説明

フラッシュアナログ−デジタルコンバータ、方法及びシステム

【課題】動作中にバックグラウンドにおいてオフセット補償のための較正を行うことができるフラッシュアナログ−デジタルコンバータ(ADC)等を提供する。
【解決手段】フラッシュADCのコンパレータは、バックグラウンドにおいて、コンパレータをフィードバックループへ切り替え、コンパレータの現在の基準レベルを決定し、コンパレータの基準レベルを目標基準電圧へと調整するようコンパレータに結合されている基準キャパシタを充電することによって、較正される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、フラッシュアナログ−デジタルコンバータに関する。
【背景技術】
【0002】
アナログ−デジタルコンバータ(ADC)は、連続的な量(例えば、電圧)をデジタル表現(例えば、電圧を表すバイナリコード)に変換する。理論上、理想的なADCは、伝達関数としても知られている一対一マッピングを有する。例えば、理想的なADCは、一意の電圧値を一意のデジタルコードに変換する。非理想性は、環境上の変化(例えば、電源電圧又は動作温度の変化)又は動作上の変化(例えば、入力信号電圧又はコンバータ分解能の変化)から生じる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、動作中にバックグラウンドにおいてオフセット補償のための較正を行うことができるフラッシュアナログ−デジタルコンバータ、方法及びシステムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の一態様に従って、各コンパレータブロックが基準レベルを有し、アナログ入力を前記基準レベルと比較することによって前記アナログ入力をデジタル出力に変換するよう構成されるコンパレータブロックの配列と、1度に前記コンパレータブロックの1つをフィードバックループに配置するよう構成されるスイッチと、前記コンパレータブロックを較正するよう構成される制御ロジックとを有し、前記制御ロジックは、前記コンパレータブロックの1つを特定し、前記スイッチに前記特定されたコンパレータブロックをフィードバックループに配置させ、前記特定されたコンパレータブロックについて目標基準レベルを決定し、前記特定されたコンパレータブロックについて現在の基準レベルを決定し、前記現在の基準レベルが前記目標基準レベルと異なる場合、前記特定されたコンパレータブロックの基準レベルを前記目標基準レベルへと調整する、フラッシュアナログ−デジタルコンバータが提供される。
【0005】
本発明の他の態様に従って、各コンパレータブロックが基準レベルを有し、アナログ入力を前記基準レベルと比較することによって前記アナログ入力をデジタル出力に変換するよう構成されるコンパレータブロックの配列の中から1つのコンパレータブロックを特定し、1度に前記コンパレータブロックの1つをフィードバックループに配置するよう構成されるスイッチに、前記特定されたコンパレータブロックを前記フィードバックループに配置させ、前記特定されたコンパレータブロックについて目標基準レベルを決定し、前記特定されたコンパレータブロックについて現在の基準レベルを決定し、前記現在の基準レベルが前記目標基準レベルと異なる場合、前記特定されたコンパレータブロックの基準レベルを前記目標基準レベルへと調整する、方法が提供される。
【0006】
本発明の更なる他の態様に従って、各コンパレータブロックが基準レベルを有し、アナログ入力を前記基準レベルと比較することによって前記アナログ入力をデジタル出力に変換するよう構成されるコンパレータブロックの配列の中から1つのコンパレータブロックを特定する手段と、1度に前記コンパレータブロックの1つをフィードバックループに配置するよう構成されるスイッチに、前記特定されたコンパレータブロックを前記フィードバックループに配置させる手段と、前記特定されたコンパレータブロックについて目標基準レベルを決定する手段と、前記特定されたコンパレータブロックについて現在の基準レベルを決定する手段と、前記現在の基準レベルが前記目標基準レベルと異なる場合、前記特定されたコンパレータブロックの基準レベルを前記目標基準レベルへと調整する手段とを有するシステムが提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明の実施形態によれば、動作中にバックグラウンドにおいてオフセット補償のための較正を行うことができるフラッシュアナログ−デジタルコンバータ、方法及びシステムを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】例となるフラッシュADCを表す。
