説明

フロントシールド支持構造

【課題】フロントシールド支持構造において、車両の走行中の振動等をなくし、視界の妨げとならないようにし、且つ異音等を発しないようにし、また、非乗員との接触に際してダメージを低減し、更に、乗員に対する拘束力を確保することにある。
【解決手段】フロントシールドを車両ボディの構造部材にシール機能が備えられた弾性介在体を介して移動可能に支持して設け、フロントシールドの移動に対して抗するエネルギ吸収部材を設け、フロントシールドを車両ボディの構造部材に対して振動を防止する支持部材を併設している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、フロントシールド支持構造に係り、特に車両の前側に面して配設されて風雨を防ぐようにシールされたフロントシールドを支持するフロントシールド支持構造に関する。
【背景技術】
【0002】
車両においては、車両の前側に面して、風雨を防ぐようにシールされたフロントシールド(フロントウインドシールド)を配設している。
このフロントシールドは、主にガラスを主体とし、強化ガラスや合わせガラス等の様々な構造のものとして提案され、且つ実用化されており、非常に高い剛性や強度を併せ持っている。
そして、フロントシールド支持構造では、フロントシールドと車両ボディの構造部材である車体パネルとの間に弾性介在体であるシーリングモールを介在させ、シール材や位置決め用のクランプ等を併用して、フロントシールドを車体パネルに直接的に嵌め込むようにして接着させる構造が主流である。これにより、フロントシールドは、剛性を高めた車体と略一体となり、それ自体が破損しても全体が脱離することの無い非常に高い取付剛性を発揮している。車両の完成工場でのフロントシールドの取り付けは、専用の自動機械(いわゆるロボット)によって取り付け、自動化されている。一方、フロントシールドは、何らかの理由によって、破損した場合に、特別な工具や専用の治具を使用しなくとも人手によって交換できるものである。よって、フロントシールドの取り付けにおいては、品質管理できる容易な取付方法であることが望ましい。
また、最近、一般的なフロントシールドの取付構造では、車体パネルにフロントシールドを、クリップ類の位置決め部材で位置決めし、ペースト状のシール剤で接着し、フロントシールドの周縁と車体パネルとの隙間を埋めるシール機能が備えられた弾性介在体であるシーリングモールによって概略の水の浸入を防止する構造となっており、専用の自動機械(いわゆるロボット)を使った組み付けも作業性の良いものとなっている。
また、古いタイプの車両や商用車では、フロントシールドの周縁を挟み込むように保持するシーリングモールを設け、このシーリングモールを車体パネルのヘム部に挟み込むように保持する構造となっている。生産性、メンテナンス性の面から、このように従来からある複数の構造、その取付方法によっても、区別なく実現可能な構造を考慮する必要がある。
一方、フロントシールドの外部周囲には、非乗員を保護する目的で、エアバッグ等の緩衝装置を設ける技術も提案されている。このような、所謂、外部エアバッグは、展開中ないし展開後の視界確保が難しい車両もあり、その場合、二次被害の存在を否定できない。
また、エアバッグは繰り返し機能させる構造とはなっておらず、プリクラッシュセーフティとして、予め膨張展開するように機能させて予め備えることができない不都合がある。
他方、車両の後部においては、ガラスハッチと呼ばれるものがある。車体又はドアに設けた窓開口を塞ぐようにガラスを設け、このガラスの一側をヒンジ類で固定する一方、ガラスの他側にロック部材を設け、ガラス自体の持つ剛性を利用して扉のように回動することにより開口部を開閉する構造のものである。そのシーリングモールは、ガラス面に対向して設けられ、閉じた時にシール性を確保する程度に弾性変形可能となっている。ガラスハッチは、開口部を通じて車内外を繋ぐものなので、ガラスを回動した際にシールするようにはなっておらず、閉めた状態では、ガラスは車体に対して略動かないよう完全に固定される。そのため、外力が加えられても、エネルギを吸収できず、シール性を確保したまま動かせるようにすることもできなかった。
【0003】
従来、車輌用ウエザストリップには、中空部を形成して容易に変形可能とし、ウインドシールドガラス(フロントシールド)の衝撃を吸収するものがある。
車両の歩行者保護構造には、ウインドシールドガラス(フロントシールド)の下端縁部が固定されるカウルアッパパネルの上壁部を、強化ガラスによって支持して、通常使用時には必要な剛性を確保するとともに、外部から衝撃があった場合には衝突体が受ける衝撃を緩和し、非乗員のダメージの低減を果たし、支持剛性を下げるものである。
自動車の前部車体構造には、ダッシュパネル上に固定されたカウル部材によってフロントウインド(フロントシールド)の下端部を内側から支持する構造において、カウル部材を、フロントウインドを支えるウインド支持部を備えるカウルアッパパネルとカウルインナパネルとブレースとで構成し、カウルアッパパネルを衝撃荷重の方向で変位させるものがある。
車両用衝撃吸収装置には、制御装置によりピラー駆動装置を作動させ、ピラー骨格部材を後方に移動し、フロントピラーアッパの剛性を低下させるものがある。
歩行者用エアバック装置においては、車両の外部にエアバックを設けてカウルルーバ等を覆うものがある。
【特許文献1】実開昭59−193719号公報
【特許文献2】特開2004−34841号公報
【特許文献3】特開2007−22199号公報
【特許文献4】特開2006−347263号公報
【特許文献5】特開2004−299442号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来、上記特許文献1においては、衝撃を吸収する効果があるが、常にウインドシールドガラス(フロントシールド)が動いてしまうため、振動等によって光学的にブレが生じ、視界に影響を与えてしまう。また、振動によって異音が発生すると、著しく商品性を損ねてしまうおそれがある。更に、ストローク、所謂つぶれ代を大きく取れず、完全につぶれるまでのエネルギ吸収効果も少ないという問題があった。
上記特許文献2、3においては、車両の接触時のエネルギをトリガとしているため、走行する車両のフロントシールドとしてのあらゆる機能の確保と同等以上の閾値がトリガとなってしまい、実質的に大きなダメージを加える程度の大きな荷重がなければ機能を果たし得ないものとなっている。また、修理の際に、機能回復のために、車体内部の多くの構造部材を変える必要があり、交換する必要のないものまで脱着するためサービス効率が悪くなるという不都合があった。
上記特許文献4においては、車体の剛性を支える基本骨格を可動としているので、構造が複雑となり、エネルギを吸収する際には、車体の外形が大きく変形してしまい、また、組み立て及び修理の際に、特別な設備を必要とする不都合がある。
上記特許文献5においては、車両の外部に設けたエアバックが作動することによって視界を奪うようになり、二次的な不具合を引き起こしたり、損害を与えたりする可能性がある上に、予め不具合に備えて動作するプリクラッシュセーフティの判断が非常に困難になるという不都合があった。
【0005】
そこで、この発明は、車両の走行中の振動等をなくし、視界の妨げとならないようにし、且つ異音等を発しないようにし、また、非乗員との接触に際してダメージを低減し、更に、乗員に対する拘束力を確保すること等を目的とするフロントシールド支持構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、車両の前側に面して配設されて風雨を防ぐようにシールされたフロントシールドを支持するフロントシールド支持構造において、前記フロントシールドを車両ボディの構造部材にシール機能が備えられた弾性介在体を介して移動可能に支持して設け、前記フロントシールドの移動に対して抗するエネルギ吸収部材を設け、前記フロントシールドを前記車両ボディの前記構造部材に対して振動を防止する支持部材を併設したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
この発明のフロントシールド支持構造は、車両の走行中の振動等をなくし、視界の妨げとならないようにし、且つ異音等を発しないようにし、また、非乗員との接触に際してダメージを低減し、更に、乗員に対する拘束力を確保することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
この発明は、フロントシールドを車両ボディの構造部材に対して支持する構造に、振動を防止する支持部材を併設して実現するものである。
以下、図面に基づいてこの発明の実施例を詳細且つ具体的に説明する。
【実施例1】
【0009】
図1〜図10は、この発明の第1実施例を示すものである。
図8において、1は車両である軽自動車や小型車のフロントシールド(フロントウインドシールド)である。
このフロントシールド1は、平面ないし三次元曲面の形状で且つ略四角形状に形成され、中央部位においてシールド面2を備え、また、周縁部位のセラミック部境界線Mよりも外縁方向における上方向の上周縁3と車幅方向(左右方向)両端の側周縁4と下方向の下周縁5とが連続して所定幅のセラミックエリア6を形成している。
フロントシールド1は、ガラス・高分子(樹脂、特にポリカーボネート、アクリル樹脂等)又はそれらの組み合わせ・複合材料等の材質からなり、その周縁部位が車両ボディの構成部材に囲まれ、車両の前側に面して配設される。この車両ボディの構成部材は、この第1実施例においては、フロントシールド1の上周縁3を支持するルーフパネル7(図1参照)、フロントシールド1の側周縁4を支持する一対のピラー8(図2参照)、フロントシールド1の下周縁5を支持するカウルパネル9(図3参照)等の車体パネル部品(金属パネル)である。
【0010】
