説明

ブリスター包装機

【課題】開封しやすいブリスターパックが得られるブリスター包装機を提供する。
【解決手段】ブリスター包装機10は、間欠的に搬送される容器フィルム3に対し、その搬送方向に並ぶようにしてポケット部2及び機能凹部8を形成するポケット部形成手段12と、ポケット部2にワーク5を充填する充填手段13と、機能凹部8にカバーフィルム4を押込む押込み突起51を具備するとともに、押込み突起51の押込み状態において、ポケット部2の周縁部に対応してフィルム3、4を取着するシール手段14と、機能凹部8にカバーフィルム4が押込まれた状態で、少なくとも機能凹部8とポケット部2との間の非取着部位において、カバーフィルム4の取着された容器フィルム3をその幅方向に沿って切離する切断手段15とを備え、少なくとも一辺部においてカバーフィルム4の端部が容器フィルム3よりも外側に突出するブリスターパック1が得られるよう構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブリスター包装機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、ブリスターパック(ブリスターシート)を製造するに際しては、ブリスター包装機が用いられる。ブリスター包装機の最上流側では、帯状の容器フィルムがロール状に巻回されている。ロール状に巻回された包装用フィルムは、下流側に向けて搬送されるようになっており、容器フィルムの搬送経路に沿って、ポケット部形成手段、充填手段、シール手段、打抜・切断手段が順に配設されている。ポケット部形成手段においては、容器フィルムに対して被充填物(ワーク)を収容するためのポケット部が成形される。続く充填手段においては、ポケット部にワークが投入、充填される。さらにシール手段においては、ポケット部を塞ぐようにしてカバーフィルムが取着される。そして、打抜・切断手段では、打抜き、或いは、切断によって最終製品たるブリスターパックが切り離される。
【0003】
さて、上記のように形成されるブリスターパックは、容器フィルムからカバーフィルムを剥がすことでワークを取り出せるようになっている。このため、一般に、ブリスターパックの端部においては、容器フィルムとカバーフィルムとがシール(接着)されておらず、カバーフィルムの端部を捲って、両フィルムの端部を摘めるようになっている。
【0004】
ところが、容器フィルムの端縁とカバーフィルムの端縁とが密接状態で揃っている場合には、両フィルム間がシールされていないとはいえ、カバーフィルムを捲って摘むことが困難となってしまうおそれがある。
【0005】
これに対し、シールされていないブリスターパックの端部において、容器フィルムの端縁を外側に突出させるとともに、容器フィルムとカバーフィルムとの間が端縁に近付くほど広がるように形成するといった技術がある(例えば特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開平2−139373号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1の技術を採用することで、容器フィルム及びカバーフィルムの端縁同士が密接している場合に比べ、容器フィルムの端部が摘みやすくなる。
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載の技術においては、容器フィルムの端部に形成した凸部や凹部の成形歪み(経時的な変形)によって、容器フィルムの端部がカバーフィルムから離間するものであるため、容器フィルムの端部とカバーフィルムとの開き具合にばらつきが生じてしまうおそれがある。このため、場合によっては、両者の離間の程度が不十分となり、従って、カバーフィルムを剥がしにくくなってしまうおそれがある。また、上記技術では、容器フィルム側のタブが摘まれる構成となっているため、剥離作業が行い難く、開封作業が煩わしいものとなってしまうおそれもある。
【0008】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、その目的は、開封しやすいブリスターパックを得ることのできるブリスター包装機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
以下、上記目的等を解決するのに適した各手段につき項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する手段に特有の作用効果等を付記する。
【0010】
手段1.間欠的に移送される帯状の容器フィルムに対してポケット部を形成するポケット部形成手段と、
前記ポケット部にワークを充填する充填手段と、
ワークが充填された前記ポケット部を塞ぐようにして前記容器フィルムにカバーフィルムを取着するシール手段と、
打抜き、又は、切断によって、前記カバーフィルムの取着された前記容器フィルムを切離可能な打抜・切断手段とを備えたブリスター包装機であって、
前記容器フィルムの移送方向において前記ポケット部と隣接又は近接する位置に前記ポケット部と同じ側に凹んでなる機能凹部を形成する機能凹部形成手段と、
前記カバーフィルムを前記機能凹部に押込む押込み手段とを備え、
前記シール手段は、前記押込み手段が前記カバーフィルムを前記機能凹部に押込んでいる状態において、少なくとも前記機能凹部を含む所定領域において前記容器フィルムと前記カバーフィルムとが取着されない非取着部位が形成されるように、少なくとも前記ポケット部の周縁部に対応して前記容器フィルムと前記カバーフィルムとを取着し、
前記打抜・切断手段は、前記機能凹部に前記カバーフィルムが押込まれた状態で、少なくとも前記機能凹部又はその近傍の非取着部位において前記カバーフィルム及び前記容器フィルムをその幅方向に沿って切離する構成であって、
少なくとも一辺部において前記カバーフィルムの端部が前記容器フィルムよりも外側に突出するブリスターパックが得られるよう構成したことを特徴とするブリスター包装機。
【0011】
手段1に記載のブリスター包装機によって得られるブリスターパックは、少なくとも一辺部においてカバーフィルムの端部が容器フィルムよりも外側に突出している。従って、前記一辺部においては、カバーフィルムのうち容器フィルム側の面に対して指を当接させることができ、カバーフィルムを摘んで捲りやすくなっている。このように、カバーフィルムの端部を容器フィルムよりも外側に突出させることで、例えば、カバーフィルムよりも硬くて厚肉な容器フィルムがカバーフィルムよりも外側に突出しているような構成や、容器フィルム及びカバーフィルムの端縁が揃っているような構成に比べ、比較的容易にカバーフィルムを捲って容器フィルムから剥がすことができる。勿論、ブリスターパックの端部において容器フィルムとカバーフィルムとの間が広がるように構成する必要もない。これらのことから、開封しやすいブリスターパックを安定して得ることができる。
【0012】
