説明

ブラインドのストッパ装置

【課題】ブラインドの停止及び昇降の各動作を短い手順で切換える。
【解決手段】操作者が昇降コード13を操作してブラインド10を挟持位置又は許容位置に切換えることにより、ブラインド10を停止させるか或いは昇降させるように構成される。操作者による昇降コード13の操作時に、聴覚又は触覚による感覚的な意識を操作者に促して挟持位置又は許容位置の切換えを認知可能に構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブラインドの昇降コードの挟持及び解放を切換えることによって、ブラインドの停止及び昇降の各動作を順次に行わせるブラインドのストッパ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のブラインドのストッパ装置として、昇降コードが挿通するストッパケースと、ストッパケース内を昇降コードの移動方向に移動可能となった移動枠と、移動枠に軸支される挟持ローラと、前記昇降コードの移動方向と直交する方向に相対移動可能に移動枠に支持される切換部材と、ストッパケースに固定される挟持部材とから構成されたもの(例えば、特許文献1参照。)が提案されている。ストッパケースには、挟持ローラと噛合可能なローレット部と、挟持ローラを空転可能な切欠部が形成される。挟持ローラがローレット部に噛み合った状態で、昇降コードが移動すると、挟持ローラが回転し且つ昇降コードからの摩擦を受けて、ローレット部に案内されて挟持ローラが移動して、移動枠が移動することができるようになっている。一方、切換部材には案内カム溝が形成されており、案内カム溝にはストッパケースにはめ合わされる係合子が挿入される。そして、係合子が案内カム溝に形成された四つの係止部に係止すると、移動枠の移動を規制し、移動枠が昇降コードと一緒に移動できなくなるようになっている。
【0003】
即ち、従来の案内カム溝には、図7に示すように、第1〜第4係止部1〜4が形成される。そして、ブラインド停止時は係合子6が第1係合部1に位置し、その状態で挟持ローラと挟持部材との間で昇降コードを挟み付けて、昇降コードの移動を拘束している。一方、ブラインドの上昇方向に昇降コードを移動させると、昇降コードからの摩擦を受けて、移動枠が移動する。これに伴って、係合子6が第1係合部1から案内カム溝を相対移動して第2係止部2に移動する。この第2係止部2に係合子6が係止されると移動枠の移動が規制されて、昇降コードのみが移動して、ブラインドの上昇ができる。次いで、ブラインドの下降方向に昇降コードを移動させると、昇降コードと共に移動枠が移動し、係合子6が第2係止部2から脱出して案内カム溝を相対移動して第3係止部3に到達する。この第3係止部3に係合子6が係止されると移動枠の移動が規制されて、昇降コードのみが移動して、ブラインドの下降ができる。更に、ブラインドの上昇方向に昇降コードを移動させると、昇降コードと共に移動枠が移動し、係合子6が第3係止部3から脱出して案内カム溝を相対移動して、案内カム溝に形成された更に別の第4係止部4に到達する。この第4係止部4に係合子が係止されると移動枠の移動が規制されて、昇降コードのみが移動して、ブラインドの上昇ができる。次いで、更に、ブラインドの下降方向に昇降コードを移動させると、昇降コードと共に移動枠が移動し、係合子が第4係止部4から脱出して案内カム溝を相対移動して、停止時の第1係止部1に戻り、挟持ローラと挟持部材との間で昇降コードを挟み付けて、昇降コードの移動を拘束するようになっている。
【特許文献1】特開平7−76980号公報(明細書[0004]、[0005]、図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記従来のブラインドのストッパ装置では、案内カム溝と、その案内カム溝に嵌め合わされる係合子との関係によって、停止→上昇→下降→上昇→停止といった動作手順が一義的に決められる。従って、停止から上昇させた後、停止、上昇を繰り返す動作を行わせたい場合にも、上記手順に従って行わなければならない。このため、例えば、通常のブラインドで最下限高さから最上限高さまで上昇させる場合、昇降コードを1回引いただけでは、最上限高さまで上昇させることはできないので、途中で一度、停止させる必要が生じる。したがって、このような場合に、上記従来の動作手順に従う操作は煩わしいという未だ解決すべき課題が残存していた。
【0005】
