説明

フルオレン重合体及びそれを用いた高分子発光素子

【課題】高分子LEDの発光層の発光材料として、優れた特性を示すフルオレン重合体を提供する。
【解決手段】フルオレン重合体であって、該重合体の分子鎖末端に、下記式(2)で示される末端基を有するフルオレン重合体。


(式中、Bは、−O−等を表し、Ar02は、水素原子等を表し、R06は、直接結合等を表し、Rは、アルキレン基等を表し、R20は、水素原子等を表し、R03及びR04は、それぞれ独立に、置換基を示す。cは0から4の整数であり、dは0から3の整数である。複数のR03及びR04は同一であってもよいし、異なっていてもよい。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フルオレン重合体及びそれを用いた高分子発光素子(以下高分子LEDということがある。)に関する。
【背景技術】
【0002】
高分子量の発光材料は低分子量のそれとは異なり溶媒に可溶で塗布法により発光素子における発光層を形成できることから種々検討されており、その例として、主鎖にフェノキサジン−ジイル基やフェノチアジン−ジイル基を含む繰り返し単位を有するが、末端基はこれらの基で封止されてはいないフルオレン高分子化合物が知られている(特許文献1及び特許文献2参照)
【0003】
しかしながら、上記の高分子化合物は、高分子LEDの発光層の発光材料として、蛍光強度などの特性の点で、実用のためには未だ十分ではなく、高分子LEDの発光層の発光材料として、より優れた特性を示す高分子化合物が望まれていた。
【0004】
【特許文献1】米国特許第2004−72989号公開明細書
【特許文献2】特開2004−137456号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、高分子LEDの発光層の発光材料として、優れた特性を示すフルオレン重合体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者等は上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、ポリフルオレンの分子鎖末端の少なくとも一方に、下記式(2)で示される1価の末端基を有するフルオレン重合体が、強い蛍光強度を示し、高分子LEDの発光層の発光材料として、優れた特性を示すことを見出し、本発明に至った。
【発明の効果】
【0007】
本発明のフルオレン重合体は、発光材料として、優れた特性を示す。該フルオレン重合体を用いた高分子発光素子は高性能であり、バックライトとしての面状光源,フラットパネルディスプレイ等の装置として使用できる。また、薄膜、有機トランジスタ、太陽電池等に有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明のフルオレン重合体は、下記式(1)で示される繰り返し単位を1種類以上含む。
即ち本発明は、下記式(1)で示される繰り返し単位からなる群から選ばれる1種類以上の繰り返し単位を有するフルオレン重合体であって、該重合体の分子鎖末端の少なくとも一方に、下記式(2)で示される1価の基からなる群から選ばれる末端基を有することを特徴とする上記フルオレン重合体に係るものである。
【化1】


(ここで、R01及びR02は、それぞれ独立に、置換基を示す。R05及びR07は、それぞれ独立に、水素原子又は置換基を示す。a及びbは、それぞれ独立に0から3の整数であり、複数のR01及びR02は同一であってもよいし、異なっていてもよい。)
【化2】


(式中、Bは、−O−、−S−又は−C(O)−を表し、Ar02は、水素原子、アリール基、1価の複素環基又は1価の芳香族アミン基を表し、R06は、直接結合、―R−、−O―R−*、−R−O−*、−R−C(O)O−*、−R−OC(O)−*、−R−N(R20)−*、−O−、−S−、−C(O)O−*、又は−C(O)−を表し(ただし、*印は、*印側でAr02と結合することを意味する。)、Rは、アルキレン基又はアルケニレン基を表し、R20は、水素原子、アルキル基、アリール基、1価の複素環基又はシアノ基を表し、R03及びR04は、それぞれ独立に、置換基を示す。cは0から4の整数であり、dは0から3の整数である。複数のR03及びR04は同一であってもよいし、異なっていてもよい。)
【0009】
前記式(1)において、R01及びR02は、それぞれ独立に、置換基である。置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキルシリル基、アルキルアミノ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アリールアミノ基、1価の複素環基又はシアノ基である。R05及びR07は、それぞれ独立に、水素原子、又は置換基である。置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキルシリル基、アルキルアミノ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アリールアミノ基、1価の複素環基又はシアノ基である。
ここで、アルキル基は、直鎖、分岐又は環状のいずれでもよく、炭素数は通常1〜20程度であり、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、3,7−ジメチルオクチル基、ラウリル基などが挙げられ、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、デシル基、3,7−ジメチルオクチル基が好ましい。
【0010】
アルコキシ基は、直鎖、分岐又は環状のいずれでもよく、炭素数は通常1〜20程度であり、具体的には、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、t−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基、3,7−ジメチルオクチルオキシ基、ラウリルオキシ基などが挙げられ、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、デシルオキシ基、3,7−ジメチルオクチルオキシ基が好ましい。
【0011】
アルキルチオ基は、直鎖、分岐又は環状のいずれでもよく、炭素数は通常1〜20程度であり、具体的には、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、イソプロピルチオ基、ブチルチオ基、イソブチルチオ基、t−ブチルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、シクロヘキシルチオ基、ヘプチルチオ基、オクチルチオ基、2−エチルヘキシルチオ基、ノニルチオ基、デシルチオ基、3,7−ジメチルオクチルチオ基、ラウリルチオ基などが挙げられ、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、オクチルチオ基、2−エチルヘキシルチオ基、デシルチオ基、3,7−ジメチルオクチルチオ基が好ましい。
【0012】
アルキルシリル基は、直鎖、分岐又は環状のいずれでもよく、炭素数は通常1〜60程度であり、具体的には、メチルシリル基、エチルシリル基、プロピルシリル基、イソプロピルシリル基、ブチルシリル基、イソブチルシリル基、t−ブチルシリル基、ペンチルシリル基、ヘキシルシリル基、シクロヘキシルシリル基、ヘプチルシリル基、オクチルシリル基、2−エチルヘキシルシリル基、ノニルシリル基、デシルシリル基、3,7−ジメチルオクチルシリル基、ラウリルシリル基、トリメチルシリル基、エチルジメチルシリル基、プロピルジメチルシリル基、イソプロピルジメチルシリル基、ブチルジメチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基、ペンチルジメチルシリル基、ヘキシルジメチルシリル基、ヘプチルジメチルシリル基、オクチルジメチルシリル基、2−エチルヘキシル−ジメチルシリル基、ノニルジメチルシリル基、デシルジメチルシリル基、3,7−ジメチルオクチル−ジメチルシリル基、ラウリルジメチルシリル基などが挙げられ、ペンチルシリル基、ヘキシルシリル基、オクチルシリル基、2−エチルヘキシルシリル基、デシルシリル基、3,7−ジメチルオクチルシリル基、ペンチルジメチルシリル基、ヘキシルジメチルシリル基、オクチルジメチルシリル基、2−エチルヘキシル−ジメチルシリル基、デシルジメチルシリル基、3,7−ジメチルオクチル−ジメチルシリル基が好ましい。
【0013】
アルキルアミノ基は、直鎖、分岐又は環状のいずれでもよく、モノアルキルアミノ基でもジアルキルアミノ基でもよく、炭素数は通常1〜40程度であり、具体的には、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、エチルアミノ基、ジエチルアミノ基、プロピルアミノ基、イソプロピルアミノ基、ブチルアミノ基、イソブチルアミノ基、t−ブチルアミノ基、ペンチルアミノ基、ヘキシルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基、ヘプチルアミノ基、オクチルアミノ基、2−エチルヘキシルアミノ基、ノニルアミノ基、デシルアミノ基、3,7−ジメチルオクチルアミノ基、ラウリルアミノ基などが挙げられ、ペンチルアミノ基、ヘキシルアミノ基、オクチルアミノ基、2−エチルヘキシルアミノ基、デシルアミノ基、3,7−ジメチルオクチルアミノ基が好ましい。
【0014】
アリール基は、炭素数は通常6〜60程度であり、具体的には、フェニル基、C〜C12アルコキシフェニル基(C〜C12は、炭素数1〜12であることを示す。以下も同様である。)、C〜C12アルキルフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基などが例示され、C〜C12アルコキシフェニル基、C〜C12アルキルフェニル基が好ましい。
【0015】
アリールオキシ基は、炭素数は通常6〜60程度であり、具体的には、フェノキシ基、C〜C12アルコキシフェノキシ基、C〜C12アルキルフェノキシ基、1−ナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基などが例示され、C〜C12アルコキシフェノキシ基、C〜C12アルキルフェノキシ基が好ましい。
【0016】
アリールアルキル基は、炭素数は通常7〜60程度であり、具体的には、フェニル−C〜C12アルキル基、C〜C12アルコキシフェニル−C〜C12アルキル基、C〜C12アルキルフェニル−C〜C12アルキル基、1−ナフチル−C〜C12アルキル基、2−ナフチル−C〜C12アルキル基などが例示され、C〜C12アルコキシフェニル−C〜C12アルキル基、C〜C12アルキルフェニル−C〜C12アルキル基が好ましい。
【0017】
アリールアルコキシ基は、炭素数は通常7〜60程度であり、具体的には、フェニル−C〜C12アルコキシ基、C〜C12アルコキシフェニル−C〜C12アルコキシ基、C〜C12アルキルフェニル−C〜C12アルコキシ基、1−ナフチル−C〜C12アルコキシ基、2−ナフチル−C〜C12アルコキシ基などが例示され、C〜C12アルコキシフェニル−C〜C12アルコキシ基、C〜C12アルキルフェニル−C〜C12アルコキシ基が好ましい。
【0018】
アリールアルケニル基としては、炭素数は通常8〜60程度であり、具体的には、フェニル−C〜C12アルケニル基、C〜C12アルコキシフェニル−C〜C12アルケニル基、C〜C12アルキルフェニル−C〜C12アルケニル基、1−ナフチル−C〜C12アルケニル基、2−ナフチル−C〜C12アルケニル基などが例示され、C〜C12アルコキシフェニル−C〜C12アルケニル基、C〜C12アルキルフェニル−C〜C12アルケニル基が好ましい。
【0019】
アリールアルキニル基としては、炭素数は通常8〜60程度であり、具体的には、フェニル−C〜C12アルキニル基、C〜C12アルコキシフェニル−C〜C12アルキニル基、C〜C12アルキルフェニル−C〜C12アルキニル基、1−ナフチル−C〜C12アルキニル基、2−ナフチル−C〜C12アルキニル基などが例示され、C〜C12アルコキシフェニル−C〜C12アルキニル基、C〜C12アルキルフェニル−C〜C12アルキニル基が好ましい。
【0020】
アリールアミノ基は、炭素数は通常6〜60程度であり、フェニルアミノ基、ジフェニルアミノ基、C〜C12アルコキシフェニルアミノ基、ジ(C〜C12アルコキシフェニル)アミノ基、ジ(C〜C12アルキルフェニル)アミノ基、1−ナフチルアミノ基、2−ナフチルアミノ基などが例示され、C〜C12アルキルフェニルアミノ基、ジ(C〜C12アルキルフェニル)アミノ基が好ましい。
【0021】
1価の複素環基とは、複素環化合物から水素原子1個を除いた残りの原子団をいい、炭素数は通常4〜60程度であり、具体的には、チエニル基、C〜C12アルキルチエニル基、ピロリル基、フリル基、ピリジル基、C〜C12アルキルピリジル基などが例示され、チエニル基、C〜C12アルキルチエニル基、ピリジル基、C〜C12アルキルピリジル基が好ましい。
【0022】
上記置換基がアルキル鎖を含む基の場合は、該アルキル鎖は、ヘテロ原子又はヘテロ原子を含む基で中断されていてもよい。ここに、ヘテロ原子としては、酸素原子、硫黄原子、窒素原子などが例示される。ヘテロ原子又はヘテロ原子を含む基としては、例えば、以下の基が挙げられる。
【0023】
【化3】

