説明

フルオロシランで疎水化した粒子の、疎脂質性、疎油性、疎ミルク性及び疎水性の特性を有する自浄性表面の製造のための使用

本発明は、フルオロシラン又はフルオロシロキサンで疎水化したミクロ粒子の、自浄特性並びに、疎油性、疎脂質性、及び疎ミルク性の特性を有する表面を製造するための使用に関する。自浄性表面を製造するための公知の方法における、フルオロシランで疎水化したミクロ粒子の使用により、自浄特性の他に、疎脂質性、疎油性、及び疎ミルク性の特性を有する表面が製造される。前記表面で仕上げ加工した物品は、殊に油含有汚れ、脂肪含有汚れ又はミルク含有汚れから容易に清浄化される。本発明による使用は従って、殊に技術的なテキスタイル、作業用衣料又は子供用衣料の製造に適する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フルオロシラン又はフルオロシロキサンで疎水化した粒子の、疎脂質性、疎油性、疎ミルク性及び疎水性の特性を有する自浄性表面の製造のための使用、並びに前記表面を有する物品に関する。
【0002】
水をはじく、即ち疎水性の表面は昔から公知である。殊に、細かいシリカ粒子を、ペルフルオロオクチルエチルトリクロロシランで官能化し、引き続きUV硬化可能な塗料中で懸濁してよい(JP 09−220518)。前記マトリックスの硬化は、ポリメチルメタクリラートPMMAに、増強した水をはじく特性を付予する被覆を生じる。
【0003】
水をはじく表面の更なる開発は、自浄性表面であり、これは動く水により汚れが清浄化されてよい。前記表面の製造は、たびたび既に記載されている。疎水性表面上の水滴は特に、前記表面が構造化されている場合には転落するが、しかしながら自浄性を認めることができないことは、既に1982年にA.A.AbramsonによりChimia i Shisn russ.11、38に記載されていた。自浄性表面には、適した構造の他に、特別な界面化学が必要である。構造と疎水性とからの適した組合せにより、少量の動く水であっても表面上に付着している汚れ粒子を連れて行き、かつ表面を清浄化することが可能となる(WO96/04123、US3354022、C. Neinhuis、W.Barthlott、Annals of Botany 79、(1997)、667)。構造と化学とからの前記組み合わせは例えば疎水性塗料においてエンボス方法によって得られてよい。同様に、射出成形法及びホットエンボス方法も可能である。
【0004】
自浄性表面の公知技術は、EP0933388の記載によれば、前記の自浄性表面のために>1のアスペクト比及び20mN/mより小さい表面エネルギーを必要とする。この場合、アスペクト比は、構造物の平均幅に対する平均高さの商として定義されている。前記の基準は、自然界、例えばハスの葉において実現されている。疎水性でロウ状の材料から形成された植物の表面は、数μmまで互いに離れている突起物を有する。水滴は本質的には前記突起物の先端のみと接触している。そのような撥水性表面は文献に何度も記載されている。そのための一例はLangmuir 2000、16、5754のMasashi Miwa他による記事であり、そこには、ベーマイトから形成され、スピンコートされた塗料層上へ設けられ、引き続きか焼された人工表面の構造化が増大するにつれて、接触角及び転落角が増大することが記載されている。
【0005】
適した手段による前記構造の形成の他に、粒子の系も開発されてきた。表面上への粒子の設置による自浄性の構造の製造は、最初にJP 07−328532において記載された。この際、疎水性ケイ酸微粒子が樹脂フィルムによって表面に固定された。スイス国特許公報CH−PS268258には、粉末、例えばカオリン、タルク、粘土又はシリカゲルの設置により、構造化された表面を生じさせる方法が記載されている。前記粉末は、有機ケイ素化合物をベースとする油及び樹脂により前記表面上に固定される。最近、粒子の系が開発され、これは非常に疎水性である表面を有するナノ粒子をベースとし、例えばDE10129116、DE10138036及びDE10134477に記載されている。基板に対するナノ粒子の結合は、
