説明

フロアシステム

【課題】フロアパネルを取り外すことなく配線工事を容易に行うことのできるフロアシステムを提供する。
【解決手段】建物の床面Aと鉛直な方向に所定の間隔を空けて敷設される複数のフロアパネル1と、建物の床面Aに設けられてフロアパネル1を支持する複数の支持部材2と、建物の床面A及びフロアパネル1の間の空間に配設されてコンセントユニット3が着脱自在に装着される開口部4aを有する配線ダクト4とから成り、少なくとも一部のフロアパネル1と隣り合うフロアパネル1との間に所定長さの隙間10を空けるとともに、該隙間10を望む前記空間に配線ダクト4が配設され、該隙間10を着脱自在に覆うカバー5を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二重床構造のフロアシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、オフィス等で用いられて、建物の床面から鉛直方向に所定の間隔を空けてフロアパネルを覆設するとともに、建物の床面とフロアパネルとの間の空間を利用して配線を行う二重床構造のフロアシステムが知られており、例えば特許文献1に開示されている。この従来例は、建物の床面とフロアパネルとの間の空間において、幹線に接続されて幹線を分岐する分岐コネクタを備えたジョイントボックスと、支線の一端に接続されるとともに分岐コネクタに着脱自在に結合され幹線に支線を電気的に接続するプラグと、支線の他端に設けた配線器具とから構成され、建築時に幹線を敷設するとともに幹線にジョイントボックスを接続しておき、オフィスのレイアウトが決定した後にタップやフロアコンセント等の配線器具を接続した支線をジョイントボックスに接続することで、配線を容易に変更することができるようにしている。
【特許文献1】特許第3468071号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記従来例では、オフィスのレイアウトの変更に伴って配線を変更する場合にはフロアパネルを取り外さなければならず、作業が煩雑になるという問題があった。また、取り外したフロアパネルを再び取り付ける際にフロアパネルを正確に配設できず、フロアにがたつきが生じる虞があった。
【0004】
本発明は、上記の点に鑑みて為されたもので、フロアパネルを取り外すことなく配線の変更を容易に行うことのできるフロアシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明は、上記目的を達成するために、建物の床面と鉛直な方向に所定の間隔を空けて敷設される複数のフロアパネルと、建物の床面に設けられてフロアパネルを支持する複数の支持部材と、建物の床面及びフロアパネルの間の空間に配設されて一乃至複数の配線器具が着脱自在に装着される開口部を有する配線ダクトとから成るフロアシステムであって、少なくとも一部のフロアパネルと隣り合うフロアパネルとの間に所定長さの隙間を空けるとともに、該隙間に臨む前記空間に配線ダクトを配設し、該隙間を着脱自在に覆うカバーを設けたことを特徴とする。
【0006】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、配線器具はコンセントユニットであって、コンセントユニットには、配線ダクトに固定される状態と固定されない状態とを切替可能な操作部が設けられ、操作部は、コンセントユニットの一面に設けられた軸部を中心に回動自在であることを特徴とする。
【0007】
請求項3の発明は、請求項1又は2の発明において、配線ダクトは、カバーと対向する面以外の面に開口部が設けられたことを特徴とする。
【0008】
請求項4の発明は、請求項1乃至3の何れか1項の発明において、配線ダクトは、建物の床面に設けられる取付台に固定され、取付台は、建物の床面と鉛直な方向の高さを調整可能であることを特徴とする。
【0009】
請求項5の発明は、請求項1乃至4の何れか1項の発明において、複数の長尺のダクト素体から成り、各ダクト素体を互いに連結して成ることを特徴とする。
【0010】
請求項6の発明は、請求項1乃至5の何れか1項の発明において、フロアパネル及びカバーには床仕上げ材が覆設されるとともに、床仕上げ材は、フロアパネルに覆設されるものとカバーに覆設されるものとで識別可能な互いに異なる仕様としたことを特徴とする。
【0011】
