説明

フルカラー有機EL表示装置及びその製造方法

【課題】製造工程を簡略化してコストを低減する上、収率を向上させるフルカラー有機EL表示装置及びその製造方法を提供する。
【解決手段】基板31上に形成された複数の画素は、それぞれ基板31上に形成され、その上に第1のサブ画素領域411、第2のサブ画素領域413及び第3のサブ画素領域415を有する第1の電極41と、第1の電極41上に形成され、第1の有機発光ユニット431及び第2の有機発光ユニット433を有する有機発光ユニット43と、有機発光ユニット43上に形成された第2の電極45とを備える。第1の有機発光ユニット431は、第1のサブ画素領域411及び第2のサブ画素領域413上に形成される。第2の有機発光ユニット433は、第2のサブ画素領域413及び第3のサブ画素領域415上に形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は有機EL表示装置及びその製造方法に関し、特にフルカラー有機EL表示装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
大多数の表示装置にとって、フルカラーの表示効果を得る技術は、往々にして当該表示装置の発展にとって非常に重要であった。一般に、有機EL表示装置(OLED)のフルカラー表示機能を得る方法には、以下の二種類があった。
【0003】
(1)三原色が独立した画素発光
赤(R)、緑(G)、青(B)それぞれの三原色を生成する有機EL表示装置素子をそれぞれ個別に形成し、これら三種類の色光を適当な比率で混合してフルカラーの表示効果を得る方法。
【0004】
しかし、有機EL表示装置の製作には、複数の蒸着工程及びマスク合わせ工程において、異なる色光を生成する有機発光ユニットが必要であり、製造工程が複雑で面倒な上、マスク合わせを行うときの精確性を高めることも困難だった。そのため、製品の収率が下がり製造コストが高くなった。
【0005】
(2)カラーフィルタ(color filter)
少なくとも一つの白色光源を放射する有機EL素子を配置し、白色光源をバックライト光源にし、成熟した技術のカラーフィルタと合わせて使用し、カラーフィルタを使用することにより白色光源の光色を濾過する目的を達してフルカラーの表示効果を得る方法。
【0006】
一般に、カラーフィルタにより光色を濾過する有機EL表示装置は、図1に示すように、主に基板11上にカラーフィルタ10のブラックマトリクス(black matrix)13が形成され、ブラックマトリクス13が形成されていない基板11の上表面には、光色濾過機能を有するカラーフィルタ層15(第1のカラーレジスト(G)151、第2のカラーレジスト153(B)及び第3のカラーレジスト(R)155を含む。)が設けられている。また、ブラックマトリクス13及びカラーフィルタ層15の上方には、選択的に平坦バリヤユニット17を形成してもよい。この平坦バリヤユニット17には、後続工程に有利なように、平坦化層(over coat)かバリヤー層を選択して用いてもよい。
【0007】
また、有機EL素子20の第1の電極21は、平坦バリヤユニット17の上表面へ直接形成され、第1の電極21の上表面には順次、有機発光ユニット23及び第2の電極25を形成し、第1の電極21及び第2の電極25に動作電流を通して、有機発光ユニット23から白色光源Sを放射する。白色光源Sがカラーフィルタ層15を透過すると、それぞれ光色が濾過され、緑(G)、青(B)、赤(R)の三原色である第1の色光L1、第2の色光L2及び第3の色光となり、それらの組合せにより、有機EL表示装置200はフルカラーを表示することができる。
【0008】
カラーフィルタ10を使用した場合、有機EL表示装置200は、白色光源Sを生成する有機発光ユニット23だけが必要となるため、蒸着工程が少なくてすむ上、全開型のマスクを使用することにより、マスク合わせを行う時の困難度を効果的に低減することができる。しかし、白色光源Sは、カラーフィルタ層15の光源透過率が理想的でないため、有機EL表示装置200の発光輝度及び色飽和度に悪い影響を与え、その発光の質は効果的に向上させることができなかった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の第1の目的は、少ない回数の蒸着工程及びマスク合わせ工程によりフルカラーの表示効果を得て、製造工程を簡略化してコストを低減させる上、マスク合わせを行う時の困難度を低減することにより製品の収率を効果的に向上させるフルカラー有機EL表示装置を提供することにある。
【0010】
本発明の第2の目的は、有機発光ユニットの光源透過率を効果的に高める上、その色飽和度を向上させるフルカラー有機EL表示装置を提供することにある。
【0011】
