説明

ブラケスレアトリスポラの選択された菌株の発酵による改善されたリコペン産生方法、このようにして得たリコペンの調合物及び使用

【課題】現在のレベルよりも高いリコペン産生レベルを達成する方法を提供する。
【解決手段】B.trisporaの選択された菌株による発酵方法。分離、精製及び調合の方法は、リコペンの任意の自然源に、特にブラケスレア(Blakeslea)属、コウガイケカビ(Choanephora)属、ヒゲカビ(Phycomyces)属又はケカビ(Mucor)属といったケカビ菌類(mucoral fungi)の液内培養物に適用可能である。抽出方法は、標準的方法と比較し回収プロセスの単純化及び製品純度の増加を可能にする。調合方法は、食品及び製薬の分野で直接用い得る安定化リコペン調製物を得るために使用できるので、高い付加価値が得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明に記載されるB.トリスポラ(B.trispora)の選択された菌株による発酵方法は、現状で文献に記載のあるものより高いリコペン産生レベルを達成可能にする。その分離、精製及び調合方法は、リコペンの任意の自然源、特にブラケスレア(Blakeslea)属、コウガイケカビ(Choanephora)属、ヒゲカビ(Phycomyces)属又はケカビ(Mucor)属といったケカビ菌類(mucoral fungi)の液内培養物に適用可能である。その抽出方法は、回収プロセスを単純化し、従来記載された方法と比較して製品純度を高めることができる。その調合方法は、食品及び製薬の分野に直接適用できる、リコペンの安定した調製物を得ることを可能とし、高い付加価値を与える。
【背景技術】
【0002】
カロテノイド類は自然界に広く分布しており、ニンジン、胡椒、トマト、花又はある種の微生物(ある種のバクテリア、真菌類及び光合成有機体を含む)など多数の天然物に黄色から暗赤色までその特徴的な色を付与する。カロテノイド類は2つのタイプに分類できる。即ち、(i)カロテンと呼ばれる純粋な炭化水素(β−カロテン、α−カロテン、γ−カロテン又はリコペンなどの化合物を含む)及び(ii)酸素を様々な形(水酸基、エポキシ基など)で含むキサントフィルと呼ばれる分子(アスタキサンチン、ゼアキサンチン、カプサンシン、カンタキサンチン、ルテインなどを含む)である。これらの2群の化合物は、その物理化学的な特性及び有機溶媒への溶解度に関して異なる振る舞いを示す。これらの化合物はすべて、人間の食餌において重要な役割を果たしており、癌その他の人間の疾病を予防するための酸化防止剤及びビタミンA前駆体として、その特性が広範囲に研究されてきた。リコペンがDNAに対するニトリロ酢酸第二鉄の有害な影響を阻害して、肝臓の壊死を防ぐことが、最近ラットにおいて実証された[Matos H.R. et al.(2001) Arch. Biochem. Biophys. Vol. 396]。さらに、カロテノイド類は、黄色から赤までその着色により、また、健康に対するその有益な影響及びその魅力的な色のため、着色剤及び食品添加剤として相当な商業的重要性を有する[Ninet L. and Renaut J. (1979) In: Peppler HJ., Perlman D. (eds). 微生物技術(第2版)第1巻(Microbial Technology, 2nd Edition, Vol.1)Academic Press, NY, pp. 529−544]。
【0003】
リコペン(C4056)は、β−カロテン及びキサントフィル類の生合成における中間体である。それは、536.85の分子量と以下の分子式を有する:
【化1】

【0004】
リコペン
酸化防止剤の役割をするとともに、リコペンは心臓血管疾患及びいくつかのタイプの癌を防ぎ、成長制御活性がある[Giovannucci et al. (1995) J. Nat. Cancer Inst. 87: 1767−1776; Stahl W.and Sies, H. (1996) Arch. Biochem. Biophys. 336: 1−9;Clinton, SK. (1998) Nutr. Rev. 56: 35−51]。これは消費者の側からの需要増大をもたらした。高純度化合物としてのリコペンの生産は過去においては化学合成と結びついていた[米国特許第5208381号;米国特許第5166445号;米国特許第4105855号;米国特許第2842599号]。しかし、今では、自然起源のリコペン源及び特別な抽出プロセスに基づく代替ルートが存在する。
【0005】
微生物の生合成によるカロテノイド類の生産は化学プロセスと生物プロセスの競争の典型的な例である。生物起源のリコペン調製物はトマトから[国際公開公報WO 97/48287、欧州特許第608027号]又はヒゲカビ(Phycomyces)属、ブラケスレア(Blakeslea)属、コウガイケカビ(Choanephora)属といったケカビ菌類による発酵によって得られる[英国特許第1008469号、米国特許第3097146号、米国特許第3369974号、特公昭48−16189号、特公昭48−16190号、ロシア特許第2102416号、国際公開公報WO00/77234]。B.trisporaによってカロテノイド類の最大収量を達成するためには、(+)株と(−)株をともに発酵させることが必要である[Ciegler, A. (1965)応用微生物学の進展(Advances in Applied Microbiology)7: 1−34; Plempel, M. (1965) Planta 65: 225−231; Sutter, RP. and Rafelson, ME.(1968) J.Bacteriology 95: 426−432]。混合培養物中のカロテノイド類の収量の増加は、因子ベータ又はトリスポリック酸と呼ばれる一群の酸性化合物の生成と関係がある[国際公開公報WO00/77234, Caglioti L. et al.(1966)Tetrahedron Supplement 7: 175−187]。トリスポリック酸の生合成のために、(+)株と(−)株によって生産されたβ−カロテンは、両者によってレチナールに、次いで4−ジヒドロトリスポロールに代謝される。(+)株は、ジヒドロトリスポリック酸及びそのメチルエステル(メチル−4−ジヒドロトリスポレート)を形成するための基質として4−ジヒドロトリスポロールを利用する。(−)株は4−ジヒドロトリスポロールをトリスポロールに代謝する。最終的に、メチル−4−ジヒドロトリスポレートは(−)株によってトリスポリック酸に変換される。また、トリスポロールは(+)株によってトリスポリック酸に変換される。このプロセスにおいては多数の共同代謝物質が生成され、その中には(+)株と(−)株の両者に共通のものもあるし、これらのうちの一方に特有のものもあるため、トリスポリック酸の生合成についてのこの記載は単純化したものである。これらの共同代謝物質の相対量は菌株に依存して変わる。
【0006】
β−カロテンの生合成経路(スキーム1参照)は、Phycomyces blakesleeanus及びMucor circinelloidesなどのB.trisporaと系統発生的に関係のある菌類について記載されている[Arrach N. et al.(2001) Proceedings of the National Academy of Sciences USA 98: 1687−1692; Velayos A. et al. (2000) European Journal of Biochemistry 267: 5509−5519]。前述の生合成には、少なくとも3種の酵素:(i)フィトエン(phytoene)合成酵素(これはゲラニルゲラニルピロホスフェート2分子を連結してフィトエンを形成する)、(ii)フィトエン脱水素酵素(これはフィトエン分子に4つの二重結合を導入してリコペンを合成する)及び(iii)リコペン環化酵素(これは基質としてリコペンを使用し、β−カロテン分子の2端にある環を形成する)が必要である。B.trisporaの変異株の分析に基づいて、この真菌中におけるβ−カロテンの生合成経路はP.blakesleeanusについて記載されたそれに似ているとの結論が得られた[Metha B.J. and Cerda−Olmedo E.(1995) Applied Microbiology and Biotechnology 42: 836−838]。P.blakesleeanusの場合、その菌糸体の黄色い色は変異によって変化して、赤、白又は様々な色合いの黄色に着色した菌糸体を備えた菌株を生じさせることがある。赤い変異株はリコペンを蓄積するが、白い変異株は、カロテノイド類の生産を欠くかフィトエンを蓄積する。リコペンの生産のためには、リコペン環化酵素活性を欠くB.trisporaの菌株を有することが必要であり、さもなければ、前記酵素活性を阻害する化学薬品を発酵培地に添加しなければならない。
【0007】
【化2】

【0008】
英国特許第1008469号、米国特許第3097146号、米国特許第3369974号、特公昭48−16189号、特公昭48−16190号、ロシア特許第2102416号及び国際公開公報WO00/77234は、Phycomyces、Blakeslea及びChoanephoraのようなケカビ菌類の発酵によるリコペンの生産について記載している。英国特許第1008469号及び米国特許第3097146号は、7.0と9.5の値の間のpH制御に基づくB.trisporaの発酵方法について記載しており、7日間の発酵後にリコペン99.7mg/lの収量を得ている。特公昭48−16189号及び特公昭48−16190号は、第三アミンの添加に基づくケカビ菌類によるリコペン産生方法について記載している。ロシア特許第2102416号は、リコペンの蓄積を引き起こすためにアミノメチルピリジン類とタバコ残渣を添加することについて記載している。前記特許に記載された物質と同様に、カロテノイド合成をリコペン段階でブロックするための他の含窒素複素環塩基の使用が刊行物に発表されている:ニコチン[特開平5−13167号]、イミダゾール、ピリジン、モルホリン、キノリン及び何種類か置換誘導体[米国特許第3369974号; Ninet L., Renaut J. (1979) In: Peppler HJ, Perlman D (eds).微生物技術(第2版)第1巻(Microbial Technology, 2nd Edition, Vol.1)Academic Press, NY, pp. 529−544]。さらに、第三アミンの添加を必要とせずにリコペンを蓄積するB.trisporaの変異株が記載されている[Mehta B.J. and Cerda−Olmedo E. (1995) Appl. Microbiol. Biotechnol. 42: 836−838]。
