機能性物質を有する機能層、
(5)場合によっては、さらなる電荷輸送または電荷注入または電荷ブロック層、
(6)(2)で挙げた物質の対向電極、
(7)場合によっては、封止材。
【0004】
上述の配置は、光電子デバイスの一般的な構造を表し、ここでは種々の層を組み合わせることができ、最も単純な場合では、間に有機層が位置する2つの電極を備える配置が生じる。この場合の有機層は、発光を含む全ての機能を満たす。この種の系は、例えば、ポリ(p−フェニレン)に基づくWO9013148A1に記載されている。
【0005】
しかしながら、この種の「3層系」で生じる問題は、例えば、多層構造によるSMOLED(「小分子OLED」)の場合に、容易に溶解するというようなその特性に関して、異なる層中の個々の成分を最適化できないことである。「小分子OLED」は、例えば、1以上の有機正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層および電子注入層と、アノードおよびカソードとからなり、系全体が通常はガラス基板上に位置している。この種の多層構造の利点は、電荷注入、電荷輸送および発光の種々の機能を種々の層に分けることができ、それによりそれぞれの層の特性を別々に変更することができるという点にある。
【0006】
SMOLEDデバイスにおける層は、通常、真空チャンバー内での蒸着により塗布される。しかしながら、この方法は複雑であるので、コストが多大であり、特に、例えば、ポリマーなどの大分子にも、また蒸着条件下でしばしば分解する多くの小分子にも適さない。
【0007】
そのため、溶液からの層の塗布が有利であり、これにおいては、小分子とオリゴマーまたはポリマーとの両方を溶液から処理することができる。
【0008】
しかしながら、溶液から処理されるOLEDは、それでもSMOLEDに比べていくつかの欠点を有する。ここで生じた1つの問題は、溶液からの複数の層の塗布は、しばしば以前に塗布した層に悪影響を及ぼすので、通常、いくつかの成分を1つの層に合わせて、いわゆる混合多成分層を形成しなければならないことである。
【0009】
気相からの堆積または溶液処理の両者によるOLED製造の従来の方法では、個々の成分の分布を制御することが困難である。成分は通常、ランダムに分布される。しかしながら、例えば、いわゆる三重項系(triplet system)における二重ドーピングの場合には、このような系のいくつかの物理的特性のために、個々の成分の制御された分布が望ましい(Kawamura,Y.;Yanagida,S.;Forrest,S.R.、「Energy transfer in polymer electro phosphorescent light emitting device with single and multiple doped luminescent layers」、J.Appl.Phys.、92(1)、87〜93、2002参照)。この文献の中で、1以上のリン光シクロメタル化Ir(III)錯体でドープされたホスト分子としてポリ(9−ビニルカルバゾール)(PVK)を使用して非常に効率的なポリマー(PHOLED)が製造されることが報告されている。例えば、Forster機構によるエネルギー移動は、二重ドーピングの場合に起こると通常推測される。この場合には、エネルギー移動のさらなる光物理機構(例えば、Dexterエネルギー移動、放射伝達、すなわち、発光およびその後の再吸収)が知られており、役割を果たしている。
【0010】
エネルギー移動には、分子集団の空間的近接が必要である。したがって、Foresterエネルギー移動速度は、おおよそ以下の式:
ΓDA∝1/R6
(式中、Rは、ドナーとアクセプターとの間の間隔を表す)
により与えられることが知られている。この間隔は、通常、Forster半径としても知られている。したがって、効率的なForsterエネルギー移動を促進するために、ドナーおよびアクセプター、すなわち、2種の発光化合物または金属錯体を、可能な限り近く、好都合にはForster半径内に、配置することが必要である。
【0011】
2種の発光物質が通常ランダムに分布するという事実は、2種の発光分子(ドナーおよびアクセプター)相互間の必要な小間隔が、十分に保証されていないことを意味する。
【0012】
溶液ベースのSMOLEDの場合のさらに大きな問題は、膜形成特性である。使用する物質はしばしば溶媒に極めて容易に溶解し、例えば、インクジェット印刷により基板に塗布することができる。しかしながら、多くの物質は、溶媒中の小分子の高移動性が原因で、優れた膜形成特性を示さない。
【0013】
本発明の目的は、ドナーおよびアクセプター化合物を、互いに近い間隔で配置することができる組成物を提供することにあった。これは、特に、溶液ベースの系に関して行うべきである。
【0014】
本発明のさらなる目的は、溶媒中の小分子の移動性が制限されているので、優れた膜形成特性を達成する方法を提供することにあった。
【0015】
太陽スペクトルは、スペクトルの赤外領域に最大光子束を有する。このため、これらの長波長の光子を吸収し、これらを人間が使用可能なエネルギーに変換する太陽電池を設計することが特に有利である。狭バンドギャップポリマー(narrow−band−gap polymer)(Chitoshi Kitamura他、In Chem.Mater.1996、8、570〜578)および「low band gap polymers for organic photovoltaics」(F.C.Krebs、Solar Energy Materials and Solar Cells、第91巻、954頁(2007)中)の設計についての実験が、これに役立った。この種の低バンドギャップポリマーは、太陽スペクトルの長波領域で最大吸収を示すが、より短い波長のエネルギーを完全にまたは全く吸収することができない。
【0016】
したがって、本発明のさらなる目的は、改善した吸収プロファイルを示し、そのため太陽電池への使用に特に適した組成物を提供することである。
【0017】
驚くべきことに、発光分子または吸収分子間のフッ素−フッ素相互作用の特異的使用により、上述の目的を達成できることが見出された。フッ素−フッ素相互作用は、2つの分子に強力な付着力を加えるので、一方では、これらの分子は固定化され、他方では、ドナーおよびアクセプター化合物が例えば、Forster半径内に位置する程度に近くになる。
【0018】
Zhao他は、Org.Lett.、10(14)、3041〜3044、2008で、フッ素化末端基を有する蛍光共役デンドリマー、そのナノファイバー形成およびエレクトロルミネッセント特性を報告している。
【0019】
さらに、Zhao他は、J.Phys.Chem.C、112(23)、8511〜8515、2008で、さらに強力な蛍光フッ素化カルバゾールを報告し、高電圧でエキシマー形成によって青色光をおよび電子異性体(electromer)を介して橙色光を放射するOLEDがここで得られている。
【0020】
Ge他は、Chem.Lett.37(3)、294〜295、2008で、マトリックスとしてフッ素化カルバゾール(6FCPB)を使用した効率的なPHOLEDを報告している。
【0021】
WO2007/145976およびWO2007/145975は、第1のサブピクセル領域と第2のサブピクセル領域との間で本質的に相互作用を観察することができないように、基板上での構造化アノードの形成ならびにアノード上の導電性ポリマーとフッ素化酸性ポリマーとを含む非構造化連続正孔注入層の形成を可能にする第1のサブピクセル領域と第2のサブピクセル領域とを備えるフルカラーOLEDを製造する方法を開示している。
【0022】
Neilson他は、「J.Mixed Chromophore Perfluorocyclobutyl PFCB Copolymers for Tailored Light Emission」、Abstractrs 59th Southeast Regional Meeting of the American Chemical Society、Greenville、SC、米国、10月24日〜27日、GEN−041、2007で、エレクトロルミネセンスの輝度の増加および動作電圧の低下をもたらした、凝集の減少およびエキシマー形成の防止を目的とする混合発色団ペルフルオロシクロブチルPFCBコポリマーを報告している。
【0023】
「Giovanella他、Appl.Phys.Lett.、87(17)、171910〜1−171910/3、2005」には、UV−OLEDへ正孔注入層として使用するためのフッ素化銅フタロシアニンが開示されている。
【0024】
Appl.Phys.Lett.、87(17)、171910〜1−171910/3、2005で、Giovanella他は、青色および緑色の領域で発光する2種のフッ素化色素に基づくOLEDを開示している。これらは、ポリビニルカルバゾールおよびオキサジアゾールと混合されるが、2種の色素を含有する混合物または組成物は開示されていない。
【0025】
WO2003/077609およびUS6,812,497は、両方がその分子または反復単位中に少なくとも1個のフッ素原子を有する第1および第2の化合物を発光層に含有する長寿命のフッ素化OLEDを開示している。US6,812,497は、好ましくは、フッ素化金属錯体でドープされたフッ素化ホストを開示している。
【0026】
フッ素化配位子を有するが、2種の異なるフッ素化発光物質対を有する混合物を含まないさらなる金属錯体が、例えば、US2007/278939A1;Mol.Cryst.Liq.Cryst.491、209〜216、2008;Chin.Chem.Lett.17(3)、411〜414、2006;Synth.Met.111〜112、485〜487、2000;Proc.SPIE−Int.Soc.Opt.Eng.4800(Organic Light Emittiing Materials and Devices VI)、105〜114、2003およびGho他、Abstracts of Papers、221st ACS National Meeting、San Diego、CA、米国、2001年4月1日〜5日に開示されている。
【0027】
本発明は、少なくとも2種の有機機能性物質の間の分子間会合体に関する。4種、特に3種、さらに特に2種の異なる有機機能性物質間の会合体がここでは特に好ましい。有機機能性という用語は、本発明では以下で定義される。フッ素化された有機機能性物質を含む会合体が、本発明の意味において特に好ましい。本発明の目的のために、各々がフッ素ラジカルを含む2種の異なる有機機能性物質を含む会合体が特に好ましい。フッ素ラジカルの定義は、本発明では以下に見出すことができる。各々が少なくとも1種のフッ素ラジカルを含み、好ましくは各々が1種のフッ素ラジカルを含む、2種の異なる発光物質を含む会合体が、本発明の意味において極めて特に好ましい。
【0028】
各々が少なくとも1種のフッ素ラジカルを含み、好ましくは各々が1種のフッ素ラジカルを含む、発光物質と光吸収物質(吸収体)とを含む会合体が、本発明の意味においてさらに好ましい。
【0029】
各々が少なくとも1種のフッ素ラジカルを含み、好ましくは各々が1種のフッ素ラジカルを含む、2種の光吸収物質(吸収体)を備える会合体が、本発明の意味においてさらに好ましい。
【0030】
本発明はさらに、少なくとも1種の光吸収または発光する化合物M1と少なくとも1種の発光または光吸収する化合物M2とを含有し、M1とM2とが互いに異なり、両方とも各々が少なくも1種のフッ素ラジカルを含有することを特徴とする組成物に関する。
【0031】
本発明の好ましい態様では、組成物は、正確に1つの化合物M1と1つの化合物M2とを含有する。本発明によると、2つの化合物M1およびM2が、250〜1000nmの波長を有する光を吸収することが好ましい。2つの化合物が、250〜1000nmの波長を有する光を放射することがさらに好ましい。
【0032】
2つの分子M1とM2とが、互いに異なる発光スペクトルを有する本発明の態様が特に好ましい。
【0033】
本発明はさらに、無フッ素化有機ホスト化合物と、発光化合物M1と、発光化合物M2とを含有し、M1およびM2の各々が、少なくとも1種のフッ素ラジカルを含む組成物に関する。
【0034】
本発明の有利な態様によると、少なくとも吸収バンドおよび発光バンドの一方について、M1の吸収スペクトルがM2の発光スペクトルと重なるか、またはM2の吸収スペクトルがM1の発光スペクトルと重なるかのいずれかである。M1とM2との吸収バンドおよび発光バンドの重なりは、エネルギー移動が起こり得ることを保証する。
【0035】
既に言及したように、エネルギー移動は、異なる機構により起こり得る。1946年にTheodor Forsterにより発見されたForsterエネルギー移動は、放射によらない双極子−双極子相互作用によりエネルギーが励起色素(ドナー)から第2の色素(アクセプター)に伝達される物理的過程である(T.Forster、「Zwischenmolekulare Energiewanderung und Fluoreszenz」[Intermolecular Energy Migration and Fluorescence]、Ann.Physic.437、1948、55参照)。
【0036】
Forster移動またはForster半径について以下で言及する場合、これは、既知の光物理的メカニズムの1つによるエネルギー移動を促進するために、分子(ドナーおよびアクセプター)が、互いとの短い間隔を有することを保証することのみが意図される。
【0037】
さらに好ましい態様では、本発明は組成物を含む。一般に、この種の混合物は、少なくとも1つのフッ素化発光物質M1と少なくとも1つのフッ素化色素M2とからなる。
【0038】
フッ素化発光物質M1は、本発明の他で述べる任意の発光物質から選択することができる。非常に好ましい態様では、M1は、紫外線(250〜380nm)、青色光(381〜490nm)および緑色もしくは黄色光(491〜580nm)の領域に強力な吸収を有し、好ましくは赤色光(591〜730nm)および赤外光(731〜1100nm)を再放射する。さらに好ましい態様では、M1は、本発明の他で述べる金属錯体から選択することができるフッ素化金属錯体である。特に好ましい態様では、M1は、フッ素化蛍光発光物質である。
【0039】
M2は、小分子、ポリマー、共役ポリマーおよび非共役ポリマー、オリゴマーならびにデンドリマーからなる群から選択することができる。
【0040】
好ましい態様では、M2は、ポリマー、特に好ましくは、共役ポリマーである。適切な共役ポリマーおよびその一般的な設計原理は、例えば、F.C.Krebs、Solar Energy Materials and Solar Cells、第91巻、954頁(2007)およびSerap Gunes他による「Conjugated Polymer−Based Organic Solar Cells」、Chem.Rev.2007、107、1324〜1338頁に概説されている。
【0041】
さらに好ましい態様では、M2は、例えば、Nature Materials、第7巻、626頁(2008)、Angew.Chem.Int.Ed.2005、44、5740〜5744頁でYu Bai他によりおよびB.O’Regan他、Nature 353、737頁(1991)により報告されているルテニウム錯体およびその誘導体、ならびにChem.Commun.2008、3717でTakeru Bessho他により報告されているCu錯体などの、色素増感太陽電池(DSSC)に使用することができる色素の群から選択される。
【0042】
少なくとも1つのフッ素化置換基を有するさらに適切な色素M2は、Paul M.Borsenberger、David S.Weiss Organic Photoreceptors for Xerography、Marcel Dekker,Inc.、1998、第6章により、およびK.Y.Law、Chem.Rev.第93巻、449〜486頁(1993)により電荷発生物質(CGM)として分類された、無金属フタロシアニン、ドナーもしくはアクセプタードープ無金属フタロシアニン、および金属フタロシアニン、ポルフィリン、スクアライン(squaraine)、ペリレンジイミド、ペリレン顔料を含むアゾ色素、フタロシアニンならびに1以上の色素を含む高分子物質の群から選択される。
【0043】
特に好ましい態様では、色素は、例えば、Angew.Chem.Int.Ed.2006、45、3364〜3368頁に開示されているように、小分子形またはポリマー形のペリレン誘導体である。
【0044】
本発明はさらに、有機光電池用のデバイスへの本発明にかかる組成物の使用に関する。
【0045】
M1およびM2は、それぞれ互いに独立に、小分子、ダイマー、オリゴマーまたはポリマーである。本発明の意味における小分子は、約1000uまでの分子量を有する分子である。本発明の意味におけるポリマーは、10個以上の反復単位を有する化合物である。その他、2個の小分子が互いに共有結合している場合には、本発明の意味においてダイマーという用語が使用され、分子中に3〜9個の反復単位が存在する場合には、オリゴマーという用語が使用される。
【0046】
本発明による高分子化合物は、好ましくは10〜10000個、特に好ましくは20〜5000個、特に50〜2000個の構造単位を有する。ここでのポリマーの分枝ファクター(branching factor)は、0(直鎖状ポリマー、分枝点無し)と1(完全分枝デンドリマー)との間である。
【0047】
本出願中での「デンドリマー」という用語は、分枝モノマーが規則的構造で結合して木のような構造を与える多機能性中心(コア)から築き上げられる高分枝化合物という意味に解釈するものとする。中心とモノマーとの両方は、純粋な有機単位と有機金属化合物もしくは配位化合物との両方からなる、ここでの任意の所望の分枝構造をとることができる。ここでの「デンドリマー」は、一般的に、例えば、M.FischerおよびF.Vogtle(Angew.Chem.、Int.Ed.1999、38、885頁)により記載されているように理解されることが意図されている。
【0048】
本発明によるポリマーの重量平均分子量および数平均分子量はいずれも、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定される。
【0049】
既に上で説明したように、M1およびM2は、Forster半径内で互いからの間隔にあることが特に好ましい。これは、そのフッ素ラジカルを介した付着性F−F相互作用により発光化合物M1およびM2が互いに結合することを通して、本発明により達成される。したがって、これらは、分子間会合体を形成する。この場合には、発光化合物は、有効なエネルギー移動が起こり得るほど近くになる。
【0050】
本発明の一態様では、M1またはM2のいずれかは、有機ホスト化合物と共有結合している。
【0051】
M1およびM2が、それぞれ互いに独立に、蛍光発光物質またはリン光発光物質であることが、本発明の意味においてさらに好ましい。
【0052】
M1およびM2が、それぞれ異なる光吸収化合物であることが、本発明の意味においてさらに好ましい。
【0053】
本発明の意味における蛍光発光物質は、励起一重項状態から発光する化合物である。リン光発光物質は、比較的高いスピン多重度、すなわち、1を超えるスピン状態を有する励起状態、特に、励起三重項もしくは四重項状態から、またはMLCT混合状態から発光を示す化合物という意味に解釈する。適切なリン光化合物は、遷移金属の金属錯体である。適切なリン光化合物は、特に、適切な励起、好ましくは可視領域で発光し、さらに、38より大きく84より小さい、特に好ましくは56より大きく80より小さい原子番号を有する少なくとも1個の原子を含む化合物である。好ましいリン光発光物質は、銅、モリブデン、タングステン、レニウム、ルテニウム、オスミウム、ロジウム、イリジウム、パラジウム、白金、銀、金またはユーロピウムを含む化合物、特に、イリジウム、白金または銅を含む化合物である。上述した発光物質の例は、出願WO00/7065、WO01/41512、WO02/02714、WO02/15645、EP1191613、EP1191612、EP1191614、WO05/033244により明らかにされている。一般に、リン光OLEDについて従来技術に従って使用される、および有機エレクトロルミネッセントの分野の当業者に既知の全てのリン光錯体が適している。
【0054】
本発明によるさらなる態様では、リン光発光物質は、好ましくは有機金属化合物単位を含む。有機金属化合物単位は、好ましくは有機金属配位化合物である。有機金属配位化合物は、配位子としての有機化合物により囲まれた化合物の中心に、金属原子またはイオンを有する化合物という意味に解釈する。有機金属配位化合物は、配位子の炭素原子が配位結合を介して中心金属に結合していることをさらに特徴とする。
【0055】
有機配位子がキレート配位子であることがさらに好ましい。キレート配位子は、2個以上の原子を介してそれに応じて中心金属に結合することができる二座または多座配位子という意味に解釈する。
【0056】
有機配位子は、好ましくは、以下の式(I)により表される単位(以下で配位子単位と呼ぶ)を含む:
【化1】