また、本手段によれば、機能凹部にカバーフィルムが押込まれている状態において、少なくとも機能凹部を含む所定領域を除く範囲において、少なくともポケット部の周縁部に対応して両フィルムが取着される。さらに、機能凹部又はその近傍の非取着部位においてカバーフィルム及び容器フィルムがその幅方向に沿って切離される。そして、機能凹部に押込まれていたカバーフィルムが機能凹部から抜け出すことで、カバーフィルムの端部が容器フィルムよりも外側に突出することとなる。従って、上記作用効果の奏されるブリスターパックが確実に得られることとなる。
【0013】
尚、ポケット部形成手段は、上型及び下型を備えるとともに、上型及び下型が接触方向に相対移動することで、ポケット部と機能凹部とが同時に形成されることとしてもよい。この場合、ポケット部形成手段が機能凹部形成手段を兼ねることとなる。また、かかる構成を採用する場合、別途機能凹部を形成するための工程を必要としないため、製造作業性の向上やコストの抑制等を図ることができる。
【0014】
手段2.帯状の前記カバーフィルムを前記シール手段側に向けて所定量繰出す所定量繰出し手段と、前記所定量繰出し手段によって繰出された所定量の前記カバーフィルムを貯留可能なバッファ機構とを備えたことを特徴とする手段1に記載のブリスター包装機。
【0015】
手段2によれば、バッファ機構を備えることで、容器フィルムの移送とカバーフィルムの移送(繰出し)とを同期させる必要がなくなるため、各フィルムの送り制御を比較的容易なものとすることができる。
【0016】
手段3.間欠的に移送される帯状の容器フィルムに対してポケット部を形成するポケット部形成手段と、
前記ポケット部にワークを充填する充填手段と、
ワークが充填された前記ポケット部を塞ぐようにして前記容器フィルムにカバーフィルムを取着するシール手段と、
打抜き、又は、切断によって、前記カバーフィルムの取着された前記容器フィルムを切離可能な打抜・切断手段とを備えたブリスター包装機であって、
前記容器フィルムの移送方向において前記ポケット部と隣接又は近接する位置に前記ポケット部と同じ側に凹んでなる機能凹部を形成する機能凹部形成手段と、
前記カバーフィルムを前記機能凹部に押込む押込み手段とを備え、
前記シール手段は、前記押込み手段が前記カバーフィルムを前記機能凹部に押込んでいる状態において、少なくとも前記機能凹部を含む所定領域において前記容器フィルムと前記カバーフィルムとが取着されない非取着部位が形成されるように、少なくとも前記ポケット部の周縁部に対応して前記容器フィルムと前記カバーフィルムとを取着し、
前記打抜・切断手段は、前記機能凹部に前記カバーフィルムが押込まれた状態で、少なくとも前記機能凹部又はその近傍の非取着部位において前記カバーフィルム及び前記容器フィルムをその幅方向に沿って切離する構成であって、
少なくとも一辺部において前記カバーフィルムの端部が前記容器フィルムよりも外側に突出するブリスターパックが得られるよう構成し、
帯状の前記カバーフィルムを前記シール手段側に向けて繰出し可能な繰出し手段と、
前記繰出し手段によって一定量の前記カバーフィルムが繰出された場合に前記繰出し手段の駆動を停止させる一定送り手段と、
前記繰出し手段と前記シール手段との間において、前記繰出し手段によって繰出された前記カバーフィルムを貯留可能なバッファ機構とを備え、
前記バッファ機構において貯留されたカバーフィルムは、前記容器フィルムの移送に伴って引き出されるとともに、
前記押込み手段が前記カバーフィルムを前記機能凹部に押込むことで、前記バッファ機構に貯留されているカバーフィルムの残り全てが引き出されることを特徴とするブリスター包装機。
【0017】
手段3によれば、基本的には上記手段1と同様の作用効果が奏される。さらに、バッファ機構を備えることで、上記手段2と同様の作用効果が奏される。
【0018】
また、一般にカバーフィルムの表面には、ワークの製品名、製造日等を示す識別情報等が印刷されている。このため、容器フィルムのポケット部に対してカバーフィルムに印刷された識別情報等が位置ずれしないように、容器フィルム及びカバーフィルムを一定のピッチで送る必要のあるケースもある。この点、本手段3によれば一定送り手段を具備しているため、カバーフィルムを前記識別情報等の印刷範囲に対応させて一定量ずつ繰出すことが可能となる。しかしながら、種々の要因により、容器フィルムのポケット部とカバーフィルムとが長手方向に若干ずれてしまうことがあり、例えば、ブリスターパックに記されているはずの識別情報の一部が欠けて読めなくなってしまうといった事態を招くおそれがある。
【0019】
これに対し、本手段3によれば、バッファ機構において貯留されているカバーフィルムは、容器フィルムの移送に伴って引き出された後においても幾分残るようになっており、この残りのカバーフィルムは押込み手段によってカバーフィルムが機能凹部に押込まれることで全て引き出される。換言すれば、押込み手段は、バッファ機構に貯留されているカバーフィルムの残り全てが引き出されるまで、カバーフィルムを機能凹部に押込むようになっている。尚、上記のように一定送り手段を設けたとしてもカバーフィルムの実際の送り量にずれが生じてしまうことも懸念されるが、例えば、カバーフィルムの繰出し量が予定量よりも少なくなってしまった場合には、機能凹部に押込まれるカバーフィルムの量(長さ)が少ないものとされ、一方、カバーフィルムの繰出し量が予定量よりも多くなってしまった場合には、機能凹部に押込まれるカバーフィルムの量が多いものとされる。このように、カバーフィルム等の送り量の若干のばらつきに応じて機能凹部へのカバーフィルムの押込み量が追従的に調整されることで、容器フィルムとカバーフィルムとが長手方向に大きくずれてしまうといったおそれを防止することができ、結果として、カバーフィルムに印刷された識別情報等の位置合わせをより確実に行うことができる。
【0020】
手段4.前記一定送り手段は、前記カバーフィルムに対しその長手方向に沿って一定間隔毎に付されたレジマークを検知する検知手段と、前記検知手段の検知に基づいて前記繰出し手段の駆動を停止させるコントローラとを備えることを特徴とする手段3に記載のブリスター包装機。
【0021】
手段4によれば、カバーフィルムに対して一定間隔毎に付されたレジマークを検知することでカバーフィルムを一定間隔毎繰出すことから、例えば、カバーフィルムの繰出し量を実測することで一定量を繰出可能とする構成に比べ、僅かなずれが蓄積されて大きなずれとなってしまうといった事態を防止することができる。従って、カバーフィルムに印刷された識別情報等の位置合わせをより確実に行うことができる。また、カバーフィルムの繰出し量を実測したりする場合に比べ、一定送り手段の構成の簡素化等を図ることができる。
【0022】
手段5.間欠的に移送される前記容器フィルムの1回の移送距離と、前記機能凹部に押込まれる前記カバーフィルムの長さとの和が、前記カバーフィルムに対して前記レジマークの付される間隔と等しくなるよう設定されていることを特徴とする手段4に記載のブリスター包装機。
【0023】
手段5によれば、安定した一定送りや押込みを実現でき、より確実に位置ずれを防止できる。
【0024】
