説明

フッ素化有機シランポリマーを含有するコーティング組成物

フィルム形成有機シランポリマーと、場合により非水性分散ポリマーと、有機ポリイソシアネートおよびメラミン架橋剤の1つまたは両方から選択された架橋剤とを含有するコーティング組成物。フッ素官能性が、耐汚染性およびクリーナビリティを高めるために有機シランポリマーに組み込まれる。コーティング組成物は、通常の顔料入りベースコート上にクリアコートとして使用することができる。コーティング組成物は改良された耐汚染性およびクリーナビリティを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、様々な基材上に仕上げを提供するために有用なコーティング組成物に関する。具体的には、本発明は、自動車およびトラックの外面を仕上げるために使用されてもよい、そして耐汚染性であり、かつ、例えば汚れた時に水で洗浄することによって容易にきれいにされる、フッ素化有機シランポリマーを含有するコーティングに関する。
【背景技術】
【0002】
車両上の仕上げの美的品質を保護するおよび保持するために、ベースコートが高い光沢およびDOI(画像の明確さ)をはじめとする魅力的な美的外観を有し、環境または風化への長期にわたる曝露時にさえも影響を受けないままであるように、着色した(顔料入り)ベースコート上にクリア(非顔料入りまたは僅かに顔料入り)トップコートを提供することは一般に公知である。このタイプの仕上げは、ベースコート/トップコートまたはベースコート/クリアコート仕上げとして公知である。アルコキシシランポリマーが、硬化した時に強いシラン結合のために、良好な引っ掻き抵抗性と共に、酸性雨および他の環境汚染物質からのエッチングに対する優れた耐性を仕上げを提供することもまた一般に公知である。コーティングのためのシランポリマーを開示する先行特許の模範的なものは、米国特許公報(特許文献1)、米国特許公報(特許文献2)、および米国特許公報(特許文献3)である。今日では、これらのシランコーティングは顔料入りベースコート上のクリアコートとして広く使用されている。
【0003】
しかしながら、通常のシラン・クリアコート仕上げは、未解決の問題または欠陥に依然として苦しんでいる。具体的には、以前に開示されたシランコーティングは、屋外使用条件下で容易に汚れる傾向を有する。かかる汚れは、仕上げの長期耐久性および耐候性に重大なおよび不利な影響を及ぼし得るだけでなく、自動車またはトラックの外装仕上げに、高い光沢および優れたDOIをはじめとする、その光沢またはその魅力的な美的外観の他の態様をも洗浄の間にかなり急速に失わせる。消費者が魅力的な美的外観を有する外装仕上げの自動車およびトラックを好むことが周知であることを考えれば、仕上げの急速な汚れはさらにもっと望ましくない。
【0004】
アクリルフルオロカーボンポリマーを含有する多くのコーティングは、例えば、米国特許公報(特許文献4)、米国特許公報(特許文献5)、米国特許公報(特許文献6)、米国特許公報(特許文献7)、米国特許公報(特許文献8)、および米国特許公報(特許文献9)に示されているように、高い撥水性および撥油性、耐汚染性および良好なクリーナビリティを有する仕上げを提供するためのクリアコートとしての使用を提案されてきた。しかしながら、出願者らの知識では、以前に開示されたフルオロカーボン仕上げのどれもシラン化学を用いていない。さらに、シラン仕上げをそれから製造できるという何の提案もない。
【0005】
耐候性および引っ掻き抵抗性であるだけでなく、屋外使用条件下で比較的汚れのないままであり、例えば汚れた時に水で洗浄することによって容易にきれいにされるコーティング組成物および特に自動車クリアコートに対するニーズがある。かかるクリアコートが様々なベースコート上に従来の装置を用いて塗布でき、優れた接着性を有するべきであることもまた望ましい。
【0006】
【特許文献1】米国特許第4,043,953号明細書
【特許文献2】米国特許第4,518,726号明細書
【特許文献3】米国特許第4,368,397号明細書
【特許文献4】米国特許第4,812,337号明細書
【特許文献5】米国特許第5,597,874号明細書
【特許文献6】米国特許第5,605,956号明細書
【特許文献7】米国特許第5,627,238号明細書
【特許文献8】米国特許第5,629,372号明細書
【特許文献9】米国特許第5,705,276号明細書
【特許文献10】米国特許第4,147,688号明細書
【特許文献11】米国特許第4,180,489号明細書
【特許文献12】米国特許第4,075,141号明細書
【特許文献13】米国特許第4,415、681号明細書
【特許文献14】米国特許第4,591,533号明細書
【特許文献15】米国特許第4,220,679号明細書
【特許文献16】米国特許第5,162,426号明細書
【非特許文献1】バレット(Barrett)著、「有機媒体中での分散重合(DISPERSION POLYMERIZATION IN ORGANIC MEDIA)」、ジョンワイリー社、1975年
【非特許文献2】アール.ランボーン(R.Lambourne)編、「ペイントおよび表面コーティング:理論および実践(PAINT AND SURFACE COATING:THEORY AND PRACTICE)」、エリス・ホーウッド社(Ellis Horwood Limited)、1987年
【非特許文献3】エー.ダブリュ.アダムソン(A.W.Adamson)著、「表面の物理化学(The Physical Chemistry of Surfaces)」、第5版、ニューヨーク、ワイリー・アンド・ソンズ(Wiley & Sons)社、1990年、第II章
【非特許文献4】アール.エッチ.デットレ(R.H.Dettre)、アール.イー.ジョンソン・ジュニア(R.E.Johnson Jr.)著、「湿潤性(Wettability)」、ジェー.シー.バーグ(J.C.Berg)、マーセル デッカー(Marcel Dekker)編、ニューヨーク、1993年、第1章
【非特許文献5】エー.ダブリュ.アダムソン著、「表面の物理化学」、第5版、ニューヨーク、ワイリー・アンド・ソンズ社、1990年、第XII章および第XIII章
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、自動車およびトラックならびに他の基材の外面を仕上げるために有用なコーティング組成物に関する。コーティング組成物は約45〜90重量%のバインダーおよび10〜55重量%の有機液体キャリアを含有し、ここで、バインダーは
(A)シランまたはフッ素官能性を含有しない重合したエチレン系不飽和モノマーをポリマーの重量に基づいて約5〜98重量%と、シラン官能性を含有するエチレン系不飽和モノマーをポリマーの重量に基づいて約1.5〜70重量%と、およびフッ素官能性を含有する重合したエチレン系不飽和モノマーをポリマーの重量に基づいて約0.5〜25重量%と、を含む約500〜30,000の重量平均分子量を有するフィルム形成フッ素化有機シランポリマーをバインダーの重量に基づいて約10〜90重量%と、
(B)非水性分散ポリマーをバインダーの重量に基づいて約0〜60%と、
(C)有機ポリイソシアネートおよびアルキル化メラミン架橋剤の1つまたは両方から選択された架橋剤をバインダーの重量に基づいて約10〜90重量%と
を含有する。
【0008】
場合により、組成物は、1つまたは複数の非シラン含有フィルム形成溶液ポリマーを組成物中のバインダー固形分の重量に基づいて好ましくは0〜30重量%、より好ましくは約0〜20重量%さらに含んでもよい。
【0009】
本発明はまた、上記コーティング組成物での基材のコーティング方法、および上記組成物によるコーティンをそれに接着した車両本体またはその部品のような基材に関する。
【0010】
本発明の組成物は、顔料入りベースコート上にクリア・トップコートを形成するために特に有用である。かかるクリア・トップコートは、水または有機溶剤ベースのベースコートまたは粉体ベースコートのような、様々なベースコート上に塗布することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明は、自動車およびトラック本体の外面を仕上げるために有用なコーティング組成物を提供する。
【0012】
本発明のコーティング組成物は、固体カラー顔料もしくは金属粉もしくは他の有効顔料またはそれらの混合物を含有する顔料入りカラーコートまたはベースコート上にクリアコートとして第一に使用される。コーティング組成物はまた、通常の顔料入り組成物としても使用することができる。コーティング組成物は通常のスプレー装置で塗布し、周囲温度または乾燥時間を減らすために僅かに高温で硬化させることができる。生じた仕上げは優れた光沢および画像の明確さおよび耐候性を有する。生じた仕上げはまた、耐汚れ性および耐汚染性ならびにクリーナビリティの観点から、従来使用された自動車仕上げよりかなりの改良を提供する。
【0013】
好ましくは、コーティング組成物はクリアコーティング組成物である、すなわち、何の顔料も含有しないかまたは少量の透明な顔料を含有する。組成物は、約45〜90重量%の比較的高い固形分含有率のバインダー、およびバインダー用の溶剤または溶剤の混合物であり得る約10〜55重量%の有機キャリアを有する。好ましくは、コーティング組成物は約50〜80重量%のバインダーおよび20〜50重量%の有機溶剤キャリアを含有する高固形分組成物である。本発明のコーティングはまた、好ましくは低いVOC(揮発性有機含有率)コーティング組成物であり、それは、米国材料試験協会(ASTM)D3960に提供される手順下に測定されるように組成物のリットル当たり0.6キログラム(ガロン当たり5ポンド)未満の有機溶剤を含むコーティングを意味する。
【0014】
上に示されたように、ポリマー成分を含む本発明のコーティング組成物のフィルム形成部分は、「バインダー」または「バインダー固形分」と言われ、有機溶剤または液体キャリア中に溶解、乳化または別のやり方で分散されている。バインダーには一般に、組成物の普通は固体のポリマー非液体成分すべてが含まれる。一般に、触媒、顔料、または安定剤のような化学添加剤はバインダー固形分の一部とは考えられない。顔料以外の非バインダー固形分は通常、合計して組成物の約10重量%より多くにならない。本開示では、用語バインダーまたはバインダー固形分には、フッ素化シランポリマー、分散ポリマー、架橋剤、およびすべての他の任意のフィルム形成ポリマーが含まれる。
【0015】
本発明のコーティング組成物で用いられるバインダーは、約10〜90重量%、好ましくは40〜80%の、本明細書で以下フッ素化シランポリマーとも言われる、フィルム形成フッ素化有機シラン含有ポリマーを主成分として含有する材料のブレンドである。
【0016】
コーティングに使用されるフッ素化シランポリマーは約500〜30,000,好ましくは約3,000〜10,000の重量平均分子量を有する。本明細書で開示されるすべての分子量は、ポリスチレン標準を用いるGPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)によって測定される。
【0017】
好ましい実施形態では、フッ素化シランポリマーは、そのうち約1.5〜70重量%、好ましくは5〜50重量%がシラン官能性を含有するエチレン系不飽和モノマーであり、約5〜98重量%、好ましくは約40〜95重量%がエチレン系不飽和非シランおよび非フッ素含有モノマーであり、そして約0.5〜25重量%、好ましくは約1.0〜10重量%がフッ素官能性を含有するエチレン系不飽和モノマーであるモノマーの混合物の重合生成物である。8重量%シランモノマーおよび1.5%フロオロアルキルモノマーを有するアクリロシラン樹脂は、良好な耐酸エッチング性、表面損傷抵抗性、およびクリーナビリティを有することが分かった。
【0018】
シラン官能性もフッ素官能性も含有しない好適なエチレン系不飽和モノマーは、アクリル酸アルキル、メタクリル酸アルキルおよびそれらの任意の混合物であり、アルキル基が1〜12個の炭素原子、好ましくは2〜8個の炭素原子を有する。有機シランポリマーを形成するために使用される好適なメタクリル酸アルキルモノマーは、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸ペンチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸ノニル、メタクリル酸ラウリルなどである。同様に、好適なアクリル酸アルキルモノマーには、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸ペンチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸ノニル、アクリル酸ラウリルなどが含まれる。例えば、メタクリル酸トリメチルシクロヘキシル、アクリル酸トリメチルシクロヘキシル、メタクリル酸イソボルニル、アクリル酸イソボルニル、アクリル酸t−ブチルシクロヘキシル、またはメタクリル酸t−ブチルシクロヘキシルのような脂環式メタクリレートおよびアクリレートもまた使用することができる。例えば、アクリル酸ベンジルおよびメタクリル酸ベンジルのようなアクリル酸アリールおよびメタクリル酸アリールもまた使用することができる。勿論、上述モノマーの2つ以上の混合物もまた好適である。
【0019】
アルキルアクリレートまたはメタクリレートに加えて、ポリマーの約50重量%以下の他の非フッ素および非シラン含有重合性モノマーを、硬度、外観などのような所望の特性を達成するという目的のためにアクリロシランポリマーに使用することができる。かかる他のモノマーの模範的なものはスチレン、メチルスチレン、アクリルアミド、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどである。ヒドロキシ官能性モノマーもまた、20〜160のヒドロキシ価を有するポリマーを生み出すためにフッ素化シランポリマー中へ組み入れることができるし、好ましくは組み入れられる。好適なヒドロキシ官能性モノマーは、ヒドロキシメチルアクリレート、ヒドロキシメチルメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシブチルアクリレート、ヒドロキシブチルメタクリレートなどのような、アルキル基中に1〜4個の炭素原子を有するヒドロキシアルキルアクリレートおよびヒドロキシアルキルメタクリレートを意味するヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートである。ヒドロキシ官能性モノマーの存在は、ヒドロキシ基とシランポリマー上のシラン部分との間および/またはヒドロキシ基とトップコート組成物中に存在するかもしれないバインダー成分上の他の架橋基との間で追加の架橋が起こるのを可能にする。
【0020】
フッ素化シランポリマーを形成するのに有用な、好適なシラン含有モノマーは次の構造式
【0021】
【化1】