【0057】
(式中、そこから発した矢印が離れた方向に向かっている原子は、金属原子に配位しており、数字2〜5および8〜11は、単にC原子を区別するための番号付けを表す)
式(I)の有機配位子単位は、位置2、3、4、5、8、9、10および11の水素の代わりに、互いに独立に、C1〜6−アルキル、C6〜20−アリール、6〜14員ヘテロアリール、およびさらなる置換基からなる群から選択される置換基を有することができる。
【0058】
本明細書で使用する「C1〜6−アルキル」という表現は、1〜6個の炭素原子を有する直鎖または分枝したアルキル基を示す。このような炭素原子の例は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル(1−メチルプロピル)、tert−ブチル、イソペンチル、n−ペンチル、tert−ペンチル(1,1−ジメチルプロピル)、1,2−ジメチルプロピル、2,2−ジメチルプロピル(ネオペンチル)、1−エチルプロピル、2−メチルブチル、n−ヘキシル、イソヘキシル、1,2−ジメチルブチル、1−エチル−1−メチルプロピル、1−エチル−2−メチルプロピル、1,1,2−トリメチルプロピル、1,2,2−トリメチルプロピル、1−エチルブチル、1−メチルブチル、1,1−ジメチルブチル、2,2−ジメチルブチル、1,3−ジメチルブチル、2,3−ジメチルブチル、3,3−ジメチルブチル、2−エチルブチル、1−メチルペンチル、2−メチルペンチル、3−メチルペンチルなどであり、この場合、メチルおよびエチルが好ましい。
【0059】
「C6〜20−アリール」という表現は、6〜20個の炭素原子を有する芳香族環系を示す。本発明の意味における芳香族環系またはヘテロ芳香族環系は、芳香族基またはヘテロ芳香族基のみを必ずしも含むとは限らず、代わりに、さらに、複数の芳香族基またはヘテロ芳香族基が、例えば、sp3−混成C、O、N等などの短い非芳香族単位(10%未満のH以外の原子、好ましくは5%未満のH以外の原子)により中断されていてもよい系という意味に解釈する。
【0060】
アリール基は、単環式または多環式とすることができ、すなわち、これらは、1個の環(例えば、フェニル)または2個以上の環を有していてよく、これらの環はまた、縮合していても(例えば、ナフチル)、または共有結合していても(例えば、ビフェニル)、または縮合環および結合環の組み合わせを含んでいてもよい。完全に共役したアリール基が好ましい。
【0061】
好ましいアリール基は、例えば、フェニル、ビフェニル、トリフェニル、ナフチル、アントラセン、ビナフチル、フェナントレン、ジヒドロフェナントレン、ピレン、ジヒドロピレン、クリセン、ペリレン、テトラセン、ベンゾピレン、フルオレンおよびインデンである。
【0062】
「5〜14員ヘテロアリール」は、1以上の炭素原子が、N、OまたはSにより置きかえられた芳香族基という意味に解釈する。これらの例には、以下が含まれる:ピロール、ピラゾール、イミダゾール、1,2,3−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール、テトラゾール、フラン、チオフェン、セレノフェン、オキサゾール、イソオキサゾール、1,2−チアゾール、1,3−チアゾール、1,2,3−オキサジアゾール、1,2,4−オキサジアゾール、1,2,5−オキサジアゾール、1,3,4−オキサジアゾール、1,2,3−チアジアゾール、1,2,4−チアジアゾール、1,2,5−チアジアゾール、1,3,4−チアジアゾールなどの5員環、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、1,3,5−トリアジン、1,2,4−トリアジン、1,2,3−トリアジン、1,2,4,5−テトラジン、1,2,3,4−テトラジン、1,2,3,5−テトラジンなどの6員環、またはインドール、イソインドール、インドリジン、インダゾール、ベンズイミダゾール、ベンゾトリアゾール、プリン、ナフタイミダゾール、フェナントロイミダゾール、ピリジイミダゾール、ピラジンイミダゾール、キノキサリンイミダゾール、ベンゾキサゾール、ナフトキサゾール、アントロオキサゾール、フェナントロオキサゾール、イソキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾフラン、イソベンゾフラン、ジベンゾフラン、キノリン、イソキノリン、プテリジン、ベンゾ−5,6−キノリン、ベンゾ−6,7−キノリン、ベンゾ−7,8−キノリン、ベンゾイソキノリン、アクリジン、フェノチアジン、フェノキサジン、ベンゾピリダジン、ベンゾピリミジン、キノキサリン、フェナジン、ナフチリジン、アザカルバゾール、ベンゾカルボリン、フェナントリジン、フェナントロリン、チエノ[2,3b]チオフェン、チエノ[3,2b]チオフェン、ジチエノチオフェン、イソベンゾチオフェン、ジベンゾチオフェン、ベンゾチアジアゾチオフェンなどの縮合基、あるいはこれらの基の組み合わせである。ヘテロアリール基はまた、アルキル、アルコキシ、チオアルキル、フッ素、フルオロアルキル、またはさらなるアリールもしくはヘテロアリール基により置換されていてもよい。
【0063】
式(I)の配位子単位のさらなる可能な置換基は、好ましくは、シリル、スルホ、スルホニル、ホルミル、アミン、イミン、ニトリル、メルカプト、ニトロ、ハロゲン、ヒドロキシル、またはこれらの基の組み合わせからなる群から選択される。好ましい置換基は、例えば、アルキルもしくはアルコキシなどの溶解促進基、フッ素、ニトロもしくはニトリルなどの電子吸引基、またはポリマーのガラス転移温度(Tg)を上昇させるための置換基である。特に好ましい置換基は、例えば、F、Cl、Br、I、−CN、−NO2、−NCO、−NCS、−OCN、−SCN、−C(=O)N(R)2、−C(=O)R、−C(=O)Rおよび−N(R)2(式中、Rは水素、アルキルもしくはアリール、任意に置換されたシリル、4〜40個、好ましくは6〜20個のC原子を有するアリール、および1〜22個のC原子を有する直鎖もしくは分枝のアルキル、アルコキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシまたはアルコキシカルボニルオキシ(1以上のH原子は、任意にFもしくはClにより置きかえられていてもよい)である)である。
【0064】
式(I)の配位子単位のフェニル環またはピリジル環上の2個の隣接する炭素原子が、−CH=CH−CH=CH−基を介して架橋していること、フェニル環の場合にはナフチル単位が形成し、ピリジル環の場合にはアザナフチル単位が形成することがさらに好ましい。これらは、同様にさらなる−CH=CH−CH=CH−基を介して、2個の隣接する炭素原子を介する架橋を有することができる。さらに好ましい態様では、5位および8位の炭素原子が、−CH=CH−CH=CH−基を介して架橋している。
【0065】
式(I)の配位子の好ましい例は、以下の化合物(I−1)〜(I−8)である。
【化2】

