説明

ブラスチックの多段階分離

【課題】再生プラスチック材料を製造する多段階再生方法を提供すること。
【解決手段】再生プラスチック材料を製造する多段階再生方法。この方法は、前処理操作、寸法減少操作、重力式濃縮操作、色による選別、厚み、摩擦、終速度差もしくは空気中での抵抗による選別、表面積対質量比による制御操作、狭い表面積対質量比の分布により向上された分離処理、混合操作、及び押出し配合操作からなる群から選択された一連の処理を特徴とする。プラスチック含量の高い混合物をこの処理に供し、1以上の再生プラスチック材料をこの一連の処理の産出物として収集する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、参考のために本明細書に加えた仮出願第60/372,001号の利益を主張するものである。また、本出願は、L.E.Allen、III,B.L.Riise,R.C.Rauによる、2003年4月14日出願の、“再生プラスチックを含有する材料の組成物(Compositions of Materials Containing Recycled Plastics)”という名称の、米国特許出願番号第
号に関連し、参考のため本明細書に加える。
【0002】
(技術分野)
本発明はプラスチックの再生に関する。
【背景技術】
【0003】
(背景)
プラスチックとそれに関連する事業は、十億トン以上の材料を生産し、年間数千億ドルの生産高を生じ、約百万件の仕事に寄与し、米国での第4番目に大きい産業になっている。しかし、鋼やアルミニウムのような他の原材料産業とは異なり、この産業は、再生不可能な原料である大部分が輸入された石油にのみ大きく依存している。この依存は、プラスチックの成長速度が他のすべての材料の成長速度よりも高い水準を保つと一層大きくなる。
【0004】
現在の製造業者により供給されるプラスチックの大部分は、経済的に回収する技術が得られていないというだけで、その寿命を埋立地又は焼却炉で終えている。環境保全庁(Environmental Protection Agency)は、都市ごみ中のプラスチックの量は、1960年以前の1百万トン以下から2000年までに2千万トン以上に増大したと推測している。引き取りや製造者責任の法律制定はますます一般的になり、製造されつつある大量のプラスチックの処理に役立っている。
【0005】
自動車、家庭用器具、電子機器のような耐久性消費財が、都市ごみ中のプラスチックの約3分の1の原因になっている。耐久性消費財の収集は増大しつつあり、その使用寿命の終わりには、廃棄コストや潜在的な責任を避ける、また、金属や他の市場性のある原料を回収するために、一部分が再資源化されている。
【0006】
耐久性消費財からプラスチックを回収するためには、プラスチック含量の多い原料が必要である。自動車、家庭用器具、電子機器は、一般に金属を含有する。一般に、これらの品目では金属の含量はプラスチックの含量より高い(典型的にはプラスチック含量は30%未満である)。従って、金属の回収操作は、プラスチックの回収操作の前に行わなければならない。金属回収操作の殆どの場合、費用効果を高めるために全部品から金属を分離するために装置を破砕する。大規模なプラスチック回収操作には、多数の金属回収操作からプラスチック含量の高い資源を突きとめなければならない。
【0007】
耐久性消費財の流れから生じるプラスチック部品の大部分は、街頭で生じる(curbside)供給材料のために開発されたプラスチックボトルの洗浄と選別方法の場合には出会わなかった独特な挑戦を突きつけるものである。現在、著しく汚染された鉄屑の回収のために主として実施されていることは、高い局所的な環境コストを払って海外で行われている手作業による分離である。耐久性消費財からプラスチックを再生する場合の問題点として、プラスチックの種類が多いこと、プラスチック樹脂のグレードが多数あること(例えは、ABSのような1つのプラスチック樹脂のタイプに50以上の異なるグレードが存在しうる)、充填材、補強材、顔料、金属、塗料及び金属被覆、著しく多様な部品の寸法と形状が含まれる。
【0008】
プラスチックのグレードというのは、それぞれが目標とする物理的特性もしくは性質を有する特別なセットをなすプラスチック材料を系統立てたものである。あるグレードの特別な物理的特性もしくは性質は、そのグレードでの重合体の化学的組成、そのグレードでの平均分子量と分子量分布、対衝撃性改質グレードのゴムの形態、そのグレードでの添加剤のグループにより調整される。
【0009】
ある所定のタイプのプラスチックで異なるグレードのものは一般に相溶性がある。一般に異なるグレードのものは溶融混合して、異なる性質を有する新しい材料を作り出すことができる。
【0010】
他方、異なるタイプのプラスチックは、相溶性が偶然にある場合を除いて、簡単に溶融して組み合わせることはできない。例えば、HIPSとABSのような異なるタイプのプラスチックを混合することは、特別な事情がある場合を除き避けることがよくある。
【0011】
プラスチック含量の高い供給品の典型的な供給業者は、多数のタイプの耐久性消費財を単独の設備で処理できる金属再生業者又は破砕業者である。それゆえ、耐久性消費財に由来する供給品は、多様なタイプの、変動が大きい耐久性消費財の混合物である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
高価値の製品を作り出すためには、プラスチック再生プロセスは、多様に混じり合ったものの流れを“フレークからフレークへ”をベースにして分離し、許容純度を有する製品の、高い時間当たり処理量を達成できるものでなければならない。密度による分離、密度差変更による分離(Density Differential Alteration)、色による選別、泡浮上分離、摩擦電気による分離のような方法が、耐久性消費財に由来するプラスチックをある程度浄化するために使用されてきた。これらは、例えば、Paul Allenによる、“プラスチック再生処理に使用するための炭化水素の開発(Development of Hydrocarbons for Use in Plastics Recycling)”,American,Plastics Council,1999,米国特許第6,238,579号,米国特許第6,335,376号,米国特許第5,653,867号,米国特許第5.399,433号に記載されており、参考として本明細書に加える。許容純度は主なプラスチックと汚染物に依存する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
(要約)
本発明は、多数の処理段階でプラスチックを分離する技術を実施する方法と装置を提供する。一般に、ある観点によると、本発明は、再生処理を定める方法を提供する。方法は、再生プラスチック生成物を製造するための4以上の異なる処理の配置を定めることを含む。該配置される処理は、前処理操作、寸法減少操作、重力式濃縮操作、色による選別、厚み、摩擦、終速度差もしくは空気中での抵抗による選別、表面積対質量比による制御操作、狭い表面積対質量比の分布により向上された分離処理、混合操作、及び押出し配合操作からなる群から選択される。該4以上の処理は、分離されるプラスチック含量の高い混合物の1以上の性質及び/又は廃プラスチック材料から製造される再生プラスチック材料の所望の1以上の性質に基づき選択される。
【0014】
一般に、別の観点によると、本発明はプラスチック再生方法を提供する。該方法は、プラスチック含量の高い混合物を、前処理操作、寸法減少操作、重力式濃縮操作、色による選別、厚み、摩擦、終速度差もしくは空気中での抵抗による選別、表面積対質量比による制御操作、狭い表面積対質量比の分布により向上された分離処理、混合操作、及び押出し配合操作からなる群から選択された一連の処理に供すること、及び、再生プラスチック材料を該一連の処理の産出物として収集することを含む。
【0015】
特別な実施の場合、次の1以上の特徴を含む。該一連の処理が、プラスチック含量の高い混合物の1以上の性質及び/又は再生プラスチック材料の所望の1以上の性質に基づき決定できる。プラスチック含量の高い混合物を一連の処理に供することが、プラスチック含量の高い混合物を分離して異なるグレードのプラスチック材料にすることを含んでよい。プラスチック含量の高い混合物を一連の処理に供することが、プラスチック含量の高い混合物を分離して異なるタイプのプラスチック材料にすることを含んでよい。該方法が、プラスチック含量の高い混合物を、白物製品、オフィスオートメーション装置、消費者用電子機器、自動破砕機からの残滓、包装廃棄物、家庭廃棄物、建築廃棄物、工業的成形及び押出しスクラップからなる群から選択された源から、再生プラスチック材料の所望の1以上の性質に従って選択することを更に含んでよい。該方法が、プラスチック含量の高い混合物を、該プラスチック含量の高い混合物の源の地理学的な位置に基づき、再生プラスチック材料の所望の1以上の性質に従って選択することを含んでよい。該1以上の処理が、その処理順序で繰り返されてよい。該プラスチック含量の高い混合物を一連の処理に供することが、2以上の材料を混合して再生プラスチック材料の所望の性質を得ることを含んでよい。該プラスチック含量の高い混合物を一連の処理に供することが、再生プラスチック材料と1以上の添加剤を混合することを含んでよい。再生プラスチック材料を該一連の処理からの産出物として収集することが、多数の再生プラスチック材料を収集することを含んでよい。該プラスチック含量の高い混合物を該一連の処理に供することが、該一連の処理でプラスチック粒子の平均サイズを約75mmから約8mm以下に減少させることを含んでよい。プラスチック粒子の平均サイズが該一連の処理での減少が、該一連の処理における多数の処理にわたって減少する。
【0016】
一般に、別の観点によると、本発明は廃プラスチック材料を再生する装置を提供する。この装置は、上記の方法を実行するよう構成された3以上の装置を含む。
【0017】
一般に、別の観点によると、本発明は、浄化された又は高含量のプラスチックを回収するためのプラスチック再生方法を提供する。該浄化された又は高含量のプラスチックが、オフィスオートメーション装置、白物製品、家庭用電化機器、自動車破砕機からの残滓、包装廃棄物、家庭廃棄物、建築廃棄物、工業的成形及び押出しスクラップを含む1以上の源からなる回収される。
【0018】
一般に、別の観点によると、本発明は、前処理操作、寸法減少操作、重力式濃縮操作、色による選別、厚み、摩擦、終速度差もしくは空気中での抵抗による選別、表面積対質量比による制御操作、摩擦電気による選別のような、狭い表面積対質量比の分布により向上された分離処理、混合、押出し及び配合からなる選択された、4以上又は6以上の操作を実施する、プラスチック再生方法及び装置を提供する。
【0019】
特別な実施の場合、次の1以上の特徴を含む。該操作が、粒子のサイズを約75mmから約8mm以下に減少させることを含んでよい。このサイズの減少は、1以上の段階で行ってよい。このサイズの減少は、2以上の段階で行ってよい。
【0020】
一般に、更に別の観点によると、本発明は、プラスチック材料の分離に使用するための前処理の方法と装置を提供する。この前処理の方法と装置は、金属の除去、綿毛状物、発泡体及び/又は紙の除去、ゴムの除去、ワイヤの除去、目的外のプラスチックの除去、サイズ減少、混合及び光学的選別から選択された1以上の操作を実施するように構成される。
【0021】
特別な実施の場合、次の1以上の特徴を含んでよい。更なる処理により目的外の材料を除去できる。サイズ減少装置を損傷するか又は過剰に摩耗するかもしれない材料は除去できる。混合物中のプラスチックのかさ密度は増加できる。経時的な又は供給材料の源による組成の変動は減少できる。
【0022】
一般に、更に別の観点によると、本発明はプラスチック材料の分離に使用されるサイズ減少方法とその装置を提供する。このサイズ減少処理と装置は、1以上の乾式又は湿式造粒を行うサイズ減少装置、微細物、塵埃と遊離した紙、膜もしくは発泡体を除去する装置、又はスクリーニングして2以上の画分にし、微細物、塵埃と遊離した紙、膜もしくは発泡体を除去を向上させることを特徴とする。
【0023】
一般に、更に別の観点によると、本発明はプラスチック材料の分離に使用される重力式濃縮方法その装置を提供する。重力式濃縮方法と装置は、1以上の液体サイクロンもしくは修正液体サイクロン、サイボール(cyvor)、先端が切りとられた円錐体又は湿式篩装置を使用するように構成されている。
【0024】
一般に、更に別の観点によると、本発明は、粒子サイズを精密に制御すると共に固体粒子媒体を使用する分離方法その装置を提供する。固体粒子媒体を使用することにより、より精密にまた明確に密度による分離が行われるか又はより一貫した分離が行われる。
【0025】
一般に、更に別の観点によると、本発明は、1以上の先端が切り取られた円錐体を用いて、金属の除去及び/又は目的外のプラスチックの除去を実施する分離方法とその装置を提供する。
【0026】
一般に、更に観点によると、本発明は、2つの連続した重力式濃縮装置の配置を用いる分離方法とその装置を提供する。装置は、液体サイクロン又はサイボールでよい。分離は、高濃度の媒体スラリーを使用し高い密度で行う。一番目の装置に流れるスラリーの密度は、槽の中での媒体の濃縮により制御される。一番目装置からのオーバーフロー物は、二番目の装置に送られる。二番目の装置に流れるスラリーの密度は、一番目装置の分離特性により制御される。一番目装置からのアンダーフロー物は、一番目装置の分離の密度より高い密度のプラスチックの含量が高い。二番目装置からのオーバーフロー物は、二番目装置の分離の密度より低い密度のプラスチックの含量が高い。二番目装置からのアンダーフロー物は、二番目装置の分離の密度より高い密度のプラスチックの含量が高い。
【0027】
一般に、別の観点によると、本発明は、3つの重力式濃縮装置の配置を用いる分離方法とその装置を提供する。一番目装置からのオーバーフロー物は、二番目の装置に送られる。一番目装置からのアンダーフロー物は、三番目の装置に送られる。装置は、液体サイクロン又はサイボールでよい。特別な実施の場合、二番目と三番目の装置はサイボールである。二番目装置からのアンダーフロー物は、一番目装置の供給材料に戻される。三番目装置からのオーバーフロー物は、一番目装置の供給材料に戻される。二番目装置からのオーバーフロー物は、分離の密度より低い密度のプラスチックの含量が高い生成物である。三番目装置からのアンダーフロー物は、分離の密度より高い密度のプラスチックの含量が高い生成物である。装置は水の密度で使用でき、また、濃い媒体を添加するか又は溶質(例えは、塩)を媒体に添加することにより増加させてよい。
【0028】
一般に、別の観点によると、本発明は、低密度のプラスチックを高密度のプラスチックから分離するために、湿式篩操作を実施する分離方法とその装置を提供する。
【0029】
一般に、別の観点によると、本発明は、3つの連続した重力式濃縮装置の配置を用いた分離方法とその装置を提供する。一番目装置は、金属を除去するための修正された液体サイクロンでよい。二番目装置は、高密度のプラスチックを除去するための修正された液体サイクロンでよい。二番目装置は、低密度及び中間密度のプラスチックを除去するための修正された液体サイクロンでよい。
【0030】
一般に、別の観点によると、本発明は、HIPS含量の高い流れとABS及びSANの含量が高い流れを産出するために精密な重力式濃縮分離を実施する分離方法とその装置を提供する。
【0031】
一般に、別の観点によると、本発明は、同じタイプのプラスチックで特別なグレードのものの含量が高い生成物の流れを産出するために精密な重力式濃縮分離を実施する分離方法とその装置を提供する。この分離方法及び装置は、ABSを例えば冷蔵庫のような一番目源からのABSの含量の高い高密度生成物と、例えばオフィスオートメーション装置のような二番目源からABS含量の高い低密度生成物に分離するよう作用できる。
【0032】
一般に、別の観点によると、本発明は、色による選別のために、湿式篩操作を実施する分離方法とその装置を提供する。
【0033】
一般に、別の観点によると、本発明は、色による選別の有効性を向上させる目的で色による組成を安定化させるために、及び/又は、最終的な再生プラスチック材料の色を安定化させるために、湿式篩操作を実施する分離方法とその装置を提供する。
【0034】
一般に、別の観点によると、本発明は、ベルト式選別機又は滑りシュート式色による選別機を使用して色による選別を実施する分離方法とその装置を提供する。特別な実施の場合、約10mmより大きいフレークにベルト式選別機を使用し、約6mmから約12mmの間のフレークには滑りシュート式色による選別機を使用する。
【0035】
一般に、別の観点によると、本発明は、廃プラスチックの流れから異なったプラスチックを除去するために色による選別を実施する分離方法とその装置を提供する。
【0036】
一般に、別の観点によると、本発明は、厚みもしくは摩擦による廃プラスチックを選別するよう構成された分離方法とその装置を提供する。特別な実施の場合、約4mmから約20mmの間の粒子に、厚み又は摩擦による選別を行う。厚み又は摩擦による選別は、ゴムを除去するために行ってよい。
【0037】
一般に、別の観点によると、本発明は、ゴムを除去するために滑りシュート装置を用いて構成された分離方法とその装置を提供する。
【0038】
一般に、更に別の観点によると、本発明は、タイプによりプラスチックを浄化するため厚み又は摩擦による選別を実施する分離方法とその装置を提供する。特別な実施の場合、PP、ABS、一般用PS及び汚染物を除去することにより、HIPSを浄化するため厚み又は摩擦による選別が使用できる。他の実施の場合、SAN、HIPS及び汚染物を除去することにより、ABSを浄化するため厚み又は摩擦による選別が使用できる。
【0039】
一般に、別の観点によると、本発明は、色によりプラスチックを浄化するため厚み又は摩擦による選別を実施する分離方法とその装置を提供する。
【0040】
一般に、別の観点によると、本発明は、狭い表面積対質量比の分布により改良された処理を可能にする表面積対質量比による制御を実施する分離方法とその装置を提供する。
【0041】
一般に、別の観点によると、本発明は、表面積対質量比による制御を実施する分離方法とその装置を提供する。表面積対質量比による制御は、サイズ減少、空気の吸気、厚み又は摩擦を使用する選別、ロール式選別機のようなスロット式厚み選別機、又はそれらの組合せを使用して達成される。
【0042】
一般に、別の観点によると、本発明は、調整された表面積対質量比の分布を有する1以上の流れに関して摩擦電気による分離を実施する分離方法とその装置を提供する。摩擦電気式分離機の幾何学的配列の調整、帯電したブレートの分離、帯電したプレートの角度及び/又は帯電したプレートに加えた電圧により、摩擦電気式分離機は、特別な表面積対質量比による分離に合わせて調整できる。
【0043】
一般に、別の観点によると、本発明は、2以上の摩擦電気式分離機で構成された分離方法とその装置を提供する。特別な実施の場合、摩擦電気式分離機はすべて直列でよい。一番目段階の分離機は、生成物を2以上の二番目段階の分離機に送ってよい。一番目段階の分離機からの1以上の生成物分離機に再度送ってよい。二番目段階の分離機からの1以上の生成物を一番目段階の分離機に再度送ってよい。摩擦電気式分離機からの1以上の生成物を表面積対質量比による制御装置に送ってよい。これは、更に表面積対質量比を制御してTESに再び送るものである。
【0044】
一般に、別の観点によると、本発明は、純度と機械的性質が改良されたABSとHIPSを産出するため、表面積対質量比が調整された供給材料の摩擦電気による分離を実施する分離方法とその装置を提供する。
【0045】
一般に、別の観点によると、本発明は、異なる性質を有する同じタイプのプラスチックの流れを産出するため、表面積対質量比が調整された供給材料の摩擦電気による分離を実施する分離方法とその装置を提供する。
【0046】
一般に、別の観点によると、本発明は、調整された性質を有する生成物の流れを産出するため、異なる表面積対質量比を有する同じタイプのプラスチックの流れが再度組み合わされる分離方法とその装置を提供する。
【0047】
一般に、別の観点によると、本発明は、摩擦電気による分離で分離されたプラスチック粒子の電荷を制御するために導電性プラスチックを使用するよう構成された分離方法とその装置を提供する。
【0048】
一般に、別の観点によると、本発明は、摩擦電気による分離で分離されたプラスチック粒子の電荷を制御するために、供給材料中のプラスチックの間で中程度の帯電性質を有するように作られたプラスチックを使用するように構成された分離方法とその装置を提供する。
【0049】
特別な実施の場合、次の1以上の特徴か含まれる。プラスチックは、分離されるプラスチックとは異なる材料でよい。プラスチックを溶融混合して分離されるプラスチック材料から製造してよい。プラスチックは、他の材料の塗料又は被覆物でよい。プラスチックは、フレーク又はペレットの形状でよい。プラスチックは、帯電装置の材料と同じでよい。
【0050】
一般に、別の観点によると、本発明は、ABSをSANから分離するために、摩擦電気による分離を実施する分離方法とその装置を提供する。
【0051】
一般に、別の観点によると、本発明は、組成と性質が制御されたABSの含量が高い生成物とSANの含量が高い生成物を産出するために摩擦電気による分離を実施する分離方法とその装置を提供する。
【0052】
一般に、別の観点によると、本発明は、性質が制御されたABSの含量が高い生成物とSANの含量が高い生成物を再度組み合わせるよう構成された方法を提供する。
【0053】
一般に、別の観点によると、本発明は、PC/ABSを難燃化ABSから分離するために、摩擦電気による分離を実施する分離方法とその装置を提供する。
【0054】
一般に、別の観点によると、本発明は、HIPSを難燃化HIPSから分離するために、摩擦電気による分離を実施する分離方法とその装置を提供する。
【0055】
一般に、別の観点によると、本発明は、狭い表面積対質量比の分布を利用する1以上の処理を実施する分離方法とその装置を提供する。分離処理は、密度差変更又は泡浮上を含んでよい。
【0056】
一般に、別の観点によると、本発明は、供給材料又は処理の変動による変動可能性を減少させる混合を実施する分離方法とその装置を提供する。
【0057】
一般に、別の観点によると、本発明は、性質を制御するために異なる生成物の流れを組み合わせる混合を実施する分離方法とその装置を提供する。
【0058】
一般に、別の観点によると、本発明は、生成物の性質を制御するための添加剤を添加するか及び/又は生成物の性質を制御するため未使用のプラスチックを添加するために、均一な生成物を産出するための押出し配合すること、及び、スクリーンのメッシュがより細かくなるにつれて2段階を含む、非溶融の汚染物を除去するためにスクリーンを介して充填することを実施する分離方法とその装置を提供する。
【0059】
一般に、別の観点によると、本発明は、次の順序で配置された処理の配置を与えるよう構成された多段階の方法と装置を提供する:前処理;寸法減少;重力式濃縮;色による選別;表面積対質量比の制御;摩擦電気による分離のような表面積対質量比の制御を必要とする処理;混合;押出し配合。
【0060】
一般に、別の観点によると、本発明は、次の順序で配置された処理の配置を与えるよう構成された多段階の方法と装置を提供する:前処理;寸法減少;厚み又は摩擦による選別;重力式濃縮;色による選別;表面積対質量比の制御;摩擦電気による分離のような表面積対質量比の制御を必要とする処理;混合;押出し配合。特別な実施の場合、この方法は、ゴム又は発泡体を初期に除去するために使用できる。
【0061】
一般に、別の観点によると、本発明は、次の順序で配置された処理の配置を与えるよう構成された多段階の方法と装置を提供する:前処理;ベルト式色による選別のような色による選別;寸法減少;重力式濃縮;表面積対質量比の制御;摩擦電気による分離のような表面積対質量比の制御を必要とする処理;混合;押出し配合。
【0062】
一般に、別の観点によると、本発明は、次の順序で配置された処理の配置を与えるよう構成された多段階の方法と装置を提供する:前処理;寸法減少;重力式濃縮;ベルト式色による選別のような色による選別;表面積対質量比の制御;摩擦電気による分離のような表面積対質量比の制御を必要とする処理;混合;押出し配合。
【0063】
一般に、別の観点によると、本発明は、次の順序で配置された処理の配置を与えるよう構成された多段階の方法と装置を提供する:前処理;寸法減少;重力式濃縮;色による選別;混合;押出し配合。
【0064】
一般に、別の観点によると、本発明は、次の順序で配置された処理の配置を与えるよう構成された多段階の方法と装置を提供する:前処理;寸法減少;重力式濃縮;混合;押出し配合。
【0065】
一般に、別の観点によると、本発明は、次の順序で配置された処理の配置を与えるよう構成された多段階の方法と装置を提供する:前処理;寸法減少;重力式濃縮;色による選別;表面積対質量比の制御;摩擦電気による分離のような表面積対質量比の制御を必要とする処理;色による選別;混合;押出し配合。特別な実施の場合、この方法と装置は、色による選別が重要である場合に実施できる。
【0066】
一般に、別の観点によると、本発明は、次の順序で配置された処理の配置を与えるよう構成された多段階の方法と装置を提供する:前処理;寸法減少;表面積対質量比の制御;摩擦電気による分離のような表面積対質量比の制御を必要とする処理;色による選別;混合;押出し配合。特別な実施の場合、この方法と装置は、排水処理の費用を減少させるために実施できる。
【0067】
一般に、別の観点によると、本発明は、次の順序で配置された処理の配置を与えるよう構成された多段階の方法と装置を提供する:前処理;寸法減少;重力式濃縮;表面積対質量比の制御;摩擦電気による分離のような表面積対質量比の制御を必要とする処理;重力式濃縮;混合;押出し配合。特別な実施の場合、この方法と装置は、重力式濃縮を使用するグレードの最終的な分離を含む、重力式濃縮を使用する最終的な浄化のために実施できる。
【0068】
一般に、別の観点によると、本発明は、次の順序で配置された処理の配置を与えるよう構成された多段階の方法と装置を提供する:前処理;寸法減少;表面積対質量比の制御;摩擦電気による分離のような表面積対質量比の制御を必要とする処理;重力式濃縮;混合;押出し配合。特別な実施の場合、この方法と装置は、重力式濃縮を使用するグレードの最終的な分離を含む、重力式濃縮を使用する最終的な浄化のために実施できる。
【0069】
一般に、別の観点によると、本発明は、次の順序で配置された処理の配置を与えるよう構成された多段階の方法と装置を提供する:前処理;寸法減少;重力式濃縮;色による選別;寸法減少:表面積対質量比の制御;摩擦電気による分離のような表面積対質量比の制御を必要とする処理;重力式濃縮;押出し配合。特別な実施の場合、この方法と装置は、供給材料混合物と処理が一貫している分離に実施できる。
【0070】
一般に、別の観点によると、本発明は、次の順序で配置された処理の配置を与えるよう構成された多段階の方法と装置を提供する:前処理;寸法減少;重力式濃縮;色による選別;寸法減少:表面積対質量比の制御;摩擦電気による分離のような表面積対質量比の制御を必要とする処理;重力式濃縮;混合。特別な実施の場合、この方法と装置は、フレーク状材料が配合機により更に処理される分離に実施できる。
【0071】
一般に、別の観点によると、本発明は、特有のグレードのポリプロピレンを産出するために厚みによる選別を実施する分離方法と装置を提供する。
【0072】
一般に、別の観点によると、本発明は、特有のグレードのABSを産出するために厚みによる選別を実施する分離方法と装置を提供する。
【0073】
一般に、別の観点によると、本発明は、臭素含有プラスチックを他のプラスチックから除去するための1以上の技術を実施する分離方法と装置を提供する。これらの技術は、供給材料源の選択;多段階及び/又は精密に分離制御して実施される重力式濃縮;色による選別;臭素を含有する材料の検出と選択的排出が可能な装置の使用;摩擦電気による分離;及び/又は厚みによる分離を含んでよい。
【0074】
一般に、別の観点によると、本発明は、エンジニアリング熱可塑性プラスチック(例えば、PC、PC/ABS、PPO、難燃性ABSとHIPS)を回収するために、1以上の段階で摩擦電気による分離を実施する分離方法と装置を提供する。特別な実施の場合、この方法と装置は、重力式濃縮及び/又は色による選別を提供するよう構成できる。
【0075】
一般に、別の観点によると、本発明は、再生プラスチック材料の生成物のタイプと相対的な量とを選択するよう構成された方法と装置を提供する。タイプと相対的な量の選択は、目的のプラスチックの回収を可能にする源の材料の選択及び/又は分離処理の選択、目的のプラスチックの回収を可能にする処理の配置として実施できる。
【0076】