【0024】
ここで、R’としては、例えば、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜60のアリール基、炭素数4〜60の1価の複素環基が挙げられる。
【0025】
a及びbは、それぞれ独立に0から3の整数であり、複数のR01及びR02は同一で
あってもよいし、異なっていてもよい。
【0026】
前記式(2)において、Bは、−O−、−S−又は−C(O)−を表す。
前記式(2)において、Ar02は、水素原子、アリール基、1価の複素環基又は1価の芳香族アミン基を表す。
【0027】
ここにアリール基としては、炭素数は通常6〜60程度であり、具体的には、フェニル基、C〜C12アルコキシフェニル基(C〜C12は、炭素数1〜12であることを示す。以下も同様である。)、C〜C12アルキルフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基などが例示され、C〜C12アルコキシフェニル基、C〜C12アルキルフェニル基が好ましい。
【0028】
1価の複素環基とは、複素環化合物から水素原子1個を除いた残りの原子団をいい、炭素数は通常2〜60程度である。
1価の複素環基としては、例えば、以下のものが挙げられる。
ヘテロ原子として、窒素を含む1価の複素環基:ピリジニル基、ジアザフェニル基、キノリニル基、キノキサリニル基、アクリジニル基、ビピリジニル基、フェナントロリン−イル基など。
ヘテロ原子としてケイ素、窒素、硫黄、セレン、酸素などを含みフルオレン構造を有する基(下記式79〜93で示された環を有する基)。
【0029】
ヘテロ原子としてケイ素、窒素、硫黄、セレン、酸素などを含む5員環複素環基(下記式94〜98で示された環を有する基)。
ヘテロ原子として、ケイ素、窒素、硫黄、セレン、酸素などを含む5員環縮合複素環基(下記式99〜108で示された環を有する基)。
ヘテロ原子として、硫黄などを含む5員環複素環基でそのヘテロ原子のα位で結合し2両体やオリゴマーになっている基(下記式109〜110で示された環を有する基)。
ヘテロ原子としてケイ素、窒素、硫黄、セレン、酸素などを含む5員環複素環基でそのヘテロ原子のα位でフェニル基に結合している基(下記式111〜117で示された環を有する基)。
【0030】
1価の芳香族アミン基とは、芳香族アミンから水素原子1個を除いた残りの原子団をいい、炭素数は通常4〜60程度である。炭素数には置換基の炭素数は含まない。1価の芳香族アミン基としては、例えば、下記式123〜127に示す基が例示される。
【0031】
【化4】


ここにRは、R01と同様の意味を表す。
【0032】
前記式(2)において、R06は、直接結合、―R−、−O―R−*、−R−O−*、−R−C(O)O−*、−R−OC(O)−*、−R−N(R20)−*、−O−、−S−、−C(O)O−*、又は−C(O)−を表し(ただし、*印は、*印側でAr02と結合することを意味する。以下も同様である。)、Rは、アルキレン基又はアルケニレン基を表す。R20は、水素原子、アルキル基、アリール基、1価の複素環基又はシアノ基を表す。合成の容易さや安定性の観点からは、R06は、直接結合、―R−*、−R−O−*であることが好ましい。
【0033】
03及びR04は、それぞれ独立に、R01と同様の意味を表す。
cは0から4の整数であり、dは0から3の整数である。複数のR03及びR04は同
一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0034】
前記式(2)で表される基としては、具体的には、下記のような基が例示される。
【化5】

【0035】
ここで、Rは、R01と同様の意味を表し、Rは、前記と同様の意味を表す。
【0036】
本発明のフルオレン重合体の中では、蛍光強度を高める観点、蛍光波長を変える観点から、さらに下記式(3)で示される繰り返し単位を含むものが好ましい。
− Ar−(Z’)p− (3)
【0037】
上記式(3)におけるArは、アリーレン基、2価の複素環基、又は2価の芳香族アミン基である。
【0038】
前記式(3)において、Arは、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキルシリル基、アルキルアミノ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アリールアミノ基、1価の複素環基などの置換基を有していてもよい。Arが複数の置換基を有する場合、それらは同一であってもよいし、それぞれ異なっていてもよい。
【0039】
前記式(3)において、アリーレン基とは、芳香族炭化水素から、水素原子2個を除いた残りの原子団であり、炭素数は、通常6〜60程度である。炭素数には置換基の炭素数は含まない。ここに芳香族炭化水素には縮合環をもつもの、独立したベンゼン環又は縮合環2個以上が直接又はビニレン等の基を介して結合したものも含まれる。
アリーレン基としては、フェニレン基(例えば、下記式1〜3)、ナフタレンジイル基(下記式4〜13)、アントラセニレン基(下記式14〜19)、ビフェニレン基(下記式20〜25)、トリフェニレン基(下記式26〜28)、縮合環化合物基(下記式29〜38)、スチルベン−ジイル(下記式AからD)、ジスチルベン−ジイル(下記式E及びF)、ベンゾフルオレン−ジイル(下記式G、H、I及びK)などが例示される。
【0040】
【化6】

【0041】
【化7】

【0042】
【化8】

【0043】
【化9】

【0044】
【化10】

【0045】
上記式1〜38、A〜I及びKにおいて、Rは、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキルシリル基、アルキルアミノ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アリールアミノ基、1価の複素環基又はシアノ基を示す。上記の例において、複数のRを有しているが、それらは同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0046】
前記式(3)において、2価の複素環基とは、複素環化合物から水素原子2個を除いた残りの原子団をいい、炭素数は通常4〜60程度である。炭素数には置換基の炭素数は含まない。
ここに複素環化合物とは、環式構造をもつ有機化合物のうち、環を構成する元素が炭素原子だけでなく、酸素、硫黄、窒素、リン、ホウ素などのヘテロ原子を環内に含むものをいい、例えば以下のものが挙げられる。
ヘテロ原子として、窒素を含む基:ピリジン−ジイル基(下記式39〜44)、ジアザフェニレン基(下記式45〜48)、キノリンジイル基(下記式49〜63)、キノキサリンジイル基(下記式64〜68)、アクリジンジイル基(下記式69〜72)、ビピリジルジイル基(下記式73〜75)、フェナントロリンジイル基(下記式76〜78)など。
ヘテロ原子としてケイ素、窒素、酸素、硫黄、セレンなどを含みフルオレン構造を有する基(下記式79〜93)。
ヘテロ原子としてケイ素、窒素、酸素、硫黄、セレンなどを含む5員環複素環基(下記式94〜98)。
ヘテロ原子としてケイ素、窒素、酸素、硫黄、セレンなどを含む5員環縮合複素環基(下記式99〜108)。
ヘテロ原子として硫黄などを含む5員環複素環基でそのヘテロ原子のα位で結合し2量体やオリゴマーになっている基(下記式109〜110)。
ヘテロ原子としてケイ素、窒素、酸素、硫黄、セレンなどを含む5員環複素環基でそのヘテロ原子のα位でフェニル基に結合している基(下記式111〜117)。
【0047】
【化11】

【0048】
【化12】

【0049】
【化13】

【0050】
【化14】

【0051】
【化15】

【0052】
【化16】

【0053】
【化17】

【0054】
【化18】

【0055】
【化19】

【0056】
上記式39〜117において、Rは、前記と同じ意味を表す。
【0057】
前記式(3)において、2価の芳香族アミン基とは、芳香族アミンから水素原子2個を除いた残りの原子団をいい、炭素数は通常4〜60程度であり、炭素数には置換基の炭素数は含まない。2価の芳香族アミン基としては、例えば、下記一般式(30)で示される基が挙げられる。
【0058】

−Ar−N(Ar)−Ar− (30)

式中、Ar及びArはそれぞれ独立に、置換基を有していてもよいアリーレン基、下記一般式(4)で表される基、又は下記一般式(5)で表される基である。Arは、置換基を有していてもよいアリール基、下記一般式(6)で表される基又は下記一般式(7)で表される基を示す。また、ArとArの間、ArとArの間、又はArとArの間に環を形成していてもよい。
【0059】
【化20】


式中、Ar及びArは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアリーレン基を示す。R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、1価の複素環基又はシアノ基を示す。lは0又は1である。
【0060】
【化21】


式中、Ar10及びAr11は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアリーレン基を示す。Ar12は、置換基を有していてもよいアリール基である。また、Ar10とAr12の間、Ar10とAr11の間、又はAr11とAr12の間に環を形成していてもよい。
【0061】
【化22】


式中、Ar13は、置換基を有していてもよいアリーレン基を示す。Ar16及びAr17は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアリール基である。また、Ar13とAr16の間、Ar13とAr17の間、又はAr16とAr17の間に環を形成していてもよい。
【0062】
【化23】


式中、Ar14は、置換基を有していてもよいアリーレン基を示す。Ar15は、置換基を有していてもよいアリール基を示す。R11及びR12は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、1価の複素環基又はシアノ基を示す。rは0又は1である。
【0063】
上記式(4)のAr及びAr、式(5)のAr10及びAr11、式(6)のAr13及び式(7)のAr14は、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキルシリル基、アルキルアミノ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アリールアミノ基、1価の複素環基、シアノ基等の置換基を有していてもよい。
また上記式(30)のAr5、上記式(5)のAr12、上記式(6)のAr16とAr17及び上記式(7)のAr15は、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキルシリル基、アルキルアミノ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アリールアミノ基、1価の複素環基、シアノ基等の置換基を有していてもよい。
【0064】
2価の芳香族アミン基として、具体的には以下の基が例示される。
【化24】

