説明

フレームレート変換装置、およびそれを搭載した表示装置

【課題】フレームレート変換処理をハードウェア処理で実現する場合にて、リアルタイム性を確保しつつ、メモリの負荷を軽減させる。
【解決手段】入力部20は、外部から連続的に入力されるフレームを記憶部10に書き込む。補間フレーム生成部30は、記憶部10から複数の原フレームを読み出し、それら原フレーム間の補間フレームを生成し、記憶部10に書き込む。出力部40は、記憶部10から原フレームおよび補間フレームを読み出し、表示順にしたがって外部に出力する。入力部20、補間フレーム生成部30および出力部40は、並列的に動作することによりパイプライン処理を実行する。入力部20による記憶部10への原フレームの書き込みタイミングと、補間フレーム生成部30による記憶部10への補間フレームの書き込みタイミングとがずれるよう、入力部20および補間フレーム生成部30の動作タイミングが設定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、補間フレームを挿入することによりフレームレートを変換するフレームレート変換装置、およびそれを搭載した表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、フレーム補間技術を用いて動画像のコマ数を増やし、より滑らかで残像感の少ない動画像を生成する手法が実用化されている。たとえば、毎秒60フレーム(60Hz)の動画像を2倍速または4倍速して、120Hzまたは240Hzの動画像に変換して表示する技術も実用化されている。補間フレームの生成手法として、フレーム間の動きベクトルを用いる手法が注目されている(たとえば、特許文献1、2参照)。
【0003】
日本では2006年4月からワンセグ放送が開始されている。ワンセグ放送は、携帯電話機などの携帯機器を主な受信対象とする狭帯域を利用した放送である。ワンセグ放送では、通常、毎秒15フレーム(15Hz)で映像が送信されるため、そのコマ数を増加させる必要性が高い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−71842号公報
【特許文献2】特開2009−21868号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
補間フレームを挿入して、フレーム数を増加させるフレームレート変換処理をハードウェア処理で実現する場合、そのフレームレート変換処理を分担する複数のロジック回路のそれぞれと、メモリとの間で、フレームデータの書き込みまたは読み出しを行う必要がある。また、当該フレームレート変換処理は、リアルタイムに実行される必要があり、それを実現するには、上記複数のロジック回路が並行してパイプライン処理する手法が有効である。ただし、このような手法を採用すると、メモリへのアクセスが集中してメモリの負荷が増大しやすくなる。
【0006】
本発明はこうした状況に鑑みなされたものであり、その目的は、補間フレームを挿入して、フレーム数を増加させるフレームレート変換処理をハードウェア処理で実現する場合にて、リアルタイム性を確保しつつ、メモリの負荷を軽減させる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のある態様のフレームレート変換装置は、入力される画像のフレーム数を増加させて出力するフレームレート変換装置であって、外部から連続的に入力されるフレームを記憶部に書き込む入力部と、記憶部から複数の原フレームを読み出し、それら原フレーム間の補間フレームを生成し、記憶部に書き込む補間フレーム生成部と、記憶部から原フレームおよび補間フレームを読み出し、表示順にしたがって外部に出力する出力部と、を備える。入力部、補間フレーム生成部および出力部は、並列的に動作することによりパイプライン処理を実行し、入力部による記憶部への原フレームの書き込みタイミングと、補間フレーム生成部による記憶部への補間フレームの書き込みタイミングとがずれるよう、入力部および補間フレーム生成部の動作タイミングが設定される。
【0008】
本発明の別の態様は、表示装置である。この装置は、上述したフレームレート変換装置と、フレームレート変換装置によりフレームレートが変換された画像を表示する表示部と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、補間フレームを挿入して、フレーム数を増加させるフレームレート変換処理をハードウェア処理で実現する場合にて、リアルタイム性を確保しつつ、メモリの負荷を軽減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施の形態に係るフレームレート変換装置の構成を示す図である。