手段6.前記押込み手段は、前記カバーフィルムを前記機能凹部へ押込む際に、前記カバーフィルムから受ける反発力に応じて前記カバーフィルムの前記機能凹部への押込み量を可変とするための緩衝手段を備えることを特徴とする手段3乃至5のいずれかに記載のブリスター包装機。
【0025】
手段6によれば、カバーフィルムから受ける反発力によって機能凹部への押込み量を可変としているため、バッファ機構に貯留されているカバーフィルムがなくなったらそれ以上カバーフィルムを機能凹部に押しこまない構成とすることができる。従って、機能凹部に対しカバーフィルムを無理に押込んでしまい、これに起因して、カバーフィルムが引き延ばされたり、容器フィルムが潰れたりしてしまうといったおそれを防止することができる。
【0026】
手段7.前記打抜・切断手段は、前記ポケット部と前記機能凹部との間の非取着部位において、前記カバーフィルム及び前記容器フィルムをその幅方向に沿って切離することを特徴とする手段1乃至6のいずれかに記載のブリスター包装機。
【0027】
例えば、カバーフィルムと容器フィルムとが離間している部位において、カバーフィルム及び容器フィルムを切離するような場合には、カバーフィルム又は容器フィルムのうちどちらか一方については、切離当初は宙に浮いた状態となっている。このため、切離に際し、カバーフィルムが延びたり、容器フィルムが変形したりするおそれがある。
【0028】
この点、本手段7によれば、ポケット部と機能凹部との間において切離することとしている。当該部位においては、容器フィルムに凹部等が形成されておらず、カバーフィルムと容器フィルムとが密接しているため、上記不具合を防止することができる。
【0029】
また、本手段によれば、ポケット部と機能凹部との間において切離するため、一辺部においてのみカバーフィルムの端部が容器フィルムから外側に突出することとなる。従って、機能凹部において切離する場合に比べて、容器フィルムから外側に突出するカバーフィルムの突出長をより長くすることができる。その結果、カバーフィルムを摘んで捲り易くするといった作用効果が一層確実に奏される。
【0030】
手段8.前記シール手段は、前記カバーフィルムと当接する上型と、前記容器フィルムと当接する下型とを備え、前記上型と前記下型との間に重ねられるようにして送り込まれる前記容器フィルム及び前記カバーフィルムを前記上型及び前記下型で圧接することで両フィルムを熱接着する構成であって、
前記上型は、前記機能凹部に対応して、前記カバーフィルムと当接する面から前記下型側に突出する押込み突起を備え、
前記上型と前記下型とが接触方向に相対移動することで、前記押込み突起が前記カバーフィルムを前記機能凹部に押込むとともに、当該機能凹部の上流側に位置する前記ポケット部の周縁部に対応して、前記容器フィルムと前記カバーフィルムとが接着されることを特徴とする手段1乃至7のいずれかに記載のブリスター包装機。
【0031】
手段8によれば、上型と下型とを接触方向に相対移動させることで、容器フィルムとカバーフィルムとを接着するシール工程と、カバーフィルムを機能凹部に押込む押込み工程とを行うことができるため、製造作業性の向上やコストの抑制等を図ることができる。尚、本手段8の構成を採用する場合、押込み突起を具備するシール手段が押込み手段を兼ねることとなる。
【0032】
手段9.前記ポケット部形成手段により、前記容器フィルムの幅方向に並ぶようにして複数の前記ポケット部が形成されるブリスター包装機であって、
前記容器フィルムの幅方向に並ぶ複数のポケット部に対応して設けられる機能凹部は、一続きに、かつ、一直線状に形成されることを特徴とする手段1乃至8のいずれかに記載のブリスター包装機。
【0033】
例えば、容器フィルムの幅方向に並ぶようにして形成される複数のポケット部に個別に対応して、機能凹部が容器フィルムの幅方向に並ぶようにして(断続的に)形成される場合には、各機能凹部にカバーフィルムを押込む際にカバーフィルムが皺になってしまうおそれがある。これに対し、本手段9によれば、容器フィルムの幅方向に並ぶ全てのポケット部に対応する機能凹部が一続きにかつ一直線状に形成されるため、上記不具合を防止することができ、品質の低下を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下、一実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0035】
図2(a),(b)に示すように、ブリスターパック1は、ポケット部2を有する容器フィルム3と、ポケット部2を塞ぐようにして容器フィルム3に取着されたカバーフィルム4とを備えている。容器フィルム3は、例えばPPやPVC等の熱可塑性樹脂によって構成され、カバーフィルム4は、例えばアルミニウム等によって構成されている。また、ポケット部2にはワーク5が収容されている。本実施形態におけるワーク5としては、例えば、電子部品、電子機器、食品、医療機器等が挙げられる。加えて、図示は省略するが、カバーフィルム4の表面には、ワーク5の内容等を示す識別情報(例えば、製品番号や消費期限等)が印刷されている。
【0036】
また、容器フィルム3には、その一辺部に沿ってポケット部2と同方向に凹んでなる断面略コ字状の機能凹部8が形成されている。ブリスターパック1のうち前記機能凹部8が形成された一辺部においては、容器フィルム3の端縁とカバーフィルム4の端縁とが揃っておらず、カバーフィルム4が容器フィルム3よりも外側に突出している。
【0037】
次に、上記ブリスターパック1を製造するためのブリスター包装機10の構成について説明する。
【0038】
図1に示すように、ブリスター包装機10の最上流側では、帯状の容器フィルム3がロール状に巻回されている。本実施形態では、容器フィルム3は、チェーンクリップコンベア11により両側部がクリップで把持された状態で、図1の左方(上流)から右方(下流)へ間欠的に搬送される。
【0039】
また、ブリスター包装機10は、容器フィルム3の搬送経路に沿って、ポケット部形成手段12、充填手段13、シール手段14、及び切断手段15(打抜・切断手段を構成する)を備えている。
【0040】
ポケット部形成手段12は、容器フィルム3を部分的に加熱できるように構成されるとともに、容器フィルム3を挟んで上下に設けられた上型21及び下型22を備えている。上型21は、前記ポケット部2を成形する第1成形凸部21aと、前記機能凹部8を成形する第2成形凸部21bとを具備している。下型22は、上型21の第1成形凸部21aを収容可能な第1収容凹部22aと、第2成形凸部21bを収容可能な第2収容凹部22bとを具備している。そして、該容器フィルム3が加熱により比較的柔軟になった状態において、上型21及び下型22が接触方向に相対移動することで、容器フィルム3に対し、容器フィルム3の搬送方向に並ぶようにしてポケット部2及び機能凹部8がほぼ同時に成形される。
【0041】
