説明

フュージョン成形可能なシリカおよびナトリウム含有ガラス

ナトリウム含有アルミノシリケートおよびボロアルミノシリケートガラスがここに記載される。このガラスは、光電池装置、例えばCIGS光電池装置のような薄膜光電池装置のための基板またはスーパーストレートとして 使用できる。これらのガラスは、535℃以上、例えば570℃以上の歪み点、8から9ppm/℃までの熱膨張係数、並びに50,000ポアズ(5,000Pa・s)を超える液相粘度を有するものとして特徴付けられてもよい。したがって、これらはフュージョン法によりシートに成形されるのに理想的に適切である。

【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、2009年7月24日に出願された米国仮特許出願第61/228、290号、2009年11月24日に出願された米国仮特許出願第61/263,930号、2010年5月24日に出願された米国仮特許出願第61/347,589号、および2010年7月21日に出願された米国特許出願第12/840754号に優先権を主張する。
【技術分野】
【0002】
本発明の実施の形態は、概してナトリウム含有ガラスに関し、より詳細には、フォトクロミック、エレクトロクロミック、有機発光ダイオード(OLED)照明、または光電池用途、例えば薄膜光電池に有用な、フュージョン成形可能なシリカおよびナトリウム含有ガラスに関する。
【背景技術】
【0003】
薄膜光電池によって提供されるより高い効率性への近年の関心によって、この新しい市場のニーズに合う新しいガラス基板およびスーパーストレート(superstrate)を開発するためにかなりの努力が行われてきた。薄膜光電池製造方法は通常、そりを生じずに長期間高温で処理できる基板を必要とし、これによりガラスはこれらの用途に特に適するようになる。さらに、薄膜光電池製法のいくつか(例えばCIGS)においては、ナトリウムがガラスから堆積層中に拡散することが好ましく、これによりナトリウム含有ガラスは特定の用途にさらに所望となる。
【0004】
既存のガラス(例えばソーダ石灰またはディスプレイ組成)は、この分野において著しく高い効率性を示すものとして使用されてきたが、他の用途に設計された任意のガラスは問題を有しながら使用されてきた。例えば、ソーダ石灰ガラスは、安く、容易に利用できるナトリウム含有基板を提供するが、その低い歪み点によって、薄膜光電池製法を最高の効率に達するより高温の処理での使用が大幅に抑制される。
【0005】
ディスプレイ用途に設計されたガラスの使用により、必要な高歪み点が提供されるが、これらのガラスの熱膨張係数(CTE)はしばしば低過ぎて、光電池膜とのCTEのミスマッチにより、大きい光電池パネルを確実に構築することができない。さらに、ディスプレイ用途に設計された多くのガラスは、意図的にアルカリを含まず、ガラスからのナトリウム拡散を所望とする薄膜光電池用途に有用でなくなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
いくつかの薄膜光電池用途において、高い歪み点および高いCTEを有するナトリウム含有ガラスシートを有することが有利であろう。さらに、最適の表面特性を有するフラットシートへ処理するようフュージョン成形可能な、高い歪み点および高いCTEを有するナトリウム含有ガラスを有することが有利であろう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
例えば薄膜光電池用途に有用な、フュージョン成形可能で、高歪み点のナトリウム含有アルミノシリケートおよびボロアルミノシリケートガラスの組成範囲がここに記載される。より詳細には、これらのガラスは、セル効率の最適化に必要なナトリウムが基板ガラスに由来する、銅インジウムガリウムジセレニド(CIGS)光電池モジュールでの使用に好都合な材料である。現在のCIGSモジュール基板は通常、フロート法により製造されるソーダ石灰ガラスシートから作製される。しかしながら、より高い歪み点のガラス基板を使用することによって、より高い温度のCIGS製法が可能となり、これによりセル効率が所望に改良されると考えられる。さらに、フュージョン成形されたガラスシートのより滑らかな表面によって、例えば改良された膜接着性のような追加の利点が生じるかもしれない。
【0008】
したがって、ここに記載されるナトリウム含有ガラスは、540℃以上、例えば、ソーダ石灰ガラスに関して利点を提供するように570℃以上の歪み点および/またはフュージョン法による製造を可能とするように50,000ポアズ(5,000Pa・s)以上の液相粘度、例えば130,000ポアズ(13,000Pa・s)以上の液相粘度により特徴付けられてもよい。基板とCIGS層との間の熱膨張ミスマッチを避けるために、本発明のガラスは、いくつかの実施の形態により、8から9ppm/℃までの範囲の熱膨張係数によってさらに特徴付けられる。
【0009】
ある実施の形態は、質量パーセントで以下を含むガラスである:
50から72パーセントのSiO
15より大きく25パーセントまでのAl
0から15パーセントのB
10から25パーセントの総MO;および
0より大きく25パーセントまでの総RO;
ここで、Mは、Na、K、Li、RbおよびCsから選択されるアルカリ金属であり、ガラスは少なくとも9質量パーセントのNaOを含み、Rは、Mg、Ca、BaおよびSrから選択されるアルカリ土類金属である。
【0010】
別の実施の形態は、質量パーセントで以下を含むガラスである:
50から72パーセントのSiO
10から25パーセントのAl
0から10パーセントのB
10から25パーセントの総MO;および
0.5から14パーセント未満までのRO;
ここで、Mは、Na、K、Li、RbおよびCsから選択されるアルカリ金属であり、ガラスは少なくとも9質量パーセントのNaOを含み、Rは、Mg、Ca、BaおよびSrから選択されるアルカリ土類金属である。
【0011】
別の実施の形態は、質量パーセントで以下を含むガラスを有する光電池装置である:
50から72パーセントのSiO
10から25パーセントのAl
0から10パーセントのB
10から25パーセントの総MO;および
0より大きく25パーセントまでの総RO;
ここで、Mは、Na、K、Li、RbおよびCsから選択されるアルカリ金属であり、ガラスは少なくとも9質量パーセントのNaOを含み、Rは、Mg、Ca、BaおよびSrから選択されるアルカリ土類金属である。
