説明

ブドウ膜炎の治療のための方法および組成物

ブドウ膜炎の治療のために有用な薬学的組成物が開示される。これらの組成物は、抑制性オリゴヌクレオチドを含む。免疫抑制性オリゴヌクレオチドを含むこれらの組成物は、前部、後部、およびびまん性ブドウ膜炎を含むブドウ膜炎の治療のために使用することができる。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
分野
これは、ブドウ膜炎の治療のための薬学的組成物の分野に関する。
【0002】
優先権の主張
これは、2004年5月6日に出願した米国仮出願第60/569,276号の恩典を主張し、その全体が参照として本明細書に組み入れられる。
【背景技術】
【0003】
背景
「ブドウ膜炎」という用語下にグループ化される眼内炎症性疾患は、先進工業国における視覚喪失の主要原因である。「ブドウ膜炎」は、ブドウ膜路(すなわち、虹彩、脈絡膜、および毛様体)の眼内炎症をいう。ブドウ膜炎は、米国における約10%の法的盲の原因である(National Institutes of Health, Interim Report of the Advisory Eye Council Support for Visual Research, U.S. Department of Health Education and Welfare, Washington, DC, 1976, pp. 20-22(非特許文献1))。ブドウ膜炎に付随する合併症は、虹彩後癒着、白内障、緑内障、および網膜浮腫を含む(Smith et al., Immunol. Cell Biol. 76:497-512, 1998(非特許文献2))。
【0004】
ブドウ膜炎の治療は、炎症性症候の制御に焦点をおくことが多い。このような場合、眼の炎症を抑制するために、副腎皮質ステロイドが使用されることが多い。前部ブドウ膜炎は、点眼での局部的ステロイド治療に応答することが多い。しかし、後部ブドウ膜炎または全ブドウ膜炎の治療に関して、液滴では、通常眼の後部部分に対してステロイドの治療的レベルが供給されない。次いで、眼周囲注射が指示される。これらの注射は、結膜下に、またはテノン鞘下に投与することができる。
【0005】
副腎皮質ステロイドでの全身治療は、局所注入ができない場合に使用されることが多い。しかし、ブドウ膜炎で最も重篤な場合の多くは、高用量全身副腎皮質ステロイド治療に応答しない。加えて、高血圧症、高血糖、消化性潰瘍形成、クッシング様の特徴、骨粗鬆症、増殖制限、筋障害、精神病、および感染に対する感受性の増大を含み得るこのような全身療法の副作用は、壊滅的であり得る。最後に、局部的および全身性ステロイド療法の多くは、また、緑内障、白内障および眼感染症に対する感受性などの潜在的に視力をおびやかす副作用を有する。ブドウ膜炎治療に使用するために、タクロリムス、シロリムス、およびミコフェノール酸モフェチルなどの新たな免疫抑制剤が調査されている。しかし、これらの薬物は、また、重大な副作用を有する(Anglade and Whitcup, Drugs 49:213-223, 1995(非特許文献3))。したがって、眼の炎症性疾患を治療するための新たな方法に対する需要が存在する。
【0006】
【非特許文献1】National Institutes of Health, Interim Report of the Advisory Eye Council Support for Visual Research, U.S. Department of Health Education and Welfare, Washington, DC, 1976, pp. 20-22
【非特許文献2】Smith et al., Immunol. Cell Biol. 76:497-512, 1998
【非特許文献3】Anglade and Whitcup, Drugs 49:213-223, 1995
【発明の開示】
【0007】
概要
薬学的組成物は、ブドウ膜炎などの眼内炎症の治療のために有用なものを開示してある。これらの組成物は、抑制性オリゴヌクレオチドの治療上有効量を含む。これらの組成物は、前部、後部、およびびまん性ブドウ膜炎を含むブドウ膜炎の治療のために使用することができる。
【0008】
前述の、およびその他の特徴および利点は、添付の図を参照しながら進行する以下のいくつかの態様の詳細な説明からより明らかになると思われる。
【0009】
配列表
添付の配列表に列記した核酸配列およびアミノ酸配列は、米国特許法施行規則1.822条において定義されたとおりに、ヌクレオチド塩基のための標準的文字略語およびアミノ酸のための3文字コードを使用して示してある。
【0010】
SEQ ID NO:1〜25は、抑制性オリゴヌクレオチドの核酸配列である。SEQ ID NO:2は、A151の核酸配列であることに留意すべきである。
【0011】
SEQ ID NO:26は、対照ODNの核酸配列である。
【0012】
詳細な説明
I. 略語
CFA:完全フロイントアジュバント
EAU:実験的自己免疫性ブドウ膜炎
ELISA:酵素結合免疫吸着検定法
HEL:雌鶏卵子リゾチーム
Hrs:時間
IFN-g:インターフェロンγ
IL-4:インターロイキン4
i.p.:腹腔内
IRBP:光受容体間レチノイド結合タンパク質
ODN:オリゴヌクレオチド
PPD:精製タンパク質誘導体
PBS:リン酸緩衝食塩水
S-Ag:S抗原またはアレスチン
μg:マイクログラム
【0013】
II. 用語
他に断らない限り、学術用語は、従来の使用に従って使用される。分子生物学における一般の用語の定義は、Benjamin Lewin、Genes V、Oxford University Pressにより出版、1994 (ISBN 0-19- 854287-9); Kendrew et al. (eds.)、The Encyclopedia of Molecular Biology、Blackwell Science Ltd.により出版、1994(ISBN 0-632-02182-9);およびRobert A. Meyers (ed.)、Molecular Biology and Biotechnology: a Comprehensive Desk Reference、VCH Publishers, Inc.により出版、1995 (ISBN 1-56081-569-8)に見いだされ得る。
【0014】
この開示の種々の態様の概説を容易にするために、以下の特定の用語の説明を提供してある。
【0015】
動物:
生きている多細胞脊椎動物の生物体、たとえば哺乳類および鳥類を含むカテゴリー。哺乳類という用語は、ヒトおよび非ヒト哺乳類を含む。同様に、「被験体」という用語は、ヒトおよび獣医学的被験体を含む。
【0016】
抗原:
動物内に注射され、または吸収される組成物を含む、動物において抗体の産生もしくはT細胞応答を刺激することができる化合物、組成物または物質。抗原は、異種の免疫原によって誘導されるものを含む特定の体液性または細胞性免疫の産物と反応する。「抗原」という用語は、全ての関連した抗原性エピトープを含む。「エピトープ」は、抗原性である分子上の1つもしくは複数の特定の化学基またはペプチド配列である(これは、特異的免疫応答を誘発する)。抗体は、特定の抗原性エピトープに結合する。
【0017】
アンチセンス、センス、およびアンチジーン:
二本鎖DNA(dsDNA)は、プラス鎖と称する5'→3'鎖と、マイナス鎖と称する3'→5'鎖(逆相補)の2つの鎖を有する。RNAポリメラーゼは、5'→3'方向に核酸を付加するので、DNAのマイナス鎖は、RNA転写の間に鋳型としての役割を果たす。したがって、形成されるRNAは、マイナス鎖に相補的で、かつプラス鎖と同一の配列を有する(UがTに置換されることを除く)。
【0018】
アンチセンス分子は、RNAもしくはDNAのプラス鎖のいずれかに対して特異的にハイブリダイズ可能か、または特異的に相補的な分子である。センス分子は、DNAのマイナス鎖に対して特異的にハイブリダイズ可能か、または特異的に相補的な分子である。抗遺伝子分子は、dsDNA標的に向けられたアンチセンスまたはセンス分子のいずれかである。一つの態様において、アンチセンス分子は、標的mRNAに特異的にハイブリダイズし、標的mRNAの転写を阻害する。
【0019】
自己免疫疾患:
免疫系が、内因性抗原に対して免疫応答(たとえば、B細胞またはT細胞応答)を生じる障害で、組織に対する傷害を伴う。たとえば、リウマチ様関節炎は、自己免疫疾患であり、橋本甲状腺炎、悪性貧血、アジソン病、I型糖尿病、シェーグレン症候群、皮膚筋炎、エリテマトーデス、多発性硬化症、重症筋無力症、ライター症候群、およびグレーブス病も同様である。
【0020】
円偏光二色性(CD)評価:
G-四分子の形成により、個々のオリゴヌクレオチドとは異なる物理的性質をもつ複合体を生じる。分光学的には、これは、円偏光二色性(CD)が増大されること、および二次構造の形成のために260〜280nm波長に対するピークの吸光度が増大されることによって明らかにされる。したがって、G-四分子を形成するオリゴヌクレオチドを同定するための便利な方法は、これらのCD値を研究することである。典型的G-四分子形成オリゴヌクレオチドは、ピーク楕円率値が2.0を超えるまで増加する。楕円率が高いほど、オリゴヌクレオチドの四分子形成能が高くなる。
【0021】
CpGまたはCpGモチーフ:
シトシン、続いてリン酸結合によって連結されたグアニンを有する、シトシンのピリミジン環がメチル化されていない核酸。「メチル化されたCpG」という用語は、通常ピリミジン環の5位に生じる、ピリミジン環上のシトシンのメチル化をいう。CpGモチーフは、中心のCpGに(3'および5'側に)隣接する少なくとも1つの塩基によって囲まれた、メチル化されていない中心のCpGを含む塩基のパターンである。理論に拘束されないが、CpGに隣接する塩基は、CpGオリゴデオキシヌクレオチドに対して活性な部分を与える。「CpGオリゴヌクレオチド」または「免疫賦活性CpGオリゴヌクレオチド」は、長さが少なくとも約10ヌクレオチドであり、メチル化されていないCpGモチーフを含むオリゴヌクレオチドである。CpGオリゴヌクレオチドは、D型およびK型オリゴデオキシヌクレオチドを含む(Verthelyi et al., J. Immunol. 166:2372-2377, 2001を参照されたい、これは、本明細書に参照として組み入れられる)。また、CpGオリゴヌクレオチドは、C型オリゴデオキシヌクレオチドを含み(Hartmann et al., Eur. J. Immunol. 33:1633-1641, 2003を参照されたい、本明細書に参照として組み入れられる)、これは、B細胞および樹状細胞を活性化する。CpGオリゴデオキシヌクレオチドは、一本鎖である。全てのCpGオリゴデオキシヌクレオチドは、メチル化されていないことができ、または一部が、メチル化されていなくてもよい。一つの態様において、少なくとも5'CG3'のCは、メチル化されていない。
