説明

ブラインド内蔵型多重ガラスサッシのスラット角度調整装置

【課題】 単純な構成と操作の簡素化を両立させ、誰でもがワンタッチで簡便にスラットを傾動操作することができ、さらにサッシが外気温の変化によって膨張したり収縮した場合にも対応が可能なブラインド内蔵型多重ガラスサッシのスラット角度調整装置を安価に提供する。
【解決手段】 スラット角度調整装置51を、中間部を駆動側機構の端部に懸装され、一側部側と他側部側とが右側枠4d内部に垂設される伝動コード30と、ガイドスラット36の下端近傍で一端を右側枠4dから室内に突出させて設けられる駆動軸と、該駆動軸の一端に軸着されるチルト操作ダイヤル13と、右側枠4dの内部で前記駆動軸に軸着されるピニオン42と、該ピニオン42の両側に歯合し、上端に伝動コード30の一側部側と他側部側を連結し、右側枠4d内部を昇降する一対のラック31,31とで構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サッシ内部に離間して配置された複数枚の窓ガラスの間にブラインドを内蔵したブラインド内蔵型多重ガラスサッシであって、詳しくはブラインドのスラットを室内外方向へ傾動、すなわちスラットを所望の傾き角に設定するためのブラインド内蔵型多重ガラスサッシのスラット角度調整装置に関する。
【背景技術】
【0002】
窓の室内側に装着される単体のブラインドでは、一般にスラットの角度調整装置としてチェーンや操作棒が用いられている。これに対して、採光とプライバーシの保護とを兼備し、またその機能性やデザイン性から浴室やキッチン等に多く用いられるブラインド内蔵型の多重ガラスサッシでは、単体のブラインドのようにチェーンや操作棒をガラスサッシの室内側に配置すると、チェーンや操作棒が水濡れしたり汚損やカビの発生を招くこととなり,使用面や衛生面で好ましくない。
【0003】
このため、例えば、ヘッドボックス内部の回転シャフトの軸方向の一部に、螺旋状溝を有する溝付き軸部を設けるとともに、該溝付き軸部の螺旋状溝に係合する突起をもったナット部材を、ヘッドボックスに対しては回転不能で、かつ輪方向の移動で上記溝付き軸部を回転させるように設け、窓ガラスの外側には、磁気吸引力で前記ナット部材を前記軸方向に連係移動させる操作部材を移動可能に設けたスラット傾動装置(例えば、特許文献1参照実開平4−66291号公報)や、一方の側枠内部に、第1伝達軸,過回転防止用のクラッチ,第2伝達軸,ギヤボックスを上から順次配設し、前記一方の側枠から室内側へ操作ダイヤルを突設して、該ギヤボックスと前記第3伝達軸で連結するとともに、前記第1伝達軸をヘッドボックス内部の駆動軸の端部に設けたギヤボックスに連結したスラット角度調節装置(例えば、特許文献2参照)が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平4−66291号公報(第2頁,第3頁,図1,図2)
【特許文献2】実開昭63−69294号公報(第2頁,第3頁、図1〜図5)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、スラット傾動装置の操作部材を窓ガラスに設ける特許文献1では、操作部材の操作力あるいは不慮の外力によって窓ガラスを破損してしまう虞があり、窓ガラスを破損した場合にはスラット傾動装置の構成自体も損なわれることとなり、好ましくない。また、操作部材の取り付け位置は、窓ガラスを隔てたヘッドボックス外側の多重ガラスサッシとしてはかなりの高所であるため、子供や女性などでは手が届かず操作できない。
【0006】
一方、特許文献2のスラット角度調節装置は、ヘッドボックス内部の駆動軸と操作ダイヤルとの間すべてを機械的につなぐ構成がために、サッシが外気温の変化によって膨張したり収縮した場合にも対応ができない。さらに、構成部品の点数が多いことから製造面や経済面でも不利である。
【0007】
また、動力を直交方向に変換する2つのギアボックスを用いることから、ヘッドボックス内部の駆動軸を回転するには、操作ダイヤルの動力を単に延長線方向へ伝達するよりも大きな操作力が必要で、操作ダイヤルを相当大きな力で操作しなければならないから、かなりの労力を負担することが懸念される。
