説明

フルカラーOLEDバックライトを有する半透過型ディスプレイ

積層構成で少なくとも一つの透明OLEDと組み合わされ、液晶ディスプレイ(LCD)などの半透過型ディスプレイ装置(180)におけるバックライトとして機能する、一つの反射電極を有する従来型有機発光ダイオード(OLED)(156)が開示されている。少なくとも二つの透明OLED(154,152)が一つの従来型OLED(156)と積層構成で配置され、三つのOLEDのそれぞれが異なる帯域幅の光(161N,161G,161B)を発するのが好ましい。バックライトの後ろに置かれた反射電極(117)は、ディスプレイのための反射板としての役目もする。この配置は、反射率を高め、透過モードにおけるカラー順次配列を可能にし、フルカラー表示のすべての構成要素(即ち、赤、緑、青)が、カラーフィルタを必要とすることなく、同じピクセルを通って発するのを可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明デバイスに関し、より具体的には、液晶ディスプレイにおいて使用されるOLEDバックライトの実装と照明に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶ディスプレイ(LCD)は、多くの種類の直視型ディスプレイ(direct view type display)及び虚像型ディスプレイ(virtual image display)において使用されている。LCDが使用されている直視型ディスプレイの例としては、ディジタル時計、電話機、ラップトップコンピュータなどがある。LCDが使用されている虚像型ディスプレイの例としては、ビデオカメラのファインダ、ヘッドマウントディスプレイ、または携帯型通信機器などの携帯型電子機器における虚像型ディスプレイがある。
【0003】
液晶ディスプレイは、透過、反射、半透過の三つの基本モードを有している。透過モードにおいては、LCDピクセルは、一般的には冷陰極蛍光ランプ(CCFL)またはLEDを使って後方(即ち、見る人の反対側)から照明される。透過型LCDは、真っ暗闇からオフィス環境まで変化する照明条件下で最高性能を示す。非常に明るい屋外環境においては、それは、高輝度バックライトを有さないならば、「色あせる」傾向がある。透過型LCDは、広い色の範囲を示すが、一般的には、フルカラー表示用カラーフィルタを必要とする。
【0004】
反射型LCDにおいては、ピクセルは「前方」(即ち、見る人と同じ側)から照明される。反射型LCDピクセルは、周囲環境からまたは前灯から生じる入射光を反射する。反射型LCDは、非常に消費電力が小さく(特に前灯のない場合)、携帯型ゲーム、PDA,または他の携帯型計器などの小さな携帯型装置においてしばしば使用される。反射型LCDは、オフィス環境特有の照明条件下とそれより明るい照明条件下で最高性能を示す。薄暗い照明条件下では、反射型LCDは一般的に前灯を必要とする。
【0005】
「半透過」型ディスプレイは、透過モードと反射モードの両方で動作可能である。半透過型ディスプレイの例は、非特許文献1及び非特許文献2の中で提供されている。反射モードにおいては、ディスプレイ内の要素によって見る人の目に向かって反射された周辺光は、見る人に映像を供給する。反射モードは、反射モードを持たないディスプレイによって生成される映像を見えにくくする、昼間に外で使用されることがあるラップトップディスプレイなどの、ある種の用途に対して特に有利である。透過モードは、異なる環境、例えば周辺光が少ない場合におけるそのようなディスプレイに対して有利である。一般に、透過モードでの動作中、半透過型液晶デバイスは、好ましくは後部から、比較的大きい別個に取り付けられた光源によって照明される(背面照明)ので、光の大部分は液晶を直接通って外へ向かい、見る人の目へ伝わる。表面において適当な量の光または輝度を供給するために、LCDは比較的明るく一般的に大きいバックライト源を必要とする。一般的には、通常は、携帯型電子機器などに組み入れるのが困難であるいくつかの別々の部品で、比較的大きく扱いにくいパッケージを作ることになる。
【0006】
一般的に、赤、緑、青の発光デバイス(LED)は、小さなLCDバックライトの開発に非常に重要である。過去においては、蛍光ランプがこれらの小さなLCDを照明するのに使用された。蛍光ランプは大きな直視型LCDを照明するのに適しているが、虚像型ディスプレイを含む小型のものにおいて問題がある。概して、ランプの長さと直径が減るほど、効率も減り、小さなランプが非常に電力を食うようになる。更に、蛍光ランプからの別々の赤と緑と青の発光を別々に制御することができず、従って、フィールド順次カラー
方式(field sequential color)が困難である。例えば、電話機、双方向無線装置、ページャなどの携帯型電子装置においては、ディスプレイは直視映像として見られる少数の英数字に限られる。一般的に、もし小さい携帯型装置が望まれるならば、ディスプレイを非常に少ないディジット数に減らさなければならない。なぜなら、ディスプレイの寸法は、それが組み込まれている装置の最小寸法に影響を与えるためである。
【非特許文献1】ルーダー他による「昼間用半透過型FLCDと暗闇用OLEDの組合せ」(2000情報表示協会(SID)、シンポジウムダイジェスト、1025−1027)(Lueder et al., "The Combination of a Transflective FLCD for Daytime Use With An OLED for Darkness," 2000 Society for Information Display (SID) Symposium Digest, 1025-1027)
【非特許文献2】リー他による「半透過型LCDの新構造の開発」(韓国情報表示協会(KIDS)、情報表示についての国際会議ダイジェスト(IMID)、2001、セッションA8.3)(Lee et al., "Development of the new structure of transflective LCD," Korean Information Display Society (KIDS) International Meeting on Information Display Digest (IMID) 2001, Session A8.3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
