説明

ブラウンガスを利用した還元水素水製造装置、還元水素水製造方法および還元水素飲料製造装置並びに還元水素飲料製造方法

【課題】ORPのマイナス(−)絶対値を高めながらpHが6.0〜8.4のブラウンガスを利用した還元水素水製造装置、還元水素水製造方法および還元水素飲料製造装置並びに還元水素飲料製造方法を提供する。
【解決手段】ブラウンガスを利用した還元水素水製造装置は、水を供給する給水装置(10)と、ブラウンガスを生成するブラウンガス製造装置(12)と、給水装置(10)から供給された水にブラウンガスが注入されることで生成された還元水素水を貯蔵する還元水素水保存装置(60)と、生成されたブラウンガスが異質物除去水を通過した後、還元水素水保存装置(60)に注入されることでブラウンガス内の異質物をとり除く異質物除去水貯留装置(52)とを備えたものである。この還元水素水製造装置の給水装置(10)を、飲料を供給する飲料供給装置とすることで、還元水素水製造装置を還元水素飲料製造装置としても機能させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブラウンガス(Brown's Gas)を利用した還元水素水製造装置、還元水素水製造方法および還元水素飲料製造装置並びに還元水素飲料製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
活性酸素(oxygen free radical)は、呼吸過程で体内に取り入れられ、酸化過程に利用されながら多くの代謝過程で生成されて生体組職を攻撃して、細胞を損傷させる酸化力が強い酸素を言う。
【0003】
このような活性酸素には、三重項酸素(普通の酸素分子)が紫外線の影響により変わった一重項酸素、三重項酸素が電子を一つ受けて生成されるスーパーオキサイドラジカル(Super oxide radical)、三重項酸素が電子二つを受け入れて生成される過酸化水素(H22)、この過酸化水素が分解されて発生したヒドロキシルラジカル(Hydroxyl radical)がある。また、その他に、一酸化窒素、二酸化窒素、ペルオックシナイト、水道水に入っている次亜塩素酸(hypochlorous acid)、オゾンなど、広い意味での活性酸素も含まれる。ただ、ここでは、活性酸素として酸素イオン(O2-)が電子を失って形成される酸素原子(O)を意味するものではない。
【0004】
活性酸素は、有害酸素とも呼ばれ、私たちが呼吸する酸素とはまったく異なり、不安定な状態にある酸素として、環境汚染や、化学物質、紫外線、血液循環障害、ストレスなどで体内で過剰に生成される。このように過剰に生成された活性酸素は体内中で酸化作用を起こす。酸化作用は、細胞膜、DNA、またはすべての細胞構造が損われて細胞が機能を失ったり変質したりする。
【0005】
これと共に活性酸素は体内の多くのアミノ酸を酸化して蛋白質の機能低下を引き起こす。そして、核酸を損傷させて核酸塩基の変形と遊離、結合の切断、糖分の酸化分解などを起こして、突然変異や癌の原因となったり、また、生理的機能が低下して各種疾病や老化の原因となったりする。
【0006】
現代人の疾病の中で約90%が活性酸素と関連があることが知られている。具体的には、そういう活性酸素と関連がある疾病に、癌・動脈硬化症・糖尿病・脳卒中・心筋梗塞症・肝炎・腎臓炎・アトピー・パーキンソン病、紫外線と放射線による疾病などがある。従って、このような疾病にかからないようにするためには、体内の活性酸素を無くせば良い。
【0007】
従来技術として身中の活性酸素をとり除く方法として電解還元水を利用した方法がある。
【0008】
一方、酸化力、還元力の尺度として酸化還元電位(oxidation-reduction potential、以下、ORPと称す。)がある。ORPは、元々、金属類固有の電極電位を表示するためのものである。従って、金属のORPを測定するORPメータ(ORP計測器)は、従来には材料分析研究室や電気化学工業(電池、写真フィルム、鍍金、電解)工場で使われる場合が多かった。しかし、最近では無機化合物や、半導体、複合電解物質、各種水溶液と、生体生理活性物質の分析手段の一つとして使われている。
【0009】
ORPの測定単位は、mVで、マイナス(−)絶対値が大きいほど、還元力が大きいことを意味する。
【0010】