【図2】分解能N、すなわちNビットワイドのフラッシュADCのための例となる較正システムを表す。
【図3】図2の例となるフラッシュADCのための例となるコンパレータブロックを表す。
【図4】図2の例となるフラッシュADCのための例となる方法を表す。
【図5】コンパレータの現在の基準レベルを決定する例となる方法を表す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
フラッシュADCは、コンパレータの配列を利用して、クロック信号によって定義される単一の時点でアナログ入力信号を基準と比較することによって入力信号を量子化する特定のタイプのADCである。図1は、例となるフラッシュADCを表す。クロック信号の変化のたびに、コンパレータ110の配列を有するコンパレータアレイ102は、アナログ入力電圧101をサンプリングし、アナログ入力電圧101を、ビットの配列を有するデジタル出力103に変換する。例えば、(Nビットの分解能を有するフラッシュADCに関し)コンパレータアレイ102において2個のコンパレータ110が存在する場合、デジタル出力103において2ビットが存在する。コンパレータアレイ102の夫々の特定のコンパレータ(110)は、入力電圧101をサンプリングし、それをその特定のコンパレータの特定の基準レベルと比較し、次いで、入力電圧101が基準レベルよりも高い場合には論理“1”を生成し、あるいは、入力電圧101が基準レベルよりも低い場合には論理“0”を生成することができる。図1に図示される分解能NのフラッシュADCに関し、デジタル出力103の幅は、入力電圧101を表すために使用されるビットの数であってよく、このフラッシュADCにおいては2である。任意に、幅Nのデジタル出力103は、エンコーダ105によって長さNのバイナリコード(104)に変換され得る。
【0010】
フラッシュADCの性能は、入力電圧振幅の変動、及び/又はコンパレータアレイの1若しくはそれ以上のコンパレータの基準レベル若しくは入力オフセットの変動により(例えば、電源電圧又は動作温度の変化により)低下しうる。通常、フラッシュADCの較正は、フラッシュADCを非動作モードに置くことを必要とする。これは、フラッシュADCが較正されている間はアナログ入力信号をサンプリングできないことを意味する。特定の実施形態は、ここでは、フラッシュADCが動作している間(すなわち、フラッシュADCがアナログ入力信号をサンプリングしている間)、バックグラウンドにおいて1度にコンパレータアレイの1つのコンパレータを較正することによって、オフセット補償のためにフラッシュADCを較正する方法を記載する。また、特定の実施形態は、可変な入力電圧振幅のための基準レベルを調整し、フラッシュADCの異なる分解能ごとに基準レベルを調整する方法を記載する。特定の実施形態は、フラッシュADCにおいて余分のコンパレータを組み込むことによって、フラッシュADCのバックグラウンド較正を可能にすることができる。フラッシュADCを組み込むシステムは、較正を必要としているフラッシュADCの1又はそれ以上のコンパレータのキューを決定してよい。例えば、システムは、キューの先頭に最も速く減衰するコンパレータを置くことによってキューから、フラッシュADCの出力において基準レベルを減衰させながら、1又はそれ以上のコンパレータを特定してよい。システムは、任意の位置に等しい減衰速度のコンパレータを置いてよい。システムは、キューの先頭にあるコンパレータを較正モードに置き、それを最近較正されたコンパレータと置換してよい。
【0011】