フロントシールド1は、風雨を防ぐようにシールされる。つまり、図1に示すように、フロントシールド1の上周縁3とルーフパネル7との間には、第1弾性介在体である第1シーリングモール10が介在される。この第1シーリングモール10は、成形された弾性部材からなり、フロントシールド1をシールするシール機能を備え且つこのフロントシールド1を移動(浮動)可能に支持する。また、図2に示すように、フロントシールド1の車幅方向(左右方向)の側周縁4とピラー8との間には、第2弾性介在体である第2シーリングモール11が介在される。この第2シーリングモール11は、前記第1シーリングモール10と同様に、成形された弾性部材からなり、フロントシールド1をシールするシール機能を備え且つこのフロントシールド1を移動(浮動)可能に支持する。更に、フロントシールド1の下周縁5は、カウルパネル9によって支持される。
このように、フロントシールド1の下周縁5には弾性介在体を設けないのは、その端部が外表に露出せずに高い風圧等もかかり難いので、水密性を高くする必要がないことと、軽自動車や小型車のように、バンパからカウルトップまでの長さが極端に短く、あるいは、カウルトップの位置が特に低い場合、フロントシールドの下周縁が低く、前方に位置することになるので、ボンネットフードやカウルトップのガーニッシュの形状や構造の役割が大きくなり、フロントシールドの下側のシール部がアクティブ構造である意義が薄れるからである。
しかし、比較的大型の普通車や少し背の高いミニバン等で、ボンネットフードの高さと長さとを含めた距離がある程度存在する場合では、フロントシールドの上周縁・両側周縁、下周縁の四方全てをアクティブ構造にするのが良い。また、大型の商用車のように、フロントシールドの上周縁が極端に高く且つ前方にある場合は、フロントシールドの上側をアクティブ構造とする意義は薄れるが、フロントシールドの上側を、従来のように固定的にシールして下周縁側及び両側周縁をアクティブ構造にすれば、ある程度の効果が得られるし、走行風圧等への耐性もある程度確保できる。
【0011】
フロントシールド1を移動可能にする際には、フロントシールド1のシールド面2に沿う緩やかな湾曲面の方向で、車幅方向(左右方向)、上下方向(厳密には上部が後方となる傾斜方向)の移動可能寸法を極力小さく規制し、また、フロントシールド1のシールド面2の法線方向に大きな移動可能寸法を採れるように規制して、フロントシールド1を車両ボディの構造部材(ルーフパネル7、ピラー8、カウルパネル9)に支持する。
ここで、前記フロントシールド1のシールド面2に沿う緩やかな湾曲面の方向で、車幅方向(左右方向)、上下方向(厳密には上部が後方となる傾斜方向)の移動可能寸法を極力小さく規制する構造は、弾性介在体であるシーリングモール(10、11)の素材の厚さによるせん断方向の自己形状保持剛性及び微弾性を利用する。また、前記フロントシールド1のシールド面2の法線方向に大きな移動可能寸法を採れる移動構造は、シーリングモール(10、11)の構造特性を有する形状(断面形状、外形形状)に加え、後述するクラッシャブルな構造のエネルギ吸収部材(47、48、49)、すなわち、ハニカムや蛇腹等に代表される内部壊滅空間を有する構造体を併せることによって構成する。
このような構造により、初期の衝撃荷重を受けた時の対象に与える加速度の最大ピークを、所望のレベルに下げることが可能となる。代わりに、衝撃荷重のエネルギを吸収する時間が生まれるため、その時間中では、所望のレベル以下のうち比較的大きな値で推移させることにより、対象に対して致命的なダメージを回避しつつ、最大限のエネルギの吸収が可能となる。
【0012】
図1に示すように、フロントシールド1の上周縁3付近の車両構造においては、フロントシールド1の上周縁3の後方にはルーフパネル7が配置され、また、フロントシールド1の上周縁3と室内方向で下方に配置されたルーフヘッドライニング12との間に第1内部空間13が形成される。
ルーフパネル7は、フロントシールド1の上周縁3よりも上方のルーフパネルアウタ部14と、このルーフパネルアウタ部14に連設して下方に傾斜して延びるルーフパネル傾斜部15と、このルーフパネル傾斜部15に連設してフロントシールド1と略平行で第1内部空間13内に延びるルーフパネルインナ部16とからなる。このルーフパネルインナ部16の下面には、クロスメンバとしてのルーフフロントインナパネル17及びこのルーフフロントインナパネル17と同一平面上で分岐して後方に延びる分岐インナパネル18の夫々上面が接して設けられる。
このルーフパネルインナ部16とルーフフロントインナパネル17とは、車体パネルの構造部としての第1フランジ部19を構成する。
【0013】
図2に示すように、フロントシールド1の側周縁4付近の車両構造においては、フロントシールド1の側周縁4の右方の外縁方向にはサイドボディアウタパネル20が配置され、また、フロントシールド1の側周縁4とフロントシールド1のセラミックス部境界線M付近から後方の室内方向に配置されたフロントピラーアッパトリム21との間に第2内部空間22が形成される。
サイドボディアウタパネル20は、フロントシールド1の側周縁4よりも左右方向(車両幅方向)のサイドパネルアウタ部23と、このサイドパネルアウタ部23に連設して後方に傾斜し且つ案内用段部24を備えたサイドパネル傾斜部25と、このサイドパネル傾斜部25に連設してフロントシールド1の側周縁4と略平行で第2内部空間22内に延びるサイドパネルインナ部26とからなる。このサイドパネルインナ部26の後面には、フロントアッパピラーリーンフォース27が接して設けられる。また、このフロントアッパピラーリーンフォース27の後面には、フロントアッパピラーパネル28が接して設けられる。
このサイドパネルインナ部26とフロントアッパピラーリーンフォース27とフロントアッパピラーパネル28とは、車体パネルの構造部としての第2フランジ部29を構成する。
【0014】
図3に示すように、フロントシールド1の下周縁5付近の車両構造においては、フロントシールド1の下周縁5の上面にカウルトップ30が接して設けられ、また、フロントシールド1の下周縁5の下方で且つこのフロントシールド1の下周縁5と略平行にアッパカウルトップ31が配置され、更に、フロントシールド1の下周縁5のセラミック部境界面Mの下方にインストルメントパネル32が配置されている。フロントシールド1の下周縁5とアッパカウルトップ31とインストルメントパネル32の間には、第3内部空間33が形成される。
【0015】
図1に示すように、第1シーリングモール10は、フロントシールド1の上周縁3を挟むように第1挟持溝34を備えたC字形状の第1シールド側被覆部35と、この第1シールド側被覆部35に連設して下方に延び且つルーフパネルインナ部16の手前からルーフパネル傾斜部15に沿って延びて第1排水用溝36を形成するように湾曲した第1モール移動吸収部(余裕部)37と、この第1モール移動吸収部37に連設してルーフパネルアウタ部14の表面に固定される第1車体側被覆部38と、第1シールド側被覆部35に連設して第1モール移動吸収部37に接する第1吸収支持部39とからなる。なお、この第1シーリングモール10には、芯金を入れることも可能である。
【0016】
図2に示すように、第2シーリングモール11は、フロントシールド1の側周縁4を挟むように第2挟持溝40を備えたC字形状の第2シールド側被覆部41と、この第2シールド側被覆部41に連設して後方に延び且つサイドパネルインナ部26の手前からサイドパネル傾斜部25に沿って延びて第2排水用溝42を形成するように湾曲し且つ前記案内用段部24に倣った段差43を備えた第2モール移動吸収部(余裕部)44と、この第2モール移動吸収部44に連設してサイドパネルアウタ部23の表面に固定される第2車体側被覆部45と、第2シールド側被覆部41に連設して第2モール移動吸収部44に接する第2吸収支持部46とからなる。なお、この第2シーリングモール11には、芯金を入れることも可能である。
【0017】
このシーリングモール(10、11)の構造特性を有する形状(断面形状、外形形状)では、フロントシールド1のシールド面2の法線方向に概ね沿って延びる縦壁部分としてのモール移動吸収部(37、44)を備え、シール性を発揮して排水案内機能を有する溝状部分である排水用溝(36、42)、後述するエネルギ吸収部材(47、48)を保持する充填材保持部分、移動する際に対向する面との間で滑動を容易にする表面処理部分、固定状態と移動可能状態との間の状態遷移を段階に分ける部分を備える。
また、このシーリングモール(10、11)は、構造特性を有する形状の各部を繋ぐ部分のうち、いずれかでフロントシールド1側と車両ボディの構造部材(ルーフパネル7、ピラー8)側とを分ける分割形状とし、夫々の構成体を繋ぐように設けても良い。
更に、このシーリングモール(10、11)の固定は、車体パネル(ルーフパネルアウタ部14、サイドパネルアウタ部23)の表面との面接触と、フロントシールド1の周縁(上周縁3、側周縁4)との嵌合と、成型された自己形状保持力、すなわち、素材の有する弾性力及び形状的な剛性による。このシーリングモール(10、11)の固定において、車体パネル(ルーフパネルアウタ部14、サイドパネルアウタ部23)の表面との面接触とフロントシールド1の周縁(上周縁3、側周縁4)との嵌合では、密着することによって、大きな摩擦力、吸着力を生み、ある程度強い保持力を発揮する。
【0018】
フロントシールド1の周縁部位と車体パネルとの間には、フロントシールド1の移動に対して抗するエネルギ吸収部材(充填材)を複数設ける。これらエネルギ吸収部材の配置は、後述するように、間欠的に互いに分散させ、その分散を周囲に均等となるように、あるいは、局部的に集積密度を変えるようにされている。
即ち、図1に示すように、フロントシールド1の上周縁3とルーフパネルインナ部16との間には第1シーリングモール10に隣接して第1エネルギ吸収部材47を設け、また、図2に示すように、フロントシールド1の側周縁4とサイドパネルインナ部26との間には第2シーリングモール11に隣接して第2エネルギ吸収部材48を設け、さらに、図3に示すように、フロントシールド1の下周縁5とアッパカウルトップ31との間には第3エネルギ吸収部材49を設ける。これらエネルギ吸収部材(47、48、49)は、クラッシャブルな構造であり、例えば、軽金属等の合金製からなる。
【0019】