本発明の第3の目的は、製造工程を簡略化してマスク合わせを行う時の困難度を低減する上、有機発光ユニットの光源透過率及び色飽和度を効果的に向上させることにより、発光電源の消費電力を減らして素子の使用寿命を延ばすフルカラー有機EL表示装置を提供することにある。
【0012】
本発明の第4の目的は、第1の有機発光ユニット及び第2の有機発光ユニットが、従来構造のように単に一つのサブ画素の上方に形成されるのでなく、一つの画素内において二つのサブ画素の上方に形成されるため、蒸着位置合わせの工程において、大きい開口のマスクが使用でき、蒸着位置合わせの工程における困難度を低減し、製品の収率を高めるフルカラー有機EL表示装置の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
請求項1の発明は、基板上に複数の画素が形成されたフルカラー有機EL表示装置であって、それぞれの前記画素は、その上に第1のサブ画素領域、第2のサブ画素領域及び第3のサブ画素領域を有し、前記基板上に形成された第1の電極と、前記第1の電極上に形成され、第1の有機発光ユニット及び第2の有機発光ユニットを有する有機発光ユニットと、前記有機発光ユニット上に形成された第2の電極とを備え、前記第1の有機発光ユニットは、前記第1のサブ画素領域及び前記第2のサブ画素領域上に形成され、前記第2の有機発光ユニットは、前記第2のサブ画素領域及び前記第3のサブ画素領域上に形成され、前記第2のサブ画素領域上において、前記第2の有機発光ユニットが前記第1の有機発光ユニット上に形成されるか、前記第1の有機発光ユニットと前記第1の電極との間に形成されることを特徴とする、フルカラー有機EL表示装置としている。
【0014】
請求項2の発明は、請求項1に記載のフルカラー有機EL表示装置であって、前記基板と前記第1の電極との間に形成されたカラーフィルタをさらに備え、前記カラーフィルタは、前記第1のサブ画素領域、前記第2のサブ画素領域及び前記第3のサブ画素領域の鉛直方向で対応した位置にそれぞれ形成された第1のカラーレジスト、第2のカラーレジスト及び第3のカラーレジストを含む第1のカラーフィルタ層を有することを特徴とする。
【0015】
請求項3の発明は、請求項2に記載のフルカラー有機EL表示装置であって、複数の薄膜トランジスタをさらに備え、前記薄膜トランジスタは、それぞれ前記第1のサブ画素領域、前記第2のサブ画素領域又は前記第3のサブ画素領域の前記第1の電極と電気的に接続されることを特徴とする。
【0016】
請求項4の発明は、請求項2に記載のフルカラー有機EL表示装置であって、封止プレートをさらに備え、前記封止プレートは、前記基板上に形成され、前記封止プレートの底層には第2のカラーフィルタ層が形成され、前記第2のカラーフィルタ層は、前記第1のサブ画素領域、前記第2のサブ画素領域及び前記第3のサブ画素領域の鉛直方向で対応した位置にそれぞれ形成された第4のカラーレジスト、第5のカラーレジスト及び第6のカラーレジストを含むことを特徴とする。
【0017】
請求項5の発明は、請求項4に記載のフルカラー有機EL表示装置であって、複数の薄膜トランジスタをさらに備え、前記薄膜トランジスタは、それぞれ前記第1のサブ画素領域、前記第2のサブ画素領域又は前記第3のサブ画素領域の前記第1の電極と電気的に接続されることを特徴とする。
【0018】
請求項6の発明は、請求項1に記載のフルカラー有機EL表示装置であって、封止プレートをさらに備え、前記封止プレートは、前記基板上に形成され、前記封止プレートの底層には第2のカラーフィルタ層が形成され、前記第2のカラーフィルタ層は、前記第1のサブ画素領域、前記第2のサブ画素領域及び前記第3のサブ画素領域の鉛直方向で対応した位置にそれぞれ形成された第4のカラーレジスト、第5のカラーレジスト及び第6のカラーレジストを含むことを特徴とする。
【0019】
請求項7の発明は、請求項6に記載のフルカラー有機EL表示装置であって、複数の薄膜トランジスタをさらに備え、前記薄膜トランジスタは、それぞれ前記第1のサブ画素領域、前記第2のサブ画素領域又は前記第3のサブ画素領域の前記第1の電極と電気的に接続されることを特徴とする。
【0020】
請求項8の発明は、フルカラー有機EL表示装置の製造方法であって、基板上に複数の画素を形成し、それぞれの前記画素の形成方法は、前記基板上に第1の電極を形成する工程と、前記第1の電極上に第1のサブ画素領域、第2のサブ画素領域及び第3のサブ画素領域を形成する工程と、前記第3のサブ画素領域を第1のマスクでカバーする工程と、第1の蒸着源を前記第1のサブ画素領域及び前記第2のサブ画素領域に向け、第1の有機発光ユニットの蒸着工程を行い、第1の光源を生成する前記第1の有機発光ユニットを形成する工程と、前記第1のサブ画素領域を第2のマスクでカバーする工程と、第2の蒸着源を前記第2のサブ画素領域及び前記第3のサブ画素領域に向け、第2の有機発光ユニットの蒸着工程を行い、第2の光源を生成する前記第2の有機発光ユニットを形成する工程と、前記第1の有機発光ユニット及び前記第2の有機発光ユニット上へ第2の電極を形成する工程とを含むことを特徴とする、フルカラー有機EL表示装置の製造方法としている。