本実施形態では、図3(a)に示すように、容器フィルム3の幅方向(搬送方向と直交する方向)に並ぶようにして複数(例えば7つ)のポケット部2と、これら全てのポケット部2の下流側(図3(a)では右側)に位置するようにして、容器フィルム3の幅方向に沿って一直線状に延びる一条の機能凹部8とが同時に形成される。尚、このポケット部2及び機能凹部8の成形は、容器フィルム3の搬送動作間のインターバルの際に行われる。また、本実施形態では、ポケット部形成手段12が機能凹部形成手段を兼ねている。
【0042】
充填手段13は、所定間隔毎に図示しないシャッタを開くことでワーク5を落下させるものであり、このシャッタ開放動作に伴って各ポケット部2にワーク5が投入される。尚、このワーク5の充填は、容器フィルム3の搬送動作間のインターバルの際に行われる。
【0043】
カバーフィルム4は、シール手段14の上流側において、前記容器フィルム3とは別にロール状に巻回され、その引出し端側は、ガイドローラ等を介してシール手段14の方へと案内される。
【0044】
本実施形態では、カバーフィルム4は、図示しないモータに連結された繰出しローラ41によって、間欠的に一定のピッチで繰出されるようになっている。より詳しく説明すると、カバーフィルム4には、図3(a)に示すように、その長手方向に沿って一定間隔毎にレジマーク4aが付されている。さらに、カバーフィルム4の搬送経路に対応して、レジマーク4aを検知する検知手段42が設けられているとともに、検知手段42及び前記モータに対し電気的に接続され、検知手段42によってレジマーク4aが検知された場合に繰出しローラ41(前記モータ)の回転を停止させる図示しないコントローラが設けられている。これにより、レジマーク4aの付された一定間隔に対応する所定距離ずつカバーフィルム4が繰出されるようになっている。尚、レジマーク4aは、切断手段15によって切り離されて廃棄又はリサイクルされるカバーフィルム4の側部に対し印刷されている。また、本実施形態では、モータに連結された繰出しローラ41が繰出し手段を構成し、検知手段42と、繰出しローラ41(前記モータ)の駆動制御を行うコントローラとが一定送り手段(所定量繰出し手段)を構成する。
【0045】
尚、繰出しローラ41は、検知手段42がレジマーク4aを検知することで最終的に停止されるのではあるが、本実施形態では、停止直前においては回転速度が遅くなるように設定されている。つまり、繰出しローラ41が回転を開始してからレジマーク4aが検知されるまでの回転量(つまり繰出し量)を見越して、予め回転開始から所定回転後に回転速度が遅くなるような設定がなされている。このため、検知手段42によってレジマーク4aを検知してから繰出しローラ41が完全に停止するまでの間に繰出されることとなるカバーフィルム4の量(長さ)を極力少なくすることができ、結果として、カバーフィルム4の繰出し量のばらつきを極力抑制することができる。尚、レジマーク4aの検知後に、所定時間経過してから又は所定量繰出してから繰出しローラ41が停止される構成とし、レジマーク4aの検知後において繰出しローラ41の回転速度を遅くする場合においても同様の効果が奏される。
【0046】
また、本実施形態では、繰出しローラ41とシール手段14との間において、繰出しローラ41によって繰出されたカバーフィルム4を貯留可能なバッファ機構44が設けられている。図4等に示すように、バッファ機構44は、一対の従動ローラ45、46と、当該一対の従動ローラ45、46の間において上下方向に変位可能に設けられたダンサローラ47とを備えており、上流側から従動ローラ45の上側、ダンサローラ47の下側、従動ローラ46の上側といった順にカバーフィルム4が掛装されている。
【0047】
そして、繰出しローラ41によってカバーフィルム4が繰出された場合には、ダンサローラ47が下降して、一対の従動ローラ45、46の間に繰出された分のカバーフィルム4が貯留されることとなる(図4参照)。一方、カバーフィルム4がシール手段14側に引っ張られた場合には、一対の従動ローラ45、46の間に貯留されていたカバーフィルム4がシール手段14側に引き出され、ダンサローラ47が上昇することとなる(図5参照)。尚、シール手段14よりも下流側においては容器フィルム3とカバーフィルム4とが接着されているため、容器フィルム3が一定距離搬送された場合には、カバーフィルム4についても同じ距離だけ引き出されることとなる。尚、前記レジマーク4aが付される間隔は、間欠送りされる容器フィルム3の1回の送り距離(1ピッチ)よりも若干長く設定されている。
【0048】
また、バッファ機構44には、ダンサローラ47の上方においてダンサローラ47と当接可能なストッパ48が固定状態で設けられている。当該ストッパ48の存在により、ダンサローラ47の所定位置よりも上方への移動が規制されることとなる。
【0049】
シール手段14は、自身の下面が所定のシール温度に加熱され得る上型23と、ポケット部2及び機能凹部8に対応する凹部又は開口の形成された下型24とを備えており、両型23,24が上下動可能かつ圧接可能に構成されている。そして、上型23及び下型24間に、ポケット部2に対してワーク5が充填された容器フィルム3、及び、ポケット部2を塞ぐようにして容器フィルム3の上方に重ねられたカバーフィルム4が送り込まれ、両フィルム3、4が両型23,24によって圧接させられることで、ポケット部2の周縁部(図3(a)の散点模様を付した部位)に対しカバーフィルム4が熱接着されることとなる。これにより、ワーク5が充填されたポケット部2をカバーフィルム4で密封した帯状のブリスターフィルム16が製造される。尚、この容器フィルム3及びカバーフィルム4の接着は、容器フィルム3の搬送動作間のインターバルの際に行われる。
【0050】
さて、本実施形態では、シール手段14の上型23は、機能凹部8と対応する位置(機能凹部8に対応して下型24に形成された凹部又は開口と対向する位置)において、カバーフィルム4と当接する下面から突出する押込み突起51を備えている。押込み突起51の先端部は、機能凹部8に挿入となっている。そして、上型23及び下型24が接触方向に相対移動することで、容器フィルム3とカバーフィルム4とが接着される前に、押込み突起51によってカバーフィルム4が機能凹部8に押込まれるようになっている。尚、本実施形態では、押込み突起51を具備するシール手段14が、押込み手段を兼ねている。
【0051】
また、上記のように、レジマーク4aが付される間隔が、間欠的に移送される容器フィルム3の1回の搬送距離(1ピッチ)よりも若干長く設定されていることから、容器フィルム3の搬送が行われた後の状態においてもバッファ機構44には若干量のカバーフィルム4が貯留されていることとなる。このバッファ機構44に貯留されている若干量のカバーフィルム4が、前述したカバーフィルム4の機能凹部8への押込みに際して追従的に引き出されることで、比較的スムースにカバーフィルム4を機能凹部8へ押込むことができるようになっている。従って、カバーフィルム4を機能凹部8へ押込む際に、カバーフィルム8にかかる負荷を抑制することができる。そういう意味では、本実施形態では、レジマーク4aの付される間隔が、容器フィルム3の1回の搬送距離(1ピッチ)と、機能凹部8に押込まれるカバーフィルム4の長さとの和に等しくなるように設定されている。このため、カバーフィルム4が機能凹部8へ押込まれた状態においては、貯留されているカバーフィルム4が全て引き出され、ダンサローラ47が上昇してストッパ48と当接することとなる。
