説明

フルオロカーボン安定剤

本発明は、熱伝達組成物に関し、特に、ハイドロフルオロアルケン、ヨードカーボン、潤滑剤および金属安定剤を含む自動車用冷媒に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、引用により本明細書中に組み込まれている、2006年11月14日出願の米国仮特許出願第60/865,662号の利益を主張するものである。
【0002】
本発明は、熱伝達組成物に関する。より詳細には、本発明は、ハイドロフルオロアルケン、ヨードカーボン、潤滑剤および金属安定剤を含む自動車用冷媒に関する。
【背景技術】
【0003】
ヨードカーボン化合物を含む組成物が、熱伝達流体として特に有用であるものとして開示されている。例えば、引用により本明細書中に組み込まれる、2005年12月21日出願の国際出願PCT/US2005/046982(WO2006/069362)には、自動車用空調システムなどの用途に冷媒として使用される、1つまたは複数のフルオロオレフィンおよびヨードカーボンのトリフルオロヨードメタン(CFI)を含む組成物が開示されている(特許文献1)。ヨウ素化化合物を含む組成物、特にトリフルオロヨードメタンを含む組成物の1つの利点は、冷却用途に以前から広く使用されてきたが当該使用の結果として潜在的な環境損害を引き起こす傾向があった様々な他の塩素化および/またはフッ素化化合物の代替品として、当該組成物を使用できることである。しかし、トリフルオロヨードメタンなどのヨウ素化化合物は、比較的不安定であり、特に、概して熱伝達システムにおいて、特に冷却/空調システムにおいて生じる傾向にある条件下で、ある特定のCFCs、HCFCsおよびHFCsよりもしばしば著しく不安定である傾向がある。ヨードカーボン、特にCFIを含む組成物は、熱伝達用途に使用したときに実質的な利点を有することができるけれども、当該組成物の使用は、これまで直面していないおよび/または認識していない問題を提起する。例として、ヨードカーボンを含む組成物、特にフッ素化オレフィンおよびヨードカーボンを含む組成物は、特に熱伝達流体としての使用の条件下で比較的複雑な化学系をしばしば伴い、このことは予想外の結果を生じ得る。自動車用空調システムなどの多くの典型的な熱伝達システムにおいて、CFIなどのヨードカーボンを含む冷媒は、ヨウ素、ヨウ化物イオン、有機ラジカルおよびヨウ素含有無機酸の形成を促進する温度および他の条件で、このような化合物を冷却システムのいくつかの特定の金属構成成分に曝すことになる。
【0004】
ある特定のヨードカーボン化合物を、これまで使用されてきたいくつかのCFCsおよびHCFCsの代替品として冷却用途に利用することが提案されている。例えば、日本国の特開平09−059612号公報(出願番号特願07−220964号)には、トリフルオロヨードメタンおよび1つまたは複数のフェノール化合物を含む冷媒組成物が開示されている(特許文献2)。この文献には、フェノール化合物はトリフルオロヨードメタンを分解(劣化)に対して安定化させるように作用することが示されている。トリフルオロヨードメタンに対する安定剤を含む組成物は、ある程度の成功をもたらすことができるが、安定化剤を単独で使用しても、当該組成物のいくつかの実施形態では、商業的に許容し得る熱伝達システムでの使用にほとんど効果がない。また、安定化剤は、熱伝達システムにおける所望しないおよび/または望ましくない反応に寄与し得る。従来の技術、およびさらには上記の特許出願における本願発明者のいずれかによって記載された先行技術に従って、ヨードカーボンを含む冷媒を使用することには、多くの実施形態において、冷媒組成物および/または冷却システムにまださらなる改善の必要性が残されていることを出願人は理解するに至った。驚いたことに、本発明の組成物は、冷却能力などの不断の高レベルの性能ならびに低レベルのオゾン層破壊および地球温暖化を達成することが可能であることを出願人は見出した。よって、本発明の一態様は、ハイドロフルオロアルケン、ヨードカーボン、潤滑剤および金属安定化剤を含む熱伝達組成物としての使用に好適である組成物を含む。金属安定剤の存在は、組成物全体の安定性を向上させることが見出された。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2006/069362号パンフレット(国際出願番号第PCT/US2005/046982号)
【特許文献2】特開平9−59612号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、ハイドロフルオロアルケン、ヨードカーボン、潤滑剤および金属安定剤を含む組成物を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の組成物は、第1に、ハイドロフルオロアルケンを含む。特に自動車用空調システム(装置)などの熱伝達用途に関連する使用のために有用なハイドロフルオロアルケンは、C〜Cハイドロフルオロアルケン、好ましくはC〜Cハイドロフルオロアルケン、より好ましくは少なくとも2つ、好ましくは少なくとも3つのフッ素置換基を有するC〜Cハイドロフルオロアルケンを含む。当該ハイドロフルオロアルケンの中で好ましいのは、テトラフルオロプロペンおよびペンタフルオロプロペン、特に1,1,1,2−テトラフルオロプロペン(HFO−1234yf);トランス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペン(トランス−HFO−1234ze);1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロペン(HFO−1225zc)および1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペン(HFO−1225ye)などのテトラフルオロアルケンおよびペンタフルオロアルケンである。一実施形態において、該組成物は、組成物の全重量に基づき、約60重量%から約80重量%のC〜Cハイドロフルオロアルケン、さらにより好ましくは約65重量%から約75重量%のハイドロフルオロアルケンを含む。
