説明

フラビウイルスに対する免疫反応を引き起こす抗原及びその使用方法

本発明の態様は、タンパク質EのコンセンサスDIII領域をコードする単離した核酸、およびそれを用いて作製したワクチン、ならびに前述の核酸およびワクチンを用いて、フラビウイルス、特に、ウエストナイルウイルスおよび日本脳炎ウイルスの複数の血清型に対する免疫反応を宿主に引き起こさせる方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
日本脳炎ウイルス(JEV)血清型群のグループは、蚊媒介フラビウイルスからなり、それにはウエストナイルウイルス(WNV)およびJEVが含まれ、両方ともヒトにおいて深刻な脳炎を引き起こし得る。WNVは、1999年にもたらされて以来、米国の全域で急速に蔓延し、西半球内のその地理的分布はさらに拡大することが予想される一方で、JEVは、東南アジア、中国およびインドにおいてウイルス性脳炎の最も一般的な原因である。現在、両ウイルスに対するFDA(食品医薬品局)に承認された特異的治療法はないが、両ウイルスに対するワクチン開発が試みられている。
【0002】
フラビウイルスのウエストナイルウイルス(WNV)および日本脳炎ウイルス(JEV)は、ヒトの大部分のウイルス性脳炎に関与する。WNVは、広範囲のトリの種及びヒトを含む哺乳類の種に感染する。WNVは、輸血、臓器移植、および授乳を通じて感染することも証明されている。ウエストナイル脳炎(WNV)ウイルスは、南ヨーロッパ、アフリカ、中央アジア、およびつい最近では北アメリカを含む広い地域の範囲に及ぶ。このウイルスは、イスラエル、エジプト、インドおよびパキスタンにおいて、しばしば髄膜脳炎の症状を引き起こす。エジプトにおいて、このウイルスが全ての髄膜炎および無菌性脳炎の3%の原因である。JEVは、平均30%の症例死亡率を示し、アジアにおけるウイルス性脳炎の単一の最も重大な原因である。JEVは東南アジア、インド、および中国において重大な問題であり、該ウイルスはこれらの地域における固有種である。近年、JEVは、オーストラリア、およびパキスタンなどの他の地域に蔓延しており、従って、これらの地域において重大で新興のウイルス感染となっている。
【0003】
日本脳炎(JE)は、大脳、小脳、および脊髄を含む中枢神経系における炎症性疾患である。マウスの脳由来の不活化ワクチンを用いるJEVに対するワクチン接種は、非常に効果的であることが証明され、病気の苦しみを軽減させた。しかしながら、このワクチンの免疫原性および安全性について懸念されている。初代のハムスター腎臓(PHK)細胞で産生される弱毒生JEVワクチン及び細胞培養に基づくJEVワクチンは、中国において出願人にライセンスが認可され、安全で、効果的であることが証明された。しかしながら、PHKは、ヒトワクチンの産生のために承認された細胞株ではないので、多くの国々がこのJEVワクチンを使用しないであろう。
【0004】
JEV感染は、最高30〜50%の死亡率を有し、生存者においては高率の神経学的後遺症を患い、脳炎の最も深刻なウイルス性原因の一つとしてみなされている(8)。従って、WHOを含む地方および国内の公共保健機関によって、流行地に居住している住民に対して、日本脳炎の集団予防接種が一般に推奨されている。風土病のない先進国において、JEは珍しい外来病としてみなされている。しかし、最近数十年、非流行地からの観光客および他の旅行者において感染の症例がほぼ毎年報告されている。しかしながら、危険にさらされている国際旅行者の集団のワクチン接種率は非常に低く、このことは一部の旅行者および彼らの旅行中の健康相談役のこの病気に対する認識欠如に起因するだけでなく、現在ライセンスが認可されているマウスの脳由来のJEVワクチンJE−VAXRと関連する潜在的な副作用の恐れにもよる(33)。
【0005】
JE−VAXRは、日本の子供達ならびに米国およびいくつかのヨーロッパの国々の旅行者及び軍人に使用するために、マウス脳から生産され、ライセンスが認可されたホルマリン不活化ワクチンである。頻回注射法の条件および反応源性の問題がその使用を複雑にしている。頻繁な追加免疫の必要がなく、持続性の免疫を引き起こす手ごろな価格のワクチンが、途上国におけるJEの制御に必要である。マウス脳由来のJEVワクチンは、何十年もの間、アジアの様々な国々およびいくつかの先進国において広く使用されてきた。オーストラリア、ヨーロッパおよび北アメリカの予防接種を受けた成人において、じん麻疹または血管性浮腫、ならびにいくつかの症例では、呼吸困難からなる深刻な副作用が報告された。これらの副作用は様々であり、10000回の注射あたり1〜104回未満の範囲で発生し、懸念の主な原因の一つであるアナフィラキシーを伴う。
【0006】
フラビウイルスのEタンパク質が最も免疫原性があり、ワクチン開発に適する。Eタンパク質は3つの構造領域(DI、DIIおよびDIII)からなり、そのうちのDIIIは主に部分複合体および型に特異的なエピトープを含む。DIIIに基づくいくつかのワクチンは、特定の条件下、免疫原性があり、効果的であることが証明された。
【0007】
DIIIタンパク質は、いくつかのWNVおよびJEV株間で高度に保存されている。WNV DIIIのJEV DIIIとの全アミノ酸同一性および類似性の値は、それぞれ約81%および94%である。DIIIは受容体結合領域として機能し、単独で折り畳むことができる連続的なポリペプチド断片を形成する。DIII内の変異が、フラビウイルスの病原性および指向性に影響を与えることがはっきり証明された。rDIIIは非常に安定なタンパク質であり、それゆえ、誘因性抗原になり得る。天然のDIIIもグリコシル化されないので、原核細胞内における細菌性発現中にこのタンパク質がグリコシル化されないことは、その抗原性に影響を与えない。JEVおよびデングウイルスの組換えDIIIは、それぞれの悪性ウイルスを接種されたマウスにおいて免疫原性および保護性があることが証明され、フラビウイルスに対するDIIIに基づくワクチン製剤の適合性を明確に示す。しかしながら、以前の試みにおいて、比較的高い濃度のrDIIIが中和抗体反応の誘導に必要とされることが明らかになり、このことはrDIIIの免疫原性が低いことを示す。
【0008】
アジアのJEV株の最近の分子解析により、この株は4つの異なる遺伝子型群に分類された(37)。現在入手可能なJEVワクチンはJEの一株にのみ基づいているので、この高レベルの配列多様性は、出回っているJEV株に対するJEVワクチンの交差防御効果について疑問および懸念をもたらしている(12、13)。
【0009】
免疫療法の場面では、DNAワクチンは、弱毒化したウイルスの生ワクチンおよび組換えタンパク質に基づくワクチンなどの従来のワクチンを上回るいくつかの利点を有する(24、26)。DNAワクチンは、ヒトにおいて非常に耐容性がよいのは明らかである。前臨床安全性試験は、プラスミドがインテグレートされるという証拠がほとんどなく、またプラスミドベクターの有効性は以前から存在する中和抗体によって影響されないので、DNAワクチンが反復投与にも使用できることを示す。さらに、DNAワクチンは非常に安定で産生が簡便であるように思われる。しかしながら、初期の試験では、多くの動物およびヒトにおいて、DNAワクチンの効力が低いことが報告された。
【0010】
出回っている全ての株が、中和によって規定される単一の血清型に属することは一般に認められるが(37)、フラビウイルスのRNAゲノムが高率の変異を有するため、アジアおよびオーストラリアのヒト集団において出回っているJEVが遺伝子的に多様であり、ワクチン開発の問題を複雑にしている(35、36)。
【0011】
複数のJEVおよびWNVの血清型に対する、哺乳類を保護するための安全で効果的なJEVワクチンの必要性が今もなおある。DNAワクチンの免疫反応を効果的に高めることができる効果的なアジュバンドの必要性もある。
【発明の概要】
【0012】
本発明の態様は、タンパク質EのコンセンサスDIII領域をコードする単離した核酸を含む。これらの核酸は、以下のヌクレオチド配列を含み得る:(a)配列番号12、13、もしくは14;(b)配列番号9、10、もしくは11のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列;または(c)(a)もしくは(b)の相補体。本発明の別の態様には、本明細書に記載の単離した核酸を含む遺伝子構築物がある。いくつかの実施形態において、遺伝子構築物は、コザック配列GGT ACC GCC ACC(配列番号15)および/またはIgGもしくはIgEの一部から選択されるリーダー配列を含み得る。
【0013】
本発明のさらに別の態様は、以下を含むアミノ酸配列を含むポリペプチドである:(a)配列番号9、10もしくは11;または(b)(a)の断片。
【0014】
本発明の態様は、宿主にWNVおよびJEVの複数の血清型に対する免疫反応を起こすことのできるDNAワクチンであり、このワクチンは以下を含む:(a)本明細書に記載の単離した核酸を含むコード配列と作用可能に連結したプロモーターを含む遺伝子構築物;および(b)薬学的に許容可能な賦形剤;ここで、この遺伝子構築物は、宿主の細胞に免疫反応を引き起こすことに効果的な量で、タンパク質E抗原のコンセンサスDIII領域を発現することができる。
【0015】
本発明の一態様は、宿主に、フラビウイルスの複数のウイルス血清型に対する免疫応答を引き起こす以下を含む方法である:(a)本明細書に記載のワクチンを宿主の組織に送達するステップ;および(b)このワクチンの遺伝子構築物を細胞に侵入させることを可能にするのに効果的なエネルギーパルスを送達する電気穿孔装置を用いて、組織の細胞を電気穿孔するステップ。
【0016】