本発明の目的は、ブラインドの停止及び昇降の各動作を短い手順で切換えることができるブラインドのストッパ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に係る発明は、図1、図2及び図5に示すように、操作者が昇降コード13を操作してブラインド10を挟持位置又は許容位置に切換えることにより、ブラインド10を停止させるか或いは昇降させるように構成されたブラインドのストッパ装置の改良である。その特徴ある構成は、操作者による昇降コード13の操作時に、聴覚又は触覚による感覚的な意識を操作者に促して挟持位置又は許容位置の切換えを認知可能に構成されたところにある。この請求項1に記載されたブラインドのストッパ装置では、操作者が昇降コード13を引下げ続けることにより、ブラインド10の上昇、停止、上昇、停止を繰り返すことができる。一方、操作者が昇降コード13を引下げている途中で、昇降コード13の引下げ抵抗の増大を聴覚又は触覚で感知したときに、昇降コード13を引下げる力を解除すると、スクリーン11を下降させることができる。
【0007】
請求項2に係る発明は、図1、図2及び図5に示すように、操作者が昇降コード13を操作してブラインド10を挟持位置又は許容位置に切換えることにより、ブラインド10を停止させるか或いは昇降させるように構成され、ヘッドレール12に設けられたケース22内のスライダ24が挟持位置で係合子34を係止する挟持部32aとスライダ24が許容位置で係合子34を係止する許容部32bとを有する案内カム溝32を備えたブラインドのストッパ装置の改良である。その特徴ある構成は、案内カム溝32が、挟持位置のスライダ24が許容位置に移動するとき挟持部32aの係合子34を許容部32bに移動させる第1溝32cと、許容位置のスライダ24が挟持位置に移動するとき許容部32bの係合子34を挟持部32aに移動させる第2溝32dと、第1溝32cと第2溝32dの間に形成され挟持位置から許容位置に向かうスライダ24が許容位置の手前で挟持位置に戻ろうとするとき第1溝32cを移動する係合子34を係止して第1溝32cを介して係合子34が挟持部32aに戻ることを防止する中間係止部32eと、中間係止部32eに対向するように第1溝32cに形成され係合子34の中間係止部32eに対向する位置から許容部32bまでの移動抵抗を増大させる抵抗増大部38とを有するところにある。
【0008】
この請求項2に記載されたブラインドのストッパ装置では、昇降コード13の他端を引下げ続けることにより、係合子34は抵抗増大部38を通過して許容部32bにまで移動する。このような引下げ操作により、係合子34は、図1中、実線の経路で相対的に案内カム溝32の挟持部32aと許容部32bを往復移動し、ブラインドの上昇、停止、上昇、停止を繰り返すことができる。一方、係合子34が抵抗増大部38に達して昇降コード13の他端の引下げ抵抗が増大したことを感知したときに、昇降コード13の他端を引下げる力を解除すると、係合子34はその抵抗増大部38から中間係止部32eに移動し、第1溝32cを介して係合子34が挟持部32aに戻ることが禁止される。これにより、スクリーン11を下降させることができる。
【0009】
請求項3に係る発明は、請求項2に係る発明であって、抵抗増大部38が、係合子34が通過可能な幅を有する狭路部38aと、狭路部38aの挟持部32a側端部に形成され挟持部38aから許容部32bに向かって狭くなって狭路部38aに連通する導入部38bとを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に係る発明では、操作者が昇降コードを引下げ続けることにより、ブラインドの上昇、停止、上昇、停止を繰り返すことができ、操作者が昇降コードを引下げている途中で、昇降コードの引下げ抵抗の増大を聴覚又は触覚で感知したときに、昇降コードを引下げる力を解除すると、スクリーンを下降させることができる。このようにブラインドの停止及び昇降の各動作を短い手順で切換えることができる。
【0011】
