フロント・リア一体型HVACシステム
【課題】 フロント・リア一体型HVACシステムを提供する。
【解決手段】 本発明の車両用HVACシステム10は、ハウジング12と、このハウジング12に格納されてフロントブロア34を有するフロントHVACユニット14と、第1空気流路36と、フロント空気混合ドア38と、前記ハウジング12に格納されてリアブロア52を有するリアHVACユニット16と、第2空気流路54と、リア空気混合ドア56とを備え、さらに、前記第1空気流路36内に位置する第1部位26と前記第2空気流路54内に位置する第2部位28とを有するエバポレータ18と、前記第1空気流路36内に位置する第1部位30と前記第2空気流路54内に位置する第2部位32とを有するヒータコア20とを備える。空気流方向付けドア22が第1空気流路36と第2空気流路54との間に設置され、前記リアブロア52からの空気流を前記第1空気流路36に向かうように調節する。
【解決手段】 本発明の車両用HVACシステム10は、ハウジング12と、このハウジング12に格納されてフロントブロア34を有するフロントHVACユニット14と、第1空気流路36と、フロント空気混合ドア38と、前記ハウジング12に格納されてリアブロア52を有するリアHVACユニット16と、第2空気流路54と、リア空気混合ドア56とを備え、さらに、前記第1空気流路36内に位置する第1部位26と前記第2空気流路54内に位置する第2部位28とを有するエバポレータ18と、前記第1空気流路36内に位置する第1部位30と前記第2空気流路54内に位置する第2部位32とを有するヒータコア20とを備える。空気流方向付けドア22が第1空気流路36と第2空気流路54との間に設置され、前記リアブロア52からの空気流を前記第1空気流路36に向かうように調節する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用HVACシステムに関し、より具体的には、一体型のエバポレータとヒータコアとを有する車両用HVACシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
図1は従来のHVACシステム100を示しており、車両の前方側を冷却するためのフロントHVACユニット102と、車両の後方側を冷却するためのリアHVACシステム104とからなる2つの独立したHVACユニットを必要とする。フロントHVACユニット102とリアHVACユニット104は、それぞれ別々のハウジングに格納されているため、フロントHVACユニット102は車両の前方側に、リアHVACユニット104は車両の後方側にそれぞれ設置される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
フロントHVACユニット102は、フロントブロア(図示せず)と、エバポレータ106Fと、ヒータコア108Fと、空気混合ドア110とを備える。空気混合ドア110は、空気全体がヒータコア108Fを通過するように方向付ける第1の位置と、空気全体がエバポレータ106Fを通過するように方向付ける第2の位置との間で動作可能である。エバポレータ106Fを通過した空気流、ヒータコア108Fを通過した空気流、あるいはこれらの組み合わせによる空気流は、デフロスタ吹出口112、換気吹出口114または暖房吹出口116のいずれか1つ以上に向かうように方向付けられている。
【0004】
フロントHVACユニット102は、さらに、デフロスタドア118と換気/暖房ドア120とを備える。デフロスタドア118は、第1の位置と第2の位置との間で動作可能であり、デフロスタ吹出口112から送風される空気流の流量を調節する。デフロスタドア118が第1の位置にあるとき、デフロスタ吹出口112は閉じており、空気流は換気吹出口114または暖房吹出口116あるいはその両方に向かうように方向付けされる。デフロスタドア118が第2の位置にあるとき、デフロスタ吹出口112は開いており、空気流がデフロスタ吹出口112から送風される。デフロスタドア118の場合と同じように、換気/暖房ドア120も第1の位置と第2の位置の間で動作可能であり、換気吹出口114と暖房吹出口116から送風される空気流を調節する。
【0005】
リアHVACユニット104も、エバポレータ106Rと暖房コア108Rとを備える。リアHVACユニット104は、さらに、リアブロア112と、空気混合ドア124と、空気流方向付けドア126とを備える。空気混合ドア124は、前記のフロントHVACユニット102の空気混合ドア110と同様の動作をする。空気流方向付けドア126は、1つ以上のアッパーベント128と1つ以上のフロアベント130との間の空気流を調節する。
【0006】
したがって、従来のデュアルHVACシステム110の主な課題としては、2つのハウジングと、2つのエバポレータ106FおよびF106Rと、2つのヒータコア108Fおよび108Rとが必要となり、組み立てと製造にかかる費用が増大する点がある。
【0007】
さらに、従来のデュアルHVACシステム110の別の課題としては、リアHVACユニット104が車両の後方部に設置されているため、このようなHVACユニット104では、冷却ライン132およびヒータコアライン134が長くなるため、材料と組み立てにかかる費用も増大する。さらに、冷却ライン132とヒータコアライン134とをエンジン室からリアHVACユニット104まで延長するには、より多くの接続部を設ける必要があるため、前記ラインの接続部のいずれかで液体漏れが発生する恐れが増大する。
【0008】
さらに、従来のデュアルHVACシステム110の別の課題としては、収納スペースとして利用できるはずの中央コンソール136の中の空間をリアHVACユニット104が占有してしまう点がある。具体的には、リアHVACユニット104は、アームレスト138と収納室140の下方の中央コンソール136内に配置されている。図1からも明らかなように、リアHVACユニット104が設置されることにより、中央コンソール136の収納スペースの容積が制限されてしまう。
【0009】
したがって、前記のような課題を解決するためのデュアルHVACシステムが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係るデュアルHVACシステムは、第1空気流路内に位置する第1部位と第2空気流路内に位置する第2部位とを有するエバポレータと、第1空気流路内に位置する第1部位と第2空気流路内に位置する第2部位とを有するヒータコアとを備える。さらに、前記第1空気流路と前記第1空気流路との間に配置されて、リアブロアからの空気流を前記第1空気流路に向かうように調節する空気流方向付けドアを備える。
【0011】
本発明の別の側面によれば、第1の位置と第2の位置との間で動作可能なバイパスドアを提供する。前記バイパスドアは、第2の位置にあるときには、エバポレータの第1部位からの空気流の一部が前記第1空気流路を経由せずに直接フロント吹出口に向かうように方向付けされているので、前記フロント空気混合ドアの位置に関わらず、空気流の温度の調節を行うことができる。
【0012】
本発明のさらに別の側面によれば、デフロスタダクトと、デフロスタ吹出口の中央に設置されることで第1デフロスタ吹出口と第2デフロスタ吹出口とを形成するデフロスタ吹出口分割器とを提供する。前記フロントHVACユニットは、さらに、上面に空気流偏向ブラケットが延設されたデフロスタ吹出口ドアとを備え、前記デフロスタ吹出口ドアは、第1の位置と第2の位置と第3の位置との間で動作可能であり、第1デフロスタ吹出口および第2デフロスタ吹出口から送風される空気流を調節する。
【0013】
さらに、本発明のさらなる長所および利点は、関係する当業者であれば、以下の明細書の詳細を解釈・理解することにより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】従来のデュアルHVACシステムの概略図である。
【図2】(a)は本発明の1実施形態に係るHVACシステムの概略側面図であり、(b)は(a)のHVACシステムを乗員席側から見たときの概略側面図である。
【図3】図2(a)および(b)のHVACシステムの概略図であり、複数の空気流パターンを示している。
【図4】図2(a)および(b)のHVACシステムの概略図であり、複数の空気流パターンを示している。
【図5】図2(a)および(b)のHVACシステムの概略図であり、複数の空気流パターンを示している。
【図6】本発明の別の実施形態に係るHVACシステムの概略図であり、複数の空気流パターンを示している。
【図7】本発明の別の実施形態に係るHVACシステムの概略図であり、複数の空気流パターンを示している。
【図8】本発明のさらに別の実施形態に係るHVACシステムの概略図であり、複数の空気流パターンを示している。
【図9】本発明のさらに別の実施形態に係るHVACシステムの概略図であり、複数の空気流パターンを示している。
【図10】本発明のさらに別の実施形態に係るHVACシステムの概略図であり、複数の空気流パターンを示している。
