説明

ブラインド内蔵型多重ガラスサッシのブラインド昇降装置

【課題】 単純な構成と操作の簡素化を両立させ、誰でもがワンタッチで容易に操作することのできるブラインド内蔵型多重ガラスサッシのブラインド昇降装置を安価に提供する。
【解決手段】 昇降装置40は、右側枠4dのガイドスリット36と、右側枠4d内部を昇降するスライダ12と、基端部41aをスライダ12に軸支し、握り操作部41bをガイドスリット36から室内側へ突出させて室内外方向へ回動可能に配置されるブラインド昇降レバー41と、スライダ12の内部に室内外方向へスライド可能に収容されるブレーキシュー43と、基端部41aにブレーキシュー43と当接可能に位置するカム部材44とを備える。ブラインド昇降レバー41が昇降停止位置へ回動すると、ブレーキシュー43が仕切壁4hへ圧接して、スライダ12をロック状態に維持し、ブラインド昇降レバー41が昇降可能位置へ回動すると、ブレーキシュー43が仕切壁4hから離間して、スライダ12の昇降が可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サッシ内部に離間して配置された複数枚の窓ガラスの間にブラインドを内蔵したブラインド内蔵型多重ガラスサッシに係り、詳しくはブラインドのスラットを昇降するブラインド内蔵型多重ガラスサッシのブラインド昇降装置に関する。
【背景技術】
【0002】
サッシ内部に複数枚の窓ガラスを室内外に配置した多重ガラスサッシにあっては、両窓ガラスを隔てる空間部にブラインドを内蔵したブラインド内蔵型の多重ガラスサッシがある。ブラインドのスラットを昇降できるタイプでは、スラットとブラインド昇降装置とが昇降コードによってつながれており、ブラインド昇降装置によりスラットを上昇または下降させて、ブラインドを全開または全閉もしくは任意の開位置に操作できるようにしている。
【0003】
ブラインド内蔵型多重ガラスサッシのブラインド昇降装置として、例えば、サッシ枠の一方の側枠に縦方向のガイドスリットを開設し、この側枠に摺動部材を用いて上下方向に摺動可能で且つ所望の位置に固定可能な昇降操作用ツマミを設け、前記ブラインド下端のボトムレールに連結された昇降コードを垂直上方に向けてスラット列の上端までのばし、サッシ枠の上枠内で水平方向に導き、該上枠の一端近くまでのばした上、これを前記一方の側枠内で垂直下方に導き、前記昇降操作用ツマミによって前記一方の側枠内で上下に移動するガイドを周ぐらせた上、垂直上方に導き、その上端をサッシ枠体内で固定した構成や(例えば、特許文献1参照)、サッシ枠の側枠内部に縦軸を設けるとともに、側枠内部にスライダを昇降可能に嵌挿し、該スライダにブラインドのスラットを昇降する昇降コードを連結し、前記側枠に多数の平歯を有するラックを上下方向に亘って取付け、前記スライダに前記係止体の係止部と係合する位置と離脱する位置に作動可能なるロック部材と、該ロック部材を作動する操作レバー並びに回転及び往復動自在で回転することで前記縦軸を回転し、往動することでロック部材を離脱する位置に保持し、かつ復動することでロック部材の保持を解除する停止保持解除機構を取付け、前記スライダの上方への移動速度を遅くする緩衝機構を備えた構成が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特公平4−24517号公報(第1頁、図3,図6)
【特許文献2】特許第2631915号公報(第1頁,第2頁、図2,図9,図13)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の昇降装置は、構成が比較的単純であるという利便性があるが、ブラインドを全開もしくは任意の開位置に固定する場合には、スラットから作用する荷重を昇降操作用ツマミを握って支えながら、昇降操作用ツマミをねじ込んだり緩めるという2つの作業が同時に必要である。この2つの作業は、ブラインドを全開や任意の位置から開状態を変更する場合も同様で、特に固定状態の昇降操作用ツマミを安易に緩めてしまうと、スラットが自身の荷重によって全閉位置まで下降してしまい、その衝撃によってスラットが個々に傾いたり昇降コードやラダーコードが絡み合ったりするばかりか、ガイドスリットを一気に上昇する昇降操作用ツマミによって指が弾かれるなどの事故を招く虞がある。このように、特許文献1の昇降装置はブラインドの開閉操作に技巧を要し、ことに子供や女性には取り扱いがむずかしい。
