説明

ブラインド内蔵型多重ガラスサッシのブラインド昇降装置

【課題】 単純な構成と操作の簡素化を両立させ、誰でもがワンタッチで容易に操作することのできるブラインド内蔵型多重ガラスサッシのブラインド昇降装置を安価に提供する。
【解決手段】 昇降装置50は、右縦枠4dのガイドスリット36と、右縦枠4d内部を昇降するスライダ12と、ガイドスリット36から外部へ突出する操作片12bと、操作片12bに配置されるプッシュロッド12dと、スライダ12に上下方向へ回動自在に軸支されるロックレバー12hと、プッシュロッド12d,12dを外方向へ付勢してロックレバー12hを作動方向へ回動し、ブレーキ片12h2を仕切壁4hへ圧接してスライダ12の停止状態を維持するリターンスプリング12iとを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サッシ内部に離間して配置された複数枚の窓ガラスの間にブラインドを内蔵したブラインド内蔵型多重ガラスサッシであって、詳しくはブラインドのスラットを昇降するブラインド内蔵型多重ガラスサッシのブラインド昇降装置に関する。
【背景技術】
【0002】
サッシ内部に複数枚の窓ガラスを室内外に配置した多重ガラスサッシにあっては、両窓ガラスを隔てる空間部にブラインドを内蔵したブラインド内蔵型の多重ガラスサッシがある。ブラインドのスラットを昇降できるタイプでは、スラットとブラインド昇降装置とが昇降コードによってつながれており、ブラインド昇降装置によりスラットを上昇または下降させて、ブラインドを全開または全閉もしくは任意の開位置に操作できるようにしている。
【0003】
ブラインド内蔵型多重ガラスサッシのブラインド昇降装置として、例えば、サッシ枠の一方の側枠に縦方向のガイドスリットを開設し、この側枠に摺動部材を用いて上下方向に摺動可能で且つ所望の位置に固定可能な昇降操作用ツマミを設け、前記ブラインド下端のボトムレールに連結された昇降コードを垂直上方に向けてスラット列の上端までのばし、サッシ枠の上枠内で水平方向に導き、該上枠の一端近くまでのばした上、これを前記一方の側枠内で垂直下方に導き、前記昇降操作用ツマミによって前記一方の側枠内で上下に移動するガイドを周ぐらせた上、垂直上方に導き、その上端をサッシ枠体内で固定した構成や(例えば、特許文献1参照)、サッシ枠の側枠内部に縦軸を設けるとともに、側枠内部にスライダを昇降可能に嵌挿し、該スライダにブラインドのスラットを昇降する昇降コードを連結し、前記側枠に多数の平歯を有するラックを上下方向に亘って取付け、前記スライダに前記係止体の係止部と係合する位置と離脱する位置に作動可能なるロック部材と、該ロック部材を作動する操作レバー並びに回転及び往復動自在で回転することで前記縦軸を回転し、往動することでロック部材を離脱する位置に保持し、かつ復動することでロック部材の保持を解除する停止保持解除機構を取付け、前記スライダの上方への移動速度を遅くする緩衝機構を備えた構成が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特公平4−24517号公報(第1頁、図3,図6)
【特許文献2】特許第2631915号公報(第1頁,第2頁、図2,図9,図13)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の昇降装置は、構成が比較的単純であるという利便性があるが、ブラインドを全開もしくは任意の開位置に固定する場合には、スラットから作用する荷重を昇降操作用ツマミを握って支えながら、昇降操作用ツマミをねじ込んだり緩めるという2つの作業が同時に必要である。この2つの作業は、ブラインドを全開や任意の位置から開状態を変更する場合も同様で、特に固定状態の昇降操作用ツマミを安易に緩めてしまうと、スラットが自身の荷重によって全閉位置まで下降してしまい、その衝撃によってスラットが個々に傾いたり昇降コードやラダーコードが絡み合ったりするばかりか、ガイドスリットを一気に上昇する昇降操作用ツマミによって指が弾かれるなどの事故を招く虞がある。このように、特許文献1の昇降装置はブラインドの開閉操作に技巧を要し、ことに子供や女性には取り扱いがむずかしい。