一方、酸性とアルカリ性の尺度はpHで、酸化力、還元力の尺度はORPである。酸性またはアルカリ性という性質は定量的には酸化力がある水素イオン(H+)と言う特定イオンの水溶液濃度としての意味を持っており、[H+]を水素イオン濃度だと、pHは次の式で表現することができる。
【0011】
pH=−Log[H+
pHが1〜6なら酸性、pHが7なら中性、pHが8〜14ならアルカリ性である。このとき、pHメータとORPメータとは、水溶液中の酸化還元電位を測定するという点では同じ機能があるが、次の表1に示すような差異がある。
【0012】
【表1】

【0013】
上記差異の中で表示単位が、ORPメータは電圧(mV)になっている一方pHメータは濃度指数になっている。しかし、ORPメータやpHメータのセンサが測定した検知量を取ってみれば、表示単位は全て電圧値である。
【0014】
pH値は、約60mVの変化で指数増加分1に相当し、水素イオン濃度100%を指数0にして指数/電圧に換算した数値を表示したものである。
従って、両者の間の本質的な差異は、pHメータが水素イオンの単一電位を表示したものであり、ORPメータが複合物質の混合電位を表示したものであるといえる。
例)蒸留水の電位測定値:
pHメータ:−420mV,ORPメータ:+180mV
図1は、従来技術による電解還元水の製造方法を説明するための図である。
次に従来技術による電解還元水の化学反応を示す。
2H2O −> 2H+ + 2OH-
陽極(4): 2OH- −−> 2H++O2(g)+4e
陰極(6):4H+(水素イオン)+4e−>4H(水素原子)−>2H2(g,水素分子)
【0015】
従来技術によれば水(H2O)を、イオン交換膜(8)を間に置いて電流を加えて電気分解すれば、陰極(6)では水素イオン(H+)が、電子(e)を受けることで水素原子(H)が生成される。一部の水素原子(H)は、安定化して陰極の電解還元水内に存在する。
【0016】
上記陰極の方の電解還元水が、従来技術による水素原子を含んだ電解還元水(9)となる。安定化しなかった水素原子は相互に結合して水素気体(H2)になる。
【0017】
一方、陽極(4)では、水酸化物イオン(OH-)が電子を放出して酸素ガス(O2)になる反応が起きる。
【0018】
【特許文献1】実用新案登録第3091243号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
ところが、従来技術による電解還元水は、下記に示す表2のように水素原子(H)が多くなることで還元力(ORP)が強まるほどpHの数値が高くなるという問題がある。表2に、従来技術による電解還元水のpHとORPとの関係を示す。表2は、ケース1からケース4まで電解還元水のアルカリ強度を順次高めた場合におけるpH値とORP値とを示すものである。
【0020】
【表2】

【0021】
既存の電解還元水は、電解槽で電気分解された電解液を利用することで上記表2のように、ORPのマイナス(−)絶対値が大きくなるほど、pHも高くなって強アルカリになる。すなわち、−100mV以下(例えば、−120mV)のORPを得るためにはpHが9以上になる問題が発生する。
【0022】
すなわち、電気分解をたくさんすればするほど、水中の水素原子(H)が多くなって、ORP値はマイナス(−)絶対値が大きくなるが、相対的に大部分の水素イオン(H+)が水素原子または水素ガスの状態で存在することで水素イオン濃度[H+]が低くなるために、pH値が高くなって強アルカリになる。
【0023】
従来技術による電解還元水のpHは、約9.0〜11.3(ORPが約−150mV以下の時)である。ところが、WHO(World Health Organization)の飲用基準はpH6.6〜8.5で、大韓民国の環境府飲用基準はpH5.8〜8.5である。
【0024】
結局、従来技術による電解還元水は、強アルカリ性を有しているため、このpH値が高い強アルカリ性の電解還元水を長期的に飲用すると、胃腸内に潰瘍ができるなどの副作用を起こす問題がある。
【0025】
このような問題点を避けるために弱アルカリ(pH8.5水準)の還元水を生産しようと思う場合には、−50mV水準の弱い還元力(ORP)を持つ水になるので、期待される水準の水素を含有させることが不可能である。
【0026】
そこで本発明は、ORPのマイナス(−)絶対値を高めながらpHが6.0〜8.4のブラウンガス(Brown's Gas)を利用した還元水素水製造装置および還元水素水製造方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、ORPのマイナス(−)絶対値が高いブラウンガスを利用した還元水素飲料製造装置および還元水素飲料製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0027】