本発明の多数の目的および利点は、添付の図を参照することにより当業者により理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1Aは、ウイルスおよび宿主細胞のプロテアーゼによって触媒される切断部位を有するフラビウイルスポリタンパク質の構造を示す図である。フラビウイルスEの3次元構造は、3つの異なる領域I、IIおよびIIIを有することを示す。右側のプラスミド地図は、本研究で使用するワクチン構築物の様々な要素を示す。図1Bは、DV−Uのコンセンサスアミノ酸配列を示す図である。分泌過程を最大限にするIgEのリーダー配列に下線を引く。図1Cは、JEV DIII、キメラJE/WNV DIIIおよびWNV DIII JE/WNV DIII断片の制限酵素消化の結果の写真であり、DIIIコード領域の長さ(435bp)を示す。左端のレーンにDNAラダーを示す。図1Dは、DNAワクチン構築物のインビトロ発現を示す写真である。材料および方法の欄に記載したように、DNAワクチン構築物から生成される35S標識遺伝子産物をSDSゲルで分離した。これらのタンパク質産物は、約16.5kDaの質量の移動度に相当した。pVAX空ベクターから対応するタンパク質産物が得られないことは、この反応の特異性を示す。図1Eは、RD細胞におけるDIIIワクチン構築物の発現解析の結果を示す写真である。細胞をワクチン構築物でトランスフェクトし、トランスフェクション2日後に、DIII特異的mRNA転写産物の存在についてRT−PCRにより解析した。模擬トランスフェクトした細胞は、適切な増幅産物を示さなかった。適切なプライマーを用いて、DIII構築物でトランスフェクトした細胞から約435塩基対の産物を観察することで、対応するDIIIをコードする転写産物の存在を確かめた。
【図2】図2Aは、3つの異なるIL15アイソフォームの局在を示す写真である。HeLa細胞をIL15アイソフォームのSSPまたはLSPまたはOPTを発現するプラスミドでトランスフェクトし、トランスフェクション36時間後、免疫蛍光アッセイにより解析した。これらの細胞を固定し、抗IL15モノクローナル抗体とインキュベートし、次いで抗マウスFITC結合2次抗体とインキュベートした。DAPIを使用して、細胞の核の内容物を対比染色した。空ベクターを陰性対照として使用し、模擬トランスフェクトした細胞からは、特異的染色はまったく生じなかった(a〜c)。IL15−SSPアイソフォームは分泌されず、むしろ細胞内に貯蔵され、核成分にあるように見えるが(d〜f)、IL15−LSPアイソフォーム(g〜i)およびヒトコドン最適化IL15(j〜l)は、分泌型IL15と関連して細胞質領域にはっきりと見られる。図2Bは、IL15アイソフォームの分泌レベルを示すグラフである。RD細胞をIL15発現構築物(1μg/ウェル)でトランスフェクトし、2日後、ELISAにより分泌型IL15タンパク質の存在について上清を分析した。IL15 ECRO発現構築物は、最も高レベルのIL15分泌を生じさせた。図2Cは、分泌レベルを比較したグラフであり、IL15 LSPおよびOPT構築物からの分泌量は、SSP型の倍数として示した。
【図3】DIIIタンパク質断片の細菌による産生および精製を示す写真である。材料および方法に記載したように、DIIIコード領域をpQE30発現ベクターにクローニングし、タンパク質試料を細菌溶解物から精製した。PAGEのクーマシー染色は、細菌発現系の精製工程の異なる段階から回収した試料を示す。Niカラムと結合させた後、2OmMのイミダゾールを含む溶出緩衝液ではDIII断片を遊離させることができず、25OmMのイミダゾールがヒスチジンタグ付きDIII断片を選択的に溶出することに効果的であった。適切な分子量(16.5kDa)を有する精製したDIII断片の顕著なバンドに印をつけた。
【図4】図4Aは、ワクチン接種および免疫付与の計画の概略図を示す。CELLECTRA(登録商標)電気穿孔装置(VGX Pharmaceuticals,Blue Bell PA)により、BALB/cマウスを20Xgワクチン構築物またはpVAX空ベクターで2週間空けて免疫化し、1週間後屠殺した。図4Bは、抗DIII血清が精製DIII断片と特異的に反応することを示すグラフである。96ウェルのNiキレート処理プレート上で、DIIIのDNAワクチンを接種したマウスの血清を、1μg/ウェルの精製したDIIIタンパク質試料と37℃で1時間、インキュベートした。通常の発色現像法により、適切な抗体の産生を抗マウスIgG HRPを用いて検出した。これらのプレートを450nmで読み取った。値は、3ウェルの平均(±S.D)を表す。
【図5】DNAワクチンを接種したマウスの血清を用いた、DIIIでトランスフェクトした細胞の染色を示す写真である。HeLa細胞を、pVAXまたはpWNV DIII(図5Aのスライド写真)もしくはpJEV DIII(図5Bのスライド写真)でトランスフェクトした。トランスフェクション2日後、細胞を固定し、これらのDNAワクチン構築物で免疫化したBALB/cマウスの血清とインキュベートした。続いて、細胞をFITC結合抗マウス2次抗体および細胞の核内容物を対比染色するDAPIとインキュベートした。pVAX血清試料による適当な染色が無いことを、各セットの下に示す。
【図6】E DIII ELISpotのグラフを示す。BALB/cマウスを、20μgのpVAXベクターまたはDIII発現構築物で3回、各々2週間の間隔をあけて免疫化し、1週間後屠殺した。脾細胞を回収し、RlO(陰性対照)の存在下、または2μg/mlの3つの精製DIIIタンパク質試料のうちの1つの存在下で、一晩培養した。スポット形成単位を、自動化ELISPOTリーダーにより定量化し、生の値を100万個の脾細胞あたりのSFUに標準化した。値は、3ウェルの平均(±S.D)を表す。
【図7】DNA構築物pVAXl−WNV DIII、pVAXl−JEV DIII、およびキメラ構築物のpVAXl−JW DIIIのプラスミド地図を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下の簡略化した、または短縮した定義を、本発明の好ましい実施形態の理解を助けるために与える。本明細書に与えられる簡略化した定義は、決して網羅的ではなく、当分野で理解されるような定義または辞書の意味と相反するものでもない。簡略化した定義は、本明細書において、当該技術分野で知られる定義を補足するか、あるいはより明確に定義するために与える。
【0019】
定義
本明細書で使用するヌクレオチドおよびアミノ酸の配列相同性は、FASTA、BLASTおよびGapped BLAST(Altschul et al.,Nuc.Acids Res.,1997,25,3389、これは、参照によりこの全体が本明細書に組み込まれる)ならびにPAUP*4.ObIO software(D.L.Swofford,Sinauer Associates,Massachusetts)を用いて決定してもよい。簡潔に述べると、Basic Local Alignment Search Toolを表すBLASTアルゴリズムは、配列類似度の決定に適している(Altschul et al.,J.MoI.Biol.,1990,215,403−410、これは、参照によりこの全体が本明細書に組み込まれる)。BLAST解析を行うソフトウェアは、全米バイオテクノロジー情報センター(http://www.ncbi.nlm.nih.gov)を通じて公表されている。BLASTアルゴリズムにより提供される類似度の1つの測定は、2つのヌクレオチド配列間の一致が偶然生じる確率の指標を与える最小合計確率(smallest sum probability(P(N))である。例えば、試験核酸と他の核酸の比較における最小合計確率が約1未満、好ましくは約0.1未満、より好ましくは約0.01未満、および最も好ましくは約0.001未満である場合、核酸配列は別の核酸配列と類似するとみなされる。「類似度のパーセンテージ」を、PAUP*4.ObIO software(D.L.Swofford,Sinauer Associates,Massachusetts)を用いて計算することができる。コンセンサス配列の平均類似度を、系統樹の全配列と比較して計算する。
【0020】
本明細書で使用される「相補する」または「相補的」という用語は、核酸分子のヌクレオチドもしくはヌクレオチド類似体間のワトソン−クリック(例えば、A−T/UおよびC−G)またはフーグスティーン塩基対を意味することができる核酸を意味する。
【0021】
本明細書で使用される「発現できる型」という用語は、タンパク質をコードするコード配列と作用可能に連結した必須の調節要素を含む核酸構築物を表し、個々の細胞に存在する時、このコード配列は発現する。
【0022】
本明細書で使用される「定電流」という用語は、組織、または前記組織を明示する細胞が、同組織に送達される電気パルスの継続期間にわたって受けるあるいは経験する電流を規定する。電気パルスは、本明細書記載の電気穿孔装置から送達される。本明細書に記載の電気穿孔装置がフィードバック要素を有する、好ましくは瞬間的フィードバックを有するので、この電流は、電気パルスの継続期間にわたって、前記組織において一定のアンペア数で維持される。フィードバック要素は、パルスの継続期間中、組織(または細胞)の抵抗を測定することができ、電気穿孔装置にその電気エネルギー出力を変更させ(例えば、電圧を増大させ)、そのため、同組織中の電流を電気パルス(約マイクロ秒)の間中、およびパルス間で一定に維持される。いくつかの実施形態において、フィードバック要素は制御装置を含む。
【0023】
「フィードバック」または「電流フィードバック」という用語は、互換的に使用され、提供される電気穿孔装置の能動的な反応を意味し、この装置は電極間の組織の電流を測定し、それに応じて一定レベルに電流を維持するために、EP装置から送達されるエネルギー出力を変更することを含む。この一定レベルは、パルスシーケンスまたは電気的処置の開始前に、使用者により事前に設定される。電気穿孔装置内の電気回路は、電極間の組織の電流を連続的に監視し、その監視された電流(または組織中の電流)と事前設定された電流を比較し、連続的にエネルギー出力調節を行い、監視された電流を事前設定値に維持することがきるので、好ましくは、フィードバックは、電気穿孔装置の電気穿孔要素、例えば制御装置により行われる。いくつかの実施形態において、フィードバックループはアナログ閉ループフィードバックであるので、これは瞬間的である。