【0012】
本発明のさらなる特徴および利点が、以下の詳細な説明に記載され、一部はこの記載から当業者に明らかであろう、または、明細書および特許請求の範囲、並びに添付の図面に記載されるように本発明を実施することにより認識されるであろう。
【0013】
上記の一般的な説明および以下の詳細な説明はいずれも、本発明の単なる例示であり、特許請求される発明の性質および特徴を理解するための概要または骨組みを提供することを意図することが理解されるべきである。
【0014】
添付の図面は、本発明のさらなる理解を提供するために含まれ、本明細書に組み込まれ、その一部を構成する。図面は、本発明の1つ以上の実施の形態を示し、明細書本文と共に本発明の原理および動作を説明する作用をする。
【0015】
本発明は、以下の詳細な説明のみから、または添付の図面と共に以下の詳細な説明から、理解できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、ある実施の形態による光電池装置の特徴を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、本発明の様々の実施の形態が詳細に参照される。
【0018】
ここで用いたように、「基板」という用語は、光電池セルの構成に依存して基板またはスーパーストレートのいずれかを表すために使用できる。例えば基板は、光電池セルに組み立てられる場合に、光電池セルの光入射側である、スーパーストレートである。スーパーストレートは、太陽スペクトルの適切な波長を透過する一方で、光電池材料を衝撃および環境悪化から保護できる。さらに、複数の光電池セルを光電池モジュールに配置できる。光電池装置は、セル、モジュールまたは両方を示すことができる。
【0019】
ここで用いたように、「隣接」という用語は、近くに存在することとして定義できる。隣接構造は、互いに物理的に接触してもしなくてもよい。隣接構造は、その間に配置される他の層および/または構造を有してもよい。
【0020】
ある実施の形態は、質量パーセントで以下を含むガラスである:
50から72パーセントのSiO
15より大きく25パーセントまでのAl
0から10パーセントのB
10から25パーセントの総MO;および
0より大きく25パーセントまでの総RO;
ここで、Mは、Na、K、Li、RbおよびCsから選択されるアルカリ金属であり、ガラスは少なくとも9質量パーセントのNaOを含み、Rは、Mg、Ca、BaおよびSrから選択されるアルカリ土類金属である。
【0021】
別の実施の形態は、質量パーセントで以下を含むガラスである:
50から72パーセントのSiO
10から25パーセントのAl
0から10パーセントのB
10から25パーセントの総MO;および
0.5から14パーセント未満までの総RO;
ここで、Mは、Na、K、Li、RbおよびCsから選択されるアルカリ金属であり、ガラスは少なくとも9質量パーセントのNaOを含み、Rは、Mg、Ca、BaおよびSrから選択されるアルカリ土類金属である。
【0022】
別の実施の形態は、質量パーセントで以下を含むガラスを有する光電池装置である:
50から72パーセントのSiO
10から25パーセントのAl
0から10パーセントのB
10から25パーセントの総MO;および
0より大きく25パーセントまでの総RO;
ここで、Mは、Na、K、Li、RbおよびCsから選択されるアルカリ金属であり、ガラスは少なくとも9質量パーセントのNaOを含み、Rは、Mg、Ca、BaおよびSrから選択されるアルカリ土類金属である。
【0023】
別の実施の形態は、質量パーセントで以下から実質的に成るガラスを有する光電池装置である:
50から72パーセントのSiO
10から25パーセントのAl
0から10パーセントのB
10から25パーセントの総MO;および
0より大きく25パーセントまでの総RO;
ここで、Mは、Na、K、Li、RbおよびCsから選択されるアルカリ金属であり、ガラスは少なくとも9質量パーセントのNaOを含み、Rは、Mg、Ca、BaおよびSrから選択されるアルカリ土類金属である。
【0024】
光電池装置は、開示されるガラスの任意の実施の形態を含んでもよい。ガラスは、シートの形でもよく、光電池装置の基板またはスーパーストレートあるいは両方でもよい。
【0025】
別の実施の形態において、ガラスは、質量パーセントで以下を含む:
50から72パーセントのSiO
10から25パーセントのAl
0から10パーセントのB
10から25パーセントの総MO;および
0より大きく25パーセントまでの総RO;
ここで、Mは、Na、Li、RbおよびCsから選択されるアルカリ金属であり、ガラスは実質的にKOを含まず、ガラスは9から17質量パーセントのNaOを含み、Rは、Mg、Ca、BaおよびSrから選択されるアルカリ土類金属である。
【0026】
別の実施の形態において、ガラスは、質量パーセントで以下から実質的に成る:
50から72パーセントのSiO
10から25パーセントのAl
0から10パーセントのB
10から25パーセントの総MO;および
0より大きく25パーセントまでの総RO;
ここで、Mは、Na、Li、RbおよびCsから選択されるアルカリ金属であり、ガラスは実質的にKOを含まず、ガラスは9から17質量パーセントのNaOを含み、Rは、Mg、Ca、BaおよびSrから選択されるアルカリ土類金属である。
【0027】
ある実施の形態において、ガラスは、質量パーセントで以下を含む:
50から59パーセントのSiO
10から25パーセントのAl
0から10パーセントのB
10から25パーセントの総MO;および
2から25パーセントの総RO;
ここで、Mは、Na、K、Li、RbおよびCsから選択されるアルカリ金属であり、ガラスは少なくとも9質量パーセントのNaOを含み、Rは、Mg、Ca、BaおよびSrから選択されるアルカリ土類金属である。
【0028】
別の実施の形態において、ガラスは、質量パーセントで以下を含む:
54から59パーセントのSiO
10から21パーセントのAl
0から10パーセントのB
10から25パーセントの総MO;および
2から25パーセントの総RO;
ここで、Mは、Na、K、Li、RbおよびCsから選択されるアルカリ金属であり、ガラスは少なくとも9質量パーセントのNaOを含み、Rは、Mg、Ca、BaおよびSrから選択されるアルカリ土類金属である。
【0029】