【発明の効果】
【0021】
本発明のフルカラー有機EL表示装置及びその製造方法は、光源透過率及び色飽和度を効果的に向上させる上、製造工程を簡略化して製造収率を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
(第1実施形態)
先ず図2を参照する。図2は、本発明の第1実施形態によるフルカラー有機EL表示装置を示す模式図である。本実施形態では、分かりやすくするため、一つの画素(pixel)を例に説明する。図2に示すように、本実施形態の有機EL表示装置400は、主に基板31及び有機EL素子40を含む。有機EL素子40は、第1の電極41、有機発光ユニット43及び第2の電極45を含む。その有機発光ユニット43は、第1の有機発光ユニット431及び第2の有機発光ユニット433を含む。
【0023】
第1の電極41は、基板31の上方に設けられ、第1の電極41は、第1のサブ画素領域411、第2のサブ画素領域413及び第3のサブ画素領域415に定義される。第1の有機発光ユニット431は、第1のサブ画素領域411及び第2のサブ画素領域413上に形成され、第2の有機発光ユニット433は、第2のサブ画素領域413及び第3のサブ画素領域415の上方に形成される。第1の有機発光ユニット431及び第2の有機発光ユニット433は、第2のサブ画素領域413上に積層方式により形成されるため、図2に示すように、第1の有機発光ユニット431上に第2の有機発光ユニット433を形成したり、第1の有機発光ユニット431と第1の電極41との間に第2の有機発光ユニット433を形成したり、有機発光ユニット43上に第2の電極45を形成したりしてもよい。
【0024】
第1の電極41と第2の電極45との間に動作電流が供給されると、第1の有機発光ユニット431は第1の光源S1を生成し、第2の有機発光ユニット433は第2の光源S2を生成する。また、第1の有機発光ユニット431及び第2の有機発光ユニット433を積層方式で形成すると、第3の光源S3を生成することができる。
【0025】
本実施形態において、有機EL表示装置400は、基板31と有機EL素子40との間に形成されたカラーフィルタ30をさらに含む。カラーフィルタ30は、光色濾過機能を備える第1のカラーフィルタ層(カラーレジストとも呼ぶ)35及びブラックマトリクス33を含む。ブラックマトリクス33は、基板31上に形成され、第1のカラーフィルタ層35は、基板31及びブラックマトリクス33上に形成され、第1のカラーフィルタ層35は、第1のカラーレジスト351、第2のカラーレジスト353及び第3のカラーレジスト355を含む。第1のカラーレジスト351は、第1のサブ画素領域411の鉛直方向で対応した位置に形成され、第2のカラーレジスト353は、第2のサブ画素領域413の鉛直方向で対応した位置に形成され、第3のカラーレジスト355は、第3のサブ画素領域415の鉛直方向で対応した位置に形成される。また、ブラックマトリクス33及び第1のカラーフィルタ層35の上方は、平坦バリヤユニット37(例えば、平坦化層、バリヤー層又はそれらの組合せ)でカバーしてもよい。
【0026】
第1の有機発光ユニット431及び第2の有機発光ユニット433を形成して第1のサブ画素領域411及び第2のサブ画素領域413上と、第2のサブ画素領域413及び第3のサブ画素領域415上とをそれぞれカバーすることにより、二つのサブ画素領域をそれぞれカバーし、マスク合わせの回数及び困難度を低減することができる。
【0027】
これにより、第1の有機発光ユニット431が生成した第1の光源S1は、第1のカラーレジスト351を直接透過すると、濾過されて第1の色光L1が生成され、第2の有機発光ユニット433が生成した第2の光源S2は、第3のカラーレジスト355を透過すると、濾過されて第3の色光L3が生成される。また、第2のサブ画素領域413上に、第1の有機発光ユニット431及び第2の有機発光ユニット433を積層方式で形成することにより、混合された第3の光源S3を生成する。この第3の光源S3が第2のカラーレジスト353を透過すると、濾過されて第2の色光L2となる。そのため、有機EL表示装置400は、第1の色光L1、第2の色光L2及び第3の色光L3を混合し、フルカラーの表示効果を得ることができる。
【0028】