a)キャリアー層により、又は
b)ポリマー/基板への粒子の直接的な付着により
生じる。
【0006】
後者に挙げられた文献において、様々な疎水性粒子の使用が、疎水性の自浄性表面の製造のために記載され、前記表面はほぼ撥水性の特色を有する。多くの汚れの種類は、前記表面に付着したままにならず、又は動く水により洗い流されてよいが、しかし脂肪又は油を含有する、殊に液状である汚れ、例えばよく知られた「ソース汚れ」又は「脂肪汚れ」は、やはり常に問題であり、というのは前記汚れはその少ない親水性のために、疎水性粒子によって仕上げ加工された表面にはりつく可能性があるからである。本発明の課題は従って、撥水性及び自浄性の特性を有するだけでなく、油含有汚れ又は脂肪含有汚れに対しても汚れにくいように仕上げ加工した表面を準備することである。
【0007】
意外にも、自浄特性を有する表面の製造のための、フルオロシラン又はフルオロシロキサンで疎水化した粒子の使用により、疎水性だけでなく、疎ミルク性、疎油性及び疎脂質性の特性をも有する表面が得られることが見出された。
【0008】
本発明の対象は従って、フルオロシラン又はフルオロシロキサンで疎水化した粒子の、前記ミクロ粒子により形成された突起物を備える表面構造を有する、自浄特性を有する表面を製造するための使用であって、その際製造された表面が自浄特性の他に、疎油性、疎脂質性、及び疎ミルク性の特性を有する、フルオロシラン又はフルオロシロキサンで疎水化した粒子の使用である。
【0009】
同様に、本発明の対象は、フルオロシラン又はフルオロシロキサンで疎水化したミクロ粒子の使用によって製造された、自浄性、疎水性、疎脂質性、疎油性及び疎ミルク性の特性を有する、少なくとも1つの表面を有する物品であり、その際前記物品は、例えばテキスタイル、広告手段、オーニング材、カバーシート、技術的フリース、衣料品、アウトドア用衣料、雨用衣料、作業用衣料、子供用衣料、保護衣料、半製品、シート又はプラスチックからの物品であってよい。
【0010】
フルオロシラン又はフルオロシロキサンで疎水化した粒子の、表面の製造のための使用は、そのように製造された表面が疎水性だけでなく、疎脂質性、疎油性、及び疎ミルク性の特性をも有する利点を有する。前記特性により、油含有汚れ粒子又は脂肪含有汚れ粒子も、殊に油含有液状汚れ又は脂肪含有液状汚れも、表面から簡単に除去されることが達成される。従って、界面活性剤又は脂肪溶剤が使用されることなく、例えばミルク汚れ又はソース汚れは、簡単に表面から流れ落ちる。殊に意義があるのは、テキスタイル表面のための、表面の前記特性である。殊に有利には従って、フルオロシラン又はフルオロシロキサンで処理した粒子の、作業用衣料、テーブル用テキスタイル又はベビー用衣料又は子供用衣料の製造のための使用であり、というのは、これらのテキスタイルは、脂肪又は油を含有する、またしばしば液状でもある汚れとたびたび接触するからである。
【0011】
本発明を以下に例示的に記載するが、これらの実施態様に制限するものではない。
【0012】
フルオロアルキルシラン又はフルオロアルキルシロキサンで疎水化したミクロ粒子の、前記ミクロ粒子により形成された突起物を備える表面構造を有する、自浄特性を有する表面を製造するための、本発明による使用は、製造された表面が、自浄特性の他に、疎油性、疎脂質性及び疎ミルク性の特性を有することにおいて優れている。
【0013】
自浄特性を有する、ミクロ粒子により形成された前記表面構造は有利には、20nm〜25μmの平均高さ及び20nm〜25μmの平均間隔、特に有利には50nm〜10μmの平均高さ及び/又は50nm〜10μmの平均間隔、極めて有利には50nm〜4μmの平均高さ及び/又は50nm〜4μmの平均間隔を有する突起物を備える。最も有利には、本発明による平面押出物は、0.25〜1μmの平均高さ及び0.25〜1μmの平均間隔を有する表面突起物を有する。突起物の平均間隔とは本発明の意味で、突起物の最も高い突起物と最も近く最も高い突起物との間隔であると理解される。突起物が円錐の形を有する場合には、円錐の先端が突起物の最も高い突起物である。突起物が平行六面体である場合には、平行六面体の最上面が突起物の最も高い突起物である。