【0009】
前述のケカビ菌類に加えて、リコペンの生産は、藻類によるもの[特開平5−13167号及び特開2000−152778]、Streptomyces chrestomyceticus var. rubescensの発酵によるもの[米国特許第3467579号]及びFlavobacterium sp. R1534のカロテノイドの生合成経路の修正によるもの[米国特許第6124113号]が記載されている。
【0010】
リコペンは、トマト、ニンジン、胡椒、植物油などの植物産物から得ることができる。そこで、国際公開公報WO97/48287は、トマトからのリコペンに富む含油樹脂(oleoresin)の製造方法について記載している。これは、トマトをパルプが得られるまで圧搾し、有機溶媒によるパルプからのリコペンを抽出し引き続いて溶媒を蒸発によって除去することにより、リコペン含有量2〜10%の範囲の含油樹脂を生じさせることによる。植物及び油から、一般にカロテノイド類特にリコペンの豊富な含油樹脂を得る方法が、様々な特許に記載されており、例えば、米国特許第5245095号及びEP580745には、カルシウム塩類による沈殿によるもの、米国特許第5019668号には、油とのエステル交換後蒸留する方法を用いるもの、国際公開公報WO95/16363には、カロテノイド類が豊富な含油樹脂を含む様々な画分の中へのトマトの分留について記載しており、また、国際公開公報WO90/08584は臨界超過状態の流体を使用することによるリコペン抽出について記載しているが、得られた抽出物は様々なカロテノイド類の混合物であり、それらの低溶解度のため抽出収量は非常に低い。
【0011】
これらのすべての場合において、これらの天然産物中のリコペン濃度が低いこと、及びこの化合物の細胞内での所在は葉緑体又は有色体のようなある種の細胞器官中であることにより、得られた製品の抽出収量及び純度は低く、リコペンが豊富な含油樹脂又は脱水された粗製品は、様々な量の他のカロテノイド又は非カロテノイド化合物とともに得られる。ほとんどの場合、記載された抽出方法は、溶媒抽出を容易にし、またしたがってリコペンに富む細胞内含有物を放出させるために、粉砕又は圧搾による果物調製物を必要とする。また最後に、これらの特許に記載されたほとんどの方法は、有機溶媒の使用を必要とし、その有機溶媒が得られた含油樹脂中に痕跡量存在する。さらに、イタリア特許第107999号は、リコペンに非常に富んだ含油樹脂のトマトパルプからの調製について記載しているが、上に述べたものと同様に、得られる製品は、高純度のリコペン結晶からなるものではなく、リコペンに富む脂質の濃縮物である。
【0012】
他方、国際公開公報WO97/15554は、葉緑体及び有色体を分離し、続けて、ペクチン類などのタンパク質の加水分解酵素及び/又はプロテアーゼ類によって前述の細胞器官を消化することによって、様々な構造タンパク質に結合したリコペンを放出させることを可能にする、ニンジン及びトマト(これらはリコペンを含む)からの植物起源のカロテノイド類の抽出について記載している。続いて、アルカリの処理及び低分子量アルコール混合物による抽出によって、含油樹脂より豊富かつ高純度のリコペン抽出物を得ることが可能となるが、得られるのはリコペンの精製結晶ではなく、リコペンに富む粗出物である。同様に、欧州特許公開EP608027A2では、リコペンが結晶の形式で存在しているトマト有色体の分離によってリコペンの濃縮抽出物を得ている。リコペンに富むトマト有色体からのこれらの抽出物は、後にリコペン結晶を抽出することなく着色剤として直接使用するもので、抽出時におけるリコペンの色変化を回避し、また、有機溶媒の使用を不要にする。この特許に記載された方法に従って、食品又は医薬組成物で使用するのに適した純粋な結晶状リコペンを得ることは可能ではなく、脱水、凍結乾燥又は凍結された形で食物着色剤として得られるだけである。
【0013】
ドゥナリエラ(Dunaliella)タイプのカロテノイド類に富むある種の微細藻類は別の重要なリコペン源である。これらの有機体からカロテノイド類、特にリコペンを抽出する様々な方法があり、有機溶媒(クロロカーボン類、炭化水素など)又は食用油(ドイツ特許第4342798号)による抽出によるものが米国特許第5378369号、米国特許第4713398号及び米国特許第4680314号に反映されている。別の方法が国際公開公報WO98/08584に記載されており、超臨界状態にあるCOを使用してリコペン抽出物を得ているが、このようにして得られた抽出物は、リコペンに関する純度は低い。
【0014】
リコペンはブラケスレア(Blakeslea)、コウガイケカビ(Choanephora)、ヒゲカビ(Phycomyces)又はケカビ(Mucor)などのケカビ菌類の液体培地中での発酵によっても得ることができる。この場合、植物産物又は藻類からのリコペン産生に優る特徴として、この化合物の濃度が増加し、場合によっては、乾燥バイオマス量に対して5重量%以上となり(これは最良の植物種から得た値より大きい)、古典的な変異生成技術によって又はこれらの微生物の遺伝子操作を可能にする分子生物学上の新技術の適用によって、これらの微生物の過剰産生種を生物工学的に開発し得る(これにより、構造上関連するカロテノイド類の生産をなくしてリコペンの濃度及び収量を増加させる)可能性がある。
【0015】
既に述べた通り、自然源からの高純度の結晶リコペンの調製は、例えば、米国特許第3369974号、欧州特許第818255号及び欧州特許第242148号に記載されているように、一般に有機溶媒又は超臨界状態の流体による抽出段階、次にクロマトグラフィー、吸着及び溶出プロセス、及び沈殿又は結晶化の段階など、様々な追加的精製段階を必要とする。これらの後続的精製段階を使用せず、溶解度が克服されるまで溶媒を蒸発することによって抽出物から直接結晶化を行う事例では、ほとんどの場合、得られる生成物の純度は非常に低く、したがって、得られたリコペンの再結晶プロセスを行う必要があり、生成物の溶解度が低いことから再結晶段階を達成するために大量の溶媒を使用することが必要となり、これは低収量につながる(オランダ特許第6411184号、米国特許第4439629号)というさらなる問題を生じる。
【0016】
国際公開公報WO96/13178は、粉砕によって液体媒体中に懸濁させたリコペン微結晶(1〜3ミクロン)を得る、エチレングリコール、エタノール又はグリセリンなどリコペンが不溶な食品適合性液体媒体中に安定化させた結晶リコペン濃縮物を調製物について記載している。さらに、国際公開公報WO98/43620は、高温での様々なトリグリセリド類及びホスホネート類のけん化によって含油樹脂からリコペン結晶を分離し、次いで水で希釈することによる、75%と95%の間の純度のリコペン結晶を得る方法について記載している。同様の方法が、最近、国際公開公報WO98/03480において、水、低分子量アルコール又はアセトンで洗浄することによる高純度β−カロテン結晶の調製について記載されている(但し、これを高純度のリコペン結晶を得るために適用することは記載されていない)。
【0017】
結晶状態でのカロテノイド類の不安定はよく知られており、それらを安定させる1つの方法は油性分散液の調製である。さらに、油中に分散したカロテノイド類は、身体により容易に吸収されると信じられている。不安定な化合物を安定化させるための別の方法は、デンプンマトリックス中でのそれらのマイクロカプセル化である。このため、米国特許第2876160号、米国特許第2827452号、米国特許第4276312号及び米国特許第5976575号は、デンプンマトリックス中にそれらをカプセル化することによりカロテノイドを含む様々な化合物の安定性が相当に増加すると記載している。
【0018】
着色剤の分野でカロテノイド類を使用する際の主要な困難の1つは、それが水に全く溶けない点である。というのも、それらの適用の多くが水性媒体中で起こるからである。この溶解度の問題は、米国特許第3998753号といった文書で言及され、ハロゲン化炭化水素などの揮発性有機溶媒中でカロテノイド溶液を調製しラウリル硫酸ナトリウム水溶液でそれらを乳化することにより解決された。
【0019】
米国特許第5364563号は、粉末状のカロテノイド類調製物の製造方法について記載しており、それは高沸点を有する油中にカロテノイド懸濁液を形成することを含む。カロテノイドの油溶液を形成するために、この懸濁液を最大30秒間の蒸気で加熱する。次に、この溶液をコロイド水溶液上で乳化し、次いで、乳剤を噴霧乾燥する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0020】
(発明の詳細な説明)
本発明は、真菌類B.trisporaによるリコペンを高収量で得る一連の方法、並びにその回収及び調合方法を記載する。本発明は、(i)リコペンの過剰産生株(overproducer)であるB.trispora変異株の取得選択方法の設計、(ii)改善された発酵条件の開発、(iii)菌糸体からのリコペン回収方法の確立及び(iv)従来技術に存在していた様々な媒体中での安定性及び溶解度の問題を克服する調合物の達成からなる。B.trisporaは、リコペンの生物工学的生産のために産業上大きな重要性を有する真菌類である。実際、前記方法は、現在産業上使用されている合成プロセスに見合うものであることがわかる。
