説明

フリーボールベアリング装置およびそれを用いた球面モータ

【課題】ハウジング内に収容した大ボールを複数の回転する小ボールで自転可能に支持する形式のフリーボールベアリング装置において、大ボールの回転状態を検知可能とする。
【解決手段】2つの開口10a,10bを有するハウジング10内のボール収容部11に大ボール20を収容し、かつ、大ボール20とボール案内面12との間に複数の小ボール30を回転自在に配列させたベアリング5と、ハウジング10の一方の開口10bから露出する大ボール20の開放面に対向させて配設し、大ボール20の回転状態を検知する検知手段6との組み合わせでフリーボールベアリング装置を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハウジング内に収容した一つの大ボールを複数の回転する小ボールで自転可能に支持する形式のフリーボールベアリング装置およびそれを用いた球面モータに関する。
【背景技術】
【0002】
ある種の移動体を全方位に円滑に移動可能に支持するためのフリーボールベアリング装置が提供されている(特許文献1)。この種のフリーボールベアリング装置は、ハウジングに形成した凹所の球面状の内面に複数の小ボールが回転自在に配列され、大ボールが、小ボールに接触し、かつ一部が凹所の開口から突出する状態に凹所内に収容され、大ボールの自転が小ボールの回転により惹起されて、移動体を全方位に移動可能に支持する構成となっている。この種のフリーボールベアリング装置は、例えば球面モータのステータに配設することにより、ステータ内のロータを回転自在に支持するものとして適用される場合がある。また、球面モータにおいてステータ内のロータを回転自在に支持する手段としては、圧縮空気を用いてベアリングボールを浮上させて非接触状態とし、摩擦損失を低減させる形式のものがある(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−252753号公報
【特許文献2】特開2010−060011号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1記載のフリーボールベアリング装置にあっては、ハウジングには一方向にしか開口がなく、その開口から露出する大ボールの開放面で移動体を支持する構造となっている。このため、大ボールの回転速度、回転角度、回転方向といった回転状態を検知したい場合には、検知手段を大ボールの開口側、すなわち大ボールが移動体に接触するハウジングの片側に設置する必要があるが、その部分のスペースは狭隘であるため、回転状態を検知する手段の設置が困難であるといった問題があった。また、上記特許文献2記載の球面モータでは、圧縮空気を生成する手段としてコンプレッサ・レギュレータ等が必要になるため、装置の大型化を招くおそれがあるとともに、そのコンプレッサ駆動時においては騒音が問題となる。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、ハウジング内に収容した一つの大ボールを複数の回転する小ボールで自転可能に支持する形式のフリーボールベアリング装置において、大ボールの回転速度、回転角度、回転方向といった回転状態を検知することができるフリーボールベアリング装置およびそれを用いた球面モータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のフリーボールベアリング装置は、内面がボール案内面に形成されたボール収容部を有し、かつ、複数の開口を有するハウジングと、該ハウジングの前記案内面に沿って回転自在に配列される複数の小ボールと、前記ハウジングの前記ボール収容部に、一の前記開口から突出する状態に収容されるとともに前記小ボールによって回転自在に支持され、接触する移動体を自身の回転によって移動可能に支持する大ボールと、前記ハウジングにおける他の前記開口から露出する前記大ボールの開放面に対向して配設され、該大ボールの回転速度、回転角度、回転方向といった回転状態を検知する検知手段とを備えることを特徴とする。
【0007】
本発明のフリーボールベアリング装置では、ハウジングの複数の開口のうち、一の開口から突出する大ボールで移動体を支持する。そして、ハウジングの他の開口から露出する大ボールの開放面に対向して配設した検知手段が大ボールの回転速度、回転角度、回転方向といった回転状態を検知することができる。ハウジングの他の開口が複数ある場合には、それら開口のうちの少なくとも一つに対応させて検知手段を配設する。本発明では、ハウジングが複数の開口を有していることにより、支持する移動体の形状・外観に干渉されることなく大ボールの回転速度、回転角度、回転方向といった回転状態を検知することができる。また、ハウジング内の複数の小ボールで大ボールを回転自在に支持する構造であるため、装置は簡素であり大型化を招くことがないとともに、他の機器(例えばコンプレッサ)を用いた場合の騒音問題といったものは生じない。
