説明

フレキシブルコンテナ車両とそれを用いた粉体輸送方法

【課題】 粉体の充填及び排出時の粉体の詰まりを解消するとともに、荷役作業の作業性及び稼働率と運搬効率を向上し、しかも軽量で耐圧性に優れるフレキシブルコンテナ車両とそれを用いた粉体輸送方法を提供することである。
【解決手段】 粉体の運搬に用いるフレキシブルコンテナ3を少なくとも1つ荷台に搭載するフレキシブルコンテナ車両1において、フレキシブルコンテナ3は、気密性を備えて粉体を投入する投入口5と粉体を排出する排出口6とを有する内袋と、高い耐圧強度を備えて内袋を内部に格納する胴部4と投入口5或いは排出口6を外部に誘導し胴部4中央部の径よりも小径に継ぎ目なく絞られる開口部とを有する外袋と、内袋内部に給気可能な送風口とを有し、荷台は、支持部材で支持される平板状の載置部7を備える上部荷台と、載置部7の下方に形成される下部荷台に分割されるものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明は、粉体の運搬に使用するフレキシブルコンテナ車両とそのフレキシブルコンテナ車両を用いた粉体の輸送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、工業原材料、食品用材料、家畜用飼料、農業用肥料及び合成樹脂ペレット等の粉粒体を大量に輸送したり保管したりする場合には、荷重に比べて軽量で、しかも柔軟性があって折畳み可能なフレキシブルコンテナが広く使用されている。このようなフレキシブルコンテナには従来の金属製のコンテナと同様に円柱型或いは箱型の縦置き型と横置き型があり、いずれの型についても返送の際には小さく折畳んで運搬車両の荷台に収納でき、空いたスペースに他の荷物を積載して復路等における運搬が可能である。また、フレキシブルコンテナの荷役作業は、縦置き型及び横置き型のいずれについてもクレーンやフォークリフトやジャッキを使用することによって基本的に一人での作業が可能であり、フレキシブルコンテナの使用は、作業面における効率化や省力化を実現し、さらに運搬面における省エネルギー化をも実現している。
一方で、フレキシブルコンテナに充填する粉粒体は軽量のものが多いため、投入の際に余分な空間が生じ密に充填できなかったり、また、排出の際にはブリッジ現象やラットホール現象のように途中で粉粒体が詰まってしまう現象が起こり、うまく粉粒体を排出することができなかったりするという課題を抱えていた。このような課題に対処するため、いくつかの発明及び考案が開示されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、本願の発明者によって、「フレキシブルコンテナとそれを搭載したフレキシブルコンテナ車両及び船舶」という名称で、気密性を備える内袋と耐圧性を備える外袋の二重構造からなり、フレキシブルコンテナの内部に空気を送風する送風設備を設けたフレキシブルコンテナとそれを搭載したフレキシブルコンテナ車両及び船舶に関する発明が開示されている。
この特許文献1に開示された発明において、フレキシブルコンテナは、継ぎ目のない胴部と、この胴部の両開口端に設置された投入口と排出口を備え、胴部は、その中央部から両開口端に向けて小径に絞られた形状を有している。また、胴部は、気密性を備える内袋と、この内袋よりも高い耐圧強度を備える外袋からなり、さらに、胴部の内部底部には複数の給気孔が穿設された送風管が設置されており、エアー口を介してフレキシブルコンテナ内部に空気を出し入れできるようになっている。
【0004】
そして、粉体を充填する場合には、排出口とエアー口を閉じた状態で、投入口から粉体を投入し、続いて、エアー口を開けて送風管から圧縮空気を送り、粉体を撹拌する。
また、粉体を排出する場合には、投入口を閉じた状態で、エアー口を開けて圧縮空気をフレキシブルコンテナ内に送入し、充填されている粉体を吹き上げて流動性を持たせながら排出口から排出するので、粉体が目詰まりすることなく、容易に排出作業を行うことができる。また、内袋と外袋の間に外部から給気可能な枕袋を設置し、この枕袋に給気して内袋の内壁に安息角を形成してテーパ部に振動を発生させることにより、さらに効率よく粉体を排出することも可能である。
さらに、内袋は気密性が高いので、充填物の漏出を防止してコンタミネーションの発生を阻止することができ、外袋はシームレスで高い耐圧強度を備えているので高圧力下においてもフレキシブルコンテナ本体の破損や充填物の漏出を防止している。そして、充填物に応じて内袋のみを交換して外袋は同じものを繰り返し使用できるので、フレキシブルコンテナ内部の清掃作業が不要となり作業効率を向上させることができる。また、フレキシブルコンテナ本体には金属製の鏡部を設置していないので、持ち運びが可能で、返送時にはフレキシブルコンテナ本体の容積を粉体充填時の10分の1にまで圧縮できるので運搬効率が良好なものとなっている。
【0005】
また、特許文献2には、「粒粉体用フレキシブルコンテナーとその利用システム」という名称でフレキシブルコンテナ内部に空気を送り込むことによって粉粒体を流動させるフレキシブルコンテナとそれに付随するシステムに関する発明が開示されている。
この特許文献2に開示された発明において、粒粉体用フレキシブルコンテナは、フレコン本体とその両開口端に設けられた側板とからなり、フレコン本体の上部には投入筒バルブを備えた投入筒が設置され、また、側板には排出筒バルブを備えた排出筒が設置されている。また、投入筒、排出筒及び側板にはそれぞれ圧送空気管用バルブを備えた圧送空気用ノズルと、輸送管用バルブを備えた輸送管用ノズルと、流動空気管用バルブを備えた流動空気用ノズルが設置されている。
そして、粉粒体を充填する場合には、圧送空気用ノズルから圧送空気を送り込んでフレコン内部の脱気を行うことができるので、余分な空間を生じることなく粉粒体を密に充填することができるようになっている。また、粉粒体を排出する場合には、分散板によってフレコン本体内部の下側の空間に形成される流動化用空気室に流動空気用ノズルから流動空気を送り込むことによって、フレコン本体内部の上側に充填された粉粒体中を流動化して液体のように流出しやすい状態にするので、粉粒体は目詰まりを生じることなく、容易に排出することができる。