【0022】
サイトカイン:
リンパ球などのその他の細胞の挙動に影響を及ぼす細胞によって作製されるタンパク質。一つの態様において、サイトカインは、細胞の輸送に影響を及ぼす分子のケモカインである。もう一つの態様において、サイトカインは、リンパ球の成熟を変化させて、B細胞によるアイソタイプ転換に影響を及ぼす。
【0023】
実験的自己免疫性ブドウ膜網膜炎(EAU):
いくつかの網膜自己抗原によって誘導することができるブドウ膜炎のための動物モデル(Gery and Streilein, Curr. Opinion Immunol. 6:938, 1994; Nussenblatt and Gery, J. Autoimmunity 9:575-585, 1996; Gery et al., “Autoimmune Diseases of the Eye. In: Theofilopoulosand Bona“ (eds.), The Molecular Pathology of Autoimmune Diseases, 2nd Edition, Taylor and Francis, New York, pp. 978-998, 2002を参照されたい)。一般に、眼内炎症は、自己抗原を使用してヒト以外の動物種において誘導される。たとえば、モデル系を作製するために、マウス、ラット、ウサギ、またはブタの眼特異的抗原での免疫化を使用することができる。アレスチンおよび光受容体間レチノールタンパク質(アミノ酸配列については、IRBP、Swissprotアクセッション番号P12661、P49194、P12662を参照されたい)は、EAUを生じさせるために使用されてきた。実験的自己免疫性ブドウ膜網膜炎(EAU)は、網膜に由来するいくつかの自己抗原によって誘導することができる
【0024】
最も評価された抗原およびモデル系のうちの1つは、網膜S抗原によって誘導されるEAUである(S-Agは、Swissprotアクセッション番号Q99858、P10523、P20443、P36576を参照されたい)。S-Agは、リン酸化された細胞色素と結合し、視覚カスケードにおいて光励起される光受容体とトランスデューシンの相互作用を遮断する。S-Agは、内因性中間体および後部ブドウ膜炎であるかなりの数のヒト患者が、一貫してインビトロでの増殖性応答を示す唯一の網膜自己抗原である(Nussenblatt et al., Am. J. Ophthalmol. 89:173, 1980; Nussenblatt et al., Am. J. Ophthalmol. 94:147, 1982)。S-Agの完全アミノ酸配列が記述されており、それぞれNおよびMと命名された2つの断片をもち、ブドウ膜炎性を示す(Donoso et al., Curr. Eye Res. 8:1151, 1987; Singh et al., Cell. Immunol. 115:413, 1988)。このモデルの免疫操作では、ヒト・ブドウ膜網膜炎に関して優れた予測値を有するように見え、最初にEAUモデルで試験されたヒトにおけるシクロスポリン使用の臨床的有効性が、同様に証明された(Nussenblatt et al., J. Clin. Invest. 67:1228, 1981)。
【0025】
機能的に等価:
たとえば抑制性ODNにおいて、本明細書に記述したものと同じ結果を得た配列変化。このような配列変化は、欠失、塩基修飾、突然変異、標識化、および挿入を含むことができるが、これらに限定されるわけではない。
【0026】
G-四分子:
G-四分子は、複雑な二次および/または三次構造に適応することができるGに富むDNAセグメントである(図1を参照されたい)。G-四分子は、環状Hoogsteen水素結合配置で4つのGの平面会合を含む(これは、非ワトソンクリック塩基対形成を含む)。一般に、ODNがG-四分子を形成するためには、2つまたはそれ以上の隣接する一続きのGまたは塩基の>50%がGである六量体領域が必要である。隣接する一続きのGが長いほど、またODNのG含量が高いほど、CDまたは楕円率値によって反映されるように、G-四分子形成の可能性も高くなる。
【0027】
また、G-四分子を形成するオリゴヌクレオチドは、より高レベルの凝集体を形成することができ、これは、免疫細胞によって、たとえばスカベンジャー受容体を介して、またはヌクレオリンによって、より容易に認識され、取り込まれる。
【0028】
グアノシンに富む配列:
塩基の>50%がGであるヌクレオチド配列の六量体領域。
【0029】
免疫抑制剤:
炎症反応などの免疫応答を減少させることができる、化学物質、小分子、ステロイド、核酸分子、またはその他の生物学的薬剤などの分子。免疫抑制剤は、ブドウ膜炎を治療する際に有用な薬剤を含むが、これらに限定されるわけではない。免疫抑制剤の具体的な非限定の例は、副腎皮質ステロイド、シクロスポリンA、FK506、および抗CD4である。さらなる例において、薬剤は、キネレット(登録商標)(アナキンラ)、エンブレル(登録商標)(エタナーセプト)またはレミケード(登録商標)(インフリキシマブ)などの生体応答調節剤、アラバ(登録商標)(レフルノミド)などの疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARD)である。炎症を治療するために有用な薬剤は、非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)、セレブレックス(登録商標)(セレコキシブ)およびビオックス(登録商標)(ロフェコキシブ)などの特異的シクロ-オキシゲナーゼ-2(COX-2)阻害剤、またはヒアルガン(登録商標)(ヒアルロナン)およびシンヴィスク(登録商標)(hylan G-F20)などの別の製品を含む。さらなる免疫抑制剤を本明細書に開示してある。
【0030】
免疫を媒介した障害:
望まれない免疫応答を含む障害。「非自己」タンパク質の免疫認識は、感染を回避して除去するために必須であるが、免疫応答は、時には望まれないこともあり得る。障害は、自己免疫疾患、炎症性障害、移植片対宿主病、移植された異種組織の拒絶反応、またはアレルギー障害であることができる。
【0031】
免疫応答:
刺激に対する、B細胞、T細胞、またはマクロファージなどの免疫系の細胞の応答。一つの態様において、応答は、特定の抗原に対して特異的である(「抗原特異的応答」)。
【0032】
炎症:
傷害の部位にて生じ、かつ免疫学的成分を有する一連の局部的組織反応。傷害は、外傷、血液供給の欠如、出血、自己免疫性の攻撃、移植された外来組織、または感染によるものであってもよい。この体による全般的反応は、免疫系の多くの成分(サイトカインなど)の放出、損傷の部位に対する細胞の誘引、体液の放出による組織の腫張、およびその他のプロセスを含む。炎症は、感染性または非伝染性の病態であることができる。眼においては、炎症により、血管の拡張、血管外空間への体液の漏出、白血球およびその他の細胞の遊走を生じる。
【0033】
感染因子:
ウイルス、細菌、および真菌を含むが、これらに限定されるわけではない被験体に感染することができる因子。
【0034】
単離された:
「単離された」生物学的成分(核酸、ペプチド、またはタンパク質など)は、成分が天然に存在する生物体の細胞のその他の生物学的成分、すなわちその他の染色体および染色体外のDNAおよびRNA並びにタンパク質から実質的に分離され、それらと別個に(apart from)産生され、またはそれらと離して(away from)精製されている。したがって、「単離された」核酸、ペプチド、およびタンパク質は、標準的精製法によって精製された核酸およびタンパク質を含む。また、本用語には、宿主細胞における組換え発現によって調製された核酸、ペプチド、およびタンパク質、並びに化学的に合成された核酸およびタンパク質を包含する。
【0035】
白血球:
感染性生物体および生体異物から体を守ることに関与する、「ホワイトセル」とも呼ばれる血液中の細胞。白血球は、骨髄で産生される。5つの主なタイプの白血球があり、2つの主なグループに細分される:多形核白血球(好中球、好酸球、好塩基球)および単核白血球(単球およびリンパ球)。感染が現れる存在すると、白血球の産生が増大する。
【0036】
哺乳類:
本用語は、ヒトおよび非ヒト哺乳類を含む。同様に、「被験体」という用語は、ヒトおよび獣医学の被験体を含む。
【0037】
核酸:
一本もしくは二本鎖形態のいずれかのデオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチド重合体であり、他に限定されない限り、天然に存在するヌクレオチドに類似する様式で核酸にハイブリダイズする公知の天然のヌクレオチドの類似体を包含する。
【0038】
オリゴヌクレオチドまたは「オリゴ」:
複数のヌクレオチド(すなわち、リン酸基に、および交換可能な有機塩基に連結された糖(たとえば、リボースまたはデオキシリボース)を含む分子で、置換されたピリミジン(Py)(たとえば、シトシン(C)、チミン(T)、またはウラシル(U))または置換されたプリン(Pu)(たとえば、アデニン(A)、またはグアニン(G))のいずれかである。本明細書に使用される「オリゴヌクレオチド」という用語は、オリゴリボヌクレオチド(ORN)およびオリゴデオキシリボヌクレオチド(ODN)をいう。また、「オリゴヌクレオチド」という用語は、オリゴヌクレオシド(すなわち、リン酸のないオリゴヌクレオチド)および任意の他の有機塩基重合体を含む。オリゴヌクレオチドは、既存の核酸供与源(たとえば、ゲノムまたはcDNA)から得ることができるが、好ましくは、合成である(たとえば、オリゴヌクレオチド合成によって産生される)。
【0039】
「安定化されたODN」は、インビボにおける分解(たとえばエクソ-またはエンドヌクレアーゼを経たもの)に比較的耐性であるODNである。一つの態様において、安定化されたODNは、修飾されたリン酸バックボーンを有する。安定化されたODNの1つの具体的な非限定の例は、ホスホロチオアート修飾されたリン酸バックボーン(リン酸酸素の少なくとも1つが、硫黄によって置換されている)を有する。その他の安定化されたODNは、アルキル-およびアリール-ホスホナート(荷電したホスホナート酸素が、アルキルまたはアリール基によって置換されている)、リン酸ジエステル、およびアルキルホスホトリエステル)などの非イオン性DNA類似体(荷電された酸素部分が、アルキル化されている)を含む。また、一方または両方の末端にテトラエチレングリコールまたはヘキサエチレングリコールなどのジオールを含むODNも、ヌクレアーゼ分解に実質的に耐性であることが示されている。
【0040】