【0022】
(式中、RはCH、CHCH、CHO、またはCHCHOのいずれかであり、RおよびRは独立してCHまたはCHCHであり、RはH、CH、またはCHCHのいずれかであり、nは0または1〜10の正の整数である。好ましくは、RはCHOまたはCHCHOであり、かつ、nは1である)
を有するアルコキシシランである。
【0023】
かかるアルコキシシランの典型的な例は、ガンマ−アクリルオキシプロピルトリメトキシシランのようなアクリラトアルコキシシラン、ならびにガンマ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシランおよびガンマ−メタクリルオキシプロピルトリス(2−メトキシエトキシ)シランのようなメタクリラトアルコキシシランである。
【0024】
他の好適なアルコキシシランモノマーは次の構造式
【0025】
【化2】

【0026】
(式中、R、RおよびRは上記の通りであり、nは1〜10の正の整数である)
を有する。
【0027】
かかるアルコキシシランの例は、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシランおよびビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シランのようなビニルアルコキシシランである。
【0028】
他の好適なシラン含有モノマーは、アクリラトオキシシラン、メタクリラトオキシシランならびにビニルメチルジアセトキシシランのようなビニルアセトキシシラン、アクリラトプロピルトリアセトキシシラン、およびメタクリラトプロピルトリアセトキシシランをはじめとする、エチレン系不飽和アクリルオキシシランである。勿論、上述のシラン含有モノマーの混合物もまた好適である。
【0029】
シラン官能性マクロモノマーもまたフッ素化シランポリマーを形成するのに使用することができる。例えば、かかる一マクロモノマーは、エポキシドまたはイソシアネートのような反応性基を有するシラン含有化合物と、反応性基、典型的にはシランモノマーと共反応性(co−reactive)であるヒドロキシルまたはエポキシド基を有するエチレン系不飽和非シラン含有モノマーとの反応生成物である。有用なマクロモノマーの例は、アルキル基中に1〜4個の炭素原子を有するヒドロキシルアルキルアクリレートまたはメタクリレートのようなヒドロキシ官能性エチレン系不飽和モノマーと、イソシアナトプロピルトリエトキシシランのようなイソシアナトアルキルアルコキシシランとの反応生成物である。
【0030】
かかる上述のシラン官能性マクロモノマーの典型的なものは、次の構造式
【0031】
【化3】

【0032】
(式中、R、R、およびRは上記の通りであり、RはHまたはCHであり、Rは1〜8個の炭素原子を有するアルキレン基であり、nは1〜8の正の整数である)
を有するものである。
【0033】
フッ素含有モノマーは好ましくは、フッ素化シランポリマーの総重量に基づいて約0.5〜10重量%の量で使用される。フルオロカーボンモノマーは高価であるので、本発明組成物は好ましくはフルオロカーボン成分の低い含有率を有する。有用なフッ素含有モノマーは式
【0034】
【化4】

【0035】
(式中、Rは水素または1〜2個の炭素原子を有するアルキル基であり、nは1〜18の整数であり、Rは少なくとも4個の炭素原子を有するフルオロアルキル含有基であり、好ましくは、場合により酸素原子を含有することができる4〜20個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖フルオロアルキル基である)
で表されるフルオロアルキルモノマーである。
【0036】
典型的な有用なフルオロアルキル含有モノマーは、パーフルオロメチルエチルメタクリレート、パーフルオロエチルエチルメタクリレート、パーフルオロブチルエチルメタクリレート、パーフルオロペンチルエチルメタクリレート、パーフルオロヘキシルエチルメタクリレート、パーフルオロオクチルエチルメタクリレート、パーフルオロデシルエチルメタクリレート、パーフルオロラウリルエチルメタクリレート、パーフルオロステアリルエチルメタクリレート、パーフルオロメチルエチルアクリレート、パーフルオロエチルエチルアクリレート、パーフルオロブチルエチルアクリレート、パーフルオロペンチルエチルアクリレート、パーフルオロヘキシルエチルアクリレート、パーフルオロオクチルエチルアクリレート、パーフルオロデシルエチルアクリレート、パーフルオロラウリルエチルアクリレート、パーフルオロステアリルエチルアクリレートなどである。フルオロアルキル基が4〜20個の炭素原子を含有するパーフルオロアルキルエチルメタクリレートが好ましい。
【0037】
他の有用なフルオロアルキル含有モノマーは式
【0038】
【化5】

【0039】
(式中、
は上に定義された通りであり、
f’は4〜12個の炭素原子を有するフルオロアルキル基であり、
は1〜4個の炭素原子を有するアルキル基であり、そして
nは1〜4の整数である)
で表される。
【0040】
これらのモノマーの典型的なものは下記である。
【0041】
【化6】