【0021】
リコペンの過剰産生株である菌株を得る目的で、まず第1に、変異誘発物質であるエチルメタンスルホネート(EMS)及びN−メチル−N’−ニトロ−N−ニトロソグアニジン(NTG)により、B.trisporaの(+)及び(−)菌株について突然変異を起こす方法を開発した。YpSs培地による斜面培地(slant)から変異のための胞子懸濁液を得た。各斜面培地0.1%でトリトンX−100溶液10mlを加えることにより胞子を再懸濁させた。孔径20μmのナイロンフィルターを用いた濾過によって菌糸体残滓を除去し懸濁液中での胞子濃度を10胞子/mlに調節した。EMSによる変異方法は、10胞子/mlを3%EMS溶液(0.1Mリン酸ナトリウムバッファー中(pH 7.0))中、室温で60分間インキュベートすることからなり、約99%の死亡率を達成した。変異した胞子を、0.1%トリトンX−100で3回洗浄し、15℃で2分間3000rpmにて遠心分離した。NTGによる変異方法は、10胞子/mlを、NTG 250 μg/ml及び0.1Mクエン酸ナトリウムバッファー(pH 5.0)を含む溶液中、室温で30分間インキュベートすることからなり、約95%の死亡率を達成した。変異した胞子は、0.1%トリトンX−100で3回洗浄し、15℃で2分間3000rpmにて遠心分離した。0.1%トリトンX−100を補ったサッター(Sutter)IV固体培地を含むペトリ皿に、変異した胞子を播種し、25℃で4日間インキュベートし、分離されたコロニーを得た。
【0022】
B.trisporaのリコペン過剰産生性(−)株を選択するのに使用した方法は、以下の通りであった:(i)トリスポリック酸の使用及び(ii)コロニーの色強度。トリスポリック酸の添加によるリコペン産生変異株の選択は、変異した胞子から得られたコロニー上にトリスポリック酸をしみ込ませたフィルターを置くことからなるものであった。トリスポリック酸は、B.trisporaの(+)と(−)の菌株の混合培養物から得られた。フィルターとコロニーを25℃でインキュベートし、橙色に着色したβ−カロテン産生体とは対照的に、リコペン産生変異株が深赤色を呈することを観察した。CMA3(−)株を用いてこの方法を適用し、LMA1(−)株を選択した(スキーム2)。コロニーの色強度の関数とするリコペン産生変異株の選択は、次の方法で行った:CMA1(−)株(β−カロテン産生体;スキーム2)を変異させ、変異した胞子をYEPDA固体培地プレート上で成長させた。次に、CMA1(−)親菌株より深い黄橙色を有するコロニーを選択した。このようにして、深い黄橙色を有する2つのコロニーを分離した(CMB1(−)及びCMB2(−)という)。
【0023】
【化3】

【0024】
B.trispora(+)のリコペン過剰産生変異株の選択は、0.1%イミダゾールを補ったサッター(Sutter)IV固体培地を含むペトリ皿中で変異胞子を成長させることにより行った。次に、各コロニーの一部を、予めB.trispora(−)を播種したPDA皿上に移した。固体培地中でのリコペン産生レベルは、(−)株コロニーと(+)株コロニーの交差ゾーンでの呈色の強度の関数として決定した。このようにして、B.trispora CPA1(+)株を選択したところ(スキーム3)、一連の(−)菌株との混合固体培養物中のリコペンより高い収量を生じた。次いで、B.trispora CPA1(+)株の産生レベルを、液体培地中の混合培養物中で分析した。
【0025】
選択した菌株を指定するのに使用した符号システムは以下の通りである:
CM:カロテン マイナス(−)
LM:リコペン マイナス(−)
CP:カロテン プラス(+)
LP:リコペン プラス(+)。
【0026】
親世代の関係はアルファベットの順番に従う。すなわち、AはBの親であり、BはCの親である(以下同様)。文字の後の数字は変異株の数に相当する。例えば、CMA1(−)という表示は、それがカロテン産生菌株(C)であり、マイナス(M)、CMBの親で変異株番号1であることを示す。同様に、CMA1(−)、CMA2(−)、CMA3(−)及びCMA4(−)は、同じ世代の変異株1、2、3及び4に相当する。
【0027】
【化4】

【0028】
固体培地中で選択されたB.trispora(+)及び(−)菌株を、液体培地及び混合培養物中のリコペンの生産量を決定するため、フラスコ中で発酵した。このために、個別の接種原フラスコに菌株B.trispora CPA1(+)及びB.trispora CMB2(−)を播種し、次いで、フラスコ中で両方の菌株の混合発酵を行った。発酵開始時(0〜50時間)に、リコペン段階で生合成経路をブロックする目的で、酵素リコペン環化酵素の阻害剤を加えた(例えば、0.7〜0.8g/lの濃度のイミダゾール)。発酵終了時(約6日)に、ボルテックス撹拌によってB.trisporaの菌糸体を溶菌させ、有機溶媒(例えば、アセトン)でリコペンを抽出し、その濃度及び純度をHPLCによって決定した。得られた収量は3.0g/lであった。リコペン環化酵素の阻害剤を加えることが必要でなかったこと以外は同じタイプの発酵を、菌株B.trispora CPA1(+)及びB.trispora LMA1(−)を用いて実行した。混合培養物中、これらの菌株によって得られた収量は1.2g/lであった。
【0029】
リコペン収量を決定するため、CPA1(+)とCMB2(−)株を半商用発酵槽中で培養した。この目的のため、それらをフラスコ中で別々に増殖し、別々に中間増殖槽に移し、最後に一緒にして発酵させた。発酵25時間と35時間の間、リコペン環化酵素の阻害剤としてイミダゾールを加えた。発酵は100〜140時間インキュベートした。CPA1(+)及びCMB2(−)株の一連の様々な発酵で得られたリコペン収量の平均値は、3.4g/lであった。
【0030】
酵素リコペン環化酵素の阻害剤添加なしでのリコペン収量を決定するため、CPA1(+)とLMA1(−)株を半商用発酵槽中で培養した。CPA1(+)及びCMB2(−)株について上に示したのと同様に、但しイミダゾールは加えずに発酵を実行した。CPA1(+)及びLMA1(−)株の一連の様々な発酵で得られたリコペン収量の平均値は、1.6g/lであった。
【0031】
この発酵段階では、B.trispora菌株の栄養増殖期(vegetative stage)の時間齢(age)を制御することによってより高収量が得られる。したがって、接種原として使用する培養物は、(+)と(−)の両者について30〜60時間、好ましくは48時間の時間齢を有するが、播種した胞子数はそれぞれ800〜1000胞子/ml及び40 000〜60 000胞子/mlとする。インキュベーションは、一次培養物相中に播種された各接種原0.1%v/vを用いて約25℃で実行する。前記一次培養物の時間齢は30〜60時間、好ましくは36〜48時間の範囲で変化し、温度は26〜28℃の範囲である。次いで、この(+)/(−)一次相を1/10v/vの比で混合し、発酵槽に前記相混合物を10〜20%v/vで播種する。
【0032】
発酵中に生合成されたカロテノイド成分の細胞内在性を考慮すると、通常の方法で言うように調製された培養培地からの回収方法の第1段階は、培地からのバイオマスの分離である。この分離は、フィルター(ベルトフィルター、ロータリーフィルター、プレスフィルター等のいずれでもよい)による通常技術を使用し、確立された濾過方法(濾布からなる障壁がバイオマスを分離し、バイオマスを含まない液相は通過させる)によって達成できるし、あるいは遠心分離(培養培地とバイオマス(通常高密度)の間の密度差の利用によって、遠心分離機又はデカンターなどが使用され、その中で重い相は濃縮され、液相(これはバイオマスを最小限度でしか含まない)から分離する。この段階の目的のうちの1つは、損失を低減し、各相の特性を最適化し、バイオマスについて乾燥残留物の最も高い含有量を達成して、活性物質を最少量しか含まない発酵培地の大部分を除去することである。
【0033】
生じた湿潤菌糸体は、発酵中に産生されたカロテノイド類の95%以上、好ましくは97%以上、より好ましくは99%以上含む。したがって、水相中のカロテノイド類の含有量は5%未満、好ましくは3%未満、より好ましく1%未満である。この湿潤菌糸体により、後の段階によってそれはリコペンを分離することも可能であろう。しかし、発酵に関して言えば、この菌糸体は、脂質親和性の強い成分を比較的大きな割合(15〜20%(脂肪酸及び油))で依然として有しており、これは後の段階で精製の問題を引き起こすことが判明した。したがって、この時点でバイオマスの精製の段階を導入することが必要となる。精製段階は、脂質成分の最大の精製を達成するのに十分な程度まで、バイオマスをアルコール(メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール又はリコペンの溶解度が非常に低い他のアルコール)中に再懸濁することを含む。したがって、湿潤菌糸体を、湿潤菌糸体の1ml/gから10ml/gの範囲の量のアルコールで再懸濁する。再懸濁液の温度は、0℃とアルコールの沸点の間、好ましくは10と50℃の間で変わる。接触時間は、5分から24時間までの範囲である。このように調製したアルコールの再懸濁液を、濾液又は清浄化された液体中の固形分は実際上0となるように濾過又は遠心分離する。生じる湿潤菌糸体(それは様々な比で水とアルコールを含むであろう)は、発酵物中で生産されたカロテノイド類の93%以上、好ましくは95%以上、より好ましくは97%以上を含む。
【0034】