【0065】
上記式118〜122において、Rは、前記と同じ意味を表す。
【0066】
中でも、フェニレン基(例えば、上記式1〜3)、ナフタレンジイル基(上記式4〜13)、アントラセニレン基(上記式14〜19)、ビフェニレン基(上記式20〜25)、トリフェニレン基(上記式26〜28)、縮合環化合物基(上記式29〜38)、ジベンゾフラン−ジイル基(上記式85〜87)、ジベンゾチオフェン−ジイル基(上記式88〜90)、スチルベン−ジイル基(上記式A〜D)、ジスチルベン−ジイル基(上記式E及びF)、ベンゾフルオレン−ジイル基(上記式G、H、I及びK)、2価の芳香族アミン基(上記式118〜119及び122)、などが好ましく、中でもフェニレン基、ビフェニレン基、フルオレンージイル基(上記式36〜38)、ジベンゾフラン−ジイル基(上記式85〜87)、ジベンゾチオフェン−ジイル基(上記式88〜90)、スチルベン−ジイル基(上記式A〜D)、ジスチルベン−ジイル基(上記式E及びF)、ベンゾフルオレン−ジイル基(上記式G、H、I及びK)、2価の芳香族アミン基が特に好ましい。
【0067】
前記式(3)において、Z’は、−C(R)=C(R)−又は、−C≡C−を表す
。R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、1価の複素環
基又はシアノ基である。−C(R)=C(R)−が安定性の観点から好ましい。
Z’が、−C(R)=C(R)−である繰り返し単位としては、下記式128〜135で示されるものが好ましい。
【0068】
【化25】


ここにRは前記と同じ意味を表す。
pは、0又は1である。光酸化安定性の観点からは、pは0であることが好ましい。
【0069】
式(1)及び(3)で示される繰り返し単位を含むフルオレン重合体の中で、式(1)及び式(3)で示される繰り返し単位の合計が全繰り返し単位の50モル%以上であるものが発光効率の観点からより好ましい。かつ式(1)及び式(3)で示される繰り返し単位の合計に対して、式(1)で示される繰り返し単位が0.1モル%以上90モル%以下であるものが、蛍光強度の観点からより好ましい。
【0070】
実質的に、式(1)及び(3)で示される繰り返し単位からなるものとして、具体的には、式(1)で示される繰り返し単位として、下記から選ばれる1種類以上と
【化26】

【0071】
式(3)で示される繰り返し単位として下記から選ばれる1種類以上との共重合体が例示される。
【0072】
【化27】


(ただし、Rは、前記と同様の意味を表す。)
【0073】
本発明のフルオレン重合体は、その分子鎖末端の少なくとも一方に、上記式(2)で示される1価の基から選ばれる末端基を有していればよい。この末端基は1種類でも2種類以上であってもよい。上記式(2)末端基以外の末端基は全末端の50%以下であることが好ましく、40%以下であることがより好ましい。上記式(2)末端基以外の末端基とは、重合に用いた単量体の脱離基であって重合時に脱離しないでフルオレン重合体の末端に存在する脱離基、フルオレン重合体の末端に存在する単量体において重合体の脱離基が外れたものの芳香族末端基が結合しないで代わりに結合したプロトン等を言う。これらの分子鎖末端のうち、重合に用いた単量体の脱離基であって重合時に脱離しないでフルオレン重合体の末端に存在する脱離基、例えば原料としてハロゲン原子を有する単量体を用いて本発明のフルオレン重合体を製造する場合等にはハロゲンが、フルオレン重合体末端に残っていると蛍光特性等が低下する傾向があるため、末端には単量体の脱離基が実質的に残っていないことが好ましい。
【0074】
本発明のフルオレン重合体は、数平均分子量がポリスチレン換算で10〜10であり、成膜性の点から好ましくは3×10〜5×10であり、より好ましくは5×10〜2×10、さらに好ましくは1×10〜1×10である。
本発明のフルオレン重合体は、固体状態で蛍光を有するものが好ましい。固体状態で蛍光を有し、かつ、数平均分子量がポリスチレン換算で10〜10であるものが、さらに好ましい。
また、本発明のフルオレン重合体は、りん光を有していてもよい。
【0075】
本発明のフルオレン重合体に対する良溶媒としては、クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン、テトラヒドロフラン、トルエン、キシレン、メシチレン、デカリン、n−ブチルベンゼンなどが例示される。フルオレン重合体の構造や分子量にもよるが、通常はこれらの溶媒に0.1重量%以上溶解させることができる。
【0076】
本発明のフルオレン重合体は、1種類以上の繰り返し単位に対応する単量体を重合させて末端に脱離基を有する重合体を得、該重合体と、上記式(2)に対応する単量体を反応させる方法、1種類以上の繰り返し単位に対応する単量体を上記式(2)に対応する単量体の共存下に重合させる方法などにより製造することができる。
【0077】
本発明のフルオレン重合体は、例えば、一般式(101)及び/又は(102)で示される1種以上の単量体並びに一般式(104)及び/又は(105)で示される単量体を反応させることにより製造することができる。
−Ar−Y (101)
−Ar−Y (102)
−E (104)
−E (105)
(式中、Ar及びArは、それぞれ独立に、フルオレン−ジイル基又はアリーレン基
、二価の複素環基、又は二価の芳香族アミン基を表す。ここで、アリーレン基、二価の複素環基、二価の芳香族アミン基は、前記と同様の基を表す。ただし、Ar及びAr
少なくとも一方は、フルオレン−ジイル基である。E及びEはそれぞれ独立に上記式(2)の基を表す。Y、Y、Y、Y、Y及びYはそれぞれ独立に、脱離基を表す
。)
【0078】
脱離基としては、ハロゲン原子、アルキルスルホニルオキシ基、アリールスルホニルオキシ基、又は−B(OR11(ここで、R11は水素原子又はアルキル基である)で示される基が挙げられる。
【0079】
ここに、ハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられ、塩素原子、臭素原子が好ましく、臭素原子が最も好ましい。アルキルスルホニルオキシ基は、フッ素原子で置換されていてもよく、トリフルオロメタンスルホニルオキシ基等が挙げられる。アリールスルホニルオキシ基は、アルキル基で置換されていてもよく、フェニルスルホニルオキシ基、トリスルホニルオキシ基等が挙げられる。
【0080】
−B(OR11で示される基において、R11は、水素原子又はアルキル基である。アルキル基としては、炭素数は、通常1〜20程度であり、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基などが挙げられる。また、アルキル基どうしは、つながって環を形成していてもよい。
【0081】
−B(OR11で示される基として、具体的には、
【化28】