さらに、返送時には、フレコン本体をコンパクトにまとめることができるので、運搬車の荷台のスペースを大きく開けることが可能となる。
【0006】
そして、特許文献3には、「粉体運搬用袋」という名称で内袋と外袋の二重構造からなるフレキシブルコンテナの内部に空気を貯蓄する空気室を設けたフレキシブルコンテナに関する発明が開示されている。
この特許文献3に開示された発明は、通気性を有する内袋と、気密性を有する外袋と、内袋の底部に装着されたエアースライド装置とからなり、内袋は数箇所で外袋に固定されているものである。
したがって、エアースライド装置から空気を送入すると空気が内袋を通過して外袋が膨らみ、内袋と外袋の間に空気室が形成されるようになっている。また、内袋はこの空気室が形成された際に下部側面がV字型を形成するように固定されているので、粉粒体の排出の際には、粉粒体がV字型の中央に集まって粉粒体の詰まりを生じることなく円滑に排出を行うことができる。さらに、内袋に空気を送入するための空気管も一本で済むので、粉体運搬用袋全体の構造が非常にシンプルとなる。
【特許文献1】特開2004−196395号公報
【特許文献2】特開昭56−123278号公報
【特許文献3】実開平6−22278号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載された従来の技術では、確かにフレキシブルコンテナ本体の容積をコンパクトに収縮することができるが、フレキシブルコンテナを車両に搭載した場合では、車両の荷台の一部に収縮したフレキシブルコンテナを積載する必要があり、荷台全面を他の荷物の積載に利用することができないので、運搬効率が悪くなるという課題があった。
【0008】
また、特許文献2に記載された従来の技術では、フレキシブルコンテナを形成するフレコン本体と側板との間に生じる継ぎ目部分の強度が弱く、送入空気の圧力によってフレコン本体が破損したり、継ぎ目部分から粉粒体が漏出したりするという課題があった。また、フレコン本体を複数の粉粒体に対して使用するという思想はなく、コンタミネーションが発生するという課題もあった。さらに、フレコン本体の構造から、粉粒体運搬後の減容化し難く、特許文献1の場合と同様に、復路等における運転効率の向上が考慮されていないという課題もあった。
【0009】
そして、特許文献3に記載された従来の技術では、内袋及び外袋は通気性及び気密性を有しているだけで耐圧性に優れるものではなく、内袋と外袋の間に空気を送入及び貯留した場合に、空気の圧力によって内袋或いは外袋が破損する懸念があるという課題があった。また、本特許文献3においても、複数の粉粒体を効率よく運搬するという思想はなく、やはりコンタミネーションに対する課題があった。
【0010】
本発明はかかる従来の事情に対処してなされたものであり、粉体の充填及び排出時の粉体の詰まりを解消するとともに、荷役作業の作業性及び稼働率と運搬効率を向上し、しかも軽量で耐圧性に優れるフレキシブルコンテナ車両とそれを用いた粉体輸送方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明であるフレキシブルコンテナ車両は、粉体の運搬に用いるフレキシブルコンテナを少なくとも1つ荷台に搭載するフレキシブルコンテナ車両において、フレキシブルコンテナは、気密性を備えて一の端部に粉体を投入する投入口と他の端部に粉体を排出する排出口とを有する内袋と、この内袋を内部に格納する胴部とこの胴部の両端に設けられそれぞれ投入口或いは排出口を外部に誘導し胴部中央部の径よりも小径に絞られる開口部と、内袋よりも高い耐圧強度を備える外袋と、内袋の内部に給気可能な送風口とを有し、荷台は、支持部材で支持される平板状の載置部を備える上部荷台と、載置部の下方に形成される下部荷台に分割され、粉体を運搬しない場合には、折り畳まれた空のフレキシブルコンテナは下部荷台に収納され、荷物を上部荷台に載置可能であるものである。
上記構成のフレキシブルコンテナ車両において、フレキシブルコンテナの内袋は気密性を備えているので、内袋内に貯留される粉体の外部への漏出を防止し、また、外袋は、充填される胴部中央部から両開口部に向けて異径で継ぎ目なく絞った一体の袋であるので空気や粉体の漏出を防止するという作用を有する。また、胴部中央部から両開口部に向けて小径に絞る構造とすることで、従来必要であった例えば鏡部は不要となる。そして、送風口から空気を出し入れすることによって内袋内の粉体に流動性を持たせるという作用を有する。
また、荷台は、載置部によって上部荷台と下部荷台に分割されるので、下部荷台は折り畳まれた空のフレキシブルコンテナを収納し、上部荷台はフレキシブルコンテナ以外の他の荷物を載置するという作用を有する。
【0012】
また、請求項2に記載の発明であるフレキシブルコンテナ車両は、請求項1記載のフレキシブルコンテナ車両において、載置部は、荷台の片側又は両側に設けられたサイドゲートに枢設されるか又は両側のサイドゲート間に枢設されるものである。
上記構成のフレキシブルコンテナ車両は、請求項1記載の発明の作用に加えて、載置部は荷台の片側又は両側に設けられたサイドゲートに対して回動自在となるか、あるいは両側のサイドゲートに跨って回動自在となるという作用を有する。
【0013】
そして、請求項3に記載の発明であるフレキシブルコンテナ車両は、請求項1又は請求項2に記載のフレキシブルコンテナ車両において、フレキシブルコンテナの排出口に一の端部を接続し他の端部は外部に接続可能に設けられた排出バルブを備える粉体排出用配管と、フレキシブルコンテナの送風口に一の端部を接続し他の端部は外部に接続可能に設けられた送風バルブを備えるエアー送入用配管とを下部荷台に格納するものである。
上記構成のフレキシブルコンテナ車両は、請求項1又は請求項2に記載の発明の作用に加えて、フレキシブルコンテナ内に貯留される粉体は粉体排出用配管を通じて外部へと排出され、また、エアー送入用配管を通じて外部から空気がフレキシブルコンテナ内に送風されるという作用を有する。
【0014】