請求項2に係る発明では、係合子を係止して係合子が挟持部に戻ることを防止する中間係止部と、その中間係止部に対向する位置から許容部までの移動抵抗を増大させる抵抗増大部とを有するので、昇降コードの他端を引下げ続けることにより、係合子は案内カム溝の挟持部と許容部を往復移動し、ブラインドの上昇、停止、上昇、停止を繰り返すことができる。一方、係合子が抵抗増大部に達して昇降コードの他端の引下げ抵抗が増大したことを感知したときに、昇降コードの他端を引下げる力を解除すると、係合子はその抵抗増大部から中間係止部に移動し、係合子が挟持部に戻ることが禁止される。これにより、ブラインドを下降させることができる。このようにブラインドの停止及び昇降の各動作を短い手順で切換えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
次に本発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。図5及び図6に示すように、ローマンシェード10は、図示しない固定用ブラケットを介して部屋の壁面や天井に取付けられたヘッドレール12と、このヘッドレール12に上端が取付けられヘッドレール12の長さと略同一の幅を有するスクリーン11と、ヘッドレール12から昇降可能に垂下されてその下端がスクリーン11の下部に連結された昇降コード13とを備える。
【0013】
ヘッドレール12はアルミニウム合金等の金属の押出し成形又は引抜き成形により作られたレール本体12aと、レール本体12aの両端部に設けられた蓋体12bを備える。ヘッドレール12の内部空間には、複数(図5の例では3個)のコード挿通部材14がヘッドレール12の長手方向の任意の位置に収容される。また、ヘッドレール12の内部空間には、コード挿通部材14の数に相応する本数の昇降コード13が挿通され、これらの昇降コード13の一端部は、対応する所定のコード挿通部材14からスクリーン11の背面に添って垂下される。スクリーン11には上下方向に所定の間隔をあけて複数本の横桿16が取付けられ、ヘッドレール12から垂下された昇降コード13が横桿16と交差するスクリーン11の背面にはコードリング17が取付けられる。このため、スクリーン11の背面にはコードリング17が鉛直方向に所定の間隔をあけて取付けられる。また、スクリーン11の下縁にはウエイトバー18が取付けられる。
【0014】
ヘッドレール12の内部空間に挿通された複数の昇降コード13の他端部は、ヘッドレール12の内部空間を一方(図では左方向)に導かれて、ヘッドレール12の端部に設けられた停止手段であるストッパ装置20に挿通された後、ヘッドレール12の端部から垂下されて操作つまみ19に連結される。ストッパ装置20は、操作つまみ19が設けられた側の昇降コード13の上昇をそれぞれ禁止又は許容するように構成される。そして、ストッパ装置20は、操作つまみ19が設けられた側の昇降コード13を下降させた後に上昇させるとその昇降コード13の上昇を禁止し、上昇が禁止された操作つまみ19が設けられた側の昇降コード13を一旦下降させると再びその昇降コード13の上昇を許容するように構成される。ここで、図5及び図6における符号19aは操作つまみ19をスクリーン11の下端に連結する連結紐である。
【0015】
ヘッドレール12に内蔵されて対応する所定のコード挿通部材14から垂下された昇降コード13の一端側は、スクリーン11の背面に鉛直方向に所定の間隔をあけて取付けられた複数のコードリング17に挿通されて鉛直下方に配索された後、スクリーン11の下端に取付けられた最下端のコードリング17に、コード係止部材21を介して連結される。このように構成されたローマンシェード10では、操作つまみ19が設けられた側の昇降コード13を上昇させると、図5に示すようにヘッドレール12のコード挿通部材14から垂下されてスクリーン11に連結された側の昇降コード13が下降し、逆に操作つまみ19が設けられた側の昇降コード13を下降させると、図6に示すようにスクリーン11に連結された側の昇降コード13が上昇してスクリーン11をたくし上げることができるように構成される。なお、本発明のストッパ装置20は、このようなローマンシェードに限らず、横型ブラインド、プリーツスクリーン等の任意のブラインドに適用することもできる。
【0016】
