説明

フッ素ゴムと合成ゴムとの加硫接着積層体

【課題】フッ素ゴムとNBRやクロロプレンゴムといったフッ素ゴム以外の合成ゴムとの加硫接着処方を具体的に解明し、これによってDBUやDBN等を使用することに起因するスコーチ防止手段を採用することなく、フッ素ゴムと合成ゴムが強固に加硫接着する加硫接着積層体を提供する。
【解決手段】フッ素ゴム層と、合成ゴムからなる層とが加硫接着されてなり、加硫接着する前の合成ゴム層が、下記(1)〜(5)を含有する加硫接着積層体。(1)有機過酸化物(2)シリカ(3)有機ホスホニウム塩
(4)無水マレイン酸変性ポリブタジエン(5)酸化マグネシウム

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フッ素ゴムとNBR、水添NBR、NBR/PVCブレンド、NBR/EPDMブレンド、CSM、ECO、ACM、AEM又はCR等のフッ素ゴム以外の合成ゴムとの加硫接着積層体に関する。
【背景技術】
【0002】
フッ素ゴムは、耐熱性・耐油性・耐オゾン性・耐薬品性等に優れているため、燃料用ホースなどの材料として着目されているが、フッ素ゴムは高価であるという問題点がある。
そのため、耐油性を保持し、且つホースの可撓性を保持するためにフッ素ゴムを最内層とし、外側に合成ゴムを配した二層構造が最適であるとされている。中でも、比較的耐油性が優れ、安価であるNBR(アクリロニトリル-ブタジエンゴム)との二層構造が最適であるとされているが、一般的にフッ素ゴムと合成ゴムとの直接加硫接着は困難であった。
【0003】
このため、例えば特許文献1では、「NBR100重量部当たり、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7(DBU)、1,5−ジアザビシクロ(4,3,0)ノネン−5(DBN)、およびこれらの塩から選ばれた少なくとも一種の化合物0.3〜5重量部、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、メタ珪酸ナトリウム、酸化カルシウムのうち少なくとも一種のアルカリ性物質0.5〜30重量部、有機硫黄供与体1〜7重量部、硫黄0〜0.5重量部を含有してなることを特徴とするフッ素ゴムとのゴム積層体が提案されている。しかしながら、スコーチ防止剤等を添加してスコーチ対策をしても、やはりDBU、DBN、DBU塩、あるいはDBN塩を使用している以上、どうしても合成ゴム配合物の混練、貯蔵および積層体の成形時にスコーチする傾向にある。そのため根本的にスコーチ対策を行うにはDBUやDBN等を使用しないことが必要になるが、DBUやDBN等を使用しないと加硫接着が困難になる。
また、特許文献2と特許文献3では、それぞれ、フッ素ゴムとNBR/PVCとの加硫接着、フッ素ゴムとNBR/EPDMとの加硫接着であって、NBR単独ではなくPVCやEPDMをブレンドすると共にさらにDBU塩を配合したゴム組成物とフッ素ゴムとの加硫接着が提示されている。
【0004】
特許文献4には、フッ素ゴム層を特定フッ素ゴムと特定のアクリルゴムを含有し、かつパーオキサイド共架橋可能な組成物からなる層とすることで、他のゴムからなる層との接着力に優れた積層体を得ることが記載されている。
【0005】
このような特許文献1〜3に記載された加硫接着では、DBUやDBN等を使用するために、依然としてこれに対応するスコーチ防止手段を施す必要があり、あるいは、接着力を向上させるには、特許文献4に記載されているように、フッ素ゴム層を限定された成分の組合せからなる組成物とし、接着性を改善するしかなかった。
フッ素ゴムと合成ゴムとの加硫接着処方を具体的に解明し、これによってDBUやDBN等を使用することに起因するスコーチ防止手段を採用することなく、フッ素ゴムと合成ゴムが強固に加硫接着する加硫接着積層体が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平4−338533号公報
【特許文献2】特開平11−315966号公報
【特許文献3】特開2001−205745号公報
【特許文献4】国際公開第1998/036901号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