さらに、特許文献1で昇降操作用ツマミを側枠の任意の高さに固定するには、昇降操作用ツマミと摺動部材とでガイドスリットの両側に位置する側枠の室内側板を内外から挟持するため、側枠の室内側板表面に昇降操作用ツマミによる圧痕を残すこととなり、商品価値を低下してしまうこととなる。
【0006】
また特許文献2では、昇降装置として、サッシ枠の側枠内部を昇降するスライダ以外に、操作レバーやロック部材,ロック部材のロック片と係脱するラック、ロック部材の円弧溝やガイドピン並びに支軸、ロック片とラックとの係合を保持するスプリング,停止保持解除機構の停止解除ボタン及び停止解除ボタン用の横軸,ロック部材の爪片と係脱する横軸の円錐部及び大径部,爪片と大径部との係合を保持するスプリングなどの多数の部品を要するため、製作面やコスト面で不利である。
さらに特許文献2の昇降装置は、停止保持解除機構がスラット傾動機構と構成をともにしていて、スラット傾動機構の縦軸や傘歯車機構が一体に組み込まれていることから、構造を一層複雑なものにしているばかりか、ブラインドの昇降には本来不要であるスラット傾動機構も一体に昇降させるため、昇降動作が重く円滑性を欠くものとなり、しかも不必要な支障が懸念される。
【0007】
本発明は、かかる実情を背景にしてなされたもので、その目的とするところは、単純な構成と操作の簡素化を両立させ、誰でもがワンタッチで容易に操作することのできるブラインド内蔵型多重ガラスサッシのブラインド昇降装置を安価に提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の目的を達成するため、本発明は、サッシ枠の内部室内外に複数枚の窓ガラスを離間して配置し、該窓ガラスの間に画成された空間部にブラインドを配置し、該ブラインドのスラットにつながる昇降コードを前記サッシ枠のいずれか一方の縦枠内部に設けたブラインド昇降装置に接続し、該ブラインド昇降装置の操作にて前記スラットを昇降するようにしたブラインド内蔵型多重ガラスサッシのブラインド昇降装置において、前記ブラインド昇降装置は、前記一方の縦枠の室内側に縦方向に開設されたガイドスリットと、前記昇降コードを連結して前記一方の縦枠内部を昇降するスライダと、該スライダから前記ガイドスリットの外部へ突出する操作片と、該操作片から外端を上方または下方へ突出して配置されるプッシュロッドと、前記スライダに上下方向へ回動自在に軸支され、一方に前記プッシュロッドの内端と当接する作動片を有し、他方に前記一方の縦枠の内壁へ圧接が可能なブレーキ片とを有するロックレバーと、前記作動片の反プッシュロッド側を常時弾発して、該プッシュロッドを外方向へ付勢するとともに前記ロックレバーを作動方向へ回動し、前記ブレーキ片を前記一方の縦枠の内壁へ圧接して、前記スライダの停止状態を維持する弾発手段とを備え、前記操作片から突出する前記プッシュロッドの外端を前記弾発手段の付勢力に抗して押動することにより、前記ロックレバーを反作動方向へ回動して前記ブレーキ片を前記一方の縦枠の内壁から離間させて前記スライダの昇降を可能としたことを特徴としている。
【0009】
本発明のスライダは、前記一方の縦枠の内壁を転動してスライダの案内する転動ローラを設けてもよく、また前記プッシュロッドと前記ロックレバーと前記弾発手段とでロック機構を構成し、一対のロック機構を前記スライダに上下逆向きに配置してもよい。
【0010】
本発明のブラインド昇降装置は、操作片に収容されるプッシュロッドを押動しない非作動状態において、弾発手段がロックレバーの作動片とプッシュロッドとを弾発して、プッシュロッドの外端を操作片の上方または下方へ突出させ、さらにロックレバーを作動方向へ回動して、該ロックレバーのブレーキ片を一方の縦枠の内壁へ圧接してスライダの停止状態を維持しており、ブラインドを全開または全閉もしくは任意の開位置に保っている。
【0011】
また、ブラインドの全開または全閉もしくは任意の開位置を変更するには、操作片を把持しながらプッシュロッドの外端を弾発手段の付勢力に抗して押動すると、作動片が押し込まれてロックレバーが反作動方向へ回動し、ブレーキ片が一方の縦枠の内壁から離間してスライダの昇降が可能となる。