培地とアルコールの残渣を含む上清又は濾液中では、カロテノイド類含有量は初期の培地に比べて2%未満、好ましくは1%未満である。アルコールによるこの処理は、多数のアルコール可溶の脂質親和性の強い物質を除去することを可能にし(使用される培地の特性に依存するその量は変わる)、高純度の結晶である最終生産物を得ることを可能にする予備精製を達成する。さらに、初期の湿気菌糸体から様々な比の水を取り除くことによって、後の乾燥プロセスが非常に容易になる。アルコールと培地を直接混合し最小の接触時間を維持することによって、以前に記載されたそれと等しい精製効果が達成され、その結果、そのプロセスは固液分離の1つの操作の除去によって単純化される。培地/アルコール比率は1/0.5〜1/5まで変えることができ、好ましく1/1と1/3の間である。混合物の温度は、室温と混合物の沸点の間、好ましくは室温と60℃の間で変わる。
【0035】
脱水又は精製された菌糸体は乾燥させる。乾燥は通常のバッチ法又は連続法によって実行できる。乾燥温度は、室温と150℃の間で変わるが、好ましくは、60℃を超過してはならず、より好ましくはそれは50℃未満とすべきである。乾燥時間は、用いる温度に依存し1時間と72時間の間で変わる。大気中酸素による酸化によってこれらのカロテノイド類は分解し得るため、この乾燥操作は、酸素不在下、窒素雰囲気下又は少なくとも真空下で行うのが最良である。カロテノイド生成物が細胞内にあるという事実は、精製したバイオマスの処理(バイオマスの乾燥プラス粉砕によるか、乾燥プラス分解又は分解による。これらは、溶媒による混合を促進し、溶媒抽出を容易にする)が必要であるということを意味する。溶媒が抽出されるカロテノイドによく接触するように、事前に菌糸体の破壊操作を行って接触面積を最大限にすることが必要である。乾燥され破壊された菌糸体の最適の粒子サイズは、3mm未満、好ましくは1mm未満であり、より好ましくは0.5mm未満でなければならない。
【0036】
粉砕は、乾燥生成物に対して回転又は固定部品(ハンマーやスクリーンなど)による機械的なシステムによって、互いに圧縮し合う(圧縮又は押し出し)回転シリンダを通すことなどによって実行することができる。ジェットミル中でのフラッシュ(瞬間)乾燥システム(ここで湿潤生成物は、滞留時間が液体成分の含有物を気化する最小限であるように高温の再循環ガス流に供給され、生成物は密度変化に伴いサイクロンに輸送され、そこで回収される)によって1段階で乾燥と粉砕を行うことも可能である。乾燥時間の間及び乾燥経路では、粒子が壁に衝突するため、均質化効果もある。
【0037】
前記のように条件調整した菌糸体からリコペンを抽出するために、様々な有機溶媒が使用できる。本発明は、アシルエステル(好ましくは、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル又は酢酸イソブチル)などの、天然とみなされ得る食品級溶媒の使用に言及するものであり、これは、カロテノイド成分に対するかなり高い溶解性とICHのクラスIIIのグループに含まれる溶媒としての適合性とを併せ持つ。これらの溶媒は、各国レベル及び共同体レベルのいずれでも、また、医薬及び食品分野(RDL12/04/90とRDL16/10/96)において許容され得る。ICHにおいて要求されるように、溶媒残留量は、各場合とも液体混合物中の乾燥物質量に基づいて5000ppm未満、好ましくは1000ppm未満、より好ましくは100ppm未満でなければならない。抽出温度は、室温と溶媒の沸点の間、好ましくは50℃と80℃の間で変わる。抽出時間は、分離を達成するのに必要な最小限であり、1秒と1時間の間、好ましくは1分と15分の間となるであろう。使用される溶媒の量は、温度及び菌糸体のカロテノイド含有量に依存して、バイオマスの5ml/gと30ml/gの間で変わる。抽出回数は、1〜3回と変動する。抽出されるカロテノイドの量は85%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上である。
【0038】
一度得られた、カロテノイドに富んだ抽出物は所定の体積に濃縮しなければならない。濃縮後の溶媒中のカロテノイドの最終濃度は好ましくは10〜50g/lである。濃縮温度は、80℃以下、好ましくは70℃以下、より好ましくは50℃以下でなければならない。抽出物が、一旦所定の体積に濃縮されたならば、カロテノイドの不溶化剤、特にアルコール、より具体的にはメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール又はリコペンの溶解度が非常に低く、その結果、結晶リコペンの収量を著しく増加させる他の任意のアルコールを添加する必要がある。アルコールの添加は精製効果もある。結晶時間は、15分と24時間の間、好ましくは1時間と12時間の間、好ましくは3〜8時間の間で変わる。結晶温度は、5℃以下、好ましくは25℃以下でなければならない。
【0039】
結晶用アルコール溶媒からの結晶の分離は、濾過又は遠心分離によって達成することができ、結晶が浸漬されていた結晶用アルコール溶媒を不溶化のために用いるのと同じアルコールで洗うことにより置き換える。得られた結晶を室温で真空下、残留溶媒含有量が前述した法令により定められた仕様(リコペンの場合、乾燥で0.5%未満の損失を規定する)を満たすまで少なくとも1時間乾燥させる。
【0040】
得られた結晶の純度は、結晶のn−ヘキサン(E1%1cm=3450)溶液について472nmの吸収を読みとることによる分光測光法によって決定され、95%以上の滴定濃度に相当し、他のカロテノイド類含有量は3%以下である。cisリコペンの含有量は3%以下である。
【0041】
本発明の方法は、微生物源、好ましくは藻類、真菌類、酵母、より好ましくはケカビ目(Mucorales order)の真菌類、より好ましくは、B.trisporaからの結晶リコペンの回収に特に適している。本発明の方法論によって得られる結晶について達成された例外的な純度及び自然とみなされる溶媒の使用は、これらの結晶が、食品、医薬又は化粧品産業において使用できるということを意味する。
【0042】
本発明に記載された方法論によって得られる結晶生成物は、生成物の光劣化を防ぐ不透明な容器中、酸化を防ぐために酸素不在下(不活性雰囲気又は真空)、0と5℃の間の温度で梱包できる。適切に梱包された生成物は「そのまま」取り扱い市場に出荷可能である。しかし、後の調合又は最終段階での安定性を増加させることが好ましく、これには、適切に梱包された時には6か月を超える貯蔵寿命を備えた完成品を得ることを可能にする酸化防止剤の添加が含まれる。
【0043】
本発明の別の本質的な目的は、リコペンの製造方法であり、これは、リコペンが使用されることになっている適用態様の特性に応じた様々なかたちでのその調合を含む。植物油中のリコペンの微晶質の懸濁液と呼ばれる最初の適用態様は、前述の結晶リコペンを可変量の植物油と前もって混合することからなる。植物油のタイプは様々に変えることができ、最も一般的なもの(唯一のものではない)としては、ヒマワリ油、オリーブオイル、トウモロコシ油、大豆油、綿実油などである。リコペンの投薬量は、要求される最終強さの関数であり、最も一般的な値は、5〜60%、好ましくは10〜30%の間のリコペン含有量の懸濁液になるであろう。混合物の安定性を増すために、天然トコフェロール、好ましくはD,L−アルファ−トコフェロールなどの通常の脂溶性酸化防止剤を添加する。この化合物の割合は、リコペンの重量に対して0.2〜15%、好ましくは0.5〜5%の範囲で変わる。満足な生理学活性を有するリコペン含有調合物とするためには、リコペン結晶の大きさを小さくすることが必要である。これは、液体混合物に適した通常の粉砕システムを用いて達成される。本発明の特別の目的は、10ミクロン以下、好ましくは5ミクロン以下、さらに好ましくは2ミクロン以下まで結晶サイズの低減を可能にするボールミルである(0.5〜0.75mmの間の直径の微粒子を使用する)。もっとも、結晶サイズは懸濁液の具体的適用態様での必要に応じて変わり得るものであり、各場合で適当な球体及び粉砕条件を使用する。この結晶サイズは、混合物の流動学的特性(特にその粘性)を決定するが、これもまた必要に応じて調節できる。油中のリコペンのこれらの微晶質懸濁液は、脂質親和性の強い環境でのリコペンの適用態様(マーガリン、バター、クリームなど)に適している。
【0044】
第2の適用態様は、冷水分散性(CWD)リコペン調合と呼ばれ、有機溶媒中へのリコペンの溶解、次いで修飾デンプン中へのマイクロカプセル化に基づく。この溶解を達成するのに最も適した溶媒は、この分子が高い溶解度を示すことから、クロロホルム、ベンゼン、トルエンなどである。塩化メチレンは特に適している。しかし、これにはハロゲン化物性があることから、アシルエステル(好ましくは、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル又は酢酸イソブチル)などの、天然とみなされ得る食品級溶媒の使用が可能であり、これは、カロテノイド成分に対するそのかなり高い溶解度とICHのクラスIIIのグループに含まれる溶媒としての適合性とを併せ持つ。有機溶媒中のリコペンの濃度は、1〜50g/l、好ましくは10〜30g/lの間で変えることができる。分解温度は、室温と溶媒沸点の間、好ましくは20と130℃の間で変えることができる。cisリコペンのパーセンテージは、有機溶媒中へのリコペンの溶解操作における温度/時間比の関数であるという事実は、この異性体の含有量の低い製品を得たければ、低い溶解温度が使用され、さもなければ非常に短い溶解時間が用いられることを意味する。したがって、低cisレベルを達成するためには、使用される溶媒が塩化メチレンである場合は、溶解を1〜15分の時間をかけて20〜35℃で実行すればよい。他方、溶媒が酢酸イソブチルである場合、溶解は、数秒間、70と130℃の間で好ましくは達成されるであろう。しかし、cis異性体のレベルが関係ない場合、溶解は、使用する溶媒中にリコペンを分子レベルですべて溶解させる溶解度を達成する点以外、その条件に対する制限なしで実行できる。最終調合物の安定性を増加させるために、リコペンとともに有機溶媒中に1又は複数の酸化防止剤の混合物を溶解させる。これらの酸化防止剤は好ましくはトコフェロール、アスコルビン酸パルミテートなどであり、各々、リコペン重量に対して1〜30%、好ましくは10〜20%の間の割合である。さらに、リコペンの溶解を促進し、調製物にさらなる安定性を付与する目的で、混合物に植物油(ヒマワリ油、オリーブオイル、トウモロコシ油、大豆油、綿実油など)を組み入れることも可能である。リコペン/油比率は10/1と1/10の間で変えることができる。