請求項4に記載の発明であるフレキシブルコンテナ車両は、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のフレキシブルコンテナ車両において、フレキシブルコンテナの投入口を外部に誘導する開口部は、胴部においてその中央位置から荷台内側方向へ偏心して設けられるものである。
上記構成のフレキシブルコンテナ車両は、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の発明の作用に加えて、複数搭載された場合のフレキシブルコンテナの投入口がそれぞれ荷台内側方向へ寄るので、粉体を貯留するタンクからシューターを介して粉体を投入する際に、フレキシブルコンテナ車両を停車したまま移動させなくとも複数ある投入口をシューター近傍へ位置させる作用を有する。
【0015】
最後に、請求項5に記載の発明であるフレキシブルコンテナ車両を用いた粉体輸送方法は、請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載されたフレキシブルコンテナ車両を用いた粉体輸送方法であって、フレキシブルコンテナに設置される送風口から圧縮空気を送入してフレキシブルコンテナを形成する工程と、このフレキシブルコンテナの投入口から粉体を充填する工程と、粉体が充填されたフレキシブルコンテナを運搬する工程と、送風口から圧縮空気を送入しながら排出口から粉体を排出する工程と、フレキシブルコンテナを折り畳んで下部荷台に収納する工程と、載置部を用いて上部荷台を形成する工程とを有するものである。
上記構成のフレキシブルコンテナ車両は、請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載されたフレキシブルコンテナ車両を用いることによって、粉体や空気の漏出を防止しながら粉体の充填や運搬を行い、また、粉体の流動化を促進して粉体を排出するという作用を有する。そして、フレキシブルコンテナを折り畳んで下部荷台に収納して載置部を用いて上部荷台を形成すると、上部荷台にはフレキシブルコンテナ以外の荷物が積載されるという作用を有する。
【発明の効果】
【0016】
本発明の請求項1に記載のフレキシブルコンテナ車両では、フレキシブルコンテナにおいて、気密性を備える内袋によって内袋内に貯留される粉体が内袋と外袋の間の空間に漏出しないのでコンタミネーションを防止し、内袋のみを交換すると、フレキシブルコンテナ本体の清掃作業が不要となり、異種の粉体の運搬を効率よく行うことができる。また、耐圧性を備える外袋によって粉体排出時に送入される圧縮空気の高圧下においても空気や粉体の漏出はなく、そして、圧縮空気の送入によって粉体は流動化されるので、粉体排出作業を短時間で行うことができる。
また、フレキシブルコンテナは未使用時にはコンパクトに折り畳んで下部荷台に収納することができ、さらに、載置部によって上部荷台が形成されるので、復路等においてこの上部荷台にフレキシブルコンテナ以外の他の荷物を積載して運搬することにより高い運搬効率を実現することができる。
【0017】
また、本発明の請求項2に記載のフレキシブルコンテナ車両では、特に、載置部がサイドゲートに枢設されるか又は前記両側のサイドゲート間に枢設されるので、載置部の未使用時には、サイドゲートと同方向あるいは垂直方向に立てて固定しておくと、搭載されるフレキシブルコンテナを保護できるとともに、載置部の収納がコンパクトとなる。また、載置部を回動するだけで容易に上部荷台を形成することができ、載置部の収納及び形成が簡単である。
【0018】
そして、本発明の請求項3に記載のフレキシブルコンテナ車両では、フレキシブルコンテナの排出口に接続され外部に通じる粉体排出用配管及びエアー送入用配管が下部荷台に設置されているので、これらの配管に外部の所望の配管を接続すると、フレキシブルコンテナ内の粉体の排出作業やフレキシブルコンテナの形成作業を容易に行うことができ、作業を安全かつ効率よく行うことができる。
【0019】
本発明の請求項4に記載のフレキシブルコンテナ車両では、複数搭載された場合のフレキシブルコンテナの投入口がそれぞれ荷台内側方向へ寄るため、粉体を貯留するタンクからシューターを介して粉体を投入する際に、寄った複数の投入口の中央付近にフレキシブルコンテナ車両を停車すると、複数ある投入口をそれぞれシューターへ接続させることができるため、複数のフレキシブルコンテナの投入口へシューターを接続する度にフレキシブルコンテナ車両を移動させる必要がなく、作業効率の向上を図ることが可能である
【0020】
最後に、本発明の請求項5に記載のフレキシブルコンテナ車両を用いた粉体輸送方法では、粉体の充填、運搬及び排出作業が確実で効率よく、特に、未使用時のフレキシブルコンテナは下部荷台に収納して、載置部によって上部荷台が形成されるので、粉体の運搬に加えて他の荷物を運搬することを可能とし、運搬効率を著しく向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下に、本発明の最良の実施の形態に係るフレキシブルコンテナ車両について図1乃至図7に基づき説明する。(特に、請求項1乃至請求項3に対応)
図1(a)は、本発明の本実施の形態に係るフレキシブルコンテナ車両の上面図であり、(b)は同じくフレキシブルコンテナ車両の側面図である。
図1(a)及び(b)において、フレキシブルコンテナ車両1は、トラック2の荷台に二列にわたって合計8個のフレキシブルコンテナ3が搭載されており、両サイドゲート43には各々載置板7が枢設されている。
フレキシブルコンテナ3は、縦置き型の筒状で継ぎ目の全くないシームレスの胴部4と、胴部4の上部の開口端に粉体投入口5を備え、下部の開口端に粉体排出口6を備えている。
また、図1(b)において、サイドゲート43には粉体排出用配管接続口8aが設置されており、この粉体排出用配管接続口8aは、図示していないがフレキシブルコンテナ3の粉体排出口6に接続される粉体排出用配管に連結しており、外部の粉体送入管等を接続可能で、粉体の排出作業において使用するものである。なお、もう一方のサイドゲート43には、図示していないが、フレキシブルコンテナ3の下部の開口端に設けられるエアー口に接続されるエアー送入用配管に連結するエアー送入用配管接続口が設置されている。