【図11】本発明のさらに別の実施形態に係るHVACシステムの概略図であり、複数の空気流パターンを示している。
【図12】本発明のさらに別の実施形態に係るHVACシステムの概略図であり、複数の空気流パターンを示している。
【図13】図8から図12のHVACシステムを乗員席側から見たときの概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明は、特定の部分や部分の配置において物理的形態を有し、本発明の実施形態を本明細書の中で詳細に記載し、さらに、本明細書の一部をなす付属の図面において例示する。
【0016】
図面を参照しつつ、図2から図12は、本発明に係る自動車車両用のデュアル一体型HVACシステム(以下「HVACシステム」という」)10のいくつかの実施形態を例示している。HVCAシステム10は、暖房空気と冷房空気とを車両の前方側と後方側に供給するデュアルHVACシステムである。さらに、このHVCAシステム10は、次の2つの理由から、一体型のHVACシステムである。まず、HVACシステム10は、両方ともに同一のハウジングに格納されるフロントHVACユニットとリアHVACユニットとを備える。次に、このHVACシステム10では、フロントHVACユニットとリアHVACユニットはともに同じ単一のエバポレータとヒータコアのみを必要とする。ここで、本発明に係るエバポレータとヒータコアは、前記の従来のHVACシステムの標準的なエバポレータとヒータコアよりも大型である。したがって、デュアル一体型HVACシステムは、冷暖房の効率性と収容性とを低下させるものではない。
【0017】
以下の記載から明らかになるように、本発明のHVACシステム10は、前記の単一のエバポレータとヒータコアの他にも、いくつかの特徴がある。その1つとして、HVACシステム10は、吹出口から車両前方側に向けて送風される空気流の温度を、同システム内の他の換気吹出口から送風される空気流の温度に影響することなく、制御する能力を有する。HVACシステム10の別の特徴として、1つ以上のデフロスタ吹出口から送風される空気流を制御するデュアル空気流デフロスタ機能がある。HVACシステム10のさらに別の特徴として、閉位置にあるときにはリアHVACユニットからの空気流全体を車両前方側に送風するように方向付けるための方向付けドアを備えている。また、HVACシステム10のさらなる別の特徴として、リアHVACユニットがOFF状態のときには、エバポレータの着霜を防ぐ着霜防止機能を備える。
【0018】
図2(a)と(b)、および図3から図5を参照すると、HVACシステム10は、フロントHVACユニット14とリアHVACユニット16とを格納するハウジング12を備える。HVACシステム10は、さらに、エバポレータ18と、ヒータコア20と、空気流方向付けドア22と、リアHVACユニット16の底部に設けられるドレイン開口部24とを備える。エバポレータ18は、フロントHVACユニット14からリアHVACユニット16との間で概ね鉛直になるように配置され、フロントHVACユニット14内に位置する第1部位26と、リアHVACユニット16内に位置する第2部位28とを有する。エバポレータ18の第1部位26と第2部位28とで生成された結露水は、エバポレータ18の第2部位28の底部をつたって排水口24よりHVACシステム10の外部へ排出される。なお、車両外部からの新鮮な高湿度の空気は、エバポレータ18の第1部位26を通過して循環し、車両室内を再循環する低湿度の空気はエバポレータ18の第2部位28を通過して循環する。このように、低湿度の空気が循環していることで、エバポレータ18の第2部位28ではほとんど結露水が生成されない。ヒータコア20は、フロントHVACユニット14とリアHVACユニット16との間で略鉛直になるように配置され、フロントHVACユニット14内に位置する第1部位30と、リアHVACユニット16内に位置する第2部位32とを有する。
【0019】
フロントHVACユニット14は、フロントブロア34と、フロント(第1)空気流路36と、フロント空気混合ドア38と、バイパスドア40と、デフロスタ吹出口44から吹出す空気流を調節するためのデフロスタ吹出口ドア42と、換気吹出口48から吹出す空気流を調節するための換気/暖房吹出口ドア46、およびまたは暖房(フロア)吹出口50とを備える。
【0020】
フロント空気混合ドア38は、エバポレータ18の第1部位26と、ヒータコア20の第1部位30との間に配置され、第1空気流路36を通過する空気流の温度を制御する。エバポレータ18の第1部位26およびヒータコア20の第1部位30は第1空気流路36内に位置する。フロント空気混合ドア38は、回転自在に位置を変化させることで、エバポレータ18の第1部位26から第1空気流路36へ直接流れる冷たい空気と、エバポレータ18の第1部位26からヒータコア20の第1部位30を通過して流れる冷たい空気との割合を変化させる。エバポレータ18の第1部位26からヒータコア20の第1部位30を通過した空気流は、再び第1空気流路36に流入して、エバポレータ18の第1部位26からの冷たい空気と混ざり、所望の温度となってフロントHVACユニット14から送風される空気流を生成する。第1空気流路36を通過する空気流の温度は、混合ドア38を回転させて調節する。
【0021】
バイパスドア40は、図2(a)、図3、図5に示す第1の(閉)位置と、図4に示す第2の(開)位置との間で動作可能である。バイパスドア40は、フロント空気混合ドア38の位置に関わらず、動作させることで、フロント側の吹出口44、48、50の任意の吹出口から吹出す空気流の温度を選択的に独立制御することが可能である。図4に示す実施形態では、バイパスドア40の動作を例示し、デフロスタ吹出口44と関連付けながら説明をする。バイパスドア40を以下に述べるような方法によって、換気吹出口48かつまたは暖房(床)吹出口50から吹出す空気流の温度を独立制御することが可能である。
【0022】
図4を参照しつつ、バイパスドア40が開位置にあるとき、エバポレータ18からの空気流の一部は、第1空気流路36を経由せずに直接デフロスタ吹出口44に向うように送風される。バイパスドア40を開位置から閉位置までの間で任意の位置に回転させて、エバポレータ18からデフロスタ吹出口44に向かって送風される空気流の流量を調節する。このように、デフロスタ吹出口44から送風される空気流の温度調節を、フロント空気混合ドア38の位置を調節することなしに行うことができる。
【0023】
デフロスタ吹出口ドア42は、図2(a)、図3および図5に示す第1の位置または閉位置から、図4に示す第2の位置または開位置までの間で動作可能である。デフロスタ吹出口ドア42が閉位置にあるときには、空気流は換気吹出口48と暖房吹出口50とに向かって送風され、フロントHVACユニット14は後述する換気モードまたは暖房モードのいずれかになっている。デフロスタ吹出口42が開位置にあるときには、空気流はデフロスタ吹出口44に向かって送風され、フロントHVACユニット14はデフロスタモードになっている。さらに、デフロスタドア42は、閉位置から開位置までの間で任意の位置に回転可能であり、これによりデフロスタ吹出口44から吹出す空気流の流量を調節することができる。
【0024】
換気/暖房吹出口ドア46は、図2(a)に示す第1の位置から、図3から図5に示す第2の位置までの間で動作可能である。換気/暖房吹出口ドア46は、換気吹出口48および暖房吹出口50から吹出す空気流の流量を調節する。つまり、デフロスタドア42が閉じられているときに、換気/暖房吹出口ドア46が第1の位置にある場合は、空気流は暖房吹出口50に向かって送風され、フロントHVACユニット14は暖房モードになっている。同様に、デフロスタドア42が閉じられているときに、換気/暖房吹出口ドア46が第2の位置にある場合には、空気流は換気吹出口48に向かって送風され、フロントHVACユニット14は換気モードになっている。また、換気/暖房吹出口ドア46が、第1の位置と第2の位置の間の任意の位置にあるときには、空気流は換気吹出口48と暖房吹出口50との両方に向かって送風され、フロントHVACユニット14は換気/暖房モードになっている。
【0025】
デフロスタ吹出口ドア42と換気/暖房吹出口ドア46が両方とも第1の位置と第2の位置の間にあるときには、空気流を3つの吹出口44、48、50すべてに向かうように送風することができる。
【0026】
リアHVACユニット16は、リアブロア52と、リア(第2の)空気流路54と、リア空気混合ドア56と、リア換気吹出口60かつまたは暖房吹出口62から吹出す空気流を調節するためのリア換気吹出口ドア58とを備える。
【0027】