【0066】
化合物(I−1)および(I−3)が、本発明の意味において極めて好ましい。
【0067】
有機配位化合物の金属中心は、好ましくは、酸化状態0の金属原子である。
【0068】
好ましい態様においては、金属中心は、PtまたはIrである。金属中心がPtである場合、これは好ましくは配位数4を有する。金属中心がIrの場合、配位数は、好ましくは6である。
【0069】
上述のように、Ptが式(I)の2個の配位子単位により配位され、Irが式(I)の3個の配位子単位により配位されることがさらに好ましい。
【0070】
化合物M1およびM2は、好ましくはフッ素ラジカルを有する。フッ素ラジカルは、好ましくは、スペーサーを介してM1およびM2に結合している。適切なスペーサーは、例えば、好ましくは3〜9個のC原子を有するアルキル基、アリール基、およびヘテロアリール基である。
【0071】
本発明の意味において、化合物M1およびM2のフッ素ラジカルは、好ましくは一般式Cxyz(ここで、x≧0、y≧0およびz≧1であり、隣接していてもよい1以上のCH2基は、O、S、Se、Te、Si(R12、Ge(R12、NR1、PR1、CO、P(R1)Oにより置きかえられていてもいなくてもよく、ここでR1は、出現する毎に同一または異なり、直鎖もしくは分枝もしくは環状のアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、アリールアルケニル、アリールアルキニル、ヘテロアリールまたはヘテロアルキル基であり、さらに、非芳香族成分の1以上の非隣接C原子は、O、S、COO、OCOにより置きかえられていてもよく、ただし、2個のラジカルR1は、互いに環系を形成していてもよい)を有する。好ましい基は、例えば、F、CF3、C25、CF3(CH2aS、CF3CF2Sまたは(CF3-(CH2a2N(ここで、aは好ましくは0〜5の整数を表す)が含まれる。
【0072】
本発明の意味における好ましいフッ素ラジカルは、3〜30個のC原子、特に好ましくは4〜20個のC原子、極めて特に好ましくは5〜15個のC原子を有するペルフルオロアルキル基である。
【0073】
さらに好ましいフッ素ラジカルは、C37、C49、C511、C613、C715、C817、C919、C1021、C1123、C1225、C1327、C1429、C1531、C1633、C1735、C1837、C1939、C2041、C2143、C2245、C2347、C2449、C2551、C2653、C2755、C2857、C2959、C3061、特に好ましくはC49、C511、C613、C715、C817、C919、C1021、C1123、C1225、C1327、C1429、C1531、C1633、C1735、C1837、C1939、C2041、極めて特に好ましくはC511、C613、C715、C817、C919、C1021、C1123、C1225、C1327、C1429、C1531基から選択される無分枝のペルフルオロアルキル基である。
【0074】
本発明の意味におけるさらに好ましいフッ素ラジカルは、無分枝のペルフルオロアルキル基C49、C511、C613、C715、C817、C919、C1021、特にC613、C715、C817、C919、極めて特にC817である。
【0075】
本発明の目的のため、フッ素ラジカルの全てまたはいくつかは、互いに相互作用することができる。フッ素ラジカルの「いくつか」とは、ここでは、M1およびM2のフッ素ラジカルの約1〜<100%、好ましくは5〜90%、特に好ましくは10〜80%が相互作用することを意味する。互いに相互作用させるために、ここでのフッ素原子の間隔は、例えば、ほぼファンデルワールス半径に相当し得る。少なくともフッ素原子の互いの間隔は、水素結合の場合の相互作用に匹敵して、誘引性のF−F相互作用が起こるようなものである。
【0076】
有機ホスト化合物は、モノマー、ダイマー、オリゴマー、デンドリマーまたはポリマーであり得る。オリゴマーまたはポリマーの場合、M1またはM2のいずれかは、例えば、本発明の有利な態様によるオリゴマーまたはポリマーの主鎖内に結合している。したがって、2種の発光物質もしくは色素M1または2種の発光物質もしくは色素M2は、蛍光消失が引き起こされるほど近くならないことが保証され得る。
【0077】
本発明にかかる組成物およびデバイスは、本発明においては、さらなる物質を含むことができる。これらは、好ましくは有機機能性物質である。本発明の意味における有機機能性物質は、特に、有機導電体、有機半導体、有機色素、有機蛍光化合物、有機リン光化合物、有機光吸収化合物、有機光増感剤および他の有機光活性化合物である。本発明の意味における有機機能性物質はまた、金属が遷移金属、希土類、ランタノイドおよびアクチノイドの群から選択される有機金属錯体であり得る。
【0078】
前記有機機能性物質は、小分子、ポリマー、オリゴマー、デンドリマーおよびブレンドの群から選択され得る。
【0079】
小分子の群からの特に好ましい有機機能性物質は、正孔注入物質(HIM)、正孔輸送物質(HTM)、正孔ブロック物質(HBM)、電子注入物質(EIM)、電子輸送物質(ETM)、電子ブロック物質(EBM)、励起子ブロック物質(ExBM)、ホスト物質、発光物質、金属錯体および色素の群から選択される。
【0080】
本発明の意味における有機機能性物質はしばしば、フロンティア軌道HOMO(最高被占軌道;伝導帯とも呼ばれる)ならびにLUMO(最低空軌道;価電子帯とも呼ばれる)によって、およびバンドギャップ、すなわち、HOMOとLUMOとの間のエネルギー差の値によって説明される。このエネルギーは、CV(サイクリックボルタンメトリー)、XPS(X線光電子分光法)またはUPS(紫外光電子分光法)を用いて実験的に測定することができる。これらの値はまた、量子化学的方法を用いて、例えば、時間依存密度汎関数理論(DFT)を用いて計算することもできる。
【0081】
本発明の意味におけるHIMは、正孔、すなわち正電荷を、アノードから有機層にまたはアノードの中に注入することを可能にする物質という意味に解釈する。HIMは、典型的には、アノードの電子仕事関数に匹敵するまたはそれより高い、すなわち約−5.3eV以上のHOMOレベルを有する。
【0082】
使用されるHIMは、HIMとして当業者に知られている任意の物質とすることができる。本発明の意味における好ましいHIMは、アミン、トリアリールアミン、チオフェン、カルバゾール、フタロシアニン、ポルフィリンおよびこれらの誘導体の群から選択される。
【0083】
本発明の意味におけるHTMは、例えば、HIMまたはアノードにより注入された正孔、すなわち正電荷を輸送する物質という意味に解釈する。HTMは、典型的には−5.4eVを超えるHOMOレベルを有する。多くの場合、HTMはまた、HIMとしても作用し、それはまた隣接する層にも依存する。使用されるHTMは、HTMとして当業者に知られている任意の物質とすることができる。本発明の意味における好ましいHTMは、アミン、トリアリールアミン、チオフェン、カルバゾール、フタロシアニン、ポルフィリンおよびこれらの誘導体の群から選択される。
【0084】
本発明の意味におけるHBMは、発光層に直接近接して位置し、正孔の通過を防ぐ物質という意味に解釈する。HBMは、典型的には、隣接する層のHTMのHOMOレベルと比べて低いHOMOレベルを有する。HBMはしばしば、発光層と電子輸送層との間に導入される。
【0085】
使用されるHBMは、HBMとして当業者に知られている任意の物質とすることができる。本発明の意味における好ましいHBMは、例えば、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(4−フェニルフェノラト)アルミニウム(III)(BAIQ)、fac−トリス(1−フェニルピラゾラト−N,C2)イリジウム(III)(Ir(ppz)3)(US2003/0175553A1)などの金属錯体(US2003/0068528)の群から選択される。同様に、例えばBCPなどのフェナントロリン誘導体、または例えばTMPPなどのフタルイミドを、本目的のために使用することができる。さらに適したHBMは、WO00/70655A2、WO01/41512およびWO01/93642A1に記載されている。
【0086】
本発明の意味におけるEIMは、電子をカソードから有機層に注入することを可能にする物質という意味に解釈する。EIMは、典型的には、カソードの電子仕事関数に匹敵するまたはそれより低い、すなわち約−2.6eV以下のLUMOレベルを有する。
【0087】
使用するEIMは、EIMとして当業者に知られている任意の物質とすることができる。本発明の意味における好ましいEIMは、8−ヒドロキシキノリン、ヘテロ環有機化合物、フルオレノン、フルオレニリデンメタン、ペリレンテトラカルボン酸、アントラキノンジメタン、ジフェノキノン、アントロン、アントラキノンジエチレンジアミンおよびこれらの誘導体の金属錯体の群から選択される。
【0088】
本発明の意味におけるETMは、EIMまたはカソードにより注入される電子を輸送する物質という意味に解釈する。ETMは、典型的には−2.7eV未満であるLUMOレベルを有する。多くの場合、ETMはまた、EIMとしても作用し、それはまた隣接する層にも依存する。
【0089】
使用されるETMは、ETMとして当業者に知られている任意の物質とすることができる。本発明の意味における好ましいETMは、イミダゾール、ピリジン、ピリミジン、ピリダジン、ピラジン、オキサジアゾール、キノリン、キノキサリン、アントラセン、ベンズアントラセン、ピレン、ペリレン、ベンズイミダゾール、トリアジン、ケトン、ホスフィンオキシド、フェナジン、フェナントロリン、トリアリールボランおよびこれらの誘導体の群から選択される。
【0090】
本発明の意味におけるEBMは、電子の輸送を抑制し、典型的にはETMよりも高いLUMOレベルを有する物質という意味に解釈する。EBMを含有する層は、通常は、発光層の直上に、ETMを含有する層が存在する場合には、発光層とETMを含有する層との間に見出される。
【0091】
使用されるEBMは、EBMとして当業者に知られている任意の物質とすることができる。本発明の意味における好ましいEBMは、アミン、トリアリールアミンおよび例えば、Ir(ppz)3(US2003/0175553)などの遷移金属錯体の群から選択される。
【0092】
本発明の意味におけるExBMは、ExBMを含有する層を励起子が貫通するのを防ぐ物質という意味に解釈する。ExBMを含有する層は、通常、発光層の直上に見出される。ExBMは、典型的には、発光層または隣接する層の準位よりも高い三重項準位または一重項準位を有する。
【0093】
使用されるExBMは、ExBMとして当業者に知られている任意の物質とすることができる。本発明の意味における好ましいExBMは、例えばMTDATAもしくは4,4’,4’’−トリス(N,N−ジフェニルアミノ)−トリフェニルアミン(TDATA)などの置換トリアリールアミン(US2007/0134514A1)、例えばTCTAなどのN置換カルバゾール、BCPなどのヘテロ環化合物、および例えばIr(ppz)3もしくはAlq3などの金属錯体の群から選択される。
【0094】
本発明の意味におけるホスト物質は、通常、発光物質と組み合わせて使用され、典型的には発光物質よりも大きいHOMOとLUMOとの間のより大きなバンドギャップを有する物質である。
【0095】
ホスト物質は、さらに、電子輸送物質または正孔輸送物質のいずれかのように挙動する。他のホスト物質は、電子輸送特性と正孔輸送特性との両方を示す。蛍光発光物質およびリン光発光物質に異なるホスト物質が使用される。蛍光発光物質の場合、発光物質の吸収スペクトルとホスト物質のフォトルミネセンススペクトルとの間の最大の重なりが望ましい。ホスト物質は、特にホスト物質がリン光発光物質と組み合わせて使用される場合に、しばしば、マトリックス物質または略してマトリックスとも呼ばれる。発光物質を含むコポリマーの場合、重合体主鎖がホスト物質として機能する。
【0096】
使用されるホスト物質は、ホスト物質として当業者に知られている任意の物質とすることができる。本発明の意味における好ましいホスト物質は、上に詳細に説明している。
【0097】
本発明の意味における適切なホスト化合物は、好ましくは、アントラセン、ビナフチルアントラセン、フェナントレン、インデノフルオレン、フルオレン、ピレン、アミン、チオフェン、イミダゾール、フェニレン、ビフェニレン、ナフタレン、ジヒドロフェナントレン、スピロビフルオレン、フェニレン−ビニレン、カルバゾール、ピレン、ペリレン、9,10−ジヒドロフェナントレン、例えばチエノ[2,3b]チオフェンもしくはチエノ[3,2b]チオフェンなどの縮合チオフェン、ジチエノチオフェン、ジベンゾチオフェン、フェナントロリン、トランス−インデノフルオレン、シス−インデノフルオレン、ジベンゾインデノフルオレン、インデノナフタレン、トリアリールアミン、ビナフチル、ベンゼンフルオレン、ベンズアントレン、ケトン基を含む分子単位、またはこれらの誘導体および混合物からなる群から選択される。
【0098】
この目的のための蛍光ドーパントに適したホスト物質は、種々のクラスの物質からの物質である。好ましいホスト物質は、オリゴアリーレン(例えば、EP676461による2,2’,7,7’−テトラフェニルスピロビフルオレンまたはジナフチルアントラセン)、特に、例えば、アントラセン、ベンズアントラセン、ベンゾフェナントレン(DE102009005746.3、WO09/069566)、フェナントレン、テトラセン、コロネン、クリセン、フルオレン、スピロフルオレン、ペリレン、フタロペリレン、ナフタロペリレン、デカシクレン、ルブレンなどの縮合芳香族基を含むオリゴアリーレン、オリゴアリーレンビニレン(例えば、EP676461によるDPVBi=4,4’−ビス(2,2−ジフェニルエテニル)−1,1’−ビフェニル)もしくはスピロ−DPVBi)、多足性(polypodal)金属錯体(例えば、WO2004/081017による)、特に8−ヒドロキシキノリンの金属錯体、例えばAlQ3(=アルミニウム(III)トリス(8−ヒドロキシキノリン))またはビス(2−メチル−8−キノリノラト)−4−(フェニルフェノリノラト)アルミニウム、またイミダゾールキレート(US2007/0092753A1)、およびキノリン−金属錯体、アミノキノリン−金属錯体、ベンゾキノリン−金属錯体、正孔輸送化合物(例えば、WO2004/058911による)、電子輸送化合物、特にケトン、ホスフィンオキシド、スルホキシド等(例えば、WO2005/084081およびWO2005/084082による)、アトロプ異性体(例えば、WO2006/048268による)、ボロン酸誘導体(例えば、WO2006/117052による)またはベンズアントラセン(例えば、WO2008/145239による)のクラスから選択される。
【0099】
特に好ましいホスト物質は、アントラセン、ベンズアントラセンおよび/またはピレンを含むオリゴアリーレン、またはこれらの化合物のアトロプ異性体のクラスから選択される。本発明の意味におけるオリゴアリーレンは、少なくとも3個のアリール基またはアリーレン基が互いに結合している化合物という意味に解釈するものとする。
【0100】
好ましいホスト物質は、特に、式(1)の化合物から選択され、
Ar4−(Ar5p−Ar6 式1
ここで、
Ar4、Ar5、Ar6は、出現する毎に同一または異なり、5〜30個の芳香族環原子を有するアリールまたはヘテロアリール基であり、これは1以上のラジカルにより置換されていてもよく、
pは1、2または3であり、および
Ar4、Ar5およびAr6のπ電子の合計は、p=1である場合には少なくとも30であり、p=2である場合には少なくとも36であり、p=3である場合には少なくとも42であるべきである。
【0101】
式(1)のホスト物質において、Ar5基は、特に好ましくは、アントラセンを表し、これは1以上のラジカルR1により置換されていてもよく、Ar4およびAr6基は、9位および10位で結合している。Ar4および/またはAr6基の少なくとも1つは、極めて特に好ましくは、1−もしくは2−ナフチル、2−、3−もしくは9−フェナントレニルまたは2−、3−、4−、5−、6−もしくは7−ベンズアントラセニルから選択される縮合アリール基であり、その各々は1以上のラジカルR1により置換されていてもよい。例えば、2−(4−メチルフェニル)−9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン、9−(2−ナフチル)−10−(1,1’−ビフェニル)アントラセン、および9,10−ビス[4−(2,2−ジフェニルエテニル)フェニル]アントラセン、9,10−ジフェニルアントラセン、9,10−ビス(フェニルエチニル)アントラセンおよび1,4−ビス(9’−エチニルアントラセニル)ベンゼンなどのアントラセンベースの化合物は、US2007/0092753A1およびUS2007/0252517A1に記載されている。2個のアントラセン単位を有する化合物(US2008/0193796A1)、例えば10,10’−ビス[1,1’,4’,1’’]テルフェニル−2−イル−9,9’−ビスアントラセニルもまた好ましい。
【0102】
さらに好ましい化合物は、アリールアミン、スチリルアミン、フルオレセイン、ジフェニルブタジエン、テトラフェニルブタジエン、シクロペンタジエン、テトラフェニルシクロペンタジエン、ペンタフェニルシクロペンタジエン、クマリン、オキサジアゾール、ビスベンゾオキサゾリン、オキサゾール、ピリジン、ピラジン、イミン、ベンゾチアゾール、ベンゾオキサゾール、ベンズイミダゾール(US2007/0092753A1)、例えば、2,2’,2’’−(1,3,5−フェニレン)トリス[1−フェニル−1H−ベンズイミダゾール]、アルダジン、スチルベンの誘導体、スチリルアリーレン誘導体、例えば、9,10−ビス[4−(2,2−ジフェニルエテニル)フェニル]アントラセンおよびジスチリルアリーレン誘導体(US5121029)、ジフェニルエチレン、ビニルアントラセン、ジアミノカルバゾール、ピラン、チオピラン、ジケトピロロピロール、ポリメチン、桂皮酸エステルおよび蛍光色素である。
【0103】
アリールアミンおよびスチリルアミンの誘導体、例えば、TNB(=4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−(2−ナフチル)アミノ]ビフェニル)が特に好ましい。LiqまたはAlq3などの金属オキシノイド錯体を、共通ホスト(co−host)として使用することができる。
【0104】
マトリックスとしてのオリゴアリーレンとの好ましい化合物は、US2003/0027016A1、US7326371B2、US2006/043858A、US7326371B2、US2003/0027016A1、WO2007/114358、WO2008/145239、JP3148176B2、EP1009044、US2004/018383、WO2005/061656A1、EP0681019B1、WO2004/013073A1、US5077142、WO2007/065678およびUS2007/0205412A1に公開されてきた。その特に好ましい化合物は、式2〜8の化合物である。
【化3】