請求項7の発明は、請求項1乃至6の何れか1項の発明において、コンセントユニットは、ローカルエリアネットワークの通信機器を接続するためのLAN接続ポートと、給電部材を介して接続される導体を通して電力線搬送通信によりデータを送受信するとともに、送受信されたデータをプロトコル変換することでLAN接続ポートに入出力する電力線搬送通信部とを備えたことを特徴とする。
【0012】
請求項8の発明は、請求項1乃至7の何れか1項の発明において、配線ダクト間を互いに連結するとともに配線ダクトを分岐接続する接続部材を設けたことを特徴とする。
【0013】
請求項9の発明は、請求項1乃至8の何れか1項の発明において、コンセントユニットには、外部から引き回される電源プラグの栓刃が挿抜可能な栓刃挿入孔を有する一乃至複数の電源用コンセントが設けられ、電源用コンセントは、栓刃挿入孔がカバーと対向し且つカバーに対して傾斜するように配設されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1の発明によれば、少なくとも一部のフロアパネルと隣り合うフロアパネルとの間に所定長さの隙間を空けるとともに、該隙間に臨む建物の床面とフロアパネルとの間の空間に配線ダクトを配設し、該隙間を着脱自在に覆うカバーを設けたので、カバーのみを取り外すだけでコンセントユニットの配置変更を行うことができ、したがってフロアパネルを取り外すことなく配線の変更を容易に行うことができる。また、カバーのみを取り外すだけで配線の変更を行えるので、フロアパネルを動かす必要が無く、したがって配線の変更後にフロアががたつくのを防止することができる。
【0015】
請求項2の発明によれば、コンセントユニットに、配線ダクトに固定される状態と固定されない状態とを切替可能な操作部を設けるとともに、操作部は、コンセントユニットの一面に設けられた軸部を中心に回動自在であるので、カバーを取り外した状態で、操作部を回動させるだけでコンセントユニットを配線ダクトに取り付ける作業、及びコンセントユニットを配線ダクトから取り外す作業の何れも容易に行うことができる。
【0016】
請求項3の発明によれば、カバーを取り外した状態において埃等が建物の床面とフロアパネルとの間の空間に侵入しても、埃等の侵入方向に開口部を設けないことで配線ダクト内に埃等が溜るのを防ぐことができる。
【0017】
請求項4の発明によれば、配線ダクトを取り付けた状態で取付台の建物の床面と鉛直な方向の高さを調整することで、配線ダクトを配線作業が行い易い配置にすることができる。
【0018】
請求項5の発明によれば、複数のダクト素体を互いに連結することで、配線ダクト全体の長尺寸法を適宜調整することができる。
【0019】
請求項6の発明によれば、フロアパネルに覆設される床仕上げ材とカバーに覆設される床仕上げ材とを互いに異なる仕様としたので、カバー及び配線ダクトが何処に配置されているかを容易に識別することができる。
【0020】
請求項7の発明によれば、コンセントユニットにおいて、プロトコル変換部が電力線搬送通信部とLAN接続ポートとの間でプロトコル変換を行うので、電力線搬送通信の機能を有さないローカルエリアネットワークの通信機器をLAN接続ポートに接続すれば、専用のLAN配線を施工せずに電力線搬送通信を行うことができる。
【0021】
請求項8の発明によれば、配線ダクトの分岐を容易に行うことができる。
【0022】
請求項9の発明によれば、電源用コンセントを栓刃挿入孔がカバーと対向し且つカバーに対して傾斜するように配設したので、カバーを取り外した状態で電源プラグの挿抜を容易に行うことができるとともに、水等が栓刃挿入孔からコンセントユニットの内部に浸入するのを防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明に係るフロアシステムの実施形態について図面を用いて説明する。但し、以下の説明では、図1における上下を上下方向、配線ダクト4の長手方向を縦方向、配線ダクト4の短手方向を横方向と定めるものとする。
【0024】
本実施形態は、図1に示すように、建物の床面Aと鉛直方向に所定の間隔を空けて配設される複数(図示では4枚)の略矩形状のフロアパネル1と、建物の床面Aに設けられてフロアパネル1を支持する複数(図示では12個)の支持部材2と、建物の床面A及びフロアパネル1の間の空間に配設されてコンセントユニット3が着脱自在に装着される開口部4aを有する配線ダクト4とから成る。