【0008】
本発明では、前記ハウジングの前記複数の開口のうち、移動体を支持する前記一の開口以外の開口から露出する前記大ボールのハウジング開放面に出力伝達部材が接続される形態を含む。この形態では、移動体を支持する大ボールの回転速度、回転角度、回転方向といった回転出力情報を一の開口以外の開口から一の開口以外の他方面に出力を伝達することができる。
【0009】
また、本発明では、他の前記開口に、前記大ボールと前記小ボールを回転自在に保持する蓋体が設けられている形態を含む。この形態によれば、蓋体により小ボールをハウジング内に保持することができる。
【0010】
また、本発明では、前記小ボールは、前記ボール収容部内においてリテーナにより回転自在に保持されている形態を含む。この形態によれば、小ボールどうしを非接触の状態で保持することができ、回転する小ボールどうしが接触することによる摩擦抵抗を抑えることができる。
【0011】
また、本発明の前記大ボールは、セラミック、金属、樹脂、ゴムのうちのいずれかの材質であることを特徴とする。
【0012】
次に、本発明の球面モータは、中空の殻構造を有する略球体状の外側部材の内部に、該外側部材に設けられるフリーボールベアリング装置を介して前記移動体として略球体状の内側部材が相対回転自在に収容され、これら外側部材と内側部材とにそれぞれ磁極が設けられた球面モータであって、該フリーボールベアリング装置として、上記本発明のフリーボールベアリング装置が、前記ハウジングを、前記一の前記開口から突出する前記大ボールが前記内側部材側に向く状態で該大ボールにより内側部材を回転自在に支持するよう装着されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ハウジング内に収容した大ボールを複数の回転する小ボールで自転可能に支持する形式のフリーボールベアリング装置において、大ボールの回転状態を検知することができるフリーボールベアリング装置が提供されるといった効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1実施形態に係るフリーボールベアリング装置の平面図である。
【図2】図1のII−II断面図である。
【図3】図2のIII部拡大図である。
【図4】第1実施形態に係るフリーボールベアリング装置の使用形態の一例(搬送用支持体)を示す斜視図である。
【図5】同使用形態を示す拡大側面図である。
【図6】第1実施形態のフリーボールベアリング装置が適用される球面モータの正面図である。
【図7】本発明の第2実施形態に係るフリーボールベアリング装置の平面図である。
【図8】図7のVIII−VIII断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
(1)第1実施形態
図1および図2は、それぞれ本発明の第1実施形態に係るフリーボールベアリング装置1を示しており、図1は平面図、図2は図1のII−II断面図である。
【0016】
第1実施形態のベアリング装置1は、ベアリング5と、検知手段6とから構成される。ベアリング5は、環状に形成されたハウジング10と、ハウジング10内に収容される大ボール20および複数の小ボール30と、蓋体40とを備えている。ハウジング10は外周面が円筒状で、その中心にはボール収容部11が貫通形成されている。すなわち、ハウジング10は2つの開口10a,10bを有している。ボール収容部11の内周面はボール案内面12の一部を構成し、図2で上側の開口10a側が同一径の円筒状(円筒面12a)に形成され、下側の開口10b側は下方に向かうにしたがって縮径する逆円錐状(逆円錐面12b)に形成されている。
【0017】
ハウジング10の下側の開口10bの周囲には、内周側に延びる環状板部13が形成されており、さらにこの環状板部13の先端縁には、ボール収容部11の内部方向に延びながら若干外周側に傾斜する環状の返し部14が形成されている。
【0018】
ハウジング10内のボール収容部11の中心には、開口10bよりも大径、かつ、開口10aよりも小径の大ボール20が収容され、大ボール20の周囲には、複数の小ボール30が配列されている。この場合、複数の小ボール30は大ボール20とボール案内面12との間において軸方向に上段、中段、下段の3段の状態で環状に、かつ、中段の小ボール30が上下の段の小ボール30に対して周方向にずれるとともに軸方向には重畳配列されている。
【0019】
いずれの小ボール30もボール案内面12と大ボール20とに接触し、大ボール20の全方位への回転に応じて回転、かつ転動するように収容されている。換言すると、小ボール30は大ボール20とボール案内面12との間に回転自在に配列され、大ボール20を全方位に回転自在に支持している。