【0105】
リン光発光物質のためのさらに好ましいホスト物質は、例えば、EP0676461に公開されているスピロ−DPVBiなどのスピロビフルオレンならびにその誘導体、およびUS6562485に公開されているインデノフルオレンである。
【0106】
リン光発光物質のための好ましいマトリックス物質は、CBP(N,N−ビス−カルバゾリルビフェニル)、カルバゾール誘導体(例えば、WO2005/039246、US2005/0069729、JP2004/288381、EP1205527もしくはWO2008/086851による)、アザカルバゾール(例えば、EP1617710、EP1617711、EP1731584、JP2005/347160による)、ケトン(例えば、WO04/093207によるもしくはDE102008033943.1による)、ホスフィンオキシド、スルホキシドおよびスルホン(例えば、WO2005/003253による)、オリゴフェニレン、芳香族アミン(例えば、US2005/0069729による)、双極性マトリックス物質(例えば、WO2007/137725による)、シラン(例えば、WO2005/111172による)、9,9−ジアリールフルオレン誘導体(例えば、DE102008017591による)、アザボロールまたはボロン酸エステル(例えば、WO2006/117052による)、トリアジン誘導体(例えば、DE102008036982による)、インドロカルバゾール誘導体(例えば、WO2007/063754もしくはWO2008/056746による)、インデノカルバゾール誘導体(例えば、DE102009023155.2およびDE102009031021.5による)、ジアザホスホール誘導体(例えば、未公開出願DE102009022858.6による)、トリアゾール誘導体、オキサゾールおよびオキサゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾロン誘導体、ジスチリルピラジン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、フェニレンジアミン誘導体、第三級芳香族アミン、スチリルアミン、アミノ置換カルコン誘導体、インドール、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、芳香族ジメチリデン化合物、カルボジイミド誘導体、例えばAlQ3などの8−ヒドロキシキノリン誘導体の金属錯体(8−ヒドロキシキノリン錯体はまたトリアリールアミノフェノール配位子を含んでもよい(US2007/0134514A1))、金属錯体−ポリシラン化合物、ならびにチオフェン、ベンゾチオフェンおよびジベンゾチオフェン誘導体である。
【0107】
例えば、本来のまたはBczVBi(=4,4’−(ビス(9−エチル−3−カルバゾビニレン)−1,1’−ビフェニル)をドープしたCBPなどの、純粋な物質またはドープした物質として、物質を使用することができる。
【0108】
上述のマトリックス物質の2種以上の混合物、特に、電子輸送物質と正孔輸送物質との混合物を使用することがさらに好ましい。
【0109】
リン光発光物質のための特に好ましいマトリックス物質は、例えば、DE102009023155.2、EP0906947、EP0908787、EP906948、WO2008/056746A1、WO2007/063754A1、WO2008/146839A1およびWO2008/149691A1に開示されているような、インドロカルバゾールおよびその誘導体(例えば、式9〜16の化合物)の群から選択される。
【化4−1】