図2〜図5に示すように、ストッパ装置20は、操作者が昇降コード13を操作してブラインド10を挟持位置又は許容位置に切換えることにより、ブラインド10を停止させるか或いは昇降させるように構成され、ヘッドレール12に設けられたケース26内のスライダ24が挟持位置で係合子34を係止する挟持部32aとスライダ24が許容位置で係合子34を係止する許容部32bとを有する案内カム溝32を備える。具体的には、ストッパ装置20は、ヘッドレール12内に配索された複数本の昇降コード13が挿通されるケース26と、ケース26に昇降コード13とともに所定の距離だけ移動可能に設けられたスライダ24と、ケース26とスライダ24との間に設けられ挟持位置で昇降コード13を挟持し許容位置で昇降コード13の移動を許容するコード挟持制御手段29と、ケース26に形成された案内カム溝32と、スライダ24に形成された凹溝24gと、案内カム溝32と凹溝24gとの間に収容されこれらの溝32,24g内を移動する球状の係合子34とを備える。
【0017】
ケース26は、ケース本体27と蓋28とを有する。ケース本体27は上面と両端と両側上部とが開口した略直方体の箱状に形成される。蓋28は、ケース本体27の開口する上面を閉止する蓋本体28aと、蓋本体28aの両側に垂下されケース本体27の両側上部を閉止する一対の蓋用側片28bとからなる。蓋28は第1ピン26a及び第2ピン26bによりケース本体27に固定される(図2〜図4)。スライダ24は略門型に形成され、スライダ用上片24aと、このスライダ用上片24aの両側に垂下された一対のスライダ用側片24b,24bとを有する。蓋用側片28bには、蓋28の長手方向に延びる一対のガイド用孔28cがそれぞれ形成され、スライダ用上片24aの両端には一対のガイド用孔28cに摺動可能にそれぞれ挿入される一対のガイド用突起24c,24cが設けられる。これによりスライダ24はケース本体27内を所定の距離だけ昇降コード13の移動方向に移動可能(往復動可能)に構成される。
【0018】
コード挟持制御手段29は、スライダ24の昇降コード移動方向の一端側に回転可能かつ上下動可能に取付けられ外周面に昇降コード13が食い込み可能な歯が形成された歯付きローラ29a(挟持部材)と、蓋28の昇降コード移動方向の一端側の下面に形成され昇降コード13が食い込み可能なアッパ歯部29b(受け部)と、ケース本体27にアッパ歯部29aに対向して形成され昇降コード移動方向の一端側に向うに従って徐々に登る階段状に形成され歯付きローラ29aの歯に噛合可能なロア歯部29c(案内部)とを有する。一対のスライダ用側片24b,24bには鉛直方向に延びる一対の縦孔24dがそれぞれ形成され、これらの縦孔24dに歯付きローラ29aの一対の軸部29d,29dを挿入することにより、歯付きローラ29aが回転可能かつ上下動可能に構成される。なお、図2及び図3の符号24eは昇降コード移動方向の中央で上方に向って突出するように一対のスライダ用側片24b,24b間に掛け渡されたロア突起であり、符号24fは昇降コード移動方向の他端側でスライダ用上片24aの下面から下方に向かって突設されたアッパ突起である。これらの突起24e,24fにより昇降コード13が互い違いに挟まれてスライダ24が昇降コード13とともに所定の距離だけ移動するように構成される。また上記突起24e,24fは、ケース26内に挿通された複数本の昇降コード13が互いに絡み合うのを阻止する機能も有する。また図2〜図4の符号31はケース本体27の昇降コード移動方向の他端側に回転可能に取付けられた受けローラであり、この受けローラ31は昇降コード13を受けてケース27内に案内するように構成される。
【0019】
スクリーン11とともにウエイトバー18を下降させる方向、具体的には、図3に示すように、昇降コード13の一端側を引下げる方向にスライダ24が移動してケース26内の一端部(図3における右端部)に接近している状態においては、歯付きローラ29aがロア歯部29cによってアッパ歯部29bの方へと押圧されており、挟持部材である歯付きローラ29aと受け部であるアッパ歯部29bとにより昇降コード13が挟持されて、昇降コード13の移動は拘束される。このように、スライダ24の挟持位置(図3)では、歯付きローラ29aとアッパ歯部29bとにより昇降コード13が挟持され、ローマンシェード10のスクリーン11はその高さで停止するように構成される。一方、スクリーン11とともにウエイトバー18を上昇させる方向、即ち昇降コード13を引上げる方向にスライダ24が移動すると、スライダ24は図3に示す位置から図2に示す位置に移動する。具体的には、昇降コード13の一端側を引上げる方向にスライダ24が移動して、このスライダ24がケース26内の中央部に位置する。このスライダ24の許容位置(図2)では、挟持部材である歯付きローラ29aが受け部であるアッパ歯部29bから離間して昇降コード13の移動が許容されるように構成される。
