説明

フルオロシリコンポリマーの調製方法

a)ペルフルオロ(メチルビニルエーテル)およびフッ化ビニリデンまたはテトラフルオロエチレンの共重合単位を有するヨウ素化オリゴマーであって、40〜90モルパーセントのフッ化ビニリデンまたはテトラフルオロエチレンの共重合単位および10〜60モルパーセントのペルフルオロ(メチルビニルエーテル)の共重合単位を含有し、2個の官能性末端基を有し、そして1000〜25,000の数平均分子量を有するオリゴマーと、b)メトキシビニルシランまたはエトキシビニルシランとを反応させて、シリコン含有ポリマー付加物を形成する工程を含む方法によって調製される、フルオロシリコンポリマーが開示される。上記シリコン含有ポリマー付加物をさらに酸と反応させて、架橋フッ素化ポリマーを形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)と、フッ化ビニリデンおよびテトラフルオロエチレンからなる群から選択されるモノマーとの共重合単位を含むシリコン含有ポリマー付加物の、酸触媒加水分解および逐次(step growth)重縮合を含む方法による、架橋フルオロシリコンポリマーの調製に関する。
【背景技術】
【0002】
ペルフルオロ(メチルビニルエーテル)(PMVE)と、フッ化ビニリデン(VF2)またはテトラフルオロエチレン(TFE)のいずれかとの共重合単位から製造される高分子量フッ素化コポリマーは、当該技術において既知であり、そして、例えば、米国特許出願公開第2005/0215741(A1)号明細書に開示されるように、比較的低いガラス転移温度(Tg)を有する加硫エラストマー部品を形成するために利用されている。このコポリマーは、式RfX(式中、Rfはペルフッ素化アルキル基であり、そしてXはヨウ素または臭素原子であり、それによって、ヨウ素または臭素原子末端基を有するコポリマーが製造される)の連鎖移動剤の存在下で合成され得る。例えば、同時係属の米国特許出願公開第2009/0105435(A1)号明細書に開示されるように、PMVEと、VF2またはTFEとの低分子量ヨウ素化オリゴマーを製造することも知られている。
【0003】
また、フルオロシリコンポリマーは、同様の低分子量オリゴマーを使用して調製されている。例えば、米国特許第5,081,192号明細書には、式IIIのフッ素化コポリマーを形成するために、下記の式Iの不飽和シリコン含有化合物と、式IIのヨウ素化反応物との反応が開示されている。そのようなフッ素化ヨウ素化コポリマーは、亜鉛との反応によってポリマーネットワークに変換され得る。
【0004】
CH2=CY−(CH2n−SiRx3-x
(I)
(式中、Xは一価の官能基であり、Yは水素原子または低級アルキル基であり、Rは水素原子または不活性な一価の有機基であり、xは0〜3の整数であり、そしてnは0、1または2である)
PC−Im
(II)
(式中、PCはポリマー鎖であり、そして、mは、ポリマー鎖PCの末端数よりも大きくない正の整数である)
PC−[CH2CYI−(CH2nSiRx3-xm
(III)
【0005】
米国特許第5,081,192号明細書に開示される適切なシリコン含有不飽和化合物Iの例としては、CH2=CHSiCl3、CH2=CHSiHCl2、CH2=CHSi(OC253、CH2=CHSi(OC252Cl、CH2=CHSi(OC25)Cl2およびCH2=C(CH3)SiCl3が含まれる。開示される式IIのポリマー鎖(PC)の例としては、TFEなどの少なくとも1つのエチレン系不飽和フッ素化化合物、ならびに式C36およびCF=CFORf(式中、Rfは、1〜16個の炭素原子を有するペルフルオロアルキル基である)の化合物を含むホモポリマーまたはコポリマーが含まれる。式IIIのポリマーは、5×102〜5×106の分子量を有する。式IIIのXがハロゲン化原子である場合、アルコール、および周期表の第II族または第III族元素、好ましくは亜鉛によってヨウ素化オリゴマーIIIを処理することによって、存在するヨード基を除去することができる。空気に暴露された時に、ポリマーは、SiRx3-x基の加水分解によって形成されたシラノールの脱水縮合によってシロキサン結合を形成し、それによって分子量が増加し、さらに三次元架橋が生じる。
【発明の概要】
【0006】
上記の種類の架橋フルオロシリコンポリマーネットワークは、良好なシーリング特性および低いTgを有する組成物である。しかしながら、適切なネットワーク形成が生じるよりも前に架橋が早期に生じ得るため、そのような組成物を製造するための従来技術で開示された方法は最適ではない。加えて、従来技術のポリマーネットワークにおける亜鉛の存在は、いくつかの最終用途に干渉する可能性があるため、問題である。例えば、半導体加工装置で使用されるフルオロエラストマーシール中での亜鉛または他の金属の存在は、たとえ低濃度であったとしても、プラズマエッチング技術を使用して製造される部品に汚染を生じる可能性がある。シリコンを含有するフッ素化ポリマーの二次元および三次元の架橋ネットワークの製造方法であって、重縮合が遂次重縮合によって生じる方法を利用可能にすることが望まれている。そのようにして得られたポリマーネットワークは、向上した熱特性および機械特性を示す。
【0007】
本発明は、架橋フッ素化ポリマーの製造方法であって、
A)1)40〜90モルパーセントの、フッ化ビニリデンおよびテトラフルオロエチレンからなる群から選択される第1のモノマーの共重合単位、
2)10〜60モルパーセントの、式CF2=CFORf(式中、Rfは、1〜5個の炭素原子のペルフルオロアルキレン基である)の第2のモノマーの共重合単位、
3)0〜10モルパーセントの、ヘキサフルオロプロピレンおよびテトラフルオロエチレンからなる群から選択されるコモノマーの共重合単位(ただし、前記第1のモノマーがフッ化ビニリデンである場合、前記コモノマーはテトラフルオロエチレンであることのみが可能であり、そして前記第1のモノマーがテトラフルオロエチレンである場合、前記コモノマーはヘキサフルオロプロピレンであることのみが可能である)、
4)0〜10モルパーセントの、式CF2=CFO(Rf'O)n(Rf''O)mf(式中、Rf'およびRf''は、2〜6個の炭素原子の異なる直線または分枝ペルフルオロアルキレン基であり、mおよびnは、独立して0〜10であり、そしてRfは、1〜6個の炭素原子のペルフルオロアルキル基である)のペルフルオロ(ビニルエーテル)の共重合単位(ただし、前記ペルフルオロ(ビニルエーテル)は、前記第2のモノマーとは異なる)、および
5)0〜10モルパーセントの、
a)プロパン酸、3−[1−[ジフルオロ[(1,2,2−トリフルオロエテニル)オキシ]メチル]−1,2,2,2−テトラフルオロエトキシ]−2,2,3,3−テトラフルオロ−、メチルエステル、
b)エタンスルホニルフルオリド、2−[1−[ジフルオロ[(1,2,2−トリフルオロエテニル)オキシ]メチル]−1,2,2,2−テトラフルオロエトキシ]−1,1,2,2−テトラフルオロ−、
c)1−プロパノール、3−[1−[ジフルオロ[(トリフルオロエテニル)オキシ]メチル]−1,2,2,2−テトラフルオロエトキシ]−2,2,3,3−テトラフルオロ−、
d)プロパンニトリル、3−[1−[ジフルオロ[(1,2,2−トリフルオロエテニル)オキシ]メチル]−1,2,2,2−テトラフルオロエトキシ]−2,2,3,3−テトラフルオロ−、
e)ヘキサンニトリル、2,2,3,3,4,4,5,5,6,6−デカフルオロ−6−[(1,2,2−トリフルオロエテニル)オキシ]−、
f)プロパンニトリル、2,3,3,3−テトラフルオロ−2−[1,1,2,2,3,3−ヘキサフルオロ−3−[(トリフルオロエテニル)オキシ]プロポキシ]−、
