説明

フレームレート変換回路およびそれを搭載した表示装置

【課題】補間フレームの画質を向上させる技術を提供する。
【解決手段】フレームレート変換回路において、補間フレーム生成部10は、第1フレームおよび第2フレームの少なくとも一方を参照して、それらフレーム間の補間フレームを生成する。余白領域検出部20は、第1フレームまたは第2フレームの縁部にある複数の画素の画素値が、予め定められた範囲内の画素値である場合に、余白領域が存在することを検出する。補間フレーム生成部10は、余白領域検出部20により余白領域が存在することが検出された場合に、補間フレーム内の余白領域にある画素の位置に対応する、第1フレーム内の画素および第2フレーム内の画素の少なくとも一方を参照して、補間フレーム内の余白領域にある画素を生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力される動画像のフレーム数を増加させて出力するフレームレート変換回路、およびそれを搭載した表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、フレーム補間技術を用いて動画像のコマ数を増やし、より滑らかで残像間の少ない動画像を生成する手法が実用化されている。たとえば、毎秒60フレーム(60Hz)の動画像を2倍速または4倍速して、120Hzまたは240Hzの動画像に変換して表示する技術も実用化されている。補間フレームの生成手法として、連続するフレーム間の動きベクトルを用いる手法が注目されている(たとえば、特許文献1、2参照)。
【0003】
日本では2006年4月からワンセグ放送が開始されている。ワンセグ放送は、携帯電話機などの携帯機器を主な受信対象とする狭帯域を利用した放送である。ワンセグ放送では、通常、毎秒15フレーム(15Hz)で映像が送信されるため、そのコマ数を増加させる必要性が高い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−71842号公報
【特許文献2】特開2009−21868号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
動きベクトルを用いる補間フレームの生成アルゴリズムの一つに、連続する第1フレームと第2フレーム間の動きベクトルをブロック単位または画素単位で特定し、第1フレーム内の画素が等速直線運動で第2フレームに移動すると仮定して、補間フレームの画素を決定するものがある。このアルゴリズムでは、たとえば、補間フレームの対象画素を生成するための上記動きベクトルを特定し、その動きベクトルの始点および終点に対応する、第1フレーム内の画素および第2フレーム内の画素を、補間フレームの時間方向の位置に応じて加重平均した画素を、補間フレームの対象画素に割り当てる。
【0006】
ここで、放送局から送信される映像には、画面内の左右の端の数画素に黒帯が含まれる場合がある。この黒帯領域の色は変化せず、その輪郭も明確であるため、補間フレームの生成処理によって黒帯領域にノイズが発生すると、ノイズが目立つおそれがある。そして、放送局側から黒帯を含む映像が送られてくるのか、黒帯を含まない映像が送られてくるのか、受信機側では不明である。さらに、受信機側ではどちらの映像が送られて来るのかを容易に判別することはできなかった。また、4:3の映像を16:9の画面に表示させる場合にも、画面内の左右に黒帯が表示され、同様の問題が発生するおそれがあった。
【0007】
本発明はこうした状況に鑑みなされたものであり、その目的は、補間フレームの画質を向上させる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明のある態様のフレームレート変換回路は、入力される動画像に含まれる第1フレームと第2フレームとの間に補間フレームを生成するフレームレート変換回路であって、第1フレームおよび第2フレームの少なくとも一方を参照して、それらフレーム間の補間フレームを生成する補間フレーム生成部と、第1フレームまたは第2フレームの縁部にある複数の画素の画素値が、予め定められた範囲内の画素値である場合に、余白領域が存在することを検出する余白領域検出部と、を備える。この補間フレーム生成部は、余白領域検出部により余白領域が存在することが検出された場合に、補間フレーム内の余白領域にある画素の位置に対応する、第1フレーム内の画素および第2フレーム内の画素の少なくとも一方を参照して、補間フレーム内の余白領域にある画素を生成する。
【0009】