【図2】補間フレームの生成原理(2倍速変換)を示す図である。
【図3】補間フレームの生成原理(4倍速変換)を示す図である。
【図4】実施の形態に係るフレームレート変換装置の動作例1を示すタイミングチャートである。
【図5】実施の形態に係るフレームレート変換装置の動作例2を示すタイミングチャートである。
【図6】実施の形態に係るフレームレート変換装置を搭載した、表示装置を示す図である。
【図7】実施の形態に係るフレームレート変換装置の動作例1の変形例1を示すタイミングチャートである。
【図8】実施の形態に係るフレームレート変換装置の動作例1の変形例2を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、本発明の実施の形態に係るフレームレート変換装置100の構成を示す図である。当該フレームレート変換装置100は、入力される動画像のフレーム数を増加させて出力する。たとえば、動画像のフレーム数を2倍または4倍に増加させて出力する。当該フレームレート変換装置100は、記憶部10、入力部20、補間フレーム生成部30、出力部40および制御部50を備える。入力部20、補間フレーム生成部30および出力部40は、並列的に動作することによりパイプライン処理を実行する。
【0012】
記憶部10は、SDRAM(Synchronous Dynamic Random Access Memory)で構成することが可能である。なお、記憶部10はフレームレート変換装置100の外に設けられてもよい。入力部20、補間フレーム生成部30および出力部40のそれぞれは、各種の演算器やレジスタを組み合わせたロジック回路で構成することが可能である。当該ロジック回路は、SRAM(Static Random Access Memory)などで構築されたワーク領域を含む。制御部50は、ロジック回路またはDSP(Digital Signal Processor)で構成することが可能である。
【0013】
記憶部10は、フレームを一時記憶する。より具体的には、外部から入力される原フレームおよび補間フレーム生成部30により生成される補間フレームを記憶する。また、記憶部10は、補間フレーム生成の演算途中で発生する中間的なデータ(たとえば、動きベクトル)も記憶する。
【0014】
入力部20は、外部から入力される動画像を構成するフレームを記憶部10に書き込む。本実施の形態では、入力部20に入力されるフレームデータは、三原色(R、G、B)信号で規定されていることを前提とする。本実施の形態では、入力部20は、RGB/YC変換回路21を含む。RGB/YC変換回路21は、入力される三原色(R、G、B)信号を、輝度(Y)信号および色差(Cb、Cr)信号に変換して、記憶部10に書き込む。その際、データ量を圧縮することができる。たとえば、4:4:4の三原色(R、G、B)信号を、4:2:2の輝度(Y)信号および色差(Cb、Cr)信号に変換してもよい。
【0015】
以下、輝度(Y)信号を単にY信号と表記し、二つの色差(Cb、Cr)信号をまとめて、C信号と表記する。また、原フレームのY信号およびC信号をそれぞれ、原Y信号および原C信号と表記し、補間フレームのY信号およびC信号をそれぞれ、補間Y信号および補間C信号と表記する。
【0016】
本実施の形態では、RGB/YC変換回路21は、ブロックマッチング用のY信号を生成して、記憶部10に書き込む。たとえば、一画素未満の画素精度(たとえば、1/2画素精度、1/4画素精度)の信号を補間した、解像度が増大されたY信号を生成する。このY信号を用いれば、一画素未満の画素精度での動き補償が可能となり、より精度の高い動きベクトルの検出が可能となる。なお、一画素未満の画素精度の信号は、6タップFIRフィルタなどを用いたフィルタ処理により生成することができる。
【0017】
補間フレーム生成部30は、記憶部10から、二枚の原フレームを読み出し、それら原フレーム間の補間フレームを生成し、記憶部10に書き込む。補間フレーム生成部30は、動きベクトル検出部31および補間フレーム算出部35を含む。
【0018】
動きベクトル検出部31は、二枚の原フレーム間で、ブロック単位または画素単位の動きベクトルを検出する。本実施の形態では、画素単位の動きベクトルを二段階のブロックマッチングにより検出する。
【0019】
動きベクトル検出部31は、第1ブロックマッチング回路32および第2ブロックマッチング回路33を含む。第1ブロックマッチング回路32は、記憶部10から当該二枚の原フレームとすべき、現フレームのブロックマッチング用Y信号と、その前フレームのブロックマッチング用Y信号を読み出す。第1ブロックマッチング回路32は、前フレームを複数のブロック(たとえば、8×8または16×16のマクロブロック)に分割して、現フレーム内において、当該各ブロックと一致または誤差が最小のブロックを探索する。