リア空気混合ドア56は、エバポレータ18の第2部位28とヒータコア20の第2部位32との間に配置され、第2空気流路54を通過する空気流の温度を制御する。エバポレータ18の第2部位28とヒータコア20の第2部位32とは、第2空気流路54内に配置される。したがって、リア空気混合ドア56は異なる位置に回転可能であるため、エバポレータ18の第2部位28から第2空気流路54に向かって直接送風される冷たい空気と、エバポレータ18の第2部位28からヒータコア20の第2部位32を通過する冷たい空気との割合を変えることができる。エバポレータ18の第2部位28からヒータコア20の第2部位32を通過する空気流は再び第2空気流路54に流入して、エバポレータ18の第2部位28からの冷たい空気と混ざることにより、所望の温度でリアHVACユニット16から送風される空気流を生成する。このように、リア空気混合ドア56を回転させることで、第2空気流路54を通過する空気流の温度を調節する。
【0028】
リア換気吹出口ドア58は、図2(a)および図5に示す第1の位置から、図3および図4に示す第2の位置までの間で動作可能である。リア換気吹出口ドア58は、リア換気吹出口60と暖房吹出口62とから吹出す空気流の流量を調節する。具体的には、リア換気吹出口ドア58が第1の位置にあるときに、空気流は暖房吹出口62に向かって送風され、リアHVACユニット16は暖房モードになっている。同様に、リア換気吹出口ドア58が第2の位置にあるときには、空気流はリア換気吹出口60に向かって送風され、リアHVACユニット16は換気モードになっている。リア換気吹出口ドア58が第1と第2の間の任意の位置にあるときには、空気流は、リア換気吹出口60と暖房吹出口62との両方に向かって送風され、HVACユニット16は換気/暖房モードになっている。
【0029】
空気流方向付けドア22は、第1空気流路36と第2空気流路54との間に配置され、図2(a)、図3、図4に示す第1の(閉)位置と、図5に示す第2の(開)位置との間で動作可能である。このように、空気流方向付けドア22は、第1空気流路36と第2空気流路54との間で可動式または回転式の分割器として機能し、リアブロア52から第1空気流路36へ向かって流れる空気流を調節する。つまり、空気流方向付けドア22は、閉位置にあるときは、リアブロア52からの空気流を第2空気流路54へ向うように方向付けて、第1空気流路36への流入を阻止する。また、空気流方向付けドア22は、開位置にあるときには、リアブロア52からの空気流を第1空気流路36へ向かうように方向付けて、第2空気流路54への流入を阻止する。したがって、HVACシステム10の重要な特徴は、前記の通り、空気流方向付けドア22が開いた状態では、エバポレータ18の第1部位26だけでなく第2部位28からの空気流全体を、第1空気流路36を通過させて車両の前方側に向かうように方向付けることにより、車両の前方側を最適に冷房することができる点である。空気流方向付けドア22は、第1の位置から第2の位置の間の任意の位置に動作可能である。したがって、リアブロア52からの空気流を、第1空気流路36と第2空気流路54の両方へ向かうように同時に方向付けることができる。
【0030】
さらに、空気流方向付けドア22が開位置にあるとき、空気流が車両の後方側に送風されるように方向付けられていないため、必然的にリアHVACユニット16のスイッチはOFFの位置にある。ここで、従来のHVACシステムでは、リアHVACユニットのスイッチがOFFの位置にあるときにはエバポレータから空気が流れてこないため、エバポレータ内で着霜が発生して、コンプレッサーがダウンしてしまう可能性がある。しかし、本発明では、空気流方向付けドア22が開位置にあるときには、リアブロア52からの空気流がエバポレータ18の第2部位を通過し続けるため、エバポレータ内の着霜を防ぐことができる。このため、コンプレッサーがダウンする可能性を阻止することができる。
【0031】
図6および図7は、本発明の第2実施形態に係るHVACシステム10を示している。第2実施形態のHVACシステムは、1つまたは複数のデフロスタ吹出口から送風される空気流を制御するデュアル空気流デフロスタの機能を除けば、第1実施形態に係るHVACシステム10と同一である。簡便性の理由から、第2実施形態の構成要素の中で第1実施形態の同じものについては説明を省略する。第1実施形態と異なる第2実施形態の構成要素のみを説明する。
【0032】
第2実施形態では、フロントHVACユニット14は、デフロスタダクト64と、デフロスタ吹出口44の中央部に設置して第1デフロスタ吹出口44Aと第2デフロスタ吹出口44Bを形成するデフロスタ吹出口分割器66とをさらに備える。また、デフロスタ吹出口ドア42は、デフロスタ吹出口ドア42の上面に延設された空気流偏向ブラケット(air deflection bracket)68を備える。デフロスタ吹出口ドア42は、図2(a)、図3、図5に示す第1の(閉)位置と、図6に示す第2の(一部開)位置と、図7に示す第3の(開)位置との間で動作可能である。
【0033】
簡便性の理由から、第1実施形態のみにおいて、デフロスタドア42が第1の位置にある場合を例示した。したがって、第2実施形態のデフロスタドア42が第1の位置にあるときには、第1実施形態と同じように機能する。つまり、デフロスタドア42は第1の位置にあるときは、前記の通り、第1デフロスタ吹出口44Aと第2のデフロスタ吹出口44Bは閉じられており、空気流は換気吹出口48と暖房吹出口50に向かって方向付けされ、フロントHVACユニット14は換気モードまたは暖房モードのいずれかになっている。
【0034】
デフロスタドア42が第2の位置(図6)にあるときには、空気流偏向ブラケット68はデフロスタ吹出口分割器66に当接した状態にある。したがって、この位置にあるときには、第1空気流69は、デフロスタダクト64を通ってデフロスタ吹出口44Aから吹出すように方向付けされる。同時に、空気流偏向ブラケット68は、第2デフロスタ吹出口44Bを閉塞するため、空気流が第2デフロスタ吹出口44Bを通って流れることを阻止する。
【0035】
デフロスタドア42が第3の位置にあるときには、第1デフロスタ吹出口44Aと第2デフロスタ吹出口44Bの両方が開いている。したがって、デフロスタダクト64を通るように方向付けされた第1空気流69は第1デフロスタ吹出口44Aから送風され、第2空気流70は第2デフロスタ吹出口44Bから送風されるため、デフロスタを通過する空気流の流量を最大化することができる。
【0036】
バイパスドア40は、第2実施形態においても第1実施形態と同じように動作する。つまり、バイパスドア40は第2の位置にあるときには、エバポレータ18からの空気流は、第1デフロスタ吹出口44Aおよびまたは第2デフロスタ吹出口44Bに直接向かうように流れる。したがって、第1デフロスタ吹出口44Aおよびまたは第2デフロスタ吹出口44Bから吹出す気流の温度の調節を、フロント空気混合ドア38の位置を調節することなく行うことができる。
【0037】
図8から図12は、本発明の第3実施形態に係るHVACシステム10を例示したものである。第3実施形態のHVACシステム10は、第1実施形態および第2実施形態と同じ特徴を有する。第3実施形態が、第1および第2実施形態と異なる点は、エバポレータ18とヒータコア20の向きが異なっている点である。エバポレータ18については、エバポレータ18は鉛直ではなく、むしろ水平になるように設置されている。具体的には、エバポレータ18は、エバポレータ18の第2の位置から第1の位置に向かって下方に傾くように配置されている。また、ヒータコア20については、概ね水平になるように配置されている。
【0038】
第3実施形態におけるエバポレータ18とヒータコア20の向きは、第1実施形態のエバポレータ18とヒータコア20の向きと異なるため、第3実施形態でのHVACシステム10の物理的な配置は第1実施形態のそれとは異なる。しかし、機能については2つの実施形態ともに同じであるため、第3実施形態の構成要素については、第1実施形態とは異なるもののみについて説明する。
【0039】
HVACシステム10の物理的な配置については、リアブロア52は、第1実施形態ではフロントブロア34に隣接するように配置されていたが、第3実施形態ではHVACシステム10の中央に配置される。つまり、リアブロア52は、車両の乗員室側に向うように中央コンソール(図示せず)内まで延設された状態で、HVACシステム10の中央に配置される。したがって、リアブロア52からの空気流は、車両の乗員室から車両前方側に向かって流れてエンジン室に流入するとともに、車両の乗員室にも還流する。さらに、図2(b)および図13を参照すると、第3実施形態では、図2(b)に示すようにリアブロア52はフロントブロアに隣接して配置されておらず、図13に示すように中央コンソールの領域に配置されているため、乗員のフットスペースが増大する。
【0040】
フロントHVACユニット14はフロント排水口71をさらに備え、また、リアHVACユニット16はリア排水口72をオプションで備えるようにしてもよい。さらに、エバポレータ18は、エバポレータ18の第1部位26と第2部位28の間にシール部材74をオプションで備えるようにしてもよい。シール部材74には2つの目的がある。1つは、シール部材74は第1空気流路36の気流が第2気流路54へ漏れるのを防ぎ、さらに、第2気流路54の気流が第1気流路36へ漏れるのを防ぐ。シール部材74は、エバポレータ18の第2部位28で生成された結露水を第2空気流路54内に向かって降下させ、ここでリア排水口72からHVACシステム10の外部へ排水する。同様に、エバポレータ18の第1部位26で生成された結露水を、図8に示すように、エバポレータ18の前方に向かって排水し、フロント排水口71からHVACシステム10の外部へ排水する。