【0022】
次に、本実施の形態に係るフレキシブルコンテナ車両のフレキシブルコンテナについて図2を用いて詳細に説明する。
図2は、本実施の形態に係るフレキシブルコンテナ車両のフレキシブルコンテナの概念図である。
図2において、フレキシブルコンテナ3は、前述の通り、縦置き型の筒状で継ぎ目のないシームレスの胴部4と、胴部4の上部の開口端に設置される粉体投入口5と、胴部4の下部の開口端に設置される粉体排出口6を有している。胴部4は中央部から粉体投入口5と粉体排出口6が設けられた開口端に向けて径を小さく絞っており、できるだけ多くの粉体を充填し、かつ、開口端ができるだけ小さくなるように形成されている。
また、フレキシブルコンテナ3には金属製の鏡部が設けられていないので、フレキシブルコンテナ3は持ち運びが可能で、返送時にはフレキシブルコンテナ3をコンパクトに圧縮することができる。
【0023】
そして、胴部4は、気密性を有する内袋10とこの内袋10よりも耐圧性の高い外袋9とから構成されている。内袋10は気密性があるので、内袋10の内部に充填される粉体が外部に漏出するのを防止することができ、コンタミネーションの発生を阻止している。したがって、外袋9は同じものを繰り返し使用して内袋10のみを交換すると、異種の粉体を充填することができるので、従来のフレキシブルコンテナにおけるフレキシブルコンテナ内部の清掃作業が不要となり、その結果、清掃作業に要する労力を減じることによる作業効率の向上を図ることができる。
なお、内袋10の材質には、安価で柔軟な、例えば、ポリエチレンやポリ塩化ビニルなどを用いることができるが、これらの材質に限定するものでなく、気密性が高く、充填物との化学的、物理的な相性に問題がなく、しかも柔軟でコスト的に合理的であればどのような材質、材料であってもよい。また、内袋は、例えば樹脂をコーティングすることで気密性の薄い繊維の気密性を高めるような構成にすることもできる。
一方、外袋9は耐圧性を有しているので、後述の粉体の充填作業や排出作業において送入される圧縮空気の空気圧による破損を防止するともに、外袋9はシームレスであるので、空気の漏出も発生しない。この外袋9の材質には、アラミド繊維やポリアリレート繊維のような高張力の繊維を使用することができ、外袋9は、これらの高張力繊維を編んで製造され、編みながら胴部4から両開口端へ向けて小径に形成される。編むことによって、異径であると同時に高い耐圧特性を備えたフレキシブルコンテナ3を製造することができる。
【0024】
また、胴部4の上部の粉体投入口5では、粉体の充填作業時に粉体投入方向16に従ってここから粉体を投入する。その際、粉体投入口5に設けられるエアー口12を開けてエアー排出方向18に従ってフレキシブルコンテナ3内部の脱気を行うと、粉体を隙間なく充填することができる。なお、粉体投入口5からの脱気が可能であれば、必ずしもエアー口12を設置する必要はない。
そして、胴部4の下部の開口端には、粉体排出口6とエアー口13が設置されている。粉体の排出作業時には、粉体排出口6に接続される粉体排出用配管21の排出バルブ14を開けて粉体排出方向17に従って粉体を排出するが、この際、エアー口13に接続されるエアー送入用配管22の送風バルブ15を開けて圧縮空気送入方向19に沿って圧縮空気を内袋10に設けられるフィルター11を通じて内袋10内部に送入すると、内袋10に充填された粉体が吹き上げられて流動化するので、粉体の排出を促進することができる。
なお、本実施の形態では、フレキシブルコンテナ3の粉体投入口5と粉体排出口6を別個に設けているが、開口部を1箇所として、粉体の投入と排出を同じ開口部で行うようにしてもよい。
【0025】
続いて、本実施の形態に係るフレキシブルコンテナ車両のフレキシブルコンテナに接続される配管について図3を用いて説明する。
図3は、本実施の形態に係るフレキシブルコンテナ車両のフレキシブルコンテナに接続され荷台に格納される配管の概念図である。
図3において、トラック荷台20には、破線で示される8個のフレキシブルコンテナ3が搭載されており、各々のフレキシブルコンテナ3の下部開口端の粉体排出口には排出バルブ14を備える粉体排出用配管21が、エアー口には送風バルブ15を備えるエアー送入用配管22が接続されている。そして、これらの配管は、隣接するフレキシブルコンテナ2個を対として、各々が1本の配管に合流してトラック荷台20の両側のサイドゲート43に設けられる粉体排出用配管接続口8a及びエアー送入用配管接続口8bに接続されている。そして、粉体排出用配管接続口8a及びエアー送入用配管接続口8bの近傍で、合流後の粉体排出用配管21及びエアー送入用配管22には、各々排出バルブ23及び送風バルブ24が設けられている。なお、これらの配管やバルブはトラック荷台20の、特に、後述する下部荷台に格納されるものである。
【0026】
したがって、本実施の形態において、エアーの送入作業や、粉体の排出作業を行う場合には、両側のサイドゲート43に各々設置されている粉体排出用配管接続口8a及びエアー送入用配管接続口8bに外部からのエアーホースや粉体送入用配管を接続すると容易に粉体の排出経路及びエアーの送入経路が確保できるので、作業性が極めて良好なものとなる。
なお、図3は、配管の接続方法の一例を示したものであり、搭載するフレキシブルコンテナ3の個数や配置に応じて、粉体排出用配管21及びエアー送入用配管22を組み替えるとよい。また、粉体排出用配管接続口8a及びエアー送入用配管接続口8bを各々片側のサイドゲート43に集めるのではなく、作業の内容に応じて粉体排出用配管接続口8aとエアー送入用配管接続口8bを同じサイドゲート43側に設けるようにしてもよい。
【0027】
次に、本実施の形態に係るフレキシブルコンテナ車両における粉体の排出作業について図4を用いて説明する。
図4は、本実施の形態に係るフレキシブルコンテナ車両において粉体が充填されたフレキシブルコンテナから粉体を排出し、粉体をサイロに送入する状態を示す概念図である。なお、図4において、図2に示された部分と同一部分については同一符号を付し、その構成についての説明は省略する。