図2は、分解能N、すなわちNビットワイドのフラッシュADCのための例となる較正システムを表す。特定の実施形態において、N+1個のコンパレータブロック210の配列を有するコンパレータアレイ202は、クロック信号によって定義される単一の時点でアナログ入力電圧201をサンプリングし、それをN+1個のビット又は信号(S0,S1,S2,・・・,S2N−1,及びS2)に変換してよい。例えば、クロック信号の変化のたびに、コンパレータアレイ202は入力電圧201をサンプリングし、それをデジタル出力203に変換する。先と同じく、コンパレータアレイ202において2+1個のコンパレータブロック210が存在するので、デジタル出力203において2+1ビットが存在する。特定の実施形態において、コンパレータアレイ202の夫々の特定のコンパレータブロック(210)はそれ自体の基準レベルを有し、入力電圧201をその特定のコンパレータブロックの特定の基準レベルと比較し、次いで、入力電圧201が基準レベルよりも高い場合には論理“1”を生成し、あるいは、入力電圧201が基準レベルよりも低い場合には論理“0”を生成することができる。特定の実施形態において、クロスバー・スイッチ206は、デジタル出力203の特定の信号(例えば、U2)を較正チャネル208にマッピングしてよい。幾つかの実施形態においては、クロスバー・スイッチ206は、残りの信号207(U0,U1,U2,・・・,U2N−1)をエンコーダ205の入力にマッピングする。例えば、クロスバー・スイッチ206は、較正を必要としているコンパレータブロック(「ダーティ・チャネル」)を特定し、ダーティ・チャネルのデジタル出力信号を較正チャネル208にマッピングする、すなわち、ダーティ・チャネルのコンパレータブロックの出力を較正チャネル208に接続することができる。幾つかの実施形態においては、エンコーダ205は、残りのN個の信号207を長さNのバイナリコード(204)に変換してよい。特定の実施形態において、制御ロジック212はクロスバー・スイッチ206に動作上結合されてよく、クロスバー・スイッチ206に、デジタル出力203のN個のビットをエンコーダ205の入力に、そして、デジタル出力203の1個のビット(例えば、「ダーティ・チャネル」)を較正チャネル208にマッピングさせる。特定の実施形態において、制御ロジック212は、較正チャネル208に動作上結合され、デジタル−アナログコンバータ(DAC)214を介するコンパレータアレイ202の1又はそれ以上のコンパレータブロックへのアナログフィードバック信号220を生成してよい。
【0012】
図3は、図2の例となるフラッシュADCのための例となるコンパレータブロック210を表す。特定の実施形態において、コンパレータブロック210は、コンパレータブロック210の入力信号と小信号グランドとの間を切り替えて、加算器320の第1入力部に接続するよう構成される第1のスイッチ301と、基準キャパシタ310を加算器320の第2入力部へ接続し又は基準キャパシタ310を放電するよう構成される第2のスイッチ302と、フィードバック信号を加算器320の第2入力部に接続し又は該第2入力部から切り離すよう構成される第3のスイッチ303と、加算器320の出力を基準レベルと比較して、加算器320の出力が基準レベルよりも高い場合には論理“1”を生成し、あるいは、加算器320の出力が基準レベルよりも低い場合には論理“0”を生成するよう構成されるコンパレータ330とを有してよい。図3の例に関し、第1のスイッチ301がコンパレータブロック210の入力を加算器320の第1入力部に接続し、第2のスイッチ302が基準キャパシタ310を加算器320から切り離し、第3のスイッチ303がフィードバック信号を加算器320から切り離す場合に、コンパレータブロック210は、コンパレータブロック210の入力をコンパレータ330の基準レベルと比較し、入力が基準レベルよりも高い場合には論理“1”を生成し、あるいは、入力が基準レベルよりも低い場合には論理“0”を生成するよう構成される。さらに、コンパレータブロック210のアナログ入力をデジタル信号に変換するための基準レベルは、基準キャパシタ310によって調整又は較正されてよい。