【0020】
たとえば、前フレーム内の対象ブロックと現フレーム内の候補ブロック間で、両者に含まれる、対応する位置の画素の差分絶対値和または差分二乗和を求め、その値が最も小さい候補ブロックを、現フレーム内の最適予測ブロックとする。また、前フレーム内の対象ブロックと現フレーム内の候補ブロック間で、両者に含まれる、対応する位置の画素が実質的に一致した数が最も多い候補ブロックを、現フレーム内の最適予測ブロックとしてもよい。
【0021】
第1ブロックマッチング回路32は、前フレーム内の各ブロックと、現フレーム内の各最適予測ブロックとの動きベクトルを算出する。これにより、ブロック単位の動きベクトルを検出することができる。第1ブロックマッチング回路32は、これらの演算結果を中間データとして、記憶部10に書き込む。
【0022】
第2ブロックマッチング回路33は、第1ブロックマッチング回路32により書き込まれた中間データを記憶部10から読み出し、前フレーム内の各ブロックと、現フレーム内の各最適予測ブロックとの間で、画素値が実質的に一致しなかった画素の動きベクトルを求める。たとえば、上述した手法と同様の手法を用いて、前フレーム内の各ブロック内の画素値が実質的に一致しなかった画素の領域と一致または誤差が最小の領域を、現フレーム内において探索する。これにより、前フレームと現フレームとの間で、画素単位の動きベクトルを検出することができる。第2ブロックマッチング回路33は、画素単位の動きベクトルを記憶部10に書き込む。
【0023】
補間フレーム算出部35は、補間フレーム内の各画素を通過する上記動きベクトルをそれぞれ特定し、その動きベクトルの始点および終点に対応する、前フレーム内の画素および現フレーム内の画素を合成することにより、当該補間フレーム内の各画素を生成する。以下、図2、3を参照しながら補間フレーム内の画素の生成方法について説明する。
【0024】
図2は、補間フレームの生成原理(2倍速変換)を示す図である。2倍速変換では、第1原フレームFo1と第2原フレームFo2との間に、一枚の補間フレームFiを挿入する必要がある。補間フレームFiは、第1原フレームFo1と第2原フレームFo2との時間間隔を二等分した時間位置に挿入される。
【0025】
補間フレームFiの画素Piは、その画素Piを通過する動きベクトルmvの始点および終点に対応する、第1原フレームFo1の画素Po1および第2原フレームFo2の画素Po2を合成することにより生成される。たとえば、両者の画素値を平均して補間フレームFiの画素Piの画素値を算出してもよい。
【0026】
ここで、補間フレームFiの画素Piを通過する動きベクトルmvを常に正確に求めることができれば、その動きベクトルmvの始点に対応する第1原フレームFo1の画素Po1を、そのまま補間フレームFiの画素Piに割り当ててもよい。しかしながら、動きベクトルmvが誤検出された場合、片方の画素Po1しか参照しないため、大きなノイズが発生しやすくなる。そこで、本実施の形態では、第1原フレームFo1の画素Po1および第2原フレームFo2の画素Po2の両方を参照する。
【0027】
なお、補間フレームFiの対象画素を通過する動きベクトルが存在しない場合、たとえば、次のように処理する。すなわち、補間フレームFi内の周辺画素から空間的に補間した画素を当該対象画素に割り当てるか、補間フレームFiの対象画素と同じ位置の、第1原フレームFo1の画素および第2原フレームFo2の画素を合成した画素を当該対象画素に割り当てる。
【0028】
図3は、補間フレームの生成原理(4倍速変換)を示す図である。4倍速変換では、第1原フレームFo1と第2原フレームFo2との間に、三枚の補間フレーム(第1補間フレームFi1、第2補間フレームFi2および第3補間フレームFi3)を挿入する必要がある。第1補間フレームFi1、第2補間フレームFi2および第3補間フレームFi3は、第1原フレームFo1と第2原フレームFo2との時間間隔を四等分した時間位置にそれぞれ挿入される。
【0029】
第1補間フレームFi1の画素Pi1は、その画素Pi1を通過する動きベクトルmvの始点および終点に対応する、第1原フレームFo1の画素Po1および第2原フレームFo2の画素Po2を合成することにより生成される。たとえば、両者の画素値を加重平均して、第1補間フレームFi1の画素Pi1の画素値を算出してもよい。すなわち、前者の画素値を3/4し、後者の画素値を1/4し、両者を加算する。
【0030】
第2補間フレームFi2の画素Pi2は、図2に示した補間フレームFiの画素Piと同様に生成することができる。第3補間フレームFi3の画素Pi3も、第1原フレームFo1の画素Po1および第2原フレームFo2の画素Po2を合成することにより生成される。たとえば、両者の画素値を加重平均して、第3補間フレームFi3の画素Pi3の画素値を算出してもよい。すなわち、前者の画素値を1/4し、後者の画素値を3/4し、両者を加算する。