米国特許第5,965,907号は、透過型LCDディスプレイにおけるフィールド順次カラー方式が可能な積層OLEDバックライトの使用を提案しているが、半透過型ディスプレイの要求を満たし、それでもなお小さい寸法を維持するためには、その目的のために使用されるOLEDの効率を改善する必要がある。一般的なOLEDの活性領域から発生される光の大部分は、デバイス層における屈折率不一致のために、全反射され、デバイスを出る前に失われる。また、一般的な半透過型ディスプレイにおいては、透過モードにおいてバックライトから発せられる大量の光は、バックライトと見る人の間に置かれた部分透過/部分反射の「半透過」層によって吸収される。更に、部分透過/部分反射の半透過層は、動作を両モードに合わせる必要性のために、反射モードにおける反射率を損なう。存在する多くの損失メカニズムのために、半透過ディスプレイにおいて、透過モードにおいて十分な照明を提供すると同時に反射モードを最適にすることは、依然として重大な問題である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、液晶ディスプレイ(LCD)などの半透過型ディスプレイ装置におけるバックライトとして機能する積層構成において、一つの反射電極と少なくとも一つの透明OLEDとを有する従来型有機発光ダイオード(OLED)を組み合わせる。少なくとも二つの透明OLEDが、一つの従来型OLEDとの積層構成で配置され、三つのOLEDのそれぞれが異なる帯域幅の光を発するのが好ましい。この配置は、透過モードにおいて、カラー順次配列を可能にし、フルカラー表示のすべての構成要素(即ち、赤、緑、青)が、カラーフィルタを必要とすることなく、同じピクセルを通って発するのを可能にする。各ピクセルは赤と緑と青のサブピクセルに細分される必要がないので、開口率がほぼ3倍に増える。このように三つのOLED層がフルカラーバックライトを構成し、その中で、透明OLEDは、従来型OLEDと、隣接する光変調要素、好ましくは液晶ディスプレイ(LCD)との間に置かれる。バックライトの後ろに置かれた反射電極、好ましくは不透明電極が、半透過型ディスプレイのための反射板の役目をする。これは、バックライトと見る人の間のLCDの中の部分透過部分反射層の必要性をなくす。光を散乱させることができる所定表面粗さを持った粗面を有する光散乱基板要素が、積層OLEDバックライトの中に含まれている。光散乱基板要素は、反射モードと透過モードの両方において光取出し効率を高める。更に、粗いパターンが反射電極の表面へ反映されるように、少なくとも従来型OLEDが光散乱基板要素の粗面上に堆積される場合、反射電極の反射率は高められる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
OLEDは、電圧が印加されたときに光を発する有機薄膜を利用している。OLEDは、フラットデバイスディスプレイ、照明、および背面照明などの用途に使用される、ますます興味深い技術となっている。いくつかのOLED材料と構成が米国特許第5,844,363号、第6,303,238号および第5,707,745号の中で述べられており、これらの特許は全部参照によってここに組み込まれる。
【0010】
本書において使用されるように、「従来型OLED」デバイスは、電極の一つだけを通って光を発するようになっているデバイスである。従って、電極の一つだけが透明であり、他は反射性であり、好ましくは不透明である。下部電極を通ってのみ光を発するようになっているデバイスに対して、上部電極(即ち、陰極)は透過性であるよりも反射性であり、高導電率を有する不透明金属層で構成することができる。インジウム酸化錫(ITO)などの透明導電性材料を下部電極として使うことができる。同様に、上部電極を通ってのみ光を発するようになっているデバイスに対して、下部電極(即ち、陽極)は不透明かつ反射性またはそのいずれかであることができる。全部参照によってここに組み込まれる米国特許第5,703,436号および第5,707,745号の中で開示されているような透明電極材料を、上部発光デバイスにおける上部電極として使用することができる。電極が透明である必要がない場合、より厚い層を使うことによってより良好な導電率を得ることができる。また、本発明で教示されるように、非透明電極として高反射電極を使うことによって、入射光を透明電極の方へ反射することにより、透明電極を通って発せられる光の量を増やすことができる。
【0011】
本書において使用されるように、透明OLEDは両電極が透明なデバイスである。透明OLEDの例は、例えば、全部参照によってここに組み込まれている米国特許第5,703,436号、第5,707,745号、および第6,469,437号の中で開示されている。
【0012】
本書において使用されるように、「上部」は基板から最も遠くにあることを意味し、「下部」は基板に最も近くにあることを意味する。例えば、二つの電極を有するデバイスに対しては、下部電極は基板に最も近い電極であり、一般的には、第1電極が構成された場所である。下部電極は、基板に最も近い下部表面と、基板からより遠くにある上部表面の、二つの表面を有している。第1層が第2層の「上に配置される」として述べられている場合、第1層は基板からより遠くに配置される。第1層が第2層と「物理的に接触している」ことが記されていなければ、第1層と第2層の間に他の層がありうる。例えば、間にさまざまな有機層があったとしても、陰極は陽極の「上に配置される」と述べることができる。
【0013】
LCD,特にフルカラーLCDは、しばしば、現在入手可能なバックライト源モジュールによって制限される。一般的には、赤、緑及び青の波長が、フルカラー表示のための基本構成要素(RGB)として使用される。従来型バックライトモジュールは単一白色光源を提供し、この単一白色光源は、白色光をろ過するためと、フルカラー表示を達成するためのRGB光源を提供するために、カラーフィルタを必要とする。しかしながら、カラーフィルタは光の大部分を吸収する。更に、半透過型ディスプレイにおいてバックライトによって送られた光の大部分は、バックライトと見る人の間に置かれた「半透過」層によって吸収されることがありうる。なぜなら、半透過層は、バックライトから見る人へ光を伝えることに加えて、周辺光源からの入射光を見る人へ反射できなければならないためである。
