説明

フルオロアミン類の製造方法

【課題】フルオロアミン類の有用な製造方法を提供する。
【解決手段】アミノアルコール類のアミノ基をニトロベンゼンスルホニル基で保護することにより(アミノ基保護工程)、アミノアルコール類保護体に変換し、該アミノアルコール類保護体を有機塩基の存在下にスルフリルフルオリド(SO)と反応させることにより(脱ヒドロキシフッ素化工程)、フルオロアミン類保護体に変換し、該フルオロアミン類保護体のアミノ基の保護基を脱保護することにより(脱保護工程)、フルオロアミン類を製造することができる。ニトロベンゼンスルホニル基は、本発明のアミノ基の保護基としての要件を高度に満たしており、目的とするフルオロアミン類を高い純度で収率良く得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フルオロアミン類の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本特許出願人は、スルフリルフルオリド(SO)と有機塩基の組み合わせ(必要に応じて「有機塩基とフッ化水素とからなる塩または錯体」の存在下に行う)によるアルコール類の脱ヒドロキシフッ素化反応を開示している(特許文献1)。また、本手法を用いる光学活性フルオロアミン類の製造方法も開示している(特許文献2)。
【0003】
スルフリルフルオリドと有機塩基の組み合わせによるアミノアルコール類の脱ヒドロキシフッ素化反応では、アミノ基の保護基の選定が重要である。保護基で保護したアミノ基に求核性が残ると、隣接基関与による1,2−転位(特開2009−286779号公報)や、中間体のフルオロ硫酸エステル体への分子間求核攻撃等の副反応が起こる。特許文献1と2では、アミノ基の保護基としてフタロイル基とベンジリデン基を開示しているが、これらの保護基は第一級アミンにしか適用できず、第二級アミンには適用できない。
【特許文献1】特開2006−290870号公報
【特許文献2】特開2009−227596号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この様な状況の下、スルフリルフルオリドと有機塩基の組み合わせによるアミノアルコール類の脱ヒドロキシフッ素化反応において、副反応が起こり難い好適なアミノ基の保護基が要望されている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、代表的なアミノ基の保護基[ベンジル(Bn)基、tert−ブトキシカルボニル(Boc)基、ベンジルオキシカルボニル(Cbz)基とアセチル(Ac)基]で保護したアミノアルコール類について、上記の脱ヒドロキシフッ素化反応を検討したが、目的とする反応は殆ど進行しなかった(比較例1〜4を参照)。Boc基、Cbz基およびAc基で保護したアミノ基は、その求核性が十分に抑えられているものと考えられるが、この効果だけでは脱ヒドロキシフッ素化反応における好適なアミノ基の保護基に成り得なかった。
【0006】
一方で、メタンスルホニル基、ベンゼンスルホニル基およびパラトルエンスルホニル基で保護したアミノアルコール類では、所望の脱ヒドロキシフッ素化反応が良好に進行することを見出した。しかしながら、これらの保護基は副反応を伴わずに脱保護することができず、フルオロアミン類の製造方法という観点から発明を完結することができなかった。
【0007】
この様な状況の下、本発明者らは、鋭意検討した結果、フルオロアミン類の有用な製造方法を見出し、本発明に到達した。
【0008】
すなわち、本発明は[発明1]〜[発明12]を含み、フルオロアミン類の製造方法を提供する。
【0009】
[発明1]
一般式[1]:
【化1】

【0010】
[式中、Rはアルキル基、置換アルキル基、芳香環基または置換芳香環基を表し、Rはそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、置換アルキル基、芳香環基または置換芳香環基を表し、mは2、3または4の整数を表し、nは4、6または8の整数を表し、Pはオルト、メタまたはパラ−ニトロベンゼンスルホニル基を表す。]
で示されるアミノアルコール類保護体を有機塩基の存在下にスルフリルフルオリド(SO)と反応させる脱ヒドロキシフッ素化工程を含む、一般式[2]:
【化2】

【0011】
[式中、R、R、m、n、およびPは前記式[1]と同じである。]
で示されるフルオロアミン類保護体を製造する方法。
【0012】
[発明2]
脱ヒドロキシフッ素化工程を、有機塩基とフッ化水素とからなる塩または錯体の存在下に行うことを特徴とする、発明1に記載の方法。
【0013】
[発明3]
一般式[3]:
【化3】

【0014】
[式中、Rはアルキル基、置換アルキル基、芳香環基または置換芳香環基を表し、Rはそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、置換アルキル基、芳香環基または置換芳香環基を表し、mは2、3または4の整数を表し、nは4、6または8の整数を表す。]
で示されるアミノアルコール類のアミノ基をニトロベンゼンスルホニル基で保護することにより、一般式[1]:
【化4】

【0015】
[式中、R、R、m、およびnは前記式[3]と同じである。Pはオルト、メタまたはパラ−ニトロベンゼンスルホニル基を表す。]
で示されるアミノアルコール類保護体に変換するアミノ基保護工程、
該アミノアルコール類保護体を有機塩基の存在下にスルフリルフルオリド(SO)と反応させることにより、一般式[2]:
【化5】

【0016】
[式中、R、R、m、n、およびPは前記式[1]と同じである。]
で示されるフルオロアミン類保護体に変換する脱ヒドロキシフッ素化工程、および
該フルオロアミン類保護体のアミノ基の保護基を脱保護する脱保護工程を含む、一般式[4]:
【化6】

【0017】
[式中、R、R、m、およびnは前記式[3]と同じである。]
で示されるフルオロアミン類を製造する方法。
【0018】
[発明4]
脱ヒドロキシフッ素化工程を、有機塩基とフッ化水素とからなる塩または錯体の存在下に行うことを特徴とする、発明3に記載の方法。
【0019】
[発明5]
一般式[5]:
【化7】

【0020】
[式中、Rはアルキル基または置換アルキル基を表し、Rはそれぞれ独立に水素原子、アルキル基または置換アルキル基を表し、xは2または3の整数を表し、yは4または6の整数を表し、Pはオルトまたはパラ−ニトロベンゼンスルホニル基を表す。]
で示されるアミノアルコール類保護体を有機塩基の存在下にスルフリルフルオリド(SO)と反応させる脱ヒドロキシフッ素化工程を含む、一般式[6]:
【化8】

【0021】
[式中、R、R、x、y、およびPは前記式[5]と同じである。]
で示されるフルオロアミン類保護体を製造する方法。
【0022】
[発明6]
脱ヒドロキシフッ素化工程を、有機塩基とフッ化水素とからなる塩または錯体の存在下に行うことを特徴とする、発明5に記載の方法。
【0023】
[発明7]
一般式[7]:
【化9】

【0024】
[式中、Rはアルキル基または置換アルキル基を表し、Rはそれぞれ独立に水素原子、アルキル基または置換アルキル基を表し、xは2または3の整数を表し、yは4または6の整数を表す。]
で示されるアミノアルコール類のアミノ基をニトロベンゼンスルホニル基で保護することにより、一般式[5]:
【化10】