特別な実施の場合、次の利益の1以上が得られる。1以上の寸法減少段階を省くことにより、再生処理ブラントの設計を簡単にすることができる。耐久消費財の異なるタイプの混合物の変動が、多くの仕方で減少できる。目的外の材料を更に処理しないため、寸法減少装置を損傷するか又は過剰の摩耗を起こす恐れのある材料を除去するため、混合物中のプラスチックのかさ密度を増大させるため、及び/又は時間又は供給源による組成の変動を減少させるために前処理が使用できる。湿式造粒により、塵埃と微細な生成物の量が減少する。また、より狭い粒子サイズ分布と清浄なプラスチック表面が作られる。微細物、塵埃、遊離した紙、膜又は発泡体の除去を向上させるために、寸法によるスクリーニング行って2以上の画分にすることができる。密度による分離を更に精密にまた明確にし、より一貫した分離のため粒子サイズを精密に制御した固体粒子媒体が使用できる。特別な粒子サイズで更に効果的になる処理を、その粒子サイズの範囲の粒子を分離するために使用する場合、色による選別の有効性や最終生成物の色の安定化が改良できる。材料を造粒するために必要なエネルギーの量は、作られた表面積に比例するので、エネルギーの消費を減少させるため、一連の寸法減少処理が使用できる。より微細な造粒を更に後の段階で行うことにより、この高エネルギーの処理が材料の目的の部分だけに関して達成される。全体的な再生プロセスにおける構成部分の処理の配置だけでなく、供給材料源により生成物の組成が制御される。その結果、独自の望ましい性質を有する生成物が生じる。
【0077】
粒子サイズに基づき分離することにより、プラスチック材料を処理することにより発生する微細物や塵埃の量を減少できる。これは、吸入される粒子を減少させるので、再生施設で働く労働者に加わる健康に及ぼす危険が減少する。また、この選択的な処理は、火災や騒音を減少させる。
【0078】
この多段階の処理により生成されたプラスチック材料の生成物は、一定の生成物を産出するように供給材料と処理が選択されているので、一貫している。
本発明は、例えば、以下の項目を提する。
(項目1)
再生プラスチック生成物を製造するために使用される4以上の異なる処理の配置を定めることを含む方法であって、該配置される処理は、前処理操作、寸法減少操作、重力式濃縮操作、色による選別、厚み、摩擦、終速度差もしくは空気中での抵抗による選別、表面積対質量比による制御操作、狭い表面積対質量比の分布により向上された分離処理、混合操作、及び押出し配合操作からなる群から選択され、該4以上の処理は、分離されるプラスチック含量の高い混合物の1以上の性質及び/又は廃プラスチック材料から製造される再生プラスチック材料の所望の1以上の性質に基づき選択される方法。
(項目2)
プラスチック再生方法であって、
プラスチック含量の高い混合物を、前処理操作、寸法減少操作、重力式濃縮操作、色による選別、厚み、摩擦、終速度差もしくは空気中での抵抗による選別、表面積対質量比による制御操作、狭い表面積対質量比の分布により向上された分離処理、混合操作、及び押出し配合操作からなる群から選択される一連の処理に供する工程;及び
再生プラスチック材料を該一連の処理の産出物として収集する工程、
を包含する、方法。
(項目3)
前記一連の処理が、プラスチック含量の高い混合物の1以上の性質及び/又は再生プラスチック材料の所望の1以上の性質に基づき決定されることを特徴とする、項目2に記載の方法。
(項目4)
前記プラスチック含量の高い混合物を一連の処理に供する工程が、プラスチック含量の高い混合物を分離して異なるグレードのプラスチック材料にすることを含むことを特徴とする、項目2又は3のいずれかに記載の方法。
(項目5)
前記プラスチック含量の高い混合物を一連の処理に供する工程が、プラスチック含量の高い混合物を分離して異なるタイプのプラスチック材料にすることを含むことを特徴とする、項目2〜4のいずれか1項に記載の方法。
(項目6)
前記プラスチック含量の高い混合物を、白物製品、オフィスオートメーション装置、家庭用電化製品、自動破砕機からの残滓、包装廃棄物、家庭廃棄物、建築廃棄物、工業的成形及び押出しスクラップからなる群から選択された源から、再生プラスチック材料の所望の1以上の性質に従って選択する工程を更に包含することを特徴とする、項目2〜5のいずれか1項に記載の方法。
(項目7)
前記プラスチック含量の高い混合物を、該プラスチック含量の高い混合物の源の地理学的な位置に基づき、再生プラスチック材料の所望の1以上の性質に従って選択する工程を更に含むことを特徴とする、項目2〜6のいずれか1項に記載の方法。
(項目8)
前記1以上の処理が、その処理順序で繰り返されることを特徴とする、項目2〜7のいずれか1項に記載の方法。
(項目9)
前記プラスチック含量の高い混合物を一連の処理に供する工程が、2以上の材料を混合して再生プラスチック材料の所望の性質を得ることを含むことを特徴とする、項目2〜8のいずれか1項に記載の方法。
(項目10)
前記プラスチック含量の高い混合物を一連の処理に供する工程が、再生プラスチック材料と1以上の添加剤を混合することを含むことを特徴とする、項目2〜9のいずれか1項に記載の方法。
(項目11)
前記再生プラスチック材料を該一連の処理からの産出物として収集する工程が、複数の再生プラスチック材料を収集することを含むことを特徴とする、項目2〜10のいずれか1項に記載の方法。
(項目12)
前記プラスチック含量の高い混合物を前記一連の処理に供する工程が、該一連の処理でプラスチック粒子の平均サイズを約75mmから約8mm未満に減少させること含むことを特徴とする、項目2〜11のいずれか1項に記載の方法。
(項目13)
前記一連の処理でのプラスチック粒子の平均サイズが該一連の処理における複数の処理を経て減少していくことを特徴とする、項目12に記載の方法。
(項目14)
廃プラスチック材料を再生する装置であって、項目2〜13のいずれか1項に記載の方法を実行するよう構成された3以上の装置を備える装置。
添付図面と以下の説明に本発明の1以上の実施態様を詳細に述べる。本発明の他の特徴、目的、利益はその説明と図面及び請求の範囲から明らかになるであろう。
異なった図面での同じ参照符号は、同様の要素を示す。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】図1は、本発明の一観点による分離処理での寸法減少階層を示す。
【図2】図2は、粒状材料の百分率のグラフであり、重力式濃縮処理により作られ、分離濃度の関数として、区切り点を超えて流出することを示している。
【図3】図3は、単独の槽を使用する二段階濃度分離の実施を図示し、この処理で廃プラスチック材料が3つの再生プラスチック材料に分離される。
【図4】図4は、二重精密濃度分離の実施を図示し、この精密分離により、内部再生を利用する3台の分離装置を用いて2つの再生プラスチック材料が産出される。
【図5】図5は、液体サイクロンを使用した3つの廃プラスチック材料の浄化の実施を図示している。
【図6】図6は、材料の費用面積対質量の比に基づき再生プラスチック材料を選択する処理を略図で示す。
【図7】図7は、TES分離機内で起きるような、電場で振れている帯電粒子を図示している。
【図8】図8は、TES分離機で分離されたプラスチック粒子の寸法に匹敵する、多様な厚さと直径の円板に関する表面積対体積(質量に比例する)を図示している。
【図9】図9は、高表面積対質量及び低表面積対質量の材料の流れに関するTES分離機の実施を示す略平面図である。
【図10】図10は、異なる電場を用いたTES分離機の平面図の実施を示す略図である。
【図11】図11は、異なる有効電場を用いたTES分離機の2つの実施を示す2つの側面図である。
【図12】図12は、異なる表面積対質量の再生プラスチック材料のための、調整された分離路を有するTES分離機の収集装置の実施を示す。
【図13】図13は、多数の再生プラスチック材料を生産する静電式分離機の二段階配置の実施を示す。
【図14】図14は、種々の分離処理の配置の一例を示す。
【図15】図15は、厚さ/摩擦による選別機を含む分離処理の配置の一例を示す。
【図16】図16は、プロセスの初期に色による選別機を加えた分離処理の配置の一例を図示する。
【図17】図17は、グレードが別の再生プラスチック材料を作るため厚さ/摩擦による選別を使用する分離処理の配置の実施を示す。
【図18】図18は、廃プラスチック材料が再生プラスチック材料を含む場合に使用でき、特別な濃度分別を繰り返す分離処理の配置の一例を示す。
【図19】図19は、2つの色による選別段階を含む処理の配置を示す。
【図20】図20は、重力式分離が含まれない分離プロセスの配置の一例を示す。
【図21】図21は、重力式分離が処理の間に二度、一度は最終分離段階として使用される分離処理の配置の一例を示す。
【図22】図22は、重力式分離が最終分離段階として一度だけ使用される分離処理の配置の一例を示す。
【図23】図23は、分離後混合処理が行われない場合の分離処理の配置の一例を示す。
【図24A】図24Aは、再生プラスチック材料が配合されないか又は押し出し操作されない分離処理の配置の一例を示す。
【図24B】図24Bは、表面積対質量の制御が利用されない分離処理の配置の一例を示す。
【図24C】図24Cは、多数の他の可能な多段階処理を示す。
【図24D】図24Dは、多数の処理のサブグループを示す。
【図25】図25は、米国白物製品の仮定の分離法の線図を示す。
【図26】図26は、多種の速度での重力式濃縮を使用する廃プラスチック材料を分離した結果を示す。
【図27】図27は、分離の間に使用されるスクリーンのサイズの関数としての粒子サイズ分布を示して、湿式造粒処理と乾式造粒処理を比較した図である。
【図28】図28は、オフィスオートメーション装置から回収された典型的な混合物に見られた多種のプラスチックの濃度ヒストグラムである。
【図29】図29は、再生プラスチック材料の湿式篩分離の一例の結果を示し、収率と湿式篩システムの速度を比較している。
【図30】図30は、湿式篩システムの速度の関数として、典型的な再生プラスチック材料における明色プラスチックの百分率を示す。
【図31】図31は、破砕された米国冷蔵庫から回収されたABSフレークの典型的な混合物で、フレークを湿式密度分離を用いて分離した後の混合物の密度分布を示す。
【図32】図32は、滑りシュート式色による選別機を使用する例において、異なる粒子サイズ範囲に対する、供給が乏しい組成物の関数としての製品純度をプロットした図である。
【図33】図33は、異なる摩擦及び弾性性質に基づきゴムを除去する装置の実施例を示す。
【図34】図34は、造粒プロセスの前後における2つの典型的な粒子サイズグループの粒子サイズ分布を比較した図である。
【図35】図35は、特別な表面積対体積比で見出された粒子の百分率を用いて、2つの典型的な粒子サイズグループを比較した図である。
【図36】図36は、2つの典型的な再生プラスチック材料を厚さ/摩擦による選別をして高い表面積対体積の再生プラスチック材料を分離した後の、表面積対体積の分布を示す。
【図37】図37は、造粒後の典型的な軽いプラスチック材料と重いプラスチック材料の画分の厚さによる寸法分布を示すグラフである。
【図38】図38は、軽いABS製品と重いABS製品の様々な典型的な組成物の関数としての溶融速度を示す。
【図39】図39は、ABS製品をTESシステムとエアレグ(air−leg)分離機で処理した後の、典型的なABS製品の軽いABSの百分率の関数としてのABSの溶融速度を示す。
【図40】図40は、難燃化されたHIPSと難燃化されていないHIPSの典型的な二成分混合物を単独精密分離、二重精密分離及び三番目密度分離した後の廃プラスチック材料組成物の関数としての、PS製品における臭素の百分率を示す。
【図41】図41は、オフィスオートメーション装置を一例として分離することにより回収されたグレードのHIPS、ABS、PC/ABS、PCに関し、再生プラスチック材料が廃プラスチック材料の百分率として及び密度の関数として示されているグラフである。
【図42】図42は、TESに続いて二重精密密度分離を利用した、HIPS、ABS(難燃化された及び非難燃化の)、PC/ABS(難燃化された及び非難燃化の)及びPCの回収方法の実施を示した略図である。
【図43A】図43Aは、TESを利用したABS−FRと、PC及びPC/ABSを含有する流れの回収方法の実施を示す略図である。
【図43B】図43Bは、TESを利用したPC含有製品の回収方法の実施を示す略図である。
【図44】図44は、TESを利用したABS−FRとPC製品の回収方法の実施を示す略図である。
【図45】図45は、図41に示したオフィスオートメーション装置の分離から生じた、難燃化HIPS、PCを含有する2つの流れ(例えば、PC含量が高いものとPC/ABS含量が高いもの)、難燃化ABSと副産物の2つの流れの分布を示すパイ(pie)チャートである。
【図46】図46は、典型的な難燃化ABS,難燃化HIPSとPC製品におけるTES分離段階の数の関数としての不純物%を示す。
【図47】図47は、図42の右手に示す方法において二重精密密度式分離を利用しない場合の、難燃化HIPS、PC(例えば、PCとPC/ABS、難燃化ABS及び副生物の収率を示すパイグラフである。
【図48】図48は、二重精密密度式分離を利用する典型的な方法及び二重精密密度式分離を利用しない方法で回収された難燃化ABSの組成を示すグラフである。
【図49】図49は、二重精密密度式分離を利用する典型的な方法及び二重精密密度式分離を利用しない方法で回収されたPC(例えば、PCとPC/ABS)の組成を示すグラフである。
【図50】図50は、PC(例えば、PCとPC/ABS)再生プラスチック材料の典型的な流れにおける、TES段階の数の関数としての不純物の百分率を示す。
【発明を実施するための形態】
【0080】
(詳細な説明)
本発明の一観点によるプラスチック再生方法及び装置は、著しく混じり合った廃プラスチック材料の流れを分離して要求された純度を有する生成物にすることが可能である。異なる分離方法の有効性のレベルは、部分的に廃プラスチック材料の寸法と性質に基づき異なる。従って、本発明の分離方法は、適切な大きさにされた廃プラスチック材料に関して特別な分離方法を行うことができ、本発明の装置は、このような方法を行うために構成された装置を含むことができる。択一的又は付加的に、この分離方法は多数の処理段階を順次行うことを含んでよく、また本発明の装置は、これらの処理段階の幾つか又はすべてを行うように構成された2つ以上の装置を含んでよい。本明細書で、これらの方法による生成物及びこれらの生成物を更に操作することにより得られた生成物は、“再生プラスチック材料”として言及される。
【0081】
寸法減少処理、これらの処理の配置、及び、これらの処理を行うように構成された装置は、プラスチック含量の高い供給材料の流れが多数の生成物と副生物の流れに分離されることができるように開発されたものである。これらの方法と装置は、工業的に使用された後(post−industrial)、また消費者により使用された後の(post−consumer)資源に由来する、高含量でブラスチックを含む種々の流れに適用できる。これらの流れは、オフィスオートメーション装置(印刷機、コンピュータ、複写機その他)、白物製品(冷蔵庫、洗濯機、その他)、家庭用電化機器(テレビジョン、ビデオカセットレコーダ、ステレオ、その他)、自動車シュレッダー残滓、包装廃棄物、家庭廃棄物、建築廃棄物、工業的成形及び押出しスクラップを含んでよい。本明細書では、これらの材料を、一般に“廃プラスチック材料”と呼ぶ。
【0082】
廃プラスチック材料の大きさは段階的に減少できる。図1は、このような粒子サイズの段階的減少を特徴とする一般的な方法を図示し、大きい材料片(サイズI)が減少され次第に小さい寸法にされることを示している(サイズII,III,IV)。
【0083】
一般に、サイズIは、約75mm以下の平面視寸法を有する材料を含むものであり、自動車破砕機又は電気器具破砕機を用いて得られた綿毛状(fluff)生成物に見られる材料に対応する。これは、電子部品からの材料のようなプラスチック含有量の高いすべての部品と同様である。サイズIからサイズII(約30mmの平面視寸法を有する材料)への材料の寸法の減少は、かさ密度を増大し、対象としない材料を分離し、更に均一な粒子サイズ分布にするために行われる。この寸法減少段階は、出荷コストを下げ、初期分離により対象とする材料の収率を増大できるように分離を促進するためにプラスチック再生ブラントに出荷する前に行うことができる。サイズIIIの材料の平面視寸法は約20mmである。狭く且つ調整された粒子サイズ分布を得るため、サイズIIからサイズIIIへの寸法減少は典型的にはプラスチック再生プラント又は衛星プラントで行われる。サイズVの材料の平面視の寸法は約8mm以下であり、調整された高い表面積対質量比を必要とする分離に有用である。この寸法は、サイズIIIの材料を用いて行われる分離の幾つかに最適な寸法より小さく、従って、別の寸法減少段階を行ってよい。幾つかの寸法減少方法では、サイズIからサイズIIIのフレーク、サイズIIからサイズIVのフレーク、サイズIからサイズIVのフレークを直接得ることができる。
【0084】
本発明のプラスチック再生方法では、能率を最適にし、価値のある生成物の組み合わせを作るように配列された多数の分離方法が利用できる。この配列は、資源、プラスチックの寸法、廃プラスチック材料の性質に依存しうる。特別な実施の場合では、所望の純度を得るために必要とされれば、又は、様々な理由である操作が方法の異なる段階で必要とされれば、その操作を繰り返してよい。
【0085】
ある実施の場合、本発明による分離方法は、前処理(P)、寸法減少(R)、重力式濃縮(W)、色選別(C)、厚さ/摩擦/浮力選別(TF)、表面積対質量制御(SMC)、狭い表面積対質量分布により向上された分離処理(SMD)、混合(B)、押出し(E)を含むある順序の操作を特徴とする。これらの操作のそれぞれを以下に詳細に説明する。
【0086】
(前処理)
前処理は、更に処理するためプラスチック含有量の高い材料を作るために体系化された操作のグループを含む。前処理は多数の操作を含み、幾つかの操作は、他の操作を同じ設備で同時に行っている間に離れて行うことができる。前処理の一例は、2002年7月22日に出願の仮出願第60/397,953号に記載されており、参照のために本明細書に加える。前処理は寸法減少とは異なる。というのは、前処理は離れて行われたり、又は廃プラスチック材料供給業者により行われることが多い一方、寸法減少は典型的にはプラスチック再生プラント内での処理に含まれるからである。ある実施の場合、サイズIからサイズIIの材料への寸法減少に基づき、2つの処理が区別される。ある場合では、寸法減少の一部として含まれる幾つかの操作は離れて行うことができ、また、前処理の一部である幾つかの処理は、主要なプラスチック再生プラントで行うことができる。
【0087】
前処理は、有害な材料を除去又はスクリーニングするため、プラスチック再生方法で後に使用される寸法減少装置を損傷する可能性のある材料を除去するため、目標とするプラスチックの収率を増大させるため及び/又は材料のかさ密度を増大させるために行われる。更に、前処理には、材料をその後の処理に一層調和させるのに役立つ操作を含んでよい。各種の処理の順序及び種々の処理を含むかどうかは、供給材料源と組成に依存する。
【0088】
ある実施の場合、前処理で有害な材料を選別して除去する。下流側の処理の汚染をさけ、健康やプラスチック再生プラントで働く人の安全に好ましくない影響を与えないために、前処理施設ですべての材料を選別して、プラスチック再生施設に送られる材料に関連して化学的、生物学的又は放射線学的に確実に無害にする。多くの場合、この方法は、技術者による検査を含むが、特別な場合自動選別を含んでもよい。
【0089】
前処理は、寸法減少装置を損傷する可能性のある材料の除去を含んでよい。金属の除去、特に大きい金属塊の除去は、寸法減少装置の寿命を延ばすのに役立つ。金属を除去するために、空気の吸気、重力式濃縮、磁石、静電気による分離装置、渦電流分離機、光学的選別機、厚さ/摩擦選別機、更に手による取り上げのような処理が使用できる。これらの処理の選択は、供給における金属の量、金属片の大きさ、金属の種類のような要因に左右されよう。
【0090】
空気の吸気は、エアーレグ、重力式テーブル、空気テーブル(air table)又はデストーナ(destoner)のような装置で行う処理を含む。これらの処理により、泡、綿毛状物のような低密度成分を除去でき及び/又は廃プラスチック材料からの金属のような高密度成分を除去できる。また、ゴムのような材料も、その独特の弾む性質と多くのゴムが大抵のプラスチックよりも厚い傾向にあることにより、上記の装置の幾らかを用いて除去できる。これら1以上の処置の多くの段階は、連続的に実施して軽金属と重金属の両方の除去を達成できる。
【0091】
空気の吸気の効果は、重力に関係する粒子にかかる引っ張り力に左右される。当然、薄い粒子ほど同じ密度の厚い粒子と比較してより軽くなる傾向にある。それ故、厚さによる選別は、空気吸気の能力を向上できる。プラスチック含有量の高い材料から金属を除去するためのエア−レグ分離機の使用の例が、以下の実施例1に記載されている。
【0092】
重力式濃縮は、前処理の一部として含まれることができる別の処理である。重力式濃縮は、あらゆるタイプの金属をプラスチックから効率よく除去し、回路板のような重いプラスチックラ廃プラスチック材料の流れから分離するために使用できる。空気吸気のような能率的でない処理に関係して、湿式篩処理の主な不利益は、その後の乾燥処理に進む前に、典型的には材料を乾燥しなければならないことである。湿式篩の使用の一例が、以下の実施例2に記載されている。
【0093】
目標とするプラスチックの収率を増大させることは、別の前処理の目的となりうる。上記のように金属の除去は、プラスチックの収率を増加できる。更に、厚み又は摩擦、空気吸気、重力式濃縮による選別のような技術を、目標とするプラスチックの収率を向上させるために使用できる。
【0094】
厚み及び/又は摩擦による材料の選別は、前処理操作の一部として使用できる別離処理である。このような選別機には、溝穴厚み式選別機、厚み及び/又は摩擦に基づいて分離できるロール選別機、長い指状物を有する、長さの関して選別する選別機、他の材料に対して、ゴムの摩擦及び弾性の性質を利用する選別機が含まれる。
【0095】
多くの場合、厚み/摩擦による選別で、ある種の供給材料流れ(例えば、自動車破砕機の残滓及び白物製品の破砕からの発泡体の厚い片を除去できる)。前処理の間にこれらの材料を除去することにより、目標とするプラスチックの収率を向上させ、また、材料のかさ密度をかなり増加させることができる場合もある。
【0096】
厚み/摩擦による選別は、前処理(サイズI)又は寸法減少処理(サイズII)に見られる大きい粒子に対して有効である。供給材料に見られる厚い汚染物のタイプに依存して、厚み/摩擦による選別は、サイズI又はサイズIIのいずれかの材料に対して行うことができる。自動車破砕残滓供給物からゴムを除去するための厚み/摩擦による選別の使用の一例を、以下の実施例3に記載する。
【0097】
上記のように金属を除去することに加えて重力式濃縮を行うことは、実施例2にも示すように、目標とするプラスチックの濃度とはかなり異なる濃度を有するプラスチックを除去することにより目標とするプラスチックの収率を改良する場合に役立つ。厚み/摩擦による選別は、プラスチックを分離するための重力式濃縮の効果を向上させることができる。重力式濃縮で異なる厚さの画分を選別する一例を実施例4に示す。
【0098】
前処理の別の目的は、出荷の前にプラスチック含有量の高い材料のかさ密度を増加させることでよい。かさ密度の増加方法には、発泡体のような軽量成分を除去することと同様に、寸法減少処理が含まれる。前処理で寸法減少処理を用いることができる。寸法減少装置を損傷する可能性のある大きな金属塊を除去した後、サイズIの材料を例えば回転式粉砕機に送ってよく、その場合、該材料が粉砕されて、かさ密度がサイズIの材料よりかなり高いサイズIIの材料を製造できる。材料のかさ密度を増加させることに加えて、寸法減少段階で、発泡体、ゴム、金属ねじ、紙などのような汚染材料を放出できる。その後、この放出された材料は、前処理段階の一部又は乾燥処理の一部のいずれかとして除去することができる。
【0099】
前処理の他の可能な機能は、プラスチック再生プラントに供給される材料の供給組成物における変動を安定化させることである。変動を安定化させる方法には、混合、供給材料の意図的な凝結、厚み/摩擦による選別、光学的選別、重力式濃縮が含まれるが、これらに限定されない。
【0100】
前処理を出た材料は、共に混合して均一の材料のバッチとしてプラスチック再生ブランとに送ることができる。この方法は、供給材料が比較的均一な場合有用であるが、混合される材料の量を集めるのに必要な期間以上に長い期間にわたって供給材料が変化すれば、失敗することがある。
【0101】
プラスチック再生プラントに送られる材料の一貫性を改良するために、意図的な凝結が使用できる。単独の供給材料のタイプのものは、バッチで運転し、このようなタイプの材料を処理することが可能なプラスチック再生施設に送ることができる。
【0102】
また、厚み/摩擦による選別は、実施例6に示したような前処理の生成物の組成を安定化するために使用できる。たとえすべての供給材料が混ざり合って前処理に送られても、厚み/摩擦による選別処理で、各種の資源から多様なタイプのプラスチックを分離できる。
【0103】
また、色又はコントラストによる選別のような光学的選別で、プラスチック再生プラントへの供給物の組成を安定化させることができる。ある種の供給材料からのプラスチックは、他の供給材料よりも様々な色を持つ傾向にある。たとえすべての供給材料が混ざり合って前処理に送られても、色による選別で、各種の資源から多様なタイプのプラスチックを分離できる。
【0104】
重力式濃縮は、実施例5に示すように、特別なブラントに送られる供給物の組成を安定化させることができる。ある種類の供給物は、ある濃度を有するプラスチックを含む傾向にあり、濃度分布が変動することは、プラスチックの組成が変化することを反映している。プラスチック再生プラントへの供給物は、目標とするプラスチックよりも多少濃度が高いプラスチックが除去できる場合に安定化できる。
【0105】
上記のように、前処理操作の場所は、プラスチック再生施設、又は、金属回収のための自動車或いは白物製品の破砕のような他の操作から得られた副産物として供給材料が製造される箇所に置くことができる。
【0106】
(寸法減少)
典型的には、寸法減少処理は、多様な任務を達成するように配置されたプラスチック再生プラントの前端部で行われる1以上の処理を含む。寸法減少処理は、寸法減少装置を損傷しうるか又は下流の分離処理に悪影響を及ぼしうる金属を除去するため、非プラスチック材料を遊離させるようにプラスチックの粒子サイズを減少させるため、比較的狭い粒子サイズ分布を形成すめため、また、下流の処理に送られる材料の組成を安定化できるように実施できる。
【0107】
ある実施の場合、プラスチック再生施設で受け取ったサイズIIの材料を、該材料をサイズIIIに減少させる造粒機を注意深く保護するよう設計された単位操作の順序をまず通過させる。上記の前処理に関して述べた金属除去装置を使用して、これらの操作はプラスチック含有量の高い供給材料から鉄及び非鉄金属を除去することから開始できる。主に、これらの操作は、寸法減少装置を損傷するか又は急速に摩耗するのに十分大きい片を除去することに集中している。上記のように、前処理の間に多量の金属が除去されたけれども、前処理を行わない状況、前処理が金属の除去を含まない状況、又は、金属の除去が限定される状況が存在するであろう。また、例えば、供給業者が前処理を行う場合のように、前処理段階を限定的にのみ制御することも可能である。更に、前処理で除去されなかったより小さい金属片を除去することは、下流の分離処理の能率を向上し、また、その保守を軽減することに役立つであろう。
【0108】
金属を除去した後、サイズII(又はサイズIII)の材料を造粒機に送ってよく、造粒機は非プラスチック材料の大多数をプラスチックから遊離させる点まで粒子サイズを減少させる。粒子サイズ(サイズIII又はIV)と粒子サイズ分布は、造粒機のスクリーンを適切に選択し、また、造粒後平面視で造粒機のスクリーンより僅かに小さい寸法でスクリーニングすることにより制御できる。このスクリーニングで過剰な寸法の材料は、再び造粒機に送ることができる。
【0109】
サイズIII又はサイズIVにおける下限の寸法は、空気の吸気又は寸法スクリーニングにより制御できる。スクリーニングで造粒した後、トップスクリーン(top screen)の径よりも小さい寸法の様々な画分が単離される。これらの寸法画分は、特に異なる寸法画分のために調整された吸気装置に送られる。非常に小さい微粒子は、発泡体、紙、他の綿毛状物と共に除去される。これらの吸気段階から得られたプラスチック含有量の高い生成物は、更に処理する前に再び組み合わせることができる。
【0110】
湿式造粒として知られている方法が寸法減少に特に有用である。湿式造粒の結果、粉塵や微細物の生成の減少、狭い粒子サイズ分布、及び、清浄な表面をもたらすことができる。湿式造粒の一例を実施例7に記載する。
【0111】
材料の組成の安定化は、寸法減少処理の別の機能である。前処理の間組成がある程度安定化されていても、典型的にはある程度の可変性があり、これは寸法減少処理の間にさらに減衰させることができる。厚み/摩擦による選別、色選別又は混合のような処理は、下流の処理に送られる材料の組成を安定化ため使用できる。
【0112】
(重力式濃縮)
プラスチック同士で異なる固有の物理的性質の一つは密度である。典型的には、プラスチックの密度は、1.0g/cm以下から1.7g/cm以上の範囲にある。表1は、耐久消費財に由来する供給材料に共通の幾つかのプラスチックの密度範囲を示す。
【0113】
【表1】