上記の目的を果たすために本発明によるブラウンガスを利用した還元水素水は、酸化還元電位(ORP)が−100mV〜−500mVで、かつpHが6.0〜8.4であることを特徴とするものである。
【0028】
また、上記の目的を果たすために本発明によるブラウンガスを利用した還元水素水製造装置は、水を供給する給水装置と、ブラウンガスを生成するブラウンガス製造装置と、前記給水装置から供給された水にブラウンガスが注入されることで生成される還元水素水を貯蔵する還元水素水保存装置とを含むことを特徴とする。
【0029】
また、上記の目的を果たすために本発明によるブラウンガスを利用した還元水素水製造方法は、ブラウンガス製造装置からブラウンガスを生成する段階と、給水装置から還元水素水保存装置に水を供給する段階と、前記生成されたブラウンガスを前記還元水素水保存装置の水に注入することで還元水素水を生産する段階とを含むことを特徴とする。
【0030】
また、上記の目的を果たすために本発明によるブラウンガスを利用した還元水素飲料は、酸化還元電位(ORP)が−100mV〜−500mVのブラウンガスを利用した還元水素水を含むことを特徴とする。
【0031】
また、上記目的を果たすために本発明によるブラウンガスを利用した還元水素飲料製造装置は、飲料を供給する飲料供給装置と、ブラウンガスを生成するブラウンガス製造装置と、前記飲料供給装置から供給された飲料に前記ブラウンガスが注入されることで生成される還元水素飲料を貯蔵する還元水素飲料保存装置とを含むことを特徴とする。
【0032】
また、上記目的を果たすために本発明によるブラウンガスを利用した還元水素飲料製造方法は、ブラウンガス製造装置からブラウンガスを生成する段階と、還元水素飲料保存装置に飲料を供給する段階と、前記生成されたブラウンガスを前記還元水素飲料保存装置の飲料に注入することで還元水素飲料を生産する段階とを含むことを特徴とする。
【0033】
このように本発明によれば、ブラウンガスを水に注入することで、体内の活性酸素を還元させることができるので、酸化作用を抑制することができる。従って、本発明は、体内の細胞膜、DNA、それ以外のすべての細胞構造の損傷を抑制することで、各種疾病を予防して老化を引き延ばさせることができるという長所がある。
【0034】
また、本発明によれば、還元水素水または還元水素飲料のORPのマイナス(−)絶対値が高くても、pH値が高くないので、還元水素水または還元水素飲料を安全に長期飲用することができるという長所がある。
【発明の効果】
【0035】
上記説明のように、本発明によるブラウンガスを利用した還元水素水製造装置、還元水素水製造方法およびブラウンガスを利用した還元水素飲料製造装置並びに還元水素飲料製造方法によれば、ブラウンガスを水に注入することで体内の活性酸素を還元して体外に排出させることができる。従って、本発明は、体内の細胞膜、DNA、それ以外のすべての細胞構造の損傷を抑制することで各種疾病を予防して老化を引き延ばさせることができるという効果がある。
【0036】
また、本発明によれば、還元水素水または還元水素飲料のORP(−)絶対値が高くても強アルカリ性ではなく中性に近いので、還元水素水または還元水素飲料を安全に長期飲用することができるという効果がある。
【0037】
また、本発明によれば、ブラウンガスを利用することで、還元水素水または還元水素飲料を大量に製造することができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
以下、本発明の実施の形態によるブラウンガスを利用した還元水素水製造装置、還元水素水製造方法、およびブラウンガスを利用した還元水素飲料製造装置並びに還元水素飲料製造方法を、添付した図面を参照して詳細に説明する。
【0039】
本発明の実施の形態でのブラウンガスは、水の電気分解によって得られる気体として水素と酸素の当量比が2:1の混合気体である。通常水を電気分解すれば陰極では水素が得られ、陽極では酸素が得られる。このガスを分離採集しないで一度に採集したものがブラウンガスであり、これはブルガリア出身であるユル ブラウン(Yull Brown)博士の名前から命名されたガス名称である。