「免疫賦活性ODN」、「ODNを含む免疫賦活性CpG」、「CpG ODN」とは、シトシン、グアニンジヌクレオチド配列を含むオリゴデオキシヌクレオチドをいい、脊椎動物の免疫細胞を刺激する(たとえば、分裂促進効果を有する)。シトシン、グアニンは、メチル化されていない。免疫賦活性オリゴヌクレオチドは、長さが少なくとも約10ヌクレオチドであり、かつこれらの核酸配列にメチル化されていないCpGモチーフを有するオリゴヌクレオチドを含む。D型およびK型オリゴデオキシヌクレオチド(Verthelyi et al., J. Immunol. 166:2372-2377, 2001を参照されたい、これは、本明細書に参照として組み入れられる)、およびC型オリゴデオキシヌクレオチド(Hartmann et al., Eur. J. Immunol. 33:1633-1641, 2003を参照されたい、本明細書に参照として組み入れられる)は、免疫賦活性ODNである。
【0041】
「抑制性ODN」は、炎症などの免疫応答を減少させることができるオリゴヌクレオチドをいう。これらのODNは、本明細書において詳述してある。抑制性ODNは、長さが少なくとも8ヌクレオチドのDNA分子であり、ODNは、G-四分子を形成し、かつ約2.9を超えるCD値を有する。抑制性ODNにおいて、グアノシンの数は、少なくとも2つである。一つの態様において、抑制性ODNは、CpG ODNの投与の前に、同時に、後に投与された場合に、CpG DNAによって引き起こされる免疫活性化を阻害する。
【0042】
「ODN送達複合体」は、ターゲティング手段(たとえば、標的細胞(たとえば、B細胞またはナチュラルキラー(NK)細胞)表面に対してより高い親和性結合を生じ、および/または標的細胞による細胞の摂取が増大された分子)に結合された(たとえば、イオンにより、もしくは共有結合により結合されたか;またはその中にカプセル化された)ODNである。ODN送達複合体の例は、以下と結合されたODNを含む:ステロール(たとえば、コレステロール)、脂質(たとえば、カチオン脂質、ビロゾーム、またはリポソーム)、または標的細胞特異的結合剤(たとえば、標的細胞特異的受容体によって認識されるリガンド)。一般に、複合体は、標的細胞によるインターナリゼーションの前の重要な脱共役を防止するように、インビボにおいて十分に安定である。しかし、複合体は、オリゴヌクレオチドが機能的であるように、細胞内の適切な状態下で切断可能であるか、またはさもなければ接触可能であることができる。(Gursel, J. Immunol. 167:3324, 2001)。
【0043】
非経口的:
たとえば、消化管を経ずに、小腸の外に投与されること。一般に、非経口的製剤は、摂取以外の任意の可能な様式を介して投与されるものである。本用語は、特に、静脈内、くも膜下腔内、筋肉内、腹腔内、硝子体内、または皮下に投与されるかどうかにかかわらず、注射、並びにたとえば鼻腔内、皮内、および局所的適用を含む種々の表面適用をいう。
【0044】
医薬品または薬物:
適切に被験体に投与された場合に、所望の治療的または予防的効果を誘導することができる化学物質または組成物。医薬品は、化学療法薬および抗感染剤を含むが、これらに限定されるわけではない。
【0045】
薬学的に許容される担体:
本開示に有用な薬学的に許容される担体は、従来のものである。E. W. Martin、Mack Publishing Co.、Easton、PA、15th Edition (1975)によるRemington's Pharmaceutical Sciencesは、本明細書に開示した融合タンパク質の薬学的送達のために適した組成物および製剤を記述する。
【0046】
一般に、担体の性質は、使用される特定の投与様式に依存する。たとえば、非経口的製剤は、通常、媒体として水、生理食塩水、平衡塩類溶液、水性デキストロース、グリセロールなどの薬学的および生理的に許容される液体を含む注射用の液体を含む。固体組成物(たとえば、粉末、丸剤、錠剤、またはカプセル形態)については、従来の無毒の固体担体には、たとえば薬学的等級のマンニトール、乳糖、デンプン、またはステアリン酸マグネシウムを含むことができる。生物学的に中性の担体に加えて、投与される薬学的組成物には、湿潤剤または乳化剤、防腐剤、およびpH緩衝剤等、たとえば酢酸ナトリウムまたはソルビタンモノラウレートなどの微量の無毒の補助物質を含むことができる。
【0047】
疾患を予防または治療すること:
たとえば、自己免疫疾患などの疾患に対する素因を有することが公知である人において、疾患を「予防する」ことは、疾患の完全な発症を阻害することをいう。素因が公知である人の例は、家族に疾患歴がある者、または被験体が状態の素因になる因子に曝露された者である。「治療」は、発病が開始した後に、疾患もしくは病的状態の徴候または症候を寛解させる治療的介入をいう。
【0048】
精製された:
精製されたという用語は、絶対純度を必要とせず;むしろ、これは、相対的な用語として意図される。したがって、たとえば、精製されたペプチドまたは核酸標品は、ペプチド、タンパク質、または核酸が細胞内のその天然の環境にあるよりも、ペプチド、タンパク質、または核酸が濃縮したものである。好ましくは、標品は、タンパク質、ペプチド、または核酸が、標品の総ペプチド、タンパク質、または核酸含量の少なくとも50%を表すように、たとえば、含量の少なくとも約80%、90%、905、98%、99%、または100%であるように精製される。
【0049】
治療薬:
一般的な意味に使用され、これは、治療薬、予防薬、および代用薬を含む。抑制性ODNは、治療薬の1つの形態である。
【0050】
治療上有効量:
治療される被験体において所望の効果を達成するために十分な薬剤の量。たとえば、これは、被験体においてCpGで誘導される免疫細胞活性化を抑制するために必要な抑制性ODNの量、またはブドウ膜炎などの疾患の進行を予防し、もしくは回復を生じさせるために十分な用量、または眼炎症などの疾患によって生じる症候を軽減することができる用量であることができる。一つの例において、量は、疾患の進行を予防し、または回復を生じさせるために十分である。もう一つの例において、量は、眼前房における炎症細胞の存在もしくは毛様体の痙攣などのブドウ膜炎の徴候または症候を阻害するために、またはリンパ球浸潤を減少させるために十分である。
【0051】
抑制性ODNの有効量は、全身性または局所的に投与することができる(下記を参照されたい)。加えて、抑制性ODNの有効量は、単一用量で、または数回の用量で、治療の経過の間にたとえば毎日投与することができる。しかし、ODNの有効量は、適用される標品、治療される被験体、重症度および苦痛の型、並びに化合物の投与の様式に依存すると考えられる。たとえば、抑制性ODNの治療上有効量は、有効性に基づいて、いくつかの態様において、約0.01mg/kg体重〜約1g/kg体重で、または約0.01mg/kg〜約60mg/kg体重で変更することができる。
【0052】
本明細書に開示される抑制性ODNは、医学的および獣医学的設定において同等の適用を有する。したがって、一般的「被験体」および「治療される被験体」という用語は、ヒトまたはその他のサル、イヌ、ネコ、ウマ、およびウシを含む全ての動物を含むことが理解される。
【0053】
ブドウ膜路:
ブドウ膜路は、3つの部分、虹彩、毛様体、および脈絡膜で構成される。これは、眼の中間の、血管層であり、角膜および強膜によって外部から保護されている。これは、網膜の血液供給に寄与する。
【0054】
虹彩は、毛様体の前側切片である。これは、瞳孔と呼ばれる中央の開口部をもつ比較的平らな表面を有する。虹彩は、レンズと接触して位置し、前房を後房から分ける。虹彩の機能は、眼に入る光の量を制御することである。
【0055】
毛様体は、脈絡膜の前側の終端から虹彩の根元まで前方に延長している。これは、2つの帯域、ひだ部および扁平部で構成される。毛様体には2つの上皮の層、外部の色素沈着した層と内部の非着色層とがある。毛様体は、虹彩の根元を形成し、レンズのサイズを制御する。眼房水は、眼の後房内において毛様体突起によって分泌される。
【0056】
脈絡膜は、ブドウ膜路の後部部分および眼の中間部にあり、これは網膜と強膜との間に位置する。これは、主に血管で構成される。脈絡膜の機能は、下にある網膜の外側部分を育てることである。
【0057】
ブドウ膜炎:
虹彩炎、毛様体炎、汎ブドウ膜炎、後部ブドウ膜炎、および前部ブドウ膜炎を含む眼内の炎症性疾患。虹彩炎は、虹彩の炎症である。毛様体炎は、毛様体の炎症である。汎ブドウ膜炎は、眼の全てのブドウ膜(血管)層の炎症をいう。中間ブドウ膜炎(周辺性ブドウ膜炎とも呼ばれる)は、毛様体および扁平部の領域の虹彩およびレンズのすぐ後ろの領域の中央に位置し、「毛様体炎」および「扁平部炎」とも呼ばれる。
【0058】
「後部」ブドウ膜炎は、一般に脈絡網膜炎(脈絡膜および網膜の炎症)をいう。後部ブドウ膜炎は、多様な症候を生じさせ得るが、最も一般的には、中間ブドウ膜炎と同様の飛蚊症および視覚の減少を引き起こす。徴候には、硝子体液内の細胞、網膜および/または下にある脈絡膜の白色もしくは黄色〜白色病変、滲出性網膜剥離、網膜血管炎、および視神経浮腫を含む。
【0059】
前部ブドウ膜炎は、虹彩毛様体炎(虹彩および毛様体の炎症)および/または虹彩炎をいう。前部ブドウ膜炎は、最も症候性である傾向があり、典型的には疼痛、発赤、羞明、および視覚の減少を示す。前部ブドウ膜炎の徴候には、瞳孔の縮瞳および角膜に隣接した結膜の充血、いわゆる輪部周辺フラッシュを含む。生体顕微鏡、または細隙灯での知見は、眼房水における細胞およびフレア、並びに細胞の凝集塊および角膜内皮に対するタンパク質材料の付着である角膜裏面沈降物を含む。「びまん性」ブドウ膜炎は、前部、中間部、および後部構造を含む眼の全ての部分の炎症を含む。
【0060】
「急性」ブドウ膜炎は、徴候および症候が急に生じ、約6週まで持続するブドウ膜炎の形態である。「慢性」ブドウ膜炎は、発症が徐々であり、約6週よりも長く持続する形態である。
【0061】
眼の炎症の炎症性産物(すなわち、細胞、フィブリン、過剰タンパク質)は、一般に眼の流体空間、すなわち前房、後房、および硝子体空間に見いだされ、並びに差し迫って炎症応答に関与する組織を浸潤する。
【0062】
ブドウ膜炎は、自己免疫疾患(リウマチ様関節炎、ベシェ病、強直性脊椎炎、サルコイドーシスなど)の成分として、隔離された免疫を媒介した眼障害(扁平部炎または虹彩毛様体炎など)として、公知の病因に関連のない疾患として、眼に対する外科的傷害または外傷性傷害に続いて、およびブドウ膜組織に堆積した抗体-抗原複合体を生じさせる一定の全身性疾患に続いて生じてもよい。ブドウ膜炎は、ベシェ病、サルコイドーシス、フォークト-小柳-原田症候群、散弾網脈絡膜症、および交感性眼炎と関連する眼の炎症を含む。したがって、非伝染性ブドウ膜炎は、感染因子の非存在下で生じる。
【0063】
また、多種多様な感染性薬剤が、ブドウ膜炎を生じさせ得る。伝染力のある病態が診断された場合に、疾患を治療するために適切な抗菌薬を投与することができる。しかし、ブドウ膜炎の病態は、大部分の場合において、わかりにくいままである。
【0064】