図1に示すように、第1エネルギ吸収部材47は、フロントシールド1の上周縁3の下面に対向するフランジ状の第1一面部50と、車体パネルとしてのルーフパネルインナ部16の上面に対向するフランジ状の第1他面部51と、第1一面部50と第1他面部51とを繋ぐ第1縦壁部52とからなるC字形状の第1吸収本体53を備えるとともに、この第1吸収本体53内に第1構造体54を備える。第1吸収本体53の第1一面部50は、第1一面側シール材55を介してフロントシールド1の上周縁3の下面に支持される。第1吸収本体53の第1他面部51は、第1他面側シール材56を介してルーフパネルインナ部16の上面に支持される。第1縦壁部52は、座屈変形し易いように第1屈曲部57で屈曲形成され、あるいは、ハニカムや蛇腹等の構造物である。第1構造体54は、第1縦壁部52と並列に配置され、ハニカムや蛇腹等の構造部材からなる。
【0020】
図2に示すように、第2エネルギ吸収部材48は、フロントシールド1の側周縁4の後面に対向するフランジ状の第2一面部58と、車体パネルとしてのサイドパネルインナ部26の前面に対向するフランジ状の第2他面部59と、第2一面部58と第2他面部59とを繋ぐ第2縦壁部60とからなるC字形状の第2吸収本体61を備えるとともに、この第2吸収本体61内に第2構造体62を備える。第2吸収本体61の第2一面部58は、第2一面側シール材63を介してフロントシールド1の側周縁4の後面に支持される。第2吸収本体61の第2他面部59は、第2他面側シール材64を介してサイドパネルインナ部26の前面に支持される。第2縦壁部60は、座屈変形し易いように第2屈曲部65で屈曲形成され、あるいは、ハニカムや蛇腹等の構造物である。第2構造体62は、第2縦壁部60と並列に配置され、ハニカムや蛇腹等の構造部材からなる。
【0021】
図3に示すように、第3エネルギ吸収部材49は、フロントシールド1の下周縁5の後面に対向するフランジ状の第3一面部66と、車体パネルとしてのアッパカウルトップ31の前面に対向するフランジ状の第3他面部67と、第3一面部66と第3他面部67とを繋ぐ第3縦壁部68とからなるC字形状の第3吸収本体69を備えるとともに、この第3吸収本体69内に第3構造体70を備える。第3吸収本体69の第3一面部66は、第3一面側シール材71を介してフロントシールド1の下周縁5の後面に支持される。第3吸収本体69の第3他面部67は、第3他面側シール材72を介してアッパカウルトップ31の前面に支持される。第3縦壁部68は、座屈変形し易いように第3屈曲部73で屈曲形成され、あるいは、ハニカムや蛇腹等の構造物である。第3構造体70は、第3縦壁部68と並列に配置され、ハニカムや蛇腹等の構造部材からなる。
【0022】
このように、クラッシャブルなエネルギ吸収部材(47、48、49)は、軽金属等の合金製の場合に、材質となる金属の塑性変形によってエネルギを吸収し、初期の形状から、ストローク(つぶれ代)を費やして完全に圧壊するまでの間に、エネルギを吸収し、そして、圧壊してしまった後には、最小寸法となったそれ自体の剛性を介して車両ボディの構造部材(ルーフパネル7、ピラー8、カウルパネル9)に背面に支持されることになり、高い剛性を再び得ることになる。これにより、設定した移動量で止めることが可能となり、フロントシールド1が室内方向に入り込むことを抑制できる。
また、エネルギ吸収部材(47、48、49)のフランジ状の各一面部(50、58、66)・各他面部(51、59、67)では、夫々が対向する相手面との間に、ペースト状のシール材(55、56、63、64、71、72)を塗布して、シーリングモール(10、11)のシール性を超えて室内に浸入しようとする水分を遮断する。よって、エネルギ吸収部材(47、48、49)の各縦壁部(52、60、68)が変形しても、車体やフロントシールド1が大きな変形や破壊を生じない限り、このシール性を保つ必要がある。軽量化のために、エネルギ吸収部材(47、48、49)に孔や切欠きを設ける場合は、シール性を確保するために、樹脂等を、孔や切欠きを塞ぐようにコーティングしたり、貼り付けたりすると良い。
エネルギ吸収部材(47、48)は、成型されたシーリングモール(10、11)とは別体に構成して良い。このように、エネルギ吸収部材(47、48)とシーリングモール(10、11)とを別体にした場合には、交換が必要となったときに、シーリングモール(10、11)を再利用することも可能である。
更に、エネルギ吸収部材(47、48)は、長手方向にわたって帯状の面で溶着、接着することによって、シーリングモール(10、11)と一体化することも可能である。あるいは、シーリングモール(10、11)には、金属の芯材を、成型時に包むようにして一体化することも可能である。
エネルギ吸収部材(47、48、49)は、変形を許容したシール機能を有し、また、自己形状を保持する以上の剛性を有するので、シーリングモール(10、11)の変形時の案内機能、補助的なバックアップ機能に加え、フロントシールド1を支持する部材として一部の機能を有する。通常では、走行中等の大きな荷重は、別の支持部材及び車両ボディの構造部材(ルーフパネル7、ピラー8)が協働して支持するので、微細な振動伝達を防いだり、異音の発生や浸入を防いだりする程度で良い。
【0023】
更に、フロントシールド1の周縁には、このフロントシールド1を車両ボディの構造部材(ルーフパネル7、ピラー8、カウルパネル9)対して振動を防止し、また、シーリングモール(10、11)に対しても安定的に支持する支持部材(スタビライザ)を複数併設する。これら支持部材は、防振部材でもあり、シーリングモール(10、11)との関わり合いによっても状態遷移を行う。
即ち、図1に示すように、フロントシールド1の上周縁3とルーフパネルインナ部16との間には第1エネルギ吸収部材47に隣接して第1支持部材74を設け、また、図2に示すように、フロントシールド1の側周縁4とサイドパネルインナ部26との間には第2エネルギ吸収部材48に隣接して第2支持部材75を設け、さらに、図3に示すように、フロントシールド1の下周縁5とアッパカウルトップ31との間には第3エネルギ吸収部材49に隣接して第3支持部材76を設ける。ここでは、いずれの支持部材(74、75、76)をもシール機能を有するエネルギ吸収部材(47、48、49)の内周位置に収めて、防汚と防水を果たして設けている。
【0024】
図1、図4に示すように、第1支持部材74は、フロントシールド1の上周縁3の下面に設けられる第1係合把持部77と、この第1係合把持部77に係合可能な第1係合把持部動作部78とを備え、フロントシールド1に対して振動を防止するとともに、フロントシールド1の移動可能な方向を規制する機能を前記第1係合把持部動作部78に備えている。
図4に示すように、第1係合把持部77は、フロントシールド1に対して直交するように第1係合把持部動作部78にストローク可能に把持された第1把持部79と、この第1把持部79の途中に設けられた第1係止突部80と、第1把持部79に連設した第1ベース部81とを備えている。この第1ベース部81は、フロントシールド1の上周縁3の下面に第1接着剤82を介して固着されるものであり、所要面域の平面部を備えている。
第1係合把持部動作部78は、第1動作本体83と、この第1動作本体83に設けられた第1回動軸84と、この第1回動軸84に設けられた第1可動アーム85と、第1係合把持部77をストローク可能に把持する第1把持穴86とを備えている。第1動作本体83には、第1把持穴86の内面で第1係合把持部77の第1ガイド面87を形成し、また、この第1ガイド面87において第1係止突部80付近の第1突起部88と第1係止突部80から離れた第1切欠溝89とを形成している。このような微小な構造により、振動の防止効果を向上させている。
第1可動アーム85は、図5に示すように、第1回動軸84を中心として、解放状態(フリー状態)、半係合状態(抑制状態)、係合状態(規制状態)に回動されるものである。この第1可動アーム85は、第1回動軸84よりもフロントシールド1側に延びて第1カム溝90を形成するカギ状の第1係合爪91を備えている。第1カム溝90は、第1可動アーム85が回動した際に、前記第1係合把持部77の第1係止突部80に対して係合可能なものである。
また、第1支持部材74は、第1係合把持部動作部78に、電動モータ等からなって周囲に高い壁部分を有する第1アクチュエー夕92を備えている。この第1アクチュエー夕92の第1出力部93は、第1可動アーム85で第1回動軸84に対して第1係合爪91とは反対側の部分に連結し、第1可動アーム85を回動させる力点となるものである。
図1に示すように、第1係合把持部動作部78と第1アクチュエー夕92とは、第1支持部材取付ボルト94・94によって第1フランジ部19に固設される。
【0025】
この第1支持部材74のルーフパネル7ヘの設置構造においては、フロントシールド1の上半部を、フロントシールド1のシールド面2の法線方向に大きな移動可能寸法を採れるようにするため、水平周囲への視界確保のために好適である。第1支持部材74の長手方向や突出方向の部分を、ルーフパネル7の周縁に沿って設けられる閉断面部分の延出方向に沿うように設ける。第1支持部材74の第1係合把持部動作部78を、ルーフパネル7とこのルーフパネル7の内側のルーフフロントインナパネル17との接合部位の第1フランジ部19に支持して設ける。
このような第1支持部材74の設置においては、バンパ等の車両の先端からフロントシールド1の上周縁3までの長さが比較的短い場合、あるいは、フロントシールド1の上周縁3位置の高さが低い場合、すなわち、比較的小さな車両や低い車両に用いるのが、好ましい。
また、第1支持部材74は、ルーフパネル7の内側に設けたクロスメンバとしてのルーフフロントインナパネル17に、重点的に支持するように設ける。また、このルーフフロントインナパネル17の剛性を確保するように断面積を確保しつつ、略閉塞される第1内部空間13に収容するように凹部分を設け、その第1空間13に第1支持部材74を収容する。つまり、フロントシールド1の上周縁3を、ルーフフロントインナパネル17に対して相対的にルーフパネル7側に延出させるように大きく重合させて、その間に第1支持部材74を設けている。
成型天井、ガーニッシュ等の内装部材によって、表面が覆われるが、第1支持部材74の突起等に対応させて、保護プレート等を設ける。