【0025】
[式中、R、R、x、およびyは前記式[7]と同じである。Pはオルトまたはパラ−ニトロベンゼンスルホニル基を表す。]
で示されるアミノアルコール類保護体に変換するアミノ基保護工程、
該アミノアルコール類保護体を有機塩基の存在下にスルフリルフルオリド(SO)と反応させることにより、一般式[6]:
【化11】

【0026】
[式中、R、R、x、y、およびPは前記式[5]と同じである。]
で示されるフルオロアミン類保護体に変換する脱ヒドロキシフッ素化工程、および
該フルオロアミン類保護体のアミノ基の保護基を脱保護する脱保護工程を含む、一般式[8]:
【化12】

【0027】
[式中、R、R、x、およびyは前記式[7]と同じである。]
で示されるフルオロアミン類を製造する方法。
【0028】
[発明8]
脱ヒドロキシフッ素化工程を、有機塩基とフッ化水素とからなる塩または錯体の存在下に行うことを特徴とする、発明7に記載の方法。
【0029】
[発明9]
一般式[9]:
【化13】

【0030】
で示されるアミノアルコール類保護体を有機塩基の存在下にスルフリルフルオリド(SO)と反応させる脱ヒドロキシフッ素化工程を含む、一般式[10]:
【化14】

【0031】
で示されるフルオロアミン類保護体を製造する方法。
【0032】
[式中、Meはメチル基を表す。]
[発明10]
脱ヒドロキシフッ素化工程を、有機塩基とフッ化水素とからなる塩または錯体の存在下に行うことを特徴とする、発明9に記載の方法。
【0033】
[発明11]
一般式[11]:
【化15】

【0034】
で示されるアミノアルコール類のアミノ基をニトロベンゼンスルホニル基で保護することにより、一般式[9]:
【化16】

【0035】
で示されるアミノアルコール類保護体に変換するアミノ基保護工程、
該アミノアルコール類保護体を有機塩基の存在下にスルフリルフルオリド(SO)と反応させることにより、一般式[10]:
【化17】

【0036】
で示されるフルオロアミン類保護体に変換する脱ヒドロキシフッ素化工程、および
該フルオロアミン類保護体のアミノ基の保護基を脱保護する脱保護工程を含む、一般式[12]:
【化18】

【0037】
で示されるフルオロアミン類を製造する方法。
【0038】
[式中、Meはメチル基を表す。]
[発明12]
脱ヒドロキシフッ素化工程を、有機塩基とフッ化水素とからなる塩または錯体の存在下に行うことを特徴とする、発明11に記載の方法。
【発明の効果】
【0039】
本発明の好適な態様に依れば、スルフリルフルオリドと有機塩基の組み合わせによるアミノアルコール類の脱ヒドロキシフッ素化反応において、副反応が起こり難い好適なアミノ基の保護基を提供できる。また、本発明の好適な態様に依れば、原料基質のアミノアルコール類にはアミノ基とヒドロキシル基が共存するが、アミノ基保護工程においてアミノ基だけを選択的に保護することができる。さらに、本発明の好適な態様に依れば、脱保護工程において緩和な反応条件により副反応を伴わずに脱保護することができる。最後に、本発明の好適な態様に依れば、フルオロアミン類を高い純度で収率良く得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0040】
本発明のフルオロアミン類の製造方法について詳細に説明する。
【0041】
本発明の好ましいフルオロアミン類の製造方法は、一般式[3]で示されるアミノアルコール類のアミノ基をニトロベンゼンスルホニル基で保護するアミノ基保護工程、一般式[1]で示されるアミノアルコール類保護体を有機塩基の存在下にスルフリルフルオリドと反応させる脱ヒドロキシフッ素化工程、および一般式[2]で示されるフルオロアミン類保護体のアミノ基の保護基を脱保護する脱保護工程の3工程を含む。
【0042】
1 アミノ基保護工程
初めに、アミノ基保護工程について具体的に説明する。
【0043】
一般式[3]で示されるアミノアルコール類のRは、アルキル基、置換アルキル基、芳香環基または置換芳香環基を表す。該アルキル基は、炭素数1〜18の、直鎖状もしくは分枝状の鎖式または環式(炭素数3以上の場合)のものである。該芳香環基は、炭素数1〜18の、フェニル基、ナフチル基およびアントリル基等の芳香族炭化水素基、またはピロリル基(窒素保護体も含む)、ピリジル基、フリル基、チエニル基、インドリル基(窒素保護体も含む)、キノリル基、ベンゾフリル基およびベンゾチエニル基等の窒素原子、酸素原子もしくは硫黄原子等のヘテロ原子を含む芳香族複素環基である。該置換アルキル基および置換芳香環基は、それぞれ上記のアルキル基および芳香環基の、任意の炭素原子または窒素原子上に、任意の数および任意の組み合わせで、置換基を有する。係る置換基は、フッ素、塩素および臭素等のハロゲン原子、メチル基、エチル基およびプロピル基等の低級アルキル基、フルオロメチル基、クロロメチル基およびブロモメチル基等の低級ハロアルキル基、メトキシ基、エトキシ基およびプロポキシ基等の低級アルコキシ基、フルオロメトキシ基、クロロメトキシ基およびブロモメトキシ基等の低級ハロアルコキシ基、シアノ基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基およびプロポキシカルボニル基等の低級アルコキシカルボニル基、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、ピロリル基(窒素保護体も含む)、ピリジル基、フリル基、チエニル基、インドリル基(窒素保護体も含む)、キノリル基、ベンゾフリル基およびベンゾチエニル基等の芳香環基、カルボキシル基の保護体、アミノ基の保護体、ならびにヒドロキシル基の保護体等である。なお、本明細書において、"低級"とは、炭素数1〜6の、直鎖状もしくは分枝状の鎖式または環式(炭素数3以上の場合)であるものを意味する。また、上記の“係る置換基は”の芳香環基には、ハロゲン原子、低級アルキル基、低級ハロアルキル基、低級アルコキシ基、低級ハロアルコキシ基、シアノ基、低級アルコキシカルボニル基、カルボキシル基の保護体、アミノ基の保護体およびヒドロキシル基の保護体等が置換することもできる。さらに、ピロリル基、インドリル基、カルボキシル基、アミノ基およびヒドロキシル基の保護基は、Protective Groups in Organic Synthesis,Third Edition,1999,John Wiley & Sons,Inc.等に記載された保護基である。その中でもアルキル基および置換アルキル基が好ましく、メチル基が特に好ましい。
【0044】
一般式[3]で示されるアミノアルコール類のRは、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、置換アルキル基、芳香環基または置換芳香環基を表す。該アルキル基、置換アルキル基、芳香環基および置換芳香環基は、一般式[3]で示されるアミノアルコール類のRにおいて記載したアルキル基、置換アルキル基、芳香環基および置換芳香環基と同じである。Rが置換した炭素原子が不斉炭素の場合は、任意の立体化学(R体、S体またはラセミ体)を採ることができる。また、複数の不斉炭素が存在する場合は、任意の立体化学の組み合わせを採ることができる(例えば、2つの不斉炭素が存在する場合は、R,R体、R,S体、S,R体、S,S体または、これらの任意のジアステレオマー混合物)。さらに、一般式[3]で示されるアミノアルコール類の2つのRが直接的にそれぞれ任意の炭素原子同士で、もしくは窒素原子[アミノ基の保護体も含まれ、保護基はニトロベンゼンスルホニル基に限定されず、前述の保護基の成書等に記載された保護基を採ることができる]、酸素原子もしくは硫黄原子を介して、共有結合により環状構造を採ることができ、この様な環状構造も請求項に含まれるものとする。その中でも水素原子、アルキル基および置換アルキル基が好ましく、水素原子が特に好ましい。
【0045】
一般式[3]で示されるアミノアルコール類のmは、2、3または4の整数を表す。その中でも2および3の整数が好ましく、整数2が特に好ましい。
【0046】
一般式[3]で示されるアミノアルコール類のnは、4、6または8の整数を表す。その中でも4および6の整数が好ましく、整数4が特に好ましい。整数mとnの関係は、mが整数2の時はnが整数4を採り、mが整数3の時はnが整数6を採り、mが整数4の時はnが整数8を採る。
【0047】
一般式[3]で示されるアミノアルコール類の中でも、一般式[7]で示されるアミノアルコール類が好ましく、一般式[11]で示されるアミノアルコール類が特に好ましい。一般式[7]で示されるアミノアルコール類は、その多くが市販されており、大量規模での入手が容易である。一般式[11]で示されるアミノアルコール類は、これから得られる一般式[12]で示されるフルオロアミン類が医農薬中間体として重要である。
【0048】
一般式[3]で示されるアミノアルコール類は、塩化水素、臭化水素および硫酸等の無機酸またはシュウ酸、フタル酸およびパラトルエンスルホン酸等の有機酸との塩の形で用いることもできる。
【0049】
アミノ基保護工程は、有機合成における一般的な方法[例えば、前述の保護基の成書、日本化学会編第5版実験化学講座(丸善)等]を採用することにより行うことができる。具体的には、一般式[3]で示されるアミノアルコール類を塩基の存在下に、一般式[13]:
【化19】