別の実施の形態によれば、ガラスは、質量パーセントで以下を含む:
54から59パーセントのSiO
17から21パーセントのAl
0から10パーセントのB
10から25パーセントの総MO;および
2から25パーセントの総RO;
ここで、Mは、Na、K、Li、RbおよびCsから選択されるアルカリ金属であり、ガラスは少なくとも9質量パーセントのNaOを含み、Rは、Mg、Ca、BaおよびSrから選択されるアルカリ土類金属である。
【0030】
別の実施の形態によれば、ガラスは、質量パーセントで以下を含む:
52から59パーセントのSiO
20から25パーセントのAl
0から10パーセントのB
10から25パーセントの総MO;および
2から25パーセントの総RO;
ここで、Mは、Na、K、Li、RbおよびCsから選択されるアルカリ金属であり、ガラスは少なくとも9質量パーセントのNaOを含み、Rは、Mg、Ca、BaおよびSrから選択されるアルカリ土類金属である。
【0031】
別の実施の形態において、ガラスは、質量パーセントで以下から実質的に成る:
54から59パーセントのSiO
17から21パーセントのAl
0から10パーセントのB
10から25パーセントの総MO;および
2から25パーセントの総RO;
ここで、Mは、Na、K、Li、RbおよびCsから選択されるアルカリ金属であり、ガラスは少なくとも9質量パーセントのNaOを含み、Rは、Mg、Ca、BaおよびSrから選択されるアルカリ土類金属である。
【0032】
さらなる実施の形態において、ガラスは、質量パーセントで以下を含む:
56から58パーセントのSiO
17から21パーセントのAl
0から10パーセントのB
10から25パーセントの総MO;および
2から25パーセントの総RO;
ここで、Mは、Na、K、Li、RbおよびCsから選択されるアルカリ金属であり、ガラスは少なくとも9質量パーセントのNaOを含み、Rは、Mg、Ca、BaおよびSrから選択されるアルカリ土類金属である。
【0033】
別の実施の形態において、ガラスは、質量パーセントで以下から実質的に成る:
50から59パーセントのSiO
10から25パーセントのAl
0から10パーセントのB
10から25パーセントの総MO;および
2から25パーセントの総RO;
ここで、Mは、Na、K、Li、RbおよびCsから選択されるアルカリ金属であり、ガラスは少なくとも9質量パーセントのNaOを含み、Rは、Mg、Ca、BaおよびSrから選択されるアルカリ土類金属である。
【0034】
別の実施の形態において、ガラスは、質量パーセントで以下から実質的に成る:
52から59パーセントのSiO
20から25パーセントのAl
0から10パーセントのB
10から25パーセントの総MO;および
2から25パーセントの総RO;
ここで、Mは、Na、K、Li、RbおよびCsから選択されるアルカリ金属であり、ガラスは少なくとも9質量パーセントのNaOを含み、Rは、Mg、Ca、BaおよびSrから選択されるアルカリ土類金属である。
【0035】
さらに別の実施の形態において、ガラスは、質量パーセントで以下から実質的に成る:
56から58パーセントのSiO
17から21パーセントのAl
0から10パーセントのB
10から25パーセントの総MO;および
2から25パーセントの総RO;
ここで、Mは、Na、K、Li、RbおよびCsから選択されるアルカリ金属であり、ガラスは少なくとも9質量パーセントのNaOを含み、Rは、Mg、Ca、BaおよびSrから選択されるアルカリ土類金属である。
【0036】
ある実施の形態において、ガラスは、質量パーセントで以下から実質的に成る:
54から59パーセントのSiO
10から21パーセントのAl
0から10パーセントのB
10から25パーセントの総MO;および
2から25パーセントの総RO;
ここで、Mは、Na、K、Li、RbおよびCsから選択されるアルカリ金属であり、ガラスは少なくとも9質量パーセントのNaOを含み、Rは、Mg、Ca、BaおよびSrから選択されるアルカリ土類金属である。
【0037】
ある実施の形態によれば、ガラスは、55から72質量パーセントのSiO、例えば51から72質量パーセントのSiO、例えば52から72質量パーセントのSiO、例えば53から72質量パーセントのSiO、例えば54から72質量パーセントのSiO、例えば55から72質量パーセントのSiO、例えば56から72質量パーセントのSiO、例えば57から72質量パーセントのSiO、例えば58から72質量パーセントのSiO、例えば59から72質量パーセントのSiO、例えば60から72質量パーセントのSiOを含む。ある実施の形態において、ガラスは、55から72質量パーセントのSiOを含み、15より大きく25質量パーセントまでのAlを含む。
【0038】
ある実施の形態において、ガラスはロール可能である。ある実施の形態において、ガラスはダウンドロー可能である。ガラスは、例えば、スロットドローまたはフュージョンドローされてもよい。別の実施の形態によれば、ガラスはフロート成形されてもよい。
【0039】
ある実施の形態によれば、ガラスは、8質量パーセント未満のKO、例えば、7質量パーセント未満のKO、例えば、6質量パーセント未満のKO、5質量パーセント未満のKO、4質量パーセント未満のKO、例えば、3質量パーセント未満のKOを含む。いくつかの実施の形態によれば、ガラスは、実質的にKOを含まない、例えば、実質的にKOフリーである。
【0040】
ある実施の形態によれば、ガラスは、4質量パーセント未満のKOを含み、またガラスは、535℃以上の歪み点、50×10−7以上の熱膨張係数を有し、130,000ポアズ(13,000Pa・s)以上、例えば150,000ポアズ(15,000Pa・s)以上の液相粘度を有する。ある実施の形態において、これらの特性を有するガラスは、フュージョン成形可能である。
【0041】
ある実施の形態によれば、ガラスは、4質量パーセント未満のKOおよび2.5質量パーセント未満のMgOを有する。ある実施の形態において、ガラスは、4質量パーセント未満のKOおよび2.5質量パーセント未満のMgOを有し、535℃以上の歪み点、50×10−7以上の熱膨張係数、および130,000ポアズ(13,000Pa・s)以上、例えば150,000ポアズ(15,000Pa・s)以上の液相粘度を有する。ある実施の形態において、これらの特性を有するガラスは、フュージョン成形可能である。
【0042】