本発明の別の態様もまた、フレームレート変換回路である。この装置は、入力される動画像に含まれる第1フレームと第2フレームとの間に補間フレームを生成するフレームレート変換回路であって、第1フレームと第2フレームとの間で、ブロック単位または画素単位の動きベクトルを検出する動きベクトル検出部と、動きベクトルをそれぞれ決定し、その動きベクトルの始点および終点に対応する、第1フレーム内の画素および第2フレーム内の画素の少なくとも一方を参照して、補間フレーム内の各画素を生成する補間フレーム算出部と、を備える。この補間フレーム算出部は、動きベクトルの始点および終点に対応する第1フレーム内の画素および第2フレーム内の画素の少なくとも一方が、フレームの縁部に存在しうる余白領域を少なくとも含む端部領域に位置したとき、動きベクトルの始点および終点に対応する第1フレーム内の画素および第2フレーム内の画素のうちフレームの中央縦ラインに近い一方の画素を用いて、補間フレーム内の画素を生成する。
【0010】
本発明のさらに別の態様は、表示装置である。この装置は、フレームレート変換回路と、フレームレート変換回路により生成された補間フレームが挿入された画像を表示する表示部と、を備える。
【0011】
なお、以上の構成要素の任意の組み合わせ、本発明の表現を方法、装置、システム、記録媒体、コンピュータプログラムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、補間フレームの画質を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施形態に係る表示装置の機能構成を示す図である。
【図2】実施形態に係るフレームレート変換回路の構成を示す図である。
【図3】補間フレームの生成原理(2倍速変換)を示す図である。
【図4】補間フレームの生成原理(4倍速変換)を示す図である。
【図5】黒帯領域を含む画面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は、実施形態に係る表示装置500の機能構成を示す。表示装置500は、ワンセグ放送などのテレビ放送を受信し、表示再生する機能を搭載した機器である。たとえば、ワンセグ放送の受信再生専用機であってもよいし、その機能を搭載した携帯電話機、PDA、携帯型音楽プレーヤ、電子辞書、カーナビゲーション装置などであってもよい。表示装置500は、テレビ放送を受信するものに限らず、動画像を表示再生する機器であってよい。
【0015】
表示装置500は、アンテナ200、画像処理回路300、フレームレート変換回路100および表示部400を備える。画像処理回路300は、受信部310、復号部320および映像出力部330を含む。受信部310は、アンテナ200を介してワンセグ放送を受信し、選択されたチャンネルの信号を復調して、復号部320へ出力する。
【0016】
復号部320は、受信部310から入力される符号化データを復号する。ワンセグ放送画像の符号化には、AVC/H.264規格が採用されている。復号部320は、復号したフレームを映像出力部330に出力する。なお、復号されたフレームが映像出力部330に入力される前に、スケーラ(不図示)による解像度変換が施される。
【0017】
映像出力部330は、復号部320にて復号された映像を、表示部400にて表示可能な形式で出力する。たとえば、15Hzの動画像を表示部400にて表示可能な60Hzの動画像に変換する。
【0018】
フレームレート変換回路100は、映像出力部330から受けとった動画像をもとに2倍速変換または4倍速変換をして、変換した動画像を出力する。具体的には、動画像に含まれる、連続する二枚の原フレーム間の補間フレームを補間フレーム生成部10により生成し、それら二枚の原フレーム間に挿入して出力する。具体的な変換方法については後述する。表示部400は、フレームレート変換回路100により倍速変換された動画像を表示する。
【0019】
図2は、実施形態に係るフレームレート変換回路100の構成を示す図である。フレームレート変換回路100は、入力される動画像に含まれる第1フレームと第2フレームとの間の補間フレームを生成し、補間フレームを加えた動画像を出力する。たとえば、動画像に含まれる、隣接する二枚のフレーム間の補間フレームを生成する。
【0020】
当該フレームレート変換回路100は、入力部5、補間フレーム生成部10、余白領域検出部20、フレーム記憶部30、および出力部50を備える。これらの構成は、ハードウェア的には、任意のプロセッサ、メモリ、その他のLSIで実現でき、ソフトウェア的にはメモリにロードされたプログラムによって実現されるが、ここではそれらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックがハードウェアのみ、ソフトウェアのみ、またはそれらの組み合わせによっていろいろな形で実現できることは、当業者には理解されるところである。