【0050】
[式中、ニトロ基はオルト、メタまたはパラ位に置換し、Xはハロゲン原子を表す。]
で示されるニトロベンゼンスルホニルハライドと反応させることにより、一般式[1]で示されるアミノアルコール類保護体を製造することができる。
【0051】
一般式[1]におけるR、R、m、およびnは、一般式[3]におけるR、R、m、およびnと同じである。また、一般式[1]におけるPは、オルト、メタまたはパラ−ニトロベンゼンスルホニル基を表す。
【0052】
一般式[13]で示されるニトロベンゼンスルホニルハライドのニトロ基は、オルト、メタまたはパラ位に置換する。その中でもオルトおよびパラ位が好ましく、オルト位が特に好ましい。
【0053】
一般式[13]で示されるニトロベンゼンスルホニルハライドのXは、ハロゲン原子を表す。該ハロゲン原子は、一般式[3]で示されるアミノアルコール類のRの“係る置換基は”において記載したハロゲン原子と同じである。その中でも塩素および臭素が好ましく、塩素が特に好ましい。
【0054】
一般式[13]で示されるニトロベンゼンスルホニルハライドの中でも、オルトおよびパラ−ニトロベンゼンスルホニルクロリドが好ましく、オルト−ニトロベンゼンスルホニルクロリドが特に好ましい。オルトおよびパラ−ニトロベンゼンスルホニルクロリドは、これらが市販されており、入手が容易である。オルト−ニトロベンゼンスルホニルクロリドは、より安価であり、大量規模での製造に好適である。
【0055】
一般式[13]で示されるニトロベンゼンスルホニルハライドの使用量は、一般式[3]で示されるアミノアルコール類1molに対して0.7mol以上を用いれば良く、0.8〜5molが好ましく、0.9〜3molが特に好ましい。
【0056】
塩基は、炭酸水素リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素セシウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムおよび水酸化セシウム等の無機塩基、ならびにトリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、トリn−プロピルアミン、トリn−ブチルアミン、ピリジン、2,6−ルチジン、2,4,6−コリジン、4−ジメチルアミノピリジン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エンおよび1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン等の有機塩基である。その中でも有機塩基が好ましく、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、2,6−ルチジン、2,4,6−コリジン、4−ジメチルアミノピリジンおよび1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エンが特に好ましい。これらの塩基は単独でまたは組み合わせて用いることができる。
【0057】
塩基の使用量は、一般式[3]で示されるアミノアルコール類1molに対して0.35mol以上を用いれば良く、0.4〜20molが好ましく、0.45〜15molが特に好ましい。一般式[3]で示されるアミノアルコール類を無機酸または有機酸との塩の形で用いる場合は、酸の中和に必要な塩基の使用量を加味して加えて、酸の中和とアミノ基の保護を同一の反応系で連続的に行うことが簡便である。酸の中和に用いる塩基は、上記の塩基と同じである。
【0058】
塩基の添加順序は、特に制限はなく、反応溶媒に一般式[3]で示されるアミノアルコール類と一般式[13]で示されるニトロベンゼンスルホニルハライドを加え、最後に塩基を加えることにより好結果が得られる場合がある。
【0059】
反応溶媒は、n−ヘキサンおよびn−ヘプタン等の脂肪族炭化水素系、トルエンおよびキシレン等の芳香族炭化水素系、塩化メチレンおよび1,2−ジクロロエタン等のハロゲン系、テトラヒドロフランおよびtert−ブチルメチルエーテル等のエーテル系、酢酸エチルおよび酢酸n−ブチル等のエステル系、N,N−ジメチルホルムアミド、1−メチル−2−ピロリジノン、N,N−ジメチルアセトアミドおよび1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等のアミド系、アセトニトリルおよびプロピオニトリル等のニトリル系、ジメチルスルホキシドならびに水等である。その中でもn−ヘプタン、トルエン、塩化メチレン、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、ジメチルスルホキシドおよび水が好ましく、トルエン、塩化メチレン、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトニトリルおよび水が特に好ましい。これらの反応溶媒は単独でまたは組み合わせて用いることができる。水と組み合わせて用いる場合は、2相系で反応を行うこともできる。
【0060】
反応溶媒の使用量は、一般式[3]で示されるアミノアルコール類1molに対して0.05L(リットル)以上を用いれば良く、0.1〜20Lが好ましく、0.15〜10Lが特に好ましい。本反応は反応溶媒を用いずにニートの状態で行うこともできる。
【0061】
反応温度は、−80〜+200℃の範囲で行えば良く、−60〜+150℃が好ましく、−40〜+100℃が特に好ましい。
【0062】
反応時間は、24時間以内の範囲で行えば良く、原料基質、反応剤および反応条件により異なるため、ガスクロマトグラフィー、液体クロマトグラフィー、核磁気共鳴等の分析手段により反応の進行状況を追跡し、原料基質の減少が殆ど認められなくなった時点を終点とすることが好ましい。
【0063】
後処理は、有機合成における一般的な操作を採用することにより、一般式[1]で示されるアミノアルコール類保護体を得ることができる。粗生成物は、必要に応じて活性炭処理、分別蒸留、再結晶、カラムクロマトグラフィー等により高い純度に精製することができる。特に、一般式[3]で示されるアミノアルコール類の無機酸との塩や一般式[13]で示されるニトロベンゼンスルホニルハライドに由来するハロゲン化物イオンが不純物の副生原因になる場合がある(特開2010−163422号公報を参照)。この様な場合には、目的物を含む有機層の水洗やショートカラム等が効果的である。
【0064】
2 脱ヒドロキシフッ素化工程
次に、脱ヒドロキシフッ素化工程について具体的に説明する。
【0065】
脱ヒドロキシフッ素化工程は、一般式[1]で示されるアミノアルコール類保護体を有機塩基の存在下にスルフリルフルオリドと反応させることにより、一般式[2]で示されるフルオロアミン類保護体を製造することができる。
【0066】
一般式[2]におけるR、R、m、n、およびPは、一般式[1]におけるR、R、m、n、およびPと同じである。
【0067】
スルフリルフルオリドの使用量は、一般式[1]で示されるアミノアルコール類保護体1molに対して0.7mol以上を用いれば良く、0.8〜20molが好ましく、0.9〜15molが特に好ましい。
【0068】
有機塩基は、アミノ基保護工程の塩基において記載した有機塩基と同じである。しかしながら、これらに限定されず、有機合成において一般的に用いられる有機塩基も採用することができる。その中でもトリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、トリn−ブチルアミン、ピリジン、2,6−ルチジン、2,4,6−コリジンおよび1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エンが好ましく、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、トリn−ブチルアミン、ピリジンおよび1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エンが特に好ましい。これらの有機塩基は単独でまたは組み合わせて用いることができる。
【0069】
有機塩基の使用量は、一般式[1]で示されるアミノアルコール類保護体1molに対して0.7mol以上を用いれば良く、0.8〜20molが好ましく、0.9〜15molが特に好ましい。
【0070】
「有機塩基とフッ化水素とからなる塩または錯体」の有機塩基は、脱ヒドロキシフッ素化工程において記載した有機塩基と同じであり、“好ましい”および“特に好ましい”有機塩基も同じである。これらの「有機塩基とフッ化水素とからなる塩または錯体」の有機塩基は単独でまたは組み合わせて用いることができる。
【0071】
「有機塩基とフッ化水素とからなる塩または錯体」の有機塩基とフッ化水素のmol比は、100:1から1:100の範囲で用いれば良く、50:1から1:50が好ましく、25:1から1:25が特に好ましい。アルドリッチ(Aldrich、2009−2010カタログ)から市販されている「トリエチルアミン1molとフッ化水素3molからなる錯体」または「ピリジン〜30%(〜10mol%)とフッ化水素〜70%(〜90mol%)からなる錯体」を用いるのが便利である。
【0072】
「有機塩基とフッ化水素とからなる塩または錯体」を用いる場合の使用量は、一般式[1]で示されるアミノアルコール類保護体1molに対して、フッ化物イオン(F)として0.05mol以上を用いれば良く、0.07〜30molが好ましく、0.09〜15molが特に好ましい。
【0073】
反応溶媒は、アミノ基保護工程において記載した水を除く反応溶媒と同じであり、“好ましい”および“特に好ましい”反応溶媒も同じである(当然、水を除く)。これらの反応溶媒は単独でまたは組み合わせて用いることができる。
【0074】
反応溶媒の使用量は、一般式[1]で示されるアミノアルコール類保護体1molに対して0.05L以上を用いれば良く、0.1〜20Lが好ましく、0.15〜10Lが特に好ましい。本反応は反応溶媒を用いずにニートの状態で行うこともできる。
【0075】
反応温度は、−50〜+200℃の範囲で行えば良く、−40〜+150℃が好ましく、−30〜+100℃が特に好ましい。
【0076】
反応時間は、48時間以内の範囲で行えば良く、原料基質、反応剤および反応条件により異なるため、ガスクロマトグラフィー、液体クロマトグラフィー、核磁気共鳴等の分析手段により反応の進行状況を追跡し、原料基質の減少が殆ど認められなくなった時点を終点とすることが好ましい。
【0077】
後処理は、有機合成における一般的な操作を採用することにより、一般式[2]で示されるフルオロアミン類保護体を得ることができる。粗生成物は、必要に応じて活性炭処理、分別蒸留、再結晶、カラムクロマトグラフィー等により高い純度に精製することができる。本工程の脱ヒドロキシフッ素化反応は二分子求核置換(S2)反応で進行する。よって、原料基質が光学活性アルコールの場合は、目的物が立体化学の反転した光学活性フッ素化物として得られる。特に光学活性第二級アルコールの場合は、高い反転率で反応が進行する。
【0078】
3 脱保護工程
最後に、脱保護工程について具体的に説明する。
【0079】
脱保護工程は、有機合成における一般的な方法[例えば、前述の保護基の成書、日本化学会編第5版実験化学講座(丸善)等]を採用することにより行うことができる。具体的には、一般式[2]で示されるフルオロアミン類保護体を塩基の存在下に、一般式[14]:
【化20】