フッ素ゴムと特定の合成ゴムとの加硫接着処方を具体的に解明し、これによってDBUやDBN等を使用することに起因するスコーチ防止手段を採用することなく、各種フッ素ゴムと合成ゴムが強固に加硫接着する加硫接着積層体を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
フッ素ゴム層(A)と下記(B)より選択される、一種類、又は二種類以上をブレンドしたものからなるフッ素ゴム以外の合成ゴムからなる層とが加硫接着されてなり、加硫接着する前のフッ素ゴム以外の合成ゴムからなる層が、下記(1)〜(5)を含有する加硫接着積層体及びこの積層体からなる車輌用フレキシブルホース。
(1)有機過酸化物
(2)シリカ
(3)有機ホスホニウム塩
(4)無水マレイン酸変性ポリブタジエン
(5)酸化マグネシウム
(B)NBR、水添NBR、NBR/PVCブレンド、NBR/EPDMブレンド、CSM、ECO、ACM、AEM、又はCR
【発明の効果】
【0009】
本発明の方法により、各種のフッ素ゴムと特定の合成ゴムとが強固に加硫接着してなる積層体が得られた。このような積層体の用途としてはフッ素ゴムの性質を十分に活用した燃料用ホース等が挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】内層にフッ素ゴムを用い、外層に合成ゴムを用いた2層からなるホース。
【図2】最内層にフッ素ゴムを用い、その外層に合成ゴム、補強層である第1繊維補強層、中間ゴム層、補強層である第2繊維補強層、及び外面ゴム層を用いた5層からなるホース。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明を詳細に説明する。本発明は、フッ素ゴムと特定の合成ゴムとの加硫接着積層体において、特定の合成ゴム層が過酸化物架橋剤、シリカ、有機ホスホニウム塩、無水マレイン酸変性ポリブタジエン、酸化マグネシウムを含有するものである。
【0012】
[フッ素ゴム層]
使用するフッ素ゴムは、特に限定されるものではなく、フッ素含有モノマーの共重合体又はフッ素含有モノマーと炭化水素モノマーとの共重合体でよい。
フッ素含有モノマーとしては、フッ化ビニリデン、トリフルオロエチレン、トリフルオロクロロエチレン、テトラフルオロエチレン、フッ化ビニル等のフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロペン、ペンタフルオロプロペン等のフルオロプロピレン、ペルフルオロ(メチルビニルエーテル)、ペルフルオロ(プロピルビニルエーテル)等のペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)等が挙げられる。フッ素モノマーは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0013】
炭化水素モノマーとしては、エチレン、プロピレン等のオレフィン、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル等のビニルエーテル、酢酸ビニル等のビニルエステル、アクリル酸メチル等のアクリル酸エステル等が挙げられる。炭化水素モノマーは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0014】
また、本発明において、フッ素ゴムとしては、上記フッ素モノマーと炭化水素モノマーに加えて、加硫部位となるその他のモノマーを少量共重合した共重合体を用いてもよい。その他のモノマーとしては、2−ヨードペルフルオロプロペン、4−ヨードフルオロブテン−1等のヨウ素原子を含有するモノマー、ブロモトリフルオロエチレン、4−ブロモ−3,3,4,4−テトラフルオロブテン−1等の臭素原子を含有するモノマーが挙げられる。
【0015】
本発明におけるフッ素ゴムの具体例としては、好ましくはフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン共重合体、テトラフルオロエチレン−プロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン−フッ化ビニリデン−プロピレン共重合体等が挙げられる。フッ素ゴムは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0016】