ピラー8の上部との接続部周囲に設けても可能であるが、同じ様に、フロントシールド1の移動可能な寸法を大きく採るためには、ルーフパネル7とサイドボディとの接合構造等を工夫する必要がある。
【0026】
また、ガラスルーフ、意匠カバー等を設置した車両においては、以下のような接続構造を考慮すると良い。
ルーフにグラスエリアを設定し、フロントシールド1と繋げるように設定する場合に、車体剛性の確保が非常に難しいものである。しかし、強いて設ける場合、ルーフの中央寄りよりも両サイドのルーフサイドインナパネルの内側付近に収めるようにすると良い。ドア開口の前側に位置させると乗降性を妨げ難く、意匠的に商品性を損ねず、好ましい。一方、ルーフの背面に車幅方向(左右方向)に沿って延出するリンフォースやルーフフロントインナパネル17等のクロスメンバに沿って、内部に収容するように設ける場合には、視界の妨げとはならなく、また、コーナ部分の剛性確保が容易である。
また、ガラスルーフに替え、意匠上のカバー部材の内部に収容することも可能である。ルーフパネル7の背面に車幅方向にそって延出するリンフォースやルーフフロントインナパネル17等のクロスメンバに沿って配置し、ルーフパネル7の外面部に設けた凹部に収容するように設けると良い。
ルーフパネル7の外面部に設けた凹部には、排水性を考慮する必要がある。また、第1支持部材74の第1アクチュエータ92は、周囲に高い壁部分を有し、シーリングモール(10、11)を配して水密に設ける。
カバー部材の内部は、緩衝構造を併設する。カバー部材の取付スペースの確保と、取付作業をする際に、そのスペースヘのアクセスが容易になり、作業性が良くなる。
ルーフパネル7とカバー部材との間、フロントシールド1の周縁とカバー部材との間には、防水のためのシール構造を夫々設ける。この時、風きり音の防止に配慮する必要がある。
なお、サンルーフを備えたルーフならば、通常のルーフと同様に設ければ良い。
【0027】
図2に示すように、第2支持部材75は、フロントシールド1の側周縁4の後面に設けられる第2係合把持部95と、この第2係合把持部95に係合可能な第2係合把持部動作部96とを備え、フロントシールド1に対して振動を防止するとともに、フロントシールド1の移動可能な方向を規制する機能を前記第2係合把持部動作部96に備えている。
第2係合把持部95は、フロントシールド1に対して直交するように第2係合把持部動作部96に把持された第2把持連絡部97と、この第2把持連絡部97に連結した第2把持部98と、この第2把持部98に設けた第2ベース部99とを備えている。この第2ベース部99は、フロントシールド1の側周縁4の後面に第2接着剤100を介して固着されるものであり、所要面域の平面部を備えている。
第2係合把持部動作部96の第2動作本体101は、第2支持部材取付ボルト102・102によって第2フランジ部29に固設される。なお、第2支持部材75は、他の支持部材(74、76)と同様に、第2アクチュエータ(図示せず)を備えている。
【0028】
即ち、この第2支持部材75のピラー8への設置構造においては、フロントシールド1の全面を、シールド面2の法線方向に大きな移動可能寸法を採れるようにするために好適である。全てのタイプの車両に好適であるが、特に、ルーフ高さを低く抑えるため、フロントシールド1を水平に近く大きく傾斜させるために好適である。第2支持部材75の長手方向や突出方向を、ピラー8の各部の延出方向に沿って設けられる閉断面部分の延出方向に沿うように設ける。ピラー8は、最中合せのパネルの内部にフロントアッパピラーリーンフォース27をサンドイッチ状態にした構造であるので、最中の一つのインナパネルであるフロントアッパピラーパネル28に凹部を設けて第2支持部材75の第2係合把持動作部96を設ける。第2支持部材75の第2係合把持動作部96を、フロントアッパピラーリーンフォース27とその内側のフロントアッパピラーパネル28との接合部である第2フランジ部29に支持して設ける。
また、ピラー8を別の車体構成部材に接続する部位、すなわち、ピラー8の上端・下端に収めるのが、視界確保やピラー8の断面積を確保する面から、最も好ましい。
ピラー8の下端への設置は、カウルトップ30やダッシュパネルとの接続部分に収容するが、小型の車両では、フェンダーエプロンやホイールハウスのサスペンションタワー近傍に設ける方が、機能確保や支持剛性の面等から、好ましい場合もある。
また、ピラー8の下端への設置では、インストルメントパネル32に覆われるので、車室内側に特別な被覆部材を設ける必要はなく、むしろ、工場組付け時、修理交換時での作業性を考慮して設ける必要がある。後述する仮支持構造を利用しても、締結といった高い支持剛性を有する機械的な結合は必要である。
また、ピラー8への設置では、車室内側に被覆部材を設ける。この被覆部材には、配線用の空間碓保と、乗員保護のための緩衝部材の収容スペースを設ければ良い。
【0029】
図3に示すように、第3支持部材76は、フロントシールド1の下周縁5の後面に設けられる第3係合把持部103と、この第3係合把持部103に係合可能な第3係合把持部動作部104とを備え、フロントシールド1に対して振動を防止するとともに、フロントシールド1の移動可能な方向を規制する機能を前記第3係合把持部動作部104に備えている。
第3係合把持部103は、フロントシールド1に対して直交するように第3係合把持部動作部104に把持された第3把持部105と、この第3把持部105の途中に設けられた第3係止突部106と、第3把持部105に設けた第3ベース部107とを備えている。この第3ベース部107は、フロントシールド1の下周縁5の後面に第3接着剤108を介して固着されるものであり、所要面域の平面部を備えている。
第3係合把持部動作部104の第3動作本体109は、その可動アーム等の部品が前記第1係合把持部動作部78の第1動作本体83と同様に構成されているので、ここでは、その説明を省略する。
また、第3支持部材76は、第1支持部材74の場合と同様に、第3係合把持部動作部104に、電動モータ等からなる第3アクチュエータ110を併設している。
第3係合把持部動作部104は、第3アクチュエータ110と一体になって第3支持部材部取付ボルト111・111によって車体パネルとしてのアッパカウルトップ31に形成した凸状の第3フランジ部112に固設されている。
なお、この第3支持部材76は、図4に示す第1支持部材74の場合と同様であり、ここでは、その具体的な構造及び動作の詳細な説明を省略する。
【0030】
図9に示すように、アクチュエータ(92、110等)は、フロントシールド支持制御システム113の制御装置114に連絡している。
この制御装置114は、アクチュエータ(92、110等)を動作制御して支持部材(74、75、76)の状態を変更するものであり、図5に示すように、係合状態及び解放状態を含む複数の状態に支持部材(74、75、76)を変更するように、アクチュエータ(92、110等)を動作制御するものである。
また、制御装置114は、車両の周囲状況に関わる情報を入力し、この入力した情報に基づいて支持部材(74、75、76)を半係合状態あるいは解放状態に予め動作可能とするものであり、図9に示すように、障害物を検出する障害物センサ115と、車両加速度を検出する加速度センサ116と、シートベルトやエアバッグの拘束装置の作動有無や作動状態を知らせる拘束システム117と、ブレーキ状態を知らせるブレーキシステム118と、車両に関わる外部状態を知らせる外部システム119とが連絡している。この外部システム119とは、後述するポップアップフードやトラクション制御システム(TCSやi−AWD)や車両安定制御(VSCやESP)、走行用モータ制御、Gセンサ類、車外通信を含む。
【0031】
このフロントシールド支持制御システム113において、アクチュエータ(92、110等)の動作は、例えば、通常走行時には、支持部材(74、75、76)を係合状態又は半係合状態とし、障害物センサ115としての超音波センサ、画像処理装置やレーダの作動により解放状態とし、いわゆるプリクラッシュセーフティで動作可能とすることが可能である。拘束システム117としてのシートベルトや各種エアバッグの拘束装置の作動有無や作動状態に関連させることによって、乗員の拘束を優先させて最大限機能させるよう動作することが可能となる。イベント中の加速度の立ち上がりが中程度か大きい場合は、係合状態か半係合状態とし、拘束装置の作動時は、係合状態で保持する。拘束装置が作動せず、小さい場合のみ、解放状態とすることができる。この時、変速機等の伝達系の状態を考慮しても良い。
また、外部システム119の一つとして、車両のフードを支持するヒンジ部等の周辺を動かし上げて比較的大きな変形を可能とするように準備するポップアップフードのような動的な安全装置の作動有無や作動状態に関連させることで、非乗員の保護効果をより向上させることができる。つまり、ポップアップと同時にフリー状態とする。なお、時間的に僅かなずれがあっても良い。
そのようなポップアップフードのような動的な安全装置に併設する場合には、カウルトップ30周囲に設けた空間に、動的な安全装置のアクチュエータと、アクチュエータ(92、110等)とをリンク機構等を用いて機械的に作動連結して設けることにより、設置スペースを小さく、重量的やコストも低く抑えることができる。
さらに、ブレーキシステム118としてのアンチブレーキシステム(ABS)によるブレーキの作動状態や、外部システム119の一つとしてのトラクションを制御するトラクション制御システム(TCSやi−AWD)や安定性を制御する車両安定制御(VSCやESP)による車両の駆動力伝達状態、走行用モータの駆動状態(アシストも含む)等との組み合わせを考慮して、解放状態とはせずに半係合状態のまま保持するように制御できる。走行速度や、前後加速度、横加速度等で、車両の走行エネルギの高さや、乗員に対する影響度を考慮して決定する。例えば、アンチブレーキシステム(ABS)の作動状態では、半係合状態を基本とし、高速となる所定の車速以上では、係合状態で保持する。トラクション制御システム(TCSやi−AWD)や車両システム制御(VSCやESP)の作動状態では、係合状態で保持し、その作動状態から非作動状態となった際に、半係合状態に推移する。走行用モータの駆動状態(アシストも含む)では、車両の速度で切り換えたり、走行用モータの駆動力に応じて切り換えたりする。