【0114】
この広い範囲の密度には、むしろ狭い密度分布を有する、それぞれのプラスチックの種類の密度が含まれる。密度による分離は、極度に混合されたプラスチックの流れを、著しく数を減少させた成分を含む、2つ以上の流れに分割する場合に有効である。比較的簡単な混合物を生成することで、混合物のコンシステンシーを改良でき、また、下流の処理でより効果的に分離することができる。ある場合では、密度だけが所定のタイプのプラスチックを適切に単離することが可能である。
【0115】
材料を密度により分離する多数の方法がある。典型的には、このような方法は、異なる浮力によりプラスチックを分離するための分散媒体としての液体を使用することを特徴とし、沈殿槽、重力式濃縮、液体サイクロンのような構成部分を使用する。
【0116】
ある実施の場合、液体分散媒体として水が使用できる。ポリオレフィン(PPとPE)や発泡体のような軽量品は、このような分散媒体の上面まで浮き上がる。便宜のために、密度が水より小さいプラスチック含有量の高い流れを生成物Aとして言及する。漸進的に高くなる密度範囲の材料を生成物B,C,D,E及びFとして言及する。これら生成物のそれぞれに対して指定される密度の範囲は、特別な供給材料におけるプラスチックを分離するために最も有効な密度の範囲に基づく場合が多いが、任意である。比重が1.0より大きいプラスチックを互いに分離するために、比較的高い密度の液体、溶液又は懸濁液を用いる液体サイクロンのような装置が使用できる。また、比重が1.0より大きいプラスチックを分離するために、水又は比較的高い密度の液体を用いる重力式湿式篩装置も使用できる。
【0117】
湿式篩は、異なり成分の異なる沈殿速度に従って分離するものである。湿式篩は、液体の上昇流を使用するか又は遠心力の場で行うことができる。上昇流の分級機又は短い円錐状の液体サイクロンを有する湿式篩は好ましい技術である。
【0118】
液体サイクロンはプラスチックを密度により分離するために使用できる。液体サイクロンで分離されるプラスチックフレークの寸法は、湿式篩で分離されるものほど決定的に重要ではない。しかし、効果的で比較的狭い密度範囲を得るために、粒子サイズ分布が比較的狭く、微粒子の量が最小であることが好ましい。泡の付着によりプラスチックフレークの見かけ密度を変えることができるので、重力式濃縮のためには、表面積対質量比が小さければ有利であろう。しかし、フレークが約20mmより大きければ、輸送は困難であり、また、目的のプラスチック材料から汚染物が十分に遊離されないであろう。幾つかの実施の場合、液体サイクロンを使用する重力式濃縮処理をサイズIIIのプラスチックフレークで行なう。
【0119】
耐久性消費財の流れには、異なる密度範囲の多くを含む、典型的には異なる数タイプのプラスチックが存在する。1以上のプラスチックのタイプを含む多数の中間生成物の流れを生成するために、多くの密度式分離段階を適用することが役立つであろう。典型的には、最初の密度の限定(cut)は水を使用して行う。一番目の段階を、材料を最初に湿らせ、洗浄するために使用できるので、一番目の限定時に水を使用する。比較的高い密度による分離での性能を変えることがある付着した微細物や汚れのあるものを、水は除去できる。また、水の密度の0.04g/cm以下のプラスチックは少ないので、一番目段階の分離で簡単に限定できる傾向にある。
【0120】
密度式槽として水を使用する分離は比較的簡単であり、例えばすべての分離機が同じ寸法であれば、この分離段階の通過量をより大きくすることができる。すべての装置が同じ寸法であれば、保守は簡単なものにできる。
【0121】
典型的には、密度の限定により得る軽量生成物は、ポリオレフィンと発泡体である。この生成物Aは、更に以下に記載のような段階で処理できる。水よりも密度が高いプラスチックは、典型的には、密度を高める二番目密度式分離機に送られる。
【0122】
典型的には、二番目密度式分離機は、次段階の密度により分類された材料に単離するための密度に設定される。この分離処理における軽量生成物に属する材料Bとして知られる。材料Bは、以下に記載したような段階で更に処理できる。更に密度が高い材料も続く密度式分離機において漸次増大する密度で処理し、生成物C,D,E,F及びGを生成する。
【0123】
更に高い密度で行う密度式分離は、塩の溶液又は固体粒子の懸濁液を使用して行うことができる。幾つかの実施の場合、分離処理を固体粒子の懸濁液を使用して行う。密度を増大させるために塩の水溶液を使用する代わりに固体粒子の懸濁液を使用することには幾つかの利益があろう。この固体粒子は、処理後水から比較的簡単に除去でき、これによって水処理操作が著しく簡単になる。密度を増加させるために固体粒子を使用する場合、生成物のプラスチックの表面の清浄度も改良できる。プラスチックの表面を清浄化する固体粒子の摩耗性質に加えて、最終洗浄段階で表面化から固体粒子を除去する場合にも効果的である。
【0124】
固体粒子が調整された粒子サイズ分布を有するように分類された場合、より高い密度で密度式選別を行うことができる。固体粒子が大きければ、液体サイクロン分離機での沈殿速度が大きくなりすぎることがある。固体粒子画小さければ、処理後除去することがより困難になり、懸濁液でのフロッシングを引き起こす傾向にあるからである。
【0125】
精密な密度の限定は媒体を用いて達成できる。図2に、各種の分離密度でのオーバーフローに起因する粒状材料の百分率の一例を示す。この分布のEP(アンダーフローに属する材料の25%とアンダーフローに属する該材料の75%との間の密度差の半分として定義される)は、約0.008g/cmである。図2に、よく似た密度を有する異なるタイプのプラスチックを分離するために密度の制御を利用する例を示す。
【0126】
また、密度の高い媒体を単独の供給槽から供給する場合、分級された固体の媒体を使用することによって、二段階に密度式分離が適用できる。典型的には、液体サイクロンの重量物出口における固体粒子の濃度は、軽量物出口における濃度よりも高い。それゆえ、第二段階の液体サイクロン分離機に入る供給物の密度は、第一番目段階での密度よりもますます減少又は増大させることができる。注意深く媒体を分級することにより、第一段階から第二段階への密度の増加を制御することができる。
【0127】
一番目液体サイクロンからのアンダーフローの密度は、供給材料の密度よりも僅かに高く、二番目液体サイクロンからのアンダーフローの密度は、一番目液体サイクロンからのオーバーフローよりも僅かに高い。この二段階の分離は、図3に示すように、単独の混合槽での媒体濃度を制御することにより、材料を3つの生成物の流れ(A,B及びC)に分離するために実施できる。
【0128】
図4に、二重精密密度式分離(DPDS)の密度式分離の別の配置を示す。この場合、3つの分離装置を使用し、内部循環して2つの生成物の流れが形成される。実施例9に示すように、この構造により分離が改良される。実施例9に、実施例8の分離を改良するためこの構造を用いることを説明している。図3に示す構造の場合のように、単独の密度式槽を用いて密度が制御できる。第二段階の装置は、参考のためここに加えた、米国特許第6,238,579号に更に記載されているサイバー(cyvor)のような液体サイクロン又は他の装置でよい。
【0129】
幾つかの場合、密度の高い媒体を必要とせず合理的な分離を達成できる湿式篩システムのような比較的簡単な重力式分離システムを用いることが役立つであろう。分離すべきプラスチックの密度がかなり離れている場合、分離技術として湿式篩は特に有用である。湿式篩を行う前に、厚み、色及び寸法により分離することは、分離効果を向上させるために有用であろう。湿式篩は、約10mmより大きい粒子に対して最も有効に作用する傾向にある。実施例10に、プラスチックA、Bをより密度の高いプラスチックから分離するために重力式濃縮を使用する例を示す。実施例10に示すように、典型的には、重力式濃縮システムからの軽量生成物は、少量のより密度が高いプラスチックと共にプラスチックAとプラスチックBとを含有する。また、痕跡量の純度の高い金属が存在するかもしれない。液体サイクロン又は沈殿槽に例えば水を用いて湿式篩処理を行う前又は後のいずれかの時に、プラスチックAはプラスチックBとより高い密度のプラスチックとから分離できる。密度の高い媒体を使用する液体サイクロン、更なる湿式篩段階のような密度式分離技術を用いて、又は、液体媒体として水を使用する修正液体サイクロンを注意深く調整して、プラスチックBをより密度が高いプラスチックから分離できる。また、色による選別、厚さ又は摩擦による選別又は狭い表面積対質量分布に依存する技術による選別がプラスチックBをプラスチックCから分離するのに役立つであろう。
【0130】
図5に、密度の高い媒体を必要とすることなくプラスチックA、B及びCを分離するために使用できる液体サイクロンの配置を示す。この配置では、短い部分又は非円錐部分を有するように変更された2つの液体サイクロンが、標準的な液体サイクロンの前に載置される。最初の変更液体サイクロン(MHI)では、このシステムに送られたあらゆる金属残滓が除去される。変更液体サイクロンの底が金属を除去するために開けられるまで、金属が底に置かれる。他の方法として、小さい開口を設けて、変更液体サイクロンの底から連続的に排出させてよい。下流の液体サイクロンが適切にまた一貫して機能できるように出口を加圧することが好ましい。
【0131】
二番目の液体サイクロンでは、残るプラスチックCの殆どすべてがプラスチックBの大部分と共に排出するように出口を十分大きくする。この流れを、湿式篩又は密度が高い媒体を使用する液体サイクロンのような更なる重力式分離システムに送ってよい。他の方法として、この流れを色による選別、厚み/摩擦による選別のような処理又は狭い表面積対質量分布に依存する処理に送ってよい。
【0132】
その後、プラスチックAの殆どすべてとプラスチックBの幾つかを標準的な液体サイクロン(SH)に送る。この液体サイクロンは、殆ど純粋な流れAと材料Aの一部と共に残りのBのすべてを含有する重量物の流れを生成するように調整できる。典型的には、純粋な流れAは、色による選別、厚み/摩擦による選別のような処理又は狭い表面積対質量分布に依存する処理に送られる。SHからの重量物の流れは、MH2からの重い生成物と組み合わせて再循環させシステムの供給材料に戻してよく、又は、別に、色による選別、厚み/摩擦による選別のような処理もしくは狭い表面積対質量分布に依存する処理に送ってよい。この配置は、純度が異なる、更なる数の生成物の流れを生成するために調整できる変更された液体サイクロンと標準的な液体サイクロンの付加的な段階を含んでよい。
【0133】
下記の実施例11に示すように、重力式濃縮に先立ち色による選別を行うことにより、湿式篩の効果を向上でき、また、色による選別に先立ち重力式濃縮を行うことにより、色による選別の効果を向上できる。
【0134】
重力式濃縮は、多様な大部のプラスチックを分離する他に多数の目的のために使用できる。例えば、図12に示すように、同じプラスチックのタイプで異なるグレードのプラスチックを分離するために使用できる。
【0135】
狭い表面積対質量分布を必要とする分離技術で、プラスチックをタイプに従って浄化した後、そのタイプのプラスチックの幾つかを分離して高い収率と共に生成物の性質を向上させるために、重力式濃縮が使用できる。例えば、ABSとSAN 共重合体を供給混合物から濃縮するために、狭い表面積対質量分布(SMD)を必要とする分離技術(例えば、摩擦静電気式分離)が使用でき、その後、ABSとSAN濃縮物を重力式濃縮処理に送って、充填されていない低密度のABSをより密度の高いSANから、また、更に高いに密度を有する著しく充填された(例えば、難燃剤)ABSから分離してよい。これは、ABSとSANのタイプのプラスチックの収率を改良でき、また、必要なSMD分離機の数を減少できるので有利である。同様のシステムが、耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)、ボリフェニレンエーテルとHIPSとの混合物及び難燃性HIPSに関して十分に作用するであろう。混合物中の低密度HIPS及び低密度ABSの両方をSMDを使用し下流でタイプごとに分離するために設けられる妥協である区切り点というよりむしろ、SMD浄化で材料をタイプに従って濃縮した後、重力式濃縮により、プラスチックの同じタイプでのそれぞれのグレードに対して選択的に密度の区切り点を設定することができる。
【0136】
また、下流での処理を促進するために、重力式濃縮が使用できる。例えば、ある分離処理は供給混合物中に少数の成分が存在する場合に最も有効に作用する。重力式濃縮は、より密接な材料を混合物中に含有させるので、このような処理役立つことができる。更に、重力式濃縮はより一貫した材料を下流の処理に提供するために使用できる。静電気分離、色による選別及びその他の処理は、供給材料の組成が安定であるときにより有効になることができる。密度式の分離は、混合物の成分のタイプを安定化するために有用な技術である。
【0137】
湿式重力式選別は、乾燥システムほ含むと思われる。従来、サイズIとIIの粒子は、振動スクリー二ングで乾燥される。サイズIIIとIVの粒子は、振動スクリーニング又は遠心乾燥機のいずれかで乾燥してよい。数種類の異なる遠心乾燥機が利用できる。静止した円筒状のスクリーンを有する種類のものは、垂直の向けられるか又は一般に供給点よりも高い排出物共に傾斜される。これらの乾燥機は、対象の材料を円筒状スクリーンの内部周囲で、排出に向かって上方に動かす中央回転軸を有する。流体にスクリーンを通過させ、周囲のチャンバーに集める。幾つかの実施態様では、湿式選別システムからのそれぞれ排出物に、粒子サイズ及び必要な乾燥レベルに従い機械的な乾燥機が使用できる。密度が高い媒体を使用するシステム又は洗浄システムにおいて、ある乾燥段階で密度の高い又は洗浄流体を除去し、続いてすすぎ操作と二番目乾燥段階を行うことが通例である。
【0138】
機械的乾燥機に加えて、多様な熱乾燥機が存在し、その後の処理のために材料を調整するために使用できる。また、寸法減少システムは、多くのプラスチック材料に機械的な仕事を介して熱エネルギーを与えることにより乾燥機として作用し、従って、1つの操作で2つの目的を達成することができる。空気乾燥剤による乾燥システムは、乾燥剤を使用して空気を乾燥させ、今度は対象の材料を乾燥させる、多様な熱乾燥システムである。
【0139】
密度差の変更や静電式分離のような表面積対質量分布に頼る多くの分離処理は、熱処理を必要とする場合が多いが表面の水分を著しく減少させることにより非常に改良される。
【0140】
(色による選別)
大抵の供給材料は、異なる色のプラスチックの混合物を含む。非着色のプラスチックが、各種の顔料を有するプラスチックと同じタイプであるか、別のタイプのプラスチックか又は望ましくない汚染物であるかも知れない。高い純度のプラスチック生成物を製造するために、非着色の汚染物を除去することが望ましい。
【0141】
色による選別は、光学的な検出と非着色成分の除去を行う単位操作である。実際には、非着色というのは、色の一変種であるか又は白黒カメラと照明及びフィルターの組合せとにより観察されるような明暗のコントラストであるかもしれない。プラスチックのような粒状の材料に関してこの機能を行うために市販の色による選別機が利用できる。これらの装置は、コンベヤべルト又は傾斜したすべりシュートでプラスチックから欠陥物を検出し取り出すよう構成できる。
【0142】
色によるコンベヤベルト式選別機は、高い欠陥物レべルまで、また、比較的大きい粒子(サイズI、II又はIII)に対して効果的である。その能率と通過量は、粒子をベルトで均一に運搬し、分布させることが困難になる点まで、粒子サイズが増大するにつれ向上する。粒子はベルトで運搬され、ベルト端部で取り出される。従って、色によるベルト式選別機での分離は、プラスチックの摩擦性、接着性又は弾性の性質とは比較的無関係である。典型的には、色によるベルト式選別機は、粒子の一方の側に関して非着色だけを検出する。このことは、非着色の斑点を有する塗装又は被覆された粒子を完全に取り出すことが重要な場合に問題になるであろう。
【0143】
色による滑りシュート式選別機は、サイズII、III又はIVのフレークを処理できる。フレークの寸法が大きくなると運搬がより困難になり。フレークが小さくなると、良好なフレークを除いて取り出すことが困難になる。色によるすべりシュート式選別機は、高度の非着色成分を合理的に扱うことができるが、小さい非着色成分でも十分に作用する。また、典型的には、粒子の両側を検査できる。また、色によるすべりシュート式選別機は、少量の非着色欠陥物を除去できる浄化段階として有効である。色による選別処理は、均一な寸法の大きいフレークに対して十分に作用する。従って、サイズII又はIIIの場合も十分に作用する。実施例13、14で、異なる寸法のフレークに異なる装置を用いた色による選別処理の使用の2つの例を説明する。特別な色の生成物を単離して明色もしくは暗色の流れ又は特別な色の流れにする機能の他に、色による選別処理は、異なるタイプのプラスチックを分離するために使用できる。実施例15に、生成物のプラスチックの純度を向上させるため色による選別処理を使用する例を説明する。
【0144】
(厚み/摩擦、末端速度差又は空気中での引張りによる選別処理)
異なるタイプのプラスチックを互いに、また、汚染物から区別する場合に有用な材料の他に特性は、プラスチックの厚みと材料の摩擦、接着又は弾性の性質である。これらの性質のすべては、幾つかの場合、類似あるいは同じ操作を用いる分離に供するので、この明細書では単独の範疇の分類される。
【0145】
異なる部品中の異なるプラスチックの厚みは多様な傾向にある。自動車粉砕機による残滓のような供給材料中の厚みは、非常に厚い傾向にあり、他方、電気器具中に見られるプラスチックはより薄い傾向にある。ある供給材料の中に、多様なタイプのプラスチックが異なる厚みで存在しうる。ポリプロピレンのような低モジュラスの材料は、ABSのような剛性のある材料に比較して厚い部分に存在する傾向にある。
【0146】
あるプラスチックのタイプで異なるグレードのものは、厚みの異なる部分に存在することもある。例えば、押出し成形されたシート状フラスチックに由来する熱成形されたプラスチックは、射出成形されたプラスチックより薄くなる傾向にある。押出し及び射出成形用グレードのものは異なる性質を有するので、厚みによる選別処理で、あるプラスチックの異なるグレードのものを分離することが可能である。ゴム又は発泡体のような汚染物は、殆どのプラスチック部分よりも厚くなる傾向にある。
【0147】
供給材料の流れの中のプラスチックや汚染物のタイプに依存するが、厚み及び/又は摩擦による選別処理は、処理の多数の段階でプラスチックを分離するために有用である。このような分離のための装置として、ロール選別機、スロット選別機、重なった細長い溝穴又は指状物を有するスクリーニング装置、材料の異なる摩擦及び/又は跳ね返りの性質に頼る選別機又は粒子の表面積対質量比に基づき分離する装置が含まれる。
【0148】
ロール選別機は、材料の個々の流れを傾斜した対向して回転するロールを下方に向かって通過させるよう作動する。これらのロールはロール間のギャップから離れるよう上方に回転する。典型的には、ロール間のギャップは、基端(フィーダにおいて)から遠位に向かって(フィーダから離れるように)広げられ、従って、薄い材料は基端の近くで画分になって終わり、厚い画分は遠位の端で終わる。
【0149】
厚みに加えて、ロール選別機は摩擦及び/又は弾性の性質に基づき選別する。ゴムのような材料は、ロールに付着し、それゆえ、たとえ十分に薄いものであっても、ギャップの間を落下することは困難であろう。また、ゴムはロールに沿って跳ねる傾向にあり、純粋に厚みに基づきいずれかの画分に属することができない。ある場合では、厚いゴム粒子が回転するロールの周囲に引きずられ、その結果、厚いゴム粒子がロール選別機の基端に集められる薄い画分に属することもある。
【0150】
スロット選別機は、典型的には、回転する円筒状ドラムに沿って軸方向に並べられた、ある厚さの長い溝穴を含む。サンブルを回転するドラムに送る。溝穴より薄い材料は、溝穴を通過してドラムから出ることができる。典型的には、より厚い材料は、回転するドラムの端を通過して出る。
【0151】
また、材料の摩擦及び/飛び跳ねの差を利用する装置も使用できる。このような装置の一つに、上部にカバーを有し、シュートに沿った所に収集装置が設けられた滑りシュートがある。自由にシュートを下って流れる粒子は捕獲されない。他方、摩擦や飛び跳ねる性質により跳ねる傾向にある粒子は捕獲される。実施例16に、このような装置の例を示す。
【0152】
また、摩擦や飛び跳ね性質と組み合わせて、最終速度や空気中での引っ張りの差を利用した装置も使用できる。例えば、エアテープル(air table)は、材料を薄い画分と厚い画分とに、同時に、ゴムと発泡体とを除去して最も薄いプラスチックだけを含む流れに入れる。更に、ゴムと発泡体を含有するこの画分は厚さにより選別でき(例えば、ロールもしくはスロット選別機を用いて)、プラスチック含有量の高い生成物の流れと発泡体とゴムの含有量が高い流れとを回収できる。
【0153】
厚み、摩擦又は飛び跳ねによる選別処理は、2以上の段階の同じ又は異なるタイプの分離装置をしようして改良できる。このような段階を継続的に又は1以上の他の装置を間に置いて分離することができる。また、装置間の循環を含む多様なオプションが可能である。
【0154】
ある場合では、表面積対質量比に基づく材料を分離する処理を厚みによる材料の選別に使用できる。より薄い材料は、他の寸法が同じ場合より大きい表面積対質量比を有する傾向にあり、従って、このような処理で、薄い材料を厚い材料から分離することができる。このような処理として、空気吸気重力式濃縮や、狭い表面積対質量比に基づくて分離に関する文脈でここに記載した処理のいずれもが使用できる。他の厚みによる選別方法を使用することが更に効果的なこともあり、多くの場合、それらの処理を可能にするために厚み/摩擦による選別処理が使用できる。
【0155】
厚み/摩擦による選別処理は、多様な分離目的を達成するために、プラスチック再生処理の様々な箇所に設置できる。典型的には、厚み及び/又は摩擦による選別処理は、プラスチックフレークが特別な寸法範囲内にあるとき、最も効果的に作用する。フレークの粒子サイズが厚みと同じ程度に小さい場合、厚みによる選別処理は有効でない。他方、もしフレークが大きすぎると、薄いプラスチックから作られた片が曲げられて、実際に厚い材料として属するようになることがある。幾つかの実施の場合、サイズIIとIVが特別なタイプの供給材料に対して作用できるが、厚み及び/又は摩擦による選別にはサイズIIIが適切である。
【0156】
厚み/摩擦による選別処理を、密度による分離処理前に使用すれば、多数の密度範囲において現れる問題のあるゴムを除去できる。もしゴムが限られた数の、目標とするプラスチックの濃度範囲に現れれば、厚み/摩擦による選別処理は、密度よる分離の後に行うことができる。
【0157】
厚み/摩擦による選別処理は、残滓の汚染物を除去し、高い表面積対質量比のプラスチックを低い表面積対質量比のプラスチックから分離し又はある流れにおける特別なタイプもしくはグレードのプラスチック含有量を高めるために、色による選別処理の後に使用できる。
【0158】
実施例17〜19に、プラスチックフレーク混合物の分離技術としての厚み/摩擦による選別処理の使用例を説明する。
【0159】
(表面積対質量比の制御)
多くのプラスチック分離処理は、分離されるプラスチックの表面積対質量比を制御することにより改良できる。静電気による選別処理は、電荷対質量比(これは表面積対質量比に比例すると思われる)に比例する量だけ偏向する粒子により行われる。泡浮上処理や密度差変更処理もプラスチックの表面積対質量比に左右される。
【0160】
多数の方法が、表面積対質量比の分布を制御するため使用できる。スロット選別機又はロール選別機のような装置を使用する厚みによる選別処理で、より狭く定められた表面積対質量比を有する流れを生成できる。大気中での粒子の表面引張りに部分的に左右されるエアテーブル又はエア分級機のような他の技術も、より狭い表面積対質量比分布を有する流れに混合物を分離するために使用できる。低い表面積対質量比を有する大きい粒子は、高い表面積対質量比を有するように造粒できる。高すぎる表面積対質量比を有する粒子(微細物)は、スクリーニング、テーブリング(tabling)又はエア分級による除去できる。
【0161】
非常に狭い表面積対質量比を得るために、流れに多数の段階を通過させるか又は2つ以上の表面積対質量比制御技術を組み合わせることにより分離することが必要であろう。中間の表面積対質量比を有する画分に、多数の処理段階を適用することは特に有用であろう。
【0162】
図6に示すように、サイズIIIからサイズIVの材料を受け取る造粒の二番目段階の前に薄い画分を除去できる。造粒機からの材料の粒子サイズは、所定の寸法の造粒機スクリーンを使用して注意深く制御される。さらに粒子サイズ分布を制御するために任意にスクリーニングして大きい粒子を分離し、造粒機に循環させて戻す。薄い画分は造粒機をバイパスし、エア吸気又はスクリーニングにより微細物を除去する前に、サイズIV材料の流れに加える。その後、除去された微細物と組合せた流れは、表面積対質量比分布の注意深い制御を必要とする下流の分離処理に送られる。このような処理を実施例21に記載し、図36に図示する。
【0163】
造粒処理の前に行う薄い画分の除去の結果、この造粒段階で形成された微細物の量か減少するだけでなく、造粒に必要なエネルギーも減少する。薄い材料は、所定の寸法に対してより高いS/V比を有するので、それらの造粒の結果、厚い材料の造粒に比較して微細物はより大きく失われる。
【0164】
また、この造粒段階は、エネルギーをフレーク状材料に加えることができ、このフレーク状材料は熱として終わる。この熱は湿分を追い出す傾向にある。以下に説明する静電気式分離処理は、一貫して乾燥された供給材料には好ましく、したがって、この造粒段階は、その処理に供給される材料の水分にある程度の一貫性を与えるものであるように実施できる。
【0165】
また、造粒段階は、造粒されたフレークが大きい清浄な表面積をもつように実施できる。典型的には、この清浄な表面は、表面を暴露して、表面が汚染によって変えられていない表面の真の性質を示すようにする更なる処理を助けるものである。
【0166】
実施例20〜23に、狭い表面積対質量比分布を得るための方法を説明する。
【0167】
(狭い表面積対質量比分布を利用する処理;静電式分離)
種々のプラスチックは、それらの相対的な帯電特性に基づき分離できる。そのような装置の例として、例えば、帯電粒子が電場を落下して通過する装置及びコンベヤベルト上の粒子がそれらの電荷に基づく電位に引きつけられる装置が含まれる。主な静電式分離技術の一つとして、摩擦電気式分離(TES)が知られている。
【0168】
TESは比較的簡単な技術である。典型的にいえば、粒子が他の粒子に接触した時又はTES分離機の処理装置の部分に接触した時、粒子は電子を失うか又は獲得する。このような接触又は摩擦による帯電は、摩擦電気による帯電として知られており、更に。ここに参考のために加える米国特許第6,335,376号に記載されている。
【0169】
帯電された粒子は、TES分離機における高電圧の電場を通過する間に、それらの電荷対質量の比に依存して偏向する。例えば、初期速度がゼロで水平の電場を垂直に落下する粒子は、粒子の電荷対質量比に比例した量で水平方向に偏向する。実際にこの偏向は、数cmから50cm以上の範囲で偏向する。図7に、このような分離機での帯電粒子の偏向を図で示す。
【0170】
TESが出会う困難の一つは、混合物中の種の電荷対質量比の分布が存在することである。また、これは電場を落下して通過したあとの粒子の偏向に分布が生じることを意味する。この分布の幅が広ければ広いほど、多様なタイプの材料を電離するとは思えない。高純度の生成物をもたらす一貫した分離を達成するためには、TES分離機に送られる粒子の電荷対質量比を制御することが必要である。