【0052】
また、図4等に示すように、押込み突起51は、上型23の下面に形成された穴部52に挿入状態で配置されるとともに、穴部52の底面(天壁部)に対しコイルばね53を介して接続されている。つまり、押込み突起51は、カバーフィルム4を機能凹部8へ押込む際に、カバーフィルム4から所定の反発力を受けると、穴部52へと没入する方向に相対移動し、上型23の下面から突出する突出長が短くなる。
【0053】
より詳しく説明すると、バッファ機構44(従動ローラ45、46の間)にカバーフィルム4が貯留されている状態においては、押込み突起51がほとんど穴部52へと没入することなく、機能凹部8にカバーフィルム4を押込むことができる。一方、貯留されているカバーフィルム4が全て引き出され、ダンサローラ47とストッパ48とが当接した場合には、カバーフィルム4がより緊張した状態となり、押込み突起51がカバーフィルム4から受ける反発力がそれまでよりも上昇する。本実施形態では、ダンサローラ47とストッパ48とが当接してからさらに上型23が下方に移動したとしても、押込み突起51が穴部52へと没入する方向に相対移動し、カバーフィルム4がそれ以上機能凹部8に押込まれないようになっている。つまり、バッファ機構44に貯留されている残りのカバーフィルム4の量に応じて、カバーフィルム4の押込み量を追従的に変化させることができるようになっている。尚、本実施形態では、コイルばね53が緩衝手段を構成する。
【0054】
また、切断手段15は、上型31及び下型32を備え、ブリスターフィルム16をブリスターパック1単位に切離する機能を有している。尚、図3(b)に示すように、上型31には、ブリスターフィルム16を切断するための切断刃31aが設けられているとともに、下型32には切断刃に対向して受部32aが設けられている(これらは次述する切断線L1に対応している)。尚、このブリスターフィルム16の切離は、容器フィルム3(ブリスターフィルム16)の搬送動作間のインターバルの際に行われる。
【0055】
そして、上型31及び下型32が互いに接触方向へ移動することでブリスターフィルム16が切断される。本実施形態では、図3(a)に示すように、ポケット部2と当該ポケット部2よりも上流側(図3では左側)に位置する機能凹部8との間に位置し、容器フィルム3の幅方向に沿って延びる切断線L1、及び、各ポケット部2の両側方に位置し、容器フィルム3の移送方向に沿って延びる切断線L2においてブリスターフィルム16が切断されるようになっている。これにより、ポケット部2を1つずつに分離するようにしてブリスターフィルム16が切離され、ブリスターパック1が形成されることとなる。
【0056】
また、上記のように、本実施形態では、ポケット部2周縁部(図3(a)の散点模様を付した部位)においてのみ容器フィルム3とカバーフィルム4とが接着されるようになっており、容器フィルム3の移送方向、及び、容器フィルム3の幅方向において互いに隣接するポケット部2同士の間においては、容器フィルム3とカバーフィルム4とが接着されていない非取着部位が形成される。本実施形態では、容器フィルム3の移送方向に並ぶポケット部2同士の間の非取着部位において機能凹部8が形成されるとともに、上記切断線L1が位置するよう設定されている。また、容器フィルム3の幅方向に並ぶポケット部2同士の間の非取着部位において切断線L2が位置するよう設定されている。これらにより、プリスターパック1の周縁部には非取着部位が形成されることとなり、カバーフィルム4を容器フィルム3から捲ることができるようになっている。尚、ポケット部2及び機能凹部8以外の部位においては、非取着部位であっても容器フィルム3とカバーフィルム4とが密接状態となっている。
【0057】
切断手段15の下方には、ブリスターパック1を図示しない完成品用ホッパに移送するためのコンベア17が設けられている。また、図示はしないが、切断手段15の下流側には、切断によって残った端材を裁断したりするための裁断手段や、裁断された端材を貯留するためのスクラップ用ホッパ等が設けられている。また、適宜、ワーク5が各ポケット部2に確実に充填されているか否か、またワーク5の外観異常の有無や、ポケット部2やフィルム3,4間への異物混入の有無等の検査を行うための外観検査装置を適宜設けることとしてもよい。加えて、ブリスターフィルム16の下流側端部において、容器フィルム3の端部からカバーフィルム4が突出しているか否かを検査するための摘み部検査装置を設けることとしてもよい。
【0058】
次に、容器フィルム3とカバーフィルム4とが接着される工程(シール工程)の一例について図面を参照しつつ説明する。
【0059】
まず、図4に示すように、検知手段42によってレジマーク4aが検知されるまで、繰出しローラ41によってカバーフィルム4が繰出される。このとき、ダンサローラ47が下降して、繰出された分のカバーフィルム4がバッファ機構44にて貯留される。
【0060】
次に、図5に示すように、容器フィルム3が1ピッチ分搬送される。また、かかる容器フィルム3の搬送に伴って、バッファ機構44に貯留されているカバーフィルム4についても同じ長さ分だけ引き出される。但し、上述の通り、バッファ機構44には、容器フィルム3の搬送に伴ってカバーフィルム4が引き出された後においても、若干量の(機能凹部8に押込まれる分の)カバーフィルム4が貯留されている。
【0061】
続いて、図6(a),(b)に示すように、シール手段14の上型23と下型24とを接触方向に相対移動させる。
【0062】
このとき、上型23がカバーフィルム4と接触する前段階において、まず、押込み突起51がカバーフィルム4と接触する。当該接触状態からさらに上型23と下型24とを近付けることで、カバーフィルム4が押込み突起51によって機能凹部8に押込まれる。また、当該カバーフィルム4の機能凹部8への押込みに伴い、上型23と対向するカバーフィルム4が下流側にずらされるようにして、バッファ機構44に貯留されていた残りのカバーフィルム4がシール手段14側に引っ張り出される。そして、ダンサローラ47がストッパ48と当接した時点で、バッファ機構44に貯留されていた残り全てのカバーフィルム4が引き出されたこととなり、カバーフィルム4のそれ以上の引き出しが規制され、押込み突起51によるそれ以上の押込みも行われなくなる。
【0063】
その後、上型23と下型24とによって容器フィルム3及びカバーフィルム4が圧接され、機能凹部8にカバーフィルム4が押込まれている状態において、容器フィルム3とカバーフィルム4とが熱接着される。以上のようにして、シール工程が終了する。
【0064】
また、シール工程の終了後においては、上型23及び下型24は離間させられるが、ブリスターフィルム16は、機能凹部8にカバーフィルム4が押込まれた状態が維持され、その状態のまま切断手段15へと移送されることとなる。