さらに、ボンネットフードヘの上下方向の荷重や、フロントシールド1ヘの前後方向、上下方向、左右方向及び斜め方向へのあらゆる荷重を考慮して、最適な状態を選択できる。
また、係合把持部動作部(78、104)の可動アーム(85)とアクチュエータ(92、110等)とは、減速ギアを含むギアトレーンを介して、作動連結したり、あるいは、プッシュプルロッドやケーブルを用いて連結したりしても良い。
図5に示すように、車両ボディの構造部材(ルーフパネル7、カウルパネル9)側にアクチュエータ(92、110等)を備えることにより、支持部材(74、76)をアクティブ構造とし、フロントシールド1側に設けた係合状態、半係合状態、解放状態のように切り換えて、車両の走行環境に応じて最適に制御する。
係合状態とは、3軸方向のいずれに対してもフロントシールド1が移動し難いように規制する。ここでの3軸とは、フロントシールド1のシールド面2の法線と平行な軸方向とそれに直交する2軸であるが、フロントシールド1の取付角度は車両によって異なる上に、各成分は、車両の前後方向、左右方向、上下方向にあわせた3軸に変換できるので、どちらで考えても良い。
半係合状態では、特定方向のみフロントシールド1の移動を許容し、その方向を除いた方向では、移動し難いように予め設定した通りに移動を制御して抑制する。上の3軸では、フロントシールド1のシールド面2の法線と平行な軸方向の移動を許容し、それに直交する2軸では移動しにくいように抑制する。この例では、内部からエアバッグや荷物、乗員などが当接し押し出すような荷重に対して動かないように規制することができる。
支持部材(74、76)は、電動モータ等のアクチュエータ(92、110)に、プッシュプルロッドにベルクランク等を組み合わせたリンク機構類(ケーブルとホイールとで構成するも可能である)を用いて機械的に作動連結した作動部を設けても良い。その場合、アクチュエータ(92、110等)はブレーキ付であれば、ロックさせておくことができ、電力の消費を抑えたり、応答を早くしたりできてより好ましい。また、その場合、リンク機構部は、車体の構造部材(ルーフパネル7、カウルパネル9)の内部空間(13、33)に収容して、又は、半収容的に配設して設ける。視界確保の理由で、ピラー8の周囲に設ける部材の水平方向の幅、占有面積は、できるだけ狭い方が望ましいため、死角を小さくするようにピラー8の幅にできるだけ重ねて設けると良い。
【0032】
次に、フロントシールド1の仮支持構造について説明する。
図6、図7に示すように、フロントシールド1と車両ボディの構造部材としてのフランジ部(19、29、112)との間には、フロントシールド1をフランジ部(19、29、112)に対して移動可能に支持する際の空間部120を設ける。
この空間部120には、フロントシールド1を車両ボディの構造部材に取り付けるのに際して、該空間部120内に収まり且つ着脱可能な仮支持部材121を設ける。
この仮支持部材121は、図7に示すように、シールド側支持部122とフランジ側支持部123とを備えた仮支持本体124と、この仮支持本体124に連設したつまみ部125とが一体的になって構成されている。仮支持部材121のシールド側支持部122は、ベース部(81、99、107)の保持部126に保持される。仮支持部材121のフランジ側支持部123は、取り付けした際に、フランジ部(19、29、112)の対向面に位置する。
この仮支持部材121は、フロントシールド1を車両ボディヘ取り付ける際、特に嵌め込み時に、フロントシールド1からの荷重を各エネルギ吸収部材(47、48、49)に実質的に伝えることなく車両ボディの構造部材(ルーフパネル7、ピラー8、カウルパネル9)に対して支持可能とする。
仮支持部材121は、フロントシールド1を車両ボディヘ取付けた際に、車両ボディの構造部材(ルーフパネル7、ピラー8、カウルパネル9)に囲まれた内部空間(13、22、33)のフロントシールド1の中心側から着脱可能に設けられ、また、フロントシールド1に設けた支持部材(74、75、76)に係合させて立設する。
【0033】
即ち、このフロントシールド1の仮支持構造においては、フロントシールド1のフランジ部(19、29、112)への取り付けに関して、フロントシールド1とフランジ部(19、29、112)との間に空間部120を保持し、組み付け時の荷重を受ける各支持部(122、123)をフロントシールド1とフランジ部(19、29、112)との双方に設ける。フロントシールド1をフランジ部(19、29、112)に取り付ける際には、このフロントシールド1とフランジ部(19、29、112)との間に仮支持部材(特に柱状のスペーサ部分)121を除去可能に設置する。
この仮支持部材121は、各支持部(122、123)及びシーリングモール(10、11)に近いフロントシールド1の外縁に沿うように分散して環状に設けるのが良い。また、仮支持部材121は、フロントシールド1を車体ボディヘ取り付けた際に、車両ボディの構造部材(ルーフパネル7、ピラー8、カウルパネル9)に囲まれた内部空間(13、22、33)から着脱可能に設けられる。
フロントシールド1をフランジ部(19、29、112)に取り付ける際には、例えば、支持部材(74、75、76)のアッセンブリを係合状態として予めフロントシールド1に部組みしておき、また、エネルギ吸収部材(47、48、49)もシーリングモール(10、11)を介して部組みしておき、仮支持部材121にて、フランジ部(19、29、112)との間隔を均一に保った状態で、シーリングモール(10、11)を車体パネルに嵌合さながらフロントシールド1を嵌め込む。この際、同時に、フランジ部(19、29、112)側との間にも、シーリングモール(10、11)を介装させる。そのまま、支持部材(74、75、76)の係合部動作部(78、96、104)をフランジ部(19、29、112)に締結すれば、嵌め込みが可能となる。その後、仮支持部材121を除去する。また、締結部の一部では、位置調節が可能であるとより好ましい。室内側では、内装トリム等のカバー類を後から付ける。
フロントシールド1の周縁には、黒色のセラミックエリア6を設けてあり、このセラミックエリア6に取付け仮支持部材の受け部を設定する。一方、それと対向しているフランジ部(19、29、112)の所定位置にも取り付け仮支持部材の受け部を設定する。これらによって、フロントシールド1とフランジ部(19、29、112)との間に、シーリングモール(10、11)や支持部材(74、75、76)の取り付けに伴う大きな荷重が部分的に加わらないようにするため、取付け仮支持部材を使用可能な構造とする。
車体パネルの所定位置とは、車体パネル同士を拝み合わせ状に接合したフランジ部(19、29、112)としている。さらに、必要ならば、車体パネルの一方に、ビード及び段差部を設けても良い。
取付け仮支持部材を、例えば、両端に平面部を設けた柱状部材とする。柱部分の一部または全部を取り外し可能とすることにより、フロントシールド1をクラッシャブルに支持することができる。この時、平面部は残るようにしても良いし、ベース部(81、99、107)にその機能を持たせて一体化しても良い。ベース部(81、99、107)において、平面部が残る方が、本来の補強機能は向上するとともに、仮支持部材121が小さくて済み、歩留まりも良い。
フロントシールド1のセラミックエリア6の意匠を、図8に示すように、視界エリアとの境界で装置の被覆とそれ以外の部分で違いを持たせ、例えば、波形のアクセントを付けても良く、あるいは、ドット濃淡を付けて目立たなくしても良い。
【0034】
次に、このフロントシールド支持構造について、さらに具体的に説明する。
支持部材(74、75、76)は、数十Kg前後のオーダーの重量物であるフロントシールド1を、自重に加減速Gを乗じた荷重、また、面積に風圧を乗じた積分の荷重を支持することになるので、非常に高い支持剛性を備える。
さらに、フロントシールド1の周縁では、シーリングモール(10、11)を介して車体ボディの構造部材(ルーフパネル7、ピラー8、カウルパネル9)に対して常時接触させて、支持剛性を高めるようにすると良い。
支持部材(74、75、76)は、防振部材でもあり、特定の振動方向や規制方向を考慮しており、フロントシールド1のシールド面2の法線方向に加わる加速度(荷重)に対し、フロントシールド1の移動を許容したり、抑止したりする切り換えを行う機能を有する。この支持部材(74、75、76)には、シールド面2に沿う緩やかな湾曲面の方向で、車幅方向、上下方向への移動や振動を、規制したり、抑制させたりする機能を備えても良い。
支持部材(74、75、76)の構成要素として、フロントシールド1側に固定された係合把持部(77、95、103)を設ける。この係合把持部(77、95、103)は、フロントシールド1の表面との連結部分の強度を確保するように表面に沿って二次元的に広がっているベース部(81、99、107)を有する。
このべース部(81、99、107)及び係合把持部(77、95、103)は、フロントシールド1とは別体に設け、接着して一体化しているが、最初から一体に構成することも可能である。
ベース部(81、99、107)は、フロントシールド1の視界エリアを確保するようにフロントシールド1の周縁に沿って設けられ、係合把持部(77、95、103)からの耐荷重とフロンシールド1の自重による慣性力とが分散して、また、圧力を下げるように面積を確保するようにして、延出している。このべース部(81、99、107)の延出を、フロントシールド1の周縁に沿って延長して、単一のリーンフォースとして構成することができる。
これにより、フロントシールド1の強度を上げることができる。たとえ、フロントシールド1に加わる外力が、中心から隔たった位置に加わったとしても、荷重を全体に伝達して、バランスの崩れた姿勢でも許容して機能を発することができる。衝撃によりフロントシールド1が破断する場合でも、完全に散逸することなく、保持した状態を保つことができる。