【0171】
粒子の偏向の分布を決定する電荷対質量比は、表面積当たりの電荷の分布からの寄与分と表面積対質量比の分布からの寄与分が含まれる。一貫した適切な分離を達成するために、これらの分布の両方を制御することが重要である。
【0172】
参考のために本明細書に加える米国特許第6,452,126号に記載された、媒介された摩擦電気による分離によると、消費者使用後(post−consumer)のプラスチックとして複合されかつ変動する、混合物中のプラスチックをより一貫して有効に帯電させる。媒介は、混合物に対するは媒体として知られる特別な成分を添加することにより、分離する粒子の表面積当たりの電荷を制御するものである。分離する成分の電荷が、媒体に関するそれらの帯電能力だけによって制御されるほど過剰に媒体を混合物に添加する。
【0173】
また、表面積対質量比の分布は、TES分離機を使用しできる限り良好な結果を得るために、狭くすべきである。耐久性消費財からの混合されたプラスチックのような複雑な流れにおいては、粒子サイズと粒子の厚みの両方に分布が存在し、その結果、表面積対質量比の広い分布をもたらす。例えば、図8に、摩擦電気式分離機で分離されたプラスチックの粒子の寸法に匹敵する、多種の厚みと直径の円板に関する表面積対体積(質量に比例する)の比を示す。ある円板に関して、薄い粒子の表面積対体積比は、厚い粒子のそれよりもはるかに高い。
【0174】
表面積対質量の比を制御する装置で、典型的には、狭い表面積対質量比の分布を有する2以上の画分を回収する。これらの画分を、具体的に所定の表面積対質量比に調整されたTES分離機に送ってよい。ある流れに関して、静電気に基づく分離は、サイズI又はサイズIIのプラスチック(例えば、電荷を保持できる絶縁体)を、金属(例えば、急速に電荷を失う導体)から分離するために有用である。より複雑な分離機に関して、広い電荷対質量比の分布が存在する場合、2より多い成分が存在する場合又は異なるプラスチック成分の相対的な量が変動する場合に困難が生じる。
【0175】
静電気による選別の原理は、電場の影響のもとでの粒子の偏向を利用している。静電気力は粒子の電荷に比例し、粒子の加速は力を質量で割った値に比例する(F=ma)。これは、電場による粒子の加速が粒子の質量当たりの電荷に比例することを意味する。今度は、これは電場により誘起された偏向が粒子の質量当たりの電荷に関係することを意味する。電荷対質量比の広い分布が存在すれは、電場で誘起される偏向に広い分布が存在し、分離は妥協的なものになる。
【0176】
プラスチックフレークが保持できる電荷は、表面積に比例し、従って、プラスチックとプラスチックの分離が成功するかどうかは、分離される材料の狭い表面積対質量比の分布が存在するかどうかに左右されよう。狭い表面積対質量比の分布を達成する方策を、“表面積対質量の制御”に関係して議論する。
【0177】
狭い表面積対質量比の分布を達成することに加えて、狭い電荷対質量比の分布を得るために十分また一貫して粒子を帯電することが望ましい。プラスチックフレークの複雑の混合物中のフレークの帯電は多数の方法で制御できる。
【0178】
TES装置は、TES装置への供給物中のプラスチック材料を一貫して且つ均一に帯電する方法を利用するものである。このような帯電を制御する方法のひとつは、参考のために本明細書に加える米国特許第6,452,126号に記載されているような媒介法である。参考のために本明細書に加える2002年7月22日に出願の仮出願番号第60/397,980号に記載のように、プラスチック混合物の電荷を制御するため種々の技術が使用できる。
【0179】
また、帯電を制御する方法として、導電性媒体が使用できる。カーボンブラック、鋼繊維または鋼球を加えることにより生成できる導電性媒体をシートに製造しTES帯電装置の裏を覆う。このようなシートは、注文仕立ての(tailored)媒介シート(TMS)と呼ばれる。TMSが摩擦電気による分離処理のための帯電媒体として効果的であるためには、TMSに使用された材料が、混合物の成分を比較的高くまた指定されたレベルまでかなり長い間にわたって一貫して帯電することが可能なものでなければならない。プラスチックを高いレベルまで帯電させる能力は、媒介材料を適切の選択することにより得られる。多くの場合、そのような材料は絶縁体であるが、それらは電荷ですぐに飽和する。媒介表面が完全に帯電されれば、もはや一貫して、混合物の成分を帯電することはできない。
【0180】
TMS材料の、混合物と接触する面から電荷が除去できるTMS材料を選択することにより、一貫した帯電が達成できる。これは絶縁体をより導電性にする成分を絶縁体に加えることにより達成できる。実施例25に、導電性媒体から作られるTMSの製造と評価の一例を示す。
【0181】
低表面積対質量比の流れと高表面積対質量比の流れとは表面積対質量比が異なるので、粒子が同じ電場を通過する時粒子の偏向が異なる。高い表面積対質量比の粒子は、低表面積対質量比の粒子より大きく偏向する。従って、実施例24に示すように、高純度の生成物を得るために異なる電圧を使用することが可能である。
【0182】
高表面積対質量比(L)の流れと低表面積対質量比(H)の流れとを別々のTES分離機に送ってよい。図9に示すように、2つの分離機の帯電されたブレートの電圧は、異なる電場をもたらすようにプレートの間隔を変える一方、同じ供給電力を用いて制御できる。また、2つの分離機に対し別々の供給電力を使用して別々の制御可能な電場が得られる。
【0183】
異なる制御された表面積対質量比を有する流れが2つだけである必要はない。幾つかのタイプの表面積対質量比による装置又は多段階の表面積対質量比による装置を使用して、より狭い表面積対質量比を有する3つ以上の流れを得てよい。それ故、幾つかの実施の場合、特に画分それぞれに対して分離機を調整することができる。
【0184】
不定数のS/mの画分の限られた場合、図10に示すように、連続的に変化する単独の分離機を設けることができる。この場合、最も低い表面積対質量比を有する材料を、プレートが互いに密接に置かれたTES分離機に送り、最も高い表面積対質量比を有する材料を、プレートが更に離れて置かれたTES分離機に送る。中間の表面積対質量比を有する材料を中間的な箇所に送る。
【0185】
粒子の偏向に対する電場の作用は、他の技術を使用して制御できる。電場での落下時間は、帯電粒子に力がかかる時間を定めるもので、より短いプレートを使用して変えることができる。低い初速度を有する粒子は、高い速度で移動する粒子と同じ距離を落下するのにより長い時間がかかるので、電場の始めに関係した粒子を落下させる箇所を上昇又は下げることにより、電場での落下時間をかなり調整することができる。また、落下粒子が受ける有効電場は、プレートの角度を変えることにより制御できる。図11は、異なる有効電場を備えるTES分離機の側面図である。より高い表面積対質量比を有する粒子には、より低い有効電場が必要であり、従って、垂直を基準とする角度がより大きい。この制御方法の利益の一つは、プレート間のギャップ、落下高さ又はプレートの長さより、角度がより簡単に調整することができることである。
【0186】
落下粒子か受ける有効電場変える別の方法は、プレート間の電場に誘電材料に挿入することである。誘電材料を電場に挿入することにより、電場の強さを選択的に減少できる。所定の厚さのPVCシートを、落下粒子を妨害しない方法で電気的に負荷されたプレート間に挿入してよい。低い電場が必要とされる端部では,PVCシートをより長く(粒子の落下方向で)、また、低い表面積対質量比粒子を分離機に送る分離機の幅部分では短いか又は存在させないようにしてよい。このように、誘電シートの垂直方向の位置を変えることにより、分離機を簡単に調整できる。別の方法として、低表面積対質量比の粒子が落下する分離装置の端部においてはより薄く、また、高い表面積対質量比の粒子が落下する装置の端部ではより厚くした、多様な厚みをもつ誘電体を使用してよい。他の方法として、プレート間の電場を実質的に排除する厚みの誘電材料を選択でき、このようにして、電場を受ける落下粒子の時間を減少させる。厚い誘電体を電場の先端から挿入して、電場の上部を部分的に阻止して、所定の材料の偏向を制御するために適切な落下距離に選択するようにしてよい。
【0187】
TESに先立つ処理のある点で、表面積対質量比の制御を実施できる。表面積対質量比による分離は、処理全体での非常に初期に又はTESのちょうど前に実施できる。TESのちょうど前に表面積対質量比による制御を行うことにより、材料の初期の処理を簡単にできる。初期の処理技術の多くは、多分、粒子の表面積対質量比に左右されないからである。また、TESの後に表面積対質量比の制御技術を使用できる。しかし、この場合、その技術は表面積対質量比の制御のためというより分離のためのものである。
【0188】
表面積対質量比の制御は、図10に示すようなTES分離機と一体化できる。表面積対質量比の連続的な分布を与える、表面積対質量比による分離機を考慮する。このような分離機は、Forsberg.Inc.(Thief.River Falls,Minnesota)製のもののようなロール式選別機又は真空重力式テーブルでよい。このような装置からの処理物は、TES分離機の先端の長さに沿って分布され、振動パンフィーダによりTES分離機に送ることができる。また、処理物を振動パンフィーダを使用することなく直接送ることができる。
【0189】
表面積対質量比による選別機からの非常に薄い又は非常に厚い画分が望ましくない場合がある。例えば、厚くなる傾向にあるゴム粒子を、TESの前又は後のどちらでも除去できる流れに濃縮してよい。
【0190】
TESに多数の異なる予備帯電された供給材料が供給された場合、これらの供給材料を、単独の振動フィーダで異なるレーンに分離できる。他の方法として、多数の振動フィーダが使用できる。材料を帯電制御媒体に暴露し、その後、異なるS/Mの画分を、混合物の異なる成分を適切な程度偏向させるように電場が精密に調整されたそれぞれの分離機に送ることができる。ある実施の場合、3つのレーンの振動フィーダを用いて、それぞれのレーンの再生可能な帯電制御材料又は媒体に暴露できる。他の方法として、寸法による分級と、媒体が強磁性添加物を含む場合磁気的な暴露とを含む幾つかの手段の1つを経て、混合物を分離装置に送る前に、媒体を帯電混合物から除去してよい。その後、混合物のそれぞれの画分を、3つの異なる強度の分離機を落下させて通過させ、混合物の異なる成分を偏向させて生成物除去装置に入れる。この生成物除去装置は、一連のオーガー、移動ベルト、振動フィーダ又は他のこのような装置でよい。多様な浄化された生成物を分離機の側まで移動させ収集する。このように、ある実施の場合、異なる表面積対質量比により分離された画分から浄化された生成物を順次収集する多レーン振動フィーダが設けられる。これらの画分を、いったんTES分離機を用いて浄化した後混合共に混合できる。所定の重合体の異なる表面積対質量比による画分が異なる機械的、色又は処理性質を持てば、これらは混合することなく回収できる。このように混合することなく回収することは、振動又はオーガー収集装置にトラップドアを使用するか又はベルト収集装置にフラウ形ディバーターを使用することにより達成できる。
【0191】
図12に、単独のTES装置を用いて15以下の生成物を収集する例を示す。このTES装置は、3つの表面積対質量比による画分を含み、また、5つの可能な生成物レーン(大抵の場合、静電式分離装置の底に4つの調整可能なディバーターを必要とする)。この装置で、収集装置の単独のレーン内の異なる表面積対質量比を有する幾つかの生成物を組み合わせることができる。この装置で、より少ない又はより多い表面積対質量比による画分を提供でき、また、生成物を2から11の異なるレーン内に送ることができる。このような収集装置において多数のレーンを有する振動コンベヤーと自動トラップドアを使用できる。
【0192】
タイプAのプラスチックとタイプBのフラスチックとの静電式分離を考察する。プラスチックAとプラスチックBとを一貫して帯電するために、成分A,Bを含有する混合物に、少量の他の成分C,Dだけでなく第三の成分を添加することが有用である。材料Qは、AとBの間の帯電特性を有し、フレーク又はペレットのような移動可能な形状のものでよい。材料Qは、供給材料混合物のフレークより大きくても小さくてもよい。好ましくは、媒体Qは、Rの含有量が高い生成物の流れ及びSの含有量が低い生成物の流れから容易に分離される。
【0193】
典型的には、静電式分離機に送られるフレークの混合物を溶融配合することによりQを製造できる。押出し物をペレット化して媒体ペレットQを形成し、これは媒体として使用するために造粒できるシートに形成されるか又は媒体粒子に適切な部品に成形される。
【0194】
この三番目の成分は本来微粒状である必要はなく、また、A又はBに似たプラスチックである必要もない。例えば、帯電系を、プラスチックA、Bを特徴的に帯電することに至る塗料で塗装してよい、この場合、塗料はこのような供給材料混合物に対して特別に工夫されたものである。
【0195】
プラスチック、金属又はセラミックの小さい片を塗装するか及び/又は媒介の面で被覆する。好ましくは、これらの片をAの含有量の高い生成物の流れとBの含有量の高い生成物の流れから容易に分離する。
【0196】
帯電系をQのようなプラスチックから構成できる。これにより、材料の分離と操作の問題を簡単にすることができる。
【0197】
多数のプラスチックのタイプが存在する場合、静電式分離の単独の段階で成分を完全に分離することは困難であろう。所定のプラスチックのタイプに関し電荷対質量比の分布が狭いことは好ましい。しかし、多成分の混合物の分離は多段階で行うことが好ましい。
【0198】
また、静電式分離処理後の生成物の純度は、供給材料の組成に依存する。前述のように帯電と表面積対質量比の分布を注意深く制御することに加えて、供給材料の組成の変動を減少させるために、予備混合された技術が使用できる。また、生成物の純度の変動を減少させるために多段階の使用が役立つ。
【0199】
供給材料に依存するが、1以上の段階で静電式選別処理を行うことができる。望ましい生成物は、2以上の生成物の流れで、押出しが容易にでき、副産物の量がごく僅かである。
【0200】
2以上の成分の混合物を分離して比較的純粋な成分を分離するためには、大抵の場合、2以上の静電式分離段階を必要とする。図13に、静電式分離機の弐段階配置を示す。この分離機で2つの主要な生成物と、痕跡量の不純物C,Dを含むことがある副産物とを生成する。
【0201】
実施例24に、耐久消費財からプラスチックを再生する場合に共通に見られる特別な流れを浄化するために、1以上の段階の静電式分離が使用されてよい実施の場合を説明する。また、表面積対質量比の制御の利益を示す。
【0202】
典型的には、TES分離処理には、1以上のディバーターが含まれ、これにより、生成物がTES装置の低部の範囲にわたって収集されるかを決定される。ディバーターは、供給材料混合物の性質に従って位置が定められる。変動し得る供給材料組成の場合、生成物の品質を制御するために、リアルタイムでディバーターの位置を調整することが可能で背ある。生成物の流れに対する測定点と設定点での質量の流速の間の偏差を限定することにより制御が達成できる。
【0203】
ある流れの全体的な電荷がある範囲内にあることを要求することにより、更に制御を行うことができる。
【0204】
(狭い表面積対質量比の分布を利用する処理:密度差変更処理及び泡浮上処理)
密度差変更処理(DDA)は、別の表面積対質量比に依存する処理である。分離されね材料のタイプに依存して、静電式選別又は泡浮上処理の代わりに、前に又は後にDDAを使用できる。
【0205】
DDAの機能は、材料を加熱し膨張させることにより無定形の材料の体積を増加させることである。プラスチック材料に捕捉された湿気や気体は、材料がガラス転移温度以上に加熱される時、泡を形成する傾向にある。泡の形成は粒子の体積を増大し、密度を減少させる。
【0206】
プラスチックフレークへの熱の移動は、加熱される表面積に比例し、所定の材料の密度の減少り程度は材料に移動した単位質量当たりの熱量に左右される。狭い表面積対質量比の分布を有するプラスチックは、DDAを使用して効果的で鋭い効果を示す。フレークを加熱する方法はフレークの有効表面積を決定できる。粒子の放射又は輻射熱は、粒子の全表面の半分だけしか加熱できない。
【0207】
低粘度材料は高粘度材料より迅速に密度が減少する傾向にある。これは、より厚い射出成形のグレードの材料と押出し成形グレードの材料との間の厚みの差を更に増大させる方法を示唆している。
【0208】
DDAの後、密度による分離又は厚みによる選別のような技術を使用して粒子状材料を分離できる。また、DDA処理の間に密度が増大する材料は、より厚くなる傾向にある。
【0209】
泡浮上処理は、別の、分離される粒子の表面積対質量比の分布に依存する処理である。泡浮上処理は、あるタイプのプラスチックの表面に泡が選択的に付着することを利用している。これらの泡は、粒子の見かけ密度を減少させ、それ結果。同じ密度の粒子に関して泡が付着することなく浮上する能力が得られる。この見かけ密度の調整は、より高い表面積対質量比を有する粒子に対してはより大きく、従って、泡浮上による分離は、表面積対質量比のかなり均一な分布を有する混合物には最適である。
【0210】
(混合)
前処理と寸法減少処理に関係して上記に述べたように、続く処理への供給材料を安定化させる方策の一部として混合をこれらの処理の前又は後に使用できる。供給材料の組成を安定化させるために、効果的な混合処理を使用しても、ある分離処理での変動が、時間の経過と共に生成物の純度の変動をもたらすことがある。従って、押出し処理に先立って及び/又は後に材料を混合することが望ましい。
【0211】
押出し処理後の混合が適切になるように、均一な粒子を得るため最も効果的な混合を行う。しかし、押出し機に送られた材料の変動が大きければ、様々なペレットの外観及び/又は性質にある程度変動が起きることになる。処理は供給材料が一定になる時に行われることが好ましいので、処理の大部分が行われるのに先立って材料を混合してよい。これを、密度による分離処理に先立ちサイズIIIの材料に対して行う場合十分に作用する。
【0212】
続く段階での処理に変動の可能性があるので、分離システムへの供給材料が一定である時でさえ生成物のペレットに変動か生じることがある。このために押出し処理後に行う混合機が必要であろう。
【0213】
押出し処理の直前に混合を行ってよい。押出し処理は、比較的十分に制御された処理であるので、典型的には、押出し機に一定の供給材料を送ると、一定の生成物が得られる。また、押出し処理の直前に混合することにより、供給材料のフレークを実験室的に検査して生成物の性質を予測し、また、目的の仕様を満たす性質になるよう支援する添加剤を選択できる機会が与えられる。
【0214】
(配合及び押出し処理)
分離されたフレークは一軸又は二軸押出し機により押出してよい。着色剤、衝撃性改質剤、酸化防止剤及び他の添加剤を正確に添加できる供給システムが、典型的には、押出システムと共に備えられる。
【0215】
押出し機の狭隘部に非常に強力な磁石を備えてよい。金属片及び他の磁性材料片が押出し機から除去できるからである。
【0216】
加水分解に対して安定な重合体のペレットの品質と水分に対して敏感な重合体の生成物の品質とを向上させるために、真空揮発防止システムを備えてよい。ナイロン、ポリエステル、ポリカーボネートのような加水分解可能な重合体のため予備乾燥を設けてよい。
【0217】
押出しシステムの他の構成部分として、固体又はゴム状の汚染物を除くことができる微細なメッシュのスクリーンを含んでよい。典型的には、スクリーンのメッシュ径は40〜120の範囲にある。
【0218】
典型的には、押出し機への供給材料は、ゴム、木質物、金属及び熱硬化性樹脂のような汚染物を、押し機で処理する未使用プラスチックの場合と比較してより高い水準で含む。従って、スクリーン交換システムを備えることが望ましい。この典型的な例は、スクリーンに加えられる圧力がある値を超えた場合自動的に逆流する機能を有するスクリーン交換機である。
【0219】
ある状況の下では、押出し処理されるフレークの汚染物のレベルが非常に高く、汚染物を許容可能なレベル以下に除去しながら押出し処理することが困難な場合がある。一番目の通過に粗いスクリーン(例えば、40メッシュ)を使用し、二番目の通過でかなり細かいメッシュ(例えば、100メッシュ)を通過させる。このように2回通過させる押出しで、若干費用がかかるが、高い汚染物レベルの材料の押出し処理が改良される。ある場合、材料の一部だけを、二回通過させて押出し処理してよい。これにより、二回目の通過で残る材料と既に押出された材料とを組み合わせる押出し処理が可能になる。
【0220】
押出しシステムの別の望ましい観点として、添加剤、未使用のプラスチック又はその他のプラスチックをMBA分離プロセスから回収されたプラスチックフレークに添加できることである。このような配合物の組成は、2002年7月22日に出願の仮出願第60/397,980号に詳細に記載され、参考のため本明細書に加える。
【0221】
当業界に標準的な装置を使用してペレットが形成できる。微細物のない均一な寸法の生成物を得るため、ペレット化の後に、スクリーニング及び吸気システムを設けることが望ましい。
【0222】
また、プラスチックのフレークを押出して直接シートにするか又は共押出しされたシートの層にしてよい。
【0223】
(プラスチック再生処理の配置の例)
以下に説明する多様な処理の幾つかの配置が可能である。典型的には、処理の順序は、処理される供給材料源のタイプ(又は複数)、これら供給材料源の地理学的な由来、供給材料源からのプラスチックの一時的な分布及び所望の生成物の範囲と品質のような要因に左右される。
【0224】
異なる供給材料は、異なるタイプのプラスチックと異なる汚染物とを含む。あるタイプの供給材料の処理に有用な処理の配置が、他のタイプの供給材料には役立たないことがある。
【0225】
また、供給材料の地理学的な由来が、プラスチックの組成に影響することがあり、このプラスチックの組成で分離処理の配置を決定できる。世界の異なる地域で、同じ生成物に対して、異なるタイプのプラスチック又は異なる色の同じプラスチックが使用される。これは、異なるプラスチックのグレードの利用可能性、経済的な要因、消費者の好み又はプラスチックと添加剤のタイプを決定する規制によるものであろう。
【0226】
供給材料源のプラスチックの一時的な分布は、さまざまな分離処理の配置を支配する別の要因であろう。ある用途に使用すされたプラスチックのタイプとグレードは時間と共に変化する。このような変化は、改良されるグレードのプラスチックと添加剤の利用可能性、変化する経済的な要因、変化するプラスチック処理技術、消費者の好み又はプラスチックと添加剤のタイプを決定する規制のような要因による。
【0227】
所望の生成物の範囲と品質は、多様な分離処理の配置に大きい影響を持ちうる。比較的複雑な供給材混合物から純度の高い生成物を得ることが要求されれば、多分、多くの段階を含む多数の分離処理が必要であろう。高純度生成物に関して潜在的な生成物の中の幾つかだけが目標とされる場合、処理全体の後の部分に使用される分離処理は少なくてよいだろう。
【0228】
図14〜20に、処理全体における分離処理の配置の例を示す。多様な分離処理のそれぞれに対して、多くの変更が存在する。
【0229】
典型的には、2以上の流れが分離処理の幾つかの中から排出される。生成物のそれぞれは異なる成分を含有し、それらは材料を完全に浄化するためには分離処理の異なる配置を必要とする。以下の図に示す配置の2以上のものが単独のプラスチック再生ブラントに含まれる。
【0230】
図14に、非常に多様な供給材料のタイプに対して良好な生成物を生成できるさまざまな分離処理の配置の一例を示す。この配置に用いられた成分分離処理は、すべての処理が適切な粒子サイズに対して使用できるような順序にあるので、この配置は非常に多種多様な場合に適用できる。
【0231】
図15に、厚み/摩擦による選別を利用する配置を示す。この配置では、サイズIIIの材料に対して、重力式濃縮に先立ち厚みによる選別を行う。また、サイズIIの材料に対して造粒に先立ちこの選別を行ってよく、同じ効果が得られる。この配置の利益の1つは、発泡体やゴムのような汚染物を処理全体の比較的初期に除去できることである。
【0232】
典型的には、色による選別処理は重力式分離後に行う。これは、色による選別を処理全体の初期に行うと、続く重力式分離やその他の処理に、二倍の数の処理ラインが必要となるからである。しかし、ある場合には、色による選別を、重力式分離の前に、また更にサイズIIIの材料に寸法を減少する前に行う。ある場合、色選別のより強力な方法によりある密度の材料すべてを除去して、重力式分離を著しく簡単にできる。実施例13に示すように、サイスIIの材料の色による選別は、この寸法のフレークに極めて有効であるので選択することができる。図16に、処理全体の初期に色による選別を配置することを示す。
【0233】
ある場合、プラスチックの異なるグレードのものが異なる厚みを持つことがある。図17に、別個のグレードのプラスチックを単離するために厚み/摩擦による選別を使用する場合の分離処理の配置を示す。実施例29〜32は、このような配置の厚み/摩擦による選別処理の多数の適用を示す。
【0234】
ある生成物に関して、すべての分離処理を使用することなく十分な純度を得ることができる。例えば、重力式濃縮において特別な密度による画分に唯一の材料を属する場合、図18の配置を用いてよい。色による選別は、色の分布に依存して、この配置に含まれても含まれなくてもよい。
【0235】
ある実施の場合、処理全体における異なる段階で同じ処理を繰り返すことが必要又は望ましい。例えば、図19に、2つの色による選別段階を含む配置を示す。これは、色による選別が最初の色による選別段階では完全でないか、又は、異なり設定を用いた色による選別がこの処理の後半に必要な場合に有益であろう。
【0236】
ある実施の場合、重力式濃縮を含まない処理の配置が使用できる。あまり複雑でない混合物の場合又は他の分離技術が密度による分離と同じ程度以上に有効な場合、図20に示すような配置が使用できる。重力式濃縮を使用しない利益の一つは、排水処理の問題が減少することである。
【0237】
図21に示すように、処理の初期に加えられた分離処理の終わりに重力式濃縮が使用できる。この配置の利益は、重力式濃縮が処理の終わりの最終的な浄化処理として使用できる。更に、処理のこの段階で別個のグレードに重力式濃縮が使用できる。図22に示すように、また、重力式濃縮を分離処理の終わりに使用できる。この配置によると、図21に記す配置よりも少量の材料に対して重力式濃縮が行え、他方、グレードによる浄化と分離が達成される。
【0238】
図23に示すように、混合が必要としないほど供給材料の混合物と処理とが十分に一貫していよう。
【0239】
この生成物はフレーク状とすることができる。この場合、図24Aに示すように、押出し処理と配合は必要でない。
【0240】
ある供給材料の場合、表面積対質量比の分布が非常に狭く、SMDタイプの処理の前に更に表面積対質量比の制御を必要としない。図24bは、このような処理の流れの例を示す。このような処理は供給材料の組成の変動に対して強力ではないが、その利益は簡素化された処理の流れである。
【0241】
表2に、上記の各種の処理の変更の利益と不利益とを示す。上記のさまざまな処理は、本発明による多段分離方法の可能な多くの実施例を多数変更したものである。図24Cに、多数の他の可能な多段階処理を示す。図24Dに、多数の処理のサブグループを示す。
【0242】
このように、本発明による方法は、多数の色による選別段階又は多数の重力式濃縮段階を順番に又は互いに離れて含んで実施できる。各種の処理に対する供給材料の一貫性を改良するために、処理全体のさまざまな段階で混合を行うことができる。それぞれの分離処理の正確な選択と配置とは、上記の要因の多くに依存する。押出し処理と配合が含まれれる場合、それらは常に最後である。
【0243】
【表2】