【0006】
さらに、特許文献1で昇降操作用ツマミを側枠の任意の高さに固定するには、昇降操作用ツマミと摺動部材とでガイドスリットの両側に位置する側枠の室内側板を内外から挟持するため、側枠の室内側板表面に昇降操作用ツマミによる圧痕を残すこととなり、商品価値を低下してしまうこととなる。
【0007】
また特許文献2では、昇降装置として、サッシ枠の側枠内部を昇降するスライダ以外に、操作レバーやロック部材,ロック部材のロック片と係脱するラック、ロック部材の円弧溝やガイドピン並びに支軸、ロック片とラックとの係合を保持するスプリング,停止保持解除機構の停止解除ボタン及び停止解除ボタン用の横軸,ロック部材の爪片と係脱する横軸の円錐部及び大径部,爪片と大径部との係合を保持するスプリングなどの多数の部品を要するため、製作面やコスト面で不利である。
【0008】
さらに特許文献2の昇降装置は、停止保持解除機構がスラット傾動機構と構成をともにしていて、スラット傾動機構の縦軸や傘歯車機構が一体に組み込まれていることから、構造を一層複雑なものにしているばかりか、ブラインドの昇降には本来不要であるスラット傾動機構も一体に昇降させるため、昇降動作が重く円滑性を欠くものとなり、しかも不必要な支障が懸念される。
【0009】
本発明は、かかる実情を背景にしてなされたもので、その目的とするところは、単純な構成と操作の単純化とを両立させ、誰でもがワンタッチで容易に操作することのできるブラインド内蔵型多重ガラスサッシのブラインド昇降装置を安価に提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述の目的を達成するため、本発明は、サッシ枠の内部室内外に複数枚の窓ガラスを離間して配置し、該窓ガラスの間に画成された空間部にブラインドを配置し、該ブラインドのスラットにつながる昇降コードを前記サッシ枠のいずれか一方の側枠内部に設けたブラインド昇降装置に接続し、該ブラインド昇降装置の操作にて前記スラットを昇降するようにしたブラインド内蔵型多重ガラスサッシのブラインド昇降装置において、前記ブラインド昇降装置は、前記一方の側枠の室内側に縦方向に開設されたガイドスリットと、前記昇降コードを連結して前記一方の側枠内部を昇降するスライダと、該スライダに基端部を軸支され、先端側の握り操作部を前記ガイドスリットから室内側へ突出させて室内外方向へ回動可能に配置されるブラインド昇降レバーと、該ブラインド昇降レバーの基端部内側で前記スライダの内部に室内外方向へスライド可能に収容されるブレーキシューと、前記ブラインド昇降レバーの基端部に前記ブレーキシューと当接可能に設けられるカム部材とを備え、前記ブラインド昇降レバーを昇降停止位置へ回動した際には、前記カム部材がブラインド昇降レバーと一体に回動して前記ブレーキシューを室外方向へ押動し、該ブレーキシューを前記一方の側枠の内壁へ圧接して、前記スライダをロック状態に維持し、前記ブラインド昇降レバーを昇降可能位置へ回動した際には、前記カム部材がブラインド昇降レバーと一体に回動して前記ブレーキシューの室外方向への押動を解除し、該ブレーキシューを前記一方の側枠の内壁から離間させて、前記スライダの昇降を可能としたことを特徴としている。
【0011】
さらに、ブラインド昇降レバーの握り操作部が、一方の側枠と略直交する位置へ回動した状態を前記昇降可能位置とし、ブラインド昇降レバーの握り操作部が、前記一方の側枠の室内側面に略沿った位置へ回動した状態を前記昇降停止位置とすることが好ましい。また、本発明のスライダに、一方の側枠の内壁を転動してスライダの昇降を案内する転動ローラを設けることもできる。さらに、本発明のブラインド昇降装置に弾発手段を備え、この弾発手段によってブレーキシューを常時一方の側枠の内壁から離反する方向へ付勢するようにしてもよい。
【0012】