【0065】
そして、切断手段15によって、機能凹部8にカバーフィルム4が押込まれた状態でブリスターフィルム16が切断線L1、L2において切離され、ブリスターパック1が形成されることとなる。
【0066】
切断線L1においてブリスターフィルム16を切断する前の状態においては、機能凹部8の上流側及び下流側において容器フィルム3とカバーフィルム4とが接着されており、カバーフィルム4が機能凹部8に押込まれている状態が維持される。これに対し、ブリスターフィルム16が切断線L1において切断されると、機能凹部8よりも下流側(図3(b)では右側)においてカバーフィルム4が自由端となるため、機能凹部8に押込まれていたカバーフィルム4が自らの弾性力により機能凹部8から抜け出し、切断線L1を跨ぐようにして、すなわち容器フィルム3の端部から突出するようにして真直ぐに延びるようになっている。これにより、機能凹部8が形成された一辺部においてカバーフィルム4の端部が容器フィルム3よりも外側に突出したブリスターパック1が確実に得られることとなる。
【0067】
以上詳述したように、本実施形態におけるブリスター包装機10によって製造されるブリスターパック1は、機能凹部8が形成された一辺部においてカバーフィルム4の端部が容器フィルム3よりも外側に突出している。当該ブリスターパック1は、前記一辺部においては、カバーフィルム4のうち容器フィルム3側の面に対して指を当てる(引っ掛ける)ことができ、カバーフィルム4を捲りやすくなっている。さらに、カバーフィルム4のうち容器フィルム3の端部から突出している部位の長さが十分に確保されている場合には、カバーフィルム4と容器フィルム3との間を離間させるようにしてカバーフィルム4を捲らなくても、カバーフィルム4の端部を摘むことができる。このように、カバーフィルム4の端部を容器フィルム3よりも外側に突出させることで、例えば、カバーフィルム4よりも硬くて厚肉な容器フィルム3がカバーフィルム4よりも外側に突出しているような構成や、容器フィルム3及びカバーフィルム4の端縁が揃っているような構成に比べ、比較的容易にカバーフィルム4を捲って容器フィルム3から剥がすことができる。勿論、ブリスターパック1の端部において容器フィルム3とカバーフィルム4との間が広がるように構成する必要もない。これらのことから、開封しやすいブリスターパック1を安定して得ることができる。
【0068】
また、バッファ機構44の存在により、容器フィルム3の搬送とカバーフィルム4の繰出しとを同期させる必要がなくなるため、各フィルム3,4の送り制御を比較的容易なものとすることができる。
【0069】
さらに、本実施形態によれば、バッファ機構44において貯留されているカバーフィルム4は、容器フィルム3の搬送に伴って引き出された後においても少し残るようになっている。さらに、この残りのカバーフィルム4は、押込み突起51によってカバーフィルム4が機能凹部8に押込まれることで全て引き出される。換言すれば、押込み突起51は、バッファ機構44に貯留されているカバーフィルム4の残り全てが引き出されるまで、カバーフィルム4を機能凹部8に押込むようになっている。例えば、カバーフィルム4の繰出し量が予定量よりも少なくなってしまった場合には、機能凹部8に押込まれるカバーフィルム4の量(長さ)が少ないものとされ、一方、カバーフィルム4の繰出し量が予定量よりも多くなってしまった場合には、機能凹部8に押込まれるカバーフィルム4の量が多いものとされる。このように、カバーフィルム4等の送り量の若干のばらつきに応じて機能凹部8へのカバーフィルム4の押込み量が追従的に調整されることで、容器フィルム3とカバーフィルム4とが長手方向に大きくずれてしまうといったおそれを防止することができ、結果として、カバーフィルム4に印刷された識別情報等の位置合わせをより確実に行うことができる。
【0070】
また、カバーフィルム4に対して一定間隔毎に付されたレジマーク4aを検知することでカバーフィルム4を一定間隔毎繰出すことから、例えば、カバーフィルム4の繰出し量を実測することで一定量を繰出可能とする構成に比べ、僅かなずれが蓄積されて大きなずれとなってしまうといった事態を防止することができる。従って、カバーフィルム4に印刷された識別情報等の位置合わせをより確実に行うことができる。また、カバーフィルム4の繰出し量を実測したりする場合に比べ、一定間隔毎繰出すための構成の簡素化等を図ることができる。
【0071】
さらに、容器フィルム3の1回の移送距離(1ピッチ)と、機能凹部8に押込まれるカバーフィルム4の長さとの和が、カバーフィルム4に対してレジマーク4aの付される間隔と等しくなるよう設定されていることから、安定した一定送りや押込みを実現でき、より確実に位置ずれを防止できる。
【0072】
また、押込み突起51は、コイルばね53を介して上型23に接続されることで、バッファ機構44に貯留されているカバーフィルム4がなくなったらそれ以上カバーフィルム4を機能凹部8に押しこまない構成となっている。このため、機能凹部8に対しカバーフィルム4を無理に押込んでしまい、これに起因して、カバーフィルム4が引き延ばされたり、容器フィルム3が潰れたりしてしまうといったおそれを防止することができる。
【0073】
また、例えば、カバーフィルム4と容器フィルム3とが離間している部位においてブリスターフィルム16を切断する場合、カバーフィルム4又は容器フィルム3のうちどちらか一方については、切断当初は宙に浮いた状態となってしまう。従って、切断に際し、カバーフィルム4が延びたり、容器フィルム3が変形したりするおそれがある。この点、本実施形態では、切断線L1がポケット部2と当該ポケット部2よりも上流側に位置する機能凹部8との間に設定されている。当該部位においては、容器フィルム3に凹部等が形成されておらず、カバーフィルム4と容器フィルム3とが密接しているため、上記不具合を防止することができる。
【0074】
また、本実施形態によれば、ポケット部2と機能凹部8との間において切断するため、一辺部においてのみカバーフィルム4の端部が容器フィルム3から外側に突出することとなる。従って、機能凹部8においてブリスターフィルム16を切断する場合に比べ、容器フィルム3から外側に突出するカバーフィルム4の突出長をより長くすることができる。その結果、カバーフィルム4を摘んで捲り易くするといった作用効果が一層確実に奏される。
【0075】
加えて、シール手段14を構成する上型23及び下型24が接触方向に相対移動することで、押込み突起51によりカバーフィルム4が機能凹部8に押込まれるとともに、容器フィルム3とカバーフィルム4とが接着されるようになっている。つまり、上型23及び下型24を接触方向に相対移動させるといった一つの動作で、容器フィルム3とカバーフィルム4とを接着するシール工程と、カバーフィルム4を機能凹部8に押込む押込み工程とを行うことができるため、製造作業性の向上やコストの抑制等を図ることができる。さらに、ポケット部形成手段12により、ポケット部2及び機能凹部8が同時に形成されるため、製造作業性の向上やコストの抑制等が図られる。