例えば、第1のスイッチ301がコンパレータブロック210の入力を加算器320の第1入力部に接続し、第2のスイッチ302が基準キャパシタ310を加算器320の第2入力部に接続し、第3のスイッチ303がフィードバック信号を加算器320から切り離す場合に、コンパレータブロック210は、コンパレータブロック210の入力を、コンパレータ330の基準レベルと基準キャパシタ310によって保持される電荷に対応する基準電圧との和と比較し、入力が和よりも高い場合には論理“1”を生成し、あるいは、入力が和よりも低い場合には論理“0”を生成するよう構成される。コンパレータ330は、キャパシタ・サイジングによって生成される内部基準レベルを有してよいが、内部基準レベルは、相補形金属酸化膜半導体(CMOS)製造プロセスにより変化しうる。図3の例において表されるように、特定の実施形態は、コンパレータ330の基準レベルを増大させるために基準キャパシタ310を使用し、アナログ入力電圧201を量子化するためのコンパレータブロック210の基準レベルは、コンパレータ330の内部基準レベルと無関係であってよい。
【0013】
図4は、図2の例となるフラッシュADCを構成する例となる方法を表す。特定の実施形態において、制御ロジック212は、コンパレータアレイ202のダーティ・チャネルと、このダーティ・チャネルのコンパレータブロック202のための、アナログ入力201をデジタル信号に変換する目標基準レベルとを特定してよい(401)。例えば、ダーティ・チャネルは、上記のコンパレータのキューの第1候補であってよい。例えば、ダーティ・チャネルのコンパレータブロック202のための目標基準レベルは、コンパレータのキューの第2候補のための所望の基準レベルであってよい(すなわち、第1候補が較正された後、第2候補は、較正のために、アナログ入力信号をデジタル信号に変換する際に、第2候補の位置を占める第1候補と取り替えられ得る)。特定の実施形態において、制御ロジック212は、ダーティ・チャネルを較正モードに置いてよい(402)。特定の実施形態において、制御ロジック212は、ダーティ・チャネルのコンパレータブロック210を、そのコンパレータブロック、制御ロジック212及びDAC214を有するフィードバックループに置くことによって、ダーティ・チャネルを較正モードに置いてよい。特定の実施形態において、制御ロジック212は、クロスバー・スイッチ206に、ダーティ・チャネルの出力を較正チャネル208にマッピングさせてよい。特定の実施形態において、制御ロジック212は、ダーティ・チャネルのコンパレータブロック210のコンパレータ330の入力をフィードバック信号220に接続してよい。例えば、制御ロジック212は、第1のスイッチ301を小信号グランドに接続するよう切り替え、第2のスイッチ302を、基準キャパシタ310を加算器320の第2入力部から切り離し、基準キャパシタ310を放電するよう切り替え、第3のスイッチ303を、加算器320の第2入力部をフィードバック信号220に接続するよう切り替えるように、ダーティ・チャネルのコンパレータブロック210を設定することができる。
【0014】
特定の実施形態において、制御ロジック212は、ダーティ・チャネルのコンパレータブロック210のコンパレータ330の現在の基準レベルを決定してよい(403)。特定の実施形態において、制御ロジック212は、図5に表されるように、漸増的にDACコードをスイープすることによって、コンパレータ330の現在の基準レベルに対応するDACコード(すなわち、DAC214の入力デジタルコード)を決定してよい。図5の例では、制御ロジック212は、コンパレータブロック210の目標基準レベルに対応するDACコードを設定し(501)、較正チャネル208でコンパレータ330の出力を試験して、コンパレータ330の出力が論理“1”であるかどうかを決定することができる(502)。出力が論理“1”である場合、制御ロジック212は、1DACコード増分だけDACコードを減少させる、例えば、DACコードを“000111”から“000011”に減少させることができる(503)。出力が論理“0”である場合、制御ロジック212は、1DACコード増分だけDACコードを増加させる、例えば、DACコードを“000111”から“001111”に増加させることができる(504)。