説明

フロントガラス用ワイパー装置

本発明のフロントガラス用ワイパー装置は、ワイパーブレードが細長い上側保持部、及び可撓性素材の細長い下側拭取部を備え、保持部が拭取部を保持し、保持部が、拭取部を保持するためのサイドアーム備え、連結部品が上側保持部を側方で係合する係合部材を備える。係合部材は、その長さ全体にわたって側方に、サイドアームの方向に延びる脚部を備え、ワイパー装置がイパーブレード上に連結部品を保持するための保持手段を備えることを特徴とする。連結部品は、連結部品とストリップとの間を何ら連結することなく、ワイパーブレードに連結されるため、連結部品が防塵及び防水して溝を閉じる。これは、溝内の何らかの塵によるワイパーブレードとストリップとの間の動きの低下を回避し、溝内の水によるストリップの何らかの腐食もまた回避することを意味する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、弾力性のある細長いキャリア要素、並びに可撓性素材の細長いワイパーブレードを備えるフロントガラス用ワイパー装置であって、ワイパーブレードは、拭取対象であるフロントガラスに隣接して配置でき、中央長手方向の溝を有し、その溝にキャリア要素の中央長手方向のストリップが配置され、前記ワイパーブレードの両端部に連結部品が設けられ、さらに揺動ワイパーアーム用の連結装置を備えるフロントガラス用ワイパー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
このようなフロントガラス用ワイパー装置は一般に知られている。この先行技術によるフロントガラス用ワイパー装置は、所謂「フラットブレード」又は「ヨークレスブレード」として設計されており、いくつかのヨークを互いに枢動可能に連結して利用するのではなく、ワイパーブレードはキャリア要素によって歪みが加えられ、その結果ワイパーブレードはある特定の曲率を示す。この既知のワイパー装置の欠点は、塵及び水が中央長手方向の溝に入る可能性があり、それによりストリップが溝内で自由に移動できず、ストリップの腐食が発生する可能性があることである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、上述の先行技術の欠点を克服すること、特に、連結部品(「エンドキャップ」)により塵及び水が長手方向の溝に入ることを防ぐフロントガラス用ワイパー装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この目的を達成するために、本発明による、導入部で言及した種類のフロントガラス用ワイパー装置は、前記ワイパーブレードが細長い上側保持部、及び可撓性素材の細長い下側拭取部を備え、前記保持部が前記拭取部を保持し、前記保持部が、前記拭取部を保持するための、断面で示す状態でその保持部の側部において外側から下方に延びるサイドアーム備え、連結部品が前記上側保持部を側方で係合する係合部材を備え、前記係合部材が、前記係合部材からその長さ全体にわたって側方に、前記下方に延びるサイドアームの方向に延びる脚部を備え、前記ワイパー装置が前記ワイパーブレード上に前記連結部品を保持するための保持手段を備えることを特徴とする。前記連結部品は、前記連結部品と前記ストリップとの間を何ら連結することなく、ワイパーブレードに連結されるため、連結部品が防塵及び防水して溝を閉じる。これは、溝内の何らかの塵によるワイパーブレードとストリップとの間の動きの低下を回避し、溝内の何らかの(雨)水によるストリップの何らかの腐食もまた回避することを意味する。
【0005】
本発明によるフロントガラス用ワイパー装置の好適な一実施形態において、前記保持手段は、前記脚部から前記下向きに延びるサイドアームの方向に延びる少なくとも一つの突起を備える。前記突起により、連結部品がワイパーブレードに対する長手方向の如何なる動きに対しても固定されることが実現される。
【0006】
本発明によるフロントガラス用ワイパー装置の別の好適な実施形態において、前記保持部に細長い補強要素が設けられ、前記補強要素に幅方向及び長手方向に延びる間隔をあけた外形が設けられ、前記突起が前記間隔をあけた外形によって形成された開口部に延びる。本実施形態において、前記突起により、連結部品がワイパーブレードに対する長手方向の如何なる動きに対しても強く固定されることが実現される。
【0007】
本発明によるフロントガラス用ワイパー装置の別の好適な実施形態において、前記ワイパーブレード及び前記溝は、前記ワイパーブレードの両端部において前記ストリップより長いことにで空間を形成し、前記連結部品は、前記ワイパーブレードの両端部において防塵及び防水して前記溝閉じるために、前記空間内に嵌合する内側突起を備える。特に、前記ワイパーブレードの各自由端上に前記連結部品を摺動するように取り付けることによって、前記内側突起が、前記ワイパーブレードの各空間で摺動する。前記内側突起が各連結部品の端壁から長手方向に延びることが好ましい。
【0008】