【0024】
本明細書で互換的に使用される「電気穿孔」、「電気透過処理」または「動電学的エンハンスメント(electro−kinetic enhancement)」(「EP」)という用語は、膜貫通電界パルスを使用して生体膜に微小経路(孔)を生じさせることを言い、これらの微小経路が存在することにより、プラスミド、オリゴヌクレオチド、siRNA、薬剤、イオン、および水などの生体分子の、細胞膜の一方の側から他方の側への通過を可能にする。
【0025】
本明細書で使用される「分散電流」という用語は、本明細書記載の電気穿孔装置の様々なニードル電極アレイから送達される電流のパターンを規定し、このパターンは、電気穿孔される組織の任意の領域における電気穿孔関連熱応力の発生を最小限にするか、あるいは好ましくは排除する。
【0026】
本明細書で使用される「フィードバック機構」という用語は、ソフトウェアまたはハードウェア(またはファームウェア)のいずれかによって実行されるプロセスを表し、このプロセスは、所望の組織の電気抵抗を受けて、(エネルギーパルスの送達前、送達中、および/または送達後に)事前設定値、好ましくは電流と比較し、送達されるエネルギーパルスを調節して事前設定値を得る。本明細書で使用される「インピーダンス」という用語は、フィードバック機構について論じる際に、オームの法則に従って電流値に変換することができ、従って、事前に設定された電流との比較を可能にする。好ましい実施形態において、「フィードバック機構」は、アナログ閉ループ回路により実行される。
【0027】
本明細書で使用される「免疫反応」という用語は、提供するDNAプラスミドワクチンによるフラビウイルスコンセンサス抗原の導入に反応して、宿主の免疫系、例えば哺乳類の免疫系が活性化されることを意味する。免疫反応は、細胞性もしくは体液性反応、またはその両方の形態であり得る。
【0028】
本明細書で使用される「コンセンサス」または「コンセンサス配列」という用語は、フラビウイルス抗原の複数のサブタイプのアラインメント解析に基づいて構築された合成核酸配列、または対応するポリペプチド配列を意味する。コンセンサスフラビウイルス抗原は、ウエストナイルウイルス(WNV)および日本脳炎ウイルス(JEV)または両方の配列の要素を結合するキメラ配列のEタンパク質のDIII領域を含む。
【0029】
本明細書で使用される「断片」という用語は、コンセンサスDIII抗原の少なくとも1つに対して、断片ではないものの免疫反応と実質的に類似する哺乳類における免疫反応を引き起こすことができるポリぺプチドをコードする核酸、またはその一部を意味する。これらの断片は、配列番号12、13、および14を含む本発明の様々なコードするヌクレオチド配列の少なくとも1つから選択されるDNA断片であり得る。これらのDNA断片は、30以上のヌクレオチド長、45以上のヌクレオチド長、60以上のヌクレオチド長、75以上のヌクレオチド長、90以上のヌクレオチド長、120以上のヌクレオチド長、150以上のヌクレオチド長、180以上のヌクレオチド長、210以上のヌクレオチド長、240以上のヌクレオチド長、270以上のヌクレオチド長、300以上のヌクレオチド長、360以上のヌクレオチド長、400以上のヌクレオチド長であり得る。DNA断片は、IgEまたIgG配列などの免疫グロブリンリーダーのコード配列を含み得る。
【0030】
DNA断片は、10未満のヌクレオチド、20未満のヌクレオチド、30未満のヌクレオチド、40未満のヌクレオチド、50未満のヌクレオチド、60未満のヌクレオチド、75未満のヌクレオチド、90未満のヌクレオチド、120未満のヌクレオチド、150未満のヌクレオチド、180未満のヌクレオチド、210未満のヌクレオチド、240未満のヌクレオチド、270未満のヌクレオチド、300未満のヌクレオチド、360未満のヌクレオチド、400未満のヌクレオチドであり得る。
【0031】
「断片」は、少なくとも1つのDIIIタンパク質(または抗原)に対して、断片ではないものの免疫反応と実質的に類似する哺乳類における免疫反応を引き起こすことができるポリぺプチド断片も意味する。この断片は、配列番号9、10、および11を含む本発明の様々なコードされたポリぺプチド配列の少なくとも1つから選択されるポリペプチド断片であり得る。ポリペプチド断片は分析され、公表されているデータベースによって提供されるような少なくとも1つの抗原エピトープと接触することができる。ポリペプチドDIII断片は、IgEまたはIgGなどの免疫グロブリンリーダーのアミノ酸配列をさらに含み得る。これらのポリペプチド断片は、30以上のアミノ酸長、45以上のアミノ酸長、60以上のアミノ酸長、75以上のアミノ酸長、90以上のアミノ酸長、120以上のアミノ酸長、130以上のアミノ酸長であり得る。
【0032】
ポリペプチド断片は、10未満のアミノ酸長、20未満のアミノ酸長、30未満のアミノ酸長、40未満のアミノ酸長、50未満のアミノ酸長、60未満のアミノ酸長、75未満のアミノ酸長、90未満のアミノ酸長、120未満のアミノ酸長、または130未満のアミノ酸長であり得る。
【0033】
本明細書で使用される「アジュバンド」という用語は、DNAプラスミドおよび本明細書の以下に記載されるコードする核酸配列によってコードされる所望の抗原、好ましくはコンセンサス抗原の抗原性を高め、本明細書記載のDNAプラスミドワクチンに加えられる任意の分子を意味する。
【0034】
本明細書で互換的に使用される「サブタイプ」または「血清型」という用語は、1つのサブタイプが他のサブタイプとは別に免疫系によって認識される、言いかえれば、1つのサブタイプが、別のサブタイプとは異なる免疫原性の特性を有するような、ウイルスの、またはそのエピトープの遺伝的変異体を意味する。
【0035】
DIII配列の3つの型:コンセンサスJEV DIII、コンセンサスWNV DIIIおよびキメラ配列JEV配列、その中で、WNVに対する中和抗体の誘導の決定因子であることが証明された(JW DIIIまたはJEV/WN DIIIまたはWN/JEV DIIIを意味する)WNV DIII残基(16、17)は、対応する位置で取り込まれる。これらの全配列は、20株にわたってそれぞれ一致する。DNAワクチン開発のためにコンセンサス配列を使用することは、感染症に対する戦いにおける最新の技術の1つである(22、23)。コンセンサス配列に基づいて、本研究において合成ヒトコドン最適化配列を免疫化のために産生した。
【0036】
コードするヌクレオチド
本発明の態様は、タンパク質EのコンセンサスDIII領域をコードする単離した核酸配列を含む。これらの核酸配列は以下のヌクレオチド配列を含み得る:(a)配列番号12、13、もしくは14;(b)配列番号9、10、もしくは11のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列;または(c)(a)もしくは(b)の相補体。本発明の別の態様は、本明細書に記載の単離した核酸配列を含む遺伝子構築物である。いくつかの実施形態において、遺伝子構築物は、コザック配列GGT ACC GCC ACC(配列番号15)および/またはIgGもしくはIgEの一部、好ましくはIgE、より好ましくは配列番号8の配列を有するIgEから選択されるリーダー配列を含み得る。
【0037】
コンセンサスDIIIタンパク質は、コンセンサスDIII核酸、その変異体またはその断片によりコードされ得る。コンセンサスDIII核酸は、コドン最適化および/またはRNA最適化され得る。コンセンサスDIII核酸配列は、リーダー配列を含み得る。リーダー配列は、DIIIコード配列の5’側に存在し得る。この配列にコードされるコンセンサスDIIIタンパク質は、N−末端リーダー、続いてコンセンサスDIIIタンパク質を含み得る。N−末端リーダーは、IgEまたはIgGであり得る。
【0038】
ポリペプチド/抗原
本明細書に記載のポリペプチド/抗原は、1つまたは複数のフラビウイルス血清型、特にウエストナイルウイルスおよび日本脳炎ウイルスの様々な血清型に対する免疫反応を哺乳類において引き起こすことができる抗原である。本抗原は、1つまたは複数の流行株に対する免疫反応を含む、1つまたは複数のフラビウイルス血清型に対する免疫反応を哺乳類において引き起こすことができる。本抗原は、抗フラビウイルス免疫反応が誘導され得る免疫原として特に効果的にさせるエピトープを含み得る。
【0039】
本発明の一態様は、コンセンサスDIIIタンパク質であるアミノ酸配列を含むポリペプチドである。DIIIタンパク質は以下を含み得る:(a)配列番号9、10もしくは11;または(b)(a)の断片。コンセンサスDIIIタンパク質は、そのN−末端にIgEまたはIgGリーダーアミノ酸配列をさらに含み得る。このIgEリーダーアミノ酸配列は、配列番号7で説明され得る。IgEリーダー配列を有するコンセンサスDIIIタンパク質は、それぞれJEV DIII、WNV DIII、またはJW DIIIも含む、配列番号1、2、または3のアミノ酸配列を有し得る。
【0040】
ワクチン
本発明の態様は、宿主に複数のWNVおよびJEV血清型に対する免疫反応を引き起こすことのできるDNAワクチンであり、このワクチンは以下を含む:(a)本明細書に記載の単離した核酸配列を含むコード配列に作用可能に連結されたプロモーターを含む遺伝子構築物;および(b)薬学的に許容可能な賦形剤;ここで、この遺伝子構築物は、免疫反応を引き起こすことに効果的な量で、宿主細胞にタンパク質E抗原のコンセンサスDIII領域を発現することができる。
【0041】
いくつかの実施形態において、本発明のDNAワクチンは、核酸分子の遺伝子発現に不可欠な調節要素を有する遺伝子構築物を含む。
【0042】
