説明

フラットケーブル用コネクタのプリント配線基板への取付構造

【課題】フラットケーブル用コネクタを取付けたプリント配線基板の全体の厚みを大幅に減少させることができるようにした、光ピックアップ装置の薄型化に有効な、フラットケーブル用コネクタの取付構造を提供する。
【解決手段】プリント配線基板1に形成された切欠部1aにフラットケーブル用コネクタ2を嵌め込み、フラットケーブル用コネクタ2の両側面に設けられた取付片2aを上記切欠部1aの両側縁の半田用ランド部1bに半田付けした、フラットケーブル用コネクタ2の取付構造とする。切欠部1aにフラットケーブル用コネクタ2を嵌め込むことで、取付箇所の全体の厚みを、プリント配線基板1の厚みT分、又は、フラットケーブル用コネクタ2の高さH分だけ減少させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フラットケーブル用コネクタのプリント配線基板への取付構造に関し、更に詳しくは、フラットケーブル用コネクタを取付けたプリント配線基板の全体の厚みを減少させることができるため、薄型の光ピックアップ装置などを設計する場合に極めて有効な取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の光ディスク記録・再生装置などに搭載される光ピックアップ装置は、金属製のベースの裏側に、レーザービームを照射するレーザーダイオード、レーザービームを回折させて3ビームを発生させる回折格子、ビームを反射と透過に分けて二分割するビームスプリッター、これらのビームを上方へ反射させる立上げミラー、センサーレンズ、光検出器などが組み込まれている。そして、ベースの表側には、ビームを集光して光ディスクに照射する対物レンズ、この対物レンズのフォーカス制御、トラック制御、チルト制御を行うアクチュエータ、フラットケーブル用コネクタを取付けたプリント配線基板などが搭載されており、このプリント配線基板のフラットケーブル用コネクタには、駆動用基板からのフラットケーブルが接続されるようになっている。
【0003】
ところで、最近はポータブルDVDなどで代表されるようにDVD装置が小型化、薄型化される傾向にあり、それに伴って光ピックアップ装置も薄型化の必要性が増している。けれども、これまでの光ピックアップ装置においては、図5に示すように、ベース表面のプリント配線基板1にフラットケーブル用コネクタ2を載置した状態で取付けているため、コネクタ取付箇所の全体の厚みがプリント配線基板1の厚みTとフラットケーブル用コネクタ2の高さHを合計した厚みとなり、例えば、プリント配線基板1の一般的な厚みTが1.2mm、フラットケーブル用コネクタ2の一般的な高さHが2mmであるとすると、全体の厚みが3.2mmと大きくなるため、これが光ピックアップ装置の薄型化を妨げる一因となっていた。
【0004】
これに対し、一方の基板の側面に溝を設け、コネクタ信号端子に相当する信号ピンを溝の内面に埋め込んでコネクタ機能を持たせ、他方の基板の信号パターンを形成したカードエッジ部を上記の溝に差し込んで、双方の基板を接続するようにしたものが知られている(特許文献1)。
【0005】
上記特許文献1の接続構造は、一方の基板の表面にコネクタを取付ける必要がないので、コネクタの厚み分だけ薄型化することは可能であるが、一方の基板の側面にコネクタ機能を持たせるための加工が極めて面倒であり、しかも、フラットケーブルの接続には不向きであるため、この接続技術を採用して薄型化を図ることは難しい。
【0006】
また、補強板を具備するフレキシブルプリント配線板が回路基板と平行方向に挿入されるコネクタを回路基板上に設け、フレキシブルプリント配線板がコネクタに挿入されたときに補強板の端面の位置に対応する回路基板の位置にマークをシルク印刷し、フレキシブルプリント配線板が挿入されたときにコネクタから補強板が突出するようにした回路基板も知られている(特許文献2)。
【0007】
この特許文献2の回路基板は、フレキシブルプリント配線板をコネクタに比較的容易に挿入可能であるが、コネクタが回路基板上に取付けられているため、やはり薄型化は困難である。
【0008】
また、配線基板上に取付けられるフレキシブル基板用コネクタの薄型化を図ったものも知られている(特許文献3)が、フレキシブル基板用コネクタの薄型化を図ったとしても、フレキシブル基板用コネクタを配線基板上に取付けている限り、全体の厚みを大幅に薄型化することは困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平6−216489号公報
【特許文献2】特開2008−117947号公報
【特許文献3】特開2007−214150号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は上記事情の下になされたもので、その解決しようとする課題は、フラットケーブル用コネクタの取付形態を根本的に変更することにより、フラットケーブル用コネクタを取付けたプリント配線基板の全体の厚みを大幅に減少させることができるようにした、光ピックアップ装置の薄型化に有効な、フラットケーブル用コネクタのプリント配線基板への取付構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、本発明に係るフラットケーブル用コネクタのプリント配線基板への取付構造は、プリント配線基板に形成された切欠部にフラットケーブル用コネクタを嵌め込み、このフラットケーブル用コネクタの両側面に設けられた取付片を上記切欠部の両側縁に固定したことを特徴とするものである。