g)プロパンアミド、3−[1−[ジフルオロ[(1,2,2−トリフルオロエテニル)オキシ]メチル]−1,2,2,2−テトラフルオロエトキシ]−2,2,3,3−テトラフルオロ−、
h)1−プロパノール、3−[1−[ジフルオロ[(トリフルオロエテニル)オキシ]メチル]−1,2,2,2−テトラフルオロエトキシ]−2,2,3,3−テトラフルオロ−、リン酸二水素、および
i)プロパン酸、3−[1−[ジフルオロ[(トリフルオロエテニル)オキシ]メチル]−1,2,2,2−テトラフルオロエトキシ]−2,2,3,3−テトラフルオロ−
からなる群から選択される官能性フルオロビニルエーテルからなる群から選択される官能性フルオロビニルエーテルの共重合単位
から本質的になり、1000〜25,000g/モルの数平均分子量を有し、そして各鎖末端でヨウ素基を有する、ヨウ素化オリゴマーを供給する工程と、
B)前記ヨウ素化オリゴマーを、次式
CH2=CY−(CH2n−SiRR’R’’
(式中、Yは水素原子またはC1〜C3アルキル基であり、Rはメトキシ基またはエトキシ基であり、そしてR’およびR’’は、独立して、メチル基、メトキシ基およびエトキシ基からなる群から選択される)のビニルシランと、前記ヨウ素化オリゴマー対前記ビニルシランのモル比が1対少なくとも2.5である条件下で接触させて、次式
PC−[CH2CYI−(CH2nSiRR’R’’]m
(式中、PCは前記ヨウ素化オリゴマーのポリマー鎖であり、nは0〜2であり、そしてmは2である)の組成物であるシリコン含有ポリマー付加物を形成する工程と、
C)前記シリコン含有ポリマー付加物を酸と接触させて、架橋フッ素化ポリマーを形成する工程と
を含む方法である。
【0008】
本発明のさらなる実施形態は、
A)1)40〜90モルパーセントの、フッ化ビニリデンおよびテトラフルオロエチレンからなる群から選択される第1のモノマーの共重合単位、
2)10〜60モルパーセントの、式CF2=CFORf(式中、Rfは、1〜5個の炭素原子のペルフルオロアルキレン基である)の第2のモノマーの共重合単位、
3)0〜10モルパーセントの、ヘキサフルオロプロピレンおよびテトラフルオロエチレンからなる群から選択されるコモノマーの共重合単位(ただし、前記第1のモノマーがフッ化ビニリデンである場合、前記コモノマーはテトラフルオロエチレンであることのみが可能であり、そして前記第1のモノマーがテトラフルオロエチレンである場合、前記第3のモノマーはヘキサフルオロプロピレンであることのみが可能である)、
4)0〜10モルパーセントの、式CF2=CFO(Rf'O)n(Rf''O)mf(式中、Rf'およびRf''は、2〜6個の炭素原子の異なる直線または分枝ペルフルオロアルキレン基であり、mおよびnは、独立して0〜10であり、そしてRfは、1〜6個の炭素原子のペルフルオロアルキル基である)のペルフルオロ(ビニルエーテル)の共重合単位(ただし、前記ペルフルオロ(ビニルエーテル)は、前記第2のモノマーとは異なる)、および
5)0〜10モルパーセントの、
a)プロパン酸、3−[1−[ジフルオロ[(1,2,2−トリフルオロエテニル)オキシ]メチル]−1,2,2,2−テトラフルオロエトキシ]−2,2,3,3−テトラフルオロ−、メチルエステル、
b)エタンスルホニルフルオリド、2−[1−[ジフルオロ[(1,2,2−トリフルオロエテニル)オキシ]メチル]−1,2,2,2−テトラフルオロエトキシ]−1,1,2,2−テトラフルオロ−、
c)1−プロパノール、3−[1−[ジフルオロ[(トリフルオロエテニル)オキシ]メチル]−1,2,2,2−テトラフルオロエトキシ]−2,2,3,3−テトラフルオロ−、
d)プロパンニトリル、3−[1−[ジフルオロ[(1,2,2−トリフルオロエテニル)オキシ]メチル]−1,2,2,2−テトラフルオロエトキシ]−2,2,3,3−テトラフルオロ−、
e)ヘキサンニトリル、2,2,3,3,4,4,5,5,6,6−デカフルオロ−6−[(1,2,2−トリフルオロエテニル)オキシ]−、
f)プロパンニトリル、2,3,3,3−テトラフルオロ−2−[1,1,2,2,3,3−ヘキサフルオロ−3−[(トリフルオロエテニル)オキシ]プロポキシ]−、
g)プロパンアミド、3−[1−[ジフルオロ[(1,2,2−トリフルオロエテニル)オキシ]メチル]−1,2,2,2−テトラフルオロエトキシ]−2,2,3,3−テトラフルオロ−、
h)1−プロパノール、3−[1−[ジフルオロ[(トリフルオロエテニル)オキシ]メチル]−1,2,2,2−テトラフルオロエトキシ]−2,2,3,3−テトラフルオロ−、リン酸二水素、および
i)プロパン酸、3−[1−[ジフルオロ[(トリフルオロエテニル)オキシ]メチル]−1,2,2,2−テトラフルオロエトキシ]−2,2,3,3−テトラフルオロ−
からなる群から選択される官能性フルオロビニルエーテルからなる群から選択される官能性フルオロビニルエーテルの共重合単位
から本質的になり、1000〜25,000g/モルの数平均分子量を有し、そして各鎖末端でヨウ素基を有する、ヨウ素化オリゴマーを供給する工程と、
B)前記ヨウ素化オリゴマーを、次式
CH2=CY−(CH2n−SiRR’R’’
(式中、Yは水素原子またはC1〜C3アルキル基であり、Rはメトキシ基またはエトキシ基であり、そしてR’およびR’’は、独立して、メチル基、メトキシ基およびエトキシ基からなる群から選択される)のビニルシランと、前記ヨウ素化オリゴマー対前記ビニルシランのモル比が1対少なくとも2.5である条件下で接触させて、次式
PC−[CH2CYI−(CH2nSiRR’R’’]m
(式中、PCは前記ヨウ素化オリゴマーのポリマー鎖であり、nは0〜2であり、そしてmは2である)の組成物であるシリコン含有ポリマー付加物を形成する工程と、
C)前記シリコン含有ポリマー付加物を還元剤と接触させて、非ヨウ素化シリコン含有ポリマー付加物を形成する工程と、
D)前記非ヨウ素化シリコン含有ポリマー付加物を酸と接触させて、架橋フッ素化ポリマーを形成する工程と
を含む、架橋フッ素化ポリマーの製造方法である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は、低いガラス転移温度を有する架橋シリコン含有フッ素化エラストマーポリマーの合成のための改善された方法に関する。ポリマーは、それ自体が典型的に−30℃未満のガラス転移温度を有する二官能性ヨウ素化オリゴマーから合成される。「二官能性」とは、平均して、各オリゴマー鎖の両末端が反応性(すなわち、「官能性」)ヨウ素末端基を有することを意味する。それらがオリゴマー鎖の各末端で反応性官能基を含有するため、そのような二官能性ヨウ素化オリゴマーは、より高分子量のポリマーまたはポリマー付加物の合成で反応物として使用され得る。
【0010】
本発明の方法の一実施形態に関して、二官能性ヨウ素化(すなわち、二ヨウ素化)フルオロ−オリゴマーを、式IV
CH2=CY−(CH2n−SiRR’R’’
(IV)
(式中、Yは水素原子またはC1〜C3アルキル基であり、Rはメトキシ基またはエトキシ基であり、そしてR’およびR’’は、独立して、メチル基、メトキシ基およびエトキシ群からなる群から選択される)のビニルシランと反応させる。前記二ヨウ素化オリゴマー対前記ビニルシランのモル比は、1対少なくとも2.5、好ましくは5〜15、より好ましくは7.5〜10である。次いで、得られたヨウ素化シリコン含有ポリマー付加物を酸と反応させて、架橋フッ素化ポリマーを形成する。
【0011】
本発明の方法のもう1つの実施形態において、二官能性ヨウ素化オリゴマー(すなわち、二ヨウ素化オリゴマー)を、上記式IVのビニルシランと接触させて、ヨウ素化シリコン含有ポリマー付加物を形成する。ヨウ素化付加物を還元剤と接触させて、非ヨウ素化シリコン含有ポリマー付加物を形成し、その後、これを酸と接触させて、架橋フッ素化ポリマーを形成する。