【0041】
さらに、前記の説明の通りに、新鮮な高湿度の外気はエバポレータ18の第1部位26を通って循環し、車両の室内を再循環する低湿度の空気はエバポレータ18の第2部位28を通って循環する。したがって、低湿度の空気が再循環していることで、エバポレータ18の第2部位28には結露水は生成されない。
【0042】
上記の説明をまとめると、本発明は、単一のエバポレータと単一のヒータコアのみを必要とするなど、いくつかの特徴を有する。本発明のHVACシステムは、さらに、複数のデフロスタ吹出口から吹出す空気流の温度を、システム内の他の換気吹出口から吹出す空気流の温度に影響することなく、調節するためのバイパスドアを備える。また、デュアル空気流デフロスタ機能を使って、1つまたは複数のデフロスタ吹出口から吹出す空気流を調節する。さらに、HVACシステムは方向付けドアを備えており、この方向付けドアが閉じた位置にあるときには、リアHVACユニットからの気流全体を車両の前方側に向かうように方向付けるため、車両の前方側への気流の流量を最大化させることができる。さらにまた、HVACシステムは、リアHVACユニットのスイッチがOFFの位置にあるときにエバポレータの着霜を防ぐ霜防止機能も備える。
【0043】
本発明の実施形態について、前記の通りに具体的に説明し、例示したが、これは、事例的な方法によってこれらの実施形態を説明したものであって、本発明をこれらの実施形態のみに限定するものではなく、以下に記載する特許請求の範囲によってのみ適切に限定されるものである。
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用HVACシステムに関し、より具体的には、一体型のエバポレータとヒータコアとを有する車両用HVACシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
図1は従来のHVACシステム100を示しており、車両の前方側を冷却するためのフロントHVACユニット102と、車両の後方側を冷却するためのリアHVACシステム104とからなる2つの独立したHVACユニットを必要とする。フロントHVACユニット102とリアHVACユニット104は、それぞれ別々のハウジングに格納されているため、フロントHVACユニット102は車両の前方側に、リアHVACユニット104は車両の後方側にそれぞれ設置される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
フロントHVACユニット102は、フロントブロア(図示せず)と、エバポレータ106Fと、ヒータコア108Fと、空気混合ドア110とを備える。空気混合ドア110は、空気全体がヒータコア108Fを通過するように方向付ける第1の位置と、空気全体がエバポレータ106Fを通過するように方向付ける第2の位置との間で動作可能である。エバポレータ106Fを通過した空気流、ヒータコア108Fを通過した空気流、あるいはこれらの組み合わせによる空気流は、デフロスタ吹出口112、換気吹出口114または暖房吹出口116のいずれか1つ以上に向かうように方向付けられている。
【0004】
フロントHVACユニット102は、さらに、デフロスタドア118と換気/暖房ドア120とを備える。デフロスタドア118は、第1の位置と第2の位置との間で動作可能であり、デフロスタ吹出口112から送風される空気流の流量を調節する。デフロスタドア118が第1の位置にあるとき、デフロスタ吹出口112は閉じており、空気流は換気吹出口114または暖房吹出口116あるいはその両方に向かうように方向付けされる。デフロスタドア118が第2の位置にあるとき、デフロスタ吹出口112は開いており、空気流がデフロスタ吹出口112から送風される。デフロスタドア118の場合と同じように、換気/暖房ドア120も第1の位置と第2の位置の間で動作可能であり、換気吹出口114と暖房吹出口116から送風される空気流を調節する。
【0005】
リアHVACユニット104も、エバポレータ106Rと暖房コア108Rとを備える。リアHVACユニット104は、さらに、リアブロア112と、空気混合ドア124と、空気流方向付けドア126とを備える。空気混合ドア124は、前記のフロントHVACユニット102の空気混合ドア110と同様の動作をする。空気流方向付けドア126は、1つ以上のアッパーベント128と1つ以上のフロアベント130との間の空気流を調節する。
【0006】
したがって、従来のデュアルHVACシステム110の主な課題としては、2つのハウジングと、2つのエバポレータ106FおよびF106Rと、2つのヒータコア108Fおよび108Rとが必要となり、組み立てと製造にかかる費用が増大する点がある。
【0007】
さらに、従来のデュアルHVACシステム110の別の課題としては、リアHVACユニット104が車両の後方部に設置されているため、このようなHVACユニット104では、冷却ライン132およびヒータコアライン134が長くなるため、材料と組み立てにかかる費用も増大する。さらに、冷却ライン132とヒータコアライン134とをエンジン室からリアHVACユニット104まで延長するには、より多くの接続部を設ける必要があるため、前記ラインの接続部のいずれかで液体漏れが発生する恐れが増大する。
【0008】
さらに、従来のデュアルHVACシステム110の別の課題としては、収納スペースとして利用できるはずの中央コンソール136の中の空間をリアHVACユニット104が占有してしまう点がある。具体的には、リアHVACユニット104は、アームレスト138と収納室140の下方の中央コンソール136内に配置されている。図1からも明らかなように、リアHVACユニット104が設置されることにより、中央コンソール136の収納スペースの容積が制限されてしまう。
【0009】
したがって、前記のような課題を解決するためのデュアルHVACシステムが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係るデュアルHVACシステムは、第1空気流路内に位置する第1部位と第2空気流路内に位置する第2部位とを有するエバポレータと、第1空気流路内に位置する第1部位と第2空気流路内に位置する第2部位とを有するヒータコアとを備える。さらに、前記第1空気流路と前記第1空気流路との間に配置されて、リアブロアからの空気流を前記第1空気流路に向かうように調節する空気流方向付けドアを備える。
【0011】
本発明の別の側面によれば、第1の位置と第2の位置との間で動作可能なバイパスドアを提供する。前記バイパスドアは、第2の位置にあるときには、エバポレータの第1部位からの空気流の一部が前記第1空気流路を経由せずに直接フロント吹出口に向かうように方向付けされているので、前記フロント空気混合ドアの位置に関わらず、空気流の温度の調節を行うことができる。
【0012】
本発明のさらに別の側面によれば、デフロスタダクトと、デフロスタ吹出口の中央に設置されることで第1デフロスタ吹出口と第2デフロスタ吹出口とを形成するデフロスタ吹出口分割器とを提供する。前記フロントHVACユニットは、さらに、上面に空気流偏向ブラケットが延設されたデフロスタ吹出口ドアとを備え、前記デフロスタ吹出口ドアは、第1の位置と第2の位置と第3の位置との間で動作可能であり、第1デフロスタ吹出口および第2デフロスタ吹出口から送風される空気流を調節する。
【0013】
さらに、本発明のさらなる長所および利点は、関係する当業者であれば、以下の明細書の詳細を解釈・理解することにより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】従来のデュアルHVACシステムの概略図である。
【図2】(a)は本発明の1実施形態に係るHVACシステムの概略側面図であり、(b)は(a)のHVACシステムを乗員席側から見たときの概略側面図である。
【図3】図2(a)および(b)のHVACシステムの概略図であり、複数の空気流パターンを示している。
【図4】図2(a)および(b)のHVACシステムの概略図であり、複数の空気流パターンを示している。
【図5】図2(a)および(b)のHVACシステムの概略図であり、複数の空気流パターンを示している。
【図6】本発明の別の実施形態に係るHVACシステムの概略図であり、複数の空気流パターンを示している。
【図7】本発明の別の実施形態に係るHVACシステムの概略図であり、複数の空気流パターンを示している。
【図8】本発明のさらに別の実施形態に係るHVACシステムの概略図であり、複数の空気流パターンを示している。