【0020】
開口10a側の上段の小ボール30は、ボール案内面12の円筒面12aに接触しており、さらに、開口10aを塞いでハウジング10の端面に固定された蓋体40に回転自在に接触している。また、開口10b側の下段の小ボール30は、ボール案内面12の逆円錐面12bから環状板部13に移行するR状に形成された凹状の内隅部15と、返し部14の先端縁14aとに保持される。ボール案内面12は、上記円筒面12a、逆円錐面12bおよび内隅部15とから構成される。図3に示すように、返し部14の先端縁14aは直角状のエッジに形成されており、この先端縁14aに下段の小ボール30が点接触するようになされている。
【0021】
大ボール20は、双方の開口10a,10bから一部が突出しており、蓋体40には、開口10a側から突出する大ボール20を突出させる孔41が形成されている。蓋体40により、大ボール20と小ボール30はボール収容部11に回転自在に保持され、かつ、開口10a側への抜け止めが確実になされ封止されている。
【0022】
図2に示すように、本実施形態では、上段および下段に配列される小ボール30の中心Bの間であって、その間隔のほぼ中央に、大ボール20の中心Aが位置している。また、大ボール20は、ステンレス等の金属製が好ましく用いられるが、他の金属、あるいはセラミック、樹脂、ゴムのうちのいずれかの材質のものが適宜に選択される。また、ハウジング10および小ボール30に関しては、同様の金属または別の金属、あるいはセラミック、樹脂等の他の材質が、使用目的等に応じて適宜に選択される。
【0023】
上記ベアリング5の下方であって、開口10bから露出する大ボール20の開放面に対向する位置に、大ボール20の回転状態を検知する上記検知手段6が配設されている。検知手段6は、発光ダイオードあるいはレーザ光等の発光素子6aとフォトトランジスタ(フォトリフレクタ・反射型フォトインタラプタ)等の受光素子6bとを備えた一般周知(例えばトラックボール型のポインティングデバイス等)の回転検知手段である。
【0024】
検知手段6には、回転情報取得部7が接続されている。回転情報取得部7には、検知手段6から出力される検知信号が供給され、回転情報取得部7はその検知信号に基づき、大ボール20の回転速度、回転角度、回転方向といった回転状態に関する情報を演算により取得する。この検知手段6は、適宜な支持手段によって図2に示すような配置状態に、ベアリング5に対して設置される。
【0025】
以上が第1実施形態のベアリング装置1の構成であり、このベアリング装置1は、例えば図4および図5に示すように、物品(図示例では板状の物品)Mを搬送するための搬送ボード80の表面に複数が配列されて使用される。各ベアリング装置1は格子状に配列され、搬送ボード80の表面にベアリング5が蓋体40を上側に配して大ボール20が上方に突出する状態に設置される。例えば、搬送ボード80の表面に凹所を設け、その凹所にベアリング5が埋め込まれるようにして設置され、下方の開口10bから露出する大ボール20の開放面を検知する検知手段6は、該凹所の底部に設置される。
【0026】
この使用形態では、物品Mがベアリング5の大ボール20によって支持されるとともに、大ボール20上を転がるようにして搬送される。すなわちベアリング装置1は、物品Mの搬送用支持体として用いられる。ベアリング5においては、大ボール20が物品Mから荷重を受けながら自転してその物品Mを支持し、大ボール20が自転するに伴い、各小ボール30が大ボール20とボール案内面12との間において転動し、大ボール20が自転して物品Mが搬送される。
【0027】
本実施形態のベアリング装置1では、ベアリング5のハウジング10が2つの開口10a,10bを有しており、一方の上側の開口10aから突出する大ボール20で物品Mを搬送可能に支持することができ、他方の下側の開口10bから突出する大ボール20の開放面に対向して配設した検知手段6によって大ボール20の回転状態を回転情報取得部7の演算値に基づいて知ることができる。そしてその大ボール20の回転状態から、物品Mの搬送状態、すなわち物品Mの搬送速度、搬送方向といった搬送情報を知ることが可能である。これにより物品Mの搬送状態を、目視することなく把握・モニターすることができる。下側の開口10bに対応して配設される検知手段6は物品Mの形状による干渉を受けないため、設置が容易であるという利点がある。
【0028】