【0045】
このようにして得られたリコペン溶液を、乳化剤、例えば、修飾デンプン、より具体的にはデンプンに由来するエステル、好ましくは様々な分子量のデンプンに由来するコハク酸オクテニル、特に(但し、これらに限定されない)、National Starch製Purity Gum 2000(登録商標)又はRoquette 製Cleargum CO01(登録商標)、及びマイクロカプセル化剤、例えば修飾デンプン、より具体的には、デンプンに由来するエステル、好ましくは様々な分子量のデンプンに由来するコハク酸オクテニル、特に(但し、これらに限定されない)、National Starch製HiCap 100(登録商標)又はCapsul(登録商標)を含む水溶液と混合して乳化する。乳化剤及びマイクロカプセル化剤が混合される割合は、5/95〜95/5の間、好ましくは25/75〜75/25の間、より好ましくは40/60〜60/40の間で変えることができる。乳化剤とマイクロカプセル化剤の混合物の各成分の含水率は可変で、1〜30%の間、好ましくは5〜20%の間、より好ましくは10%とすることができる。水相と有機相の混合物は乳化され、得られた乳液は、一般に使用されるManton Gaulin又はMicrofluidizerタイプの差圧均質化システムを使用して、好ましくは接線摩擦による(例えばUltraturraxタイプの乳化機を用いて)均質化によって、10ミクロン未満、好ましくは2ミクロン未満、より好ましくは0.1〜1ミクロンの間の平均ミセル径を得る目的で、装置により供給されるエネルギー及び乳化される混合物の体積の関数として変化する時間の間、均質化する。
【0046】
乳剤を形成した後、50℃以下の温度で好ましくは真空蒸留によって有機溶媒の蒸発を行う。溶媒の蒸発が進むにつれて、デンプンマトリックス中でリコペンの微結晶化が起こる。溶媒が蒸発した後も、残留溶媒含有量が法令によって定められた最大濃度に関する仕様に適合するまで水を引き続き加えて蒸発を継続し、この液体混合物に適用すべき乾燥タイプに適した乾燥残留物を得る。マイクロカプセル化されたリコペンの懸濁液中での適切な乾燥含量値は、1〜30%の間、好ましくは10〜20%の間である。
【0047】
本発明によれば、得られたリコペンの水性懸濁液を乾燥させるのには、高温微粉化(噴霧)による乾燥方法と流動床微粉化(顆粒化)法の両方が適することがわかった。別の選択肢としては凍結乾燥があろう。噴霧による乾燥方法において求められるように、乾燥空気の適切な入口温度は100と200℃の間であり、出口温度は60と120℃の間であろう。噴霧された生成物は、10〜100ミクロン間の粒径を有する。粒径を増加させて有効面積を低減させ、これにより生成物の耐酸化性を増加させる目的で、前記噴霧生成物の流動床内で、調合に使用する修飾デンプン溶液又はマイクロカプセル化されたリコペン自体の懸濁液のうち1つから微粉化することによって噴霧生成物を凝塊化させることもできる(これにより、50〜500ミクロン、好ましくは、200〜300ミクロンの範囲の粒径に到達できる)。
【0048】
顆粒化方法は、流動床造粒機の使用を含み、そこに、種物質(典型的には、糖粒子などの不活性材料あるいは前の顆粒化プロセス又は噴霧乾燥プロセスで得た、乾燥させようとする実際の物質の微粉末)を装入する。空気によって粒子を運動状態に維持し、床温度を30と90℃の間、好ましくは50と80℃の間に維持する。マイクロカプセル化されたリコペンの懸濁液は、流動床内において20〜140℃の間の温度に予熱した空気によって、被覆される粒子が確実に、過度に湿潤となることなく塊を形成しない割合で散布する。顆粒化された生成物は、100〜2000ミクロン間、好ましくは100〜800ミクロン、より好ましくは100〜300ミクロンの間の粒径を有する。何らかの方法により微粉化が完了した後、粒子を被覆してもよい。この被覆は、本発明の目的である調合物を構成する様々な糖又は1又は複数のデンプンの混合物の水溶液(乾燥重量でおよそ0.5〜10%)によって行うことができる。
【0049】
(ブダペスト条約に従う微生物の寄託)
Blakeslea trisporaの菌株は、ブダペスト条約の規定に従って、以下の番号及び日付により、モスクワ113545(ロシア)、Dorozhny Proezd 1、GN11 Genetikaロシア国立産業微生物コレクション(VKPM)に寄託された:
VKPM F−117(12.21.1979)、VKPM F−208(12.20.1979)、VKPM F−551(11.19.1992)、VKPM F−674(11.19.1992)、VKPM F−726(01.21.1997)、VKPM F−727(01.21.1997)、VKPM F−736(10.07.1997)、VKPM F−741(01.28.1998)、VKPM F−744(01.28.1998)及びVKPM F−816(12.13.2000)。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】B.trispora CPA1(+)菌株のフラスコ中、次の各B.trispora(−)菌株(L25、CMA1、CMA2、CMA3、CMA4、CMB1、CMB2及びLMA1)との混合発酵によるリコペンの生産を示すグラフである(CPA1(+)/LMA1(−)混合発酵以外においては、リコペン環化酵素の阻害剤としてイミダゾールを加えた。縦座標:対照菌株L25(−)(VKPM F−744)に対する生産率(%))。
【図2】B.trispora CPA1(+)菌株の発酵槽中、次の各B.trispora(−)菌株(L25、CMA1、CMA2、CMA3、CMA4、CMB1、CMB2及びLMA1)との混合発酵によるリコペンの生産を示すグラフである(CPA1(+)/LMA1(−)混合発酵以外においては、リコペン環化酵素の阻害剤としてイミダゾールを加えた。縦座標:対照菌株L25(−)(VKPM F−744)に対する生産率(%))。
【発明を実施するための形態】
【0051】
以下の例は本発明を詳細かつ非限定的に説明するものである。
【実施例1】
【0052】
B.trispora(+)及び(−)菌株の変異方法
初めに、B.trisporaの(+)及び(−)菌株について変異誘導方法を開発し、下記の点を分析した:(i)様々なタイプの変異誘導剤、(ii)変異原濃度、(iii)胞子の濃度、(iv)インキュベーションpH及び(v)処理時間。このようにして、エチルメタンスルホネート(EMS)及びN−メチル−N−ニトロ−ニトロソグアニジン(NTG)が変異誘導剤として選択された。
【0053】
変異胞子の懸濁液をYpSs培地(これは以下の組成を有する:酵母エキス4g/l、溶解度デンプン15g/l、KHPO 1g/l、MgSO・7HO 0.5g/l及び寒天15g/l。最終pH5.8)による斜面培地から得た。胞子は、各斜面培地にトリトンX−100の0.1%溶液を10ml加えることにより再懸濁させた。菌糸体残留物は、孔径20μmのナイロンフィルターを通す濾過によって除去した。懸濁液中の胞子濃度は約10胞子/mlであった。
【0054】
EMSによる変異方法は、EMSの3%溶液(0.1Mリン酸ナトリウムバッファー(pH 7.0))中、室温で60分間、10胞子/mlをインキュベートすることにより行い、約99%の死亡率を達成した。変異胞子を0.1%トリトンX−100で3回洗浄し、15℃で2分間3000rpmにて遠心分離した。
【0055】
NTGによる変異方法は、250μg/mlのNTG及び0.1Mクエン酸ナトリウムバッファー(pH 5.0)を含む溶液中、室温で30分間、10胞子/mlをインキュベートすることにより行い、約95%の死亡率を達成した。変異胞子を0.1%トリトンX−100で3回洗浄し、15℃で2分間3000rpmにて遠心分離した。
【0056】
変異胞子を用い、0.1%トリトンX−100を補ったサッターIV固体培地を含むペトリ皿に播種した。サッター(Sutter)IV培地1リットル当たりの組成は以下の通りである:グルコース40g、L−アスパラギン4g、KHPO10g、50倍希釈微量元素溶液40ml及び寒天30g。50倍希釈微量元素溶液は以下のものから構成される:MgSO・7HO 25g/l、CaCl・2HO 1.82g/l、チアミン0.05g/l、クエン酸0.1g/l、Fe(NO・9HO 0.075g/l、ZnSO・7HO 0.05g/l、MnSO・HO 0.17g/l、CuSO・5HO 0.025g/l及びNaMoO・2HO 0.025g/l。播種した皿は、分離されたコロニーを得るために25℃で4日間インキュベートした。
【実施例2】
【0057】
過剰産生株であるB.trispora(−)の変異株を選択するための方法
この例は、(i)トリスポリック酸の使用及び(ii)コロニーの色強度に基づいて、リコペン過剰産生株であるB.trispora(−)菌株を選択するための方法について記載する。図1は、本発明で用いたB.trispora(−)菌株の系統発生を示す。
【0058】