開示されるガラスのいくつかの実施の形態は、高NaO含量の利点を有し、これにより、光電池セルの製造中に堆積されたCIGS層へより多くのNaを供給でき、これにより今度はより高いCIGSセル効率を生じると考えられる。最後に、CIGS堆積/結晶化中のNa外方拡散は、別のアルカリの存在によってことによると妨げられるかもしれず、いくつかの実施例はKを含まないまたは実施的に低減されたKO含量を有するという事実は、さらに別の利点を提供するかもしれない。
【0043】
ガラスはさらに、3質量パーセント以下、例えば、0から3質量パーセント、例えば、0より大きく3質量パーセントまで、例えば、1から3質量パーセントの、TiO、MnO、ZnO、Nb、MoO、Ta、WO、ZrO、Y、La、HfO、CdO、SnO、Fe、CeO、As、Sb、Cl、Br、またはそれらの組合せをさらに含んでもよい。ある実施の形態において、ガラスは、3質量パーセント以下、例えば、0から3質量パーセント、例えば、0より大きく3質量パーセントまで、例えば、1から3質量パーセントのTiOまたはZrOを含む。
【0044】
上記のように、いくつかの実施の形態によれば、ガラスは、0から10質量パーセント、例えば1から8質量パーセント、または例えば、0より大きく10質量パーセントまでのB、例えば、0.5から10質量パーセントのB、例えば1から10質量パーセントのBを含む。ガラスにBを加えることにより、Bを含まないガラスに比較して、溶融温度が低下し、液相温度が低下し、液相粘度が増加し、機械的耐久性が改良される。
【0045】
ある実施の形態によれば、ガラスは、0より大きく25パーセントまでのRO、例えば、0.5から25パーセントのRO、例えば、1から25パーセントのROを含み、ここでRはアルカリ土類金属である。ある実施の形態によれば、ガラスは、14パーセント未満のRO、例えば13パーセント以下、例えば12パーセント以下、例えば11パーセント以下、例えば10パーセント以下、例えば9パーセント以下、例えば8パーセント以下のROを含む。ある実施の形態において、ガラスは、0.5から14パーセント未満までのRO、例えば、0.5から13パーセントのROを含む。ある実施の形態によれば、ガラスは、2より大きく25パーセントまでのROを含み、Rはアルカリ土類金属である。
【0046】
ある実施の形態によれば、ガラスは、0.5から14パーセント未満までのROを含み、535℃以上の歪み点、50×10−7以上の熱膨張係数を有し、130,000ポアズ(13,000Pa・s)以上、例えば150,000ポアズ(15,000Pa・s)以上の液相粘度を有する。ある実施の形態において、これらの特性を有するガラスは、フュージョン成形可能である。
【0047】
いくつかの実施の形態によれば、ガラスは、4.0質量パーセント未満のMgO、例えば、3.0質量パーセント未満のMgO、例えば、2.5質量パーセント未満のMgO、2.0質量パーセント未満のMgOを含む。例えば、ガラスは、0から4質量パーセントのMgO、例えば、0より大きく4質量パーセントまでのMgO、例えば、0より大きく3質量パーセントまでのMgO、例えば、0より大きく2.5質量パーセントまでのMgO、例えば、0.2から4質量パーセントのMgO、例えば、0.2から3質量パーセントのMgO、例えば、0.2から2.5質量パーセントのMgOを含んでもよい。別の実施の形態によれば、ガラスは、例えば、1から3質量パーセントのMgOを含む。ガラスにMgOを加えることより、溶融温度を低下させ、歪み点を上昇させてもよい。これは他のアルカリ土類(例えば、CaO、SrO、BaO)に比較してCTEを不都合なほど低下させ得るので、他の調整を行ってCTEを所望の範囲内に維持してもよい。適切な調整の例には、CaOを犠牲にしたSrOの増加、アルカリ酸化物濃度の増加、および小さいアルカリ酸化物(例えばNaO)のより大きいアルカリ酸化物(例えばKO)による一部置換が含まれる。
【0048】
ある実施の形態によれば、ガラスは、2.5質量パーセント未満のMgOを含み、535℃以上の歪み点、50×10−7以上の熱膨張係数を有し、130,000ポアズ(13,000Pa・s)以上、例えば150,000ポアズ(15,000Pa・s)以上の液相粘度を有する。ある実施の形態において、これらの特性を有するガラスは、フュージョン成形可能である。
【0049】
別の実施の形態によれば、ガラスは、実質的にBaOを含まない。例えば、BaOの含有量は0.05質量パーセント以下、例えば、0質量パーセントでもよい。
【0050】
いくつかの実施の形態において、ガラスは、Sb、As、またはそれらの組合せを実質的に含まない、例えば、ガラスは0.05質量パーセント以下のSbまたはAsまたはそれらの組合せを含む。例えば、ガラスは、0質量パーセントのSb、As、またはそれらの組合せを含んでもよい。
【0051】
いくつかの実施の形態において、ガラスは、2から4質量パーセントのCaOを含む。アルカリ酸化物またはSrOに比較して、CaOは、より高い歪み点、より低い密度、およびより低い溶融温度に寄与する。ある考えられる失透相の主成分は、特に灰長石(CaAlSi)であり、この相は、類似のナトリウム相である、ソーダ長石(NaAlSi)と共に完全な固溶体を有する。高いNaおよびCa含有量が単独で取られると、液相温度が受け入れがたいほど高くなり得る。しかしながら、CaOについての化学的供給源は、非常に安価な材料であるソーダ石灰を、大量および低コストが要因である限り含み、通常は、CaO含有量を、他のアルカリ土類酸化物に比較して合理的に達成できるだけ高くすることが有用である。
【0052】
いくつかの実施の形態において、ガラスは、0.2から4質量パーセントのSrO、例えば、0.5から4質量パーセント、例えば、1から4、例えば、2から4質量パーセントのSrOを含んでもよい。ある実施の形態において、ガラスは、故意にバッチ処理されたSrOを含まないが、他のバッチ材料中の汚染物質としてはもちろん含まれてもよい。SrOは、より高い熱膨張係数に寄与し、SrOおよびCaOの組成比を操作して、液相温度、およびしたがって液相粘度を改良してもよい。SrOは、歪み点の改良にはCaOまたはMgOほど有効でなく、これらのいずれかをSrOで置換すると溶融温度が上昇する傾向がある。
【0053】