【0014】
自浄特性は、水滴と表面とが形成する接触角により表される、濡れ特性に起因する。この場合、0度の接触角は表面の完全な濡れを意味する。静的接触角の測定は、通例、接触角が光学的に決定される装置を用いて行われる。滑らかな疎水性表面上では、通常125°より小さい静的接触角が測定される。本発明の自浄性表面は、有利には130°より大きい、より有利には140°より大きい、殊に有利には145°より大きい静的接触角を有する。更に、表面は、これが最大10°の前進角と後退角との差を有する場合にのみ良好な自浄特性を有することが見出され、そのために本発明による表面は10°より小さい、有利には5°より小さい、殊に有利には4°より小さい前進角と後退角との差を有利には有する。前進角の決定のために、水滴は、細管を用いて表面上へ置かれ、かつ細管を経て水を添加することにより液滴は表面上へ拡大される。拡大の間に、液滴の縁部は表面上を滑り、かつ接触角は前進角として決定される。後退角は同じ液滴で測定され、単に細管により液滴から水が取り出され、液滴の縮小の間に接触角が測定される。双方の角度の間の差異はヒステリシスと呼ばれる。差異が小さくなればなるほど、水滴と基体の表面との相互作用がより僅かになり、かつハス効果(自浄特性)がより良好になる。
【0015】
自浄特性を有する表面構造を有する、本発明による表面は、有利には0.15より大きい突起物のアスペクト比を有する。有利には、粒子自体により形成される突起物は、0.3〜1の、殊に有利には0.5〜0.8のアスペクト比を有し、その際1よりも小さいアスペクト比は、前記粒子が少なくとも部分的に前記表面に入り込む場合のみに有利である。この場合、アスペクト比は、突起物の構造の最大幅に対する最大高さの商として定義されている。
【0016】
本発明による表面は、表面と堅く結合したミクロ粒子、即ち、例えば少なくとも部分的に前記表面にアンカーしたミクロ粒子により形成されるか、又は前記表面上に存在し、かつ比較的弱い物理的な力でのみ前記表面と結合しているミクロ物体により、即ち前記表面と恒久的には結合していないミクロ粒子により形成されてよい。
【0017】
フルオロシラン又はフルオロシロキサンで疎水化した、突起物を形成するミクロ粒子は、例えばケイ酸塩、鉱物、金属酸化物、金属粉体、ケイ酸、顔料又はポリマーのミクロ粒子から選択されてよい。殊に有利にはミクロ粒子は、熱分解ケイ酸、沈殿ケイ酸又は酸化アルミニウムから選択される。殊に有利には、ミクロ粒子は熱分解ケイ酸を有し、殊に、例えば商品名Aerosil(R)VPR 411で、Degussa AGから入手可能である熱分解ケイ酸を有する。
【0018】
有利なミクロ粒子は、0.02〜100μm、特に有利には0.1〜50μm、極めて有利には0.1〜30μmの粒径を有する。適したミクロ粒子は、しかしまた500nmより小さい直径を有してもよいか、又は一次粒子から0.2〜100μmの大きさを有するアグロメレート又はアグリゲートへと集合してもよい。
【0019】
特に有利なミクロ粒子は、これは構造化された表面の突起物を形成するが、ナノメートル範囲の不規則な微細構造を表面上に有するものである。この場合、不規則な微細構造を有するミクロ粒子は、1より大きい、特に有利には1.5より大きいアスペクト比を有する突起物もしくは微細構造を有利には有する。前記アスペクト比は再度、突起物の最大幅に対する最大高さからの商として定義されている。図1に、粒子により形成される突起物と、微細構造により形成される突起物との差異を、図示により明らかにする。図1は、粒子Pを有する平面押出物の表面Xを示す(図の簡素化のために1つの粒子のみが描写されている)。粒子自体により形成される突起物は約0.71のアスペクト比を有し、これは表面Xから突出する粒子の一部のみが突起物に寄与するので5である粒子の最大高さmHと、それに比べて7である最大幅mBからの商として計算された。粒子の微細構造により粒子上に存在している突起物Eの選択された1つの突起物は2.5のアスペクト比を有し、これは2.5である突起物の最大高さmH’と、それに比べて1である最大幅mB’とからの商として計算された。