この状態から、スライダを上昇させると昇降コードがブラインド側に緩み、スラットが下方へ順次拡がってブラインドが閉状態となり、反対にスライダが下降させると昇降コードが一方の側枠側に引き込まれ、スラットが上方向へ畳まれてブラインドが開状態となる。そして、操作片を任意の位置でその把持とプッシュロッドの押動を解除すると、ロックレバーが弾発手段の付勢力により作動方向へ回動して、ブレーキ片が一方の縦枠の内壁へ圧接し、スライダの停止状態が維持されるとともに、ブラインドの任意の開状態もしくは閉じ状態が保たれる。
【0012】
昇降装置の弾発手段として、圧縮コイルバネや引っ張りコイルバネなどのバネ材やゴムあるいは軟質の合成樹脂が適当である。なお、ロックレバーの作動片とプッシュロッドとを一体化することも可能であり、本発明はこのような一体化の実施も妨げない。
また、スライダに転動ローラを設けることにより、スライダの昇降動作が軽くスムーズに行える。
【0013】
さらに、スライダに一対のロック機構を上下逆向きに配置することにより、ロックレバーのブレーキ片と一方の縦枠の内壁との圧接力が2倍となり、スライダの停止状態がより確実に維持される。また、一対のロック機構を上下逆向きに位置することにより、上方向の外力に対するブレーキ力と下方の外力に対するブレーキ力が設定されることとなるため、スライダに上下いずれの外力が作用してもスライダの停止状態がより確実に保たれる。なお、一対のロック機構をスライダに上下逆向きに配置する場合に、一対のロック機構の間に1つの圧縮型の弾発手段を縮設して実施することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明のブラインド内蔵型多重ガラスサッシのブラインド昇降装置によれば、スライダの操作片を把持しながらプッシュロッドを押動するだけのワンタッチ操作で、スライダを上昇または下降させてブラインドを簡便に開閉し、また操作片の把持とプッシュロッドの押動を解除するだけのワンタッチ操作で、スライダを任意の位置に停止させてブラインドを所望の開状態にすることが可能である。したがって、誰でもがブラインドをワンタッチで容易に開閉操作することができる。さらに、構成が単純であることから安価な提供が可能であり、長期間の使用にもよく堪えることが期待できる。
【0015】
また、スライダに転動ローラを設けることにより、スライダの昇降動作がより軽くスムーズに行えるようになる。さらに、一対のロック機構を上下逆向きに位置することにより、上方向の外力に対するブレーキ力と下方の外力に対するブレーキ力が設定されるので、スライダに上下いずれの外力が作用してもスライダの停止状態をより確実に保つことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一形態例を示す図10のI−I断面図である。
【図2】本発明の一形態例を示す室内側から見た多重ガラスサッシの立面図である。
【図3】本発明の一形態例を示す多重ガラスサッシの断面側面図である。
【図4】本発明の一形態例を示す多重ガラスサッシの断面平面図である。
【図5】本発明の一形態例を示す室内側から見た多重ガラスサッシ右上部の拡大断面立面図である。
【図6】本発明の一形態例を示す受け金具とヘッドレールとの連結部分の拡大断面側面図である。
【図7】本発明の一形態例を示す室内側から見た多重ガラスサッシ右上部の拡大断面平面図である。
【図8】本発明の一形態例を示す受け金具とヘッドレールとの連結部分の拡大断面立面図である。
【図9】本発明の一形態例を示す受け金具とヘッドレールとの連結部分の拡大断面平面図である。
【図10】本発明の一形態例を示す左側枠上部の断面側面図である。
【図11】本発明の一形態例を示すスライダ近傍の立面図である。
【図12】本発明の一形態例を示す図10のXII−XII断面図である。
【図13】本発明の一形態例を示すスライダ本体近傍を内側から見た立面図である。
【図14】本発明の一形態例を示すチルト操作ダイヤル近傍の立面図である。
【図15】本発明の一形態例を示すチルト操作ダイヤル近傍の断面立面図である。