また上記のように、いくつかの実施の形態によれば、ガラスは、10から25パーセントのMOを含み、ここでMは、アルカリ陽イオンLi、Na、K、RbおよびCsの1つである。アルカリ陽イオンは、CTEを急激に上昇させるが、同時に歪み点を低下させ、どのように加えられるかに依存して、溶融温度を上昇させる。CTEについて最も効果のないアルカリ酸化物はLiOであり、最も有効なアルカリ酸化物はCsOである。上記のように、ナトリウムは本発明のガラスの考えられる失透相の1つに関与し得、一方で他の成分の調整を使用して、例えばCaO/(CaO+SrO)比を変えてこの影響を弱めることができ、この傾向により、ナトリウムを他のアルカリで置換する、またはナトリウム単独の代わりにアルカリの混合物を使用することが有利になるかもしれない。大量および低コストが重量である場合、可能な限りアルカリ酸化物をNaOおよびKOまたはそれらの混合物に限定することが所望である。
【0054】
いくつかの実施の形態によれば、ガラスは、9から17パーセントのNaO、例えば、10から16パーセントのNaOを含む。ある実施の形態において、ガラスは、9質量パーセント以上のNaO、例えば、9から12質量パーセントのNaOを含む。
【0055】
いくつかの実施の形態によれば、ガラスは、ダウンドロー可能である;すなわち、例えばガラス製造技術の当業者に知られるフュージョンドローおよびスロットドロー法のような、だがこれに限定されない、ダウンドロー法を使用して、ガラスをシートに成形できる。そのようなダウンドロー法は、イオン交換可能なフラットガラスの大規模製造で使用される。
【0056】
ある実施の形態によれば、ガラスは、10から30質量パーセントのAl+Bを含む。
【0057】
ある実施の形態によれば、ガラスは、20から30質量パーセントのAl+Bを含む。
【0058】
ある実施の形態によれば、ガラスは、21から25質量パーセントのAlを含む。
【0059】
ある実施の形態によれば、ガラスは、10から21質量パーセントのAl+Bを含む。
【0060】
ある実施の形態によれば、ガラスは、17から21質量パーセントのAl+Bを含む。
【0061】
ある実施の形態によれば、ガラスは、15より大きく25質量パーセントまでのAl、例えば、16以上25質量パーセントまで、例えば、16から24質量パーセントのAl、または例えば、17から25質量パーセントのAl、例えば、17から21質量パーセントのAlを含む。
【0062】
ある実施の形態によれば、ガラスは、15より大きく25質量パーセントまでのAlを含み、535℃以上の歪み点、50×10−7以上の熱膨張係数、および130,000ポアズ(13,000Pa・s)以上、例えば150,000ポアズ(15,000Pa・s)以上の液相粘度を有する。ある実施の形態において、これらの特性を有するガラスは、フュージョン成形可能である。
【0063】
ある実施の形態によれば、ガラスは、15より大きく25パーセントまでのAlを含み、0.5から14パーセント未満までのROを含む。ある実施の形態において、ガラスは、15より大きく25パーセントまでのAl、0.5から14パーセント未満までのROを含み、535℃以上の歪み点、50×10−7以上の熱膨張係数、および130,000ポアズ(13,000Pa・s)以上、例えば150,000ポアズ(15,000Pa・s)以上の液相粘度を有する。ある実施の形態において、これらの特性を有するガラスは、フュージョン成形可能である。
【0064】
ある実施の形態によれば、ガラスは、以下を含む:
9から12パーセントのNaO;
2から8パーセントのKO;
2から8パーセントのCaO;
2から4パーセントのSrO;および
1から3パーセントのMgO。
【0065】
フュージョンドロー法は、溶融ガラス原材料を受け入れるためのチャンネルを有するドローイングタンクを使用する。チャンネルは、チャンネルの両側にチャンネルの長さに沿って頂部で開く堰を有する。チャンネルに溶融材料が充填されると、溶融ガラスは堰から溢れる。重力により、溶融ガラスはドローイングタンクの外表面を下に流れる。これらの外表面は、下方および内側に伸長し、ドローイングタンクの下の端部で連結する。2つの流動ガラス表面は、この端部で一緒になり、融合して単一の流動シートを形成する。フュージョンドロー法は、チャンネルを超えて流動する2つのガラス膜が互いに融合するので、生じるガラスシートのいずれの外表面も装置の任意の部分に接触しないという利点を提供する。したがって、表面特性はそのような接触により影響を受けない。
【0066】
スロットドロー法は、フュージョンドロー法と別個である。ここでは、溶融原材料ガラスがドローイングタンクに供給される。ドローイングタンクの底は、スロットの長さに伸長するノズルを有するオープンスロットを有する。溶融ガラスは、スロット/ノズルを通って流れ、それを通じて連続的なシートとして下方におよびアニーリング領域中にドローされる。フュージョンドロー法と比較して、スロットドロー法は、フュージョンドロー法におけるように2つのシートが一緒に融合されるのでなく、単一のシートのみがスロットを通してドローされるので、より薄いシートを提供する。
【0067】
ダウンドロー法に適合するために、ここに記載されるアルミノボロシリケートガラスは、高い液相粘度を有する。ある実施の形態において、ガラスは、50,000ポアズ(5,000Pa・s)以上、例えば150,000ポアズ(15,000Pa・s)以上、例えば、200,000ポアズ(20,000Pa・s)以上、例えば、250,000ポアズ(25,000Pa・s)以上、例えば、300,000ポアズ(30,000Pa・s)以上、例えば、350,000ポアズ(35,000Pa・s)以上、例えば、400,000ポアズ(40,000Pa・s)以上、例えば、500,000ポアズ(50,000Pa・s)以上の液相粘度を有する。いくつかの例示的なガラスの液相粘度は、液相温度と軟化点との間の差異と密接な相関関係があり得る。
【0068】
ある実施の形態において、ガラスは、535℃以上の歪み点、例えば、540℃以上、例えば、560℃以上の歪み点、例えば、570℃以上の歪み点、例えば、580℃以上の歪み点を有する。いくつかの実施の形態において、ガラスは、50×10−7以上、例えば、60×10−7以上、例えば、70×10−7以上、例えば、80×10−7以上の熱膨張係数を有する。ある実施の形態において、ガラスは、50×10−7から90×10−7までの熱膨張係数を有する。
【0069】
ある実施の形態において、ガラスは、535℃以上の歪み点、50×10−7以上の熱膨張係数を有し、150,000ポアズ(15,000Pa・s)以上の液相粘度を有する。ある実施の形態において、これらの特性を有するガラスは、フュージョン成形可能である。