【0025】
フロアパネル1は、図1に示すように、例えば鋼板等から所定の厚み寸法で略平板状に形成されており、その上面の外周縁は、全周に亘って他の部位よりも薄肉に形成されている。而して、フロアパネル1を後述する支持部材2のパネル載置部24に載置した時に、該薄肉部が支持部材2の突部23bの上面を覆うとともに、隣り合うフロアパネル1の端部同士が接触するため、フロアパネル1を隙間無く配設することができる。
【0026】
支持部材2は、図3に示すように、建物の床面Aに載置されるベース部20と、ベース部20の略中央部から上方に向かって突出する略円筒状の脚部21と、脚部21の内周面に形成された雌ネジ部(図示せず)と螺合する雄ネジ部(図示せず)を有し、当該脚部21に挿入されてその高さ位置を調整自在とする略円筒状の支持ボルト22と、支持ボルト22の上端に取り付けられたパネル受け部材23とから成る。パネル受け部材23は、フロアパネル1が載置される略矩形状の本体部23aと、本体部23aから上方へ突出する断面略十字形状の突部23bとから形成されている。本体部23aは、突部23bによって4つのパネル載置部24に区分けされており、各パネル載置部24にフロアパネル1の角部が載置されるようになっている。
【0027】
配線ダクト4は、図1に示すように、アルミニウム等の金属により両端が開口した扁平な略角筒状に形成され、表面が絶縁性の合成樹脂でコーティングされたダクト本体40から成る。ダクト本体40の上下方向における略中央部には、図4(c)に示すように、内部の電源スペース41と外部とを連通する開口部4aが長手方向に沿って設けられている。また、電源スペース41には、開口部4aを挟んだ上下両側に、商用電源(図示せず)の電圧極から給電するための長尺の導体42がそれぞれ長手方向に沿って配設されるとともに、商用電源の接地極と接続するための長尺の接地導体43が、開口部4aの設けられた壁部4bと対向する対向壁部4cの内側に長手方向に沿って配設されている。尚、ダクト本体40の長手方向一端部には、建物内に先行配線された電力線に導体42を接続して商用電源を供給するためのフィードインキャップ(図示せず)が取り付けられるとともに、ダクト本体40の長手方向他端部には、ダクト本体40の端部を閉塞するエンドキャップ(図示せず)が取り付けられる。
【0028】
コンセントユニット3は、図1に示すように、長尺の略箱体に形成され、配線ダクト4に装着される側の面(以下、「装着面」と呼ぶ)には、開口部4aを通してダクト本体40の内部に収納される略直方体状の一対の突出部30が一体に形成されている。コンセントユニット3の長手方向両端部には、各端部から上方に向かうにつれて互いに近づく方向に傾斜する傾斜面が設けられており、各傾斜面には、接地極を有する3極プラグPの電圧極の一対の栓刃(図示せず)及び接地極の栓刃(図示せず)が挿入される栓刃挿入孔31aを有する電源用コンセント31と、ローカルエリアネットワークの通信機器を接続するためのRJ−45のモジュラジャックから成るLAN接続ポート32とがそれぞれ設けられている。上記のような傾斜面に電源コンセント31及びLAN接続ポート32を設けることで、上方から電源プラグP等を容易に挿抜できるとともに、水等が栓刃挿入孔31aからコンセントユニット3の内部に浸入するのを防ぐことができる。尚、図1、図3、図4、図6では、電源用コンセント31のみを図示し、LAN接続ポート32の図示は省略しているが、LAN接続ポート32は、前記傾斜面のうち電源用コンセント31が設けられた側と反対側の傾斜面に設けられる他、コンセントユニット3の何れの面に設けられても構わない。
【0029】
コンセントユニット3の装着面において一対の突出部30に挟まれる位置には、図4(a)に示すように、開口部4aを通してダクト本体40の内部に挿入される略角筒状の回転体33が回転自在に設けられており、該回転体33を回転させるための操作部であるレバー34が、コンセントユニット3の装着面と対向する面に配設された軸部(図示せず)を中心として回動自在に配設されている。回転体33の周面には、回転体33の中心部を挟んで対称な位置に一対の接続片33aが突設されており、レバー34の操作に応じて一対の接続片33aがダクト本体40の長手方向と略平行な方向に並ぶ状態(図4(a)参照)と、一対の接続片33aがダクト本体40の短手方向と略平行な方向に並ぶ状態(図4(b)参照)とを切り替えることができるようになっている。