【0014】
本発明の半透過型ディスプレイにおいては、積層OLEDユニットが、光変調要素(例
えば、LCD)に近接して置かれ、ディスプレイ装置におけるバックライトモジュールとして機能する。本発明の光取り出しは、反射された光を光変調要素の方向に散乱・集束させるための粗面を有する透明な光散乱基板要素を積層OLEDバックライトに組み入れることによって高められる。その結果、透過モードと反射モードの両方におけるデバイスの効率を、従来型半透過デバイス以上に大きく改善することができる。好ましい実施態様においては、それぞれ時系列に異なる帯域幅を発光することができる互いに重ねられた三つの有機発光層が、フルカラー表示を提供する。これは、カラーフィルタ層の必要性をなくし、開口率を著しく高める。バックライトの後ろに置かれた反射電極は反射層の役目をなす。これは、バックライトと見る人の間に置かれる部分透過/部分反射層の必要性をなくし、透過モードの効率を損なうことなく反射モードの最適化を可能にする。反射層それ自身は、可能な限り反射性を有することができ、最大100%の反射性を有することができる。なぜなら、バックライトから発せられた光が反射層を通過するのを許可する必要がないためである。
【0015】
一つの実施態様においては、積層OLEDバックライトは、それぞれ異なる色の光を発する少なくとも一つの透明OLEDと組み合わされた従来型OLEDを備えている。三つの異なるカラー帯域幅を使ってフルカラーを提供するために、二つの透明OLEDを従来型OLEDと積み重ね組み合わせて使用するのが好ましい。従来型OLEDは光変調要素から最も遠くに置かれ、ディスプレイ装置全体のための反射器の役目もする高反射電極を有している。従来型OLEDは、入射光が、隣接する透明OLEDを通って反射され、見る人の方向に光変調要素の方へバックライトモジュールを出ることができるように、その反射電極が置かれる限りは、上部発光または下部発光とすることができる。積層OLEDが、例えば、赤色発光OLED、緑色発光OLED、および青色発光OLEDを含む場合、時系列カラー技術を用いることによって、カラーフィルタを使用することなく、フルカラーを達成することができる。時系列カラーは、カラー残像が見る人に供給されるように、頻繁に有機発光層を交互に発する。
【0016】
本発明における光取り出しは、光変調要素の方向に光を散乱・集束させるための少なくとも一つの粗面を有する透明な光散乱基板要素を積層OLEDバックライトに組み入れることによって高められる。光散乱基板要素は、1)OLED堆積と反対側に粗面を有する、又は2)OLED堆積のための表面としての粗面を有する、という2つの方法のうちの一方に方向づけられることができる。これらの方法は光の取出し効率を高める。光散乱基板要素の粗面がOLED堆積のために使用される場合、反射電極の反射率は、下にある粗面によって反射電極の表面に反映される凹凸のために、更に高められる。
【0017】
一つの実施態様においては、半透過型ディスプレイは光変調要素とバックライトモジュールを含み、バックライトは、別個のOLEDデバイス、即ち、少なくとも一つの別個の透明OLEDデバイスと積層状に組み合わされた従来型OLEDデバイスを備え、この透明OLEDは、従来型OLEDから発せられた光が透明OLEDを通って光変調要素に向かって送られるように配置される。第2透明OLEDデバイスを第1透明OLEDデバイスに隣接して配置し、三つのデバイスの積層構造とするのが好ましい。従来型OLEDは、粗面を有する透明な光散乱基板要素の上に構成される。それを、光散乱基板要素の粗面の上か、滑らかであることができる反対面の上に堆積させることができる。従来型OLEDは、透明基板材料の上に置かれた透過性第1電極層と、第1電極の上に置かれた有機発光層と、有機層の上に置かれた反射性の、好ましくは不透明な電極を有している。透明OLEDのそれぞれは、透過性第1電極と、透過性第1電極の上に置かれた有機発光層と、有機発光層の上に置かれた第2透過性電極とを備えている。好ましい実施態様は三つのデバイスの積層構造を備え、それぞれの別個のデバイスが、異なるスペクトルの光(例えば、赤、緑、青)を発して、フルカラーを提供する。
【0018】
もう一つの実施態様においては、単一デバイスの中で有機層のすべてが積層されたOLEDからなるバックライトモジュールを有する半透過型LCDが提供される。そのような積層OLEDは知られており、例えば、米国特許第5,703,436号、第5,917,280号および第6,198,091号の中で述べられており、これらの特許は全部参照によってここに組み込まれている。本発明の単一デバイスの実施態様においては、多数の有機層を光散乱基板要素の粗面の上か反対面の上に堆積させることができる。
【0019】
図1は、フルカラーを提供するために互いに積み重ねられた三つの別々のOLEDデバイスを使用した好ましい実施態様の概略断面図である。図1は半透過型デバイス100を示しており、透過性導電電極層118、発光有機層119、および反射導電電極層117が、その順に、光散乱基板要素112の粗面113の上に堆積されている。粗面113の不規則性は反射電極117の金属面の上にも現れている。導電電極層117と118は、有機層119と共に、不透明金属陰極(導電反射電極117)と透明陽極(透過性導電電極層118)とを有する従来型OLED156を構成している。陽極層(透過性電極層118)は、一般的にインジウム酸化錫(ITO)で形成されており、約150nmの一般的な厚みと約1.8の屈折率とを有している。発光有機層119は、約100nmの一般的な厚みと約1.6から約1.8の屈折率とを有している。これらの層のそれぞれは、この技術分野にとって既知であるように、多くの副層で構成することができることは明らかである。発光有機層119は、輸送層、障壁層、注入層、およびこの技術分野にとって既知の他の層を含む多数の副層で構成することができる。発光有機層119は、電圧が電極117と118の間に加えられた場合に光を発することができる少なくとも一つの発光材料、例えば、約1.72の屈折率を有するトリス8(ヒドロキシキノール)アルミニウム(Alq3)を含む。この技術分野において知られているような蛍光材料と燐光材料とを含む他の発光材料を使用することもできる。