【0070】
ある実施の形態において、ガラスは、50×10−7以上の熱膨張係数および535℃以上の歪み点を有する。ある実施の形態において、ガラスは、50×10−7以上の熱膨張係数および540℃以上の歪み点を有する。ある実施の形態において、ガラスは、60×10−7以上の熱膨張係数および560℃以上の歪み点を有する。ある実施の形態において、ガラスは、60×10−7以上の熱膨張係数および580℃以上の歪み点を有する。ある実施の形態において、ガラスは、50×10−7以上の熱膨張係数および570℃以上の歪み点を有する。ある実施の形態において、ガラスは、70×10−7以上の熱膨張係数および570℃以上の歪み点を有する。記載されるガラスの実施の形態は、開示される範囲内の特性の様々な組合せを有してもよい。可能な組合せの全てがここに記載されるのではないことを理解すべきである。
【0071】
ある実施の形態によれば、ガラスは、アルカリイオンの1つ以上の塩を含む塩浴中でイオン交換される。ガラスは、機械的特性を変えるためにイオン交換されてもよい。例えば、リチウムまたはナトリウムのようなより小さいアルカリイオンを、ナトリウム、カリウム、ルビジウムまたはセシウムのような1つ以上のより大きいアルカリイオンを含有する溶融塩中でイオン交換してもよい。歪み点よりずっと低い温度で十分な時間行った場合、拡散特性は、より大きいアルカリが塩浴からガラス表面中に移動し、より小さいイオンがガラスの内部から塩浴中に移動する形を作るであろう。サンプルが除去されると、表面は圧縮を受け、損傷に対して強化された強靭性を生じる。そのような強靭性は、雹にさらされる光電池グリッドのように、悪環境条件にガラスがさらされる場合に所望かもしれない。すでにガラス中に存在する大きいアルカリもまた、塩浴中でより小さいアルカリに交換されてもよい。これが歪み点に近い温度で行われる場合、およびガラスが除去されその表面が高温に急速に再加熱され急速に冷却される場合、ガラスの表面は、熱的焼き戻しにより生じる相当の圧縮応力を示すであろう。これによりまた、悪環境条件に対する保護が提供されるであろう。任意の一価陽イオンを、銅、銀、タリウム等を含むガラス中にすでに存在するアルカリに交換してもよく、これらはまた、照明のための導入色または光捕獲のための高屈折率の層のような最終用途に潜在的価値のある特性を提供する。
【0072】
別の実施の形態によれば、ガラスは、フロート成形ガラスの技術において既知のようにフロート成形してもよい。
【0073】
ある実施の形態において、ガラスは、シートの形である。シートの形のガラスは、熱的に焼き戻してもよい。
【0074】
ある実施の形態において、有機発光ダイオード装置は、シートの形のガラスを含む。
【0075】
ある実施の形態によれば、ガラスは透明である。ある実施の形態によれば、ガラスシートは透明である。
【0076】
図1は、ある実施の形態による光電池装置の特徴100の説明図である。ある実施の形態において、光電池装置はシートの形のガラスを含む。光電池装置は、例えば、基板および/またはスーパーストレートとして、1つ以上のガラスシートを含んでもよい。ある実施の形態において、光電池装置は、基板および/またはスーパーストレートとしてガラスシート10、基板に隣接して配置される導電材料12、および導電材料に隣接する活性光電池媒体16を含む。ある実施の形態において、活性光電池媒体は、銅インジウムガリウムジセレニド(CIGS)層を含む。ある実施の形態において、活性光電池媒体は、テルル化カドミウム(CdTe)層を含む。ある実施の形態において、活性光電池媒体は、CIGS層を含む。ある実施の形態において、活性光電池媒体は、テルル化カドミウム(CdTe)層である。
【0077】
ある実施の形態によれば、光電池装置はさらに、スーパーストレートまたは基板と活性光電池媒体との間に配置されたバリヤ層14を含む。ある実施の形態において、光電池装置はさらに、スーパーストレートまたは基板と酸化物透明導電(TCO)層との間にまたはそれらに隣接して配置されるバリヤ層を含み、ここでTCO層は活性光電池媒体とバリヤ層との間にまたはそれらに隣接して配置される。TCOは、CdTe機能層を含む光電池装置中に存在してもよい。ある実施の形態において、バリヤ層は直接ガラス上に配置される。バリヤ層は、ガラスから装置の他の層中への、例えば活性光電池媒体中へのアルカリイオンの移動に影響し得る、例えば、移動を増加、減少、または計量し得る。
【0078】
ある実施の形態において、ガラスシートは透明である。ある実施の形態において、基板および/またはスーパーストレートとしてのガラスシートは透明である。
【0079】
いくつかの実施の形態によれば、ガラスシートは、4.0mm以下、例えば、3.5mm以下、例えば、3.2mm以下、例えば、3.0mm以下、例えば、2.5mm以下、例えば、2.0mm以下、例えば、1.9mm以下、例えば、1.8mm以下、例えば、1.5mm以下、例えば、1.1mm以下、例えば、0.5mmから2.0mm、例えば、0.5mmから1.1mm、例えば、0.7mmから1.1mmの厚さを有する。これらは例示的な厚さであるが、ガラスシートは、0.1mmから4.0mm以下までの範囲の少数位を含む任意の数値の厚さを有してもよい。
【0080】
ある実施の形態において、エレクトロクロミック装置は、シートの形のガラスを含む。エレクトロクロミック装置は、例えば、エレクトロクロミック窓でもよい。ある実施の形態において、エレクトロクロミック窓は、単一、二重または三重窓ガラスのような1つ以上のガラスシートを含む。
【0081】
本発明のフュージョン成形可能なガラスは、その比較的高い歪み点によって、CIGS光電池モジュールのための有利な基板材料を示す。フュージョン法により作製される場合、フロートガラスのものに比較して優れた表面の性質によって、光電池モジュール作製法がさらに改良され得る。本発明の有利な実施の形態は、400,000ポアズ(40,000Pa・s)を超える液相粘度により特徴づけられ、それによって比較的厚いガラスシートの製造が可能となり、これはあるモジュール製造者にとって有利かもしれない。
【実施例】
【0082】
以下は、表1に示されるような、本発明のある実施の形態による例示的なガラスのサンプルを製造する方法の例である。この組成は、表3に示される実施例番号1に対応する。
【表1】