本発明のブラインド昇降装置は、基端部をスライダに軸支されるブラインド昇降レバーを室内外方向へ回動操作して、スライダを所望位置にロックしたり、このロックを解除して昇降させることによりブラインドの開閉を行うもので、ブラインド昇降レバーを昇降停止位置に回動してスライダを任意の位置にロックすることにより、ブラインドを所望の開位置(あるいは閉位置)に維持し、またブラインド昇降レバーを昇降可能位置に回動してスライダを昇降させることにより、ブラインドの開閉具合を調整できるようにするものである。
【0013】
例えば、ブラインド昇降レバーを昇降停止位置へ回動した際には、カム部材がブラインド昇降レバーと一体に回動してブレーキシューを室外方向へ押動し、ブレーキシューを一方の側枠の内壁へ圧接して、スライダをロック状態に維持しており、ブラインドを全開または全閉もしくは任意の開位置に保っている。
【0014】
また、ブラインド昇降レバーを昇降可能位置へ回動した際には、カム部材がブラインド昇降レバーと一体に回動してブレーキシューの室外方向への押動を解除し、ブレーキシューを一方の側枠の内壁から離間してスライダの昇降が可能となる。
【0015】
この状態から、スライダを上昇させると昇降コードがブラインド側に緩み、スラットが下方へ順次拡がってブラインドが閉状態となり、反対にスライダを下降させると昇降コードが一方の側枠側に引き込まれ、スラットが上方向へ畳まれてブラインドが開状態となる。
【0016】
そして、ブラインド昇降レバーを再び作動位置へ回動すると、カム部材がブレーキシューを室外方向へ押動して、ブレーキシューが一方の側枠の内壁へ圧接し、スライダの停止状態が維持されるとともに、ブラインドの任意の開状態もしくは閉じ状態が保たれる。
【0017】
ブラインド昇降レバーとブレーキシューとカム部材はスライダに設けられ、スライダが昇降する際には、ブラインド昇降レバーの握り操作部を把持してブレーキシューとカム部材ととスライダとを一体に昇降させる。
【0018】
昇降可能位置と昇降停止位置はどのように設定しても差し支えないが、ブラインド昇降レバーの握り操作部が、一方の側枠の室内側面に略沿った位置へ回動した状態(すなわち垂直状態)と、同じくブラインド昇降レバーの握り操作部が、一方の側枠と略直交する位置へ回動した状態(すなわち水平状態)との方向が全く異なる2つの形態の違いを、昇降可能位置と昇降停止位置とすることが目視的認識が容易に行えるため好ましい。
【0019】
さらに、ブラインド昇降レバーがスライダに組み付けられ、スライダを昇降する際にはブラインド昇降レバーの握り操作部を把持して行う構成であるため、ブラインド昇降レバーの握り操作部が、一方の側枠と略直交する位置へ回動した状態を昇降可能位置とし、またブラインド昇降レバーの握り操作部が、一方の側枠の室内側面に略沿った位置へ回動した状態を昇降停止位置とすることが、操作する上でより好ましい。
【0020】
本発明のブラインド昇降装置に転動ローラを設けることにより、スライダの昇降動作が軽くスムーズに行える。
【0021】
また、本発明のブラインド昇降装置に弾発手段を用いた場合に、弾発手段は、ブレーキシューを常時一方の側枠の内壁から離反する方向へ付勢するように設けらる。そして、ブラインド昇降レバーを昇降停止位置へ回動すると、カム部材が弾発手段の付勢力に抗してブレーキシューを一方の側枠の内壁に圧接し、またブラインド昇降レバーを昇降可能位置へ回動すると、弾発手段がカム部材とブレーキシューとを室内方向へ押し戻し、ブレーキシューを一方の側枠の内壁から離間する。スライダの昇降はブレーキシューが一方の側枠の内壁から離間した状態で行われるため、ブレーキシューのいたずらな減りがなく、さらにスムーズな昇降動作が行える。弾発手段の材料としては、皿バネや圧縮コイルバネ,引っ張りコイルバネなどのバネ材やゴムあるいは軟質の合成樹脂が適当である。
【発明の効果】
【0022】