【0020】
透明OLED152及び154は、従来型OLED156と光変調要素180との間に配置されている。透明OLED152,154のそれぞれは基板要素(172,173)を含んでおり、基板要素(172,173)の上には、例えばインジウム酸化錫(ITO)層からなる透過性第1導電電極層(114,115)が配置されている。この実施態様においては、基板要素172,173は滑らかな平面を有しているが、別の実施態様においては別の表面特性を有することができる。第1電極(114,115)の上には発光有機層(111,116)が配置されており、その上には透過性第2導電電極(106,107)が配置されている。一つの実施態様においては、有機層119が青色光を発し、有機層116が緑色光を発し、有機層11が赤色光を発する。
【0021】
繰り返して言うが、これらの層のそれぞれはこの技術分野において知られているような多数の副層で構成することができることは明らかである。例えば、図1に示すように、各透明OLEDは、MgまたはLi−−Agなどの金属層(120,121)とその上に配置されたITOの最終層(122,123)とからなる透過性複合陰極(電極106と107)を有することができる。複合陰極においては、層122,123のための好ましい材料には、ITO、IZO、およびこの技術分野において知られている他の材料がある。全部参照によってここに組み込まれている米国特許第5,703,436号および第5,707,745号は、Mg:Agなどの材料の薄い層とその上にある透明な導電性のスパッタ堆積ITO層とを有する複合陰極を含む陰極の例を開示している。適切な高透明低反射率非金属陰極が、例えば、米国特許第6,420,031号の中で開示されており、この特許も全部参照によってここに組み込まれている。
【0022】
本発明の一実施態様によれば、粗面113を有する光散乱基板要素112と、平面基板要素172,173とは、約1mmの厚みと約1.5の平均屈折率とを有し、望ましい構造特性を提供するなんらかの適切な材料であることができる。基板要素172,173お
よび光散乱基板要素112は、可撓性または剛性を有することができる。好ましい実施態様においては、すべてが透過性である。プラスチックまたはガラスは、好ましい剛性基板材料の例である。プラスチックと透過性金属箔とは、好ましい可撓性基板材料の例である。他の基板材料を使用してもよい。さまざまな実施態様において、どの基板要素の材料、厚み、形状、および表面特徴も、望ましい構造特性と光学特性を得るように選択することができる。
【0023】
形成されると、OLED152、154、および156は積み重ねられ、光の通過帯域を変調することができる光変調要素180に隣接して配置される。従来型OLED156は、光変調要素180から最も遠い積層構造の中に置かれる。従来型OLED156は、(「上部発光」デバイスであれ「下部発光」デバイスであれ)その透過性表面が透明OLED154に面するように方向づけられる。同時に、OLED152,154、および156は、バックライト160を構成している。
【0024】
その中に含まれた偏光子を配向させることによって、電界がない場合に光を通し、電界が加えられた場合に光を遮断するように、光変調要素180を構成することができる(「常時明」要素)。偏光子を別の方向に配向させることによって、「常時明」要素とは対照的に、電界が加えられた場合に光を通し、電界が加えられない場合に光を遮断するように、光変調要素を構成することができる(「常時暗」要素)。多くの光変調要素は液晶と偏光子とを含むが、含まないものもある。本発明の実施態様は、特に説明されていなくても、何らかの光変調要素を含んでいる。例えば、本発明による照明デバイスを空間光変調デバイス(SLM)と組み合わせて使用して、拡大光学システムを有する映像源として機能させることができる。これは、変調された光を光学システムが散乱スクリーン上に投影する投影ディスプレイの形態をとるか、又は照明デバイスとSLMとの組合せによって作られた小さい映像の大きな虚像を光学システムが作る虚像ディスプレイの形態をとることができる。使用されるSLMはLCDであってもよいが、微細加工シリコン、回折デバイス、変型可能ミラーなどの他のSLM形態が可能であることは明らかである。
【0025】
複数のOLEDデバイスと光変調要素とを組み合わせて完全なフルカラーディスプレイを形成する。ディスプレイを形成するために、この技術分野にとって既知の技法を用いて、光を伝える又は遮断するように個々のピクセルを制御することができるように、光変調要素180をピクセル化することができる。図示の実施態様においては、バックライト160は光変調要素180に貼り合わされる。このような実施態様において、封入材195が、そのような貼り合せの間、バックライト160の有機層を保護することができ、有機発光バックライト160と光変調要素180とのより密接な結合を可能にすることができる。封入材はまた、それに続く気密シールの使用なしに、良好なデバイス寿命を可能にする。封入材を使用することにより、約1000ミクロン以下の全厚みが、ディスプレイ100に対して達成可能でありうる。
【0026】
図1のデバイスは、透過モードと反射モードとの両方で動作することができるので、「半透過性」である。矢印161R、161G、161Bは透過モードを示しており、さまざまな波長(それぞれ、赤、緑、青)が時系列になっている。電圧が電極間に加えられたとき、OLED160は光を発する。粗面113は光を光変調要素180の方へ導くのに役立つ。当業者にとって周知のように、光変調要素180は、少なくとも液晶層、偏光子、スイッチ回路などを含む液晶ディスプレイモジュールを備えて、有機発光バックライトデバイス160から発せられた光が、見る人の目の方へ液晶ディスプレイモジュールを通過するかどうかを制御することができる。光変調要素180が透過性である場合、光は光変調要素180を通って見る人へ送られる。光変調要素180が透過性でない場合、光は遮断される。光を送る場合であるか光を遮断する場合であるかを光変調要素180が決定するので、積層OLEDバックライト160がパターン化されていない場合でさえも映像