【化4−2】

【0110】
好ましいカルバゾール誘導体の例は、mCP(=1,3−N,N−ジカルバゾール−ベンゼン(=9,9’−(1,3−フェニレン)ビス−9H−カルバゾール))、CDBP(=9,9’−(2,2’−ジメチル[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジイル)ビス−9H−カルバゾール)、1,3−ビス(N,N’−ジカルバゾール)ベンゼン(=1,3−ビス(カルバゾール−9−イル)ベンゼン)、PVK(ポリビニルカルバゾール)、3,5−ジ(9H−カルバゾール−9−イル)ビフェニルおよび以下に示す化合物である。
【0111】
好ましいカルバゾール誘導体の例は、1,3−N,N−ジカルバゾール−ベンゼン(=9,9’−(1,3−フェニレン)ビス−9H−カルバゾール))(mCP)、9,9’−(2,2’−ジメチル[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジイル)ビス−9H−カルバゾール(CDBP)、1,3−ビス(N,N’−ジカルバゾール)ベンゼン(=1,3−ビス(カルバゾール−9−イル)ベンゼン)、PVK(ポリビニルカルバゾール)、3,5−ジ(9H−カルバゾール−9−イル)ビフェニル(式17〜21の化合物を参照されたい)である。
【化5−1】

【化5−2】

【0112】
好ましいSi−テトラアリール化合物は、例えば、(US2004/0209115、US2004/0209116)(US2004/0209115、US2004/0209116、US2007/0087219A1、US2007/0087219A1)、式22〜29の化合物である。
【化6−1】

【化6−2】

【0113】
本発明の意味におけるさらに好ましいマトリックス物質は、式30の化合物(DE102009022858.6)である。
【化7】

【0114】
さらに好ましいマトリックス物質は、式31の化合物(EP652273B1)である。
【化8】

【0115】
さらに好ましいマトリックス物質は、式32の化合物の群(EP1923448B1)から選択される。
【0116】
[M(L)2]n 式32
ここで、MおよびLは、示される参考文献中に定義されるとおりである。金属MがZnに相当し、配位子Lが8−ヒドロキシキノリナートに相当し、nが2、3または4に相当するものが特に好ましい。[Znq22、[Znq23および[Znq24が特に好ましい。
【0117】
本発明の意味における発光物質は、任意の種類のエネルギー移動によって、または電子的もしくは光学的過程による励起子の形成によって、他の物質からの励起子エネルギーの取り込みにより引き起こされて発光する物質である。既に述べたように、発光物質は、蛍光発光物質およびリン光発光物質の2つのグループに分けられる。本発明の意味におけるドーパントという用語は、発光物質という意味に解釈する。
【0118】
使用される発光物質は、発光物質として当業者に知られている任意の物質とすることができる。本発明の意味における好ましい発光物質は、本発明中の他で説明されている。本発明の意味におけるさらに好ましい発光物質は、本発明中の他で説明されている。
【0119】
好ましい蛍光ドーパントは、モノスチリルアミン、ジスチリルアミン、トリスチリルアミン、テトラスチリルアミン、スチリルホスフィン、スチリルエーテルおよびアリールアミンのクラスから選択される。
【0120】
モノスチリルアミンは、1個の置換もしくは無置換スチリル基と、少なくとも1個の好ましくは芳香族のアミンとを含む化合物という意味に解釈する。ジスチリルアミンは、2個の置換もしくは無置換スチリル基と、少なくとも1個の好ましくは芳香族のアミンとを含む化合物という意味に解釈する。トリスチリルアミンは、3個の置換もしくは無置換スチリル基と、少なくとも1個の好ましくは芳香族のアミンとを含む化合物という意味に解釈する。テトラスチリルアミンは、4個の置換もしくは無置換スチリル基と、少なくとも1個の好ましくは芳香族のアミンとを含む化合物という意味に解釈する。スチリル基は特に好ましくはスチルベンであり、これはさらに置換されていてもよい。対応するホスフィンおよびエーテルもアミンと同様に定義される。本発明の意味におけるアリールアミンまたは芳香族アミンは、窒素に直接結合した3個の置換もしくは無置換の芳香族環系またはヘテロ芳香族環系を含む化合物という意味に解釈する。これらの芳香族環系またはヘテロ芳香族環系の少なくとも1個は、好ましくは縮合環系であり、好ましくは少なくとも14個の芳香族環原子を有する縮合環系である。その好ましい例は、芳香族アントラセンアミン、芳香族アントラセンジアミン、芳香族ピレンアミン、芳香族ピレンジアミン、芳香族クリセンアミンまたは芳香族クリセンジアミンである。芳香族アントラセンアミンは、1個のジアリールアミノ基が、好ましくは9位でアントラセン基に直接結合している化合物という意味に解釈する。芳香族アントラセンジアミンは、2個のジアリールアミノ基が、好ましくは2,6または9,10位でアントラセン基に直接結合している化合物という意味に解釈する。芳香族ピレンアミン、ピレンジアミン、クリセンアミンおよびクリセンジアミンは、これらと同様に定義され、ここでジアリールアミノ基は、好ましくは1位または1,6位でピレンに結合している。
【0121】
リン光発光物質の例は、出願WO00/70655、WO01/41512、WO02/02714、WO02/15645、EP1191613、EP1191612、EP1191614およびWO2005/033244により明らかにされている。一般に、リン光OLEDについて従来技術に従って使用される、および有機エレクトロルミネセンスの分野の当業者に既知の全てのリン光錯体が適しており、当業者は、進歩性のないさらなるリン光錯体を使用することができるだろう。
【0122】
リン光金属錯体は、好ましくはIr、Ru、Pd、Pt、OsまたはReを含む。
【0123】
本発明の意味における色素は、光を吸収し、それによって有色に見える物質という意味に解釈する。本発明の意味における色素は、このように吸収されたエネルギーを、任意の形で(例えば、光として、または別の変換されたエネルギーの形で)他の物質に渡す。本発明の意味における色素は、特に、外部電界の作用によりまたはよらずに、光を吸収して遊離電荷キャリアを生じることができる全ての化合物である。
【0124】
使用される色素は、本発明の意味における色素として当業者に知られている任意の物質とすることができる。好ましい色素は、本発明中の他で説明されるものである。本発明の目的のために、縮合環系を有する有機化合物の群からの色素が特に好ましい。ここでは、アントラセン、ナフタレン、ペンタセン、テトラセンおよびこれらの誘導体の群から選択される色素が極めて特に好ましい。
【0125】
オリゴマーまたはポリマーの場合、これらの群は、直鎖、分枝または樹枝状とすることができる。一般に、重合体ホスト物質は、少なくとも1個のポリマー主鎖反復単位と、本発明中の他で説明されるホストもしくはマトリックス物質を含む少なくとも1個の反復単位とからなる。
【0126】
好ましいポリマー主鎖反復単位は、6〜40個のC原子を有する芳香族またはヘテロ芳香族単位を含む。その例は、例えば、US5962631、WO2006/052457A2およびWO2006/118345A1に開示されている4,5−ジヒドロピレンの誘導体、4,5,9,10−テトラヒドロピレンの誘導体、フルオレンの誘導体、9,9’−スピロビフルオレンの誘導体(例えば、WO2003/020790A1)、9,10−フェナントレンの誘導体(例えば、WO2005/104264A1)、9,10−ジヒドロフェナントレンの誘導体(例えば、WO2005/014689A2)、5,7−ジヒドロジベンゾオキセピンの誘導体およびシス−ならびにトランス−インデノフルオレンの誘導体(例えば、WO2004041901A1、WO2004113412A2)、およびビナフチレンの誘導体(例えば、WO2006/063852A1)、および例えば、WO2005/056633A1、EP1344788A1、WO2007/043495A1、WO2005/033174A1、WO2003/099901A1およびDE102006003710.3に記載のさらなる反復単位である。
【0127】
ポリマー主鎖反復単位として適切なさらに好ましい化合物は、フルオレン誘導体(例えば、US5,962,631、WO2006/052457A2およびWO2006/118345A1)、スピロビフルオレン誘導体(例えば、WO2003/020790A1)、ベンゾフルオレン、ジベンゾフルオレン、ベンゾチオフェン、ジベンゾフルオレンおよびこれらの誘導体(例えば、WO2005/056633A1、EP1344788A1およびWO2007/043495A1)からなる群から選択することができる。
【0128】
特に好ましいポリマー主鎖反復単位は、式33の化合物である
【化9】

【0129】
ここで、
A、BおよびB’は、互いに独立に、複数回存在する場合でも同様に互いに独立に、好ましくは、−CR12−、NR1−、−PR1−、−O−、−S−、−SO−、−SO2−、−CO−、−CS−、−CSe−、−P(=O)R1−、−P(=S)R1−および−SiR12−から選択される二価の基であり、
1およびR2は、互いに独立に、同一のまたは異なる基であり、これはH、ハロゲン、−CN、−NC、−NCO、−NCS、−OCN、−SCN、−C(=O)NR000、−C(=O)X、−C(=O)R0、−NH2、−NR000、−SH、−SR0、−SO3H、−SO20、−OH、−NO2、−CF3、−SF5、任意に置換されたシリル基、または1〜40個のC原子を有するカルビルもしくはヒドロカルビルからなる群から選択することができ、これらは任意に置換されており、任意に1以上のヘテロ原子を含み、R1およびR2基は、それらが結合しているフルオレン単位とともにスピロ基を任意に形成していてもよく、
Xはハロゲンであり、
0およびR00は、互いに独立に、Hまたは全く任意に置換されたカルビルもしくはヒドロカルビルラジカルであり、これは任意に1以上のヘテロ原子を含み、
各gは、他とは独立に0または1とすることができ、その場合、同一のサブ単位中における各対応するhは、0および1のそれぞれ他方であり、
mは、1より大きいまたはこれと等しい整数であり、
Ar1およびAr2は、互いに独立に、単核もしくは多核のアリールまたはヘテロアリール基であり、これは、インデノフルオレン基の7,8位または8,9位において、任意に置換されている、または任意に縮合されており、
aおよびbは、互いに独立に、0または1である。
【0130】
1およびR2基が、結合しているフルオレン単位とともにスピロ基を形成する場合、これらは好ましくはスピロビフルオレンを形成する。
【0131】
本発明のさらに好ましい主題は、ホスト物質と非共役のまたは部分的にのみ共役したポリマーとの重縮合である。
【0132】
本発明の意味における特に好ましい非共役または部分的にのみ共役したポリマーは、非共役反復単位を含む。
【0133】
極めて特に好ましい非共役反復単位は、インデノフルオレンおよびその誘導体(例えば、DE102009023156.0)の群から選択することができる
【化10−1】

【化10−2】

【0134】
ここで、XおよびYは、互いに独立に、H、F、C1〜40−アルキル基、C2〜40−アルケニル基、C2〜40−アルキニル基、任意に置換されたC6〜40−アリール基、および任意に置換された5〜25員ヘテロアリール基からなる群から選択される。
【0135】
さらに好ましい非共役主鎖反復単位は、フルオレン、フェナントレン、デヒドロフェナントレン、インデノフルオレンおよびこれらの誘導体(例えば、DE102009023154.4)である
【化11−1】