本発明のブラインド内蔵型多重ガラスサッシのブラインド昇降装置によれば、ブラインド昇降レバーを昇降可能位置へ回動するだけのワンタッチ操作で、スライダを上昇または下降させてブラインドを簡便に開閉させ、同じくブラインド昇降レバーを昇降停止位置へ回動するだけのワンタッチ操作で、スライダを任意の位置に停止させてブラインドを所望の開状態または閉状態に維持することが可能である。したがって、誰でもがブラインドをワンタッチで容易に開閉操作することができる。さらに、構成が単純であることから安価な提供が可能であり、長期間の使用にもよく堪えることが期待できる。
【0023】
また、ブラインド昇降レバーの握り操作部が、一方の側枠と略直交する位置へ回動した状態を昇降可能位置とし、ブラインド昇降レバーの握り操作部が、一方の側枠の室内側面に略沿った位置へ回動した状態を昇降停止位置とすることにより、昇降可能位置と昇降停止位置とを目視により容易に識別でき、しかも昇降可能位置ではブラインド昇降レバーが室内方向へ直交して突出するのでブラインドを開閉する際の操作性に優れ、また昇降停止位置ではブラインド昇降レバーが側枠に沿って収容されるので誤操作や当接などの衝撃を回避できる。
【0024】
また、本発明のブラインド昇降装置に転動ローラを設けることにより、スライダの昇降動作が軽くスムーズに行えるようになる。さらに、弾発手段を用いてブレーキシューを常時一方の側枠の内壁から離反する方向へ付勢することにより、ブレーキシューのいたずらな減りをなくしてその耐久性を高めることができ、しかもスライダをスムーズに昇降させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の一形態例を示す図11のI−I断面図である。
【図2】本発明の一形態例を示す室内側から見た多重ガラスサッシの立面図である。
【図3】本発明の一形態例を示す多重ガラスサッシの断面側面図である。
【図4】本発明の一形態例を示す多重ガラスサッシの断面平面図である。
【図5】本発明の一形態例を示す室内側から見た多重ガラスサッシ右上部の拡大断面立面図である。
【図6】本発明の一形態例を示す受け金具とヘッドレールとの連結部分の拡大断面側面図である。
【図7】本発明の一形態例を示す室内側から見た多重ガラスサッシ右上部の拡大断面平面図である。
【図8】本発明の一形態例を示す受け金具とヘッドレールとの連結部分の拡大断面立面図である。
【図9】本発明の一形態例を示す受け金具とヘッドレールとの連結部分の拡大断面平面図である。
【図10】本発明の一形態例を示す左側枠上部の断面側面図である。
【図11】本発明の一形態例を示すブラインド昇降装置のスライダ近傍の立面図である。
【図12】本発明の一形態例を示す図11のXII−XII断面図である。
【図13】本発明の一形態例を示す図11のXIII−XIII断面図である。
【図14】本発明の一形態例を示す図11のXIV−XIV断面図である。
【図15】本発明の一形態例を示すブラインド昇降装置のスライダ本体近傍を内側から見た立面図である。
【図16】本発明の一形態例を示すチルト操作ダイヤル近傍の立面図である。
【図17】本発明の一形態例を示すチルト操作ダイヤル近傍の断面立面図である。
【図18】本発明の一形態例を示すチルト操作ダイヤル近傍の断面側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1〜図18に示す本形態例の多重ガラスサッシ1は、建物の窓用開口部(図示しない)に組み込み固定される外枠2と、該外枠2内に室内が手方向へ回動可能に配置されるサッシ本体3とからなっている。サッシ本体3は、前記外枠2の内部にシールパッキンを介して液密に収容される内枠4と、該内枠4の内部に組み付け固定される室内側ガラス5及び室外側ガラス6と、これら室内外のガラス5,6の間に画成される空間部7と、該空間部7に昇降時材に配置される遮光用のブラインド8とを備えたブラインド内蔵型で、サッシ本体3の室内側に別製のブラインドを配置することがむずかしい、例えば浴室やキッチン等で採光とプライバシーの双方を確保するのに適している。
【0027】