本発明によるフロントガラス用ワイパー装置の別の好適な実施形態において、前記ストリップに、潤滑剤が与えられる。前記潤滑剤により、溝内のストリップの摩擦が低減される。前記溝が防塵及び防水して閉じられるので、前記潤滑剤が前記溝内に留まり、それにより前記摩擦の低減状態が維持される。これは特に、前記空間が前記内側突起によって閉じられる場合に達成される。前記潤滑剤が粉末であること、さらに前記潤滑剤がタルク、硫黄、及びグラファイトから成るグループから選択されることが好ましい。
【0009】
本発明によるフロントガラス用ワイパー装置の別の好適な実施形態において、前記保持部には、前記拭取部と反対側の保持部の側部にスポイラーが設けられる。
【0010】
ここで、図面に例示する図を参照して、本発明をより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明によるフロントガラス用ワイパー装置の好ましい一実施形態の概略斜視図である。
【図2】図1のフロントガラス用ワイパー装置の断面図である。
【図3】図1のフロントガラス用ワイパー装置の補強要素の斜視図である。
【図4】本発明による連結部品の詳細図である。
【図5】本発明によるフロントガラス用ワイパー装置に取り付けられた連結部品の詳細図である
【図6】本発明によるフロントガラス用ワイパー装置に取り付けられた連結部品の水平面の断面図である。
【図7】本発明によるフロントガラス用ワイパー装置に取り付けられた連結部品の垂直面の長手方向の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、本発明によるフロントガラス用ワイパー装置1の好ましい改良例を示す。前記フロントガラス用ワイパー装置1は、エラストマーの細長い下側拭取部5を保持する下方に延びるサイドアーム4を有するゴム又はプラスチックの細長い上側保持部3から成るワイパーブレード2で構成され、上側保持部3及び下側拭取部5は、前記ワイパーブレード2の全長に沿って長手方向に延びる。保持部3に、中央長手方向の溝6が形成され、その溝にバネ帯鋼製の長手方向のストリップ7が嵌合される(図2)。前記ストリップ7がゴムのワイパーブレード2の可撓性キャリア要素を形成するため、言うなれば、ワイパーブレード2は湾曲した位置状態で歪められる(動作位置における曲率は、拭取対象であるフロントガラスの曲率である)。フロントガラス用ワイパー装置1はさらに、揺動アーム9用の連結装置8、及びスポイラー10を具備する。フロントガラス用ワイパー装置1の両側にある前記ワイパーブレード2の両端部に、連結部品11が設けられる。上側保持部3にはさらに、金属製の補強要素12が設けられる。前記保持部3の全長に沿って長手方向に延びる前記補強要素12は、横方向に曲げ剛性を有し、長手方向に可撓性を有する。これは、C形状の断面(図2)を有し、スペーサー14により間隔をあけ、且つ横方向及び長手方向に延びる外形13を前記補強要素12が備えることによって、実現される。前記補強要素12により、前記保持部3の剛性を幅方向に強化し、前記保持部3上で前記拭取部5をしっかりと保持できるようにする。同時に、前記補強要素12は、拭取対象であるフロントガラスの曲率に沿って前記長手方向のストリップ7の如何なる湾曲にも従えるよう十分な可撓性を有する。従って、前記補強要素12は、一見矛盾しているように見える2つの特徴を合わせ持つ。即ち横方向に曲げ剛性を有し、長手方向に可撓性を有する。これは、特に、互いに間隔をあけて配置された前記外形13により達成される。
【0013】
図4から図6を参照すると、各連結部品11に、それと一体となった2つの係合部材20が設けられ、前記係合部材10は、前記上側保持部3の周囲で係合する。前記係合部材20は、それと一体となった脚部21を備え、脚部21は、前記係合部材20からその長さ全体にわたって側方に、上側保持部3の前記下方に延びるサイドアーム4の方向に延びる。連結部品11は、前記ワイパーブレード2の前記端部上に摺動するように取り付けることができる。さらに、前記脚部21は、それと一体となった突起22を備え、突起22は、前記脚部21から上側保持部3の前記下方に延びるサイドアーム4の方向に延び、取り付け位置における前記突起22は、C形状の外形13及びスペーサー14により形成された開口部23でワイパーブレード2のゴムにおいて延びる。従って、前記突起22により、連結部品11がワイパーブレード2に対して長手方向の如何なる動きに対しても固定されることが実現される。突起22は、前記ワイパーブレード2のエストラマー(ゴム)素材又はプラスチック素材に、それを損傷することなく、ほんのわずかだけ入り込むことに留意されたい。
【0014】
図7を参照すると、前記連結部品11それぞれに、その端壁31から長手方向及び内側方向に延びる指部又は突起30が設けられる。連結部品11がワイパーブレード2の自由端上に摺動可能に取り付けられる際、突起30が、ワイパーブレード2の盲孔32内に摺動する。前記盲孔32は、ワイパーブレード2及び溝6がストリップ7より長い場合に形成される。溝6におけるストリップ7の摩擦を低減するために、前記ストリップ7に潤滑剤、特にタルクのような粉末が与えられることが好ましい。特に、前記盲孔31が前記突起によって閉じられる場合、前記潤滑剤は前記溝6内に留まり、それにより摩擦の低減状態が維持される。