【0008】
次いで、本発明の組成物は、ヨードカーボンを含む。特に使用されるのは、C〜Cヨードカーボン、好ましくはC〜Cヨードフルオロカーボン、より好ましくはC〜Cヨードカーボンである。好ましくは、ヨードカーボンは、トリフルオロヨードメタン(CFI)などのヨードフルオロカーボンを含み、驚くほど安定しており、自動車用空調システムなどの様々な冷却システム(装置)における冷媒を含む様々な用途に有利に使用できる。加えて、本組成物は、様々な使用に対して十分に安定しているだけでなく、不燃性と低オゾン破壊および地球温暖化の組合せ特性との独自の組合せを発揮する傾向があるため、CFC、HCFCおよびHFC冷媒の代替品としての特に有用な候補になる。本発明の好ましい組成物は、安定しており、多くのシステム、装置および方法における使用に好適であることを出願人はさらに認識した。例えば、本発明の一態様は、特に自動車用空調用途を含む冷却用途などにおける(潜熱伝達および/または顕熱伝達に基づく)加熱または冷却流体として含まれる本発明の組成物を含むシステム、装置および方法を提供する。トリフルオロヨードメタンは、Matheson TriGas,Inc.を含む様々な商業的供給源から容易に入手可能である。加えて、様々な従来の方法のいずれかを介して調製されたトリフルオロヨードメタンを使用することができる。トリフルオロヨードメタンを調製する1つのそのような従来の方法の例は、引用により本明細書中に組み込まれるAlbert L.HenneおよびWilliam G.FinneganによるJACS 72、3806(1950)、「トリフルオロ酢酸銀のトリフルオロヨードメタンへの分解(The Degradation of Silver Trifluoroacetate to Trifluoroiodomethane)」に開示されている。
【発明を実施するための形態】
【0009】
概して、ヨードカーボン化合物は、例えば、本発明の化合物の使用の特定の意図する条件を含む多くの要因に応じて、広範な量で組成物中に存在することができる。ある一部の実施形態において、ヨードカーボン化合物は、重量ベースで、約10%から約100%未満、好ましくは約20%から約100%未満、より好ましくは約15%から約50%、さらにより好ましくは約20%から約40%、さらにより好ましくは約25%から約35%の量で本発明組成物中に通常存在する。ある一部の他の実施形態、特に、該組成物がハイドロフルオロカーボンを含む実施形態において、ヨードカーボン化合物は、重量ベースで、約35%から約95%、より好ましくは約45%から約95%、より好ましくは約65%から約95%の量で本発明組成物中に存在する。
【0010】
本発明の組成物は、次いで、潤滑剤または油、好ましくは、分子中に三級水素原子を有さない、および/または比較的低比率の酸素を有する、好ましくは酸素を有さない潤滑剤または油を含む。また、極性溶媒、特に水の内在する濃度が非常に低い潤滑剤または油を使用することが一般に好ましい。潤滑剤についての重要な要件は、圧縮機が潤滑されるように十分な潤滑剤がシステム(装置)の圧縮機に戻らなければならないことである。したがって、潤滑剤の適性は、一部に冷媒/潤滑剤特性、および一部にシステム(装置)特性によって決定づけられる。好適な潤滑剤の例としては、鉱油、ポリアルキレングリコールを含むアルキルベンゼン、およびポリビニルエーテル(PVEs)等が挙げられる。パラフィン油またはナフテン油を含む鉱油は、商業的に入手可能である。商業的に入手可能な鉱油としては、WitcoのWitco LP250(登録商標)、Shrieve ChemicalのZerol300(登録商標)、WitcoのSunisco3GSおよびCalumetのCalumetR015が挙げられる。商業的に入手可能なアルキルベンゼン潤滑剤としては、Zerol150(登録商標)が挙げられる。商業的に入手可能なエステルとしては、Emery2917(登録商標)およびHatcol2370(登録商標)として入手可能なジペラルゴン酸ネオペンチルグリコールが挙げられる。他の有用なエステルとしては、リン酸エステル、二塩基酸エステルおよびフルオロエステルが挙げられる。場合によっては、炭化水素をベースとする油は、ヨードカーボンを含む冷媒に十分な溶解性を有し、ヨードカーボンと炭化水素油の組合せは、他の種類の潤滑油より安定し得る。したがって、このような組合せは、有利であり得る。好ましい潤滑剤としては、ポリアルキレングリコールおよびエステルが挙げられる。ポリアルキレングリコールは、可動空調などの特定の用途に現在使用されるため、ある一部の実施形態において大いに好ましい。異なる潤滑剤の混合物を使用することができる。
【0011】
一態様において、本発明は、大きな重量比率、さらにより好ましくは少なくとも約75重量%のアルキルベンゼンをベースとする化合物、鉱油化合物およびこれらの組合せを含む潤滑剤の選択を含む。アルキルベンゼンに関して、当該化合物は、好ましい冷媒組成物における比較的高レベルの混和性、ならびに当該分子が本発明の熱伝達組成物および熱伝達システム(装置)において発揮する比較的高レベルの安定性のため、これまで利用可能であった多数の他の潤滑剤化合物の中でも好ましいことを出願人は見出した。本明細書において、本発明に関連して使用される別の好ましい分子は、便宜上の目的であるが、限定することなく、酸化エチレン/酸化プロピレン(EO/PO)分子と称される。好ましい実施形態における当該分子は、以下に示す構造を有する:
C[−O−CHCH−CH−[O−CHCH−OCH
【0012】