【図9】本発明のさらに別の実施形態に係るHVACシステムの概略図であり、複数の空気流パターンを示している。
【図10】本発明のさらに別の実施形態に係るHVACシステムの概略図であり、複数の空気流パターンを示している。
【図11】本発明のさらに別の実施形態に係るHVACシステムの概略図であり、複数の空気流パターンを示している。
【図12】本発明のさらに別の実施形態に係るHVACシステムの概略図であり、複数の空気流パターンを示している。
【図13】図8から図12のHVACシステムを乗員席側から見たときの概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明は、特定の部分や部分の配置において物理的形態を有し、本発明の実施形態を本明細書の中で詳細に記載し、さらに、本明細書の一部をなす付属の図面において例示する。
【0016】
図面を参照しつつ、図2から図12は、本発明に係る自動車車両用のデュアル一体型HVACシステム(以下「HVACシステム」という」)10のいくつかの実施形態を例示している。HVCAシステム10は、暖房空気と冷房空気とを車両の前方側と後方側に供給するデュアルHVACシステムである。さらに、このHVCAシステム10は、次の2つの理由から、一体型のHVACシステムである。まず、HVACシステム10は、両方ともに同一のハウジングに格納されるフロントHVACユニットとリアHVACユニットとを備える。次に、このHVACシステム10では、フロントHVACユニットとリアHVACユニットはともに同じ単一のエバポレータとヒータコアのみを必要とする。ここで、本発明に係るエバポレータとヒータコアは、前記の従来のHVACシステムの標準的なエバポレータとヒータコアよりも大型である。したがって、デュアル一体型HVACシステムは、冷暖房の効率性と収容性とを低下させるものではない。
【0017】
以下の記載から明らかになるように、本発明のHVACシステム10は、前記の単一のエバポレータとヒータコアの他にも、いくつかの特徴がある。その1つとして、HVACシステム10は、吹出口から車両前方側に向けて送風される空気流の温度を、同システム内の他の換気吹出口から送風される空気流の温度に影響することなく、制御する能力を有する。HVACシステム10の別の特徴として、1つ以上のデフロスタ吹出口から送風される空気流を制御するデュアル空気流デフロスタ機能がある。HVACシステム10のさらに別の特徴として、閉位置にあるときにはリアHVACユニットからの空気流全体を車両前方側に送風するように方向付けるための方向付けドアを備えている。また、HVACシステム10のさらなる別の特徴として、リアHVACユニットがOFF状態のときには、エバポレータの着霜を防ぐ着霜防止機能を備える。
【0018】
図2(a)と(b)、および図3から図5を参照すると、HVACシステム10は、フロントHVACユニット14とリアHVACユニット16とを格納するハウジング12を備える。HVACシステム10は、さらに、エバポレータ18と、ヒータコア20と、空気流方向付けドア22と、リアHVACユニット16の底部に設けられるドレイン開口部24とを備える。エバポレータ18は、フロントHVACユニット14からリアHVACユニット16との間で概ね鉛直になるように配置され、フロントHVACユニット14内に位置する第1部位26と、リアHVACユニット16内に位置する第2部位28とを有する。エバポレータ18の第1部位26と第2部位28とで生成された結露水は、エバポレータ18の第2部位28の底部をつたって排水口24よりHVACシステム10の外部へ排出される。なお、車両外部からの新鮮な高湿度の空気は、エバポレータ18の第1部位26を通過して循環し、車両室内を再循環する低湿度の空気はエバポレータ18の第2部位28を通過して循環する。このように、低湿度の空気が循環していることで、エバポレータ18の第2部位28ではほとんど結露水が生成されない。ヒータコア20は、フロントHVACユニット14とリアHVACユニット16との間で略鉛直になるように配置され、フロントHVACユニット14内に位置する第1部位30と、リアHVACユニット16内に位置する第2部位32とを有する。
【0019】
フロントHVACユニット14は、フロントブロア34と、フロント(第1)空気流路36と、フロント空気混合ドア38と、バイパスドア40と、デフロスタ吹出口44から吹出す空気流を調節するためのデフロスタ吹出口ドア42と、換気吹出口48から吹出す空気流を調節するための換気/暖房吹出口ドア46、およびまたは暖房(フロア)吹出口50とを備える。
【0020】
フロント空気混合ドア38は、エバポレータ18の第1部位26と、ヒータコア20の第1部位30との間に配置され、第1空気流路36を通過する空気流の温度を制御する。エバポレータ18の第1部位26およびヒータコア20の第1部位30は第1空気流路36内に位置する。フロント空気混合ドア38は、回転自在に位置を変化させることで、エバポレータ18の第1部位26から第1空気流路36へ直接流れる冷たい空気と、エバポレータ18の第1部位26からヒータコア20の第1部位30を通過して流れる冷たい空気との割合を変化させる。エバポレータ18の第1部位26からヒータコア20の第1部位30を通過した空気流は、再び第1空気流路36に流入して、エバポレータ18の第1部位26からの冷たい空気と混ざり、所望の温度となってフロントHVACユニット14から送風される空気流を生成する。第1空気流路36を通過する空気流の温度は、混合ドア38を回転させて調節する。
【0021】
バイパスドア40は、図2(a)、図3、図5に示す第1の(閉)位置と、図4に示す第2の(開)位置との間で動作可能である。バイパスドア40は、フロント空気混合ドア38の位置に関わらず、動作させることで、フロント側の吹出口44、48、50の任意の吹出口から吹出す空気流の温度を選択的に独立制御することが可能である。図4に示す実施形態では、バイパスドア40の動作を例示し、デフロスタ吹出口44と関連付けながら説明をする。バイパスドア40を以下に述べるような方法によって、換気吹出口48かつまたは暖房(床)吹出口50から吹出す空気流の温度を独立制御することが可能である。
【0022】
図4を参照しつつ、バイパスドア40が開位置にあるとき、エバポレータ18からの空気流の一部は、第1空気流路36を経由せずに直接デフロスタ吹出口44に向うように送風される。バイパスドア40を開位置から閉位置までの間で任意の位置に回転させて、エバポレータ18からデフロスタ吹出口44に向かって送風される空気流の流量を調節する。このように、デフロスタ吹出口44から送風される空気流の温度調節を、フロント空気混合ドア38の位置を調節することなしに行うことができる。
【0023】
デフロスタ吹出口ドア42は、図2(a)、図3および図5に示す第1の位置または閉位置から、図4に示す第2の位置または開位置までの間で動作可能である。デフロスタ吹出口ドア42が閉位置にあるときには、空気流は換気吹出口48と暖房吹出口50とに向かって送風され、フロントHVACユニット14は後述する換気モードまたは暖房モードのいずれかになっている。デフロスタ吹出口42が開位置にあるときには、空気流はデフロスタ吹出口44に向かって送風され、フロントHVACユニット14はデフロスタモードになっている。さらに、デフロスタドア42は、閉位置から開位置までの間で任意の位置に回転可能であり、これによりデフロスタ吹出口44から吹出す空気流の流量を調節することができる。
【0024】
換気/暖房吹出口ドア46は、図2(a)に示す第1の位置から、図3から図5に示す第2の位置までの間で動作可能である。換気/暖房吹出口ドア46は、換気吹出口48および暖房吹出口50から吹出す空気流の流量を調節する。つまり、デフロスタドア42が閉じられているときに、換気/暖房吹出口ドア46が第1の位置にある場合は、空気流は暖房吹出口50に向かって送風され、フロントHVACユニット14は暖房モードになっている。同様に、デフロスタドア42が閉じられているときに、換気/暖房吹出口ドア46が第2の位置にある場合には、空気流は換気吹出口48に向かって送風され、フロントHVACユニット14は換気モードになっている。また、換気/暖房吹出口ドア46が、第1の位置と第2の位置の間の任意の位置にあるときには、空気流は換気吹出口48と暖房吹出口50との両方に向かって送風され、フロントHVACユニット14は換気/暖房モードになっている。
【0025】
デフロスタ吹出口ドア42と換気/暖房吹出口ドア46が両方とも第1の位置と第2の位置の間にあるときには、空気流を3つの吹出口44、48、50すべてに向かうように送風することができる。
【0026】
リアHVACユニット16は、リアブロア52と、リア(第2の)空気流路54と、リア空気混合ドア56と、リア換気吹出口60かつまたは暖房吹出口62から吹出す空気流を調節するためのリア換気吹出口ドア58とを備える。
【0027】