【0080】
[式中、Rはアルキル基、置換アルキル基、芳香環基または置換芳香環基を表す。]
で示されるチオール類と反応させることにより、一般式[4]で示されるフルオロアミン類を製造することができる。
【0081】
一般式[4]におけるR、R、m、およびnは、一般式[3]におけるR、R、m、およびnと同じである。
【0082】
一般式[14]で示されるチオール類のRは、アルキル基、置換アルキル基、芳香環基または置換芳香環基を表す。該アルキル基、置換アルキル基、芳香環基および置換芳香環基は、一般式[3]で示されるアミノアルコール類のRにおいて記載したアルキル基、置換アルキル基、芳香環基および置換芳香環基と同じである。その中でもアルキル基および芳香環基が好ましく、フェニル基が特に好ましい。チオフェノールは、反応性が高く、工業薬品として市販されている。
【0083】
一般式[14]で示されるチオール類の使用量は、一般式[2]で示されるフルオロアミン類保護体1molに対して0.7mol以上を用いれば良く、0.8〜20molが好ましく、0.9〜15molが特に好ましい。
【0084】
塩基は、アミノ基保護工程において記載した塩基と同じである。その中でも無機塩基が好ましく、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムおよび炭酸セシウムが特に好ましい。これらの塩基は単独でまたは組み合わせて用いることができる。一般的な有機合成において、アミノ基の保護基としてニトロベンゼンスルホニル基を用いる場合は、脱保護の塩基として有機塩基の1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エンが多用される。しかしながら、本発明の脱保護工程では、無機塩基を用いる方が緩和な反応条件を採用することができ、副反応を伴わずに収率良く脱保護することができる(本発明の好ましい態様)。
【0085】
塩基の使用量は、一般式[2]で示されるフルオロアミン類保護体1molに対して0.35mol以上を用いれば良く、0.4〜20molが好ましく、0.45〜15molが特に好ましい。
【0086】
反応溶媒は、アミノ基保護工程において記載した反応溶媒と同じである。その中でもn−ヘプタン、トルエン、塩化メチレン、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、1−メチル−2−ピロリジノン、N,N−ジメチルアセトアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、アセトニトリルおよびジメチルスルホキシドが好ましく、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、1−メチル−2−ピロリジノン、N,N−ジメチルアセトアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、アセトニトリルおよびジメチルスルホキシドが特に好ましい。これらの反応溶媒は単独でまたは組み合わせて用いることができる。
【0087】
反応溶媒の使用量は、一般式[2]で示されるフルオロアミン類保護体1molに対して0.05L以上を用いれば良く、0.1〜20Lが好ましく、0.15〜10Lが特に好ましい。本反応は反応溶媒を用いずにニートの状態で行うこともできる。
【0088】
反応温度は、−50〜+100℃の範囲で行えば良く、−40〜+90℃が好ましく、−30〜+80℃が特に好ましい。
【0089】
反応時間は、36時間以内の範囲で行えば良く、原料基質、反応剤および反応条件により異なるため、ガスクロマトグラフィー、液体クロマトグラフィー、核磁気共鳴等の分析手段により反応の進行状況を追跡し、原料基質の減少が殆ど認められなくなった時点を終点とすることが好ましい。
【0090】
後処理は、有機合成における一般的な操作を採用することにより、一般式[4]で示されるフルオロアミン類を得ることができる。粗生成物は、必要に応じて活性炭処理、分別蒸留、再結晶、カラムクロマトグラフィー等により高い純度に精製することができる。目的物の沸点が低い場合は、反応終了液を直接、回収蒸留することが簡便である。また、目的物は、塩化水素、臭化水素および硫酸等の無機酸またはシュウ酸、フタル酸およびパラトルエンスルホン酸等の有機酸との塩の形で精製して得ることもできる。
【0091】
[実施例]
実施例により本発明の実施の形態を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。比較例1〜4は、本発明とは異なるアミノ基の保護基を用いた場合の結果である。
【実施例1】
【0092】
塩化メチレン30.0mL(0.752L/mol)に、下記式:
【化21】