【0042】
上述の成分と一致して、本発明のトップコート組成物で有用なフッ素化アクリロシランポリマーの例は次の成分を含有してもよい:約10〜30重量%のスチレン、約2〜20重量%のガンマ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、約10〜30重量%のメタクリル酸イソブチル、5〜30重量%のアクリル酸2−エチルヘキシル、15〜45重量%のヒドロキシエチルメタクリレートおよびアルキル基中に4〜20個の炭素原子を有する約0.5〜5重量%のフルオロアルキルエチルメタクリレート。
【0043】
特に好ましい一フッ素化アクリロシランポリマーは、約20重量%スチレン、約8重量%ガンマ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、約70.5重量%の、メタクリル酸トリメチルシクロヘキシル、アクリル酸ブチルおよびメタクリル酸イソブチルならびにそれらの任意の混合物のような非官能性アクリレートまたはメタクリレート、ならびに約1.5重量%の上記フルオロアルキルエチルメタクリレートモノマーを含有する。
【0044】
コーティング組成物に使用されるフッ素化シランポリマーは、モノマー、溶媒、および重合開始剤が1〜24時間、好ましくは2〜8時間にわたって通常の重合反応器中へ装入され、その反応器中で成分が約60〜175℃、好ましくは約110〜170℃に加熱される通常の重合技術によって好ましくは製造される。
【0045】
フッ素化シランポリマーの好ましい形成方法では、フルオロアルキル含有モノマーは長時間にわたって他のモノマーと一緒に加えられないが、開始、終了または中間のような重合プロセス中の任意の時間に加えられる。重合性のフルオロアルキル含有モノマーは通常溶媒とブレンドされ、次に反応器に加えられる。フルオロアルキル含有モノマーは、ポリマーの総重合時間の約0.01〜10%で加えられる。好ましくは、フルオロアルキル含有モノマーは、他のモノマーの少なくとも幾らかが加えられ、ある程度重合した後で加えられる。
【0046】
上記やり方での、典型的には重合反応の終わりごろにショットでのフルオロアルキル含有モノマーの添加は、大量の高価なフッ素モノマーを使用することなく、ある一定百分率のポリマー鎖をフッ素含有率の点で高くする方法である。これは、実質的なコスト削減を提供しながら高いクリーナビリティを達成させる。フッ素含有率の点で富むだけでなく、架橋性基のような他の官能性基の点でも富む鎖を提供して、高い引っ掻きおよび表面損傷抵抗性ならびに風防シーラントへの優れた接着性のような他の所望のフィルム特性を達成するために、他の官能性モノマー、例えば、シラン含有−およびヒドロキシル含有−モノマーの一部を典型的には重合反応の終わりごろにショットで加えることもまた有益である。この技法はまた、フッ素基の少なくとも一部分が他の官能基によって最終フィルムネットワーク中へ架橋されるのを可能にし、それはフッ素基がだんだん洗い落とされ、究極的にコーティングフィルムの表面から消失するのを防ぐので、フッ素表面の寿命を延ばす方法でもある。
【0047】
代わりの実施形態では、より多量のフルオロアルキル含有モノマー(25重量%より上の)がフッ素に富んだシランポリマーを製造するために他のモノマーと共に加えられる。得られたフッ素化シランポリマーは、高レベルのフルオロ官能性を有するかもしれず、「ミックス−イン」ポリマーまたは添加物(典型的にはバインダーの重量に基づいて約0.1〜10重量%の量で)として任意の商業的に入手可能なコーティング・システムに有効であるかもしれない。
【0048】
本方法で使用される典型的な重合開始剤は、アゾ−ビス−イソブチロニトリル、1,1’−アゾ−ビス(シアノシクロヘキサン)のようなアゾタイプ開始剤、過酢酸t−ブチルのような過酢酸エステル、ジ−t−ブチルペルオキシドのようなペルオキシド、過安息香酸t−ブチルのような安息香酸エステル、過オクタン酸t−ブチルのようなオクタン酸エステルなどである。
【0049】
本方法で使用することができる典型的な溶媒は、メタノール、エタノール、n−ブタノール、n−プロパノール、およびイソプロパノールのようなアルコール、メチルアミルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトンのようなケトン、トルエン、キシレン、ソルベッソ(Solvesso)(登録商標)100のような芳香族炭化水素、プロピレンカーボネートのようなアルキレンカーボネート、N−メチルピロリドン、エーテル、エステル、アセテートならびに上記の任意の混合物である。
【0050】
フッ素化シランポリマーに加えて、他のフィルム形成および/または架橋溶液ポリマーが本出願に含まれてもよい。例には、通常公知のアクリロシラン、ポリアクリレート、セルロース誘導体、アミノプラスト、イソシアネート、ウレタン、ポリエステル、エポキシドまたはそれらの混合物が挙げられる。好ましい任意の一フィルム形成ポリマーは、ポリオール、例えば、重合したモノマーのアクリルポリオール溶液ポリマーである。かかるモノマーには、前述のアルキルアクリレートおよび/またはメタクリレートならびにさらに、ヒドロキシアルキルアクリレートおよび/またはメタクリレートが含まれてもよい。好適なアルキルアクリレートおよび/またはメタクリレートは、アルキル基中に1〜12個の炭素原子を有する。ポリオールポリマーは好ましくは、約50〜200のヒドロキシル価および約1,000〜200,000、好ましくは約1,000〜20,000の重量平均分子量を有する。
【0051】
ポリオール中にポリオールの約90重量%まで、好ましくは20〜50重量%のヒドロキシ官能性を提供することは、ヒドロキシ官能性の重合したモノマーを含む。好適なモノマーには、例えば、本明細書で上にリストされたヒドロキシアルキルアクリレートおよびメタクリレートならびにそれらの混合物のような、ヒドロキシアルキルアクリレートおよびメタクリレートが含まれる。
【0052】
他の重合性の非ヒドロキシ含有モノマーが約90重量%まで、好ましくは50〜80%の量で、ポリオールポリマー成分に含まれてもよい。かかる重合性モノマーには、例えば、スチレン、メチルスチレン、アクリルアミド、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、メタクリルアミド、メチロールメタクリルアミド、メチロールアクリルアミドなど、およびそれらの混合物が含まれる。
【0053】
アクリルポリオールポリマーの一例は、約10〜20重量%のスチレン、アルキル基中に1〜6個の炭素原子を有する40〜60重量%のアルキルメタクリレートまたはアクリレート、およびアルキル基中に1〜4個の炭素原子を有する10〜50重量%のヒドロキシアルキルアクリレートまたはメタクリレートを含む。かかる一ポリマーは、約15重量%スチレン、約29重量%メタクリル酸イソブチル、約20重量%アクリル酸2−エチルヘキシル、および約36重量%ヒドロキシプロピルアクリレートを含有する。
【0054】
上記のポリマー成分に加えて、分散ポリマーがフッ素化シランポリマーと組み合わせて使用されてもよいし、好ましく使用される。有機(実質的に非水性)媒体中に分散されたポリマーは、当該技術では、非水性分散系(NAD)ポリマー、非水性ポリマー微小粒子分散系、非水性ラテックス、またはポリマーコロイドと様々に言われてきた。一般的には(非特許文献1)を参照されたい。また、参照により本明細書によって援用される、米国特許公報(特許文献10)、米国特許公報(特許文献11)、米国特許公報(特許文献12)、米国特許公報(特許文献13)、および米国特許公報(特許文献14)も参照されたい。一般に、分散ポリマーは、その粒子が粒子−媒体界面での溶媒和ポリマーまたはオリゴマー層の付着により成し遂げられる立体安定化によって安定化されている、有機媒体中に分散されたポリマー粒子として特徴づけられる。
【0055】
本発明組成物の分散ポリマーで、立体障害で覆われた、分散された相または粒子は「コア」と言われる。このコアに結合した立体障害を形成する安定剤は、「マクロモノマー鎖」または「アーム」と言われるであろう。
【0056】
分散ポリマーは、シランコーティングに関連した従来の亀裂の問題を解決するために本発明で使用される。これらの分散ポリマーは、亀裂を所望の最小限に減らすために、例えば流動調整剤用などの他の目的に典型的に使用される場合より比較的多い量で使用されなければならない。本発明の分散ポリマーは、組成物中の全バインダーの0〜60重量%、好ましくは約4〜40%、より好ましくは5〜30%に変わる量で典型的には使用される。組成物中のシラン化合物対分散ポリマー成分の比は好適には、5:1〜1:2、好ましくは4:1〜1:1の範囲である。組成物中の分散ポリマーのこの比較的高い濃度は、分散ポリマーのアーム中の反応性基の存在によって可能にされ、その反応性基はポリマーをシステムの連続相と相溶性にする。
【0057】
分散ポリマーは、約50,000〜500,000の重量平均分子量を有するコアを分散ポリマーの重量に基づいて約10〜90重量%、好ましくは50〜80%含有する。好ましい平均粒度は0.1〜0.5ミクロンである。コアに結合したアームは、分散ポリマーの約90〜10重量%、好ましくは20〜50%を構成し、約1,000〜30,000、好ましくは1000〜10,000の重量平均分子量を有する。