リア空気混合ドア56は、エバポレータ18の第2部位28とヒータコア20の第2部位32との間に配置され、第2空気流路54を通過する空気流の温度を制御する。エバポレータ18の第2部位28とヒータコア20の第2部位32とは、第2空気流路54内に配置される。したがって、リア空気混合ドア56は異なる位置に回転可能であるため、エバポレータ18の第2部位28から第2空気流路54に向かって直接送風される冷たい空気と、エバポレータ18の第2部位28からヒータコア20の第2部位32を通過する冷たい空気との割合を変えることができる。エバポレータ18の第2部位28からヒータコア20の第2部位32を通過する空気流は再び第2空気流路54に流入して、エバポレータ18の第2部位28からの冷たい空気と混ざることにより、所望の温度でリアHVACユニット16から送風される空気流を生成する。このように、リア空気混合ドア56を回転させることで、第2空気流路54を通過する空気流の温度を調節する。
【0028】
リア換気吹出口ドア58は、図2(a)および図5に示す第1の位置から、図3および図4に示す第2の位置までの間で動作可能である。リア換気吹出口ドア58は、リア換気吹出口60と暖房吹出口62とから吹出す空気流の流量を調節する。具体的には、リア換気吹出口ドア58が第1の位置にあるときに、空気流は暖房吹出口62に向かって送風され、リアHVACユニット16は暖房モードになっている。同様に、リア換気吹出口ドア58が第2の位置にあるときには、空気流はリア換気吹出口60に向かって送風され、リアHVACユニット16は換気モードになっている。リア換気吹出口ドア58が第1と第2の間の任意の位置にあるときには、空気流は、リア換気吹出口60と暖房吹出口62との両方に向かって送風され、HVACユニット16は換気/暖房モードになっている。
【0029】
空気流方向付けドア22は、第1空気流路36と第2空気流路54との間に配置され、図2(a)、図3、図4に示す第1の(閉)位置と、図5に示す第2の(開)位置との間で動作可能である。このように、空気流方向付けドア22は、第1空気流路36と第2空気流路54との間で可動式または回転式の分割器として機能し、リアブロア52から第1空気流路36へ向かって流れる空気流を調節する。つまり、空気流方向付けドア22は、閉位置にあるときは、リアブロア52からの空気流を第2空気流路54へ向うように方向付けて、第1空気流路36への流入を阻止する。また、空気流方向付けドア22は、開位置にあるときには、リアブロア52からの空気流を第1空気流路36へ向かうように方向付けて、第2空気流路54への流入を阻止する。したがって、HVACシステム10の重要な特徴は、前記の通り、空気流方向付けドア22が開いた状態では、エバポレータ18の第1部位26だけでなく第2部位28からの空気流全体を、第1空気流路36を通過させて車両の前方側に向かうように方向付けることにより、車両の前方側を最適に冷房することができる点である。空気流方向付けドア22は、第1の位置から第2の位置の間の任意の位置に動作可能である。したがって、リアブロア52からの空気流を、第1空気流路36と第2空気流路54の両方へ向かうように同時に方向付けることができる。
【0030】
さらに、空気流方向付けドア22が開位置にあるとき、空気流が車両の後方側に送風されるように方向付けられていないため、必然的にリアHVACユニット16のスイッチはOFFの位置にある。ここで、従来のHVACシステムでは、リアHVACユニットのスイッチがOFFの位置にあるときにはエバポレータから空気が流れてこないため、エバポレータ内で着霜が発生して、コンプレッサーがダウンしてしまう可能性がある。しかし、本発明では、空気流方向付けドア22が開位置にあるときには、リアブロア52からの空気流がエバポレータ18の第2部位を通過し続けるため、エバポレータ内の着霜を防ぐことができる。このため、コンプレッサーがダウンする可能性を阻止することができる。
【0031】
図6および図7は、本発明の第2実施形態に係るHVACシステム10を示している。第2実施形態のHVACシステムは、1つまたは複数のデフロスタ吹出口から送風される空気流を制御するデュアル空気流デフロスタの機能を除けば、第1実施形態に係るHVACシステム10と同一である。簡便性の理由から、第2実施形態の構成要素の中で第1実施形態の同じものについては説明を省略する。第1実施形態と異なる第2実施形態の構成要素のみを説明する。
【0032】
第2実施形態では、フロントHVACユニット14は、デフロスタダクト64と、デフロスタ吹出口44の中央部に設置して第1デフロスタ吹出口44Aと第2デフロスタ吹出口44Bを形成するデフロスタ吹出口分割器66とをさらに備える。また、デフロスタ吹出口ドア42は、デフロスタ吹出口ドア42の上面に延設された空気流偏向ブラケット(air deflection bracket)68を備える。デフロスタ吹出口ドア42は、図2(a)、図3、図5に示す第1の(閉)位置と、図6に示す第2の(一部開)位置と、図7に示す第3の(開)位置との間で動作可能である。
【0033】
簡便性の理由から、第1実施形態のみにおいて、デフロスタドア42が第1の位置にある場合を例示した。したがって、第2実施形態のデフロスタドア42が第1の位置にあるときには、第1実施形態と同じように機能する。つまり、デフロスタドア42は第1の位置にあるときは、前記の通り、第1デフロスタ吹出口44Aと第2のデフロスタ吹出口44Bは閉じられており、空気流は換気吹出口48と暖房吹出口50に向かって方向付けされ、フロントHVACユニット14は換気モードまたは暖房モードのいずれかになっている。
【0034】
デフロスタドア42が第2の位置(図6)にあるときには、空気流偏向ブラケット68はデフロスタ吹出口分割器66に当接した状態にある。したがって、この位置にあるときには、第1空気流69は、デフロスタダクト64を通ってデフロスタ吹出口44Aから吹出すように方向付けされる。同時に、空気流偏向ブラケット68は、第2デフロスタ吹出口44Bを閉塞するため、空気流が第2デフロスタ吹出口44Bを通って流れることを阻止する。
【0035】
デフロスタドア42が第3の位置にあるときには、第1デフロスタ吹出口44Aと第2デフロスタ吹出口44Bの両方が開いている。したがって、デフロスタダクト64を通るように方向付けされた第1空気流69は第1デフロスタ吹出口44Aから送風され、第2空気流70は第2デフロスタ吹出口44Bから送風されるため、デフロスタを通過する空気流の流量を最大化することができる。
【0036】
バイパスドア40は、第2実施形態においても第1実施形態と同じように動作する。つまり、バイパスドア40は第2の位置にあるときには、エバポレータ18からの空気流は、第1デフロスタ吹出口44Aおよびまたは第2デフロスタ吹出口44Bに直接向かうように流れる。したがって、第1デフロスタ吹出口44Aおよびまたは第2デフロスタ吹出口44Bから吹出す気流の温度の調節を、フロント空気混合ドア38の位置を調節することなく行うことができる。
【0037】
図8から図12は、本発明の第3実施形態に係るHVACシステム10を例示したものである。第3実施形態のHVACシステム10は、第1実施形態および第2実施形態と同じ特徴を有する。第3実施形態が、第1および第2実施形態と異なる点は、エバポレータ18とヒータコア20の向きが異なっている点である。エバポレータ18については、エバポレータ18は鉛直ではなく、むしろ水平になるように設置されている。具体的には、エバポレータ18は、エバポレータ18の第2の位置から第1の位置に向かって下方に傾くように配置されている。また、ヒータコア20については、概ね水平になるように配置されている。
【0038】
第3実施形態におけるエバポレータ18とヒータコア20の向きは、第1実施形態のエバポレータ18とヒータコア20の向きと異なるため、第3実施形態でのHVACシステム10の物理的な配置は第1実施形態のそれとは異なる。しかし、機能については2つの実施形態ともに同じであるため、第3実施形態の構成要素については、第1実施形態とは異なるもののみについて説明する。
【0039】
HVACシステム10の物理的な配置については、リアブロア52は、第1実施形態ではフロントブロア34に隣接するように配置されていたが、第3実施形態ではHVACシステム10の中央に配置される。つまり、リアブロア52は、車両の乗員室側に向うように中央コンソール(図示せず)内まで延設された状態で、HVACシステム10の中央に配置される。したがって、リアブロア52からの空気流は、車両の乗員室から車両前方側に向かって流れてエンジン室に流入するとともに、車両の乗員室にも還流する。さらに、図2(b)および図13を参照すると、第3実施形態では、図2(b)に示すようにリアブロア52はフロントブロアに隣接して配置されておらず、図13に示すように中央コンソールの領域に配置されているため、乗員のフットスペースが増大する。
【0040】