【0031】
図1に戻り、補間フレーム算出部35は、記憶部10から、前フレームの原Y信号および原C信号、現フレームの原Y信号および原C信号、ならびに前フレームと現フレームとの動きベクトルを読み出す。補間フレーム算出部35は、上述した手法を用いて、補間フレームを生成し、その補間Y信号および補間C信号を記憶部10に書き込む。
【0032】
出力部40は、記憶部10から、原フレームおよび補間フレームを読み出し、表示順にしたがって外部に出力する。本実施の形態では、出力部40は、YC/RGB変換回路41を含む。YC/RGB変換回路41は、記憶部10から補間Y信号および補間C信号を読み出し、三原色(R、G、B)信号に変換し、補間フレームとして外部(たとえば、表示パネル)に出力する。また、YC/RGB変換回路41は、記憶部10から原Y信号およ原C信号を読み出し、三原色(R、G、B)信号に変換し、原フレームとして外部に出力する。
【0033】
制御部50は、フレームレート変換装置100全体を統括的に制御する。たとえば、外部(たとえば、後述する図6の主制御部300)からの制御信号に応じて、フレームレート変換装置100のモード切替を行う。たとえば、2倍速変換モードと4倍速変換モードのいずれかを選択し、入力部20、補間フレーム生成部30および出力部40に設定する。
【0034】
以下、実施の形態に係るフレームレート変換装置100の動作を説明する。入力部20、補間フレーム生成部30および出力部40は、入力部20に処理対象とすべきフレームが入力される周期より短い周期で動作する。ここで、処理対象とすべきフレームとは、破棄されずに、表示用および補間フレーム生成の参照用に実際に使用されるフレームを指す。以下、入力部20に15Hzの周期でフレームが入力され、入力部20、第1ブロックマッチング回路32、第2ブロックマッチング回路33、補間フレーム算出部35および出力部40がそれぞれ60Hzの周期で動作する例を説明する。
【0035】
本実施の形態では、入力部20による記憶部10への原フレームの書き込みタイミングと、補間フレーム生成部30による記憶部10への補間フレームの書き込みタイミングとがずれるよう、入力部20および補間フレーム生成部30の動作タイミングが設定される。以下、図4、図5を参照して、入力部20、補間フレーム生成部30および出力部40の具体的な動作タイミングについて説明する。
【0036】
まず、動作例1について説明する。動作例1の基本動作は次の通りである。補間フレーム生成部30は、対象フレームが入力部20に入力され記憶部10へ書き込まれる上記対象フレームの入力期間の終了から、次のフレームの入力期間の開始までの間に、補間フレーム生成処理を終了する。当該補間フレーム生成処理とは、当該対象フレームを少なくとも記憶部10から読み出し、その対象フレームを少なくとも参照して補間フレームを生成し、およびそれを記憶部10に書き込む処理である。当該補間フレームは、当該対象フレームより前に挿入されるべき補間フレームである。補間フレーム生成部30は、当該対象フレームとその一つ前のフレームを参照して当該補間フレームを生成してもよいし、当該対象フレームとその二つ以上の前のフレームを参照して当該補間フレームを生成してもよいし、当該対象フレームとそれより前の複数のフレームを参照して当該補間フレームを生成してもよい。
【0037】
図4は、実施の形態に係るフレームレート変換装置100の動作例1を示すタイミングチャートである。ここでは、ワンセグ放送により15Hzの周期で受信されるフレームが、後述する図6のフレームレート変換部330による単純な複写処理によりフレーム数が4倍に増加された後、その増加されたフレームが実施の形態に係るフレームレート変換装置100に入力される例を示している。図6のフレームレート変換部330がフレーム数を4倍に増加させるのは、60Hz駆動の表示パネルで表示させるためである。
【0038】
図4では、同じフレームAが四枚続けて入力され、その次に同じフレームBが四枚続けて入力され、その次に同じフレームCが四枚続けて入力される。以下、フレームD、フレームE、・・・と続く。動作例1では、フレームAとフレームB、フレームBとフレームC、フレームCとフレームD、・・・のそれぞれの間で一枚の補間フレームを生成する。これにより、入力される動画像を2倍速変換する。
【0039】
入力部20は、四枚続けて入力される同じフレームのうち、一枚を残し、三枚を破棄する。ここでは、最初の一枚のフレームを入力処理し、残りの三枚を破棄する。
【0040】