【0058】
好ましくは、分散ポリマーのコアは、重合したエチレン系不飽和モノマーよりなる。好適なモノマーには、スチレン、アルキルアクリレートまたはメタクリレート、エチレン系不飽和モノカルボン酸、および/またはシラン含有モノマーが含まれる。他の任意のモノマーは、ヒドロキシアルキルアクリレートもしくはメタクリレートまたはアクリロニトリルである。ヒドロキシのようなかかる官能基はフッ素化アクリロシランポリマー中のシラン基と反応して組成物中により多くの結合を生み出し得ることが指摘される。架橋したコアが望ましい場合、互いに架橋するアクリル酸アリルもしくはメタクリル酸アリルを使用することができ、またはモノカルボン酸官能性エチレン系不飽和モノマーと反応してコアを架橋することができるグリシジルアクリレートもしくはメタクリレートのようなエポキシ官能性モノマーを使用することができる。
【0059】
またはコアは、架橋目的のためにシラン官能性を含有することができ、その官能性は、フィルム形成フッ素化アクリロシランポリマーに関して上述された、少量の1つまたは複数のシラン含有モノマーによって提供されてもよい。
【0060】
本発明で使用される分散ポリマーの所望の特徴は、反応性であるマクロモノマー・アームの存在である、すなわちこれらのアームは、本発明組成物のフッ素化シランポリマーと反応するようにアレンジされている、「架橋官能性」と言われる多数の反応性基を有する。追加のフィルム形成バインダーが存在する場合に特に、組成物のベーキングおよび硬化中に起こるかもしれない多数のおよび複雑なセットの反応のために、これらの官能基のどの部分が実際にフッ素化シランポリマーと反応するかは確実には分からない。しかしながら、アーム中のこれらの官能性の実質的な部分、好ましくはその大部分は組成物のフィルム形成体と実際上反応し、架橋すると言えるかもしれない。追加のフィルム形成ポリマー、例えば、ポリオールが存在する場合、アームはフッ素化シランポリマー以外のフィルム形成ポリマーと反応するかもしれない。好適には、マクロモノマー・アームを構成するモノマーの約3〜30%は反応性の架橋性官能基を有する。好ましくはモノマーの約10〜20%がかかる反応性基を有する。
【0061】
分散ポリマーのアームは、高分子コアへしっかりと固定されるべきである。こういう訳で、アームは好ましくは共有結合で固定される。固定は、それらがフィルム形成ポリマーと反応した後にアームを分散ポリマーに保持するのに十分でなければならない。
【0062】
上に示されたように、分散ポリマーのアームまたはマクロモノマーは、当該技術で立体障害と言われるものを形成することによってコアが凝集するのを防ぐ働きをする。アームは、典型的にはコアと対照的に、少なくとも一時的に、組成物の有機溶剤キャリアまたは媒体中で溶媒和されることができる。それらはそれ故鎖延長構造にあるかもしれず、それらの架橋官能基はそれ故フィルム形成シラン含有ポリマーのシラン基と反応するために比較的容易に利用可能である。かかるアームは好適には、重合したエチレン系不飽和ヒドロキシ、エポキシド、シラン、酸、酸無水物、イソシアネート、アミド、もしくは他の架橋官能性含有モノマー、またはそれらの組み合わせをマクロモノマーの重量に基づいて約5〜30重量%、好ましくは10〜20%と、かかる架橋官能性なしの少なくとも1つの他の重合したエチレン系不飽和モノマーをマクロモノマーの重量に基づいて約70〜95重量%とを含む。好ましくは架橋官能性は、かかる反応性基がワンパッケージ・システムで利用することができるので、ヒドロキシ、シランまたはエポキシ含有モノマーである。架橋官能性が酸、酸無水物、またはイソシアネートである場合、分散ポリマーが第1パッケージで、そしてフッ素化シランが第2パッケージで、ツーパッケージ・システムが一般に必要とされる。ヒドロキシおよびシラン基は制限された相溶性を有し、好ましくは同じマクロモノマー鎖上にないことが指摘されるけれども、上述の架橋官能基の組み合わせもまた好適である。
【0063】
コアに結合したマクロモノマー・アームは、固定および/または架橋のためのアクリル酸グリシジルもしくはメタクリル酸グリシジルまたはエチレン系不飽和モノカルボン酸含有モノマーだけでなく、それぞれアルキル基中に1〜12個の炭素原子を有する、メタクリル酸アルキル、アクリル酸アルキルの重合したモノマーを含有してもよい。典型的に有用なヒドロキシ含有モノマーは、上記のようなヒドロキシアルキルアクリレートまたはメタクリレートである。
【0064】
ヒドロキシ官能性を有する分散ポリマーにとって好ましい組成物は約25重量%ヒドロキシエチルアクリレート、約4重量%メタクリル酸、約46.5重量%メタクリル酸メチル、約18重量%アクリル酸メチル、約1.5重量%メタクリル酸グリシジルおよび約5%スチレンよりなるコアを含む。コアに結合したマクロモノマーは97.3重量%プレポリマーおよび約2.7重量%メタクリル酸グリシジルを含有し、後者は架橋または固定用である。好ましいプレポリマーは、約28重量%メタクリル酸ブチル、約15重量%メタクリル酸エチル、約30重量%アクリル酸ブチル、約10重量%ヒドロキシエチルアクリレート、約2重量%アクリル酸、および約15重量%スチレンを含有する。
【0065】
分散ポリマーは通常公知の手順によって製造されてもよい。例えば、かかるポリマーは粒子のための立体安定剤の存在下で、有機溶媒中、モノマーの分散フリーラジカル重合法によって製造されてもよいことが開示されてきた。該手順は、基本的には、溶解した両性の安定剤の存在下に、モノマーは可溶であるが生じたポリマーは可溶でない不活性溶媒中でモノマーを重合させるものとして記載されてきた。かかる手順は、特許および非特許文献の両方に広く開示されてきたし、例えば、概して分散ポリマーに関する上記の参考文献、または米国特許公報(特許文献15)および(非特許文献2)を参照されたい。マクロモノマー・アームは、コバルト触媒の特殊連鎖移動(SCT)重合、グループ移動重合(GTP)、またはフリーラジカル重合によって製造することができる。分散ポリマーは、シランコーティングにこれまで関連した亀裂の問題を解決する。
【0066】
本明細書での使用のための好適な分散ポリマーはまた、参照により本明細書によって援用される米国特許公報(特許文献16)に開示されている。好ましくは、約20重量%のかかる分散ポリマーが亀裂を防ぐために含まれる。
【0067】
一般に好ましい2構成要素または2パック・システム用に、多官能性有機イソシアネートを、イソシアネート化合物が1分子中に少なくとも2個のイソシアネート基を有する限り特定の制限なしに架橋剤として使用することができる。好ましいポリイソシアネート化合物は、分子当たり2〜3個のイソシアネート基を有するイソシアネート化合物である。多官能性有機イソシアネート化合物の典型的な例は、例えば、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、2,4−トルエンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、テトラメチルキシリデンジイソシアネートなどである。商品名デスモデュール(Desmodur)(登録商標)N−3390で販売されているヘサメチレンジイソシアネートの三量体(イソシアヌレート)、商品名デスモデュール(登録商標)Z−4470で販売されているイソホロンジイソシアネートの三量体(イソシアヌレート)などのようなジイソシアネートの三量体もまた使用することができる。前述の有機ポリイソシアネートの任意のものとポリオールとから形成されるポリイソシアネート官能性付加体もまた使用することができる。トリメチロールプロパンまたはエタンのようなトリメチロールアルカンなどのポリオールを使用することができる。有用な一付加体はテトラメチルキシリデンジイソシアネートとトリメチロールプロパンとの反応生成物であり、サイセーン(Cythane)(登録商標)3160の商品名で販売されている。本発明の架橋性樹脂が外装コーティングに使用される場合、耐候性および耐黄変性の観点から、脂肪族または脂環式イソシアネートの使用が芳香族イソシアネートの使用よりも好ましい。
【0068】
場合により、本発明コーティング組成物は、特に任意のポリオールポリマーまたはヒドロキシ官能性ポリマーと併せて、追加の架橋剤、例えば、アミノプラスト架橋剤をさらに含んでもよい。特に好ましいアミノプラスト樹脂は、通常使用されるアルキル化メラミン・ホルムアルデヒド架橋剤の任意のものである。典型的に有用なアルキル化メラミン・ホルムアルデヒド架橋剤は、例えば、部分または完全アルキル化されている通常のモノマーまたはポリマーのアルキル化メラミン・ホルムアルデヒド樹脂である。有用な一架橋剤は、約1〜3の重合度を有するメチル化およびブチル化またはイソブチル化メラミン・ホルムアルデヒド樹脂である。一般に、このメラミン・ホルムアルデヒド樹脂は、約50%ブチル化基またはイソブチル化基と50%メチル化基とを含有する。かかる架橋剤は典型的には約300〜600の数平均分子量および約500〜1500の重量平均分子量を有する。商業的に入手可能な樹脂の例は、サイメル(Cymel)(登録商標)1168、サイメル(登録商標)1161、サイメル(登録商標)1158、レジミン(Resimine)(登録商標)4514およびレジミン(登録商標)354である。好ましくは、架橋剤は、バインダーの重量に基づいて約5〜50重量%の量で使用される。他の熟慮される架橋剤は、尿素ホルムアルデヒド、ベンゾクォーナミン(benzoquanamine)ホルムアルデヒドおよびブロックされたポリイソシアネートまたは前述の架橋剤の任意の相溶性混合物である。好ましくは約10〜60重量%のかかる架橋剤がコーティングのバインダーに含まれる。