分子の各末端上のメチル基、あるいは他の比較的低鎖長のアルキル基の存在により、本明細書において「デュアルキャップドEO/PO分子(dual capped EO/PO molecules;両端がキャップされたEO/PO分子)」とも称するこのようなEO/PO分子は、それぞれの特定の用途に適するために、n値およびm値を調整する能力を提供することができることを出願人は見出した。このように、混和性と安定性の極めて有利な組合せを達成するように潤滑剤分子を選択することができる。以下の実施例に例示するように、デュアルキャップド分子は、多くの点において、一端のみがキャップされた類似分子よりも実質的に良好に機能するということが利点である。引用により本明細書中に組み込まれる米国特許第4,975,212号明細書には、この種の分子をキャップするための技術が開示されている。一般には好ましくないが、本発明の好ましい潤滑剤を1つまたは複数の従来の潤滑剤と組み合わせることも可能である。
【0013】
好ましい潤滑剤としては、ナフテン鉱油、パラフィン鉱油、エステル油、ポリアルキレングリコール、ポリビニルエーテル、アルキルベンゼン、ポリアルファオレフィン、ポリエステル、ポリオールエステルまたはそれらの組合せが挙げられる。本発明による好ましい熱伝達組成物、特に蒸気圧縮システム(装置)に使用される組成物は、組成物の重量の約20重量%から約50重量%、好ましくは約20重量%から約30重量%の量で潤滑剤を含む。
【0014】
次いで、本発明の組成物は、金属安定剤を含む。金属安定剤としては、金属不活性化(不動態化)剤、酸化防止剤および酸捕捉剤等として当技術分野で知られているものが挙げられる。金属安定剤としては、ジアルキルジチオホスホン酸亜鉛、ジアルキルジチオホスホン酸モリブデンおよびジアルキルジチオホスホン酸カルシウムなどの米国特許第6,855,675号明細書におけるジアルキルジチオホスホン酸金属塩(M−DDTP)が挙げられる。8から18個の炭素原子を有する炭化水素基を有するジチオカルバミン酸スルホキシモリブデン;(i)1から18個の炭素原子を有する一級アルキル基を含むジアルキルジチオリン酸亜鉛、(ii)1から18個の炭素原子を有する一級アルキル基を含むジアルキルジチオリン酸亜鉛と、3から18個の炭素原子を有する二級アルキル基を含むジアルキルジチオリン酸亜鉛との混合物、(iii)3から18個の炭素原子を有する二級アルキル基を含むジアルキルジチオリン酸亜鉛のような、ジアルキルジチオリン酸亜鉛;ならびにそれらの混合物が有用である。通常は、アルキルサリチル酸マグネシウムがアルキルサリチル酸構成要素の約50重量%未満である、アルキルサリチル酸マグネシウムとアルキルサリチル酸カルシウムの混合物を含むアルキルサリチル酸塩も有用である。ジチオカルバミン酸スルホキシモリブデンに由来するモリブデンの量は、構成要素の全重量の200から1000ppm(重量ベース)である。
【0015】
トルトリアゾールまたは米国特許第4,731,128号明細書に開示されているもののようなベンゾトリアゾールなどのアゾールも金属安定剤として有用である。有用なアゾールとしては、イミダゾール、トリアゾール、ピラゾール、チアゾール、イソチアゾール、オキサゾール、イソキサゾール、アミジンおよびチアジアゾールが挙げられる。いくつかの具体的なアゾールの例としては、イミダゾール;ベンゾトリアゾール;インドール;ベンズイミダゾール;ベンズアミジン;2−メチルベンズイミダゾール;5−メチルベンズイミダゾール;5,6−ジメチルベンズイミダゾール;トルトリアゾール;2,5,6−トリメチルベンズイミダゾール;2−フェニルベンズイミダゾール;メルカプトベンゾチアゾール;トリルトリアゾール;2−フェニルイミダゾール;2−ベンジルアミダゾール;4−アリルイミダゾール;4−(ベータヒドロキシエチル)−イミダゾール;プリン;4−メチルイミダゾール;キサンチン;ヒポキサンテン;2−メチルイミダゾール;アデニン;ピラゾール;3,5−ジメチルピラゾール;6−ニトロインダゾール;4−ベンジルピラゾール;4,5−ジメチルピラゾール;3−アリルピラゾール;イソチアゾール;3−メルカプトイソチアゾール;3−メルカプトベンズイソチアゾール;ベンズイソチアゾール;チアゾール;2−メルカプトチアゾール;2−メルカプトベンゾチアゾール;ベンゾチアゾール;イソキサゾール;3−メルカプトイソキサゾール;3−メルカプトベンズイソキサゾール;ベンズイソキサゾール;オキサゾール;2−メルカプトキサゾールおよび2−メルカプトベンゾキサゾールが挙げられる。
【0016】
本発明の組成物は、限定されるものではないが、フェノール化合物、エポキシド、亜リン酸塩およびリン酸塩、ならびにそれらの組合せ等の安定剤を含むことができ、これらは引用により本明細書中に組み込まれる、2005年4月18日出願の米国同時係属特許出願第11/109,575号明細書に開示されている。エポキシドの中では、芳香族エポキシドおよびフッ素化アルキルエポキシドが好ましいさらなる安定剤である。
【0017】
様々なフェノール化合物のいずれかが本発明組成物における安定剤としての使用に好適であることが考えられる。出願人は何らかの動作理論に縛られることを望まないが、本発明においてフェノールは、本発明組成物におけるラジカルスカベンジャー(遊離基捕捉剤)として作用し、これにより、当該組成物の安定性を向上させる傾向があると考えられる。本明細書に用いられているように、「フェノール化合物」という用語は、一般に任意の置換または未置換のフェノールを指す。好適なフェノール化合物の例としては、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール);4,4’−ビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール);4,4’−ビス(2−メチル−6−tert−ブチルフェノール)を含む2,2−または4,4−ビフェニルジオール;2,2−または4,4−ビフェニルジオールの誘導体;2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール);2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール);4,4−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール);4,4−イソプロピリデンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール);2