【0083】
いくつかの実施の形態において、ある不定要素が無視できない濃度で存在するので、総量を100%に至るまで加えない。
【0084】
表2に示されるようなバッチ材料の重さを量り、4リットルプラスチック容器に加えた:
【表2】

【0085】
バッチ中で、石灰石は、供給源に依存して不定要素および/または様々の量の1つ以上の酸化物、例えばMgOおよび/またはBaOを含んでもよい。質量で少なくとも80%が、60メッシュ、例えば80メッシュ、例えば100メッシュを通過するように、サンドが有利に選別される。この実施例において、加えられるSnOは、他の成分との均一な混合を確実にするために、10質量%のレベルのサンドと予め混合された。このバッチ材料を含むボトルをタンブラーに取り付け、バッチ材料を混合して均一なバッチを作製し柔らかい凝集体を粉砕した。混合されたバッチを1800ccの白金るつぼに移し、高温セラミックのバッカー(backer)中に配置した。バッカー中の白金を、1630℃の温度で空運転中のグロ−バー(glo−bar)加熱炉に入れた。16時間後、るつぼ+バッカーを取り出し、ガラス溶融物を鋼板のような冷たい表面上に注いでパティを形成し、その後640℃の温度で保持されたアニーラに移した。ガラスパティを2時間アニーラの温度に保ち、その後1分間に1℃の速度で室温に冷却した。
【0086】
表3、表4、表5、表6、表7、表8、表9、表10、表11、および表12は、本発明の実施の形態による、上記の実施例に従って作製された例示的なガラスを示す。いくつかの例示的ガラスについての特性データもまた、表3、表4、表5、表6、表7、表8、表9、表10、表11、および表12に示される。表中、Tstr(℃)は、粘度がビームベンディングまたはファイバ伸長により測定されて1014.7P(1013.7Pa・s)に等しい場合の温度である歪み点である。Tann(℃)は、粘度がビームベンディングまたはファイバ伸長により測定されて1013.18P(1012.18Pa・s)に等しい場合の温度である焼きなまし点である。T(℃)は、粘度がビームベンディングまたはファイバ伸長により測定されて107.6P(106.6Pa・s)に等しい場合の温度である軟化点である。表中のα(10−7/℃)またはa(10−7/℃)は、測定に依存して0から300℃までまたは25から300℃までの寸法変化の量である熱膨張係数(CTE)である。CTEは通常ディラトメトリーにより測定される。ρ(g/cc)は、アルキメデス法(ASTM C693)により測定される密度である。T200(℃)は、200ポアズ(P)(20Pa・s)の温度である。これは、溶融物の粘度が、同軸シリンダ粘度計を使用するHTV(高温粘度)測定により測定されて200P(20Pa・s)の場合の温度である。Tliq(℃)は、液相温度である。これは、標準勾配ボート液相測定において最初の結晶が観察される温度である。通常、このテストは72時間行われるが、24時間に短くして精度を犠牲にして処理能力を増加してもよい(より短いテストは液相粘度を過小評価し得る)。ηliq(℃)は、液相粘度である。これは、液相温度に対応する溶融物の粘度である。
【表3】