図4において、フレキシブルコンテナ3に充填された粉体40を排出して工場等に設置されているサイロ25に荷降ろしする場合は、まず、粉体投入口5とエアー口12を閉じた状態で送風バルブ15を開けてエアー口13から圧縮空気を送入し、フィルター11を通じて内袋10内にエアー噴出方向27に沿ってエアーを送り込み、内袋10内部に充填された粉体40を吹き上げて流動性を持たせる。次に、排出バルブ14を開けると、十分に流動性を持った粉体40は、粉体排出口6から排出し、粉体排出用配管21を経て送入管26に移送され、粉体排出方向17に沿ってサイロ25へと搬出される。
このとき、フレキシブルコンテナ3を上方に持ち上げるなどして、内袋10の内壁に10°〜45°の範囲で安息角28を形成すると、ブリッジ現象やラットホール現象が防止されて、粉体40を効率よく排出することができ、フレキシブルコンテナ3からサイロ25への粉体40の荷降ろし作業を短時間で行うことができる。
なお、サイロ25においては、下部に設けられるロータリーバルブ29から必要に応じて粉体40を取り出すことができる。また、サイロ25の上部にはバッグフィルター31とファン32が設置されており、ファン32を作動させることによって排気方向33に従って外部への排気が可能である。さらに、サイロ25の下部側面に設けられたマンホール30は清掃の際に使用するものである。
また、本図では、図3に示される排出バルブ23、送風バルブ24、粉体排出用配管接続口8a及びエアー送入用配管接続口8bは記載が省略されているが、送入管26は粉体排出用配管接続口8aを介して接続されるものであり、フレキシブルコンテナ3内に供給される圧縮空気は外部のエアコンプレッサーなどの圧縮空気供給装置をエアー送入用配管接続口8bを介して接続するものである。
【0028】
次に、本実施の形態に係るフレキシブルコンテナ車両におけるフレキシブルコンテナの形成及び収納について図5を用いて説明する。
図5(a)は本実施の形態に係るフレキシブルコンテナ車両においてフレキシブルコンテナを形成した状態を示す概念図であり、(b)は同じくフレキシブルコンテナ車両においてフレキシブルコンテナを収納した状態を示す概念図である。
図5(a)において、フレキシブルコンテナ車両を後方から見ると、形成された2個のフレキシブルコンテナ3がトラック荷台20に搭載されており、また、両方のサイドゲート43には各々板支持レール34が設置され、この板支持レール34に載置板7が枢設されている。そして、載置板7は、車両の長さ方向に二つに折り畳まれた構造で、サイドゲート43よりも上方に突出した状態になっており、フレキシブルコンテナ3の側面を保護する役割を担っている。
なお、符号35は板支持台で、載置板7を展開した場合の載置板7の支持部材であるが、載置板7のみによって十分に荷重が確保される場合は特に設置する必要はない。逆に、十分に荷重が確保されない場合は、複数の板支持台35を設置することも可能である。
【0029】
一方、図5(b)において、未使用時のフレキシブルコンテナ3は内部の空気を抜くと縦方向に圧縮することができ、折り畳んだフレキシブルコンテナ3の上方に載置板7を展開して、板支持台35に載置すると、トラック荷台20は、載置板7によって新たに形成される上部荷台20aと、折り畳んだフレキシブルコンテナ3を収納する下部荷台20bとに分割されるようになっている。なお、載置板7による上部荷台20aの形成においては、載置板7が折り畳み構造で板支持レール34に枢設されているので、容易に展開して固定することができる。
そして、上部荷台20aには、フレキシブルコンテナ3以外の他の荷物が積載可能となり、復路等で上部荷台20aを使用すると運搬効率の向上が図れる。しかも、従来のフレキシブルコンテナ車両では、折り畳んだフレキシブルコンテナが荷台の一部分を占領するのに対して、本実施の形態では、トラック荷台20全面を他の荷物の積載に使用することができるため、運搬効率がさらに高いものとなる。
また、載置板7をトラック荷台20全面の大きさではなく、フレキシブルコンテナ3の形状や搭載個数に応じて分割して形成すると、トラック荷台20には、載置板7を収納してフレキシブルコンテナ3を形成し、フレキシブルコンテナ3に充填される粉体と、フレキシブルコンテナ3を折り畳んで下部荷台20bに収納して載置板7による上部荷台20aを形成し、上部荷台20aに積載する他の荷物を同時に運搬することも可能である。
なお、載置板7は両側のサイドゲート43に設けられた板支持レール34に枢設されているが、いずれか一方に板支持レール34を設けてそれに枢設されてもよい。
【0030】
続いて、載置板の変形例について図6を用いて説明する。
図6(a)及び(b)は、本実施の形態に係るフレキシブルコンテナ車両の載置板及び板支持レールの変形例を示す概念図である。なお、図6(a)及び(b)において、図5に示された部分と同一部分については同一符号を付し、その構成についての説明は省略する。
まず、図6(a)において、載置板36はトラック荷台20の全面を覆う一枚板で、各々のサイドゲート43に対で形成される板支持レール37の間に挟持されて固定され、上部荷台20aを形成している。一方、図6(b)では、載置板36は同様の一枚板であり、その固定は、各々のサイドゲート43に設置される板支持レール38上に載置することによって行われ、上部荷台20aを形成している。なお、(a)、(b)いずれの一枚板においても、トラック荷台20全面において一枚板ではなく車両の幅方向に分割しておくと粉体を運搬する際にも載置板36をトラック荷台20に載置することが可能である。
このように一枚板の載置板36では、図5で示した折り畳み構造の載置板7に比べると、強度が高いので、形成される上部荷台20aに大量の荷物を積載することが可能となる。なお、図6(a)及び(b)のいずれの場合においても、図5に示した板支持台35を図示していないが、必要に応じて設置すると、さらに、強度を向上させることができる。
なお、載置板36は分割することも可能で、この場合は、前述の通り、トラック荷台20には、粉体が充填されたフレキシブルコンテナと他の荷物を同時に積載することができ、異種の荷物の運搬を可能とする。