【0008】
本発明は、かかる実情を背景にしてなされたもので、その目的とするところは、単純な構成と操作の簡素化を両立させ、誰でもがワンタッチで簡便にスラットを傾動操作することができ、さらにサッシが外気温の変化によって膨張したり収縮した場合にも対応が可能なブラインド内蔵型多重ガラスサッシのスラット角度調整装置を安価に提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述の目的を達成するため、本発明は、サッシ枠の内部室内外に複数枚の窓ガラスを離間して配置し、該窓ガラスの間に画成された空間部にブラインドを配置し、該ブラインドのスラットにつながるラダーコードをヘッドボックスの内部に架設した回転機構に懸装し、該回転機構にスラット角度調整装置を連結してなるブラインド内蔵型多重ガラスサッシにおいて、前記スラット角度調整装置は、前記サッシ枠のいずれか一方の側枠内部に一側部側と他側部側とが垂設され、上部の中間部を前記回転機構の端部に懸装される伝動コードと、前記一方の側枠に一端を室内に突出させて設けられる駆動軸と、該駆動軸の一端に軸着されるチルト操作ダイヤルと、前記一方の側枠の内部で前記駆動軸に軸着されるピニオンと、該ピニオンの両側に歯合し、上端に前記伝動コードの一側部側と他側部側を連結して該伝動コードを張設するとともに、前記一方の側枠内部に昇降可能に配設される一対のラックとを備え、前記チルト操作ダイヤルの操作により前記ピニオンを回転して、前記一対のラックを互いに上下逆方向に昇降させ、されらこれらラックに連結された前記伝動コードの一側部側と他側部側とをラックと一体に上下逆方向に昇降させて前記回転機構を回転させることにより、前記スラットを室内外方向へ傾動することを特徴としている。
【0010】
本発明のスラット角度調整装置は、ピニオンの回転により、その接線方向にラックを移動させて動力伝達方向の変換を行うために、動力の伝達にムリがなく、回転機構とラックとの間に軽量な伝動コードを採用したことと相俟って、チルト操作ダイヤルを簡単に力で操作できる。
【0011】
スラット角度調整装置の伝動コードには、例えば布製または合成樹脂製の紐体が適当であり、外気温の変化によるサッシの膨張または収縮が僅かな場合には、回転機構とラックとの間に張設された伝動コード自体がサッシの長さ変化を吸収して対応する。また、サッシの膨張や収縮が大きい場合には、チルト操作ダイヤルを一方の側枠から軸方向へ移動することにより、チルト操作ダイヤルとともに駆動軸に軸着されたピニオンがラックとの歯合を外れるため、ラックにつながれた伝動コートが自由状態に伸張する。しかるのち、チルト操作ダイヤルを一方の側枠へ再組み付けすることにより、ピニオンがサッシの膨張または収縮で高さを変えたラックと再び歯合し、伝動コードが緩みなく張設される。
【発明の効果】
【0012】
本発明のブラインド内蔵型多重ガラスサッシのスラット角度調整装置によれば、チルト操作ダイヤルを回転させるだけのワンタッチ操作で、スライダを室内外方向へ傾動させてスラットの角度調整を簡便に行うことが可能であり、しかも部品点数が少なく構成が単純であることから安価な提供が可能であり、長期間の使用にもよく堪えることが期待できる。
【0013】
また、サッシが外気温によって膨張したり収縮した場合には、伝動コード自体が自動的に吸収したり、あるいはチルト操作ダイヤルを駆動軸方向へ移動してピニオンとラックとの歯合を一旦外したのち再組み付けするという簡単な調整で済み、スラットの角度調整機能を長期間よく保つことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一形態例を示すチルト操作ダイヤル近傍の断面立面図である。
【図2】本発明の一形態例を示す室内側から見た多重ガラスサッシの立面図である。
【図3】本発明の一形態例を示す多重ガラスサッシの断面側面図である。
【図4】本発明の一形態例を示す多重ガラスサッシの断面平面図である。