【0244】
(厚み/摩擦による選別の使用による特別なグレードの生成物の生成)
厚み及び/又は摩擦による選別処理は、多様な供給材料に対して有用である。有用性の一例は、同じタイプのプラスチックの異なるグレードのものを分離できることである。
【0245】
白物製品の流れからの生成物を分離する場合に厚み/摩擦による選別を使用することは、非常に有用である。白物製品の流れの主成分には、典型的には、冷蔵庫や洗濯機からのプラスチックが含まれる。冷蔵庫はこの流れの主要部を構成する。冷蔵庫の主なプラスチックはABSとHIPSであり、PP,透明なPS、PC及びSANを少量有する。ABSとHIPSの割合は、地理的な由来と冷蔵庫の製造年月日に依存するが、以下に述べる観察は一般的に言えることである。
【0246】
このプラスチックの分離に伴う問題の一つは、それらの多くが似た密度を有する傾向にあることである。従って、重力式分離の段階で、例えば、2つり主成分と4つの少量のプラスチックからなるタイプのものを含有する生成物の流れを生成するであろう。静電式分離のような分離処理を更に行って完全に浄化することは、プラスチックのタイプとグレードの数の大きさにより困難であると判明するだろう。
【0247】
多くの場合、ABSは冷蔵庫のライナーの約1.6mm以下の薄いシートとして見られ、単層又は二層共押出し成形されたシートを熱成形したものである。射出成形されたABSは、厚い部品に見られる傾向にあり、存在する程度は低い。他方、HIPSはライナーの押出し成形されたシート又は野菜用トレー、冷凍庫のドア及び多目的の棚のような厚い射出成形された部品に見られる。HIPS製ライナーは1.6mmより厚いことが多く、また、射出成形されたHIPSは厚みが3mmを超える場合がある。従って、HIPSはABSよりもはるかに厚い傾向にある。典型的には、冷蔵庫に見られるPPは温度調整ダイアルに使用された高充填のPPである。PS,SAN及びPCは格子形クリスパー及び同様の厚い、透明な射出成形された部品に使用される傾向にある。これらの材料の多くは、ABSの大部分と冷蔵庫に見られるHIPSの多くより厚い。洗濯機は大量の非充填PPを含有する。このPPのグレードは、部品の厚みと複雑さとに左右されよう。これは上記の冷蔵庫用プラスチックのあるものとは異なる。
【0248】
従って、厚みによる選別が浄化に有用であろうし、また、複数のグレードのABS、HIPS及びPPを単離するために使用できよう。以下の実施例は、改良されたグレードのプラスチックを生成するために厚みによる選別が使用できる例を示す。
【0249】
(臭素を含有するプラスチックの除去する処理の選択)
典型的には、混じり合った電子機器の流れからの廃プラスチックには、Underwriters Laboratories及び他の国の同様の公共的な機関により要求されているような安全性の要求を満たすため難燃剤を含有するプラスチックが含まれる。Brを含有することが非常に多い部品には、コンピュータのモニターのハウジングとテレビジョンのハウジングが含まれる。
【0250】
消費者が認識し、また、法規上強制されているために、臭素を含有するプラスチックは、臭素のないプラスチックから分離できる。幸いなことに、プラスチック生成物から臭素を除去するため多数の手動式の技術及び自動化された技術の両方が存在する。Brを含有するプラスチックを臭素化されていないプラスチックから手動により分離する処理は、部品全体に関して行うことができる。コンピュータのモニターとテレビジョンを他の電子機器のプラスチックかせ単離するすることは、非臭素化プラスチックから臭素を除去するための一つの段階である。同様に、他のプラスチック部品も臭素を含有しているかもしれず、従って、手動による分離には、手で保持するタイプのXRF分光計のような確認技術を含ませてよい。費用の点で、手動による分離は自動化された技術ほど効果的ではない。更に、同定の間違いや他の人為的な誤りの結果、完全でない分離になることがある。それ故、自動化された分離技術を使用することが望ましい。
【0251】
Brを含有するプラスチックをBrのないプラスチックから分離することができる多数の自動分離技術が存在する。このような技術には、固有の性質の差と外部からの性質の差との両方を利用するものが含まれる。プラスチックに多量のBrが含まれる場合、そのプラスチックの密度はかなり高くなる。典型的には、Brが5%以上のレベルで存在するので、臭素化されたプラスチックの密度は、非難燃化プラスチックの密度より、典型的には、0.05g/cm以上高い。このように大きい密度差がある材料を、沈下−浮上槽又は液体サイクロンのような分離機を使用して分離することは比較的容易である。
【0252】
しかし、密度による分離は完全なものではなく、少量ではあるが測定可能な量の高密度のBr含有プラスチックが低密度生成物の流れに属することがある。特に、これは密度による分離システムに送られた材料の組成が変動可能な場合に言えることである。広範囲の供給材料の組成に関して、より高い密度の臭素化プラスチックの殆どすべてを除去できる二段階で密度を区切ることができる。
【0253】
典型的には、臭素化及び臭素化されていないプラスチックの密度による分離は、水より高い密度で行わなければならない。従って、密度を慎重に制御することが重要である。高い密度で分離スラリーの密度を制御する技術は、2002年7月22日に出願の仮出願第60/397,808号に記載され、参考のために本明細書に加える。
【0254】
実施例33に、臭素を含有するプラスチックを除去するために使用できる、分離密度を慎重に制御すると共に、二段階の密度による分離処理(DPDS)の利点を説明する。実施例34に、湿式篩装置のような上昇流れの分離機を使用して大抵の臭素含有プラスチックを除去することを示す。
【0255】
Brを含有する粒子を排出できる装置が存在する。臭素化プラスチックの排出を制御するために、Brの強力なX−線蛍光Kα信号の検出が使用てきる。この技術は、少量のBrを含有する流れに対して最も適切に作用する。従って、密度による分離のような、広範囲の組成に対し効果的に使用できる他の技術の後にこの技術を使用することが最も適切であろう。
【0256】
臭素化された難燃剤がプラスチックに多量に存在すれば、当然、Brを含まないプラスチックに関係するプラスチックの電気的性質を著しく変えるであろう。従って、これらのプラスチックの電気的性質の差により、プラスチックの表面が互いに接触している時、当然、一方のタイプのプラスチックが他方のタイプのプラスチックに関連して正に帯電するという結果になろう。
【0257】
タイプの異なるプラスチックの間又は異なる添加剤を有するプラスチックの間には、帯電の違いか存在する。従って、TESを用いて臭素を含有するプラスチックを分離することが可能である。実施例27,28に、Brを含有するプラスチックをBrのないプラスチックから分離いるTESの実現可能性を示す。
【0258】
プラスチックの色は、難燃剤が存在するかどうかに関してできることは殆どないが、ある混合物中の臭素化プラスチックはある色を持つ傾向にある。例えば、家庭用電気器具からのプラスチック混合物を考察する。典型的には、冷蔵庫や他の白物製品からのプラスチックは臭素を含有せず、また、白色である。他方、典型的には、テレビジョンは黒色であり、大抵臭素を含有する。従って、テレビジョンのプラスチックを色による選別で除去することにより、最終生成物での臭素含量かかなり減少できる。
【0259】
臭素を含有するプラスチックからなる部品は、臭素を含有しないプラスチックからなる部品に比較して厚い壁部を持つ場合がある。臭素化難燃剤がしばしは多量に添加され、プラスチックの機械的性質が損なわれることが多く、部品が厚く形成される場合かしばしばある。特に、このことはコンピュータのモニターに関して言える。
【0260】
また、再生プラスチック生成物に見られるBrの量を慎重に制御できることは重要であろう。参考として本明細書に加える、2003年4月に出願の、L.E.Allen,III,B.L.Riise及びR.C.Rauによる米国特許出願番号第 号に記載されているように、プラスチック製品に少量のBrとSbが存在することは、その材料が消費者使用後の再生プラスチックを含有していることの目印として役立つ。
【0261】
(供給材料混合物からのエンジニアリング熱可塑性プラスチックの回収方法の例)
収率を向上させるために、エンジニアリング熱可塑性プラスチック(ETP複数)を、オフィスオートメーション装置(OA)からのような混合された流れから回収してよい。ETPには、変性PPO、ナイロン、PC及びPC/ABSが含まれるが、これらに限定されない。難燃性グレードのABS、HIPS、変性PPO、ナイロン、PC及びPC/ABSもまたETPとしてみなされる。ETPの回収は、これらの材料の混合物が複雑であり、多くの供給材料の流れにはこの材料が大量にまた一貫した量で存在しないので、大きい難問である。
【0262】
EPT混合物の別の側面は、BrとSbをベースとした難燃剤を含有する難燃グレードのABSとHIPSとがしばしば存在することである。これは、すべての製品か少なくとも少量のレベルのBrとSbを含むであろうこと、及び、プラスチック製品に低いレベルのBrとSbが存在することは、上述のように、それらがETPを含有する消費者使用後の流れに由来するものであることを示すものである。
【0263】
ETPの回収には、1以上の段階で摩擦電気装置(TES)が必要であると思われる。実施例27、28に、分離処理にTESを使用することを説明する。また、ETPの回収には、二重精密密度式分離(DPDS)が必要であろう。
【0264】
色による選別のような他の分離処理もある条件の下では役立つであろう。これは、あるタイプのETPがある色をもつ傾向にあるので言えることである。同様に、特にあるプラスチックは他のプラスチックよりも厚い傾向にあるので、厚み及び摩擦による選別のような分離もETPの分離に役立つ。表面積対質量比の制御も、表面積対質量比に依存する他の技術と同様にTESを改良するために有用である。異なるETPは軟化点と粘度の性質が異なる傾向にあるので、ETPの分離には密度差の変更処理が役立つ。
【0265】
実施例35に、分離されるETP混合物の例と、処理の流れの例とを示し、分離(TESとDPDSの両方を含む)のための可能性のあるモデルを与え、生成物の性質を制御するためDPDSがどのように使用できるかを論じる。
【0266】
(各種の供給材料の流れに対する潜在的な製品)
全体的な再生処理から生じる生成物のタイプは、供給材料のタイプ、供給材料減の位置、供給材料の一時的な混合及び処理の配置に劇的に依存する。
【0267】
また、好ましくは、主なタイプのプラスチック生成物は、供給材料の主要プラスチック成分でもある。典型的には、供給材料のプラスチックのタイプは、供給材料のタイプと供給材料の地理的な由来とに依存する。表3に、多様な供給材料の流れに見られる典型的な主要(M)プラスチックと少量(m)成分のプラスチックを示す。
【0268】
【表3】