【0040】
全世界の多くの企業がこのブラウンガスという名称の代わりに、アクアガス、イトオガス、ZETガスなどを使用する場合が多い。本発明の実施の形態でブラウンガスがどのような名称で呼ばれても、上記水の電気分解によって得られる気体として水素と酸素の当量比が2:1の混合気体を全て含む概念であり、以後、記述されるブラウンガス製造装置およびブラウンガス製造方法は、一つの実施の形態に過ぎず、本発明は、ブラウンガスを製造することができるすべての装置およびブラウンガスを製造することができるすべての方法を含むものである。
【0041】
本発明の実施の形態によるブラウンガスを利用した還元水素水は、ORPのマイナス(−)絶対値を大きくしながらも還元水素水が中性に近いことを特徴とするものである。
【0042】
具体的には、本発明の実施の形態によるブラウンガスを利用した還元水素水は、酸化還元電位(ORP)が、−100mV〜−500mVで、かつpHが6.0〜8.4であることを特徴とする。
【0043】
すなわち、従来技術による電解還元水は、電気分解をたくさんすれば水中の水素が多くなってORP値の(−)絶対値が大きくなることで、相対的に水素イオン濃度[H+]が低くなるので、pH値が高くなり強アルカリとなる問題があった。
【0044】
本実施の形態では、ブラウンガスを注入する前の水のpH値に殆ど変化がないことから、ORPはマイナス(−)で絶対値は大きくなるが、強アルカリ性ではないことを特徴とするものである。
【0045】
本発明の実施の形態によるブラウンガスを利用した還元水素水製造装置は、図2に示すように、給水装置(10)と、ブラウンガス製造装置(12)と、還元水素水保存装置(60)とを含むことができる。
【0046】
まず、給水装置(10)は水を供給する装置である。この給水装置(10)は、給水口(11)から供給された水を貯蔵して、所定の給水ポンプを利用して水を供給することができる。上記給水装置(10)には、浄水装置が敷設されることで貯蔵された上記水を浄水することができる。
【0047】
以下、給水装置(10)から水が供給される内容を説明する。
まず、給水装置(10)からブラウンガス製造装置に直接給水される場合について説明する。
【0048】
すなわち、本発明の実施の形態では、上記ブラウンガス製造装置(12)に、水を供給する第1給水通路(71)と、異質物除去水貯留装置(52)に水を供給する第2給水通路(51)と、上記還元水素水保存装置(60)に水を供給する第3給水通路(61)とを設けることができる。
【0049】
次に、ブラウンガス製造装置(12)はブラウンガスを生成する装置として、ブラウンガスを製造するための水は、上記給水装置(10)から直接給水したり、または詳細には後述する異質物除去水貯留装置(52)から給水したりすることができる。このブラウンガス製造装置(12)の詳細については、後で図4を参照しながら説明することにする。
【0050】
還元水素水保存装置(60)は、上記給水装置(10)から供給された水に上記ブラウンガスが注入されることで生成される還元水素水を貯蔵する保存装置である。
【0051】
また、本発明の実施の形態によるブラウンガスを利用した還元水素水製造装置は、上記生成されたブラウンガスを所定の異質物除去水に通過させた後に、上記還元水素水保存装置(60)に注入されることで、上記ブラウンガス内の異質物をとり除く異質物除去水貯留装置(52)を更に含むことができる。なお、異質物除去水としては、不純物の混入が少ない純水を使用することができる。
【0052】
すなわち、ブラウンガスをまず還元水素水保存装置(60)に貯留された異質物除去水を通過させることで、ブラウンガスが異質物除去水を通過する間、ブラウンガス内の異質物が縮小することでブラウンガス以外の異質物を減らすことができる。
【0053】
例えば、ブラウンガス製造装置(12)により発生したブラウンガスを還元水素水保存装置(60)へ注入すると、ブラウンガスを生成するために水と電解質(KOH、NaOHなど)とからなる電解液で存在するカリウムイオン(K+)、またはナトリウムイオン(Na+)などがブラウンガスに過多に含まれ、問題になることがある。そこで、ブラウンガス製造装置(12)からのブラウンガスを異質物除去水貯留装置(52)の異質物除去水に通過させる。そうすることで、ブラウンガス以外の異質物を減らすことができる。この点について、異質物除去水での除去に関する実験を、秘密裏に国内(大韓民国)公害研究所に依頼した。その実験結果を次の表3に示す。