【図16】本発明の一形態例を示すチルト操作ダイヤル近傍の断面側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1〜図16に示す本形態例の多重ガラスサッシ1は、建物の窓用開口部(図示しない)に組み込み固定される外枠2と、該外枠2内に室内が手方向へ回動可能に配置されるサッシ本体3とからなっている。サッシ本体3は、前記外枠2の内部にシールパッキンを介して液密に収容される内枠4と、該内枠4の内部に組み付け固定される室内側ガラス5及び室外側ガラス6と、これら室内外のガラス5,6の間に画成される空間部7と、該空間部7に昇降時材に配置される遮光用のブラインド8とを備えたブラインド内蔵型で、サッシ本体3の室内側に別製のブラインドを配置することがむずかしい、例えば浴室やキッチン等で採光とプライバシーの双方を確保するのに適している。
【0018】
サッシ本体3の内枠4は、上枠4aと下枠4b及び左右の側枠4c,4dとを、アルミ押出成形で形成された多数の型材を内外に組み合わせして縦長の矩形に構成されている。図1に示すように、内枠4の室内側には室内側レール4eが周設されており、該室内側レール4eの内側に、一枚の板ガラスを用いた前述の室内側ガラス5がシールパッキン10を用いて液密に固着されている。内枠4の室外側には、室外側レール4fと中間レール4gとが若干の間隔をおいて周設されており、これら両レール4f,4gの間に二枚の板ガラスを用いた前述の室外側ガラス6がシールパッキン11を用いて液密に固着されている。
【0019】
図2に示すように、右側枠4dの室内側上下には、ブラインド用のスライダ12とチルト操作ダイヤル13とが設けられており、前記ブラインド8は、スライダ12を上下方向へスライド操作することによって昇降し、またチルト操作ダイヤル13を回動操作することによってブラインド8のスラット14が室内外方向へ傾動するようになっている。
下枠4dの室内側ほぼ中央にはサッシ本体用の開閉操作レバー15が設けられており、前記サッシ本体3は、開閉操作レバー15の回転により上枠4a及び下枠4bから上下方向へ突出する支軸(図示しない)を支点に室外方向へ開閉できるようなっている。
【0020】
図2〜図4に示すように、ブラインド8は、受け金具20を用いて上枠4aの下側に固着されるヘッドボックス21と、該ヘッドボックス21を通して前記空間部7に垂設される4本のラダーコード22及び2本の昇降コード23と、これらコード22,23の下端に固着されるボトムレール24と、該ボトムレール24及び前記ヘッドボックス21との間でラダーコード22に支持される複数枚の前記スラット14と、該スラット14及びボトムレール24を操作する前記スライダ12及びチルト操作ダイヤル13とを備えている。
【0021】
図2及び図5〜図7に示すように、ヘッドボックス21の内部の上下には、ラダーコード用の回転機構25と昇降コード23とが配設されている。回転機構25は、サッシ本体3側に取り付けられ、軸端25dを右側枠4dの内部空間に突出して配設される駆動側機構25aと、ヘッドボックス21の内部で軸受けブロック26,26に支持される従動側機構25bとがスラット装置25cにより連結されている。
右側枠4dの内部空間に突出する駆動側機構25aの軸端25dには伝動コード30の中間部が懸装され、該伝動コード30は右側枠4dの内部空間を垂下して、その両端が前記チルト操作ダイヤル13と連動する一対のラック31,31に連結されている。
【0022】
従動側機構25bは、六角棒を用いた回転軸32がヘッドボックス21の長手方向に沿って横架され、該回転軸32に軸着したスペーサ33,33の両端がそれぞれ軸受けブロック26に軸支されている。スペーサ33には、軸受けブロック26の開口部よりヘッドボックス21の内部に取り込まれたラダーコード22が懸装され、スペーサ33が回転軸32と一体に回転することにより、スラット14の両端に位置するラダーコード22のいずれか一方が上昇または下降し、他方がこれと反対方向へ移動して、スラット14が室内方向または室外方向へ傾動する。
【0023】