他に説明されない限り、本明細書に使用される全ての技術的および科学的用語は、本開示が属する当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。単数の「1つ(a)」、「1つ(an)」および「その(the)」という用語は、文脈が他に明らかに示さない限り、複数の言及を含む。同様に、「または(or)」という語は、文脈が他に明らかに示さない限り、「および(and)」を含むことが企図される。核酸またはポリペプチドに対して与えられる全ての塩基サイズまたはアミノ酸サイズ、並びに全ての分子重量または分子量値は、近似であり、記述のために提供されることがさらに理解される。本明細書に記述したものに類似するか、または均等な方法および材料を本開示の実施または試験に使用することができるが、適切な方法および材料を下記に記述してある。「含む」という用語は、「包含する」を意味する。本明細書で言及した全ての刊行物、特許出願、特許、およびその他の参照は、これらの全体が参照として組み入れられる。矛盾する場合には、用語の説明を含む本願明細書が支配する。加えて、材料、方法、および実施例は、図解であり、限定されることは企図されない。
【0065】
IIIいくつかの態様の記述
A.抑制性オリゴデオキシヌクレオチドおよびグアノシン-四重体(G-四分子)
本開示は、免疫活性化を選択的に阻害し、または抑制するDNAモチーフのクラスに関する。これらのODNは、PCT出願番号PCT/US02/30532に記述されており、本明細書に参照として組み入れられる。最大活性は、これらのモチーフの多量体を使用して観察され、これらはG塩基に富み、かつG-四重体(G-四分子)を形成することができる。G-四分子は、複雑な二次および/または三次構造に適応することができるGに富むDNAセグメントである(図1を参照されたい)。開示の抑制性ODNは、高度に特異的であり(すなわち、有毒でもなく、または非特異的免疫抑制性でもない)、免疫応答を阻害するために有用である。一つの態様において、抑制性ODNは、インビボにおよびインビトロにおいてCpGモチーフによって引き起こされる免疫活性化を遮断するために有用である。
【0066】
G-四分子は、環状Hoogsteen水素結合配置で4つのGの平面会合を含む(これは、非ワトソンクリック塩基対形成を含む)。一般に、ODNがG-四分子を形成するためには、2つまたはそれ以上の隣接する一続きのGまたは塩基の>50%がGである六量体領域のいずれかが必要である。隣接する一続きのGが長いほど、またODNのG含量が高いほど、より高い楕円率値によって反映されるように、G-四分子形成の可能性も高くなる。また、G-四分子を形成するオリゴヌクレオチドは、より高レベルの凝集体を形成することができ、これは、免疫細胞によって、たとえばスカベンジャー受容体を介して、またはヌクレオリンによって、より容易に認識され、取り込まれる。
【0067】
G-四分子の形成により、個々のオリゴヌクレオチドとは異なる物理的性質をもつ複合体を生じる。分光学的には、これは、円偏光二色性(CD)が増大されること、および二次構造の形成のために260〜280nm波長に対するピークの吸光度が増大されることによって明らかにされる。したがってG-四分子を形成するオリゴヌクレオチドを同定するための便利な方法は、これらのCD値を研究することである。典型的なG-四分子形成オリゴヌクレオチドは、ピーク楕円率値が2.0を超えるまで増加する。たとえば、G-四分子形成ODNは、2.2、2.4、2.6、2.8、3.0、3.2、3.5、4.0、4.5、5.0、5.5、6.0、6.5、7.0、7.5、8.0、8.5、9.0、またはより高いCD値を有することができる。楕円率値が高いほど、オリゴヌクレオチドの四分子-形成能は高く、そして8.5のCD値をもつODNは、典型的には、より大きい2.9のCD値をもつODNよりも抑制性である。
【0068】
一部の態様において、ODNは、約8〜約120ヌクレオチドの長さである。特定の例において、ODNは、約10〜約30ヌクレオチドの長さである。任意に、抑制性ODNは、複数のグアノシンに富む配列を有し、たとえば、一定の態様において、ODNは、約2〜約20個のグアノシンに富む配列、またはより詳しくは、約2〜約4つのグアノシンに富む配列を有する。
【0069】
一つの態様において、抑制性ODNは、少なくとも1つのヒト・テロメアに由来するTTAGGGの抑制性モチーフを含む配列を有する(実施例1を参照されたい)。いくつかの例において、ODNは、少なくとも1つのTTAGGGモチーフを有し、一定の例において、ODNは、複数のTTAGGGのモチーフを有する。たとえば、特定の例において、ODNは、約2〜約20個のTTAGGGのモチーフ、または約2〜約4つのTTAGGGのモチーフを有する。本態様において、複数のTTAGGGリピートを含む抑制性ODNが、最も抑制性である。単一のTTAGGGのモチーフは、10を超える塩基をもつより大きなODNに取り込まれた場合に抑制性である。TTAGGGのモチーフは、シスまたはトランス位置にあってもよく、すなわち、これらは、刺激性CpG配列を発現するDNAと同じ鎖上か、または異なる鎖上に存在してもよい。
【0070】
CpGで誘導される免疫活性化の抑制には、G-四分子形成のために必要な二次元構造を強要するG-四分子形成配列が必要である。抑制性ODNの例は、下記の表に示したものを含むが、これらに限定されるわけではない。

【0071】
しかし、G-四分子を形成することができるいずれのオリゴヌクレオチドも、CpG DNAで誘導される免疫活性化を抑制するために使用してもよい。特定の例において、ODNは、SEQ ID NO:1、SEQ ID NO:2、SEQ ID NO:3、SEQ ID NO:4、SEQ ID NO:5、SEQ ID NO:6、SEQ ID NO:7、SEQ ID NO:8、SEQ ID NO:9、SEQ ID NO:10、SEQ ID NO:11、SEQ ID NO:12、SEQ ID NO:13、SEQ ID NO:14、SEQ ID NO:15、SEQ ID NO:16、SEQ ID NO:17、SEQ ID NO:18、SEQ ID NO:19、SEQ ID NO:20、SEQ ID NO:21、SEQ ID NO:22、SEQ ID NO:23、SEQ ID NO:24およびSEQ ID NO:25からなる群より選択される配列を有する。
【0072】
さらに、特定の態様において、ODNは、分解を防ぐために修飾される。一つの態様において、抑制性ODNは、崩壊に対する耐性を与えるように修飾されたヌクレオチドを含むことができる。理論に拘束されないが、抑制性ODNの安定性を増大するために、修飾されたヌクレオチドを含めることができる。したがって、ホスホロチオアート修飾されたヌクレオチドは、エキソヌクレアーゼ消化に対する耐性を与えるので、抑制性ODNは、ホスホロチオアート修飾されたヌクレオチドを取り込むことによって「安定化される」。
【0073】
一部の態様において、ODNは、リン酸バックボーン修飾を有し、特定の例において、リン酸バックボーン修飾は、ホスホロチオアートバックボーン修飾である。一つの態様において、グアノシンに富む配列およびその隣接したフランキング領域には、ホスホロチオアート・ヌクレオチドよりむしろリン酸ジエステルを含む。一つの具体的な非限定の例において、配列TTAGGGは、リン酸ジエステル塩基を含む。いくつかの例において、ODNの塩基の全てが、リン酸ジエステル塩基である。その他の例において、ODNは、ホスホロチオアート/リン酸ジエステルキメラである。
【0074】
本明細書に開示したように、任意の適切な修飾をインビボにおける(たとえば、エクソ-またはエンドヌクレアーゼを経て)分解に耐性のODNを与えるために使用することができる。一つの具体的な非限定の例において、分解に対してより感受性でないODNを与える修飾は、イノシンおよびクエシン(quesine)などの非伝統的塩基、並びにアセチル-、チオ-、およびアデニン、シチジン、グアニン、チミンおよびウリジンの同様の修飾形態を包含する。その他の修飾されたヌクレオチドは、アルキルまたはアリールホスホナートなどの非イオン性DNA類似体(すなわち、米国特許第4,469,863号に記載されたように、荷電したホスホナート酸素は、アルキルまたはアリール基で置換されている)、リン酸ジエステルおよびアルキルホスホトリエステル(すなわち、米国特許第5,023,243号および欧州特許第0 092 574号に記載されたように、荷電した酸素部分がアルキル化されている)を含む。また、一方または両方の末端にテトラエチレングリコールまたはヘキサエチレングリコールなどのジオールを含むODNも、ヌクレアーゼ分解に実質的に耐性であることが示されている。
【0075】
開示の抑制性ODNは、当技術分野において周知の標準的な方法によって合成することができる。最も一般的には、合成は、標準的シアノエチルホスホロアミダイト化学を使用してオリゴヌクレオチド合成器で行われる。これらは、リン酸ジエステル、ホスホロチオアート、ペプチド核酸、合成ペプチド類似体、およびこれらの任意の組み合わせを含むが、これらに限定されるわけではない。当業者であれば、他のいかなる標準的な技術も本明細書に記述される抑制性ODNを合成するために使用してもよいことを認識すると思われる。
【0076】
一つの態様において、抑制性ODNは、送達複合体に含まれる。送達複合体は、抑制性ODNおよびターゲティング手段を含むことができる。任意の適切なターゲティング手段を使用することができる。たとえば、一部の態様において、抑制性ODNは、ターゲティング手段(たとえば、B細胞などの標的細胞に対してより高い親和性結合を生じる分子)と結合される(たとえば、イオンにより、もしくは共有結合により結合されるか、またはその中にカプセル化される)。プロテインA、カルボジアミドおよびN-スクシンイミジル-3-(2-ピリジルジチオ)プロピオナート(SPDP)などの、種々のカップリング剤または架橋剤を使用して送達複合体を形成することができる。オリゴデオキシヌクレオチド送達複合体の例は、ステロール(たとえば、コレステロール)、脂質(たとえば、カチオン脂質、陰イオン性の脂質、ビロゾーム、またはリポソーム)、および標的細胞特異的結合剤(たとえば、標的細胞特異的受容体によって認識されるリガンド)と結合された抑制性ODNを含む。理論に拘束されないが、複合体は、標的細胞への送達の前の重要な脱共役を防止するように、インビボに十分に安定である。一つの態様において、送達複合体は、ODNが標的細胞にて機能的形態で放出されるように、切断可能である。
【0077】
B.ブドウ膜炎を治療するための方法および薬学的組成物
抑制性ODNの治療上有効量を投与することにより、被験体におけるブドウ膜炎の治療のための方法が、本明細書に開示され、これにより被験体を治療する。ブドウ膜炎の任意の形態を、抑制性ODNを使用して治療することができる。たとえば、虹彩炎、毛様体炎、汎ブドウ膜炎、虹彩毛様体炎、後部ブドウ膜炎、前部ブドウ膜炎、およびびまん性ブドウ膜炎を、本明細書に開示される方法を使用して治療することができる。前部および/または後部ブドウ膜炎は、抑制性ODNを使用して治療することができる。また、急性発症ブドウ膜炎および慢性ブドウ膜炎の両方を治療することができる。