【0054】
【表3】

【0055】
すなわち、上記表3で見られるように、電気分解後発生したブラウンガスを異質物除去水に通過させる時、K+イオンが除去されて異質物除去水貯留装置(52)の異質物除去水のK+イオンの数値が上昇し、異質物除去水を通過したブラウンガスで還元水素水を作った時、K+イオン値がめっきり減少したことが分かる。
【0056】
実施例では、異質物除去水を通過させた水素でORP−100mV〜−500mVの還元水素水を作ることができることが確認された。
【0057】
例えば、本発明の一つの実施例によれば、ORPが−300mV〜−350mVながらpHが7.5〜8.5水準の還元水素水を製造することができた。また、この還元水素水は、−400mV以下のORPを持ちながらも、pHが8.2〜8.4として強アルカリ性を表さないで中性に近いpHを表し、WHO飲用基準と環境府飲用基準に適合した。
【0058】
図3は、本発明の他の実施の形態によるブラウンガスを利用した還元水素水製造装置の概路図である。
本発明の他の実施の形態によるブラウンガスを利用した還元水素水製造装置は、上記給水装置(10)からブラウンガス製造装置(12)に直接給水しないで、異質物除去水貯留装置(52)から異質物除去水を上記ブラウンガス製造装置(12)に供給するものである。
【0059】
すなわち、本発明の他の実施の形態によるブラウンガスを利用した還元水素水製造装置は、上記異質物除去水貯留装置(52)に上記水を供給する第2給水通路(51)と、上記異質物除去水貯留装置(52)の水を上記ブラウンガス製造装置(12)に供給する第4給水通路(56)と、上記還元水素水保存装置(60)に上記水を供給する第3給水通路(61)とが設けられている。
【0060】
以下、本実施の形態によるブラウンガスを利用した還元水素水製造装置でのブラウンガス製造装置(12)を、図4を用いて説明する。
【0061】
図4に示すブラウンガス製造装置(12)は、ブラウンガス製造装置の一つの実施の形態に過ぎず、多様な装置と方法によってブラウンガスを製造することができる。
【0062】
上記ブラウンガス製造装置(12)は、水および電解質(KOH又はNaOHなど)からなる電解液(44)が貯留され、ブラウンガスを発生させる電解槽(14)と、上記電解液(44)を熱交換して、不足な電解液を補う電解液調節部(図示せず)と、上記電解液の温度を自動で冷凍させる冷却部(図示せず)を含むことができる。
【0063】
以下、上記電解槽(14)の構成について、詳細に説明する。
図4を参照すれば、上記電解槽(14)内部には、電極管(20)と、電極管(20)を固定して間隔を一定するように維持する上部固定板(34)および下部固定板(35)とが設けられ、電解槽(14)の上部には、ガス採集部(30)とガス噴出口(46)とが設けられている。また、電解槽(14)の上部には上部電気引入装置(40)と、側面には側面電気引入装置(41)が設置されている。
【0064】
次に、本実施の形態によるブラウンガス発生装置の動作を、詳細に説明する。
本発明の実施の形態によるブラウンガス発生装置は、上記電極管(20)が電極として機能をする。各電極管(20)は等しい間隔に締結されている。所定の間隔で保持された電極管(20)と上部固定板(34)と下部固定板(35)とが、ガスを生成する一つの単位を成して、それぞれ独立的にブラウンガスを生成する。
【0065】
これを、詳細に説明すれば、電極管(20)は上部電気引入装置(40)と側面電気引入装置(41)とに印加される電圧によって相互に両極(+)と陰極(−)に設定されて、その間に充填された電解液を電気分解することでブラウンガスが生成される。
【0066】
印加された電圧によって対応される上記電極管(20)は、電気的損失がなしに対応される上記電極管(20)の間に存在する上記電解液を電気分解して效率的にブラウンガスを生成することができるようになる。
【0067】
また、上記電解槽(14)の一方に冷却部(図示せず)を構成して、上記電解槽(14)内の電解液を熱交換器(図示せず)で循環させ、上記冷却部によって上記熱交換器を冷却することで、結果的に上記電解液(44)の温度を冷却して、上記電解槽(14)内の温度を均一な状態で維持するようにする。
【0068】
以下に、図2および図3を参照して本発明の実施の形態によるブラウンガスを利用した還元水素水製造方法を説明する。
【0069】