【0093】
で示されるアミノアルコール類3.00g(39.9mmol、1.00eq)とトリエチルアミン29.0g(287mmol、7.19eq)を加えて溶解し、オルト−ニトロベンゼンスルホニルクロリド8.89g(40.1mmol、1.01eq)を0℃で加え、室温で1時間攪拌した。反応終了液に水40.0mLを加え、酢酸エチル80.0mLで抽出し、回収水層を酢酸エチル80.0mLで再抽出し、回収有機層を合わせて無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮し、真空乾燥し、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル/酢酸エチル:n−ヘキサン=2:1)で精製することにより、下記式:
【化22】

【0094】
で示されるアミノアルコール類保護体(精製品)を7.93g得た。収率は76%であった。ガスクロマトグラフィー純度は95.8%であった。H−NMRを下に示す。
【0095】
H−NMR(基準物質;MeSi、重溶媒;CDCl)、δ ppm;1.97(br、1H)、3.00(s、3H)、3.42(m、2H)、3.80(m、2H)、7.84(Ar、4H)。
【0096】
ステンレス鋼(SUS)製耐圧反応容器に、上記で得られたアミノアルコール類保護体(精製品)5.93g(22.8mmol、1.00eq)、アセトニトリル23.0mL(1.01L/mol)、ジイソプロピルエチルアミン4.95g(38.3mmol、1.68eq)とジイソプロピルエチルアミン・三フッ化水素1.43g(7.56mmol、0.332eq)を加えて溶解し、−78℃の冷媒浴に浸し、スルフリルフルオリド6.30g(61.7mmol、2.71eq)をボンベより吹き込み、室温で4時間攪拌した。反応終了液に炭酸カリウム水溶液[炭酸カリウム3.00g(21.7mmol、0.952eq)と水30.0mLから調製]を加え、酢酸エチル60.0mLで抽出し、回収有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮し、真空乾燥し、ショートカラム(シリカゲル/酢酸エチル:n−ヘキサン=2:1)で精製することにより、下記式:
【化23】

【0097】
で示されるフルオロアミン類保護体(精製品)を5.55g得た。収率は93%であった。精製品は結晶であった。ガスクロマトグラフィー純度は98.0%であった。Hと19F−NMRを下に示す。
【0098】
H−NMR(基準物質;MeSi、重溶媒;CDCl)、δ ppm;3.03(s、3H)、3.61(m、2H)、4.62(m、2H)、7.83(Ar、4H)。
【0099】
19F−NMR(基準物質;C、重溶媒;CDCl)、δ ppm;−58.84(m、1F)。
【0100】
N,N−ジメチルホルムアミド20.0mL(2.03L/mol)に、上記で得られたフルオロアミン類保護体(精製品)2.58g(9.84mmol、1.00eq)と炭酸カリウム4.09g(29.6mmol/3.01eq)を加え、チオフェノール2.69g(24.4mmol、2.48eq)を0℃で加え、同温度で1時間攪拌した。反応終了液を直接、回収蒸留することにより、下記式:
【化24】

【0101】
で示されるフルオロアミン類(粗生成物)を987mg得た。粗生成物の19F−NMR分析より内部標準法(内部標準物質α,α,α−トリフルオロトルエン)で定量したところ、目的物が622mg含まれていた。残り365mgはN,N−ジメチルホルムアミドであった。収率は82%であった。N,N−ジメチルホルムアミドを除くガスクロマトグラフィー純度は94.2%であった。Hと19F−NMRを下に示す。
【0102】
H−NMR(基準物質;MeSi、重溶媒;CDCl)、δ ppm;2.48(s、3H)、2.87(m、2H)、4.54(m、2H)、アミノプロトンは帰属できず。
【0103】
19F−NMR(基準物質;C、重溶媒;CDCl)、δ ppm;−61.95(m、1F)。
【実施例2】
【0104】
アセトニトリル2.20L(1.03L/mol)に、下記式:
【化25】

【0105】
で示されるアミノアルコール類180g(2.40mol、1.13eq)とトリエチルアミン241g(2.38mol、1.12eq)を加えて溶解し、オルト−ニトロベンゼンスルホニルクロリド473g(2.13mol、1.00eq)を0℃で加え、室温で終夜攪拌した。反応終了後、析出したトリエチルアミン塩化水素塩を濾過により取り除き、酢酸エチル1.00Lを用いて塩を洗浄した。濾液と洗浄液を合わせ、減圧濃縮により容量をおよそ1/3に濃縮した後に水1.00Lを加え、酢酸エチル1.50Lにて抽出した。水層を酢酸エチル500mLにて2回再抽出を行い、有機層を合わせて減圧濃縮を行った。濃縮後トルエン200mLを加えてさらに減圧濃縮を行い、下記式:
【化26】