が挙げられ、
【化29】


が好ましい。
【0082】
一般式(104)及び(105)単量体の仕込み量の合計は、一般式(101)及び(102)の単量体の仕込み量の合計に対して、一般的には0.1〜20モル%であり、0.2〜10モル%が好ましい。
【0083】
本発明のフルオレン重合体の製造方法としては、例えば上述した該当する単量体をSuzuki反応により重合する方法(ケミカル レビュー(Chem.Rev.),第95巻,2457頁(1995年))、Grignard反応により重合する方法(共立出版、高分子機能材料シリーズ第2巻、高分子の合成と反応(2)、432−3頁)、山本重合法により重合する方法(プログレッシブ ポリマー サイエンス(Prog.Polym.Sci.),第17巻,1153−1205頁,1992年)、FeCl等の酸化剤により重合する方法、電気化学的に酸化重合する方法(丸善、実験化学講座第4版、28巻、339−340頁)などが例示される。
【0084】
Suzuki反応を用いる場合について説明する。この場合、例えば、Y及びYがそれぞれ独立に−B(OR11(ここで、R11は水素原子又はアルキル基である)で示される基であり、Y及びYがそれぞれ独立に、ハロゲン原子、アルキルスルホニルオキシ基又はアリールスルホニルオキシ基であり、Yが−B(OR11(ここで、R11は水素原子又はアルキル基である)で示される基であり、Yがハロゲン原子、アルキルスルホニルオキシ基又はアリールスルホニルオキシ基である単量体を用い、これらの単量体をPd(0)触媒の存在下で反応させることにより製造できる。
【0085】
なおこの場合、反応に供する、2個の脱離基を有する2種以上の単量体のうち、少なくとも1種が−B(OR11(ここで、R11は水素原子又はアルキル基である)を2個有する単量体であり、少なくとも1種が、ハロゲン原子、アルキルスルホニルオキシ基又はアリールスルホニルオキシ基を2個有する単量体であることを要する反応においては、通常、式(101)〜(102)で表される単量体を1〜100時間程度反応させた後、その後系内に単量体(105)を添加して0.5〜50時間程度反応させ、その後、単量体(104)を系内に添加して0.5〜50時間程度反応させる。
【0086】
Pd(0)触媒として、例えばパラジウム[テトラキス(トリフェニルホスフィン)]、パラジウムアセテート類、(例えば、酢酸パラジウムをトリフェニルホスフィン誘導体で還元した触媒系)などを用い、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、水酸化バリウム等の無機塩基、トリエチルアミン等の有機塩基、又はフッ化セシウム等の無機塩をモノマーに対して当量以上、好ましくは1〜10当量加えて反応を行う。無機塩を水溶液として、2相系で反応を行ってもよい。溶媒としては、N、N−ジメチルホルムアミド、トルエン、ジメトキシエタン、テトラヒドロフランなどが例示される。溶媒にもよるが50〜160℃程度の温度が好適に用いられる。溶媒の沸点近くまで昇温し、還流させてもよい。反応時間は1時間から200時間程度である。なお、重合反応は、通常アルゴン、窒素等の不活性ガス雰囲気下、Pd(0)触媒が失活しない反応系で行う。
【0087】
山本重合法を用いる場合について説明する。この場合、例えば、Y、Y、Y、Y、Y及びYがそれぞれ独立に、ハロゲン原子、アルキルスルホニルオキシ基又はアリールスルホニルオキシ基である単量体を用い、これらの単量体をNi(0)錯体の存在下で反応させることにより目的とする重合体を製造することができる。反応は、通常は、単量体(101)、(102)、(104)及び(105)の全てを混合して実施する。
【0088】
重合は、Ni(0)錯体(ゼロ価ニッケル錯体)存在下で行われる。ニッケル錯体としては、ゼロ価ニッケルをそのまま使う方法と、ニッケル塩を還元剤の存在下で反応させ、系内でゼロ価ニッケルを生成させ、反応させる方法がある。ゼロ価ニッケル錯体としては、ビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケル(0)、(エチレン)ビス(トリフェニルホスフィン)ニッケル(0)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)ニッケルなどが例示され、中でも、ビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケル(0)が、汎用性で安価という観点で好ましい。また、中性配位子を添加することが、収率向上の観点から好ましい。ここに、中性配位子とは、アニオンやカチオンを有していない配位子であり、2,2’−ビピリジル、1,10−フェナントロリン、メチレンビスオキサゾリン、N,N’−テトラメチルエチレンジアミン等の含窒素配位子;トリフェニルホスフィン、トリトリルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリフェノキシホスフィン等の第三ホスフィン配位子などが例示され、汎用性、安価の点で含窒素配位子が好ましく、2,2’−ビピリジルが高反応性、高収率の点で特に好ましい。特に、重合体の収率向上の点から、ビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケル(0)を含む系に、中性配位子として2,2’−ビピリジルを加えた系が好ましい。系内でゼロ価ニッケルを反応させる方法においては、ニッケル塩として塩化ニッケル、酢酸ニッケル等が挙げられる。還元剤としては、亜鉛、水素化ナトリウム、ヒドラジン及びその誘導体、リチウムアルミニウムハイドライドなどが挙げられ、必要に応じて添加物として、ヨウ化アンモニウム、ヨウ化リチウム、ヨウ化カリウム等が用いられる。重合溶媒としては、重合を阻害しないものであれば特に限定されないが、1種類以上の芳香族炭化水素系溶媒及び/又はエーテル系溶媒を含むものが好ましい。ここに芳香族炭化水素系溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、トリメチルベンゼン、テトラメチルベンゼン、ブチルベンゼン、ナフタリン、テトラリン等が挙げられ、トルエン、キシレン、テトラリン、テトラメチルベンゼンが好ましい。
また、エーテル系溶媒としては、例えば、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジフェニルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル等が挙げられ、フルオレン重合体に対する良溶媒である、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンなどが好ましい。溶媒の中では、テトラヒドロフランが最も好ましい。また、重合性、溶解性を改良する観点から、溶媒としては、重合反応を阻害しないものであれば、芳香族炭化水素系溶媒及び/又はエーテル系溶媒と芳香族炭化水素系溶媒及びエーテル系溶媒以外の溶媒との混合溶媒を用いてもよい。
【0089】
反応操作等は、例えば、特開2000−44544号公報に記載の方法に準じて行うことができる。山本重合法は、例えば、重合反応は、通常アルゴン、窒素等の不活性ガス雰囲気下、テトラヒドロフラン溶媒中、60℃の温度で、ゼロ価のニッケル錯体、中性配位子の存在下で行われる。重合時間は、通常0.5〜100時間程度であるが、製造コストの点から、10時間以内が好ましい。重合温度は、通常0〜200℃程度であるが、高収率、低加熱費の点から、20〜100℃が好ましい。
【0090】
また、中性配位子を使用する場合には、その使用量としては、反応収率とコストの点からゼロ価のニッケル錯体1モルに対して、0.5〜10モル程度が好ましく、0.8〜1.5モルがより好ましく、0.9〜1.1モルがさらに好ましい。
【0091】
ゼロ価のニッケル錯体の使用量は、重合反応を阻害しない程度ならば、特には限定されないが、使用量が過少であると分子量が低い傾向にあり、使用量が過大であると後処理が繁雑になる傾向がある。そのため、モノマー1モルに対して、0.1〜10モルが好ましく、1〜5モルがより好ましく、1.7〜3.5モルがさらに好ましい。
【0092】
本発明のフルオレン重合体を高分子LEDの発光材料として用いる場合、その純度が発光特性に影響を与えるため、重合前のモノマーを蒸留、昇華精製、再結晶等の方法で精製したのちに重合することが好ましく、また合成後、再沈精製、クロマトグラフィーによる分別等の純化処理をすることが好ましい。
【0093】
本発明の高分子組成物は、固体状態で蛍光を有し、ポリスチレン換算の数平均分子量が10〜10である高分子化合物(高分子化合物には、前記本発明のフルオレン重合体は含まれない。)と、前記本発明のフルオレン重合体を含む。該高分子化合物は、溶媒への溶解性、蛍光強度、寿命や輝度などの素子にした時の特性などを向上させるものであれば特に限定されず、具体的には、特開2001−247861号、特開2001−507511号、特開2001−504533号、特開2001−278958号、特開2001−261796号、特開2001−226469号、特許第3161058号公報などに記載の高分子化合物が挙げられるがこれらには限定されない。高分子化合物の種類としてはポリフルオレン系化合物、ポリフルオレン系高分子化合物、ポリアリーレン系化合物、ポリアリーレン系高分子化合物、ポリアリーレンビニレン系化合物、ポリアリーレンビニレン系高分子化合物、ポリスチルベン系化合物、ポリスチルベン系高分子化合物、ポリスチルベンビニレン系化合物、ポリスチルベンビニレン系高分子化合物、ポリピリジンジイル系化合物、ポリピリジンジイル系高分子化合物、アルコキシポリチオフェン系化合物、アルコキシポリチオフェン系高分子化合物などが挙げられるがこれらには限定されない。これらの中で、ポリフルオレン系高分子化合物、ポリアリーレン系高分子化合物、ポリアリーレンビニレン系高分子化合物、ポリスチルベン系高分子化合物、ポリスチルベンビニレン高分子化合物が好ましい。
【0094】
混合の割合は、溶媒への溶解性、蛍光強度、寿命や輝度などの素子にした時の特性などを向上させるような割合ならば何でもよいが、本発明のフルオレン重合体の割合が高分子組成物全体に対して、通常、5〜95重量%の範囲である。
【0095】
また本発明の高分子組成物として、本発明の末端基を有するフルオレン重合体を2種以上含むものが挙げられる。本発明の高分子組成物は、これらのフルオレン重合体の2種以上を適宜組合わせて得られる。また、その配合割合は特に限定されないが、組成物中に最も多く含まれるフルオレン重合体の割合を高分子組成物全体に対して5〜90重量%の範囲としたものも好ましい。
【0096】
<組成物(液状組成物)>
本発明の組成物は、前記フルオレン重合体と、該フルオレン重合体以外のポリスチレン換算の数平均分子量が10〜10である高分子化合物とを含有するものである。該フルオレン重合体以外のポリスチレン換算の数平均分子量が10〜10である高分子化合物化合物としては、ポリ(フェニレン)及びその誘導体、ポリ(ベンゾフルオレン)及びその誘導体、ポリ(ジベンゾフラン)及びその誘導体、ポリ(ジベンゾチオフェン)及びその誘導体、ポリ(カルバゾール)及びその誘導体、ポリ(チオフェン)及びその誘導体、ポリ(フェニレンビニレン)及びその誘導体、ポリ(フルオレンビニレン)及びその誘導体、ポリ(ベンゾフルオレンビニレン)及びその誘導体、ポリ(ジベンゾフランビニレン)及びその誘導体等が例示される。但し、これら誘導体は、前記式(1)で表される繰り返し単位以外のものである。
【0097】
本発明の液状組成物は、高分子発光素子等の発光素子や有機トランジスタの作製に有用である。液状組成物は、前記フルオレン重合体と溶媒とを含んでなるものである。本明細書において、「液状組成物」とは、素子作製時において液状であるものを意味し、典型的には、常圧(即ち、1気圧)、25℃において液状のものを意味する。また、液状組成物は、一般的には、インク、インク組成物、溶液等と呼ばれることがある。