各昇降コード23は、軸受けブロック26の開口部を通してヘッドボックス21の内部に取り込まれ、さらに軸受けブロック26と右側枠4dの内部空間上部に軸支されるガイドローラ34,35を通して2本一緒になって右側枠4dの内部空間を下降し、前記スライダ12と一体のガイドローラ12jを懸回したのち右側枠4dの内部空間を上昇し、その端部が側枠4dのガイドローラ35近傍に係着されている。
【0024】
図1,図2及び図10〜図16に示すように、右側枠4dの室内側面には、やや幅広のガイドスリット36が縦方向に開設されており、このガイドスリット36の中間部あたり33に、ブラインド昇降装置50のスライダ12が昇降可能に設けられ、またガイドスリット36の下端にスラット角度調整装置51のチルト操作ダイヤル13が固設されている。
図1に示すように、ブラインド昇降装置50は、スライダ12が右側枠4dの任意の高さにとどまって、ブラインド8の昇降状態を確保するロック機能付きで、前述のガイドスリット36と、昇降コード23を連結して右縦枠4dの内部に位置するスライダ本体12aと、該スライダ本体12aからガイドスリット36を通して室内側へ突出する操作片12bと、スライダ本体12aに上下逆向きに配置される一対のロック機構12k,12kと、スライダ本体12aの内側上下に支軸12eを用いて軸支される転動ローラ12f,12fとよりなっている。
【0025】
各ロック機構12kは、操作片12bから外端を上方または下方へ突出して配置されるプッシュロッド12dと、前記スライダ12に上下方向へ回動自在に軸支され、一方にプッシュロッド12dの内端と当接する作動片12h1を有し、他方に右縦枠4dの仕切壁4hへ圧接が可能なブレーキ片12h2とを有するL字状のロックレバー12hと、作動片12h1の反プッシュロッド側を常時弾発して、プッシュロッド12dを外方向へ付勢するとともに、ロックレバー12hを作動方向へ回動し、ブレーキ片12h2を右縦枠4dの仕切壁4hへ圧接して、スライダ12の停止状態を維持するコイル状のリターンスプリング12iとを備えている。
【0026】
各プッシュロッド12dは、中間部に穿設した縦方向の長孔に操作片12b側からスライダ本体12aへ突出する嵌合ピン12cを挿通して上下方向へ移動可能に支持される。
L字状のロックレバー12h,12hは上下逆向きに配置され、上下に相対向する作動片12h1,12h1の間に、両ロック機構12k,12k兼用のリターンスプリング12iが縮設されている。
リターンスプリング12iの弾発力はロックレバー12h,12hに常時作用しており、ロックレバー12h,12hがプッシュロッド12d,12dを外方向へ押動してその外端を操作片12bの上下に突出させる。また、ロックレバー12h,12h自身は、それぞれ支軸12g回りに作用方向へ回動し、ブレーキ片12h2,12h2を右側枠4dの仕切壁4hに圧接している。
【0027】
プッシュロッド12d,12dの外端が操作片12bの上下に突出する図1の状態では、下側のロック機構12kのブレーキ片12h2が上方向からの力に対して有効なブレーキ力を発揮し、また上側のロック機構12kのブレーキ片12h2が下方向からの力に対して有効なブレーキ力を発揮する。
このように、双方のロックレバー12h,12hのブレーキ片12h2,12h2が右側枠4dの仕切壁4hに強く圧接しているため、スライダ12は右側枠4dの任意の高さに固定され、ブラインド8の昇降位置が保持される。
【0028】
また、プッシュロッド12d,12dの外端を操作片12bの内部に押し込むと、ロックレバー12h,12hのそれぞれがリターンスプリング12iの弾発力に抗して支軸12g回りに反作用方向へ回動し、ブレーキ片12h2,12h2が仕切壁4hから離間する。これにより、スライダ12の昇降が可能となり、ブラインド8の昇降状態を変更することができる。
【0029】
前記チルト操作ダイヤル13は、右側枠4dの内部空間に固定される保持枠40aにツマミ41が室内側へ突出して設けられ、該ツマミ41の内端にピニオン42が固着されている。保持枠40bの内部では、伝動コード30,30に連結された前述のラック31,31がピニオン42の両側に歯合しており、ツマミ41を操作してピニオン42が左右いずれかに回転するとラック31,31が上下反対方向へ移動し、これらにつながる伝動コード30,30を同じく上下逆方向へ移動させて、駆動側機構25aの軸端25dを左右いずれかに回転させ、さらに従動側機構25bの回転軸32を同方向へ回転させて、スラット14を室内方向または室外方向へ傾動する。