補間フレーム生成部30は、対象フレーム(A)が入力部20に入力され記憶部10へ書き込まれる対象フレーム(A)の入力期間(原F入力(A))の終了から、次のフレーム(B)の入力期間(原F入力(B))の開始までの間に、記憶部10から対象フレーム(A)とその前フレーム(x)を読み出し、両フレーム間の補間フレーム(xA)を生成し、およびそれを記憶部10へ書き込む処理を終了する。すなわち、第1ブロックマッチング回路32による第1マッチング期間(BM1(xA))、第2ブロックマッチング回路33による第2マッチング期間(BM2(xA))および補間フレーム算出部35による算出期間(補間F算出(xA))が、対象フレーム(A)の入力期間(原F入力(A))の終了から、次のフレーム(B)の入力期間(原F入力(B))の開始までの間に、収まるよう設定される。
【0041】
出力部40は、次のフレーム(B)の入力期間(原F入力(B))の開始から、さらにその次のフレーム(C)の入力期間(原F入力(C))の開始までの間に、補間フレーム(xA)および対象フレーム(A)の順に記憶部10から読み出して、外部に出力する。ここでは、先に、同じ補間フレーム(xA)を二枚出力し、後に、同じ対象フレーム(A)を二枚出力する。
【0042】
出力部40による補間フレーム(xA)および対象フレーム(A)の出力期間(補間F出力(xA)、補間F出力(xA)、原F出力(A)、原F出力(A))と並行して、入力部20による次のフレーム(B)の入力期間(原F入力(B))、第1ブロックマッチング回路32による第1マッチング期間(BM1(AB))、第2ブロックマッチング回路33による第2マッチング期間(BM2(AB))および補間フレーム算出部35による算出期間(補間F算出(AB))が設定される。これにより、パイプライン処理を実現している。以下、後続のフレームC、D、E、・・・についても同様に処理される。
【0043】
次に、動作例2について説明する。動作例2の基本動作は次の通りである。補間フレーム生成部30は、対象フレームが入力部20に入力され記憶部10へ書き込まれる当該対象フレームの入力期間の終了から、次のフレームの入力期間の開始を超えて、補間フレーム生成処理を行う場合、前記次のフレームの入力期間中、前記補間フレーム生成処理を一時中断する。当該補間フレーム生成処理とは、当該対象フレームを少なくとも記憶部10から読み出し、その対象フレームを少なくとも参照して補間フレームを生成し、およびそれを記憶部10に書き込む処理である。
【0044】
図5は、実施の形態に係るフレームレート変換装置100の動作例2を示すタイミングチャートである。動作例2も、動作例1と同様の前提条件とする。動作例2では、フレームAとフレームB、フレームBとフレームC、フレームCとフレームD、・・・のそれぞれの間で、段階的な三枚の補間フレームを生成する。これにより、入力される動画像を4倍速変換する。
【0045】
動作例2では、補間フレーム生成部30は、対象フレーム(A)が入力部20に入力され記憶部10へ書き込まれる対象フレーム(A)の入力期間(原F入力(A))の終了から、次のフレーム(B)の入力期間(原F入力(B))の開始を超えて、記憶部10から対象フレーム(A)とその前フレーム(x)を読み出し、両フレーム間の補間フレーム(xA)を生成し、およびそれを記憶部10へ書き込む、補間フレーム生成処理を行う。この場合、補間フレーム生成部30は、次のフレーム(B)の入力期間(原F入力(B))中、当該補間フレーム生成処理を一時中断する。
【0046】
出力部40は、記憶部10に三枚の補間フレーム(xA)の少なくとも一枚が記憶されると、三枚の補間フレーム(xA)および対象フレーム(A)の順に記憶部10から一枚ずつ読み出して、外部に出力する。
【0047】
以下、より具体的に説明する。対象フレーム(A)とその前フレーム(x)との間の段階的な三枚の補間フレーム(xA)を生成すべく、補間フレーム生成部30は、対象フレーム(A)の入力期間(原F入力(A))の終了から上記補間フレーム生成処理を三回繰り返す。その際、次のフレーム(B)の入力期間(原F入力(B))中、上記補間フレーム生成処理を一時中断する。
【0048】
より具体的には、対象フレーム(A)の入力期間(原F入力(A))の、次の単位動作期間(BM1(xA))に、第1ブロックマッチング回路32は第1マッチング処理を行う。次の単位動作期間(BM2(xA))に、第2ブロックマッチング回路33は第2マッチング処理を行う。その次の単位動作期間(補間F1算出(xA))に、補間フレーム算出部35は第1補間フレーム(xA)の算出処理を行う。動作例1では、この時点で補間フレームの生成処理が終了するが、動作例2では、補間フレームの生成処理がさらに継続する。ただし、対象フレーム(A)の入力処理を起点する処理ラインの次の単位動作期間が、次のフレーム(B)の入力期間(原F入力(B))と重複するため、当該単位動作期間にNOP(no operation)を挿入する。