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−ノニルフェノール);2,2’−イソブチリデンビス(4,6−ジメチルフェノール);2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−シクロヘキシルフェノール);2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール(BHT);2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェノール;2,4−ジメチル−6−tert−ブチルフェノール;2,6−ジ−tert−アルファ−ジメチルアミノ−p−クレゾール;2,6−ジ−tert−ブチル−4(N,N’−ジメチルアミノメチルフェノール);4,4’−チオビス(2−メチル−6−tert−ブチルフェノール);4,4’−チオビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール);2,2’−チオビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール);硫化ビス(3−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルベンジル)および硫化ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)等が挙げられる。他の好適なフェノールとしては、トコフェロール;ヒドロキノン;t−ブチルヒドロキノン;およびヒドロキノンの他の誘導体等が挙げられる。ある特定の好ましいフェノールとしては、トコフェロール、BHTおよびヒドロキノン等が挙げられる。ある特定の特に好ましいフェノールとしては、トコフェロール等が挙げられる。たいていのフェノールは、CibaのIrganox化合物など商業的に入手可能である。単一のフェノール化合物および/または2つ以上のフェノールの混合物を本発明の組成物に使用することができる。
【0018】
様々なエポキシドのいずれかが本発明の組成物における使用に好適であることも考えられる。出願人は何らかの動作理論に縛られることを望まないが、本発明のエポキシドは、CFI組成物における酸スカベンジャー(酸捕捉剤)として作用し、これにより、当該組成物の安定性を向上させる傾向があると考えられる。好適な芳香族エポキシドの例としては、以下の式Iによって定義されるものが挙げられる:
【0019】
【化1】

【0020】
式中、Rは、水素、アルキル、フルオロアルキル、アリール、フルオロアリール、または
【0021】
【化2】

【0022】
であり;そして、Arは、置換または未置換のフェニレンまたはナフチレン部分である。式Iのある特定の好ましい芳香族エポキシドとしては、ブチルフェニルグリシジルエーテル;ペンチルフェニルグリシジルエーテル;ヘキシルフェニルグリシジルエーテル;ヘプチルフェニルグリシジルエーテル;オクチルフェニルグリシジルエーテル;ノニルフェニルグリシジルエーテル;デシルフェニルグリシジルエーテル;グリシジルメチルフェニルエーテル;1,4−ジグリシジルフェニルジエーテルおよびそれらの誘導体;1,4−ジグリシジルナフチルジエーテルおよびそれらの誘導体;ならびに2,2’−[[[5−ヘプタデカフルオロオクチル]−1,3−フェニレン]ビス[[2,2,2−トリフルオロメチル]エチリデン]オキシメチレン]ビスオキシラン等が挙げられる。他の好ましい芳香族エポキシドとしては、ナフチルグリシジルエーテル、4−メトキシフェニルグリシジルエーテルおよびナフチルグリシジルエーテルの誘導体等が挙げられる。ある特定のより好ましい芳香族エポキシドとしては、ブチルフェニルグリシジルエーテル等が挙げられる。単一の芳香族エポキシドおよび/または2つ以上の芳香族エポキシドの混合物を本発明の組成物に使用することができる。
【0023】
様々なアルキルおよび/またはアルケニルエポキシドのいずれかが本発明組成物における使用に好適である。好適なアルキルおよびアルケニルエポキシドの例としては、式IIのものが挙げられる:
【0024】
【化3】

【0025】
式中、Ralkは、置換または未置換のアルキルまたはアルケニル基である。好ましくは、Ralkは、約1から約10個の炭素原子、より好ましくは約1から約6個の炭素原子を有する置換または未置換のアルキルまたはアルケニル基である。式IIのある特定の好ましいアルキルエポキシドとしては、n−ブチルグリシジルエーテル、イソブチルグリシジルエーテルおよびヘキサンジオールジグリシジルエーテル等、ならびにフッ素化および過フッ素化アルキルエポキシドが挙げられる。より好ましいアルキルエポキシドとしては、ヘキサンジオールジグリシジルエーテルが挙げられる。式IIのある特定の好ましいアルケニルエポキシドとしては、アリルグリシジルエーテル、フッ素化および過フッ素化アルケニルエポキシド等が挙げられる。より好ましいアルケニルエポキシドとしては、アリルグリシジルエーテル等が挙げられる。
【0026】
金属安定剤は、通常、組成物の重量の約0.05重量%から約5重量%、好ましくは約0.1重量%から約3重量%、より好ましくは約0.1重量%から約1重量%の量で存在する。
【0027】
本発明の組成物は、さらなる構成成分を任意選択で含むことができると考えられる。これらは、
CO
炭化水素(置換および未置換のもの、特にC〜C炭化水素);
アルコール(置換および未置換のもの、特にC〜Cアルコール);
ケトン(置換および未置換のもの、特にC〜Cケトン);
アルデヒド(置換および未置換のもの、特にC〜Cアルデヒド);
エーテル/ジエーテル(置換および未置換のもの、特にC〜Cエーテル);
フルオロエーテル(置換および未置換のもの、特にC〜Cフルオロエーテル);
フルオロアルケン(置換または未置換のもの、特にC〜Cフルオロアルケン);
HFC(ハイドロフルオロカーボン;特にC〜CHFCs);
HCC(ハイドロクロロカーボン;特にC〜CHCCs);
好ましくはフルオロアルケン(置換および未置換のもの、特にC〜Cフルオロアルケン)を含む、ハロアルケン;