トリスポリック酸添加によるリコペン産生変異株の選択は、変異胞子から得られたコロニー上に、トリスポリック酸をしみ込ませた直径約0.6mmの無菌フィルターを置くことにより行った。トリスポリック酸は、B.trisporaの(+)と(−)の菌株の混合培養物から、試料をpH2まで酸性化した後、クロロホルム1体積によって上清を抽出することによって得た。有機画分を4%重炭酸ナトリウム溶液1体積によって抽出し、水相を回収し、これを酸性化した後、クロロホルムで再び抽出した。次に、クロロホルムは蒸発して乾燥させ、トリスポリック酸に豊む残渣をエタノールに溶解した。トリスポリック酸の量は、325nmで吸光度を測定し、70ml×mg−1×cm−1の吸光係数を想定して決定した(Sutter R.P., Capage D.A., Harrison T.L., Keen W.A.1973. J. Bacteriology 114:1074−1082)。
【0059】
1.2mg/mlトリスポリック酸エタノール溶液中で無菌フィルターをインキュベートし、次に、無菌状態で室温において乾燥させた。次に、フィルターを、予め25℃で4日間増殖させた変異株コロニー上に置いた。この皿をさらに3日間25℃でインキュベートし、リコペン産生変異株が、β−カロテン産生体(その色は橙色だった)とは対照的に深赤色になるのを観察した。
【0060】
CMA3(−)菌株にこの方法を適用して変異株LMA1(−)を得た(図1)。これは、リコペン環化酵素をコードするcaRP遺伝子に変異を有する可能性があり、したがって、β−カロテンを生産する代わりに、カロテノイドの発酵プロセス中に中間体であるリコペンを蓄積するはずである。したがって、LMA1菌株は、リコペン環化酵素活性の特異的阻害剤を加える必要なくリコペンを生産できる(実施例5)。
【0061】
コロニーの色強度に関してのリコペン産生変異株の選択を以下のようにして行った。CMA1菌株(β−カロテン産生体;図1参照)を実施例1に記載するのと同様にして変異させた。YEPDA固体培地(バクト−ペプトン20g/l、酵母エキス10g/l、グルコース20g/l及び寒天20g/l。最終pH6.0)の皿の上に変異胞子を播種し、25℃で24時間、次いで20℃で48〜72時間インキュベートした。最後に、CMA1(−)親菌株より深い黄橙色のコロニーを選択した。このようにして、深い黄橙色の2つのコロニーを分離した(CMB1(−)及びCMB2(−)という)。CMB1菌株とCMB2菌株は、リコペン環化酵素活性の特異的阻害剤(例えば、イミダゾール;実施例4)を添加した混合発酵で、コペン過剰産生株となる可能性がある。
【実施例3】
【0062】
リコペン過剰産生変異株であるB.trispora(+)を選択するための方法
B.trispora(+)のリコペン過剰産生変異株の選択を、実施例1に記載した変異胞子を使用して行った。これらの胞子を、0.1%のイミダゾールを補ったサッター(Sutter)IV固体培地を含むペトリ皿上に播種し、分離されたコロニーを得るために25℃で7日間インキュベートした。次に、各コロニーからの一部を予めB.trispora(−)を播種したPDA皿に移した。(+)と(−)の菌株の播種点の間の距離は、およそ2cmでなければならない。固体培地中のリコペン産生レベルは、(−)菌株のコロニーと(+)菌株のコロニーの交差ゾーンでの着色強度から評価した。このようにして、B.trispora菌株CPA1(+)を選択し、これは一連の(−)菌株との混合固体培養でリコペンのより高い収量を生じた。次いで、B.trispora菌株CPA1(+)からの産生レベルを、実施例4及び5に記載するように、液培地中の混合培養物中で分析した。本発明の中で使用するB.trispora(+)菌株の系統発生をスキーム3に示す。
【実施例4】
【0063】
リコペン環化酵素の阻害剤添加による、B.trisporaの(+)菌株と(−)菌株の混合培養によるフラスコ中でのリコペン産生方法
実施例1、2及び3に記載するように選択したB.trisporaの(+)菌株と(−)菌株を、液体培地及び混合培養中でリコペン産生レベルを決定するため、フラスコ中で発酵させた。このために、接種原培地を1リットル当たり以下の組成で調製した:大豆粉23g、トウモロコシ粉47g、KHPO0.5g、チアミン塩酸塩0.002g。また、pHは6.3に調節した。B.trisporaのCPA1(+)菌株を、67mlの培地を含む500mlフラスコ中、1ml当たり10胞子の割合で播種した。B.trisporaのCMB2(−)菌株を、100mlの培地を含む500mlフラスコ中、1ml当たり10胞子の割合で播種した。両方のタイプの接種原を25℃で44時間250rpmにてインキュベートした。
【0064】
インキュベーションが完了したら、(+)菌株と(−)菌株の種菌を1/10(v/v)の比率で混合し、混合物を、発酵培地を20ml含む250mlフラスコに1個のフラスコ当たり菌株混合物4mlの割合で接種するために使用した。これらのフラスコを25℃で5〜6日間250rpmにてインキュベートした。使用する発酵培地は、1リットル当たり次の組成を有するものとした。大豆粉44g、トウモロコシ粉19g、KHPO5.5g、チアミン塩酸塩0.002g、植物油100ml。また、pHは7.5に調節した。培地を250mlのフラスコ中に分配し、B.trisporaの(+)菌株と(−)菌株の混合物20%で接種した。生合成経路をリコペン段階でブロックする目的で、発酵0時間目と36時間目の間にリコペン環化酵素の阻害剤(例えば、イミダゾール0.75μg/ml)を加えた。フラスコを25℃で6日間250rpmにてインキュベートした。発酵終了時点で、発酵培地、ガラスビーズ及び塩化メチレン/メタノール(1/1)混合物を調製した。ボルテックス撹拌によりB.trispora菌糸体を溶菌させ、細胞内のリコペンを放出させた。塩化メチレン/メタノール混合物(比率1:1)で抽出したリコペンをアセトン中で希釈した。リコペンの濃度及び純度を逆相HPLCを使用して決定した。
【0065】
菌株B.trispora CPA1(+)及びB.trispora CMB2(−)の混合発酵で得られた収量は、イミダゾール存在下でリコペン3g/lであった(図1)。
【実施例5】
【0066】
リコペン環化酵素阻害剤を添加しない、B.trispora CPA1(+)とB.trispora LMA1(−)菌株との混合培養によるフラスコ中でのリコペン産生方法
実施例1、2及び3に記載するように選択したB.trisporaのLMA1(−)菌株及びCPA1(+)菌株を、液体培地及び混合培養中でリコペン産生レベルを決定するため、フラスコ中で発酵させた。このために、(+)菌株及び(−)菌株から種菌を調製し、実施例4に記載したのと同様にしてフラスコ中で発酵を行った。違いは、この場合、リコペン環化酵素活性の化学的阻害剤を添加しなかった点である。発酵終了時点で、実施例4に記載したのと同様にしてリコペン産生を評価した。
【0067】
菌株B.trispora CPA1(+)とB.trispora LMA1(−)の混合発酵によって得られた収量は、イミダゾールがない状態でリコペン1.2g/lであった(図2)。
【実施例6】
【0068】
リコペン環化酵素の阻害剤添加による、B.trispora(+)菌株と(−)菌株の混合培養による半商用発酵槽中でのリコペン産生方法
実施例2及び3に記載したのと同様にして選択したB.trisporaのCPA1(+)菌株及びCMB2(−)菌株を、リコペン収量を決定するため、半商用発酵槽中で培養した。このために、接種原培地を1リットル当たり以下の組成で調製した(大豆粉23g、トウモロコシ粉47g、KHPO0.5g、チアミン塩酸塩0.002g。また、pHは6.3に調節した)。培地を500ml含む2000mlフラスコ中、(+)菌株と(−)菌株を別々に播種し、25℃で44〜48時間、250rpmにてインキュベートした。
【0069】
1リットル当たり以下の組成を有する培地を含む中間増殖槽に各菌株を移した(Pharmamedia29g、トウモロコシ粉47g、KHPO0.5g;チアミン塩酸塩0.002g及び消泡剤1g。また、pHは6.0に調節した)。36〜48時間インキュベートした後、(+)菌株と(−)菌株を1/10の比率で混合し、混合物の20%を発酵基礎培地(これは1リットル当たり次の組成を有するものとした:大豆粉44g、トウモロコシ粉19.25g、KHPO0.55g、NaHPO3.36g、NaHPO0.184g、チアミン塩酸塩0.0022g、植物油100g及び消泡剤0.175g。また、その初期pHは7.5に調節した)に播種するために使用した。1〜1.5v/v/mで通気し150〜250rpmの範囲で撹拌しながら、発酵液を25〜28℃の温度で100〜140時間インキュベートした。発酵25時間目と35時間目の間に、滅菌イミダゾールを0.75g/lの最終濃度で加えた。
【0070】
実施例4に記載したのと同様にして、発酵終了時点でリコペンの濃度及び純度の評価を行った。CPA1(+)及びCMB2(−)菌株の一連の様々な発酵液中で得られたリコペン収量の平均値は、3.4g/lであった(図2)。
【実施例7】
【0071】
リコペン環化酵素阻害剤を添加しない、菌株B.trispora CPA1(+)とB.trispora LMA1(−)の混合培養による半商用発酵槽中でのリコペン産生方法
実施例2及び3に記載する方法で選択したB.trisporaのCPA1(+)菌株及びLMA1(−)菌株を、リコペン環化酵素の阻害剤を加えずに、リコペン産生レベルを決定するため半商用発酵槽中で培養した。このために、接種原培地を1リットル当たり以下の組成で調製した(大豆粉23g、トウモロコシ粉47g、KHPO0.5g、チアミン塩酸塩0.002g。また、pHは6.3に調節した)。培地を500ml含む2000mlフラスコ中、(+)菌株と(−)菌株を別々に播種し、25℃で44〜48時間、250rpmにてインキュベートした。
【0072】