【0012】
本発明の方法で利用されてもよい二官能性二ヨウ素化オリゴマー(テレキーレック(telechelic)二官能性二ヨウ素化オリゴマーと記されてもよい)は、1000〜25,000g/モルの数平均分子量を有し、そしてオリゴマー鎖の各末端においてヨウ素基を有する。オリゴマー鎖は、a)40〜90(好ましくは50〜85、最も好ましくは60〜75)モルパーセントの、フッ化ビニリデン(VF2)およびテトラフルオロエチレン(TFE)からなる群から選択される第1のコモノマーの共重合単位、b)10〜60、好ましくは15〜50、最も好ましくは25〜40モルパーセントの、ペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)、すなわちRfOCF=CF2(式中、Rfは1〜5個の炭素原子のペルフルオロアルキレン基である)である第2のフッ素化コモノマーの共重合単位、c)0〜10モルパーセントの、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)およびテトラフルオロエチレン(TFE)からなる群から選択されるフッ素化コモノマーの共重合単位(ただし、a)がフッ化ビニリデンである場合、c)はテトラフルオロエチレンであることのみが可能であり、そしてa)がテトラフルオロエチレンである場合、c)はヘキサフルオロプロピレンであることのみが可能である)、d)0〜10モルパーセントの、式CF2=CFO(Rf'O)n(Rf''O)mf(式中、Rf'およびRf''は、2〜6個の炭素原子の異なる直線または分枝ペルフルオロアルキレン基であり、mおよびnは、独立して0〜10であり、そしてRfは、1〜6個の炭素原子のペルフルオロアルキル基である)のペルフルオロビニルエーテルの共重合単位、ならびにe)0〜10モルパーセントの、i)プロパン酸、3−[1−[ジフルオロ[(1,2,2−トリフルオロエテニル)オキシ]メチル]−1,2,2,2−テトラフルオロエトキシ]−2,2,3,3−テトラフルオロ−、メチルエステル(EVE)、ii)エタンスルホニルフルオリド、2−[1−[ジフルオロ[(1,2,2−トリフルオロエテニル)オキシ]メチル]−1,2,2,2−テトラフルオロエトキシ]−1,1,2,2−テトラフルオロ−(PFSVE)、iii)1−プロパノール、3−[1−[ジフルオロ[(トリフルオロエテニル)オキシ]メチル]−1,2,2,2−テトラフルオロエトキシ]−2,2,3,3−テトラフルオロ−(EVE−OH)、iv)プロパンニトリル、3−[1−[ジフルオロ[(1,2,2−トリフルオロエテニル)オキシ]メチル]−1,2,2,2−テトラフルオロエトキシ]−2,2,3,3−テトラフルオロ−(8−CNVE)、v)ヘキサンニトリル、2,2,3,3,4,4,5,5,6,6−デカフルオロ−6−[(1,2,2−トリフルオロエテニル)オキシ]−(L−8−CNVE)、vi)プロパンニトリル、2,3,3,3−テトラフルオロ−2−[1,1,2,2,3,3−ヘキサフルオロ−3−[(トリフルオロエテニル)オキシ]プロポキシ]−(イソ−8−CNVE)、vii)プロパンアミド、3−[1−[ジフルオロ[(1,2,2−トリフルオロエテニル)オキシ]メチル]−1,2,2,2−テトラフルオロエトキシ]−2,2,3,3−テトラフルオロ−(AVE)、viii)1−プロパノール、3−[1−[ジフルオロ[(トリフルオロエテニル)オキシ]メチル]−1,2,2,2−テトラフルオロエトキシ]−2,2,3,3−テトラフルオロ−、リン酸二水素(EVE−P)、およびix)プロパン酸、3−[1−[ジフルオロ[(トリフルオロエテニル)オキシ]メチル]−1,2,2,2−テトラフルオロエトキシ]−2,2,3,3−テトラフルオロ−(EVE−COOH)からなる群から選択される官能性フルオロビニルエーテルの共重合単位から本質的になる。モルパーセント値は、オリゴマー中の共重合されたモノマー単位の全モル数に基づき、共重合された全モノマー単位のモルパーセントの合計は100モルパーセントである。存在する場合、d)のペルフルオロ(ビニルエーテル)は、第2のモノマーとは異なり、すなわち化学的に異なる。このことは、2種のペルフルオロ(ビニル)エーテルの分子量が異なることを意味する。
【0013】
第2のコモノマーまたは任意の追加的なペルフルオロ(ビニルエーテル)コモノマーとして使用されてもよい、好ましい種類のペルフルオロ(ビニルエーテル)には、次式
CF2=CFO(CF2CFXO)nf
(式中、XはFまたはCF3であり、nは0〜5であり、そしてRfは、1〜6個の炭素原子のペルフルオロアルキル基である)の組成物が含まれる。
【0014】
第2のモノマーは、上記の種類のペルフルオロアルキル(ビニルエーテル)の一員であり、そしてnが0であり、Rfが1〜3個の炭素原子を含有するそれらのエーテルが含まれる。そのようなペルフッ素化エーテルの例は、ペルフルオロ(メチルビニルエーテル)(PMVE)、ペルフルオロ(エチルビニルエーテル)およびペルフルオロ(プロピルビニルエーテル)(PPVE)である。そのようなコモノマーは、d)の任意のペルフルオロ(エチルビニル)エーテルコモノマーとして利用されてもよい。例えば、第2のモノマーはペルフルオロ(メチルビニル)エーテルであってもよく、そして任意の追加的なペルフルオロ(ビニルエーテル)はペルフルオロ(プロピルビニル)エーテルであってもよい。
【0015】
任意の追加的なペルフルオロ(ビニルエーテル)として使用されてもよい有用なペルフルオロビニルエーテルには、次式
CF2=CFO[(CF2mCF2CFZO]nf
(式中、Rfは、1〜6個の炭素原子を有するペルフルオロアルキル基であり、m=0または1、n=0〜5、およびZ=FまたはCF3である)の組成物が含まれる。この種類の好ましい一員は、RfがCF3であり、m=1、n=1およびZ=Fであるもの、ならびにRfがC37であり、m=0およびn=1であるものである。
【0016】
追加的なペルフルオロビニルエーテルには、次式
CF2=CFO[(CF2CF{CF3}O)n(CF2CF2CF2O)m(CF2p]Cx2x+1
(式中、mおよびnは、独立して0〜10であり、p=0〜3およびx=1〜5)の化合物が含まれる。この種類の好ましい一員には、n=0〜1、m=0〜1およびx=1の化合物が含まれる。
【0017】
有用なペルフルオロビニルエーテルの他の追加的な例には、
CF2=CFOCF2CF(CF3)O(CF2O)mn2n+1
(式中、n=1〜5、m=1〜3、そして好ましくはn=1)が含まれる。
【0018】
オリゴマーは、室温で粘性油から固体までの範囲に及び(例えば、いくつかの例において、固体はガム状である)、そして1000〜25,000、好ましくは1200〜12,000、最も好ましくは1500〜5000の数平均分子量を有する。加えて、オリゴマーは狭い、すなわち、1.5未満、好ましくは1.2未満の分子量分布を有する。
【0019】
オリゴマーは、溶液、懸濁またはエマルジョン重合法によって合成されてもよい。そのような方法は当該技術において周知である。好ましくは、無機ペルオキシド(例えば、過硫酸ナトリウムまたは過硫酸アンモニウム)が開始剤であるエマルジョン法が使用される。エマルジョンの安定性を改善するために、任意選択的に、界面活性剤、特にフルオロ界面活性剤が含まれてもよい。
【0020】
重合反応は、式I−Rf−I(式中、Rfは、3〜12個の炭素原子を含有するペルフルオロアルキレン基、または酸素原子含有ペルフルオロアルキレン基である)の連鎖移動剤の存在下で行われる。好ましい連鎖移動剤は、1,2−ジヨードペルフルオロエタン、1,4−ジヨードペルフルオロブタンおよび1,6−ジヨードペルフルオロヘキサンであり、そしてジヨードペルフルオロアルカンの混合物であってもよい。連鎖移動剤は、典型的に、重合反応開始前に反応器に導入され、そして、オリゴマー鎖の各末端にヨウ素原子末端基を有するオリゴマーが製造されるために十分な濃度で存在する。典型例として、モノマーの全モル量に基づき、約4〜12モル%、好ましくは5〜10モル%の連鎖移動剤が利用される。平均して2個のヨウ素原子が各ポリマー鎖上に存在することを確認するために、NMR分光法を使用してもよい。