HFO(ハイドロフルオロオレフィン;特にC〜CHFOs);
HClFO(ハイドロクロロフルオロオレフィン;特にC〜CHClFOs);
HBrFO(ハイドロブロモフルオロオレフィン;特にC〜CHBrFOs);
を含むことができる。
【0028】
本発明の組成物は、1つまたは複数のハイドロフルオロカーボンを任意選択でさらに含むことができる。好ましいハイドロフルオロカーボンは、C〜Cハイドロフルオロカーボン、好ましくはC〜Cハイドロフルオロカーボン、さらにより好ましくはC〜Cハイドロフルオロカーボンを含む。好ましいハイドロフルオロカーボンとしては、ハイドロフルオロアルカン、例えばペンタフルオロエタン、1,1,1,2−テトラフルオロエタン、トリフルオロエタンまたはそれらの組合せが挙げられる。ハイドロフルオロカーボンを使用するときは、好ましくは、組成物の全重量に基づき、約1%から約50%、より好ましくは約5%から約35%の量のハイドロフルオロカーボンが全組成物中に存在する。
【0029】
本明細書に用いられているように、「HFO」という用語は、炭素、フッ素および水素の原子からなり、他の原子を含まない化合物であって、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合が存在する化合物を指す。「HClFO」という用語は、炭素、塩素、フッ素および水素の原子からなり、他の原子を含まない化合物であって、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合が存在する化合物を指す。「HBrFO」という用語は、炭素、臭素、フッ素および水素の原子からなり、他の原子を含まない化合物であって、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合が存在する化合物を指す。記号C〜Cおよび同様の用法は、少なくとも2個の炭素原子、および5個までの炭素原子を有する化合物等を指す。広範な種類のHFCsを本発明の組成物および方法に使用できると考えられるが、ある一部の実施形態において、それぞれのいずれかおよびすべての異性体を含めて、以下の1種または複数種を本発明の組成物に使用することが好ましい:ジフルオロメタン(HFC−32);ペンタフルオロメタン(HFC−125);1,1,2,2−テトラフルオロエタン(HFC−134);1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFC−134a);トリフルオロエタン(HFC−143a);ジフルオロエタン(HFC−152a);1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン(HFC−227ea);1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン(HFC−236fa);1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(HFC−245fa);および1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタン(HFC−365mfc)。広範な種類のフルオロアルカンが本発明の組成物および方法に使用できると考えられるが、多くの実施形態において、該組成物は、1種または複数種のCまたはCフルオロアルケン、好ましくは、以下の式を有する化合物を含むことが特に好ましい:
XCF3−z
(式中、Xは、CまたはC不飽和の置換または未置換アルキル基であり、各Rは、独立に、Cl、F、Br、IまたはHであり、zは1から3である)。中でも非常に好ましいのは、以下の化合物、すなわち、フルオロエテン;フルオロプロペン;フルオロブテン;クロロフルオロエテン;クロロフルオロプロペン;およびクロロフルオロブテン;である。
【0030】
多くの既存の冷却システム(装置)は、現行では、既存の冷媒に関連して使用するように適合されており、本発明のある特定の組成物は、システム(装置)改造を行い、または行わずに当該システム(装置)の多くに使用するために適合可能であると考えられる。多くの用途において、本発明の組成物は、現行では比較的高能力を有する冷媒に基づくシステム(装置)における代替品としての利点を提供することができる。さらに、例えばコストの理由により、より高能力の冷媒に代えて本発明のより低能力の冷媒組成物を使用することが望まれる実施形態において、本組成物の当該実施形態は、潜在的な利点を提供する。したがって、ある一部の実施形態において、本発明の組成物、特に、実質的な比率のHFO−1234yfを含む組成物、いくつかの実施形態においては高比率のHFO−1234yfを含む組成物を、HFC−134aなどの既存の冷媒の代替品として使用することが好ましい。ある一部の用途において、本発明の冷媒は、より大きな容積型圧縮機(displacement compressors)の有益な使用を潜在的に可能にし、これによって、HFC−134aなどの他の冷媒よりも良好なエネルギー効率をもたらすことができる。したがって、本発明の冷媒組成物、特に、HFO−1234yfを含む組成物は、冷媒交換用途についてエネルギーベースで競合的な利点を達成する可能性を提供する。
【0031】
したがって、本発明の方法、システム(装置)および組成物は、自動車用空調システムおよびデバイス、商用冷却システムおよびデバイス、冷却機(チラー;chillers)、住居用冷蔵庫および冷凍庫、一般的な空調システム、ヒートポンプ、ORCs(有機ランキンサイクル)およびCRCs等に関連して使用するように適合可能である。
【0032】
次いで、本発明組成物は、トリフルオロメタン、ヨウ化メチル、ヘプタフルオロブタンまたはプロペンを含む化合物を任意選択で含むことができる。これらは、組成物の0重量%を超える量から約1重量%、より一般的には組成物の約0.01重量%から約1重量%の量で通常存在する。
【0033】