【図5】本発明の一形態例を示す室内側から見た多重ガラスサッシ右上部の拡大断面立面図である。
【図6】本発明の一形態例を示す受け金具とヘッドレールとの連結部分の拡大断面側面図である。
【図7】本発明の一形態例を示す室内側から見た多重ガラスサッシ右上部の拡大断面平面図である。
【図8】本発明の一形態例を示す受け金具とヘッドレールとの連結部分の拡大断面立面図である。
【図9】本発明の一形態例を示す受け金具とヘッドレールとの連結部分の拡大断面平面図である。
【図10】本発明の一形態例を示す左側枠上部の断面側面図である。
【図11】本発明の一形態例を示すスライダ近傍の立面図である。
【図12】本発明の一形態例を示す図10のXII−XII断面図である。
【図13】本発明の一形態例を示す図10のXIII−XIII断面図である。
【図14】本発明の一形態例を示すスライダ本体近傍を内側から見た立面図である。
【図15】本発明の一形態例を示すチルト操作ダイヤル近傍の立面図である。
【図16】本発明の一形態例を示すチルト操作ダイヤル近傍の断面側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1〜図16に示す本形態例の多重ガラスサッシ1は、建物の窓用開口部(図示しない)に組み込み固定される外枠2と、該外枠2内に室内が手方向へ回動可能に配置されるサッシ本体3とからなっている。サッシ本体3は、前記外枠2の内部にシールパッキンを介して液密に収容される内枠4と、該内枠4の内部に組み付け固定される室内側ガラス5及び室外側ガラス6と、これら室内外のガラス5,6の間に画成される空間部7と、該空間部7に昇降時材に配置される遮光用のブラインド8とを備えたブラインド内蔵型で、サッシ本体3の室内側に別製のブラインドを配置することがむずかしい、例えば浴室やキッチン等で採光とプライバシーの双方を確保するのに適している。
【0016】
サッシ本体3の内枠4は、上枠4aと下枠4b及び左右の側枠4c,4dとを、アルミ押出成形で形成された多数の型材を内外に組み合わせして縦長の矩形に構成されている。図1に示すように、内枠4の室内側には室内側レール4eが周設されており、該室内側レール4eの内側に、一枚の板ガラスを用いた前述の室内側ガラス5がシールパッキン10を用いて液密に固着されている。内枠4の室外側には、室外側レール4fと中間レール4gとが若干の間隔をおいて周設されており、これら両レール4f,4gの間に二枚の板ガラスを用いた前述の室外側ガラス6がシールパッキン11を用いて液密に固着されている。
【0017】
図2に示すように、右側枠4dの室内側上下には、ブラインド昇降装置50のスライダ12とスラット角度調整装置51のチルト操作ダイヤル13とが設けられており、前記ブラインド8は、スライダ12を上下方向へスライド操作することによって昇降し、またチルト操作ダイヤル13を回動操作することによってブラインド8のスラット14が室内外方向へ傾動して室内への採光量を調整するようになっている。
【0018】
下枠4dの室内側ほぼ中央にはサッシ本体用の開閉操作レバー15が設けられており、前記サッシ本体3は、開閉操作レバー15の回転により上枠4a及び下枠4bから上下方向へ突出する支軸(図示しない)を支点に室外方向へ開閉できるようなっている。
【0019】
図2〜図4に示すように、ブラインド8は、受け金具20を用いて上枠4aの下側に固着されるヘッドボックス21と、該ヘッドボックス21を通して前記空間部7に垂設される4本のラダーコード22及び2本の昇降コード23と、これらコード22,23の下端に固着されるボトムレール24と、該ボトムレール24及び前記ヘッドボックス21との間でラダーコード22に支持される複数枚の前記スラット14と、該スラット14及びボトムレール24を操作する前記スライダ12及びチルト操作ダイヤル13とを備えている。
【0020】
図2〜図7に示すように、ヘッドボックス21の内部の上下には、ラダーコード用の回転機構25と昇降コード23とが配設されており、昇降コード23には、例えば布製または合成樹脂製の紐体が用いられる。
