説明

フッ素化スルホン酸エステルの水性合成方法

フッ素化スルホン酸エステルの合成方法は、ぺルフルオロアルカンスルホニルハロゲン化物及びフッ素化アルコールを水酸化物イオンの存在で水中で混合する工程、及びその結果として得られるフッ素化スルホン酸の少なくとも一部を回収する工程を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示はフッ素化スルホン酸エステルの合成方法に広く関する。
【背景技術】
【0002】
フッ素化学の分野では、フッ素化スルホニルエステルが、それらの反応活性が比較的高い理由により、種々の化合物にフッ素化有機基を導入するために広く使用される。より具体的には、スルホン酸エステル(すなわち、C−S(=O)−O−C原子の基を有する化合物)が、アルキル化剤として広く使用される。この主な理由は、例えば、求核試薬の存在における、O−C結合の異種開裂に対する高い反応性に基づいている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
1つの態様は、フッ素化スルホン酸エステルの合成方法であって、水中で
a)ペルフルオロアルカンスルホニルハロゲン化物、ここで、ハロゲン化物は、フッ化物又は塩化物を含み、
b)式:
−CXOH
で表されるフッ素化アルコール、ここで、Rは、高度にフッ素化されたアルキル基を表し、
それぞれのXは、独立してH、アルキル、アリール又はRであり、
c)水酸化物イオン及び非干渉性カチオンを含む塩基を混合する工程と、
d)フッ素化スルホン酸エステルの少なくとも一部を回収する工程と、を含む合成方法である。
【0004】
幾つかの実施形態では、ペルフルオロアルカンスルホニルハロゲン化物、フッ素化アルコール、及び塩基は水に同時に加えられる。
【0005】
他の態様では、本開示はフッ素化スルホン酸エステルの合成方法を提供し、この方法は
a)ペルフルオロアルカンスルホニルハロゲン化物及びフッ素化アルコールを水中で混合し反応混合物を調製する工程、ここで、ハロゲン化物は、フッ化物又は塩化物を含み、フッ素化アルコールは、式
−CXOHで表され、
ここで、Rは、高度にフッ素化されたアルキル基を表し、
それぞれのXは、独立してH、アルキル、アリール又はRであり、
b)反応混合物に塩基を加える工程、ここで、塩基は水酸化物イオン及び非干渉性カチオンを含み、
c)フッ素化スルホン酸エステルの少なくとも一部を回収する工程と、を含む方法である。
【0006】
幾つかの実施形態では、塩基は、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類水酸化物、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0007】
更に他の態様においては、本開示はフッ素化スルホン酸エステルの合成方法を提供し、この方法は、
a)水性塩基及びフッ素化アルコールを混合し反応混合物を調製する工程、ここで、塩基は、水酸化物イオン及び非干渉性カチオンを含み、フッ素化アルコールは、式
−CXOHで表され、
ここで、Rは、高度にフッ素化されたアルキル基を表し、
それぞれのXは、独立してH、アルキル、アリール又はRであり、
b)ペルフルオロアルカンスルホニルハロゲン化物を反応混合物に加える工程、ここで、ハロゲン化物は、フッ化物又は塩化物を含み、
c)フッ素化スルホン酸エステルの少なくとも一部を回収する工程と、を含む方法である。
【0008】
幾つかの実施形態では、水性塩基は、水、及びアルカリ金属水酸化物、アルカリ土類水酸化物、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される化合物を含む。
【0009】
幾つかの実施形態では、ペルフルオロアルカンスルホニルハロゲン化物は、ペルフルオロアルカンスルホニルフッ化物を含む。これらの実施形態の幾つかでは、ペルフルオロアルカンスルホニルフッ化物は、1,1,2,2,3,3,4,4,4−ノナフルオロブタン−1−スルホニルフッ化物を含む。
【0010】
幾つかの実施形態では、Rは、ペルフルオロアルキル基を表す。幾つかの実施形態では、少なくとも1つのXは、Hである。幾つかの実施形態では、Rは、CFCFHCF−、H−CFCF−、又はHCFCFCFCF−を表す。
【0011】
本開示による方法は、通常、有機溶媒若しくは有機塩基の使用又は無水反応条件を必要とせず、温和な温度(すなわち、周囲温度の近くで)で高い収率でフッ素化スルホン酸エステルを製造するのに有効である。スルホン酸エステルは、反応性が非常に高いことが当該技術分野において既知であるが、本開示において使用される水性及び塩基性反応条件は、意外にも、本開示の実施において一般的に使用される温和な反応条件においては、これらの製品の顕著な加水分解を引き起こさないことが発見された。ペルフルオロアルカンスルホニルハロゲン化物は、このような反応条件では強く加水分解せず、むしろフッ素化アルコールと優先的に反応し、対応するスルホン酸エステルを高収率で与えることを発見したことは同様に意外である。