【0020】
一方、上記凹溝24gはスライダ用上片24aの上面に形成され、この凹溝24gに係合子34の略下半分が収容される。また凹溝24gは昇降コード移動方向に直交する方向に延びて形成される。上記案内カム溝32は蓋28の下面に形成され、この案内カム溝32に係合子34の略上半分が収容される。また案内カム溝32は、図1に示すように、スライダ24が昇降コード13を挟持する挟持位置(図3に示すスライダ24の位置)で係合子34を係止する挟持部32aと、スライダ24が昇降コード13の移動を許容する許容位置(図2に示すスライダ24の位置)で係合子34を係止する許容部32bとを有する。そして、案内カム溝32は、挟持位置のスライダ24が許容位置に移動するとき挟持部32aの係合子34を許容部32bに移動させる第1溝32cと、許容位置のスライダ24が挟持位置に移動するとき許容部32bの係合子34を挟持部32aに移動させる第2溝32dとを有する。また、第1溝32cと第2溝32dの間には、挟持位置から許容位置に向かうスライダ24が許容位置の手前で挟持位置に戻ろうとするとき第1溝32cを移動する係合子34を係止して第1溝32cを介して係合子34が挟持部32aに戻ることを防止する中間係止部32eが形成される。そして、その中間係止部32eに対向する第1溝32cには、係合子34の中間係止部32eに対向する位置から許容部32bまでの移動抵抗を増大させる抵抗増大部38が形成される。
【0021】
この実施の形態における抵抗増大部38は、係合子34が通過可能な幅を有する狭路部38aと、その狭路部38aの挟持部32a側端部に形成され挟持部32aから許容部32bに向かって狭くなって狭路部38aに連通する導入部38bとを有するものを例示する。これにより係合子34はその狭路部38aを構成する両壁に接触しつつその狭路部38aを通過することになり、係合子34がその狭路部38aを通過する移動抵抗を増大させることができる。
【0022】
次に、このように構成された本発明のストッパ装置20の作用を説明する。図3に示すように、スライダ24がケース26内の一端部(図3における右端部)に接近している状態においては、歯付きローラ29aがロア歯部29cによってアッパ歯部29bの方へと押圧されており、歯付きローラ29aとアッパ歯部29bとにより昇降コード13が挟持されて、昇降コード13の移動は拘束される。従って、ローマンシェードのスクリーン11はその高さで停止している。このように、スライダ24が挟持位置では、図1に示すように、係合子34は、案内カム溝32の挟持部32aに係止される。
【0023】
図3の状態から、ローマンシェードのスクリーン11を上昇させる場合には、操作部である昇降コード13の他端を引下げる。これにより、図3中、昇降コード13は左側へと移動する。昇降コード13の移動に追随して、スライダ24が移動する。これに伴って、相対的に係合子34は、挟持部32aを出発して第1溝32cを移動し、許容部32bに向う。このとき、係合子34は第1溝32cに形成された抵抗増大部38に達し、係合子34の中間係止部32eに対向する位置から許容部32bまでの移動抵抗が増大する。このため、係合子34は第1溝32cに形成された抵抗増大部38に達した段階から、昇降コード13の他端を引下げる抵抗も増大することになる。けれども、昇降コード13の他端を引下げ続けることにより、係合子34はその抵抗増大部38を通過して許容部32bにまで移動する。
【0024】
係合子34が許容部32bへと到達すると、それ以上のスライダ24のケース26に対する移動は規制されて、図2に示す状態となる。この状態では、歯付きローラ29aがアッパ歯部29bから離間するため、もはや歯付きローラ29aとアッパ歯部29bとにより昇降コード13は挟持されておらず、昇降コード13が解放される。そこで、昇降コード13の他端を引下げる操作の継続が可能となり、その操作を継続することにより、昇降コード13はロア突起24eとアッパ突起24fとの間を通り抜けて、昇降コード13の一端が上昇させられて、スクリーン11は上昇する。
【0025】