本実施形態において、第1の有機発光ユニット431が生成する第1の光源S1は青色光源であり、第2の有機発光ユニット433が生成する第2の光源S2は、第1の光源S1と互いに補償し合う特性を有する補償光源(例えば、緑色光源、黄色光源、橙色光源又は赤色光源)にしてもよく、積層方式で形成された第1の有機発光ユニット431及び第2の有機発光ユニット433が生成する第3の光源S3は、白色光源でもよい。また、第1のカラーレジスト351、第2のカラーレジスト353及び第3のカラーレジスト355は、それぞれ青色レジストB、緑色レジストG及び赤色レジストRである。従って、第1の光源S1(青光)が第1のカラーレジスト351(青色レジスト)を透過すると、濾過されて第1の色光L1(青光)の光色が形成され、第2の光源S2(緑光、黄光、橙光又は赤光)が第3のカラーレジスト355(赤色レジスト)を透過すると、濾過されて第3の色光L3(赤光)が形成され、第3の光源S3(白色)が第2のカラーレジスト353(緑色レジスト)を透過すると、濾過されて第2の色光L2(緑光)が形成される。
【0029】
第1のカラーフィルタ層35は、特定の波長範囲を有する光源だけを透過させるデバイスであり、これにより光色を濾過させる目的を達成する。例えば、第1のカラーレジスト351を、波長範囲が400〜500nmの間の光源のみを透過させるようにした場合、従来構造では白色光源(S)のバック光源が第1のカラーレジスト351を透過すると、第1のカラーレジスト351は、波長範囲が400〜500nm以外の色光源が、濾過及び遮蔽によって透過されないため、第1のカラーレジスト351を透過する色光波長範囲は400〜500nmの間(即ち、肉眼で認識できる青色光源である。)となって、光色を濾過する目的を達成する。しかし、光色が濾過されると、同時に波長範囲が400〜500nm以外の色光源も第1のカラーレジスト351により濾過及び遮蔽が行われ、第1のカラーレジスト351は、白色光源Sの光源透過率が下がり(約25パーセントである。)、その光強度は低減された。
【0030】
反対に、第1の光源S1の波長分布範囲が第1のカラーレジスト351の許容する色光透過の波長範囲内である場合、第1のカラーレジスト351は、第1の光源S1の光源透過率が非常に優れる。例えば、第1の光源S1の波長分布範囲が420〜470nm(青色光源)であるときに、第1のカラーレジスト351が透過させる色光の波長範囲が、前述のように400〜500nm(青色レジスト)の場合、第1の光源S1の大部分は、第1のカラーレジスト351を透過し、第1の色光L1が形成される。例えば、本実施形態の光源透過率は80%以上に達する。
【0031】
本実施形態は、有機EL表示装置400を使用することにより、有機EL表示装置400のある色光の光源透過率、光強度及び色飽和度を高め、有機EL表示装置400の使用範囲及び方向に応じ、異なる色光を発生させる第1の有機発光ユニット431及び第2の有機発光ユニット433を選択することにより、有機EL表示装置400の透過率、光強度及び飽和度を効果的に高めるとともに、素子の使用寿命を延ばし、消費電力を減らすことができる。
【0032】
また、第1の有機発光ユニット431又は第2の有機発光ユニット433内にある有機発光層は、少なくとも一つのホストエミッタ(Host Emitter:H)内に少なくとも一つのドーパント(Dopant:D)がドーピングされたドーピング型有機発光層から選択されたものでもよい。
【0033】
当然、他の実施形態では、第1の有機発光ユニット431が生成する第1の光源S1は、赤色光源や緑色光源でもよく、第1のカラーレジスト351をそれぞれ赤色レジストや緑色レジストにすることにより、同様に有機EL表示装置400のフルカラー表示を行うことができる。
【0034】
本実施形態は、複数の薄膜トランジスタ(図示せず)をさらに含み、各薄膜トランジスタは、それぞれ第1のサブ画素領域411、第2のサブ画素領域413又は第3のサブ画素領域415の第1の電極41と電気的に接続され、アクティブマトリクス型(active matrix)の有機EL表示装置400が形成される。このアクティブマトリクス型の有機EL表示装置は、カラーフィルタが薄膜トランジスタの上にあるCOA(color filter on array)方式やカラーフィルタが薄膜トランジスタの下にあるAOC(array on color filter)方式により製作されてもよい。
【0035】
(第2実施形態)
図3は、本発明の第2実施形態を示す断面図である。本実施形態の基板31、カラーフィルタ30及び第1の電極41は、図2に示すものと配置が同じであるため、ここでは繰り返して述べない。図3に示すように、本実施形態の第1の有機発光ユニット431は、第1のサブ画素領域411及び第2のサブ画素領域413の上方に形成され、その後、第2のサブ画素領域413及び第3のサブ画素領域415の上方に第2の有機発光ユニット433を形成し、第1のカラーレジスト351、第2のカラーレジスト353及び第3のカラーレジスト355は、それぞれ第1のサブ画素領域411、第2のサブ画素領域413及び第3のサブ画素領域415の鉛直方向で対応した位置に形成されている。