また、小ボール30は返し部14の接触部14aに点接触の状態で接触しながら回転するため、小ボール30の摩擦抵抗を軽減することができる。なお、リテーナによって小ボール30を一つずつ回転自在に保持する形態を採用してもよく、その場合には、小ボール30どうしを非接触の状態で保持することができ、回転する小ボール30どうしが接触することによる摩擦抵抗を抑えることができる。また、ハウジング10に固定された蓋体40に直接小ボール30が回転自在に接触し、この蓋体40により、小ボール30をハウジング10内の所定位置に回転自在に保持することができる。また、ハウジング10内の複数の小ボール30で大ボール20を回転自在に支持する構造であるため、装置は簡素であり大型化を招くことがないとともに、他の機器(例えばコンプレッサ)を用いた場合の騒音問題といったものは生じない。
【0029】
本実施形態のベアリング装置1の使用形態は、図4および図5に示した物品の搬送用支持体に限定されず、様々な移動体を移動自在あるいは回転自在に支持し、大ボール20の回転状態からその移動体の移動状態を検知手段6で把握・モニターするといった実施形態に適用される。
【0030】
例えば、ステータ(外側部材)の内部に球体状のロータ(内側部材)が収容された球面モータにおいて、ベアリング装置をステータに複数取り付けてロータを回転自在に支持する場合、ベアリング装置として上記実施形態のベアリング装置1を少なくとも1つステータに配設した球面モータを構成することができる。このような球面モータでは、大ボール20の動きを通じてロータの回転速度、回転方向などを検知することができる。この場合のベアリング装置1は、ハウジング10の開口10aから突出する大ボール20がロータ側に向く状態として大ボール20によりロータを回転自在に支持するようにハウジング10をステータに固定して用いられる。
【0031】
また、本実施形態のベアリング装置1には、検知手段6が配設される側の開口10bから露出する大ボール20の開放面に、出力伝達部材を接続するといった形態を採ることができる。この形態では、大ボール20の回転を開口20bから、必要に応じて他方面に伝達することができる。例えば、開口10b側の大ボール20の開放面に出力伝達部材(例えばロッド)を接続することにより、大ボール20の回転出力情報を外部に伝達することができる。
【0032】
図6は、球体状のステータ(外側部材)95の内部に球体状の図示せぬロータ(内側部材)が収容された球面モータ90の具体例を示している。ステータ95にはステータ側の複数の磁極96が所定箇所に配置されて固定されており、内部のロータは、複数の上記ベアリング5で回転自在に支持されている。ベアリング5は、ハウジング10が、開口10aから突出する大ボール20がロータ側に向くようにステータ8に固定され、大ボール20がロータの外周面に接触して回転自在に支持している。そして、複数のベアリング5のうち少なくとも1つのベアリング5に対して上記検知手段6を配置してベアリング装置1を構成することにより、ロータの回転状態を検知することができる。また、他のベアリング5の外側すなわち開口10b側の大ボール20の開放面に、ロッド等の出力伝達部材を接続することにより、大ボール20の回転出力情報を外部に伝達することができる。
【0033】
(2)第2実施形態
図7および図8は本発明の第2実施形態に係るフリーボールベアリング装置2を示しており、図7は平面図、図8は図7のVIII−VIII断面図である。
【0034】
第2実施形態のベアリング装置2は、ベアリング8と、上記検知手段6との組み合わせで構成されている。ベアリング8は、外側ハウジング50の内部に内側ハウジング60が2段の状態で収容されており、各内側ハウジング60内のボール収容部61に小ボール30が環状に配列され、2段の小ボール30によって大ボール20が回転自在に支持された構成となっている。
【0035】
内側ハウジング60は、環状のベース部62と、ボール案内面63および開口64aを有するカバー部64との組み合わせからなり、2段の内側ハウジング60は、ベース部62どうしを対面させた状態で外側ハウジング50に収容されている。小ボール30は内側ハウジング60内においてベース部62とカバー部64との間に挟まれ、かつ、カバー部64に形成された上記返し部14と同様の返し部65によって回転自在に保持されている。
【0036】
外側ハウジング50の図8で上側には蓋体51が固定され、蓋体51には、大ボール20の直径よりも大きい開口51aが形成されている。図8で上下の内側ハウジング60の各開口64aからは大ボール20が突出しており、大ボール20は、蓋体51の開口51aからも僅かに露出している。外側ハウジング50の図8で下側には開口50bが形成されており、この開口50bには、同図で下側の内側ハウジング60のカバー部64の段部66が嵌合して突出している。
【0037】