本発明の実施の形態によるブラウンガスを利用した還元水素水製造方法は、ブラウンガスを生成する段階と、還元水素水保存装置に水を供給する段階と、還元水素水を生産する段階とを含むことができる。
【0070】
まず、図2に示すように、ブラウンガス製造装置(12)からブラウンガスを生成する。
【0071】
ブラウンガスを生成するためには給水装置(10)から第1給水通路(71)を通じてブラウンガス製造装置(12)に水を給水することができる。上記ブラウンガス製造装置(12)では上記ブラウンガス製造装置(12)を説明した内容どおりブラウンガスを生産することができる。
【0072】
次に、上記ブラウンガス内の異質物をとり除く異質物除去段階を進行させることができる。
【0073】
すなわち、上記生成されたブラウンガスが第1ガス通路(13)を通じて異質物除去水貯留装置(52)内の所定の異質物除去水に通過させることで、上記ブラウンガス内の異質物をとり除く異質物除去段階を更に進行させることができる。上記異質物除去水は給水装置(10)から第2給水通路(51)を通じて注入することができる。
【0074】
次に、給水装置から還元水素水保存装置(60)に第3給水通路(61)を通じて水を供給する段階を進行する。
【0075】
次に、還元水素水を生産する段階を進行する。すなわち、還元水素水を生産する段階は、上記異質物除去水貯留装置(52)の異質物除去水に溶けないブラウンガスを、第2ガス通路(58)を通じて上記還元水素水保存装置(60)の水に注入することで還元水素水を生産する。還元水素水保存装置(60)に注入されたブラウンガスの中で還元水素水を生産した後に残ったブラウンガスは、第3ガス通路(62)を通じて排出される。そして、還元水素水を使用することで、還元水素水保存装置(60)の水位が低下すれば、給水通路(61)を通じて原水が補充すると共に、第2ガス通路(58)を通じてブラウンガスを注入することで、還元水素水を追加で製造することができる。
【0076】
また、本発明の実施の形態では、上記還元水素水保存装置(60)が還元水素水を製造および保存装置として機能するものであるが、上記還元水素水保存装置(60)内部に還元水素水製造装置と別の還元水素水保存装置を設けることも可能である。
【0077】
ブラウンガスは、水の電気分解によって得られる気体で、水素と酸素との当量比が2:1の混合気体である。このような混合ガスであるブラウンガスを水(生水または水道水または浄水された水)に投入すれば、一部の水素が金属ナノコロイドに吸着されて気体にならないで安定した状態となって、水素分子(H2)と酸素は外に放出される。
【0078】
次に、還元水素水保存装置(60)においては、一部水にとけないブラウンガスを、第3ガス通路(62)を通じて外部へ排出させることができる。そして、使用者は、還元水素水保存装置(60)内の還元水素水を、還元水素水排出口(図示せず)を通じて必要な量を排出して飲むことができる。
【0079】
一方、上記還元水素水保存装置(60)には所定のORPセンサが設けられており、ORPが基準値(例:−300mV)より低いORP値(例:−100mV)の場合には、還元水素水保存装置(60)にブラウンガスを投入することでORPの(−)絶対値を大きくすることができる。
【0080】
次に、図3を参照して、本発明の他の実施の形態によるブラウンガスを利用した還元水素水製造方法を説明する。
【0081】
本発明の他の実施の形態によるブラウンガスを利用した還元水素水製造方法は、上記給水装置(10)からブラウンガス製造装置(12)に直接給水しないで、異質物除去水貯留装置(52)から異質物除去水を上記ブラウンガス製造装置(12)に供給する方法である。
【0082】
すなわち、上記異質物除去水貯留装置(52)の水を所定の給水ポンプ(54)を利用して異質物除去水を第4給水通路(56)を通じてブラウンガス製造装置(12)に供給することで給水通路を簡素化することができる。
【0083】
次に、本発明の実施の形態によるブラウンガスを利用した還元水素飲料を説明する。
上記ブラウンガスを利用した還元水素飲料は、ジュース、牛乳、お酒や、純粋な水など、人が飲むことができるすべての液体を含む。
【0084】
本発明の実施の形態によるブラウンガスを利用した還元水素飲料は、ブラウンガスを利用した還元水素水を含む飲料である。
【0085】