【化11−2】

【0136】
ここで、R1〜R4は、上で定義したX基およびY基と同じ意味を有する。
【0137】
本発明のさらに好ましい態様では、重合体ホスト物質は、少なくとも1個の上述したホスト基と、少なくとも1個の電荷輸送基とをポリマーの側鎖に含む非共役ポリマーである。側鎖に官能基を含む非共役ポリマーおよびその合成の例は、例えば、US7250226B2、JP2007/211243A2、JP2007/197574A2、US7250226B2、JP2007/059939Aに記載されている。
【0138】
任意に側鎖にさらなる電荷輸送基を含む一重項発光物質のためのホストとしての非共役ポリマーおよびその合成の例は、例えば、JP2005/108556、JP2005/285661およびJP2003/338375に記載されている。
【0139】
さらに、ホスト化合物は、以下のグループ1〜4から選択されるさらなる構造単位を含むことができる。これらは、特に、WO02/077060A1およびWO2005/014689A2に開示されており、広く列挙されている。これらは、参照として本発明の一部とみなされる。さらなる構造要素は、例えば、以下のクラスから生じ得る。
【0140】
グループ1:ポリマーの正孔注入および/または正孔輸送特性を高める単位;
グループ2:ポリマーの電子注入および/または電子輸送特性を高める単位;
グループ3:結果として生じるポリマーの膜形態学的および/またはレオロジー特性に影響を及ぼす単位;
グループ4:典型的に主鎖として使用される単位;
本発明による好ましいホスト化合物は、少なくとも1個の構造単位が、電荷輸送特性を有する、すなわち、グループ1および/またはグループ2の単位を備えるものである。
【0141】
正孔注入および/または正孔輸送特性を有するグループ1の構造単位は、例えば、トリアリールアミン、ベンジジン、テトラアリール−パラ−フェニレンジアミン、トリアリールホスフィン、フェノチアジン、フェノキサジン、ジヒドロフェナジン、チアントレン、ジベンゾ−パラ−ジオキシン、フェノキサチイン、カルバゾール、アズレン、チオフェン、ピロール、ならびにフラン誘導体、および高位HOMOを有するさらなるO−、S−またはN−含有へテロ環である。これらのアリールアミンおよびヘテロ環は、好ましくは、−5.8eV(真空準位に対して)を超える、特に好ましくは−5.5eVを超える、ホスト化合物のHOMOをもたらす。
【0142】
電子注入および/または電子輸送特性を有するグループ2の構造単位は、例えば、ピリジン、ピリミジン、ピリダジン、ピラジン、オキサジアゾール、キノリン、キノキサリン、アントラセン、ベンズアントラセン、ピレン、ペリレン、ベンズイミダゾール、トリアジン、ケトン、ホスフィンオキシド、およびフェナジン誘導体であるが、トリアリールボランおよび低位LUMOを有するさらなるO−、S−もしくはN−含有へテロ環でもある。ポリマー中のこれらの単位は、好ましくは、−1.5eV(真空準位に対して)未満、特に好ましくは−2.0eV未満のホスト化合物のLUMOをもたらす。
【0143】
本発明によるホスト化合物が、正孔移動度を増加させる構造と電子移動度を増加させる構造(すなわち、グループ1および2の単位)とが互いに直接結合しているグループ3の単位、あるいは正孔移動度と電子移動度との両方を増加させる構造を備えることが好ましいと考えられる。これらの単位のいくつかは、発光物質として働き、発光色を緑色、黄色または赤色に変えることができる。したがって、これらの使用は、例えば、本来青色に発光するポリマーから他の発光色を生成するのに適している。
【0144】
グループ3の構造単位は、例えば、シロキサン、長いアルキル鎖またはフッ素化基などの、ホスト化合物の膜形態学的および/またはレオロジー特性に影響を及ぼすものであるが、例えば、液晶形成単位または架橋性基などの特に硬質なまたは可撓性の単位でもある。
【0145】
グループ4の構造単位は、6〜40個のC原子を有する芳香族構造を含む単位であり、典型的にはポリマー主鎖として使用される。これらは、例えば、4,5−ジヒドロピレン誘導体、4,5,9,10−テトラ−ヒドロピレン誘導体、フルオレン誘導体、9,9’−スピロビフルオレン誘導体、フェナントレン誘導体、9,10−ジヒドロフェナントレン誘導体、5,7−ジヒドロジベンゾオキセピン誘導体、およびシス−ならびにトランス−インデノフルオレン誘導体である。
【0146】
好ましい構造単位とは異なるグループ1〜4から選択される、1以上の単位を含む本発明によるホスト化合物が好ましい。あるグループからの2個以上の構造単位が同時に存在することが、同様に好ましいと考えられる。
【0147】
グループ4の単位、特に好ましくはホスト化合物中の構造単位の総数に基づいて少なくとも50モル%のこれらの単位を含む本発明によるホスト化合物がここでは好ましい。
【0148】
同様に、本発明によるホスト化合物が、電荷輸送または電荷注入を改善する単位、すなわち、グループ1および/または2の単位を含むことが好ましい;0.5〜30モル%の含有量のこれらの単位が特に好ましい;1〜10モル%の含有量のこれらの単位が極めて特に好ましい。
【0149】
本発明によるホスト化合物が、グループ4の構造単位とグループ1および/または2の単位とを、特に、少なくとも50モル%のグループ4の単位と、0.5〜30モル%のグループ1および/または2の単位とを含むことが好ましい。
【0150】
本発明によるホスト化合物がオリゴマーまたはポリマーである場合、これらは、上述の構造単位またはコポリマーのいずれかを含むホモポリマーである。本発明によるオリゴマーまたはポリマーは、直鎖、分枝または架橋したものとすることができる。
【0151】
上述の構造単位を重合させることができるようにするため、これらは好ましくは、カップリング反応、好ましくは金属触媒クロスカップリング反応に利用できる脱離基を有する。脱離基により官能基化される化合物が、重合のベースとなる。したがって、臭素誘導体を、スズキカップリングによりアリールボロン酸もしくはアリールボロン酸誘導体と、またはStille反応により有機スズ化合物と反応させて、対応するオリゴマー、ポリマーまたはデンドリマーを得ることができる。
【0152】
これらの方法は、従来技術から既知である。要するに、スズキカップリングは、例えば、ジフェニル誘導体またはビニル芳香族化合物の形成のためのクロスカップリング反応であり、ここでアリールボロン酸が、好ましくはパラジウムホスフィン錯体の触媒使用により、ハロ芳香族化合物と反応する。芳香族化合物の反応性は、トリフルオロメタンスルホン酸エステルによって臭素からヨウ素まで増加し、その間に、弱反応性クロロ芳香族化合物でさえパラジウムホスフィン触媒を用いて反応することができる。Stilleクロスカップリング反応は、有機ホウ素化合物が有機スズ化合物に置きかえられた状態で同様に進行するが、有機スズ化合物はその毒性が高いためにあまり好まれない。
【0153】
本発明の目的のために、臭素、ヨウ素、ボロン酸、ボロン酸エステル、トシラートまたはトリフラートなどの反応性脱離基により置換された構造単位が特に好ましい。これらはまた、対応する共役、部分的共役もしくは非共役ポリマー、オリゴマーを製造するためのコモノマーとして、またはデンドリマーのコアとしても同様に使用することができる。ここでの重合は、好ましくは、ハロゲン官能性またはボロン酸官能性によって起こる。
【0154】
本発明による組成物は、好ましくは、99〜1重量%、より好ましくは98〜10重量%、さらにより好ましくは97〜60重量%、特に97〜85重量%のホスト化合物を含有する。ここでの発光化合物または吸収化合物のモル比M1:M2は、0.1:1〜1:0.1であり、M1からM2への完全なエネルギー移動が望まれる場合、好ましくは1:2〜2:1、特に好ましくは1:1であり;例えば、広幅発光、特に白色のためなどM1からM2への部分的エネルギー移動のみが望まれる場合、好ましくは1:0.1〜1:0.3、特に好ましくは1:0.1〜1:0.2である。完全なエネルギー移動の場合、組成物は対応して、各場合において発光化合物とホスト化合物との混合物全体に基づいて、1〜99重量%、好ましくは2〜90重量%、特に好ましくは3〜40重量%、特に5〜15重量%の発光化合物M1およびM2を含有する。
【0155】
本発明はさらに、上述の組成物を製造する方法であって、
a)溶媒L1中に発光化合物M1と発光化合物M2とを含む溶液を準備する工程と、
b)溶媒L2中に有機ホスト化合物を含む溶液を準備する工程と、
c)2つの溶液を混合する工程と
を含む方法に関する。
【0156】
溶媒L1とL2とが同一であるか、両者が少なくとも互いに混和性であることがさらに好ましい。2つの溶液の混合に起因して、2つの化合物M1およびM2は、フッ素−フッ素相互作用が起こるほどそのフッ素基が近くなる。したがって、有効なForsterエネルギー移動が保証され得る。
【0157】
本発明はさらに、有機電子デバイスへの上記組成物および/または会合体の使用に関する。ここでは有機光電子デバイスが特に好ましい。
【0158】
本発明はさらに、有機エレクトロルミネッセントデバイスへの上述の組成物の使用に関する。本発明による組成物は、好ましくは、ここではエレクトロルミッセント層の状態である。層は、溶媒の除去により本発明に従って形成される。F−F相互作用により付着している発光物質M1およびM2の移動度の減少により、組成物の膜形成特性が著しく向上する。
【0159】
本発明はさらに、好ましくはカソードと、アノードと、少なくとも1つの有機層とを具備し、前記有機層は本発明にかかる組成物を含有する有機エレクトロルミネッセントデバイスに関する。直前で述べたように、本発明による組成物を含有する有機層は、好ましくは発光層である。さらに、有機エレクトロルミッセントデバイスは、各場合において1以上の正孔注入層、正孔輸送層、正孔ブロック層、電子輸送層、電子注入層、電子ブロック層、電荷発生層および/または有機もしくは無機のP/N接合を生成する層から選択されるさらなる層を含むことができる。エレクトロルミネッセントデバイスは、さらなる発光層をさらに含むことができる。好ましくは、例えば、励起子ブロック機能を有するいわゆる中間層が、2つの発光層の間に導入される。しかしながら、これらの層の各々は、必ずしも存在する必要があるとは限らないことに注目されるべきである。
【0160】
有機エレクトロルミネッセントデバイスが複数の発光層を具備し、ここで少なくとも1つの発光層が本発明による組成物を含有する場合には、これらの複数の層は、好ましくは、全体で、380〜750nmの複数の発光極大を有し、全体として白色発光をもたらす、すなわち、蛍光を発するまたはリン光を発することができる種々の発光化合物が発光層に使用される。3つの層が、青色、緑色、および橙色もしくは赤色の発光を示す三層系が特に好ましく、基本的構造については、例えば、WO05/011013を参照されたい。
【0161】
本発明の目的のために、種々の層を異なる方法で塗布することができる。例えば、本発明によるエレクトロルミッセントデバイスにおける1以上の層を、溶液から塗布することができ、1以上の層は、昇華法により塗布することができ、これにおいては、物質は10-5mbar未満、好ましくは10-6mbar未満、特に好ましくは10-7mbar未満の圧力で真空昇華装置中で蒸着により塗布される。1以上の層を、OVPD(有機気相成長)法を用いて、または10-5mbar〜1barの圧力で物質が塗布されるキャリアガス昇華を用いて塗布することも同様に可能である。この方法の特別なケースは、OVJP(有機気相ジェットプリンティング)法であり、これにおいては物質がノズルを通して直接塗布され、こうして構造化される(例えば、M.S.Arnold他、Appl.Phys.Lett.2008、92、053301)。
【0162】
しかしながら、有機エレクトロルミッセントデバイスにおける1以上の層が、例えば、スピンコーティングにより、または例えば、スクリーン印刷、フレキソ印刷もしくはオフセット印刷などの任意の所望の印刷法を用いて、溶液から塗布されることが特に好ましい。しかし、LITI(光誘起熱画像化、熱転写印刷)またはインクジェット印刷が特に好ましい。これらの方法は、一般的に当業者に知られており、当業者により問題なく有機エレクトロルミネッセントデバイスに適用され得る。
【0163】
本発明にかかるデバイスは、層中に特定の内部構造を示し、これにおいては、分子間会合体および/またはこの会合体を含有する組成物を見出すことができる。そのため、本発明による会合体および/または組成物を用いて、既知のデバイスとは異なる電子、好ましくは光電子、特に好ましくはエレクトロルミネッセントデバイスを製造することができる。
【0164】
そのため、本発明はさらに、本発明による会合体および/または本発明による組成物の使用により得ることができる電子、好ましくは光電子、特に好ましくはエレクトロルミネッセントデバイスに関する。デバイスは通常、カソードとアノード(電極)とを具備する。本発明においては、電極(カソード、アノード)は、最も効率的な電子または正孔注入が可能になることを保証するために、その電位が隣接する有機層の電位に可能な限り一致するように本発明の目的で選択される。
【0165】
カソードは、好ましくは、金属錯体、仕事関数が低い金属、金属合金、または例えば、アルカリ土類金属、アルカリ金属、典型金属もしくはランタノイド(例えば、Ca、Ba、Mg、Al、In、Mg、Yb、Sm等)などの種々の金属を含有する多層構造を有する。多層構造の場合、前記金属に加えて、例えば、Agなどの比較的仕事関数が高いさらなる金属を使用することもでき、この場合、例えば、Ca/AgまたはBa/Agなどの金属の組み合わせが一般的に使用される。比誘電率が高い金属の薄い中間層を、金属カソードと有機半導体との間に導入することも好ましいと考えられる。例えば、アルカリ金属またはアルカリ土類金属フッ化物だけでなく、対応するオキシド(例えば、LiF、Li2O、BaF2、MgO、NaF等)もこの目的に適している。この層の厚さは、好ましくは1〜10nm、より好ましくは2〜8nmである。
【0166】
アノードは、好ましくは仕事関数が高い物質を有する。アノードは、好ましくは、真空に対して4.5eVを超える電位を有する。一方では、例えば、Ag、PtまたはAuなどの酸化還元電位が高い金属がこの目的に適している。他方では、金属/金属酸化物電極(例えば、Al/Ni/NiOx、Al/PtOx)も好ましいと考えられる。いくつかの用途のためには、有機物質の照射(O−SC)または光のカップリングアウト(coupling−out)(OLED/PLED、O−laser)のいずれかを可能にするために、電極の少なくとも1つは透明でなければならない。好ましい構造は、透明アノードを使用する。この場合に好ましいアノード物質は、導電性混合金属酸化物である。インジウムスズ酸化物(ITO)またはインジウム亜鉛酸化物(IZO)が特に好ましい。導電性ドープ有機物質、特に導電性ドープポリマーがさらに好ましい。
【0167】
この種のデバイスの寿命は、水および/または空気の存在で急激に短くなるので、デバイスは、用途に応じて、それ自体既知の方法で対応して構造化され、コンタクトを与えられ、最終的には密閉される。
【0168】
本発明によるエレクトロルミネッセントデバイスは、好ましくは、有機エレクトロルミネッセントデバイス(OLED)、有機電界効果トランジスタ(O−FET)、有機薄膜トランジスタ(O−TFT)、有機発光トランジスタ(O−LET)、有機集積回路(O−IC)、有機太陽電池(O−SC)、色素増感有機太陽電池(DSSC)、有機光検出器、有機光受容器、有機電場消光デバイス(O−FQD)、有機発光電気化学セル(LEC)、有機レーザーダイオード(O−laser)、および有機プラズモン発光装置からなる群から選択される。有機エレクトロルミネッセントデバイスが特に好ましい。
【0169】
本発明はさらに、疾患を処置するための本発明にかかる組成物の使用に関する。またさらに、本発明は、美容状態を処置するための本発明にかかる組成物の使用に関する。
【0170】
多くの疾患は、美容的な側面に関連している。したがって、顔に重度のざ瘡を有する患者は、医学的原因および疾患の結果だけではなく、美容的な付随する状況にも苦しんでいる。
【0171】
多くの医学および/または美容分野において、光線療法または光療法が使用されている。そのため、本発明による組成物およびこれらの組成物を含むデバイスを、全ての疾患の治療および/または予防および/または診断に、および/または当業者が光線療法の使用を考える美容用途に使用することができる。光線療法という用語はまた、光線力学療法(PDT)に加えて消毒を一般に含む。したがって、光線療法または光療法を、ヒトまたは動物の処置だけでなく、任意の他の種類の生物または無生物物質にも使用することができる。これらには、例えば、真菌、細菌、微生物、ウイルス、真核生物、原核生物、食品、飲料、水および飲料水が含まれる。
【0172】
光線療法という用語はまた、PDTに加えて、光療法と、例えば、活性化合物による処置などの他の種類の療法の任意の種類の組み合わせを含む。多くの光療法は、ヒトおよび動物の皮膚、創傷、粘膜、目、毛、爪、爪床、歯茎および舌などの対象の外部部分を照射または処置する目的を有する。しかしながら、本発明による処置または照射は、例えば、内部器官(心臓、肺等)または血管または乳房を処置するために、対象の内部で行うこともできる。
【0173】
本発明による適用の治療的および/または美容的な分野は、好ましくは、例えば、乾癬、皮膚老化、皮膚しわ、皮膚若返り、拡大した皮膚毛穴、セルライト、脂性/脂ぎった皮膚、毛包炎、日光角化症、前がん性日光角化症、皮膚病変、日光損傷および日光ストレス皮膚、目尻のしわ、皮膚潰瘍、ざ瘡、酒さ性ざ瘡、ざ瘡により引き起こされる瘢痕、ざ瘡細菌、脂ぎった/脂性皮脂腺およびその周囲の組織の光転形(photomodulation)、黄疸、新生児の黄疸、白斑、皮膚がん、皮膚腫瘍、クリグラーナジャー、皮膚炎、アトピー性皮膚炎、糖尿病性皮膚潰瘍などの、皮膚疾患および皮膚関連疾患もしくは変化もしくは状態の群から選択される。
【0174】
乾癬、ざ瘡、セルライト、皮膚しわおよび白斑の処置ならびに/あるいは予防が、本発明の目的のために特に好ましい。
【0175】
本発明による組成物および/または組成物を含むデバイスのための本発明による適用のさらなる分野は、炎症性疾患、関節リウマチ、疼痛治療、創傷の治療、神経性疾患および状態、浮腫、パジェット病、原発性および転移している腫瘍、結合組織の疾患または変化、コラーゲンの変化、哺乳動物の組織における線維芽細胞ならびに線維芽細胞から生じる細胞レベル、網膜の照射、新生血管および肥大性疾患、アレルギー反応、気道の照射、発汗、眼性新生血管疾患、ウイルス感染症、特に疣贅および性器疣贅を処置するための単純ヘルペスまたはHPV(ヒトパピローマウイルス)により引き起こされる感染症の群から選択される。
【0176】
関節リウマチ、ウイルス感染症および疼痛の処置および/または予防が、本発明の目的のために特に好ましい。
【0177】
本発明による組成物および/または組成物を備えるデバイスのための本発明による適用のさらなる分野は、冬季うつ病、睡眠病、気分を改善するための照射、疼痛、特に、例えば、緊張により引き起こされる筋肉痛の軽減、関節の凝りの除去、および歯のホワイトニング(漂白)から選択される。
【0178】
本発明による組成物および/または組成物を備えるデバイスのための本発明による適用のさらなる領域は、消毒の群から選択される。本発明による組成物および/または本発明によるデバイスは、消毒の目的で、任意の種類の対象物(無生物物質)または対象(例えば、ヒトおよび動物などの生物)の処置に使用することができる。これには、例えば、創傷の消毒、細菌の減少、手術器具または他の物品の消毒、食品、液体、特に水、飲料水および他の飲料の消毒、粘膜および歯茎および歯の消毒が含まれる。ここでの消毒は、細菌および病原体などの生きている微生物の原因物質の望ましくない影響の低減という意味に解釈する。
【0179】
上述の光線療法の目的のため、本発明による組成物および/または本発明によるデバイスは、好ましくは、250〜1000nm、特に好ましくは300〜1000nm、特別に好ましくは300〜950nmの波長を有する光を放射する。
【0180】
本発明に説明される態様の変形は、本発明の範囲に入ることに注目すべきである。本発明に開示される各特徴は、明示的に除外されていない限り、同一、同等または同様の目的にかなう代替の特徴に置きかえることができる。したがって、本発明に開示される各特徴は、特段の記載のない限り、一般的な系の例としてまたは同等のもしくは類似の特徴としてみなすべきである。
【0181】
特定の特徴および/または工程が相互に排他的でない限り、本発明の全ての特徴は、任意の方法で互いに組み合わせることができる。これは特に、本発明の好ましい特徴に適用される。同様に、必須でない組み合わせの特徴は、別々に(および組み合わせずに)使用することができる。
【0182】
特徴、特に、本発明の好ましい態様の特徴の多くは、それ自体発明とみなすべきであり、単に本発明の態様の一部とみなすべきではないことはさらに注目すべきである。本明細書において特許請求する各発明に加えて、またはその代替として、これらの特徴に独立した保護を与えることができる。
【0183】
本発明に関して開示した技術的作用に関する教示を、抽出し、他の例と組み合わせることができる。
【0184】
本発明は、以下の実施例および図によってさらに詳細に説明するが、それによって制限されることを望むものではない。
【図面の簡単な説明】
【0185】
【図1】正孔注入層(HIL)がバッファー層とも呼ばれる、OLEDの典型的な構造を示す図。
【図2】OLEDを特徴づけるための典型的な測定配置を示す図。OLEDは、保持器中に固定され、ばねコンタクトを備える。外来光線による影響を排除するために、アイレスポンス(eye response)フィルターを有するフォトダイオードを、測定器に直接取り付けることができる。
【0186】
[実施例]
例1〜6で製造する化合物V1〜V6の式を以下に示す。
【化12】