【0069】
上記のクリアコート組成物はまた、延びた貯蔵寿命を有するワン−パッケージ・システムとして(ブロックされていない有機ポリイソシアネートなしで)調合することができる。
【0070】
触媒は、シランポリマーのシラン部分のそれ自体とのおよび/または組成物の他の成分との架橋を触媒するために典型的には添加される。ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジオキシド、ジブチル錫ジオクトエート、オクタン酸錫、チタン酸アルミニウム、アルミニウムキレート、ジルコニウムキレートなどのような、多種多様な触媒を使用することができる。ブロックされているかブロックされていないかのどちらかの、ドデシルベンゼンスルホン酸のようなスルホン酸は有効な触媒である。ブロックされているかブロックされていないかのどちらかの、フェニル酸性リン酸エステルのようなアルキル酸性リン酸エステルもまた用いられてもよい。前述の触媒の任意の混合物も同様に有用であるかもしれない。他の有用な触媒は当業者には容易に思い浮かぶであろう。好ましくは、触媒は、バインダーの重量に基づいて約0.1〜5.0%の量で使用される。
【0071】
トップコート組成物で製造されたクリア仕上げの耐候性を改良するために、紫外線安定剤または紫外線安定剤の組み合わせを、バインダーの重量に基づいて約0.1〜10重量%の量でトップコート組成物に添加することができる。かかる安定剤には、かかる安定剤には、紫外線吸収剤、スクリーナー、失活剤、および特有のヒンダードアミン光安定剤が含まれる。また、酸化防止剤も、バインダーの重量に基づいて約0.1〜5重量%で添加することができる。有用である典型的な紫外線安定剤には、ベンゾフェノン、トリアゾール、トリアジン、ベンゾエート、ヒンダードアミンおよびそれらの混合物が含まれる。
【0072】
オルト酢酸トリメチル、オルトギ酸トリエチル、テトラシリケートなどのような好適な量(好ましくはバインダーの2〜6重量%)の水捕捉剤が、典型的にはそのポットライフを延ばすためにトップコート組成物に添加される。約3%ミクロゲル(好ましくはアクリル)および1%疎水性シリカがレオロジー調整のために用いられてもよい。組成物はまた、例えば、レジフロー(Resiflow)(登録商標)S(ポリアクリル酸ブチル)、BYK(登録商標)320および325(高分子量ポリアクリレート)などの流動調整剤のような他の通常の調合添加剤を含んでもよい。
【0073】
本発明組成物がベースコート/クリアコート仕上げを提供するために顔料入りカラーコート(ベースコート)上へのクリアコート(トップコート)として使用される場合、少量の顔料を、黄変のような仕上げでの望ましくないカラーを排除するためにクリアコートに添加することができる。
【0074】
本発明組成物はまた顔料入りであり、カラーコートとして、またはモノコートとしてもしくはさらにプライマーもしくはプライマーサーフェーサーとして使用することができる。モノコートとして使用される場合、これらの組成物は、航空、農場および建設機械、ならびに改良されたクリーナビリティが望まれる建築コーティング向けに特に有用である。それはまた、滑性が望まれる部品およびデバイスを塗装するまたはコートするためのモノコートとしても使用することができる。これらの顔料入り組成物のすべてが、以前に塗装された基材、冷間圧延鋼、リン酸塩処理スチール、および電着により通常のプライマーでコーティングされたスチールのような様々な基材への優れた接着性を有する。本発明組成物はまた、プライマー、例えば、アルキド樹脂修理プライマーだけでなく、架橋したエポキシポリエステルおよび様々なエポキシ樹脂を含むものへの優れた接着性を示す。本発明組成物は、ガラス繊維強化ポリエステル、反応射出成形ウレタンおよび部分結晶性ポリアミドのようなプラスチック基材をコートするために使用することができる。
【0075】
本発明のコーティング組成物がベースコート、モノコート、プライマーまたはプライマーサーフェーサーとして使用される場合、組成物に添加することができる典型的な顔料には、次のものが含まれる:二酸化チタン、酸化亜鉛、様々な色の酸化鉄のような金属酸化物、カーボンブラック;タルク、陶土、バライト、炭酸塩、ケイ酸塩のようなフィラー顔料;ならびにキナクリドン、銅フタロシアニン、ペリレン、アゾ顔料、インダンスロンブルー、例えばカルバゾールバイオレットなどのカルバゾール、イソインドリノン、イソインドロン、チオインジゴレッド、ベンゾイミダゾリノンのような多種多様な有機着色顔料;アルミニウムフレークのような金属粉顔料および真珠光沢、すなわち、雲母、フレークような他の有効顔料など。
【0076】
顔料は、高速混合、サンド研削、ボールミリング、磨砕機研削または2ロールミリングのような通常の技法によりコーティング組成物に使用される前述ポリマーの任意のものでまたは別の相溶性ポリマーもしくは分散剤で練り顔料または顔料分散系を先ず形成することによってコーティング組成物中へ導入することができる。練り顔料は次にコーティング組成物に使用される他の成分とブレンドされる。
【0077】
通常の溶剤および希釈剤が、上述のポリマーを分散させておよび/または希釈させて本発明のコーティング組成物を得るために一般に使用される。典型的な溶剤および希釈剤には、トルエン、キシレン、酢酸ブチル、アセトン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、メタノール、イソプロパノール、ブタノール、ヘキサン、アセトン、エチレングリコールモノエチルエーテル、VMおよびPナフサ、ミネラルスピリット、ヘプタンおよび他の脂肪族、脂環式、芳香族炭化水素、エステル、エーテルならびにケトンなどが含まれる。
【0078】
コーティング組成物は、吹き付け塗り、静電塗装、浸し塗り、刷毛塗り、流し塗りなどのような通常の技法によって塗布することができる。好ましい技法は吹き付け塗りおよび静電塗装である。塗布後に、組成物は典型的には100〜150℃で約15〜30分間ベークされて約0.1〜3.0ミル厚さのコーティングを形成する。組成物がクリアコートとして使用される場合、それは、クリアコートが塗布される前に粘着性なしの状態まで乾燥され、硬化させられてもまたは好ましくは短時間フラッシュ乾燥されてもよいカラーコート上に塗布される。カラーコート/クリアコート仕上げは次に、上述のようにベークされて乾燥し、硬化した仕上げを提供する。
【0079】
「ウェット−オン−ウェット」塗布を用いてベースコート上にクリア・トップコートを塗布することは慣例である、すなわち、トップコートはベースコートを硬化させるまたは完全に乾燥させることなくベースコートに塗布される。被覆基材は次に、予め定められた時間加熱されてベースコートおよびクリアコートを同時硬化させる。
【0080】
本発明のクリア・トップコート組成物の硬化時に、フッ素化シラン含有ポリマーの一部は、耐久性の耐候性クリアコートを生み出すために、特にフッ素化有機シランポリマーがポリオールと組み合わせて使用される場合に、クリアコートのトップ部分に優先的に移行し、その中で層状になるかもしれない。かかる層化はまた、フルオロカーボン成分の存在のおかげで、それが非常に低い表面エネルギー、高い撥水性および撥油性、ならびに従って顕著な耐汚染性およびクリーナビリティに寄与するので一般には望ましい。かかる層化は、トップコートの硬化した層の断面の電子走査化学分析(ESCA)によって示されてきた。
【0081】
本発明のコーティング組成物は、基材に塗布され十分に硬化させられた時に、最も望ましくは少なくとも100°、好ましくは100°〜120°の水前進接触角および少なくとも40°、好ましくは45〜85°、より好ましくは60°〜85°のヘキサデカン前進接触角を有し、それは、上に議論されたように、比較的汚れのないままであり、かつ、容易に洗浄されるまたはきれいに拭かれる仕上げを提供する。水および有機液体接触角とクリーナビリティおよび汚れ固着との関係は、実施例で下により十分に記載される。
【実施例】
【0082】
次の実施例は本発明を例示する。すべての部および百分率は特に明記しない限り重量基準である。本明細書で開示されるすべての分子量はポリスチレン標準を用いるGPCによって測定する。
【0083】
次のポリマーを製造し、実施例1および比較例2に示すように使用した。
【0084】
(フッ素化アクリロシランポリマーの製造)
フッ素化ヒドロキシ官能性アクリロシランポリマーを、上記のように装備された、窒素で覆われた反応中へ次の成分を装入することによって製造した。
【0085】
【表1】