【0036】
有機発光ユニット43、第1の有機発光ユニット431及び第2の有機発光ユニット433は、電流信号を介して電気的に接続され、色光源を生成する発光ユニットであり、その内部は、それぞれ正孔注入層(Hole Injection Layer:HIL)434、正孔輸送層(Hole Transporting Layer:HTL)435、有機発光層(Emitting Layer:EML)、電子輸送層438(Electron Transporting Layer:ETL)及び電子注入層439(Electron Injection Layer:EIL)からなる群から選ばれる一種以上を含む。例えば、第1の有機発光ユニット431の第1の有機発光層4311及び第2の有機発光ユニット433の第4の有機発光層4331を形成する前に、第1の電極41上に正孔注入層434及び正孔輸送層435を順次形成してから、正孔輸送層435上に第1の有機発光層4311及び第4の有機発光層4331を形成する。そして最後に、第1の有機発光層4311及び第4の有機発光層4331上に、電子輸送層438及び電子注入層439を順次形成する。
【0037】
また、第1の有機発光ユニット431の第1の有機発光層4311及び第2の有機発光ユニット433の第4の有機発光層4331は、単層の有機発光層又は複数層の有機発光層から選択してもよい。例えば、第1の有機発光ユニット431は、第1の有機発光層4311を内部に含む単層の有機発光ユニットであり、第2の有機発光ユニット433は複数層の有機発光層ユニットである。第4の有機発光層4331は、第2の有機発光層436及び第3の有機発光層437が積層方式で形成されたものである。また、第1の有機発光層4311は、青色光源を生成する有機発光層でもよく、第2の有機発光層436及び第3の有機発光層437は、それぞれ橙色光源及び黄色光源を生成する有機発光層であり、第2の有機発光層436及び第3の有機発光層437を積層方式で形成することにより、第2の有機発光ユニット433を第2の光源S2に生成することができる。
【0038】
(第3実施形態)
続いて、図4を参照する。図4は、本発明の第3実施形態を示す断面図である。図4に示すように、本実施形態の有機EL表示装置403は、基板31及び有機EL素子40を含む。基板31及び有機EL素子40の配置は、図2に示すものと同じであるが、第2のサブ画素領域413の上方に、第1の有機発光ユニット431及び第2の有機発光ユニット433が積層方式により形成され、選択的に第1の有機発光ユニット431と第1の電極41との間に第2の有機発光ユニット433を形成する点が図2に示すものと異なる。当然、第2の有機発光ユニット433は、図2と同様に第1の有機発光ユニット431上に形成してもよい。
【0039】
有機EL表示装置403は、基板31上の有機EL素子40の上方をカバーする封止プレート39をさらに含み、この封止プレート39の配置により有機EL素子40を効果的に保護することができる。封止プレート39の底層上の一部には第2のカラーフィルタ層38が形成され、この第2のカラーフィルタ層38は、第4のカラーレジスト381、第5のカラーレジスト383及び第6のカラーレジスト385を含む。第4のカラーレジスト381は、第1のサブ画素領域411の鉛直方向で対応した位置に形成され、第5のカラーレジスト383は、第2のサブ画素領域413の鉛直方向で対応した位置に形成され、第6のカラーレジスト385は、第3のサブ画素領域415の鉛直方向で対応した位置に形成されている。
【0040】
第4のカラーレジスト381、第5のカラーレジスト383及び第6のカラーレジスト385は、それぞれ有機発光ユニット43が生成する第1の光源S1、第2の光源S2及び第3の光源S3を濾過する。そして、第2の電極45を選択的に透光導電特性を備える材料により製作することにより、第1の光源S1、第2の光源S2及び第3の光源S3は、第2の電極45を透過し、有機EL表示装置403はトップエミッション(Top-Emission)型となる。
【0041】
本実施形態は、複数の薄膜トランジスタ(図示せず)をさらに含む。各薄膜トランジスタは、それぞれ第1のサブ画素領域411、第2のサブ画素領域413又は第3のサブ画素領域415の第1の電極41に電気的に接続され、アクティブマトリクス型の有機EL表示装置403を形成する。
【0042】