【0021】
本発明の方法で使用されてもよいヨウ素化オリゴマーの具体的な例には、限定されないが、I−(VF2−co−PMVE)−I、I−CH2CH2−(VF2−co−PMVE)−CH2CH2−I、I−(TFE−co−PMVE)−I、I−CH2CH2−(TFE−co−PMVE)−CH2CH2−I、I−(TFE−co−PMVE−co−HFP)−I、I−CH2CH2−(TFE−co−PMVE−co−HFP)−CH2CH2−I、I−(TFE−co−PMVE−co−VF2)−I、およびI−CH2CH2−(TFE−co−PMVE−co−VF2)−CH2CH2−Iが含まれる。「−co−」という表示は、記載されたモノマーが、ポリマー骨格鎖の一部を形成する共重合単位であることを示す。共重合単位は、ポリマー鎖に沿ってランダムに、または統計的な順番で分布する。
【0022】
本発明の方法によると、テレキーレック(telechelic)二官能性ヨウ素化オリゴマーを、次式
CH2=CY−(CH2n−SiRR’R’’
(式中、Yは水素原子またはC1〜C3アルキル基であり、Rはメトキシ基またはエトキシ基であり、そしてR’およびR’’は、独立して、C1〜C6アルキル基およびアルコキシ基からなる群から選択される)のビニルアルコキシシランと接触させる。好ましい種には、メチル基、メトキシ基およびエトキシ基が含まれる。テレキーレック(telechelic)二ヨウ素化オリゴマー対ビニルシランのモル比は、1対少なくとも2.5である。二ヨウ素化オリゴマーおよびシランは反応して、ヨウ素化シリコン含有ポリマー付加物を形成する。
【0023】
ビニルアルコキシシランは、アルコキシシランとアセチレンとの触媒ヒドロシリル化反応によって調製されてもよい。もう1つのアプローチには、ビニルクロロシランとアルコールとの反応が含まれる。調製方法は、米国特許第2,637,738号明細書、同第4,579,965号明細書、同第5,041,595号明細書、および欧州特許第477894号明細書に記載されている。また、ビニルアルコキシシランは、例えば、Sigma−Aldrich Co.およびGelest Inc.から商業的に入手可能でもある。
【0024】
これらの化合物は当該技術で周知であり、限定されないが、ビニルトリエトキシシラン、ビニルジメチルメトキシシラン、ビニルジメチルエトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、ビニルエチルジエトキシシランおよびビニルトリメトキシシランが含まれる。最も好ましくは、化合物が容易に二官能性ヨウ素化オリゴマー(すなわち、テレキーレック(telechelic)二ヨウ素化オリゴマー)と反応して、さらに三次元ポリマーネットワークへと変換されてもよい付加物を形成するため、シランはビニルトリエトキシシランまたはビニルトリメトキシシランである。
【0025】
二官能性ヨウ素化オリゴマーとビニルシランとの反応は、典型的に、溶媒中、40℃〜180℃、好ましくは、50℃〜140℃の温度で実行される。適切な溶媒には、限定されないが、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ブチロニトリル、酢酸エチル、メチルエチルケトンおよびジオキサンが含まれる。フリーラジカル開始剤が反応混合物中に存在する。適切なラジカル発生化合物には、t−ブチペルオキシピバレート、t−アミルペルオキシピバレート、ジ−t−ブチルペルオキシド、アゾイソブチオニトリル、過酸化水素、ベンゾイルペルオキシド、t−ブチルシクロヘキシルペルオキシジカルボネート、2,5−ビス−(t−ブチルペルオキシ)−2,5−ジメチルヘキサンが含まれる。ビニルアルコキシシランは、二ヨウ素化(すなわち二官能性またはテレキーレック(telechelic))オリゴマー反応物中のヨウ素1当量あたり、少なくとも1.5当量の量で存在しなければならない。好ましくは、ビニルアルコキシシランの量は、ヨウ素化二官能性オリゴマー反応物中のヨウ素1当量あたり、2.0〜5.0当量の量で存在する。反応は、好ましくは、ラジカル捕捉剤である酸素の存在によって生じる阻害期間を低減するために、不活性雰囲気で行われる。
【0026】
得られる反応生成物は、アルコキシシラン末端基を有するテレキーレック(telechelic)α,ω−二ヨウ素化シリル化フルオロオリゴマーである、ポリマーシリコン含有付加物である。すなわち、反応生成物は、二官能性の、二ヨウ素化された、シリル化されたフルオロオリゴマーである。
【0027】
本発明の一実施形態において、ポリマーシリコン含有付加物は、架橋フッ素化ポリマーを形成するための出発物質として、さらなる処理を行わずに利用される。すなわち、シリコン含有付加物は酸接触反応において加水分解され、これによって、付加物に存在するアルコキシシラン末端基の加水分解が生じ、SiOH末端基が形成する。次いで、これらの末端基を反応させ、高分子量ネットワーク構造を形成する。ネットワークは化学架橋反応によって形成され、この時、同時にアルコールが排除されるポリマー付加物分子の反応によって、共有結合(すなわち、架橋)が形成される。架橋にはSi−O−Si基が含まれる。加水分解反応の生成物はフルオロシリコンポリマーであり、これは、エラストマー特性と、生成物のTg、すなわち、−35℃未満による優れた低温特性を有する。
【0028】
酸触媒反応は、周囲温度から約120℃、一般に、周囲温度から60℃までの温度で実行されてよく、有機溶媒中で行われてよい。適切な溶媒には、テトラヒドロフラン、メチルエチルケトン、ジオキサン、ブチロニトリル、酢酸エチル、ジメチルホルムアミドおよびジメチルアセトアミドが含まれる。触媒として使用するために適切な酸には、限定されないが、メタンスルホン酸、トリフリン酸、パラトルエンスルホン酸、塩酸、硝酸および硫酸が含まれる。溶媒中の酸の濃度は、一般に、1リットルあたり10-7〜10-1モルの範囲であり、好ましくは、1リットルあたり10-6〜5×10-3モルの範囲である。酸接触架橋反応によって製造された架橋ネットワークの形態は、利用される具体的なビニルアルコキシシラン次第で異なる。例えば、ビニルトリエトキシシランなどの三置換ビニルアルコキシシランが、テレキーレック(telechelic)シリル化オリゴマーを形成するための反応物として使用される場合は、ビニルメチルジメトキシシランが、シリル化オリゴマーを形成するための反応物として使用される場合よりも、ネットワークは高度に架橋される。選択される具体的なビニルアルコキシシランは、架橋ポリマー生成物で望ましい具体的な物理特性次第である。
【0029】
シリコン含有フルオロエラストマーの特性を変性するために、他の試薬が反応混合物に添加されてもよい。例えば、テトラエトキシシラン、テトラエチオキシジメチルシラン、テトラメチルジシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、テトラメチルジエトキシシランまたはポリ(ジメチルシロキサン)などのシリコン化合物およびポリマーが添加されてもよい。あるいは、式M(OR)x(式中、MはAl、Ti、Zr、Siを表し、OR=OCn2n+1)の有機金属化合物が変性剤として利用されてもよい。チタンテトラ(イソプロポキシド)およびホウ素トリス(ペンタフルオロベンゼン)は、そのような組成物の例である。そのような化合物は、アルコキシ基の反応を促進し、それによって、加水分解および縮合を触媒し、ポリマーネットワークを形成する。