【0049】
その次の単位動作期間(補間F2算出/補間F1出力(xA))に、補間フレーム算出部35は第2補間フレーム(xA)の算出処理を行い、それと並行して、出力部40は第1補間フレーム(xA)を記憶部10から読み出し、外部に出力する。その次の単位動作期間(補間F3算出/補間F2出力(xA))に、補間フレーム算出部35は第3補間フレーム(xA)の算出処理を行い、それと並行して、出力部40は第2補間フレーム(xA)を記憶部10から読み出し、外部に出力する。その次の単位動作期間(補間F3出力(xA))に、出力部40は第3補間フレーム(xA)を記憶部10から読み出し、外部に出力する。
【0050】
このように、動作例2では出力部40による四枚のフレームの出力タイミングが、動作例1と比較して一つの単位動作期間分、後ろにずれることになる。これにより、フレームレートの変換処理期間中、入力部20、補間フレーム生成部30および出力部40のうち、二つが処理を実行し、一つが処理を中断するよう設定することが可能である。
【0051】
以上説明しように本実施の形態によれば、補間フレームを挿入して、フレーム数を増加させるフレームレート変換処理をハードウェア処理で実現する場合にて、リアルタイム性を確保しつつ、メモリの負荷を軽減させることができる。すなわち、入力部20、補間フレーム生成部30および出力部40を並列的に動作させて、パイプライン処理することにより、リアルタイム性を確保することができる。
【0052】
また、入力部20から記憶部10への原フレームの書き込みタイミングと、補間フレーム生成部30から記憶部10への補間フレームの書き込みタイミングとがずれるよう、入力部20および補間フレーム生成部30の動作タイミングを設定することにより、記憶部10にかかる最大負荷を低減させることができる。
【0053】
より具体的には、入力部20による入力期間(原F入力)、および補間フレーム算出部35による算出期間(補間F算出)では、記憶部10にアクセスされるデータ量が多くなる。すなわち、入力部20から記憶部10への原フレームの書き込みは、Y信号とC信号の両方を書き込む必要がある。また、補間フレーム算出部35と記憶部10との間では、記憶部10から前フレームと現フレームそれぞれのY信号およびC信号、ならびに前フレームと現フレームとの動きベクトルを、補間フレーム算出部35に読み出す必要がある。また、並行して、補間フレーム算出部35から補間フレームのY信号およびC信号を記憶部10に書き込む必要がある。
【0054】
この点、第1ブロックマッチング回路32による第1マッチング期間(BM1)、および第2ブロックマッチング回路33による第2マッチング期間(BM2)では、記憶部10にアクセスされるデータ量は比較的少ない。第1ブロックマッチング回路32と記憶部10、および第2ブロックマッチング回路33と記憶部10とのそれぞれの間で転送される信号は、Y信号または動きベクトルであり、C信号は転送されないためである。
【0055】
したがって、入力部20による入力期間(原F入力)と、補間フレーム算出部35による算出期間(補間F算出)とが同期間にスケジュールされないように設定することにより、記憶部10にアクセスされるデータ量の増大を抑制することができる。上述した動作例1、動作例2のいずれにおいても、当該入力期間(原F入力)と当該算出期間(補間F算出)とがずれるように設定している。動作例2では、NOPを挿入することにより、当該入力期間(原F入力)と当該算出期間(補間F算出)の重複を回避している。
【0056】
動作例2では、補間フレーム算出部35による二枚目、三枚目の補間フレームの算出期間(補間F2算出、補間F3算出)と、出力部40による一枚目、二枚目の補間フレームの出力期間(補間F1出力、補間F2出力)とが重複するよう設定している。また、出力部40による三枚目の補間フレームの出力期間(補間F3出力)と、補間フレーム算出部35による次の一枚目の補間フレームの算出期間(補間F1算出)とが重複するよう設定している。また、出力部40による原フレームの出力期間(原F出力)と、入力部20によるその次の次の原フレームの入力期間(原F入力)とが重複するよう設定している。
【0057】
このように、動作例2では、第1ブロックマッチング回路32による第1マッチング処理および第2ブロックマッチング回路33による第2マッチング処理を無視して考えれば、単位動作期間のそれぞれで、入力部20による入力処理または補間フレーム算出部3による算出処理と、出力部40による出力処理とが実行されることになる。これにより、記憶部10にかかる負荷が平準化されるとともに、入力部20、補間フレーム算出部35および出力部40全体にかかる負荷も平準化される。
【0058】