【0076】
また、例えば、容器フィルム3の幅方向に並ぶ7つのポケット部2に個別に対応して、機能凹部が容器フィルム3の幅方向に断続的に形成されるような場合には、各機能凹部にカバーフィルム4を押込む際にカバーフィルム4が皺になってしまうおそれがある。これに対し、本実施形態によれば、容器フィルム3の幅方向に並ぶ7つ全てのポケット部2に対応するようにして機能凹部8が一続きにかつ一直線状に形成されるため、上記不具合を防止することができ、品質の低下を防止することができる。
【0077】
尚、容器フィルム3よりも幅の広いカバーフィルム4を容器フィルム3に取着して、カバーフィルム4の端部を容器フィルム3から突出させるといったことも考えられるが、容器フィルム3はその両側部がチェーンクリップコンベア11のクリップで把持された状態で搬送されるため、かかる構成の採用は困難である。さらには、レジマーク4aがブリスターパック1に残存することとなるため、外観品質の低下を招くおそれがある。また、チェーンクリップコンベア11によって搬送される容器フィルム3に対し、その搬送方向に沿って延びるようにして機能凹部を形成することも考えられる。この場合、容器フィルム3に取着されるカバーフィルム4は容器フィルム3よりも幅狭でもよく、さらにはレジマーク4aを切り離すこともできるため上記不具合は回避できるのではあるが、カバーフィルム4の機能凹部への押込みに際し、カバーフィルム4に皺が形成されてしまうおそれがある。この点、本実施形態のように機能凹部8を設けることにより、カバーフィルム4に皺が形成される等といった不具合を防止することができる。
【0078】
加えて、本実施形態の構成を採用することで、容器フィルム3がカバーフィルム4の端部から突出するようになっていることに起因して外観品質の低下を招いたり、容器フィルム3の端部とカバーフィルム4とが広がるようになっていることに起因して容器フィルム3とカバーフィルム4との間に異物が挟まりやすくなってしまったりするといったおそれを回避することができる。
【0079】
以上、一実施形態について説明したが、このような実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々なる形態で実施できる。
【0080】
(a)ブリスターパック1の形状は特に限定されるものではなく、少なくとも一辺部においてカバーフィルム4の端部が容器フィルム3から突出し、カバーフィルム4を剥がしやすくなっていればよい。例えば、プリスターパック1が複数のポケット部2を具備するようにしてもよい。この場合、ポケット部2を切り離しやすくためのスリット(薄肉部)を設けることが望ましい。また、1つのポケット部2に複数のワークが収容されていてもよい。
【0081】
(b)上記実施形態では、ポケット部2と当該ポケット部2の上流側に位置する機能凹部8との間でブリスターシート16を切断しているが、機能凹部8と当該機能凹部8の上流側に位置するポケット部2との間でブリスターシート16を切断してもよいし、機能凹部8においてブリスターシート16を切断してもよい。尚、後者の構成を採用する場合、機能凹部8が2つの辺部に分かれて形成されることとなり、当該機能凹部8が形成された2つの辺部においてカバーフィルム4の端部が容器フィルム3から外側に突出することとなる。
【0082】
(c)カバーフィルム4は、レジマーク4aを検知することで一定量ずつ間欠的に繰出されるよう構成されているが、特にこのような構成に限定されるものではない。例えば、繰出しローラ41の回転角度(回転数)を測定することで一定量ずつ繰出せるよう構成してもよい。また、カバーフィルム4については連続的に繰出されるよう構成してもよい。さらに、繰出しローラ41やバッファ機構44等を省略し、容器フィルム3の搬送や機能凹部8への押込みに応じて追従的に繰出されるよう構成してもよい。
【0083】
(d)また、上記実施形態では、カバーフィルム4の移送(繰出し)が終わった後に、容器フィルム3の移送(搬送)を開始しているが、両フィルム3,4の移送を重複させてもよい。この場合、生産性の向上が図られる。但し、容器フィルム3の搬送が終了してからシール手段14による熱接着(シール工程)が終了するまでの間においては、カバーフィルム4の繰出しは行われないこととする。これにより、カバーフィルム4に印刷された識別情報等の位置合わせを行うことができるといった作用効果が確実に奏される。
【0084】
(e)上記実施形態では、緩衝手段としてコイルばね53を採用しているが、特にこのような構成に限定されるものではなく、バッファ機構44に貯留されているカバーフィルム4がなくなるまで機能凹部8にカバーフィルム4を押込める構成となっていればよい。例えば、コイルばね53に代えてゴムやシリンダ機構を用いてもよいし、センサやコントローラ等を設けて押込み突起51の突出長の調節制御を行ってもよい。尚、上型23に対して押込み突起51を固定的に(一体的に)設けることとしてもよい。
【0085】
(f)上記実施形態では特に言及しなかったが、押込み突起51によるカバーフィルム4の機能凹部8への押込み量(押込み突起51の機能凹部8への挿入量)は、当該押込み突起51によって機能凹部8に押込まれたカバーフィルム4が機能凹部8の底面と当接しない(底付きしない)程度に設定されることが望ましい。これにより、カバーフィルム4の繰出し量が予定量よりも多くなってしまった場合においても、押込み突起51によってカバーフィルム4を機能凹部8に押込むことでバッファ機構44に貯留されているカバーフィルム4の全てが確実に引き出されるように、機能凹部8に対してカバーフィルム4を予定量(予定長)よりも余分に押込める構成とすることができる。従って、カバーフィルム4に印刷された識別情報等の位置合わせを行うことができるといった作用効果が一層確実に奏される。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】ブリスター包装機を示す概略構成図である。
【図2】(a)はブリスターパックを示す斜視図であり、(b)はブリスターパックの断面図である。
【図3】(a)はブリスターフィルムの上面図であり、(b)はブリスターフィルムの断面図である。
【図4】シール工程における手順を説明するための模式図である。
【図5】シール工程における手順を説明するための模式図である。
【図6】(a)はシール工程における手順を説明するための模式図であり、(b)は押込み突起の周辺部を拡大した図である。
【符号の説明】
【0087】
1…ブリスターパック、2…ポケット部、3…容器フィルム、4…カバーフィルム、5…非充填物としてのワーク、8…機能凹部、10…ブリスター包装機、11…チェーンクリップコンベア、12…ポケット部形成手段(機能凹部形成手段)、13…充填手段、14…シール手段(押込み手段)、15…打抜・切断手段としての切断手段、16…ブリスターフィルム、41…繰出し手段を構成する繰出しローラ、42…一定送り手段(所定量繰出し手段)を構成する検知手段、44…バッファ機構、51…押込み突起、53…緩衝手段としてのコイルばね。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