次に、昇降コード13の他端の引下げ力を解除すると、スクリーン11及びウエイトバー18の自重によって、昇降コード13は図2中、右側へと移動する。このため、昇降コード13を互い違いに挟むロア突起24e及びアッパ突起24fによって、昇降コード13とともにスライダ24が移動する。これに伴って、図1に示すように、相対的に係合子34が許容部32bを出発し、第2溝32dを介して再び挟持部32aへと向い、スライダ24は、昇降コード13とともに右端へと移動する。これにより、図3に示すように、歯付きローラ29aがロア歯部29cによって右端へと向うに従いアッパ歯部29bに接近するように上昇し、歯付きローラ29aとアッパ歯部29bとにより昇降コード13が挟持される。このため、昇降コード13の移動は拘束され、スクリーン11は停止することになる。以上の動作、即ち、昇降コード13の他端における操作部を引下げる操作により、係合子34は、図1中、実線の経路で相対的に案内カム溝32の挟持部32aと許容部32bを往復移動し、スクリーン11の上昇、停止、上昇、停止を繰り返すことができる。
【0026】
次に、ローマンシェードのスクリーン11の下降をさせる場合について説明する。図3の状態から、操作部である昇降コード13の他端を引下げる。これにより、図3中、昇降コード13は左側へと移動し、昇降コード13の移動に追随して、スライダ24が移動する。これに伴って、相対的に係合子34が挟持部32aを出発して第1溝32cを移動し、許容部32bに向う。そして、係合子34が第1溝32cに形成された抵抗増大部38に達した状態では、図2に示すように、歯付きローラ29aがアッパ歯部29bから離間して、昇降コード13が解放された状態となる。また、その係合子34が抵抗増大部38に達すると、係合子34の中間係止部32eに対向する位置から許容部32bまでの移動抵抗が増大する。このため、係合子34が抵抗増大部38に達した段階から、昇降コード13の他端を引下げる抵抗が増大する。
【0027】
昇降コード13の他端を引下げる抵抗が増大したことを操作者が聴覚又は触覚で感知したとき、昇降コード13の他端を引下げる力を解除する。すると、スクリーン11及びウエイトバー18の自重によって、昇降コード13は図2中、右側へと移動しようとする。すると、挟持位置から許容位置に向うスライダ24が許容位置の手前で挟持位置に戻ろうとすることになり、図1に示すように、第1溝32cの抵抗増大部38を移動する係合子34はその抵抗増大部38から中間係止部32eに移動し、その係合子34はその中間係止部32eに係止され、第1溝32cを介してその係合子34が挟持部32aに戻ることが禁止される。これにより、それ以上のスライダ24のケース26に対する移動は規制されて、図2に示す状態が維持される。この状態では、歯付きローラ29aがアッパ歯部29bから離間するため、もはや歯付きローラ29aとアッパ歯部29bとにより昇降コード13が挟持されておらず、昇降コード13は解放されており、スクリーン11及びウエイトバー18の自重によって、昇降コード13の一端は下降させられて、スクリーン11は下降する。
【0028】
スクリーン11が下降している状態から、昇降コード13の他端を操作して少し引下げた後、その力を解除すると、最初に、図2中、昇降コード13は左側へと移動して、昇降コード13の移動に追随してスライダ24が移動して、相対的に係合子34が中間係止部32eを出発して、図1の許容部32bに達する。次いで、その力を解除した段階で昇降コード13は右側へと移動して、昇降コード13の移動に追随してスライダ24が移動して、相対的に係合子34が挟持部32aへと向い、スライダ24は、昇降コード13とともに右端へと移動する。これにより、図3に示すように歯付きローラ29aがロア歯部29cによって右端へと向うに従いアッパ歯部29bに接近するように上昇し、歯付きローラ29aとアッパ歯部29bとにより昇降コード13を挟み付ける。このため、昇降コード13の移動は拘束され、スクリーン11は停止する。以上の動作、即ち、操作部を若干引下げてその抵抗が増大した段階でその引下げる力を解除することにより、係合子34を中間係止部32eに係止させて、スクリーン11を下降させることができる。そして、スクリーン11を下降させている途中で操作部を引くような操作により上昇動作をさせることもでき、その途中で停止させることもできる。
【0029】