【0078】
一つの態様において、被験体における前部ブドウ膜炎を治療するための方法が提供される。特発性虹彩毛様体炎、HLA-B27陽性虹彩毛様体炎、若年性慢性関節リウマチと関連するブドウ膜炎、フックス異質染色質虹彩毛様体炎、単純ヘルペス角膜ブドウ膜炎(keratouveitis)、強直性脊椎炎、人工水晶体関連ブドウ膜炎、ライター症候群、ヘルペス帯状疱疹角膜ブドウ膜炎、梅毒と関連するブドウ膜炎、外傷性虹彩毛様体炎、炎症性腸疾患と関連するブドウ膜炎、結核虹彩毛様体炎を発症した被験体を治療することができる。
【0079】
もう一つの態様において、被験体における後部ブドウ膜炎を治療するための方法が提供される。したがって、トキソプラズマ網膜脈絡膜炎(retinochroiditis)、網膜血管炎、特発性後部ブドウ膜炎、眼のヒストプラスマ症、トキソカラ症、サイトメガロウイルス網膜炎、特発性網膜炎、ほ行性脈絡膜症脈絡膜疾患、急性多巣性板状、色素上皮症、急性網膜壊死、散弾脈絡膜症、白血病と関連するブドウ膜炎またはリンパ腫、小神経膠腫症、眼カンジダ症、結核性ブドウ膜炎、狼蒼網膜炎を発症した被験体を治療することができる。
【0080】
さらなる態様において、びまん性ブドウ膜炎を治療するための方法が提供される。したがって、サルコイドーシス、梅毒、フォークト-小柳-原田症候群、またはベシェ病を発症した被験体を治療することができる。
【0081】
一つの態様において、ブドウ膜炎の徴候もしくは症候が減少され、または軽減される。眼の徴候は、毛様体充血、眼房水フレア、水性細胞、水晶体後細胞および硝子体細胞などの眼検査での可視細胞の蓄積、角膜裏面沈降物、および前房出血を含む。症候は、疼痛(毛様体の痙攣など)、発赤、羞明、流涙の増大、および視覚の減少を含む。当業者であれば、ブドウ膜炎を容易に診断することができる。一つの態様において、ブドウ膜炎を診断するため、疾患の臨床経過を評価するため、または治療プロトコルが良好であったことを検証するために、生体顕微鏡(たとえば、「細隙灯」)が使用される。
【0082】
抑制性ODNの投与は、全身性または局部的であることができる。1つのODNまたは複数のODNを利用することができる。
【0083】
本明細書に記述した抑制性ODNは、治療される疾患の位置および型に応じてさまざまな方法で製剤化することができる。したがって、薬学的組成物は、局部的な使用のため(たとえば局所的または眼の移植内で)、並びに全身性の使用のための両方のために提供される。被験体は、哺乳類被験体などの任意の被験体であることができる。したがって、本開示は、その範囲内に、ヒトまたは獣医学的に使用するために製剤化される少なくとも1つの抑制性ODNを含む薬学的組成物を含む。
【0084】
活性成分として本明細書に記述したような少なくとも1つの抑制性ODNを含むか、または活性成分として抑制性ODNとさらなる薬剤との両方を含む薬学的組成物を、選択される特定の投与様式によって、適切な固体または液体の担体とともに製剤化することができる。
【0085】
本開示に有用な薬学的に許容される担体および賦形剤は、慣習的である。たとえば、非経口的製剤は、通常、水、生理食塩水、その他の平衡塩類溶液、水性デキストロース、グリセロール等の薬学的および生理的に許容される液体媒体などの注射用の液体を含む。含めることができる賦形剤は、たとえば、ヒト血清アルブミンまたは血漿製剤などのタンパク質である。必要に応じて、薬学的組成物は、湿潤剤または乳化剤、防腐剤、およびpH緩衝剤等、たとえば酢酸ナトリウムまたはソルビタンモノラウレートなどの微量の無毒の補助物質を含んでいてもよい。
【0086】
薬学的組成物の剤形は、選択される投与様式によって決定される。たとえば、注射用の液体に加えて、局所的および経口製剤を使用することができる。局所的調製は、点眼、軟膏、スプレーなどを含むことができる。点眼またはスプレーは、単位投与量ディスペンサー(単独で、または副腎皮質ステロイドなどのその他の治療薬と組み合わせて、抑制性ODNを含むメーターで測った単位投与量を分配する点眼びんなど)で提供することができる。経口製剤は、液体(たとえば、シロップ、溶液、または懸濁液)または固体(たとえば、粉末、丸剤、錠剤、またはカプセル)でもよい。固体組成物については、従来の無毒の固体担体には、マンニトール、乳糖、デンプン、またはステアリン酸マグネシウムの薬学的等級を含むことができる。このような剤形を調製する実際の方法は、公知であるか、または当業者に明らかである。また、インプラントを使用することができる(下記を参照されたい)。
【0087】
抑制性ODNを含む薬学的組成物は、いくつかの態様において、正確な投薬量での個々の投与のために適した単位剤形で製剤化される。投与される活性化合物の量は、治療される被験体、苦痛の重症度、および投与の様式に依存的であり、最適には製剤化する処方臨床家の判断に任せられる。これらの拘束の範囲内で、投与される製剤は、治療される被験体において所望の効果を達成するために有効量で、活性生物の量を含むと考えられる。
【0088】
抑制性ODNは、さらなる治療薬とともに製剤化することができる。例示的な薬剤は、シクロスポリン、FK506、ヒドロコルチゾンなどのステロイド、抗体(IL-2受容体に対して特異的に結合する抗CD4または抗体など)、サイトカイン(βインターフェロンなど)または非ステロイド系消炎薬を含む。さらなる薬剤は、以下などの抗菌性抗生物質を含む:ミノグリコシド(たとえば、アミカシン、アプラマイシン、アルベカシン、バンベルマイシン、ブチロシン、ジベカシン、ジヒドロストレプトマイシン、ホルチミシン、ゲンタマイシン、イセパマイシン、カナマイシン、ミクロノマイシン、ネオマイシン、ウンデシレン酸ネオマイシン、ネチルマイシン、パロモマイシン、リボスタマイシン、シソマイシン、スペクチノマイシン、ストレプトマイシン、トブラマイシン、トロスペクトマイシン)、アンフェニコール(たとえば、アジダムフェニコール、クロラムフェニコール、フロルフェニコール、チアンフェニコール)、アンサマイシン(たとえば、リファミド(rifamide)、リファンピン、リファマイシンsv、リファペンチン、リファキシミン)、β-ラクタム(たとえば、カルバセフェム(たとえば、ロラカルベフ)、カルバペネム(たとえば、ビアペネム、イミペネム、メロペネム、パニペネム)、セファロスポリン(たとえば、セファクロル、セファドロキシル、セファマンドール、セファトリジン、セファゼドン、セファゾリン、セフカペン ピボキシル、セフクリジン、セフジニル、セフジトレン、セフェピム、セフェタメト、セフィキシム、セフメノキシム、セフォジジム、セホニシド、セフォペラゾン、セホラニド、セフォタキシム、セフォチアム、セフォゾプラン、セフピミゾール、セフピラミド、セフピロム、セフポドキシムプロキセチル、セフプロジル、セフロキサジン、セフスロジン、セフタジジム、セフテラム、セフテゾール、セフチブテン、セフチゾキシム、セフトリアキソン、セフロキシム、セフゾナム、セファセトリルナトリウム、セファレキシン、セファログリシン、セファロリジン、セファロスポリン、セファロチン、セファピリンナトリウム、セフラジン、ピブセファレキシン)、セファマイシン(たとえば、セフブペラゾン、セフメタゾール、セフィニノクス(cefininox)、セフォテタン、セフォキシチン)、モノバクタム(たとえば、アズトレオナム、カルモナム、チゲモナム(tigemonam))、オキサセフェム、フロモキセフ、モキサラクタム)、ペニシリン(たとえば、アミジノシリン、アムジノシリンピボキシル、アモキシシリン、アンピシリン、アパルシリン、アスポキシリン、アジドシリン、アズロシリン、バカンピシリン、ベンジルペニシリン酸、ベンジルペニシリンナトリウム、カルベニシリン、カリンダシリン、クロメトシリン、クロキサシリン、シクラシリン、ジクロキサシリン、エピシリン、フェンベニシリン、フロキサシリン、ヘタシリン、レナンピシリン、メタムピシリン、メチシリンナトリウム、メズロシリン、ナフシリンナトリウム、オキサシリン、パナメシリン、塩酸ペネタメート、ペニシリンGベネタミン、ペニシリンgベンザチン、ペニシリンgベンズヒドリルアミン、ペニシリンGカルシウム、ペニシリンG ヒドラバミン、ペニシリンGカリウム、ペニシリンGプロカイン、ペニシリンN、ペニシリンO、ペニシリンV、ペニシリンVベンザチン、ペニシリンVヒドラバミン、ペリメピシリン、フェネチシリンカリウム、ピペラシリン、ピバンピシリン、プロピシリン、キナシリン、スルベニシリン、スルタミシリン、タランピシリン、テモシリン、チカルシリン)、その他(たとえば、リチペネム)、リンコサミド(たとえば、クリンダマイシン、リンコマイシン)、マクロライド(たとえば、アジスロマイシン、カルボマイシン、クラリスロマイシン、ジリスロマイシン、エリスロマイシン、エリスロマイシンアシストラート、エリスロマイシンエストレート、エリスロマイシン・グルコヘプトン酸、ラクトビオン酸エリスロマイシン、エリスロマイシン・プロピオナート、ステアリン酸エリスロマイシン、ジョサマイシン、ロイコマイシン、ミデカマイシン、ミオカマイシン、オレアンドマイシン、プリマイシン、ロキタマイシン、ロサラマイシン、ロキシスロマイシン、スピラマイシン、トロレアンドマイシン)、ポリペプチド(たとえば、アンホマイシン、バシトラシン、カプレオマイシン、コリスチン、エンジュラシジン、エンビオマイシン、フサファンギン、グラミシジン、グラミシジン、ミカマイシン、ポリミキシン、プリスチナマイシン、リストセチン、タイコプラニン、チオストレプトン、ツベラクチノマイシン(tuberactinomycin)、タイロシジン、タイロスライシン、バンコマイシン、バイオマイシン、バージニアマイシン、亜鉛バシトラシン)、テトラサイクリン(たとえば、アピサイクリン、クロルテトラサイクリン、クロモサイクリン、デメクロサイクリン、ドキシサイクリン、グアメサイクリン、リメサイクリン、メクロサイクリン、メタサイクリン、ミノサイクリン、オキシテトラサイクリン、ペニメピサイクリン、ピパサイクリン、ロリテトラサイクリン、サンサイクリン、テトラサイクリン)、その他(たとえば、サイクロセリン、ムピロシン、ツベリン)。