【0187】
[物質]
以下の化合物(TM1)を、式V1〜V6の化合物と組み合わせて、三重項マトリックスとして使用する。
【化13】

【0188】
例1
化合物V1の製造
【化14】

【0189】
a)4−ブロモフェニル 1−ピナコリルボロナートの合成
4−n−オクチルブロミド50.0g(186mmol)、ビスピナコラトジボロン51.9g(204mmol)、酢酸カリウム52.9g(539mmol)を、ジメチルスルホキシド800mlに懸濁する。1,1−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセンジクロロパラジウム(II)*DCM4.55g(5.6mmol)を、この懸濁液に加え、反応混合物を還流させながら16時間加熱する。冷却後、600mlの酢酸エチルおよび400mlの水を加え、有機相を分離し、200mlの水で3回洗浄し、硫酸ナトリウムを用いて脱水し、その後蒸発乾固する。粗生成物をヘプタンから再結晶させ、最終的に減圧下で乾燥する。収量は48.2g(152mmol)で、理論の82.0%に相当する。
【0190】
b)トリス[4’−n−オクチル−3−(2−ピリジニル−κN)[1,1’−ビフェニル]−4−イル−κC]−イリジウム(III)(化合物V1)の合成
fac−トリス[2−(2−ピリジニル−κN)(5−ブロモフェニル)−κC]−イリジウム(III)3.4g(4.0mmol)、4−ブロモフェニル1−ピナコリルボロナート10.8g(34mmol)、硫酸カリウム5.02g(24mmol)を、トルエン100ml、ジオキサン100mlおよび水111mlに懸濁する。酢酸パラジウム(II)4mg(0.02mmol)およびo−トリトリルホスフィン35mg(1.1mmol)をこの懸濁液に加え、反応混合物を還流させながら24時間加熱する。冷却後、有機相を分離し、200mlの水で3回洗浄し、シリカゲルを通して濾過し、硫酸ナトリウムを使用して脱水し、その後蒸発乾固する。残渣をジオキサン/エタノールから再結晶させ、最終的に減圧下で乾燥する。収量は3.64g(3mmol)で、理論の78.0%に相当する。
【0191】
例2〜6
V2〜V6の製造
本発明による以下の化合物V2〜V6を、fac−トリス[2−(2−ピリジニル−κN)(5−ブロモフェニル)−κC]イリジウム(III)またはfac−トリス[2−(1−イソキノリニル−κN)(5−ブロモフェニル)−κC]イリジウム(III)および対応するボロナートから、例1に記載する合成と同様に得る。
【表1−1】