【0086】
部分Iを反応フラスコ中へ装入し、かき混ぜ下にその還流温度まで加熱した。部分IIを予め混合し、次に、反応混合物を還流温度に維持しながら、それに240分間にわたって加えた。部分IIIを予め混合し、次に、部分IIの添加の開始230分後に反応混合物に一度に加えた。240分フィードの完了後に、予め混合した部分IVを30分間にわたって加え、次に反応混合物をその還流に追加の60分間保持した。生じたポリマー溶液を次に室温まで冷却した。
【0087】
生じたポリマー溶液は56.9%の重量固形分、25℃で測定されたJのガードナー−ホルツ(Gardner−Holdt)粘度、約2,565の数平均分子量および1.6の多分散性を有し、そして20/15/23.5/5/32//1.5/3の重量比で次の成分Sty/2−EHA/iBMA/A−174/HEMA//ゾニールTM(登録商標)(ショット)/A−174(ショット)を含有する。
【0088】
(非フッ素化アクリロシラン樹脂の製造)
比較目的のために、非フッ素化ヒドロキシ官能性アクリロシラン樹脂を、上記のように装備された窒素で覆われたフラスコ中へ次の成分を装入することによって製造した。
【0089】
【表2】

【0090】
部分Iを反応フラスコ中へ装入し、かき混ぜおよび窒素雰囲気下に還流温度まで加熱した。部分IIおよびIIIを別々に予め混合し、溶液を還流温度に維持しながら、270分間にわたって部分Iに加えた。生じたポリマー溶液を次に還流温度に30分間保持した。
【0091】
生じたポリマー溶液は64%固形分含有率、ガードナー−ホルツ尺度で測定されるようにT粘度、および約5,000の重量平均分子量を有する。
【0092】
(アクリルポリオール樹脂の製造)
場合により本発明の組成物に含まれてもよいアクリルポリオール樹脂を、上記のように装備された窒素で覆われたフラスコ中へ下記を装入することによって製造した。
【0093】
【表3】