係合把持部(77、95、103)とべース部(81、99、107)とを、フロントシールド1と一体化して、単一の部材とすることも可能である。特に、ベース部(81、99、107)は、フロントシールド1の母材の肉厚を厚くすれば済む。但し、係合把持部(77、95、103)は、できるだけ、平面的に広げる形状を採用する等して、非常に高い剛性を確保する必要がある。
係合把持部(77、95、103)は、C字状、コ字状に代表されるストライカのような指向性を持った形状である。図6に示すように、係合把持部(77、95、103)の指向する方向を互いに交差する方向、ここでは、直交する方向となるように、配置している。これにより、係合機能および把持機能を高めることができる。また、視界確保と車体の構造部材との位置関係に対して、よりコンパクトに配設することができる。あるいは、係合把持部(77、95、103)は、円筒面や多角面を持つ円柱角柱状(中空、中実)の形状とする。また、係合把持部(77、95、103)は、球面や、凹凸が逆のクレータ状であっても良く、さらには、これらを組み合わせたような異形をベースにした形状であっても良い。支持部材(74、76)は、アクチュエータ(92、110)から伝達された動作に基づいて動作する係合把持部動作部(78、104)と協働して、図5に示すように、上述した係合状態、半係合状態、解放状態をそれぞれ所望に設定できる機能を有する形状であれば良い。
支持部材(74、76)は、ここでは、個々に電動モータを設けたアッセンブリを複数用意し、周囲に散在させて配置している。アクチュエータ(92、110)は、別に設けた制御装置114によって動作制御される。
支持部材(74、76)の動作出力となる係合把持部動作部(78、104)は、固定された係合把持部(77、103)に多面的に接触係合したり、滑動可能に係合したりするように対応した形状であり、車体ボディの構造部材(ルーフパネル7、ピラー8、カウルパネル9)に高い支持剛性を有して固定される。図示した構造では、平坦な車体ボディの構造部材に係合把持部動作部(78、104)をそのまま支持しているが、車体ボディの構造部材の表面に凹凸をつけて、高さ方向の段差を生じさせて、係合把持部動作部(78、104)を低い位置に支持すれば、クラッシャブルストロークを確保することができる。その際、係合把持部(77、95、103)やカム溝(90)等の長さを、長くする必要がある。
係合把持部動作部(78、96、104)と係合把持部(77、95、103)とが係合し合い、強固に固着した状態では、車体ボディの構造部材(ルーフパネル7、ピラー8、カウルパネル9)とフロントシールド1との間隙が、所定の距離を均等に保つようになる。
そして、係合把持部(77、103)が長手方向に伸びて指向性を持った形状ならば、係合把持部動作部(78、104)は、移動方向を規制するカム溝(90)とそのカム溝(90)の内部で係合する係止突部(80)を備えた、いわゆるラッチとストライカとの組み合わせのような形状とする。係合把持部動作部(78、104)は、フロントシールド1を位置決めして支持し、移動方向を概ね規定するカム溝(90)を設けた可動アーム部を備える。また、係合把持部動作部(78、104)は、そのカム溝(90)の内部に入り込んだ状態おいて、フロントシールド1の係合状態を、位置決めや支持等を変更する係合爪(91)を有する可動アーム(85)を備える。
係合把持部動作部(78、96、103)には、さらに、カムやストッパを付加して、所定の各状態をより安定的にすることができる。また、係合把持部動作部(78、96、103)の外表面を、係合把持部(77、95、103)のケース部、又は、その構成部材である可動アーム部に摺動可能に常時接するようにして設け、可動方向とは異なる方向への位置規制をさせても良い。
係合爪(91)の形状は、可動アーム(85)の回動等の動作に従い、カム溝(90)内での移動範囲を変更するものとなっている。ここでは、可動アーム(85)には、回動軸(84)と同心円状に延びるカム溝(90)を形成している。可動アーム(85)の回動方向の停止位置を、図5に示すように、多段(3段)階として切り換える。この多段(3段)階は、例えば、係合状態(係合保持段階)、半係合状態(半係合段階)、解放状態(解放段階)の各段階を含むように形成する。
このように、係合把持部(77、95、103)が指向性を持った形状ならば、フロントシールド1の周囲に複数個の係合把持部を配設する際に、幾つかが互いに交差方向となるように設けると、フロントシールド1のシールド面2の方向に沿うあらゆる方向への支持剛性を高くできる。
係合把持部(77、103)が円柱・角柱状ないし異形状であれば、係合把持部動作部(78、104)は、それに対して相対的にスライド又は回動しつつ、面接触、線接触等の接触関係を変更させてやはり移動方向を規制するガイド面(87)を有する係合把持部動作部(78、104)として構成する。つまり、その柱状等の係合把持部(77、103)に多面接触する筒状のロッド部材を用意し、柱の軸方向にスライドし、突き当てて完全に固定するようにすれば良い。円柱角柱状の場合、志向性を有する形状の場合より、動作を簡略化して、係合状態、解放状態を所望に設定できるようにしても良い。カム溝(90)と抜け止めピンとを設ければ、反対方向にも規制は可能である。さらに、傾斜面、テーパー面を組み合わせて設けても良い。
【0035】
図10のフローチャートに示すように、フロントシールド支持制御システム113においては、支持部材(74、76)の状態を変更するように、アクチュエータ(92、110)を動作制御する。
図10に示すように、制御装置114のプログラムがスタートすると(ステップA01)、先ず、図9に示す障害物センサ115ないし外部システム119の装置類から各種データを取り込み(ステップA02)、障害物センサ115や安全装備作動等によりイベントがあるか否かを判断し(ステップA03)、このステップA03がYESの場合には、それ等のデータに基づいて重要度が小さいか否かを判断し(ステップA04)、このステップA04がYESの場合には、アクチュエータ(92、110)を動作制御して支持部材(74、76)を解放状態に動作する(ステップA05)。
一方、前記ステップA03がNOの場合には、アクチュエータ(92、110)を動作制御して支持部材(74、76)を係合状態に維持し(ステップA06)、また、前記ステップA04がNOの場合には、アクチュエータ(92、110)を動作制御して支持部材(74、76)を半係合状態にする(ステップA07)。
前記ステップA05、前記ステップA06、又は前記ステップA07の各処理後は、各種データを取り込み(ステップA08)、そして、イベントが無いか否かを判断し(ステップA09)、このステップA09がNOの場合には、この判断を継続し、一方、このステップA09がYESの場合には、プログラムをリターンする(ステップA10)。
【0036】
この第1実施例においては、上記の構成により、フロントシールド1の外部から衝撃荷重を受けた際、あるいは、内部からの衝撃荷重を受けた際に、相互のパルス的な衝撃の立ち上がりピークをできるだけ下げることができ、また、その衝撃荷重の吸収エネルギをできるだけ大きく確保することができ、更に、車両の通常走行中のフロントシールド1の振動をできるだけ抑制することができ、しかも、フロントシールド1の振動方向や移動方向を望ましい形態に規制することができ、更にまた、フロントシールド1の視界エリアを広く確保することができ、そして、内部から外部への放出を防ぐこと等を、共に、成り立たせることができる。
【0037】
以上、この発明の第1実施例について説明してきたが、この第1実施例の構成を請求項毎に当てはめて説明する。
先ず、請求項1に係る発明において、フロントシールド1を車両ボディの構造部材(ルーフパネル7、ピラー8、カウルパネル9)にシール機能が備えられた弾性介在体であるシーリングモール(10、11)を介して移動可能に支持して設け、フロントシールド1の移動に対して抗するエネルギ吸収部材(74、75、76)を設け、フロントシールド1を車両ボディの構造部材(ルーフパネル7、ピラー8、カウルパネル9)に対して振動を防止する支持部材(74、75、76)を併設した。
これにより、フロントシールド1の外部からの荷重に対し、エネルギを吸収しながら、抗することができる。運転視界を損ねることもない。さらに、接触荷重が加わらなければ、初期性能と同等の機能を損ねることもない。
【0038】
請求項2に係る発明において、支持部材(74、75、76)は、フロントシールド1に設けられる係合把持部(77、95、103)と、この係合把持部(77、95、103)に係合可能な係合把持部動作部(78、96、104)とを備え、フロントシールド1に対して振動を防止するとともに、フロントシールド1の移動可能な方向を規制する機能を前記係合把持部動作部(78、96、104)に備えた。
これにより、走行する車両の前方を覆うフロントシールド1としての機能、すなわち、室を構成する剛性、シール性等を確保できる。
【0039】
請求項3に係る発明において、支持部材(74、76)は係合把持部動作部(78、104)にアクチュエー夕(92、110)を備え、このアクチュエータ(92、110)を動作させて支持部材(74、76)の状態を変更する制御装置114を併設し、この制御装置114は、係合状態及び解放状態を含む複数の状態に支持部材(74、76)を変更するようにアクチュエー夕(92、110)を動作制御する。
これにより、外力に対する反発力を下げつつ、通常走行での剛性等との両立を図ることができる。
【0040】
請求項4に係る発明において、制御装置114は、車両の周囲状況に関わる情報を入力し、この入力した情報に基づいて支持部材(74、76)を半係合状態あるいは解放状態に予め動作可能とする。
これにより、イベントの起こりそうな状況を判別し、その事前に(プリクラッシュで)、予め動作可能することでき、また、不要のときは動作させずに済ますことができ、更に、重要度、優先度に応じて、動作を選択できる。
【0041】