【表4】

【表5】

【表6】

【表7】

【表8】

【表9】

【表10】

【表11】

【表12】

【0087】
本発明の原理および範囲を逸脱せずに、本発明に様々の変更および変化が可能であることが当業者に明らかであろう。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲およびその均等物の範囲内に基づくものであれば本発明の変更および変化を含むことが意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラスであって、質量パーセントで以下:
50から72パーセントのSiO
15より大きく25パーセントまでのAl
0から10パーセントのB
10から25パーセントの総MO;および
0より大きく25パーセントまでの総RO;
を含み、
ここで、Mは、Na、K、Li、RbおよびCsから選択されるアルカリ金属であり、前記ガラスは少なくとも9質量パーセントのNaOを含み、Rは、Mg、Ca、BaおよびSrから選択されるアルカリ土類金属である、
ことを特徴とするガラス。
【請求項2】
前記ガラスが、2.5質量パーセント未満のMgOを含むことを特徴とする請求項1記載のガラス。
【請求項3】
前記ガラスが、4質量パーセント未満のKOを含むことを特徴とする請求項1記載のガラス。
【請求項4】
前記ガラスが、0.5から14質量パーセント未満までのROを含むことを特徴とする請求項1記載のガラス。
【請求項5】
ガラスであって、質量パーセントで以下:
50から72パーセントのSiO
10から25パーセントのAl
0から10パーセントのB
10から25パーセントの総MO;および
0.5から14パーセント未満までの総RO;
を含み、
ここで、Mは、Na、K、Li、RbおよびCsから選択されるアルカリ金属であり、前記ガラスは少なくとも9質量パーセントのNaOを含み、Rは、Mg、Ca、BaおよびSrから選択されるアルカリ土類金属である、
ことを特徴とするガラス。
【請求項6】
前記ガラスが、2.5質量パーセント未満のMgOを含むことを特徴とする請求項5記載のガラス。
【請求項7】
ガラスを含む光電池装置であって、該ガラスが、質量パーセントで以下:
50から72パーセントのSiO
10から25パーセントのAl
0から10パーセントのB
10から25パーセントの総MO;および
0より大きく25パーセントまでの総RO;
を含み、
ここで、Mは、Na、K、Li、RbおよびCsから選択されるアルカリ金属であり、前記ガラスは少なくとも9質量パーセントのNaOを含み、Rは、Mg、Ca、BaおよびSrから選択されるアルカリ土類金属である、
ことを特徴とする光電池装置。
【請求項8】
前記ガラスが、シートの形であり、基板またはスーパーストレートであることを特徴とする請求項7記載の光電池装置。
【請求項9】
前記基板またはスーパーストレートに隣接して、銅インジウムガリウムジセレニドまたはテルル化カドミウムを含む活性光電池媒体を含むことを特徴とする請求項8記載の光電池装置。
【請求項10】
前記活性光電池媒体と前記基板またはスーパーストレートとの間にバリヤ層を含むことを特徴とする請求項9記載の光電池装置。

【図1】
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【公表番号】特表2013−500229(P2013−500229A)
【公表日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−521823(P2012−521823)
【出願日】平成22年7月23日(2010.7.23)
【国際出願番号】PCT/US2010/043027
【国際公開番号】WO2011/011667
【国際公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【出願人】(397068274)コーニング インコーポレイテッド (1,222)
【Fターム(参考)】