サッシ本体3の内枠4は、上枠4aと下枠4b及び左右の側枠4c,4dとを、アルミ押出成形で形成された多数の型材を内外に組み合わせして縦長の矩形に構成されている。図1に示すように、内枠4の室内側には室内側レール4eが周設されており、該室内側レール4eの内側に、一枚の板ガラスを用いた前述の室内側ガラス5がシールパッキン10を用いて液密に固着されている。内枠4の室外側には、室外側レール4fと中間レール4gとが若干の間隔をおいて周設されており、これら両レール4f,4gの間に二枚の板ガラスを用いた前述の室外側ガラス6がシールパッキン11を用いて液密に固着されている。
【0028】
図2に示すように、右側枠4dの室内側上下には、ブラインド昇降用のスライダ12とブラインドチルト操作用のチルト操作ダイヤル13とが設けられており、前記ブラインド8は、スライダ12を上下方向へ昇降操作することによって開閉し、またチルト操作ダイヤル13を回動操作することによってブラインド8のスラット14が室内外方向へ傾動するようになっている。
【0029】
下枠4bの室内側ほぼ中央にはサッシ本体を開閉操作するためのサッシ開閉レバー15が設けられており、前記サッシ本体3は、サッシ開閉レバー15の回転により上枠4a及び下枠4bから上下方向へ突出する支軸(図示しない)を支点に室外方向へ開閉できるようなっている。
【0030】
図2〜図4に示すように、ブラインド8は、受け金具20を用いて上枠4aの下側に固着されるヘッドボックス21と、該ヘッドボックス21を通して前記空間部7に垂設される4本のラダーコード22及び2本の昇降コード23と、これらコード22,23の下端に固着されるボトムレール24と、該ボトムレール24及び前記ヘッドボックス21との間でラダーコード22に支持される複数枚の前記スラット14と、該スラット14及びボトムレール24を操作する前記スライダ12及びチルト操作ダイヤル13とを備えている。
【0031】
図2及び図5〜図7に示すように、ヘッドボックス21の内部の上下には、ラダーコード用の回転機構25と昇降コード23とが配設されている。回転機構25は、サッシ本体3側に取り付けられ、軸端25dを右側枠4dの内部空間に突出して配設される駆動側機構25aと、ヘッドボックス21の内部で軸受けブロック26,26に支持される従動側機構25bとがスラット装置25cにより連結されている。
【0032】
右側枠4dの内部は、仕切壁4hによって室内側と室外側との2つの空間に仕切られている。右側枠4dの内部空間上部へ突出する駆動側機構25aの軸端25dには伝動コード30の中間部が懸装され、該伝動コード30は右側枠4dの室外側の内部空間を垂下して、その両端が前記チルト操作ダイヤル13と連動する一対のラック31,31に連結されている。
【0033】
従動側機構25bは、六角棒を用いた回転軸32がヘッドボックス21の長手方向に沿って横架され、該回転軸32に軸着したスペーサ33,33の両端がそれぞれ軸受けブロック26に軸支されている。スペーサ33には、軸受けブロック26の開口部よりヘッドボックス21の内部に取り込まれたラダーコード22が懸装され、スペーサ33が回転軸32と一体に回転することにより、スラット14の両端に位置するラダーコード22のいずれか一方が上昇または下降し、他方がこれと反対方向へ移動して、スラット14が室内方向または室外方向へ傾動する。
【0034】
各昇降コード23は、軸受けブロック26の開口部を通してヘッドボックス21の内部に取り込まれ、さらに軸受けブロック26と右側枠4dの内部空間上部に軸支されるガイドローラ34,35を通して2本一緒になって右側枠4dの室内側の内部空間を下降し、前記スライダ12と一体のガイドローラ12dを懸回したのち右側枠4dの室内側の内部空間を上昇し、その端部が右側枠4dのガイドローラ35近傍に係着されている。
【0035】
図1,図2及び図11〜図15に示すように、右側枠4dの室内側面には、やや幅広のガイドスリット36が縦方向に開設されており、このガイドスリット36に連通する右側枠4dの室内側の内部空間中間部あたりに、ブラインド昇降装置40のスライダ12が昇降可能に設けられ、また右側枠4dの室内側の内部空間の下端にスラット角度調整装置50のチルト操作ダイヤル13が固設されている。
【0036】