フロントHVACユニット14はフロント排水口71をさらに備え、また、リアHVACユニット16はリア排水口72をオプションで備えるようにしてもよい。さらに、エバポレータ18は、エバポレータ18の第1部位26と第2部位28の間にシール部材74をオプションで備えるようにしてもよい。シール部材74には2つの目的がある。1つは、シール部材74は第1空気流路36の気流が第2気流路54へ漏れるのを防ぎ、さらに、第2気流路54の気流が第1気流路36へ漏れるのを防ぐ。シール部材74は、エバポレータ18の第2部位28で生成された結露水を第2空気流路54内に向かって降下させ、ここでリア排水口72からHVACシステム10の外部へ排水する。同様に、エバポレータ18の第1部位26で生成された結露水を、図8に示すように、エバポレータ18の前方に向かって排水し、フロント排水口71からHVACシステム10の外部へ排水する。
【0041】
さらに、前記の説明の通りに、新鮮な高湿度の外気はエバポレータ18の第1部位26を通って循環し、車両の室内を再循環する低湿度の空気はエバポレータ18の第2部位28を通って循環する。したがって、低湿度の空気が再循環していることで、エバポレータ18の第2部位28には結露水は生成されない。
【0042】
上記の説明をまとめると、本発明は、単一のエバポレータと単一のヒータコアのみを必要とするなど、いくつかの特徴を有する。本発明のHVACシステムは、さらに、複数のデフロスタ吹出口から吹出す空気流の温度を、システム内の他の換気吹出口から吹出す空気流の温度に影響することなく、調節するためのバイパスドアを備える。また、デュアル空気流デフロスタ機能を使って、1つまたは複数のデフロスタ吹出口から吹出す空気流を調節する。さらに、HVACシステムは方向付けドアを備えており、この方向付けドアが閉じた位置にあるときには、リアHVACユニットからの気流全体を車両の前方側に向かうように方向付けるため、車両の前方側への気流の流量を最大化させることができる。さらにまた、HVACシステムは、リアHVACユニットのスイッチがOFFの位置にあるときにエバポレータの着霜を防ぐ霜防止機能も備える。
【0043】
本発明の実施形態について、前記の通りに具体的に説明し、例示したが、これは、事例的な方法によってこれらの実施形態を説明したものであって、本発明をこれらの実施形態のみに限定するものではなく、以下に記載する特許請求の範囲によってのみ適切に限定されるものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと、
前記ハウジング内に格納されて、フロントブロアと第1空気流路とフロント空気混合ドアとを有するフロントHVACユニットと、
前記ハウジング内に格納されて、リアブロアと第2空気流路とリア空気混合ドアとを有するリアHVACユニットと、
前記第1空気流路内に位置する第1部位と、前記第2空気流路内に位置する第2部位とを有し、略鉛直に配置されるエバポレータと、
前記第1空気流路内に位置する第1部位と、前記第2空気流路内に位置する第2部位とを有し、略鉛直に配置されるヒータコアと、
前記第1空気流路と前記第2空気流路との間に配置され、前記リアブロアから前記第1空気流路に向かって流れる空気流を調節する空気流方向付けドアと
を備えることを特徴とする車両用HVACシステム。
【請求項2】
前記空気流方向付けドアは、第1の位置と第2の位置との間で回転動作可能であり、
前記空気流方向付けドアが前記第1の位置にあるときには、前記リアブロアからの空気流は前記第2空気流路に向かうように方向付けされ、
前記空気流方向付けドアが前記第2の位置にあるときは、前記リアブロアからの空気流は前記第1空気流路に向うように方向付けされる
ことを特徴とする請求項1に記載の車両用HVACシステム。
【請求項3】
前記空気流方向付けドアを、前記第1の位置と前記第2の間の任意の位置に設定して、前記リアブロアからの空気流を前記第1空気流路と前記第2空気流路の両方に向うように同時に送風することを特徴とする請求項2に記載の車両用HVACシステム。
【請求項4】
前記空気流方向付けドアが前記第2の位置にあるときには、前記リアブロアからの空気流が前記エバポレータの前記第2部位を通過して流れ続けることにより、前記エバポレータへの着霜を防ぐことを特徴とする請求項3に記載の車両用HVACシステム。
【請求項5】
前記フロントHVACユニットは、さらに、第1の位置と第2の位置の間で動作可能なバイパスドアを備え、
前記バイパスドアが前記第2の位置にあるときには、前記エバポレータの前記第1部位からの空気流の一部が前記第1空気流路を経由せずに直接フロント吹出口に向かうように方向付けされ、前記フロント空気混合ドアの位置に関わらず前記フロント吹出口から送風される空気流の温度を調節する
ことを特徴とする請求項1に記載の車両用HVACシステム。
【請求項6】
前記フロントHVACユニットは、さらに、デフロスタダクトと、前記デフロスタ吹出口の中央に設置されて第1デフロスタ吹出口と第2デフロスタ吹出口とを形成するデフロスタ吹出口分割器と、上面に空気流偏向ブラケットが延設されたデフロスタ吹出口ドアとを備え、
前記デフロスタ吹出口ドアは、第1の位置と第2の位置と第3の位置との間で動作可能である
ことを特徴とする請求項1に記載の車両用HVACシステム。
【請求項7】
前記デフロスタ吹出口ドアが前記第1の位置にあるときには、前記第1デフロスタ吹出口および前記第2デフロスタ吹出口は閉じており、前記フロント空気流路の空気流は換気吹出口および暖房吹出口の少なくとも一方に向かうように方向付けされ、
前記デフロスタ吹出口ドアが前記第2の位置にあるときには、前記第1デフロスタ吹出口は開いており、第1空気流は前記第1デフロスタ吹出口に向かうように方向付けされ、前記空気流偏向ブラケットは、前記第2デフロスタ吹出口を閉じるように前記デフロスタ吹出口分割器に当接した状態にあり、
前記デフロスタ吹出口ドアが前記第3の位置にあるときには、前記第1デフロスタ吹出口および前記第2デフロスタ吹出口は開いており、前記第1空気流は前記第1デフロスタ吹出口に向かうように方向付けされ、第2空気流は前記第2デフロスタ吹出口に向かうように方向付けされる
ことを特徴とする請求項6に記載の車両用HVACシステム。
【請求項8】
前記車両用HVACシステムは、さらに、前記リアHVACユニットの底面に排水口を備え、
前記エバポレータの前記第1部位と前記第2部位で生成された結露水は、前記エバポレータの底部をつたって前記排水口から前記HVACシステムの外部へ排水される
ことを特徴とする請求項1に記載の車両用HVACシステム。
【請求項9】
ハウジングと、
前記ハウジング内に格納されて、フロントブロアと第1空気流路とフロント空気混合ドアと第1排水口とを有するフロントHVACユニットと、
前記ハウジング内に格納されて、リアブロアと第2空気流路とリア空気混合ドアとリア空気混合ドアとを有するリアHVACユニットと、
前記第1空気流路内に位置する第1部位と、前記第2空気流路内に位置する第2部位と、前記第1部位と前記第2部位との間に設けられたシール部材とを有し、略水平に配置されるエバポレータと、
前記第1空気流路内に位置する第1部位と、前記第2空気流路内に位置する第2部位とを有し、略水平に配置されるヒータコアと、
前記第1空気流路と前記第2空気流路との間に配置され、前記リアブロアから前記第1空気流路に向かって流れる空気流を調節する空気流路方向付けドアと
を備えることを特徴とする車両用HVACシステム。
【請求項10】
前記リアブロアは、エンジン室から車両の乗員室に向かって延びるように前記HVACシステムの中央に配置され、前記リアブロアからの空気流は、前記車両の乗員室から前記車両の前方側に向かって流れて前記エンジン室に流入し、前記車両の乗員室に還流する
ことを特徴とする請求項9に記載の車両用HVACシステム。
【請求項11】
前記エバポレータは、前記エバポレータの前記第2部位から前記第1部位に向かって下方に傾くように方向付けされる
ことを特徴とする請求項9に記載の車両用HVACシステム。
【請求項12】
前記車両の室外からの新鮮な高湿度の空気は、前記エバポレータの前記第1部位を通過して循環し、
前記車両の室内を再循環する低湿度の空気は、前記エバポレータの前記第2部位を通過して循環する
ことを特徴とする請求項9に記載の車両用HVACシステム。
【請求項13】
前記エバポレータの前記第1部位で生成された結露水は前記第1排水口から前記HVACシステムの外部へ排水され、
前記エバポレータの前記第2部位で生成された結露水は前記第2排水口から前記HVACシステムの外部へ排水される
ことを特徴とする請求項9に記載の車両用HVACシステム。
【請求項14】
前記フロントHVACユニットは、さらに、デフロスタダクトと、前記デフロスタ吹出口の中央に設置されて第1デフロスタ吹出口と第2デフロスタ吹出口とを形成するデフロスタ吹出口分割器と、上面に空気流偏向ブラケットが延設されたデフロスタ吹出口ドアとを備え
前記デフロスタ吹出口ドアは、第1の位置と第2の位置と第3の位置との間で動作可能である
ことを特徴とする請求項9に記載の車両用HVACシステム。
【請求項15】
前記デフロスタ吹出口ドアが前記第1の位置にあるときには、前記第1デフロスタ吹出口および前記第2デフロスタ吹出口は閉じており、前記フロント空気流路の空気流は換気吹出口および暖房吹出口の少なくとも一方に向かうように方向付けされ、