動作例1でも、単位動作期間において、入力部20による入力処理、補間フレーム算出部35による算出処理および出力部40による出力処理がすべて同時に処理されないよう設定している。これにより、動作例1でも、入力部20、補間フレーム算出部35および出力部40全体にかかる負荷が平準化される。
【0059】
図6は、実施の形態に係るフレームレート変換装置100を搭載した、表示装置500を示す図である。表示装置500は、ワンセグ放送を受信し、表示再生する機能を搭載した機器である。たとえば、ワンセグ放送の受信再生専用機であってもよいし、その機能を搭載した携帯電話機、PDA、携帯型音楽プレーヤ、電子辞書、カーナビゲーション装置などであってもよい。
【0060】
当該表示装置500は、アンテナ200、主制御部300、フレームレート変換装置100および表示部400を備える。主制御部300は、受信部310、復号部320およびフレームレート変換部330を含む。受信部310は、アンテナ200を介してワンセグ放送を受信し、選択されたチャンネルの信号を復調して、復号部320へ出力する。
【0061】
復号部320は、受信部310から入力される符号化データを復号する。ワンセグ放送画像の符号化には、AVC/H.264規格が採用されている。復号部320は、復号したフレームをフレームレート変換部330に出力する。なお、復号されたフレームがフレームレート変換部330に入力される前に、実際は図示しないスケーラによる解像度変換が施されるが、ここではそれに注目しないため、省略している。
【0062】
フレームレート変換部330は、入力されるフレームを単純に複写して、フレーム数を増加させる。ここでは、15Hzの動画像の各フレームを3回複写してフレーム数を4倍にすることにより、15Hzの動画像を60Hzの動画像に変換する。なお、単純に複写するのではなく、増加させるべきフレームの少なくとも一枚について、連続する二枚の原フレームを簡易合成することにより、生成してもよい。たとえば、一方の原フレームの上部領域と他方の原フレームの下部領域を空間的に合成してもよい。
【0063】
フレームレート変換装置100は、上述した実施の形態で説明した手法を用いて、フレームレート変換部330から入力される動画像を2倍速変換または4倍速変換する。表示部400は、フレームレート変換装置100により倍速変換された動画像を表示する。
【0064】
以上説明したようにワンセグ放送を受信して表示再生する表示装置500に、実施の形態に係るフレームレート変換装置100を搭載することにより、ワンセグ映像の画質を向上させることができる。なお、図6では既存の主制御部300に対して、フレームレート変換装置100を追加することにより、ワンセグ映像の倍速変換を実現する例を示したが、主制御部300内に、フレームレート変換部330の代わりに、フレームレート変換装置100が初めから搭載されてもよい。
【0065】
以上、本発明をいくつかの実施の形態をもとに説明した。この実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0066】
たとえば、上記実施の形態では、二段階のブロックマッチングにより画素単位の動きベクトルを検出する手法を説明したが、一回のブロックマッチングにより得られるブロック単位の動きベクトルを用いて、補間フレーム内の各画素を通過する動きベクトルを求めてよい。また、ブロックマッチングではなく、勾配法を用いて画素単位の動きベクトルを検出してもよい。
【0067】
また、上記実施の形態では、ワンセグ放送される動画像を倍速変換する例を説明したが、本発明に係るフレームレート変換装置100は、その用途に限定されることなく、様々な動画像のフレームレート変換に適用可能である。とくに、低スペックなカメラで撮影された動画像など、低フレームレートの動画像への適用に有効である。たとえば、15Hz未満の動画像のフレームレート変換にも適用可能である。
【0068】
また、図4、5ではブロックマッチング処理を二周期(ここでは60Hzを単位周期とする)で実行する例を説明した。このブロックマッチング処理を、より簡素な手法を採用して二周期未満で実行してもよいし、より高精度な手法を採用して二周期を超えて実行してもよい。
【0069】
図7は、実施の形態に係るフレームレート変換装置100の動作例1の変形例1を示すタイミングチャートである。図7のタイミングチャートは、図4のタイミングチャートと比較し、ブロックマッチング処理を二周期から四周期に変更したものである。本変形例1でも、入力部20による入力期間(原F入力)と、補間フレーム算出部35による算出期間(補間F算出)とが同期間にスケジュールされないように設定される。
【0070】