[合成ゴム層]
本発明における合成ゴムは、NBR、水添NBR、NBR/PVCブレンド、NBR/EPDMブレンド、CSM、ECO、ACM、AEM又はCRより選択される、一種類、又は二種類以上をブレンドしたものからなるフッ素ゴム以外の合成ゴムであるが、耐燃料用途に使用すること、及び価格面を考慮するとNBRが望ましく、さらにAN量(結合アクリロニトリル含有量)が25〜50重量%であるNBRが好ましい。AN量が少ないと、耐ガソリン性、耐油性が低下し、AN量が多いと、耐油性は向上するが、低温特性が低下する傾向にある。
アクリルゴム又はポリ塩化ビニルのブレンドにより、耐ガソリン性、耐油性のバランスに優れ、又、EPDMをブレンドすれば、耐オゾン性の改良が見込まれる。
【0017】
本発明においては、合成ゴムに、目的に応じて他のポリマーをブレンドできる。他のポリマーとしては、天然ゴム、イソプレンゴム等のイソプレン系ゴム、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム等の共役ジエン系ゴム、ブチルゴム(IIR)等の非ジエン系ゴム等である。
【0018】
[有機過酸化物]
有機過酸化物としては、過酸化物架橋に用いられているものを限定なく、使用することができる。具体例として、ベンゾイールペルオキシド、ジクミルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、1,1’−ジ−(t−ブチルペルオキシ)−ジイソプロピルベンゼン、n−ブチル−4,4−ジ(t−ブチルペルオキシ)バレレート、1,1−ジ(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン等が挙げられ、ジクミルペルオキシド、1,1’−ジ−(t−ブチルペルオキシ)−ジイソプロピルベンゼンを用いるのが好ましい。
有機過酸化物の添加量は、合成ゴム100重量部に対して、0.5〜10重量部が好ましく、0.8〜5重量部がより好ましい。添加量が0.5重量部未満の場合、ゴムの加硫が不十分となり、10重量部を超えると、ゴムのスコーチの問題とゴムの物性が悪くなる。
【0019】
[シリカ]
シリカとは、珪酸(SiO)充填剤であり、珪酸充填剤としては、酸性シリカ、中性シリカ、塩基性シリカを任意に使用することができる。
シリカの添加量は、合成ゴム100重量部に対して、5〜35重量部が好ましく、10〜30重量部がより好ましい。添加量が5重量部未満の場合、加硫接着性が不十分となり、35重量部を超えると、低温特性が悪くなる。
【0020】
[有機ホスホニウム塩]
有機ホスホニウム塩としては、炭素数1〜20のアルキル基を含む4級ホスホニウム塩、または芳香族置換基を含む4級ホスホニウム塩等が使用できる。具体的には、テトラブチルホスホニウム塩、テトラオクチルホスホニウム塩、メチルトリオクチルホスホニウム塩、ブチルトリオクチルホスホニウム塩、フェニルトリブチルホスホニウム塩、ベンジルトリブチルホスホニウム塩、ベンジルトリシクロヘキシルホスホニウム塩、ベンジルトリオクチルホスホニウム塩、ブチルトリフェニルホスホニウム塩、オクチルトリフェニルホスホニウム塩、ベンジルトリフェニルホスホニウム塩、テトラフェニルホスホニウム塩等が挙げられる。これらの中で好ましいものは、テトラブチルホスホニウム塩である。
有機ホスホニウム塩の添加量は、合成ゴム100重量部に対して、0.5〜5重量部が好ましく、0.7〜3重量部がより好ましい。添加量が0.5重量部未満の場合、加硫接着性が不十分となり、5重量部を超えると、ゴムがスコーチする可能性があるのと、配合薬品が高価であるため、ゴム材料単価が高くなる。
【0021】
[無水マレイン酸変性ポリブタジエン]
無水マレイン酸変性ポリブタジエンは、溶融させた無水マレイン酸と液状ポリブタジエンの直接反応により、ゴム中に酸を導入したものであり、本発明においては内添接着成分として用いられる。