【0012】
本明細書で使用するとき、
「水性」は、付随的な量を超える水を含むこと(例えば、水系)を意味し、
「高度にフッ素化された」は、化合物又は基に結合したすべての一価の原子に対するF原子の原子比が少なくとも0.4であることを意味し、
「非干渉性カチオン」は、反応混合物の他の成分と著しくは反応しないカチオンを意味する。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本開示による方法は水の存在において実施され、これは、当該技術分野における顕著な改善である。例えば、有機溶媒も無水の反応条件も使用する必要がない。有機溶媒を避けることにより、有機溶媒の回収又は廃棄の必要がなく、かつ一般的に火災の危険性及び/又は毒性が軽減される。
【0014】
この開示の実施においては有機溶媒は通常使用されないが、望ましい場合には、水と混合可能な非干渉性の有機溶媒(例えば、アセトン)の少量が水に含まれてよい。また、さまざまな量の非混合性有機溶媒(例えば、CHCl)が、任意に、反応の制御又はスルホン酸エステル製品の分離の補助抽出剤として使用されてもよい。
【0015】
本開示の実施において使用される水は、純粋であっても、不純物(例えば、溶解塩、揮発性有機化合物(VOC)、塩素)を含んでもよい。
【0016】
通常、ペルフルオロアルカンスルホニルフッ化物が極めて多用されるが、ペルフルオロアルカンスルホニルハロゲン化物は、ペルフルオロアルカンスルホニルフッ化物、ペルフルオロアルカンスルホニル塩化物、又はこれらの組み合わせであってよい。ペルフルオロアルカンスルホニルハロゲン化物は、8個を超える炭素原子を含んでよいが、一般的には1〜8個の炭素原子、より一般的には2〜6個の炭素原子、更により一般的には2〜4個の炭素原子を含む。ペルフルオロアルキルスルホニルハロゲン化物の例としては、ペルフルオロメタンスルホニルフッ化物、ペルフルオロエタンスルホニルフッ化物、ペルフルオロ−n−プロパンスルホニルフッ化物、ペルフルオロイソプロパンスルホニル塩化物、ペルフルオロ−n−ブタンスルホニルフッ化物(すなわち、1,1,2,2,3,3,4,4,4−ノナフルオロブタン−1−スルホニルフッ化物)、ペルフルオロ−n−ブタンスルホニル塩化物、ペルフルオロイソブタンスルホニルフッ化物、ペルフルオロ−n−ペンタンスルホニルフッ化物、ペルフルオロ−n−ペンタンスルホニル塩化物、及びペルフルオロヘキサンスルホニルフッ化物が挙げられる。
【0017】
フッ素化アルコールは、式
−CXOHで表され、
ここで、Rは、高度にフッ素化されたアルキル基、通常1〜6個の炭素原子を含む高度にフッ素化されたアルキル基を表し、それぞれのXは、独立してH、アルキル、アリール又はRである。Xがアルキル又はアリール基である場合、これらの基は、任意に(例えば、ヒドロカルビル基若しくはハロゲン又は他のへテロ原子含有基により)置換されてよい。一般的に、少なくともXの1つは、Hであるが、これは、必要とされない。より一般的には、両方のX基がHである。
【0018】
代表的なフッ素化アルコールとしては、2,2,2−トリフルオロエタノール、2,2,3,3−テトラフルオロプロパン−1−オール、2,2,3,4,4,4−ヘキサフルオロブタノール、及び1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンタノールが挙げられる。フッ素化アルコールは、非干渉性ヘテロ原子(例えば、カテナリー酸素原子)を含んでよい。
【0019】
塩基は、水酸化物イオン及び非干渉性対イオン、例えば、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類水酸化物、又はテトラアルキルアンモニウム水酸化物を含む。塩基の混合物が使用されてよい。代表的な塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化テトラブチルアンモニウム、及びこれらの組み合わせが挙げられる。塩基はまた、水との接触により水酸化物イオンを生成するいかなる塩基(例えば、酸化マグネシウム、炭酸カリウム)でもよい。エステル化反応(すなわち、エステルを生成するペルフルオロアルカンスルホニルハロゲン化物と高度にフッ素化したアルコールとの縮合)中は、塩基は通常水に溶解している。
【0020】