また、載置板36の収納については、例えば、フレキシブルコンテナ3の下方に空間を形成して、この空間に収納するようにしてもよい。
【0031】
このように構成された本実施の形態では、載置板を用いてトラックの荷台を上部荷台と未使用時のフレキシブルコンテナを収納する下部荷台に分割することによって、上部荷台にはその全面において他の荷物の積載することができるので、従来のフレキシブルコンテナ車両と比較して、復路等におけるフレキシブルコンテナ以外の荷物の積載量を増大させて運転効率の向上を可能にしている。
また、外部からのエアーホースや送入管等の配管を安全かつ確実にフレキシブルコンテナに接続するための配管及び接続口を装備しているので、作業性が良好で、しかも作業時間の短縮が可能である。
そして、フレキシブルコンテナが内袋と外袋の二重構造であり、内袋の交換のみで異種の粉体の充填及び運搬が可能となり、従来の清掃作業の排除によって作業効率の向上が図れるとともに、コストメリットも大きい。
さらに、粉体の排出作業時には、圧縮空気の導入によって粉体を流動化させたり、内袋の内壁に安息角を形成したりするので、従来、発生していた排出時の粉体の詰まりを解消し、短時間で確実に粉体を排出することができる。
【0032】
次に、本発明の最良の実施の形態に係るフレキシブルコンテナ車両のその他の実施例について図7(a)乃至(c)を参照しながら説明する。(特に、請求項2に対応)
図7(a)はフレキシブルコンテナ車両のその他の実施例における載置板の変形例を示す概念図、(b)はフレキシブルコンテナ車両のその他の実施例におけるフレキシブルコンテナの開口部を連結具あるいは連結板を用いて連結した場合を示す概念図、(c)は図7(a),(b)における載置板の開閉状態を説明するための概念図である。
図7(a)は、図1(a)に示されるフレキシブルコンテナ車両1の載置板7がサイドゲート43に対して同方向、すなわち平行に枢設されていたのに対して、フレキシブルコンテナ車両1aの載置板7aをサイドゲート43に垂直方向に枢設される場合を示すものである。載置板7aは、両側のサイドゲート43に垂直に、フレキシブルコンテナ3の両端及びその間に設けられている。回動のための枢軸は図示しないが、両側のサイドゲートから載置板7aに貫設されている。
フレキシブルコンテナ3間に備えられる載置板7aは本図においては、1枚の大きさがフレキシブルコンテナ3の胴部の直径の略半分で、2枚に構成されており、それぞれ図7(c)に記載されるように両側に開くように回動する。もちろん、1台のフレキシブルコンテナ3をカバー可能な大きさの1枚に構成していずれか一方に倒れるように回動させてもよい。
次に、図7(b)は、フレキシブルコンテナ車両1bに載置されるフレキシブルコンテナ3の粉体投入口5を連結具44や連結板45で連結したものである。このように粉体投入口5を連結することで、フレキシブルコンテナ3の自立を促すことが可能である。フレキシブルコンテナ3がそれぞれ独立に構成されると図8及び9を参照して後述する粉体の投入前のフレキシブルコンテナ形成時に圧縮空気を封入しても自立が困難な場合において、本実施例のように予め粉体投入口5を連結しておくことで、安定し、自立が容易となるのである。
本実施例においては、4体のフレキシブルコンテナ3を連結させたが、2体あるいは3体、6体、8体など特にその連結数については限定するものではない。また、連結する方法も連結具44や連結板45の他にどのような治具を用いてもよく、連結する部分も粉体投入口5に限定するものではなく、胴部でもよいことは言うまでもない。
なお、本実施例のように4体のフレキシブルコンテナ3を連結する場合の載置板7bは、連結具44や連結板45が存在しない部分、すなわち連結されていない部分に備える必要がある。
図7(c)は、前述のとおり載置板7a(7b)の開閉状態を示すものであるが、フレキシブルコンテナ車両の荷台の前部と後部の載置板7a(7b)は、枢軸を備えなくとも蝶番46などを用いてもよい。また、それぞれの載置板7a(7b)が荷台の下部に落ちないようにストッパとして支持具47を両側のサイドゲート43に設けておくとよい。
【0033】
次に、本発明の最良の実施の形態に係るフレキシブルコンテナ車両を用いた粉体輸送方法について図8及び図9を用いて説明する。(特に請求項5に対応)
図8は、本発明の本実施の形態に係るフレキシブルコンテナ車両を用いた粉体輸送方法の工程を示す概念図である。
図8において、本実施の形態に係るフレキシブルコンテナ車両を用いた粉体輸送方法は、ステップS1からステップS7の工程を有している。詳しいフレキシブルコンテナ車両を用いた粉体輸送方法については図9を参照しながら後述するのでここでは簡略して説明すると、まず、ステップS1において、フレキシブルコンテナが格納されている状態から、ステップS2へ進み、フレキシブルコンテナに圧縮空気を送入してフレキシブルコンテナ本体を形成する。
そして、ステップS3では、フレキシブルコンテナの粉体投入口から粉体を充填し、続いて、ステップS4において、粉体を充填したフレキシブルコンテナを運搬する。目的地に到着すると、ステップS5において、工場に設置されるサイロ等に粉体を排出する。
粉体を全て排出し終わると、ステップS6により、フレキシブルコンテナの空気を抜いて折り畳み、トラック荷台の下部荷台に収納して、載置板を用いて上部荷台を形成する。
最後に、ステップS7において、ステップS6において形成した上部荷台にフレキシブルコンテナ以外の他の荷物を積載し、フレキシブルコンテナ車両は、復路等を走行する。
【0034】
ここで、本実施の形態に係るフレキシブルコンテナ車両を用いた粉体輸送方法の詳細について図9を用いて説明する。
図9(a)乃至(g)は、本実施の形態に係るフレキシブルコンテナ車両を用いた粉体輸送方法を示す概念図である。なお、図9(a)乃至(g)は、フレキシブルコンテナ車両を後方からみた場合の概念図である。