【0030】
本発明の方法のもう1つの実施形態において、シリコン含有ポリマー付加物を還元剤と接触させて、非ヨウ素化シリコン含有ポリマー付加物を形成し、これを、架橋フルオロポリマー生成物を形成するための出発物質として利用する。この実施形態において、水素化トリブチルスズ、非プロトン溶媒中の亜鉛、水素化リチウムアルミニウム、水素化ホウ素ナトリウム、ナトリウムアマルガム、ジボラン、および様々な触媒上の水素などの還元剤が利用されてもよい。非ヨウ素化シリコン含有付加物は、アセトニトリルなどの溶媒中、高温、例えば、50℃〜100℃で、アゾビスイソブチロニトリルなどのフリーラジカル発生剤の存在下で、ヨウ素化シリコン含有付加物を、水素化スズなどの選択された還元剤と接触させることによって、容易に調製され得る。
【0031】
二ヨウ素化二官能性オリゴマー(テレキーレック(telechelic)二ヨウ素化オリゴマーとも記される)とビニルシランとの溶媒含有反応混合物を使用して、キャスティングによって架橋ポリマー膜を形成してもよい。すなわち、オリゴマーとビニルシランとを反応させて、ポリマー付加物を形成する。付加物の膜をキャストし、そして酸触媒、または膜と接触している空気中の微量の酸への膜中のポリマー付加物の暴露によって加水分解が生じる。あるいは、過剰なビニルアルコキシシランおよび溶媒をエバポレーションによって除去し、フルオロシリコンポリマー生成物を生じてもよい。室温で、またはオーブン中で、一般に70℃〜120℃の温度で、生成物を乾燥させてもよい。好ましくは、乾燥工程は不活性雰囲気下のオーブン中で行われる。
【0032】
本発明の方法によって調製されたフルオロシリコンエラストマーを、特に、例えば−20℃未満の温度で、過酷な条件への暴露を経験する用途のための屈曲性チューブ、ホース、o−リング、ガスケットおよび他のゴム物品などの物品を製造するために使用することができる。このポリマーは、特に、シール、o−リング、ガスケットおよびダイヤフラムなどの自動車および航空宇宙用途のための物品を形成するために有用である。
【実施例】
【0033】
試験方法
数平均分子量(Mn)は、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によって決定した。試料をテトラヒドロフラン(THF)に溶解した。分析は、Polymer Laboratoriesからの2本のPLgel 5μm Mixed−Cカラムと、Spectra Physics SP8430 Refractive Index(RI)およびUV検出器とを備えたSpectra−Physicsクロマトグラフによって行った(PVF2−Isに帰属する信号は、屈折率で負の値を示す)。ジメチルホルムアミド(DMF)またはテトラヒドロフラン(THF)を、0.8mL分-1の流量で、それぞれ、温度=70℃および温度=30℃における溶離剤として使用した。標準は、Polymer Laboratoriesまたは他の販売元から購入した単分散ポリ(スチレン)(PS)であった。末端基積分による19F NMRも利用して、ポリ(VDF−co−PMVE)コポリマーのMnおよび微細構造を確認した。
【0034】
ガラス転移温度(Tg)を、示差走査熱量計(DSC)により決定した。DSC測定を、Perkin Elmer Pyris 1機器を使用して行った。各試料(約10mg)を最初に−105℃の温度に10分間冷却し、次いで、−100°から50℃まで20℃/分の加熱速度で加熱した。次いで、試料を−105°まで冷却し、このサイクルを繰り返した。報告される値は、2回目の加熱後に得られた。報告されるTg値は、DSC曲線の変曲点に相当する。
【0035】
分解温度(Td)を、熱重量分析(TGA)により決定した。TGAを、空気中、室温から最高550℃まで、10℃または20℃/分のいずれかの加熱速度で、Texas Instrument ATG 51−133装置によって行った。また、TGAを使用して、試料の重量損失が10%の時点の温度を表すT10を決定した。
【0036】
実施例1
ヨウ素化オリゴマーAの調製
1リットルの反応器に、脱酸素化水(400mL)、過硫酸ナトリウム(1.84g)および1,4−ジヨードペルフルオロブタン(35.75g)を充填した。この反応器を密封し、−40℃に冷却し、脱気した。次いで、ペルフルオロ(メチルビニルエーテル)(PMVE、83g)およびフッ化ビニリデン(VF2、48g)のモノマーを反応器中に移した。反応器を再度密封し、この反応混合物を約1時間かけて80℃までゆっくり加熱した。この反応を80℃で8時間進行させた。冷却後、反応器の内容物を回収し、Vertrel(登録商標)−XF溶媒[2,3−ジヒドロペルフルオロペンタン](DuPontから入手可能)で2回抽出した。抽出物を組み合わせ、水で洗浄して、いずれのナトリウム塩残渣も除去した。この溶液を、硫酸ナトリウム粉末下でさらに乾燥して、水を除去した。この溶媒を、ロータリーエバポレーションで、次いで高真空によって除去した。透明で無色の粘性液体であるヨウ素化オリゴマーA、50グラムが得られた。
【0037】
ヨウ素化オリゴマーAの組成は、アセトン−d6中の19F−NMRによって、71.8/28.2(モル%)のVF2/PMVEであると決定された。このオリゴマーのガラス転移温度は、DSCにより、−58℃であると決定され、Mnは、ポリスチレンを標準として使用して、テトラヒドロフラン中でのSECにより、約2490g/モル(多分散性1.126)であると決定された。
【0038】
シリコン含有ポリマー付加物1の調製
ヨウ素化オリゴマーAを、以下の通りにトリエトキシビニルシランと反応させた。200ml丸底フラスコ中、ヨウ素化オリゴマーA(10g、0.004モル)、トリエトキシビニルシラン(1.90g、0.01モル)、およびtert−ブチルペルオキシピバレート(0.2g、0.0012モル)を、ヨウ素化オリゴマーの重量の約4倍量のアセトニトリル中に溶解させた。アセトニトリルは、硫酸ナトリウム上であらかじめ乾燥しておいた。残留酸素を除去するために、溶液を5分間アルゴンでパージした。反応混合物を攪拌しながら、反応混合物の温度を
【0039】
【化1】

【0040】
まで高めた。反応を9時間進行させた。シリコン含有付加物、シリコン含有ポリマー付加物1が形成した。溶媒をロータリーエバポレーションによって反応混合物から蒸発させ、そして未反応のトリエトキシビニルシランを高真空下で除去した。生成物を1Hおよび19F NMRによって特徴決定した。
【0041】
【化2】

【0042】
5.5〜6.5ppmにはシグナルなし(エチレンプロトンに帰属)。
19F NMR(ppm):−39ppmのシグナルなし
【0043】
【化3】

【0044】
;−53(PMVEのOCF3);−92(ノーマルVDF付加物のCH2);
【0045】
【化4】

【0046】
;−113および−116、ほとんど無視してよい
【0047】
【化5】

【0048】
;−118〜−122(PMVEおよび連鎖移動剤のCF2);−127(VDFの次のPMVE中のCF);−146.0(リバースVDF単位へのPMVEの−CF(OCF3)−)。
【0049】
架橋フッ素化ポリマーの調製
シリコン含有ポリマー付加物1(2.0g、8×10-4モル)、メタンスルホン酸(0.015g、1.6×10-4s)およびテトラヒドロフラン(0.585g)を、溶液が形成されるまで攪拌した。この溶液から薄膜をキャストした。この膜を数時間、周囲温度で保持した。この間、テトラヒドロフランは蒸発して、架橋が生じた。架橋フルオロポリマー膜は、−30℃のTgおよび290℃のT10を有した。
【0050】
実施例2