ここに「切欠部」とは、開口部をも包含する広概念の用語である。
【0012】
本発明の取付構造においては、フラットケーブルの端子をコンタクトさせるフラットケーブル用コネクタの端子を後方へ直状に延設してフラットケーブル用コネクタの後面から突出させ、このコネクタ端子の突出部を、プリント配線基板の切欠部の後縁に形成された導電ランド部に半田接続することが望ましい。
【0013】
また、本発明の取付構造においては、上記取付片が金属製の取付片であって、プリント配線基板の切欠部の両側縁に形成された半田用ランド部に半田付けして固定することが望ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係るフラットケーブル用コネクタの取付構造のように、プリント配線基板に形成された切欠部にフラットケーブル用コネクタを嵌め込み、フラットケーブル用コネクタの両側面に設けられた取付片を上記切欠部の両側縁に固定して取付けたものは、従来の取付構造のようにフラットケーブル用コネクタをプリント配線基板上に載置して取付けたものに比べて、全体の厚みをプリント配線基板の厚み分、又は、フラットケーブル用コネクタの高さ分だけ減少させることができる。
【0015】
即ち、フラットケーブル用コネクタの高さがプリント配線基板の厚みより大きい場合は、全体の厚みがフラットケーブル用コネクタの高さ分のみとなり、プリント配線基板の厚み分だけ減少させることができる。例えば、フラットケーブル用コネクタの高さが2mmであり、プリント配線基板の厚みが1.2mmであると、全体の厚みが2mmとなり、従来の合計厚み3.2mmに比べると、1.2mmも減少させることができる。一方、フラットケーブル用コネクタの高さがプリント基板の厚みより小さい場合は、全体の厚みがプリント配線基板の厚み分のみとなり、フラットケーブル用コネクタの高さ分だけ減少させることができる。
【0016】
また、本発明の取付構造は、プリント配線基板に切欠部を形成し、この切欠部にフラットケーブル用コネクタを嵌め込んで、両側面の取付片を切欠部の両側縁に固定するだけで、フラットケーブル用コネクタを取付けることができるので、プリント配線基板の加工やフラットケーブル用コネクタの取付作業が簡単であり、実質的なコストアップを招くことがない。
【0017】
更に、本発明の取付構造において、前述したようにフラットケーブル用コネクタの端子を後方へ直状に延設してコネクタ後面から突出させたフラットケーブル用コネクタを使用し、このコネクタ端子の突出部をプリント配線基板の切欠部の後縁に形成された導電ランド部に半田接続して取付けたものは、フラットケーブル用コネクタの端子が従来の屈曲したコネクタ端子より短く、曲げ加工が不要であるため、フラットケーブル用コネクタのコストダウンが可能となり、経済的に有利である。
【0018】
また、本発明の取付構造において、前述したように取付片が金属製の取付片であり、この取付片をプリント配線基板の切欠部の両側縁に形成された半田用ランド部に半田付けしたものは、コネクタ端子と同時に取付片を半田付けできるので効率良く取付作業を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態に係るフラットケーブル用コネクタのプリント配線基板への取付構造を示す斜視図である。
【図2】同取付構造の平面図である。
【図3】図2のA−A線に沿った断面図である。
【図4】図2のB−B線に沿った断面図である。
【図5】従来のフラットケーブル用コネクタのプリント配線基板への取付構造を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1〜図4に示すフラットケーブル用コネクタのプリント配線基板への取付構造(以下、フラットケーブル用コネクタの取付構造と記す)は、プリント配線基板1の端縁部に、フラットケーブル用コネクタ2の嵌まり込む凹形の切欠部1aが形成されている。そして、このプリント配線基板1の切欠部1aにフラットケーブル用コネクタ2が嵌め込まれ、フラットケーブル用コネクタ2の左右両側面に設けられた金属製の鉤形取付片2a,2aが、切欠部1aの左右両側縁に形成された半田用ランド部1b,1b(図3参照)に半田3で固定されている。
尚、図1では、取付片2aを固定する半田は図示していない。
【0021】
フラットケーブル用コネクタ2は、液晶ポリマーなどの合成樹脂で成形されたコネクタベース部2bと開閉蓋2cとを備えたもので、コネクタベース部2bの一段低い段部の上面には、フラットケーブルの端子とコンタクトする多数の端子2dが櫛歯状に並列して設けられている。これらの端子2dは、図4に示すように後方へ直状に延設されてコネクタベース部2dの後面から突き出しており、このコネクタ端子2dの突出部は、プリント配線基板1の切欠部1aの後縁に形成された導電ランド部1cに半田3で接続されている。従って、フラットケーブル用コネクタ2の開閉蓋2cを開いてフラットケーブルの端部を挿入した後、開閉蓋2cを閉じてフラットケーブルの端子とコネクタ端子2dをコンタクトさせると、フラットケーブルの配線とプリント配線基板1の配線が接続、導通されるようになっている。