【0094】
部分Iを反応器中へ装入し、還流温度まで加熱した。部分IIおよびIIIを別々に予め混合し、次に、反応混合物を還流温度に保持しながら、260分間にわたって反応器に同時に加えた。溶液を次に還流温度に30分間保持した。
【0095】
生じたアクリルポリオール樹脂は66重量%固形分であり、約6,000の重量平均分子量を有する。
【0096】
(アクリルNAD樹脂の製造)
場合により本発明の組成物に含まれてもよいヒドロキシ官能性アクリルNAD樹脂を、上記のように装備された窒素で覆われたフラスコ中へ下記を装入することによって製造した。
【0097】
【表4】

【0098】
部分Iを反応容器中へ装入し、還流温度まで加熱した。部分IIを次に、部分IIIおよびIVが反応容器中へのフィードを始める前の5分以内に反応容器に加えた。部分IIIおよびIVを別々に予め混合し、210分間にわたって還流温度で反応容器中へ同時にフィードした。部分Vを予め混合し、還流温度を維持しながら60分間にわたって加えた。反応溶液を次に還流温度に60分間保持した。真空を次に反応容器にかけ、236.84重量部溶媒を取り除いた。
【0099】
生じたNAD樹脂は60%の重量固形分、約100,000〜200,000の重量平均分子量を有するコア、およびコアに結合した約10,000〜15,000の重量平均分子量を有するアームを有する。
【0100】
(アクリルミクロゲル樹脂の製造)
メタクリル酸メチル/メタクリル酸グリシジル共重合体を、下記のアクリルミクロゲル樹脂の合成で使用される、また、場合により本発明の組成物中に含まれる中間体安定化ポリマーとして製造した。この安定化ポリマーを、上記のように装備された窒素で覆われたフラスコ中へ下記を装入することによって製造した。
【0101】
【表5】

【0102】
部分Iを反応器に装入し、96〜100℃の温度にした。部分IIおよびIIIを別々に予め混合し、次に、96〜100℃の反応温度を維持しながら、180分間にわたって同時に加えた。溶液を次に90分間保持した。順に、部分IV、V、およびVIを別々に予め混合し、反応器に加えた。反応溶液を次に還流まで加熱し、酸価が0.5以下であるまで保持した。生じたポリマー溶液は40%固形分含有率を有する。
【0103】
アクリルミクロゲル樹脂を次に、上記のように装備された窒素で覆われたフラスコ中へ下記を装入することによって製造した。
【0104】
【表6】

【0105】
部分Iを反応容器中へ装入し、その還流温度まで加熱し、45分間保持した。部分IIおよびIIIを別々に予め混合し、次に、反応混合物をその還流温度に維持しながら、混合される反応容器に120分間にわたって同時に加えた。部分IVを次に加えた。部分VおよびVIを別々に予め混合し、次に、混合物を還流温度に維持しながら120分間にわたってバッチに同時に加えた。混合物を次に還流温度に30分間保持した。
【0106】
生じたポリマー溶液は50%の重量固形分、および60センチポイズの粘度を有する。
【0107】
(クリアコート実施例1および比較例2の調製)
クリアコート組成物は、次の成分を与えられた順に一緒にブレンドすることによって調製した。
【0108】
【表7】