【0098】
本発明の液状組成物は、前記フルオレン重合体以外に、低分子発光材料、正孔輸送材料、電子輸送材料、安定剤、粘度及び/又は表面張力を調節するための添加剤、酸化防止剤等を含んでいてもよい。これらの任意成分は、各々、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
【0099】
本発明の液状組成物が含有してもよい低分子蛍光材料としては、例えば、ナフタレン誘導体、アントラセン、アントラセン誘導体、ペリレン、ペリレン誘導体、ポリメチン系色素、キサンテン系色素、クマリン系色素、シアニン系色素、8−ヒドロキシキノリンの金属錯体を配位子として有する金属錯体、8−ヒドロキシキノリン誘導体を配位子として有する金属錯体、その他の蛍光性金属錯体、芳香族アミン、テトラフェニルシクロペンタジエン、テトラフェニルシクロペンタジエン誘導体、テトラフェニルシクロブタジエン、テトラフェニルシクロブタジエン誘導体、スチルベン系、含ケイ素芳香族系、オキサゾール系、フロキサン系、チアゾール系、テトラアリールメタン系、チアジアゾール系、ピラゾール系、メタシクロファン系、アセチレン系等の低分子化合物の蛍光性材料が挙げられる。具体的には、例えば、特開昭57−51781号公報、特開昭59−194393号公報等に記載されているもの、公知のものが挙げられる。
【0100】
本発明の液状組成物が含有してもよい正孔輸送材料としては、例えば、ポリビニルカルバゾール及びその誘導体、ポリシラン及びその誘導体、側鎖又は主鎖に芳香族アミンを有するポリシロキサン誘導体、ピラゾリン誘導体、アリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、トリフェニルジアミン誘導体、ポリアニリン及びその誘導体、ポリチオフェン及びその誘導体、ポリピロール及びその誘導体、ポリ(p−フェニレンビニレン)及びその誘導体、ポリ(2,5−チエニレンビニレン)及びその誘導体等が挙げられる。
【0101】
本発明の液状組成物が含有してもよい電子輸送材料としては、例えば、オキサジアゾール誘導体、アントラキノジメタン及びその誘導体、ベンゾキノン及びその誘導体、ナフトキノン及びその誘導体、アントラキノン及びその誘導体、テトラシアノアンスラキノジメタン及びその誘導体、フルオレノン誘導体、ジフェニルジシアノエチレン及びその誘導体、ジフェノキノン誘導体、8−ヒドロキシキノリン及びその誘導体の金属錯体、ポリキノリン及びその誘導体、ポリキノキサリン及びその誘導体、ポリフルオレン及びその誘導体等が挙げられる。
【0102】
本発明の液状組成物が含有してもよい安定剤としては、例えば、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤等が挙げられる。
【0103】
本発明の液状組成物が含有してもよい粘度及び/又は表面張力を調節するための添加剤としては、例えば、粘度を高めるための高分子量の化合物(増粘剤)や貧溶媒、粘度を下げるための低分子量の化合物、表面張力を下げるための界面活性剤等を適宜組み合わせて使用すればよい。
【0104】
前記の高分子量の化合物としては、発光や電荷輸送を阻害しないものであればよく、通常、液状組成物の溶媒に可溶性のものである。高分子量の化合物としては、例えば、高分子量のポリスチレン、高分子量のポリメチルメタクリレート等を用いることができる。前記の高分子量の化合物のポリスチレン換算の重量平均分子量は50万以上が好ましく、100万以上がより好ましい。また、貧溶媒を増粘剤として用いることもできる。
【0105】
本発明の液状組成物が含有してもよい酸化防止剤としては、発光や電荷輸送を阻害しないものであればよく、組成物が溶媒を含む場合には、通常、該溶媒に可溶性のものである。酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤等が例示される。酸化防止剤を用いることにより、前記高分子化合物、溶媒の保存安定性を改善し得る。
【0106】
本発明の液状組成物が正孔輸送材料を含有する場合には、該液状組成物中の正孔輸送材料の割合は、通常、1重量%〜80重量%であり、好ましくは5重量%〜60重量%である。本発明の液状組成物が電子輸送材料を含有する場合には、該液状組成物中の電子輸送材料の割合は、通常、1重量%〜80重量%であり、好ましくは5重量%〜60重量%である。
【0107】
高分子発光素子の作製の際に、この液状組成物を用いて成膜する場合、該液状組成物を塗布した後、乾燥により溶媒を除去するだけでよく、また電荷輸送材料や発光材料を混合した場合においても同様な手法が適用できるので、製造上非常に有利である。なお、乾燥の際には、50〜150℃程度に加温した状態で乾燥してもよく、また、10−3Pa程度に減圧して乾燥させてもよい。
【0108】
液状組成物を用いた成膜方法としては、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェットプリント法等の塗布法を用いることができる。
【0109】
液状組成物中の溶媒の割合は、該液状組成物の全重量に対して、通常、1重量%〜99.9重量%であり、好ましくは60重量%〜99.9重量%であり、さらに好ましく90重量%〜99.8重量%である。液状組成物の粘度は印刷法によって異なるが、25℃において0.5〜500mPa・sの範囲が好ましく、インクジェットプリント法等、液状組成物が吐出装置を経由するものの場合には、吐出時の目づまりや飛行曲がりを防止するために粘度が25℃において0.5〜20mPa・sの範囲であることが好ましい。
【0110】
液状組成物に含まれる溶媒としては、該液状組成物中の該溶媒以外の成分を溶解又は分散できるものが好ましい。該溶媒としては、クロロホルム、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン等の塩素系溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒、トルエン、キシレン、トリメチルベンゼン、メシチレン等の芳香族炭化水素系溶媒、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−へプタン、n−オクタン、n−ノナン、n−デカン等の脂肪族炭化水素系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルベンゾエート、エチルセルソルブアセテート等のエステル系溶媒、エチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジメトキシエタン、プロピレングリコール、ジエトキシメタン、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、グリセリン、1,2−ヘキサンジオール等の多価アルコール及びその誘導体、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、シクロヘキサノール等のアルコール系溶媒、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド系溶媒、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド系溶媒が例示される。また、これらの溶媒は、1種単独で用いても複数組み合わせて用いてもよい。前記溶媒のうち、ベンゼン環を少なくとも1個以上含む構造を有し、かつ融点が0℃以下、沸点が100℃以上である有機溶媒を1種類以上含むことが、粘度、成膜性等の観点から好ましい。
【0111】
溶媒の種類としては、液状組成物中の溶媒以外の成分の有機溶媒への溶解性、成膜時の均一性、粘度特性等の観点から、芳香族炭化水素系溶媒、脂肪族炭化水素系溶媒、エステル系溶媒、ケトン系溶媒が好ましく、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、トリメチルベンゼン、メシチレン、n−プロピルベンゼン、イソプロピルベンゼン、n−ブチルベンゼン、イソブチルベンゼン、s−ブチルベンゼン、アニソール、エトキシベンゼン、1−メチルナフタレン、シクロヘキサン、シクロヘキサノン、シクロヘキシルベンゼン、ビシクロヘキシル、シクロヘキセニルシクロヘキサノン、n−ヘプチルシクロヘキサン、n−ヘキシルシクロヘキサン、メチルベンゾエート、2−プロピルシクロヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン、2−オクタノン、2−ノナノン、2−デカノン、ジシクロヘキシルケトンが好ましく、キシレン、アニソール、メシチレン、シクロヘキシルベンゼン、ビシクロヘキシルメチルベンゾエートのうち少なくとも1種類を含むことがより好ましい。
【0112】
液状組成物に含まれる溶媒の種類は、成膜性の観点や素子特性等の観点から、2種類以上であることが好ましく、2〜3種類であることがより好ましく、2種類であることがさらに好ましい。
【0113】
液状組成物に2種類の溶媒が含まれる場合、そのうちの1種類の溶媒は25℃において固体状態でもよい。成膜性の観点から、1種類の溶媒は沸点が180℃以上のものであり、他の1種類の溶媒は沸点が180℃未満のものであることが好ましく、1種類の溶媒は沸点が200℃以上のものであり、他の1種類の溶媒は沸点が180℃未満のものであることがより好ましい。また、粘度の観点から、60℃において、液状組成物から溶媒を除いた成分の0.2重量%以上が溶媒に溶解することが好ましく、2種類の溶媒のうちの1種類の溶媒には、25℃において、液状組成物から溶媒を除いた成分の0.2重量%以上が溶解することが好ましい。
【0114】
液状組成物に3種類の溶媒が含まれる場合、そのうちの1〜2種類の溶媒は25℃において固体状態でもよい。成膜性の観点から、3種類の溶媒のうちの少なくとも1種類の溶媒は沸点が180℃以上の溶媒であり、少なくとも1種類の溶媒は沸点が180℃以下の溶媒であることが好ましく、3種類の溶媒のうちの少なくとも1種類の溶媒は沸点が200℃以上300℃以下の溶媒であり、少なくとも1種類の溶媒は沸点が180℃以下の溶媒であることがより好ましい。また、粘度の観点から、3種類の溶媒のうちの2種類の溶媒には、60℃において、液状組成物から溶媒を除いた成分の0.2重量%以上が溶媒に溶解することが好ましく、3種類の溶媒のうちの1種類の溶媒には、25℃において、液状組成物から溶媒を除いた成分の0.2重量%以上が溶媒に溶解することが好ましい。
【0115】
液状組成物に2種類以上の溶媒が含まれる場合、粘度及び成膜性の観点から、最も沸点が高い溶媒が、液状組成物に含まれる全溶媒の重量の40〜90重量%であることが好ましく、50〜90重量%であることがより好ましく、65〜85重量%であることがさらに好ましい。
【0116】
−薄膜−
本発明の薄膜について説明する。この薄膜は、前記フルオレン重合体を用いてなるものである。薄膜の種類としては、発光性薄膜、導電性薄膜、有機半導体薄膜等が例示される。
【0117】
発光性薄膜は、素子の輝度や発光電圧等の観点から、発光の量子収率が50%以上であることが好ましく、60%以上であることがより好ましく、70%以上であることがさらに好ましい。
【0118】
導電性薄膜は、表面抵抗が1KΩ/□以下であることが好ましい。薄膜に、ルイス酸、イオン性化合物等をドープすることにより、電気伝導度を高めることができる。表面抵抗が100Ω/□以下であることがより好ましく、10Ω/□以下であることがさらに好ましい。
【0119】
有機半導体薄膜は、電子移動度又は正孔移動度のいずれか大きい方が、好ましくは10−5cm/V/秒以上であり、より好ましくは10−3cm/V/秒以上であり、さらに好ましくは10−1cm/V/秒以上である。また、有機半導体薄膜を用いて、有機トランジスタを作製することができる。具体的には、SiO等の絶縁膜とゲート電極とを形成したSi基板上に有機半導体薄膜を形成し、Au等でソース電極とドレイン電極を形成することにより、有機トランジスタとすることができる。