【0269】
また、典型的には、再生処理から生じる多様な生成物は、分離処理の全体的な配置に依存する。上記のように、プラスチック再生処理の全体的な配置には、1より多い多様な処理の変更が生じる。その一例として、米国白物製品を選別する仮定的な全体的処理を論じる。米国白物製品を選別する場合、2つのABSグレードとHIPSグレードを生成するために、標準的な処理ブラス厚みによる選別(図17)が実行できる。PPの流れには、よる簡単な処理(図18)プラス厚み/摩擦による選別が実行できる。図25に、処理の流れとその方法を実施して得られる製品との一例を示す。他の多くの処理の配置が可能である。
【0270】
所定の生成物を生成するために使用できる一連の単位操作が、処理の系統に関連して考えられる。この概念によれば、処理の流れは、供給材料混合物というより所望の産出に従って決定できる。ある与えられた生成物は、その個々が発生源の”先祖”の決まった一覧を有するが、所定の順序で経験した単位操作の決まった歴史をもつ。同じプラントが、ある日、ある生成物と、非常に異なった順序の単位操作を経験している二番目の生成物を生成しているであろう。これは、2つの生成物がプラントでの初期に分岐したからである。同様に三番目の生成物が、この再生ブランでの異なる点で分岐してしまい、更に別の処理操作の系統を持つだろう。これらの3つの生成物は、材料が分岐して完全に異なる最終的な処理段階を受けることができるまで、最初の数段階を共有していると思われる。これらの生成物は、”従兄弟”として考えられよう。この概念は、供給材料の混合物が変動しうるが、所定の供給材料の混合物の成分から所定の生成物を生成する処理は一定のままであることを認めるものである。
【0271】
処理段階の組織を論じ利益を説明する場合に、全体的な処理プラントの流れの概念図を示すことは必ずしも必要でない。一旦、既知の供給材料の混合物に基づき、生成すべき生成物の範囲が知られれば、それぞれの生成物の流れ系統を組み立てて全体的なブラントの流れ概念図にすることは簡単な仕事である。
【0272】
また、ある場合、調整された組成を有する生成物を産出するために、異なる流れからの生成物を再び組み合わせることが望ましいことがある。典型的には、そのような混合は、混合処理又は配合処理の時に行われるが、処理の初期のある点で実行されよう。
【0273】
以下の実施例で本発明を更に説明する。実施例は説明のためのもので、請求項に記載の発明の範囲を限定する意図はない。
【実施例】
【0274】
(実施例1:エア−レグ分離機を使用するプラスチックから金属の除去)
日本の白物製品に由来するサイズIの材料は、大きい塊、薄い金属片及びワイヤを含む多量の金属を含有した。入口速度を23m/sに設定したエア−レグ分離機に送った。表4に、供給材料、軽量物の流れ及び重量物の流れの中の大きい金属と小さい金属との重量百分率を示す。これらの結果は、エア−レグ分離機は、単独の段階で、例えば粉砕機のような寸法減少装置を損傷する恐れがある嵩高い金属を殆どすべての除去できることを示す。
【0275】
【表4】