【0021】
回転機構25は、サッシ本体3側に取り付けられ、軸端25dを右側枠4dの内部空間に突出して配設される駆動側機構25aと、ヘッドボックス21の内部で軸受けブロック26,26に支持される従動側機構25bとが動力伝達装置25cにより連結されている。
【0022】
右側枠4dの内部上側に突出する駆動側機構25aの軸端25dには伝動コード30の中間部が懸装され、該伝動コード30は右側枠4dの内部空間を垂下して、その両端が前記チルト操作ダイヤル13と連動する一対のラック31,31に連結されている。
【0023】
従動側機構25bは、六角棒を用いた回転軸32がヘッドボックス21の長手方向に沿って横架され、該回転軸32に軸着したスペーサ33,33の両端がそれぞれ軸受けブロック26に軸支されている。スペーサ33には、軸受けブロック26の開口部よりヘッドボックス21の内部に取り込まれたラダーコード22が懸装され、後述するスラット角度調整装置51の操作によりスペーサ33が回転軸32と一体に回転して、スラット14の両端に位置するラダーコード22のいずれか一方が上昇または下降し、他方がこれと反対方向へ移動して、スラット14が室内方向または室外方向へ傾動する。
【0024】
各昇降コード23は、軸受けブロック26の開口部を通してヘッドボックス21の内部に取り込まれ、さらに軸受けブロック26と右側枠4dの内部空間上部に軸支されるガイドローラ34,35を通して2本一緒になって右側枠4dの内部空間を下降し、前記スライダ12と一体のガイドローラ12jを懸回したのち右側枠4dの内部空間を上昇し、その端部が側枠4dのガイドローラ35近傍に係着されている。
【0025】
図1,図2,図10〜図16に示すように、右側枠4dの室内側面には、やや幅広のガイドスラット36が縦方向に開設されており、このガイドスラット36の中間部あたりに、ブラインド昇降装置50のスライダ12が昇降可能に設けられ、またガイドスラット36の下端近傍にスラット角度調整装置51のチルト操作ダイヤル13が配設されている。図10〜図14に示すように、ブラインド昇降装置50は、スライダ12が右側枠4dの任意の高さにとどまって、ブラインド8の昇降状態を確保するロック機能付きで、右側枠4dの内部空間に収容され、その一部がガイドスラット36から右側枠4dの室内側へ突出して設けられる縦長のスライダ本体12aと、該スライダ本体12aの突出部と右側枠4dの室内側で嵌合するカバー12bと、該カバー12b及びスライダ本体12aの間に位置し、カバー12bからスライダ本体12aへ突出するガイドバー12c,12cに上下方向の移動をガイドされる一対のプッシュロッド12d,12dと、ガイドバー12c,12cの内側に位置し、スライダ本体12aに支軸12eを用いて回転自在に軸支される転動ローラ12f,12fと、両転動ローラ12f,12fの間でスライダ本体12aに支軸12gを用いて回転自在に軸支されるロックレバー12h,12hと、プッシュロッド12d,12dの内端近傍に突出するロックレバー12h,12hの作用腕12h1,12h1間に縮設されるコイル状のリターンスプリング12iと、スライダ本体12aの上端に回転自在に軸支される前述のガイドローラ12jとを備えている。
【0026】
各ロックレバー12hは、作用腕12h1とブレーキ片12h2とをL字状に連ねて形成されており、スライダ本体12aに上下逆向きに配設されている。ロックレバー12h,12hにはリターンスプリング12iからの弾発力が常時作用しており、これらロックレバー12h,12hをそれぞれ支軸12g回りに作用方向へ回動させて、それぞれのブレーキ片12h2,12h2を右側枠4dの仕切壁4hに圧接させるとともに、作用腕12h1,12h1を介してプッシュロッド12d,12dを外方向へ弾発し、該プッシュロッド12d,12dの外端をスライダ本体12aの上下に突出させている。
【0027】
プッシュロッド12d,12dの外端がスライダ本体12aの上下に突出する上述の状態では、ロックレバー12h,12hのブレーキ片12h2,12h2が右側枠4dの仕切壁4hに強く圧接しているため、スライダ12は右側枠4dの任意の高さに固定され、ブラインド8の昇降位置が保持される。