図1,図11〜図15に示すように、ブラインド昇降装置40は、スライダ12が右側枠4dの任意の高さにとどまって、ブラインド8の昇降状態を確保するロック機能付きで、前述のガイドスリット36と、昇降コード23を連結して右側枠4dの室内側の内部空間を昇降するスライダ12と、該スライダ12に基端部41aを支軸42にて軸支され、先端側の握り操作部41bをスライダ12の前部開口12aと右側枠4dのガイドスリット36から室内側へ突出させて室内外方向へ回動可能に配置されるブラインド昇降レバー41と、ブラインド昇降レバー41の基端部内側で前記スライダ12の内部に室内外方向へスライド可能に収容されるブレーキシュー43と、前記ブラインド昇降レバー41の基端部41aに前記ブレーキシュー43と当接可能に設けられるカム部材44と、前記スライダ12の下端に支軸45を用いて回転可能に軸支され、右側枠4dの仕切壁4hの内壁を転動してスライダ12の昇降を案内する転動ローラ46とを備えている。
【0037】
ブラインド昇降レバー41とブレーキシュー43,カム部材44,転動ローラ46及びガイドローラ12dはスライダ12に組み付けされており、これらはスライダ12が昇降する際にスライダ12と一体となって右側枠4dの室内側の内部空間を昇降する。
【0038】
ブラインド昇降レバー41は、基端部41aと握り操作部41bとが略L字状に連続する形状に形成されており、スライダ12の昇降停止位置では、握り操作部41bが右側枠4dの室内側面に沿って垂下するよう略垂直位置へ回動し(図1参照)、またスライダ12の昇降可能位置では、握り操作部41bが右側枠4dから直交する略水平位置に回動(図12の実線参照)するように設定されている。
【0039】
ブラインド昇降レバー41の基端部41aは二股状の腕部に分岐しており、両腕部の間に断面楕円形のカム部材44を一体に配置して、該カム部材44と基端部41aの二股腕とに支軸42を貫通させ、該支軸42の両端をスライダ12の両側壁に支持させている。
【0040】
カム部材44は、図1に示すように、ブラインド昇降レバー41の握り操作部41bが右側枠4dの室内側面に沿った略垂直位置へ回動したスライダ12の昇降停止位置では、ブレーキシュー43を室外方向へ押動するよう、楕円の長軸が水平方向に位置し、また図12の実線の示すように、握り操作部41bが右側枠4dから直交する略水平位置に回動したスライダ12の昇降可能位置では、ブレーキシュー43の室外方向への押動を解除するよう、楕円の短軸が水平方向に位置するように設定されている。
【0041】
ブレーキシュー43は、スライダ12上下のガイド溝12b,12bに収容される上端及び下端に挟まれたシュー本体部分を室外方向へ偏倚させて、シュー本体部分の一部をスライダ12の後部開口12cから外側へ突出させた縦長形状に形成されている。ブレーキシュー43の上下には、ガイドピン47,47が貫通しており、該ガイドピン47,47の両端をスライダ12の両側壁に開設した横方向のガイド溝48,48に収容して、ブレーキシュー43がスライダ12の内部を室内外方向へスライドできるようにしている。
【0042】
図1,図16〜図18に示すように、前記スラット角度調整装置50は、右側枠4dの内部空間に固定される一方の保持枠51aに前述のチルト操作ダイヤル13が設けられている。チルト操作ダイヤル13は、支軸13aが右側枠4dから室内側へ突出し、その先端にツマミ13bが固着されるとともに、支軸13aの内端にピニオン52が固着されている。
【0043】
右側枠4dの内部空間に固定される他方の保持枠51bの内部では、伝動コード30,30に連結された前述のラック31,31がピニオン52の両側に歯合しており、ツマミ13bを操作してピニオン52が左右いずれかに回転するとラック31,31が上下反対方向へ移動し、これらにつながる伝動コード30,30を同じく上下逆方向へ移動させて、駆動側機構25aの軸端25dを左右いずれかに回転させ、さらに従動側機構25bの回転軸32を同方向へ回転させて、スラット14を室内方向または室外方向へ傾動する。
【0044】