DACコードを減少させた(503)又はDACコードを増加させた(504)後、制御ロジック212は、コンパレータ330の出力を試験して、出力が状態を変えるかどうか(例えば、論理“1”から“0”へ、又は論理“0”から“1”へ)を決定することができる(505)。出力が最後の増分又は減少から状態を変えない場合に、制御ロジック212は、ステップ502に戻ることによって、DACコードを増加又は減少させ続けることができる。出力が最後の増分又は減少から変わる場合に、制御ロジック212は最後の増分又は減少を逆にし、結果として生じるDACコードはコンパレータ330の現在の基準レベルに対応する。
【0015】
特定の実施形態において、制御ロジック212は、基準キャパシタ310を充電することによって、ダーティ・チャネルのコンパレータブロック210の基準レベルを目標基準レベルへと較正してよい。特定の実施形態において、制御ロジック212は、(図5の例となる方法によって得られるように、)コンパレータ330の現在の基準レベルに対応するDACコードだけコンパレータブロック210の目標基準レベルに対応するDACコードを減じることによって、基準キャパシタ310のためのDACコードを決定してよい。特定の実施形態において、制御ロジック212は、DAC214に関し基準キャパシタ310のためのDACコードを設定してよい。特定の実施形態において、制御ロジック212は、基準キャパシタ310をフィードバック信号220に接続して基準キャパシタ310を充電するよう第2のスイッチ302を切り替えてよい。特定の実施形態において、制御ロジック212は、基準キャパシタ310が完全に充電された後、加算器320の第2入力部をフィードバック信号から切り離すよう第3のスイッチ303を切り替えてよい。特定の実施形態において、制御ロジック212は、加算器320の第1入力部をコンパレータブロック210の入力に接続するよう第1のスイッチ301を切り替えてよい。図4の例となる方法において表されるように、特定の実施形態は、第1のコンパレータブロックのコンパレータ330の内部基準レベルに関わらず、アナログ入力電圧210を量子化するために2個の基準レベルのいずれかへと第1のコンパレータブロックの基準レベルを較正してよい。
【0016】
特定の実施形態において、夫々の基準キャパシタ310のための基準レベル電圧は、DAC214の全出力振幅によって境界されてよい:

OS=VFS_DAC/2

OSはDAC214の出力振幅であり、VFS_DACはDAC214の全振幅電圧であり、YはDAC214のビットにおける分解能である。幾つかの実施形態において、DAC214は、コンパレータアレイ202よりも低い周波数で動作してよく、コンパレータアレイ202と比較して必要とするシリコン面積が少なくてよい。
【0017】
図2の例となるシステムは、キャパシタの漸進的な放電により1又はそれ以上のコンパレータブロック210の基準キャパシタ310の周期的なリフレッシュを必要としうる。フラッシュADCの最下位ビットに対応する電圧の4分の1よりも大きい(漸進的な放電による)基準キャパシタ310によって保持される電圧の減衰は、フラッシュADCに、分解能の2分の1を失わせうる。基準キャパシタ310のサイズの選択は、図2の例となるフラッシュADCの過度のリフレッシュ又は再較正のリスクを軽減することができる。例えば、基準キャパシタ310のサイズ(例えば、Cref)及び基準キャパシタ310で見られる全体の寄生抵抗(例えば、Rpar)の積のRC定数(すなわち、基準キャパシタ310のリフレッシュ周期)は、ダーティ・チャネルと最近較正されたチャネルとを交換するのに必要とされる時間(例えば、tswap)及びコンパレータブロック210を較正するのに必要とされる時間(例えば、tcal)の和よりも大きくなければならない:

ref×Rpar≧tswap+tcal

swap及びtcalはシステムクロックの整数倍であってよいので、基準キャパシタ310のリフレッシュ周期(すなわち、Cref×Rpar)は少なくともシステムクロック(例えば、Tclk)の整数倍であってよい:

ref×Rpar≧α×Tclk

αは整数である。