【0276】
(実施例2:湿式篩を使用するプラスチックの分離)
日本の白物製品に由来するサイズIIの材料は、大きい塊、薄い金属片及びワイヤを含む多量の金属を含有していた。水上昇速度を0.13m/sに設定した重力式濃縮システムに送った。
【0277】
材料のタイプを、目標のプラスチック、重いプラスチック及び金属として範疇化した。目的のプラスチックは、密度が1.20g/cm未満のプラスチックからなった。重いプラスチックは、1.20g/cmより大きい密度のすべてのプラスチックを含んでいた。金属には、金属の塊、金属薄い片及びワイヤを含んでいた。
【0278】
表5に、供給材料、軽量物の流れ及び重量物の流れの中の目的のプラスチック、重いプラスチック及び金属の重量百分率を示す。これらの結果は、重力式濃縮システムは、単独の段階で、重い金属のすべてと重いプラスチックの大多数を効果的に除去できることを示す。
【0279】
【表5】

【0280】
(実施例3:サイズII用の自動車の破砕機による残滓の除去)
ゴムと発泡体を、厚み/摩擦による選別で廃プラスチック材料から除去できる。発泡体やゴムは比較的厚い傾向にあり、プラスチックら関して異なる摩擦性質をもつので、上記のような分離にロール厚み選別機が使用でこる。
【0281】
多様なサイズIIのプラスチックとゴムを、上方の隙間を1.6mmにまた下方の隙間を6.4mmに設定したスロット式厚み選別機に送った。表6は、薄い画分(<3.2mm)、中間画分(3.2−6.4mm)及び厚い画分(>6.4mm)に属する各種のプラスチックとゴムの百分率を示す。
【0282】
【表6】

【0283】
ゴムの大部分は厚い画分に属した。厚い画分に属したプラスチックの大部分は、曲がっているか又は角を持っていたので厚い画分に属した。従って、この分離は、サイズIIIの材料に対して更に良好であった。
【0284】
(実施例4:厚みによる異なる画分の重力式濃縮)
日本の白物製品に由来するプラスチックB(1.00から1.10の比重)とプラスチックC(1.10から1.20の比重)の混合物を、湿式篩を使用して分離した。
【0285】
図26は、2つの異なる寸法の範囲(サイズIIの1/2−3/4とサイズIIの3/8−1/2)における粒子の厚い粒子(厚み>3mm)と薄い粒子(厚み<3mm)に関する、湿式篩での水の上向き速度の関数としての軽量生成物混合物中のプラスチックBの%を示す。また、混合物全体に対するプラスチックBの%も示す。
【0286】
図26は、薄い材料に関してより高い速度まで、純度が保たれていることを示す。これは、寸法と厚みによる分離を施し、異なる画分を異なる速度で湿式篩を行うことにより、Bの最大の収率と最高の純度が得られることを示している。また、これらの結果は、湿式篩を使用してBの異なる厚みのものが分離できることを示す。
【0287】
(実施例5:プラスチック再生プラントへの供給材料の組成を安定化する厚み/摩擦による選別)
自動車用破砕機による残滓からのプラスチックは、非常に厚くなる傾向にある(>3mm)。他方、白物製品からのプラスチックは非常に薄くなる傾向にある(<2.5mm)。前処理センターが、様々な量での自動車用破砕機からの残滓と白物製品との混合物を受ける場合、その供給材料を分離して2つのより均一な生成物にし、その後、特別なタイプに供給材料に計画された別々のプラスチック再生処理に送ることができる。
【0288】
(実施例6:プラスチック再生プラントへの供給材料の組成を安定化する厚み/摩擦による選別)
自動車用破砕機による残滓からのプラスチックは、黒、赤又は暗い灰色のような暗色を持つ傾向にあり。他方、白物製品からのプラスチックは、ベージュ又は白のような明色をもつ傾向にある。前処理センターが、様々な量での自動車用破砕機からの残滓と白物製品との混合物を受ける場合、その供給材料を分離して2つの更により均一な生成物にし、その後、特別なタイプに供給材料に計画された別々のプラスチック再生処理に送ることができる。
【0289】
(実施例7:プラスチックフレークの湿式造粒)
図27に、6mmスクリーン又は1/4インチ(6.25mm)スクリーンを使用して造粒された、日本の白物製品からのプラスチックフレークの累積粒子サイズ分布を示す。図27に見られるように、湿式造粒による粒子サイズ分布ははるかに鋭い。
【0290】
(実施例8:液体サイクロンを使用した、混じり合ったオフィスオートメーション装置からのプラスチックの分離)
図28に、オフィスオートメーション装置から回収された混合物に見られるプラスチックの密度に関するヒストグラムである。
【0291】
0.008のEPを用いた(図2に示すように)、図28に示した混合物を分離すると、その分離密度が1.060であると予測できる。表7は、この分離から得たオーバーフロー生成物(密度が低い)及びアンダーフロー生成物(密度が高い)の収率と組成を示す。これらの結果は、この密度による分離でこの混合物を更なる分離のため濃縮するのに役立つ。
【0292】
【表7】

【0293】
(実施例9:DPDSを使用した、混合されたオフィスオートメーション装置からのプラスチックの分離)
図28に示す混合物を図4に示すようなシステムに送ると仮定する。3つの装置すべての分離密度は1.060であり、3つの装置すべてのEPは0.008である。
【0294】
表8に、単独の精密密度分離(SPDS)と二重精密密度分離(DPDS)に関する、オーバーフロー生成物とアンダーフロー生成物の予測された収率と組成を示す。表の示すように、SPDSに関連してDPDSを使用することにより、この分離処理は著しく改良されることが予測される。
【0295】
【表8】

【0296】
(実施例10:湿式篩によるプラスチックの分離)
日本による白物製品に由来するサイズIIIのプラスチックフレークの混合物を湿式篩装置に入れた。この混合物は、材料A(<1.0),B(1.0−1.1),C(1.1−1.2)及びD+(>1.2)を含有する。材料Aのすべては、流れることなく浮上した。材料D+は、研究で使用した流れ速度で浮上した。
【0297】
この湿式篩から得られた軽量生成物は、少量のプラスチックCと共にAとBを含有する。この軽量生成物を液体サイクロンに送り、密度による画分BとCを殆ど損失することなく、Aの殆どすべてを除去できた。
【0298】
浮上する材料の中の画分BとCを湿式篩装置の底で流動物として分析した。これらの画分は連続的に増加した。図29に、湿式篩装置での水の上向き速度の関数としてBの累積的な収率と重量%を示す。
【0299】
(実施例11:色による選別で改良された重力式濃縮又は色による選別を改良する重力式濃縮)
日本の白物製品に由来するプラスチックB(比重;1.00〜1.10)とプラスチックC(比重;1.10〜1.20)との混合物を、湿式篩装置を使用して分離した。混合物中のフレークは、非常に厚く(厚み;>3mm)、サイズIIであった。
【0300】
図30は、水の上向きの速度の関数として、濃くない(軽い)生成物とより濃い(重い)生成物との混合物中の明色のプラスチックの%を示す。また、図30に、濃くない生成物中の明色のフレークの画分が湿式篩装置の速度と共に減少し、より濃い生成物中の暗色のフレークの画分が湿式篩装置の速度と共に増加することを示す。これは、密度の高い暗色のプラスチック量の変動に対して着色物の組成を安定化させるため、低速での湿式篩処理が使用できることを意味する。
【0301】
湿式篩処理は、色による選別をする有用な技術である。ある場合では、難燃剤又はガラス繊維を含有するもののような多くの密度の高いプラスチックが暗色を伴うからである。
【0302】
(実施例12:重力式濃縮を使用する種々のグレードのABSの分離)
異なるグレードのABSは、それらの化学的組成(例えば、アクリロニトリル含量)及び重合体に添加された顔料の量に依存してかなり異なる密度を有するだろう。図31に、破砕された米国冷蔵庫から回収されたABSフレークの混合物の密度分布を示す。
【0303】
(実施例13:サイズIIのフレークの色による選別)
白物製品に由来する最大サイズが25mmで平均サイズが約13mmのフレークの試料を、直径が約5mmより小さい暗色のフレークを排出するよう調整されたベルト式色による選別機を使用して選別した。この色による選別機はで、欠陥のある粒子は、高速で移動するベルトの端部から落下し始めた後、空気を吹き付けることにより除去された。
【0304】
供給材料は、主に白色、灰色及び黒色のプラスチックであった。排出すべき黒灰色と黒色のプラスチックは、供給材料の約25%であった。
【0305】
表9に、これらの流れのそれぞれの暗色材料の画分と共に供給材料(F)、明色生成物(P)及び暗色排出物(R)の相対的な量を示す。
【0306】
【表9】

【0307】
(実施例14:サイズIIの材料の色による選別)
オフィスオートメーション装置からのプラスチックを使用して、明るい灰色のフレークと混合された黒色のフレークの各種の組成物を生成した。色による選別に最適の寸法を決定するために、多様な寸法範囲を検討した。
【0308】
図32に、滑りシュート式色による選別処理を使用して得られた、異なる粒子サイズ範囲に関して供給不足の組成の関数としての生成物の純度を示す。典型的には、このシュートはプラスチックフレークに使用されるものである。1/4(<6mm)より小さい粒子に対してよりも、1/4−3/8(6−9mm)の中間の粒子サイズの粒子に対しての性能が優れている。粒子が小さくなると、検出と排出がより困難になるだろう。
【0309】
(実施例15:色による選別を使用する白物製品からのPPの浄化)
日本の白物製品を由来とする密度Aの材料は、明かるい灰色、中間の灰色及び暗色(赤、青、褐色、緑、その他)のフレークを含有する。このフレークは、その大部分がPPであり、少量のPE,ABS及びHIPSが存在する。表10に、異なる色のプラスチックの組成を示す。
【0310】
【表10】

【0311】
これらの結果は、中間の灰色及びより暗色のフレークを除去する色による選別により、材料がHIPSの多くを除去できることを示唆している。この分離処理により、材料の更なる処理が簡単になろう。
【0312】
(実施例16:異なる摩擦と弾性の性質に基づくゴムの除去)
この実験では、日本の白物製品からのプラスチック含有量の多い材料を振動フィーダからシュートに約3cm落下させる。このシュートは水平に関して約60°の角度にある。材料はシュートを滑って下る。このシュートの長さは約5フィートの長さである。プラスチックシートをシュートの頂部に置き、材料がシュートから飛び跳ねたり及び/又はこぼれたりしないようにする。図33に示すように、これらのシートをシュートの底に向かって置かれた角度をつけた横けたの上に置く。
【0313】
材料がシュートを下って流れるに従い、少量がこの角度をつけた横けたの上に集まる。組成を測定するために実験室で試料を分析した。表11に、その試料中の様々な材料の量を示す。
【0314】
【表11】

【0315】
(実施例17:日本の白物製品に由来する明色のプラスチックの改良)
日本の白物製品に由来する明色のプラスチックに関して、厚みが1.8、2,0及び2.6mmのスロット式選別篩を使用して厚みによる選別を行った。試料を篩の内部に置き、約50rpmで篩を回転させながら、5分間選別した。薄い材料はこの回転するドラム篩から落下し、厚い材料はな内部に残った。
【0316】
下記に示す表12に、明色のプラスチック試料の様々な厚みによる画分のプラスチック組成を示す。
【0317】
これらの結果は、日本の白物製品に由来する明色の材料の試料に関して、HIPSがABSとPPより厚くなる傾向にあることを示す。従って、HIPSの純度は厚みによる選別で改良できる。流れの約34%が、厚い(>2.6mm)画分を選択的に回収することにより、高純度のHIPSとして回収できる。純度が高くなった結果、この材料の性質が当然向上する。
【0318】
(実施例18:暗色のプラスチックの改良)
プラスチック混合物は、日本の白物製品供給材料からの密度Bの画分を色による選別で得た副生物であった。この材料は、大部分が白黒又は透明な、数タイプのプラスチックの混合物であった。混合物を、スロット式厚みによる選別機を使用して様々な厚みによる画分を得た。
【0319】
表12に、様々に色による画分の色による組成を示す。大多数の材料を含むより厚い画分は、黒色のプラスチック含有量がかなり高い。比較的純粋な黒色の生成物を生成するために使用される、続く色による選別段階を促進するため、この厚みによる分離処理が使用できた。
【0320】
【表12】

【0321】
(実施例19:混合されたプラスチックの流れの改良)
プラスチック混合物は、日本の白物製品供給材料からの密度Bの画分を、多様な色による選別段階で得た生成物であった。この材料は、大部分が白又は透明であるが、いくらかの暗色のフレークを含む数タイプのプラスチックの混合物であった。混合物を、スロット式厚みによる選別機を使用して様々な厚みによる画分を得た。
【0322】
流れBの中の透明なプラスチックの量はかなり少ないので、透明プラスチックを単離する色による選別処理は速度が低く、非能率的あった。
【0323】
表14に示すように、透明なプラスチックは不透明なプラスチックよりもかなり厚くなる傾向にあることが観察される。従って、色又は他の手段で容易に選別できる、非常に純度の高い透明プラスチックを得るために厚みによる選別処理が使用できる。
【0324】
【表14】

【0325】
(実施例20:狭い表面積対質量比の分布)
この実施例の原料は、日本の白物製品源を由来とするプラスチックフレークであった。3/4(19mm)のスクリーンを有する造粒機を使用して、中間サイズ(サイズII)のフレークを生成した。その後、この材料のサイズを、3/8(9.5mm)のスクリーンを有する別の造粒機を使用して減少させた。
【0326】
図34に,この造粒段階の前(サイズIII)と後(サイズIV)の粒子サイズ分布を示す。この粒子サイズ分布は、サイズIVの材料の場合より狭い。同様に、表面積対質量比の分布もより狭いと予想される。
【0327】
表面積対質量比の分布は、サイズのフレークの場合により狭いという仮定を調べるため、幾何学的配列を仮定することにより表面積対体積比を計算できる。粒子は直径dと厚みLの円筒状の円板であると仮定する。それぞれの粒子サイズによる画分(この場合、dが粒子サイズ)における粒子当たりの質量を測定し、その後、方程式(1)を使用して表面積対体積比を計算する。その後、粒子の密度で割ることにより、表面積対質量比が容易に決定される。
【0328】
【化1】

【0329】
この方程式と図34の分布を使用して、サイズIIIとサイズIVのフレークの累積表面積対質量比分布の次に示す曲線が得られた。
【0330】
図35によると、サイズIIIの材料の概略90%が19から22cm−1の間のS/Vを有する。他方、サイズIVの材料については、約50%だけが14から22cm−1の間のS/Vを有する。従って、サイズVIの材料のS/Vは、サイズIIIの材料より狭い
曲線上の正確なS/Vは、円筒状円板の幾何学的配列に関する仮定に依存するが、S/Vの計算に対して他の幾何学的配列を仮定しても、同じ傾向が観察される。
【0331】
より狭い表面積対質量比の分布を必要とする幾つかの処理に対して、大きいS/Vの粒子は問題であろう。空気による分級と選別は、高いS/Vを有する粒子を分離できる技術である。
【0332】
(実施例21:狭い表面積対質量比の分布を得るための厚み/摩擦による選別)
式(1)は、所定のサイズdの薄い粒子は、同じサイズdを有するより厚い粒子よりも大きいS/Vを有する。それ故、厚みによる選別は、より高いS/Vを有するフレークを分離するためサイズIIIの材料に適用できる。
【0333】
サイズIIIの材料は、American International Manufacturing Company(Woodland,CA)製造のロール式厚み選別機を使用し厚みによって分離した。この材料は、ロールの端部に向かってフィーダを通過したフレーク材料よりも大きくなるように調整された隙間に設定された回転ロール間を通過できた。この材料は、フィーダに密接するローラ間を落下した。中間の厚みの材料は、ロールからこの選別機の端部に下る途中から、ロール間を落下した。厚い材料は、ロール間を通過できなかった。薄い材料が0.22cmより薄いロール間の間隔を通過して落下し、中間の画分が0.22から0.28cmの間にあるロール間隔を通過し、厚い画分が0.28cmのロール間隔を通過するように、ロール間隔を設定した。表15に、式1を用いて計算した平均厚みだけでなくこの分離の収率も示す。
【0334】
【表15】

【0335】
図36に、サイズIIIとサイズIVの画分の累積S/V分布を示す。両方の材料がよく似たS/V分布を有する。
【0336】
(実施例22:破砕されたプラスチックにエア−レグ分離機を使用して得られた表面積対質量比の制御)
破砕された混合物(10cmより小さい)をエア−レグ分離機で分離した。エア−レグ分離機は、材料を上方に流れる空気流に供給し、この空気流が終端速度を減少させながら粒子を上昇させるものである。この分離から得た生成物は、重い(H)画分と軽い(L)画分であった。この分離は、材料が上方に流れる空気流に引きずられることに基づくもので、分離の結果、大部分が厚い粒子であるH流れと大部分が薄い粒子であるL流れが得られる。
【0337】
L画分とH画分とは、5/16(8mm)スクリーンを使用して別々に造粒した。造粒したプラスチック混合物をTES分離システムで分離し、2つの高純度のABS生成物と2つの高純度のHIPS生成物を産出した。
【0338】
表16に、これらの4つの生成物の粒子当たりの平均質量を示す。流れHから回収された生成物の粒子は流れLから回収されたものよりかなり重い。2つの流れの粒子サイズ分布が似ているので、これは流れLが平均してより薄く、従って、より高い表面積対質量比を有すること示唆している。
【0339】
【表16】