図6に示すように、前記受け金具20は、室内外に対向する一対のリム20a,20bと、両リム20a,20bの上縁間をつなぐウェブ20cとを有し、室内側に配設される一方のリム20aには、内側へ突出する係止突部20dがハーフピアス等によって形成されている。室外側に配設される他方のリム20bには、一方のリム側へ平行に位置する切り欠き片20eが設けられ、該切り欠き片20eとこの切り欠き片20eから一方のリム側へ膨出するボス部20fの内周面にめねじ孔(図示しない)が開設されるとともに、他方のリム20bの下側を外側へ直角に折曲して第1係止片20gとなしている。
【0045】
また、前記ヘッドボックス21は、室内外に対向する一対のリム21a,21bと、両リム21a,21bの下縁間をつなぐウェブ21cとを有し、室内側に配設される一方のリム21aを内側へクランク状に折曲し、その上部外側に受け金具20の係止突部20dを囲繞する収容凹部53を設けるとともに、他方のリム21bの上部を内側へ直角に折曲して第2係止片21dとなしている。
【0046】
受け金具20は、止めねじ54を用いて上枠4aの下面に固着される。また、ヘッドボックス21は、一方のリム21aの上部を受け金具20の一方のリム20aの内側へ平行に差し込んで、該リム20aの係止突部20dを収容凹部53内に嵌合するとともに、他方のリム21bの第2係止片21dを受け金具20の第1係止片20gの上部に係止する。
【0047】
つぎに、受け金具20のめねじ孔に他方のリム20bの外側より止めねじ55をねじ込んで、該止めねじ55の先端をヘッドボックス21の一方のリム21aの上部内側に押圧することにより、ブラインド8が空間部7に取り付けされる。
【0048】
このように取り付けられたブラインド8は、係止突部20dと収容凹部53との嵌め込みにより、ヘッドボックス21をその長さ方向において所定の取り付け位置へ容易に位置決めできる。また、ブラインド8の取り付け後には、取り付けの要となる止めねじ55が一方のリム21aの上部を押圧して係止突部20dと収容凹部53との嵌合状態をよく保つとともに、ム21aからの反力が止めねじ55の緩め止めとなり、スラット14が室内外方向へ傾動したり空間部7を昇降する際の振動を受けても、ブラインド8の取り付け状態が長期間よく保たれる。
【0049】
本形態例は以上のように構成されており、ブラインド昇降装置40は、図1に示すスライダ12の昇降停止位置にあって、ブラインド昇降レバー41の握り操作部41bが右側枠4dの室内側面に沿って垂下するよう略垂直位置へ回動し、カム部材44の楕円の長軸が水平方向に位置して、ブレーキシュー43を室外方向へ押動し、該ブレーキシュー43を右側枠4dの仕切壁4hの内壁へ圧接して、スライダ12をロック状態に維持している。このようにして、スライダ12が右側枠4dの任意の高さにロックされることにより、ブラインド8の任意の開状態または閉じ状態が保たれる。
【0050】
また、図12の実線に示すスライダ12の昇降可能位置にあっては、ブラインド昇降レバー41の握り操作部41bが右側枠4dと直交する略水平位置に回動し、カム部材44の楕円の短軸が水平方向に位置してブレーキシュー43の押動を解除し、該ブレーキシュー43が右側枠4dの仕切壁4hの内壁から離間して、スライダ12の昇降が可能となる。
【0051】
スライダ12の停止位置から右側枠4dを室内側へ突出するブラインド昇降レバー41の握り操作部41bを把持したまま上方向の力を加えると、スライダ12及びこれと一体の部材が右側枠4dを上昇して昇降コード23がブラインド側に緩み、スラット14が下方へ順次拡がってブラインド8が閉状態となる。また、ブラインド昇降レバー41の握り操作部41bを把持したまま下方向の力を加えると、スライダ12及びこれと一体の部材が右側枠4dを下降して昇降コード23が右側枠4d側に引き込まれ、スラット14が上方向へ畳まれてブラインド8が開状態となる。
【0052】
スライダ12の下端に設けられた転動ローラ46は、右側枠4dの内壁を転動してスライダ12の昇降を円滑に案内する。なお、ブレーキシュー43は、カム部材44の押動を解かれて右側枠4dの内壁から離間し、また右側枠4dの内部を昇降する際には、ブレーキシュー43が右側枠4dの内壁との競りによって内壁から離れながら昇降するが、本発明は、皿バネ等の弾発手段を用いてブレーキシューを右側枠4dの内壁から強制的に引き戻すことも妨げない。