【0021】
入力部5は画像処理回路300から出力された動画像をフレーム記憶部30に書き込むとともに、余白領域検出部20に出力する。フレーム記憶部30は、入力部5から出力された動画像に含まれる原フレーム、および補間フレーム生成部10により生成される補間フレームを一時記憶する。
【0022】
補間フレーム生成部10は、動画像に含まれる第1フレームと第2フレームとの間の補間フレームを生成する。補間フレーム生成部10は、基本的に、第1フレームと第2フレームの両方を参照して、それらフレーム間の補間フレームを生成し、例外的に、第1フレームと第2フレームの一方を参照して、それらフレーム間の補間フレームを生成する。以下、さらに具体的に説明する。
【0023】
補間フレーム生成部10は、動きベクトル検出部12および補間フレーム算出部14を備える。動きベクトル検出部12は、第1フレームと第2フレームとの間で、ブロック単位または画素単位の動きベクトルを検出する。たとえば、画素単位の動きベクトルを二段階のブロックマッチングにより検出する。
【0024】
当該二段階のブロックマッチングの第一段階では、第1フレームを複数のブロック(たとえば、8×8または16×16のマクロブロック)に分割して、第2フレーム内において、当該各ブロックと一致または誤差が最小のブロックを探索する。
【0025】
たとえば、第1フレーム内の対象ブロックと第2フレーム内の候補ブロック間で、両者に含まれる、対応する位置の画素の差分絶対値和または差分二乗和を求め、その値が最も小さい候補ブロックを、第2フレーム内の最適予測ブロックとする。また、第1フレーム内の対象ブロックと第2フレーム内の候補ブロック間で、両者に含まれる、対応する位置の画素が実質的に一致した数が最も多い候補ブロックを、第2フレーム内の最適予測ブロックとしてもよい。そして、第1フレーム内の各ブロックと、第2フレーム内の各最適予測ブロックとの動きベクトルを算出する。これにより、ブロック単位の動きベクトルを検出することができる。
【0026】
上記二段階のブロックマッチングの第二段階では、第1フレーム内の各ブロックと、第2フレーム内の各最適予測ブロックとの間で、画素値が実質的に一致しなかった画素の動きベクトルを求める。たとえば、上述した手法と同様の手法を用いて、第1フレーム内の各ブロック内の画素値が実質的に一致しなかった画素の領域と一致または誤差が最小の領域を、第2フレーム内において探索する。これにより、第1フレームと第2フレームとの間で、画素単位の動きベクトルを検出することができる。
【0027】
補間フレーム算出部14は、補間フレーム内の各画素を生成するための上記動きベクトルをそれぞれ決定し、その動きベクトルの始点および終点に対応する、第1フレーム内の画素および第2フレーム内の画素の少なくとも一方を参照して、補間フレーム内の各画素を生成する。たとえば、両方の画素を合成して生成してもよいし、いずれか一方の画素を複製して生成してもよい。以下、図3、4を参照しながら両方の画素を合成して補間フレーム内の画素を生成する方法について説明する。
【0028】
図3は、補間フレームの生成原理(2倍速変換)を示す図である。2倍速変換では、第1原フレームFo1と第2原フレームFo2との間に、一枚の補間フレームFiを挿入する必要がある。補間フレームFiは、第1原フレームFo1と第2原フレームFo2との時間間隔を二等分した時間位置に挿入される。
【0029】
補間フレームFiの画素Piは、その画素Piを通過する動きベクトルmvの始点および終点に対応する、第1原フレームFo1の画素Po1および第2原フレームFo2の画素Po2を合成することにより生成される。たとえば、両者の画素値を平均して補間フレームFiの画素Piの画素値を算出してもよい。
【0030】
ここで、補間フレームFiの画素Piを通過する動きベクトルmvを常に正確に求めることができれば、その動きベクトルmvの始点に対応する第1原フレームFo1の画素Po1を、そのまま補間フレームFiの画素Piに割り当ててもよい。しかしながら、動きベクトルmvが誤検出された場合、片方の画素Po1しか参照しないため、大きなノイズが発生しやすくなる。そこで、本実施の形態では、第1原フレームFo1の画素Po1および第2原フレームFo2の画素Po2の両方を参照する。
【0031】
なお、補間フレームFiの対象画素を通過する動きベクトルが存在しない場合、たとえば、次のように処理する。すなわち、補間フレームFi内の周辺画素から空間的に補間した画素を当該対象画素に割り当てるか、補間フレームFiの対象画素と同じ位置の、第1原フレームFo1の画素および第2原フレームFo2の画素を合成した画素を当該対象画素に割り当てる。