を形成することができる表示が可能である。積層構成は、さまざまな波長(この実施態様においては、それぞれ、赤、緑、青)が同じピクセルを通って時系列で発せられるのを可能にする。
【0027】
電極が駆動回路(図示せず)に接続されている場合、ディスプレイ100は順次式カラー技術を用いてカラー全域を生成することができ、それによってフルカラー映像を生成することができる。各有機発光層の発光周波数は、ダイナミックカラー残像が見る人に対して生成されるようになっている。更に、デバイス100は、赤色発光と緑色発光と青色発光との比率を調節することによって白色光スペクトルを発生することができる。対応OLEDが作動される時間の間、必要とされる各カラー(赤、緑、青)の量に従って各OLEDを作動させることによって、完全フルカラー映像が三つのカラー発光OLEDの各サイクルに対して生成されるか、白色光が生成される。フルで一様な照明を提供するのに各カラーについて二つ以上のOLEDが必要であるならば、各カラーについて二つ以上のOLEDを使用することができることは明らかである。
【0028】
矢印162及び163は反射モードを示している。デバイスに入射される周囲光が矢印162で示されている。反射電極117に与えられた平坦でない表面と組み合わされた粗面113は、反射光を光変調要素180の方へ導くのに役立つ。光変調要素180が透過性である場合、光は光変調要素を通って反射電極117へ伝えられる。それから光は反射され、光変調要素180を通って見る人へ伝えられる。光変調要素180が透過性でない場合、入射光は遮断される。デバイスが反射モードで動作している場合、OLED100は光を発しないことが好ましい。しかしながら、デバイスが同時に反射モードと透過モードとで動作している場合、OLED100は光を発することができる。
【0029】
図2はディスプレイ101を示し、ここでは、バックライト181が、光散乱基板要素112の上であって粗面113の反対側の平面の上に堆積された従来型OLED156を含んでいる。同様な部品には図1のそれと同様な番号が付されている。封入材が使われない場合、エポキシ材料198を使って、光散乱基板要素112および平面基板要素172,173と共に気密シールを形成することができる。
【0030】
図3は別の実施態様を示し、ここでは、図1におけるように、従来型OLEDが光散乱基板要素の粗面上に作られているが、電極は図1に示す電極に比べて逆になっている。同様な部品には図1のそれと同様な番号が付されている。図2におけるように、エポキシ材料198を使って気密シールを形成することができる。従来型OLED159は上部発光デバイスであり、反射導電電極129、有機発光層119、透過性導電電極131が、その順に、粗面パターン113と同じ側の光散乱基板要素112の上に配置されている。従って、粗面113の不規則性は反射電極117の金属面の上にも現れている。
【0031】
図4は本発明の一実施態様であるディスプレイ200の概略断面図を示し、このディスプレイは、光変調要素280と、粗面を有する光散乱基板要素の上に堆積された多くの有機発光層を有する一つのOLEDバックライトデバイス285とを備えている。好ましいデバイス材料は図1に関して述べられたものと同様である。図4において、有機発光バックライトデバイス285は、透明な光散乱基板要素212を備えている。第1透過性電極210が光散乱基板要素212の粗面213の上に形成されている。発光層222,224,226が、それぞれ、第1透過性電極210、第2透過性電極220、第3透過性電極230、および反射電極240の間に挟まれている。有機発光層222,224,226は、有機発光材料または高分子発光材料で作ることができるが、それに限定されるものではない。積み重ね有機発光層222,224,226はそれぞれ、少なくとも三つの異なる帯域幅の光を発する。少なくとも三つの異なる帯域幅の光は、フルカラー映像を構成するための構成要素であり、例えば、赤、緑、青(RGB)の帯域幅の光、またはフルカ
ラー映像のための他の構成要素組合せである。
【0032】
透過性電極210,220,230は、それぞれ、有機発光層222,224,226のための電極として働き、透明導電性材料で作ることができる。従って、発光層222,224,226によって発せられた光は、透明導電性材料210,220,230を通って光変調要素280へ伝えられることができる。このように、バックライト285は、(不透明反射電極240、有機発光層226、および透明電極230によって規定される)第1OLED領域250と、(透明電極230、発光層224、および透明電極220によって規定される)第2OLED領域252と、(透明電極220、発光層224、および透明電極210によって規定される)第3OLED領域254とを備えている。反射電極240と透明電極210,220,230とは、駆動回路(図示せず)に電気的に接続されている。透過モードにおいては、バイアスがその上に加えられ、有機発光層222,224,226に、望ましい色の光を、かわるがわる、即ち、R,G,B,R,G,Bの順に、発せさせる。矢印261R、261G、261Bは、図1の矢印161R、161G、161Bと同様であり、さまざまな波長(それぞれ、赤、緑、青)が時系列になっている透過モードを示している。矢印262,263は、図1の矢印162,163と同様であり、反射モードを示している。
【0033】
封入材が使用されなければ、有機発光デバイスバックライト285は、別の方法、例えば、有機発光デバイスバックライト285と光変調要素280の周辺を囲むエポキシシール228で保護されるのが好ましい。光学特性を変える層は、たとえそれが封入材でないとしても、使用することができる。
【0034】