【0028】
また、プッシュロッド12d,12dの外端をスライダ本体12aの内部に押し込むと、ロックレバー12h,12hのそれぞれがリターンスプリング12iの弾発力に抗して支軸12g回りに反作用方向へ回動し、ブレーキ片12h2,12h2が仕切壁4hから離間する。これにより、スライダ12の昇降が可能となり、ブラインド8の昇降状態を変更することができる。
【0029】
図1,図15,図16に示すように、前記スラット角度調整装置51は、右側枠4dの上部で中間部を駆動側機構25aの軸端25dに懸装され、一側部側と他側部側とが右側枠4d内部に垂設される前記伝動コード30と、ガイドスラット36の下端近傍で右側枠4dから一端を室内に突出させて設けられる駆動軸41と、この駆動軸41の一端に軸着されるチルト操作ダイヤル13と、右側枠4dの内部で前記駆動軸41に軸着されるピニオン42の両側に歯合し、上端に前記伝動コード30の一側部側と他側部側を連結して該伝動コード30を弛みなく張設するとともに、右側枠内部を昇降する一対のラック31,31とを備えている。
【0030】
スラット角度調整装置51の伝動コード30には、昇降コード23と同様に布製や合成樹脂製の紐体が用いられ、チルト操作ダイヤル13を左右いずれかに回転すると、駆動軸41を通してピニオン42がチルト操作ダイヤル13と同方向へ回転し、ピニオン42の両側に歯合するラック31,31を互いに上下反対方向へ移動して、これらにつながる伝動コード30,30がラック31,31と同方向へ移動し、駆動側機構25aの軸端25dを左右いずれかに回転させる。これにより、従動側機構25bの回転軸32が駆動側機構25aと同方向へ回転し、スラット14の両側に位置するラダーコード22,22を互いに上下反対方向へ移動させて、スラット14を室内方向または室外方向へ傾動させることにより室内への採光量が調整される。
【0031】
図6に示すように、前記受け金具20は、室内外に対向する一対のリム20a,20bと、両リム20a,20bの上縁間をつなぐウェブ20cとを有し、室内側に配設される一方のリム20aには、内側へ突出する係止突部20dがハーフピアス等によって形成されている。室外側に配設される他方のリム20bには、一方のリム側へ平行に位置する切り欠き片20eが設けられ、該切り欠き片20eとこの切り欠き片20eから一方のリム側へ膨出するボス部20fの内周面にめねじ孔(図示しない)が開設されるとともに、他方のリム20bの下側を外側へ直角に折曲して第1係止片20gとなしている。
【0032】
また、前記ヘッドボックス21は、室内外に対向する一対のリム21a,21bと、両リム21a,21bの下縁間をつなぐウェブ21cとを有し、室内側に配設される一方のリム21aを内側へクランク状に折曲し、その上部外側に受け金具20の係止突部20dを囲繞する収容凹部44を設けるととに、他方のリム21bの上部を内側へ直角に折曲して第2係止片21dとなしている。
【0033】
受け金具20は、止めねじ45を用いて上枠4aの下面に固着される。また、ヘッドボックス21は、一方のリム21aの上部を受け金具20の一方のリム20aの内側へ平行に差し込んで、該リム20aの係止突部20dを収容凹部44内に嵌合するとともに、他方のリム21bの第2係止片21dを受け金具20の第1係止片20gの上部に係止する。
【0034】
つぎに、受け金具20のめねじ孔に他方のリム20bの外側より止めねじ46をねじ込んで、該止めねじ46の先端をヘッドボックス21の一方のリム21aの上部内側に押圧することにより、ブラインド8が空間部7に取り付けされる。
【0035】
このように取り付けられたブラインド8は、係止突部20dと収容凹部44との嵌め込みにより、ヘッドボックス21をその長さ方向において所定の取り付け位置へ容易に位置決めできる。また、ブラインド8の取り付け後には、取り付けの要となる止めねじ46が一方のリム21aの上部を押圧して係止突部20dと収容凹部44との嵌合状態をよく保つとともに、ム21aからの反力が止めねじ46の緩み止めとなり、スラット14が室内外方向へ傾動したり空間部7を昇降する際の振動を受けても、ブラインド8の取り付け状態が長期間よく保たれる。