まず、図9(a)は、フレキシブルコンテナ車両1において、フレキシブルコンテナ3を格納した状態であり、フレキシブルコンテナ3を使用しない場合は、フレキシブルコンテナ3を折り畳んで下部荷台20bに収納し、載置板7によって上部荷台20aを形成しておくと、フレキシブルコンテナ以外の荷物を積載並びに運搬する車両をして利用することができる。
次に、フレキシブルコンテナ3を使用する場合は、図9(b)のように、フレキシブルコンテナ3を形成する。フレキシブルコンテナ3の形成にあたっては、図示していないが、フレキシブルコンテナ3の下端部に設置されるエアー口から圧縮空気を送入し、フレキシブルコンテナ3の形状を整える。なお、搭載される全てのフレキシブルコンテナ3のエアー口には下部荷台20bに収納されるエアー送入用配管が各々接続され、さらに、このエアー送入用配管は、サイドゲート43に設けられ、外部の配管と接続可能なエアー送入用配管接続口と連結しているので、エアーホース等をサイドゲート43のエアー送入用配管接続口に接続するとフレキシブルコンテナ3に圧縮空気を簡単に送入することができる。
【0035】
続いて、図9(c)において、粉体を充填する場合は、工場等に設置されるタンク39の送入管41をフレキシブルコンテナ3の粉体投入口5に接続し、粉体40を投入する。この際、必要に応じて粉体投入口5に設けられるエアー口からフレキシブルコンテナ3内部を脱気すると、粉体40を隙間なく充填することができる。
そして、図9(d)において、粉体40が充填されたフレキシブルコンテナ3を目的地まで運搬する。フレキシブルコンテナ車両1では、サイドゲート43に枢設される載置板7がサイドゲート43よりも上方に突出しているので、この突出した部分によって、フレキシブルコンテナ3の側面を運搬中の振動等から保護することができる。
【0036】
次に、図9(e)では、目的地に設置されるサイロ25等へ粉体40を排出する。フレキシブルコンテナ車両1のサイドゲート43に設置される粉体排出用配管接続口8aに送入管26を接続し、また、図示していないが、他方のサイドゲート43に設置されるエアー送入用配管接続口に外部のエアーホースを接続して、エアー送入用配管を介してエアー口からフレキシブルコンテナ3の内部に圧縮空気を送入して、粉体40を流動化させて、粉体排出口6から粉体排出用配管21及び送入管26を通じてサイロ25へ粉体40を排出する。この際、フレキシブルコンテナ3を上方へ持ち上げるなどして、内袋10の内壁に10°〜45°安息角28を形成すると、粉体40をより効率よく排出できる。
そして、粉体40の排出を終了すると、図9(f)のように、フレキシブルコンテナ3の空気を抜いて折り畳んで下部荷台20bに収納する。そして、載置板7を回動して固定し上部荷台20aを形成する。
最後に、図9(g)において、形成した上部荷台20aにフレキシブルコンテナ3以外の他の荷物42を積載し、フレキシブルコンテナ車両1は復路に着いたり、新たな目的地まで走行したりして、荷物42を運搬する。なお、図9(g)では、載置板7をトラック荷台の全面に形成させたが、分割された載置板7の場合には、載置板7の一部をもって上部荷台20aと下部荷台20bを構成させてその上部荷台20aにのみ荷物42を積載し、一部はフレキシブルコンテナ3を立てたままの状態としてもよい。数種類の異なる粉体をそれぞれ異なる目的地へ搬送する際に、一部のフレキシブルコンテナのみが空となり、その際に別の荷物と混載させるような場合には利用価値が高い。
【0037】
このように構成された本実施の形態においては、フレキシブルコンテナを収納可能な下部荷台と上部荷台を備えるフレキシブルコンテナ車両を用いることにより、粉体を充填したフレキシブルコンテナ以外の荷物を積載して運搬することができるので、運転効率の優れる輸送方法となる。
また、下部荷台に整備された粉体排出用配管やエアー送入用配管により、フレキシブルコンテナの形成作業や、粉体の排出作業を簡単かつ安全に行うことができ、作業性に優れている。
【0038】
次に、図10(a),(b)を参照しながら本実施の形態に係るフレキシブルコンテナ車両及びフレキシブルコンテナ車両を用いた粉体輸送方法のその他の実施例について説明する。(特に請求項4に対応)
図10(a)はその他の実施例に係るフレキシブルコンテナ3aを形成する状態を示す概念図であり、(b)はフレキシブルコンテナ3aの粉体投入口5aから粉体を充填する状態を示す概念図である。
図10(a)において、フレキシブルコンテナ3aの粉体投入口5aは、胴部の水平方向における中央から荷台内側方向へ偏心して設けられている。従って、図9を参照しながら説明した実施の形態における粉体投入口5よりも、本実施例における粉体投入口5aの方が、より近傍に集合するように形成される。
このように構成されるフレキシブルコンテナ3aに対しては、粉体40を貯留するタンク39と粉体投入口5aの間が狭くとも、シューター48を介して容易に粉体投入口5aへ粉体40を供給することができる。
一般に、タンク39とフレキシブルコンテナ3a間は600mm程度と狭いことが多く、シューター48が45度程度の傾斜で接続されることを鑑みれば、タンク39の真下近傍にフレキシブルコンテナ3aの粉体投入口5aが位置することが望ましく、複数のフレキシブルコンテナ3aを搭載した場合には、それぞれのフレキシブルコンテナ3a毎に、その粉体投入口5aの位置を調整すべく車両の移動が必要となるが、本実施例のように粉体投入口5aの位置が荷台内側方向に寄せて設けられている場合には、複数の粉体投入口5aの中央にタンク39の粉体放出口が位置するように車両を停車しておけば、いずれのフレキシブルコンテナ3aの粉体投入口5aへもシューター48を介して接続が可能となり、車両の移動を行なう必要がなくなり、作業効率が向上するのである。
【産業上の利用可能性】
【0039】
以上説明したように、本発明の請求項1乃至請求項4に記載された発明は、軽量で耐圧性に優れるフレキシブルコンテナを具備し、粉体の充填及び排出時の作業性が良好で運搬効率が高いフレキシブルコンテナ車両とそれを用いた粉体輸送方法を提供可能であり、フレキシブルコンテナ車両の製造及びフレキシブルコンテナ車両を用いた粉体の輸送において利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】(a)は本発明の本実施の形態に係るフレキシブルコンテナ車両の上面図であり、(b)は同じくフレキシブルコンテナ車両の側面図である。