本発明のすべての実施態様において、バックライトからの光取り出しは、粗面を有する光散乱基板要素によって高めることができる。一般的なOLEDにおいて、デバイス層間の屈折率の不一致は、生成される光のほとんどが全反射のために吸収されるという結果を生じる。臨界角より小さい角度でデバイス層界面に入射した光だけが、その界面を通って送られる。臨界角より大きい角度でデバイス界面に入射した光は横に伝播し、デバイスの構造の中に吸収されるか、縁から失われる。デバイス層間の屈折率の不一致が増加するにつれて、臨界角損失は増加する。全反射を最小にし、光取出し効率を高めるために、ランダムテクスチャまたは規則正しいマイクロレンズ配列が、デバイス基板の外面上に採用されている。ライ他による「CLEO会議議事録、環太平洋諸国99、WL6、ページ246−47(1999)」(Lai et al. "CLEO Conference Proceeding, Pacific Rim 99, WL6, pages 246-47 (1999) ") および米国特許出願2001/0033135を参照のこと。本発明においては、バックライト構造内の光散乱基板要素の粗面が平均光路長を減らし、内部吸収効果を減らすので、光取り出しを改善することができる。上に述べたように、光散乱基板要素は、1)OLED堆積と反対側に粗面を有する、又は2)OLED堆積のための表面としての粗面を有する、という2つの方法のうちの一方に方向づけられることができる。これらの方法は光取出し効率を高める。
【0035】
光散乱基板要素の粗面はOLED堆積のために使用されるのが好ましい。例えば、図1に示すように、従来型OLED156の電極と有機層とは、光散乱基板要素112の粗面パターンに沿って所定厚みで形成される。反射電極117は、例えば、銀、アルミニウム、または、高反射率を有する合金などの金属材料を含む。従来型OLED154が光散乱基板要素112の粗面113上に堆積された場合、その下の粗面113の形状は、反射電極117を含むデバイス層に伝えられる。反射面のうねりは、反射光を一定の領域範囲に集中させ、特定の観察方向に関して反射光強度を上げるように、反射光の散乱を制御することが知られている。粗面は、バックライトから発せられた光または周囲環境から入る光を散乱・反射するための光散乱平面として作用する。
【0036】
デバイスの発光面の方向における反射率の増加は、反射電極に伝えられる凹凸輪郭の傾斜に大きく依存している。従って、反射面における反射特性を高めることができ、ディスプレイの輝度に貢献しない反射要素を減らすことができる。本発明においては、凹凸輪郭は、3λ〜200λの平均輪郭要素幅(mean profile element width)(Rs,Rsm)と4〜30度の平均傾斜(Δa)を有するように特徴付けられた表面粗さを有するランダムパターンを備えている。反射率の増加により、輝度、画一性、および表示品質が改善される。あるいは、より多くの反射光を観察側へ与えるように制御されるのが好ましい規則正しいパターンを基板表面上に形成することができる。
【0037】
図1の上記例において、光散乱基板要素112の粗面パターン113を形成する凹凸のピッチと高さを規定値に最適化して、光を光変調要素の方へ散乱・集束させ、観察者側からの最大視角を与えることができる。この実施態様においては、粗面パターン113は不均質でランダムなピッチで形成される。平均ピッチは、積層OLED層と光変調要素のアライメント特性を考えると、100ミクロン未満に制御されるのが好ましく、10ミクロン未満に制御されるのが一層好ましい。そのような配置において、下にある光散乱基板要素によって伝えられる粗面形状は、反射金属電極の反射率を高め、それによって、反射器とLCDの間の多数の積み重ね有機層にもかかわらず、反射モードのエネルギー消費バックライト補充物の必要性を最小にするかなくすことができる。
【0038】
粗面を形成する方法は特に限定されない。サンドブラストまたはエンボシングあるいは透明微粒子を混合する方法などの、基板の表面上の微細なでこぼこな構造を形成する既知の方法によって、光散乱基板要素を粗くすることができる。更に、光透過性高分子基板の表面に、シリコン含有UV線硬化樹脂などのすぐれた硬度と滑り特性とを有する硬化樹脂膜を形成することによって、粗面層を形成することもできる。また、光透過性高分子基板の上に、例えばシリカの微粒子を様々な樹脂膜形成材料と混ぜることによって準備された塗料溶液を塗布した後、塗布膜を乾燥させることによって粗面膜を形成する方法を採用することもできる。例えば、日本特許出願第10−207810号および第63−004669号に示されているように、粗面を形成する種々の方法がこの技術において知られている。
【0039】
本発明のディスプレイは、OLED性能を改善するためのさまざまな追加特徴を含むことができる。一つのそのような特徴はバスラインである。バスラインは大きなOLED電極を有する実施態様にとって好ましい。なぜなら、大距離にまたがるそのような電極の横導電率(lateral conductivity)は、望ましい電流を伝えるのに十分でないかもしれないからである。バスラインは、横方向の電流のための代わりのルートを提供することによって、この問題を解決する。本発明のどの実施態様においても、封入材を使って、有機層が要素にさらされるのを防止することができる。封入材は薄膜とすることができる。好ましい封入材は、ポリアクリレートなどの高分子化合物と酸化アルミニウムなどの誘電材料との交互層を含み、カリフォルニア州サンホセ市のバイテックス・システムズ・インコーポレーション(Vitex Systems, Inc.)によって市販されている。封入材を選択して、例えば、屈折率を一致させることによって、デバイスの光学特性を高めることができる。
【0040】
それぞれ異なる帯域幅の光(即ち、赤、緑、青)を発する三つのOLED発光領域を使用する上記実施態様のすべては、それらを時系列カラーディスプレイと共に使用してカラー映像を生成することができるという利点を有している。種々のOLEDは、さまざまなカラーがディスプレイと同期してオン・オフされるように、パルス源によって簡単にアドレス指定される。時系列カラーは更に、例えば、米国特許第5,642,129号、第6,097,352号、および第6,392,620号の中で述べられており、これらのすべては参照によってここに組み込まれている。
【0041】