無水マレイン酸変性ポリブタジエンは、合成ゴム100重量部に対して、1〜20重量部が好ましく、1.5〜10重量部がより好ましい。添加量が1重量部未満の場合、加硫接着性が不十分となり、20重量部を超えると、ゴム物性が悪くなる傾向となる。
【0022】
[酸化マグネシウム]
酸化マグネシウムは、合成ゴムと接触している面のフッ素ゴムから脱フッ酸を行う際に発生したフッ化水素の受酸剤として機能し、層間接着性がより高くなる。
酸化マグネシウムは、合成ゴム100重量部に対して、3〜20重量部が好ましく、5〜15重量部がより好ましい。添加量が3重量部未満の場合、加硫接着性が不十分となり、20重量部を超えると、ゴム物性が悪くなる傾向となる。
【0023】
本発明において、合成ゴム層には上記5種類の配合剤のすべてが不可欠であり、加硫剤である有機過酸化物を除いた他の4種類の配合剤の内、1種類の配合剤でも欠けると、本発明のフッ素ゴムと合成ゴムとの加硫接着積層体は得られない。
合成ゴム層には、上記以外にも、通常のゴム組成物に添加される公知の配合剤、例えば、カーボンブラック、充填剤、軟化剤、可塑剤、老化防止剤、安定剤、および加工助剤などを適宜添加することは可能である。
【0024】
[加硫接着積層体の製造方法]
本発明の加硫接着積層体を製造する方法としては、加硫前のフッ素ゴム層と合成ゴムからなる層を共押出し、次いで架橋する方法や、一方のゴムからなる層を形成し、次いで他方のゴムの層を被覆しつつ形成した後架橋する方法、一方のゴムの層を架橋した後に他方のゴムの層を積層させて、次いで他方の層を架橋する方法等が挙げられる。
本発明の加硫接着積層体がホースである場合には、上記の方法に加えてマンドレルに未加硫の積層体を被覆し、これを加硫する方法も採用できる。
【0025】
[加硫接着積層体の用途]
本発明の加硫接着積層体は、燃料用ホース、アルコールや油脂等を輸送するためのホース、油滴を含有するような空気等を搬送するためのホース、鉱物油やLPガス、天然ガス等の炭化水素含有液体又は気体を搬送するためのホース、あるいはこれらの流体を保管するための容器、さらには、これらの流体と接する工業用ベルト、緩衝材、防振材、シート、ブーツ等の機械部品、設備部品、建築部品、装置の部品等各種用途に使用できる。
例えば、燃料、アルコール、LPガス等を搬送するホースであって、その搬送物と接するホース内面には、フッ素ゴム層を形成し、ホース外面側の層には合成ゴムからなる層を形成する。同じく、ホース以外の積層体においても、燃料、アルコール、LPガス等と接する面にはフッ素ゴム層を形成し、その他の層には合成ゴムからなる層を形成する。
例えば搬送する流体が低圧の場合には図1に示すように、内層としてフッ素ゴム層を用い、外層として合成ゴム層を用いた2層からなるホースを使用し、搬送する流体が高圧の場合には、図2に示すように、内層としてフッ素ゴム層を用い、そのすぐ外側には合成ゴム層を設け、さらに外側に向けて第1繊維補強層、中間ゴム層、第2繊維補強層及び外面ゴム層を設けた5層からなるホースを使用できる。もちろん、用途に応じて他の層構成としたホースも使用できる。
次に、本発明を実施例に基づいて、さらに具体的に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
【実施例及び比較例】
【0026】
表1〜表3に示す量で各成分を配合し、ニーダーを用いて混練りし、NBR組成物を得た。このNBR組成物から8インチロールを用いて厚さ2mmのNBRシートを作製した。
同様にして厚さ2mmのフッ素ゴムシートも作成した。
これらシートの硬さ測定は、JIS K6253に準拠し、また引張試験はJIS K6251に従い3号ダンベルを使用して行った。
【0027】
上記により得た厚さ2.0mmの未加硫のNBRシートと厚さ2.0mmの未加硫のフッ素ゴムシートを前処理として100℃×3分間プレスし、これを160℃×30分間蒸気加硫することによってフッ素ゴム−NBR積層体を作成した。
【0028】
接着試験片の剥離試験は、JIS K6256−1に準拠して行った。この試験片を引張試験に取り付け、毎分50mmの速さで引っ張り、NBRとフッ素ゴムの接着界面での剥離状態により接着性を評価した。
×:まったく接着していない(接着性不良)、引張強度:5N/cm以下 : NG