【0018】
図4の例は、例えば、(例えば、システム電源オンの間の)電源電圧、動作温度、又は入力電圧振幅に変化がある場合に、図2の例となるフラッシュADCの全てのチャネルを較正するために使用されてよい。
【0019】
図2の例となるフラッシュADCは、1又はそれ以上のコンパレータブロック210を不能にすることによって、より低い分解能で動作してよい。例えば、コンパレータブロック210を不能にするよう、制御ロジック212は、第1のスイッチ301を小信号グランドに切り替えることができる。1又はそれ以上のコンパレータブロックを不能にすることは、アナログ入力信号を例となるフラッシュADCに伝える前段によって見られるより低い入力キャパシタンスにより、図2の例となるフラッシュADCを組み込むシステムの全体的な電力を低減することができる。
【0020】
本開示は、当業者が理解する、本願における例となる実施形態に対する全ての変更、置換、変形、代替、及び修正を包含する。同様に、必要に応じて、添付の特許請求の範囲は、当業者が理解する、本願における例となる実施形態に対する全ての変更、置換、変形、代替、及び修正を包含する。
【0021】
以上の実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
(付記1)
各コンパレータブロックが基準レベルを有し、アナログ入力を前記基準レベルと比較することによって前記アナログ入力をデジタル出力に変換するよう構成されるコンパレータブロックの配列と、
1度に前記コンパレータブロックの1つをフィードバックループに配置するよう構成されるスイッチと、
前記コンパレータブロックを較正するよう構成される制御ロジックと
を有し、
前記制御ロジックは、
前記コンパレータブロックの1つを特定し、
前記スイッチに前記特定されたコンパレータブロックをフィードバックループに配置させ、
前記特定されたコンパレータブロックについて目標基準レベルを決定し、
前記特定されたコンパレータブロックについて現在の基準レベルを決定し、
前記現在の基準レベルが前記目標基準レベルと異なる場合、前記特定されたコンパレータブロックの基準レベルを前記目標基準レベルへと調整する
フラッシュアナログ−デジタルコンバータ。
(付記2)
各コンパレータブロックは、基準キャパシタに結合されるコンパレータを有する、
付記1に記載のフラッシュアナログ−デジタルコンバータ。
(付記3)
前記特定されたコンパレータブロックの現在の基準レベルを決定することは、
前記特定されたコンパレータブロックのコンパレータから該特定されたコンパレータブロックの基準キャパシタを切り離し、
前記コンパレータへの入力電圧を漸進的に増大又は低減し、前記コンパレータの出力ロジック値が変化する場合に第1の入力電圧を決定し、
前記特定されたコンパレータブロックの前記現在の基準レベルとして前記第1の入力電圧を割り当てる
ことを含む、付記2に記載のフラッシュアナログ−デジタルコンバータ。
(付記4)
前記特定されたコンパレータブロックの基準レベルは、前記基準キャパシタを充電することによって前記目標基準レベルへと調整される、
付記2に記載のフラッシュアナログ−デジタルコンバータ。
(付記5)
前記コンパレータブロックの1つを特定することは、
減衰コンパレータブロックのキューにアクセスし、
前記減衰コンパレータブロックのキューの先頭のコンパレータブロックを選択する
ことを含む、付記1に記載のフラッシュアナログ−デジタルコンバータ。
(付記6)
前記減衰コンパレータブロックのキューは、該キューにおける各コンパレータブロックの減衰速度によって順位付けされ、最も速い減衰コンパレータブロックが前記キューにおいて先頭に順位付けられる、
付記5に記載のフラッシュアナログ−デジタルコンバータ。
(付記7)
前記特定されたコンパレータブロックの目標基準レベルを決定することは、
前記減衰コンパレータブロックのキューの2番目のコンパレータブロックの所望の基準レベルを決定し、
前記特定されたコンパレータブロックの前記目標基準レベルとして前記減衰コンパレータブロックのキューの前記2番目のコンパレータブロックの前記所望の基準レベルを割り当てる
ことを含む、付記5に記載のフラッシュアナログ−デジタルコンバータ。