【0030】
また、回転体33の周面には、接続片33aよりも装着面に近い位置に一対の係止片33bが突設されている。而して、突出部30及び回転体33を開口部4aに挿入した状態で、レバー34を操作して一対の接続片33aがダクト本体40の短手方向と略平行な方向に並ぶ状態となるように切り替えると、一対の係止片33bと装着面との間で壁部4bが挟持されて、コンセントユニット3がダクト本体40に取付固定されるとともに、各接続片33aがダクト本体40内部に配設された導体42に電気的に接続されるようになっている(図4(c)参照)。尚、回転体33の端部には、突出部30及び回転体33を開口部4aに挿入した状態で接地導体43と電気的に接続される接続突部33cが設けられている。
【0031】
コンセントユニット3の内部には、図5に示すように、一対の接続片33aを具備し配線ダクト4から商用電源を給電するための給電コネクタ35と、各一対の刃受けばね(図示せず)を有し、給電コネクタ35を介して供給される商用電源を負荷に供給するための電源用コンセント31と、LAN接続ポート32と、給電コネクタ35を介して接続される導体42を通して電力線搬送通信(Power Line Communication)によりデータを送受信するとともに、送受信されたデータをプロトコル変換することでLAN接続ポート32に入出力する電力線搬送通信部36とから構成される回路が収納されている。また、電源用コンセント31に外部の電気機器(図示せず)から引き回される3極プラグPが接続されると、電源に重畳された信号がインピーダンスの低い電気機器側に吸い込まれてしまうので、給電コネクタ35と電源用コンセント31との間の電路に、電力線搬送通信に用いる所定の周波数帯域に対してインピーダンスが高く、商用電源周波数に対してはインピーダンスが低いインピーダンスアッパ37を設けている。
【0032】
而して、図6に示すように、例えばテーブルタップ6から引き回される電源コード60の先端に設けられた3極プラグPをコンセントユニット3の電源用コンセント31に差し込む事で、テーブルタップ6に商用電源を給電することができる。また、例えばパーソナルコンピュータ等の通信機器(図示せず)から引き回されるLAN用ケーブル(図示せず)の先端に設けられたRJ−45のモジュラプラグ(図示せず)をコンセントユニット3のLAN接続ポート32に接続することで、電力線搬送通信を利用することができる。
【0033】
尚、本実施形態ではコンセントユニット3に電力線搬送通信部36を設けているが、この構成をコンセントユニット3に設けずに、電力線搬送通信用の回路を内蔵するとともにLAN接続ポート32を備えたテーブルタップ(図示せず)を用いることで上記構成の代用としても構わない。
【0034】
また、本実施形態では、長尺のダクト本体40のみから配線ダクト4が構成されているが、図8(a)に示すように、複数の長尺のダクト素体40aと、各ダクト素体40a間を互いに連結する接続部材8とから配線ダクト4を構成しても構わない。尚、ダクト素体40aは、ダクト本体40の長手方向の長さ寸法を短くしたものであって、その基本的構成はダクト本体40と同一である。例えば、略L字状の接続部材8a、略T字状の接続部材8b、略十字状の接続部材8cを複数個ずつ用いることで、図8(a)に示すように配線ダクト4を分岐接続することができる。したがって、配線ダクト4のレイアウトを適宜変更することで建物の床面Aとフロアパネル1との間の空間を有効活用することができる。尚、上述のように配線ダクト4をダクト素体40a及び接続部材8を用いて分岐接続する技術は従来周知であるので、ここでは詳細な説明は省略する。
【0035】
もちろん、図8(b)に示すように、ダクト素体40a間を直線状の接続部材8dで互いに連結することで、本実施形態と同様に直線状の配線ダクト4を構成するようにしても構わない。この場合、配線ダクト4の長手方向の長さ寸法を適宜調整することができる。
【0036】
以下、本実施形態の要旨について説明する。本実施形態では、図2に示すように、横方向の略中央において、隣り合うフロアパネル1の間に所定長さの幅寸法を有する隙間10が縦方向に沿って設けられ、該隙間10に臨む建物の床面Aとフロアパネル1との間の空間には、配線ダクト4が配設されるとともに、該隙間10を覆う複数(図示では6つ)のカバー5が取り付けられている。