前記デフロスタ吹出口ドアが前記第2の位置にあるときには、前記第1デフロスタ吹出口は開いており、第1空気流は前記第1デフロスタ吹出口に向かうように方向付けされ、前記空気流偏向ブラケットは、前記第2デフロスタ吹出口を閉じるように前記デフロスタ吹出口分割器に当接した状態にあり、
前記デフロスタ吹出口ドアが前記第3の位置にあるときには、前記第1デフロスタ吹出口および前記第2デフロスタ吹出口は開いており、前記第1空気流は前記第1デフロスタ吹出口に向かうように方向付けされ、第2空気流は前記第2デフロスタ吹出口に向かうように方向付けされる
ことを特徴とする請求項14に記載の車両用HVACシステム。
【請求項1】
ハウジングと、
前記ハウジング内に格納されて、フロントブロアと第1空気流路とフロント空気混合ドアとを有するフロントHVACユニットと、
前記ハウジング内に格納されて、リアブロアと第2空気流路とリア空気混合ドアとを有するリアHVACユニットと、
前記第1空気流路内に位置する第1部位と、前記第2空気流路内に位置する第2部位とを有し、略鉛直に配置されるエバポレータと、
前記第1空気流路内に位置する第1部位と、前記第2空気流路内に位置する第2部位とを有し、略鉛直に配置されるヒータコアと、
前記第1空気流路と前記第2空気流路との間に配置され、前記リアブロアから前記第1空気流路に向かって流れる空気流を調節する空気流方向付けドアと
を備えることを特徴とする車両用HVACシステム。
【請求項2】
前記空気流方向付けドアは、第1の位置と第2の位置との間で回転動作可能であり、
前記空気流方向付けドアが前記第1の位置にあるときには、前記リアブロアからの空気流は前記第2空気流路に向かうように方向付けされ、
前記空気流方向付けドアが前記第2の位置にあるときは、前記リアブロアからの空気流は前記第1空気流路に向うように方向付けされる
ことを特徴とする請求項1に記載の車両用HVACシステム。
【請求項3】
前記空気流方向付けドアを、前記第1の位置と前記第2の間の任意の位置に設定して、前記リアブロアからの空気流を前記第1空気流路と前記第2空気流路の両方に向うように同時に送風することを特徴とする請求項2に記載の車両用HVACシステム。
【請求項4】
前記空気流方向付けドアが前記第2の位置にあるときには、前記リアブロアからの空気流が前記エバポレータの前記第2部位を通過して流れ続けることにより、前記エバポレータへの着霜を防ぐことを特徴とする請求項3に記載の車両用HVACシステム。
【請求項5】
前記フロントHVACユニットは、さらに、第1の位置と第2の位置の間で動作可能なバイパスドアを備え、
前記バイパスドアが前記第2の位置にあるときには、前記エバポレータの前記第1部位からの空気流の一部が前記第1空気流路を経由せずに直接フロント吹出口に向かうように方向付けされ、前記フロント空気混合ドアの位置に関わらず前記フロント吹出口から送風される空気流の温度を調節する
ことを特徴とする請求項1に記載の車両用HVACシステム。
【請求項6】
前記フロントHVACユニットは、さらに、デフロスタダクトと、前記デフロスタ吹出口の中央に設置されて第1デフロスタ吹出口と第2デフロスタ吹出口とを形成するデフロスタ吹出口分割器と、上面に空気流偏向ブラケットが延設されたデフロスタ吹出口ドアとを備え、
前記デフロスタ吹出口ドアは、第1の位置と第2の位置と第3の位置との間で動作可能である
ことを特徴とする請求項1に記載の車両用HVACシステム。
【請求項7】
前記デフロスタ吹出口ドアが前記第1の位置にあるときには、前記第1デフロスタ吹出口および前記第2デフロスタ吹出口は閉じており、前記フロント空気流路の空気流は換気吹出口および暖房吹出口の少なくとも一方に向かうように方向付けされ、
前記デフロスタ吹出口ドアが前記第2の位置にあるときには、前記第1デフロスタ吹出口は開いており、第1空気流は前記第1デフロスタ吹出口に向かうように方向付けされ、前記空気流偏向ブラケットは、前記第2デフロスタ吹出口を閉じるように前記デフロスタ吹出口分割器に当接した状態にあり、
前記デフロスタ吹出口ドアが前記第3の位置にあるときには、前記第1デフロスタ吹出口および前記第2デフロスタ吹出口は開いており、前記第1空気流は前記第1デフロスタ吹出口に向かうように方向付けされ、第2空気流は前記第2デフロスタ吹出口に向かうように方向付けされる
ことを特徴とする請求項6に記載の車両用HVACシステム。
【請求項8】
前記車両用HVACシステムは、さらに、前記リアHVACユニットの底面に排水口を備え、
前記エバポレータの前記第1部位と前記第2部位で生成された結露水は、前記エバポレータの底部をつたって前記排水口から前記HVACシステムの外部へ排水される
ことを特徴とする請求項1に記載の車両用HVACシステム。
【請求項9】
ハウジングと、
前記ハウジング内に格納されて、フロントブロアと第1空気流路とフロント空気混合ドアと第1排水口とを有するフロントHVACユニットと、
前記ハウジング内に格納されて、リアブロアと第2空気流路とリア空気混合ドアとリア空気混合ドアとを有するリアHVACユニットと、
前記第1空気流路内に位置する第1部位と、前記第2空気流路内に位置する第2部位と、前記第1部位と前記第2部位との間に設けられたシール部材とを有し、略水平に配置されるエバポレータと、
前記第1空気流路内に位置する第1部位と、前記第2空気流路内に位置する第2部位とを有し、略水平に配置されるヒータコアと、
前記第1空気流路と前記第2空気流路との間に配置され、前記リアブロアから前記第1空気流路に向かって流れる空気流を調節する空気流路方向付けドアと
を備えることを特徴とする車両用HVACシステム。
【請求項10】
前記リアブロアは、エンジン室から車両の乗員室に向かって延びるように前記HVACシステムの中央に配置され、前記リアブロアからの空気流は、前記車両の乗員室から前記車両の前方側に向かって流れて前記エンジン室に流入し、前記車両の乗員室に還流する
ことを特徴とする請求項9に記載の車両用HVACシステム。
【請求項11】
前記エバポレータは、前記エバポレータの前記第2部位から前記第1部位に向かって下方に傾くように方向付けされる
ことを特徴とする請求項9に記載の車両用HVACシステム。
【請求項12】
前記車両の室外からの新鮮な高湿度の空気は、前記エバポレータの前記第1部位を通過して循環し、
前記車両の室内を再循環する低湿度の空気は、前記エバポレータの前記第2部位を通過して循環する
ことを特徴とする請求項9に記載の車両用HVACシステム。
【請求項13】
前記エバポレータの前記第1部位で生成された結露水は前記第1排水口から前記HVACシステムの外部へ排水され、
前記エバポレータの前記第2部位で生成された結露水は前記第2排水口から前記HVACシステムの外部へ排水される
ことを特徴とする請求項9に記載の車両用HVACシステム。
【請求項14】
前記フロントHVACユニットは、さらに、デフロスタダクトと、前記デフロスタ吹出口の中央に設置されて第1デフロスタ吹出口と第2デフロスタ吹出口とを形成するデフロスタ吹出口分割器と、上面に空気流偏向ブラケットが延設されたデフロスタ吹出口ドアとを備え
前記デフロスタ吹出口ドアは、第1の位置と第2の位置と第3の位置との間で動作可能である
ことを特徴とする請求項9に記載の車両用HVACシステム。
【請求項15】
前記デフロスタ吹出口ドアが前記第1の位置にあるときには、前記第1デフロスタ吹出口および前記第2デフロスタ吹出口は閉じており、前記フロント空気流路の空気流は換気吹出口および暖房吹出口の少なくとも一方に向かうように方向付けされ、
前記デフロスタ吹出口ドアが前記第2の位置にあるときには、前記第1デフロスタ吹出口は開いており、第1空気流は前記第1デフロスタ吹出口に向かうように方向付けされ、前記空気流偏向ブラケットは、前記第2デフロスタ吹出口を閉じるように前記デフロスタ吹出口分割器に当接した状態にあり、
前記デフロスタ吹出口ドアが前記第3の位置にあるときには、前記第1デフロスタ吹出口および前記第2デフロスタ吹出口は開いており、前記第1空気流は前記第1デフロスタ吹出口に向かうように方向付けされ、第2空気流は前記第2デフロスタ吹出口に向かうように方向付けされる
ことを特徴とする請求項14に記載の車両用HVACシステム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2010−274911(P2010−274911A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−123152(P2010−123152)
【出願日】平成22年5月28日(2010.5.28)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年5月28日(2010.5.28)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】
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