シリコン含有ポリマー付加物1(2.0g、8×10-4モル)、塩酸(0.2g、1×10-4モル)、テトラエトキシシラン(0.2g、1×10-4モル)、およびテトラヒドロフラン(1.0g)を、溶液が形成されるまで攪拌した。この溶液から厚さ2〜3mmの膜をキャストした。この膜を数時間、周囲温度で保持した。この間、テトラヒドロフランは蒸発して、架橋が生じた。架橋フルオロポリマー膜は、−15℃のTgおよび300℃のT10を有した。
【0051】
29Si固体NMR:T0(4.6%);T1(11.4%);T2(36.8%);T3(36.0%);Q3(5.8%);Q4(5.4%)。膨潤率:24時間室温(RT)でエタノール中(12%);24時間室温でアセトン中(11%);24時間室温でn−オクタン中(0%);24時間60℃でn−オクタン中(1%)。
【0052】
空気下、400℃で1重量%の損失。
【0053】
実施例3
シリコン含有ポリマー付加物2の調製
一般に、シリコン含有ポリマー付加物1の調製に関する上記手順に従って、ヨウ素化オリゴマーAをジエトキシビニルメチルシランと反応させた。反応物は以下の通りであった。ヨウ素化オリゴマーA(10g、0.004モル)、ジエトキシビニルメチルシラン(1.6g、0.01モル)、およびtert−ブチルペルオキシピバレート(0.2g、0.0012モル)。約30gの乾燥アセトニトリルを溶媒として使用した。シリコン含有付加物、シリコン含有ポリマー付加物2が形成した。溶媒をロータリーエバポレーションによって反応混合物から蒸発させ、そして未反応のジエトキシビニルメチルシランを高真空下で除去した。生成物を1Hおよび19F NMRによって特徴決定した。
【0054】
1H NMR(ppm):
【0055】
【化6】

【0056】
5.5〜6.5ppmにはシグナルなし(エチレンプロトンに帰属)。
19F NMR(ppm):−39ppmのシグナルなし
【0057】
【化7】

【0058】
−53(PMVEのOCF3);−92(ノーマルVDF付加物のCH2);
【0059】
【化8】

【0060】
−118〜−122(PMVEおよび連鎖移動剤のCF2)。
【0061】
架橋フッ素化ポリマーの調製
シリコン含有ポリマー付加物2(2.0g、8×10-4モル)、メタンスルホン酸(0.015g、1.6×10-4モル)、およびメチルエチルケトン(0.585g)を、溶液が形成されるまで攪拌し、キャスティング混合物3を形成した。直ちに、このキャスティング混合物から薄膜をキャストした。この膜を数時間、周囲温度で保持した。この間、メチルエチルケトンは蒸発して、架橋が生じた。架橋膜は、−28℃のTgおよび310℃のT10を有した。膨潤率:24時間室温でn−オクタン中(1%)、24時間60℃でn−オクタン中(2%)。空気下、200℃で2.5重量%の損失。
【0062】
実施例4
実施例3のキャスティング混合物3を60分間60℃で攪拌した。次いで、得られた混合物から厚さ2〜3mmの膜をキャストした。この膜を数時間、周囲温度で保持した。この間、メチルエチルケトンは蒸発して、架橋が生じた。架橋膜は、−28℃のTgおよび310℃のT10を有した。これは、実施例3の架橋フィルムの相当する物理特性値と変わらなかった。架橋膜のn−オクタン中での膨潤率は、室温で24時間後は0%、60℃で24時間後は0%であった。
【0063】
実施例5
シリコン含有ポリマー付加物2(2.0g、8×10-4モル)、メタンスルホン酸(0.015g、1.6×10-4モル)、およびヒュームドシリカ(1.5g)を混合し、キャスティング混合物5を形成した。直ちに、このキャスティング混合物から薄膜をキャストした。この膜を数時間、周囲温度で保持した。架橋膜は、−25℃のTgおよび307℃のT10を有した。架橋膜のn−オクタン中での膨潤率は、室温で24時間後は1%、60℃で24時間後は2%であった。
【0064】
実施例6
シリコン含有ポリマー付加物2(2.0g、8×10-4モル)、メタンスルホン酸(0.015g、1.6×10-4モル)、チタン酸テトライソプロピル(0.023g、8×10-5モル)、およびメチルエチルケトン(0.585g)を、周囲温度で溶解するまで攪拌し、キャスティング混合物6を形成した。直ちに、このキャスティング混合物から薄膜をキャストした。この膜を数時間、周囲温度で保持した。架橋膜は、−27℃のTgおよび310℃のT10を有した。n−オクタン中での膨潤率は、室温で24時間後は1%、60℃で24時間後は2%であった。
【0065】
実施例7
シリコン含有ポリマー付加物2(2.0g、8×10-4モル)、メタンスルホン酸(0.015g、1.6×10-4モル)、チタン酸テトライソプロピル(0.023g、8×10-5モル)、およびメチルエチルケトン(0.585g)を、完全に混合するまで60℃で攪拌し、キャスティング混合物7を形成した。直ちに、このキャスティング混合物から厚さ2〜3mmの膜をキャストした。この膜を数時間、周囲温度で保持した。架橋膜は、−30℃のTgおよび300℃のT10を有した。膨潤率は、室温で24時間後、エタノール中で8%、室温で24時間後、アセトン中で91%であった。
【0066】
実施例8
シリコン含有ポリマー付加物2(2.0g、8×10-4モル)、HSi(CH32O(CH32H(0.4g、3.2×10-3モル)、および(ペンタフルオロフェニル)ルボロン(0.016g、3.2×10-5モル)を、完全に混合するまで周囲温度で攪拌し、キャスティング混合物8を形成した。直ちに、このキャスティング混合物から薄膜をキャストした。この膜を数時間、周囲温度で保持した。架橋膜は、−47℃のTgおよび305℃のT10を有した。
【0067】
実施例9
シリコン含有ポリマー付加物2(2.0g、8×10-4モル)、100の重合度を有するポリジメチルシラン(0.32g、4×10-5モル)、トリフェニルボロン(200mg)、およびヒュームドシリカ(0.03g)を、完全に混合するまで周囲温度で攪拌し、キャスティング混合物9を形成した。直ちに、このキャスティング混合物から薄膜をキャストした。この膜を数時間、周囲温度で保持した。架橋膜は、−40℃のTgおよび310℃のT10を有した。n−オクタン中での膨潤率は、室温で24時間後は0%、60℃で24時間後は1%であった。
【0068】
実施例10
シリコン含有ポリマー付加物3の調製
一般に、シリコン含有ポリマー付加物1の調製に関する上記手順に従って、ヨウ素化オリゴマーAをエトキシビニルジメチルシランと反応させた。反応物は以下の通りであった。ヨウ素化オリゴマーA(10g、0.004モル)、エトキシビニルジメチルシラン(1.6g、0.01モル)、およびtert−ブチルペルオキシピバレート(0.2g、0.0012モル)。硫酸ナトリウム上で乾燥させたアセトニトリル約30gを溶媒として使用した。シリコン含有付加物、シリコン含有ポリマー付加物3が形成した。溶媒をロータリーエバポレーションによって反応混合物から蒸発させ、そして未反応のエトキシビニルジメチルシランを高真空下で除去した。生成物を1Hおよび19F NMRによって特徴決定した。
【0069】
1H NMR(ppm):
【0070】
【化9】

【0071】
5.5〜6.5ppmにはシグナルなし(エチレンプロトンに帰属)。
19F NMR(ppm):−39ppmのシグナルなし
【0072】
【化10】

【0073】
−118〜−122(PMVEおよび連鎖移動剤のCF2);−127(VDFの次のPMVE中のCF);−146.0(リバースVDF単位の次のPMVEの−CF(OCF3)−)。
【0074】
架橋フッ素化ポリマーの調製