【0032】
図4は、補間フレームの生成原理(4倍速変換)を示す図である。4倍速変換では、第1原フレームFo1と第2原フレームFo2との間に、三枚の補間フレーム(第1補間フレームFi1、第2補間フレームFi2および第3補間フレームFi3)を挿入する必要がある。第1補間フレームFi1、第2補間フレームFi2および第3補間フレームFi3は、第1原フレームFo1と第2原フレームFo2との時間間隔を四等分した時間位置にそれぞれ挿入される。
【0033】
第1補間フレームFi1の画素Pi1は、その画素Pi1を通過する動きベクトルmvの始点および終点に対応する、第1原フレームFo1の画素Po1および第2原フレームFo2の画素Po2を合成することにより生成される。たとえば、両者の画素値を加重平均して、第1補間フレームFi1の画素Pi1の画素値を算出してもよい。すなわち、前者の画素値を3/4し、後者の画素値を1/4し、両者を加算する。
【0034】
第2補間フレームFi2の画素Pi2は、図3に示した補間フレームFiの画素Piと同様に生成することができる。第3補間フレームFi3の画素Pi3も、第1原フレームFo1の画素Po1および第2原フレームFo2の画素Po2を合成することにより生成される。たとえば、両者の画素値を加重平均して、第3補間フレームFi3の画素Pi3の画素値を算出してもよい。すなわち、前者の画素値を1/4し、後者の画素値を3/4し、両者を加算する。
【0035】
図2に戻り、出力部50は、フレーム記憶部30から、補間フレームを含む動画像を構成するフレームを表示順にしてがって読み出し、外部に出力する。
【0036】
ワンセグ放送において放送局が黒帯を付加する場合、4画素〜6画素の横幅の黒色の画素列がフレームの左右端にそれぞれ付加されることがある。この余白領域は静止したままであって、色は変化せず、輪郭も明確であるため、補間フレームの余白領域にノイズが発生するとノイズが目立つおそれがある。黒帯は、アスペクト比が異なる映像の互換性をとるために放送局側で付加されることがあり、受信機側では受信した動画像に黒帯が付加されているかどうか不明である。さらに、余白領域の大きさは、放送局によって大きさが異なることがあり、受信機側では余白領域の大きさも不明である。
【0037】
動きベクトルによっては補間フレーム内の余白領域内の画素が有効映像領域内の画素を参照して生成され、余白領域に有効映像領域の映像がノイズとして表示されることがある。また逆に、有効映像領域内の画素が余白領域内の画素を参照して生成され、有効映像領域の映像に余白領域内の画素がノイズとして表示されることもある。
【0038】
そこで、実施形態に係る余白領域検出部20は、第1フレームまたは第2フレームに余白領域が存在するかどうか検出する。そして、補間フレーム算出部14は余白領域が存在することを検出した場合は、動きベクトルをゼロにするなどして補間フレーム内の余白領域を生成し、補間の際に余白領域にノイズが入ることを抑える。この補間方法を具体的に図5を参照して説明する。
【0039】
図5は、余白領域を含む画面33を示す。図5に示す画面33は黒帯を含む画面であり、当該画面33には、映像が表示される有効映像領域38、余白領域である左端側の黒帯領域34aおよび右端側の黒帯領域34b(とくに区別しない場合は「黒帯領域34」という)が表示されている。
【0040】
余白領域検出部20は、第1フレームおよび第2フレームの縁部にある複数の画素の画素値が、予め定められた設定範囲内の画素値である場合に、黒帯領域34が存在することを検出する。これにより第1フレームおよび第2フレームの縁部に黒帯領域34があるかどうか検出することができる。なお、余白領域検出部20が黒帯領域34が存在することを検出しても、実際の黒帯領域34の大きさは不明である場合がある。つまり、余白領域検出部20は、予め想定された範囲に黒帯領域34が存在することを検出する。
【0041】
ここで放送局で付加された黒帯領域34の画素値は必ずしもRGB(0,0,0)ではないため、放送局で付加された黒帯領域34の画素値が符号化および復号化した後にとりうる範囲が設定範囲として予め定められる。この設定範囲は、誤検出が少なくなるよう実験により定められる。
【0042】
フレームの縁部は、たとえば図5に表示する右縁部36bおよび左縁部36aである。右縁部36bは、画面33の右縁から点線37bまでの範囲であって、ワンセグ放送において画面33の右縁から点線37bまでの幅は、3画素程度とすることができる。左縁部36aも同様に、画面33の左縁から点線37aまでの幅は、3画素程度とすることができる。
【0043】