間欠的に移送される帯状の容器フィルムに対してポケット部を形成するポケット部形成手段と、
前記ポケット部にワークを充填する充填手段と、
ワークが充填された前記ポケット部を塞ぐようにして前記容器フィルムにカバーフィルムを取着するシール手段と、
打抜き、又は、切断によって、前記カバーフィルムの取着された前記容器フィルムを切離可能な打抜・切断手段とを備えたブリスター包装機であって、
前記容器フィルムの移送方向において前記ポケット部と隣接又は近接する位置に前記ポケット部と同じ側に凹んでなる機能凹部を形成する機能凹部形成手段と、
前記カバーフィルムを前記機能凹部に押込む押込み手段とを備え、
前記シール手段は、前記押込み手段が前記カバーフィルムを前記機能凹部に押込んでいる状態において、少なくとも前記機能凹部を含む所定領域において前記容器フィルムと前記カバーフィルムとが取着されない非取着部位が形成されるように、少なくとも前記ポケット部の周縁部に対応して前記容器フィルムと前記カバーフィルムとを取着し、
前記打抜・切断手段は、前記機能凹部に前記カバーフィルムが押込まれた状態で、少なくとも前記機能凹部又はその近傍の非取着部位において前記カバーフィルム及び前記容器フィルムをその幅方向に沿って切離する構成であって、
少なくとも一辺部において前記カバーフィルムの端部が前記容器フィルムよりも外側に突出するブリスターパックが得られるよう構成したことを特徴とするブリスター包装機。
【請求項2】
帯状の前記カバーフィルムを前記シール手段側に向けて所定量繰出す所定量繰出し手段と、前記所定量繰出し手段によって繰出された所定量の前記カバーフィルムを貯留可能なバッファ機構とを備えたことを特徴とする請求項1に記載のブリスター包装機。
【請求項3】
間欠的に移送される帯状の容器フィルムに対してポケット部を形成するポケット部形成手段と、
前記ポケット部にワークを充填する充填手段と、
ワークが充填された前記ポケット部を塞ぐようにして前記容器フィルムにカバーフィルムを取着するシール手段と、
打抜き、又は、切断によって、前記カバーフィルムの取着された前記容器フィルムを切離可能な打抜・切断手段とを備えたブリスター包装機であって、
前記容器フィルムの移送方向において前記ポケット部と隣接又は近接する位置に前記ポケット部と同じ側に凹んでなる機能凹部を形成する機能凹部形成手段と、
前記カバーフィルムを前記機能凹部に押込む押込み手段とを備え、
前記シール手段は、前記押込み手段が前記カバーフィルムを前記機能凹部に押込んでいる状態において、少なくとも前記機能凹部を含む所定領域において前記容器フィルムと前記カバーフィルムとが取着されない非取着部位が形成されるように、少なくとも前記ポケット部の周縁部に対応して前記容器フィルムと前記カバーフィルムとを取着し、
前記打抜・切断手段は、前記機能凹部に前記カバーフィルムが押込まれた状態で、少なくとも前記機能凹部又はその近傍の非取着部位において前記カバーフィルム及び前記容器フィルムをその幅方向に沿って切離する構成であって、
少なくとも一辺部において前記カバーフィルムの端部が前記容器フィルムよりも外側に突出するブリスターパックが得られるよう構成し、
帯状の前記カバーフィルムを前記シール手段側に向けて繰出し可能な繰出し手段と、
前記繰出し手段によって一定量の前記カバーフィルムが繰出された場合に前記繰出し手段の駆動を停止させる一定送り手段と、
前記繰出し手段と前記シール手段との間において、前記繰出し手段によって繰出された前記カバーフィルムを貯留可能なバッファ機構とを備え、
前記バッファ機構において貯留されたカバーフィルムは、前記容器フィルムの移送に伴って引き出されるとともに、
前記押込み手段が前記カバーフィルムを前記機能凹部に押込むことで、前記バッファ機構に貯留されているカバーフィルムの残り全てが引き出されることを特徴とするブリスター包装機。
【請求項4】
前記一定送り手段は、前記カバーフィルムに対しその長手方向に沿って一定間隔毎に付されたレジマークを検知する検知手段と、前記検知手段の検知に基づいて前記繰出し手段の駆動を停止させるコントローラとを備えることを特徴とする請求項3に記載のブリスター包装機。
【請求項5】
間欠的に移送される前記容器フィルムの1回の移送距離と、前記機能凹部に押込まれる前記カバーフィルムの長さとの和が、前記カバーフィルムに対して前記レジマークの付される間隔と等しくなるよう設定されていることを特徴とする請求項4に記載のブリスター包装機。
【請求項6】
前記押込み手段は、前記カバーフィルムを前記機能凹部へ押込む際に、前記カバーフィルムから受ける反発力に応じて前記カバーフィルムの前記機能凹部への押込み量を可変とするための緩衝手段を備えることを特徴とする請求項3乃至5のいずれかに記載のブリスター包装機。
【請求項7】
前記打抜・切断手段は、前記ポケット部と前記機能凹部との間の非取着部位において、前記カバーフィルム及び前記容器フィルムをその幅方向に沿って切離することを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のブリスター包装機。
【請求項8】
前記シール手段は、前記カバーフィルムと当接する上型と、前記容器フィルムと当接する下型とを備え、前記上型と前記下型との間に重ねられるようにして送り込まれる前記容器フィルム及び前記カバーフィルムを前記上型及び前記下型で圧接することで両フィルムを熱接着する構成であって、
前記上型は、前記機能凹部に対応して、前記カバーフィルムと当接する面から前記下型側に突出する押込み突起を備え、
前記上型と前記下型とが接触方向に相対移動することで、前記押込み突起が前記カバーフィルムを前記機能凹部に押込むとともに、当該機能凹部の上流側に位置する前記ポケット部の周縁部に対応して、前記容器フィルムと前記カバーフィルムとが接着されることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載のブリスター包装機。
【請求項9】
前記ポケット部形成手段により、前記容器フィルムの幅方向に並ぶようにして複数の前記ポケット部が形成されるブリスター包装機であって、
前記容器フィルムの幅方向に並ぶ複数のポケット部に対応して設けられる機能凹部は、一続きに、かつ、一直線状に形成されることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載のブリスター包装機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−162620(P2008−162620A)
【公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−352413(P2006−352413)
【出願日】平成18年12月27日(2006.12.27)
【出願人】(000106760)シーケーディ株式会社 (627)
【Fターム(参考)】