【符号の説明】
【0053】
1…多重ガラスサッシ
3…サッシ本体
4…内枠
4a…上枠
4b…下枠
4c…左側枠
4d…右側枠
4h…右側枠4dの仕切壁
5…室内側ガラス
6…室外側ガラス
7…空間部
8…ブラインド
12…スライダ
12a…前部開口
12b…ガイド溝
12c…後部開口
12d…ガイドローラ
13…チルト操作ダイヤル
14…スラット
20…受け金具
21…ヘッドボックス
22…ラダーコード
23…昇降コード
25…回転機構
25a…駆動側機構
25b…従動側機構
25c…スラット装置
30…伝動コード
31…ラック
32…回転軸
36…ガイドスリット
40…ブラインド昇降装置
41…ブラインド昇降レバー
41a…ブラインド昇降レバー41の基端部
41b…ブラインド昇降レバー41の握り操作部
43…ブレーキシュー
44…カム部材
46…転動ローラ
47…ガイドピン
48…ガイド溝
50…スラット角度調整装置
52…ピニオン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サッシ枠の内部室内外に複数枚の窓ガラスを離間して配置し、該窓ガラスの間に画成された空間部にブラインドを配置し、該ブラインドのスラットにつながる昇降コードを前記サッシ枠のいずれか一方の側枠内部に設けたブラインド昇降装置に接続し、該ブラインド昇降装置の操作にて前記スラットを昇降するようにしたブラインド内蔵型多重ガラスサッシのブラインド昇降装置において、
前記ブラインド昇降装置は、
前記一方の側枠の室内側に縦方向に開設されたガイドスリットと、
前記昇降コードを連結して前記一方の側枠内部を昇降するスライダと、
該スライダに基端部を軸支され、先端側の握り操作部を前記ガイドスリットから室内側へ突出させて室内外方向へ回動可能に配置されるブラインド昇降レバーと、
該ブラインド昇降レバーの基端部内側で前記スライダの内部に室内外方向へスライド可能に収容されるブレーキシューと、
前記ブラインド昇降レバーの基端部に前記ブレーキシューと当接可能に設けられるカム部材とを備え、
前記ブラインド昇降レバーを昇降停止位置へ回動した際には、前記カム部材がブラインド昇降レバーと一体に回動して前記ブレーキシューを室外方向へ押動し、該ブレーキシューを前記一方の側枠の内壁へ圧接して、前記スライダをロック状態に維持し、
前記ブラインド昇降レバーを昇降可能位置へ回動した際には、前記カム部材がブラインド昇降レバーと一体に回動して前記ブレーキシューの室外方向への押動を解除し、該ブレーキシューを前記一方の側枠の内壁から離間させて、前記スライダの昇降を可能とした
ことを特徴とするブラインド内蔵型多重ガラスサッシのブラインド昇降装置。
【請求項2】
前記ブラインド昇降レバーの握り操作部が、前記一方の側枠の室内側面に略沿った位置へ回動した状態を前記昇降停止位置とし、前記ブラインド昇降レバーの握り操作部が、前記一方の側枠と略直交する位置へ回動した状態を前記昇降可能位置とした
ことを特徴とする請求項1に記載のブラインド内蔵型多重ガラスサッシのブラインド昇降装置。
【請求項3】
前記スライダに、前記一方の側枠の内壁を転動してスライダの昇降を案内する転動ローラを設けた
ことを特徴とする請求項1または2に記載のブラインド内蔵型多重ガラスサッシのブラインド昇降装置。
【請求項4】
前記ブレーキシューを前記一方の側枠の内壁から常時離反する方向へ付勢する弾発手段を備えている


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2010−222923(P2010−222923A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−73925(P2009−73925)
【出願日】平成21年3月25日(2009.3.25)
【出願人】(000101776)アルメタックス株式会社 (22)
【出願人】(390027498)株式会社ヨコタ (29)
【Fターム(参考)】