【0120】
−有機トランジスタ(高分子電界効果トランジスタ)−
次に、有機トランジスタの一態様である高分子電界効果トランジスタを説明する。
【0121】
本発明のフルオレン重合体は、高分子電界効果トランジスタの材料として、中でも活性層として好適に用いることができる。高分子電界効果トランジスタの構造としては、通常は、ソース電極及びドレイン電極が高分子からなる活性層に接して設けられており、さらに活性層に接した絶縁層を挟んでゲート電極が設けられていればよい。
【0122】
高分子電界効果トランジスタは、通常は支持基板上に形成される。支持基板としては電界効果トランジスタとしての特性を阻害しなければ材質は特に制限されないが、ガラス基板やフレキシブルなフィルム基板やプラスチック基板も用いることができる。
【0123】
高分子電界効果トランジスタは、公知の方法、例えば、特開平5−110069号公報に記載の方法により製造することができる。
【0124】
活性層を形成する際に、有機溶媒可溶性のフルオレン重合体を用いることが製造上非常に有利であり好ましい。有機溶媒可溶性の高分子化合物を溶媒に溶解させてなる溶液からの成膜方法としては、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェット印刷法等の塗布法を用いることができる。
【0125】
高分子電界効果トランジスタを作製後、封止してなる封止高分子電界効果トランジスタが好ましい。これにより、高分子電界効果トランジスタが、大気から遮断され、高分子電界効果トランジスタの特性の低下を抑えることができる。
【0126】
封止する方法としては、紫外線(UV)硬化樹脂、熱硬化樹脂や無機のSiONx膜等でカバーする方法、ガラス板やフィルムをUV硬化樹脂、熱硬化樹脂等で張り合わせる方法等が挙げられる。大気との遮断を効果的に行うため高分子電界効果トランジスタを作製後、封止するまでの工程を大気に曝すことなく(例えば、乾燥した窒素雰囲気中、真空中等で)行うことが好ましい。
【0127】
−有機太陽電池−
次に、有機太陽電池について説明する。有機太陽電池の一態様である有機光電変換素子で、光起電力効果を利用する固体光電変換素子を説明する。
【0128】
本発明のフルオレン重合体は、有機光電変換素子の材料として、中でも有機半導体と金属との界面を利用するショットキー障壁型素子の有機半導体層として、また、有機半導体と無機半導体、又は有機半導体どうしの界面を利用するpnへテロ接合型素子の有機半導体層として、好適に用いることができる。
【0129】
さらに、ドナー・アクセプターの接触面積を増大させたバルクヘテロ接合型素子における電子供与性高分子、電子受容性高分子として、また、高分子・低分子複合系を用いる有機光電変換素子、例えば、電子受容体としてフラーレン誘導体を分散したバルクヘテロ接合型有機光電変換素子の電子供与性共役系高分子(分散支持体)として、好適に用いることができる。
【0130】
有機光電変換素子の構造としては、例えば、pnへテロ接合型素子では、オーム性電極、例えば、ITO上に、p型半導体層を形成し、さらに、n型半導体層を積層し、その上にオーム性電極が設けられていればよい。
【0131】
有機光電変換素子は、通常は支持基板上に形成される。支持基板としては有機光電変換素子としての特性を阻害しなければ材質は特に制限されないが、ガラス基板やフレキシブルなフィルム基板やプラスチック基板も用いることができる。
【0132】
有機光電変換素子は、公知の方法、例えば、Synth.Met.,102,982(1999)に記載の方法やScience,270,1789(1995)に記載の方法により製造することができる。
【0133】
本発明の高分子LEDは、陽極及び陰極からなる電極間に、発光層を有し、該発光層が、本発明のフルオレン重合体又は高分子組成物を含むことを特徴とする。 本発明の高分子LEDには、少なくとも一方の電極と発光層との間に該電極に隣接して導電性高分子を含む層を設けた高分子発光素子、少なくとも一方の電極と発光層との間に該電極に隣接して平均膜厚2nm以下の絶縁層を設けた高分子発光素子も含まれる。
【0134】
また、本発明の高分子LEDとしては、陰極と発光層との間に、電子輸送層を設けた高分子LED、陽極と発光層との間に、正孔輸送層を設けた高分子LED、陰極と発光層との間に、電子輸送層を設け、かつ陽極と発光層との間に、正孔輸送層を設けた高分子LED等が挙げられる。
【0135】
本発明の高分子LEDの構造としては、具体的には、以下のa)〜d)の構造が例示される。
a)陽極/発光層/陰極
b)陽極/正孔輸送層/発光層/陰極
c)陽極/発光層/電子輸送層/陰極
d)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極
(ここで、/は各層が隣接して積層されていることを示す。以下同じ。)
【0136】
ここで、発光層とは、発光する機能を有する層であり、正孔輸送層とは、正孔を輸送する機能を有する層であり、電子輸送層とは、電子を輸送する機能を有する層である。なお、電子輸送層と正孔輸送層を総称して電荷輸送層と呼ぶ。発光層、正孔輸送層、電子輸送層は、それぞれ独立に2層以上用いてもよい。
【0137】
また、電極に隣接して設けた電荷輸送層のうち、電極からの電荷注入効率を改善する機能を有し、素子の駆動電圧を下げる効果を有するものは、特に電荷注入層(正孔注入層、電子注入層)と一般に呼ばれることがある。
【0138】
さらに電極との密着性向上や電極からの電荷注入の改善のために、電極に隣接して前記の電荷注入層又は膜厚2nm以下の絶縁層を設けてもよく、また、界面の密着性向上や混合の防止等のために電荷輸送層や発光層の界面に薄い絶縁層を挿入してもよい。積層する層の順番や数、及び各層の厚さについては、発光効率や素子寿命を勘案して適宜用いることができる。
【0139】
本発明において、電荷注入層(電子注入層、正孔注入層)を設けた高分子LEDとしては、陰極に隣接して電荷注入層を設けた高分子LED、陽極に隣接して電荷注入層を設けた高分子LEDが挙げられる。例えば、具体的には、以下のe)〜p)の構造が挙げられる。
e)陽極/電荷注入層/発光層/陰極
f)陽極/発光層/電荷注入層/陰極
g)陽極/電荷注入層/発光層/電荷注入層/陰極
h)陽極/電荷注入層/正孔輸送層/発光層/陰極
i)陽極/正孔輸送層/発光層/電荷注入層/陰極
j)陽極/電荷注入層/正孔輸送層/発光層/電荷注入層/陰極
k)陽極/電荷注入層/発光層/電子輸送層/陰極
l)陽極/発光層/電子輸送層/電荷注入層/陰極
m)陽極/電荷注入層/発光層/電子輸送層/電荷注入層/陰極
n)陽極/電荷注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極
o)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電荷注入層/陰極
p)陽極/電荷注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電荷注入層/陰極
【0140】
電荷注入層の具体的な例としては、導電性高分子を含む層、陽極と正孔輸送層との間に設けられ、陽極材料と正孔輸送層に含まれる正孔輸送材料との中間の値のイオン化ポテンシャルを有する材料を含む層、陰極と電子輸送層との間に設けられ、陰極材料と電子輸送層に含まれる電子輸送材料との中間の値の電子親和力を有する材料を含む層などが例示される。
【0141】
上記電荷注入層が導電性高分子を含む層の場合、該導電性高分子の電気伝導度は、10−5S/cm以上10以下であることが好ましく、発光画素間のリーク電流を小さくする
ためには、10−5S/cm以上10以下がより好ましく、10−5S/cm以上10以下がさらに好ましい。
【0142】
上記電荷注入層が導電性高分子を含む層の場合、該導電性高分子の電気伝導度は、10−5S/cm以上10S/cm以下であることが好ましく、発光画素間のリーク電流を小
さくするためには、10−5S/cm以上10S/cm以下がより好ましく、10−5S/cm以上10S/cm以下がさらに好ましい。通常は該導電性高分子の電気伝導度を10−5S/cm以上10以下とするために、該導電性高分子に適量のイオンをドープする。
【0143】
ドープするイオンの種類は、正孔注入層であればアニオン、電子注入層であればカチオンである。アニオンの例としては、ポリスチレンスルホン酸イオン、アルキルベンゼンスルホン酸イオン、樟脳スルホン酸イオンなどが例示され、カチオンの例としては、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、テトラブチルアンモニウムイオンなどが例示される。電荷注入層の膜厚としては、例えば1nm〜100nmであり、2nm〜50nmが好ましい。
【0144】
電荷注入層に用いる材料は、電極や隣接する層の材料との関係で適宜選択すればよく、ポリアニリン及びその誘導体、ポリチオフェン及びその誘導体、ポリピロール及びその誘導体、ポリフェニレンビニレン及びその誘導体、ポリチエニレンビニレン及びその誘導体、ポリキノリン及びその誘導体、ポリキノキサリン及びその誘導体、芳香族アミン構造を主鎖又は側鎖に含む重合体などの導電性高分子、金属フタロシアニン(銅フタロシアニンなど)、カーボンなどが例示される。
【0145】
膜厚2nm以下の絶縁層は電荷注入を容易にする機能を有するものである。上記絶縁層の材料としては、金属フッ化物、金属酸化物、有機絶縁材料等が挙げられる。膜厚2nm以下の絶縁層を設けた高分子LEDとしては、陰極に隣接して膜厚2nm以下の絶縁層を設けた高分子LED、陽極に隣接して膜厚2nm以下の絶縁層を設けた高分子LEDが挙げられる。
【0146】
具体的には、例えば、以下のq)〜ab)の構造が挙げられる。
q)陽極/膜厚2nm以下の絶縁層/発光層/陰極
r)陽極/発光層/膜厚2nm以下の絶縁層/陰極
s)陽極/膜厚2nm以下の絶縁層/発光層/膜厚2nm以下の絶縁層/陰極
t)陽極/膜厚2nm以下の絶縁層/正孔輸送層/発光層/陰極
u)陽極/正孔輸送層/発光層/膜厚2nm以下の絶縁層/陰極
v)陽極/膜厚2nm以下の絶縁層/正孔輸送層/発光層/膜厚2nm以下の絶縁層/陰極
w)陽極/膜厚2nm以下の絶縁層/発光層/電子輸送層/陰極
x)陽極/発光層/電子輸送層/膜厚2nm以下の絶縁層/陰極
y)陽極/膜厚2nm以下の絶縁層/発光層/電子輸送層/膜厚2nm以下の絶縁層/陰極
z)陽極/膜厚2nm以下の絶縁層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極
aa)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/膜厚2nm以下の絶縁層/陰極
ab)陽極/膜厚2nm以下の絶縁層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/膜厚2nm以下の絶縁層/陰極
【0147】
発光層は、本発明のフルオレン重合体又は高分子組成物を含むが、発光層に上記フルオレン重合体以外の発光材料を混合して使用してもよい。また、本発明の高分子LEDにおいては、上記フルオレン重合体以外の発光材料を含む発光層が、上記フルオレン重合体を含む発光層と積層されていてもよい。該発光材料としては、公知のものが使用できる。低分子化合物では、例えば、ナフタレン誘導体、アントラセン又はその誘導体、ペリレン又はその誘導体、ポリメチン系、キサンテン系、クマリン系、シアニン系などの色素類、8−ヒドロキシキノリン又はその誘導体の金属錯体、芳香族アミン、テトラフェニルシクロペンタジエン又はその誘導体、又はテトラフェニルブタジエン又はその誘導体などを用いることができる。具体的には、例えば特開昭57−51781号、同59−194393号公報に記載されているもの等、公知のものが使用可能である。
【0148】
さらに、該発光材料として、下記のような、三重項発光錯体又はその誘導体などを用いることができる。
【化30】