【0015】
本発明によると、連結部品11又は「エンドキャップ」は、前記連結部品11とストリップ7との間を何ら連結することなく、ワイパーブレード2に連結される。
【0016】
図に示していないが、揺動ワイパーアーム9が、小型モータにより駆動されるシャフトに回動するよう固定された取り付けヘッドに連結されることは、当業者には明らかであろう。使用中、シャフトは、取り付けヘッドもまた回動させながら、右回り及び左回りに交互に回動し、次に、取り付けヘッドが揺動ワイパーアーム9を回動させ、連結装置8によってワイパーブレード2を動かす。
【0017】
本発明は、図示した実施形態に限るものではなく、添付請求項の範囲内にある他の実施形態にも及ぶものである。



【特許請求の範囲】
【請求項1】
弾力性のある細長いキャリア要素と、可撓性素材の細長いワイパーブレード(2)とを備えるフロントガラス用ワイパー装置(1)であって、
前記ワイパーブレード(2)は、拭取対象であるフロントガラスに隣接して配置され得るものであり、前記ワイパーブレード(2)は、中央長手方向の溝(6)を有し、前記溝には前記キャリア要素の中央長手方向のストリップ(7)が配置され、前記ワイパーブレード(2)の両端部には連結部品(11)が設けられ、さらに当該フロントガラス用ワイパー装置(1)が揺動ワイパーアーム(9)用の連結装置を備える、
フロントガラス用ワイパー装置(1)において、
前記ワイパーブレード(2)が細長い上側保持部(3)、及び可撓性素材の細長い下側拭取部(5)を備え、前記保持部(3)が前記拭取部(5)を保持し、前記保持部(3)が、前記拭取部(5)を保持するための、断面で示された状態で前記保持部の側部において外側から下方に延びるサイドアーム(4)備え、前記連結部品(11)が前記上側保持部(3)を側方で係合する係合部材(20)を備え、前記係合部材(20)が、前記係合部材(20)からその長さ全体にわたって側方に、前記下方に延びるサイドアーム(4)の方向に延びる脚部(21)を備え、前記ワイパー装置(1)が前記ワイパーブレード(2)上に前記連結部品(11)を保持するための保持手段を備えることを特徴とする、フロントガラス用ワイパー装置。
【請求項2】
前記保持手段が、前記脚部(21)から前記下向きに延びるサイドアーム(4)の方向に延びる少なくとも一つの突起(22)を備える、請求項1に記載のフロントガラス用ワイパー装置。
【請求項3】
前記保持部(3)に細長い補強要素(12)が設けられ、前記補強要素(12)に横方向及び長手方向に延びる間隔をあけた外形(13)が設けられ、前記突起(22)が前記間隔をあけた外形(13)によって形成された開口部(23)に延びる、請求項2に記載のフロントガラス用ワイパー装置。
【請求項4】
前記ワイパーブレード(2)及び前記溝(6)は、前記ワイパーブレード(2)の両端部において前記ストリップ(7)より長いため、空間(32)を形成し、前記連結部品(11)が、前記ワイパーブレード(2)の両端部において防塵及び防水して前記溝(6)を閉じるために、前記空間(32)内に嵌合する内側突起(30)を備える、請求項1、2、又は3に記載のフロントガラス用ワイパー装置。
【請求項5】
前記内側突起(30)が各連結部品(11)の端壁(31)から長手方向に延びる、請求項1乃至4の何れか一項に記載のフロントガラス用ワイパー装置。
【請求項6】
前記ストリップ(7)に潤滑剤が与えられる、請求項1乃至5の何れか一項に記載のフロントガラス用ワイパー装置。
【請求項7】
前記潤滑剤が粉末である、請求項6に記載のフロントガラス用ワイパー装置。
【請求項8】
前記潤滑剤がタルク、硫黄、及びグラファイトから成るグループから選択される、請求項6又は7に記載のフロントガラス用ワイパー装置。
【請求項9】
前記保持部(3)には、前記拭取部(5)と反対側の前記保持部(3)の側部にスポイラー(10)が設けられる、請求項1乃至8の何れか一項に記載のフロントガラス用ワイパー装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2013−519578(P2013−519578A)
【公表日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−553195(P2012−553195)
【出願日】平成22年2月17日(2010.2.17)
【国際出願番号】PCT/EP2010/051982
【国際公開番号】WO2011/101028
【国際公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【出願人】(507412128)フェデラル−モグル エス.エー. (28)
【氏名又は名称原語表記】FEDERAL−MOGUL.S.A.
【住所又は居所原語表記】Avenue Champion, B−6790 Aubange (BE)
【Fターム(参考)】