シリコン含有ポリマー付加物2(1.0g、4×10-4モル)、シリコン含有ポリマー付加物3(1.0g、4×10-4モル)、メタンスルホン酸(0.015g、1.6×10-4モル)、およびメチルエチルケトン(0.585g)を、60℃で60分間攪拌し、キャスティング混合物10を形成した。直ちに、このキャスティング混合物から薄膜をキャストした。この膜を数時間、周囲温度で保持した。この間、メチルエチルケトンは蒸発して、架橋が生じた。架橋膜は、−29℃のTgおよび300℃のT10を有した。
【0075】
実施例11
シリコン含有ポリマー付加物2(1.6g、6.4×10-4モル)、シリコン含有ポリマー付加物3(1.6g、6.4×10-4モル)メタンスルホン酸(0.015g、1.6×10-4モル)、およびメチルエチルケトン(0.585g)を、60℃で60分間攪拌し、キャスティング混合物11を形成した。直ちに、このキャスティング混合物から薄膜をキャストした。この膜を数時間、周囲温度で保持した。この間、メチルエチルケトンは蒸発して、架橋が生じた。架橋膜は、−28℃のTgおよび310℃のT10を有した。架橋膜のn−オクタン中での膨潤率は、室温で24時間後は2%、60℃で24時間後は2%であった。
【0076】
実施例12
シリコン含有ポリマー付加物2(0.4g、1.6×10-4モル)、シリコン含有ポリマー付加物3(1.6g、6.4×10-4モル)、メタンスルホン酸(0.015g、1.6×10-4モル)、およびメチルエチルケトン(0.585g)を、60℃で60分間攪拌し、キャスティング混合物12を形成した。直ちに、このキャスティング混合物から薄膜をキャストした。この膜を数時間、周囲温度で保持した。この間、メチルエチルケトンは蒸発して、架橋が生じた。架橋膜は、−31℃のTgおよび300℃のT10を有した。
【0077】
実施例13
シリコン含有ポリマー付加物2(1.0g、4×10-4モル)、シリコン含有ポリマー付加物3(1.0g、4×10-4モル)、およびメタンスルホン酸(0.015g、1.6×10-4モル)を撹拌し、キャスティング混合物13を形成した。直ちに、このキャスティング混合物から薄膜をキャストした。架橋膜は、−35℃のTgおよび305℃のT10を有した。架橋膜のn−オクタン中での膨潤率は、室温で24時間後は1%、60℃で24時間後は3%であった。
【0078】
実施例14
シリコン含有ポリマー付加物2(1.6g、6.4×10-4モル)、シリコン含有ポリマー付加物3(0.4g、1.6×10-4モル)、およびメタンスルホン酸(0.015g、1.6×10-4モル)を撹拌し、キャスティング混合物14を形成した。直ちに、このキャスティング混合物から薄膜をキャストした。架橋膜は、−21℃のTgおよび305℃のT10を有した。架橋膜のn−オクタン中での膨潤率は、室温で24時間後は0%、60℃で24時間後は2%であった。空気下、200℃で2時間後、11重量%の損失。
【0079】
実施例15
シリコン含有ポリマー付加物2(0.4g、1.6×10-4モル)、シリコン含有ポリマー付加物3(1.6g、6.4×10-4モル)、およびメタンスルホン酸(0.015g、1.6×10-4モル)を撹拌し、キャスティング混合物15を形成した。直ちに、このキャスティング混合物から薄膜をキャストした。架橋膜は、−31℃のTgおよび305℃のT10を有した。
【0080】
実施例16
シリコン含有ポリマー付加物2(1.2g、4.8×10-4モル)、シリコン含有ポリマー付加物3(0.8g、3.2×10-4モル)、およびメタンスルホン酸(0.015g、1.6×10-4モル)を撹拌し、キャスティング混合物16を形成した。直ちに、このキャスティング混合物から薄膜をキャストした。架橋膜は、−29℃のTgおよび305℃のT10を有した。n−オクタン中での膨潤率は、室温で24時間後は0%、60℃で24時間後は2%であった。
【0081】
実施例17
シリコン含有ポリマー付加物2(1.32g、5.28×10-4モル)、シリコン含有ポリマー付加物3(0.72g、2.88×10-4モル)、およびメタンスルホン酸(0.015g、1.6×10-4モル)を撹拌し、キャスティング混合物17を形成した。直ちに、このキャスティング混合物から薄膜をキャストした。架橋膜は、−28℃のTgおよび310℃のT10を有した。n−オクタン中での膨潤率は、室温で24時間後は0%、60℃で24時間後は2%であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
架橋フッ素化ポリマーの製造方法であって、
A)1)40〜90モルパーセントの、フッ化ビニリデンおよびテトラフルオロエチレンからなる群から選択される第1のモノマーの共重合単位、
2)10〜60モルパーセントの、式CF2=CFORf(式中、Rfは、1〜5個の炭素原子のペルフルオロアルキレン基である)の第2のモノマーの共重合単位、
3)0〜10モルパーセントの、ヘキサフルオロプロピレンおよびテトラフルオロエチレンからなる群から選択されるコモノマーの共重合単位(ただし、前記第1のモノマーがフッ化ビニリデンである場合、前記コモノマーはテトラフルオロエチレンであることのみが可能であり、そして前記第1のモノマーがテトラフルオロエチレンである場合、前記コモノマーはヘキサフルオロプロピレンであることのみが可能である)、
4)0〜10モルパーセントの、式CF2=CFO(Rf'O)n(Rf''O)mf(式中、Rf'およびRf''は、2〜6個の炭素原子の異なる直線または分枝ペルフルオロアルキレン基であり、mおよびnは、独立して0〜10であり、そしてRfは、1〜6個の炭素原子のペルフルオロアルキル基である)のペルフルオロ(ビニルエーテル)の共重合単位(ただし、前記ペルフルオロ(ビニルエーテル)は、前記第2のモノマーとは異なる)、ならびに
5)0〜10モルパーセントの、
a)プロパン酸、3−[1−[ジフルオロ[(1,2,2−トリフルオロエテニル)オキシ]メチル]−1,2,2,2−テトラフルオロエトキシ]−2,2,3,3−テトラフルオロ−、メチルエステル、
b)エタンスルホニルフルオリド、2−[1−[ジフルオロ[(1,2,2−トリフルオロエテニル)オキシ]メチル]−1,2,2,2−テトラフルオロエトキシ]−1,1,2,2−テトラフルオロ−、
c)1−プロパノール、3−[1−[ジフルオロ[(トリフルオロエテニル)オキシ]メチル]−1,2,2,2−テトラフルオロエトキシ]−2,2,3,3−テトラフルオロ−、
d)プロパンニトリル、3−[1−[ジフルオロ[(1,2,2−トリフルオロエテニル)オキシ]メチル]−1,2,2,2−テトラフルオロエトキシ]−2,2,3,3−テトラフルオロ−、
e)ヘキサンニトリル、2,2,3,3,4,4,5,5,6,6−デカフルオロ−6−[(1,2,2−トリフルオロエテニル)オキシ]−、
f)プロパンニトリル、2,3,3,3−テトラフルオロ−2−[1,1,2,2,3,3−ヘキサフルオロ−3−[(トリフルオロエテニル)オキシ]プロポキシ]−、
g)プロパンアミド、3−[1−[ジフルオロ[(1,2,2−トリフルオロエテニル)オキシ]メチル]−1,2,2,2−テトラフルオロエトキシ]−2,2,3,3−テトラフルオロ−、
h)1−プロパノール、3−[1−[ジフルオロ[(トリフルオロエテニル)オキシ]メチル]−1,2,2,2−テトラフルオロエトキシ]−2,2,3,3−テトラフルオロ−、リン酸二水素、および
i)プロパン酸、3−[1−[ジフルオロ[(トリフルオロエテニル)オキシ]メチル]−1,2,2,2−テトラフルオロエトキシ]−2,2,3,3−テトラフルオロ−
からなる群から選択される官能性フルオロビニルエーテルからなる群から選択される官能性フルオロビニルエーテルの共重合単位
から本質的になるヨウ素化オリゴマーを供給する工程であって、前記二ヨウ素化オリゴマーが1000〜25,000g/モルの数平均分子量を有し、そして前記オリゴマーが各鎖末端でヨウ素基を有する工程と、
B)前記ヨウ素化オリゴマーを、次式