また、有用な薬剤は、以下などの合成抗菌薬を含む:2,4-ジアミノピリミジン(たとえば、ブロジモプリム、テトロキソプリム、トリメトプリム)、ニトロフラン(たとえば、フラルタドン、塩化フラゾリウム、ニフラデン、ニフラテル、ニフルホリン、ニフルピリノール、ニフルプラジン、ニフルトイノール、ニトロフラントイン)、キノロンおよび類似体(たとえば、シノキサシン、シプロフロキサシン、クリナフロキサシン、ジフロキサシン、エノキサシン、フレロキサシン、フルメキン、グレパフロキサシン、ロメフロキサシン、ミロキサシン、ナジフロキサシン、ナリジクス酸、ノルフロキサシン、オフロキサシン、オキソリン酸、パズフロキサシン(pazufloxacin)、ペフロキサシン、ピペミド酸、ピロミド酸、ロソキサシン、ルフロキサシン、スパルフロキサシン、テマフロキサシン、トスフロキサシン、トロバフロキサシン)、スルホンアミド(たとえば、アセチルスルファメトキシピラジン、ベンジルスルファミド、クロラミン-b、クロラミン-t、ジクロラミンt、マフェニド、4’-(メチルスルファモイル)スルファニルアニリド、ノプリルスルファミド(noprylsulfamide)、フタリルスルファセタミド、フタリルスルファチアゾール、サラゾスルファジミジン、サクシニルスルファチアゾール、スルファベンザミド、スルファセタミド、スルファクロルピリダジン、スルファクリソイジン、スルファシチン(sulfacytine)、スルファジアジン、スルファジクラミド、スルファジメトキシン、スルファドキシン、スルファエチドール、スルファグアニジン、スルファグアノール(sulfaguanol)、スルファレン、スルファロクス酸、スルファメラジン、スルファメータ、スルファメチアジン、スルファメチゾール、スルファメトミジン、スルファメトキサゾール、スルファメトキシピリダジン、スルファメトロール、スルファミドクリソイジン(sulfamidocchrysoidine)、スルファモキソール、スルファニルアミド、スルファニリル尿素、n-スルファニリル-3,4-キシラミド、スルファニトラン、スルファペリン(sulfaperine)、スルファフェナゾール、スルファプロキシリン、スルファピラジン、スルファピリジン、スルファソミゾール、スルファシマジン、スルファチアゾール、スルファチオ尿素、スルファトラミド、スルフイソミジン、スルフイソキサゾール)スルホン(たとえばアセダプソン、アセジアスルホン、アセトスルホンナトリウム、ダプソン、ジアチモスルホン、グルコスルホンナトリウム、ソラスルホン、スクシスルホン、スルファニル酸、p-スルファニリルベンジルアミン、スルホキソンナトリウム、チアゾールスルホン)、およびその他(たとえば、クロホクトール、ヘキセジン、メテナミン、メテナミン無水メチレン-シトラート、馬尿酸メテナミン、マンデル酸メテナミン、メテナミンスルホサリチラート、ニトロキソリン、タウロリジン、キシボルノル(xibornol))。
【0089】
有用なさらなる薬剤は、以下などの抗真菌性抗生物質を含む:ポリエン(たとえば、アンフォテリシンB、カンジシジン、デンノスタチン(dennostatin)、フィリピン、フンギクロミン(fungichromin)、ハチマイシン、ハマイシン、ルセンソマイシン、メパルトリシン、ナタマイシン、ニスタチン、ペチロシン、ペリマイシン)、その他(たとえば、アザセリン、グリセオフルビン、オリゴマイシン、ウンデシレン酸ネオマイシン、ピロールニトリン、シッカニン、ツベルシジン、ビリジン)、アリルアミン(たとえば、ブテナフィン、ナフチフィン、テルビナフィン)、イミダゾール(たとえば、ビフォナゾール、ブトコナゾール、クロルダントイン、クロルイミダゾール、クロコナゾール、クロトリマゾール、エコナゾール、エニルコナゾール、フェンチコナゾール、フルトリマゾール、イソコナゾール、ケトコナゾール、ラノコナゾール、ミコナゾール、オモコナゾール、硝酸オキシコナゾール、セルタコナゾール、スルコナゾール、チオコナゾール)、チオカルバマート(たとえば、トルシクラート、トリンダート、トルナフテート)、トリアゾール(たとえば、フルコナゾール、イトラコナゾール、サペルコナゾール、テルコナゾール)その他(たとえば、アクリゾルシン、アモロルフィン、ビフェナミン、ブロモサリシルクロラニリド、ブクロサミド、プロピオン酸カルシウム、クロルフェネシン、シクロピロックス、クロキシキン(cloxyquin)、コパラフィネート、ジアムタゾールジヒドロクロライド、エキサラミド、フルシトシン、ハレタゾール、ヘキセチジン、ロフルカルバン、ニフラテル、ヨウ化カリウム、プロピオン酸、ピリチオン、サリチルアニリド、プロピオン酸ナトリウム、スルベンチン、テノニトロゾール、トリアセチン、ウジョチオン(ujothion)、ウンデシレン酸、プロピオン酸亜鉛)。また、以下を含む抗悪性腫瘍薬も有用であり得る:(1)抗生物質および類似体(たとえば、アクラシノマイシン、アクチノマイシン、アントラマイシン、アザセリン、ブレオマイシン、カクチノマイシン、カルビシン(carubicin)、カルジノフィリン、クロモマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、6-ジアゾ-5-オキソ-L-ノルロイシン、ドキソルビシン、エピルビシン、イダルビシン、メノガリル、マイトマイシン、ミコフェノール酸、ノガラマイシン、オリボマイシン(olivomycines)、ペプロマイシン、ピラルビシン、プリカマイシン、ポルフィロマイシン、ピューロマイシン、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン、ジノスタチン、ゾルビシン(zorubicin))、(2)葉酸類似体などの代謝拮抗剤(たとえば、デノプテリン、エダトレキサート、メトトレキセート、ピリトレキシム、プテロプテリン、Tomudex.RTM.、トリメトレキセート)、(3)プリン類似体(たとえば、クラドリビン、フルダラビン、6-メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニン)、(4)ピリミジン類似体(たとえば、アンシタビン、アザシチジン、6-アザウリジン、カルモフール、シタラビン、ドキシフルリジン、エミテフル、エノシタビン、フロクスウリジン、フルオロウラシル、ゲムシタビン、タガフル(tagafur))。
【0090】
また、以下などのステロイド性の抗炎症薬も含まれ得る:21-アセトキシプレグネノロン、アルクロメタゾン、アルゲストン、アムシノニド、ベクロメタゾン、ベタメタゾン、ブデソニド、クロロプレドニゾン、クロベタゾール、クロベタゾン、クロコルトロン、クロプレドノール、コルチコステロン、コルチゾン、コルチバゾール、シクロスポリン、デフラザコルト、デソニド、デソキシメタゾン、デキサメサゾン、ジフロラゾン、ジフルコルトロン、ジフルプレドナート、エノキソロン、フルアザコルト、フルクロロニド、フルメタゾン、フルニソリド、フルオシノロンアセトニド、フルオシノニド、フルオコルチンブチル、フルオコルトロン、フルオロメトロン、酢酸フルペロロン、酢酸フルプレドニデン(fluprednidene acetate)、フルプレドニソロン、フルランドレノリド、フルチカゾン・プロピオナート、ホルモコルタール(formocortal)、ハルシノニド、プロピオン酸ハロベタソール、ハロメタゾン、酢酸ハロプレドン、ヒドロコルタマート(hydrocortamate)、ヒドロコルチゾン、エタボン酸ロテプレドノル、マジプレドン(mazipredone)、メドリゾン(medrysone)、メプレドニゾン、メチルプレドニゾロン、フロ酸モメタゾン、パラメサゾン、プレドニカルバート、プレドニゾロン、プレドニゾロン25-ジエチルアミノ-アセテート、リン酸プレドニゾロンナトリウム、プレドニゾン、プレドニバル、プレドニリデン、リメキソロン、チキソコルトール(tixocortol)、トリアムシノロン、トリアムシノロンアセトニド、トリアムシノロンベネトニド、およびトリアムシノロンヘキサセトニド(triamcinolone hexacetonide)。加えて、非ステロイド性の抗炎症薬を使用することもできる。これらは、アミノアリールカルボン酸誘導体(たとえば、エンフェナム酸、エトフェナマート、フルフェナム酸、イソニキシン、メクロフェナム酸、メフェナム酸、ニフルム酸、タルニフルマート、テロフェナマート、トルフェナム酸)、アリール酢酸誘導体(たとえば、アセクロフェナク、アセメタシン、アルクロフェナック、アンフェナク、アムトメチングアシル(amtolmetin guacil)、ブロンフェナク、ブフェキサマック、シンメタシン、クロピラク、ジクロフェナクナトリウム、エトドラク、フェルビナク、フェンクロズ酸、フェンチアザク、グルカメタシン、イブフェナック、インドメタシン、イソフェゾラク、イソキセパック、ロナゾラク、メチアジン酸、モフェゾラク、オキサメタシン、ピラゾラク、プログルメタシン、スリンダク、チアラミド、トルメチン、トロペシン、ゾメピラック)、アリール酪酸誘導体(たとえば、ブマジゾン、ブチブフェン、フェンブフェン、キセンブシン)、アリール・カルボン酸(たとえば、クリダナク、ケトロラク、チノリジン)、アリールプロピオン酸誘導体(たとえば、アルミノプロフェン、ベノキサプロフェン、ベルモプロフェン、ブクロクス酸、カルプロフェン、フェノプロフェン、フルノキサプロフェン、フルルビプロフェン、イブプロフェン、イブプロキサム、インドプロフェン、ケトプロフェン、ロキソプロフェン、ナプロキセン、オキサプロジン、ピケトプロフェン、ピルプロフェン、プラノプロフェン、プロチジン酸、スプロフェン、チアプロフェン酸、キシモプロフェン、ザルトプロフェン)、ピラゾール(たとえば、ジフェナミゾール、エピリゾール)、ピラゾロン(たとえば、アパゾン、ベンズピペリロン、フェプラゾン、モフェブタゾン、モラゾン、オキシフェンブタゾン、フェニルブタゾン、ピペブゾン、プロピフェナゾン、ラミフェナゾン、スキシブゾン、チアゾリノブタゾン)、サリチル酸誘導体(たとえば、アセトアミノサロール、アスピリン、ベノリレート、ブロモサリゲニン、カルシウムアセチルサリチラート、ジフルニサル、エテルサラート、フェンドサール、ゲンチジン酸、グリコールサリチラート、イミダゾールサリチラート、リジンアセチルサリチラート、メサラミン、モルホリンサリチラート、1-ナフチルサリチラート、オキサラジン、パルサルミド、フェニル・アセチルサリチラート、フェニルサリチラート、サラセタミド、サリチルアミドo-酢酸、サリチルスルホン酸、サルサラート、スルファサラジン)、チアジンカルボキサミド(たとえば、アンピロキシカム、ドロキシカム、イソキシカム、ロルノキシカム、ピロキシカム、テノキシカム)、ε-アセトアミドカプロン酸、s-アデノシルメチオニン、3-アミノ-4ヒドロキシ酪酸、アミキセトリン、ベンダザック、ベンジダミン、α-ビサボロール、ブコローム、ジフェンピラミド、ジタゾール、エモルファゾン、フェプラジノール、グアイアズレン、ナブメトン、ニメスリド、オキサセプロール、パラニリン(paranyline)、ペリソキサール、プロカゾン、スーパーオキシドジスムターゼ、テニダプ、およびジレウトン。
【0091】
抑制性ODNは、硝子体内の投与のためなどの、眼の中に局所適用または注射するための不活性マトリックスに含めることができる。不活性マトリックスの一つの例として、リポソームを卵ホスファチジルコリン(PC)などのジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)から調製してもよい。リポソームは、陽イオン性および陰イオン性リポソームを含み、当業者に公知である標準的手法を使用して作製することができる。抑制性ODNを含むリポソームは、液滴の形態で、もしくは水性ベースのクリームとして、いずれかで局所的に適用することができ、または眼球内に注射することができる。局所適用のための製剤において、ODNは、リポソームカプセルが眼表面から損耗し、ちぎれることにより分解するにつれて、時間とともにゆっくりと放出される。眼内注射のための製剤において、リポソームカプセルは、細胞の消化によって分解する。これらの製剤は両方とも、徐放性薬物送達系の利点を提供し、時間とともに被験体を実質的に一定濃度のODNに曝露することができる。一つの例において、抑制性ODNは、前述したようにDMSOまたはアルコールなどの有機溶媒に溶解することができ、ポリ無水物、ポリ(グリコール酸)、ポリ(乳酸)、またはポリカプロラクトン重合体を含むことができる。