【0020】
ミクロ粒子が、又は表面上へのミクロ粒子設置後の総表面が、再度フルオロシラン又はフルオロシロキサンで疎水化される場合に有利であってよい。
【0021】
表面上への設置前又は後の粒子の疎水化のために、これらは、例えば、フルオロアルキルシラン又はフルオロアルキルシロキサン、殊にフルオロアルキルアルコキシシラン又はフルオロアルキルアルコキシシロキサンのグループから選択される疎水化に適した化合物で処理されてよい。疎水化は、この場合、有利には粒子表面上での疎水化剤の架橋により、又は粒子表面への疎水化剤の結合により行われる。シラン又はシロキサンは、前記目的に対して有利には、1つ又は複数のアルコキシ基、例えばエトキシ基又はメトキシ基を有し、前記基は、粒子の表面上に存在するシラノール基に反応し、かつ相応するアルコールの脱離化で、固い化学結合を形成する。殊に有利な疎水化剤は、トリデカフルオロオクチルトリエトキシシラン及びそのオリゴマー、例えば下記のものである
−DYNASYLAN(R)F8261トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル−1−トリエトキシシラン、
−DYNASYLAN(R)F8850 3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチルトリエトキシオリゴシロキサン(3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチルトリエトキシシランと0.8Mol/Mol HO(ダイマー、トリマー、テトラマー)とのHCl触媒した縮合により製造、エタノール中で50質量%)、
−DYNASYLAN(R)F8262、DE19904132又はEP1033395(Jenkner et al.、Degussa−Huels AG)の実施例C/5aと同様の活性化したフルオロアルキル官能性オルガノシランのアルコール溶液。DYNASYLAN TM F8262のためには、i−プロパノールの代わりに、エタノールが使用される。組成:3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチルトリエトキシシラン1.0質量%、HO 0.126質量%、HCl(無水)0.074質量%、SnC1x2HO 0.1質量%、エタノール98.7質量%、
−DYNASYLAN(R)F8810 3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチルトリエトキシシランと、3−アミノプロピルトリエトキシシランとからの、DE19823390(Standke et al.、Degussa−Huels AG)における実施例H2と同様のオリゴマー化した共縮合体の10質量%水含有溶液。
【0022】
フルオロシラン又はフルオロシロキサンで疎水化したミクロ粒子は、ミクロ粒子により形成された突起物を備える表面構造を有する、自浄特性を有する表面を製造するための、全ての公知の方法において使用されてよく、但し、前記方法の際に、ミクロ粒子自体又は疎水化層を損うか又は、破壊する条件(温度、溶媒その他)は適用されてはならない。
【0023】
有利には、ミクロ粒子を乾燥させ、例えば吹付け又はふりかけにより、有利には静電スプレーガンを用いた吹付けにより表面上に設け、かつ前記表面に固定する方法における、フルオロシラン又はフルオロシロキサンで疎水化したミクロ粒子の使用である。固定は、キャリアー系を用いて行われる方法が公知である。DE10118345及びDE10118352において、場合によってキャリアー層を備えた表面上に、ミクロ粒子を吹付けるか又はふりかけ、引き続き、キャリアー系を用いるか又は物理的に、例えば表面への押し込みにより表面に固定することが記載されている。押し込みは、成形方法、例えば射出成形、カレンダリング、ブロー成形その他において、例えば通常の方法工程の間に行われてよく、その際有利には、まだ硬化していない基体の表面にミクロ粒子が押し込まれる。DE10118351において、自浄性表面は、ミクロ粒子(Aerosil VPR 411)と、固定剤粒子との混合及び、表面上への前記混合物の引き続く設置及び固定により製造される。設置はこの際有利には、(静電)スプレーガンによって行われる。