本発明のいくつかの実施形態において、DNAワクチンはさらにアジュバンドを含み得る。アジュバンドは以下のものから選択され得る:α−インターフェロン、γ−インターフェロン、血小板由来増殖因子(PDGF)、TNFα、TNFβ、GM−CSF、上皮細胞増殖因子(EGF)、皮膚T細胞誘引ケモカイン(CTACK)、胸腺上皮発現ケモカイン(TECK)、粘膜関連上皮ケモカイン(MEC)、IL−12、IL−15、MHC、CD80、シグナル配列が除去されたIL−15と任意でIgEのシグナルペプチドを含むCD86、IL−12、IL−15、CTACK、TECK、血小板由来増殖因子(PDGF)、TNFα、TNFβ、GM−CSF、上皮細胞増殖因子(EGF)、IL−1、IL−2、IL−4、IL−5、IL−6、IL−IO、IL−12、IL−18、IL−28、MCP−1、MIP−1a、MIP−1p、IL−8、RANTES、L−セレクチン、P−セレクチン、E−セレクチン、CD34、GlyCAM−1、MadCAM−1、LFA−I、VLA−I、Mac−1、pl50.95、PECAM、ICAM−I、ICAM−2、ICAM−3、CD2、LFA−3、M−CSF、G−CSF、IL−4、IL−18の突然変異型、CD40、CD40L、血管増殖因子、線維芽細胞増殖因子、IL−7、神経成長因子、血管内皮増殖因子、Fas、TNF受容体、Flt、Apo−1、p55、WSL−1、DR3、TRAMP、Apo−3、AIR、LARD、NGRF、DR4、DR5、KILLER、TRAIL−R2、TRICK2、DR6、カスパーゼICE、Fos、c−jun、Sp−1、Ap−1、Ap−2、p38、p65Rel、MyD88、IRAK、TRAF6、IkB、不活性NIK、SAP K、SAP−1、JNK、インターフェロン応答遺伝子、NFkB、Bax、TRAIL、TRAILrec、TRAILrecDRC5、TRAIL−R3、TRAIL−R4、RANK、RANKリガンド、Ox40、Ox40リガンド、NKG2D、MICA、MICB、NKG2A、NKG2B、NKG2C、NKG2E、NKG2F、TAPl、TAP2およびそれらの機能的断片またはそれらの組み合わせ。DNAワクチンは、CTACKタンパク質、TECKタンパク質、MECタンパク質またはそれらの機能的断片と併用して投与してもよい。
【0043】
いくつかの好ましい実施形態において、アジュバンドは、1つまたは複数の追加のアジュバンドに加えたIL−15である。
【0044】
遺伝子構築物
DIII抗原をコードする核酸を含み得る遺伝子構築物を本明細書で提供する。遺伝子構築物は、DIII抗原をコードする核酸、好ましくはDNAプラスミドを含む染色体外で機能する分子として細胞内に存在し得る。DIII抗原をコードする核酸含む遺伝子構築物は、セントロメア、テロマーを含む直鎖状の小染色体であり得る。本遺伝子構築物は、組換えアデノウイルス、組換えアデノウイルス関連ウイルスおよび組換えワクシニアを含む組換えウイルスベクターのゲノムの一部でもあり得る。本遺伝子構築物は、弱毒化した、生きている微生物内の遺伝物質の一部、または細胞内に居住する組換え微生物ベクターの一部であり得る。本遺伝子構築物は、DIII核酸の遺伝子発現の調節要素を含み得る。これらの調節要素は、プロモーター、エンハンサー、開始コドン、終止コドン、またはポリアデニル化シグナルであり得る。エンハンサーは、大抵、標的タンパク質または免疫調節タンパク質をコードする配列の遺伝子発現に必要とされる。これらの要素は、所望のタンパク質をコードする配列と作用可能に連結され得、これらの調節要素は、それらが投与される固体において機能し得る。
【0045】
本遺伝子構築物、つまりベクターは、DIIIコード配列に作用可能に連結されるプロモーターも含み得る。DIIIコード配列に作用可能に連結されたプロモーターは、シミアンウイルス40(SV40)のプロモーター、マウス乳ガンウイルス(MMTV)プロモーター、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)プロモーター、例えばウシ免疫不全ウイルス(BIV)末端反復配列(LTR)プロモーター、モロニーウイルスプロモーター、トリ白血病ウイルス(ALV)プロモーター、サイトメガロウイルス(CMV)プロモーター、例えばCMV最初期プロモーター、エプスタイン・バーウイルス(EBV)プロモーター、ラウス肉腫ウイルス(RSV)プロモーターのプロモーターであり得る。本プロモーターは、ヒトアクチン、ヒトミオシン、ヒトヘモグロビン、ヒト筋肉クレアチン、またはヒトメタロチオネインなどのヒト遺伝子のプロモーターでもあり得る。本プロモーターは、筋肉または皮膚特異的プロモーターなどの組織特異的な、天然のまたは合成のプロモーターでもあり得る。かかるプロモーターの例は、米国特許出願公開第20040175727号に記載され、その内容は本明細書にその全体が組み込まれる。
【0046】
本ベクターは、DIIIコード配列の下流にあり得るポリアデニル化シグナルも含み得る。このポリアデニル化シグナルは、SV40ポリアデニル化シグナル、LTRポリアデニル化シグナル、ウシ成長ホルモン(bGH)ポリアデニル化シグナル、ヒト成長ホルモン(hGH)ポリアデニル化シグナル、またはヒトβ−グロビンポリアデニル化シグナルであり得る。SV40ポリアデニル化シグナルは、pCEP4ベクター(Invitrogen,San Diego,CA)のポリアデニル化シグナルであり得る。
【0047】
本ベクターは、DIIIコード配列の上流のエンハンサーも含み得る。このエンハンサーは、DNA発現に不可欠であり得る。このエンハンサーは、ヒトアクチン、ヒトミオシン、ヒトヘモグロビン、ヒト筋肉クレアチンまたはウイルスエンハンサー、例えばCMV、HA、RSVまたはEBVの1つであり得る。ポリヌクレオチド機能エンハンサーは、米国特許第5,593,972号、米国特許第5,962,428号、および国際特許出願第94/016737号に記載され、各々の内容は参照により完全に組み込まれる。
【0048】
遺伝子構築物は、染色体外に構築物を維持し、細胞内で構築物の複数のコピーを産生するために、哺乳類複製開始点が供給され得る。インビトロジェン(San Diego,CA)のpVAXl、pCEP4およびpREP4プラスミドは、インテグレーション無しに、高コピーのエピソーム複製を行うエプスタイン・バーウイルス複製開始点および核抗原EBNA−1コード領域を含む。このベクターの骨格はpAV0242であり得る。このベクターは、複製不良アデノウイルス5型(Ad5)ベクターであり得る。
【0049】
本ベクターは、本ベクターが投与される哺乳類またはヒトの細胞における遺伝子発現に十分適し得る調節配列も含み得る。DIIIコード配列は、宿主細胞におけるコード配列の転写をより効率的にさせ得る最適化コドンを含み得る。
【0050】
本ベクターは、Escherichia coli(E.coli)におけるタンパク質産生のために使用され得るpSE420(Invitrogen,San Diego,Calif.)であり得る。本ベクターは、酵母のサッカロマイセス・セレヴィシエ株におけるタンパク質産生のために使用され得るpYES2(Invitrogen San Diego Calif.)でもあり得る。本ベクターは、昆虫細胞におけるタンパク質産生のために使用され得るMAXBAC(登録商標)完全バキュロウイルス発現系(Invitrogen,San Diego,Calif.)のベクターでもあり得る。本ベクターは、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞などの哺乳類細胞におけるタンパク質産生のために使用され得るpcDNA IまたはpcDNA3(Invitrogen,San Diego,Calif.)でもあり得る。本ベクターは、SambrookらのMolecular Cloning an Laboratory Manual、第2版、コールドスプリングハーバー(1989)(これは参照により完全に組み込まれる)を含む通例の技術およびすぐに入手できる出発原料によりタンパク質を産生する発現ベクターまたは発現系であり得る。
【0051】
タンパク質産生を最大限にするために、構築物が投与される細胞における遺伝子発現に十分に適した調節配列が選択され得る。しかし、前記タンパク質をコードし、宿主細胞において最も効率的に転写される、すなわちコドン最適化されるコドンが選択され得る。当業者は細胞内で機能的なDNA構築物を作製することができる。
【0052】
いくつかの実施形態において、本明細書記載のタンパク質のコード配列がIgEシグナルペプチドに連結される核酸構築物が提供され得る。いくつかの実施形態において、本明細書記載のタンパク質は、IgEシグナルペプチドに連結される。
【0053】
本ベクターは、pVAXl−WNV DIII、pVAXl−JEV DIII、またはpVAXl−JW DIIIであり得、これら全ては、それぞれのDIII抗原を発現するために使用され得る。ベクターpVAXl−WNV DIIIは、配列番号5または13のヌクレオチド配列を含む;ベクターpVAXl−JEV DIIIは、配列番号4または12のヌクレオチド配列を含む;ベクターpVAXl−JW DIIIは、配列番号6または14のヌクレオチド配列を含む。
【0054】
免疫化の方法
本発明の態様には、宿主に複数のフラビウイルス血清型に対する免疫反応を引き起こすための以下を含む方法がある:(a)本明細書に記載のワクチンを宿主の組織に送達するステップ;および(b)ワクチンの遺伝子構築物を宿主へ侵入させることに効果的なエネルギーパルスを送達する電気穿孔装置を用いて、組織の細胞を電気穿孔するステップ。
【0055】
本ワクチンは、哺乳類において免疫反応を引き起こすために哺乳類に投与され得る。哺乳類は、ヒト、ヒトではない霊長類、ウシ、ブタ、ウシ、ヒツジ、ヤギ、レイヨウ、バイソン、水牛、バイソン、ウシ、シカ、ハリネズミ、ゾウ、ラマ、アルパカ、マウス、ラット、またはニワトリ、および好ましくは、ヒト、ウシ、ブタ、またはニワトリであり得る。
【0056】