【0037】
隙間10では、図1に示すように、隣り合うフロアパネル1を支持する一対の支持部材2を1組とした複数組(図示では3組)の支持部材2が縦方向に沿って所定の間隔を空けて設けられるとともに、各組のベース部20同士を底板部25で互いに連結している。各底板部25には、図3に示すように、上方に向かって突出した断面略コ字状の取付台26がそれぞれ取り付けられており、各取付台26の上面に配線ダクト4が図示しない取付手段によって取付固定される。ここで、本実施形態では、開口部4aが横方向を向くように配線ダクト4を配設することで、カバー5を取り外した状態において埃等が建物の床面Aとフロアパネル1との間の空間に侵入しても、配線ダクト4内に埃等が溜るのを防ぐようにしている。尚、取付台26を複数個重ねて配設することで、配線ダクト4の上下方向における取付位置を調節することができ、配線ダクト4を配線作業が行い易い配置にすることができる。
【0038】
カバー5は、例えば鋼板から長尺平板状に形成され、その横方向の長さ寸法が前記隙間10の横方向の長さ寸法と略同一に設定されている。隙間10に配設された支持部材2の突部23bには、図7(a)に示すように、カバー5を取り付けるための断面略コ字状の長尺のカバー取付部材7が縦方向に亘って複数(図示では4つ)配設される。各カバー取付部材7の上面にはパッド7aが貼着されており、図7(b)に示すように、パッド7aの上面にカバー5の長手方向に沿った周縁部を載置することでカバー5が隙間10を覆うように取り付けられる。
【0039】
ここで、フロアパネル1とカバー5との間に防水パッキン(図示せず)を設けることで、建物の床面Aとフロアパネル1との間の空間に水や埃等が侵入するのを防ぐことができる。尚、図2に示すように、コンセントユニット3に接続されたテーブルタップ6をフロアパネル1の上側の空間に引き回すために隣り合うカバー5の間に隙間を設ける必要があるが、この隙間を覆うように別途小型のカバー(図示せず)を設けることで、カバー5の防水及び防塵機能を補完することができる。
【0040】
上述のように、隣り合うフロアパネル1の間に所定長さの幅寸法を有する隙間10を空けるとともに、配線ダクト4を該隙間10に配設し、該隙間10を覆うようにカバー5を着脱自在に取り付けたので、カバー5のみを取り外した状態で配線ダクト4に取り付けられたコンセントユニット3の配置変更を行うことができ、したがってフロアパネル1を取り外すことなく配線の変更を容易に行うことができる。また、カバー5のみを取り外すだけで配線の変更を行えるので、フロアパネル1を動かす必要が無く、したがって配線の変更後にフロアパネル1が浮き上がる等してフロアががたつくのを防止することができる。
【0041】
また、コンセントユニット3のレバー34を操作するだけで配線ダクト4に対してコンセントユニット3を容易に着脱可能であるとともに、開口部4aにコンセントユニット3の突出部30及び回転体33を挿入した状態でコンセントユニット3を配線ダクト4の長手方向に沿って自在にスライドさせることができるので、配線の変更を容易に行うことができる。
【0042】
尚、フロアパネル1及びカバー5の敷設後には、フロア全体の外観を整えるために例えばカーペット等の床仕上げ材(図示せず)を覆設するが、該床仕上げ材をフロアパネル1の上面に覆設するものと、カバー5の上面に覆設するものとで識別可能な互いに異なる仕様(例えば、色、濃淡、模様等)にするのが望ましい。このように構成すれば、カバー5及び配線ダクト4が何処に配置されているかを容易に識別することができる。また、パーティション(図示せず)をフロア内に配設する際に、フロアパネル1とカバー5とを識別できることからフロアパネル1上にパーティションを固定することができ、取り外しが想定されるカバー5上に誤ってパーティションを固定するのを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明のフロアシステムの実施形態を示す分解斜視図である。
【図2】同上のテーブルタップを省略した全体斜視図である。
【図3】同上の配線ダクトの長手方向における一端部側から見た一部拡大図である。
【図4】同上のコンセントユニットの操作部の説明図で、(a)はコンセントユニット非固定時の回転体の平面図で、(b)はコンセントユニット固定時の回転体の平面図で、(c)はコンセントユニット固定時の配線ダクトの側面図である。