(付記8)
当該フラッシュアナログ−デジタルコンバータはNビットの分解能を有し、
前記コンパレータブロックの配列には2+1個のコンパレータブロックが存在する、
付記1に記載のフラッシュアナログ−デジタルコンバータ。
(付記9)
各コンパレータブロックが基準レベルを有し、アナログ入力を前記基準レベルと比較することによって前記アナログ入力をデジタル出力に変換するよう構成されるコンパレータブロックの配列の中から1つのコンパレータブロックを特定し、
1度に前記コンパレータブロックの1つをフィードバックループに配置するよう構成されるスイッチに、前記特定されたコンパレータブロックを前記フィードバックループに配置させ、
前記特定されたコンパレータブロックについて目標基準レベルを決定し、
前記特定されたコンパレータブロックについて現在の基準レベルを決定し、
前記現在の基準レベルが前記目標基準レベルと異なる場合、前記特定されたコンパレータブロックの基準レベルを前記目標基準レベルへと調整する
方法。
(付記10)
各コンパレータブロックは、基準キャパシタに結合されるコンパレータを有する、
付記9に記載の方法。
(付記11)
前記特定されたコンパレータブロックの現在の基準レベルを決定することは、
前記特定されたコンパレータブロックのコンパレータから該特定されたコンパレータブロックの基準キャパシタを切り離し、
前記コンパレータへの入力電圧を漸進的に増大又は低減し、前記コンパレータの出力ロジック値が変化する場合に第1の入力電圧を決定し、
前記特定されたコンパレータブロックの前記現在の基準レベルとして前記第1の入力電圧を割り当てる
ことを含む、付記10に記載の方法。
(付記12)
前記特定されたコンパレータブロックの基準レベルは、前記基準キャパシタを充電することによって前記目標基準レベルへと調整される、
付記10に記載の方法。
(付記13)
前記コンパレータブロックの1つを特定することは、
減衰コンパレータブロックのキューにアクセスし、
前記減衰コンパレータブロックのキューの先頭のコンパレータブロックを選択する
ことを含む、付記9に記載の方法。
(付記14)
前記減衰コンパレータブロックのキューは、該キューにおける各コンパレータブロックの減衰速度によって順位付けされ、最も速い減衰コンパレータブロックが前記キューにおいて先頭に順位付けられる、
付記13に記載の方法。
(付記15)
前記特定されたコンパレータブロックの目標基準レベルを決定することは、
前記減衰コンパレータブロックのキューの2番目のコンパレータブロックの所望の基準レベルを決定し、
前記特定されたコンパレータブロックの前記目標基準レベルとして前記減衰コンパレータブロックのキューの前記2番目のコンパレータブロックの前記所望の基準レベルを割り当てる
ことを含む、付記13に記載の方法。
(付記16)
各コンパレータブロックが基準レベルを有し、アナログ入力を前記基準レベルと比較することによって前記アナログ入力をデジタル出力に変換するよう構成されるコンパレータブロックの配列の中から1つのコンパレータブロックを特定する手段と、
1度に前記コンパレータブロックの1つをフィードバックループに配置するよう構成されるスイッチに、前記特定されたコンパレータブロックを前記フィードバックループに配置させる手段と、
前記特定されたコンパレータブロックについて目標基準レベルを決定する手段と、
前記特定されたコンパレータブロックについて現在の基準レベルを決定する手段と、
前記現在の基準レベルが前記目標基準レベルと異なる場合、前記特定されたコンパレータブロックの基準レベルを前記目標基準レベルへと調整する手段と
を有するシステム。
【符号の説明】
【0022】
101,201 アナログ入力電圧
102,202 コンパレータアレイ
103,203 デジタル出力
105,205 エンコーダ
104,204 バイナリコード
110,210 コンパレータ
206 クロスバー・スイッチ
208 較正チャネル
212 制御ロジック
214 デジタル−アナログコンバータ(DAC)
220 アナログフィードバック信号
301 第1のスイッチ
302 第2のスイッチ
303 第3のスイッチ