【0149】
【化31】

【0150】
【化32】


また、例えば、WO03/001616に記載されている、三重項発光錯体基を含む高分子化合物などを用いることができる。
【0151】
発光層の成膜の方法に制限はないが、例えば、溶液からの成膜による方法が例示される。
【0152】
溶液からの成膜方法としては、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェットプリント法等の塗布法を用いることができる。
【0153】
溶液からの成膜に用いる溶媒としては、トルエン、キシレン、クロロホルム、テトラヒドロフランが例示される。
【0154】
発光層の膜厚としては、用いる材料によって最適値が異なり、駆動電圧と発光効率が適度な値となるように選択すればよいが、例えば1nmから1μmであり、好ましくは2nm〜500nmであり、さらに好ましくは5nm〜200nmである。
【0155】
本発明の高分子LEDが正孔輸送層を有する場合、使用される正孔輸送材料としては、ポリビニルカルバゾール又はその誘導体、ポリシラン又はその誘導体、側鎖又は主鎖に芳香族アミンを有するポリシロキサン誘導体、ピラゾリン誘導体、アリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、トリフェニルジアミン誘導体、ポリアニリン又はその誘導体、ポリチオフェン又はその誘導体、ポリピロール又はその誘導体、ポリ(p−フェニレンビニレン)又はその誘導体、又はポリ(2,5−チエニレンビニレン)又はその誘導体などが例示される。
【0156】
具体的には、該正孔輸送材料として、特開昭63−70257号公報、同63−175860号公報、特開平2−135359号公報、同2−135361号公報、同2−209988号公報、同3−37992号公報、同3−152184号公報に記載されているもの等が例示される。
【0157】
これらの中で、正孔輸送層に用いる正孔輸送材料として、ポリビニルカルバゾール又はその誘導体、ポリシラン又はその誘導体、側鎖又は主鎖に芳香族アミン化合物基を有するポリシロキサン誘導体、ポリアニリン又はその誘導体、ポリチオフェン又はその誘導体、ポリ(p−フェニレンビニレン)又はその誘導体、又はポリ(2,5−チエニレンビニレン)又はその誘導体等の高分子正孔輸送材料が好ましく、さらに好ましくはポリビニルカルバゾール又はその誘導体、ポリシラン又はその誘導体、側鎖又は主鎖に芳香族アミンを有するポリシロキサン誘導体である。低分子の正孔輸送材料の場合には、高分子バインダーに分散させて用いることが好ましい。
【0158】
ポリビニルカルバゾール又はその誘導体は、例えばビニルモノマーからカチオン重合又はラジカル重合によって得られる。
【0159】
ポリシラン又はその誘導体としては、ケミカル・レビュー(Chem.Rev.)第89巻、1359頁(1989年)、英国特許GB2300196号公開明細書に記載の化合物等が例示される。合成方法もこれらに記載の方法を用いることができるが、特にキッピング法が好適に用いられる。
【0160】
ポリシロキサン又はその誘導体は、シロキサン骨格構造には正孔輸送性がほとんどないので、側鎖又は主鎖に上記低分子正孔輸送材料の構造を有するものが好適に用いられる。
特に正孔輸送性の芳香族アミンを側鎖又は主鎖に有するものが例示される。
【0161】
正孔輸送層の成膜の方法に制限はないが、低分子正孔輸送材料では、高分子バインダーとの混合溶液からの成膜による方法が例示される。また、高分子正孔輸送材料では、溶液からの成膜による方法が例示される。
【0162】
溶液からの成膜に用いる溶媒としては、正孔輸送材料を溶解させるものであれば特に制限はない。該溶媒として、クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン等の塩素系溶媒、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチルセルソルブアセテート等のエステル系溶媒が例示される。
【0163】
溶液からの成膜方法としては、溶液からのスピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェットプリント法等の塗布法を用いることができる。
【0164】
混合する高分子バインダーとしては、電荷輸送を極度に阻害しないものが好ましく、また可視光に対する吸収が強くないものが好適に用いられる。該高分子バインダーとして、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリシロキサン等が例示される。
【0165】
正孔輸送層の膜厚としては、用いる材料によって最適値が異なり、駆動電圧と発光効率が適度な値となるように選択すればよいが、少なくともピンホールが発生しないような厚さが必要であり、あまり厚いと、素子の駆動電圧が高くなり好ましくない。従って、該正孔輸送層の膜厚としては、例えば1nmから1μmであり、好ましくは2nm〜500nmであり、さらに好ましくは5nm〜200nmである。
【0166】
本発明の高分子LEDが電子輸送層を有する場合、使用される電子輸送材料としては公知のものが使用でき、オキサジアゾール誘導体、アントラキノジメタン又はその誘導体、ベンゾキノン又はその誘導体、ナフトキノン又はその誘導体、アントラキノン又はその誘導体、テトラシアノアンスラキノジメタン又はその誘導体、フルオレノン誘導体、ジフェニルジシアノエチレン又はその誘導体、ジフェノキノン誘導体、又は8−ヒドロキシキノリン又はその誘導体の金属錯体、ポリキノリン又はその誘導体、ポリキノキサリン又はその誘導体、ポリフルオレン又はその誘導体等が例示される。
【0167】
具体的には、特開昭63−70257号公報、同63−175860号公報、特開平2−135359号公報、同2−135361号公報、同2−209988号公報、同3−37992号公報、同3−152184号公報に記載されているもの等が例示される。
【0168】
これらのうち、オキサジアゾール誘導体、ベンゾキノン又はその誘導体、アントラキノン又はその誘導体、又は8−ヒドロキシキノリン又はその誘導体の金属錯体、ポリキノリン又はその誘導体、ポリキノキサリン又はその誘導体、ポリフルオレン又はその誘導体が好ましく、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、ベンゾキノン、アントラキノン、トリス(8−キノリノール)アルミニウム、ポリキノリンがさらに好ましい。
【0169】
電子輸送層の成膜法としては特に制限はないが、低分子電子輸送材料では、粉末からの真空蒸着法、又は溶液若しくは溶融状態からの成膜による方法が、高分子電子輸送材料では溶液若しくは溶融状態からの成膜による方法がそれぞれ例示される。溶液若しくは溶融状態からの成膜時には、高分子バインダーを併用してもよい。
【0170】
溶液からの成膜に用いる溶媒としては、電子輸送材料及び/又は高分子バインダーを溶解させるものであれば特に制限はない。該溶媒として、クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン等の塩素系溶媒、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチルセルソルブアセテート等のエステル系溶媒が例示される。
【0171】
溶液又は溶融状態からの成膜方法としては、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェットプリント法等の塗布法を用いることができる。
【0172】
混合する高分子バインダーとしては、電荷輸送を極度に阻害しないものが好ましく、また、可視光に対する吸収が強くないものが好適に用いられる。該高分子バインダーとして、ポリ(N−ビニルカルバゾール)、ポリアニリン又はその誘導体、ポリチオフェン又はその誘導体、ポリ(p−フェニレンビニレン)又はその誘導体、ポリ(2,5−チエニレンビニレン)又はその誘導体、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、又はポリシロキサンなどが例示される。
【0173】
電子輸送層の膜厚は、用いる材料によって最適値が異なり、駆動電圧と発光効率が適度な値となるように選択すればよいが、少なくともピンホールが発生しないような厚さが必要であり、あまり厚いと、素子の駆動電圧が高くなり好ましくない。従って、該電子輸送層の膜厚としては、例えば1nmから1μmであり、好ましくは2nm〜500nmであり、さらに好ましくは5nm〜200nmである。
【0174】
本発明の高分子LEDを形成する基板は、電極を形成し、有機物の層を形成する際に変化しないものであればよく、例えばガラス、プラスチック、高分子フィルム、シリコン基板などが例示される。不透明な基板の場合には、反対の電極が透明又は半透明であることが好ましい。
【0175】
通常は、陽極及び陰極からなる電極の少なくとも一方が透明又は半透明であり、陽極側が透明又は半透明であることが好ましい。該陽極の材料としては、導電性の金属酸化物膜、半透明の金属薄膜等が用いられる。具体的には、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化スズ、及びそれらの複合体であるインジウム・スズ・オキサイド(ITO)、インジウム・亜鉛・オキサイド等からなる導電性ガラスを用いて作成された膜(NESAなど)や、金、白金、銀、銅等が用いられ、ITO、インジウム・亜鉛・オキサイド、酸化スズが好ましい。作製方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、メッキ法等が挙げられる。また、該陽極として、ポリアニリン又はその誘導体、ポリチオフェン又はその誘導体などの有機の透明導電膜を用いてもよい。陽極の膜厚は、光の透過性と電気伝導度とを考慮して、適宜選択することができるが、例えば10nmから10μmであり、好ましくは20nm〜1μmであり、さらに好ましくは50nm〜500nmである。また、陽極上に、電荷注入を容易にするために、フタロシアニン誘導体、導電性高分子、カーボンなどからなる層、又は金属酸化物や金属フッ化物、有機絶縁材料等からなる平均膜厚2nm以下の層を設けてもよい。
【0176】
本発明の高分子LEDで用いる陰極の材料としては、仕事関数の小さい材料が好ましい。例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、アルミニウム、スカンジウム、バナジウム、亜鉛、イットリウム、インジウム、セリウム、サマリウム、ユーロピウム、テルビウム、イッテルビウムなどの金属、及びそれらのうち2つ以上の合金、又はそれらのうち1つ以上と、金、銀、白金、銅、マンガン、チタン、コバルト、ニッケル、タングステン、錫のうち1つ以上との合金、又はグラファイト若しくはグラファイト層間化合物等が用いられる。合金の例としては、マグネシウム−銀合金、マグネシウム−インジウム合金、マグネシウム−アルミニウム合金、インジウム−銀合金、リチウム−アルミニウム合金、リチウム−マグネシウム合金、リチウム−インジウム合金、カルシウム−アルミニウム合金などが挙げられる。陰極を2層以上の積層構造としてもよい。陰極の膜厚は、電気伝導度や耐久性を考慮して、適宜選択することができるが、例えば10nmから10μmであり、好ましくは20nm〜1μmであり、さらに好ましくは50nm〜500nmである。
【0177】
陰極の作製方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、また金属薄膜を熱圧着するラミネート法等が用いられる。また、陰極と有機物層との間に、導電性高分子からなる層、又は金属酸化物や金属フッ化物、有機絶縁材料等からなる平均膜厚2nm以下の層を設けてもよく、陰極作製後、該高分子LEDを保護する保護層を装着していてもよい。該高分子LEDを長期安定的に用いるためには、素子を外部から保護するために、保護層及び/又は保護カバーを装着することが好ましい。
【0178】
該保護層としては、高分子化合物、金属酸化物、金属フッ化物、金属ホウ化物などを用いることができる。また、保護カバーとしては、ガラス板、表面に低透水率処理を施したプラスチック板などを用いることができ、該カバーを熱効果樹脂や光硬化樹脂で素子基板と貼り合わせて密閉する方法が好適に用いられる。スペーサーを用いて空間を維持すれば、素子が傷付くのを防ぐことが容易である。該空間に窒素やアルゴンのような不活性なガスを封入すれば、陰極の酸化を防止することができ、さらに酸化バリウム等の乾燥剤を該空間内に設置することにより製造工程で吸着した水分が素子にダメージを与えるのを抑制することが容易となる。これらのうち、いずれか1つ以上の方策をとることが好ましい。
【0179】
本発明の高分子発光素子は、面状光源、セグメント表示装置、ドットマトリックス表示装置、液晶表示装置のバックライト等として用いることができる。
【0180】
本発明の高分子LEDを用いて面状の発光を得るためには、面状の陽極と陰極が重なり合うように配置すればよい。また、パターン状の発光を得るためには、前記面状の発光素子の表面にパターン状の窓を設けたマスクを設置する方法、非発光部の有機物層を極端に厚く形成し実質的に非発光とする方法、陽極又は陰極のいずれか一方、又は両方の電極をパターン状に形成する方法がある。これらのいずれかの方法でパターンを形成し、いくつかの電極を独立にON/OFFできるように配置することにより、数字や文字、簡単な記号などを表示できるセグメントタイプの表示素子が得られる。更に、ドットマトリックス素子とするためには、陽極と陰極をともにストライプ状に形成して直交するように配置すればよい。複数の種類の発光色の異なる高分子蛍光体を塗り分ける方法や、カラーフィルター又は蛍光変換フィルターを用いる方法により、部分カラー表示、マルチカラー表示が可能となる。ドットマトリックス素子は、パッシブ駆動も可能であるし、TFTなどと組み合わせてアクティブ駆動してもよい。これらの表示素子は、コンピュータ、テレビ、携帯端末、携帯電話、カーナビゲーション、ビデオカメラのビューファインダーなどの表示装置として用いることができる。
【0181】
さらに、前記面状の発光素子は、自発光薄型であり、液晶表示装置のバックライト用の面状光源、又は面状の照明用光源として好適に用いることができる。また、フレキシブルな基板を用いれば、曲面状の光源や表示装置としても使用できる。
【0182】
また、本発明のフルオレン重合体は、レーザー用色素、有機太陽電池用材料、有機トランジスタ用の有機半導体、導電性薄膜用材料として用いることができる。
【実施例】
【0183】
以下、本発明をさらに詳細に説明するために実施例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
ここで、数平均分子量及び重量平均分子量については、テトラヒドロフランを溶媒として、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)(島津製作所製:LC−10Avp)によりポリスチレン換算の数平均分子量及び重量平均分子量を求めた。
【0184】
実施例1
<単量体(5)の合成>
合成例(1)
下記化合物(D):
【化33】


3.15gをN,N−ジメチルホルムアミド100gに溶解した。この溶液を氷冷した後、この溶液に、あらかじめ、N−ブロモスクシンイミド1.62gをN,N−ジメチルホルムアミド50gに溶解した溶液を、約80分間で、滴下した。
滴下後、引き続き、0〜5℃で4時間反応した。次に、この反応溶液を、室温まで昇温し、引き続いて、室温で、一夜反応した。なお、反応は窒素ガス雰囲気下で行った。
反応後、この反応溶液に、イオン交換水を加え、洗浄した後、この溶液から、減圧下、溶媒を留去した。次に、得られた沈殿に、トルエンを加え、溶解した後、このトルエン溶液をろ過し、不溶物を除去した。次に、このトルエン溶液をアルミナを充填したカラムを通して、精製した。この溶液から、減圧下、溶媒を留去した後、減圧乾燥して、下記単量体(5)2.0gを得た。
[H−NMR:溶媒CDCl3;0.9〜1.0ppm(3H)、1.3〜1.7ppm(4H)、2.6〜2.7ppm(2H)、5.7〜6.0ppm(2H)、6.5〜6.8(5H、7.1〜7.4(4H))
【化34】