なお、上述した実施の形態では、係合子が球状である場合を説明したが、この係合子はピン部を有する円柱状物、即ち略独楽形状の物であっても良い。この場合であっても、係合子の中間係止部に対向する位置から許容部までの移動抵抗を増大させることができる。また、この実施の形態では、ケースに案内カム溝を形成し、スライダに凹溝を形成し、案内カム溝と凹溝との間に係合子を収容したが、ケースに凹溝を形成し、スライダに案内カム溝を形成し、凹溝と案内カム溝との間に係合子を収容してもよい。更に、この実施の形態では、コード挟持制御手段の歯付ローラ(挟持部材)をスライダに設け、アッパ歯部(受け部)をケースに設けたが、コード挟持制御手段の歯付ローラ(挟持部材)をケースに設け、アッパ歯部(受け部)をスライダに設けてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明実施形態のストッパ装置における案内カム溝を図2の矢視Aの方向から透視した図である。
【図2】そのストッパ装置が昇降コードの移動を許容した状態を示す図4のB−B線断面図である。
【図3】そのストッパ装置が昇降コードを挟持した状態を示す図2に対応する断面図である。
【図4】そのストッパ装置の平面図である。
【図5】そのストッパ装置を備えたローマンシェードの斜視図である。
【図6】スクリーンが途中までたくし上げられた状態を示すローマンシェードの斜視図である。
【図7】従来のストッパ装置における案内カム溝の平面図である。
【符号の説明】
【0031】
10 ローマンシェード(ブラインド)
12 ヘッドレール
13 昇降コード
24 スライダ
32 案内カム溝
32a 挟持部
32b 許容部
32c 第1溝
32d 第2溝
32e 中間係止部
34 係合子
38 抵抗増大部
38a 狭路部
38b 導入部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作者が昇降コード(13)を操作してブラインド(10)を挟持位置又は許容位置に切換えることにより、前記ブラインド(10)を停止させるか或いは昇降させるように構成されたブラインドのストッパ装置において、
前記操作者による前記昇降コード(13)の操作時に、聴覚又は触覚による感覚的な意識を前記操作者に促して前記挟持位置又は許容位置の切換えを認知可能に構成されたことを特徴とするブラインドのストッパ装置。
【請求項2】
操作者が昇降コード(13)を操作してブラインド(10)を挟持位置又は許容位置に切換えることにより、前記ブラインド(10)を停止させるか或いは昇降させるように構成され、ヘッドレール(12)に設けられたケース(22)内のスライダ(24)が前記挟持位置で係合子(34)を係止する挟持部(32a)と前記スライダ(24)が前記許容位置で前記係合子(34)を係止する許容部(32b)とを有する案内カム溝(32)を備えたブラインドのストッパ装置において、
前記案内カム溝(32)は、
挟持位置のスライダ(24)が許容位置に移動するとき前記挟持部(32a)の前記係合子(34)を前記許容部(32b)に移動させる第1溝(32c)と、
許容位置のスライダ(24)が挟持位置に移動するとき前記許容部(32b)の前記係合子(34)を前記挟持部(32a)に移動させる第2溝(32d)と、
前記第1溝(32c)と前記第2溝(32d)の間に形成され挟持位置から許容位置に向かうスライダ(24)が許容位置の手前で挟持位置に戻ろうとするとき前記第1溝(32c)を移動する前記係合子(34)を係止して前記第1溝(32c)を介して前記係合子(34)が前記挟持部(32a)に戻ることを防止する中間係止部(32e)と、
前記中間係止部(32e)に対向するように前記第1溝(32c)に形成され前記係合子(34)の前記中間係止部(32e)に対向する位置から前記許容部(32b)までの移動抵抗を増大させる抵抗増大部(38)と
を有することを特徴とするブラインドのストッパ装置。
【請求項3】
抵抗増大部(38)は、係合子(34)が通過可能な幅を有する狭路部(38a)と、前記狭路部(38a)の挟持部(32a)側端部に形成され前記挟持部(38a)から許容部(32b)に向かって狭くなって前記狭路部(38a)に連通する導入部(38b)とを有する請求項2記載のブラインドのストッパ装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2010−116724(P2010−116724A)
【公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−290678(P2008−290678)
【出願日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【出願人】(000109923)トーソー株式会社 (84)
【Fターム(参考)】