図2及び図4を同時に参照する。基板31と有機EL素子40との間に第1のカラーフィルタ層35を有するカラーフィルタ30を形成すると、図2に示すような有機EL表示装置400(即ち、ボトムエミッション型(Bottom-Emission)の有機EL表示装置400)となる。基板31の上方に第2のカラーフィルタ層38を有する封止プレート39を形成して有機EL素子40をカバーすると、図4に示すような有機EL表示装置403(即ち、トップエミッション型の有機EL表示装置403)となる。当然、本実施形態が基板31と有機EL素子40との間に第1のカラーフィルタ層35を有するカラーフィルタ30を形成し、基板31上に第2のカラーフィルタ層38を有する封止プレート39を形成し、有機EL素子40をカバーしてもよい。これにより有機EL表示装置は、双方向の発光を行うことができる。
【0043】
双方向の発光を行う有機EL表示装置には、複数の薄膜トランジスタ(図示せず)を増設し、各薄膜トランジスタを第1のサブ画素領域411、第2のサブ画素領域413又は第3のサブ画素領域415の第1の電極41とそれぞれ電気的に接続し、アクティブマトリクス型の有機EL表示装置を形成してもよい。
【0044】
上述の各実施形態において、第1のサブ画素領域411、第2のサブ画素領域413及び第3のサブ画素領域415は位置を変えてもよく、その場合、それぞれ対応するカラーレジスト351、353、355、381、383、385も位置を変えることができる。例えば、第2のサブ画素領域413を第1のサブ画素領域411と第3のサブ画素領域415との間に形成したり、第1のサブ画素領域411を第2のサブ画素領域413と第3のサブ画素領域415との間に形成したり、第3のサブ画素領域415を第1のサブ画素領域411と第2のサブ画素領域413との間に形成したりしてもよい。当然、各サブ画素領域411、413、415の位置を変えた場合、それに伴い第1の有機発光ユニット431及び第2の有機発光ユニット433の位置を変えることもできる。
【0045】
最後に、図5A及び図5Bを参照する。図5A及び図5Bは、本発明の一実施形態による有機EL表示装置の製造工程を示す断面図である。本実施形態では、分かりやすくするため、表示装置内にある一つの画素(pixel)を例に説明する。図5A及び図5Bに示すように、本発明の有機EL表示装置400の製造工程は、主に有機EL表示装置400の第1の電極41を形成した後に、蒸着方式により第1の電極41上に正孔注入層434及び/又は正孔輸送層435を形成し、正孔輸送層435上に少なくとも一つの第1の有機発光ユニット431の第1の有機発光層4311及び少なくとも一つの第2の有機発光ユニット433の第4の有機発光層4331を形成する。第1の電極41は、第1のサブ画素領域411、第2のサブ画素領域413及び第3のサブ画素領域415に定義される。
【0046】
先ず、第3のサブ画素領域415の鉛直方向で対応した位置に第1のマスク491を形成し、第3のサブ画素領域415をカバーしてから、第1の蒸着源471により第1の有機発光ユニット431の第1の有機発光層4311の蒸着工程を行う。これにより、第1のサブ画素領域411及び第2のサブ画素領域413の上方に、第1の光源S1を生成する第1の有機発光ユニット431の第1の有機発光層4311が形成される。第1の蒸着源471には、図5Aに示すように、第1の光源S1を生成する第1の有機発光材料461を選択して用いてもよい。
【0047】
当然、本発明の好適な実施形態では、第1の有機発光ユニット431の第1の有機発光層4311を蒸着する前に、第1の電極41の表面に正孔注入層434及び/又は正孔輸送層435(点線で示す)を形成してもよい。その後、正孔注入層434及び/又は正孔輸送層435の表面の一部に第1の有機発光ユニット431の第1の有機発光層4311を形成してもよい。
【0048】
続いて、第2のマスク493を第1のサブ画素領域411の鉛直方向で対応した位置に形成して第1のサブ画素領域411をカバーし、その後、第2の蒸着源473により第2の有機発光ユニット433の第4の有機発光層4331の蒸着工程を行い、第2の蒸着源473は、第2のサブ画素領域413の第1の有機発光ユニット431及び第3のサブ画素領域415の上方位置で第2の有機発光ユニット433の第4の有機発光層4331に対して蒸着工程を行う。この際、第1の電極41(又は正孔輸送層)及び第1の有機発光ユニット431(又は第1の有機発光層4311)上に、第2の光源S2を生成する第2の有機発光ユニット433の第4の有機発光層4331を形成し、第2の蒸着源473は、第2の光源S2を生成する第2の有機発光材料463を選択して用いてもよい(図5Bに示す)。
【0049】
また、本発明の上述の実施形態において、第1の有機発光材料461及び第2の有機発光材料463がそれぞれ生成する第1の光源S1及び第2の光源S2は、互いに補償しあう補償光源である。例えば、第1の有機発光材料461及び第2の有機発光材料463は、それぞれ青色光源及び橙色光源を生成する有機発光材料である。
【0050】