【表1−2】

【0192】
例7
化合物V7の製造
【化15】

【0193】
a)4−(4−n−オクチルフェニルフェニルアミノ)ベンズアルデヒドの合成
4−フェニルアミノベンズアルデヒド50.0g(254mmol)、p−ブロモ−n−オクチルフェニル75.1g(279mmol)、およびNaOtBu73.1g(760mmol)を、p−キシレン1Lに懸濁する。Pd(OAc)21.1g(5mmol)および1Mトリ−tert−ブチルホスフィン溶液3.8mlをこの懸濁液に加える。反応混合物を還流させながら、16時間加熱する。冷却後、有機相を分離し、200mlの水で3回洗浄し、その後蒸発乾固する。残渣を熱トルエンで抽出し、さらに精製することなくその後の反応に使用する。収量は81.7g(212mmol、83.6%)である。
【0194】
b)化合物V7の合成
ジエチル(フェニル)メチルホスホナート6.0g(26mmol)を、最初にDMF70mlに導入し、保護ガスのもと、約0℃でナトリウムtert−ブトキシド5.54g(58mmol)を添加し、0℃で40分の攪拌時間後、DMF40mlに4−(4−n−オクチルフェニルフェニルアミノ)ベンズアルデヒド10.1g(26mmol)を含む溶液を、0℃でゆっくり滴加する。2時間後、エタノールおよび水を5℃で滴加し、混合物を室温で一晩攪拌し、その後バッチをDCMで振盪することにより抽出する。有機相を分離し、水で洗浄し、乾燥し、ロータリーエバポレーター中で蒸発させる。アセトニトリルからの再結晶後、わずかに黄色がかった粉末の形で生成物が得られる。収量は9.0g(20mmol、74.5%)である。
【0195】
例8
化合物V8の製造
化合物V8を、例7に記載する化合物V7の合成と同様に得る。
【化16】

【0196】
例9
ポリマーP1、P2およびP3の製造
以下のモノマー(モル%に相当するパーセントデータ)を使用して、WO2003/048225A2に従って、スズキカップリングにより、ポリマーP2およびP3ならびに比較ポリマーP1を合成する。
【0197】
ポリマーP1−比較ポリマー
【化17】

【0198】
ポリマーP2
【化18】

【0199】
ポリマーP3−中間層ポリマー
【化19】

【0200】
例10
OLEDの製造
溶液からの有機発光ダイオードの製造は、既に文献(例えば、WO2004/037887A2)に何度も記載されてきた。例によって本発明を説明するために、化合物V1〜V6とマトリックスTM1との種々の組み合わせを有する三重項OLED、および化合物V7とV8とP1とP2とからなる組み合わせを備えるOLEDを、スピンコーティングにより製造する。
【0201】
典型的なOLEDは、正孔注入層(HIL)がバッファー層とも呼ばれる、図1に示す構造を有する。
【0202】
ITO(インジウムスズ酸化物、透明な導電性アノード)が塗布されるTechnoprint製の基板(ソーダ石灰ガラス)を使用して、OLEDを製造する。
【0203】
基板をDI水および洗剤(Deconex15PF)によりクリーンルーム内で洗浄し、その後UV/オゾンプラズマ処理により活性化する。次いで、PEDOT(水性分散液として供給される、H.C.Starck、Goslar製のポリチオフェン誘導体(Bayton P VAI 4083sp.))を含有する80nmのバッファー層を、同様にクリーンルーム中でスピンコーティングにより塗布する。必要なスピン速度は、希釈度および具体的なスピンコーター幾何学に依存する(80nmについては、典型的には4500rpm)。層から残留水分を除去するために、180℃のホットプレート上で10分間加熱することにより、基板を乾燥する。次いで、溶液(P3の濃度はトルエン中5g/lである;種々のEMLの組成および対応する濃度を表1に列挙する)から最初に20nmの中間層(典型的には正孔支配ポリマー、ここではP3)、次いで80nm(赤色発光層)または65nm(青色発光層)の発光物質含有層(放射性層についてはEML)を、不活性ガス雰囲気(窒素またはアルゴン)下で載せる。180℃で少なくとも10分間加熱することにより、全てのEML層を乾燥する。次いで、蒸着(Aldrich製の高純度金属、特に99.99%バリウム;Leskerまたは他社製の蒸着装置、典型的な真空レベル5×106mbar)によりBa/Alカソードを塗布する。特に、カソードを空気および大気中の水分から保護するために、最後にデバイスを密閉して特性を調べる。
【0204】
OLEDを表2に要約するが、ここでOLED1およびOLED4は比較に役立ち、OLED2、OLED3およびOLED5は、本発明によるダイオードを表す。
【表2】

【0205】
例11
OLEDの特性評価
OLEDの特性を示すために、後者を、特に基板サイズのために製造された保持器中に固定し、ばねコンタクトを与える。外来光線による影響を排除するために、アイレスポンスフィルターを有するフォトダイオードを、測定保持器に直接取り付けることができる。典型的な測定配置を図2に示す。
【0206】
電圧を、典型的には0から最大20Vまで0.2Vずつ増加させ、再び減少させる。各測定点について、デバイスを通る電流およびフォトダイオードから得られる光電流を測定する。このようにして、試験デバイスのIVLデータを得る。重要な特性量は、測定される最大効率(cd/Aの「eff.」)および100cd/m2に必要とされる電圧U100である。
【0207】
さらに、試験デバイスの色および正確なエレクトロルミネッセンススペクトルを知るために、最初の測定後に100cd/m2に必要とされる電圧を再度印加し、フォトダイオードをスペクトル測定ヘッドに交換する。これを、光ファイバーにより分光計(Ocean Optics USB2000)に接続する。色座標(CIE:Commission International de l’eclairage、1931 標準観測者)を、測定したスペクトルから得ることができる。
【0208】
さらに、EQEも計算する。EQEは、略語であり、「外部量子効率」という用語を表す。EQEは、デバイスの中に流れる電子数で割ったデバイスから出る光子数により定義される。一重項OLEDについての理論的最大EQEは、典型的には約5%であり、三重項OLEDについては最大約20%である。
【0209】
特性評価の結果を表2に要約する。
【表3】

【0210】
結果から分かるように、OLED2およびOLED3は、効率に関して、OLED1に対し有意な改善を示す。同じことがOLED4およびOLED5にも当てはまる。これは、F−F相互作用(Forster機構によるエネルギー移動)により密接な関係があるOLED2、OLED3およびOLED5中の発光単位より引き起こされる。発明的になることなく、本発明による本技術的教示に基づいて、異なる手段により、さらなる最適化を達成することができる。したがって、例えば、同じまたは異なる濃度で他の発光物質を使用することにより、さらなる最適化を達成することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光吸収または発光する化合物M1と少なくとも1種の光吸収または発光する化合物M2とを含有し、M1とM2とが互いに異なり、両方とも各々が少なくも1つのフッ素ラジカルを含むことを特徴とする組成物。
【請求項2】
少なくとも1つの無フッ素化有機ホスト化合物を含有する請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
少なくとも吸収バンドおよび発光バンドの一方について、M1の吸収スペクトルがM2の発光スペクトルと重なるか、またはM2の吸収スペクトルがM1の発光スペクトルと重なることを特徴とする請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
M1およびM2の両方が、それぞれ互いに独立に、蛍光発光物質またはリン光発光物質のいずれかであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項5】
M1およびM2が、それぞれ互いに独立に、小分子またはポリマーであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】
M1またはM2が、前記有機ホスト化合物と共有結合していることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
モル比M1:M2が、0.01:1〜1:0.01、好ましくは1:2〜2:1であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項8】
前記有機ホスト化合物が、低分子量化合物、デンドリマー、オリゴマーまたはポリマーであることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項9】
前記少なくとも1つのフッ素ラジカルが、一般式Cxyz(ここで、x≧0、y≧0およびz≧1であり、隣接していてもよい1以上のCH2基は、O、S、Se、Te、Si(R12、Ge(R12、NR1、PR1、CO、P(R1)Oにより置きかえられていてもいなくてもよく、ここでRは、出現する毎に同一または異なり、直鎖もしくは分枝もしくは環状のアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、アリールアルケニル、アリールアルキニル、ヘテロアリールまたはヘテロアルキル基であり、ここで、さらに、非芳香族成分の1以上の非隣接C原子は、O、S、COO、OCOにより置きかえられていてもよく、ただし、2個のラジカルR1は、互いに環系を形成していてもよい)を有することを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項10】
前記少なくとも1つのフッ素ラジカルは、F、CF3、C25、CF3(CH2aS、CF3CF2Sまたは(CF3-(CH2a2N(ここで、aは好ましくは0〜5の整数を表す)からなる群から選択されることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか1項に記載の組成物を製造する方法であって、
a)溶媒L1中に発光化合物M1と発光化合物M2とを含有する溶液を準備する工程と、
b)溶媒L2中に有機ホスト化合物を含有する溶液を準備する工程と、
c)前記2つの溶液を混合する工程と
を含む方法。
【請求項12】
L1とL2とが同一であるか、または互いに混和性であることを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
請求項1〜10のいずれか1項に記載の組成物の、有機電子デバイスにおける使用。
【請求項14】
前記デバイスが、カソードと、アノードと、少なくとも1つの有機層とを具備し、前記有機層は請求項1〜10のいずれか1項に記載の組成物を含有することを特徴とする有機電子デバイス。
【請求項15】
有機エレクトロルミネッセントデバイス(OLED)、有機電界効果トランジスタ(O−FET)、有機薄膜トランジスタ(O−TFT)、有機発光トランジスタ(O−LET)、有機集積回路(O−IC)、有機太陽電池(O−SC)、色素増感有機太陽電池(DSSC)、有機光検出器、有機光受容器、有機電場消光デバイス(O−FQD)、有機発光電気化学セル(LEC)、有機レーザーダイオード(O−laser)および有機プラズモン発光装置からなる群から選択されることを特徴とする請求項14に記載のデバイス。
【請求項16】
疾患および美容状態の処置に使用するための請求項1〜10のいずれか1項に記載の組成物。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2013−520537(P2013−520537A)
【公表日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−554237(P2012−554237)
【出願日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際出願番号】PCT/EP2011/000364
【国際公開番号】WO2011/103953
【国際公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【出願人】(597035528)メルク パテント ゲーエムベーハー (209)
【Fターム(参考)】