エステル化(すなわち、ペルフルオロアルカンスルホニルハロゲン化物と高度にフッ素化したアルコールとの縮合)は、通常攪拌を伴い(攪拌は穏やかでも又は必要があれば強くてもよい)、室温近く(室温を超える又は未満)の温度で行われる。例えば、20℃〜40℃の範囲の温度が通常有効である。反応の進行は、好適な任意の分析手法で監視することができる。例えば、サンプルを採取し、ガスクロマトグラフィーにより分析することにより、反応の進行を監視することができる。
【0021】
有利なことに、反応混合物の処理は通常簡単である。まず、混合物をろ過し、反応中に沈殿するすべての固体物質(例えば、塩副生成物(1種又は複数種)又は副生物(1種又は複数種))を除去する。反応混合物は、通常2つの液相に分離する。下相はフッ素化スルホン酸エステルを含み、容易に分離することができる(例えば、分液漏斗の使用による)。未反応の原料物質は、多くの場合簡単な真空蒸発又は蒸留技術により除去することができる。
【0022】
以降の非限定的な実施例によって本開示の目的及び利点を更に例示するが、これら実施例で引用される特定の材料及びそれらの量、並びに他の条件及び詳細は、本開示を不当に制限するものと解釈されるべきではない。
【実施例】
【0023】
特に記載がない限り、実施例及びこれ以降の明細書における部、割合、比率などはいずれも重量基準である。
【0024】
2,2,3,3−テトラフルオロプロピル−1,1,2,2,3,3,4,4,4−ノナフルオロブタン−1−スルホン酸の調製
2,2,3,3−テトラフルオロプロパン−1−オール(202グラム、1.52モル、Sinochem Corp.,Beijing,China)、1,1,2,2,3,3,4,4,4−ノナフルオロブタン−1−スルホニルフッ化物(3M Company,Saint Paul,MN、465グラム、1.52モル)及び水(500g)を3リットルの3つ口丸底フラスコの中で混合した。フラスコには電磁攪拌機、冷水凝縮器、熱電対及び添加じょうごが備えられた。水酸化カリウム水溶液(45重量パーセント、211.5g、1.7モル、Aldrich Chemical Co.,Milwaukee,WI)を添加じょうごにより、温度が35℃を超えない速度で滴下した。水酸化カリウムの添加が終了次第、混合物を室温で16時間攪拌した。次いで、沈殿した塩を混合物からろ過し、下方の液体フッ素性化学物質製品相を上方の水相から分離した。未反応の2,2,3,3−テトラフルオロプロパン−1−オール及び1,1,2,2,3,3,4,4,4−ノナフルオロブタン−1−スルホニルフッ化物を、常圧蒸留により液状フッ素性化学物質製品相から分離した。約500gの2,2,3,3−テトラフルオロプロピル−1,1,2,2,3,3,4,4,4−ノナフルオロブタン−1−スルホン酸を、ガスクロマトグラフィー分析による測定で、純度98.9パーセントで回収した。
【0025】
2,2,2−トリフルオロエチル−1,1,2,2,3,3,4,4,4−ノナフルオロブタン−1−スルホン酸の調製
85パーセント(145.17グラム、2.199モル、Alfa Aesar,Ward Hill,MA)の水酸化カリウム及び脱イオン水(300グラム)を、氷浴、機械的撹拌機、凝縮器、添加じょうご、及び熱電対プローブを備えた、1リットルの3つ口丸底フラスコに加え、攪拌溶解した。溶液の温度が20℃未満に低下した後すぐに、99+パーセント(200.00グラム、1.999モル、Aldrich Chemical Co.)の2,2,2−トリフルオロエタノールを攪拌しながら、急速に加えた。次いで、ぺルフルオロブタンスルホニルフッ化物(664.29グラム、2.199モル、3M Company)を、反応による弱い発熱を相殺するために氷浴を使用して、反応温度を15〜30℃に制御し、攪拌しながら滴下し加えた。合計20時間の反応後攪拌を止め、2つの混ざり合わない液相と幾らかの不溶性の固体沈殿を分離させた。下相のガスクロマトグラフィー分析は、この相が90パーセントの2,2,2−トリフルオロエチル−1,1,2,2,3,3,4,4,4−ノナフルオロブタン−1−スルホン酸、9パーセントの未反応ぺルフルオロブタンスルホニルフッ化物、及び1パーセントの未反応2,2,2−トリフルオロエタノールからなることを示した。反応生成物を焼結ガラスフリットを通す吸引によりろ過し、固体を取り除き、固体のろ過ケーキを300ミリリットルの水で洗浄した。ろ液を合わせ分液漏斗に移し、下方のフッ素性化学物質の液相を集め、400ミリリットルの水で2回洗浄した。次に、分離したフッ素性化学物質の液相を3オングストローム(0.3ナノメートル)のモレキュラーシーブで3日間乾燥させ、その後、0.45マイクロメートルのテフロン膜を通して吸引ろ過した。ドライアイス凝縮器を備えたロータリーエバポレーターを使用して、35〜46℃、3.3kPa(25mm Hg)の条件で、2.5時間かけて真空蒸発により余分のぺルフルオロブタンスルホニルフッ化物をろ液から除去し、澄んだ無色の液体生成物583.77グラムを得た。ガスクロマトグラフィー分析は、分離された生成物は、主な不純物が1.4パーセントの残留ぺルフルオロブタンスルホニルフッ化物である、98.4パーセントの2,2,2−トリフルオロエチル−1,1,2,2,3,3,4,4,4−ノナフルオロブタン−1−スルホン酸であることを示した。