【0092】
ODNは、インプラントのサイズ、形状、および製剤、並びに移植手順のタイプに応じて、眼の種々の部位に移植することができる送達系に含めることができる。ODNは、単独で使用することができる。しかし、もう一つの態様において、上記する少なくとも1つの薬剤などの、少なくとも1つのさらなる薬剤を、インプラントなどの送達系にODNとともに含めることができる。次いで、送達系を眼に導入する。適切な部位は、前房、前区、後房、後区、硝子体腔、上脈絡叢の空間、結膜下、上強膜、角膜内、上角膜、および強膜を含むが、これに限定されるわけではない。一つの例において、ODN送達系は、眼の前房に配置される。もう一つの例において、ODN送達系は、硝子体腔に配置される。
【0093】
インプラントは、鉗子によるか、または強膜もしくはその他の適切な部位に切開(たとえば、2〜3mmの切開)を作製した後に外套針による配置を含む、種々の方法によって眼に挿入することができる。場合によっては、インプラントは、分離した切開を作製することなく、その代わりに外套針で直接眼に穴を作ることによって、外套針によって、配置することができる。配置の方法は、放出速度に影響を及ぼし得る。たとえば、外套針で硝子体または後部チャンバに装置を移植することにより、鉗子による配置よりも硝子体内により深く装置が設置され得るし、インプラントが硝子体の縁のより近くになり得る。移植された装置の位置は、装置を囲むODNの濃度勾配に影響を及ぼし、したがって、放出速度に影響を及ぼし得る(たとえば、硝子体の縁のより近くに配置された装置は、より遅い放出速度を生じ得る、米国特許第5,869,079号および米国特許第6,699,493号を参照されたい)。
【0094】
抑制性薬剤は、所望の効果を達成するために十分な期間の間送達される。したがって、一つの態様において、抑制性ODNは、少なくとも約2日間、約5日、7日、10日、14日、または21日間などの間送達される。いくつかの態様において、免疫抑制剤は、少なくとも約1週、少なくとも約2週、少なくとも約3週、少なくとも約4週、少なくとも約5週、少なくとも約6週、少なくとも約7週、少なくとも約8週、少なくとも約9週、少なくとも約10週、および少なくとも約12週間送達される。一つの態様において、長期間の送達は、インプラントを用いて達成される。抑制性ODNにおいて有用な期間は、患者の病歴およびその他の寄与因子(その他の薬剤、その他の使用など)であることができる。長期間の投与が必要とされる場合、抑制性ODNは、6月もしくは1年間まで、またはより長く投与することができる。一つの態様において、長期放出のためには、インプラントが利用される。また、複数のインプラントを利用することができる。たとえば、インプラントは、さらに長期間、濃度を維持するために、硝子体に連続して移植することができる。一つの態様において、複数のインプラントをより長い期間、治療的薬剤濃度を維持するために、眼に連続して移植することができる。
【0095】
インプラントの使用は、当技術分野において周知である(米国特許第6,699,493号および米国特許第5,869,079号を参照されたい)。一つの態様において、インプラントは、生体浸食性重合体マトリクスと結合された抑制性ODNとともに製剤化される。さらなる薬剤は、デキサメサゾン、サイクロスポリンA、アザチオプリン、ブレキナル、グスペリムス、6-メルカプトプリン、ミゾリビン、ラパマイシン、タクロリムス(FK-506)、葉酸類似体(たとえば、デノプテリン、エダトレキサート、メトトレキセート、ピリトレキシム、プテロプテリン、トリメトレキセート)、プリン類似体(たとえば、クラドリビン、フルダラビン、6-メルカプトプリン、チアミプリン、チアグアニン)、ピリミジン類似体(たとえば、アンシタビン、アザシチジン、6-アザウリジン、カルモフール、シタラビン、ドキシフルリジン、エミテフル、エノシタビン、フロクスウリジン、フルオロウラシル、ゲムシタビン、テガフール)フルオシノロン、トリアミノロン、酢酸アネコルタブ 、フルオロメトロン、メドリゾン(medrysone)、およびプレドニゾロンなどの抑制性ODNとともに含めることができる。
【0096】
一般に、インプラントが使用される場合は、抑制性ODNは、重合体基質を介して均一に分配され、その結果、重合体マトリクス中の免疫抑制剤の偏在を原因として生じる放出の割合の有害な変動が生じない程度に十分に均一に分配される。使用される重合体の組成の選択は、所望の放出動態、インプラントの位置、患者の寛容性、およびインプラント手順の性質とともに変化させる。重合体は、インプラントの少なくとも約10重量%として含めることができる。一つの例において、重合体は、インプラントの少なくとも約20重量%として含まれる。もう一つの態様において、インプラントは、複数の重合体を含む。これらの因子は、米国特許第6,699,493号に詳述されている。重合体の特徴は、一般に、数ある中で、移植部位における生分解性、関心対象の薬剤との適合性、カプセル化の容易さ、および水不溶性を含む。一般に、重合体マトリックスは、充填薬物が放出されるまで、完全には分解されない。適切な重合体の化学組成は、当技術分野において公知である(たとえば、米国特許第6,699,493号を参照されたい)。
【0097】
本明細書に記述した抑制性ODNは、その他の担体および溶媒とともに移植可能な形態で製剤化することができる。たとえば、緩衝剤および防腐剤を使用することができる。水溶性保存剤には、亜硫酸水素ナトリウム、硫酸水素ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、塩化ベンザルコニウム、クロロブタノール、チメロサール、酢酸フェニル水銀、硝酸フェニル水銀、メチルパラベン、ポリビニルアルコール、およびフェニルエチルアルコールを含む。これらの薬剤は、約0.01〜約2%など約0.001〜約5重量%の個々の量で存在することができる。使用してもよい適切な水溶性緩衝剤は、炭酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムである。これらの薬剤は、約4〜約8、または約6〜約7などの約2〜約9の間の系のpHを維持するために十分な量で存在することができる。一つの例において、系のpHは、約7に維持される。したがって、緩衝剤は、総組成物の重量体重量に基づいて5%程度であることもできる。また、塩化ナトリウムおよび塩化カリウムなどの電解質が製剤に含まれていてもよい。抑制性ODN、重合体、および任意の他の修飾因子の比率は、比率を変化させていくつかのインプラントを処方することによって、経験的に決定してもよい。溶解または放出試験のためのUSPに承認された方法を、放出の割合を測定するために使用することができる(USP 23;NF 18(1995)pp. 1790-1798)。また、インプラント・サイズおよび形状は、眼の特定の領域に使用するために変更を加えることができる(米国特許第5,869,079号を参照されたい)。
【0098】
本開示は、以下の非限定の実施例によって例証される。
【0099】
実施例
実施例1
材料および方法
免疫化:
雌性のB10.Aマウスには、0.2mlの総体積に2.5mg/mlの結核菌(Mycobacterium tuberculosis)株H37RAを含むCFAとともに乳化した40μgウシIRBPを皮下に免疫し、尾部の根本と2つの腿の間で分けた。また、百日咳毒素(0.25μg/マウス)を0.1mlの体積でアジュバントとして与えられ、腹腔内に投与した(i.p.)。
【0100】
治療:
免疫マウス(i.p.)を、0日目、3日目、7日目、11日目に抑制性ODNで(A151、SEQ ID NO:2)、対照ODN 1471(これは、配列TCAAGCTTGA、SEQ ID NO:26を有する)、またはPBSで処置した。300μg/マウスにて、両方のODNを与えた。
【0101】
疾患評価:
マウスを接種14日後に屠殺して、Chan et al. (J. Autoimmun. 3:247, 1990)によって詳述されるように、眼の炎症の重症度を0〜4のスケールで記録した。
【0102】
免疫応答:
細胞免疫応答は、免疫マウスの流入領域リンパ節を用いて、従来のリンパ球増殖アッセイ法によって測定した。これらのリンパ球によるサイトカインの放出は、IRBPまたは精製タンパク質誘導体(PPD)で48時間のインキュベーション後の培養液上清におけるインターフェロンγのレベルおよびインターロイキン4を測定することによって決定した。
【0103】
サイトカイン・レベルは、ELISAによって決定した。
【0104】
実施例2
炎症応答に対するODN投与の効果
図2は、実施例1に記載したように処置したB10.Aマウスにおいて発病するEAUでの頻度および重症度に対する抑制性ODNでの処置の効果を示す。見せかけの治療(PBSまたは対照ODN)を受けた全ての動物は、EAUスコア≧0.5である疾患を発病したが、抑制性ODNで処置した3/5マウスは、疾患を発病しなかった。抑制性ODNで処置した動物の平均疾患スコアは、<.05であり、いずれの対照集団のものよりも少なくとも3倍低かった。
【0105】
図3は、IRBPを注射したマウス由来の脾細胞(実施例1を参照されたい)が、インビトロでIRBPとともに培養した場合に、動物を抑制性ODN A151で同時処置しない限り、強く増殖することを示す。
【0106】
図4は、IRBPを注射したマウス由来の脾細胞(実施例1を参照されたい)が、インビトロでPPDまたはIRBPとともに培養した場合に、動物を抑制性ODN A151で同時処置しない限り、大量のTh1サイトカインIFN-gを産生することを示す。これらの知見は、抑制性ODNが、両方のIRBPおよび同時投与した抗原に対して誘発される免疫応答を減少させることを証明する。
【0107】
図5は、IRBPを注射したマウス由来の脾細胞(実施例1を参照されたい)が、インビトロでIRBPを培養した場合に、動物を抑制性ODN A151で同時処置しない限り、大量のTh2サイトカインIL-4を産生することを示す。これらの知見は、抑制性ODNが、インビボにおいてIRBPによって誘導されるTh1およびTh2反応を減少させることを証明する。
【0108】
実施例3
養子移植した眼の炎症に対する抑制因子ODNの効果
方法