図8は、実施の形態に係るフレームレート変換装置100の動作例1の変形例2を示すタイミングチャートである。図7のタイミングチャートは、図4のタイミングチャートと比較し、ブロックマッチング処理を二周期から三周期に変更し、その次の周期にNOPを挿入したものである。ブロックマッチング処理を三周期で実行する場合、入力部20による入力期間(原F入力)と、補間フレーム算出部35による算出期間(補間F算出)とが重複してしまう。これに対して、ブロックマッチング処理期間(BM1〜3)と補間フレーム算出期間(補間F算出)との間にNOPを挿入することにより、本変形例2でも、入力部20による入力期間(原F入力)と、補間フレーム算出部35による算出期間(補間F算出)とが同期間にスケジュールされないように設定することができる。
【0071】
また、図4、5では一枚の補間フレームの算出処理を一周期(ここでは60Hzを単位周期とする)で実行する例を説明した。この一枚の補間フレームの算出処理を、より簡素な手法を採用して一周期未満で実行してもよいし、より高精度な手法を採用して二周期を超えて実行してもよい。
【符号の説明】
【0072】
10 記憶部、 20 入力部、 21 RGB/YC変換回路、 30 補間フレーム生成部、 31 動きベクトル検出部、 32 第1ブロックマッチング回路、 33 第2ブロックマッチング回路、 35 補間フレーム算出部、 40 出力部、 41 YC/RGB変換回路、 50 制御部、 100 フレームレート変換装置、 200 アンテナ、 300 主制御部、 310 受信部、 320 復号部、 330 フレームレート変換部、 400 表示部、 500 表示装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力される画像のフレーム数を増加させて出力するフレームレート変換装置であって、
外部から連続的に入力されるフレームを記憶部に書き込む入力部と、
前記記憶部から複数の原フレームを読み出し、それら原フレーム間の補間フレームを生成し、前記記憶部に書き込む補間フレーム生成部と、
前記記憶部から原フレームおよび補間フレームを読み出し、表示順にしたがって外部に出力する出力部と、を備え、
前記入力部、前記補間フレーム生成部および前記出力部は、並列的に動作することによりパイプライン処理を実行し、
前記入力部による前記記憶部への原フレームの書き込みタイミングと、前記補間フレーム生成部による前記記憶部への補間フレームの書き込みタイミングとがずれるよう、前記入力部および前記補間フレーム生成部の動作タイミングが設定されることを特徴とするフレームレート変換装置。
【請求項2】
前記入力部、前記補間フレーム生成部および前記出力部は、前記入力部に処理対象とすべきフレームが入力される周期より短い周期で動作することを特徴とする請求項1に記載のフレームレート変換装置。
【請求項3】
前記補間フレーム生成部は、対象フレームが前記入力部に入力され前記記憶部へ書き込まれる前記対象フレームの入力期間の終了から、次のフレームの入力期間の開始までの間に、前記対象フレームを少なくとも読み出し、その対象フレームを少なくとも参照して前記補間フレームを生成し、およびそれを書き込む処理を終了することを特徴とする請求項2に記載のフレームレート変換装置。
【請求項4】
前記補間フレーム生成部は、対象フレームが前記入力部に入力され前記記憶部へ書き込まれる前記対象フレームの入力期間の終了から、次のフレームの入力期間の開始を超えて、前記対象フレームを少なくとも読み出し、その対象フレームを少なくとも参照して前記補間フレームを生成し、およびそれを書き込む、補間フレーム生成処理を行うことを特徴とする請求項2に記載のフレームレート変換装置。
【請求項5】
前記補間フレーム生成部は、前記次のフレームの入力期間中、前記補間フレーム生成処理を一時中断することを特徴とする請求項4に記載のフレームレート変換装置。
【請求項6】
前記補間フレーム生成部は、前記原フレーム間に、段階的な複数の補間フレームを生成する請求項1から5のいずれかに記載のフレームレート変換装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれかに記載のフレームレート変換装置と、
前記フレームレート変換装置によりフレームレートが変換された画像を表示する表示部と、
を備えることを特徴とする表示装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2011−35655(P2011−35655A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−179816(P2009−179816)
【出願日】平成21年7月31日(2009.7.31)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(506227884)三洋半導体株式会社 (1,155)
【Fターム(参考)】