【0030】
図6に示すように、前記受け金具20は、室内外に対向する一対のリム20a,20bと、両リム20a,20bの上縁間をつなぐウェブ20cとを有し、室内側に配設される一方のリム20aには、内側へ突出する係止突部20dがハーフピアス等によって形成されている。室外側に配設される他方のリム20bには、一方のリム側へ平行に位置する切り欠き片20eが設けられ、該切り欠き片20eとこの切り欠き片20eから一方のリム側へ膨出するボス部20fの内周面にめねじ孔(図示しない)が開設されるとともに、他方のリム20bの下側を外側へ直角に折曲して第1係止片20gとなしている。
また、前記ヘッドボックス21は、室内外に対向する一対のリム21a,21bと、両リム21a,21bの下縁間をつなぐウェブ21cとを有し、室内側に配設される一方のリム21aを内側へクランク状に折曲し、その上部外側に受け金具20の係止突部20dを囲繞する収容凹部44を設けるととに、他方のリム21bの上部を内側へ直角に折曲して第2係止片21dとなしている。
【0031】
受け金具20は、止めねじ45を用いて上枠4aの下面に固着される。また、ヘッドボックス21は、一方のリム21aの上部を受け金具20の一方のリム20aの内側へ平行に差し込んで、該リム20aの係止突部20dを収容凹部44内に嵌合するとともに、他方のリム21bの第2係止片21dを受け金具20の第1係止片20gの上部に係止する。つぎに、受け金具20のめねじ孔に他方のリム20bの外側より止めねじ46をねじ込んで、該止めねじ46の先端をヘッドボックス21の一方のリム21aの上部内側に押圧することにより、ブラインド8が空間部7に取り付けされる。
【0032】
このように取り付けられたブラインド8は、係止突部20dと収容凹部44との嵌め込みにより、ヘッドボックス21をその長さ方向において所定の取り付け位置へ容易に位置決めできる。また、ブラインド8の取り付け後には、取り付けの要となる止めねじ46が一方のリム21aの上部を押圧して係止突部20dと収容凹部44との嵌合状態をよく保つとともに、ム21aからの反力が止めねじ46の緩め止めとなり、スラット14が室内外方向へ傾動したり空間部7を昇降する際の振動を受けても、ブラインド8の取り付け状態が長期間よく保たれる。
【0033】
本形態例は以上のように構成されており、スライダ12を用いたブラインド昇降装置50は、操作片12bに収容されるプッシュロッド12d,12dを押動しない非作動状態において、本発明の弾発手段であるリターンスプリング12iがロックレバー12h,12hの作動片12h1,12h1とプッシュロッド12d,12dとを弾発して、プッシュロッド12d,12dの外端を操作片12bの上方または下方へ突出させ、さらにロックレバー12h,12hをそれぞれ支軸12g回りに作動方向へ回動して、該ロックレバー12h,12hのブレーキ片12h2,12h2を右縦枠4dの仕切壁4hへ圧接してスライダ12の停止状態を維持しており、ブラインド8を全開または全閉もしくは任意の開位置に保っている。
【0034】
また、上述の状態からブラインド8の開位置を変更するには、操作片12bを把持しながらプッシュロッド12d,12dの外端をリターンスプリング12iの付勢力に抗して押動すると、プッシュロッド12d,12dに作動片12h1,12h1が押し込まれてロックレバー12h,12hが反作動方向へ回動し、ブレーキ片12h2,12h2が右縦枠4dの仕切壁4hから離間してスライダ12の昇降が可能となる。
【0035】