余白領域検出部20は、第1フレームおよび第2フレームの左右の縁部にある縦方向の画素列35の画素値が、予め定められた範囲内の画素値である場合に、黒帯領域34が存在することを検出する。検出のターゲットとされる画素列35の位置情報はレジスタに保持されており、余白領域検出部20はその位置情報にもとづいて検出のターゲットとなる画素列35の画素値をモニタする。画素列35に含まれる全画素の画素値を用いて黒帯領域34の検出を行うことで、黒帯領域34の誤検出を減らすことができる。また、黒帯領域34の検出において、検出のターゲットとなる画素を左右の一列ずつに限定することで、処理負荷を軽減することができる。
【0044】
なお、黒帯領域34のうち有効映像領域38との境界に位置する画素は、符号化および復号化等の処理によって黒色から変化しているおそれがあり、予め定められた設定範囲内の画素値ではない可能性がある。そこで誤検出の頻度を低減するため、余白領域検出部20は点線37よりも外側に位置する縦方向の画素列を検出のターゲットとすることが好ましく、画面33内の最も外側の右端および左端に位置する縦方向の画素列を検出のターゲットとすることがより好ましい。
【0045】
図2に戻って、余白領域検出部20は動画像から余白領域が存在することを検出すると、余白領域が存在することを示す情報を補間フレーム算出部14に出力する。そして補間フレーム算出部14は、補間フレーム内の余白領域にある画素を生成するための動きベクトルをゼロにして補間フレーム内の余白領域にある画素を生成する。
【0046】
図5において、ケースaは、補間フレーム内の対象画素Piaが右縁部36bに存在し、第1フレームの画素Po1aが右縁部36bの外側に存在し第2フレームの画素Po2aが右縁部36bに存在するケースである。この場合、補間フレーム算出部14は、補間フレーム内の画素Piaを生成するための動きベクトルをゼロにして、第1フレームおよび第2フレームの画素Piaに対応した画素値を用いて補間フレーム内の画素Piaを生成する。なお、画素Piaは第1フレームまたは第2フレームの同じ位置の画素を複製してもよい。
【0047】
補間フレーム算出部14は、余白領域検出部20から余白領域が存在することを示す情報を受け取ると、補間フレームを生成する前に、補間フレーム内の所定の範囲を余白領域として設定する。所定の範囲はレジスタに設定されており、補間フレーム算出部14はレジスタから所定の範囲を読み出して余白領域として設定する。
【0048】
この所定の範囲は、ワンセグ放送において放送局が4画素〜6画素の横幅の余白領域を付加する場合、予想される余白領域の大きさにもとづいて定められる。なお、余白領域は画像処理回路300のスケーラにより大きさが変化することがあるため、設定される余白領域の所定の範囲もスケーラの調整に応じて変化させてよい。
【0049】
補間フレーム算出部14は、余白領域の設定後、補間フレーム内の余白領域にある画素を生成するための動きベクトルをゼロにして、補間フレーム内の余白領域にある画素を生成する。たとえば、両方の画素を合成(たとえば、平均)して生成してもよいし、いずれか一方の画素を複製して生成してもよい。
【0050】
補間フレーム算出部14は、余白領域が存在しないと検出した場合には、余白領域を設定せず、第1フレーム内の全ての画素および第2フレーム内の全ての画素を参照して補間フレームを生成する。これにより、動画像が余白領域を含まないフル映像である場合に、第1フレームおよび第2フレームの全体を参照して補間フレームを生成することができ、画質を向上することができる。
【0051】
以上のように、フレームレート変換回路100は、動画像から余白領域の有無を検出し、補間フレーム内の余白領域を動きベクトルをゼロにして補間して生成することで、補間フレームの余白領域にノイズが入る可能性を低減でき、補間フレームの画質を向上することができる。具体的には、フレームレート変換回路100は、余白領域内の画素が有効映像領域内の画素を参照して生成され、余白領域に有効映像領域の映像がノイズとして表示される可能性を低減できる。
【0052】
次に、補間フレーム算出部14は、動きベクトルによって有効映像領域内の画素が余白領域内の画素を参照して生成され、有効映像領域の映像に余白領域内の画素がノイズとして表示される可能性を低減するように補間する。この補間方法について具体的に図5を参照して説明する。
【0053】
図5には、左端側の黒帯領域34aを含む左端側の端部領域40a(左端から2点鎖線42aまでの領域)と、右端側の黒帯領域34bを含む右端側の端部領域40b(右端から2点鎖線42bまでの領域)と、中央縦ライン44とを示す。左端側の端部領域40aおよび右端側の端部領域40bをとくに区別しない場合は「端部領域40」という。