【0340】
(実施例23:エア−レグ分離機を使用する造粒されたプラスチックの表面積対質量比の制御)
8mmスクリーンを通過するように造粒されたプラスチック混合物をエア−レグ分離機で分離し、重い画分(H)と軽い画分(L)を得た。図37に、画分(H)と(L)の厚みの分布を示す。これら2つの流れの寸法の分布は似ているので、材料Lの表面積対質量比がより高いことは明白である。
【0341】
(実施例24:ABSとHIPSの混合物の2段階TES)
これらはよく似た密度を有するので、耐久消費財に由来す混合されたプラスチックの流れを密度により分離する場合、同じ画分に属する傾向にある。電気器具の供給材料の流れの場合、PP(充填又は非充填の両方)の少量の成分も同じ密度による画分に属する。望ましい性質を有する生成物を得るためには、混合物を分離して純粋な成分にすることが重要である。そのような分離を行うために、TES技術が使用できる。
【0342】
主にABS,HIPS及びPPを含有する流れから、殆ど純粋なABSとHIPSの流れを回収するために、図12に示すような二段階TES分離を使用した。密度による分離とTESの前に、プラスチック含量の高い破砕された供給材料を、エア−レグ分離機を使用して流れH,Lに選別した。TES分離から得た最終生成物は、実施例22に記載するものであった。
【0343】
同じ粒子の偏向を達成するために、材料Hに対するTES分離機での電場は、材料Lに対するものと同じ程度の強さに設定した。その結果、流れLとHに関して高純度のABSとHIPSの生成物が得られた。
【0344】
表17に、生成物の流れL,Hの純度%を、表面積対質量比による制御をしなかった同様の流れの純度(N ABSとN HIPS)を比較する。表面積対質量比による制御後の生成物の純度は、この制御を行わないで得られたものより高い。
【0345】
また、表17に、表面積対質量比を制御した場合としなかった場合の、TESを使用して回収されたABS生成物及びHIPS生成物の性質を示す。メルトフローレートをASTM D1238に従い測定し、ノッチ付きアイゾット衝撃強度をASTM D256に従って測定し、降伏点での引張り強度をASTM D634に従い測定した。
【0346】
【表17】

【0347】
ABSとHIPSの機械的の性質、特にノッチ付きアイゾット衝撃強度は、表面積対質量比による制御後TESにより処理した生成物の場合より良好である。これらの改良された性質は、殆どその高い純度によるものと思われる。
【0348】
他の重要な性質の違いは、多様なABS生成物の異なるメルトフローレートである。押出しグレートのABSは、冷蔵庫のライナーのようなより薄い壁の用途に使用される場合によくある。流れLは、これらの冷蔵庫のライナーのようなより薄いプラスチック片の含量が多い傾向にある。押出しクレードは、射出成形グレードより低いメルトフローレートを有するので、流れLは、流れHより低いメルトフローレートを有する。更に、厚みによる選別をしなければ、ABSは押出しグレードと射出成形グレードの間の中間のメルトフローレートを持つだろう。それ故、生成物LとHを慎重の再び組み合わせることにより、生成物のメルトフローレートを制御することができる。
【0349】
(実施例25:注文作りの媒体シートの調製と評価)
この実施例のTMS用の原料は、ABS(Magnum 3490 Dow Chemical社製)とBekaert Corporation製のBeki−Shield
GR75/C12−E/5であった。Bekaert Corporation製のBeki−Shield GR75/C12−E/5は、ステンレススチール繊維(直径;8ミクロン)を75%と、該繊維を埋めている熱可塑性ポリエステルを10%と、及び、直径2mmのペレットのためのコーティング剤としてエチレンアクリル酸亜鉛イオノマーを含有する濃縮物である。ABS引張り試験片は、Beki−Shieldを0.5重量%と10重量%を配合したもので、射出成形して引張り試験片とした。
【0350】
この試みに使用したHIPSは、MBA Polymers製のオフィスオートメーション装置から回収された灰色のHIPSであった。このHIPSを標準的な方法を用いて射出成形して引張り試験片にした。
【0351】
ABSを、摩砕されたステンレススチールプレートに接触して置いた。その後、初期電荷がゼロのHIPS試験片を、5秒間ABS試験片(まだプレートに接触している)に対して擦った。HIPS試験片の電荷をフォラデーのコップで測定した。その後、HIPS試験片の電荷を脱イオン送風機を用いて中和した。試験を繰り返した。
【0352】
Beki−Shieldを含まないABSとBeki−Shieldを5%含むABSに対して、1サイクル当たり10から20秒かかるこの帯電と測定順序を、20−30回繰り返した。
【0353】
また、ABS試験片の電荷を、定常的な値で安定化しているかどうか調べるために定期的に測定した。
【0354】
約10−20サイクル荷電した後、ABS試験片の電荷は次第に増大し、+13nC(Beki−Dhield 5%)と+16nC(Beki−Shieldを含まない)で安定化した。Beki−Shieldを10%含有するABS試験片の電荷はゼロに近く、導電性であることを示した。
【0355】
各サイクルに対して、HIPS試験片の電荷は、約−1.0から−2.0nCで一定のままであった。
【0356】
中性のABSは、Beki−Shieldが充填されたABS材料のどれに対しても帯電しなかった。また、これはステンレススチールがABSの帯電の性質を著しくは変えないことを十分に示す別の例である。
【0357】
更に、Beki−Shieldを10%含有する試験片を、この試験片を保ちながらポリエチレンバッグに対して擦った。試験片を脱イオン送風機の前に置き、試験片の電荷を測定した。電荷は約−0.2nCであると判明した。これは電子をバッグからABS試験片に移動していることを示している。これにより、更に、Beki−Shieldを10%含有するABSが導電性であることを確認した。
【0358】
これらの試験の結果は、Beki−Shieldを5%含有するABSは殆ど導電性でなく、Beki−Shieldを10%含有するABSは導電性であることを示す。更に、充填された材料がHIPSを帯電する能力は、添加剤を含まないABSに匹敵する。また、この結果は、たとえBeki−Shieldを使用しないか又は5%使用しても、媒体がもはや混合物ほ帯電できない程度まで媒体が飽和される前に、混合物中に大量のプラスチックを帯電可能であることを示している。
【0359】
(実施例26:TESを使用したABSのSANからの分離)
日本の混合された電子機器廃棄物からのABSとSANの混合物中の粒子の表面積対質量比を、ロール式選別とエアテーブルによる分離との組合せを使用して慎重に制御した。混合物を摩擦静電気分離機を通過させ、正及び負電極での生成物を収集した。中間の画分を再循環させた。
【0360】
正及び負電極での生成物の色による組成を表18に示す。透明なプラスチック(主にSAN)は、負電極に収集された生成物中に明確に濃縮される。暗い着色された(緑、青、赤その他)フレークが正電極に濃縮される。
【0361】
【表18】

【0362】
また、生成物を分析した結果、少量のHIPS(6%)が正電極での生成物の流れに濃縮していることを示した。また、分離の結果、異なる性質の2つの生成物が生じた。表19に、2つの生成物の流れと流れの50:50の混合物の性質を示す。
【0363】
【表19】

【0364】
(実施例27:TESを使用したPC/ABSの難燃化ABSからの分離)
PC/ABSと難燃化ABS(ABS−FR)の50:50の混合物を、摩擦静電気分離機を通過させ、正及び負の生成物の両方を収集した。表20に、生成物の組成を示す。
【0365】
【表20】

【0366】
(実施例28:TESを使用したHIPSの難燃化HIPSからの分離)
HIPSと難燃化HIPSの50:50の混合物を、摩擦電気分離機を通過させ、正及び負の生成物の両方を収集した。表21に、生成物の組成を示す。
【0367】
【表21】

【0368】
(実施例29:PP生成物を産出するための厚み/摩擦による選別の使用)
日本の白物製品の流れを湿式分離した後のPP含量の高い生成物を考察する。標準的な全体処理で説明したように、色による選別と静電気分離で更に分離できる。この処理から得られた明色の生成物を標準の明色PPと呼ぶ。
【0369】
表面積対質量比による制御及び静電気分離は、幾分制御が困難であり、また、比較的は費用がかかる処理である。従って、厚み/摩擦による選別のような幾分簡単な処理を使用することが望ましい。
【0370】
色による選別機で得たサイズIIIの明色の生成物を,スロットの厚みが2.5mmのスロット厚みによる選別機で選別する。材料の大多数(72%)が厚い画分に属する。厚い明色のPPと薄い明色のPPの両方を押出しし、更に分離処理することなく試験した。
【0371】
表22に、標準的な明色のPP,厚い明色のPP及び薄い明色のPPの性質を示す。薄い明色の生成物は、標準的な明色の生成物に似た性質をもつ。薄い明色の生成物の機械的性質は幾分低いが、多分、それらは、薄い画分に存在する傾向にあるABS、HIPS及びPEのようなプラスチック不純物を除去するため表面積対質量比による制御と静電気分離を使用して改良できよう。
【0372】
【表22】

【0373】
(実施例30:米国冷蔵庫から別々のグレードのABSを産出する厚みによる選別)
冷蔵庫中のABSの組成の上記の考察に基づき、押出しグレードのABSは、より薄い画分に一層脳色されると予想される。米国冷蔵庫からの殆ど純粋なABSの流れをスロット厚みによる選別機を使用して薄い(<1.6mm)、中間(1.6−2.8mm)及び(>2.8mm)の画分にする。
【0374】
サイズにIVのフレークの42%が薄い画分に属し、38%が中間の画分に属し、20%が厚い画分に属する。
【0375】
表23に、混合された明色のABS、薄い明色のABS、中間の明色のABS及び厚い明色のABSの性質を示す。薄い画分の僅かに低いメルトフローレート衝撃強度は、押出しグレードのABSがその画分に濃縮したことを示す。サイズIVのフレークの厚みによる選別を行った。サイズIIIのフレークに対して行った場合、一層大きく区別できた。
【0376】
【表23】

【0377】
(実施例31:日本の白物製品からABSグレードを産出する厚みによる選別)
ABSはHIPS、ゴム及びSANより薄くなる傾向にある。日本の白物製品の流れからのABS含有量の高いフレーク生成物をスロット厚み選別機で選別した。表24に、明色のABS生成物に関係した種々の厚みによる画分の組成を示す。
【0378】
【表24】

【0379】
これらの結果は、HIPS、SAN及びゴムが厚い画分に濃縮されていること示す。この事実は、厚みによる選別がABS生成物の有用性を大きく向上できることを示唆している。2.0mmより薄い画分を回収することにより、明色のABS生成物の約61%が回収できた。
【0380】
回収した粒子を押出す間、ゴムが溶融物ろ過スクリーン一式の目に詰まる傾向がある。従って、ゴムを除去することが好ましい。このような除去は、2.0mmより薄い明色のABS生成物の画分を回収することにより達成できる。
【0381】
HIPSはABSに対して相溶性がないので、典型的にいえば、2.0mmより厚い画分の除去により、性質が改良された高純度のABS生成物が産出される。典型的にいえば、より厚いHIPSを除去することにより、生成物の靭性が改良され、引張り強度が増大する。
【0382】
SANはABSに対して相溶性があるが、より強くまたそれほど靭性はない。典型的にいえば、その結果、SANの除去により、引張り強度をある程度犠牲にして靭性を向上させることになる。表8は、明色のABS流れ中の2.0mmより薄い画分を回収することにより、本質的にSANのない生成物が産出しよう。
【0383】
厚みにより明色のABS生成物を選別する別の利点は、厚いABS部品と薄いABS部品とが異なるグレードを使用して製造される傾向にあることである。押出しグレードは、冷蔵庫のような電気器具の薄い熱成部品に使用される傾向にある。より高いメルトフローレートを有する射出成形グレードは、より厚い射出成形品に使用される傾向にある。
【0384】
日本の白物製品からの明色のABS生成物に関して、2.0mmより薄い画分(薄い明色の画分)を、標準の明色ABS試料と比較するため回収した。
【0385】
表25に、標準の明色ABSと薄い明色ABSの性質を示す。薄い画分は、より低いメルトフローレートを有する傾向にあり、これはABSの押出し用グレードであることを示している。また、この薄い画分の衝撃強度はより高く、これはHIPSとSANの除去で靭性が増大したことを示唆するものである。また、引張り強度はより低い。メルトフローレートは、230°C、3.8kgでのものであり、引張り強度はクロスヘッドの速度が分速0.2インチでのものである。
【0386】
【表25】

【0387】
(実施例32:表面積対質量比による調整とABS浄化のためのTES)
電気器具からの大量のプラスチックフレークを、表面積対質量比による調整をすることなく、TESシステムで処理した。ABS生成物の純度は許容できず、更に処理が必要であった。高含量ABSの流れを、エア−レグ分離機を使用して、画分L、Hに分離した。その後、この材料をTRSシステムにより処理し、生成物L、Hを回収した。実施例24と同様に、流れHに対する電場は、流れLよりも高く設定した。
【0388】
表26に、2つの生成物の性質を示す。この場合、MFRをABSに対するISO1133の条件に従って測定した。
【0389】
【表26】

【0390】
2つの生成物の性質は、TESの前に表面積対質量比により分離されなかったABSの性質より優れている。また、MFRに大きい差が存在する。図38に、ABS生成物L、Hの種々の配合物に関する組成の関数としてのMFRを示す。このように再び組み合わせることにより、生成物の所望のMFRが7.5から16.4の間にある限り、それを作り出せること、この図は示している。
【0391】
(実施例33:Brの除去のための高い密度での密度による分離)
表27に記載した分離と成分要因により、HIPS(PS)と難燃性HIPS(FR)の二成分混合物の分離を考察する。分離の要因は、すべての装置に対して同じである。
【0392】
【表27】

【0393】
図39に、SPDS,DPDS及びDPDSの後に三番目の密度による分離段階が含まれる場合の、供給材料の組成の関数としての、PS中のBr%を示す。FRはBrを10%含有すると仮定する。表27の分離要因に関して、PS生成物中のBrの量は、密度による分離のそれぞれ加えられる段階の大きさの順序で増大する。また、表39は、2以上の段階を使用することにより供給材料の広い範囲にわたる組成を適切に分離できることを示す。
【0394】
(実施例34:Br含有プラスチックを除去するための湿式篩)
日本の白物製品に由来するサイズIIの供給材料は、金属の大きい塊や片、ワイヤーを含んでいた。この材料を、水の上昇速度を0.13m/sに設定した重力式濃縮システムに送った。
【0395】
材料のタイプを目的のプラスチック、重量プラスチック及び金属として分類した。目的のプラスチックは、密度が1.20g/cmより低いプラスチックからなるものであった。重量プラスチックには、密度が1.20g/cmより高いすべてのプラスチックが含まれた。金属には、金属塊、金属片、ワイヤが含まれた。
【0396】
表4に、供給材料中の目的のプラスチック、重量プラスチック、金属、及び、軽量物と重量物の流れの重量百分率を示す。これらの結果は、重力式濃縮システムが単独の段階で全ての金属と重量プラスチックの大多数を効果的に除去できることを示している。
【0397】
(実施例35:ETPを含有する混合物の分離)
図40に示す密度分布を有するオフィスオートメーション装置に由来する混合物を考察する。異なる密度により定義されるグレードに基づき、この混合物は、2つのグレードのHIPS−FR(1.150、1.170)、3つのグレードのABS−FR(1.150、1.165、1.180)、3つのグレードのPC/ABS(1.150、1.165、1.180)、3つのグレードのPC/ABS−FR(1.155、1.170、1.195)、3つのグレードのPC(1.165、1.180、1.195)を含有する。
【0398】
図40に記載の混合物から、HIPS−FR生成物、1以上のABS−FR生成物、1以上のPC(PC、PC/ABS及びPC/ABS−FRの複合物)生成物が回収できる。
【0399】
これらの生成物を回収するために、まず、約1.170でDPDSを行い、続いてTESを行って種々の生成物を得た。これは、2つの僅かにより簡単なTES供給材料混合物を産出することにより更なるTESを簡単にする。
【0400】
プラスチックが電子を失ってPC>PC/ABS>PC/ABS−FR>HIPS−FRになれば、TESを使用してPC成分を塊にすることができる。
【0401】
図41〜44に、高純度の生成物を回収する提案された処理を示す。約1.12g/cmでの密度による分離から得られたよれ密度の高い生成物は、密度による画分A,B(密度が約1.12g/cmより低い材料)が除去されているので、画分C+として言及されることが多い。密度による画分C,Dは、1.17g/cmで行った密度による分離で得られた密度が低い生成物(C)と密度が高い生成物(D)であると考える。1.25g/cmで行った密度による分離で得られたより密度の高い材料は、生成物E+と言及される。
【0402】
図40に示す混合物を、図41〜44に示す典型的な分離要因と共にプロセスの流れを使用して分離すると、図45に示す収率と表28に示す組成が予想される。
【0403】
【表28】

【0404】
HIPSERに対しての不純物は、ABSFRとすべてのPCである。ABSFRに対する不純物はHIPSFRとすべてのPCである。PCに対する不純物は、ABSFRとHIPSFRである。
【0405】
図46に、ABS−FR、HIPS−FR及びPC生成物における不純物の%をTES段階の数の関数として示す。成分の選択と分離機の要因により勾配が異なるが、すべての場合、種々の生成物の純度がTESの段階の数と共に向上する傾向にある。
【0406】
実際に、必要な段階の数は必要な純度に依存する。ABSFRとHIPSFRの少量の不純物は容認できる(特に互いの)ので、非常に低レベルの不純物を得る前にそれらを回収してよい。これは、ABSFRについては3以上の段階を意味するが、HIPSFRについてはより少ない段階を意味するであろう。
【0407】
他方、PCについては、不純物の濃度は約0.1%以下であることが必要である。別々のPC成分を回収しなければ、4以上のTES段階が必要とされることを意味する。
【0408】
1.17でDPDSが除かれ、すべての供給材料を材料Cとして処理したと仮定する。TES分離機の要因が前のシミュレーションの場合と同じままであるときの収率を図47に示し、また、このような分離からの生成物の組成を表29に示す。
【0409】
【表29】

【0410】
これらの収率と組成は、1.17でDPDSを使用して得たものと非常によく似ていると思われる。
【0411】
実際に、DPDSの主な利益は異なるグレードのAVSFRを分離し、PCのタイプとグレードをある程度区別することてある。図48,49に、DPDSを行った場合と行わなかった場合の、ABSFRとPCとの組成の崩壊をより詳細に示す。
【0412】
図48に示すように、1.17でDPDSを行うことにより、ABS−FRI(C)又
はABS−FRIII(D)の含量が高いABS−FRが得られる。DPDSを使用しない
場合の混合物の組成はより混じり合っており、供給材料の組成が変動すれば、制御がより困難になる。性質(特に難燃性)が、ABS−FRのグレードの混合物に依存すると思われるので、組成の制御は価値があるだろう。
【0413】
図49に示すように、混合物C,DPCの組成は非常に異なる。混合物は更に複雑なので、流れC、Dに分割することにより、生成物の性質を制御することをより簡単にすべきである。その上、必要に応じて、流れC,Dに分割することにより、独自のPC、PC/ABS、PC/ABS−FR生成物に更に分離することが促進される。
【0414】
図50に、TESの有効性を表す要因εの種々の値に対するTES段階に数の関数として、流れD中の不純物PCの%を示す。流れPCの純度は、特別なTES段階と改良された分離(小さい ε)で著しく向上する。
【0415】
本発明の多数の実施例を説明した。しかし、さまざまな変更が、本は発明の精神と範囲を逸脱することなく可能であると理解される。従って、他の態様が以下の請求の範囲に含まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載の発明。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24A】
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【図24B】
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【図24C】
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【図24D】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43A】
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【図43B】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【図49】
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【図50】
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【公開番号】特開2010−264745(P2010−264745A)
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−239897(P2009−239897)
【出願日】平成21年10月16日(2009.10.16)
【分割の表示】特願2003−583720(P2003−583720)の分割
【原出願日】平成15年4月14日(2003.4.14)
【出願人】(504381331)エムビーエー ポリマーズ, インコーポレイテッド (6)
【Fターム(参考)】