インビボ電気穿孔を用いるおよび用いない、リポソーム仲介型の、ナノ粒子促進型の組換えベクター、例えば、組換えアデノウイルス、組換えアデノウイルス関連ウイルスおよび組換えワクシニアのDNA注射(DNAワクチン接種とも称される)を含む任意のいくつかの周知の技術を用いて、DNAワクチンは送達され得る。好ましくは、本明細書記載のDNAプラスミドなどの核酸分子は、DNA注射によりおよびインビボの電気穿孔法と共に送達される。
【0057】
投与経路には、筋肉内経路、鼻腔内経路、腹腔内経路、皮内経路、皮下経路、静脈内経路、動脈内経路、眼球内経路、および経口経路、ならびに粘膜組織への吸入剤もしくは坐薬による、例えば、膣、直腸、尿道、頬および舌下の組織へ洗浄などによる局所的経路、経皮的経路が含まれるがそれらに限定されない。好ましい投与経路には、筋肉内注射、腹腔内注射、皮内注射および皮下注射が含まれる。遺伝子構築物は、従来の注射器、無針注射器具、「微粒子銃によって行われる銃撃」、または他の物理的方法、例えば、電気穿孔(「EP」)、「流体力学法」、もしくは超音波を含むがそれらに限定されない手段により投与されてもよい。
【0058】
本発明のDNAワクチンの送達を促進するのに好ましい電気穿孔装置および電気穿孔法例には、Draghia−Akliらによる米国特許第7,245,963号、Smithらにより出願された米国特許公開第2005/0052630号(これらの内容は参照により本明細書にその全体が組み込まれる)に記載される例が含まれる。35USC119(e)条の下、2006年10月17日に出願された米国特許仮出願第60/852,149号および2007年10月10日に出願された米国特許仮出願第60/978,982号の利益を主張する、2007年10月17日に出願された同時係属で共同所有の米国特許出願第11/874072号(これらの全ては本明細書にその全体が組み込まれる)に提供されるDNAワクチンの送達を促進する電気穿孔装置および電気穿孔法も好ましい。
【0059】
Draghia−Akliらによる米国特許第7,245,963号は、体内または植物内の選択された組織の細胞への生体分子の導入を促進するモジュラー電極システムおよびそれらの使用について記載している。モジュラー電極システムは、複数の針電極;皮下注射針;プログラムで制御できる定電流パルス調節器から複数の針電極へ伝導性の連結を提供する電気コネクター;および電源を含む。操作者は、支持構造物上に取り付けられた複数の針電極をつかみ、体内または植物内の選択された組織の中にその針電極をしっかり挿入することができる。その後、選択された組織への皮下注射針により、生体分子を送達する。プログラムで制御できる定電流パルス調節器を活性化し、定電流電気パルスを複数の針電極に加える。加えた定電流電気パルスは、複数の電極間にある細胞への生体分子の導入を促進する。米国特許第7,245,963号の全内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0060】
Smithらにより出願された米国特許公開第2005/0052630号は、体内または植物内の選択された組織の細胞への生体分子の導入を効果的に促進するために使用され得る電気穿孔装置について記載している。この電気穿孔装置は、その操作がソフトウェアまたはファームウェアによって特定される動電装置(「EKD装置」)を含む。EKD装置は、使用者の制御およびパルスパラメーターの入力に基づいて、アレイの電極間に一連のプログラムで制御できる定電流パルスパターンを形成し、電流波形データの保存および収集を可能にする。この電気穿孔装置は、針電極のアレイを有する交換可能な電極ディスク、注射針のための中央の注入チャネル、および取り外し可能なガイドディスクも含む。米国特許公開第2005/0052630号の全内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0061】
米国特許第7,245,963号および米国特許公開第2005/0052630号に記載される電極アレイおよび方法は、筋肉などの組織だけでなく他の組織または臓器への深い侵入に適合する。電極アレイの配置のおかげで、(選択した生体分子を送達するために)注射針は、電極により事前に輪郭が描かれた領域内にある標的臓器にも完全に挿入され、注射は標的組織に直角に行われる。米国特許第7,245,963号および米国特許公開第2005/0052630号に記載される電極は、好ましくは20mmの長さおよび21ゲージである。
【0062】
以下は本発明の方法の例であり、上記で論じた特許参考文献により詳細に論じられる:電気穿孔装置は、使用者により事前に設定された電流入力と同じような定電流を生み出すエネルギーのパルスを、哺乳類の所望の組織へ送達するように配置され得る。電気穿孔装置は、電気穿孔構成要素および電極集合体またはハンドル集合体を含む。電気穿孔構成要素には、制御装置、電流波形発生器、インピーダンス試験器、波形自動記録装置、入力要素、状況報告要素、伝達ポート、記録構成要素、電源、および電源スイッチを含む電気穿孔装置の1つまたは複数の様々な要素を含むこと、および取り込むことができる。電気穿孔構成要素は、電気穿孔装置の1つの要素として機能することができ、他の要素は、電気穿孔構成要素と連通する別々の要素(または構成要素)である。いくつかの実施形態において、電気穿孔構成要素は、電気穿孔装置の2つ以上の要素として機能し得、それは電気穿孔構成要素から分離した電気穿孔装置のさらに他の要素と連通することができる。要素は1つの装置として、または互いに連通する別々の要素として機能することができるので、本発明は、1つの電気機械装置または機械装置の一部として存在する電気穿孔装置の要素に限定されない。電気穿孔構成要素は、所望の組織に定電流を生み出すエネルギーパルスを送達することができ、フィードバック機構を含む。電極集合体は、空間的配置に複数の電極を有する電極アレイを含み、電極集合体は、電気穿孔構成要素からエネルギーパルスを受け取り、電極を通して所望の組織にエネルギーパルス送る。複数の電極の少なくとも1つは、エネルギーパルスの送達の間は中性で、所望の組織のインピーダンスを測定し、電気穿孔構成要素へそのインピーダンスを伝える。フィードバック機構は、測定されたインピーダンスを受け取ることができ、定電流を維持するために、電気穿孔構成要素により送達されたエネルギーパルスを調節することができる。
【0063】
いくつかの実施形態において、複数の電極は、分散的パターンでエネルギーパルスを送達することができる。いくつかの実施形態において、複数の電極は、プログラムされた順番の下で、電極制御を介して分散的パターンでエネルギーパルスを送達することができ、使用者は、プログラムされた順番を電気穿孔構成要素に入力する。いくつかの実施形態において、プログラムされた順番は、順に送達された複数のパルスを含み、複数のパルスの各パルスは、インピーダンスを測定する1つの中性極と共に少なくとも2つの活性電極により送達され、複数のパルスの次のパルスは、インピーダンスを測定する1つの中性極と共に少なくとも2つの活性電極の別の1つによって送達される。
【0064】
いくつかの実施形態において、フィードバック機構は、ハードウェアまたはソフトウェアのいずれかによって行われる。好ましくは、フィードバック機構は、アナログ閉ループ回路によって行われる。好ましくは、このフィードバックは、毎50μs、20μs、10μsまたは1μsで生じるが、好ましくはリアルタイムなフィードバックつまり瞬間的(すなわち、反応時間を決定するための利用できる技術によって決定されるような事実上の瞬間的)である。いくつかの実施形態において、中性電極は、所望の組織においてインピーダンスを測定し、そのインピーダンスをフィードバック機構へ伝達し、フィードバック機構はそのインピーダンスに応答し、事前設定電流と同じような値で定電流を維持するためにエネルギーパルスを調節する。いくつかの実施形態において、フィードバック機構は、エネルギーパルス送達の間、連続的に、瞬間的に定電流を維持する。
【実施例】
【0065】
本発明は、以下の実施例においてさらに明らかにされる。本発明の好ましい実施形態を示すこれらの実施例は、単なる説明の目的で与えられるということが理解されるべきである。上記の議論およびこれらの実施例から、当業者は本発明の本質的特徴を突き止めることができ、本発明の趣旨および範囲を逸脱することなく、様々な使用および状態に適合させるために本発明の様々な変更および改良を行うことができる。従って、本発明の様々な改良は、本明細書に示され、記載される改良に加えて、先の記載から当業者に明らかになる。かかる改良は、添付の特許請求の範囲に入ることも意図される。
【0066】
本発明のEP装置と共に使用するDNAプラスミドを、既知の装置および技術とを併用して調製または製造することができるが、好ましくは、2007年5月23日に出願された、共同所有の、同時係属の米国特許仮出願第60/939,792号に記載の最適化プラスミド製造技術を使用してそれらを製造する。いくつかの実施例において、これらの研究において使用するDNAプラスミドは、10mg/mL以上の濃度で調製することができる。製造技術は、当業者に一般的に知られている様々な装置およびプロトコール、ならびに米国特許仮出願第60/939,792号に記載された装置およびプロトコール、ならびに2007年7月3日に発行された、共同所有の米国特許第7,238,522号に記載された装置およびプロトコールも含む、つまり取り込む。米国特許仮出願第60/939,792号および米国特許第7,238,522号の両方は、本明細書にその全体が組み込まれる。
【0067】
細胞株
HeLaおよびRD細胞を、アメリカ合衆国培養細胞系統保存機関(Manassas,VA)から得た。加熱不活性化した10%ウシ胎仔血清、ペニシリンG(100U/ml)、ストレプトマイシン(100μg/ml)を補充したDMEM培地で、37℃、5%CO2で細胞を培養した。
【0068】
間接的免疫蛍光アッセイ