310 基準キャパシタ
320 加算器
330 コンパレータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各コンパレータブロックが基準レベルを有し、アナログ入力を前記基準レベルと比較することによって前記アナログ入力をデジタル出力に変換するよう構成されるコンパレータブロックの配列と、
1度に前記コンパレータブロックの1つをフィードバックループに配置するよう構成されるスイッチと、
前記コンパレータブロックを較正するよう構成される制御ロジックと
を有し、
前記制御ロジックは、
前記コンパレータブロックの1つを特定し、
前記スイッチに前記特定されたコンパレータブロックをフィードバックループに配置させ、
前記特定されたコンパレータブロックについて目標基準レベルを決定し、
前記特定されたコンパレータブロックについて現在の基準レベルを決定し、
前記現在の基準レベルが前記目標基準レベルと異なる場合、前記特定されたコンパレータブロックの基準レベルを前記目標基準レベルへと調整する
フラッシュアナログ−デジタルコンバータ。
【請求項2】
各コンパレータブロックは、基準キャパシタに結合されるコンパレータを有する、
請求項1に記載のフラッシュアナログ−デジタルコンバータ。
【請求項3】
前記特定されたコンパレータブロックの現在の基準レベルを決定することは、
前記特定されたコンパレータブロックのコンパレータから該特定されたコンパレータブロックの基準キャパシタを切り離し、
前記コンパレータへの入力電圧を漸進的に増大又は低減し、前記コンパレータの出力ロジック値が変化する場合に第1の入力電圧を決定し、
前記特定されたコンパレータブロックの前記現在の基準レベルとして前記第1の入力電圧を割り当てる
ことを含む、請求項2に記載のフラッシュアナログ−デジタルコンバータ。
【請求項4】
前記特定されたコンパレータブロックの基準レベルは、前記基準キャパシタを充電することによって前記目標基準レベルへと調整される、
請求項2に記載のフラッシュアナログ−デジタルコンバータ。
【請求項5】
前記コンパレータブロックの1つを特定することは、
減衰コンパレータブロックのキューにアクセスし、
前記減衰コンパレータブロックのキューの先頭のコンパレータブロックを選択する
ことを含む、請求項1に記載のフラッシュアナログ−デジタルコンバータ。
【請求項6】
各コンパレータブロックが基準レベルを有し、アナログ入力を前記基準レベルと比較することによって前記アナログ入力をデジタル出力に変換するよう構成されるコンパレータブロックの配列の中から1つのコンパレータブロックを特定し、
1度に前記コンパレータブロックの1つをフィードバックループに配置するよう構成されるスイッチに、前記特定されたコンパレータブロックを前記フィードバックループに配置させ、
前記特定されたコンパレータブロックについて目標基準レベルを決定し、
前記特定されたコンパレータブロックについて現在の基準レベルを決定し、
前記現在の基準レベルが前記目標基準レベルと異なる場合、前記特定されたコンパレータブロックの基準レベルを前記目標基準レベルへと調整する
方法。
【請求項7】
各コンパレータブロックが基準レベルを有し、アナログ入力を前記基準レベルと比較することによって前記アナログ入力をデジタル出力に変換するよう構成されるコンパレータブロックの配列の中から1つのコンパレータブロックを特定する手段と、
1度に前記コンパレータブロックの1つをフィードバックループに配置するよう構成されるスイッチに、前記特定されたコンパレータブロックを前記フィードバックループに配置させる手段と、
前記特定されたコンパレータブロックについて目標基準レベルを決定する手段と、
前記特定されたコンパレータブロックについて現在の基準レベルを決定する手段と、
前記現在の基準レベルが前記目標基準レベルと異なる場合、前記特定されたコンパレータブロックの基準レベルを前記目標基準レベルへと調整する手段と
を有するシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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