【0106】
で示されるアミノアルコール類保護体を533g得た。収率は96%であった。ガスクロマトグラフィー純度は92.0%であった。
【0107】
ステンレス鋼(SUS)製耐圧反応容器に、上記で得られたアミノアルコール類保護体533g(2.05mol、1.00eq)、アセトニトリル500mL(0.244L/mol)、ジイソプロピルエチルアミン329g(2.55mol、1.24eq)とジイソプロピルエチルアミン・三フッ化水素39.7g(0.210mol、0.102eq)を加えて溶解し、氷浴に浸してスルフリルフルオリド246g(2.41mol、1.18eq)をボンベより吹き込み、室温で2.5時間攪拌した。反応終了液を減圧濃縮後、酢酸エチル500mLと水500mLを加えた。生じた結晶を濾過により分取した後に、濾液に酢酸エチル1.00Lと水500mLを加えて2層分離を行った。得られた有機層を水1.00Lで2回、続いて塩化ナトリウム50.0gを含む食塩水500mLにて洗浄した。減圧濃縮後、酢酸エチル1.20Lとn−ヘプタン1.20Lにより再沈殿を行い、先に分取した結晶と合わせて真空乾燥を行い、下記式:
【化27】

【0108】
で示されるフルオロアミン類保護体を結晶として517g得た。収率は96%であった。ガスクロマトグラフィー純度は98.0%であった。
【0109】
1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン300mL(0.987L/mol)に、上記で得られたフルオロアミン類保護体79.6g(304mmol、1.00eq)、チオフェノール53.7g(487mmol、1.60eq)と炭酸カリウム82.2g(595mmol、1.96eq)を0℃で加え、室温にて3時間攪拌した。反応終了液を直接、回収蒸留することにより、下記式:
【化28】

【0110】
で示されるフルオロアミン類(粗生成物)を21.4g得た。収率は91%であった。ガスクロマトグラフィー純度は92.7%であった。
【実施例3】
【0111】
アセトニトリル53.0mL(0.987L/mol)に、下記式:
【化29】

【0112】
で示されるアミノアルコール類5.12g(57.4mmol、1.07eq)とトリエチルアミン5.66g(55.9mmol、1.04eq)を加えて溶解し、オルト−ニトロベンゼンスルホニルクロリド11.9g(53.7mmol、1.00eq)を0℃で加え、室温で終夜攪拌した。反応終了後、酢酸エチル100mLと水30.0mLを加えて2層分離し、水層を酢酸エチル30.0mLにて2回再抽出した。有機層を合わせ、少量のシリカゲルカラムに有機層を通した後に、減圧濃縮を行い、下記式:
【化30】

【0113】
で示されるアミノアルコール類保護体を13.2g得た。収率は90%であった。ガスクロマトグラフィー純度は99.0%であった。H−NMRを下に示す。
【0114】
H−NMR(基準物質;MeSi、重溶媒;CDCl)、δ ppm;1.82(m、2H)、2.65(br、1H)、2.93(s、3H)、3.38(m、2H)、3.70(m、2H)、7.60−7.70(Ar、3H)、7.96(Ar、1H)。
【0115】
ステンレス鋼(SUS)製耐圧反応容器に、上記で得られたアミノアルコール類保護体2.91g(10.6mmol、1.00eq)、アセトニトリル11.0mL(1.04L/mol)、ジイソプロピルエチルアミン1.65g(12.8mmol、1.21eq)とジイソプロピルエチルアミン・三フッ化水素200mg(1.06mmol、0.100eq)を加えて溶解し、0℃でスルフリルフルオリド4.60g(45.1mmol、4.25eq)をボンベより吹き込み、室温で3.5時間攪拌した。反応終了液に炭酸カリウム水溶液[炭酸カリウム830mg(6.01mmol、0.567eq)と水10.0mLから調製]を加え、酢酸エチル40.0mLで抽出した。有機層を水20.0mL、食塩水20.0mLにて洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。これを減圧濃縮後、ショートカラム(シリカゲル/酢酸エチル:n−ヘキサン=2:1)で精製することにより、下記式:
【化31】

【0116】
で示されるフルオロアミン類保護体(精製品)を2.52g得た。収率は86%であった。ガスクロマトグラフィー純度は98.8%であった。Hと19F−NMRを下に示す。
【0117】
H−NMR(基準物質;MeSi、重溶媒;CDCl)、δ ppm;1.95−2.06(m、2H)、2.94(s、3H)、3.39(m、2H)、4.46(m、1H)、4.58(m、1H)、7.60−7.70(Ar、3H)、7.99(Ar、1H)。
【0118】
19F−NMR(基準物質;C、重溶媒;CDCl)、δ ppm;−59.85(m、1F)。
【0119】
1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン8.50mL(1.0L/mol)に、上記で得られたフルオロアミン類保護体(精製品)2.34g(8.47mmol、1.00eq)と炭酸カリウム2.28g(16.5mmol、1.95eq)を加え、チオフェノール1.50g(13.6mmol、1.61eq)を0℃で加え、室温で3日間攪拌した。反応終了液を直接、回収蒸留することにより、下記式:
【化32】

【0120】
で示されるフルオロアミン類(粗生成物)を750mg得た。収率は97%であった。ガスクロマトグラフィー純度は84.7%であった。Hと19F−NMRを下に示す。
【0121】
H−NMR(基準物質;MeSi、重溶媒;CDCl)、δ ppm;2.00(m、2H)、2.46(s、3H)、2.75(m、2H)、4.48(m、1H)、4.59(m、1H)、アミノプロトンは帰属できず。
【0122】
19F−NMR(基準物質;C、重溶媒;CDCl)、δ ppm;−59.82(m、1F)。
【実施例4】
【0123】
アセトニトリル50.0mL(0.998L/mol)に、バリノール5.70g(55.3mmol、1.10eq)とトリエチルアミン5.52g(54.6mmol、1.09eq)を加えて溶解し、オルト−ニトロベンゼンスルホニルクロリド11.1g(50.1mmol、1.00eq)を0℃で加え、室温で終夜攪拌した。反応終了後、酢酸エチル40.0mLと水20.0mLを加えて2層分離し、水層を酢酸エチル30.0mLにて2回再抽出した。有機層を合わせ、少量のシリカゲルカラムに有機層を通した後に減圧濃縮を行った。得られた濃縮物をアセトニトリル50.0mLとN,N−ジメチルホルムアミド50.0mLに溶解した後に、ヨードメタン10.9g(76.8mmol、1.53eq)と60%水素化ナトリウム2.39g(59.8mmol、1.19eq)を添加した後に50℃で3時間撹拌した。反応終了後、酢酸エチル300mLと水40.0mLを加えて2層分離を行い、水層を酢酸エチル40.0mLで再抽出した。有機層を合わせ、少量のシリカゲルカラムに有機層を通した後に減圧濃縮を行い、下記式:
【化33】