本発明の組成物は、冷却システム、空調システムおよびヒートポンプシステムに使用される冷媒などの、熱を伝達するための方法およびシステム(装置)における熱伝達流体を含めて、多くの方法およびシステム(装置)に有用である。好ましい熱伝達方法は、一般には、本発明の組成物を供給し、好ましくは、組成物の相を変化させることによって、および/または顕熱伝達によって、熱を組成物に、または組成物から伝達させることを含む。例えば、本発明の方法は、流体または物体から熱を吸収することによって、好ましくは、本発明の冷媒組成物を冷却すべき物体または流体の近傍で蒸発させて、本発明組成物を含む蒸気を生成することによって、冷却を提供する。好ましくは、本発明の方法は、通常は圧縮機または同様の装置を用いて冷媒蒸気を圧縮して、比較的高圧で、本発明組成物の蒸気を生成するさらなる工程を含む。一般には、蒸気を圧縮する工程は、蒸気に熱を加えることになるため、比較的高圧の蒸気の温度の上昇を引き起こすことになる。好ましくは、本発明の方法は、この比較的高温高圧の蒸気から、蒸発および圧縮工程によって加えられた熱の少なくとも一部を除去することを含む。この熱除去工程は、好ましくは、蒸気が比較的高圧条件にあるときに、高温高圧蒸気を凝縮して、本発明の組成物を含む比較的高圧の液体を生成することを含む。次いで、この比較的高圧の液体は、好ましくは、名目上等エンタルピーの圧力の減少を受け、比較的低温低圧の液体を生成する。このような実施形態において、次いで、冷却すべき物体または流体から伝達される熱によって蒸気化されるのは、この低温冷媒液体である。本発明の別の方法の実施形態において、本発明の組成物を、熱を生成するための方法に使用することができ、この方法は、加熱すべき液体または物体の近傍で本発明の組成物を含む冷媒を凝縮することを含む。このような方法は、これまでに言及したように、しばしば上記の冷却サイクルと逆サイクルである。
【0034】
好ましい実施形態において、本発明の組成物は、約1000以下、より好ましくは約500以下、さらにより好ましくは約150以下、場合によっては約100以下の地球温暖化係数(Global Warming Potential;GWP)を有する。ある一部の実施形態において、本発明組成物のGWPは、約75以下である。本明細書に用いられているように、「GWP」は、引用により本明細書中に組み込まれる「オゾン破壊の科学的評価、2002、世界気象協会の全球オゾン調査および監視プロジェクトの報告書(The Scientific Assessment of Ozone Depletion, 2002,a report of the World Meteorological Association’s Global Ozone Research and Monitoring Project)」に規定されているように、二酸化炭素のGWPと相対的に、100年の計画対象期間にわたって測定される。本発明の組成物は、また、好ましくは約0.05以下、より好ましくは約0.02以下、さらにより好ましくは約0のオゾン層破壊係数(Ozone Depleting Potential;ODP)を有する。本明細書に用いられているように、「ODP」は、引用により本明細書中に組み込まれる「オゾン破壊の科学的評価、2002、世界気象協会の全球オゾン調査および監視プロジェクトの報告書(The Scientific Assessment of Ozone Depletion, 2002,A report of the World Meteorological Association’s Global Ozone Research and Monitoring Project)」に規定されている通りである。
【0035】
本発明は、また、
(a)上記組成物を含む熱伝達組成物;および
(b)当該熱伝達組成物の少なくとも一部を含む、および/または当該熱伝達組成物の少なくとも一部と接触する、1つまたは複数の容器;
を含む熱伝達システムを提供する。本発明は、また、流体または物体に、あるいは流体または物体から、熱を伝達する方法であって、当該流体または物体と上記組成物を含む熱伝達組成物とを接触させることを含む方法を対象とする。本発明は、さらに、冷却システムに含まれる既存の冷媒を取り替える方法であって、前記システムから前記既存の冷媒の少なくとも一部を取り替え、上記組成物を含む冷媒組成物を前記システムに導入することによって、前記既存の冷媒の少なくとも一部を取り替えることを含む方法を対象とする。
【0036】
以下の非限定的な実施例は、本発明を例示する役割を果たす。
【実施例】
【0037】
実施例1
商業的に入手可能なポリオールエステルにジアルキルジチオリン酸亜鉛耐摩耗添加剤を添加する。ジアルキルジチオリン酸亜鉛のリン含有量は、0.02から0.15重量%であり;硫黄化合物の硫黄含有量は、0.02から0.30重量%である。200グラムの改質潤滑剤を圧縮機耐用性試験装置に入れる。次に、600グラムの1234yf:CFIの70:30混合物を添加する。次いで、圧縮機に400時間の耐用性試験を施す。熱(GC)および質量分光検出器(GC−MS)を使用して、ガスクロマトグラフィーによる分析のために、冷媒の試料を定期的に回収する。潤滑剤をヨウ化物およびフッ化物の両方について分析する。ジアルキルリン酸亜鉛を潤滑剤調合物に加えた場合に、検出されたヨウ化物の量がより少なくなる。
【0038】
本発明を好ましい実施形態に関して詳細に示し、説明したが、本発明の精神および範囲を逸脱することなく様々な変更および修正を加えることができることを当業者なら容易に理解するであろう。特許請求の範囲は、開示された実施形態、以上に論述された別法およびそれらのすべての同等物を包括すると解釈されることを意図する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハイドロフルオロアルケン、ヨードカーボン、潤滑剤および金属安定剤を含む組成物。
【請求項2】
金属安定剤が、ジアルキルジチオホスホン酸金属塩、ジチオカルバミン酸スルホキシモリブデン、アルキルサリチル酸金属塩、アゾール、アルキルサリチル酸塩、リン酸塩、亜リン酸塩、エポキシド、フェノール化合物、またはそれらの組合せを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