本発明の実施の形態によるブラウンガスを利用した還元水素飲料は、水素を多量に含んでおり、活性酸素の除去力が強い飲み物である。例えば、上記ブラウンガスを利用した還元水素飲料は、酸化還元電位(ORP)が、−100mV〜−500mVを維持することができる。表4に、飲み物にブラウンガスを通過させた後のpHとORPの変化を示す。
【0086】
【表4】

【0087】
上記表4は、スポーツ飲料とジュースのそれぞれ1Lに、本発明の実施の形態で発生させたブラウンガスを、0.35m3/hで1分間通過させた後に測定した数値である。
【0088】
すなわち、上記表4のように、スポーツ飲料やジュースに、本発明の実施の形態によるブラウンガスを通過させた場合、元のORPより200〜300mV程度−(マイナス)に変わり、還元力が増大する効果があった。ただ、pHには殆ど影響が無いことが分かる。
【0089】
本発明の実施の形態によるブラウンガスを利用した還元水素飲料製造装置および還元水素飲料製造方法は、上記本発明の実施の形態によるブラウンガスを利用した還元水素水製造装置および還元水素水製造方法の内容を採用することができる。
【0090】
本発明の実施の形態によるブラウンガスを利用した還元水素飲料製造方法では、還元水素飲料を、上記本発明のブラウンガスを飲料に直接注入する方法によって製造することができる。
【0091】
例えば、上記本発明の実施の形態によるブラウンガスを利用した還元水素水製造装置および製造方法での還元水素水保存装置の代わりに還元水素飲料保存装置(図示せず)を設け、上記還元水素飲料保存装置には別の飲料供給装置から所定の飲料が供給されて、上記還元水素飲料保存装置に供給された飲料に、ブラウンガスが注入されることでブラウンガスを利用した還元水素飲料を製造することができる。
【0092】
この時、上記生成されたブラウンガスが、異質物除去水(図示せず)を通過した後に、上記還元水素飲料保存装置に注入されることで、上記ブラウンガス内の異質物をとり除く異質物除去水貯留装置(図示せず)を更に含むことができる。
【0093】
例えば、上記生成されたブラウンガスが異質物除去水を通過して上記ブラウンガス内の異質物がとり除かれる異質物除去段階を更に含むことができる。
【0094】
または、本発明の他の実施の形態によるブラウンガスを利用した還元水素飲料製造装置および製造方法では、上記ブラウンガスを利用した還元水素水を所定の飲料に適正の割合で混ぜてブラウンガスを利用した還元水素飲料を製造することでORPが(−)絶対値が大きい飲料を製造することもできる。
【0095】
例えば、上記本発明の実施の形態によるブラウンガスを利用した還元水素水製造装置および還元水素水製造方法での還元水素水保存装置の一方に、還元水素飲料保存装置(図示せず)が別に敷設され、また別に飲料供給装置が具備されて、上記還元水素飲料保存装置に飲料が供給され、供給された飲料に上記還元水素水が加えられることで還元水素飲料を製造することができる。
【0096】
この時、上記生成されたブラウンガスが異質物除去水(図示せず)を通過した後に、上記還元水素飲料保存装置に注入されることで、上記ブラウンガス内の異質物をとり除く異質物除去水貯留装置(図示せず)を、更に含ませることができる。
【0097】
例えば、上記生成されたブラウンガスが異質物除去水を通過して上記ブラウンガス内の異質物をとり除く異質物除去段階を更に含むことができる。
【0098】
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は前記実施の形態および図面によって限定されるのではなくて、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内でさまざまな置き換え、変形および変更することができるということは、本発明が属する技術分野で通常の知識を持った者において明白である。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】従来技術による電解還元水の製造方法を説明するための図である。
【図2】本発明の実施の形態によるブラウンガスを利用した還元水素水製造装置を示す概略図である。
【図3】本発明の他の実施の形態によるブラウンガスを利用した還元水素水製造装置を示す概略図である。
【図4】本発明の実施の形態によるブラウンガスを利用した還元水素水製造装置における電解槽の断面図である。
【符号の説明】
【0100】
10 給水装置
11 給水口
12 ブラウンガス製造装置
13 第1ガス通路
14 電解槽
20 電極管
30 ガス採集部
34 上部固定板
35 下部固定板