【0022】
フラットケーブル用コネクタ2をプリント配線基板1の切欠部1aに嵌め込む深さは、図3に示すように、フラットケーブル用コネクタ2の高さHがプリント配線基板1の厚みTよりも大きい場合には、フラットケーブル用コネクタ2の下面とプリント配線基板1の下面が面一に揃う嵌込み深さとすることが望ましい。このようにすると、フラットケーブル用コネクタ2の取付箇所の全体厚みがフラットケーブル用コネクタ2の高さHのみとなり、プリント配線基板1の厚みT分だけ全体厚みを減少させることができる。
【0023】
尚、フラットケーブル用コネクタ2の下部がプリント配線基板1の下面側へ突き出しても支障がない場合には、フラットケーブル用コネクタ2の上部がプリント配線基板1の上面から沈み込まない嵌込み深さとしてもよく、この場合も上記と同様に、フラットケーブル用コネクタ2の取付箇所の全体厚みがフラットケーブル用コネクタ2の高さHのみとなり、プリント配線基板1の厚みT分だけ全体厚みを減少させることができる。
【0024】
一方、フラットケーブル用コネクタ2の高さHがプリント配線基板1の厚みTよりも小さい場合は、フラットケーブル用コネクタ2の上下両端がプリント配線基板1の上下両面から突き出さない嵌込み深さとすればよく、このようにすると、フラットケーブル用コネクタ2の取付箇所の全体厚みがプリント配線基板1の厚さTのみとなり、フラットケーブル用コネクタ2の高さH分だけ全体厚みを減少させることができる。
【0025】
上記のように、このフラットケーブル用コネクタの取付構造は、従来のようにプリント配線基板上にフラットケーブル用コネクタを載置して取付けたものに比べると、取付箇所の全体の厚みをプリント配線基板の厚みT分、又は、フラットケーブル用コネクタの高さH分だけ減少させることができるので、光ピックアップ装置の薄型化に極めて有効な取付構造である。
【0026】
しかも、プリント配線基板1に切欠部1aを形成し、この切欠部1aにフラットケーブル用コネクタ2を嵌め込んで、両側面の取付片2a,2aを切欠部1aの両側縁の半田用ランド部1b,1bに半田付けすると共に、各コネクタ端子2dを切欠部1aの後縁の導電ランド部1cに半田接続するだけで、フラットケーブル用コネクタ2を取付けることができるので、プリント配線基板1の加工やフラットケーブル用コネクタ2の取付作業が従来と同様に簡単であり、実質的なコストアップを招くことはない。
【0027】
また、この実施形態の取付構造のように、フラットケーブル用コネクタ2の端子2dを後方へ直状に延設してコネクタ後面から突出させたフラットケーブル用コネクタ2を使用すると、フラットケーブル用コネクタ2の端子2dが従来の屈曲したコネクタ端子より短く、曲げ加工が不要であるため、フラットケーブル用コネクタ2の製造コストを抑えることが可能となり、経済的に有利である。
【0028】
以上、代表的な実施形態を挙げて本発明のフラットケーブル用コネクタの取付構造を説明したが、本発明はこの実施形態のみに限定されるものではなく、例えば、プリント配線基板1の端縁部に開口部を形成し、この開口部にフラットケーブル用コネクタを嵌め込んで同様に取付けるようにしてもよいことは言うまでもない。
【符号の説明】
【0029】
1 プリント配線基板
1a 切欠部
1b 半田用ランド部
1c 導電ランド部
2 フラットケーブル用コネクタ
2a 取付片
2d 端子
3 半田

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリント配線基板に形成された切欠部にフラットケーブル用コネクタを嵌め込み、このフラットケーブル用コネクタの両側面に設けられた取付片を上記切欠部の両側縁に固定したことを特徴とする、フラットケーブル用コネクタのプリント配線基板への取付構造。
【請求項2】
フラットケーブルの端子をコンタクトさせるフラットケーブル用コネクタの端子を後方へ直状に延設してフラットケーブル用コネクタの後面から突出させ、このコネクタ端子の突出部を、プリント配線基板の切欠部の後縁に形成された導電ランド部に半田接続したことを特徴とする請求項1に記載の取付構造。
【請求項3】
上記取付片が金属製の取付片であって、プリント配線基板の切欠部の両側縁に形成された半田用ランド部に半田付けして固定したことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の取付構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−14832(P2012−14832A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−147002(P2010−147002)
【出願日】平成22年6月29日(2010.6.29)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】