<フルオレン重合体1の合成>
前記単量体(5)0.059gと2,7−ジブロム−9,9−ジオクチルフルオレン0.59gと2,7−ジブロム−9,9−ジイソペンチルフルオレン0.13gと2、2’−ビピリジル0.56gとを反応容器に仕込んだ後、反応系内を窒素ガスで置換した。これに、あらかじめアルゴンガスでバブリングして、脱気したテトラヒドロフラン(脱水溶媒)60gを加えた。次に、この混合溶液に、ビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケル(0)を1.0g加え、60℃で4時間反応させた。なお、反応は、窒素ガス雰囲気下で行った。
反応後、この溶液を冷却した後、メタノール40ml/イオン交換水40ml混合溶液をそそぎ込み、約1時間攪拌した。次に、生成した沈殿を、ろ過することにより回収した。次に、この沈殿を減圧乾燥した後、トルエンに溶解した。このトルエン溶液を濾過し、不溶物を除去した後、このトルエン溶液を、アルミナを充填したカラムに通すことで精製した。次に、このトルエン溶液を、1規定塩酸水溶液で洗浄し、静置、分液した後、トルエン溶液を回収した。次に、このトルエン溶液を、約5%アンモニア水で洗浄し、静置、分液した後、トルエン溶液を回収した。次に、このトルエン溶液をイオン交換水で洗浄し、静置、分液した後、トルエン溶液を回収した。次に、このトルエン溶液を、メタノール中にそそぎ込み、再沈殿物を生成させた。
次に、生成した沈殿を回収し、この沈殿を減圧乾燥して、重合体0.20gを得た。この重合体をフルオレン重合体1と呼ぶ。得られたフルオレン重合体1のポリスチレン換算重量平均分子量は、3.2x10であり、数平均分子量は、1.6x10であった。
【0185】
仕込みから推定されるフルオレン重合体1に含まれる繰り返し単位、末端の構造は、下記のとおりであり、仕込みから推定されるモル比は、繰り返し単位A/繰り返し単位B/末端基C=72/18/10である。
【化35】

【0186】
比較例1
<フルオレン重合体2の合成>
下記構造式:
【化36】


で表される単量体(1)0.071gと2,7−ジブロム−9,9−ジオクチルフルオレン0.59gと2,7−ジブロム−9,9−ジイソペンチルフルオレン0.13gと2、2’−ビピリジル0.56gとを反応容器に仕込んだ後、反応系内を窒素ガスで置換した。これに、あらかじめアルゴンガスでバブリングして、脱気したテトラヒドロフラン(脱水溶媒)60gを加えた。次に、この混合溶液に、ビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケル(0)を1.0g加え、60℃で4時間反応させた。なお、反応は、窒素ガス雰囲気下で行った。
反応後、この溶液を冷却した後、メタノール40ml/イオン交換水40ml混合溶液をそそぎ込み、約1時間攪拌した。次に、生成した沈殿を、ろ過することにより回収した。次に、この沈殿を減圧乾燥した後、トルエンに溶解した。このトルエン溶液を濾過し、不溶物を除去した後、このトルエン溶液を、アルミナを充填したカラムに通すことで精製した。次に、このトルエン溶液を、1規定塩酸水溶液で洗浄し、静置、分液した後、トルエン溶液を回収した。次に、このトルエン溶液を、約5%アンモニア水で洗浄し、静置、分液した後、トルエン溶液を回収した。次に、このトルエン溶液をイオン交換水で洗浄し、静置、分液した後、トルエン溶液を回収した。次に、このトルエン溶液を、メタノール中にそそぎ込み、再沈殿物を生成させた。
次に、生成した沈殿を回収し、この沈殿を減圧乾燥して、重合体0.29gを得た。この重合体をフルオレン重合体2と呼ぶ。得られたフルオレン重合体2のポリスチレン換算重量平均分子量は、4.2x10であり、数平均分子量は、8.9x10であった。
【0187】
仕込みから推定されるフルオレン重合体2に含まれる繰り返し単位の構造は、下記のとおりであり、仕込みから推定されるモル比は、繰り返し単位D/繰り返し単位E/繰り返し単位F=72/18/10である。
【化37】

【0188】
実施例2
<フルオレン重合体の蛍光特性評価>
フルオレン重合体の0.8wt%トルエン溶液を石英板上にスピンコートしてフルオレン重合体の薄膜を作製した。この薄膜の蛍光スペクトルを、蛍光分光光度計(JOBINYVON―SPEX社製 Fluorolog(商品名))を用い、励起波長350nmで測定した。薄膜での相対的な蛍光強度を得るために、水のラマン線の強度を標準として、波数プロットした蛍光スペクトルをスペクトル測定範囲で積分した値を、分光光度計(Varian社製 Cary5E(商品名))を用いて測定した励起波長での吸光度で割った値を求めた。
蛍光ピーク波長と蛍光強度の測定結果を表1に示す。本発明の末端基を含有するフルオレン重合体1の蛍光強度は、高分子鎖中にフェノキサジン環を含むフルオレン重合体2よりも強かった。
【表1】

【0189】
実施例3
<素子特性評価>
スパッタ法により150nmの厚みでITO膜を付けたガラス基板に、ポリ(エチレンジオキシチオフェン)/ポリスチレンスルホン酸の溶液(バイエル社、BaytronP(商品名))を用いてスピンコートにより50nmの厚みで成膜し、ホットプレート上で200℃で10分間乾燥する。次に、フルオレン重合体1とフルオレン重合体2の3:7(重量比)混合物が1.5wt%となるように調製したトルエン溶液を用いてスピンコートにより1500rpmの回転速度で成膜する。さらに、これを減圧下80℃で1時間乾燥した後、フッ化リチウムを約4nmを蒸着し、陰極として、カルシウムを約20nm、次いでアルミニウムを約50nm蒸着して、EL素子を作製する。なお真空度が、1×10−4Pa以下に到達したのち、金属の蒸着を開始する。得られた素子に電圧を引加することにより、EL発光が得られる。
【産業上の利用可能性】
【0190】
本発明のフルオレン重合体を高分子LEDの発光層に発光材料として用いたとき、その高分子LEDは、特性に優れている。したがって、該高分子LEDは、液晶ディスプレイのバックライト又は照明用としての曲面状や平面状の光源、セグメントタイプの表示素子、ドットマトリックスのフラットパネルディスプレイ等の装置に好ましく使用できる。また、本発明のフルオレン重合体は、レーザー用色素、有機太陽電池用材料、有機トランジスタ用の有機半導体、導電性薄膜用材料として用いることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1)で示される繰り返し単位からなる群から選ばれる1種類以上の繰り返し単位を有するフルオレン重合体であって、該重合体の分子鎖末端の少なくとも一方に、下記式(2)で示される1価の基からなる群から選ばれる末端基を有することを特徴とする上記フルオレン重合体。
【化1】


(ここで、R01及びR02は、それぞれ独立に、置換基を示す。R05及びR07は、それぞれ独立に、水素原子又は置換基を示す。a及びbは、それぞれ独立に0から3の整数であり、複数のR01及びR02は同一であってもよいし、異なっていてもよい。)
【化2】


(式中、Bは、−O−、−S−又は−C(O)−を表し、Ar02は、水素原子、アリール基、1価の複素環基又は1価の芳香族アミン基を表し、R06は、直接結合、−R−、−O−R−*、−R−O−*、−R−C(O)O−*、−R−OC(O)−*、−R−N(R20)−*、−O−、−S−、−C(O)O−*、又は−C(O)−を表し(ただし、*印は、*印側でAr02と結合することを意味する。)、Rは、アルキレン基又はアルケニレン基を表し、R20は、水素原子、アルキル基、アリール基、1価の複素環基又はシアノ基を表し、R03及びR04は、それぞれ独立に、置換基を示す。cは0から4の整数であり、dは0から3の整数である。複数のR03及びR04は同一であってもよいし、異なっていてもよい。)
【請求項2】
さらに下記式(3)で示される繰り返し単位を含有する請求項1記載のフルオレン重合体。
− Ar−(Z’)p− (3)
(ここで、Arは、アリーレン基、2価の複素環基又は2価の芳香族アミン基を示す。
Z’は、−CR=CR−又は−C≡C−を表す。R及びRはそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、1価の複素環基又はシアノ基を示す。pは、0又は1を示す。)
【請求項3】
ポリスチレン換算の数平均分子量が10〜10である請求項1又は請求項2記載のフルオレン重合体。
【請求項4】
固体状態で蛍光を有する請求項1又は請求項2記載のフルオレン重合体。
【請求項5】
固体状態で蛍光を有し、かつ、ポリスチレン換算の数平均分子量が10〜10である請求項1又は請求項2記載のフルオレン重合体。
【請求項6】
ポリスチレン換算の数平均分子量が10〜10であり、固体状態で蛍光を有する高
分子化合物と、請求項1又は2のフルオレン重合体とを含んでなることを特徴とする高分子組成物。
【請求項7】
請求項1又は2に記載のフルオレン重合体2種類以上を含んでなることを特徴とする高分子組成物。
【請求項8】
陽極及び陰極からなる電極間に、発光層を有し、該発光層が、請求項1記載のフルオレン重合体を含むことを特徴とする高分子発光素子。
【請求項9】
陽極及び陰極からなる電極間に、発光層を有し、該発光層が、請求項3又は4記載の高分子組成物を含むことを特徴とする高分子発光素子。
【請求項10】
少なくとも一方の電極と発光層との間に、該電極に隣接して導電性高分子を含む層を設けた請求項8又は9記載の高分子発光素子。
【請求項11】
少なくとも一方の電極と発光層との間に、該電極に隣接して平均膜厚2nm以下の絶縁層を設けた請求項8〜10のいずれか一項に記載の高分子発光素子。
【請求項12】
陰極と発光層との間に、該発光層に隣接して電子輸送層を設けた請求項8〜11のいずれか一項に記載の高分子発光素子。
【請求項13】
陽極と発光層との間に、該発光層に隣接して正孔輸送層を設けた請求項8〜12のいずれか一項に記載の高分子発光素子。
【請求項14】
陰極と発光層との間に、該発光層に隣接して電子輸送層、及び陽極と発光層との間に、該発光層に隣接して正孔輸送層を設けた請求項8〜13のいずれか一項に記載の高分子発光素子。
【請求項15】
請求項8〜14のいずれか一項に記載の高分子発光素子を含むことを特徴とする面状光源。
【請求項16】
請求項8〜14のいずれか一項に記載の高分子発光素子を含むことを特徴とするセグメント表示装置。
【請求項17】
請求項8〜14のいずれか一項に記載の高分子発光素子を含むことを特徴とするドットマトリックス表示装置。
【請求項18】
請求項8〜14のいずれか一項に記載の高分子発光素子を含む液晶表示装置。
【請求項19】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の高分子化合物と溶媒とを含む液状組成物。
【請求項20】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の高分子化合物を含む薄膜。
【請求項21】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の高分子化合物を含む有機トランジスタ。
【請求項22】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の高分子化合物を含む太陽電池。

【公開番号】特開2007−126650(P2007−126650A)
【公開日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−274642(P2006−274642)
【出願日】平成18年10月6日(2006.10.6)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】