【図2】本実施の形態に係るフレキシブルコンテナ車両のフレキシブルコンテナの概念図である。
【図3】本実施の形態に係るフレキシブルコンテナ車両のフレキシブルコンテナに接続され荷台に格納される配管の概念図である。
【図4】本実施の形態に係るフレキシブルコンテナ車両において粉体が充填されたフレキシブルコンテナから粉体を排出し、粉体をサイロに送入する状態を示す概念図である。
【図5】(a)は本実施の形態に係るフレキシブルコンテナ車両においてフレキシブルコンテナを形成した状態を示す概念図であり、(b)は同じくフレキシブルコンテナ車両においてフレキシブルコンテナを収納した状態を示す概念図である。
【図6】(a)及び(b)は本実施の形態に係るフレキシブルコンテナ車両の載置板及び板支持レールの変形例を示す概念図である。
【図7】(a)はフレキシブルコンテナ車両のその他の実施例における載置板の変形例を示す概念図、(b)はフレキシブルコンテナ車両のその他の実施例におけるフレキシブルコンテナの開口部を連結具あるいは連結板を用いて連結した場合を示す概念図、(c)は図7(a),(b)における載置板の開閉状態を説明するための概念図である。
【図8】本発明の本実施の形態に係るフレキシブルコンテナ車両を用いた粉体輸送方法の工程を示す概念図である。
【図9】(a)乃至(g)は本実施の形態に係るフレキシブルコンテナ車両を用いた粉体輸送方法を示す概念図である。
【図10】(a)はフレキシブルコンテナ車両とそれを用いた粉体輸送方法のその他の実施例に係るフレキシブルコンテナを形成する状態を示す概念図であり、(b)はフレキシブルコンテナの粉体投入口から粉体を充填する状態を示す概念図である。
【符号の説明】
【0041】
1,1a,1b…フレキシブルコンテナ車両 2…トラック 3,3a…フレキシブルコンテナ 4…胴部 5,5a…粉体投入口 6…粉体排出口 7,7a,7b…載置板 8a…粉体排出用配管接続口 8b…エアー送入用配管接続口 9…外袋 10…内袋 11…フィルター 12…エアー口 13…エアー口 14…排出バルブ 15…送風バルブ 16…粉体投入方向 17…粉体排出方向 18…エアー排出方向 19…圧縮空気送入方向 20…トラック荷台 20a…上部荷台 20b…下部荷台 21…粉体排出用配管 22…エアー送入用配管 23…排出バルブ 24…送風バルブ 25…サイロ 26…送入管 27…エアー噴出方向 28…安息角 29…ロータリーバルブ 30…マンホール 31…バッグフィルター 32…ファン 33…排気方向 34…板支持レール 35…板支持台 36…載置板 37…板支持レール 38…板支持レール 39…タンク 40…粉体 41…送入管 42…荷物 43…サイドゲート 44…連結具 45…連結板 46…蝶番 47…支持具 48…シューター


【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉体の運搬に用いるフレキシブルコンテナを少なくとも1つ荷台に搭載するフレキシブルコンテナ車両において、
前記フレキシブルコンテナは、気密性を備えて一の端部に前記粉体を投入する投入口と他の端部に前記粉体を排出する排出口とを有する内袋と、この内袋を内部に格納する胴部とこの胴部の両端に設けられそれぞれ前記投入口或いは前記排出口を外部に誘導し前記胴部中央部の径よりも小径に絞られる開口部と、前記内袋よりも高い耐圧強度を備える外袋と、前記内袋の内部に給気可能な送風口とを有し、
前記荷台は、支持部材で支持される平板状の載置部を備える上部荷台と、前記載置部の下方に形成される下部荷台に分割され、粉体を運搬しない場合には、折り畳まれた空の前記フレキシブルコンテナは下部荷台に収納され、荷物を上部荷台に載置可能であることを特徴とするフレキシブルコンテナ車両。
【請求項2】
前記載置部は、前記荷台の片側又は両側に設けられたサイドゲートに枢設されるか又は前記両側のサイドゲート間に枢設されることを特徴とする請求項1に記載のフレキシブルコンテナ車両。
【請求項3】
前記フレキシブルコンテナの排出口に一の端部を接続し他の端部は外部に接続可能に設けられた排出バルブを備える粉体排出用配管と、前記フレキシブルコンテナの送風口に一の端部を接続し他の端部は外部に接続可能に設けられた送風バルブを備えるエアー送入用配管とを前記下部荷台に格納することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のフレキシブルコンテナ車両。
【請求項4】
前記フレキシブルコンテナの投入口を外部に誘導する開口部は、胴部においてその中央位置から荷台内側方向へ偏心して設けられることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のフレキシブルコンテナ車両。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載されたフレキシブルコンテナ車両を用いた粉体輸送方法であって、前記フレキシブルコンテナに設置される送風口から圧縮空気を送入してフレキシブルコンテナを形成する工程と、このフレキシブルコンテナの投入口から粉体を充填する工程と、粉体が充填されたフレキシブルコンテナを運搬する工程と、前記送風口から圧縮空気を送入しながら排出口から粉体を排出する工程と、フレキシブルコンテナを折り畳んで下部荷台に収納する工程と、載置部を用いて上部荷台を形成する工程とを有することを特徴とするフレキシブルコンテナ車両を用いた粉体輸送方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−119019(P2007−119019A)
【公開日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−315662(P2005−315662)
【出願日】平成17年10月31日(2005.10.31)
【出願人】(591211294)
【Fターム(参考)】