当然、他の実施形態では、第1の有機発光ユニット431及び第2の有機発光ユニット433の形成順序を変えてもよい。例えば、先ず第2の有機発光ユニット433の第4の有機発光層4331を形成してから、第1の有機発光ユニット431の第1の有機発光層4311を形成してもよい。そして、先ず第1のサブ画素領域411の鉛直方向で対応した位置に第2のマスク493を形成してから第1のサブ画素領域411をカバーし、第2の有機発光ユニット433の第4の有機発光層4331の蒸着工程を行い、第2のサブ画素領域413及び第3のサブ画素領域415上に第2の有機発光ユニット433の第4の有機発光層4331を形成してから、第3のサブ画素領域415の鉛直方向で対応した位置に第1のマスク491を形成して第3のサブ画素領域415をカバーし、第1のサブ画素領域411及び第2のサブ画素領域413に対応した第2の有機発光ユニット433の上方に第1の有機発光ユニット431の第1の有機発光層4311を形成してもよい。
【0051】
また、後続の第1の有機発光ユニット431の第1の有機発光層4311及び第2の有機発光ユニット433の第4の有機発光層4331が形成されると、有機EL表示装置400の後続工程へ進むことができる。例えば、第2の有機発光ユニット433の第4の有機発光層4331及び第1の有機発光ユニット431の第1の有機発光層4311上に、蒸着方式により電子輸送層438及び/又は電子注入層439と、第2の電極45とを順次形成する(点線で示す)。そして有機EL表示装置400の形成が完了する。
【0052】
上述の製造工程における有機発光ユニット43は、従来の赤(R)、緑(G)、青(B)の三原色の有機EL素子がそれぞれ独立して形成される有機EL表示装置よりも、蒸着工程及びマスク合わせの回数及び困難度を低減しながら、フルカラーの表示機能を得ることができる。また、蒸着工程の回数を減らすことにより、蒸着工程の位置合わせを行う際に誤差が発生する回数を効果的に減らし、有機EL表示装置400の製品収率を向上させることができる。
【0053】
当然、上述の製造工程は、アクティブマトリクス型有機EL表示装置へ適用することもできるが、ここではその詳細は省略する。
【0054】
本発明では好適な実施形態を前述の通り開示したが、これらは決して本発明を限定するものではなく、当該技術を熟知するものなら誰でも、本発明の主旨と領域を脱しない範囲内で各種の変更や修正を加えることができる。従って本発明の保護の範囲は、特許請求の範囲で指定した内容を基準とする。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】従来の有機EL表示装置を示す断面図である。
【図2】本発明の第1実施形態によるフルカラー有機EL表示装置を示す断面図である。
【図3】本発明の第2実施形態によるフルカラー有機EL表示装置を示す断面図である。
【図4】本発明の第3実施形態によるフルカラー有機EL表示装置を示す断面図である。
【図5A】本発明の一実施形態による受動型の有機EL表示装置の製造工程を示す断面図である。
【図5B】本発明の一実施形態による受動型の有機EL表示装置の製造工程を示す断面図である。
【符号の説明】
【0056】
10 カラーフィルタ
11 基板
13 ブラックマトリクス
15 カラーフィルタ層
151 第1のカラーレジスト
153 第2のカラーレジスト
155 第3のカラーレジスト
17 平坦バリヤユニット
20 有機EL素子
21 第1の電極
23 有機発光ユニット
25 第2の電極
30 カラーフィルタ
31 基板
33 ブラックマトリクス
35 第1のカラーフィルタ層
351 第1のカラーレジスト
353 第2のカラーレジスト
355 第3のカラーレジスト
37 平坦バリヤユニット
38 第2のカラーフィルタ層
381 第4のカラーレジスト
383 第5のカラーレジスト
385 第6のカラーレジスト
39 封止プレート
40 有機EL素子
41 第1の電極
411 第1のサブ画素領域
413 第2のサブ画素領域
415 第3のサブ画素領域
43 有機発光ユニット
431 第1の有機発光ユニット
4311 第1の有機発光層
433 第2の有機発光ユニット
4331 第4の有機発光層
434 正孔注入層
435 正孔輸送層
436 第2の有機発光層
437 第3の有機発光層
438 電子輸送層
439 電子注入層
45 第2の電極
461 第1の有機発光材料
463 第2の有機発光材料
471 第1の蒸着源
473 第2の蒸着源
491 第1のマスク
493 第2のマスク
S 白色光源
S1 第1の光源
S2 第2の光源
S3 第3の光源
L1 第1の色光
L2 第2の色光
L3 第3の色光
200 有機EL表示装置
400 有機EL表示装置
401 有機EL表示装置