請求項5に係る発明において、フロントシールド1を車両ボディの構造部材(ルーフパネル7、ピラー8、カウルパネル9)に対して移動可能に支持する際の空間部120を、フロントシールド1と車両ボディの構造部材(ルーフパネル7、ピラー8、カウルパネル9)との間に設け、空間部120に収まり且つ着脱可能な仮支持部材121を設け、この仮支持部材121は、フロントシールド1を車両ボディヘ取り付ける際にフロントシールド1からの荷重をエネルギ吸収部材(74、75、76)に実質的に伝えることなく車両ボディの構造部材(ルーフパネル7、ピラー8、カウルパネル9)に対して支持可能とする。
これにより、フロントシールド1を浮動構造としても、従来と同様な前からの嵌め込みが可能となり、また、エネルギ吸収部材(74、75、76)を破損したり、機能を損ねたりすることがない。
【0042】
請求項6に係る発明において、仮支持部材121は、フロントシールド1を車両ボディヘ取り付けた際に、車両ボディの構造部材(ルーフパネル7、ピラー8、カウルパネル9)に囲まれた内部空間(13、22、33)のフロントシールド1の中心側から着脱可能に設けられた。
これにより、フロントシールド1を嵌めた後、内側から仮支持部材121の除去が簡単で、作業性を向上できる。また、組付けに際し、特別な設備を必要としない。
【0043】
請求項7に係る発明において、仮支持部材121は、フロントシールド1に設けた支持部材(74、75、76)に係合する。
これにより、支持部材(74、75、76)の支持剛性を高めるエリアが、そのまま、受け面として利用できる上に、無駄に面積をとる必要がなく、また、仮支持部材121の除去する部分が小さくて済む。
【実施例2】
【0044】
図11〜図14は、この発明の第2実施例を示すものである。
この第2実施例においては、上述の第1実施例と同一機能を果たす箇所には同一符号を付して説明する。
この第2実施例の特徴とするところは、請求項8、9に係る発明であり、以下の点にある。
即ち、フロントシールド支持構造において、例えば、図11、図12に示すように、フロントシールド1を車両ボディの構造部材であるピラー8に対して振動を防止する第2支持部材75を、弾性介在体である第2シーリングモール11に対して併設する一方、そして、第2シーリングモール11の第2モール移動吸収部44の下方で且つフロントアッパピラーリーンフォース27の上面で、第2モール移動吸収部44の下部に接続する吸収制御用モール部127を配設する。
そして、この吸収制御用モール部127には、液体通路128を設ける。また、図13に示すように、フロントシールド支持システム113においては、この液体通路128から液体を抜いた際にこの液体を貯留するとともに余剰分を貯めておくタンク129と、液体を圧送するポンプ130と、液体通路128に液体を充填した状態で保つことが可能な保圧弁131とを設け、ポンプ130と保圧弁131との動作を制御する流体制御機能部132を制御装置114に設けている。
また、吸収制御用モール部127においては、図12に示すように、液体通路128が断面H形状に形成され、荷重作用方向で対峙する荷重受用突起部133A・133Bが所要の間隔Wで形成されている。この荷重受用突起部133A・133Bは、外部からの荷重によって間隔Wが潰れることで互いに当接可能なものである。また、内部の液体を完全に抜き取っても液体通路128の断面空間が完全になくなることを回避でき、液体の充填に必要なポンプ吐出圧も低く抑えることができる。
また、制御装置114の流体制御機能部132は、車両の周囲状況に関わる情報を入力し、この入力した情報に基づいて支持部材(74、76)を半係合状態あるいは解放状態に予め動作可能とする一方、流体制御機能として、支持部材(74、76)の動作に合わせて液体を排出するようにポンプ130と保圧弁131との動作を制御する。
この第2実施例におけるフロントシールド支持制御システム113において、図12に示すように、制御装置114の流体制御機能部132には、アクチュエータ(92、110)が連絡するとともに、障害物を検出する障害物センサ115と、車両加速度を検出する加速度センサ116と、シートベルトやエアバッグの拘束装置の作動有無や作動状態を知らせる拘束システム117と、ブレーキ状態を知らせるブレーキシステム118と、車両外部状態を知らせる外部システム119とが連絡し、また、ポンプ130と保圧弁131とが連絡している。ポンプ130と保圧弁131とは、タンク129と吸収制御用モール部127の液体通路128とを連通する連絡通路134に介設されている。また、保圧弁131には、タンク129に連通する液体排出通路135が接続している。
【0045】
この第2実施例に係るフロントシールド支持構造を、さらに具体的に説明する。
制御装置114の流体制御機能部132には、液体通路128、タンク129、ポンプ130、保圧弁131への制御をするように、流体制御機能を備える。
液体通路128は、第2シーリングモール11の吸収制御用モール部127に併設される。タンク129は、液体通路128から液体を抜いた際に、その液体を貯留するとともに余剰分をためておく。その液体を圧送するポンプ130は、例えば、電動供給ポンプである。保圧弁131は、液体通路128を閉塞し、液体通路128に液体を充填した状態で保つことが可能である。このポンプ130と保圧弁131との動作を制御する流体制御機能部132は、制御装置114内に備えられている。
液体通路128の配索は、第2支持部材75及び第2シーリングモール11に近いフロントシールド1の外縁に沿うように環状に設けるのが良い。ここでは、第2シーリングモール11と一体化しており、第2シーリングモール11の内部に液体を充填するようにする。
このような構造では、車両に搭載する上で、支持力の印加と圧抜き(抜重)の各動作を瞬時に行え、また、長く広範囲にわたる多くの支持点に対して同期させ、さらに、機械的な構造に制限されず配設できること等の効果がある。
通常時は、液体通路128に液体を充填してバックアップ的に支持力を発生させた状態で保持しておく。イベント時は、状況に応じて状態が変わる。エネルギの大小、加速度(減速度)の大小、相手を考慮した重要度、優先度を考慮して、充填された液体を保持継続すると、排出するとを選択的に切り換える。イベント検知時から排出を開始し、イベント中の荷重が加わっても、排出状態のまま継続する。圧抜き(抜重)は瞬時に行われ、液体は完全に抜け切らなくても良い。液体の排出を瞬時に行うことは、細い経路では抵抗が大きく、難しい。流動が可能とすれば、変形の許容とエネルギ吸収が可能である。
フロントシールド1の内面側と車体パネルの構造部材側とが対向し、それらに挟まれる範囲が好ましい。圧縮方向のカを受けてそれに対抗するためにはマスが小さくて済み効率が良い。
【0046】
図14に示すように、この第2実施例のフロントシールド支持制御システム113においては、制御装置114の流体制御機能部132のプログラムがスタートすると(ステップB01)、先ず、アクチュエータ(92、110)が支持部材(74、76)を係合状態にしているか否かを判断し(ステップB02)、このステップB02がYESで、アクチュエータ(92、110)が支持部材(74、76)を係合状態にしている場合には、保圧弁131の作動によって液体通路128に液体を保持し(充填)(ステップB03)、一方、このステップB02がNOで、アクチュエータ(92、110)が支持部材(74、76)を係合状態にしていない場合には、保圧弁131の作動によって液体通路128内の液体を排出し(ステップB04)、前記ステップB03又は前記ステップB04の処理後は、プログラムをリターンする(ステップB05)。
【0047】
この第2実施例によれば、請求項8に係る発明において、フロントシールド1を車両ボディの構造部材(ピラー8)に対して振動を防止する第2支持部材75を弾性介在体である第2シーリングモール11に対して併設する一方、この第2シーリングモール11に液体通路128を併設し、この液体通路128から液体を抜いた際にこの液体を貯留するとともに余剰分を貯めておくタンク129と、液体を圧送するポンプ130と、液体通路128を液体を充填した状態で保つことが可能な保圧弁131とを設け、ポンプ130と保圧弁131との動作を制御をする流体制御機能部132を制御装置114に設けた。
これにより、車両の走行中の支持剛性アップと振動防止ができる一方、イベントでは、エネルギ吸収空間の拡大を図ることができる。
【0048】
また、請求項9に係る発明においては、制御装置114の流体制御機能部132は、車両の周囲状況に関わる情報を入力し、この入力した情報に基づいて、第2支持部材75を半係合状態あるいは解放状態に予め動作可能とする一方、流体制御機能部132は、この第2支持部材75の動作に合わせて液体を排出するように制御する。
これにより、イベントに際して切り換えの応答性を向上している。
【0049】
また、このような第2実施例に係る液体通路128を、フロントシールド1の上周縁3の第1シーリングモール10等にも設置することができる。
【0050】
なお、この発明は、上述の実施例に限定されず、種々応用改変が可能であることは勿論である。
例えば、寒冷地向けでは、フロントシールドの周囲に電気ヒータを配設して、霜取りと兼用する等の対策をすれば良い。また、外気温度、車体温度の変化に応じて、圧力を調整するようにしても良く、例えば、駐車中は圧抜きする等をする。更に、大きな荷重を供給する必要性がなく、例えば、微振動の低減が主目的である等では、加圧ガスを充填するようにしても良い。
【0051】
また、この発明に係るフロントシールド支持構造は、以下のような用途、応用等が可能である。
ベース部は、フロントシールドのフレーム枠として構成しても良い。ベース部と、エネルギ吸収部材を一体に構成しても良い。フレーム枠と、エネルギ吸収部材を一体に構成しても良い。エネルギ吸収部材を車体構造パネルと一体に構成することも可能である。ただし、修理工数および修理コストが増加する不都合があるので、分離可能に一体化するのが好ましい。
エネルギ吸収部材をC字状に形成したが、取り付けスペースの関係を考慮して、曲率半径の大きな湾曲板状としてもよい。その場合、シール性に不都合がなければ、車体側を締結構造としてもよい。フロントシールドの下周縁の後面に対向する第3支持部材などでは、インストルメントパネルと重なるため、利用が可能である。