【0026】
2,2,3,4,4,4−ヘキサフルオロブチル1,1,2,2,3,3,4,4,4−ノナフルオロブタン−1−スルホン酸の調製
2,2,3,4,4,4−ヘキサフルオロブタン−1−オール(202グラム、1.1モル、Sinochem Corp)、1,1,2,2,3,3,4,4,4−ノナフルオロブタン−1−スルホニルフッ化物(332グラム、1.1モル、3M Company)及び水(300グラム)を3リットルの3つ口丸底フラスコ中で混合した。フラスコには、電磁攪拌機、冷水凝縮器、熱電対、及び添加じょうごが備えられた。45パーセントの水酸化カリウム水溶液(149.3グラム、1.22モル、Aldrich Chemical Co.)を、添加じょうごを通して、温度が35℃を超えない速度で滴下して加えた。塩基の添加が完了次第、混合物を室温で16時間混合した。次いで沈殿した塩を混合物からろ過し、下方の液体のフッ素性化学物質生成物相を上方の水相から分離した。未反応の2,2,3,4,4,4−ヘキサフルオロブタン−1−オール及び1,1,2,2,3,3,4,4,4−ノナフルオロブタン−1−スルホニルフッ化物を、常圧蒸留で除去した。約400グラムの2,2,3,4,4,4−ヘキサフルオロブチル1,1,2,2,3,3,4,4,4−ノナフルオロブタン−1−スルホン酸を、ガスクロマトグラフィー分析による測定で、純度98.9パーセントで回収した。
【0027】
1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロピル−1,1,2,2,3,3,4,4,4−ノナフルオロブタン−1−スルホン酸の調製
85パーセントの水酸化カリウム(21.61グラム、0.3273モル、Alfa Aesar)及び60グラムの脱イオン水を、水浴、機械的撹拌機、凝縮器、添加じょうご、及び熱電対プローブを備えた500mLの3口丸底フラスコに入れ、攪拌溶解した。溶液の温度が20℃未満に低下した後すぐに、99パーセントの1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール(50.00グラム、0.2976モル、Alfa Aesar)を攪拌しながら、急速に加えた。次いで、ぺルフルオロブタンスルホニルフッ化物(98.86グラム、0.3273モル、3M Company)を、反応による弱い発熱を相殺するために、水浴を使用して反応温度を22〜25℃に制御し、攪拌しながら滴下し加えた。添加が完了したらすぐに加熱用マントルと温度制御装置を取り付け、攪拌しながら反応温度を25℃に一夜保持した。25℃における合計23時間の反応後攪拌を止め、2つの混ざり合わない液相と幾らかの不溶性の固体沈殿を分離させた。
【0028】
反応生成物を焼結ガラスフリットを通して吸引ろ過し、固体を取り除き、固体のろ過ケーキを75mLの水で洗浄した。合わせたろ液を分液漏斗に移し、下方のフッ素性化学物質の液相を集め、100mLの水で2回洗浄した。次に、分離したフッ素性化学物質の液相(90グラム)を、3オングストローム(0.3ナノメートル)のモレキュラーシーブで1週間乾燥させ、次いで0.45マイクロメートルのテフロン膜を通して吸引ろ過し、83.8グラムのろ過製品を得た。ドライアイス凝縮器を備えたロータリーエバポレーターを使用し、43℃、3.3kPa(25mm Hg)における約1時間の真空蒸発により、ろ液から少量の余剰のぺルフルオロブタンスルホニルフッ化物を除去し、79.3グラムの澄んだ無色の液体製品を得た。ガスクロマトグラフ分析は、分離した製品が98.8パーセントの純度の1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロピル−1,1,2,2,3,3,4,4,4−ノナフルオロブタン−1−スルホン酸であることを示した。
【0029】
本開示の範囲及び原理から逸脱することなく、本開示の様々な修正及び変更を当業者が行うことができ、本開示は上記で説明した例示的な実施形態に過度に限定して理解すべきではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フッ素化スルホン酸エステルの合成方法であって、前記方法が水中で、
a)ペルフルオロアルカンスルホニルハロゲン化物、ここで、前記ハロゲン化物は、フッ化物又は塩化物を含む、
b)式
−CXOH