このように、本発明は、積層OLEDバックライトと、気密シールを形成するようにバックライトと共に封入されるか、バックライトに隣接して置かれた光変調要素とを備えた、高輝度を有する、新規且つ改善された一体型フルカラー半透過型ディスプレイを開示している。反射電極と光変調要素との間の距離は、約5000ミクロンより短い、好ましくは4000ミクロンより短いのが好ましく、デバイス構造に応じて、2000ミクロンよりも短くすることができ、1000ミクロンよりも短くさえあることができる。積層された複数のOLEDは、電気接続を統合するのが便利であり、それへの外部接続を備えている。携帯型電子機器に容易に一体化される小さくコンパクトなパッケージの外側に思い通りの追加光学機器を置くことができる。
【0042】
本発明が特定例と好ましい実施態様に関して述べられているが、本発明がこれらの例と実施態様に限定されないことは明らかである。従って、請求されるような本発明は、当業者にとって明らかなような、本書に述べられた特定例と好ましい実施態様からの変更を含んでいる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】別々のOLED構成要素を備え、従来型OLEDの有機層が光散乱基板の粗面の上に構成されている、本発明の実施態様に従って構成された半透過デバイスを示す。
【図2】従来型OLEDの有機層が光散乱基板の粗面と反対側の表面に構成された別の実施態様を示す。
【図3】図1に示す半透過デバイスの別の配置を示す。
【図4】光散乱基板の上に堆積された多数の発光層を有する一つのOLEDを備えた、本発明に従って構成された半透過デバイスの別の実施態様を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半透過型ディスプレイデバイスであって、
従来型OLEDデバイスからなり、第1所定帯域幅の光を発するように特徴づけられた第1OLEDデバイスと、
透明OLEDデバイスからなり、第2所定帯域幅の光を発するように特徴づけられ、前記第1OLEDデバイスの発光面に隣接して配置された第2OLEDデバイスと、
前記第2OLEDデバイスの発光面に隣接して配置された光変調要素と
を備え、
前記OLEDデバイスの少なくとも一つは光散乱基板要素の上に形成され、前記光散乱基板要素は少なくとも粗面を有し、前記第1帯域幅と第2帯域幅は異なっている
ことを特徴とするデバイス。
【請求項2】
前記第1帯域幅と第2帯域幅は時系列で互いに組み合わされて発せられることを特徴とする、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記第1OLEDデバイスは前記光散乱基板要素の粗面上に形成され、前記第1OLEDデバイスは反射電極を有し、前記反射電極は、前記反射電極の反射面から反射された光が前記第2OLEDデバイスの発光面を通って送られるように配置されることを特徴とする、請求項2に記載のデバイス。
【請求項4】
第3所定帯域幅の光を発するように特徴づけられた透明OLEDデバイスからなる第3OLEDデバイスを更に含み、前記第3OLEDデバイスは前記第1OLEDデバイスの発光面と前記第2OLEDデバイスとの間に配置され、前記第1、第2および第3帯域幅は時系列で互いに組み合わされて発せられることを特徴とする、請求項3に記載のデバイス。
【請求項5】
封入材を更に含むことを特徴とする、請求項1に記載のデバイス。
【請求項6】
前記光変調要素は液晶ディスプレイであることを特徴とする、請求項1に記載のデバイス。
【請求項7】
前記第1、第2および第3OLEDと前記光変調要素とは、密閉シールパッケージを形成するように構成されたことを特徴とする、請求項4に記載のデバイス。
【請求項8】
OLEDバックライトの発光面に隣接して配置された光変調要素を備えた半透過型ディスプレイデバイスであって、前記OLEDバックライトは、
所定表面粗さを有する少なくとも一つの表面を有する光散乱基板要素の上に形成された第1OLEDであって、
前記光散乱基板要素の上に配置された第1導電層と、
前記第1導電層の上に配置され、第1帯域幅の光を発する発光材料からなる第1有機層と、
前記有機層の上に配置された第2導電層と、を備え、
前記第1導電層および第2導電層のうちの一方が反射層であり、他方が透過層である、前記第1OLEDと、
前記第1OLEDの発光面に隣接して配置された第2OLEDであって、
第3導電層と、
前記第3導電層の上に配置され、前記第1帯域幅と異なる第2帯域幅の光を発する発光材料からなる第2有機層と、
前記有機層の上に配置された第4導電層と、を備え、
前記第3導電層および第4導電層が透過層からなる、前記第2OLEDと、
を備えたことを特徴とするデバイス。
【請求項9】
前記第1および第2帯域幅は時系列で組み合わされて発せられることを特徴とする、請求項8に記載のデバイス。
【請求項10】
前記第2OLEDの発光面に隣接して配置された第3OLEDを更に備え、前記第3OLEDは、
第5導電層と、
前記第5導電層の上に配置され、前記第1および第2帯域幅と異なる第3帯域幅の光を発する発光材料からなる第3有機層と、
前記第3有機層の上に配置された第6導電層と、を備え、
前記第5導電層および第6導電層は透過層からなることを特徴とする、請求項8に記載のデバイス。
【請求項11】
前記第1、第2および第3帯域幅は時系列で組み合わされて発せられることを特徴とする、請求項10に記載のデバイス。
【請求項12】
前記第1、第2および第3帯域幅は、それぞれ、赤、緑および青であることを特徴とする、請求項11に記載のデバイス。
【請求項13】
前記光変調要素と前記OLEDバックライトとは、密閉シールパッケージを形成するように構成されたことを特徴とする、請求項8に記載のデバイス。
【請求項14】
前記透過性導電層の少なくとも一つはインジウム酸化錫(ITO)からなることを特徴とする、請求項8に記載のデバイス。
【請求項15】
前記透過性導電層の少なくとも一つはマグネシウム(Mg)材料とリチウム銀(Li−−Ag)材料とからなることを特徴とする、請求項14に記載のデバイス。
【請求項16】
前記反射導電層は不透明金属電極層からなることを特徴とする、請求項8に記載のデバイス。
【請求項17】
前記所定表面粗さはS,Sm:3λおよびΔ:4〜30として特徴づけられることを特徴とする、請求項8に記載のデバイス。
【請求項18】
前記第1OLEDは前記所定表面粗さを有する前記光散乱基板要素の表面上に堆積されることを特徴とする、請求項8に記載のデバイス。