【0054】
補間フレーム算出部14は、動きベクトルの始点および終点に対応する第1フレーム内の画素および第2フレーム内の画素のいずれか一方が、黒帯領域34を少なくとも含む端部領域40に位置したとき、動きベクトルの始点および終点に対応する第1フレーム内の画素および第2フレーム内の画素のうちフレームの中央縦ライン44に近い画素を複製して、補間フレーム内の画素を生成する。このように補間フレームを生成する際に参照しようとする画素の少なくとも一方が端部領域40内に位置する場合、その画素が黒帯領域34に位置する可能性があるため、フレームのより内側に位置する画素のみを参照して補間フレーム内の画素を生成する。これにより、動きベクトルによって有効映像領域38内の画素が黒帯領域34内の画素を参照して生成され、有効映像領域38の映像に黒帯領域34内の画素がノイズとして表示される可能性を低減でき、画質を向上できる。
【0055】
端部領域40は、黒帯領域34を含み、予想される黒帯領域34の横幅より所定の画素数大きい範囲に設定される。補間フレーム算出部14は、補間フレームを生成する前に、予め定められた範囲を端部領域40として設定する。端部領域40として設定される範囲は、レジスタに予め設定される。端部領域40として設定される範囲は、たとえばワンセグ放送において黒帯領域34が4画素〜6画素の横幅が予想される場合に、フレームの左右端から10画素〜数10画素の横幅に設定される。図5には、この補間方法の2つのケースb,cを示す。
【0056】
ケースbは、補間フレーム内の対象画素Pibが端部領域40外に存在し、第1フレーム内の画素Po1bおよび第2フレーム内の画素Po2bの一方が端部領域40内に存在し、他方が端部領域40外に存在するケースである。この場合、補間フレーム算出部14は、補間フレーム内の画素Pibを生成するための動きベクトルの始点および終点に対応する、第1フレーム内の画素Po1bおよび第2フレーム内の画素Po2bの一方が端部領域40内に存在する場合、中央縦ライン44に近い画素を複製して、補間フレーム内の画素Pibを生成する。
【0057】
ケースcは、補間フレーム内の対象画素Pic、第1フレーム内の画素Po1cおよび第2フレーム内の画素Po2cがいずれも端部領域40内であって、右縁部36bの外側に存在するケースである。この場合、補間フレーム算出部14は、補間フレーム内の画素Picを生成するための動きベクトルの始点および終点に対応する、第1フレーム内の画素Po1cおよび第2フレーム内の画素Po2cの一方が端部領域40内に存在する場合、中央縦ライン44に近い画素を複製して、補間フレーム内の画素Picを生成する。
【0058】
このように、動きベクトルの始点および終点に対応する画素がいずれも端部領域40に位置する場合であっても、一方の画素を参照して補間フレーム内の画素を生成することができ、両方とも参照する場合と比べて画質が向上する。
【0059】
なお、補間フレーム算出部14は、余白領域検出部20により余白領域が存在することが検出された場合に図5で説明したケースa〜cの補間方法を実行してよい。これらの3つの補間方法を組み合わせることで、余白領域の画素の一部が有効映像領域に表示される場合に加えて、有効映像領域の画素の一部が余白領域に表示される場合にも有効となり、余白領域にもとづいてノイズが発生する可能性を極めて低くすることができる。
【0060】
以上、本発明をいくつかの実施の形態をもとに説明した。この実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0061】
たとえば、上記実施の形態では、二段階のブロックマッチングにより画素単位の動きベクトルを検出する手法を説明したが、一回のブロックマッチングにより得られるブロック単位の動きベクトルを用いて、補間フレーム内の各画素を通過する動きベクトルを求めてよい。また、ブロックマッチングではなく、勾配法を用いて画素単位の動きベクトルを検出してもよい。
【0062】
また、上記実施の形態では、ワンセグ放送される動画像を倍速変換する例を説明したが、本発明に係るフレームレート変換回路100を含むフレームレート変換回路100は、その用途に限定されることなく、様々な動画像のフレームレート変換に適用可能である。とくに、低スペックなカメラで撮影された動画像など、低フレームレートの動画像への適用に有効である。たとえば、15Hz未満の動画像のフレームレート変換にも適用可能である。
【符号の説明】
【0063】