【0109】
電着プライマーで電着したリン酸塩処理スチールパネルを、それぞれ、通常の無地のブラックおよびシルバーメタリック溶剤希釈型ベースコーティング組成物で吹き付け塗りし、コートして約0.5〜1.0ミル厚さのベースコートを形成した。ベースコートにそれぞれ5分のフラッシュを与えた。次に、上に調合したクリアコート・ペイントをベースコートのそれぞれ上に「ウェット−オン−ウェット」塗布して約1.8〜2.2ミル厚さのクリアコート層を形成した。パネルを次に、典型的なOEMベークである、約250°Fで30分間ベークすることによって十分に硬化させた。生じた被覆パネルを下記の特性について測定した。結果を表1に一覧にする。
【0110】
上記被覆パネルの次の特性を測定した:20°光沢、画像の明確さ(DOI)、ツーコン(Tukon)で測定される硬度、ならびにビデオ接触角システムによって測定されるような前進および後退水接触角ならびに前進および後退ヘキサデカン溶剤接触角。
【0111】
接触角測定値は、具体的には、クリアコートした表面のクリーナビリティおよび汚れ固着を評価するために用いた。接触角は、参照により本明細書によって本明細書に援用される(非特許文献3)に十分に記載されている液滴法(Sessile Drop Method)によって測定する。
【0112】
手短に言えば、液滴法では、水か溶剤かどちらかの液体の滴を表面上に置き、正接を滴と表面との接触ポイントで正確に測定する。前進角は、液体の滴のサイズを大きくすることによって測定し、後退角は液体の滴のサイズを小さくすることによって測定する。機器およびこれらの接触角を測定するために必要な手順に関する追加情報は、参照により本明細書に援用される(非特許文献4)にさらに十分に記載されている。
【0113】
水および有機液体接触角とクリーナビリティおよび汚れ固着との関係は、(非特許文献5)に記載されている。一般に、接触角が高ければ高いほど、表面はより耐汚れまたは汚染性であり、表面はきれいにするのがより容易である。
【0114】
【表8】

【0115】
上のデータは、フッ素化アクリロシランポリマー溶液から製造したクリアコーティング組成物が、耐汚染性である、かつ、容易に洗浄されるまたはきれいに拭かれる仕上げを提供する水についておよび溶剤について高い接触角を有することを示す。市販のクリアコート組成物に相当する非フッ素化アクリロシランポリマー含有クリアコート組成物は、それほど良好なクリーナビリティを示さない。
【0116】
本発明の組成物の成分の様々な修正、変更、追加または置換は、本発明の精神および範囲から逸脱することなしに当業者に明らかであろう。本発明は、本明細書に述べられた例示的な実施形態に限定されないが、むしろ次の特許請求の範囲によって画定される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
約45〜90重量%のフィルム形成バインダーおよび10〜55重量%の有機液体キャリアを含有するコーティング組成物であって、バインダーが
(A)シランまたはフッ素官能性を含有しない重合したエチレン系不飽和モノマーをポリマーの重量に基づいて約5〜98重量%と、シラン官能性を含有するエチレン系不飽和モノマーをポリマーの重量に基づいて約1.5〜70重量%と、およびフッ素官能性を含有する重合したエチレン系不飽和モノマーをポリマーの重量に基づいて約0.5〜25重量%と、から本質的に構成される、フィルム形成フッ素化有機シランポリマーをバインダーの重量に基づいて約10〜90重量%と、
(B)非水性分散ポリマーをバインダーの重量に基づいて約0〜60%と、
(C)有機ポリイソシアネートおよびメラミン架橋剤の1つまたは両方から選択された、架橋剤をバインダーの重量に基づいて約10〜90重量%と
を含むことを特徴とする組成物。
【請求項2】
フッ素官能性を含有するエチレン系不飽和モノマーが次の構造式
【化1】

(式中、Rは水素または1〜2個の炭素原子を有するアルキル基よりなる群から選択され、nは1〜18の整数であり、そしてRは少なくとも4個の炭素原子を有するフルオロアルキル含有基である)
を有することを特徴とする請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項3】
シラン官能性を含有するエチレン系不飽和モノマーが次の構造式
【化2】

(式中、RはCH、CHCH、CHO、またはCHCHOよりなる群から選択され、RおよびRは独立してCHまたはCHCHよりなる群から選択され、そしてRはH、CH、またはCHCHのいずれかであり、かつ、nは0または1〜10の正の整数である)
を有することを特徴とする請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項4】
フッ素化アクリロシランポリマーが約500〜30,000の重量平均分子量を有し、そしてスチレン、アクリル酸アルキル、メタクリル酸アルキル、脂環式アクリレート、脂環式メタクリレート、アクリル酸アリール、メタクリル酸アリール、およびそれらの任意の混合物よりなる群から選択されたエチレン系不飽和非シラン/非フッ素含有モノマーと、アルコキシシランモノマー、アシルオキシシランモノマー、およびそれらの任意の混合物よりなる群から選択されたエチレン系不飽和シランモノマーと、フルオロアルキルモノマーおよびパーフルオロアルキルモノマーならびにそれらの任意の混合物よりなる群から選択されたエチレン系不飽和フッ素モノマーとから本質的に構成され、前記アルキル、脂環式、およびアリール基が1〜12個の炭素原子を有することを特徴とする請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項5】
(a)分散ポリマーのコアはスチレン、メタクリル酸アルキル、アクリル酸アルキルまたはそれらの混合物、およびエチレン系不飽和モノカルボン酸の重合したモノマーを含み、前記アルキルは1〜12個の炭素原子を有し、
(b)コアに結合したマクロモノマーは、それぞれアルキル基中に1〜12個の炭素原子を有する、重合したメタクリル酸アルキル、アクリル酸アルキルまたはそれらの混合物と、それぞれアルキル基中に1〜4個の炭素原子を有する、ヒドロキシアルキルアクリレートもしくはヒドロキシアルキルメタクリレートまたはそれらの混合物と、アクリル酸グリシジルまたはメタクリル酸グリシジルとを含む
ことを特徴とする請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項6】
コーティングがベースコート/クリアコート仕上げ用のクリアコートであることを特徴とする請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項7】
フィルム形成バインダーおよび有機液体キャリアを含有するコーティング組成物であって、基材に塗布され、そしてその上で硬化させられた時に少なくとも100°の水前進接触角および少なくとも40°のヘキサデカン前進角を有するコーティング組成物を提供するのに十分な量までフッ素化されているフッ素化シラン官能性ポリマーをバインダーが含むことを特徴とするコーティング組成物。
【請求項8】
(a)顔料入りベースコーティングの層を基材に塗布してその上にベースコートを形成する工程と、
(b)請求項1に記載の組成物の層をベースコートに塗布して前記ベースコート上にトップコートを形成する工程と、
(c)ベースコートおよびトップコートを硬化させて基材上にベースコートおよびトップコートを形成する工程と
を含むことを特徴とするコーティング方法。
【請求項9】
フッ素化有機シランポリマーがポリマーまたは添加物としてコーティング組成物にポスト添加されていることを特徴とするトップコート・コーティング組成物。
【請求項10】
請求項1に記載の組成物でコーティングされた基材。
【請求項11】
請求項1に記載の組成物でトップコーティングされた自動車またはトラック。

【公表番号】特表2007−505986(P2007−505986A)
【公表日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−528164(P2006−528164)
【出願日】平成16年9月22日(2004.9.22)
【国際出願番号】PCT/US2004/031245
【国際公開番号】WO2005/030892
【国際公開日】平成17年4月7日(2005.4.7)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】