この状態から、スライダ12を上昇させると昇降コード23がブラインド側に緩み、スラット14が下方へ順次拡がってブラインドが閉状態となる。また、反対にスライダ12が下降させると昇降コード23が右側枠4dに引き込まれ、スラット14が上方向へ畳まれてブラインド8が開状態となる。スライダ12の上昇及び下降では、支軸12e回りに回転する転動ローラ12f,12fが仕切壁4hを転動して、スライダ12の昇降を円滑にガイドする。そして、操作片12bを任意の位置でその把持とプッシュロッド12d,12dの押動を解除すると、ロックレバー12h,12hがリターンスプリング12iの付勢力により支軸12g回りに作動方向へ回動して、ブレーキ片12h2,12h2が縦枠4dの仕切壁4hへ圧接し、スライダ12の停止状態が維持されることにより、ブラインド8の任意の開状態もしくは閉じ状態が保たれる。さらに、プッシュロッド12d,12dも外端を操作片12bの上方及び下方へ突出させる非作動位置に復帰する。
【符号の説明】
【0036】
1…多重ガラスサッシ
3…サッシ本体
4…内枠
4a…上枠
4b…左側枠
4d…右側枠
4c…下枠
4h…右縦枠4dの仕切壁4h
5…室内側ガラス
6…室外側ガラス
7…空間部
8…ブラインド
12…スライダ
12a…スライダ本体
12b…操作片
12d…プッシュロッド
12e,12g…支軸
12f…転動ローラ
12h…ロックレバー
12h1…作動片
12h2…ブレーキ片
12i…コイル状のリターンスプリング(本発明の弾発手段)
12k…ロック機構
12j…ガイドローラ
13…チルト操作ダイヤル
14…スラット
15…開閉操作レバー
20…受け金具
21…ヘッドボックス
22…ラダーコード
23…昇降コード
25…回転機構
25a…駆動側機構
25b…従動側機構
25c…スラット装置
30…伝動コード
31…ラック
32…回転軸
36…ガイドスリット
41…ツマミ
42…ピニオン
50…ブラインド昇降装置
51…スラット角度調整装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サッシ枠の内部室内外に複数枚の窓ガラスを離間して配置し、該窓ガラスの間に画成された空間部にブラインドを配置し、該ブラインドのスラットにつながる昇降コードを前記サッシ枠のいずれか一方の縦枠内部に設けたブラインド昇降装置に接続し、該ブラインド昇降装置の操作にて前記スラットを昇降するようにしたブラインド内蔵型多重ガラスサッシのブラインド昇降装置において、
前記ブラインド昇降装置は、前記一方の縦枠の室内側に縦方向に開設されたガイドスリットと、前記昇降コードを連結して前記一方の縦枠内部を昇降するスライダと、該スライダから前記ガイドスリットの外部へ突出する操作片と、該操作片から外端を上方または下方へ突出して配置されるプッシュロッドと、前記スライダに上下方向へ回動自在に軸支され、一方に前記プッシュロッドの内端と当接する作動片を有し、他方に前記一方の縦枠の内壁へ圧接が可能なブレーキ片とを有するロックレバーと、前記作動片の反プッシュロッド側を常時弾発して、該プッシュロッドを外方向へ付勢するとともに前記ロックレバーを作動方向へ回動し、前記ブレーキ片を前記一方の縦枠の内壁へ圧接して、前記スライダの停止状態を維持する弾発手段とを備え、
前記操作片から突出する前記プッシュロッドの外端を前記弾発手段の付勢力に抗して押動することにより、前記ロックレバーを反作動方向へ回動して前記ブレーキ片を前記一方の縦枠の内壁から離間させて前記スライダの昇降を可能とした
ことを特徴とするブラインド内蔵型多重ガラスサッシのブラインド昇降装置。
【請求項2】
前記スライダに、前記一方の縦枠の内壁を転動してスライダの案内する転動ローラを設けた
ことを特徴とする請求項1に記載のブラインド内蔵型多重ガラスサッシのブラインド昇降装置。
【請求項3】
前記プッシュロッドと前記ロックレバーと前記弾発手段とでロック機構を構成し、
該ロック機構を一対前記スライダに上下逆向きに配置した
ことを特徴とする請求項1または2に記載のブラインド内蔵型多重ガラスサッシのブラインド昇降装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2010−222922(P2010−222922A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−73803(P2009−73803)
【出願日】平成21年3月25日(2009.3.25)
【出願人】(000101776)アルメタックス株式会社 (22)
【出願人】(390027498)株式会社ヨコタ (29)
【Fターム(参考)】