図8で上側の内側ハウジング60のカバー部64の段部66の両側には、外側ハウジング50との間に空間が形成されており、この空間には、内側ハウジング60を下方に付勢する付勢部材(例えばウエーブワッシャ、板ばね、ゴム等の弾性体等)70が設けられる。付勢部材70は蓋体51と内側ハウジング60との間で弾発状態となり、この付勢部材70により2段の内側ハウジング60は外側ハウジング50内に保持されるとともに、大ボール20に対し図8で下側への予圧がかけられる。
【0038】
第2実施形態のベアリング装置2にあっては、例えば図8で上側の開口64a、51aから突出するベアリング8の大ボール20によって移動体を回転自在に支持するように使用される。その場合には、図8に示すように、下側の開口64aから露出する大ボール20の開放面に対向する位置に、大ボール20の回転状態を検知する上記検知手段6が配設される。
【0039】
第2実施形態のベアリング装置2も、使用形態は第1実施形態と同様である。この第2実施形態によっても、ハウジング(外側ハウジング50と内側ハウジング60の組み合わせ)が2つの開口64aを有することにより、移動体を支持しながら大ボール20の回転状態を検知することができる。また、大ボール20の回転を一方の開放面から他方の開放面に伝達することができたり、返し部65により小ボール30を摩擦抵抗が少ない状態で支持することができたりする作用効果も、同様に得ることができる。
【0040】
なお、検知手段6で大ボール20の回転状態をより明確、かつ高精度に検知するために、大ボール20の表面に検知マークを施してもよい。検知マークとしては、例えば、二次元バーコード、トラテープを格子状に描いたもの、地球儀で言うところの舟型多円錐図法表示などが挙げられる。
【符号の説明】
【0041】
1,2…フリーボールベアリング装置、5,8…ベアリング、6…検知手段、10…ハウジング、10a,10b,64a…開口、11,61…ボール収容部、12,63…ボール案内面、14,65…返し部、20…大ボール、30…小ボール、40,51…蓋体、50…外側ハウジング、60…内側ハウジング、90…球面モータ、M…物品(移動体)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内面がボール案内面に形成されたボール収容部を有し、かつ、複数の開口を有するハウジングと、
該ハウジングの前記案内面に沿って回転自在に配列される複数の小ボールと、
前記ハウジングの前記ボール収容部に、一の前記開口から突出する状態に収容されるとともに前記小ボールによって回転自在に支持され、接触する移動体を自身の回転によって移動可能に支持する大ボールと、
前記ハウジングにおける他の前記開口から露出する前記大ボールの開放面に対向して配設され、該大ボールの回転状態を検知する検知手段と、
を備えることを特徴とするフリーボールベアリング装置。
【請求項2】
前記ハウジングの前記複数の開口のうち、移動体を支持する前記一の開口以外の開口から露出する前記大ボールのハウジング開放面に出力伝達部材が接続されることを特徴とする請求項1に記載のフリーボールベアリング装置。
【請求項3】
他の前記開口に、前記大ボールと前記小ボールを回転自在に保持する蓋体が設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載のフリーボールベアリング装置。
【請求項4】
前記小ボールは、前記ボール収容部内においてリテーナにより回転自在に保持されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のフリーボールベアリング装置。
【請求項5】
前記大ボールは、セラミック、金属、樹脂、ゴムのうちのいずれかの材質であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のフリーボールベアリング装置。
【請求項6】
中空の殻構造を有する略球体状の外側部材の内部に、該外側部材に設けられるフリーボールベアリング装置を介して前記移動体として略球体状の内側部材が相対回転自在に収容され、これら外側部材と内側部材とにそれぞれ磁極が設けられた球面モータであって、
該フリーボールベアリング装置として、請求項1〜5のいずれかに記載のフリーボールベアリング装置が、前記ハウジングを、前記一の前記開口から突出する前記大ボールが前記内側部材側に向く状態で該大ボールにより内側部材を回転自在に支持するよう装着されていることを特徴とする球面モータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−72544(P2013−72544A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−214340(P2011−214340)
【出願日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【出願人】(000114215)ミネベア株式会社 (846)
【Fターム(参考)】