HeLa細胞を用いて、間接的免疫蛍光アッセイを行った。細胞を2つのチャンバースライドに蒔き、一晩成長させ、その後トランスフェクションにそれらの細胞を用いた。FuGENE 6トランスフェクション試薬(Roche)を用いて、それらの細胞をワクチン構築物またはpVAX(1mg/ウェル)でトランスフェクトした。トランスフェクション36時間後、常温で20分間、細胞をメタノールで固定し、PBSで穏やかに洗浄した。それらの細胞を、90分間、ワクチン接種したマウスの抗マウス血清とインキュベートし、再び洗浄した。その後、45分間、その試料をFITC結合2次抗体(Sigma− Aldrich)とインキュベートした。与えられたフィールドで利用できる全細胞数を示すために、核内容物を対比染色するための2次抗体の溶液に40,6−ジアミド−2−フェニルインドール塩酸塩(Sigma−Aldrich)を加えた。蛍光顕微鏡(Media Cybernetics,Silver Spring,MD)のPhase 3 Pro programを用いて画像を得た。
【0069】
統計解析
全ての値を、各実験群の3つの試料から計算された平均値±平均値の標準誤差(SEM)として表す。必要に応じて、統計学的差異を両側ペア・スチューデントt-検定(Two−tailed、paired Student’s t Test)によって評価し、各実験群について特定のp値を得た。通常通り、示したデータは、2通りまたは3通り行った少なくとも3つの独立した実験を代表する。
【0070】
実施例1 コンセンサスDNAワクチンの構築物及び合成
JEVおよびWNV E DIIIコンセンサス配列を生成するために、標本抽出バイアスを避けるため、GeneBank(NCBI)から約15個の異なる配列を異なる地理的領域から収集し、MegAlign(DNASTAR,Madison,WI)を用いて整列させた。IgEリーダー配列を得られたコンセンサス配列のアミノ末端に加え、2つのストップコドンを翻訳領域の末端に加えた。KpnlおよびPstl部位をそれぞれ5’末端および3’末端に結合させた。GeneOptimizer(GENEART, Regensburg,Germany)を用いて、完全配列をコドン最適化およびRNA最適化した。その後、コドン最適化合成配列を、本明細書記載のpVAXl発現ベクター(Invitrogen)にクローニングした。
【0071】
ヒトIL−15ECROのpVAXlベクターへのクローニングおよびIL−15発現解析
天然のIL−15は2つの別のリーダーペプチドを含み、それらはIL−15の翻訳の調節に関わるだけでなく、その細胞内移動を指示する。標準的な長い(48アミノ酸)シグナルペプチドはIL−15の全ての分泌型と関連し、一方、短い21個のアミノ酸のシグナルペプチドを含むIL−15は、分泌されずむしろ細胞内に貯蔵される(1〜4)。最適化ヒトIL−15のプラスミド型(pIL15 ECRO)の設計は、タンパク質発現を増加させるために発明者らの実験室で設計され、LSPを「最適化」IgEリーダーと置換することを必要とする(5、6)。さらに、コドン使用頻度を、ヒト遺伝子のコドンバイアスに適合させ、高いCAI値(非最適化:0.66;最適化:0.98)を得た。ヒトおよびマウスの遺伝子は73%の相同性を共有するので、マウスモデルを用いてインビボでpIL15 ECROを利用した。設計および合成のために、可能であれば、非常に高い(>80%)または非常に低い(<30%)GC含有量の領域を避けるようにコドンを選択した。この点において、野生型IL15遺伝子は高頻度にレアコドンを使用し、かつGC含量が非常に低く(35%)、迅速なmRNAの代謝回転を促進することが見出された。従って、mRNAの半減期を延ばすために、GC含量を増加させた(57%)。最適化の工程の間、以下のシス作用性配列モチーフを避けた:内部のTATAボックス、Chi部位およびリボソーム進入部位、ATリッチまたはGCリッチ配列ストレッチ、ARE、INS(登録商標)、CRS配列要素、反復配列およびRNA2次構造、(潜在性の)スプライス供与および受容部位ならびに枝分かれ部位。解析後、3つのネガティブにシス作用するモチーフを特定し、除去した。遺伝子の最終設計は、野生型LSP型を置換したIgEリーダーを有するヒトIL15の成熟型と100%一致した。合成の高度に最適化したヒトIL15遺伝子を、Geneart社(Germany)の合成オリゴヌクレオチドから構築した。コザック配列を導入し、翻訳開始を増加させ、2つのストップコドンを加えて効率的な翻訳終止を確実にした。EcoRIおよびXhol制限酵素認識部位を用いて、その断片をpVAXlにクローニングした。最終構築物を配列決定により検証し、100%一致することが判明した。トランスフェクション1日前に、DlO培地(DMEM、20%FBS、1%抗生物質)で増殖させた7.0×105のHeLaまたはRD細胞を、60mm培養皿(Falcon)上に蒔いた。
【0072】
その後、DOTAPリポソームトランスフェクションキット(Roche Biochemicals,CA)を用いて、メーカーの手順書に従い、5μgのIL−15構築物でこれらの細胞をトランスフェクトした。トランスフェクション24、48、および72時間後に上清を回収し、メーカーの手順書に従い、ELISA(R&D)によりタンパク質量について解析した。
【0073】
コンセンサス抗原の検証
配列決定により挿入断片配列確認後のワクチン接種試験への適用の前に、DIIIワクチン構築物を、適切な分子量を有する遺伝子産物を発現するそれらの能力について検証した。インビトロ翻訳/転写システム(Promega,Madison,WI)を用いることによって、35S標識放射性タンパク質産物をこれらの構築物から生成し、免疫沈降し、SDS−PAGEにより分離した。これらのプラスミドは、翻訳領域の予想された長さに相当する約16.5kDaの質量の遺伝子産物を生成した(図1D)。細胞内でのそれらの発現中に、適切なmRNA転写産物の存在をRT−PCRにより確認するために、空ベクターまたはDIII領域構築物を運ぶpVAXlのいずれか一方でRD細胞をトランスフェクトした。個々のDIII構築物を発現するトランスフェクトした細胞において、約420塩基対を有するcDNAの存在を、DIII構築物でトランスフェクトした細胞からのみ観察した。模擬トランスフェクトした細胞から対応するシグナルが観察されなかったことが、このアッセイの特異異性を確かにする(図1E)。これらの結果は共に、JEV、WNVおよびJE/WNV DIII構築物を検証し、それゆえに、これらの構築物についてさらに免疫化試験を行った。
【0074】
IL−15 ECRO構築物の発現解析
IL15の局在パターンを確認するために、HeLa細胞をこれらのIL15構築物のそれぞれでトランスフェクトし、モノクローナル抗IL15抗体を用いて免疫蛍光解析を行った。予想通り、IL15SSPは核領域内で保持され、IL15 LSPおよびIL15 ECROの両方は、細胞質の局在パターンを示した(図2A)。次に、RD細胞内でトランスフェクションアッセイを行い、機能的IL15を発現し、分泌するそれらの能力に対するIL15構築物の効率を比較した。特異的ELISA解析によって測定した時、タンパク質産物および分泌の(天然IL−15より87倍高い、IL−15−LSP構築物より5.7倍高い)実質的増加が、ヒト最適化構築物IL15 ECROから観察されたことをデータは示した(33)(図2B、C)。pIL15 ECRO構築物は、発明者らが以前に報告した、IL15を発現する全プラスミドよりもIL15を発現し、分泌することに非常に効率的であることをこれらのデータは明確に示す。
【0075】
実施例2 ワクチン構築物のインビトロ発現
予想された分子量を有する遺伝子産物を生成する構築物の能力を、ワクチン接種試験に使用する前に確認した。pVAXl骨格の中のT7プロモーターを利用することによって、TNT T7 インビトロ/翻訳キット(Promega,Madison,WI)を使用して、メーカーの手順書に従い、35Sメチオニン標識タンパク質試料を生成した。これらの放射性標識タンパク質試料を、抗WNV Eまたは抗JEV E抗体により免疫沈降し、免疫沈降した複合体を15%SDS−PAGEゲル(BioRad)で電気泳動を行った。このゲルを、リン酸エンハンサー溶液(Amersham)を用いて固定し、真空乾燥機(Biorad)を用いて乾燥させた。オートラジオグラフィーを行い、取り込まれた35S標識遺伝子産物を検出した。
【0076】
図1Aは、フラビウイルスポリペプチドの組成およびEタンパク質の立体構造の特徴を模式的に示す。高い交差反応性細胞応答を誘導する能力を有する免疫原を開発する目的で、JEVおよびWNV E DIII領域のアミノ酸配列を公共のデータベースからダウンロードした。これらの配列は多様な地理的な位置から選択し、それらは非組換えの配列であった。MegAlign(DNASTAR,Madison,WI)プログラムを使用して、これらのアミノ酸配列を整列させ、各位置の最も共通のアミノ酸を選択した。発明者らは、コンセンサスWNV DIII構築物、コンセンサスJEV DIII構築物およびキメラJEV構築物の3つの構築物を作製し、この中で中和抗体を誘導する決定因子であることが証明されたWNV DIIIのいくつかの残基は、DIII断片の長さを変えることなく、JEV DIIIの対応する位置に取り込まれた;この抗原をJE/WNV DIII領域と称する(図1B)。このキメラクローンの原理は、2つの個々のワクチン構築物のかわりに、WNVおよびJEVの両方の向上した免疫力をもたらすことができる1つのワクチン構築物を有することであった。コンセンサス配列の生成後、IgEリーダー配列を、DIII領域をコードする配列のN末端に融合した。アミノ酸配列に基づいて、ヒト最適化合成遺伝子配列を構築し、全3つのワクチン構築物について作製し、pVAXベクターにクローニングした(図1C)。
【0077】
実施例3 E DIIIタンパク質の細菌での発現