【0124】
で示されるアミノアルコール類保護体を10.9g得た。収率は72%であった。ガスクロマトグラフィー純度は92.0%であった。H−NMRを下に示す。
【0125】
H−NMR(基準物質;MeSi、重溶媒;CDCl)、δ ppm;0.83(d、3H)、0.96(d、3H)、1.77(m、1H)、1.97(m、1H)、2.93(s、3H)、3.57(m、2H)、3.85(m、1H)、7.60−7.70(Ar、3H)、8.05(Ar、1H)。
【0126】
ステンレス鋼(SUS)製耐圧反応容器に、上記で得られたアミノアルコール類保護体3.33g(11.0mmol、1.00eq)、アセトニトリル11.0mL(1.00L/mol)、ジイソプロピルエチルアミン1.76g(13.6mmol、1.24eq)とジイソプロピルエチルアミン・三フッ化水素200mg(1.06mmol、0.0964eq)を加えて溶解し、0℃でスルフリルフルオリド4.00g(39.2mmol、3.56eq)をボンベより吹き込み、室温で3時間攪拌した。反応終了液に炭酸カリウム水溶液[炭酸カリウム820mg(5.93mmol、0.539eq)と水20.0mLから調製]を加え、酢酸エチル30.0mLで抽出した。有機層を水20.0mLで2回洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧濃縮後、ショートカラム(シリカゲル/酢酸エチル:n−ヘキサン=1:1)で精製することにより、下記式:
【化34】

【0127】
で示されるフルオロアミン類保護体を3.26g得た。収率は97%であった。ガスクロマトグラフィー純度は86.7%であった。Hと19F−NMRを下に示す。
【0128】
H−NMR(基準物質;MeSi、重溶媒;CDCl)、δ ppm;0.92(d、3H)、1.04(d、3H)、2.04(m、1H)、2.97(s、3H)、3.72(m、1H)、4.49−4.71(m、2H)、7.60−7.70(Ar、3H)、8.00(Ar、1H)。
【0129】
19F−NMR(基準物質;C、重溶媒;CDCl)、δ ppm;−66.71(m、1F)。
【0130】
1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン10.0mL(0.935L/mol)に、上記で得られたフルオロアミン類保護体3.26g(10.7mmol、1.00eq)と炭酸カリウム2.66g(19.2mmol、1.79eq)を加え、チオフェノール1.68g(15.2mmol、1.42eq)を0℃で加え、室温で終夜攪拌した。反応終了液を直接、回収蒸留することにより、下記式:
【化35】

【0131】
で示されるフルオロアミン類(粗生成物)を790mg得た。収率は62%であった。ガスクロマトグラフィー純度は74.4%であった。Hと19F−NMRを下に示す。
【0132】
H−NMR(基準物質;MeSi、重溶媒;CDCl)、δ ppm;0.96(m、6H)、1.88(m、1H)、2.48(m、4H)、4.30−4.60(m、2H)、アミノプロトンは帰属できず。
【0133】
19F−NMR(基準物質;C、重溶媒;CDCl)、δ ppm;−67.57(m、1F)。
【0134】
[比較例1]
ステンレス鋼(SUS)製耐圧反応容器に、下記式:
【化36】

【0135】
で示されるアミノアルコール類Bn保護体2.95g(17.9mmol、1.00eq)、アセトニトリル20.0mL(1.12L/mol)、ジイソプロピルエチルアミン7.06g(54.6mmol、3.05eq)とジイソプロピルエチルアミン・三フッ化水素3.36g(17.8mmol、0.994eq)を加えて溶解し、−78℃の冷媒浴に浸し、スルフリルフルオリド3.50g(34.3mmol、1.92eq)をボンベより吹き込み、室温で4時間攪拌した。反応終了液に炭酸カリウム水溶液[炭酸カリウム15.0g(109mmol、6.09eq)と水30.0mLから調製]を加え、酢酸エチル60.0mLで抽出し、回収有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮し、真空乾燥することにより、下記式:
【化37】

【0136】
で示されるフルオロアミン類Bn保護体(粗生成物)を3.36g得た。粗生成物の19F−NMR分析より内部標準法(内部標準物質α,α,α−トリフルオロトルエン)で定量したところ、目的物の存在は確認できたものの最大でも150mgしか含まれていなかった。収率は5%未満であった。
【0137】
[比較例2]
ステンレス鋼(SUS)製耐圧反応容器に、下記式:
【化38】

【0138】
で示されるアミノアルコール類Boc保護体1.74g(9.93mmol、1.00eq)、アセトニトリル10.0mL(1.01L/mol)、ジイソプロピルエチルアミン1.57g(12.1mmol、1.22eq)とジイソプロピルエチルアミン・三フッ化水素205mg(1.08mmol、0.109eq)を加えて溶解し、−78℃の冷媒浴に浸し、スルフリルフルオリド2.00g(19.6mmol、1.97eq)をボンベより吹き込み、室温で3時間攪拌した。反応終了液に炭酸カリウム水溶液[炭酸カリウム300mg(2.17mmol、0.219eq)と水20.0mLから調製]を加え、酢酸エチル30.0mLで抽出し、回収有機層を水20.0mLで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮し、真空乾燥することにより、下記式:
【化39】

【0139】
で示されるフルオロアミン類Boc保護体(粗生成物)を1.12g得た。粗生成物の19F−NMR分析より内部標準法(内部標準物質α,α,α−トリフルオロトルエン)で定量したところ、目的物の存在は確認できたものの最大でも88.0mgしか含まれていなかった。収率は5%未満であった。
【0140】
[比較例3]
ステンレス鋼(SUS)製耐圧反応容器に、下記式:
【化40】

【0141】
で示されるアミノアルコール類Cbz保護体2.12g(10.1mmol、1.00eq)、アセトニトリル10.0mL(0.990L/mol)、ジイソプロピルエチルアミン1.58g(12.2mmol、1.21eq)とジイソプロピルエチルアミン・三フッ化水素187mg(988μmol、0.0978eq)を加えて溶解し、−78℃の冷媒浴に浸し、スルフリルフルオリド5.00g(49.0mmol、4.85eq)をボンベより吹き込み、室温で3時間30分攪拌した。反応終了液に炭酸カリウム水溶液[炭酸カリウム390mg(2.82mmol、0.279eq)と水20.0mLから調製]を加え、酢酸エチル30.0mLで抽出し、回収有機層を水20.0mLで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮し、真空乾燥することにより、下記式:
【化41】

【0142】
で示されるフルオロアミン類Cbz保護体(粗生成物)を1.69g得た。粗生成物の19F−NMR分析より内部標準法(内部標準物質α,α,α−トリフルオロトルエン)で定量したところ、目的物の存在は確認できたものの最大でも107mgしか含まれていなかった。収率は5%未満であった。
【0143】
[比較例4]
ステンレス鋼(SUS)製耐圧反応容器に、下記式:
【化42】