フロントシールドを半ロック状態でポップアップさせることは可能であるが、フロントシールドを構成する材質の形状や品質によっては、フロントシールドが動くことによって運転者の視界を乱すおそれがあるので、動く状態となる時間をできるだけ短くする。
ピラーの外部表面、前面乃至前側面には、衝撃を吸収する被覆部材を設けても良い。その場合、フロントシールドの表面より前方及び側方に突出することになるので、表面を滑らかにし曲率を小さく(曲率半径を大きく)して、角をできるだけなくすようにすると好ましい。剛性が高いピラーの外部表面の凹凸への接触をなくし、ダメージを減らす効果を得るので、フロントシールドの効果を損ねることがない。ピラーの外部表面の凹凸が、フロントシールドを可動にした際のガイド構造を構成するためのものである場合には、より効果が大きい。
ガイド面を有して雌雄嵌合しつつ、ばね等により弾発的に付勢する補助部材(ダンパー)を併設した場合には、振動防止、異音防止に効果的である。
アクチュエータをフロントシールド側に支持し、係合把持部を車体側とすることも可能である。
大型車のバス等では、フロントシールドの面積が大きく、重量がかさむので、アクチュエータは、油圧等を動力として大きな力を発生させることができる方が好ましい。
車体ボディの構造部材の各フランジ部の周囲には、フロントシールドの移動時にガイドする段部を設けたり、ビードを設けたりすることができる。加工が可能ならば、パネルのアンダーカット方向に逆段差としても良い。車体ボディの構造部材は、パネルだけでなく、鋳造部品や管状の押出成形部品などを併用していても良い。これらにより、支持剛性が上がる。
また、フロントシールドを、シールドガラスとしているが、自己形状を保持する剛性が高ければ他の部材でも良く、メッキ銅板等の鉄板や、アルミニウム合金製のパネル、樹脂パネル等に適用しても良い。
インストルメントパネルは、デフロスタや、カバー、リッド等複数部材をあわせることによって構成しても良い。フロントシールドと接する部分には、可撓性を持たせてもよく、部分的に折れ曲がったり、係合構造を外れるように設けたりしても良い。
フロントシールドの周縁のうち一辺を固定する場合、その一辺には、従来と同様な構造、すなわち、金属パネルへシール材を介した直の接着構造やシーリングモールによる挟み込み構造、あるいは、ヒンジによる回動可能な固定構造を組み合わせることができる。
【産業上の利用可能性】
【0052】
この発明に係るフロントシールドの支持構造を、軽自動車、小型車や普通車、ミニバン、RV等のボンネットフードを備える車両や、1BOXやトラック等の商用車のように出幅の大きなフードがなく略立面パネル状である車両、パーソナルヴィークルやシティコミュータ等の小型車両にも、適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】第1実施例において図8のI−I線によるフロントシールドの上周縁部位の断面図である。
【図2】第1実施例において図8のII−II線によるフロントシールドの側周縁部位の断面図である。
【図3】第1実施例において図8のIII−III線によるフロントシールドの下周縁部位の断面図である。
【図4】第1実施例において第1支持部材の構成図である。
【図5】第1実施例において第1支持部材の動作状態を示す構成図である。
【図6】第1実施例においてフロントシールドの仮支持部材の配置を示す図である。
【図7】第1実施例においてフロントシールドの仮支持部材の構造を示す図である。
【図8】第1実施例においてフロントシールドの正面図である。
【図9】第1実施例においてフロントシールド支持制御システムの構成図である。
【図10】第1実施例においてフロントシールド支持制御のフローチャートである。
【図11】第2実施例においてフロントシールドの側周縁部位の断面図である。
【図12】第2実施例において液体通路を形成した吸収制御用モール部の断面図である。
【図13】第2実施例においてフロントシールド支持制御システムの構成図である。
【図14】第2実施例においてフロントシールド支持制御のフローチャートである。
【符号の説明】
【0054】
1 フロントシールド
2 シールド面
3 上周縁
4 側周縁
5 下周縁
6 セラミックエリア
7 ルーフパネル
8 ピラー
9 カウルパネル
10 第1シーリングモール(第1弾性介在体)
11 第2シーリングモール(第2弾性介在体)
17 ルーフフロントインナパネル
19 第1フランジ部
20 サイドボディアウタパネル
27 フロントアッパピラーリーンフォース
28 フロントアッパピラーパネル
29 第2フランジ部
30 カウルトップ
31 アッパカウルトップ
32 インストルメントパネル
47 第1エネルギ吸収部材
48 第2エネルギ吸収部材
49 第3エネルギ吸収部材
74 第1支持部材
75 第2支持部材
76 第3支持部材
77 第1係合把持部
78 第1係合把持部動作部
79 第1把持部
80 第1係止突部
81 第1ベース部
85 第1可動アーム
86 第1把持穴
87 第1ガイド面
88 第1突起部
89 第1切欠溝
90 第1カム溝
91 第1係合爪
92 第1アクチュエータ
95 第2係合把持部
96 第2係合把持部動作部
98 第2把持部
99 第2ベース部
103 第3係合把持部
104 第3係合把持部動作部
105 第3把持部
107 第3ベース部
110 第3アクチュエータ
112 第3フランジ部
113 フロントシールド支持制御システム
114 制御装置
120 空間部
121 仮支持部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の前側に面して配設されて風雨を防ぐようにシールされたフロントシールドを支持するフロントシールド支持構造において、前記フロントシールドを車両ボディの構造部材にシール機能が備えられた弾性介在体を介して移動可能に支持して設け、前記フロントシールドの移動に対して抗するエネルギ吸収部材を設け、前記フロントシールドを前記車両ボディの前記構造部材に対して振動を防止する支持部材を併設したことを特徴とするフロントシールド支持構造。
【請求項2】
前記支持部材は、前記フロントシールドに設けられる係合把持部と、この係合把持部に係合可能な係合把持部動作部とを備え、前記フロントシールドに対して振動を防止するとともに、前記フロントシールドの移動可能な方向を規制する機能を前記係合把持部動作部に備えたことを特徴とする請求項1に記載のフロントシールド支持構造。
【請求項3】
前記支持部材は前記係合把持部動作部にアクチュエータを備え、このアクチュエータを動作させて前記支持部材の状態を変更する制御装置を併設し、この制御装置は、係合状態及び解放状態を含む複数の状態に前記支持部材を変更するように前記アクチュエータを動作制御することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のフロントシールド支持構造。
【請求項4】
前記制御装置は、前記車両の周囲状況に関わる情報を入力し、この入力した情報に基づいて前記支持部材を半係合状態あるいは解放状態に予め動作可能とすることを特徴とする請求項3に記載のフロントシールド支持構造。
【請求項5】
前記フロントシールドを前記車両ボディの前記構造部材に対して移動可能に支持する際の空間部を、前記フロントシールドと前記車両ボディの前記構造部材との間に設け、前記空間部に収まり且つ着脱可能な仮支持部材を設け、この仮支持部材は、前記フロントシールドを前記車両ボディヘ取り付ける際に、前記フロントシールドからの荷重を前記エネルギ吸収部材に実質的に伝えることなく前記車両ボディの前記構造部材に対して支持可能とすることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のフロントシールド支持構造。
【請求項6】
前記仮支持部材は、前記フロントシールドを前記車両ボディヘ取り付けた際に、前記車両ボディの前記構造部材に囲まれた内部空間の前記フロントシールドの中心側から着脱可能に設けられたことを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のフロントシールド支持構造。
【請求項7】
前記仮支持部材は、前記フロントシールドに設けた前記支持部材に係合することを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載のフロントシールド支持構造。
【請求項8】
車両の前側に面して配設されて風雨を防ぐようにシールされたフロントシールドを支持するフロントシールド支持構造において、前記フロントシールドを車両ボディの構造部材にシール機能が備えられた弾性介在体を介して移動可能に支持して設け、前記フロントシールドを前記車両ボディの前記構造部材に対して振動を防止する支持部材を、前記弾性介在体に対して併設する一方、前記弾性介在体に液体通路を併設し、この液体通路から液体を抜いた際にこの液体を貯留するとともに余剰分を貯めておくタンクと、前記液体を圧送するポンプと、前記液体通路を液体の充填した状態で保つことが可能な保圧弁とを設け、前記ポンプと前記保圧弁との動作を制御する流体制御機能を制御装置に設けたことを特徴とするフロントシールド支持構造。
【請求項9】
前記制御装置は、前記車両の周囲状況に関わる情報を入力し、この入力した情報に基づいて前記支持部材を半係合状態あるいは解放状態に予め動作可能とする一方、前記流体制御機能として、前記支持部材の動作に合わせて液体を排出するように前記ポンプと前記保圧弁との動作を制御することを特徴とする請求項8に記載のフロントシールド支持構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2009−120061(P2009−120061A)
【公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−296868(P2007−296868)
【出願日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【出願人】(000002082)スズキ株式会社 (3,196)
【Fターム(参考)】