5 入力部、 10 補間フレーム生成部、 12 動きベクトル検出部、 14 補間フレーム算出部、 20 余白領域検出部、 30 フレーム記憶部、 33 画面、 34 黒帯領域、38 有効映像領域、40 端部領域、50 出力部、 100 フレームレート変換回路、 200 アンテナ、 300 画像処理回路、 310 受信部、 320 復号部、 330 映像出力部、 400 表示部、 500 表示装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力される動画像に含まれる第1フレームと第2フレームとの間に補間フレームを生成するフレームレート変換回路であって、
前記第1フレームおよび前記第2フレームの少なくとも一方を参照して、それらフレーム間の前記補間フレームを生成する補間フレーム生成部と、
前記第1フレームまたは前記第2フレームの縁部にある複数の画素の画素値が、予め定められた範囲内の画素値である場合に、余白領域が存在することを検出する余白領域検出部と、を備え、
前記補間フレーム生成部は、前記余白領域検出部により前記余白領域が存在することが検出された場合に、前記補間フレーム内の前記余白領域にある画素の位置に対応する、前記第1フレーム内の画素および前記第2フレーム内の画素の少なくとも一方を参照して、前記補間フレーム内の前記余白領域にある画素を生成することを特徴とするフレームレート変換回路。
【請求項2】
前記余白領域検出部は、前記第1フレームまたは前記第2フレームの左右にある縦方向の画素列の画素値が、予め定められた範囲内の画素値である場合に、前記余白領域が存在することを検出することを特徴とする請求項1に記載のフレームレート変換回路。
【請求項3】
前記補間フレーム生成部は、前記余白領域検出部により前記余白領域が検出された場合に、前記補間フレームの前記余白領域にある画素を生成するための動きベクトルをゼロにして、前記補間フレームを生成することを特徴とする請求項2に記載のフレームレート変換回路。
【請求項4】
前記補間フレーム生成部は、
前記第1フレームと前記第2フレームとの間で、ブロック単位または画素単位の動きベクトルを検出する動きベクトル検出部と、
前記動きベクトルの始点および終点に対応する、前記第1フレーム内の画素および前記第2フレーム内の画素の少なくとも一方を参照して、前記補間フレーム内の各画素を生成する補間フレーム算出部と、を備え、
前記補間フレーム算出部は、前記余白領域検出部により前記余白領域が存在することが検出された場合に、前記動きベクトルの始点および終点に対応する前記第1フレーム内の画素および前記第2フレーム内の画素の少なくとも一方が、前記余白領域を少なくとも含む端部領域に位置したとき、前記動きベクトルの始点および終点に対応する前記第1フレーム内の画素および前記第2フレーム内の画素のうちフレームの中央縦ラインに近い一方の画素を用いて、前記補間フレーム内の前記余白領域以外の領域にある画素を生成することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のフレームレート変換回路。
【請求項5】
入力される動画像に含まれる第1フレームと第2フレームとの間に補間フレームを生成するフレームレート変換回路であって、
前記第1フレームと前記第2フレームとの間で、ブロック単位または画素単位の動きベクトルを検出する動きベクトル検出部と、
前記動きベクトルの始点および終点に対応する、前記第1フレーム内の画素および前記第2フレーム内の画素の少なくとも一方を参照して、前記補間フレーム内の各画素を生成する補間フレーム算出部と、を備え、
前記補間フレーム算出部は、前記動きベクトルの始点および終点に対応する前記第1フレーム内の画素および前記第2フレーム内の画素の少なくとも一方が、フレームの縁部に存在する端部領域に位置したとき、前記動きベクトルの始点および終点に対応する前記第1フレーム内の画素および前記第2フレーム内の画素のうちフレームの中央縦ラインに近い一方の画素を用いて、前記補間フレーム内の画素を生成することを特徴とするフレームレート変換回路。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかに記載のフレームレート変換回路と、
前記フレームレート変換回路により生成された補間フレームが挿入された画像を表示する表示部と、を備えることを特徴とする表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−211499(P2011−211499A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−77466(P2010−77466)
【出願日】平成22年3月30日(2010.3.30)
【出願人】(311003743)オンセミコンダクター・トレーディング・リミテッド (166)
【Fターム(参考)】