【0024】
同様に、フルオロシラン又はフルオロシロキサンで疎水化したミクロ粒子を、本発明に従って以下の方法において使用してよく、その際分散液としてのミクロ粒子を、例えば溶媒(その際前記溶媒はミクロ粒子をも、フルオロシラン又はフルオロシロキサンをも攻撃しない)中のミクロ粒子の分散液の吹付けにより、又は前記分散液中への物品の浸漬により、表面上に設け、その場に固定する。固定はこの場合、様々な方法で行われてよい。例としては、本発明ではいくつかの方法のみを挙げるが、その詳細は相応する刊行物から引用されてよい。従って、DE10118346及びDE10118348において、溶媒中のミクロ粒子の懸濁液は、繊維又はテキスタイルに塗布され、かつ溶媒の蒸発により固定される。溶媒はこの際、繊維材料を溶解するように選択されている。DE10118349は、表面にとって一般的な相応する方法を記載する。表面を溶解するか又は攻撃する溶媒の他に、表面を膨潤させるだけの溶媒も使用してよい。溶媒の除去の後で、膨潤を逆行させ、その際ミクロ粒子は部分的に表面に固定される。一時的な被覆のためには、溶媒とミクロ粒子との分散液を、表面上に塗布することも可能であり、その際溶媒は表面材料との相互作用を決して示さない。前記方法の際には、ミクロ粒子の固定は、溶媒の蒸発後に、弱い相互作用、例えばファン・デル・ワールス力により行われる。フルオロシラン又はフルオロシロキサンで疎水化したミクロ粒子を使用してよい更なる方法は可能であり、かつ当業者に公知の方法に従う。
【0025】
ミクロ粒子を表面に押し込む方法の際に、突起物の前述のアスペクト比を達成するために、粒子の少なくとも一部、有利には粒子の50%より多くは、その直径の90%までが表面に埋まっている場合に有利である。表面は従って、その平均粒径の10〜90%、有利には20〜50%、極めて特に有利には30〜40%で表面中に固定されており、ひいてはその固有の亀裂のある表面の一部でもってさらに平面から突出する粒子を有利には有する。このようにして、粒子自体により形成される突起物が有利には少なくとも0.15の十分に大きなアスペクト比を有することが保証されている。その上、このようにして、固く結合した粒子が極めて丈夫に表面と結合していることが達成される。アスペクト比はその際、突起物の最大の幅に対する最大の高さの割合として定義されている。理想的な円錐形として仮定された粒子は、これは表面から70%まで突出していて、前記定義に従って0.7のアスペクト比を有する。
【0026】
前記方法によって製造されてよい表面は、例えばテキスタイル、広告手段、オーニング材、カバーシート、技術的フリース、衣料品、アウトドア用衣料、雨用衣料、作業用衣料、子供用衣料、保護衣料、半製品、シート又はプラスチックからの物品の表面であってよい。
【0027】
相応する方法における、フルオロシラン又はフルオロシロキサンで疎水化したミクロ粒子の使用により、自浄性、疎水性、疎脂質性、疎油性、及び疎ミルク性の特性を有する、少なくとも1つの表面を有する物品を製造してよい。前記物品は、例えばテキスタイル、広告手段、オーニング材、カバーシート、技術的フリース、衣料品、アウトドア用衣料、雨用衣料、作業用衣料、子供用衣料、保護衣料、半製品、シート又はプラスチックからの物品であってよい。
【0028】
本発明による方法を以下の実施例をもとに記載するが、但し本発明はこの実施例に制限されるべきではない。
【0029】
実施例1:
10μmの繊維直径を有する市販のポリエステル織物(PET、白い、Karstadt、Bochumで入手)を、エタノール1部と、Aerosil VPR 411 10質量%(エタノールに対して)と、トルエン9質量部との分散液中に浸漬した。5秒後、テキスタイルを再度浴から取り出し、かつ室温で乾燥し、引き続き1h、80度で熱処理した。引き続きテキスタイルの特性を決定した。水滴(60μl)は、水平状態に対して21゜の角度で表面から独力で転落した。トナー塵(Printex50、Degussa AG Duesseldorf)を有する汚れは、水で完全に除去されることが可能であった。シリコーンオイルは、仕上げ加工していない織物に対して、水平状態に対して約40゜の傾角で、独力でしたたり落ちた。脂肪含量1.5%を有する市販のH−Milch(超高加熱、均質化、及び殺菌したミルク、Milsani、ALDI)は、同様に約40゜の傾角でしたたり落ちた。前記のように仕上げ加工したテキスタイルを通じた水の浸透は、建てられた水柱が3cmの長さを超えると生じた(DIN EN13562により測定)。仕上げ加工してない比較例は、すぐに濡れ、かつ水柱が建つことはない。図2及び3は、実施例1で製造されたテキスタイルの異なる倍率を有するREM像を示す。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】図1は、粒子Pを有する平面押出物の表面Xを示す図である。
【図2】図2は、実施例1で製造されたテキスタイルの異なる倍率を有するREM像を示す図である。
【図3】図3は、実施例1で製造されたテキスタイルの異なる倍率を有するREM像を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フルオロシラン又はフルオロシロキサンで疎水化したミクロ粒子の、前記ミクロ粒子により形成された突起物を備える表面構造を有する、自浄特性を有する表面を製造するための使用であって、その際製造された表面が自浄特性の他に、疎油性、疎脂質性、及び疎ミルク性の特性を有する、フルオロシラン又はフルオロシロキサンで疎水化したミクロ粒子の使用。
【請求項2】
ミクロ粒子により形成された表面構造は、20nm〜25μmの平均高さ及び20nm〜25μmの平均間隔を有する突起物を備えることを特徴とする、請求項1記載の使用。
【請求項3】
ミクロ粒子は、フルオロシラン又はフルオロシロキサンで疎水化した、熱分解ケイ酸粒子又は沈殿ケイ酸粒子であることを特徴とする、請求項1又は2記載の使用。
【請求項4】
表面は、テキスタイル、広告手段、オーニング材、カバーシート、技術的フリース、衣料品、アウトドア用衣料、雨用衣料、作業用衣料、子供用衣料、保護衣料、半製品、シート又はプラスチックからの物品の表面である、請求項1から3までのいずれか1項記載の使用。
【請求項5】
請求項1から4までのいずれか1項に記載された、フルオロシラン又はフルオロシロキサンで疎水化したミクロ粒子の使用によって製造された、自浄性、疎水性、疎脂質性、疎油性及び疎ミルク性の特性を有する、少なくとも1つの表面を有する物品。
【請求項6】
物品は、テキスタイル、広告手段、オーニング材、カバーシート、技術的フリース、衣料品、アウトドア用衣料、雨用衣料、作業用衣料、子供用衣料、保護衣料、半製品、シート又はプラスチックからの物品である、請求項5記載の物品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2007−509732(P2007−509732A)
【公表日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−530166(P2006−530166)
【出願日】平成16年4月21日(2004.4.21)
【国際出願番号】PCT/EP2004/050577
【国際公開番号】WO2004/101880
【国際公開日】平成16年11月25日(2004.11.25)
【出願人】(501073862)デグサ ゲーエムベーハー (837)
【氏名又は名称原語表記】Degussa GmbH
【住所又は居所原語表記】Bennigsenplatz 1, D−40474 Duesseldorf, Germany
【Fターム(参考)】