40 上部電気引入装置
41 側面電気引入装置
44 電解液
46 ガス噴出口
51 第2給水通路
52 異質物除去水貯留装置
54 給水ポンプ
56 第4給水通路
58 第2ガス通路
60 還元水素水保存装置
61 第3給水通路
71 第1給水通路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水を供給する給水装置と、
ブラウンガスを生成するブラウンガス製造装置と、
前記給水装置から供給された水にブラウンガスが注入されることで生成された還元水素水を貯蔵する還元水素水保存装置とを含むことを特徴とするブラウンガスを利用した還元水素水製造装置。
【請求項2】
前記生成されたブラウンガスが異質物除去水を通過した後、前記還元水素水保存装置に注入されることで前記ブラウンガス内の異質物をとり除く異質物除去水貯留装置を、更に含むことを特徴とする請求項1記載のブラウンガスを利用した還元水素水製造装置。
【請求項3】
前記ブラウンガス製造装置に、前記給水装置の水を供給する第1給水通路と、
前記異質物除去水貯留装置に、前記給水装置の水を供給する第2給水通路と、
前記還元水素水保存装置に、前記給水装置の水を供給する第3給水通路とを更に含むことを特徴とする請求項2記載のブラウンガスを利用した還元水素水製造装置。
【請求項4】
前記異質物除去水貯留装置に、前記給水装置の水を供給する第2給水通路と、
前記異質物除去水貯留装置の水を、前記ブラウンガス製造装置に供給する第4給水通路と、
前記還元水素水保存装置に、前記給水装置の水を供給する第3給水通路とを更に含むことを特徴とする請求項2記載のブラウンガスを利用した還元水素水製造装置。
【請求項5】
前記還元水素水は、酸化還元電位(ORP)が−100mV〜−500mVで、かつpHが6.0〜8.4であることを特徴とする請求項1記載のブラウンガスを利用した還元水素水製造装置。
【請求項6】
ブラウンガス製造装置からブラウンガスを生成する段階と、
給水装置から還元水素水保存装置に水を供給する段階と、
前記生成されたブラウンガスを前記還元水素水保存装置の水に注入することで還元水素水を生産する段階とを含むブラウンガスを利用した還元水素水製造方法。
【請求項7】
前記生成されたブラウンガスが異質物除去水を通過して、前記ブラウンガス内の異質物をとり除く異質物除去段階を、更に含むことを特徴とする請求項6記載のブラウンガスを利用した還元水素水製造方法。
【請求項8】
前記ブラウンガスを生成する段階は、前記異質物除去水から前記ブラウンガス製造装置に供給された水を電気分解してブラウンガスを生成することを特徴とする請求項7記載のブラウンガスを利用した還元水素水製造方法。
【請求項9】
飲料を供給する飲料供給装置と、
ブラウンガスを生成するブラウンガス製造装置と、
前記飲料供給装置から供給された飲料に前記ブラウンガスが注入されることで生成される還元水素飲料を貯蔵する還元水素飲料保存装置とを含むことを特徴とするブラウンガスを利用した還元水素飲料製造装置。
【請求項10】
前記生成されたブラウンガスが異質物除去水を通過した後、前記還元水素飲料保存装置に注入されることで前記ブラウンガス内の異質物をとり除く異質物除去水貯留装置を更に含むことを特徴とする請求項9記載のブラウンガスを利用した還元水素飲料製造装置。
【請求項11】
ブラウンガス製造装置からブラウンガスを生成する段階と、
還元水素飲料保存装置に飲料を供給する段階と、
前記生成されたブラウンガスを前記還元水素飲料保存装置の飲料に注入することで還元水素飲料を生産する段階とを含むことを特徴とするブラウンガスを利用した還元水素飲料製造方法。
【請求項12】
前記生成されたブラウンガスが異質物除去水を通過して前記ブラウンガス内の異質物をとり除く異質物除去段階を、更に含むことを特徴とする請求項11記載のブラウンガスを利用した還元水素飲料製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−110342(P2008−110342A)
【公開日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−276830(P2007−276830)
【出願日】平成19年10月24日(2007.10.24)
【出願人】(502013023)イーアンドイー・コーポレーション (3)
【氏名又は名称原語表記】E&E Corporation
【Fターム(参考)】