CH2=CY−(CH2n−SiRR’R’’
(式中、Yは水素原子またはC1〜C3アルキル基であり、Rはメトキシ基またはエトキシ基であり、そしてR’およびR’’は、独立して、メチル基、メトキシ基およびエトキシ基からなる群から選択される)のビニルシランと、モル比の条件下で接触させて、次式
PC−[CH2CYI−(CH2nSiRR’R’’]m
(式中、PCは前記ヨウ素化オリゴマーのポリマー鎖であり、nは0〜2であり、そしてmは2である)の組成物であるシリコン含有ポリマー付加物を形成する工程と、
C)前記シリコン含有ポリマー付加物を酸と接触させて、架橋フッ素化ポリマーを形成する工程と
を含む方法。
【請求項2】
前記第1のモノマーがフッ化ビニリデンである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1のモノマーがテトラフルオロエチレンである、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第2のモノマーがペルフルオロメチルビニルエーテルである、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
ヨウ素化オリゴマー対ビニルシランのモル比が7.5〜10である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
工程Cで利用される前記酸が、メタンスルホン酸、トリフリン酸、パラトルエンスルホン酸、塩酸、硝酸および硫酸からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
架橋フッ素化ポリマーの製造方法であって、
A)1)40〜90モルパーセントの、フッ化ビニリデンおよびテトラフルオロエチレンからなる群から選択される第1のモノマーの共重合単位、
2)10〜60モルパーセントの、式CF2=CFORf(式中、Rfは、1〜5個の炭素原子のペルフルオロアルキレン基である)の第2のモノマーの共重合単位、
3)0〜10モルパーセントの、ヘキサフルオロプロピレンおよびテトラフルオロエチレンからなる群から選択されるコモノマーの共重合単位(ただし、前記第1のモノマーがフッ化ビニリデンである場合、前記コモノマーはテトラフルオロエチレンであることのみが可能であり、そして前記第1のモノマーがテトラフルオロエチレンである場合、前記第3のモノマーはヘキサフルオロプロピレンであることのみが可能である)、
4)0〜10モルパーセントの、式CF2=CFO(Rf'O)n(Rf''O)mf(式中、Rf'およびRf''は、2〜6個の炭素原子の異なる直線または分枝ペルフルオロアルキレン基であり、mおよびnは、独立して0〜10であり、そしてRfは、1〜6個の炭素原子のペルフルオロアルキル基である)のペルフルオロ(ビニルエーテル)の共重合単位(ただし、前記ペルフルオロ(ビニルエーテル)は、前記第2のモノマーとは異なる)、および
5)0〜10モルパーセントの、
a)プロパン酸、3−[1−[ジフルオロ[(1,2,2−トリフルオロエテニル)オキシ]メチル]−1,2,2,2−テトラフルオロエトキシ]−2,2,3,3−テトラフルオロ−、メチルエステル、
b)エタンスルホニルフルオリド、2−[1−[ジフルオロ[(1,2,2−トリフルオロエテニル)オキシ]メチル]−1,2,2,2−テトラフルオロエトキシ]−1,1,2,2−テトラフルオロ−、
c)1−プロパノール、3−[1−[ジフルオロ[(トリフルオロエテニル)オキシ]メチル]−1,2,2,2−テトラフルオロエトキシ]−2,2,3,3−テトラフルオロ−、
d)プロパンニトリル、3−[1−[ジフルオロ[(1,2,2−トリフルオロエテニル)オキシ]メチル]−1,2,2,2−テトラフルオロエトキシ]−2,2,3,3−テトラフルオロ−、
e)ヘキサンニトリル、2,2,3,3,4,4,5,5,6,6−デカフルオロ−6−[(1,2,2−トリフルオロエテニル)オキシ]−、
f)プロパンニトリル、2,3,3,3−テトラフルオロ−2−[1,1,2,2,3,3−ヘキサフルオロ−3−[(トリフルオロエテニル)オキシ]プロポキシ]−、
g)プロパンアミド、3−[1−[ジフルオロ[(1,2,2−トリフルオロエテニル)オキシ]メチル]−1,2,2,2−テトラフルオロエトキシ]−2,2,3,3−テトラフルオロ−、
h)1−プロパノール、3−[1−[ジフルオロ[(トリフルオロエテニル)オキシ]メチル]−1,2,2,2−テトラフルオロエトキシ]−2,2,3,3−テトラフルオロ−、リン酸二水素、および
i)プロパン酸、3−[1−[ジフルオロ[(トリフルオロエテニル)オキシ]メチル]−1,2,2,2−テトラフルオロエトキシ]−2,2,3,3−テトラフルオロ−
からなる群から選択される官能性フルオロビニルエーテルからなる群から選択される官能性フルオロビニルエーテルの共重合単位
から本質的になり、1000〜25,000g/モルの数平均分子量を有し、そして各鎖末端でヨウ素基を有する、ヨウ素化オリゴマーを供給する工程と、
B)前記ヨウ素化オリゴマーを、次式
CH2=CY−(CH2n−SiRR’R’’
(式中、Yは水素原子またはC1〜C3アルキル基であり、Rはメトキシ基またはエトキシ基であり、そしてR’およびR’’は、独立して、メチル基、メトキシ基およびエトキシ基からなる群から選択される)のビニルシランと、前記ヨウ素化オリゴマー対前記ビニルシランのモル比が1対少なくとも2.5である条件下で接触させて、次式
PC−[CH2CYI−(CH2nSiRR’R’’]m
(式中、PCは前記ヨウ素化オリゴマーのポリマー鎖であり、nは0〜2であり、そしてmは2である)の組成物であるシリコン含有ポリマー付加物を形成する工程と、
C)前記シリコン含有ポリマー付加物を還元剤と接触させて、非ヨウ素化シリコン含有ポリマー付加物を形成する工程と、
D)前記非ヨウ素化シリコン含有ポリマー付加物を酸と接触させて、架橋フッ素化ポリマーを形成する工程と
を含む方法。
【請求項8】
前記第1のモノマーがフッ化ビニリデンである、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記第1のモノマーがテトラフルオロエチレンである、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記第2のモノマーがペルフルオロメチルビニルエーテルである、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
前記ヨウ素化オリゴマー対ビニルシランのモル比が1対7.5〜10である、請求項7に記載の方法。
【請求項12】
工程Cで利用される前記酸が、メタンスルホン酸、トリフリン酸、パラトルエンスルホン酸、塩酸、硝酸および硫酸からなる群から選択される、請求項7に記載の方法。
【請求項13】
前記還元剤が、水素化トリブチルスズ、非プロトン溶媒中の亜鉛、水素化リチウムアルミニウム、水素化ホウ素ナトリウム、ナトリウムアマルガム、ジボラン、および触媒上の水素からなる群から選択される、請求項7に記載の方法。

【公表番号】特表2013−513010(P2013−513010A)
【公表日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−543099(P2012−543099)
【出願日】平成22年10月20日(2010.10.20)
【国際出願番号】PCT/US2010/053319
【国際公開番号】WO2011/071599
【国際公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【出願人】(511304822)ル ソントル ナショナル ドゥ ラ リシェルシュ シアンティフィーク (5)
【Fターム(参考)】