【0036】
また、夏の暑さや冬の寒さによってサッシ本体3が膨張したり収縮した場合に、ブラインド昇降装置50やスラット角度調整装置51に影響を与えてブラインド8の昇降やスラット14の傾動に不具合を生じることがあるが、ブラインド昇降装置用の昇降コード23やスラット角度調整装置51の伝動コード30には、布製や合成樹脂製の紐体が用いられていることから、外気温の変化によるサッシ本体3の膨張または収縮が僅かな場合には、昇降コード23や伝動コード30自体がサッシの長さ変化を吸収して対応する。
【0037】
特に、スラット角度調整装置51では、チルト操作ダイヤル13を軸方向へ移動することにより、チルト操作ダイヤル13とともに駆動軸41に軸着されたピニオン42がラック31,31との歯合を外れるため、ラック31,31につながれた伝動コート30,30が自由状態に伸張する。しかるのち、チルト操作ダイヤル13を正規の位置へ再組み付けすることにより、ピニオン42がサッシ本体3の膨張または収縮で高さを変えたラック31,31と再び歯合し、伝動コード30,30が緩みなく張設されるので、スラット14を良好に傾動させて室内への採光を調整することができる。
【符号の説明】
【0038】
1…多重ガラスサッシ
3…サッシ本体
4…内枠
4a…上枠
4b…左側枠
4d…右側枠
4c…下枠
5…室内側ガラス
6…室外側ガラス
7…空間部
8…ブラインド
12…スライダ
13…チルト操作ダイヤル
14…スラット
15…開閉操作レバー
20…受け金具
21…ヘッドボックス
22…ラダーコード
23…昇降コード
25…回転機構
25a…駆動側機構
25b…従動側機構
25c…動力伝達装置
30…伝動コード
31…ラック
32…回転軸
36…ガイドスラット
41…駆動軸
42…ピニオン
50…ブラインド昇降装置
51…スラット角度調整装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サッシ枠の内部室内外に複数枚の窓ガラスを離間して配置し、該窓ガラスの間に画成された空間部にブラインドを配置し、該ブラインドのスラットにつながるラダーコードをヘッドボックスの内部に架設した回転機構に懸装し、該回転機構にスラット角度調整装置を連結してなるブラインド内蔵型多重ガラスサッシにおいて、
前記スラット角度調整装置は、前記サッシ枠のいずれか一方の側枠内部に一側部側と他側部側とが垂設され、上部の中間部を前記回転機構の端部に懸装される伝動コードと、
前記一方の側枠に一端を室内に突出させて設けられる駆動軸と、該駆動軸の一端に軸着されるチルト操作ダイヤルと、
前記一方の側枠の内部で前記駆動軸に軸着されるピニオンと、
該ピニオンの両側に歯合し、上端に前記伝動コードの一側部側と他側部側を連結して該伝動コードを張設するとともに、前記一方の側枠内部に昇降可能に配設される一対のラックとを備え、
前記チルト操作ダイヤルの操作により前記ピニオンを回転して、前記一対のラックを上下逆方向に昇降させ、されらこれらラックに連結された前記伝動コードの一側部側と他側部側とをラックと一体に上下逆方向に昇降させて前記回転機構を回転させることにより、前記スラットを室内外方向へ傾動する
ことを特徴とするブラインド内蔵型多重ガラスサッシのスラット角度調整装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2010−222924(P2010−222924A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−73950(P2009−73950)
【出願日】平成21年3月25日(2009.3.25)
【出願人】(000101776)アルメタックス株式会社 (22)
【出願人】(390027498)株式会社ヨコタ (29)
【Fターム(参考)】