△:界面剥離が起こった場合 : NG
○:ゴム部が破壊したもの(接着性良好)、引張強度:25N/cm以上 : OK
【0029】
【表1】

【0030】
【表2】

【0031】
【表3】

【0032】
NBR:南帝化学工業製ナンカー1053
カーボンブラック:旭カーボン製旭#60G
有機過酸化物:日油製パーブチルP
シリカ:PPG industries製ハイシル233
酸化マグネシウム:協和化学工業製キョーワマグ150
無水マレイン化変性ブタジエン:サートマー社製ライコボンド1756
有機ホスホニウム塩:日本化学工業製ゼオネットPB
フッ素ゴム:ダイキン工業製ダイエルG558
【0033】
上記の実施例及び比較例の結果によれば、本発明の加硫接着積層体は両層間の接着性に優れるが、例えば、比較例1〜4のように本発明における(2)〜(5)の成分の中から1種のみを使用した場合には、両層がまったく接着しておらず、比較例5〜8のように本発明における(2)〜(5)の成分の中で1種でも欠けた場合には、両層間での界面剥離を生じることになる。
【0034】
このような実施例及び比較例の結果によれば、合成ゴム層に、上記5種類の配合剤のすべてが不可欠であり、加硫剤である有機過酸化物を除いた他の4種類の配合剤の内、1種類の配合剤でも抜けると、本発明のフッ素ゴム層と合成ゴム層が十分に接着してなる加硫接着積層体は得られないことがわかり、本発明はフッ素ゴム層に加硫接着する合成ゴムからなる層に(1)〜(5)の成分を全て含有させることによってはじめて顕著な効果を発揮するのであり、(2)〜(5)のそれぞれの成分と(1)のみを使用したことによる効果を単に合わせたにすぎない効果でないことは明らかである。
【0035】
さらに、従来技術のように合成ゴム層にDBUやDBN等を配合しないので、加硫工程前の段階で、合成ゴムからなる層において加硫が制御できずにスコーチが進展していまい、その後の加硫工程によってフッ素ゴム層との接着が不十分となる可能性を排除することができた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フッ素ゴム層(A)と、下記(B)より選択される、一種類、又は二種類以上をブレンドしたものからなるフッ素ゴム以外の合成ゴム層とが加硫接着されてなり、加硫接着する前のフッ素ゴム以外の合成ゴムからなる層が、下記(1)〜(5)を含有する加硫接着積層体。
(1)有機過酸化物
(2)シリカ
(3)有機ホスホニウム塩
(4)無水マレイン酸変性ポリブタジエン
(5)酸化マグネシウム
(B)NBR、水添NBR、NBR/PVCブレンド、NBR/EPDMブレンド、CSM、ECO、ACM、AEM、又はCR
【請求項2】
前記フッ素ゴム以外の合成ゴムが含有する前記(1)〜(5)の含有量が、ゴム100重量部に対し下記重量部である請求項1記載の加硫接着積層体
(1)有機過酸化物0.5〜10重量部
(2)シリカ5〜35重量部
(3)有機ホスホニウム塩0.5〜5重量部
(4)無水マレイン酸変性ポリブタジエン1〜20重量部
(5)酸化マグネシウム3〜20重量部
【請求項3】
ホース断面が少なくとも複数の層から構成された車輌用フレキシブルホースにおいて、内面ゴム層が前記フッ素ゴムであり、前記内面ゴム層の外側に前記フッ素ゴム以外の合成ゴム層が設けられてなることを特徴とする車輌用フレキシブルホース。
【請求項4】
前記車輌用フレキシブルホースが、前記内面ゴム層と、この内面ゴム層の外側に設けられた前期フッ素ゴム以外の合成ゴム層が設けられており、フッ素ゴム以外の合成ゴム層の外側に少なくとも一層の繊維補強層と、この繊維補強層の外側に設けられた外面ゴム層とからなる請求項3の車輌用フレキシブルホース。



【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−201074(P2011−201074A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−68646(P2010−68646)
【出願日】平成22年3月24日(2010.3.24)
【出願人】(000233619)株式会社ニチリン (69)
【Fターム(参考)】