1リットル当たり以下の組成を有する培地を含む中間増殖槽に各菌株を移した(Pharmamedia29g、トウモロコシ粉47g、KHPO0.5g;チアミン塩酸塩0.002g及び消泡剤1g。また、pHは6.0に調節した)。36〜48時間インキュベートした後、(+)菌株と(−)菌株を1/10の比率で混合し、混合物の20%を発酵基礎培地(それは1リットル当たり次の組成を有するものとした:大豆粉44g、トウモロコシ粉19.25g、KHPO0.55g、NaHPO3.36g、NaHPO0.184g、チアミン塩酸塩0.0022g、植物油100g及び消泡剤0.175g。また、その初期pHは7.5に調節した)に播種するために使用した。1〜1.5v/v/mで通気し150〜250rpmの範囲で撹拌しながら、発酵液を25〜28℃の温度で100〜140時間インキュベートした。
【0073】
実施例4に記載したのと同様にして、発酵終了時点でリコペンの濃度及び純度の評価を行った。CPA1(+)及びLMA1(−)菌株の一連の様々な発酵液中でイミダゾールがない状態で得られたリコペン収量の平均値は、1.6g/lであった(図2)。
【実施例8】
【0074】
アルコール中のバイオマスの再懸濁によるリコペン回収方法
生合成経路をリコペン段階で中断した生合成プロセスに対応する、3リットルの発酵培地を収穫した。培地の滴定濃度は1リットル当たりリコペン3gであった。この培地のバイオマスをブフナー漏斗(濾過シートの役割をする円形の紙又はカードを支える磁器フィルター漏斗)による濾過によって回収し、湿潤バイオマス750gを得た。湿潤バイオマスを5.2lの共沸イソプロピルアルコール(85/15)に再懸濁し、45±5℃で30分間撹拌した。ブフナー漏斗を使用して精製バイオマスの回収を繰り返した。このバイオマスを真空下、残留溶媒/水含有量が8%未満となるまで45±5℃以下の温度のレンジ中で18時間乾燥させた。乾燥した精製バイオマス150gが得られ、リコペン含有量は5.5%の分析値と等しかった。乾燥バイオマスをボールミル中及び1mmスクリーンを用いて磨砕し、同じパーセンテージ含有量の固体を得た(溶媒抽出を可能にするようにこれを条件調整した)。
【0075】
磨砕したバイオマス150gを酢酸イソブチル2500mlと70±5℃で混合し、5分間撹拌を続けることで抽出を行った。抽出済みバイオマスは、フィルタープレート上で濾過することによりリコペンに富む溶媒から分離した。抽出済みバイオマスを同じフィルター上、熱酢酸イソブチル300mlで洗浄し、洗浄溶媒と濾液を合わせた。これらのリコペンに富む酢酸イソブチルをすべて、体積が300mlに減少するまで、45±5℃以下の温度を維持して、真空下で濃縮した。これにより直ちに、リコペンのうちの幾分かが結晶化した。結晶化を完了させ、より純粋なリコペンを得るために、イソプロピルアルコール900mlを加えた。混合物の撹拌を、窒素下で3時間、0〜5℃の温度範囲で継続した。これをブフナー漏斗で濾過し、ブフナー漏斗上、イソプロピルアルコール25mlで結晶を洗った。結晶を回収し、次いで真空下で乾燥させ、95%の分光分析純度を有するリコペン結晶6.5gを得た。他のカロテノイド及びcisリコペンのいずれもHPLCによって検出されなかった。
【実施例9】
【0076】
油性懸濁液中へのリコペン調合方法
Netzsch製Minizeta 003タイプの実験室ボールミルに、以下の順で下記のものを装入した。0.5〜0.75mmの直径の微粒子、ヒマワリ油(Koipe)23.5g、D,L−アルファトコフェロール(Merck)0.065g及び実施例8に記載するように得た結晶リコペン6.5g。混合物を5分間3000rpmにて磨砕し、深い赤みがかった紫色の粘着性液体25gを得た。油性懸濁液の分光分析から、リコペン含有量は21%であることが明らかになった。他のカロテノイド類もリコペンのcis異性体もHPLCでは存在が検出されなかった。結晶は10ミクロン未満であった。
【実施例10】
【0077】
アルコールによるリコペン発酵培地の直接処理によるリコペンの回収方法
1500lのリコペン発酵培地(リコペン濃度2.3g/l)を、4500リットルのイソプロピルアルコール/水(85/15)共沸混合物と直接混合した。45±5℃で30分間撹拌した後、バイオマスを遠心デカンターを使用して液体から分離した。湿潤精製バイオマス約250kgを回収した。
【0078】
このバイオマスを水とイソプロピルアルコールに浸漬し、残留溶媒/水含有量が8%以下となるまで真空下、回転式ドライヤー中で乾燥させた。乾燥温度は45±5℃であり、ドライヤー中の平均滞留時間は14時間であった。比濃度3.75%に等しいリコペン含有量の乾燥バイオマス85kgを得た。
【0079】
乾燥バイオマスを圧粉機(BEPEX製HuttCompacktor)で押し出し、同じ比濃度の固体を得た(これを溶媒抽出が可能なように条件調整した)。
【0080】
抽出は酢酸イソブチル16501と磨砕した固体85kgを混合することにより行った。混合物を、およそ2分の平均接触時期の間60±5℃、インラインで加熱した。また、抽出済みバイオマスは、遠心デカンターを使用して、リコペンに富む溶媒から分離した。リコペンに富む酢酸イソブチル全体を体積が100lに減るまで45±5℃以下の温度に維持して真空下で濃縮した。これにより直ちに、多くのリコペンが結晶化した。リコペンの結晶化を完成するため、イソプロピルアルコール300lを加えた。混合物を0〜5℃で3時間撹拌した。これをブフナー漏斗上で濾過し、リコペン結晶を回収し、真空下に室温で乾燥させた。分光分析純度96%の生成物2kgを得た。他のカロテノイド類もcis異性体もHPLCでは存在が検出されなかった。
【実施例11】
【0081】
酢酸イソブチルを溶媒として用いた水分散性リコペンの調合方法
実施例10に記載するようにして得たリコペン3.5gを酢酸イソブチル410mlに再懸濁させ、D,L−アルファトコフェロール(Merck)0.35gを加えた。混合物を沸騰(114℃)するまで5分間加熱してリコペンが確実に完全に溶解するようにした。同時に、12gのHi−Cap 100(National Starch)及び12gのPurity Gum 2000(登録商標)(National Starch)を脱塩水325mlに溶解した。熱い有機相を、IKA製Ultraturrax乳化剤を用いて水相上、1段階で5分間かけて乳化し、1.2ミクロンの平均ミセル径(コールターLS230アナライザーで測定)を達成した。乳液を真空蒸留システムに移し、水600ml加え、酢酸イソブチル410mlを水およそ700mlとともに蒸発させた。リコペン含有量1.25%(乾燥質量に基づいて9.8%)の203gの液体調合物(乾燥分12.75%)が得られた。HPLCを使用して含有量23.3%のcisリコペンが検出されたが、他のカロテノイド類は検出されなかった。この液体調合物を、Buchi 190実験室用噴霧器(入口190℃、出口90℃のガス温度を使用)によって噴霧し、リコペン含有量8.4%、含水量6.5%の深赤色粉末を得た。HPLCを使用して含有量23%のcisリコペンが検出されたが、他のカロテノイド類は検出されなかった。
【実施例12】
【0082】
酢酸イソブチルを溶媒として用いた水分散性リコペンの調合方法
実施例10に記載するようにして得たリコペン3.5gを酢酸イソブチル410mlに再懸濁させ、D,L−アルファトコフェロール(Merck)0.35g、アスコルビン酸パルミテート(Merck)0.7g及びヒマワリ油(Koipe)3.5gを加えた。混合物を沸騰(114℃)するまで5分間加熱してリコペンが確実に完全に溶解するようにした。同時に、10gのHi−Cap 100(National Starch)及び10gのPurity Gum 2000(登録商標)(National Starch)を脱塩水325mlに溶解した。熱い有機相を、IKA製Ultraturrax乳化剤を用いて水相上、1段階で5分間かけて乳化し、1.4 ミクロンの平均ミセル径(コールターLS230アナライザーで測定)を達成した。乳液を真空蒸留システムに移し、水600ml加え、酢酸イソブチル410mlを水およそ700mlとともに蒸発させた。リコペン含有量1.3%(乾燥質量に基づいて9.8%)の195gの液体調合物(乾燥分13.25%)が得られた。HPLCを使用して含有量25%のcisリコペンが検出されたが、他のカロテノイド類は検出されなかった。この液体調合物を、Buchi 190実験室用噴霧器(入口190℃、出口90℃のガス温度を使用)によって噴霧し、リコペン含有量8.5%、含水量6.0%の深赤色粉末を得た。HPLCを使用して含有量24.5%のcisリコペンが検出されたが、他のカロテノイド類は検出されなかった。
【実施例13】
【0083】
ジクロロメタンを溶媒として用いた水分散性リコペンの調合方法
実施例10に記載するようにして得た結晶リコペン7.5gをジクロロメタン500mlに再懸濁させ、D,L−アルファトコフェロール(Merck)0.75gを加え、混合物を35℃で5分間加熱した。同時に、27gのHi−Cap 100(National Starch)及び27gのPurity Gum 2000(登録商標)(National Starch)を蒸留水400mlに溶解した。有機相を、IKA製Ultraturrax乳化剤を用いて水相上、1段階で15分間かけて乳化し、0.4ミクロンの平均ミセル径(コールターLS230アナライザーで測定)を達成した。乳液を真空蒸留システムに移し、水600ml加え、ジクロロメタン500mlを水およそ600mlとともに蒸発させた。リコペン含有量1.5%(乾燥質量に基づいて11.5%)の400gの液体調合物(乾燥分13.1%)が得られた。HPLCを使用して含有量6.5%のcisリコペンが検出されたが、他のカロテノイド類は検出されなかった。この液体調合物を、Buchi 190実験室用噴霧器(入口190℃、出口90℃のガス温度を使用)によって噴霧し、リコペン含有量10.6%、含水量5.3%の深赤色粉末を得た。HPLCを使用して含有量6.4%のcisリコペンが検出されたが、他のカロテノイド類は検出されなかった。
【実施例14】
【0084】
ジクロロメタンを溶媒として用いた水分散性リコペンの調合方法