で表されるフッ素化アルコール、ここで、Rは、高度にフッ素化されたアルキル基を示し、
それぞれのXは、独立してH、アルキル、アリール、又はRであり、
c)水酸化物イオン及び非干渉性カチオンを含む塩基を混合する工程と、
d)前記フッ素化スルホン酸エステルの少なくとも一部を回収する工程と、を含む方法。
【請求項2】
前記ペルフルオロアルカンスルホニルハロゲン化物、前記フッ素化アルコール、及び前記塩基が、同時に前記水に添加される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
フッ素化スルホン酸エステルの合成方法であって、前記方法が、
a)ペルフルオロアルカンスルホニルハロゲン化物及びフッ素化アルコールを水中で混合し反応混合物を調製する工程と、ここで、前記ハロゲン化物は、フッ化物又は塩化物を含み、前記フッ素化アルコールは、式
−CXOH
で表され、ここで、Rは、高度にフッ素化されたアルキル基を表し、
それぞれのXは、独立してH、アルキル、アリール、又はRであり、
b)前記反応混合物に塩基を加える工程と、ここで、前記塩基は、水酸化物イオン及び非干渉性カチオンを含み、
c)前記フッ素化スルホン酸エステルの少なくとも一部を回収する工程、を含む方法。
【請求項4】
前記ペルフルオロアルカンスルホニルハロゲン化物が、ペルフルオロアルカンスルホニルフッ化物を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記ペルフルオロアルカンスルホニルフッ化物が、1,1,2,2,3,3,4,4,4−ノナフルオロブタン−1−スルホニルフッ化物を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
が、CFCFHCF−、H−CFCF−、又はHCFCFCFCF−を表す、請求項3に記載の方法。
【請求項7】
が、ぺルフルオロアルキル基を表す、請求項3に記載の方法。
【請求項8】
少なくとも1つのXが、Hである、請求項3に記載の方法。
【請求項9】
前記塩基が、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類水酸化物、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項3に記載の方法。
【請求項10】
フッ素化スルホン酸エステルの合成方法であって、前記方法が、
a)水性塩基及びフッ素化アルコールを混合して反応混合物を調製する工程と、ここで前記塩基は、水酸化物イオン及び非干渉性カチオンを含み、前記フッ素化アルコールは、式
−CXOH
で表され、ここで、Rは、高度にフッ素化されたアルキル基を表し、
それぞれのXは、独立してH、アルキル、アリール、又はRであり、
b)ペルフルオロアルカンスルホニルハロゲン化物を前記反応混合物に加える工程と、ここで前記ハロゲン化物は、フッ化物又は塩化物を含み、
c)前記フッ素化スルホン酸エステルの少なくとも一部を回収する工程と、を含む方法。
【請求項11】
前記ペルフルオロアルカンスルホニルハロゲン化物が、ペルフルオロアルカンスルホニルフッ化物を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記ペルフルオロアルカンスルホニルフッ化物が、1,1,2,2,3,3,4,4,4−ノナフルオロブタン−1−スルホニルフッ化物を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
が、CFCFHCF−、H−CFCF−、又はHCFCFCFCF−を表す、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
が、ぺルフルオロアルキル基を表す、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
少なくとも1つのXが、Hである、請求項10に記載の方法。
【請求項16】
前記水性塩基が水及びアルカリ金属水酸化物、アルカリ土類水酸化物、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される化合物を含む、請求項10に記載の方法。

【公表番号】特表2011−528711(P2011−528711A)
【公表日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−520068(P2011−520068)
【出願日】平成21年6月22日(2009.6.22)
【国際出願番号】PCT/US2009/048118
【国際公開番号】WO2010/011454
【国際公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】