金属安定剤が、ジアルキルジチオホスホン酸亜鉛、ジアルキルジチオホスホン酸モリブデン、ジアルキルジチオホスホン酸カルシウム、8から18個の炭素原子を有する炭化水素基を有するジチオカルバミン酸スルホキシモリブデン、1から18個の炭素原子を有する一級アルキル基を有するジアルキルジチオリン酸亜鉛、3から18個の炭素原子を有する二級アルキル基を有するジアルキルジチオリン酸亜鉛、アルキルサリチル酸マグネシウムとアルキルサリチル酸カルシウムの混合物を含むアルキルサリチル酸塩、8から18個の原子を有する炭化水素基を有するジチオカルバミン酸スルホキシモリブデン、トルトリアゾール、ベンゾトリアゾールまたはそれらの組合せを含む、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
アゾールが、イミダゾール、トリアゾール、ピラゾール、チアゾール、イソチアゾール、オキサゾール、イソキサゾール、アミジン、チアジアゾールまたはそれらの組合せを含む、請求項2に記載の組成物。
【請求項5】
アゾールが、イミダゾール;ベンゾトリアゾール;インドール;ベンズイミダゾール;ベンズアミジン;2−メチルベンズイミダゾール;5−メチルベンズイミダゾール;5,6−ジメチルベンズイミダゾール;トルトリアゾール;2,5,6−トリメチルベンズイミダゾール;2−フェニルベンズイミダゾール;メルカプトベンゾチアゾール;トリルトリアゾール;2−フェニルイミダゾール;2−ベンジルアミダゾール;4−アリルイミダゾール;4−(ベータヒドロキシエチル)−イミダゾール;プリン;4−メチルイミダゾール;キサンチン;ヒポキサンテン;2−メチルイミダゾール;アデニン;ピラゾール;3,5−ジメチルピラゾール;6−ニトロインダゾール;4−ベンジルピラゾール;4,5−ジメチルピラゾール;3−アリルピラゾール;イソチアゾール;3−メルカプトイソチアゾール;3−メルカプトベンズイソチアゾール;ベンズイソチアゾール;チアゾール;2−メルカプトチアゾール;2−メルカプトベンゾチアゾール;ベンゾチアゾール;イソキサゾール;3−メルカプトイソキサゾール;3−メルカプトベンズイソキサゾール;ベンズイソキサゾール;オキサゾール;2−メルカプトキサゾール;2−メルカプトベンゾキサゾールまたはそれらの組合せを含む、請求項2に記載の組成物。
【請求項6】
フェノール化合物が、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール);4,4’−ビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール);4,4’−ビス(2−メチル−6−tert−ブチルフェノール)を含む2,2−または4,4−ビフェニルジオール;2,2−または4,4−ビフェニルジオールの誘導体;2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール);2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール);4,4−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール);4,4−イソプロピリデンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール);2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−ノニルフェノール);2,2’−イソブチリデンビス(4,6−ジメチルフェノール);2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−シクロヘキシルフェノール);2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール(BHT);2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェノール;2,4−ジメチル−6−tert−ブチルフェノール;2,6−ジ−tert−アルファ−ジメチルアミノ−p−クレゾール;2,6−ジ−tert−ブチル−4−(N,N’−ジメチルアミノメチルフェノール);4,4’−チオビス(2−メチル−6−tert−ブチルフェノール);4,4’−チオビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール);2,2’−チオビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール);硫化ビス(3−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルベンジル);硫化ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル);トコフェロール、ヒドロキノン;t−ブチルヒドロキノン;ヒドロキノンの誘導体;またはそれらの組合せを含む、請求項2に記載の組成物。
【請求項7】
エポキシドが、式(I):
【化1】

(式中、Rは、水素、アルキル、フルオロアルキル、アリール、フルオロアリール、または
【化2】

であり、
Arは、置換または未置換のフェニレンまたはナフチレン部分である)
を有する、請求項2に記載の組成物。
【請求項8】
エポキシドが、式(II):
【化3】

(Ralkは、約1から約10個の炭素原子を有する置換または未置換のアルキルまたはアルケニル基である)
を有する、請求項2に記載の組成物。
【請求項9】