【図5】同上のコンセントユニットの内部回路を示すブロック図である。
【図6】同上のコンセントユニットにテーブルタップを接続した場合を示す一部省略した全体斜視図である。
【図7】同上の要旨の説明図で、(a)はカバーを外した状態の一部省略した斜視図で、(b)は一部のカバーを取り付けた状態の一部省略した斜視図である。
【図8】同上の配線ダクトの分岐接続を示す説明図で、(a)は分岐接続の一例を示す配線ダクトの斜視図で、(b)は他の分岐接続の一例を示す配線ダクトの斜視図である。
【符号の説明】
【0044】
1 フロアパネル
10 隙間
2 支持部材
3 コンセントユニット
4 配線ダクト
40 ダクト本体
4a 開口部
5 カバー
A 建物の床面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の床面と鉛直な方向に所定の間隔を空けて敷設される複数のフロアパネルと、建物の床面に設けられてフロアパネルを支持する複数の支持部材と、建物の床面及びフロアパネルの間の空間に配設されて一乃至複数の配線器具が着脱自在に装着される開口部を有する配線ダクトとから成るフロアシステムであって、少なくとも一部のフロアパネルと隣り合うフロアパネルとの間に所定長さの隙間を空けるとともに、該隙間に臨む前記空間に配線ダクトを配設し、該隙間を着脱自在に覆うカバーを設けたことを特徴とするフロアシステム。
【請求項2】
前記配線器具はコンセントユニットであって、コンセントユニットには、配線ダクトに固定される状態と固定されない状態とを切替可能な操作部が設けられ、操作部は、コンセントユニットの一面に設けられた軸部を中心に回動自在であることを特徴とする請求項1記載のフロアシステム。
【請求項3】
前記配線ダクトは、カバーと対向する面以外の面に開口部が設けられたことを特徴とする請求項1又は2記載のフロアシステム。
【請求項4】
前記配線ダクトは、建物の床面に設けられる取付台に固定され、取付台は、建物の床面と鉛直な方向の高さを調整可能であることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載のフロアシステム。
【請求項5】
前記配線ダクトは、複数の長尺のダクト素体から成り、各ダクト素体を互いに連結して成ることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載のフロアシステム。
【請求項6】
前記フロアパネル及びカバーには床仕上げ材が覆設されるとともに、床仕上げ材は、フロアパネルに覆設されるものとカバーに覆設されるものとで識別可能な互いに異なる仕様としたことを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載のフロアシステム。
【請求項7】
前記コンセントユニットは、ローカルエリアネットワークの通信機器を接続するためのLAN接続ポートと、給電部材を介して接続される導体を通して電力線搬送通信によりデータを送受信するとともに、送受信されたデータをプロトコル変換することでLAN接続ポートに入出力する電力線搬送通信部とを備えたことを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載のフロアシステム。
【請求項8】
前記配線ダクト間を互いに連結するとともに配線ダクトを分岐接続する接続部材を設けたことを特徴とする請求項1乃至7の何れか1項に記載のフロアシステム。
【請求項9】
前記コンセントユニットには、外部から引き回される電源プラグの栓刃が挿抜可能な栓刃挿入孔を有する一乃至複数の電源用コンセントが設けられ、電源用コンセントは、栓刃挿入孔がカバーと対向し且つカバーに対して傾斜するように配設されることを特徴とする請求項1乃至8の何れか1項に記載のフロアシステム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−41336(P2009−41336A)
【公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−210055(P2007−210055)
【出願日】平成19年8月10日(2007.8.10)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】