DIIIコード領域を、Kpnl/Pstlによる消化によりそれらのpVAX骨格から除去した。除去した断片をゲル精製し、その後Kpnl/Pstlで消化したpQE−30に結合させた。結合産物をJM 109細胞に形質転換し、50μg/mlのアンピシリンを含むLB寒天培地に蒔いた。37℃で一晩コロニーを形成させた。グリセロールストックを、個々のコロニーから調製した。タンパク質発現のために、50μg/mlのアンピシリンを含む6ミリリットルのLB培養液を含む16x150mmの試験管にグリセロールストックの3μl分を加えた。タンパク質試料の精製を行う標準手順書に従って、得られた細菌ペレットを処理し、溶解物をNiカラムに通過させた。得られた精製タンパク質試料を、ELISAおよびB細胞増殖ELISpotアッセイのコーティング用抗原として使用する。
【0078】
JEV、WNVおよびJE/WNV DIIIタンパク質の産生
DIIIコード断片を細菌発現ベクターにサブクローニングし、このタンパク質断片を本明細書記載のNiキレートカラムを用いて精製した。図3に、異なる精製ステップのDIII断片の精製量について記載する。DIIIを発現する細菌細胞の粗溶解物を含むレーンは、IPTGによる誘導がなくても、DIII断片の発現量が非常に顕著であることを示した。全粗試料のレーンに存在する試料のラダーと比較すると、16kDaの質量に相当する明確な単一バンドが250mMのイミダゾールを含む溶出画分から観察され、DIII発現断片の高レベルな純度を示した。20mMの濃度のイミダゾールは、Niキレート基質からHisタグ付きDIII試料を遊離させるのに不十分であった。従って、溶出緩衝液におけるイミダゾールの選択は、ヒスチジン標識タンパク質の溶出には非常に特異的であった。本試験のコーティング用抗原として次に適用するために精製画分の濃度を決定した際、精製画分を透析し、アリコートで保存した。
【0079】
実施例4 マウスおよび免疫化
メスの6〜8週齢のC57BL/6マウスをジャクソン研究所から購入した。6〜8週齢のメスのBALB/cマウス(Charles River,Wilmington,MA)の大腿四頭筋に、隔週の間隔で各10μgのDNAを3回注射し、電気穿孔した。DNAの免疫化について、マウスを各5匹のマウス群に分離し、それぞれpIL15 ECROおよびpVAX(対照群)またはpIL15 ECROおよびpJEV DIII、pIL15 ECROおよびpJE/WNV DIII、pIL15 ECROおよびpWNV DIII、ならびにpIL15 ECROおよびpJEV DIII+pWNV DIIIを用いて電気穿孔することにより免疫化した。
【0080】
簡潔に述べると、短形波パルスを用い、短形波パルスを定電流CELLECTRA(登録商標)電気穿孔装置(VGX Pharmaceuticals Inc.,Blue Bell,PA)を用いて送達した。3つの電極アレイ(3−EA)を用い、それは、非導電プラスチックによりまとめられた、0.5mm長の2つの長い側面および0.3mm長の短い側面を有する二等辺三角形の構造の3つの26ゲージの堅いステンレス鋼電極から成る。プラスミド投与/EPの一連のイベントは以下の通りであった:使い捨て電極アレイをハンドルの容器に入れ、ハンドルの開始ボタンを押し、動物の実験群の番号を入力し、インスリン注射器を用いてDNAプラスミドを注射し、注射部位の周辺領域にアレイをすぐに置き、ハンドルの開始ボタンを押し、4秒の秒読み後、パルスを送達する。EP条件は、0.2アンペア、2パルス、52ms/パルス、パルス間で1秒であった。全ての処置の間、全電極を筋肉に完全に挿入した。全DNAを内毒素の無いキアゲン(Qiagen)カラムを用いて作製した。マウスを格納し、ペンシルベニア大学で処置し、NIHおよびペンシルベニア大学の動物の施設保護および使用に関する委員会(IACUC)の指針の下で飼育した。
【0081】
DNAワクチン化血清の抗DIII抗体の力価測定
DNAワクチンの送達のためのインビボ電気穿孔法(IVE)をコンセンサス抗原と組み合わせ、合成DNA抗原に対する潜在的な免疫反応を引き起こした。pIL15 ECROの存在下または非存在下で、Balb/cマウスを個々のワクチン候補の各々で免疫化し、電気穿孔した(図4A)。3回目の追加免疫1週間後に得たDNAワクチン接種マウスの血清試料を、JEVおよびWNVに対するそれぞれの抗体の存在について、ELISAによりアッセイした。全ワクチン接種マウスはDIII領域に対する抗体を産生した。全DNAワクチン接種マウスの血清を、全3つの抗原:JEV DIII、WNV DIIIおよびJE/WNV DIIIに対して個々に評価した。
【0082】
図4Bに示すように、ELISAデータは興味深い結果を生み出した。第一に、IL15プラスミドとDIII構築物の同時免疫が、JEVおよびWNV DIIIの両方の抗原に対する抗体産生を顕著に増加したことをこのアッセイは示した。比較的、IL15の付加は、WNV DIIIに対する最も高レベルの反応を誘導した。第二に、IL15と同時免疫しなかった動物群において、JEVおよびWNV DIII発現プラスミドの組み合わせは、これらの2つのワクチン構築物の個々によって引き起こされた反応よりも高レベルの抗体産生を誘導した。第三に、キメラJEV/WNV構築物に関して、抗体産生は顕著に低いことが判明した。IL15が、このキメラ構築物に対して好ましい影響を及ぼしているようには見られなかった。従って、このキメラJEV/WNV抗原は、JEV DIIIおよびWNV DIIIたけでなく、キメラタンパク質それ自体に対する強力な抗体免疫反応を誘導する有望な抗原として役立たなかった。概して、WNV DIIIおよびIL15構築物の混合物を投与したマウスの抗体力価は非常に高く、最も重要なことに、その群の血清は、全3つの抗原と結合することができ、この構築物によって誘導される広範囲の反応性を一貫して示した。
【0083】
実施例5 DIII抗体ELISAアッセイ
DIIIタンパク質懸濁液を解凍し、試験管をボルテックスして、細かいタンパク質微粒子に懸濁した。再懸濁したタンパク質試料の少量のアリコートをTU(62mM Tris−HCl/8M尿素、pH8.0)緩衝液に溶解し、10μg/ml溶液を生成した。希釈したタンパク質試料の100μl(1μg)分量を、Pierce HisGrabの銅で被覆した高結合能プレートのウェルに入れ、4℃で一晩インキュベートした。次の日、プレートをPBST(PBS、0.05%Tween 20)で洗浄し、PBST中に存在する3%BSAで1時間ブロックし、37℃で1時間、免疫化および天然マウスの段階希釈した血清とインキュベートした。1:10000の希釈で、ヤギ抗マウスIgG−HRP(Research Diagnostics,NJ)を用いて、結合したIgGを検出した。色素原基質溶液テトラメチルベンジン(TMB;R&D Systems)の付加により、結合した酵素を検出し、バイオテック社のEL312e Bio−Kineticsリーダーの450nmにおいて読み取った。全血清試料を2通りで試験した。
【0084】
DIIIを発現するトランスフェクト細胞に対する抗DIII血清の特異性
DNAワクチン接種したマウスの血清も試験し、それが、これらのワクチン構築物でトランスフェクトした細胞内で発現したDIII抗原と結合することができるか否かを確かめた。この目的のために、3つのDIIIをコードするpVAX発現構築物でHeLa細胞を一過的にトランスフェクトし、トランスフェクション36時間後、免疫蛍光解析のために細胞を固定した(上記方法を参照)。これらの細胞を最初に適切な血清試料とインキュベートし、その後、FITC結合抗マウス2次抗体とインキュベートした。与えられたフィールドで利用可能な全細胞数を知るために、DAPIを用いてこれらの細胞の核内容物を対比染色した。DNAワクチン接種したマウスの抗DIII血清は、WNV DIII(図5A)およびJEV DIII(図5B)を発現したトランスフェクト細胞のみを染色した。その染色パターンは、フラビウイルス Eの原型発現の染色パターンに似ていた(35)。最も重要なことに、DIII発現細胞は、主に細胞質局在パターンを明らかにした。抗DIII血清は、非トランスフェクトHeLa細胞またはpVAX1トランスフェクトHeLa細胞のいずれにおいてもいかなる顕著な染色も示さなかった。
【0085】
実施例6 脾細胞の精製
3回目の免疫化の1週間後にマウスを屠殺し、各マウスの脾臓を摘出し、RPMI 1640を含む15mlコニカル試験管(各実験群に対して1つの試験管)に貯蔵した。滅菌組織培養フードの中で、各実験群の貯蔵した脾臓をペトリ皿に置き、Stomacherブレンダー(Brinkmann Instruments,Inc)を用いて滅菌袋の中で粉砕した。これらの脾細胞を洗浄し、沈殿させた(1200rpm);5〜10分間、このペレットをACK溶解緩衝液(Biosource)で処理し、その後、洗浄し、沈殿させ(1200rpm)、残っているいかなる脾臓の臓器の基質をも除去するために、70μm細胞濾過器に通過させた。これらの脾細胞を、RPMI 1640で2回洗浄し、RlO培地(10%FBSを含むRPMI 1640)で再懸濁し、血球計を用いて数を数えた(細胞生存率を、トリパンブルー染色を用いて決定する)。
【0086】
実施例7 記憶B細胞ELISpotアッセイ
ELISpot96ウェルプレート(Millipore)をlOOμl(2μg/ml)の精製タンパク質でコーティングし、4℃で一晩インキュベートした。別々のプレートに各コーティング用抗原を使用した。次の日、プレートを洗浄し、2時間、1%BSAでブロックした。免疫化マウスの25万個の脾細胞を各ウェルに加え、37℃、5%CO2で、5〜6時間、RPMI 1640存在下で刺激した(陰性対照)。インキュベーション後、これらの細胞を洗浄し、ビオチン化抗マウス抗体(R&D Systems)と共に4℃で一晩、インキュベートした。これらのプレートを洗浄し、ストレプトアビジン−アルカリホスファターゼ(R&D Systems)を各ウェルに加えて、常温で2時間、インキュベートした。このプレートを再び洗浄し、5−ブロモ−4−クロロ−3’−インドリルリン酸P−トルイジン塩およびニトロブルー塩化テトラゾリウム(色原体色試薬;R&D Systems)を各ウェルに加えた。その後、プレートを蒸留水でリンスし、常温で乾燥させた。自動化ELISPOTリーダー(Cellular Technology Limited)によりスポットを数えた。結果を抗原特異的抗体分泌細胞数(ASCs)として表す。