エポキシドが、ブチルフェニルグリシジルエーテル;ペンチルフェニルグリシジルエーテル;ヘキシルフェニルグリシジルエーテル;ヘプチルフェニルグリシジルエーテル;オクチルフェニルグリシジルエーテル;ノニルフェニルグリシジルエーテル;デシルフェニルグリシジルエーテル;グリシジルメチルフェニルエーテル;1,4−ジグリシジルフェニルジエーテルおよびそれらの誘導体;1,4−ジグリシジルナフチルジエーテルおよびそれらの誘導体;ならびに2,2’−[[[5−ヘプタデカフルオロオクチル]−1,3−フェニレン]ビス[[2,2,2−トリフルオロメチル]エチリデン]オキシメチレン]ビスオキシラン等を含む、請求項2に記載の組成物であって、他の好ましい芳香族エポキシドは、ナフチルグリシジルエーテル、4−メトキシフェニルグリシジルエーテルおよびナフチルグリシジルエーテルの誘導体;n−ブチルグリシジルエーテル、イソブチルグリシジルエーテル、ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、フッ素化アルキルエポキシド、過フッ素化アルキルエポキシドおよびそれらの組合せを含む、請求項2に記載の組成物。
【請求項10】
ハイドロフルオロアルカンをさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
ハイドロフルオロアルカンが、ジフルオロメタン、ペンタフルオロエタン、1,1,1,2−テトラフルオロエタン、トリフルオロエタンまたはそれらの組合せの少なくとも1つを含む、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
ヨードカーボンが、少なくとも1つのヨードフルオロカーボンを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
ヨードカーボンが、少なくとも1つのC〜Cヨードフルオロカーボンを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
ヨードカーボンが、少なくとも1つのC〜Cヨードカーボンを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
ヨードカーボンが、ヨウ化トリフルオロメチルを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項16】
ハイドロフルオロアルケンが、テトラフルオロアルケンを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項17】
ハイドロフルオロアルケンが、1,1,1,2−テトラフルオロプロペンを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項18】
ハイドロフルオロアルケンが、トランス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペンを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項19】
ハイドロフルオロアルケンが、1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロペンを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項20】
ハイドロフルオロアルケンが、1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペンを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項21】
潤滑剤が、ナフテン鉱油、パラフィン鉱油、エステル油、ポリアルキレングリコール、ポリビニルエーテル、アルキルベンゼン、ポリアルファオレフィン、ポリエステル、ポリオールエステル、またはそれらの組合せを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項22】
請求項1に記載の組成物を含む冷媒。
【請求項23】
請求項1に記載の組成物を含む熱伝達組成物。
【請求項24】
請求項1に記載の組成物を含む自動車用空調システム。
【請求項25】
(a)請求項1に記載の組成物を含む熱伝達組成物;および
(b)前記熱伝達組成物の少なくとも一部を含む、および/または前記熱伝達組成物の少なくとも一部と接触する、1つまたは複数の容器;
を含む熱伝達システム。
【請求項26】
流体または物体に熱を伝達する、あるいは流体または物体から熱を伝達する方法であって、前記流体または物体と、請求項1に記載の組成物を含む熱伝達組成物とを接触させることを含む、前記方法。
【請求項27】
冷却システムに含まれる既存の冷媒を取り替える方法であって、前記システムから前記既存の冷媒の少なくとも一部を取り替え、請求項1に記載の組成物を含む冷媒組成物を前記システムに導入することによって前記既存の冷媒の少なくとも一部を取り替えることを含む、前記方法。
【請求項28】
ハイドロフルオロアルケンが、1,1,1,2−テトラフルオロプロペン;トランス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペン;1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロペンまたは1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペンの少なくとも1つを含み、
ヨードカーボンが、ヨウ化トリフルオロメチルを含み、
潤滑剤が、鉱油またはアルキルベンゼンを含み、
金属安定剤が、ジアルキルジチオホスホン酸金属塩を含む、
請求項1に記載の組成物。

【公表番号】特表2010−509488(P2010−509488A)
【公表日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−537306(P2009−537306)
【出願日】平成19年11月13日(2007.11.13)
【国際出願番号】PCT/US2007/084498
【国際公開番号】WO2008/061079
【国際公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【出願人】(500575824)ハネウェル・インターナショナル・インコーポレーテッド (1,504)
【Fターム(参考)】