【0144】
で示されるアミノアルコール類Ac保護体1.19g(10.2mmol、1.00eq)、アセトニトリル10.0mL(0.980L/mol)、ジイソプロピルエチルアミン1.57g(12.1mmol、1.19eq)とジイソプロピルエチルアミン・三フッ化水素199mg(1.05mmol、0.103eq)を加えて溶解し、−78℃の冷媒浴に浸し、スルフリルフルオリド3.40g(33.3mmol、3.26eq)をボンベより吹き込み、室温で4時間攪拌した。反応終了液に炭酸カリウム水溶液[炭酸カリウム320mg(2.32mmol、0.227eq)と水20.0mLから調製]を加え、酢酸エチル30.0mLで抽出し、回収有機層を水20.0mLで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮し、真空乾燥することにより、下記式:
【化43】

【0145】
で示されるフルオロアミン類Ac保護体(粗生成物)を575mg得た。粗生成物の19F−NMR分析より内部標準法(内部標準物質α,α,α−トリフルオロトルエン)で定量したところ、目的物の存在は確認できたものの最大でも61.0mgしか含まれていなかった。収率は5%未満であった。
【産業上の利用可能性】
【0146】
本発明で対象とするフルオロアミン類は医農薬中間体として利用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式[1]:
【化1】

[式中、Rはアルキル基、置換アルキル基、芳香環基または置換芳香環基を表し、Rはそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、置換アルキル基、芳香環基または置換芳香環基を表し、mは2、3または4の整数を表し、nは4、6または8の整数を表し、Pはオルト、メタまたはパラ−ニトロベンゼンスルホニル基を表す。]
で示されるアミノアルコール類保護体を有機塩基の存在下にスルフリルフルオリド(SO)と反応させる脱ヒドロキシフッ素化工程を含む、一般式[2]:
【化2】

[式中、R、R、m、n、およびPは前記式[1]と同じである。]
で示されるフルオロアミン類保護体を製造する方法。
【請求項2】
脱ヒドロキシフッ素化工程を、有機塩基とフッ化水素とからなる塩または錯体の存在下に行うことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
一般式[3]:
【化3】

[式中、Rはアルキル基、置換アルキル基、芳香環基または置換芳香環基を表し、Rはそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、置換アルキル基、芳香環基または置換芳香環基を表し、mは2、3または4の整数を表し、nは4、6または8の整数を表す。]
で示されるアミノアルコール類のアミノ基をニトロベンゼンスルホニル基で保護することにより、一般式[1]:
【化4】

[式中、R、R、m、およびnは前記式[3]と同じである。Pはオルト、メタまたはパラ−ニトロベンゼンスルホニル基を表す。]
で示されるアミノアルコール類保護体に変換するアミノ基保護工程、
該アミノアルコール類保護体を有機塩基の存在下にスルフリルフルオリド(SO)と反応させることにより、一般式[2]:
【化5】

[式中、R、R、m、n、およびPは前記式[1]と同じである。]
で示されるフルオロアミン類保護体に変換する脱ヒドロキシフッ素化工程、および
該フルオロアミン類保護体のアミノ基の保護基を脱保護する脱保護工程を含む、一般式[4]:
【化6】

[式中、R、R、m、およびnは前記式[3]と同じである。]
で示されるフルオロアミン類を製造する方法。
【請求項4】
脱ヒドロキシフッ素化工程を、有機塩基とフッ化水素とからなる塩または錯体の存在下に行うことを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
一般式[5]:
【化7】

[式中、Rはアルキル基または置換アルキル基を表し、Rはそれぞれ独立に水素原子、アルキル基または置換アルキル基を表し、xは2または3の整数を表し、yは4または6の整数を表し、Pはオルトまたはパラ−ニトロベンゼンスルホニル基を表す。]
で示されるアミノアルコール類保護体を有機塩基の存在下にスルフリルフルオリド(SO)と反応させる脱ヒドロキシフッ素化工程を含む、一般式[6]:
【化8】

[式中、R、R、x、y、およびPは前記式[5]と同じである。]
で示されるフルオロアミン類保護体を製造する方法。
【請求項6】
脱ヒドロキシフッ素化工程を、有機塩基とフッ化水素とからなる塩または錯体の存在下に行うことを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
一般式[7]:
【化9】

[式中、Rはアルキル基または置換アルキル基を表し、Rはそれぞれ独立に水素原子、アルキル基または置換アルキル基を表し、xは2または3の整数を表し、yは4または6の整数を表す。]
で示されるアミノアルコール類のアミノ基をニトロベンゼンスルホニル基で保護することにより、一般式[5]:
【化10】

[式中、R、R、x、およびyは前記式[7]と同じである。Pはオルトまたはパラ−ニトロベンゼンスルホニル基を表す。]
で示されるアミノアルコール類保護体に変換するアミノ基保護工程、
該アミノアルコール類保護体を有機塩基の存在下にスルフリルフルオリド(SO)と反応させることにより、一般式[6]:
【化11】

[式中、R、R、x、y、およびPは前記式[5]と同じである。]
で示されるフルオロアミン類保護体に変換する脱ヒドロキシフッ素化工程、および
該フルオロアミン類保護体のアミノ基の保護基を脱保護する脱保護工程を含む、一般式[8]:
【化12】

[式中、R、R、x、およびyは前記式[7]と同じである。]
で示されるフルオロアミン類を製造する方法。
【請求項8】
脱ヒドロキシフッ素化工程を、有機塩基とフッ化水素とからなる塩または錯体の存在下に行うことを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
一般式[9]:
【化13】

で示されるアミノアルコール類保護体を有機塩基の存在下にスルフリルフルオリド(SO)と反応させる脱ヒドロキシフッ素化工程を含む、一般式[10]:
【化14】

で示されるフルオロアミン類保護体を製造する方法。
[式中、Meはメチル基を表す。]
【請求項10】
脱ヒドロキシフッ素化工程を、有機塩基とフッ化水素とからなる塩または錯体の存在下に行うことを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
一般式[11]:
【化15】

で示されるアミノアルコール類のアミノ基をニトロベンゼンスルホニル基で保護することにより、一般式[9]:
【化16】

で示されるアミノアルコール類保護体に変換するアミノ基保護工程、
該アミノアルコール類保護体を有機塩基の存在下にスルフリルフルオリド(SO)と反応させることにより、一般式[10]:
【化17】

で示されるフルオロアミン類保護体に変換する脱ヒドロキシフッ素化工程、および
該フルオロアミン類保護体のアミノ基の保護基を脱保護する脱保護工程を含む、一般式[12]:
【化18】

で示されるフルオロアミン類を製造する方法。
[式中、Meはメチル基を表す。]
【請求項12】
脱ヒドロキシフッ素化工程を、有機塩基とフッ化水素とからなる塩または錯体の存在下に行うことを特徴とする、請求項11に記載の方法。

【公開番号】特開2012−162517(P2012−162517A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−3742(P2012−3742)
【出願日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【出願人】(000002200)セントラル硝子株式会社 (1,198)
【Fターム(参考)】