【0087】
JEVおよびWNV抗原に対するILl5により強化された記憶B細胞の活性化
B細胞ELISPOT技術は、適切な抗原による刺激後、抗体分泌プラズマ細胞の中にB−記憶細胞のインビトロ分化を誘導することにより、抗原特異的記憶B細胞の定量化を可能にする。IL15アジュバンドによって誘導される免疫反応の質をさらに評価するため、B−記憶反応をマウスにおいて評価した。「方法」の欄で記載したように、マウスの脾臓を準備し、DIIIタンパク質に対する抗体を産生することができるB細胞の発生頻度を測定した。興味深いことに、ELISpotアッセイの結果は、上記のDIII抗体のELISAデータと一致する。DIIIDNAワクチンのみを投与した群よりも、IL15で共刺激したマウスにおいて、DIII特異的マウス抗体分泌細胞の高い発生頻度を観察した(図6)。この群が最も高レベルの抗体分泌細胞を示したことを証明したので、IL15が、pWNV DIIIワクチンに対する抗体分泌細胞応答を明確に高めたこともこのアッセイは示唆した。最も重要なことに、この群の動物の血清を用いたELISAデータにおいて観察されたように、WNV DIII+IL15の群のB細胞は全3つの抗原と結合するができた。この群とは別に、JEV DIII+IL15は、JEV DIIIのみを投与したマウスより、B−細胞応答量の増加を示した。キメラJE/WNV DIIIワクチン接種マウスのELISAの結果と一致して、この群のマウスのB細胞は、JEV DIIIまたはWNV DIIIのワクチン接種マウスだけでなく、キメラ抗原のみを投与した群と結合しなかった。総合すると、ELISA試験によって決定されたDIII特異的抗体の力価に相当する高い親和性の抗原特異的B細胞の活性化を、ELISpotの結果は示した。
【0088】
発明者らの試験結果は、DIIIタンパク質試料が有望なワクチン候補ではないかもしれないという可能性と一致する。1つの可能な解釈は、正しく折り畳まれた可溶化タンパク質の割合が低く、異なる研究者によって行われる精製手段も、rDIIIの免疫原性に影響を与え得るということである。発明者らは、IL15の援助なしに、単量体のDIII発現構築物の使用から、満足できる抗体を見つけることは出来なかった。本試験において、発明者らは、1匹の動物あたりわずか20μgのDNAを用いることによって、B−細胞増殖および抗体産生の量の増加を示した。従って、IL15プラスミドと組み合わせたDNAワクチンは、JEVおよびWNVに対する免疫化の、より優れた、費用効率の高い代替物となることができた。
【0089】
まとめると、本実験で得られたこれらのデータは、DIIIが、有効なアジュバントと組み合わせて使用することができる、WNVおよびJEVに対する防御免疫の誘導のために使用される前途有望な、洗練されたワクチン候補であることを示す。IL15の共刺激により抗体産生細胞の量が4〜5倍増加したことが、WNVおよびJEVに対する抗体産生記憶B細胞の増加を経て、IL15が中和抗体の産生を誘導することができるという直接証拠をもたらした。発明者らがキメラDIIIタンパク質の作製について説明した原理に反して、抗体反応の不全および抗体産生記憶B細胞の最低数から分かるように、得られたキメラタンパク質は優れた抗原として機能しなかった。WNV DIIIからJEV DIIIへのエピトープの導入が、免疫反応を引き起こすための適切な提示を必要とする構造状態に影響を与えたかもしれないということが、1つの可能性のある理由であり得る。それゆえ、キメラタンパク質は、天然のJEVおよびWNVのDIIIなどのその前駆体分子と比較すると、免疫反応を誘導することにおいて機能が低い。今まで、いかなるヒトの実験においても、IL−15が全身的に使用されたことはない。最近、IL−15が、髄膜炎、関節リュウマチ、自己免疫甲状腺炎、自己免疫性糖尿病のメディエーターとして関係しているとみなされていることに留意すべきである。Mclnnesらおよび他の研究所は、関節リュウマチの関節の髄液に存在する高濃度のIL−15について報告をし、IL−15が髄膜の裏打ち細胞によって発現することを示した。今まで、自己免疫疾患の誘導とIL−15の因果関係とを直接的に関連付けるヒトの試験は無かった。発明者らは、pIL−15−Optを注射しても、マウスの血清において、抗ヒトIL−15 Abが検出不能なレベルにあると確定し、ワクチン接種マウスの血清においてヒトIL−15を検出することができず(未発表の観察)、これらのことは、pIL−15−Optのワクチン接種後に産生されるIL−15の量は非常に低いが、本試験で観察されたDIII特異的免疫反応を局所的に高めることに十分な量であるということを示唆する。
【0090】
本報告は、最適化サイトカインプラスミド由来のIL−15が、中和抗体反応を誘導する役割として知られるフラビウイルスDIIIに特異的な記憶B細胞を増加することができる方法を示す。
参考資料
【化1】

【化2】

【化3】

【化4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
タンパク質EのコンセンサスDIII領域をコードする単離した核酸であって:
(a)配列番号12、13、もしくは14;
(b)配列番号9、10、もしくは11のアミノ酸配列をコードする核酸配列;または
(c)(a)もしくは(b)の相補体
を含む核酸。
【請求項2】
前記核酸が、配列番号12、配列番号13、または配列番号14である、請求項1に記載の単離した核酸配列。
【請求項3】
請求項1の単離した核酸配列を含む遺伝子構築物。
【請求項4】
配列番号15のコザック配列をさらに含む、請求項3に記載の遺伝子構築物。
【請求項5】
IgGまたはIgEの一部から選択されるリーダー配列をさらに含む、請求項3または4に記載の遺伝子構築物。
【請求項6】
前記リーダー配列が配列番号8の核酸配列を含む、請求項5に記載の遺伝子構築物。
【請求項7】
アミノ酸配列を含むポリペプチドであって:
(a)配列番号9、10もしくは11;または
(b)(a)の断片
を含むポリペプチド。
【請求項8】
前記ポリペプチドが、IgGまたはIgEの一部から選択されるN−末端リーダーアミノ酸配列をさらに含む、請求項7に記載のポリペプチド。
【請求項9】
前記N−末端リーダーアミノ酸配列が配列番号7の配列を含む、請求項8に記載のポリペプチド。
【請求項10】
宿主に複数のWNVおよびJEV血清型に対する免疫反応を起こすことができるDNAワクチンであって、前記ワクチンは:
(a)請求項1に記載の核酸を含むコード配列と作用可能に連結したプロモーターを含む遺伝子構築物;および
(b)薬学的に許容可能な賦形剤、
を含み、
ここで前記遺伝子構築物は、宿主の細胞に免疫反応を引き起こすのに効果的な量で、タンパク質E抗原のコンセンサスDIII領域を発現することができるワクチン。
【請求項11】
前記遺伝子構築物が、前記コード配列の3’末端の後にポリアデニル化配列をさらに含む、請求項10に記載のワクチン。
【請求項12】
前記遺伝子構築物がコドン最適化される、請求項10に記載のワクチン。
【請求項13】
前記薬学的に許容可能な賦形剤がアジュバンドである、請求項10に記載のワクチン。
【請求項14】
前記アジュバントが、IL−2、IL−15、IL−28およびRANTESからなる群から選択される、請求項13に記載のワクチン。
【請求項15】
前記薬学的に許容可能な賦形剤がトランスフェクション促進剤である、請求項14に記載のワクチン。
【請求項16】
宿主に複数のフラビウイルス血清型に対する免疫反応を引き起こす方法であって:
(a)宿主の組織に請求項10に記載のワクチンを送達するステップ;および
(b)前記細胞に前記ワクチンの遺伝子構築物を侵入させることに効果的なエネルギーパルスを送達する電気穿孔装置を用いて、組織の細胞を電気穿孔するステップ
を含む方法。
【請求項17】
ステップ(a)が皮内、皮下、または筋肉の組織に前記ワクチンを注射するステップを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
事前に設定した電流に等しい定電流でエネルギーパルスを前記組織に送達するために、前記電流を事前設定する、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記電気穿孔ステップが:
(a)電気穿孔された細胞においてインピーダンスを測定するステップ;
(b)電気穿孔された細胞において定電流を維持するために、前記測定されたインピーダンスに対してエネルギーパルスのエネルギーレベルを調節するステップ;
をさらに含み、
ここで、前記測定ステップおよび調節するステップは、エネルギーパルスの存続期間内に生じる請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記電気穿孔ステップが、分散的パターンで前記エネルギーパルスを送達するパルスシーケンスパターンに従って、複数の電極に前記エネルギーパルスを送達するステップを含む、請求項16に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2012−509067(P2012−509067A)
【公表日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−536584(P2011−536584)
【出願日】平成21年11月17日(2009.11.17)
【国際出願番号】PCT/US2009/064726
【国際公開番号】WO2010/057159
【国際公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【出願人】(509320254)イノビオ ファーマシューティカルズ,インコーポレイティド (3)
【Fターム(参考)】