【請求項19】
発光ディスプレイデバイスであって、
光変調要素と、
前記光変調要素の上に配置された透過性材料層からなる第1電極と、
前記第1電極の上に配置された透過性材料層からなる第2電極と、
前記第2電極の上に配置された反射材料層からなる第3電極と、
前記第1電極と第3電極との間に配置された発光材料からなる第1有機層と、
前記第1有機層と前記光変調要素との間に配置され、所定表面粗さを有する少なくとも一つの表面を有する第1基板要素と、
を備えたことを特徴とするデバイス。
【請求項20】
前記所定表面粗さは、前記発光材料から前記光変調要素の方向に発せられた光の光取出
し効率を高めることを特徴とする、請求項19に記載のデバイス。
【請求項21】
前記所定表面粗さを有する前記表面は前記第3電極に面していることを特徴とする、請求項20に記載のデバイス。
【請求項22】
前記第3電極は前記所定表面粗さに対応する表面粗さ輪郭を持った反射面を有することを特徴とする、請求項21に記載のデバイス。
【請求項23】
発光材料からなる第2有機層を更に備え、前記第1有機層は前記第1電極と前記第2電極との間に配置され、前記第2有機層は前記第2電極と前記第3電極との間に配置されることを特徴とする、請求項19に記載のデバイス。
【請求項24】
前記第1および第2有機層は互いに異なる波長の光を発することを特徴とする、請求項23に記載のデバイス。
【請求項25】
前記第2有機層と前記第3電極との間に配置され、透過性材料層からなる第4電極を更に備えたことを特徴とする、請求項23に記載のデバイス。
【請求項26】
前記第4電極と前記第3電極との間に配置された発光材料からなる第3有機層を更に備えることを特徴とする、請求項25に記載のデバイス。
【請求項27】
前記第1、第2および第3有機層はそれぞれ互いに異なる波長の光を発することを特徴とする、請求項26に記載のデバイス。
【請求項28】
前記異なる波長は互いに組み合わされて発せられた場合にフルカラーを生成することができる所定の第1、第2および第3波長であることを特徴とする、請求項27に記載のデバイス。
【請求項29】
前記第1、第2および第3波長は時系列で互いに組み合わされて発せられることを特徴とする、請求項28に記載のデバイス。
【請求項30】
前記第1、第2および第3の所定波長は、それぞれ、青、緑および赤であることを特徴とする、請求項25に記載のデバイス。
【請求項31】
前記第1電極と前記光変調要素との間に配置された第2基板を更に備えることを特徴とする、請求項19に記載のデバイス。
【請求項32】
前記第3電極と前記第2基板との間に配置された第3基板を更に備えることを特徴とする、請求項31に記載のデバイス。
【請求項33】
前記反射電極と前記光変調要素との間の距離は約2000ミクロンより短いことを特徴とする、請求項26に記載のデバイス。
【請求項34】
前記反射電極と前記光変調要素との間の距離は約5000ミクロンより短いことを特徴とする、請求項32に記載のデバイス。
【請求項35】
光変調要素とOLEDバックライトとを備えた半透過型ディスプレイデバイスであって、前記OLEDバックライトは、
上面と下面とを有し、前記上面および下面のうちの少なくとも一方が所定表面粗さを有する基板と、
前記基板の上に配置された反射材料からなる第1電極と、
前記第1電極の上に配置され、透過性材料からなる第2電極と、
前記第1電極と前記第2電極との間に配置された発光材料を含む第1有機層と、
前記第2電極の上に配置され、透過性材料からなる第3電極と、
前記第2電極と前記第3電極との間に配置された発光材料を含む第2有機層と、を備え、
前記第1電極は前記デバイスの中で唯一著しく反射する層であることを特徴とするデバイス。
【請求項36】
前記第1有機層は第1スペクトルの光を発することができる第1発光材料からなり、前記第2有機層は前記第1スペクトルの光とは異なる第2スペクトルの光を発することができる第2発光材料からなることを特徴とする、請求項35に記載のデバイス。
【請求項37】
前記第3電極の上に配置され、透過性材料からなる第4電極と、
前記第3電極と前記第4電極との間に配置された第3発光材料を含む第3有機層と、を更に備え、
前記第3発光材料は前記第1および第2スペクトルの光と異なる第3スペクトルの光を発することができることを特徴とする、請求項36に記載の半透過型デバイス。
【請求項38】
前記第1発光材料は第1有機発光ダイオードの中に含まれ、前記第2発光材料は第2有機発光ダイオードの中に含まれ、前記第3発光材料は第3有機発光ダイオードの中に含まれ、前記第1、第2および第3有機発光ダイオードは別々のOLEDデバイスを構成することを特徴とする、請求項37に記載の半透過型デバイス。
【請求項39】
前記第1、第2および第3発光材料は単一のOLEDデバイスの中に含まれることを特徴とする、請求項37に記載の半透過型デバイス。
【請求項40】
前記単一のOLEDデバイスは積層発光ダイオードからなることを特徴とする、請求項39に記載の半透過型デバイス。
【請求項41】
前記OLEDバックライトは封入されていることを特徴とする、請求項35に記載の半透過型デバイス。
【請求項42】
前記OLEDバックライトは封入されていることを特徴とする、請求項38に記載の半透過型デバイス。
【請求項43】
前記OLEDバックライトと前記光変調要素とは密閉シールデバイスを形成するように構成されたことを特徴とする、請求項35に記載の半透過型デバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2007−525706(P2007−525706A)
【公表日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−553098(P2006−553098)
【出願日】平成16年2月9日(2004.2.9)
【国際出願番号】PCT/US2004/003716
【国際公開番号】WO2005/086257
【国際公開日】平成17年9月15日(2005.9.15)
【出願人】(000003218)株式会社豊田自動織機 (4,162)
【出願人】(504227903)ユニバーサル ディスプレイ コーポレーション (3)
【Fターム(参考)】