実施例10に記載するようにして得た結晶リコペン7.5gをジクロロメタン500mlに再懸濁させ、D,L−アルファトコフェロール(Merck)0.75gを加え、混合物を35℃で5分間加熱した。同時に、27gのHi−Cap 100(National Starch)及び27gのPurity Gum 2000(登録商標)(National Starch)を蒸留水400mlに溶解した。有機相を、IKA製Ultraturrax乳化剤を用いて水相上、1段階で60分間かけて乳化し、0.23ミクロンの平均ミセル径(コールターLS230アナライザーで測定)を達成した。乳液を真空蒸留システムに移し、水600ml加え、ジクロロメタン500mlを水およそ650mlとともに蒸発させた。リコペン含有量1.6%(乾燥質量に基づいて11.4%)の350gの液体調合物(乾燥分14.4%)が得られた。HPLCを使用して含有量20%のcisリコペンが検出されたが、他のカロテノイド類は検出されなかった。この実験室ユニット中で凍結乾燥し、リコペン含有量10.7%、含水量7.4%の綿毛状深赤色粉末を得た。HPLCを使用して含有量15%のcisリコペンが検出されたが、他のカロテノイド類は検出されなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生合成された原料からのリコペン調合物の生産方法であって、
a.ブラケスレアトリスポラ(Blakeslea trispora)の(+)と(−)のリコペンの過剰産生株を、リコペン産生用培養培地で混合し;
b.ステップa)の培養培地バイオマスをアルコールで処理して、湿潤、精製バイオマスを分離し;
c.乾燥、及び粉砕若しくは破砕により、該湿潤、精製バイオマスの状態を調整し;
d.該精製バイオマス中に含まれるリコペンを、有機溶媒により、固液抽出し;
e.該富化リコペン抽出物を濃縮し;
f.アルコール添加により、該濃縮抽出物からリコペンを沈殿/結晶化し;
g.該結晶化を行った液体から、該結晶を濾過及び乾燥して、リコペンの結晶を生じさせ;
h.該リコペンを調合する
ステップを連続して含むことを特徴とする、上記方法。
【請求項2】
ステップb)を、予め、前記バイオマスを培養培地から分離し、該バイオマスを、アルコール/バイオマス比、1ml/gから10ml/gで、アルコール中に再懸濁することによって行うことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ステップb)において、アルコールを、0℃からその沸点に対応する温度で使用することを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
アルコールを、10〜と50℃で使用することを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
ステップb)を、前記バイオマスを予め分離すること無く、該バイオマスを含む発酵培養培地を、アルコール中に、1/0.5〜1/5の培地/アルコール比で、室温から混合物の沸点の間の温度で混合することにより直接行うことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記培地/アルコール比が、1/1〜1/3であることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記温度が、室温から60℃であることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
ステップd)で用いる溶媒がエステルであることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記エステルが、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル又は酢酸イソブチルであることを特徴とする、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
ステップd)で加えられる溶媒の量が、ステップc)で生じたバイオマス1g当たり、5〜30mlであることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記リコペンの沈殿/結晶化を、リコペンの溶解度が低く、かつ、リコペンに付随する脂質親和性物質が溶解されたままとなるアルコールを添加して行うことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
調合ステップhが、
I.ステップgからのリコペンの結晶を、酸化防止剤化合物とともに有機溶媒中に再懸濁若しくは溶解させ、温度/時間比を調整して、最終リコペン調合物中のcis-リコペンの割合を制御し;
II.ステップIで得られたリコペンの溶解物を、修飾デンプン水溶液中で乳化又はマイクロカプセル化し;
III.該溶媒と水の一部とを蒸発により除去し、液体調合物を得;
IV.乾燥及び仕上げをする
ステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
ステップIで使用する溶媒が塩化メチレンである場合、1から15分間、温度を20から35℃とする、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
ステップIで使用する溶媒が酢酸イソブチルである場合、5分間、温度を70から130℃とする、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
ステップIにおいて、前記酸化防止剤の1種又は混合物を、リコペンの重量に対して1〜30%の割合で用いることを特徴とする、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
使用される酸化防止剤が、トコフェロール又はアスコルビン酸パルミテート型である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
ステップIで、さらに植物油を加えることを特徴とする、請求項12に記載の方法。
【請求項18】
ステップIIで使用される前記修飾デンプンが、エステルの形態である、請求項12に記載の方法。
【請求項19】
ステップIIで使用される前記修飾デンプンが、コハク酸オクテニルエステル形態である、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
ステップIVにおいて実施される前記液状調合物の乾燥を、高温微粉化による噴霧、比較的低温での流動床微粉化による顆粒化又は凍結乾燥の方法によって行うことを特徴とする、請求項12に記載の方法。
【請求項21】
前記高温微粉化による噴霧プロセスが、更に、粒径を大きくし、利用可能な空間を減らし、生産物の酸耐性を増大させるための凝塊化ステップを含むことを特徴とする、請求項20に記載に方法。
【請求項22】
前記流動床での微粉化による顆粒化プロセスが、種材料に、マイクロカプセル化されたリコペン懸濁液を散布することを含むことを特徴とする、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記種材料が不活性材料であることを特徴とする、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記種物質が、糖粒子または先に顆粒化された材料の微粉末であることを特徴とする請求項22に記載の方法。
【請求項25】
段階IVにおいて実施される前記仕上げが、0.5〜10%の糖又は修飾デンプンの水溶液で粒子を被覆することからなることを特徴とする、請求項12に記載の方法。
【請求項26】
調合ステップhが、ステップgで得られたリコペン結晶を、酸化防止剤及び油と適切な割合で予備混合し、次いで磨砕することにより、リコペンの微結晶懸濁液を調合することからなる、請求項1から11に記載の方法。
【請求項27】
用いる油が、植物起源に由来する、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
脂質親和性の酸化防止剤を、混合物中でのリコペン重量に対して0.2〜15%の割合で用いることを特徴とする請求項26又は27に記載の方法。
【請求項29】
リコペン結晶の油中の微結晶懸濁液を含み、他のカルチノイドを含まない、リコペン油性調合物。
【請求項30】
リコピン結晶を含み、他のカルチノイドを含まない、微粒化若しくは顆粒化産物を含む、リコペンCWD調合物。
【請求項31】
10〜100ミクロンの平均粒径を有する、前記微粒化産物を含む、請求項30に記載のリコペンCWD調合物。
【請求項32】
前記微粒化産物の凝塊物であって、50〜500ミクロンの範囲の平均粒径を有する凝塊物を含む、請求項30に記載のリコペンCWD調合物。
【請求項33】
100〜2000ミクロンの平均粒径を有する顆粒化産物を含む、請求項30に記載のリコペンCWD調合物。
【請求項34】
乾燥重量で0.5〜10%の糖又は修飾デンプンの水溶液で構成されるコーティングで被覆されている粒子からなる、請求項30から33の何れか1項に記載のリコペンCWD調合物。
【請求項35】
着色剤としての請求項29から34の何れか1項に記載のリコペンCWD調合物の使用。
【請求項36】
食餌栄養補助食品としての請求項29から34の何れか1項に記載のリコペンCWD調合物の使用。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−171973(P2009−171973A)
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−55322(P2009−55322)
【出願日】平成21年3月9日(2009.3.9)
【分割の表示】特願2003−556545(P2003−556545)の分割
【原出願日】平成14年12月20日(2002.12.20)
【出願人】(501473958)ビタテネ、ソシエダッド アノニマ (1)
【Fターム(参考)】