403 有機EL表示装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に複数の画素が形成されたフルカラー有機EL表示装置であって、
それぞれの前記画素は、
その上に第1のサブ画素領域、第2のサブ画素領域及び第3のサブ画素領域を有し、前記基板上に形成された第1の電極と、
前記第1の電極上に形成され、第1の有機発光ユニット及び第2の有機発光ユニットを有する有機発光ユニットと、
前記有機発光ユニット上に形成された第2の電極とを備え、
前記第1の有機発光ユニットは、前記第1のサブ画素領域及び前記第2のサブ画素領域上に形成され、
前記第2の有機発光ユニットは、前記第2のサブ画素領域及び前記第3のサブ画素領域上に形成され、前記第2のサブ画素領域上において、前記第2の有機発光ユニットが前記第1の有機発光ユニット上に形成されるか、前記第1の有機発光ユニットと前記第1の電極との間に形成されることを特徴とするフルカラー有機EL表示装置。
【請求項2】
前記基板と前記第1の電極との間に形成されたカラーフィルタをさらに備え、
前記カラーフィルタは、前記第1のサブ画素領域、前記第2のサブ画素領域及び前記第3のサブ画素領域の鉛直方向で対応した位置にそれぞれ形成された第1のカラーレジスト、第2のカラーレジスト及び第3のカラーレジストを含む第1のカラーフィルタ層を有することを特徴とする請求項1に記載のフルカラー有機EL表示装置。
【請求項3】
複数の薄膜トランジスタをさらに備え、
前記薄膜トランジスタは、それぞれ前記第1のサブ画素領域、前記第2のサブ画素領域又は前記第3のサブ画素領域の前記第1の電極と電気的に接続されることを特徴とする請求項2に記載のフルカラー有機EL表示装置。
【請求項4】
封止プレートをさらに備え、
前記封止プレートは、前記基板上に形成され、
前記封止プレートの底層には第2のカラーフィルタ層が形成され、
前記第2のカラーフィルタ層は、前記第1のサブ画素領域、前記第2のサブ画素領域及び前記第3のサブ画素領域の鉛直方向で対応した位置にそれぞれ形成された第4のカラーレジスト、第5のカラーレジスト及び第6のカラーレジストを含むことを特徴とする請求項2に記載のフルカラー有機EL表示装置。
【請求項5】
複数の薄膜トランジスタをさらに備え、
前記薄膜トランジスタは、それぞれ前記第1のサブ画素領域、前記第2のサブ画素領域又は前記第3のサブ画素領域の前記第1の電極と電気的に接続されることを特徴とする請求項4に記載のフルカラー有機EL表示装置。
【請求項6】
封止プレートをさらに備え、
前記封止プレートは、前記基板上に形成され、
前記封止プレートの底層には第2のカラーフィルタ層が形成され、
前記第2のカラーフィルタ層は、前記第1のサブ画素領域、前記第2のサブ画素領域及び前記第3のサブ画素領域の鉛直方向で対応した位置にそれぞれ形成された第4のカラーレジスト、第5のカラーレジスト及び第6のカラーレジストを含むことを特徴とする請求項1に記載のフルカラー有機EL表示装置。
【請求項7】
複数の薄膜トランジスタをさらに備え、
前記薄膜トランジスタは、それぞれ前記第1のサブ画素領域、前記第2のサブ画素領域又は前記第3のサブ画素領域の前記第1の電極と電気的に接続されることを特徴とする請求項6に記載のフルカラー有機EL表示装置。
【請求項8】
基板上に複数の画素を形成し、それぞれの前記画素の形成方法は、
前記基板上に第1の電極を形成する工程と、
前記第1の電極上に第1のサブ画素領域、第2のサブ画素領域及び第3のサブ画素領域を形成する工程と、
前記第3のサブ画素領域を第1のマスクでカバーする工程と、
第1の蒸着源を前記第1のサブ画素領域及び前記第2のサブ画素領域に向け、第1の有機発光ユニットの蒸着工程を行い、第1の光源を生成する前記第1の有機発光ユニットを形成する工程と、
前記第1のサブ画素領域を第2のマスクでカバーする工程と、
第2の蒸着源を前記第2のサブ画素領域及び前記第3のサブ画素領域に向け、第2の有機発光ユニットの蒸着工程を行い、第2の光源を生成する前記第2の有機発光ユニットを形成する工程と、
前記第1の有機発光ユニット及び前記第2の有機発光ユニット上へ第2の電極を形成する工程とを含むことを特徴とするフルカラー有機EL表示装置の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5A】
image rotate

【図5B】
image rotate


【公開番号】特開2007−67416(P2007−67416A)
【公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−234402(P2006−234402)
【出願日】平成18年8月30日(2006.8.30)
【出願人】(505189578)悠景科技股▲ふん▼有限公司 (14)
【Fターム(参考)】