(i)疾患誘導:それらのレンズに雌鶏卵子リゾチーム(HEL)を(αAクリスタリン・プロモーターの制御下で)発現するトランスジェニック・マウスに、HELに対して特異的なT-ヘルパー1型リンパ球を注射を示した数で注射した。眼を細胞注射の7日後に収集して、眼を、炎症性の変化について組織学的に調べた(S. Kim et al., Invest. Ophthalmol. Vis. Sci., 43:758, 2002を参照されたい。本明細書に参照として組み入れられる)。
(ii)抑制性ODNでの処置:リン酸緩衝食塩水(PBS)に溶解したA151をT細胞移入の0日および3日後に腹腔内に注射した。対照マウスには、単独でPBSを注射した。
【0109】
結果:
第一の実験において350,000細胞/マウスおよび第二の実験において200,000細胞/マウスを用いて、2回の実験を行った。図6Aおよび6Bに示したように、A151での処置により、炎症性プロセスを阻害し、より少しの細胞を注射した第二の実験において見られる阻害のレベルがより高かった。
【0110】
これらの結果は、抑制性ODNが病原性免疫応答において遠心性肢に影響を及ぼすことができることを示す。理論に拘束されないが、抑制性ODNは、養子移植された細胞の増殖を阻害することができる。
【0111】
記述された方法または組成物の正確な詳細には、本発明の精神から逸脱することなく、変更または修正を加えていてもよいことが明らかであると思われる。本発明者らは、全てのこのような修正および変更が、特許請求の範囲の範囲および趣旨に入ることを主張する。
【図面の簡単な説明】
【0112】
【図1】G-四分子の構造の図のセットである。図1Aは、フーグスティーン塩基対を示す個々のG-四分子の構造の図である。M+は、K+またはNa+などの一価カチオンを表し、dRは、糖-リン酸バックボーンである。図1Bは、起こりうる折り畳まれた分子内四重構造を示す概要図である。図1Cは、フーグスティーン水素結合によって形成されるGG塩基対を示す概要図である。図1Dは、分子内ヘアピンの概要図である。
【図2】リン酸緩衝食塩水(PBS)、対照オリゴヌクレオチド(ODN)、またはA151での処置後のEAUスコアのグラフである。組織学的スコアを免疫化の14日後に評価した。横棒は、それぞれの群における眼の組織学スコアの平均を示す。A151での処置では、より低いEAUスコアを生じ、この抑制性ODNの投与後に疾患重症度が減少されたことを証明した。
【図3】リン酸緩衝食塩水(PBS)、対照オリゴヌクレオチド(ODN)、またはA151での処置後のT細胞増殖(カウント毎分(c.p.m.)として測定した)を示す線グラフである。流入領域リンパ節を免疫化の14日後に収集して、それぞれの群についてプールした。細胞を、従来法を用いて異なる濃度にてIRBPに対する増殖について試験した。培養液は、HL-1(血清置換)、2-メルカプトエタノール、および抗生物質を補った0.2mlのRPMI-1640培地中で、96ウェル・マイクロプレートにおいて、400,000個のリンパ節細胞からなった。手短には、培養を、三通りに、合計92時間インキュベートして、3H-チミジンで、ウェルあたり0.5μCiで、最後の16時間の間パルスした。細胞をBrandel harvesterを使用してフィルターメーツ(filtermates)に収集し、放射能を1450 Microbeta counter(Perkin-Elmer)によって測定した。データは、平均デルタCPMとして提示してある(=抗原との培養におけるカウント引く対照培養におけるカウント)。反応は、0.3μg/mlを超える光受容体間レチノイド結合タンパク質(IRBP)での刺激後に見られた。
【図4】PBS、対照ODN、またはA151での処置後のインターフェロンγ(IFN-g)発現の棒グラフである。流入領域リンパ節を14日目に収集して、インビトロにおいてIRBP(30μg/ml)または精製タンパク質誘導体PPD(5μg/ml)で刺激した。48時間後に上清を収集し、ELISAによってサイトカイン・レベルを測定した。A151の投与により、IFN-gの発現の減少を生じた。
【図5】PBS、対照ODN、またはA151での処置後のインターロイキン4(IL-4)発現の棒グラフである。流入領域リンパ節を14日目に収集して、インビトロにおいてIRBP(30μg/ml)または精製タンパク質誘導体PPD(5μg/ml)で刺激した。48時間後に上清を収集し、ELISAによってサイトカイン・レベルを測定した。A151の投与により、IL-4の発現の減少を生じた。
【図6】図6Aおよび6Bは、養子移植されたブドウ膜炎に対する抑制性ODNの効果を示す2つのグラフである。図6Aは、それらのレンズに雌鶏卵子リゾチーム(HEL)を(αAクリスタリン・プロモーターの制御下で)発現するトランスジェニック・マウスに、HELに対して特異的な0.35×106個のT-ヘルパー1型リンパ球が注射された場合に得られた組織学スコアのプロットである。図6Bは、それらのレンズに雌鶏卵子リゾチーム(HEL)を(αAクリスタリン・プロモーターの制御下で)発現するトランスジェニック・マウスに、HELに対して特異的な0.20×106個のT-ヘルパー1型リンパ球が注射された場合に得られた組織学スコアのプロットである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験体に対して、少なくとも約8ヌクレオチドの長さのオリゴデオキシヌクレオチドの治療上有効量を投与することを含む、被験体における眼の炎症性プロセスを治療する方法であって、オリゴデオキシヌクレオチドが、G-四分子を形成し、オリゴデオキシヌクレオチドが、約2.9を超えるCD値を有し、かつオリゴヌクレオチドが、少なくとも2つのグアノシンを含み、これにより被験体の眼における炎症性プロセスを治療する方法。
【請求項2】
オリゴデオキシヌクレオチドが、局所的、非経口的、経口的、静脈内、筋肉内、皮下、吸入、腹腔内、経鼻、局所的、または硝子体内により投与される、請求項1記載の方法。
【請求項3】
オリゴデオキシヌクレオチドが、約3.0を超えるCD値を有する、請求項1記載の方法。
【請求項4】
オリゴデオキシヌクレオチドが、約3.2を超えるCD値を有する、請求項1記載の方法。
【請求項5】
オリゴデオキシヌクレオチドが、約8〜約120の長さのヌクレオチドである、請求項1記載の方法。
【請求項6】
オリゴデオキシヌクレオチドが、約10〜約30の長さのヌクレオチドである、請求項5記載の方法。
【請求項7】
オリゴデオキシヌクレオチドが、複数のグアノシンに富む配列を含む、請求項1記載の方法。
【請求項8】
オリゴデオキシヌクレオチドが、約2〜約20個のグアノシンに富む配列を含む、請求項7記載の方法。
【請求項9】
オリゴデオキシヌクレオチドが、約2〜約4個のグアノシンに富む配列を含む、請求項8記載の方法。
【請求項10】
オリゴデオキシヌクレオチドが、少なくとも1つのTTAGGGモチーフを含む、請求項1記載の方法。
【請求項11】
オリゴデオキシヌクレオチドが、複数のTTAGGGのモチーフを含む、請求項12記載の方法。
【請求項12】
オリゴデオキシヌクレオチドが、約2〜約20個のTTAGGGモチーフを含む、請求項12記載の方法。
【請求項13】
オリゴデオキシヌクレオチドが、約2〜約4個のTTAGGGのモチーフを含む、請求項12記載の方法。
【請求項14】
オリゴデオキシヌクレオチドが、SEQ ID NO:1〜25のいずれか1つに記載の配列を含む、請求項1記載の方法。
【請求項15】
炎症性プロセスが、ブドウ膜炎を含む、請求項1記載の方法。
【請求項16】
ブドウ膜炎が、前部または後部ブドウ膜炎を含む、請求項15記載の方法。
【請求項17】
ブドウ膜炎が、びまん性ブドウ膜炎を含む、請求項15記載の方法。
【請求項18】
ブドウ膜炎が、少なくとも1つの毛様体炎、扁平部炎、脈絡網膜炎(脈絡膜の炎症)、虹彩毛様体炎、または虹彩炎を含む、請求項15記載の方法。
【請求項19】
さらなる抗炎症薬の治療上有効量を投与することをさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項20】
さらなる非ヌクレオチド免疫抑制剤の治療上有効量を投与することをさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項21】
抗菌薬または抗真菌薬の治療上有効量を投与することをさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項22】
ブドウ膜炎が、眼に対する外科的傷害または外傷性傷害の結果である、請求項1記載の方法。
【請求項23】
ブドウ膜炎が、自己免疫疾患の結果である、請求項1記載の方法。
【請求項24】
被験体が、リウマチ様関節炎、ベシェ病、強直性脊椎炎、またはサルコイドーシスを有する、請求項23記載の方法。
【請求項25】
被験体が、隔離された免疫を媒介した眼障害を有する、請求項1記載の方法。
【請求項26】
被験体が、扁平部炎または虹彩毛様体炎を有する、請求項25記載の方法。
【請求項27】
被験体が、フォークト-小柳-原田症候群、散弾網脈絡膜症または交感性眼炎を有する、請求項1記載の方法。
【請求項28】
ブドウ膜炎が、感染の結果である、請求項1記載の方法。
【請求項29】
炎症性プロセスが、ブドウ膜炎を含み、オリゴデオキシヌクレオチドが、眼に対して投与される、請求項1記載の方法。
【請求項30】
眼に対するオリゴヌクレオチドの治療上有効量の投与が、オリゴヌクレオチドの局所的投与を含む、請求項29記載の方法。
【請求項31】
オリゴヌクレオチドの治療上有効量の投与が、硝子体内投与を含む、請求項29記載の方法。
【請求項32】
オリゴヌクレオチドの治療上有効量の投与が、移植を含む、請求項29記載の方法。
【請求項33】
少なくとも約8ヌクレオチドの長さのオリゴデオキシヌクレオチドの治療上有効量を含む眼内インプラントであって、オリゴデオキシヌクレオチドが、G-四分子を形成し、オリゴデオキシヌクレオチドが、約2.9を超えるCD値を有し、かつオリゴヌクレオチドが、眼の移植のために製剤化された少なくとも2つのグアノシンを含む眼内インプラント。
【請求項34】
さらなる抗炎症薬の治療上有効量をさらに含む、請求項33記載の眼内インプラント。
【請求項35】
さらなる免疫抑制剤の治療上有効量をさらに含む、請求項33記載の眼内インプラント。
【請求項36】
抗菌薬または抗真菌薬の治療上有効量をさらに含む、請求項33記載の眼内インプラント。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2007−536258(P2007−536258A)
【公表日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−511612(P2007−511612)
【出願日】平成17年5月5日(2005.5.5)
【国際出願番号】PCT/US2005/015761
【国際公開番号】WO2005/115359
【国際公開日】平成17年12月8日(2005.12.8)
【出願人】(300008988)アメリカ合衆国 (4)
【Fターム(参考)】